JP2014502302A - 低pi及び改善された低温流れを有する官能性ジエンエラストマー、及びそれを含有するゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エラストマーは、a) 鎖端で又は鎖中央でスズ官能基によって官能基化されており、官能基化前の分子量が単峰性分布を有し且つ官能基化前の多分散指数が1.3以下であるジエンエラストマー、b) スズ化合物で星状枝分れされており、星状枝分れ前の分子量が単峰性分布を有し且つ星状枝分れ前の多分散性指数が1.3以下であるジエンエラストマー、及びc) 官能基化ジエンエラストマーの全質量に対して15質量%未満の非スズ官能性ジエンエラストマーからなる官能基化ジエンエラストマーである。前記ジエンエラストマーa)、b)、及びc)は、官能基化又は星状枝分れ前には本質的に同じものである。
【選択図】なし
Description
ヒステリシス低下の目的を達成するために、すでに多くの解決策が実験されてきた。特に、補強用充填剤と相互作用する官能基によるポリマーの官能基化が有利な経路として出現した。
従って、充填剤と相互作用する官能基が重合の開始又は終わりで官能性開始剤又は官能基化剤によって鎖端に結合された。一例として、特許文献の仏国特許発明第2 526 030号明細書及び米国特許第4 848 511号明細書に記載されるように、DEABとしても知られる4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、又はカーボンブラックと相互作用する他のアミノ化官能基が重合の終わりに付加された。スズによってカップリングされるか又は星状枝分れされたポリマーは、重合の終わりに導入されるカーボンブラックと相互作用することができる官能基を含んでいる。一例として、欧州特許文献の欧州特許第0 709 235号明細書が挙げられ得る。シリカと相互作用する官能基、例えば特許文献の仏国特許第2 740 778号明細書に開示されているシラノール基を含む官能基又は文献の米国特許第5 066 721号明細書に記載されているアルコキシシラン基又はアリールオキシシラン基を含む官能基もまた重合の終わりに鎖端に結合された。これらの解決策の大部分は、カーボンブラックにしてもシリカにしても、純粋には、対応する組成物のヒステリシスに対して制限を生じるが、付随してこれらの同じ組成物を加工する際により大変な困難を生じる。
低温流れを低下させるために多くの解決策が存在する。研究論文のNouvelles Recherches dans le Domaine des Composes Macromoleculaires [New Research in the Field of Macromolecular Compounds], editor(s) Ceausescu E, Oxford, Pergamon Press Ltd., 1984, pp. 343-56, 72には、低温流れを低下させる方法、例えば分子量の増加、星状枝分れ又は枝分れ度が記載されている。しかしながら、分子量の増加は混合物の使用に非常に悪影響を与え、一方枝分れは混合物のヒステリシスの増大を伴う。更に、驚くべきことに、単にスズで星状枝分れしたポリマー(3又は4つの枝分れ)は、スズでカップリングしたポリマーと比較してヒステリシスが増大する。
低温流れの問題を解決するために、エラストマーの多分散指数を増加させ得ることも知られている。しかしながら、ゴム組成物の特性に対して影響があり、例えば、特に混合物のヒステリシス又は加工性に存在する。
特許の欧州特許第0 924 227号明細書には、共役ジオレフィンと、ポリマー鎖にアミン官能基を含み且つ多峰性分子分布を有するビニル芳香族化合物のコポリマーが記載されている。この特許には、ある量の非官能性鎖を生成させる特定の分子分布を有する前記ポリマーを製造する2つのプロセスが記載されている。
a)鎖端で又は鎖中央でスズ官能基によって官能基化されており、官能基化前の分子量が単峰性分布を有し且つ官能基化又はカップリング前の多分散指数が1.3以下であるジエンエラストマー、
b)スズを含む化合物で星状枝分れされており、星状枝分れ前の分子量が単峰性分布を有し且つ星状枝分れ前の多分散性指数が1.3以下であるジエンエラストマー、及び
c)官能基化ジエンエラストマーの全質量に対して15質量%未満の含量の非スズ官能性ジエンエラストマー
から構成された官能基化ジエンエラストマーである。
好ましくは、本発明の官能基化ジエンエラストマーは、官能基化ジエンエラストマーの全質量に対して、5%から45質量%まで、好ましくは10%から30質量%までの前記星状枝分れジエンエラストマーb)を含む。
好ましくは、本発明の官能基化ジエンエラストマーは、官能基化ジエンエラストマーの全質量に対して、厳密に0質量%よりも多く且つ10質量%未満の含量、より好ましくは5質量%未満の含量の前記非スズ官能性エラストマーc)を含む。
この基は、鎖端に位置し得る。その場合、ジエンエラストマーは鎖端で官能基化されていると言われる。ジエンエラストマーは、一般に、リビングエラストマーと官能基化剤、即ち少なくとも任意の単官能分子との反応によって得られたエラストマーであり、官能基はリビング鎖端と反応する当業者によって知られている任意のタイプの化学基である。
この基は、直鎖状のエラストマー主鎖に位置し得る。その場合、ジエンエラストマーは、「鎖端」の位置とは対照的に、鎖中央にカップリング或いは官能基化されていると言われるが、基は前記エラストマー鎖の中央に正確に位置していない。ジエンエラストマーは、一般に、リビングエラストマーとカップリング剤、即ち少なくとも任意の二官能分子との反応によって得られたエラストマーであり、官能基はリビング鎖端と反応する当業者によって知られている任意のタイプの化学基である。
この基は中央にあることになり、nエラストマー鎖又は枝分れ(n > 2)が結合されており、エラストマーの星状枝分れ構造が形成される。その場合、ジエンエラストマーは星状枝分れされていると言われる。ジエンエラストマーは、一般に、リビングエラストマーと星状枝分れ剤、即ち任意の多官能分子との反応によって得られたエラストマーであり、官能基はリビング鎖端と反応する当業者によって知られている任意のタイプの化学基である。
他の好ましい実施態様によれば、ジエンエラストマーb)は、4つの枝分れを有するスズによって星状枝分れされたコポリマーである。
他の好ましい実施態様によれば、ジエンエラストマーa)は、鎖中央でスズ官能基によって官能基化されたジエンエラストマーであり、ジエンエラストマーb)は、4つの枝分れを有するスズによって星状枝分れされたジエンエラストマーである。
本発明によれば、鎖端で又は鎖中央でスズ官能基によって官能基化されたジエンエラストマーa)は、官能基化前の分子量が単峰性分布を示し且つ官能基化前の多分散指数が1.3以下である。
同様に、本発明によれば、星状枝分れジエンエラストマーb)は、星状枝分れ前の分子量が単峰性分布を有し且つ星状枝分れ前の多分散指数が1.3以下である。
多分散指数は、本発明の意味の範囲内で、質量平均分子量/数平均分子量比率を意味すると理解される。
重合は、連続して又はバッチ式で行われ得る。重合は、一般的には20℃と120℃の間、好ましくは約30℃から約90℃までの温度で行われる。勿論、重合の終わりに、リビング鎖端の反応性を変化させるために金属交換反応剤を添加することも可能である。
本発明の官能基化ジエンエラストマーの調製の第1の別の形によれば、鎖端で又は鎖中央でスズ官能基によって官能基化されたジエンエラストマーa)と星状枝分れジエンエラストマーb)が適切な割合で混合される。
鎖端で又は鎖中央でスズ官能基によって官能基化されたジエンエラストマーa)は、それ自体は知られているように、スズ誘導体と重合から得られるリビングジエンエラストマーとの反応によって得ることができる。
星枝分れエラストマーb)は、それ自体は知られているように、スズを含む星状枝分れ剤と重合から得られるリビングジエンエラストマーとの反応によって得ることができる。
2つのエラストマーの混合は、不活性溶媒、例えば脂肪族炭化水素又は脂環式炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン又はシクロヘキサン、又は芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン又はキシレン中で行われ得るが、これは重合溶媒と同じであり得る。その場合、混合は、好ましくは20℃と120℃の間、好ましくは約30から約90℃までの温度で行われる。
本発明の官能基化ジエンエラストマーの調製の第2の別の形によれば、重合段階から得られるリビングジエンエラストマーは、官能基化剤の反応に及び星状枝分れ剤の反応に供される。
精通している読者は、官能基化ジエンエラストマーa)及びb)の調製の段階の間、非スズ官能基化ジエンエラストマーc)の形成を制限するために適切な処理条件が展開されなければならないことを理解するであろう。
組成物は、1から100phrまでの本発明の官能基化ジエンエラストマーを含み得る。
本発明の組成物は、また、本発明の前記官能基化ジエンエラストマー以外の少なくとも1つのジエンエラストマーを含み得る。本発明の官能基化ジエンエラストマー以外のこの又はこれらのジエンエラストマーは、タイヤに慣用的に用いられているジエンエラストマー、例えば天然ゴム又は合成エラストマー、又は他の官能基化又は星状枝分れされたエラストマーから選ばれ得る。
目標とする用途によれば、高級シリーズFF、FEF、GPF又はSRF、例えばN660、N683又はN772ブラックも使われ得る。カーボンブラックは、例えば、マスターバッチの形でイソプレンエラストマーにすでに組み込まれている(例えば、出願の国際公開第97/36724号パンフレット又は同第99/16600号パンフレットを参照のこと)。
組成物における補強性充填剤の含量は、好ましくは30と150phrの間、より好ましくは50と120phrの間にある。最適は、標的にされる特定の用途によって異なる: 例えば、自転車タイヤに関する補強の予想されるレベルは、持続した方法で高速で走行できるタイヤ、例えばオートバイタイヤ、乗用車用のタイヤ又は実用車用のタイヤ、重量車両等に関して要求されるよりも勿論少ない。
本発明の他の実施態様によれば、補強性充填剤は、主に、カーボンブラックを含む。
知られているように、補強性無機充填剤をジエンエラストマーにカップリングするために、無機充填剤(その粒子の表面)とジエンエラストマーの間に、化学的及び/又は物理的性質の満足な結合を与えることを意図した少なくとも二官能性カップリング剤、特に二官能性オルガノシラン又はポリオルガノシロキサンが使われる。
特に、例えば、出願の国際公開第03/002648号パンフレット(又は米国特許出願公開第2005/016651号明細書)や国際公開第03/002649号パンフレット(又は米国特許出願公開第2005/016650号明細書)に記載されているような特定の構造に従って「対称」又は「非対称」と呼ばれるシランポリスルフィドが使われる。
(III) Z - A - Sx - A - Z
[式中、
- xは、2から8まで(好ましくは2から5まで)の整数であり;
- Aは、二価の炭化水素基(好ましくはC1-C18アルキレン基又はC6-C12アリーレン基、特にC1-C10、特にC1-C4アルキレン、特にプロピレン)であり;
- Zは、下記式の1つに対応する:
- R1基は、置換されているか又は置換されていない且つ相互に同じか又は異なり、C1-C18アルキル基、C5-C18シクロアルキル基又はC6-C18アリール基(好ましくはC1-C6アルキル基、シクロヘキシル基又はフェニル基、特にC1-C4アルキル基、特にメチル及び/又はエチル)を表し;
- R2基は、置換されているか又は置換されていない且つ相互に同じか又は異なり、C1-C18アルコキシ基又はC5-C18シクロアルコキシル基(好ましくはC1-C8アルコキシル、C5-C8シクロアルコキシルより選ばれる基、より好ましくはC1-C4アルコキシルより選ばれる基、特にメトキシル及びエトキシルより選ばれる基を表す)]。
典型的には、カップリング剤の含量は、無機充填剤の量に対して0.5%から15質量%までを表す。
当業者は、他の種類の補強性充填剤、特に有機物の種類が本項に記載される補強性無機充填剤に等価な充填剤として用いられ得ることを理解する。但し、この補強性充填剤は、無機層、例えばシリカで覆われているか、或いはその表面に、官能部位、特にヒドロキシルを含み、充填剤とエラストマーの間の結合を形成するためにカップリング剤の使用を必要とする。
化学架橋は、エラストマー鎖の間に共有結合を形成することを可能にする。化学架橋は、加硫系を用いて或いはペルオキシド化合物を用いて行われ得る。
適切な加硫系は、硫黄(又は硫黄供与剤)及び一次加硫促進剤をベースにする。このベース加硫系に加えて、引き続いて記載されるように、種々の既知の二次加硫促進剤又は加硫活性化剤、例えば酸化亜鉛、ステアリン酸又は等価な化合物、又はグアニジン誘導体(特にジフェニルグアニジン)が、第1の非生産段階の間及び/又は生産段階の間に組み入れられる。
硫黄は、0.5と12phrの間、特に1と10phrの間の好ましい含量で用いられる。一次加硫促進剤は、好ましくは0.5と10phrの間、より好ましくは0.5と5.0phrの間の含量で用いられる。
化学架橋が1つ以上のペルオキシド化合物を用いて行われる場合、前記1つ以上のペルオキシド化合物は0.01から10phrまでを表す。
化学架橋系として使用し得るペルオキシド化合物として、アシルペルオキシド、例えばベンゾイルペルオキシド又はp-クロロベンゾイルペルオキシド、ケトンペルオキシド、例えばメチルエチルケトンペルオキシド、ペルオキシエステル、例えばt-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート又はt-ブチルペルオキシフタレート、アルキルペルオキシド、例えばジクミルペルオキシド、ジ(t-ブチル)ペルオキシベンゾエート又は1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、又はヒドロペルオキシド、例えばt-ブチルヒドロペルオキシドが挙げられ得る。
本発明の更なる主題は、タイヤのためのゴムでできている半製品であり、本発明の架橋された又は架橋性のゴム組成物を含んでいる。好ましくは、前記製品はトレッドである。
本発明の最後の主題は、本発明の半製品を含むタイヤである。
Claims (16)
- 官能基化ジエンエラストマーであって、
a)鎖端で又は鎖中央でスズ官能基によって官能基化されており、官能基化前の分子量が単峰性分布を有し且つ官能基化前の多分散指数が1.3以下であるジエンエラストマー、
b)スズを含む化合物で星状枝分れされており、星状枝分れ前の分子量が単峰性分布を有し且つ星状枝分れ前の多分散性指数が1.3以下であるジエンエラストマー、及び
c)官能基化ジエンエラストマーの全質量に対して15質量%未満の含量の非スズ官能性ジエンエラストマー
から構成され、
ジエンエラストマーa)、b)及びc)が、選択できる官能基化又は選択できる星状枝分れ前には本質的に同じものである、前記エラストマー。 - 官能基化ジエンエラストマーの全質量に対して、5%から45質量%まで、好ましくは10%から30質量%までの前記星状枝分れジエンエラストマーb)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のエラストマー。
- 官能基化ジエンエラストマーの全質量に対して、厳密に0質量%よりも多く且つ10質量%未満の含量、好ましくは5質量%未満の含量の前記非スズ官能性エラストマーc)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のエラストマー。
- ジエンエラストマーa)が、スズによって官能基化されていない鎖端の1つ又は全てにアミン官能基を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項のエラストマー。
- 星状枝分れジエンエラストマーb)が、スズによって星状枝分れされていない鎖端にアミン官能基を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエラストマー。
- 非スズ官能性ジエンエラストマーc)が、鎖端の1つにアミン官能基を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエラストマー。
- エラストマーa)の官能基化が、モノハロスズ官能基化剤又はジハロスズカップリング剤で得られることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のエラストマー。
- エラストマーb)の星状枝分れが、トリハロスズ又はテトラハロスズの星状枝分れ剤で得られることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエラストマー。
- 官能基化ジエンエラストマーa)が鎖中央でスズ官能基によって官能基化されたジエンエラストマーであり、官能基化ジエンエラストマーb)が4つの枝分れを有するスズによって星状枝分れされたジエンエラストマーであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のエラストマー。
- ジエンエラストマーが、ポリブタジエン、ブタジエン-スチレンコポリマー、ブタジエン-イソプレンコポリマー、イソプレン-スチレンコポリマー、ブタジエン-スチレン-イソプレンターポリマー及び合成ポリイソプレンから選ばれることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のエラストマー。
- 少なくとも1つの補強性充填剤及びエラストマーマトリックスをベースにした補強性ゴム組成物であって、エラストマーマトリックスが、請求項1〜10のいずれか1項に記載の少なくとも1つの官能基化ジエンエラストマーを含むことを特徴とする、前記組成物。
- エラストマーマトリックスが、また、前記官能基化ジエンエラストマー以外の少なくとも1つのジエンエラストマーを含むことを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
- 化学架橋剤を含むことを特徴とする、請求項11又は12に記載の組成物。
- タイヤ用のゴムでできている半製品であって、請求項11〜13のいずれか1項に記載の架橋性の又は架橋されたゴム組成物を含むことを特徴とする、前記半製品。
- 前記製品がトレッドであることを特徴とする、請求項14に記載の半製品。
- 請求項14又は15に記載の半製品を含むことを特徴とする、タイヤ。
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