JP6555079B2 - 印刷物、該印刷物を用いた容器、印刷物の製造方法及び印刷物の選択方法 - Google Patents
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Description
上記問題を解決するために、特許文献1が提案されている。
また、印刷物に防眩性を付与するために表面を単純にマット化した場合、金属光沢の低下や、印刷物の高級感の消失を招く場合があった。
[1]基材上の任意の箇所に光沢印刷層を有し、さらに該光沢印刷層を有する側の最表面に表面保護層を有してなる印刷物であって、該光沢印刷層は金属鱗片を含み、該印刷物の表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、該α、β及びγが以下の条件(1)〜(5)を満たす印刷物。
4.0度≦α≦6.0度 (1)
5.5度≦β≦10.0度 (2)
9.5度≦γ≦15.0度 (3)
1.2度≦β−α≦2.5度 (4)
4.0度≦γ−β≦8.0度 (5)
[2]印刷物の表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/20の反射強度を示す拡散角度の絶対値をδとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、前記γ、及びδが以下の条件(6)を満たす上記[1]に記載の印刷物。
δ−γ≦4.0度 (6)
金属鱗片の平均厚み/金属鱗片の平均長さ≦0.010 (7)
[4]前記金属鱗片の平均厚みと、前記光沢印刷層の厚みとが、以下の条件(8)を満たす上記[1]〜[3]のいずれかに記載の印刷物。
10≦[金属鱗片の平均長さ/光沢印刷層の厚み] (8)
[5]前記金属鱗片の平均長さが5.0〜30.0μmである上記[1]〜[4]のいずれかに記載の印刷物。
[6]前記金属鱗片の平均厚みが0.10μm以下である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の印刷物。
[7]前記光沢印刷層の厚みが0.15〜1.50μmである上記[1]〜[6]のいずれかに記載の印刷物。
[8]前記光沢印刷層により絵柄が形成されてなる上記[1]〜[7]のいずれかに記載の印刷物。
[9]前記基材と前記光沢印刷層との間にハードコート層を有する上記[1]〜[9]のいずれかに記載の印刷物。
[10]前記ハードコート層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物層である上記[9]に記載の印刷物。
[11]前記基材が紙基材である上記[1]〜[10]のいずれかに記載の印刷物。
[12]前記基材と前記表面保護層との間の任意の箇所に、絵柄層を有してなる上記[1]〜[11]のいずれかに記載の印刷物。
[13]上記[1]〜[12]のいずれかに記載の印刷物を用いてなる容器。
金属鱗片を含む光沢印刷層用インキから該光沢印刷層を形成する工程、表面保護層用インキから該表面保護層を形成する工程を行うことにより、
表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、該α、β及びγが以下の条件(1)〜(5)を満たすようにする、印刷物の製造方法。
4.0度≦α≦6.0度 (1)
5.5度≦β≦10.0度 (2)
9.5度≦γ≦15.0度 (3)
1.2度≦β−α≦2.5度 (4)
4.0度≦γ−β≦8.0度 (5)
[15]基材上の任意の箇所に、金属鱗片を含む光沢印刷層を有し、さらに該光沢印刷層を有する側の最表面に表面保護層を有してなる印刷物を選択する際に、
表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、該α、β及びγが以下の条件(1)〜(5)を満たすことを判定条件とする、印刷物の選択方法。
4.0度≦α≦6.0度 (1)
5.5度≦β≦10.0度 (2)
9.5度≦γ≦15.0度 (3)
1.2度≦β−α≦2.5度 (4)
4.0度≦γ−β≦8.0度 (5)
本発明の印刷物は、基材上の任意の箇所に光沢印刷層を有し、さらに該光沢印刷層を有する側の最表面に表面保護層を有してなる印刷物であって、該光沢印刷層は金属鱗片を含み、該印刷物の表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、該α、β及びγが以下の条件(1)〜(5)を満たすものである。
4.0度≦α≦6.0度 (1)
5.5度≦β≦10.0度 (2)
9.5度≦γ≦15.0度 (3)
1.2度≦β−α≦2.5度 (4)
4.0度≦γ−β≦8.0度 (5)
以下、本発明の印刷物の実施の形態について説明する。
本発明の印刷物は、印刷物の表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、該α、β及びγが以下の条件(1)〜(5)を満たすものである。
4.0度≦α≦6.0度 (1)
5.5度≦β≦10.0度 (2)
9.5度≦γ≦15.0度 (3)
1.2度≦β−α≦2.5度 (4)
4.0度≦γ−β≦8.0度 (5)
α、β及びγの基準となる「正反射方向の反射強度」は、印刷物に入射し、反射する光のうち、正反射方向に反射する光の強度を示している。つまり、正反射方向の反射強度は、表面保護層の表面、光沢印刷層の表面、及びこれらの層の内部で拡散されることなく、正反射方向に反射された光の強度である。また、正反射方向の反射強度は、表面保護層の表面の平滑箇所、及び光沢印刷層の上部に基材と平行に配列された金属鱗片で正反射された光の強度とも言える。
一方、α、β及びγは、印刷物に入射し、反射する光のうち、拡散反射した光が広がる範囲を示している。より具体的には、αは小さな拡散による反射光が広がる範囲、βは中程度の拡散による反射光が広がる範囲、γは大きな拡散による反射光が広がる範囲を示している。
したがって、α、β及びγ、並びにこれらの差分を示す条件(1)〜(5)を満たすことは、小さな拡散、中程度の拡散、大きな拡散のそれぞれが一定量含まれていることを意味するとともに、拡散が過小又は過度ではないことを意味している。
また、金属光沢面上に過度な拡散要素が存在する場合、金属光沢面の金属光沢が損なわれてしまうが、条件(1)〜(5)を満たす過度ではない拡散であれば、金属光沢の低下を必要最小限に抑えることができる。また、条件(1)〜(5)を満たす過度ではない拡散であれば、印刷物の外観が白化することもない。なお、金属光沢の低下の抑制、及び白化の抑制は、条件(3)及び(5)の上限値が特に効いている。さらに、条件(1)〜(5)の拡散は過小ではないため、正反射方向の反射強度が強すぎることにより、視認者が不快感を受けることを防止できる。
以上のように、条件(1)〜(5)を満たす本発明の印刷物は、光沢印刷層の金属光沢の低下を必要最小限に抑えることにより金属光沢を有し、かつ高級感のある防眩性を付与できる。
条件(2)は、5.5度≦β≦9.0度を満たすことが好ましく、6.0度≦β≦8.0度を満たすことがより好ましい。
条件(3)は、10.5度≦γ≦15.0度を満たすことが好ましく、12.0度≦γ≦14.0度を満たすことがより好ましい。
条件(4)は、1.4度≦β−α≦2.5度を満たすことが好ましく、1.4度≦β−α≦2.2度を満たすことがより好ましい。
条件(5)は、4.5度≦γ−β≦7.5度を満たすことが好ましく、5.0度≦γ−β≦7.0度を満たすことがより好ましい。
なお、印刷物が光沢印刷層と表面保護層との間に絵柄層を有する場合、絵柄の色(より詳しくは絵柄を構成する顔料の種類)により条件(1)〜(5)の値は若干異なるが、黒を除く全ての色の領域で条件(1)〜(5)を満たすことが好ましい。
本発明の印刷物は、印刷物の表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/20の反射強度を示す拡散角度の絶対値をδとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、上記γ、及びδが以下の条件(6)を満たすことが好ましい。
δ−γ≦4.0度 (6)
条件(6)を満たすことにより、光沢印刷層の金属光沢の低下をより抑制しやすくできる。条件(6)は、条件(1)〜(5)を満たす領域と同じ領域において満たすことが好ましい。
なお、条件(6)による効果をより満たしやすくするために、δは19.0度以下であることが好ましく、18.0度以下であることがより好ましく、17.0度以下であることがさらに好ましい。δの下限は14.0度程度である。
まず、印刷物の表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線(平行光線)を照射する。そして、反射した光について、照射光の正反射方向を0度として、正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに受光器を走査して、各角度での強度(光度)を測定する。強度測定の際は光源の明るさを一定とする。また、強度(光度)測定の際は、受光器の絞りにより検出する受光器の開口角を0.1度とする。このため、例えば、0度(正反射)の測定では±0.05度の範囲を測定し、1度の測定では0.95度〜1.05度の範囲を測定し、−1度の測定では−0.95度〜−1.05度の範囲を測定することになる。なお、−45度については、−44.95度〜−45.00度の範囲の測定となり、他の角度よりも測定範囲が0.05度狭くなるが、−45度に達するような大きな拡散は殆ど存在しないことから、条件(1)に影響を与えることはない。
強度を測定する装置については、特に制限はなく、汎用の変角光度計(ゴニオフォトメーター)を用いることができる。本発明においては、変角光度計として、村上色彩技術研究所社製の商品名GP−200(光束径:約10.5mm、光束内傾斜角:0.29度以内)を使用した。
図3〜8は、実施例1、比較例1〜5の印刷物の反射強度の分布を示す図である。
α、β、γ及びδは、上述のように測定した反射強度から算出できる。具体的には、まず、正反射方向(0度)の反射強度(正反射強度)の値を確認する。αを算出する場合は、正反射強度の1/2以下となる測定角度を、プラス方向及びマイナス方向の双方で確認し、該角度の絶対値の平均値をαとする。β、γ及びδは、前記手順の「1/2以下」を、「1/3以下」、「1/10以下」、「1/20以下」に変更すれば算出できる。このように、α、β、γ及びδは、反射強度の実測値から算出できる。なお、反射強度分布図を用いてα、β、γ及びδの概算値を知ることもできる。例えば、図1の場合、正反射強度が約2.3であり、その1/2である反射強度(1.15)を示すプラス方向及びマイナス方向の角度は、それぞれ+5.4、−5.0程度である。そして、これら角度の絶対値の平均の5.2度がαの概算値と読み取ることができる。但し、反射強度分布図から読み取ったα、β、γ及びδは概算値であるため、正確には上述したように実測値からα、β、γ及びδを算出するものとする。
なお、測定角度が0度から大きく離れると、反射強度が漸減することなく上下動する場合がある。この場合、正反射強度の一定割合以下に落ちた後、該割合を越し、再度該割合以下に落ちることがある。このように、正反射強度の一定割合以下となる測定角度が複数観察される場合、該割合以下となる測定角度は、最初に現れる測定角度と、最後に現れる測定角度との中間値とする。
基材の材料は、従来からの印刷物等に用いられている材料であれば特に限定されないが、具体的には、上質紙、中質紙、コート紙、合成紙、含浸紙、ラミネート紙、印刷用塗布紙、記録用塗布紙等の紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、あるいはこれらの複合体等が用いられる。
基材と光沢印刷層との間にはハードコート層を有することが好ましい。基材と光沢印刷層との間にハードコート層を介在させることにより、光沢印刷層の金属光沢を良好にしやすくできる。この理由は以下のように考えられる。なお、光沢印刷層の金属光沢を良好にすることは、本発明の印刷物の金属光沢を良好にすることにつながる。
まず、ハードコート層は光沢印刷層用インキの溶剤を浸透しにくい。このため、ハードコート層上に光沢印刷層用インキを塗布、乾燥する際に、溶剤は、光沢印刷層の下方に流れにくい。その一方で、溶剤は、乾燥過程で溶剤が揮発する際に、光沢印刷層の上方に流れやすくなる。そして、溶剤の流れとともに金属鱗片が光沢印刷層の上方に浮かび上がり、光沢印刷層の上部に金属鱗片が偏在化され、光沢印刷層の金属光沢を良好にできると考えられる。
また、上述した基材は、種類により程度の違いはあるが、表面が荒れている。例えば、紙は繊維に起因して表面が荒れている。このように表面が荒れた基材に光沢印刷層を形成した場合、光沢印刷層の表面も荒れてしまい、金属光沢を良好にすることができないが、ハードコート層により基材表面の荒れを緩和することにより、光沢印刷層の表面が荒れることを抑制して、金属光沢を良好にできると考えられる。
また、基材の表面が傷ついた場合、傷の凹凸が光沢印刷層の表面に反映されることにより、光沢印刷層の金属光沢が低下してしまう。しかし、基材及びハードコート層からなる基体は表面が傷つきにくいため、光沢印刷層の表面に傷による凹凸が反映されることを抑制し、光沢印刷層の金属光沢を良好にできると考えられる。
ハードコート層表面のJIS Z8741:1997の60度における鏡面光沢度は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
なお、カットオフ値は、断面曲線からうねり成分(低周波成分)を除去するフィルターの細かさを示している。より具体的には、断面曲線は、うねり成分(低周波成分)と、粗さ成分(高周波成分)に分けることができ、カットオフ値が小さいほど(フィルターが細かいほど)、低周波成分が除去されて高周波成分の割合が多くなる。このため、Ra0.08HAは、ハードコート層の高周波成分の凹凸を示し、後述するRa0.8HAは、ハードコート層の低周波成分の凹凸を示すことになる。なお、カットオフ値を0.25mmとした中周波成分を加えて、三成分の凹凸で表面形状を管理してもよい。後述する表面保護層の表面凹凸は、三成分の凹凸について言及している。
ハードコート層に高周波成分の凹凸が多く含まれると、ハードコート層の表面積が広がり溶剤が浸透しやすくなるため、光沢印刷層の金属鱗片が上部に偏在化しにくくなり、金属光沢が損なわれすいことから、Ra0.08HAを上記範囲とすることが好適である。
低周波成分の凹凸は、高周波成分の凹凸ほどではないが、ハードコート層の表面積を広げる。このため、Ra0.8HAを上記範囲とすることが好適である。なお、ハードコート層の低周波成分の凹凸が消失すると、光沢印刷層の表面に、ハードコート層の低周波成分の凹凸に起因した凹凸を形成できなくなり、光沢印刷層が過度に平滑化される傾向にある。この場合、最表面の表面保護層も過度に平滑化され、表面保護層の正反射方向の反射光が強くなり過ぎ、視認者に不快感を与える場合がある。このため、Ra0.8HAは、0.100μm以上であることが好ましく、0.200μm以上であることがより好ましい。
また、ハードコート層の低周波成分の凹凸は、表面保護層の低周波成分の凹凸にもつながり、上述したαの調整に寄与し得る。
[Ra0.8HA/Ra0.8BA]>[Ra0.08HA/Ra0.08BA] (a)
ハードコート層のRaと、基材のRaとの比は、ハードコート層が基材の凹凸を緩和する度合いを示している。そして、上記条件(a)は、ハードコート層が、基材の凹凸の低周波成分を緩和する度合いに比べて、高周波成分を緩和する度合いの方が大きいことを示している。
上述したように、ハードコート層の表面積を広げるのは、高周波成分の凹凸の影響が大きい。このため、ハードコート層は、基材の高周波成分の凹凸を緩和することが好ましい。一方、基材の低周波成分の凹凸まで過度に緩和すると、基材の風合いが損なわれてしまうとともに、光沢印刷層の正反射方向の反射光が強くなり過ぎる可能性がある。したがって、基材の凹凸の低周波成分を緩和する度合いに比べて、高周波成分を緩和する度合いの方が大きいことを示す上記条件(a)を満たすことは、大きな意義がある。
1.8≦[Ra0.8HA/Ra0.8BA]/[Ra0.08HA/Ra0.08BA] (b)
条件(b)は、2.2≦[Ra0.8HA/Ra0.8BA]/[Ra0.08HA/Ra0.08BA]≦4.0を満たすことがより好ましく、2.5≦[Ra0.8HA/Ra0.8BA]/[Ra0.08HA/Ra0.08BA]≦3.5を満たすことがさらに好ましい。
さらに、ハードコート層を電離放射線硬化性樹脂組成物から形成する場合、電離放射線の照射によりハードコート層を瞬時に硬化することができるため、ハードコート層の形成過程で、ハードコート層の表面形状が基材の高周波成分の凹凸に追従されることを抑制できる。言い換えると、ハードコート層を電離放射線硬化性樹脂組成物から形成する場合、ハードコート層により基材の高周波成分の凹凸を緩和できる。その一方、ハードコート層が硬化するまでの間(乾燥過程の間)に、ハードコート層の表面形状は基材の低周波成分の凹凸に適度に追従する。つまり、ハードコート層を電離放射線硬化性樹脂組成物から形成する場合、ハードコート層の表面を、高周波成分の凹凸を抑制しつつ、適度な低周波成分の凹凸を有する形状とすることができ、上述した効果(ハードコート層への溶剤の浸透抑制、基材の風合いの維持等)を発揮しやすくできる。
硬化物層を形成するための電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができるが、高い架橋密度により、傷つき防止性及び浸透防止性をより良好にする観点から、モノマーが好適である。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。電離放射線硬化性化合物中には、多官能性(メタ)アクリレートモノマーを50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物中には、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤等の添加剤を含有していてもよい。
なお、電離放射線硬化性樹脂組成物中には、電離放射線硬化性化合物以外の樹脂成分(熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂)を含有してもよい。ただし、上述した効果を達成しやすくするために、電離放射線硬化性樹脂組成物の全樹脂成分に占める電離放射線硬化性化合物の割合が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
クレー層は、クレー及びバインダー樹脂等を含む。
クレーとしては、一般的にクレー、粘土と呼ばれるものであれば、特に限定することなく用いることができ、さらに、カオリン、タルク、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥石、木節粘土、ガイロメ粘土、ハロイサイト等を用いることができる。
クレーコート層中には、顔料分散剤、消泡剤、発泡防止剤、粘度調整剤、潤滑剤、耐水化剤、保水剤、色材、印刷適性改良剤等の添加剤を含有していてもよい。
光沢印刷層は、基材又はハードコート層上に位置する層であり、光沢印刷層用インキを印刷することにより形成される。このように光沢を付与する層を蒸着ではなく印刷により形成することにより、コストを低減するとともに、カールの発生を抑制できる。光沢印刷層は、金属鱗片を偏在化する観点から、ハードコート層上に形成することが好ましく、ハードコート層に接して形成することがより好ましい。
また、光沢印刷層は、図1のように、基材又はハードコート層上の一部の領域に所望のパターンで形成して、文字、数字、図形、記号、風景、人物、動物、キャラクター等の絵柄を形成してもよいし、図2のように、基材又はハードコート層上の全部の領域に形成してもよい。
光沢印刷層中における金属鱗片の偏在領域の厚みの割合[(金属鱗片の偏在領域の厚み/光沢印刷層の全厚み)]は、金属光沢と密着性のバランスの観点から、10〜60%であることが好ましく、20〜50%であることがより好ましく、25〜45%であることがさらに好ましい。
金属鱗片の平均厚み/金属鱗片の平均長さ≦0.010 (7)
[金属鱗片の平均厚み/金属鱗片の平均長さ]を0.010以下とすることにより、光沢印刷層用インキを塗布した時点で、光沢印刷層の水平方向(光沢印刷層の厚み方向と直交する方向)に対して金属鱗片が傾きにくくなる。このため、光沢印刷の乾燥過程で溶剤が光沢印刷層の上方に流れる際に、金属鱗片が溶剤の流れの力を受けやすくなり、光沢印刷層の上部に金属鱗片が偏在化しやすくなるとともに、金属鱗片が平行に配列しやすくなるため、金属光沢を良好にしやすくできる。また、金属鱗片が傾くことによる弊害は、金属鱗片の含有量の増加に併せて増加するが、上記条件(7)を満たす場合、金属鱗片が傾きにくいことから金属鱗片の含有量を多くすることができ、金属光沢を良好にしやすくできる。
なお、金属鱗片の平均長さに対して金属鱗片の平均厚みが薄くなり過ぎると、取り扱い性が困難となったり、十分な金属光沢が発現できない可能性がある。
このため、条件(7)は、0.001≦金属鱗片の平均厚み/金属鱗片の平均長さ≦0.010を満たすことが好ましく、0.002≦金属鱗片の平均厚み/金属鱗片の平均長さ≦0.008を満たすことがより好ましく、0.002≦金属鱗片の平均厚み/金属鱗片の平均長さ≦0.005を満たすことがさらに好ましい。
10≦金属鱗片の平均長さ/光沢印刷層の厚み (8)
なお、[金属鱗片の平均長さ/光沢印刷層の厚み]が大きすぎると、光沢印刷層の表面から金属鱗片が突出する場合があることから、条件(8)は、12≦金属鱗片の平均長さ/光沢印刷層の厚み≦60を満たすことがより好ましく、14≦金属鱗片の平均長さ/光沢印刷層の厚み≦50を満たすことがさらに好ましい。
金属鱗片は、例えば、前記金属や合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着してなる金属薄膜をプラスチックフィルムから剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、攪拌することにより得ることができる。
また、金属鱗片の平均厚みは、金属鱗片の偏在及び配列の観点から、0.10μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましく、0.06μm以下であることがさらに好ましい。また、金属鱗片の平均厚みは、取り扱い性及び高い光沢の観点から、0.01μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることがより好ましい。
レーザ干渉式の三次元形状解析装置としては、例えば、キーエンス社製の商品名「形状解析レーザ顕微鏡 VK−Xシリーズ」が挙げられる。
バインダー樹脂としては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。また、バインダー樹脂として、上述した紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物を用いてもよい。
なお、光沢印刷層の厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。測定する膜厚がμmオーダーの場合、SEMを用いることが好ましく、nmオーダーの場合、TEM又はSTEMを用いることが好ましい。SEMの場合、加速電圧は1kv〜10kV、倍率は1000〜7000倍とすることが好ましく、TEM又はSTEMの場合、加速電圧は10kv〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
光沢印刷層以外の層の厚みも上記と同様の手法で測定できる。
光沢印刷層用インキは、金属鱗片の偏在及び乾燥効率の両立の観点から、全固形分100質量部に対して、溶剤を600〜1100質量部含有することが好ましい。
ハードコート層の樹脂組成により溶剤の浸透性が異なるため、好適な溶剤の種類は一概には言えないが、例えば、酢酸エチル、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、酢酸ノルマルプロピル(NPAC)やこれらを混合したもの等を用いることができる。
本発明の印刷物は、印刷物の意匠性を高めることを目的として、基材と前記表面保護層との間の任意の箇所に絵柄層を有することが好ましい。例えば、絵柄層は、光沢印刷層上及び/又は基材上の光沢印刷層が形成されていない部分の任意の箇所に形成できる。
絵柄層は印刷等で形成される。絵柄層は、通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成できる他、絵柄を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成できる。絵柄層の絵柄は、通常の印刷で用いられる絵柄(例えば、文字、数字、図形、記号、風景、人物、動物、キャラクター等)であれば、特に制限されることなく使用できる。
バインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
本発明の印刷物は、光沢印刷層を有する側の最表面に表面保護層を有する。最表面に表面保護層を形成することにより、印刷物の耐擦傷性及び耐候性を向上することができる。当該効果のため、表面保護層は、光沢印刷層及び必要に応じて設ける絵柄層の全領域を覆うように形成することが好ましい。また、ハードコート層を有する場合には、さらにハードコート層の全領域を覆うように表面保護層を形成することがより好ましい。
表面保護層は、樹脂成分と、必要に応じて添加される粒子等を含む表面保護層用インキ塗布し、必要に応じて乾燥、硬化することにより形成できる。
具体的には、表面保護層は、以下の表面形状を有することが好ましい。
0.50≦(Ra0.8−Ra0.25)/(Ra0.25−Ra0.08)≦1.50 (c)
0.10μm≦Ra0.25≦0.50μm (d)
条件(d)は、0.15μm≦Ra0.25≦0.45μmを満たすことがより好ましく、0.20μm≦Ra0.25≦0.40μmを満たすことがさらに好ましい。
表面保護層の表面のRa0.8は、0.60μm以下であることが好ましく、0.55μm以下であることがより好ましく、0.50μm以下であることがさらに好ましい。表面保護層の表面のRa0.8の下限は、0.30μm程度である。
1.00≦(Rv0.8−Rv0.25)/(Rv0.25−Rv0.08)≦2.00 (e)
0.50μm≦Rv0.25≦1.00μm (f)
条件(f)は、0.55μm≦Rv0.25≦0.90μmを満たすことがより好ましく、0.60μm≦Rv0.25≦0.80μmを満たすことがさらに好ましい。
表面保護層の表面のRv0.8は、2.00μm以下であることが好ましく、1.80μm以下であることがより好ましく、1.50μm以下であることがさらに好ましい。表面保護層の表面のRv0.8の下限は、1.00μm程度である。
熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂は、表面保護層用インキの全樹脂成分の5〜60質量%含まれることが好ましく、10〜30質量%含まれることがより好ましい。なお、印刷物の耐擦傷性及び耐候性をより良好にする観点からは、表面保護層用インキの全樹脂成分の残分は、紫外線硬化性化合物とすることが好ましい。
熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂は、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の汎用の樹脂を用いることができる。紫外線硬化性化合物は、硬化物層において例示したものと同様のものを用いることができる。
内部へイズは、表面保護層を構成する材料間の屈折率差により発現させることができる。例えば、表面保護層が樹脂成分及び粒子を含む場合に、樹脂成分の屈折率と、粒子の屈折率を異なるものとすれば、内部へイズを発現できる。また、相溶性が悪く、かつ屈折率の異なる樹脂をブレンドし、表面保護層内で樹脂同士を相分離させることによっても内部へイズを発現できる。
内部へイズを発現する観点からは、樹脂成分との屈折率差が0.01〜0.10の粒子を選択することが好ましい。
粒子の含有量は、表面保護層の全固形分の2〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
表面保護層中には、耐候性を向上するために、紫外線吸収剤及び/又は光安定剤を含むことが好ましい。
本発明の容器は、上述した本発明の印刷物を用いてなるものである。
容器としては、特に制限されることなく、飲料容器、食品容器等が挙げられる。本発明の容器は、優れた光沢感があり、意匠性に優れるものである。また、印刷物のカールが抑制されているため、容器の製造過程で、カールを原因としたトラブルを生じることを防止できる。
本発明の印刷物の製造方法は、基材上の任意の箇所に、光沢印刷層を形成し、さらに該光沢印刷層を有する側の最表面に表面保護層を形成する印刷物の製造方法であって、
金属鱗片を含む光沢印刷層用インキから該光沢印刷層を形成する工程、表面保護層用インキから該表面保護層を形成する工程を行うことにより、
表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、該α、β及びγが以下の条件(1)〜(5)を満たすようにするものである。
4.0度≦α≦6.0度 (1)
5.5度≦β≦10.0度 (2)
9.5度≦γ≦15.0度 (3)
1.2度≦β−α≦2.5度 (4)
4.0度≦γ−β≦8.0度 (5)
防眩性を有するのに反射強度が急変する箇所が生じる理由は、正反射強度の値は、小さな拡散さえ含まれていれば、中程度の拡散や大きな拡散を含まなくてもある程度小さくなるためである。
一方、本発明の条件(1)〜(5)は、上述したように、小さな拡散、中程度の拡散、及び大きな拡散が一定量含むことを意味している。したがって、本発明の製造方法により製造された印刷物は、印刷物を手に持って様々な角度から観察しても、反射強度が急変する角度がなく、違和感を受けることのない、高級感のある防眩性を付与できる。
また、条件(1)〜(5)の拡散は、拡散が過度ではないことから、光沢印刷層の金属光沢の低下を必要最小限に抑えることができる。このため、本発明の製造方法により製造された印刷物は、金属光沢を有している。
さらに、本発明の製造方法によれば、上記効果を備え、高品質に標準化された印刷物を簡易かつ安定して製造することができる。
なお、意匠性を良好にするために、光沢印刷層を形成した後に、絵柄層を形成することが好ましい。
本発明の印刷物の選択方法は、基材上の任意の箇所に、金属鱗片を含む光沢印刷層を有し、さらに該光沢印刷層を有する側の最表面に表面保護層を有してなる印刷物を選択する際に、
表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、該α、β及びγが以下の条件(1)〜(5)を満たすことを判定条件とするものである。
4.0度≦α≦6.0度 (1)
5.5度≦β≦10.0度 (2)
9.5度≦γ≦15.0度 (3)
1.2度≦β−α≦2.5度 (4)
4.0度≦γ−β≦8.0度 (5)
実施例及び比較例で作製した印刷物について、以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。
1−1.反射強度分布
変角光度計(村上色彩技術研究所社製、商品名GP−200)を用いて、印刷物の最表面に向けて、法線から45度の角度で可視光線(平行光線)を照射した。反射した光について、照射光の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに受光器を走査して、各角度での強度(光度)を測定した。強度(光度)測定の際は、受光器の絞りにより検出する受光器の開口角を0.1度とした。測定結果から、α、β、γ及びδを算出した。
JIS Z8741:1997に従って、測定器としてBYK Gardner社のmicro−TRI−glossを用いて、実施例1〜4及び比較例1〜6の印刷物、あるいは該印刷物の中間体の光沢印刷層又は蒸着膜の60度鏡面光沢度を測定した。
実施例1〜4及び比較例1〜6の印刷物について、カットオフ値を0.08mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さRa及びRv、カットオフ値を0.25mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さRa及びRv、並びに、カットオフ値を0.8mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さRa及びRvを測定した。なお、Ra及びRvの測定は、小坂研究所株式会社製の商品名SE−340を用い、以下の測定条件とした。
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・評価長さ(基準長さ):カットオフ値λcの5倍
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
比較例1の印刷物をリファレンスとして、実施例1〜4及び比較例2〜6の印刷物の金属光沢を目視で評価した。その結果、リファレンスと同等の金属光沢を感じるものを「A」、リファレンスには劣るが金属光沢を感じるものを「B」、金属光沢を感じないものを「C」とした。
実施例1〜4及び比較例1〜6の印刷物を手に持ち、蛍光灯の照明下で様々な角度に振り、角度ごとの防眩性を目視で評価した。その結果、全角度で優れた防眩性を有し、かつ角度ごとの防眩性の違いが感じらないものを「A」、一定の防眩性は感じられるが、角度ごとの防眩性に違いを感じるものを「B」、防眩性をほとんど有さないものを「C」とした。
実施例1〜4及び比較例1〜6の印刷物について、JAPAN TAPPI No.15−1の「カール深さ測定法」に基づき、温度25℃、湿度75%RHの条件でカール深さを測定した。
[実施例1]
基材(坪量235g/m2の片面アイボリー紙)のコート面側の全面に、下記処方のハードコート層用インキ1を乾燥後の厚みが6μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、ハードコート層(電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物層)を形成した。
次いで、ハードコート層の全面に、下記処方の光沢印刷層用インキ2を乾燥後の厚みが0.50μmとなるように塗布、乾燥して、光沢印刷層を形成した。光沢印刷層の金属鱗片が実質的に存在しない領域の厚みは0.30μm、金属鱗片偏在領域の厚みは0.20μmであった。
次いで、光沢印刷層上の任意の箇所に、オフセット印刷により紺色絵柄層を形成した。次いで、絵柄層及び光沢印刷層の全面を覆うように、下記処方の表面保護層用インキ3を乾燥後の厚みが1.0μmとなるように塗布、紫外線照射して、表面保護層を形成し、実施例1の印刷物を得た。
・電離放射線硬化性化合物 70部
(BASFジャパン社製、商品名:Lumogen OVD Primer301)
(2官能アクリレートモノマーと
3官能アクリレートモノマーとの混合物)
・溶剤(酢酸エチル) 30部
・バインダー樹脂(硝化綿) 4.8部
(DICグラフィックス社製)
(商品名:XS−763メジュームNT−No.1)
・アルミニウム鱗片 7.2部
(平均長さ14μm、平均厚さ0.04μm)
・溶剤(酢酸エチル、IPA、エタノール、NPAC) 88部
・紫外線硬化性樹脂組成物
(DICグラフィックス社製、商品名:UVカルトン ACT OPニス)
(主成分として、紫外線硬化性モノマー55〜65質量%、合成樹脂10〜20質量%、粒子5〜15質量%、助剤5〜15質量%を含む混合物)
また、実施例1において、ハードコート層表面のカットオフ値を0.08mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaは0.026μmであった。また、ハードコート層表面のカットオフ値を0.8mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaは0.305μmであった。
また、実施例1において、光沢印刷層表面のカットオフ値を0.08mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaは0.036μmであった。また、光沢印刷層表面のカットオフ値を0.8mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaは0.359μmであった。
光沢印刷層用インキ2を乾燥後の厚みが0.35μmとなるように塗布、乾燥して、光沢印刷層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の印刷物を得た。
光沢印刷層用インキ2を乾燥後の厚みが0.70μmとなるように塗布、乾燥して、光沢印刷層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の印刷物を得た。
光沢印刷層用インキ2を乾燥後の厚みが1.00μmとなるように塗布、乾燥して、光沢印刷層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の印刷物を得た。
光沢印刷層上に絵柄層及び表面保護層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の印刷物を得た。
絵柄層上に表面保護層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の印刷物を得た。
表面保護層用インキ3を下記の表面保護層用インキ4に変更し、表面保護層の形成時に乾燥工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例3の印刷物を得た。
・紫外線硬化性化合物 100部
(DICグラフィックス社製、商品名:UV低臭コートニスS)
・溶剤 0部
厚み12μmの二軸延伸PETフィルム上に、厚み50nmのアルミニウム蒸着膜を有する蒸着フィルムを準備した。次いで、基材(坪量235g/m2の片面アイボリー紙)のコート面側の面と、蒸着フィルムのPETフィルム側の面とを、サンドラミネート法を用いて低密度ポリエチレン(LDPE)を厚みが15μmとなるように押し出しながら貼り合わせ、ラミネート基材を得た。
次いで、ラミネーと基材の蒸着膜上に、実施例1と同様の手法で紺色絵柄層を形成した。次いで、絵柄層及び蒸着膜の全面を覆うように、下記処方の表面保護層用インキ5を乾燥後の厚みが1.0μmとなるように塗布、乾燥して、表面保護層を形成し、比較例4の印刷物を得た。
・熱硬化性樹脂 70部
(DICグラフィックス社製、商品名:ディックセーフG−310 OPニス)
・溶剤(水/IPA=2/8) 30部
基材(坪量235g/m2の片面アイボリー紙)のコート面側の全面に、下記処方の光沢印刷層用インキ6を乾燥後の厚みが1.5μmとなるように塗布、乾燥して光沢印刷層を形成した。次いで、光沢印刷層上に、実施例1と同様の手法で紺色絵柄層を形成した。次いで、絵柄層及び光沢印刷層の全面を覆うように、下記処方の表面保護層用インキ7を乾燥後の厚みが1.0μmとなるように塗布、紫外線照射して、表面保護層を形成し、比較例5の印刷物を得た。
・バインダー樹脂(硝化綿) 6部
(DICグラフィックス社製)
(商品名:XS−763メジュームNT−No.1)
・アルミニウム片 6部
(東洋アルミ社製、商品名:TD−180T)
(平均長さ15μm、平均厚み0.2μm超)
・溶剤(酢酸エチル、IPA、エタノール、NPAC) 88部
・紫外線硬化性樹脂組成物
(東洋インキ社製、商品名:FD OLP多色OPニス M1−ロ)
(主成分として、紫外線硬化性モノマー35〜45質量%、合成樹脂35〜45質量%、粒子1〜10質量%、助剤5〜15質量%を含む混合物)
基材(坪量235g/m2の片面アイボリー紙)のコート面側の全面に、溶融押出法を用いて低密度ポリエチレン(LDPE)を厚みが15μmとなるように押し出して、熱可塑性樹脂層を形成した。
次いで、熱可塑性樹脂層の全面に、上記処方の光沢印刷層用インキ2を乾燥後の厚みが0.70μmとなるように塗布、乾燥して、光沢印刷層を形成した。
次いで、光沢印刷層上の任意の箇所に、オフセット印刷により黄色絵柄層を形成した。次いで、絵柄層及び光沢印刷層の全面を覆うように、上記処方の表面保護層用インキ3を乾燥後の厚みが1.0μmとなるように塗布、紫外線照射して、表面保護層(無溶剤型の紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物層)を形成し、比較例6の印刷物を得た。
2:ハードコート層
3:光沢印刷層
31:金属鱗片偏在領域
4:絵柄層
5:表面保護層
10:印刷物
Claims (15)
- 基材上の任意の箇所に光沢印刷層を有し、さらに該光沢印刷層を有する側の最表面に表面保護層を有してなる印刷物であって、該光沢印刷層は金属鱗片を含み、該印刷物の表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、該α、β及びγが以下の条件(1)〜(5)を満たす印刷物。
4.0度≦α≦6.0度 (1)
5.5度≦β≦10.0度 (2)
9.5度≦γ≦15.0度 (3)
1.2度≦β−α≦2.5度 (4)
4.0度≦γ−β≦8.0度 (5) - 印刷物の表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/20の反射強度を示す拡散角度の絶対値をδとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、前記γ、及びδが以下の条件(6)を満たす請求項1に記載の印刷物。
δ−γ≦4.0度 (6) - 前記金属鱗片の平均長さと平均厚みとが、以下の条件(7)を満たす請求項1又は2に記載の印刷物。
金属鱗片の平均厚み/金属鱗片の平均長さ≦0.010 (7) - 前記金属鱗片の平均厚みと、前記光沢印刷層の厚みとが、以下の条件(8)を満たす請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷物。
10≦[金属鱗片の平均長さ/光沢印刷層の厚み] (8) - 前記金属鱗片の平均長さが5.0〜30.0μmである請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷物。
- 前記金属鱗片の平均厚みが0.10μm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷物。
- 前記光沢印刷層の厚みが0.15〜1.50μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の印刷物。
- 前記光沢印刷層により絵柄が形成されてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷物。
- 前記基材と前記光沢印刷層との間にハードコート層を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の印刷物。
- 前記ハードコート層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物層である請求項9に記載の印刷物。
- 前記基材が紙基材である請求項1〜10のいずれか1項に記載の印刷物。
- 前記基材と前記表面保護層との間の任意の箇所に、絵柄層を有してなる請求項1〜11のいずれか1項に記載の印刷物。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の印刷物を用いてなる容器。
- 基材上の任意の箇所に、光沢印刷層を形成し、さらに該光沢印刷層を有する側の最表面に表面保護層を形成する印刷物の製造方法であって、
金属鱗片を含む光沢印刷層用インキから該光沢印刷層を形成する工程、表面保護層用インキから該表面保護層を形成する工程を行うことにより、
表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、該α、β及びγが以下の条件(1)〜(5)を満たすようにする、印刷物の製造方法。
4.0度≦α≦6.0度 (1)
5.5度≦β≦10.0度 (2)
9.5度≦γ≦15.0度 (3)
1.2度≦β−α≦2.5度 (4)
4.0度≦γ−β≦8.0度 (5) - 基材上の任意の箇所に、金属鱗片を含む光沢印刷層を有し、さらに該光沢印刷層を有する側の最表面に表面保護層を有してなる印刷物を選択する際に、
表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して−45度〜+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、該α、β及びγが以下の条件(1)〜(5)を満たすことを判定条件とする、印刷物の選択方法。
4.0度≦α≦6.0度 (1)
5.5度≦β≦10.0度 (2)
9.5度≦γ≦15.0度 (3)
1.2度≦β−α≦2.5度 (4)
4.0度≦γ−β≦8.0度 (5)
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