JP2018030355A - 印刷物、印刷物を用いた容器及び印刷物の選別方法 - Google Patents

印刷物、印刷物を用いた容器及び印刷物の選別方法 Download PDF

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淳子 河合
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さや香 隅谷
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Abstract

【課題】自然な風合い及び高級感に優れた印刷物及び容器を提供する。【解決手段】基材上の任意の箇所に絵柄層を有する印刷物であって、前記印刷物は、前記基材の前記絵柄層を有する側の任意の箇所に表面保護層を有し、前記表面保護層のうち前記印刷物の最表面に位置する表面保護層が下記の条件1−1及び1−2を満たす、印刷物。<条件1−1>JIS Z8741:1997の、60度における鏡面光沢度G60の平均が6.0〜15.0%。<条件1−2>前記G60のバラツキが0.8%以上。【選択図】図1

Description

本発明は、印刷物、印刷物を用いた容器及び印刷物の選別方法に関する。
各種の印刷物では、高級感が求められる場合がある。高級感を付与するために、例えば、鏡面光沢度を高くする設計が行われている。
例えば、特許文献1では、金属光沢層を形成することにより、印刷物に高級感を付与している。
一方、近年、各種の印刷物として、自然な風合いを意識した印刷物も増え始めている。このような自然な風合いを意識した印刷物が増え始めた背景としては、環境への関心の高まりや、食品に対する安全志向の高まりなどが考えられる。
例えば、特許文献2では、自然なゆらぎをもち、しかも繰り返し模様を連続的に配置した印刷物が提案されている。
特開2003−2322号公報 特開平8−16794号公報
特許文献1の印刷物は高級感には優れるものの、自然な風合いについては全く検討されていない。
また、特許文献2の印刷物は、自然なゆらぎを意識した絵柄によって一定レベルの自然な風合いは付与されているが、天然物と比較した際の自然な風合いは不十分であった。
本発明は、自然な風合い及び高級感に優れた印刷物、印刷物を用いた容器、及び印刷物の選別方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の[1]〜[3]の印刷物、印刷物を用いた容器及び印刷物の選別方法を提供する。
[1]基材上の任意の箇所に絵柄層を有する印刷物であって、前記印刷物は、前記基材の前記絵柄層を有する側の任意の箇所に表面保護層を有し、前記表面保護層のうち前記印刷物の最表面に位置する表面保護層が下記の条件1−1及び1−2を満たす、印刷物。
<条件1−1>
JIS Z8741:1997の、60度における鏡面光沢度G60の平均が6.0〜15.0%。
<条件1−2>
前記G60のバラツキが0.8%以上。
[2]上記[1]に記載の印刷物を用いてなる容器。
[3]基材上の任意の箇所に絵柄層を有し、前記基材の前記絵柄層を有する側の任意の箇所に表面保護層を有する印刷物として、前記表面保護層のうち前記印刷物の最表面に位置する表面保護層が上記の条件1−1及び1−2を満たすか否かを判定し、満たすものを選別する、印刷物の選別方法。
本発明の印刷物及び容器は、自然な風合い及び高級感に優れ、意匠性に極めて優れるものである。また、本発明の印刷物の選別方法によれば、自然な風合い及び高級感を兼ね備えた印刷物を正確に選択することができる。
本発明の印刷物の一実施形態を示す断面図である。 本発明の印刷物の他の実施形態を示す断面図である。
[印刷物]
本発明の印刷物は、基材上の任意の箇所に絵柄層を有する印刷物であって、前記印刷物は、前記基材の前記絵柄層を有する側の任意の箇所に表面保護層を有し、前記表面保護層のうち前記印刷物の最表面に位置する表面保護層が下記の条件1−1及び1−2を満たすものである。
<条件1−1>
JIS Z8741:1997の、60度における鏡面光沢度G60の平均が6.0〜15.0%。
<条件1−2>
前記G60のバラツキが0.8%以上。
以下、本発明の印刷物の実施の形態について説明する。
図1及び図2は、本発明の印刷物100の一実施形態を示す断面図である。図1及び図2の印刷物100は、基材10の任意の箇所に絵柄層20を有している。図2の印刷物100の絵柄層20は、第1絵柄層21、第2絵柄層22、第3絵柄層の3層構造になっている。また、図1及び図2の印刷物100は、基材10の絵柄層20を有する側の任意の箇所に表面保護層30を有している。また、図1及び図2の印刷物100は、表面保護層30上の任意の箇所に金属光沢層40を有している。
(基材)
基材の材料は、従来からの印刷物等に用いられている材料であれば特に限定されないが、上質紙、中質紙、クラフト紙、コート紙、合成紙、含浸紙、ラミネート紙、印刷用塗布紙及び記録用塗布紙等の紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム及びポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、あるいはこれらの複合体等が挙げられる。
これら基材の中でも、紙は、自然な風合い及び素朴な質感を出しやすくなる点で好ましい。
なお、本明細書において「自然な風合い」とは、印刷物を様々な角度から観察した際に、天然物のような光沢のゆらぎを有するものを意味する。また、本明細書において「素朴な質感」とは、表面が適度に荒れていて、人間の手が過度に加わっていない印象を与える質感を意味する。
基材の厚みは特に限定されないが、紙の場合は、通常は坪量150〜550g/m程度であり、プラスチックフィルムの場合は、通常は9〜50μm程度である。
また、表面保護層上の粗さが条件1−1及び条件1−2等を満たしやすくするために、基材としては、表面形状が以下の範囲を有するものを用いることが好ましい。基材の表裏で表面形状が異なる場合、少なくとも一方の表面形状が以下の範囲であることが好ましい。
(基材の表面形状)
基材の表面形状は、カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大谷深さRvのバラツキが0.5〜1.5μmであることが好ましく、0.6〜1.4μmであることがより好ましく、0.7〜1.3μmであることがさらに好ましい。
基材のRvのバラツキを0.5μm以上とすることにより、条件1−2を満たしやすくすることができ、自然な風合いを優れたものとしやすくできる。また、基材のRvのバラツキを1.5μm以下とすることにより、光沢度の過剰なバラツキを抑制し、優れた高級感を得やすくできる。
また、基材の表面形状は、カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大谷深さRvが6.0〜15.0μmであることが好ましく、8.0〜12.0μmであることがより好ましく、9.0〜11.0μmであることがさらに好ましい。
基材のRvを6.0μm以上とすることにより、条件1−2を満たしやすくすることができ、優れた自然な風合いを得やすくできる。また、基材のRvを6.0μm以上とすることにより、条件1−1のG60の平均を15.0%以下にしやすくすることができるとともに、絵柄が均質になり過ぎることを抑制し、自然な風合い及び素朴な質感を得やすくできる。また、基材のRvを15.0μm以下とすることにより、条件1−1のG60の平均を6.0%以上にしやすくすることができるとともに、絵柄に抜けが生じることを抑制し、高級感を得やすくできる。
また、基材のRvを上記範囲とすることにより、後述する条件2−2を満たしやすくすることができる。
また、基材の表面形状は、カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaが1.7〜3.3μmであることが好ましく、2.0〜3.0μmであることがより好ましく、2.2〜2.7μmであることがさらに好ましい。
基材のRaを1.7μm以上とすることにより、条件1−1のG60の平均を15.0%以下にしやすくすることができ、自然な風合い及び素朴な質感を得やすくできる。また、基材のRaを3.3μm以下とすることにより、条件1−1のG60の平均を6.0%以上にしやすくすることができ、高級感を得やすくできる。
また、基材のRaを上記範囲とすることにより、後述する条件2−3を満たしやすくすることができる。
また、基材の表面形状は、カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の最大高さ粗さRzが11.0〜20.0μmであることが好ましく、13.0〜20.0μmであることがより好ましく、15.0〜19.0μmであることがさらに好ましい。
基材のRzを11.0μm以上とすることにより、絵柄が均質になり過ぎることによって絵柄が人工的に感じられてしまうことを抑制し、自然な風合い及び素朴な質感を得やすくできる。また、基材のRzを20.0μm以下とすることにより、絵柄の均質性の低下を抑制し、高級感を高めやすくできる。
また、基材のRzを上記範囲とすることにより、後述する条件2−4を満たしやすくすることができる。
(絵柄層)
絵柄層は、印刷物の意匠性を高めることを目的として、基材上の任意の箇所に形成される。
絵柄層は、例えば印刷により形成することができる。絵柄層は、図1のように単層であってもよいが、図2のように、2以上の層から形成されるものであってもよい。
絵柄層は、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックのプロセスカラーによる多色印刷によって形成できる他、絵柄を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成できる。
絵柄層の絵柄は、木目調、コルク調、繊維調、文字、数字、図形、記号、風景、人物、動物、キャラクター等の通常の印刷で用いられる絵柄であれば、特に制限されることなく使用できる。これらの中でも、自然な風合いを高めるため、木目調、コルク調、繊維調等の天然素材を表現した絵柄が好ましい。また、意匠性を高めるために、天然素材を表現した絵柄と、その他の絵柄とを組み合わせることがより好ましい。
印刷物を平面方向から観察した場合、天然素材を表現した絵柄が、面積基準で50%以上に形成されていることが好ましい。また、印刷物を平面方向から観察した場合、その他の絵柄が形成されている箇所以外の箇所は、全て天然素材を表現した絵柄から形成されていることが好ましい。
天然素材に由来する絵柄と、その他の絵柄とを組み合わせる場合、例えば、下方に位置する絵柄層(図2の場合、第1絵柄層及び第2絵柄層)により天然素材に由来する絵柄を形成し、上方に位置する絵柄層(図2の場合、第3絵柄層)でその他の絵柄を形成する手段が挙げられる。
絵柄層の形成に用いられるインキとしては、バインダー樹脂に顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
バインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄層の厚みは、0.1〜5.0μmとすることが好ましく、0.5〜4.5μmとすることが好ましく、1.0〜4.0μmとすることがさらに好ましい。絵柄層が2以上の層から形成される場合、各絵柄層の厚みの合計が前記範囲であることが好ましい。
絵柄層の厚みを0.1μm以上とすることにより、絵柄による意匠性を良好にしやすくできる。また、絵柄層の厚みを5.0μm以下とすることにより、人工的な風合いが増すことを抑制し、印刷物の自然な風合い及び素朴な質感が低下することを抑制しやすくできる。
絵柄層中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有しても良い。
絵柄層は、絵柄層を構成する各成分を含む絵柄層形成用インキを調製し、該インキを塗布し、必要に応じて乾燥、硬化することにより形成できる。絵柄層形成用インキは無溶剤であることが好ましい。絵柄層形成用インキが無溶剤であることが好ましい理由は、後述する表面保護層形成用インキが無溶剤であることが好ましい理由と同様である。
絵柄層を塗布する手段としては、オフセット印刷、フレキソ印刷が好ましく、オフセット印刷がより好ましい。
(表面保護層)
本発明の印刷物は、基材の絵柄層を有する側の任意の箇所に表面保護層を有する。
表面保護層は、主として、印刷物の鏡面光沢度を調整したり、印刷物の耐擦傷性及び耐候性を向上したり、絵柄層を保護したりする役割を有する。当該役割を効果的に果たすため、図1及び図2に示すように、表面保護層30は、基材10の絵柄層20を有する側の全領域を覆うように形成することが好ましい。
また、本発明の印刷物は、表面保護層のうち印刷物の最表面に位置する表面保護層が下記の条件1−1及び条件1−2を満たすことを要する。
<条件1−1>
JIS Z8741:1997の、60度における鏡面光沢度G60の平均が6.0〜15.0%。
<条件1−2>
前記G60のバラツキが0.8%以上。
60の平均が6.0%未満であり条件1−1を満たさない場合、光沢が不足して、印刷物の高級感を優れたものとすることができない。また、G60の平均が15.0%を超えて条件1−1を満たさない場合、光沢が高すぎることにより、印刷物の自然な風合いを優れたものとすることができない。
条件1−1において、G60の平均は、6.5〜13.0%であることが好ましく、7.0〜12.0%であることがより好ましく、8.0〜10.0%であることがさらに好ましい。
60のバラツキが0.8%未満であり条件1−2を満たさない場合、天然物に特有の光沢のゆらぎが再現されておらず、自然物の風合いが不十分となる。
一方、G60のバラツキが大きすぎる場合、部分的に欠陥を有するような印象を与え、高級感が不十分となる場合がある。このため、条件1−2において、G60のバラツキは、0.8〜3.0%であることが好ましく、0.8〜2.5%であることがより好ましく、0.8〜2.0%であることがさらに好ましい。
なお、自然な風合いを規定する手段として、表面形状による規定も考えられる。しかし、表面形状を規定するJIS B0601では、触針式の表面形状測定器より表面形状を測定することを規定しており、触針の先端半径は最小でも2μmであるため(JIS B0601で準用するJIS B0633)、触針が入り込めないような微細な凹凸(高周波の凹凸)を正確に測定することができない。
そこで、本発明では、微細な表面形状を間接的に表すことができる鏡面光沢度に着目し、鏡面光沢度により自然な風合いを表現している。
また、鏡面光沢度として「60度における鏡面光沢度」を採用した理由は以下の通りである。
物品の表面凹凸は、傾斜角の小さい低周波の凹凸に対して、傾斜角が中程度の中周波の凹凸が重なり、さらに、傾斜角の大きい高周波の凹凸が重なることにより形成されている。そして、一般的な物品の表面凹凸を形成する割合は、低周波の凹凸が最も多く、次いで中周波の凹凸、次いで高周波の凹凸である。したがって、傾斜角分布を−90度〜+90度として傾斜角分布図を描くと、0度を最大値として、徐々に割合が低下していく正規分布(ガウシアン分布)曲線となる。
傾斜角と物品の見え方との関係は、傾斜角の小さい面が多い場合、鏡面光沢度は上昇して高級感は得られやすいが、人工的な印象を受けて自然な風合いが低下しやすい。一方、傾斜角の大きい面が多い場合、自然な風合いは良好となりやすいが、高級感が低下しやすい。
鏡面光沢度の測定光の入射角度をθ度としたとき、(90−θ)度以上の傾斜面には測定光が入射しない。即ち、JIS Z8741で規定する75度及び85度の鏡面光沢度は、測定値に反映されていない傾斜面の割合が多くなり過ぎるため、これらのパラメータ単独で自然な風合い及び高級感を表すのは適切ではないと考えられる。一方、JIS Z8741で規定する20度及び45度の鏡面光沢度は、測定値に反映される傾斜面の割合が多くなり過ぎてしまい、測定値に占める傾斜角の大きい面の寄与度が小さくなるため、これらのパラメータ単独で自然な風合いを表すのは適切ではないと考えられる。
以上の理由から、本発明では、60度における鏡面光沢度を採用している。
本明細書において、60度鏡面光沢度G60は、9箇所の測定の平均値を意味するものとする。また、60度鏡面光沢度G60のバラツキは、9箇所の測定値のバラツキを意味するものとする。60度鏡面光沢度G60を測定する9つの箇所は、任意の箇所を中心測定箇所として設定し、該中心測定箇所から幅方向の左右にそれぞれ2箇所、流れ方向の上下にそれぞれ2箇所とすることが好ましい。その際、各測定箇所の間隔は任意である。
なお、印刷物が後述する金属光沢層を有する場合、60度鏡面光沢度G60は、金属光沢層を有さない箇所で測定するものとする。
また、本発明の印刷物は、表面保護層のうち印刷物の最表面に位置する表面保護層が、さらに下記の条件2−1を満たすことが好ましい。
<条件2−1>
カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大谷深さRvのバラツキが0.5〜2.5μm。
条件2−1においてRvのバラツキを0.5μm以上とすることにより、条件1−2を満たしやすくすることができ、優れた自然な風合いを得やすくできる。また、Rvのバラツキを2.5μm以下とすることにより、光沢度の過剰なバラツキを抑制し、優れた高級感を得やすくできる。
条件2−1において、Rvのバラツキは、0.6〜2.3μmであることがより好ましく、0.7〜2.2μmであることがさらに好ましい。
また、本発明の印刷物は、表面保護層のうち印刷物の最表面に位置する表面保護層が、さらに下記の条件2−2を満たすことが好ましい。
<条件2−2>
カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大谷深さRvが6.0〜15.0μm。
条件2−2において、Rvを6.0μm以上とすることにより、印刷物の見え方が均質になり過ぎることを抑制し、印刷物全体に自然な風合い及び素朴な質感を付与しやすくできる。また、Rvを15.0μm以下とすることにより、印刷物が局所的に欠陥を有するような印象を与えることを抑制し、印刷物の高級感をより高めることができる。
条件2−2において、Rvは8.0〜12.0μmであることがより好ましく、9.0〜11.0μmであることがさらに好ましい。
また、本発明の印刷物は、表面保護層のうち印刷物の最表面に位置する表面保護層が、さらに下記の条件2−3及び/又は条件2−4を満たすことが好ましい。
<条件2−3>
カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaが1.5〜3.0μm。
<条件2−4>
カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の最大高さRzが10.0〜18.0μm。
条件2−3において、Raを1.5μm以上とすることにより、印刷物の自然な風合い及び素朴な質感を高めることができる。また、条件2−3において、Raを3.0μm以下とすることにより、表面がざらついているような印象を排除して、印刷物に高級感を付与しやすくできる。
条件2−4において、Rzを10.0μm以上とすることにより、印刷物の見え方が均質になり過ぎることにより人工的な印象を受けることを抑制し、印刷物全体に自然な風合い及び素朴な質感を付与しやすくできる。また、条件2−4において、Rzを18.0μm以下とすることにより、印刷物に局所的な欠陥が生じている印象を与えることを抑制し、印刷物に高級感を付与しやすくできる。
条件2−3において、Raは1.8〜2.8μmであることがより好ましく、2.0〜2.5μmであることがさらに好ましい。
条件2−4において、Rzは12.0〜18.0μmであることがより好ましく、14.0〜18.0μmであることがさらに好ましい。
本明細書において、Ra、Rz及びRvは、流れ方向及び幅方向の値をそれぞれ5回測定し、計10回の値の平均値を意味する。また、本明細書において、Rvのバラツキは、流れ方向及び幅方向の値をそれぞれ5回測定し、計10回の値のバラツキを意味する。
また、本発明の印刷物は、基材の表面形状と、表面保護層のうち印刷物の最表面に位置する表面保護層の表面形状とが、下記の条件3−1〜3−3から選ばれる一以上を満たすことが好ましく、二以上を満たすことがより好ましく、全てを満たすことがさらに好ましい。
下記の条件3−1〜3−3を満たすことは、基材の表面形状が、絵柄層や表面保護層により過剰に変更されていないことを意味する。したがって、下記の条件3−1〜3−3を満たすことにより、紙基材等に由来する自然な風合いを維持しやすくできる。
なお、下記の条件3−1〜3−3のRa、Rz及びRvは、全てJIS B0601:2001に準拠し、カットオフ2.5mmとした際の値である。
<条件3−1>
0.85≦[印刷物の最表面に位置する表面保護層のRa/基材のRa]≦1.00
<条件3−2>
0.90≦[印刷物の最表面に位置する表面保護層のRz/基材のRz]≦1.05
<条件3−3>
0.95≦[印刷物の最表面に位置する表面保護層のRv/基材のRv]≦1.10
表面保護層は、硬化性樹脂の硬化物を含むことが好ましい。硬化性樹脂の硬化物としては、熱硬化性樹脂組成物の硬化物、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられ、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線の照射により瞬時に硬化することができるため、基材由来の表面凹凸が表面保護層により緩和されることを抑制しやすくできる。言い換えると、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む表面保護層形成用インキから表面保護層を形成することにより、表面保護層の表面形状を基材の表面形状に近づけることができ、紙基材等に由来する自然な風合いを維持しやすくできる。
特に電離放射線硬化性樹脂組成物を無溶剤の電離放射線硬化性樹脂組成物とすることにより、乾燥工程を省略して硬化工程を行うことができるため、接触式の表面形状測定では測定されないような微細な凹凸を埋めやすくする一方で、接触式の表面形状測定で測定できるレベルの凹凸を残存させることができる。このため、光沢度を高めて高級感を向上する一方で、紙基材等に由来する自然な風合いを維持しやすくできる。また、前述した特性をより発揮するため、無溶剤の電離放射線硬化性樹脂組成物の中でもタック値が高いものを用いることが好ましい。
以上のように、電離放射線硬化性樹脂組成物を用いること、好ましくは無溶剤の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いること、さらに好ましくは高タック値の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いることにより、条件1−1及び1−2を満たしやすくすることができる。
なお、「タック値」とは、JIS K5701−1:2000で規定されるタック値を意味する。タック値には単位がなく、数値が高いほどインキの粘りが大きいことを意味する。
電離放射線硬化性樹脂組成物と、条件1−1及び条件1−2との関係について、基材の形状を考慮してさらに説明する。
基材として、Ra、Rz、Rvが上述した範囲の基材を用いて、かつ、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む表面保護層形成用インキから表面保護層を形成した場合、接触式の表面形状測定では測定されないような微細な凹凸が埋められやすくなる一方で、接触式の表面形状測定で測定できるレベルの凹凸を残存させることができる。このように、印刷物の微細な凹凸が減少するため、印刷物の光沢度を高めることができる。その一方、大きな凹凸は残存するため、印刷物の光沢度が極端に高まることを抑制できる。したがって、条件1−1を満たしやすくできる。
また、基材として、Rvのバラツキが上述した範囲の基材を用いて、かつ、電離放射線硬化性樹脂組成物を含む表面保護層形成用インキから表面保護層を形成した場合、深い溝は埋まりにくい(平滑にならない)一方で、浅い溝は埋まりやすい(平滑面が増える)。このため、深い溝を有する領域と、浅い溝を有する領域とで鏡面光沢度の差が生じ、条件1−2を満たしやすくできる。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。
電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物(紫外線硬化の場合、「紫外線硬化性化合物」と称する場合もある。)としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましい。また、耐擦傷性を向上する観点からは、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーのうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。電離放射線硬化性化合物中には、多官能性(メタ)アクリレートモノマーを50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましい。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物(紫外線効果性樹脂組成物)は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物中には、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤等の添加剤を含有していてもよい。
表面保護層中には、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物以外の樹脂成分(熱硬化性樹脂の硬化物あるいは熱可塑性樹脂)を含有してもよい。ただし、紙基材等に由来する自然な風合いを維持しやすくする観点からは、表面保護層の全樹脂成分に占める電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物の割合が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
表面保護層中には、艶消し性を付与するためにマット剤を含有してもよい。
マット剤としては、シリカ、アルミナ等の無機粒子、アクリル粒子、スチレン粒子等の有機粒子が挙げられる。マット剤の平均粒子径及び添加量は、所望する艶消しの程度により適宜調整すればよい。
なお、表面保護層がマット剤を含有すると、マット剤が光を拡散することにより鏡面光沢度が均一化されやすくなるため、条件1−2を満たしにくくなる。
このため、表面保護層中のマット剤の含有量は、表面保護層を構成する全固形分の5質量%未満であることが好ましく、1質量%未満であることがより好ましく、0.1質量%未満であることがさらに好ましく、0質量%であることがよりさらに好ましい。
表面保護層中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有しても良い。
表面保護層の厚みは、0.2〜5.0μmとすることが好ましく、0.3〜3.0μmとすることが好ましく、0.5〜1.5μmとすることがさらに好ましい。
表面保護層の厚みを0.2μm以上とすることにより、鏡面光沢度の向上によって高級感を付与しやすくできるとともに、印刷物の耐擦傷性及び耐候性を向上しやすくできる。また、表面保護層の厚みを5.0μm以下とすることにより、人工的な風合いが増すことを抑制し、印刷物全体の自然な風合い及び素朴な質感が低下することを抑制しやすくできる。
表面保護層は、電離放射線硬化性樹脂組成物等の樹脂成分、及び必要に応じて添加する溶剤や添加剤を含む表面保護層形成用インキを、基材上に塗布、乾燥、電離放射線照射することにより形成できる。なお、表面保護層形成用インキ中に溶剤を含まない場合は、乾燥は不要である。表面保護層形成用インキを塗布する手段は特に限定されないが、タック値の高いインキに適するオフセット印刷、フレキソ印刷が好ましく、オフセット印刷がより好ましい。
表面保護層形成用インキのタック値(JIS K5701−1:2000、ローラー回転数400rpm)は、条件1−1及び1−2を満たしやすくする観点から、2.0〜8.0とすることが好ましい。
(金属光沢層)
本発明の印刷物は、表面保護層上の任意の箇所には金属光沢層を有していてもよい。
金属光沢層を有することにより、印刷物の面内に光沢のコントラストが生じて、高級感をより高めることができる。
なお、金属光沢層を形成する領域の割合が多すぎると、印刷物の自然な風合い及び素朴な質感が損なわれる傾向がある。このため、印刷物を面方向から観察した際に、金属光沢層が形成されている領域の割合は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。また、金属光沢層により印刷物に高級感を付与する観点からは、印刷物を面方向から観察した際に、金属光沢層が形成されている領域の割合は3%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましい。
金属光沢層は、例えば、金属箔を貼り合わせたり、金属粒子及びバインダー樹脂を含む金属光沢層形成用インキを塗布、乾燥したりすることにより形成することができる。これらの中でも、高級感をより高める観点からは、金属箔により金属光沢層を形成することが好ましい。
金属箔や金属粒子を構成する金属としては、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等が挙げられ、これらの合金も使用することができる。
金属光沢層40は、絵柄層20と表面保護層30との間に形成してもよいが、高級感を高める観点からは、図1及び図2に示すように、表面保護層30上に形成することが好ましい。さらに、金属光沢層40は、図1及び図2に示すように、絵柄層20が形成されている領域上に形成することが好ましい。
金属光沢層の厚みは特に限定されず、通常、1〜500μm程度である。
[容器]
本発明の容器は、上述した本発明の印刷物を用いてなるものである。
容器としては、特に制限されることなく、飲料容器、食品容器等が挙げられる。
本発明の印刷物及び容器は、自然な風合い及び高級感を高めることができ、意匠性に極めて優れるものである。このような本発明の印刷物及び容器によれば、消費者の購買意欲を喚起することができ、商業的成功も得られやすい。
[印刷物の選別方法]
本発明の印刷物の選別方法は、基材上の任意の箇所に絵柄層を有し、前記基材の前記絵柄層を有する側の任意の箇所に表面保護層を有する印刷物として、前記表面保護層のうち前記印刷物の最表面に位置する表面保護層が下記の条件1−1及び1−2を満たすか否かを判定し、満たすものを選別するものである。
<条件1−1>
JIS Z8741:1997の、60度における鏡面光沢度G60の平均が6.0〜15.0%。
<条件1−2>
前記G60のバラツキが0.8%以上。
判定条件1−1のG60の平均は、6.5〜13.0%であることが好ましく、7.0〜12.0%であることがより好ましく、8.0〜10.0%であることがさらに好ましい。
判定条件1−2のG60のバラツキは、0.8〜3.0%であることが好ましく、0.9〜2.5%であることがより好ましく、1.0〜2.0%であることがさらに好ましい。
本発明の印刷物の選別方法は、さらに、下記の条件2−1、条件2−2、条件2−3及び条件2−4から選ばれる一以上の条件を追加の判定条件とすることが好ましく、二以上を追加の判定条件とすることがより好ましく、三以上を追加の判定条件とすることがさらに好ましく、全て(四つ)を追加の判定条件とすることがよりさらに好ましい。
<条件2−1>
カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大谷深さRvのバラツキが0.5〜1.5μm。
<条件2−2>
カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大谷深さRvが6.0〜15.0μm。
<条件2−3>
カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さRaが1.5〜3.0μm。
<条件2−4>
カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の最大高さRzが10.0〜18.0μm。
追加の判定条件2−1において、Rvのバラツキは、0.6〜1.4μmであることがより好ましく、0.7〜1.3μmであることがさらに好ましい。
追加の判定条件2−2において、Rvは8.0〜12.0μmであることがより好ましく、9.0〜11.0μmであることがさらに好ましい。
追加の判定条件2−3において、Raは1.8〜2.8μmであることがより好ましく、2.0〜2.5μmであることがさらに好ましい。
追加の判定条件2−4において、Rzは12.0〜18.0μmであることがより好ましく、14.0〜18.0μmであることがさらに好ましい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
1.測定及び評価
実施例及び比較例で作製した印刷物、並びに参考例の印刷物について、以下の測定及び評価を行った。結果を表1又は表2に示す。
1−1.表面形状
実施例1〜3の印刷物の最表面に位置する表面保護層、比較例1〜2の印刷物の最表面に位置する表面保護層、並びに参考例1〜4で用いた基材について、カットオフ値を2.5mmとした際の、JIS B0601:2001の算術平均粗さRa、JIS B0601:2001の最大高さRz、JIS B0601:2001の粗さ曲線の最大谷深さRvを測定した。なお、測定は小坂研究所株式会社製の商品名SE−340を用い、以下の測定条件とした。
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・評価長さ(基準長さ):カットオフ値λcの5倍
・触針の送り速さ:0.5mm/s
・予備長さ:(カットオフ値λc)×2
・縦倍率:2000倍
・横倍率:10倍
1−2.鏡面光沢度
実施例1〜3の印刷物の最表面に位置する表面保護層、比較例1〜2の印刷物の最表面に位置する表面保護層、並びに参考例1〜4で用いた基材について、測定器としてBYK Gardner社のmicro−TRI−glossを用いて、JIS Z8741:1997の、60度における鏡面光沢度G60を測定した。
1−3.自然な風合い
印刷物を様々な角度から観察し、天然物のような光沢のゆらぎを有するか否かをポイントとして自然な風合いを評価した。自然な風合いに感じるものを2点、どちらとも言えないものを1点、自然な風合いに感じないものを0点として、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。平均点が1.7以上のものを「A」、平均点が1.4以上1.7未満のものを「B」、平均点が1.0以上1.4未満のものを「B」、平均点が1.0未満のものを「C」とした。
1−4.高級感
高級感を感じるものを2点、どちらとも言えないものを1点、高級感を感じないものを0点として、20人の被験者が印刷物の高級感について評価を行い、平均点を算出した。平均点が1.4以上のものを「A」、平均点が1.0以上1.4未満のものを「B」、平均点が1.0未満のものを「C」とした。
1−5.素朴な質感
表面が適度に荒れていて、人間の手が過度に加わっていない印象を受けることをポイントとして、印刷物の素朴な質感を評価した。質感が素朴に感じるものを2点、どちらとも言えないものを1点、質感が素朴に感じないものを0点として、20人の被験者が評価を行い、平均点を算出した。平均点が1.7以上のものを「AA」、平均点が1.4以上1.7未満のものを「A」、平均点が1.0以上1.4未満のものを「B」、平均点が1.0未満のものを「C」とした。
2.印刷物の作製
[実施例1]
紙基材(坪量:270g/m、コートボール紙、日本製紙社製、商品名:コラボファインW)の一方の面(印刷面の紙基材の表面形状:Ra2.5μm、Rz16.8μm、Rv10.2μm、Rvのバラツキ1.0μm)の全面に、厚み1μmのクリーム色の第1絵柄層をオフセット印刷により形成した。次いで、第1絵柄層上に、厚み1μmのセピア色の第2絵柄層をオフセット印刷により部分的に形成した。第1絵柄層及び第2絵柄層により、天然素材を表現した絵柄(クラフト紙を表現した絵柄)を形成した。さらに、任意の箇所に、黒色の文字情報からなる厚み1μmの第3絵柄層をオフセット印刷により形成し、第1絵柄層〜第3絵柄層からなる絵柄層を形成した。なお、第1絵柄層〜第3絵柄層のインキは無溶剤であり、樹脂成分の100%は電離放射線硬化性樹脂組成物であった。
次いで、絵柄層上に、無溶剤の表面保護層形成用インキ1(DICグラフィックス社製、商品名:UVカルトン ACT OPニス、回転数400rpmでのタック値:5.0、樹脂成分の100%は電離放射線硬化性樹脂組成物)をオフセット印刷により塗布、紫外線照射して、厚み1μmの表面保護層を形成し、実施例1の印刷物を得た。
なお、タック値は、東洋精機製作所のインコメーター(型番:EM−1)を用いて測定した。
[実施例2]
実施例1の無溶剤の表面保護層形成用インキ1に電離放射線硬化性化合物のモノマーを添加して、無溶剤の表面保護層形成用インキ2(回転数400rpmでのタック値:3.5、樹脂成分の100%は電離放射線硬化性樹脂組成物)を調製した。表面保護層形成用インキとして、該無溶剤の表面保護層形成用インキ2を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の印刷物を得た。
[実施例3]
実施例1の無溶剤の表面保護層形成用インキ1に電離放射線硬化性化合物のオリゴマーを添加して、無溶剤の表面保護層形成用インキ3(回転数400rpmでのタック値:6.5、樹脂成分の100%は電離放射線硬化性樹脂組成物)を調製した。表面保護層形成用インキとして、該無溶剤の表面保護層形成用インキ3を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の印刷物を得た。
[比較例1]
実施例1の無溶剤の表面保護層形成用インキ1を、無溶剤の表面保護層形成用インキ4(DICグラフィックス社製、商品名:UVカルトンドライオフ箔押し用マットOPニス、マット剤を5〜10質量%含有、回転数400rpmでのタック値:4.0、樹脂成分の100%は電離放射線硬化性樹脂組成物)に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1の印刷物を得た。
[比較例2]
実施例1の無溶剤の表面保護層形成用インキ1を、無溶剤の表面保護層形成用インキ5(DICグラフィックス社製、UVクリアーEX 1085 コートニス、回転数400rpmでのタック値:測定不能、樹脂成分の100%は電離放射線硬化性樹脂組成物)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の印刷物を得た。
[参考例1]
市販のクラフト紙(レンゴー社製、商品名:CRKKH、坪量:370g/m)上の任意の箇所に、実施例1と同様の第3絵柄層を形成し、参考例1の印刷物を得た。
[参考例2]
市販のクラフト紙(クリアウォーター社製、商品名:CKB、坪量:290g/m)上の任意の箇所に、実施例1と同様の第3絵柄層を形成し、参考例2の印刷物を得た。
[参考例3]
実施例1と同じ紙基材上の任意の箇所に、実施例1と同様の第3絵柄層を形成し、参考例3の印刷物を得た。
[参考例4]
市販のコート紙(日本製紙社製、商品名:JETエースW、坪量:260g/m)上の任意の箇所に、実施例1と同様の第3絵柄層を形成し、参考例4の印刷物を得た。
表1の結果から、条件1−1及び1−2を満たす実施例1〜3の印刷物は、自然な風合い及び高級感に優れ、意匠性に極めて優れることが確認できる。
本発明の印刷物及び容器は、自然な風合い及び高級感に優れ、意匠性に極めて優れる点で有用である。また、本発明の印刷物の選別方法は、自然な風合い及び高級感を兼ね備えた印刷物を正確に選択することができる点で有用である。
10:基材
20:絵柄層
21:第1絵柄層
22:第2絵柄層
23:第3絵柄層
30:表面保護層
40:金属光沢層
100:印刷物

Claims (8)

  1. 基材上の任意の箇所に絵柄層を有する印刷物であって、前記印刷物は、前記基材の前記絵柄層を有する側の任意の箇所に表面保護層を有し、前記表面保護層のうち前記印刷物の最表面に位置する表面保護層が下記の条件1−1及び1−2を満たす、印刷物。
    <条件1−1>
    JIS Z8741:1997の、60度における鏡面光沢度G60の平均が6.0〜15.0%。
    <条件1−2>
    前記G60のバラツキが0.8%以上。
  2. 前記条件1−2において、前記G60のバラツキが0.8〜3.0%である、請求項1に記載の印刷物。
  3. 前記表面保護層のうち前記印刷物の最表面に位置する表面保護層が、さらに下記の条件2−1を満たす、請求項1又は2に記載の印刷物。
    <条件2−1>
    カットオフ2.5mmとした際のJIS B0601:2001の粗さ曲線の最大谷深さRvのバラツキが0.5〜2.5μm。
  4. 前記表面保護層上の任意の箇所に金属光沢層を有する請求項1〜3の何れか1項に記載の印刷物。
  5. 前記表面保護層が、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含む請求項1〜4の何れか1項に記載の印刷物。
  6. 前記基材が紙である請求項1〜5の何れか1項に記載の印刷物。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の印刷物を用いてなる容器。
  8. 基材上の任意の箇所に絵柄層を有し、前記基材の前記絵柄層を有する側の任意の箇所に表面保護層を有する印刷物として、前記表面保護層のうち前記印刷物の最表面に位置する表面保護層が下記の条件1−1及び1−2を満たすか否かを判定し、満たすものを選別する、印刷物の選別方法。
    <条件1−1>
    JIS Z8741:1997の、60度における鏡面光沢度G60の平均が6.0〜15.0%。
    <条件1−2>
    前記G60のバラツキが0.8%以上。
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A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

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C211 Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings

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C22 Notice of designation (change) of administrative judge

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C22 Notice of designation (change) of administrative judge

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C23 Notice of termination of proceedings

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C03 Trial/appeal decision taken

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