JP4313059B2 - 表面模様構造及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材表面に付与する表面模様構造に関し、詳しくは積層する樹脂の表面張力差を利用して模様を形成してなる表面模様構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂の表面張力差やハジキ現象等を利用して基材表面に模様を形成する方法に関しては、従来次のような方法が開示されている。
【0003】
特許文献1は、フタル酸ジエステルを配合した印刷インキを基材の特定部分にのみ印刷し、更に不飽和ポリエステルを塗布し、フタル酸ジエステルと不飽和ポリエステルとのハジキ現象を利用して印刷部分に凹部を形成する方法を開示している。
【0004】
特許文献2は、表面基材上に塗装面を模様状に形成し、これら塗装面を含む表面基材上に電子線硬化型塗料又は光硬化型塗料を塗布して、濡れ易い部分を陥没させ、濡れ難い部分を隆起させ、電子線又は光を照射して凹凸面を形成する方法を開示している。
【0005】
また、特許文献3は、素材上に下塗りインキ又はクリアー塗料を塗設し、該下塗りインキ又はクリアー塗料上に、電子線又は紫外線硬化型クリアー塗料からなる上塗り塗料を塗設して印刷塗工物を形成する方法において、下塗りインキ又はクリアー塗料の表面張力を上塗り塗料の表面張力より小さく設定することにより、上塗り塗料を硬化せしめて前記インキ又はクリアー塗料を塗設した部分に凹凸模様を形成する表面加工印刷塗工物の形成方法を開示している。
【0006】
【特許文献1】
特開昭48−58068号
【特許文献2】
特公昭51−26937号
【特許文献3】
特開平6−278354号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基材表面に積層する樹脂の表面張力差を利用して樹脂表面に模様を形成する方法に新たな工夫を加え、従来存在しなかった表面模様構造、特に樹脂成形体、中でも透明樹脂成形体に優れた意匠を付与する表面模様構造及びその製造方法を提供せんとする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明樹脂からなる基材表面上に下地形成樹脂が部分的に積層され、当該基材表面上に、下地形成樹脂積層部と平面に見てこの下地形成樹脂積層部に囲まれた下地形成樹脂非積層部とを備え、
前記下地形成樹脂積層部上に模様形成樹脂が積層され、当該模様形成樹脂の表面は微細凹凸したエンボス面部とされ、
前記下地形成樹脂非積層部は、基材表面が露出した抜窓部とされた構成を備えた表面模様構造を提案する。
【0009】
かかる表面模様構造において、エンボス面部はマット面すなわち艶消し面とすることができ、これに囲まれる抜窓部と、艶、ヘーズ(光透過度)、光反射率などを含めた見た目において大きなコントラストをつけることができ、抜窓部の大きさ、形状、配置等を各種変更することによって従来存在しなかった新たな表面模様を形成することができ、例えば化粧品等を包装する包装用成形体などデザインが重視される容器や包装用成形体などに好適に利用することができる。
【0010】
上記の表面模様構造において、模様形成樹脂の表面をエンボス面部とする方法としては、下地形成樹脂と模様形成樹脂とのハジキ現象を利用して樹脂表面を凹凸とする方法、下地形成樹脂と模様形成樹脂との表面張力の差を利用して樹脂表面を凹凸とする方法、模様形成樹脂にちぢみインキを用いる方法、複数種類の下地形成樹脂と模様形成樹脂との濡れ易さの違いにより凹凸を形成する方法、表面に微細凹凸面を備えた賦型フィルム、メッキ板或いはエンボスロールを基材表面に加圧して樹脂表面に凹凸を付する方法など、従来公知の各種方法を採用することが可能であり特に制限するものではないが、本発明は、下地形成樹脂と模様形成樹脂との表面張力差によって基材表面上にエンボス面部を形成する方法をより好ましいと考え、次のような製造方法を提案する。
【0011】
即ち、本発明は、透明樹脂からなる基材表面上に、凸版印刷によって下地形成樹脂を部分的に積層させて、当該基材表面上に下地形成樹脂積層部と平面に見てこの下地形成樹脂積層部に囲まれた下地形成樹脂非積層部とを形成し、
当該下地形成樹脂積層部上に、下地形成樹脂よりも表面張力の高い模様形成樹脂を凸版印刷によって積層させ、必要に応じて模様形成樹脂に対する硬化処理を行い、当該模様形成樹脂の表面を微細凹凸させてエンボス面部とし、
前記下地形成樹脂非積層部は、基材表面が露出した抜窓部とすることを特徴とする表面模様構造の製造方法を提案する。
【0012】
このような製造方法によれば、下地形成樹脂非積層部(すなわち下地形成樹脂を積層しないで残す部分)を所望の形状に残すようにして下地形成樹脂を基材表面上に積層し、その上に模様形成樹脂をほぼ均一に塗布し、必要に応じて模様形成樹脂硬化処理を行うだけで、エンボス面部内にそれとはコントラストの大きな透明な抜窓部を形成することができ、しかも、下地形成樹脂非積層部の形状を変化させることで基材表面の模様を自在にデザインすることができ、また、下地形成樹脂と模様形成樹脂との表面張力差を種々変化させることでエンボス面部の微細凹凸の大きさ及び形状等を自在に変えることができる。
【0013】
なお、本発明において「透明樹脂」とは無色透明及び有色透明の樹脂のいずれも包含する意である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、下地形成樹脂と模様形成樹脂との表面張力差を利用する実施形態について説明するが、本発明がそれに制限されるものではない。
【0015】
本実施形態の一例に係る表面模様構造10は、図1及び図2に示すように、基材1の表面上に下地形成樹脂2を部分的に(すなわち、基材1の全面ではない部分内に、部分的に非積層部2Bを残して)積層し、基材1表面上に、下地形成樹脂積層部2Aと、平面に見てこの下地形成樹脂積層部2Aに囲まれた下地形成樹脂非積層部2Bとを形成し、当該下地形成樹脂積層部2A上には模様形成樹脂3を積層して、この模様形成樹脂3の表面、即ち模様形成樹脂積層部3Aの表面を微細凹凸したエンボス面部4とし、下地形成樹脂非積層部2Bは基材1表面が露出した抜窓部5とし、基材1の表面全体で見ると、エンボス面部4内に囲まれて所望の絵柄や文字等を呈する抜窓部5が配置された構成となっている。
【0016】
かかる構成を備えた表面模様構造10において、エンボス面部4の平均表面粗さ(Ra)は0.5〜50μm(10点の実測値1.9〜3.5μm)が好ましく、十点平均粗さ(Rz)は0.5〜50μm(10点の実測値12〜22μm)が好ましく、最大高さ(Rmax)は2〜50μm(10点の実測値14〜27.5μm)が好ましく、山数(Pc)は2〜50μm(10点の実測値16〜32μm)が好ましい(以上の数値は、いずれも触針2μm、荷重70mgにて測定した場合の値)。
また、エンボス面部4のJIS K−7105による鏡面光沢度(60°×60°)は1〜80(10点の実測値14〜59)が好ましく、JIS K−7105による45°光線反射率(全反射)は1〜50%(10点の実測値6.2〜21.0%)が好ましく、JIS K−7105による45°光線反射率(拡散反射)は1〜50%(10点の実測値4.9〜17.8%)が好ましく、JISK−7105による光線透過率(全透過)は5〜98%(10点の実測値16.5〜90.4%)が好ましく、JIS K−7105による光線透過率(拡散透過)は1〜80%(10点の実測値7.0〜35.7%)が好ましく、JISK−7105によるヘーズは10〜90%(10点の実測値25.6〜43.0%)が好ましい。
【0017】
また、表面模様構造10において、図3に示すように、下地形成樹脂非積層部2Bを囲む縁に沿って模様形成樹脂3を積層しない模様形成樹脂非積層部3Bを下地形成樹脂積層部2A上に僅かな幅をもって形成するのが好ましい。このような模様形成樹脂非積層部3Bを形成することで、抜窓部5を縁どることができ、エンボス面部4と抜窓部5とのコントラストをより一層綺麗に見せることができる。
この際、模様形成樹脂非積層部3Bの幅は、特に限定するものはないが、0.1mm〜1mm程度とするのが好ましい。また、この模様形成樹脂非積層部3Bを形成する場合には、下地形成樹脂2として透明樹脂を使用するのが好ましい。
【0018】
また、図3に示すように、下地形成樹脂非積層部2Bを囲む下地形成樹脂積層部2Aの縁2Aaを、その内側部分よりも高く形成するのが好ましい。この際、縁2Aaを他の部分よりもどの位高くするかについて特に限定するものはないが、0.2〜20μm程度とするのが好ましい。
また、下地形成樹脂非積層部2Bを囲む模様形成樹脂積層部3Aの縁3Aaを、その内側部よりも高く形成するのが好ましい。この際、縁3Aaを他の部分よりもどの位高くするかについて特に限定するものはないが、0.2〜20μm程度とするのが好ましい。
下地形成樹脂積層部2Aの縁2Aa或いは模様形成樹脂積層部3Aの縁3Aaを、その内側部よりも高く形成することによりエンボス面部4と抜窓部5とのコントラストをより一層綺麗に見せることができる。
【0019】
また、下地形成樹脂非積層部2Bを囲む模様形成樹脂積層部3Aの縁3Aaを、その内側部よりも色濃くすることによって、エンボス面部4と抜窓部5とのコントラストをより一層明確にすることもできる。
【0020】
なお、エンボス面部4、或いは抜窓部5上に保護層などを積層することは可能である。また、基材1の裏面の構造は任意である。
【0021】
基材1は、透明な樹脂であれば特にその種類を問うものではない。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリ乳酸、その他の非晶質樹脂からなる透明なシート乃至フィルムを挙げることができる。中でも、成形性や耐折性などの点を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが好ましく、その中でも特に透明性及び剛性等の点からポリエチレンテレフタレート(PET)、例えばアモルファスPET(「A−PET」とも言う。)などが好ましい。
【0022】
基材1の表面は、フレーム処理、コロナ放電処理、薬品処理、プライマー処理等の表面処理を行い、下地形成樹脂2や模様形成樹脂3との付着性を高めるようにしてもよい。
【0023】
下地形成樹脂2及び模様形成樹脂3は、両者のJIS K−6768による表面張力の差が10μN/cm以上、好ましくは20μN/cm以上、中でも特に40μN/cm以上とするのが好ましい。この際の上限値は、現在の技術水準においては現実的には400μN/cm程度が上限であるが、理論的には上限値を定めるものではない。
表面張力差が10μN/cm以上であれば、下地形成樹脂2上に模様形成樹脂3を均一に塗布するだけで自然にその表面を好適なエンボス面とすることができる。
【0024】
下地形成樹脂2のJIS K−6768による表面張力は、320μN/cm以下、中でも300μN/cm以下であるのが好ましい。この際の下限値は、現在の技術水準においては現実的には200μN/cm程度が下限であるが、理論的には下限値を定めるものではない。
また、下地形成樹脂2の接触角は70〜90°、中でも特に75〜90°であるのが好ましい。
【0025】
下地形成樹脂2としては、基材1に付着可能であればその種類を限定するものではないが、透明樹脂を用いるのが好ましい。例えば、アクリル酸及びそのエステル,メタアクリル酸及びそのエステル,スチレン,エチレン,酢酸ビニール,塩化ビニール等のモノマーの少なくとも一種類以上を重合した樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂,塩化ゴム,飽和ポリエステル樹脂を単独又は2〜4種類混合したものをトルエン,キシレン,酢酸エチル,酢酸メチル,酢酸nプロピル,酢酸イソプロピル,酢酸ブチル,酢酸イソブチル,アセトン,キシレン,酢酸メチル,イソプロピルアルコール,エタノール等の溶剤に溶解した樹脂(ワニス)、水及びアルコールを単独又は混合した溶媒に溶解又は分散した樹脂(ワニス)に炭化水素化合物,シリコーン化合物,フッ素化合物等の撥油剤を添加した樹脂などを挙げることができる。中でも、基材表面に光沢を付与したり、耐磨耗性を向上させたりする等の目的で一般的に使用されているオーバープリントニス(OPニス)が好ましい。
【0026】
下地形成樹脂積層部2Aにおける下地形成樹脂2の厚さは、特に制限するものではないが、一般的には0.2〜20μmとするのが好ましい。
【0027】
他方、模様形成樹脂3は、上記下地形成樹脂2よりも表面張力が大きい樹脂であることが必要であり、JIS K−6768による表面張力が、240μN/cm以上、中でも300μN/cm以上であるのが好ましい。この際の上限値は、現在の技術水準においては現実的には200μN/cm程度が下限であるが、理論的には上限値を定めるものではない。
また、模様形成樹脂3の接触角は10〜85°、中でも特に30〜80°であるのが好ましい。
なお、表面張力の調整は、シリコン系やアクリル系などの表面調整剤を使うこによっても行なうことができる。
模様形成樹脂3の厚さは、特に制限するものではないが、一般的には0.2〜20μmとするのが好ましい。
【0028】
模様形成樹脂3として用いる樹脂は、上記の表面張力を備えたものであればよいが、製造効率などの点からエネルギー線硬化型樹脂、すなわち、分子を重合乃至架橋し得るエネルギー量子を有する電磁波又は荷電粒子線、例えば可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)X線、電子線、イオン線等の照射によって硬化し得る樹脂を好ましく用いることができる。
【0029】
下地形成樹脂2及び模様形成樹脂3ともに、本発明の目的を阻害しない限り、通常使用されるその他の各種添加剤を配合することは任意である。
【0030】
(製造方法)
以下、表面模様構造10の製造方法について説明する。
【0031】
先ず、基材1の表面内に、積層しない部分(非積層部2B)を残すように部分的に下地形成樹脂2を積層し、下地形成樹脂2を積層しない部分(非積層部2B)を下地形成樹脂積層部2Aで囲むようにする。
この際、下地形成樹脂非積層部2Bを囲む下地形成樹脂積層部2Aの縁2Aaを、その内側部分よりも高くするのが好ましい。
【0032】
下地形成樹脂2を積層する方法としては、それぞれを押出成形する方法、下地形成樹脂2からなるフィルムを圧着ラミネートする方法、下地形成樹脂2を塗工する方法など様々な方法を採用することができるが、所定の非積層部2Bを残しながら下地形成樹脂2を積層する点を考慮すると、下地形成樹脂2を塗工する方法が好適である。具体的には、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、メイヤーバーコート、エアーナイフコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、シルクスクリーンによるベタコート、フローコート、スプレーコート等の公知の塗工手段を用いることができるが、中でも、所定形状の転写部を備えたロールを用いて樹脂を塗工する方法が好適である。
また、下地形成樹脂積層部2Aの縁2Aaをその内側部分よりも高くすることを考慮すると、平圧式凸版印刷或いは輪転式凸版印刷で塗工するのが好ましい。
【0033】
次に、下地形成樹脂積層部2A上に、下地形成樹脂2よりも表面張力の高い模様形成樹脂3をほぼ均一に塗布し、所定時間経過後必要に応じて模様形成樹脂硬化処理を行う。これによって模様形成樹脂積層部3Aの表面は自然に微細凹凸したエンボス面部4となる。
この際、模様形成樹脂3は、0.2〜20μmの厚さに塗布するのが好ましい。
また、下地形成樹脂非積層部2Bを囲む縁に沿って下地形成樹脂積層部2A上に適宜幅の模様形成樹脂非積層部3Bを形成するようにするのが好ましい。
さらにまた、下地形成樹脂非積層部2Bを囲む模様形成樹脂積層部3Aの縁3Aaを、その内側部よりも高くするのが好ましい。
【0034】
模様形成樹脂3を塗布する方法としては、下地形成樹脂2の塗工方法として挙げられた方法を採用することができ、同じように下地形成樹脂非積層部2Bを囲む模様形成樹脂積層部3Aの縁3Aaをその内側部よりも高くすることを考慮すると、平圧式凸版印刷或いは輪転式凸版印刷で塗工するのが好ましい。
【0035】
なお、模様形成樹脂3は、下地形成樹脂2を充分に乾燥させた後塗布するようにしてもよいし、また、乾燥しないうちに塗布するようにしてもよい。
【0036】
必要に応じて行う模様形成樹脂硬化処理は、模様形成樹脂3としてエネルギー線硬化型樹脂を用いる場合は、紫外線、γ線などのエネルギー線を照射可能な装置を用いてそれらを照射するようにすればよい。
【0037】
このような方法によって表面模様構造を製造すれば、基材1上に非積層部2Bを残しながら下地形成樹脂2を積層し、その上に模様形成樹脂3をほぼ均一に塗布し、必要に応じて模様形成樹脂硬化処理を行うだけで、下地形成樹脂積層部2Aの模様形成樹脂表面を微細凹凸したエンボス面部4とし、下地形成樹脂非積層部2Bを抜窓部5とすることができる。
しかも、下地形成樹脂積層部2A或いは下地形成樹脂非積層部2Bの形状を変化させることで自在に表面模様をデザインすることができ、また、下地形成樹脂2と模様形成樹脂3の表面張力差を種々変化させることでエンボス面部4の微細凹凸の大きさ及び形状を変化させてその風合い等を変化させることができる。
【0038】
【実施例】
厚さ0.3mmのアモルファスPET(「A−PET」ヘーズ0.8%)の表面に、図1及び図2に示すように、所定の絵柄若しくは文字等(図では「ABC」の輪郭)を残すように(すなわち非積層部2Bを形成するように)、下地形成樹脂としてOPニス(アクリル酸プレポリマー及びアクリル酸オリゴマーを含有するOPニス;大日本インキ化学工業製 ダイキュアRT−8、JIS K−6768による表面張力300μN/cm以下、接触角85°)を厚さ1μmで塗工して下地形成樹脂積層部2Aを形成し、該下地形成樹脂積層部2A上に紫外線硬化樹脂インキ(アクリル酸プレポリマー及びアクリル酸オリゴマーを含有する紫外線硬化樹脂インキ;大日本インキ化学工業製 ダイキュアクリア UV−1601EM、JIS K−6768による表面張力340μN/cm、接触角74°)を略均一に厚さ3μmに塗布し、塗布後20mmSEC後に紫外線照射装置で紫外線照射して模様付シートを得た。
【0039】
得られた模様付シートの表面は、図1の如く、エンボス面部4内に囲まれた透明な抜窓部5(図の「ABC」の輪郭)を備えている。
そのエンボス面部4は、平均表面粗さRa3.5μm、光沢度(60°)24、表面の60°グロス値24、光線透過率16.5%、ヘーズ42.3%、光線反射率6.2%であった。
【0040】
なお、本発明(実施例含む)において、鏡面光沢度は、JIS K−7105に従い、デジタル変角光度計(光源:標準光C)を用いて、標準光をワークの入射角60°の方向から照射し、反射角60°の方向で首記装置で反射した光を測定した値である。
本発明(実施例含む)において、表面粗さ(Ra、Rz、Rmax及びPc)は、JIS−B0651に規定の触針式表面粗さ測定器を用い、触針2μm、荷重70mg、測定長8mmで測定した場合の値である。
本発明(実施例含む)において、接触角は、接触角計を使用し、試験液として蒸留水を用いて、滴下後30秒後の値を測定した値である。
本発明(実施例含む)において、光線透過率(全透過、拡散透過及びヘーズ)は、JIS K−7105に従い、ヘーズメータを使用して測定した値である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の一例に係る表面模様構造を備えたシート体を示した斜視図である。
【図2】 本発明の一実施形態の一例に係る表面模様構造を備えたシート体の要部の一部断面斜視図である。
【図3】 本発明の一実施形態の一例に係る表面模様構造を備えたシート体の要部の断面図である。
【符号の説明】
1 基材
2 下地形成樹脂
2A 下地形成樹脂積層部
2Aa 縁
2B 下地形成樹脂非積層部
3 模様形成樹脂
3A 模様形成樹脂積層部
3Aa 縁
3B 模様形成樹脂非積層部
4 エンボス面部
5 抜窓部
10 表面模様構造
Claims (7)
- 透明樹脂からなる基材表面上に下地形成樹脂が部分的に積層され、当該基材表面上に、下地形成樹脂積層部と平面に見てこの下地形成樹脂積層部に囲まれた下地形成樹脂非積層部とを備え、
前記下地形成樹脂積層部上に模様形成樹脂が積層され、当該模様形成樹脂の表面は微細凹凸したエンボス面部とされ、
前記下地形成樹脂非積層部は、基材表面が露出した抜窓部とされた構成を備えた表面模様構造。 - 下地形成樹脂積層部上には、下地形成樹脂非積層部を囲む縁に沿って模様形成樹脂が積層しない模様形成樹脂非積層部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の表面模様構造。
- 下地形成樹脂非積層部を囲む下地形成樹脂積層部の縁が、下地形成樹脂積層部の内側部分よりも高く形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面模様構造。
- 下地形成樹脂非積層部を囲む模様形成樹脂積層部の縁が、模様形成樹脂積層部の内側部よりも高く形成されることを特徴とする請求項2に記載の表面模様構造。
- 下地形成樹脂と模様形成樹脂とのJIS K−6768による表面張力の差が10μN/cm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の表面模様構造。
- 透明樹脂からなる基材表面上に、凸版印刷によって下地形成樹脂を部分的に積層させて、当該基材表面上に下地形成樹脂積層部と平面に見てこの下地形成樹脂積層部に囲まれた下地形成樹脂非積層部とを形成し、
当該下地形成樹脂積層部上に、下地形成樹脂よりも表面張力の高い模様形成樹脂を凸版印刷によって積層させ、必要に応じて模様形成樹脂に対する硬化処理を行い、当該模様形成樹脂の表面を微細凹凸させてエンボス面部とし、
前記下地形成樹脂非積層部は、基材表面が露出した抜窓部とすることを特徴とする表面模様構造の製造方法。 - 下地形成樹脂と模様形成樹脂とのJIS K−6768による表面張力の差を10μN/cm以上とすることを特徴とする請求項6に記載の表面模様構造の製造方法。
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