JP2020045116A - 包装材、該包装材を用いた包装袋及び該包装材の製造方法 - Google Patents

包装材、該包装材を用いた包装袋及び該包装材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光沢による高度な意匠性を付与し得る紙製包装材を提供する。【解決手段】外層側から、絵柄層、紙基材、接着剤層及び金属層をこの順に有してなり、前記紙基材の密度が0.67g/cm3以下である、包装材。前記包装材は、包装材の外層側からJIS Z8741:1997に準拠して測定した20度鏡面光沢度の平均をG20A、前記20度鏡面光沢度のバラツキをG20σとした際に、下記式(1)を満たすものであることが好ましい。0.07≦G20σ/G20A(1)【選択図】図1

Description

本発明は、包装材、該包装材を用いた包装袋及び該包装材の製造方法に関する。
各種の包装材では、高級感が求められる場合がある。高級感を付与するために、包装材の鏡面光沢度を高くする手段が行われている。
例えば、特許文献1では、紙基材上に、インキ層、パールインキ層を形成することにより、化粧紙に高級感を付与している。
特開2013−141766号公報
特許文献1の化粧紙は、インキ層上の全面に形成したパールインキ層により光沢を付与し得るものである。しかし、特許文献1の化粧紙は、全面に形成したパールインキ層によって化粧紙の全面が光沢感を有し、くどい印象を受けるものであった。また、パールインキ層による光沢は、金属箔や金属蒸着膜等の金属層による光沢には劣ることから、特許文献1の化粧紙は光沢が十分であるとはいえないものであった。
本発明は、光沢により高度な意匠性を付与し得る紙製包装材、該包装材を用いた包装袋及び該包装材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の[1]〜[3]を提供する。
[1]外層側から、絵柄層、紙基材、接着剤層及び金属層をこの順に有してなり、前記紙基材の密度が0.67g/cm以下である、包装材。
[2]上記[1]に記載の包装材を用いてなる包装袋。
[3]下記(1)〜(2)の工程を有する、包装材の製造方法。
(1)密度が0.67g/cm以下の紙基材の外層側に、絵柄層形成用インキを塗布し、絵柄層を形成する工程。
(2)密度が0.67g/cm以下の紙基材の内層側に、接着剤層及び金属層を積層する工程。
本発明の包装材及び包装袋は、従来品とは全く異なる光沢感に基づく高度な意匠性を付与することができる。また、本発明の包装材の製造方法は、前述した効果を奏する包装材を簡易に製造することができる。
本発明の包装材の一実施形態を示す断面図である。 本発明の包装材の他の実施形態を示す断面図である。 本発明の包装袋の一実施形態を示す背面図である。
[包装材]
本発明の包装材は、外層側から、絵柄層、紙基材、接着剤層及び金属層をこの順に有してなり、前記紙基材の密度が0.67g/cm以下であるものである。
図1及び図2は、本発明の包装材100の一実施形態を示す断面図である。
図1及び図2の包装材100は、外層側から、絵柄層20、紙基材10、接着剤層30及び金属層40をこの順に有している。また、図1及び図2の包装材100は、金属層40の内層側にシーラント層50を有している。また、図1の包装材100は金属層40が金属蒸着膜41であり、図2の包装材100は金属層40が金属箔42である。また、図2の包装材の絵柄層20は、第1絵柄層21、第2絵柄層22及び第3絵柄層23の積層構成となっている。
<紙基材>
本発明では、紙基材の密度が0.67g/cm以下であることを要する。
紙基材の密度が0.67g/cm以下であることは、紙基材内において空隙が多く存在することを意味している。そして、紙基材に空隙が多く存在することにより、該空隙を通して内層側に位置する金属層が局所的に透けて見え、かつ、該金属層の反射光は正反射光で反射強度が強いことから、局所的に強い金属光沢を発現できる。また、金属層が透ける箇所は、包装材の面内の無数の箇所に渡り、しかも、金属層が透ける箇所の形状、大きさ及び分布は、紙基材を構成する繊維の形状、大きさ及び分布と相補的関係のように視認されることから、あたかも、紙基材内に金属繊維が混ざり込んだような見え方となり、従来品とは全く異なる光沢感に基づく高度な意匠性を付与することができる。
また、紙基材の密度を0.67g/cm以下とすることにより、紙基材上に形成した絵柄層に隙間が生じやすくなり、絵柄層及び紙基材を通して金属層を視認しやすくすることができ、上述した高度な意匠性を得やすくできる。隙間について補足すると、絵柄層形成後に包装材の厚み方向に圧力をかけた際に、絵柄層に隙間が生じやすくなる。絵柄層に隙間が生じる原因は、絵柄層のうち紙基材の繊維に密着していない箇所が、圧力が起因となりひび割れるためと考えられる。また、絵柄層に隙間が生じる箇所は、紙基材を構成する繊維の形状、大きさ及び分布と相補的関係のように視認されることから、該隙間によって紙の風合いが失われるどころか、該隙間から見える金属層の光沢により紙基材の質感を強調することができる。
紙基材の密度は0.65g/cm以下であることが好ましく、0.63g/cm以下であることがより好ましく、0.60g/cm以下であることがさらに好ましい。
なお、密度が小さすぎると、金属層が透けすぎて意匠が不自然に感じられたり、紙基材の強度が低下したりする傾向がある。このため、紙基材の密度は0.50g/cm以上であることが好ましく、0.53g/cm以上であることがより好ましく、0.55g/cm以上であることがさらに好ましい。
なお、本明細書において、紙基材の密度は、JIS P8118:2014に準拠して測定したものである。
紙基材の密度は、空隙の割合によって調整できる。
また、紙基材の密度を下げるためには、針葉樹パルプを主成分とすることが好ましい。針葉樹パルプは広葉樹パルプよりも繊維が長く、強度の低下を抑制しつつ紙基材に空隙を形成しやすい。なお、主成分とは、紙基材を構成するパルプの50質量%以上であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
紙基材は、坪量が15〜30g/mであることが好ましく、17〜27g/mであることがより好ましく、20〜25g/mであることがさらに好ましい。
密度を0.67g/cm以下としつつ坪量を15g/m以上とすることにより、嵩高く風合いに優れた紙基材としやすくできるとともに、紙基材の強度が低下することを抑制しやすくできる。なお、紙基材を嵩高くすることにより、絵柄層の絵柄が圧力等でひび割れしやすくなり、金属層を視認しやすくすることができる。
また、坪量を30g/m以下とすることにより、紙基材を通して金属層を視認しやすくできる。
なお、本明細書において、紙基材の坪量は、JIS P8124:2011に準拠して測定したものである。
紙基材は、JIS P8117:2009に準拠した透気度が20s/100ml以下であることが好ましく、15s/100ml以下であることがより好ましく、10s/100ml以下であることがさらに好ましい。透気度を20s/100ml以下とすることにより、紙基材を通して金属層を視認しやすくできる。
なお、透気度が小さすぎると、金属層が透けすぎて意匠が不自然に感じられたり、紙基材の強度が低下したりする傾向がある。このため、透気度は3s/100ml以上であることが好ましく、5s/100ml以上であることがより好ましい。
紙基材は、その絵柄層側の表面のJIS B0601:2001に準拠したカットオフ値0.8mmにおける算術平均粗さRaが2.8μm以上であることが好ましく、3.0μm以上であることがより好ましい。本明細書において、カットオフ値とは、粗さ曲線用のカットオフ値(λc)のことをいう。
紙基材の絵柄層側の表面のRaを2.8μm以上とすることにより、絵柄層の絵柄が圧力等でひび割れしやすくなり、金属層を視認しやすくすることができる。
なお、紙基材の絵柄層側の表面のRaが大き過ぎると、絵柄層の形成時に絵柄に欠陥が生じやすくなる。このため、紙基材の絵柄層側の表面のRaは5.0μm以下であることが好ましく、4.5μm以下であることがより好ましく、4.0μm以下であることがさらに好ましい。
紙基材は、絵柄層とは反対側の表面のJIS B0601:2001に準拠したカットオフ値0.8mmにおける算術平均粗さRaが3.0μm以下であることが好ましく、2.7μm以下であることがより好ましく、2.5μm以下であることがさらに好ましい。
紙基材の絵柄層とは反対側の表面のRaを3.0μm以下とすることにより、紙基材と接着剤層との密着性を良好にすることができる。
紙基材の絵柄層とは反対側の表面のRaの下限は特に限定されないが、1.0μm以上であることが好ましく、2.0μm以上であることがより好ましい。
なお、本明細書において、紙基材の算術平均粗さRaは、包装材の流れ方向の任意の5箇所及び包装材の幅方向の任意の5箇所の合計10箇所の測定値の平均値とする。
<絵柄層>
絵柄層は、包装材の意匠性を高めることを目的として、紙基材上の一部又は全面に形成される。
絵柄層は、例えば印刷により形成することができる。絵柄層は、図1のように単層であってもよいし、図2のように、2以上の層から形成されるものであってもよい。
絵柄層は、最も紙基材側に配置される絵柄層(図1の場合は第1絵柄層21)が、紙基材の略全面に形成されていることが好ましい。基材側に配置される絵柄層を紙基材の略全面に形成することにより、包装材の外層側からの見え方(風合い)を均質化しやすくできる。略全面とは、紙基材の面積の80%以上であることを意味し、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上である。
また、紙基材の略全面に形成する絵柄層はベタ印刷層であることが好ましい。
また、紙基材の略全面に形成した絵柄層上に形成する絵柄層(図2の場合は第2絵柄層22及び第3絵柄層23)は、部分的に形成することが好ましい。
絵柄層は、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックのプロセスカラー並びにホワイトを加えた多色印刷によって形成できる他、絵柄を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成できる。
絵柄層の絵柄は、木目調、コルク調、繊維調、石目調、文字、数字、図形、記号、風景、人物、動物、キャラクター等の通常の印刷で用いられる絵柄であれば、特に制限されることはない。これらの中でも、木目調、コルク調、繊維調及び石目調等の天然素材を表現した絵柄が好ましい。このような天然素材の絵柄と、そこから透けて見える金属層による局所的な金属光沢とが同居することにより、極めて独創的で優れた意匠性を付与することができる。
なお、絵柄層は、天然素材を表現した絵柄と、その他の絵柄とを組み合わせたものであってもよい。
包装材を平面方向から観察した場合、天然素材を表現した絵柄を、面積基準で30%以上有することが好ましく、40%以上有することがより好ましい。また、包装材を平面方向から観察した場合、その他の絵柄が形成されている箇所以外の箇所は、全て天然素材を表現した絵柄から形成されていることが好ましい。
天然素材に由来する絵柄と、その他の絵柄とを組み合わせる場合、例えば、下方に位置する絵柄層(図2の場合、第1絵柄層21及び第2絵柄層22)により天然素材に由来する絵柄を形成し、上方に位置する絵柄層(図2の場合、第3絵柄層23)でその他の絵柄を形成する手段が挙げられる。
絵柄層はベタ印刷層を有し、ベタ印刷層が部分的に隙間を有することが好ましい。当該構成を有することにより、絵柄層のベタ印刷層を通して金属層を視認しやすくできる。
ベタ印刷層の隙間は、例えば、絵柄層を形成した後に包装材の厚み方向に圧力をかけたり、紙基材の表面近傍のみに印刷版がソフトタッチするように印刷することにより形成することができる。
また、該隙間の割合はベタ印刷層の0.01〜10%であることが好ましく、0.05〜7%であることがより好ましく、0.1〜5%であることがさらに好ましい。面積割合を0.01%以上とすることにより、金属光沢による意匠性を良好にしやすくできる。また、面積割合を10%以下とすることにより、金属光沢がくどく感じることを抑制できる。
絵柄層の形成に用いられるインキ(絵柄層形成用インキ)としては、バインダー樹脂に顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。
バインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄層の厚みは、0.1〜5.0μmとすることが好ましく、0.5〜4.5μmとすることが好ましく、1.0〜4.0μmとすることがさらに好ましい。絵柄層が2以上の層から形成される場合、各絵柄層の厚みの合計が前記範囲であることが好ましい。
絵柄層の厚みを0.1μm以上とすることにより、絵柄による意匠性を良好にしやすくできる。また、絵柄層の厚みを5.0μm以下とすることにより、絵柄層を通して金属層を視認しやすくできるとともに、紙基材の風合いを維持しやすくできる。
絵柄層中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有しても良い。
絵柄層は、絵柄層を構成する各成分を含む絵柄層形成用インキを調製し、該インキを塗布し、必要に応じて乾燥、硬化することにより形成できる。絵柄層形成用インキは、密度が低い紙基材への塗布適性の観点から無溶剤であることが好ましい。また、紙基材の内部にインキが染み込むと、絵柄層がひび割れても金属層が視認しにくくなるが、無溶剤のインキは紙基材に染み込み難く、絵柄層がひび割れた際の金属層の視認性を良好にする点でも好ましい。
絵柄層を塗布する手段としては、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷が好ましく、グラビア印刷がより好ましい。
<接着剤層>
接着剤層は、紙基材と、紙基材の内層側に位置する層(主として金属層)との接着性を高めることを目的として、紙基材の内層側に形成される。
接着剤層は、例えば、ドライラミネート用接着剤を用いた方法により形成することができる。
ドライラミネート用接着剤としては、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂及びメラミン樹脂等のアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤(例えば、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物)、反応型(メタ)アクリル酸系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム及びスチレン−ブタジエンゴム等のゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート及び低融点ガラス等の無機系接着剤等が挙げられる。
ドライラミネート用接着剤を用いる場合、紙基材の内層側に配置される層(例えば金属層)上に該接着剤を塗布して接着剤層を形成し、該接着剤層と紙基材とをドライラミネートすることが好ましい。
また、接着剤層は、溶融押し出し法により形成することもできる。溶融押し出し法により形成した接着剤層は溶剤臭を無くすことができる点で好ましい。
溶融押し出し法用の接着剤は、溶融押し出し可能であり、かつ、接着性を付与できる樹脂であれば特に制限されることなく使用でき、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
接着剤層の厚みは、0.5〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。
<金属層>
金属層としては、金属蒸着膜及び金属箔が挙げられる。これらの中でも、包装材の薄膜化の観点から金属蒸着膜が好ましい。
金属蒸着膜を構成する金属としては、インジウム、スズ、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、真鍮、クロム及び亜鉛等の金属、並びに、これらの合金等が挙げられる。
金属蒸着膜の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相蒸着法(PVD)が挙げられる。これらの中でも真空蒸着法が好ましい。すなわち、金属蒸着膜としては物理的気相蒸着膜が挙げられ、その中でも真空蒸着膜が好ましい。
金属蒸着膜の厚みは通常5〜500nm程度である。
金属蒸着膜は、プラスチックフィルム上に形成することが好ましい。また、プラスチックフィルム上に金属蒸着膜を形成してなる金属蒸着フィルムは、金属蒸着膜側の面が接着剤層側を向くようにして積層することが好ましい。なお、金属蒸着膜を形成するプラスチックフィルムは、後述するシーラント層を兼ねたものであってもよい。
金属箔は、例えばアルミニウムが挙げられる。金属箔の厚みは通常4〜12μm程度である。
<シーラント層>
本発明の包装材は、最内層にシーラント層を有することが好ましい。
シーラント層は、内層側の面が被包装物と直接接触し、被包装物を保護する役割を担うものである。また、シーラント層は、包装材を包装袋の形態にしやすくするために、内層側がヒートシール性を有していることが好ましい。
シーラント層4を構成する材料としては、例えば、低密度PE(LDPE)、直鎖状低密度PE(LLDPE)、中密度PE(MDPE)、高密度PE(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上の樹脂を用いることができる。シーラント層4は、単層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。
シーラント層は、ヒートシールの際の収縮を抑制するために、前述した樹脂からなる無延伸のフィルムであることが好ましい。例えば、シーラント層は、無延伸プロピレンフィルム(CPP)であることが好ましい。
シーラント層の厚みは、特に限定されるものではなく、通常、10〜200μm程度であることが好ましい。
<補助基材>
補助基材は、包装材の強度の向上や加工適性の向上、包装材の風合いの変化を目的としたり、任意の層(例えば金属蒸着膜)を形成するための基材として用いたりするために、必要に応じて設けられる層である。
補助基材の構成材料としては、例えば、プラスチックフィルムや紙等が挙げられる。補助基材は金属層よりも内層側に配置することが好ましい。また、包装材がシーラント層を有する場合、補助基材はシーラント層よりも内層側に配置することが好ましい。
補助基材としてのプラスチックフィルムは、ポリエチレン(PE)系やポリプロピレン(PP)系等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン−ビニルエステル共重合体ケン化物、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン(Ny)等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)等が挙げられる。プラスチックフィルムは、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。
また、補助基材としてのプラスチックフィルムは、メカニカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンテレフタレート(以下、「再生PET」と称する場合がある。)を含むことが好ましく、50〜95質量%含むことがより好ましい。
メカニカルリサイクルとは、一般に、回収されたPETボトル等のポリエチレンテレフタレート樹脂製品を粉砕、アルカリ洗浄してPET樹脂製品の表面の汚れ、異物を除去した後、高温・減圧下で一定時間乾燥してPET樹脂の内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染を行い、PET樹脂からなる樹脂製品の汚れを取り除き、再びPET樹脂に戻す方法である。
補助基材としての紙は、密度が0.67g/cmを越えるものが好ましい。また、補助基材としての紙は、坪量が40〜600g/m2程度のものが好ましい。
<その他の層>
包装材は、本発明の効果を阻害しない範囲で、表面保護層及び帯電防止層等のその他の層を有していてもよい。
<鏡面光沢度>
包装材は、包装材の外層側からJIS Z8741:1997に準拠して測定した20度鏡面光沢度の平均をG20A、前記20度鏡面光沢度のバラツキをG20σとした際に、下記式(1)を満たすことが好ましい。
0.07≦G20σ/G20A (1)
バラツキを平均で除したパラメータは「変動係数」と呼ばれる。すなわち、式(1)では、20度鏡面光沢度の変動係数が0.07以上であることを規定している。20度鏡面光沢度の変動係数が大きいことは、包装材の面内において、金属光沢の変化率が高いことを意味している。
20度鏡面光沢度の変動係数を0.07以上とすることにより、面内の金属光沢感が均一ではなくなるため、人工的な印象が抑制され、紙基材の風合いを活かした光沢感とすることができる。
式(1)において、G20σ/G20Aは0.09以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましい。
20σ/G20Aは、密度が0.67g/cm以下の紙基材を用いること、絵柄層の一部に隙間を生じさせることなどにより、上記範囲にしやすくできる。
なお、G20σ/G20Aが大き過ぎると、部分的に欠陥を有するような心証を与える場合がある。このため、G20σ/G20Aは0.30以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましい。
20Aは、金属光沢を付与する観点から、2.0以上であることが好ましく、2.5以上であることがより好ましい。また、紙基材の風合いを維持する観点から、G20Aは10.0以下であることが好ましく、7.0以下であることがより好ましく、5.0以下であることがさらに好ましい。
20A及びG20σは、20箇所の測定値から算出することが好ましい。なお、絵柄層が多層の場合は、絵柄層の積層構成が実質的に同一である20箇所で測定することが好ましい。
<用途>
本発明の包装材は、各種の包装紙及び包装袋として用いることができる。
[包装材の製造方法]
本発明の包装材の製造方法は、下記(1)〜(2)の工程を有するものである。
(1)密度が0.67g/cm以下の紙基材の外層側に、絵柄層形成用インキを塗布し、絵柄層を形成する工程。
(2)密度が0.67g/cm以下の紙基材の内層側に、接着剤層及び金属層を積層する工程。
工程(1)で用いる紙基材は、本発明の包装材の紙基材と同様のものを用いることができる。
また、工程(1)の絵柄層形成用インキは、上述したように、バインダー樹脂に顔料、染料等の着色剤、体質顔料、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合したものが使用される。なお、絵柄層形成用インキは無溶剤であることが好ましい。
工程(2)において、接着剤層は、例えば、ドライラミネート法又は溶融押し出し法により形成することができる。
ドライラミネート法としては、金属層上にドライラミネート用接着剤を用いて接着剤層を形成し、紙基材に対して、接着剤層及び金属層を含む積層体をドライラミネートする手法が挙げられる。
溶融押し出し法としては、紙基材と金属層との間に溶融押し出し用接着剤を溶融押し出ししながら、紙基材と金属層とをラミネートする手法が挙げられる。
工程(2)の作業性を良好にする観点から、金属層は金属蒸着膜であることが好ましく、該金属蒸着膜はプラスチックフィルム上に形成されてなることが好ましい。
工程(1)及び工程(2)は、どちらを先に行ってもよい。
工程(1)の後には、包装材の厚み方向に圧力をかける工程(工程(1’))を行うことが好ましい。
工程(1’)を行うことにより、絵柄層に隙間を形成しやすくできる。絵柄層に隙間が生じる原因は、絵柄層のうち紙基材の繊維に密着していない箇所が、圧力が起因となりひび割れるためと考えられる。
工程(1’)において、包装材の厚み方向に圧力をかける手段は、ニップロールを用いる手段が挙げられる。より具体的には、フィードロールとニップロールとで包装材を挟み込んで搬送することにより、当該箇所(ロール間の細い帯状部)で包装材の厚み方向に圧力を付与することができる。
工程(1’)の圧力は0.1MPa〜0.8MPaであることが好ましく、0.2MPa〜0.6MPaであることがより好ましい。
工程(1’)は、工程(2)より先に行ってもよいし、後に行ってもよい。また、工程(1’)は、工程(2)と同時に行うこともできる。
[包装袋]
本発明の包装袋は、上述した本発明の包装材を用いてなるものである。
より具体的には、本発明の包装袋は、上述した本発明の包装材の少なくとも一部をシールして形成されてなるものである。シール部はシーラント層のヒートシール性を利用することが好ましい。
包装袋の形態は、筒型の胴への背シールと上下のシールがされたピロー袋(合掌袋)、三辺がシールされている三方シール袋、四辺がシールされている四方シール袋、袋の底が立体的に確保されており自立可能なスタンディングパウチ、両サイド又は底がV字型に畳まれているガゼット袋が挙げられる。
図3は、ピロー袋(合掌袋)200の一実施形態を示す背面図である。
ピロー袋200は、例えば、1枚の長方形のシート状の包装材100の内層側(例えばシーラント層)をシールすることにより製袋される。シール部は、背シール部101、下シール部102及び上シール部103がある。
なお、ピロー袋(合掌袋)200は図示しないノッチ部等の切れ込みを有していても良い。
本発明の包装材及び包装袋は、従来品とは全く異なる光沢感に基づく高度な意匠性を付与することができるものである。このような本発明の包装材及び包装袋によれば、消費者の購買意欲を喚起することができ、商業的成功も得られやすい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
1.測定及び評価
実施例及び比較例で得られた包装材について、以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。なお、測定時の雰囲気は、温度は23℃±5℃、湿度40〜65%とした。また、測定開始前に、前記雰囲気にサンプルを30分以上晒した。
1−1.紙基材の表面形状
実施例及び比較例で用いた紙基材の両表面に関して、JIS B0601:2001に準拠したカットオフ値(λc)を0.8mmとした際の算術平均粗さRaを測定した。なお、測定は小坂研究所株式会社製の商品名SE−340を用い、以下の測定条件とした。
[表面粗さ検出部の触針]
小坂研究所社製の商品名SE2555N(先端曲率半径:2μm、頂角:90度、材質:ダイヤモンド)
[表面粗さ測定器の測定条件]
・測定長さ:10mm
・測定速度:0.06mm/s
・測定レンジ:±32μm
・算出規格:JIS−’01規格
・形状除去:最小二重直線
・λs:2.5μm
1−2.鏡面光沢度
実施例及び比較例の包装材の外層側からJIS Z8741:1997に準拠して20度鏡面光沢度を20箇所測定し、20度鏡面光沢度の平均値(G20A)、及び、20度鏡面光沢度の変動係数(G20σ/G20A)を算出した。
1−3.意匠性
蛍光灯の照明下で実施例及び比較例の包装材を観察し、どのように見えるかを評価した。
2.包装材の作製
[実施例1]
紙基材1(密度:0.59g/cm、坪量:23.1g/m、透気度:6s/100ml)の一方の面の全面に、印刷用インキを用いて、厚み1μm以下のクリーム色の第1絵柄層をグラビア印刷により形成した。次いで、第1絵柄層上に、印刷用インキを用いて、厚み1μm以下のセピア色の第2絵柄層をグラビア印刷により部分的に形成した。第1絵柄層及び第2絵柄層により、天然素材を表現した絵柄(クラフト紙を表現した絵柄)を形成した。
次いで、シーラント層(CPP、エチレン−プロピレンブロック共重合体の単層フィルム、厚み25μm)上に厚み50nmのアルミ蒸着膜が形成されてなる積層体1を準備し、該積層体のアルミ蒸着膜上に、ポリオール及びイソシアネート化合物を含む接着剤層形成用塗布液を塗布、乾燥して、厚み3μmのポリウレタン系接着剤層を形成し、接着剤層、アルミ蒸着膜(金属層)及びシーラント層をこの順に有する積層体2を得た。
次いで、紙基材1の絵柄層を形成した面とは反対側の面に、積層体2の接着剤層側の面をニップロールで圧力(0.4MPa)をかけながらドライラミネートして、実施例1の包装材を得た。
実施例1の包装材は、絵柄層、紙基材、接着剤層、アルミ蒸着膜(金属層)及びシーラント層をこの順に有するものであった。
[比較例1]
紙基材1を紙基材2(密度:0.73g/cm、坪量:23.5g/m、透気度:36s/100ml)に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の包装材を得た。
本発明の包装材及び包装袋は、従来品とは全く異なる光沢感に基づく高度な意匠性を付与し得る点で有用である。また、本発明の包装材の製造方法は、前述した特性を備えた包装材を簡易に製造することができる点で有用である。
10:紙基材
21:第1絵柄層
22:第2絵柄層
22:第3絵柄層
20:絵柄層
30:接着剤層
40:金属層
41:金属蒸着膜
42:金属箔
50:シーラント層
100:包装材
101:背シール部
102:下シール部
103:上シール部
200:包装袋

Claims (11)

  1. 外層側から、絵柄層、紙基材、接着剤層及び金属層をこの順に有してなり、前記紙基材の密度が0.67g/cm以下である、包装材。
  2. 前記紙基材の坪量が15〜30g/mである、請求項1に記載の包装材。
  3. 前記紙基材のJIS P8117:2009に準拠した透気度が20s/100ml以下である、請求項1又は2に記載の包装材。
  4. 前記紙基材の絵柄層側の表面のJIS B0601:2001に準拠したカットオフ値0.8mmにおける算術平均粗さRaが2.8μm以上である、請求項1〜3の何れか1項に記載の包装材。
  5. 前記包装材の外層側からJIS Z8741:1997に準拠して測定した20度鏡面光沢度の平均をG20A、前記20度鏡面光沢度のバラツキをG20σとした際に、下記式(1)を満たす、請求項1〜4の何れか1項に記載の包装材。
    0.07≦G20σ/G20A (1)
  6. 前記金属層が金属箔又は金属蒸着膜である、請求項1〜5の何れか1項に記載の包装材。
  7. 前記絵柄層がベタ印刷層を有し、前記ベタ印刷層が部分的に隙間を有する、請求項1〜6の何れか1項に記載の包装材。
  8. 最内層にシーラント層を有する、請求項1〜7の何れか1項に記載の包装材。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の包装材を用いてなる包装袋。
  10. 下記(1)〜(2)の工程を有する、包装材の製造方法。
    (1)密度が0.67g/cm以下の紙基材の外層側に、絵柄層形成用インキを塗布し、絵柄層を形成する工程。
    (2)密度が0.67g/cm以下の紙基材の内層側に、接着剤層及び金属層を積層する工程。
  11. 前記工程(1)の後に、包装材の厚み方向に圧力をかける工程を行う、請求項10に記載の包装材の製造方法。
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