JP6932990B2 - 印刷物及び印刷物を用いた容器 - Google Patents
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Description
上記問題を解決するために、特許文献1が提案されている。
[1]基材上の少なくとも一部に光沢印刷層を有する印刷物であって、前記光沢印刷層は金属鱗片を含み、前記印刷物は、前記基材を基準として前記光沢印刷層を有する側の表面であって前記印刷物の平面方向において前記光沢印刷層の存在箇所に対応する箇所の少なくとも一部に凸部及び/又は凹部を有し、前記凸部及び/又は凹部の少なくとも一部は、印刷物の表面に対する垂線を基準として異なる側に傾斜し、かつ、印刷物の表面に対する傾斜角が連続的に変化しない一対の斜面を有するとともに、下記条件(a)及び/又は(b)を満たす、印刷物。
(a)前記凸部及び/又は凹部を横断する任意の断面において、前記一対の斜面の始点同士を結ぶ直線の長さXと、前記一対の傾斜角の終点同士を結ぶ直線の長さYとを比較する。X及びYのうち、長い方をL、短い方をSとした際に、S/Lが0.40以下。
(b)前記一対の斜面のうち一方の斜面の表面に粗面を有する。
[2]上記[1]に記載の印刷物を用いてなる容器。
本発明の印刷物は、基材上の少なくとも一部に光沢印刷層を有する印刷物であって、前記光沢印刷層は金属鱗片を含み、前記印刷物は、前記基材を基準として前記光沢印刷層を有する側の表面であって前記印刷物の平面方向において前記光沢印刷層の存在箇所に対応する箇所の少なくとも一部に凸部及び/又は凹部を有し、前記凸部及び/又は凹部の少なくとも一部は、印刷物の表面に対する垂線を基準として異なる側に傾斜し、かつ、印刷物の表面に対する傾斜角が連続的に変化しない一対の斜面を有するとともに、下記条件(a)及び/又は(b)を満たすものである。
(a)前記凸部及び/又は凹部を横断する任意の断面において、前記一対の斜面の始点同士を結ぶ直線の長さXと、前記一対の傾斜角の終点同士を結ぶ直線の長さYとを比較する。X及びYのうち、長い方をL、短い方をSとした際に、S/Lが0.40以下。
(b)前記一対の斜面のうち一方の斜面の表面に粗面を有する。
なお、図1〜3において、(i)は斜面の始点、(ii)は斜面の終点を意味している。また、図1及び図3においてHは凸部の高さを意味し、図2においてDは凹部の深さを意味している。
基材の材料は、従来からの印刷物に用いられている材料であれば特に限定されず、上質紙、中質紙、コート紙、合成紙、含浸紙、ラミネート紙、印刷用塗布紙、記録用塗布紙等の紙、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、あるいはこれらの複合体等を用いることができる。
このため、基材が紙基材の場合は、坪量が150〜550g/m2であることが好ましく、200〜400g/m2であることがより好ましい。
また、基材がプラスチックフィルム基材の場合は、8〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましい。
光沢印刷層は、基材上の少なくとも一部に形成され、光沢印刷層用インキを印刷することにより形成される。印刷物に光沢を付与する層を蒸着ではなく印刷により形成することにより、コストを低減するとともに、カールの発生を抑制できる。
また、金属蒸着膜で反射した反射光には拡散光が殆ど含まれない一方で、金属鱗片で反射した反射光には若干量の拡散光が含まれる。このため、金属鱗片を含む光沢印刷層は、金属蒸着膜に比べて、光沢印刷層に微細な傷が生じた際に、傷を目立ち難くすることができ、歩留まりを上げることができる点で好ましい。
光沢印刷層中における金属鱗片の偏在領域の厚みの割合[(金属鱗片の偏在領域の厚み/光沢印刷層の全厚み)]は、金属光沢と密着性のバランスの観点から、10〜60%であることが好ましく、20〜50%であることがより好ましく、25〜45%であることがさらに好ましい。
金属鱗片の平均厚み/金属鱗片の平均長さ≦0.010 (1)
[金属鱗片の平均厚み/金属鱗片の平均長さ]を0.010以下とすることにより、光沢印刷層用インキを塗布した時点で、光沢印刷層の水平方向(光沢印刷層の厚み方向と直交する方向)に対して金属鱗片が傾きにくくなる。このため、光沢印刷層の乾燥過程で溶剤が光沢印刷層の上方に流れる際に、金属鱗片が溶剤の流れの力を受けやすくなり、光沢印刷層の上部に金属鱗片が偏在化しやすくなるとともに、金属鱗片が平行に配列しやすくなるため、金属光沢を良好にしやすくできる。また、金属鱗片が傾くことによる弊害は、金属鱗片の含有量の増加に併せて増加するが、上記条件(1)を満たす場合、金属鱗片が傾きにくいことから金属鱗片の含有量を多くすることができ、金属光沢を良好にしやすくできる。
なお、金属鱗片の平均長さに対して金属鱗片の平均厚みが薄くなり過ぎると、取り扱い性が困難となることがあり、十分な金属光沢が発現できない可能性がある。
このため、条件(1)は、0.001≦金属鱗片の平均厚み/金属鱗片の平均長さ≦0.010を満たすことが好ましく、0.002≦金属鱗片の平均厚み/金属鱗片の平均長さ≦0.008を満たすことがより好ましく、0.002≦金属鱗片の平均厚み/金属鱗片の平均長さ≦0.005を満たすことがさらに好ましい。
10≦金属鱗片の平均長さ/光沢印刷層の厚み (2)
なお、[金属鱗片の平均長さ/光沢印刷層の厚み]が大きすぎると、光沢印刷層の表面から金属鱗片が突出する場合があることから、条件(2)は、12≦金属鱗片の平均長さ/光沢印刷層の厚み≦60を満たすことがより好ましく、14≦金属鱗片の平均長さ/光沢印刷層の厚み≦50を満たすことがさらに好ましい。
金属鱗片は、例えば、上記金属又は合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着してなる金属薄膜をプラスチックフィルムから剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、攪拌することにより得ることができる。
また、金属鱗片の平均厚みは、金属鱗片の偏在及び配列の観点から、0.10μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましく、0.06μm以下であることがさらに好ましい。また、金属鱗片の平均厚みは、取り扱い性及び高い光沢の観点から、0.01μm以上であることが好ましく、0.02μm以上であることがより好ましい。
レーザ干渉式の三次元形状解析装置としては、例えば、キーエンス社製の商品名「形状解析レーザ顕微鏡 VK−Xシリーズ」が挙げられる。
バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂(熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物)の硬化物が挙げられる。これらの中でも、基材、後述する着色層、保護層との密着性を良好にしやすい熱可塑性樹脂が好適である。
バインダー樹脂としての熱可塑性樹脂は、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂等が挙げられる。
なお、光沢印刷層の厚みは、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いて撮影した断面の画像から20箇所の厚みを測定し、20箇所の値の平均値から算出できる。測定する膜厚がμmオーダーの場合、SEMを用いることが好ましく、nmオーダーの場合、TEM又はSTEMを用いることが好ましい。SEMの場合、加速電圧は1kv〜10kV、倍率は1000〜7000倍とすることが好ましく、TEM又はSTEMの場合、加速電圧は10kv〜30kV、倍率は5万〜30万倍とすることが好ましい。
光沢印刷層以外の層の厚みも上記と同様の手法で測定できる。
光沢印刷層用インキは、金属鱗片の偏在及び乾燥効率の両立の観点から、全固形分100質量部に対して、溶剤を600〜1100質量部含有することが好ましい。溶剤としては、酢酸エチル、イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、酢酸ノルマルプロピル(NPAC)やこれらを混合したもの等が挙げられる。
印刷物は、印刷物の意匠性を高めることを目的として、着色層を有することが好ましい。
印刷物における着色層の厚み方向の位置は任意である。着色層は、基材上の光沢印刷層が形成されていない箇所に形成してもよいが、意匠性の観点からは、光沢印刷層上に形成することが好ましい。また、光沢印刷層上に着色層を形成する場合、光沢印刷層上の全面に着色層を形成してもよいし、光沢印刷層上の少なくとも一部に着色層を形成してもよい。
バインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
印刷物は、耐擦傷性及び耐候性を良好にするために、基材を基準として光沢印刷層を有する側の表面に保護層を有することが好ましい。保護層は、光沢印刷層及び必要に応じて設ける着色層の全領域を覆うように形成することが好ましい。また、保護層は、印刷物の光沢印刷層を有する側の表面の全領域を覆うように形成することがより好ましい。
保護層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。また、保護層の全樹脂成分における硬化性樹脂組成物の硬化物の割合は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。
硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物及び電離放射線硬化性樹脂組成物が挙げられる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。電離放射線硬化性化合物中には、多官能性(メタ)アクリレートモノマーを50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物中には、光安定剤、酸化防止剤、レベリング剤等の添加剤を含有していてもよい。
基材が溶剤を浸透しやすい素材の場合(特に基材が紙基材の場合)、基材と光沢印刷層との間に目止め層を形成することが好ましい。
基材と光沢印刷層との間に目止め層を形成することにより、上述したように、基材上に光沢印刷層を形成する過程で光沢印刷層の上部に金属鱗片を偏在させやすくすることができ、光沢印刷層の金属光沢を良好にしやすくできる。
また、基材の表面が荒れている場合、目止め層によって基材の表面を平滑化することができるため反射光が拡散する割合が減少し、印刷物の金属光沢感を良好にしやすくできる。
主成分とは、目止め層の全固形分の50質量%以上を意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
硬化性樹脂組成物としては、保護層の硬化性樹脂組成物の実施形態と同様のものを用いることができる。
本発明の印刷物は、基材を基準として光沢印刷層を有する側の表面であって印刷物の平面方向において光沢印刷層の存在箇所に対応する箇所の少なくとも一部に、凸部及び/又は凹部を有することを要する。
さらに、本発明の印刷物は、前記凸部及び/又は凹部の少なくとも一部は、印刷物の表面に対する垂線を基準として異なる側に傾斜し、かつ、印刷物の表面に対する傾斜角が連続的に変化しない一対の斜面を有するとともに、下記条件(a)及び/又は(b)を満たすことを要する。
(a)前記凸部及び/又は凹部を横断する任意の断面において、前記一対の斜面の始点同士を結ぶ直線の長さXと、前記一対の傾斜角の終点同士を結ぶ直線の長さYとを比較する。X及びYのうち、長い方をL、短い方をSとした際に、S/Lが0.40以下。
(b)前記一対の斜面のうち一方の斜面の表面に粗面を有する。
凸部及び凹部は、例えば、エンボス版及びデボス版によって形成することができる。
なお、印刷物が複数の凸部及び/又は凹部を有する場合、少なくとも何れかの凸部及び/又は凹部が条件(a)及び/又は条件(b)を満たせば、本発明の効果を発揮することができる。
以下、条件(a)及び/又は条件(b)を満たすことにより、金属光沢感を強く感じることができる理由を説明する。
この場合、斜面31で反射される光の多くは人間の目の視野に入るため、斜面31は明るく感じられる。一方、斜面32で反射される光の多くは人間の目の視野から外れるため、斜面32は暗く感じられる。
そして、2つの領域の間に明暗の差がある場合、マッハ効果によって、人間には明暗が強調されて感じられる。しかし、図5において、上面33の割合が多い場合(条件(a)のS/Lが0.40を超える場合)、マッハ効果による明暗の強調効果を得にくくなる。上面33の明るさは、斜面31の明るさと斜面32の明るさとの中間値であり、上面33の割合が多いことによって、斜面31と斜面32との明暗差が認識しにくくなるためである。
一方、上面33の割合が少ない場合(条件(a)のS/Lが0.40以下の場合)、マッハ効果による明暗の強調効果を得ることができる。また、人間が金属光沢を感じる原因は、金属に特有の角度による急激な輝度変化にある。したがって、条件(a)のS/Lを0.40以下とすることにより、マッハ効果による明暗の強調効果(輝度変化の強調効果)によって、金属光沢を強く感じることができる。
上記説明は凸部についてのものであるが、凹部についても同様のことがいえる。
したがって、条件(b)を満たす場合、S/Lが0.40を超えても、マッハ効果による明暗の強調効果(輝度変化の強調効果)を得ることができ、金属光沢を強く感じることができる。
粗面40は、例えば、複数の微細な凹凸形状により形成することができる。粗面40を形成する個々の凹凸形状の高さ及び/又は深さは、0.05mm以下であることが好ましく、0.03mm以下であることがより好ましく、0.02mm以下であることがさらに好ましい。
粗面40は、斜面32の全部に有していてもよいし、図3に示すように斜面32の一部に有していてもよい。また、斜面32の長さ(斜面32の始点(i)から終点(ii)までの長さ)における粗面を有する箇所の長さの割合は、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
また、凸部及び凹部は、条件(a)及び条件(b)のいずれか一方を満たす限り上記効果を得ることができるが、凹部の方がより金属光沢を高めやすい点で好ましい。
このため、S/Lは、0.05以上0.40以下であることが好ましく、0.07以上0.37以下であることがより好ましく、0.08以上0.35以下であることがさらに好ましい。
条件(a)において、凸部及び/又は凹部を横断する任意の断面の方向は特に限定されないが、凸部及び/又は凹部が任意の方向に伸長する形状である場合には、前記断面の方向は、凸部及び/又は凹部の伸長方向に直交する方向であることが好ましい。
例えば、真上から観察した形状(平面形状)が図7の形状である凸部が存在したとする。図7の凸部は、左斜面31、上面33及び右斜面32から形成されており、伸長方向(図7の上下方向)においてS/Lが変化する形状となっている。図7の凸部の場合、凸部の全長zの50%以上において条件(a)を満たす(S/Lが0.40以下である)ことが好ましい。
後述するS、角度d、高さH、深さDについても同様である。すなわち、凸部及び/又は凹部が任意の方向に伸長する形状である場合には、凸部及び/又は凹部の全長の50%以上(より好ましくは70%以上。さらに好ましくは90%以上)において、S、角度d、高さH、深さDが後述する範囲であることが好ましい。
斜面の始点付近及び終点付近がなだらかに変化している場合、図6のように始点(i)及び終点(ii)を決定するものとする。具体的には、始点(i)は、斜面の接線と印刷物の平滑面の接線との交点とする。また、終点(ii)は、凸部又は凹部の外形が斜面の接線から外れた点とする。
なお、図6の作業は、例えば、印刷物の断面をSEM又はTEMで撮像した写真に基づいて実施することができる。
なお、Sが小さすぎると凸部及び/又は凹部の物理的強度が弱くなる傾向にある。このため、Sは、0.1mm以上1.0mm未満であることがより好ましく、0.1mm以上0.8mm以下であることがさらに好ましく、0.1mm以上0.5mm以下であることがよりさらに好ましい。
角度dを2.0度以上とすることにより、一対の斜面の明暗差をより認識しやすくすることができ、金属光沢を強く感じやすくすることができる。また、角度dを60.0度以下とすることにより、凸部及び/又は凹部の物理的強度の低下を抑制できる。
なお、一対の斜面を構成する一方の斜面の角度と、他方の斜面の角度とは、同一であることが好ましいが、本発明の効果が得られる範囲においては異なっていてもよい。
凸部の高さH及び/又は凹部の深さDを0.02mm以上とすることにより、一対の斜面の明暗差をより認識しやすくすることができ、金属光沢を強く感じやすくすることができる。また、凸部の高さH及び/又は凹部の深さDを1.00mm以下とすることにより、印刷物の表面を凹凸処理する際に、印刷物を構成する各層が破壊されることを抑制しやすくできる。
また、凸部及び/又は凹部は、任意の方向に伸長していることが好ましい。凸部及び/又は凹部が任意の方向に伸長していることにより、長い距離において金属光沢を強く感じることができ、意匠性をより良好にすることができる。伸長の仕方は、図4の左上のように直線状の伸長でもよいし、図4の右下のように曲線状の伸長でもよい。
本発明の容器は、上述した本発明の印刷物を用いてなるものである。
本発明の容器は、凸部及び/又は凹部を有する箇所で金属光沢感を強く感じることができ、意匠性に優れるものである。また、印刷物のカールが抑制されているため、容器の製造過程で、カールを原因としたトラブルを生じることを防止できる。また、本発明の印刷物の表面に微細な傷が生じた場合、金属蒸着を用いた印刷物の表面に傷が生じた場合に比べて、傷を目立ち難くすることができる。
実施例及び比較例で作製した印刷物について、以下の測定及び評価を行った。結果を表1示す。
JIS Z8741:1997に従って、測定器としてBYK Gardner社のmicro−TRI−glossを用いて、実施例及び比較例の印刷物の基材を基準として光沢印刷層を有する側の表面の60度鏡面光沢度を測定した。なお、測定箇所は凸部及び凹部を有さない箇所とした。
単照明ではない(複数の照明又は広範な照明)環境において、実施例及び比較例の印刷物を様々な角度に傾けて、金属光沢を感じる程度を目視で評価した。金属光沢を強く感じるものを2点、金属光沢を感じるものを1点、金属光沢をそれほど感じないものを0点として、20人が評価を行い、平均点を算出した。
平均点が1.8以上のものを「AA」、平均点が1.6以上1.8未満のものを「A」、平均点が1.5以上1.6未満のものを「B」、平均点が1.0以上1.5未満のものを「C」、平均点が1.0未満のものを「D」とした。
[実施例1]
基材(坪量235g/m2の片面アイボリー紙)のコート面側の全面に、下記処方の目止め層用インキ1を乾燥後の厚みが6μmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射して、目止め層(電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物層)を形成した。
次いで、目止め層の全面に、下記処方の光沢印刷層用インキ2を乾燥後の厚みが0.50μmとなるように塗布、乾燥して、光沢印刷層を形成した。光沢印刷層の金属鱗片が実質的に存在しない領域の厚みは0.30μm、金属鱗片偏在領域の厚みは0.20μmであった。
次いで、光沢印刷層上の任意の箇所に、オフセット印刷により着色層用インキを塗布し、黄色層を形成した。次いで、着色層及び光沢印刷層の全面を覆うように、フレキソ印刷により下記処方の保護層用インキ3を乾燥後の厚みが1.0μmとなるように塗布し、紫外線照射して、保護層(紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物層)を形成した。
次いで、断面台形のエンボス版を用いて、基材を基準として光沢印刷層を有する側の表面(保護層の表面)に凸部を形成し、実施例1の印刷物を得た。なお、印刷物に形成された凸部の高さH、S及びLの長さ、傾斜角を表1に示す。
・電離放射線硬化性化合物 70部
(BASFジャパン社製、商品名:Lumogen OVD Primer301)
(2官能アクリレートモノマーと3官能アクリレートモノマーとの混合物)
・溶剤(酢酸エチル) 30部
・バインダー樹脂(硝化綿) 4.8部
(DICグラフィックス社製)
(商品名:XS−763メジュームNT−No.1)
・アルミニウム鱗片 7.2部
(平均長さ14μm、平均厚さ0.04μm)
・溶剤(酢酸エチル、IPA、エタノール、NPAC) 88部
・紫外線硬化性樹脂組成物 100部
(株式会社T&K TOKA製、商品名:UV フレキソ 500 シリーズ(メジウム)、粘度:400mPa・s)
エンボス板を変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜7の印刷物を得た。なお、印刷物に形成された凸部の高さH、S及びLの長さ、傾斜角を表1に示す。
エンボス板をデボス板に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例8〜9の印刷物を得た。なお、印刷物に形成された凹部の深さD、S及びLの長さ、傾斜角を表1に示す。
エンボス版により凸部を形成しなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1の印刷物を得た。
エンボス板を変更した以外は実施例1と同様にして、比較例2の印刷物を得た。なお、印刷物に形成された凸部の高さD、S及びLの長さ、傾斜角を表1に示す。
Claims (12)
- 基材上の少なくとも一部に光沢印刷層を有する印刷物であって、前記光沢印刷層は金属鱗片を含み、
前記印刷物は、前記基材を基準として前記光沢印刷層を有する側の表面であって前記印刷物の平面方向において前記光沢印刷層の存在箇所に対応する箇所の少なくとも一部に凸部及び/又は凹部を有し、
前記凸部及び/又は凹部の少なくとも一部は、印刷物の表面に対する垂線を基準として異なる側に傾斜し、かつ、印刷物の表面に対する傾斜角が連続的に変化しない一対の斜面を有するとともに、下記条件(a)及び/又は(b)を満たす、印刷物。
(a)前記凸部及び/又は凹部を横断する任意の断面において、前記一対の斜面の始点同士を結ぶ直線の長さXと、前記一対の傾斜角の終点同士を結ぶ直線の長さYとを比較する。X及びYのうち、長い方をL、短い方をSとした際に、S/Lが0.40以下。
(b)前記一対の斜面のうち一方の斜面の表面に粗面を有する。 - 前記金属鱗片の平均長さが、5.0〜30.0μmであり、かつ、平均厚みが0.02μm以上である請求項1に記載の印刷物。
- 前記条件(a)のS/Lが、0.05以上0.40以下である請求項1又は2に記載の印刷物。
- 前記Sが1.0mm未満である請求項1〜3の何れか1項に記載の印刷物。
- 前記印刷物の表面と前記一対の斜面とが成す角が2.0〜60.0度である請求項1〜4の何れか1項に記載の印刷物。
- 前記凸部の高さ、及び/又は、前記凹部の深さが、0.02〜1.00mmである請求項1〜5の何れか1項に記載の印刷物。
- 前記凸部及び/凹部が任意の方向に伸長しており、前記凸部及び/又は凹部の全長の50%以上において前記条件(a)及び/又は前記条件(b)を満たす請求項1〜6の何れか1項に記載の印刷物。
- 前記光沢印刷層により絵柄が形成されてなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の印刷物。
- 前記光沢印刷層上に着色層を有する請求項1〜8の何れか1項に記載の印刷物。
- 前記印刷物の前記基材を基準として前記光沢印刷層を有する側の表面に保護層を有する請求項1〜9の何れか1項に記載の印刷物。
- 前記基材が紙基材である請求項1〜10のいずれか1項に記載の印刷物。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載の印刷物を用いてなる容器。
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