JP2022061742A - 金属光沢印刷物 - Google Patents

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【課題】金属鱗片を含む金属光沢層を有し、正反射方向から観察した場合高い輝度感を観察できる印刷物の提供。【解決手段】基材11上に金属鱗片を含む金属光沢層13を設け、金属光沢層13を有する側の最表面に表面保護層14を設けて成り、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して-45度~+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとしたとき、1.5度≦α≦3.0度(1)、2.0度≦β≦4.0度(2)、3.5度≦γ≦8.0度(3)、0.4度≦β-α≦1.0度(4)、1.5度≦γ-β≦3.9度(5)の条件を満たす印刷物。【選択図】図1

Description

本発明は金属鱗片を含む金属光沢層を有する印刷物に関する。
このような印刷物は、例えば、特許文献1に記載されている。
しかし、この印刷物は防眩性の高いもので、このため、正反射方向の光反射強度を低下させ、他方、これ以外の反射拡散方向の光反射強度を増大させて、全体として均一な光強度となるようにしたものである。このため、正反射方向から観察した場合にも、輝度感の低いものとなっていた。
特開2016-88097号公報
そこで、本発明は、金属鱗片を含む金属光沢層を有する印刷物であって、正反射方向から観察した場合高い輝度感を観察できる印刷物を提供することを目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基材上に金属鱗片を含む金属光沢層を設け、この金属光沢層を有する側の最表面に表面保護層を設けて成る印刷物であって、この印刷物の表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して-45度~+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、これらα、β及びγが以下の条件(1)~(5)を満たすことを特徴とする金属光沢印刷物である。
1.5度≦α≦3.0度 (1)
2.0度≦β≦4.0度 (2)
3.5度≦γ≦8.0度 (3)
0.4度≦β-α≦1.0度 (4)
1.5度≦γ-β≦3.9度 (5)
次に、請求項2に記載の発明は、基材と金属光沢層との間に、厚み1.0~3.0μmのアンカーコート層を備えることを特徴とする請求項1に記載の金属光沢印刷物である。
本発明によれば、金属鱗片を含む金属光沢層を有する印刷物であるにも拘わらず、正反射方向の光反射強度が高く、したがって、この方向から観察したとき、高い輝度感を観察することができる。
図1は本発明の金属光沢印刷物の具体例の断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の具体例を説明する。図1は本発明の金属光沢印刷物の具体例の断面図である。
図1から分かるように、本発明は、基材11上に金属鱗片を含む金属光沢層13を設け、この金属光沢層を有する側の最表面に表面保護層14を設けて成る金属光沢印刷物10である。なお、この例では、基材11と金属光沢層13との間にアンカーコート層12が設けられている。また、金属光沢層13と表面保護層14との間にその他の層を設けてもよいが、表面保護層14側からこの印刷物10を観察したとき、金属光沢層13が透視できる必要がある。金属光沢層13と表面保護層14との間に設ける層としては、部分的に印刷された絵柄印刷層が例示できる。
そして、本発明の印刷物10は、この印刷物の表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して-45度~+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、光沢印刷層が位置する直上部の表面保護層の少なくとも一部の領域において、これらα、β及びγが以下の条件(1)~(5)を満たすことを特徴とするものである。
1.5度≦α≦3.0度 (1)
2.0度≦β≦4.0度 (2)
3.5度≦γ≦8.0度 (3)
0.4度≦β-α≦1.0度 (4)
1.5度≦γ-β≦3.9度 (5)
α、β及びγの基準となる「正反射方向の反射強度」は、印刷物に入射し、反射する光のうち、正反射方向に反射する光の強度を示している。つまり、正反射方向の反射強度は、表面保護層の表面、光沢印刷層の表面、及びこれらの層の内部で拡散されることなく、正反射方向に向けて出射する正反射光の強度である。また、正反射方向の反射強度は、表面保護層の表面の平滑箇所、及び光沢印刷層の上部に基材と平行に配列された金属鱗片で正反射された光の強度とも言える。
一方、α、β及びγは、印刷物に入射し、反射する光のうち、正反射方向とは異なる方向に向けて出射する反射光、すなわち、拡散反射光を示している。一般に、このような正反射光と拡散反射光とを比較すると、正反射方向に向けて出射する正反射光の反射強度がもっとも大きく、この正反射方向からずれるにしたがってその光強度が低下する。例えば、正反射光の光強度がもっとも大きく、正反射方向に対して1.0度を成す方向に出射する拡散反射光の光強度はこれより小さく、正反射方向に対して2.0度を成す方向に出射する拡散反射光の光強度はさらにそれより小さい。
そこで、α、β及びγは反射光が広がる程度を反映している。すなわち、反射光の広がり方が小さく、したがって、正反射光の反射強度が大きければ、α、β及びγはいずれも小さい値となる。これに対し、反射光の広がり方が大きければα、β及びγはいずれも大きい値となる。すなわち、α、β及びγは、これらの値が小さいほど、反射光の広がり方が少なく、正反射方向から観察したときの輝度感が高いのである。
なお、(β-α)の値と(γ-β)の値についても同様である。すなわち、反射光の広がり方が少なく、正反射方向から観察したときの輝度感が高いときには、(β-α)の値も(γ-β)の値も小さい値となる。
本発明にあっては、これらα、β、γ、(β-α)及び(γ-β)の値がいずれも小さ
いから、反射光の広がりが小さく、その反射光の大部分が正反射方向に集中している。そして、このため、したがって、この正反射方向から観察したとき、高い輝度感を観察することができる。
なお、反射強度は、次の方法で測定できる。すなわち、まず、印刷物の表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線(平行光線)を照射する。そして、反射した光について、照射光の正反射方向を0度として、正反射方向に対して-45度~+45度の範囲で0.1度ごとに受光器を走査して、各角度での強度(光度)を測定する。強度測定の際は光源の明るさを一定とする。また、強度(光度)測定の際は、受光器の絞りにより検出する受光器の開口角を0.1度とする。このため、例えば、0度(正反射)の測定では±0.05度の範囲を測定し、1度の測定では0.95度~1.05度の範囲を測定し、-1度の測定では-0.95度~-1.05度の範囲を測定することになる。なお、-45度については、-44.95度~-45.00度の範囲の測定となり、他の角度よりも測定範囲が0.05度狭くなるが、-45度に達するような大きな拡散は殆ど存在しないことから、条件(1)に影響を与えることはない。測定装置としては、常用の変角光度計(ゴニオフォトメーター)を用いることができる。
なお、前述のように、正反射方向からずれるにしたがってその光反射強度は低下することが通常であるが、測定角度が0度から大きく離れると、反射強度が漸減することなく上下動することがある。この場合、正反射強度の一定割合以下に落ちた後、この割合を越し、再度該割合以下に落ちることがある。このように、正反射強度の一定割合以下となる測定角度が複数観察される場合、この割合以下となる測定角度は、最初に現れる測定角度と、最後に現れる測定角度との中間値とする。
また、α、β及びγは測定したこの反射強度に基づいて算出できる。すなわち、まず、正反射方向(0度)の反射強度(正反射強度)の値を確認する。そして、この正反射強度の1/2となる測定角度を、プラス方向及びマイナス方向の双方で確認し、プラス方向及びマイナス方向のこれら角度の絶対値の平均値をαとする。同様に、正反射強度の1/3となる測定角度を、プラス方向及びマイナス方向の双方で確認し、プラス方向及びマイナス方向のこれら角度の絶対値の平均値をβとする。また、正反射強度の1/10となる測定角度を、プラス方向及びマイナス方向の双方で確認し、プラス方向及びマイナス方向のこれら角度の絶対値の平均値をγとする。
ところで、基材11としては、紙やプラスチックフィルムを使用することができる。紙としては、上質紙、中質紙、コート紙、合成紙、含浸紙、ラミネート紙、印刷用塗布紙、記録用塗布紙等が例示できる。プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が例示できる。また、これら各種材質のフィルムや紙を積層した多層構造のフィルムであってもよく、更に、蒸着層や印刷層を設けたフィルムを基材フィルムとしてもよい。
次に、基材11と金属光沢層13との間にアンカーコート層12を介在させることにより、正反射方向の光反射強度が高くすることができる。この目的のため、アンカーコート層12は1.0~3.0μmの厚みを有することが望ましい。後述する実施例と比較例とを対比して分かるように、アンカーコート層12がこれより厚くなると、α、β及びγがそれぞれ大きくなり、また、(β-α)の値や(γ-β)の値も大きくなって、正反射方向の光反射強度を高めることができない。
アンカーコート層12は、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、電離放射線を照射して硬化させることによって形成できる。
この電離放射線硬化性樹脂組成物としては、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができるが、高い架橋密度により、傷つき防止性及び浸透防止性をより良好にする観点から、モノマーが好適である。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物(紫外線硬化性樹脂組成物)は、光重合開始剤を含むことが好ましい。例えば、セトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等である。
次に、金属光沢層13は、金属鱗片、樹脂バインダー及びその他の添加剤を溶剤に配合して塗料とし、この塗料を塗布して形成することができる。
金属鱗片の材質としては、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等の金属や合金が挙げられる。
金属鱗片の平均長さは、5.0~30μmであることが好ましく、8.0~20μmであることがより好ましい。また、金属鱗片の平均厚みは、0.10μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましい。
このような金属鱗片は、例えば、前記金属や合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着してなる金属薄膜をプラスチックフィルムから剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、攪拌することにより製造することができる。
樹脂バインダーとしては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。また、樹脂バインダーとして、紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物を用いてもよい。
樹脂バインダーと金属鱗片との配合比は、固形分質量比で55:45~30:70であることが好ましく、50:50~35:65であることがより好ましい。樹脂バインダー55に対して金属鱗片を45以上とすることにより、十分な金属光沢を得やすくなり、樹脂バインダー30に対して金属鱗片を70以下とすることにより、金属光沢層の印刷性、印刷物の加工性を良好にしやすくできる。
その他の添加剤としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、酸化鉄、鉄黄、群青、メタリック顔料、パール顔料等の着色剤を例示できる。この他、常法に従が
い、消泡剤、増粘剤等を添加剤として添加することができる。
また、溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピル等を使用できる。
金属光沢層13の厚みは、0.15~1.5μmであることが好ましく、0.20~1.0μmであることがより好ましい。
塗布方法としては、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ダイコーティング法等、公知の塗布方法を利用することができる。
次に、表面保護層14は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいは紫外線硬化性樹脂を塗布し、必要な乾燥処理、加熱硬化処理、あるいは紫外線照射処理を施すことにより形成することができる。
熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等を使用することができる。また、紫外線硬化性樹脂としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基を持つモノマーに、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を配合したものを使用することができる。
表面保護層14の塗布方法としては、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ダイコーティング法等、公知の塗布方法を利用することができる。
(実施例1)
紙を基材11とし、この上に、アンカーコート層12、金属光沢層13、表面保護層14をこの順に塗布して金属光沢印刷物10とした。なお、アンカーコート層12の厚みは2.2μmである。そして、この印刷物10のαは1.55度、βは2.05度、γは3.85度であった。また、(β-α)の値は0.50度、(γ-β)の値は1.80度である。
(実施例2~3,比較例1~3)
アンカーコート層12の厚みを変えた他は実施例1と同様に金属光沢印刷物10を製造した。これら金属光沢印刷物10のアンカーコート層12の厚み、α、β、γ、(β-α)及び(γ-β)の値を表1に示す。
Figure 2022061742000002
そして、これら実施例1~3,比較例1~3の印刷物を手に取ってさまざまな角度から観察したとき、比較例1~3の印刷物では、観察角度を変えても輝度感が変化せず、どこから見ても一様で安定した金属光沢を示したが、実施例1~3では観察角度に応じて輝度感が変化した。正反射方向から観察したときには、特に輝度感の強い金属光沢を観察できた。
10:金属光沢印刷物 11:基材 12:アンカーコート層 13:金属光沢層 14:表面保護層

Claims (2)

  1. 基材上に金属鱗片を含む金属光沢層を設け、この金属光沢層を有する側の最表面に表面保護層を設けて成る印刷物であって、この印刷物の表面保護層側の面に向けて、法線から45度の角度で可視光線を照射した際の正反射方向に対して-45度~+45度の範囲で0.1度ごとに反射強度を測定し、正反射方向の反射強度の1/2の反射強度を示す拡散角度の絶対値をα、正反射方向の反射強度の1/3の反射強度を示す拡散角度の絶対値をβ、正反射方向の反射強度の1/10の反射強度を示す拡散角度の絶対値をγとした際に、これらα、β及びγが以下の条件(1)~(5)を満たすことを特徴とする金属光沢印刷物。
    1.5度≦α≦3.0度 (1)
    2.0度≦β≦4.0度 (2)
    3.5度≦γ≦8.0度 (3)
    0.4度≦β-α≦1.0度 (4)
    1.5度≦γ-β≦3.9度 (5)
  2. 基材と金属光沢層との間に、厚み1.0~3.0μmのアンカーコート層を備えることを特徴とする請求項1に記載の金属光沢印刷物。
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