JP2022061741A - 金属光沢印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属鱗片を含む金属光沢層を有する印刷物であって、正反射方向から観察した場合高い輝度感を観察できる印刷物を提供すること。【解決手段】基材11上に金属鱗片を含む金属光沢層13を設け、この金属光沢層を有する側の最表面に表面保護層14を設けて成る印刷物であって、この表面保護層の表面のカットオフ値を0.08mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さ(Ra0.08)と、表面保護層の表面のカットオフ値を0.25mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さ(Ra0.25)と、表面保護層の表面のカットオフ値を0.8mmとした際のJIS B0601:2001の算術平均粗さ(Ra0.8)とが、以下の式(1)の値Xが2.0~4.0の範囲にあるようにする。X=(Ra0.8-Ra0.25)/(Ra0.25-Ra0.08) (1)【選択図】図1

Description

本発明は金属鱗片を含む金属光沢層を有する印刷物に関する。
このような印刷物は、例えば、特許文献1に記載されている。
しかし、この印刷物は防眩性の高いもので、このため、正反射方向の光反射強度を低下させ、他方、これ以外の反射拡散方向の光反射強度を増大させて、全体として均一な光強度となるようにしたものである。このため、正反射方向から観察した場合にも、輝度感の低いものとなっていた。
特開2016-88095号公報
そこで、本発明は、金属鱗片を含む金属光沢層を有する印刷物であって、正反射方向から観察した場合高い輝度感を観察できる印刷物を提供することを目的とする。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基材上に金属鱗片を含む金属光沢層を設け、この金属光沢層を有する側の最表面に表面保護層を設けて成る印刷物であって、カットオフ値を0.08mmとした際のこの表面保護層の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さ(Ra0.08)と、カットオフ値を0.25mmとした際の表面保護層の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さ(Ra0.25)と、カットオフ値を0.8mmとした際の表面保護層の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さ(Ra0.8)とを使用して、以下の式(1)に従って算出したXの値が2.0~4.0の範囲にあることを特徴とする金属光沢印刷物である。
X=(Ra0.8-Ra0.25)/(Ra0.25-Ra0.08) (1)
また、請求項2に記載の発明は、基材と金属光沢層との間に、厚み1.0~3.0μmのアンカーコート層を備えることを特徴とする請求項1に記載の金属光沢印刷物である。
本発明によれば、金属鱗片を含む金属光沢層を有する印刷物であるにも拘わらず、正反射方向の光反射強度が高く、したがって、この方向から観察したとき、高い輝度感を観察することができる。
図1は本発明の金属光沢印刷物の具体例の断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の具体例を説明する。図1は本発明の金属光沢印刷物の具体例の断面図である。
図1から分かるように、本発明は、基材11上に金属鱗片を含む金属光沢層13を設け
、この金属光沢層を有する側の最表面に表面保護層14を設けて成る金属光沢印刷物10である。なお、この例では、基材11と金属光沢層13との間にアンカーコート層12が設けられている。また、金属光沢層13と表面保護層14との間にその他の層を設けてもよいが、表面保護層14側からこの印刷物10を観察したとき、金属光沢層13が透視できる必要がある。金属光沢層13と表面保護層14との間に設ける層としては、部分的に印刷された絵柄印刷層が例示できる。
そして、本発明の印刷物は、表面保護層14の表面について、次の式(1)に従って算出したXの値が2.0~4.0の範囲にあるものである。
X=(Ra0.8-Ra0.25)/(Ra0.25-Ra0.08) (1)
なお、ここで、Ra0.8はカットオフ値を0.08mmとした際の表面保護層の表面の算術平均粗さを意味する。算術平均粗さRa0.8は、JIS B0601:2001に従って測定したものである。同様に、Ra0.25はカットオフ値を0.25mmとした際の表面保護層の表面の算術平均粗さを意味する。また、Ra0.08はカットオフ値を0.8mmとした際の表面保護層の表面の算術平均粗さを意味している。
カットオフ値は、粗さ成分(高周波成分)と、うねり成分(低周波成分)とから構成される断面曲線から、うねり成分(低周波成分)をカットする度合いを示す値である。言い換えると、カットオフ値は、うねり成分(低周波成分)をカットするフィルターの細かさを示す値である。より具体的には、カットオフ値が大きいと、フィルターが粗いため、うねり成分のうち大きなうねり(低周波成分)はカットされるが、小さなうねりはカットされないこととなる。つまり、カットオフ値が大きいと、うねり成分(低周波成分)を含んだ値となる。一方、カットオフ値が小さいと、フィルターが細かいため、うねり成分(低周波成分)のほとんどがカットされることとなる。つまり、カットオフ値が小さいと、うねり成分(低周波成分)を殆ど含まない、粗さ成分(高周波成分)が正確に反映された値となる。
このため、カットオフ値を0.08mmとすると、低周波成分と中周波成分との両者がうねりとしてカットされるから、測定されたRa0.08には高周波成分が反映されている。
また、カットオフ値を0.25mmとすると、低周波成分がうねりとしてカットされるから、測定されたRa0.25には中周波成分と高周波成分との両者が反映されている。
また、カットオフ値を0.8mmとすると、より低周波の成分はうねりとしてカットされるが、比較的低周波の成分、中周波成分及び高周波成分がRa0.8に反映されている。
このため、式(1)における分子(Ra0.8-Ra0.25)は、比較的低周波の成分を反映した数値である。一方、分母(Ra0.25-Ra0.08)は中周波成分を反映した数値である。したがって、式(1)に従って算出したXの値は表面保護層14の表面の凹凸のうち、比較的低周波の成分を反映した数値と中周波成分を反映した数値との比を意味する。
正反射方向の反射光は、表面保護層14の表面の凹凸のうち比較的低周波の成分によって生じ、周囲に散乱する散乱反射光は前記凹凸の中周波成分や高周波成分によって生じるから、前記数値Xが大きいことは、正反射方向の光反射強度が高いことを意味する。したがって、この正反射方向から観察したとき、高い輝度感を観察することができる。
なお、後述するように、金属光沢層13の表面についても、カットオフ値を0.08mmとする算術平均粗さRa0.08、カットオフ値を0.25mmとする算術平均粗さRa0.25、カットオフ値を0.8mmとする算術平均粗さRa0.8及びこれらRa0.08,Ra0.25,Ra0.8から式(1)に従って算出される数値Xを考えるとき、その数値Xが2.0~4.0の範囲にあるように金属光沢層13を形成し、次にこの金属光沢層13の表面凹凸に追従するように表面保護層14を形成することにより、この表面保護層14の表面の前記Xの値も2.0~4.0の範囲にあるように構成することが可能である。
ところで、基材11としては、紙やプラスチックフィルムを使用することができる。紙としては、上質紙、中質紙、コート紙、合成紙、含浸紙、ラミネート紙、印刷用塗布紙、記録用塗布紙等が例示できる。プラスチックフィルムとしては、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が例示できる。また、これら各種材質のフィルムや紙を積層した多層構造のフィルムであってもよく、更に、蒸着層や印刷層を設けたフィルムを基材フィルムとしてもよい。
次に、基材11と金属光沢層13との間にアンカーコート層12を介在させることにより、正反射方向の光反射強度が高くすることができる。この目的のため、アンカーコート層12は1.0~3.0μmの厚みを有することが望ましい。後述する実施例と比較例とを対比して分かるように、アンカーコート層12がこれより厚くなると、式(1)で表される数値Xが小さくなり、このため、正反射方向の光反射強度を高めることができない。
アンカーコート層12は、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、電離放射線を照射して硬化させることによって形成できる。
この電離放射線硬化性樹脂組成物としては、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができるが、高い架橋密度により、傷つき防止性及び浸透防止性をより良好にする観点から、モノマーが好適である。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物(紫外線硬化性樹脂組成物)は、光重合開始剤を含むことが好ましい。例えば、セトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等である。
次に、金属光沢層13は、金属鱗片、樹脂バインダー及びその他の添加剤を溶剤に配合して塗料とし、この塗料を塗布して形成することができる。
金属鱗片の材質としては、アルミニウム、金、銀、真鍮、チタン、クロム、ニッケル、ニッケルクロム、ステンレス等の金属や合金が挙げられる。
金属鱗片の平均長さは、5.0~30μmであることが好ましく、8.0~20μmであることがより好ましい。また、金属鱗片の平均厚みは、0.10μm以下であることが好ましく、0.08μm以下であることがより好ましい。
このような金属鱗片は、例えば、前記金属や合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着してなる金属薄膜をプラスチックフィルムから剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、攪拌することにより製造することができる。
樹脂バインダーとしては、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられる。また、樹脂バインダーとして、紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物を用いてもよい。
樹脂バインダーと金属鱗片との配合比は、固形分質量比で55:45~30:70であることが好ましく、50:50~35:65であることがより好ましい。樹脂バインダー55に対して金属鱗片を45以上とすることにより、十分な金属光沢を得やすくなり、樹脂バインダー30に対して金属鱗片を70以下とすることにより、金属光沢層の印刷性、印刷物の加工性を良好にしやすくできる。
その他の添加剤としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、酸化鉄、鉄黄、群青、メタリック顔料、パール顔料等の着色剤を例示できる。この他、常法に従がい、消泡剤、増粘剤等を添加剤として添加することができる。
また、溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ノルマルプロピル等を使用できる。
金属光沢層13の厚みは、0.15~1.5μmであることが好ましく、0.20~1.0μmであることがより好ましい。
塗布方法としては、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ダイコーティング法等、公知の塗布方法を利用することができる。
こうして形成された金属光沢層13の表面凹凸は、前記数値Xが2.0~4.0の範囲にあるように構成することが望ましい。そして、金属光沢層13の表面凹凸に追従する表面保護層14をこの金属光沢層13の上に形成することにより、表面保護層14の表面凹凸も式(1)に従って算出する前記Xの値が2.0~4.0の範囲にあるように構成されるのである。
次に、表面保護層14は、印刷物10の最表面に位置して、その耐擦傷性及び耐候性を向上させるものである。また、この表面保護層14表面の凹凸により、この印刷物10に入射した光の反射方向を制御して、正反射方向の光反射強度を高くするものである。そして、このため、前述のように、数値Xが2.0~4.0の範囲にある表面凹凸を有する金属光沢層13に追従してこの表面保護層14を形成することにより、その表面のXの値も2.0~4.0の範囲にあるようにすることができる。
表面保護層14は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいは紫外線硬化性樹脂を塗布し
、必要な乾燥処理、加熱硬化処理、あるいは紫外線照射処理を施すことにより形成することができる。
熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等を使用することができる。また、紫外線硬化性樹脂としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基を持つモノマーに、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を配合したものを使用することができる。
表面保護層14の塗布方法としては、例えば、グラビアコーティング法、ロールコーティング法、ダイコーティング法等、公知の塗布方法を利用することができる。
(実施例1)
紙を基材11とし、この上に、アンカーコート層12、金属光沢層13、表面保護層14をこの順に塗布して金属光沢印刷物10とした。なお、アンカーコート層12の厚みは2.2μmである。そして、この印刷物10の表面保護層の表面のRa0.8は0.39、Ra0.25は0.18、Ra0.08は0.10、Xの値は2.63であった。
(実施例2~3,比較例1~4)
アンカーコート層12の厚みを変えた他は実施例1と同様に金属光沢印刷物10を製造した。これら金属光沢印刷物10のアンカーコート層12の厚み、表面保護層の表面のRa0.8、Ra0.25、Ra0.08及びXの値を表1に示す。
Figure 2022061741000002
そして、これら実施例1~3,比較例1~4の印刷物を手に取ってさまざまな角度から観察したとき、比較例1~4の印刷物では、観察角度を変えても輝度感が変化せず、どこから見ても一様で安定した金属光沢を示したが、実施例1~3では観察角度に応じて輝度感が変化した。正反射方向から観察したときには、特に輝度感の強い金属光沢を観察できた。
10:金属光沢印刷物 11:基材 12:アンカーコート層 13:金属光沢層 14:表面保護層

Claims (2)

  1. 基材上に金属鱗片を含む金属光沢層を設け、この金属光沢層を有する側の最表面に表面保護層を設けて成る印刷物であって、カットオフ値を0.08mmとした際のこの表面保護層の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さ(Ra0.08)と、カットオフ値を0.25mmとした際の表面保護層の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さ(Ra0.25)と、カットオフ値を0.8mmとした際の表面保護層の表面のJIS B0601:2001の算術平均粗さ(Ra0.8)とを使用して、以下の式(1)に従って算出したXの値が2.0~4.0の範囲にあることを特徴とする金属光沢印刷物。
    X=(Ra0.8-Ra0.25)/(Ra0.25-Ra0.08) (1)
  2. 基材と金属光沢層との間に、厚み1.0~3.0μmのアンカーコート層を備えることを特徴とする請求項1に記載の金属光沢印刷物。
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