JP7318464B2 - 化粧材 - Google Patents
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Description
これら化粧材には、意匠性を高めるために、天然木の木目模様、トラバーチン等の石の模様、タイル模様、レンガ模様等の装飾層が形成される場合がある。
特許文献3には、基材シート上に、光輝性着色層、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層及び透明性表面保護層を順に有し、光輝性着色層がエンボス加工により賦型された凹凸模様を有する化粧材が開示されている。
[1]少なくとも基材を有する化粧材であって、前記化粧材は、平面内に、第一領域と前記第一領域に隣接する第二領域とが配置されてなる部分を有し、前記化粧材の厚み方向において、前記第二領域は前記第一領域よりも標高が高く、前記第二領域に該当する箇所の前記化粧材は、前記基材上の少なくとも一部に光輝性インキ層を有してなり、前記光輝性インキ層は、バインダー樹脂及び光輝性顔料を含み、前記第二領域における前記光輝性顔料の単位面積当たりの濃度に関して、前記第一領域との境界近傍の箇所の濃度をDa、前記第一領域との境界近傍以外の箇所の濃度をDbと定義した際に、Db<Daの関係を満たす、化粧材。
[2]前記第二領域に該当する箇所の前記化粧材は、前記基材上に、前記光輝性インキ層及び第二硬化物層をこの順に有してなる、上記[1]に記載の化粧材。
[3]前記第一領域の表面が粗面化されてなる、上記[1]又は[2]に記載の化粧材。
[4]前記第一領域に該当する箇所の前記化粧材は、前記基材上に第一装飾層を有してなる、上記[1]~[3]の何れかに記載の化粧材。
[5]前記第一領域に該当する箇所の前記化粧材は、前記基材上に、第一装飾層及び第一硬化物層をこの順に有してなる、上記[1]~[3]の何れかに記載の化粧材。
本発明の化粧材は、少なくとも基材を有し、化粧材の平面内に第一領域と前記第一領域に隣接する第二領域とが配置されてなる部分を有し、化粧材の厚み方向において、前記第二領域は前記第一領域よりも標高が高く、前記第二領域に該当する箇所の化粧材は、前記基材上の少なくとも一部に光輝性インキ層を有してなり、前記光輝性インキ層は、バインダー樹脂及び光輝性顔料を含み、前記第二領域における前記光輝性顔料の単位面積当たりの濃度に関して、前記第一領域との境界近傍の箇所の濃度をDa、前記第一領域との境界近傍以外の箇所の濃度をDbと定義した際に、Db<Daの関係を満たすものである。
図1、2及び7の化粧材100は、基材10を有している。また、図1、2及び7の化粧材100は、平面内に、第一領域R1と、第一領域に隣接する第二領域R2とが配置されてなる部分を有している。
また、図1、2及び7の化粧材100は、化粧材の厚み方向において、第二領域R2の標高が第一領域R1の標高よりも高くなっている。図1、2及び7では、符号hが第一領域R1と第二領域との標高差を示している。
また、図1、2及び7の化粧材100は、第二領域に該当する箇所において、基材10上の少なくとも一部に光輝性インキ層21を有している。図1~3及び7において、光輝性インキ層21のうち、符号21aは第一領域との境界近傍の箇所の光輝性インキ層を示し、符号21bは第一領域との境界近傍以外の箇所の光輝性インキ層を示している。
基材としては、特に制限はなく、所望の性能に応じて適宜選択すればよく、取扱性の観点から紙基材、繊維基材、樹脂基材等が好ましく挙げられる。
これらの中でも、硬化性樹脂を含浸することにより優れた機械的物性等を付与し得る紙基材及び繊維基材がより好ましく、紙基材が更に好ましい。
繊維基材としては、ガラス繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機繊維で構成される繊維基材、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の各種合成樹脂の有機繊維で構成される繊維基材、またこれらの複合体等の基材が挙げられる。また、繊維基材は、不織布であってもよいし、織布であってもよい。
硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の硬化性樹脂を用いることができ、取り扱い性の観点から熱硬化性樹脂が好ましい。
含浸した該組成物は、適宜の時点において、加熱して架橋反応、重合反応等の反応により硬化させることで、熱硬化性樹脂の硬化物となる(例えば、後述の工程(6)。)。
なお、本明細書において、単に「熱硬化性樹脂」と称する場合は、熱硬化性樹脂の未硬化物を硬化させてなる硬化物を意味する。電離放射線硬化性樹脂等の他の硬化性樹脂についても同様である。
また、本明細書において、硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物と称する場合は、特に断りのない限り、未硬化であることを意味する。
酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン-紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が、表面処理の効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
本発明の化粧材は、平面内に、第一領域と、第一領域に隣接する第二領域とが配置されてなる部分を有するものである。本発明の化粧材は、第一領域は凹んで視認され、第二領域は浮かび上がって視認されるため、両領域のコントラストにより立体感に優れたものとして視認される。
第二領域は、化粧材の厚み方向において第一領域よりも標高が高い。
第二領域の標高が第一領域よりも低い場合には、化粧材の立体感を良好にすることができない。
標高差を0.1μm以上とすることにより、第一領域と第二領域との凹凸のコントラストを明瞭にしやすくできる。また、標高差を20μm以下とすることにより、表面を擦った際に応力が第二領域に集中することを抑制し、第二領域の部分的な欠落などを抑制しやすくできる。
第二領域に該当する箇所の化粧材は、基材上の少なくとも一部に光輝性インキ層を有する。また、光輝性インキ層は、バインダー樹脂及び光輝性顔料を含む。また、本発明の化粧材は、第二領域における光輝性顔料の単位面積当たりの濃度に関して、第一領域との境界近傍の箇所の濃度をDa、第一領域との境界近傍以外の箇所の濃度をDbと定義した際に、Db<Daの関係を満たすように構成されてなるものである。
光輝性インキ層中の光輝性顔料の単位面積当たりの濃度が高いほど光沢が高くなる。また、人は、光沢が高い領域を標高が高いと感じ、光沢が低い領域を標高が低いと感じる。このため、第一領域と第二領域との光沢差を大きくすれば、立体感が良好になる傾向がある。
しかし、本発明者らは、光輝性インキ層中の光輝性顔料の濃度を高め、第二領域全体の光沢を高くしても、所望する立体感を必ずしも得られないという問題を見出した。特に、光輝性インキ層上に第二硬化物層を形成した場合には、前述した問題が顕著に生じた。
そこで、本発明者らは鋭意研究した結果、第二領域における光輝性顔料の単位面積当たりの濃度がDb<Daの関係を満たすように構成することにより、立体感を極めて良好にし得ることを見出した。
第二領域の光輝性顔料の濃度がDb<Daの関係を満たす化粧材が極めて優れた立体感を付与し得る理由は、マッハ効果によるものと推察される。マッハ効果とは、濃淡の異なる領域が接触している場合に、暗い方の領域の境界付近はより暗く、明るい方の領域の境界付近はより明るく強調されて見える、錯視の一種である。
すなわち、第一領域と、光輝性インキ層を有する第二領域との間には、元々光沢差が存在する。ここで、Db<Daの関係を満たす場合、マッハ効果によって、第二領域内において、第一領域との境界近傍の箇所(21a)は、第一領域との境界近傍以外の箇所(21b)との対比により明るさが強調されることになる。よって、Db<Daの関係を満たすことにより、第一領域と第二領域との元々の光沢差を強調することができ、立体感を極めて優れたものとすることができる。
本発明の化粧材は、第二領域内において、第一領域との境界近傍以外の箇所の光輝性顔料の濃度をあえて低くすることにより、立体感を極めて優れたものとすることを可能としたものである。
第一領域との境界近傍を0.1mm以上とすることにより、第一領域との境界近傍を目視で識別しやすくすることができ、本発明の効果を発揮しやすくできる。また、第一領域との境界近傍を10mm以下とすることにより、光輝性顔料の使用量を抑制し、コストを低減できる。
白色パール顔料は、雲母、アルミニウム、ガラス等の鱗片状の母体を、二酸化チタン等の無色高屈折率材料かなる被覆層で覆ったものであり、かつ被覆層の厚みが0.1~0.15μm程度と比較的小さいものであり、光のほぼすべての波長を反射するため、白色もしくは銀色に見える。
干渉パール顔料は、被覆層が二酸化チタン等の無色高屈折率材料であり、かつ被覆層の厚みが白色パール顔料よりも大きく、0.15μm超のものである。この厚みによって、反射光及び透過光が変化し、種々の干渉色を生じる。虹彩色パールと呼ばれる場合もある。
金属鱗片は、例えば、前記金属又は合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着してなる金属薄膜をプラスチックフィルムから剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、撹拌して得られたもの;前記金属又は合金の粉末と溶剤とを混合し、媒体撹拌ミル、ボールミル、アトライター等で、該粉末を展延及び/又は粉砕して得られたもの;前述して得られたものの表面が樹脂コートされたもの;等が挙げられる。
同様の観点から、[光輝性顔料の平均粒子径/光輝性インキ層の厚み]の比は、0.01~15であることが好ましく、0.5~10であることがより好ましい。
光輝性顔料の含有量を10質量部以上とすることにより、第二領域の光沢を十分にしやすくできる。また、光輝性顔料の含有量を90質量部以下とすることにより、光輝性インキ層の下層に装飾層を有する場合に、絵柄の視認性が損なわれることを抑制できる。
同様の観点から、光輝性インキ層の厚みは、1~30μmであることが好ましく、5~20μmであることがより好ましい。
硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。光輝性インキ層の上下の層(基材、第二装飾層、第二硬化物層等)との密着性の観点からは、熱硬化性樹脂が好ましい。
光輝性インキ層の電離放射線硬化性樹脂としては、後述する第一硬化物層の電離放射線硬化性樹脂と同様のものを用いることができる。
基材と光輝性インキ層との間には、第二装飾層を有していてもよい。また、光輝性インキ層が第二領域の一部のみに形成されている場合、基材上の光輝性インキ層を有さない箇所に第二装飾層を有していてもよい。
第二装飾層のパターンは、光輝性インキ層と同調するパターンが好ましい。光輝性インキ層に対する同調のさせ方は、第一領域との境界近傍の箇所のみに同調させてもよいし、第一領域との境界近傍以外の箇所のみに同調させてもよいし、全体を同調させてもよい。
第二装飾層は、例えば、着色剤及びバインダー樹脂を含む第二装飾層形成用インキを用いた印刷により形成することができる。第二装飾層の着色剤及びバインダー樹脂としては、後述する第一装飾層の着色剤及びバインダー樹脂で例示するものが挙げられる。
本発明の化粧材は、第二領域に該当する箇所において、基材上に光輝性インキ層及び第二硬化物層をこの順に有してなることが好ましい。
光輝性インキ層上に第二硬化物層を有することにより、光輝性インキ層の耐摩耗性を良好にすることができ、意匠性を長期に渡って維持できる点で好ましい。
しかしながら、上述したように、本発明の化粧材はDb<Daの関係を満たすことから、光輝性インキ層上に第二硬化物層を有する場合でもマッハ効果によって光沢のコントラストを強調することができ、立体感を良好にすることができる。
第二硬化物層の硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂が挙げられる。光輝性インキ層に対する密着性の観点からは、熱硬化性樹脂が好ましい。
第二硬化物層の電離放射線硬化性樹脂としては、後述する第一硬化物層の電離放射線硬化性樹脂として例示されているものと同様のものが挙げられる。
第二領域の表面のカットオフ値0.8mmにおけるJIS B0601:1994の算術平均粗さRaは、2.0μm以下であることが好ましく、0.5~1.5μmであることがより好ましい。
第一領域は、第二領域と比べて凹んで視認される領域である。
第一領域のRaを1.0μm以上とすることにより、第一領域を凹んで見えやすくすることができる。また、第一領域のRaを5.0μm以下とすることにより、第一領域が白っぽく見えることを抑制し、意匠性を良好にしやすくできる。
本発明の化粧材は、第一領域に該当する箇所において、基材上に第一装飾層を有することが好ましい。
例えば、化粧材全体で付与する意匠が木材の模様の場合、第一装飾層は、導管、秋材及び節から選ばれる1種以上の模様を形成してなることが好ましい。言い換えると、第一領域は、木材の導管、秋材及び節から選ばれる1種以上の模様を形成してなることが好ましい。導管とは、水分の通路となる円筒形の細胞であり、微小な導管が配列することにより、人の目には該配列に沿って濃色の絵柄が形成されているようにみえる。秋材とは、夏から秋にかけて形成される目幅が狭く色の濃い部分のことである。なお、春から夏にかけてつくられる目幅の大きな部分は春材と称し、春材と秋材とが交互に繰り返されることで木材の年輪が形成される。節とは、幹に取り込まれた枝の痕跡であり、円形又は楕円形に近い形状をしており、周辺組織よりも濃い色を有している。
また、化粧材全体で付与する意匠がトラバーチン等の石の模様の場合、第一装飾層は凹陥部模様とすることが好ましい。言い換えると、第一領域は、石の凹陥部模様を形成してなることが好ましい。
また、化粧材全体で付与する意匠がタイル模様又はレンガ模様の場合、第一装飾層は目地模様とすることが好ましい。言い換えると、第一領域は、タイル又はレンガの目地模様を形成してなることが好ましい。
第一装飾層により付与する意匠を上記のようにすることにより、第一領域が窪んで見えやすくなり、視覚的な立体感をより良好なものとすることができる。
第一装飾層のバインダー樹脂としては特に制限はなく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
本発明の化粧材は、第一領域に該当する箇所において、基材上に第一装飾層及び第一硬化物層をこの順に有することが好ましい。
また、第一領域を凹んで見えやすくする観点から、第一硬化物層はマット剤を含むことが好ましい。
また、後述する剥離フィルムを用いたプロセスで化粧材を製造する場合、第一硬化物層の表面は離型性に優れることが好ましい。このため、第一硬化物層は離型剤を含むことが好ましい。
電離放射線硬化性化合物としては、具体的には、電離放射線硬化性化合物として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。
多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子中に2つ以上の電離放射線硬化性官能基を有し、かつ該官能基として少なくとも(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、より質感の高い意匠性及びより優れた表面特性を得る観点から、アクリロイル基を有するアクリレートモノマーが好ましい。
より質感の高い意匠性及びより優れた表面特性を得る観点から、官能基数は好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上、さらに好ましくは4以上であり、上限として好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。これらの多官能性(メタ)アクリレートは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
シリコーン系離型剤としては、ポリシロキサン構造を基本構造とするものが挙げられ、中でもその側鎖及び末端の少なくともいずれかに有機基が導入された変性シリコーンオイルが好ましく、両末端に有機基が導入された変性シリコーンオイルがより好ましい。有機基としては、より質感の高い意匠性を得る観点から、(メタ)アクリル基、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルビノール基、フェノール基、カルボキシル基等の反応性官能基、ポリエーテル基、アラルキル基、フロロアルキル基、アルキル基、脂肪酸アミド基、フェニル基等の非反応性基官能基等が好ましく挙げられる。中でも反応性官能基が好ましく、特に(メタ)アクリル基が好ましい、すなわち特に(メタ)アクリル変性シリコーンオイルが好ましい。また、これらの有機基は窒素原子、硫黄原子、水酸基、アルキル基等の置換基を有していてもよい。
本発明の化粧材は、各層の密着性向上のため、各層間にプライマー層を設けることができる。
プライマー層を形成する樹脂材料としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。また、プライマー層の厚さは、優れた密着性を効率よく得る観点から、通常0.1~15μm程度、好ましくは1~10μmである。
本発明の化粧材は、基材の裏面(基材の光輝性インキ層を有する側とは反対側の面)に被着材を積層して一体化したものであってもよい。
本発明の化粧材は、そのままで、又は所定の成形加工等を施して各種用途に用いることができる。例えば、各種素材の平板、曲面板等の板材、シート(又はフィルム)等の基体に積層し、内外装用建材、例えば家具や台所製品のキャビネット、各種カウンター及び机等に用いられる天板、ドア等の住宅用建材に用いることが可能である。
本発明の化粧材は、例えば、基材上の一部に、光輝性インキ層形成用インキを印刷して第二領域を形成することにより製造することができる(基材上の第二領域の残部は第一領域となる。)が、第一領域と第二領域との標高差を大きくする観点から、後述する剥離フィルムを用いたプロセスで製造することが好ましい。
本発明の化粧材の製造方法は、下記(1)~(8)の工程を有するものである。
(1)基材を準備する工程。
(2)前記基材上の第二領域を形成する箇所の少なくとも一部に、バインダー樹脂及び光輝性顔料を含む光輝性インキ層を形成する工程。前記光輝性インキ層は、第二領域の縁部の光輝性顔料の単位面積当たりの濃度が、第二領域の縁部以外の箇所の光輝性顔料の単位面積当たりの濃度よりも高くなるように構成する。
(3)前記基材上の第一領域を形成する箇所に、表面が離型性を有する第一領域形成層を形成する工程。
(4)工程(1)~(3)を経て得られた積層体(積層体A)を硬化性樹脂組成物に含浸し、前記積層体Aの光輝性インキ層及び第一領域形成層を有する側の全面に、未硬化の硬化性樹脂組成物層を形成してなる積層体Bを得る工程。
(5)前記積層体Bの前記未硬化の硬化性樹脂組成物層側に剥離フィルムを配置してなる、積層体Cを得る工程。
(6)前記積層体Cの両面を鏡面板で挟んだ状態で熱プレスし、前記未硬化の硬化性樹脂組成物層を硬化してなる第二硬化物層を形成する工程。
(7)前記鏡面板の間から前記積層体Cを取り出す工程。
(8)前記積層体Cから前記剥離フィルムを剥離除去する際に、前記剥離フィルムとともに前記第二硬化物層のうち第一領域形成層上の第二硬化物層を除去し、凹状の第一領域を形成するとともに、前記第一領域形成層を有さない箇所に形成した前記第二硬化物層が残存してなる凸状の第二領域を形成する工程。
表面が離型性を有する第一領域形成層30は、例えば、第一硬化物層30の単層、あるいは、第一装飾層31上に第一硬化物層30を積層した多層構成が挙げられる。なお、第一硬化物層の硬化性樹脂組成物はこの段階で硬化させることが好ましい。
基材として、紙基材及び繊維基材等の液体浸透性を有する基材を用いた場合、工程(4)において、基材の中に硬化性樹脂組成物が含浸する。
剥離フィルム80は、後述の工程(6)において、未硬化の硬化性樹脂組成物層22aを硬化した第二硬化物層のうち、表面が離型性を有する第一領域形成層上の第二硬化物層を除去する役割を有する。すなわち、剥離フィルムと第二硬化物層との接着力をA1、第二硬化物層と、該硬化物層の基材側に位置する層(第一領域の場合は第一領域形成層30、第二領域の場合は光輝性インキ層21)との接着力をA2とした際に、第一領域ではA1>A2、第二領域ではA1<A2、の関係を満たすものであれば、剥離フィルム80の材質等は特に限定されない。
工程(6)の最中に、基材中に含浸した硬化性樹脂組成物も硬化させることができる。
工程(8)は、積層体Cから剥離フィルム80を剥離除去する際に、剥離フィルム80とともに第二硬化物層のうち第一領域形成層30上の第二硬化物層を除去し、凹状の第一領域R1を形成するとともに、第一領域形成層を有さない箇所に形成した第二硬化物層22が残存してなる凸状の第二領域R2を形成する工程である(図2参照)。
<立体感>
各実施例及び比較例で得られた化粧材について、蛍光灯の照明下で、成人20人に、立体感を有するか否かについて目視評価をさせた。
A:立体感の高い意匠性を有すると答えた人が18人以上であった。
B:立体感の高い意匠性を有すると答えた人が11~17人であった。
C:立体感の高い意匠性を有すると答えた人が5~10人であった。
D:立体感の高い意匠性を有すると答えた人が5人以下であった。
[実施例1]
基材(建材用チタン紙原紙、KJ特殊紙株式会社製の商品名「PM-67P」、坪量:80g/m2、厚さ:100μm)上の一部に、下記処方の光輝性インキ層形成用インキをグラビア印刷し、乾燥し、厚み1μmの光輝性インキ層(第二領域の光輝性顔料の密度がDb<Daの関係を満たすように形成してなる光輝性インキ層)を形成した。光輝性インキ層のパターンは、タイル模様のタイル部分とした。また、グラビア印刷版は、タイルの縁部近傍の網点密度を50%、縁部以外の箇所の網点密度を30%として、タイルの幅が20~50mm(そのうち縁部が3.0mm)、タイルの目地の幅が2.0mmのものとした。なお、「タイルの幅が20~50mm」とは、最小値が20mmであり最大値が50mmの幅の異なるタイルが混在しているとの意味である。
次いで、基材の光輝性インキ層を形成した以外の箇所(≒タイプ模様の目地部分)に、下記の第一硬化物層形成用の硬化性樹脂組成物を印刷し、電子線(加圧電圧:165KeV、3Mrad(30kGy))を照射して硬化させて、厚み2μmの第一硬化物層(表面が離型性を有する第一領域形成層)を形成してなる積層体Aを得た。
次いで、積層体Aを下記の第二硬化物層形成用の硬化性樹脂組成物に含浸し、乾燥させてなる積層体Bを得た(乾燥時の硬化樹脂組成物の量が80g/m2となるように含浸)。
次いで、積層体Bの基材とは反対側の面(未硬化の第二硬化物層を有する側の面)上に、下記の剥離フィルムを積層し、積層体Bの基材側の面に、補強層(クラフト紙にフェノール樹脂からなる液体状の未硬化樹脂組成物に含浸させて得られた坪量245g/m2のフェノール樹脂含浸コア紙(太田産業株式会社製、太田コア)を3枚重ねたもの)を積層してなる積層体Cを得た。
次いで、積層体Cの両面を鏡面板で挟み(補強層側に鏡面板、剥離フィルム側にエンボス板を配置)、熱プレス機を用いて、成形温度:150℃、成形圧力:100kg/cm2で10分間、加熱加圧成形を行った。成形後、2枚の鏡面板の間から積層体Cを取り出し、積層体Cから剥離用フィルムを剥離することにより、実施例1の化粧材を得た。
なお、積層体Cから剥離フィルムを剥離除去する際に、剥離フィルムとともに第二硬化物層のうち第一硬化物層(第一領域形成層)上の第二硬化物層が除去され、凹状の第一領域が形成された。また、光輝性インキ層上に第二硬化物層が残存してなる第二領域が形成された。
実施例1の化粧材は、第二領域の標高が第一領域の標高よりも1.0μm高いものであった。
・パール顔料 35質量部
(ホワイトパール、粒径25μm)
・アクリル樹脂 65質量部
・希釈溶剤 適量
以下の各成分を、プロセスホモジナイザー(株式会社エスエムテー製、「PH91」)を用いて、回転数:2000rpmで1時間撹拌して樹脂組成物を得た。
・電離放射線硬化性樹脂(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物、東亞合成株式会社製の商品名「アロニックスM400」) 60質量部
・シリコーン系離型剤(両末端メタクリロイルオキシアルキル変性オルガノポリシロキサン、信越化学株式会社製の商品名「X-22-164B」) 0.9質量部
・シランカップリング処理シリカ 18質量部
(平均粒子径3.0μm)
・メチルエチルケトン 40質量部
・メラミンホルムアルデヒド樹脂 60質量部
・水 35質量部
・イソプロピルアルコール 5質量
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製の商品名「コスモシャイン A4610」)の易接着面に、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、電子線(加圧電圧:165KeV、5Mrad(50kGy))を照射して硬化し、厚さ5μmの硬化物層を形成し、剥離フィルムを得た。
<<電離放射線硬化性樹脂組成物>>
・電離放射線硬化性樹脂(トリメチロールプロパントリアクリレートのエチレンボトムオキシド変性物、東亞合成株式会社製の商品名「アロニックスM350」) 100質量部
・シリコーン系離型剤(両末端メタクリロイルオキシアルキル変性オルガノポリシロキサン、信越化学株式会社製の商品名「X-22-164B」) 2質量部
・酢酸エチル 50質量部
グラビア印刷版として、タイルの縁部近傍の線数及び縁部以外の箇所の網点密度が何れも50%であるものを用い、Db<Daの関係を満たさないように光輝性インキ層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の化粧材を得た。
20:第二領域形成層
21:光輝性インキ層
22:第二硬化物層
22a:硬化性樹脂組成物層
30:第一領域形成層
31:第一装飾層
32:第一硬化物層
60:補強層
71:積層体A
72:積層体B
73:積層体C
80:剥離フィルム
100:化粧材
Claims (5)
- 少なくとも基材を有する化粧材であって、
前記化粧材は、平面内に、第一領域と前記第一領域に隣接する第二領域とが配置されてなる部分を有し、
前記化粧材の厚み方向において、前記第二領域は前記第一領域よりも標高が高く、
前記第二領域に該当する箇所の前記化粧材は、前記基材上の少なくとも一部に光輝性インキ層を有してなり、
前記光輝性インキ層は、バインダー樹脂及び光輝性顔料を含み、
前記第二領域における前記光輝性顔料の単位面積当たりの濃度に関して、前記第一領域との境界近傍の箇所の濃度をDa、前記第一領域との境界近傍以外の箇所の濃度をDbと定義した際に、Db<Daの関係を満たす、
化粧材。 - 前記第二領域に該当する箇所の前記化粧材は、前記基材上に、前記光輝性インキ層及び第二硬化物層をこの順に有してなる、請求項1に記載の化粧材。
- 前記第一領域の表面が粗面化されてなる、請求項1又は2に記載の化粧材。
- 前記第一領域に該当する箇所の前記化粧材は、前記基材上に第一装飾層を有してなる、請求項1~3の何れか1項に記載の化粧材。
- 前記第一領域に該当する箇所の前記化粧材は、前記基材上に、第一装飾層及び第一硬化物層をこの順に有してなる、請求項1~3の何れか1項に記載の化粧材。
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