JP2019155919A - 面材 - Google Patents

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Abstract

【課題】立体感等による美観性を有する面材の提供。【解決手段】凹部を有する面材であって、着色層1、及びその表面に着色透明被膜2を有し、着色層1は、平坦部11及び凹部12を有し、着色透明被膜2は、着色層凹部12の縁部13に偏在している面材。【選択図】図2

Description

本発明は、新規な面材に関する。本発明面材は、建築物、土木構造物等の表面被覆に適用することができ、具体的には建築物壁面の模様仕上げ等に適用することができる。
建築物壁面等においては、景観上の観点から美観性が求められている。近年、このような観点から、例えば天然の石、土、植物等をイメージした模様仕上げが注目されている。
このような模様仕上げとして、例えば、特許文献1には、基材上に下地塗膜を設け、その上に模様転写シートを押しつけて模様を転写する方法が記載されている。また、特許文献2には、被塗装面にベース色塗装を行った後、水を吹き付け、次いで多数の塗料滴を吹き付ける方法が記載されている。
特開平11−290769号公報 特開2005−238138号公報
上記特許文献1、特許文献2のような方法によれば、複数の異なる色の着色材を使用することができるため、多色模様を形成することが可能である。しかしながら、形成された多色模様は平面的であり、変化に乏しく、立体感等を表現することは難しい。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、立体感等による美観性を有する面材を提供することを目的とするものである。
本発明者は、鋭意検討の結果、凹部を有する面材であって、その凹部縁部に着色透明被膜が偏在した面材に想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の面材は、下記の特徴を有するものである。
1.凹部を有する面材であって、
上記面材は、着色層、及びその表面に着色透明被膜を有し、
上記着色層は、平坦部及び凹部を有し、
上記着色透明被膜は、上記着色層の凹部縁部に偏在していることを特徴とする面材。
2.正面視において、上記平坦部と上記凹部縁部では、色調が異なることを特徴とする1.に記載の面材。
3.上記着色層は、表面に複数の凹部を有し、当該凹部が窪み模様を形成していることを特徴とする1.または2.に記載の面材。
4.上記着色透明被膜は、非連続であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の面材。
5.上記着色層は、粒状無機質粒子を含む組成物によって形成されてなり、
上記着色透明被膜は、着色透明コーティング材が偏在して形成されてなることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の面材。
本発明によれば、立体感等による美観性を有する面材が得られる。
本発明面材の一例を示す断面模式図である。 本発明面材の一例を示す断面模式図である。 本発明面材の一例を示す正面図である。 本発明面材の一例を示す断面模式図である。
A.面材
A1:平坦部
A2:凹部
A3:凹部縁部
1:着色層
11:平坦部
12:凹部
13:凹部縁部
2:着色透明被膜
3:透明被膜層
X:正面方向
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図1、図2は、本発明面材の一例を示す断面模式図である。また、図3は、本発明面材の一例を示す正面模式図である。
本発明面材Aは、着色層1、及び着色透明被膜2を有しており、図3(正面図)に示すように、平坦部A1からなる凸部(以下「平坦部A1」ともいう。)、凹部A2、凹部縁部A3を有し、図1(図3のY−Y’断面図模式図)に示すように、断面方向から見ると、着色層1は、その表面に平坦部11からなる凸部(以下「平坦部11」ともいう。)、及び凹部12を有している。さらに、着色透明被膜2が、着色層凹部12の縁部13(以下「凹部縁部13」ともいう。)に偏在していることを特徴とするものである。図2(図1の拡大模式図)に示すように、着色透明被膜2は、着色層1の表面に設けられ、着色層凹部12の縁部13で、その他の部分よりも厚膜を形成するように偏在している。
このような特徴を有する本発明面材Aでは、正面視(図3;図1に示すX方向からの視認)において、平坦部A1、及び凹部縁部A3(さらに凹部A2)の外観(例えば、光沢度や色調等)の相違によって、実際の凹みよりも強調されたコントラスト、立体感等を表現することができる。なお、本発明において、凹部縁部とは、図3に示すように、少なくとも平坦部と凹部の間に跨る部分を含む領域であり、好ましくは、平坦部と凹部よりなる角部を含む部分のことをいう。
着色層1は、平坦部11及び凹部12を有するものである。着色層1は、主な領域を平坦部11が構成し、その一部に凹部12を有するものであることが好ましい。これにより、全体としては平坦(フラット)な印象の外観を呈する面材を得ることができる。なお、本発明の着色層1は、平坦部11に対して凸部を有することもできるが、本発明の効果が著しく損なわれない程度に留めておくことが好ましい。平坦部11の厚みは、好ましくは0.3〜6mm(より好ましくは0.5〜5mm)である。
凹部12は、着色層1に窪み模様を形成するものである。凹部12の形状は、特に限定されず、種々の形状のものが挙げられるが、本発明では、天然の石、土、植物等に形成されるような、例えば、巣穴状、虫食い状、樹皮模様、等の形状が好適である。また、凹部12の断面形状において、凹部の底部が傾きや丸味を有する(平坦部11と平行ではない)ことが好ましい。凹部12の大きさは、形状にもよるが、その最大径(長径)が好ましくは0.2〜50mm(より好ましくは0.5〜30mm)である。また、凹部12の深さは、着色層1の厚みにもよるが、好ましくは0.1〜5mm(より好ましくは0.2〜3mm)である。
また、本発明では、複数の凹部12を有することが好ましく、その形状は、一定(同一)であっても、異なるものでもよい。さらには、複数の凹部12の配置は、規則的でもランダムでもよいが、本発明では、線状模様、縞状模様を形成していることが好ましい。このような場合、天然の石、土、植物等をイメージした模様を表現しやすく、美観性に優れた面材を得ることができる。特に、本発明では、天然の石材(特に、トラバーチン調等)模様を表現するのに好適である。
このような着色層1は、粒状無機質粒子、及び樹脂を含む組成物(着色層用組成物等)を硬化させることにより形成されることが好ましい。これにより、粒状無機質粒子が樹脂によって固定化され、粒状無機質粒子にもとづく色調を呈する着色層が得られる。すなわち、着色層の色調は、粒状無機質粒子の色調にもとづくものとなる。また、着色層1は、異なる色調を有する複数の着色領域を有するものであってもよい。この場合、異なる色調を有する複数の着色層用組成物を硬化させることにより着色層を形成することができる。
粒状無機質粒子としては、その母体の材質が無機質であれば、天然品、人工品のいずれも使用することができる。この粒状無機質粒子としては、少なくとも粒状着色無機質粒子を含む態様が好適である。このような粒状着色無機質粒子としては、特に、光透過率が3%未満の不透明なものが好適であり、光透過率が2%以下のものがより好適である。このような粒状着色無機質粒子として、具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、砂岩、粘板岩、玄武岩、斑れい岩、閃緑岩、安山岩、石灰岩及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、金属粒等が挙げられる。また、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂、及びこれらの粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ等を、上記条件を満たすように着色したもの等も使用できる。
上記光透過率とは、濁度計による全光線透過率の値である。この測定では、粒状無機質粒子の試料を内厚5mmの透明ガラス製セル中に充填し、次いで徐々に水を充填した後、セル中の気泡を振動によって取り除いたものを用いる。
上記粒状着色無機質粒子に加えて、粒状透明性無機質粒子を含む形態とすることもできる。このような粒状透明性無機質粒子の使用は、美観性向上の点で好適である。粒状透明性無機質粒子としては、光透過率が3%以上(より好ましくは3〜50%、さらに好ましくは10〜30%)であるものが好適である。粒状透明性無機質粒子としては、例えばシリカ、寒水石、長石、珪石等及びこれらの粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ等が挙げられ、上記光透過率を満たすものであれば、無色、有色のいずれのタイプも使用できる。
粒状無機質粒子の粒径は、好ましくは0.01mm〜5mm、より好ましくは0.02mm〜2mm、さらに好ましくは0.03〜0.8mmである。粒径が異なる粒状無機質粒子を種々組み合せることによって、意匠性の幅を広げることもできる。なお、粒状無機質粒子の粒径は、JIS Z8801−1:2000に規定される金属製網ふるいを用いたふるい分けによって測定される。
粒状無機質粒子を固定化する樹脂は、その被膜が透明性を有するものが好適である。このような樹脂の形態としては、例えば、溶剤可溶型樹脂、非水分散型樹脂、無溶剤型樹脂、水分散型樹脂、水溶性樹脂等が挙げられる。樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリルシリコン樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等、あるいはこれらの複合物等が挙げられる。このような樹脂は、架橋反応を生じる性質を有するものであってもよい。
上記樹脂の比率は、固形分換算で、粒状無機質粒子の合計量100重量部に対し、好ましくは2重量部以上50重量部以下、より好ましくは3重量部以上30重量部以下、さらに好ましくは4重量部以上20重量部以下、特に好ましくは5重量部以上19重量部以下である。このような比率であれば、粒状無機質粒子の連接(凝集)による美観を活かした意匠性が付与されやすい。すなわち、粒状無機質粒子の連接体(凝集体)からなる着色層が得られやすい。
着色層用組成物は、本発明の効果を著しく損なわない限り、必要に応じ、上記以外の成分(添加剤)を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、防藻剤、抗菌剤、消臭剤、吸着剤、難燃剤、増粘剤、消泡剤、架橋剤、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、蛍光顔料、骨材、繊維、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒等が挙げられる。
着色透明被膜2は、着色層1の表面に設けられるものであり、上記着色層1の凹部縁部13に偏在していることを特徴とする。これにより、本発明の面材Aを正面視した場合、平坦部A1と凹部縁部A3(さらに凹部A2)とでは、外観(例えば、光沢度及び/または色調等)が異なっており、立体感等による美観性の高い面材を得ることができる。着色透明被膜2が偏在している態様としては、例えば、着色透明被膜2が、
(I)平坦部11には設けられず、凹部縁部13のみに設けられている態様、
(II)平坦部11及び凹部12を含む全体に設けられており、凹部縁部13で厚膜となっている態様、
(III)平坦部11及び凹部12を含む全体に非連続(点在して)に、かつ凹部縁部13に設けられている態様、
(IV)平坦部11及び凹部12を含む全体に非連続(点在して)に設けられており、凹部縁部13で厚膜となっている態様、
等が挙げられる。
本発明では、上記(I)〜(IV)のように、着色層1の凹部縁部13を縁取るように着色透明被膜2が偏在するものである。これにより、実際の凹みよりも奥行き感(深さ)が強調され、立体感が高まるものである。さらに、本発明では、上記(I)、(III)、(IV)のように着色透明被膜2が平坦部11及び凹部12に非連続に設けられることによって、美観性の高い面材を得ることができる。なお、着色透明被膜2は、着色層1が複数の凹部を有する場合、全ての凹部縁部13に設けられてもよいし、一部に設けられてもよい。
このような着色透明被膜2は、着色透明コーティング材が偏在して形成されるものであることが好ましい。着色透明コーティング材は、樹脂及び着色成分等を含み、その被膜が透明性を有する組成物であればよい。また、上記着色透明コーティング材の媒体としては、溶剤系、水系いずれでもよいが、本発明では媒体に水を含むことが好ましい。これにより、着色層1の凹部縁部13に、着色透明コーティング材が偏在しやすくなり、立体感に優れた面材を得ることができる。
上記樹脂成分としては、特に限定されないが、例えば、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系の樹脂が挙げられる。また、樹脂成分の態様としては、水溶性樹脂、水分散性樹脂、溶剤可溶形樹脂、無溶剤形樹脂、非水分散系樹脂等のいずれでもよいが、本発明では、水分散性樹脂(樹脂エマルション)が好適である。
着色成分としては、公知の着色成分(着色顔料、染料等)を使用することができ、好ましくは、有機着色顔料、無機着色顔料等の着色顔料が挙げられる。その混合比率は、上記樹脂成分(固形分)100重量部に対して、着色成分を好ましくは0.01〜30重量部(より好ましくは0.02〜20重量部、さらに好ましくは0.05〜10重量部)である。なお、着色顔料を樹脂成分に混合する際には、各顔料の分散液の形態で混合することができる。
着色透明コーティング材は、塗付時に各種溶媒で希釈することができる。着色透明コーティング材は塗付時に、イワタカップNK−2による粘度が、好ましくは20sec以下(より好ましくは15sec以下)(温度23℃)である。また、着色透明コーティング材の塗付時の固形分は、好ましくは0.1〜15重量%(より好ましくは0.2〜10重量%)であり、その単位面積当たりの塗付量は、好ましくは10〜500g/m(より好ましくは20〜400g/m、さらに好ましくは30〜300g/m)である。このような場合、着色層凹部縁部に偏在しやすく、本発明の効果が得られやすく、美観性を高めることができる。
さらに、着色透明コーティング材は、例えば、撥水剤、親水化剤、艶消し剤、等を含むものであってもよい。特に、撥水剤を含む場合、着色透明コーティング材が着色層凹部縁部に偏在しやすいとともに、平坦部においても非連続に被膜を形成しやすく、美観性をよりいっそう高めることができる。
撥水剤としては、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、アクリル・エチレン共重合体ワックス等のワックス系撥水剤;シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、アルキルアルコキシシラン等のエマルション、あるいはこれらを複合したエマルション等のシリコン系撥水剤;パーフロロアルキルカルボン酸塩、パーフロロアルキルリン酸エステル、パーフロロアルキルトリメチルアンモニウム塩等のフッ素系撥水剤等が挙げられる。その混合比率は、上記樹脂成分(固形分)100重量部に対して、撥水剤を固形分換算で好ましくは10〜200重量部(より好ましくは15〜150重量部)である。
本発明の面材Aは、正面視において、平坦部A1と凹部縁部A3とで、外観が異なるものである。具体的に、正面視において、平坦部A1と凹部縁部A3では色調が異なることが好ましい。このような色調の差は、目視にて視認できる程度であればよいが、例えば、着色透明コーティング材の色調によって調整することできる。具体的に、例えば、着色層と着色透明被膜2が、同系色の場合には、凹部縁部A3に濃色部(あるいは淡色部)が形成され、落ち着きのある意匠性を付与することができる。一方、上記着色層1と上記着色透明被膜2が、同系色でない場合には、凹部縁部A3にアクセント模様が形成され、平坦部A1と凹部縁部A3のコントラストを有する意匠性を付与することができる。
さらに、正面視において、平坦部A1と凹部縁部A3では、光沢度が異なることが好ましく、さらには相対的に、凹部縁部A3が高光沢度となることが好ましい。このような相対的な光沢度の差は、例えば、着色透明被膜2の厚み等よって調整することできる。
平坦部A1と凹部縁部A3の光沢度の差は、目視にて視認できる程度であればよいが、立体感表出等の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上である。光沢度の差の上限値は、特に限定されないが、好ましくは50以下、より好ましくは30以下、さらに好ましくは20以下である。光沢度の差の上限値がこのような範囲内であれば、立体感等を表出しつつ、落ち着きがあり、上品な美観性を付与することができる。なお、本発明における光沢度は、光沢度計によって測定される85度鏡面光沢度の値である。このような、光沢度や色調が異なることにより、凹凸感、立体感等を強調することができる。
本発明面材は、図4に示すように透明被膜層を有するものであってもよい。このような透明被膜層は、着色層の表面(好ましくは着色層の表面全体)に設けられるものである。透明被膜層は、例えば、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂、アクリルシリコン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等、あるいはこれらの複合系の樹脂等を含む透明コーティング材によって形成できる。このような透明コーティング材は、例えば、撥水剤、親水化剤、艶消し剤、体質顔料等を含むものであってもよい。透明コーティング材は無色透明の被膜を形成するものであることが好ましいが、本発明の効果を阻害しない限り、多少の着色成分(着色顔料、染料)等を含み、着色透明被膜を形成するものであっても良い。
本発明では、このような透明被膜層を設けることにより、面材の耐候性、耐久性等を高めることができる。また、平坦部と凹部との光沢度を調整することができ、例えば、面材の平坦部と凹部との光沢度をそのまま保持することや、光沢度の差を強調することも可能である。透明被膜層の単位面積当たりの重量は、好ましくは5〜400g/m、より好ましくは10〜300g/mである。
本発明面材は、補強材を有するものであってもよい。このような補強材は、着色層の内部及び/または裏面に設けることができる。補強材としては、例えば、織布、不織布、セラミックペーパー、合成紙、メッシュ、クロス、石膏ボード、合板、スレート板、金属板等が挙げられる。補強材は、上記2種以上の材料からなるものでもよい。このような補強材を用いることにより、面材の強度等を高めることができる。
本発明面材の製造方法は特に限定されず、種々の方法を採用することができる。一例として、型枠を用いた方法が挙げられる。この方法では、まず所望の模様に対応した平坦部、及び凸部(着色層の凹部)を形成した型枠を用意する。そして、この型枠内面に、着色透明コーティング材を塗付し、硬化後、さらに着色層用組成物を充填し、硬化後に脱型すればよい。
上記型枠としては、特に限定されないが、例えばシリコン樹脂、ウレタン樹脂製等の型枠、あるいは離型紙を設けた型枠等が使用できる。型枠を用いて製造する場合、型枠内面が面材の表面となるため、型枠内面の形状を調整することで、面材表面に所望の凹凸模様を付与することができる。また、各組成物の塗付及び充填においては、公知の器具、例えば、スプレー、ローラー、鏝、レシプロ、コーター等が使用できる。透明被膜層を設ける場合は、例えば、脱型後の着色層表面に透明コーティング材を塗装すればよい。補強材を導入する場合は、例えば、着色層用組成物の硬化前に、着色層内部に補強材を埋め込んだり、着色層裏面に補強材を積層したりすればよい。
具体的に、図1〜3に示す面材は、例えば以下の方法によって製造できる。
(1)樹脂と、着色顔料と、必要に応じ添加剤とを常法により混合・攪拌することによって、着色透明コーティング材を製造する。また、粒状無機質粒子と、樹脂と、必要に応じ添加剤とを常法により混合・攪拌することによって、着色層用組成物を製造する。
(2)内面に所望の平坦部と凸部(着色層の凹部を形成)を有する型枠を用意し、型枠内面に、着色透明コーティング材を塗付、乾燥・硬化させる。
(3)次いで、型枠に着色層用組成物を充填し、硬化後に脱型する。
図4に示す面材は、上記(1)〜(3)の後、例えば(4)として、脱型後の着色層表面に透明コーティング材を塗付・乾燥し透明被膜層を設ける、ことによって製造できる。
以上の方法で得られた面材は、型枠内面の凸部が反転して凹部を形成するものである。また、着色層の表面に着色透明被膜を有し、その着色透明被膜が凹部縁部に偏在しており、コントラスト、立体感(奥行き感)等を備えた美観性を発揮することができる。特に、上記(2)において、平坦部と凸部を有する型枠に、上述の着色透明コーティング材を塗付した場合、着色透明コーティング材は凸部の麓(ふもと)に偏在する。特に型枠の凸部が傾きや丸味を有する形状(例えば、山なり状、放物線状、カーブ状)である場合、よりいっそう着色透明コーティング材は凸部の麓に偏在することができる。これにより、本発明の面材を、効率的に製造することができる。着色透明コーティング材が、型枠内面の凸部の麓(ふもと)に偏在する作用機構は、限定されるものではないが、着色透明コーティング材の表面張力の作用や、粘度の影響等により平坦部と凸部の境界付近に偏在し易いものと考えられる。このため、本発明では、着色透明コーティング材として、表面張力の大きな水を媒体として含み、さらには粘度を前述のように低く設定することが好適である。
なお、上記(2)において、型枠内面に凹部のみを有する型枠を使用した場合、着色透明コーティング材は型枠の凹部に偏在しやすくなり、これによって得られた面材は凸部に着色透明被膜が偏在した外観となる。このような面材も美観性に優れるものであるが、本発明のように、凹部縁部を着色透明被膜で縁取る効果は得られにくい。
また、上記(2)において、着色透明コーティング材が偏在後、乾燥・硬化させることが好適である。着色透明コーティング材が未硬化の状態ではなく硬化した状態で、上記(3)の着色層用組成物を充填した場合には、本発明の効果が十分に発揮できる。なお、上記(2)における硬化とは、指触乾燥以上(好ましくは半硬化、さらに好ましくは硬化乾燥)であればよい。
本発明面材は、建築物壁面等を装飾する材料として使用できる。本発明面材を壁面等に固定する際には、例えば、接着材、接着テープ、釘、ネジ、ボルト、レール等を使用すればよい。建築物壁面等を構成する基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、サイディングボード、押出成形板、石膏ボード、パーライト板、合板、煉瓦、プラスチック板、金属板、ガラス、磁器タイル等が挙げられる。これら基材は、その表面に、既に被膜(既存被膜、下塗被膜等)が形成されたものや、壁紙が貼り付けられたもの等であってもよい。
以下に実施例及び比較例を示して、本発明の特徴をより明確にする。
(着色層用組成物の製造)
粒状着色無機質粒子の混合物(茶色系珪砂:赤褐色系珪砂:黄色系珪砂(重量比)=65:15:20)の混合物、粒径0.03〜0.6mm、光透過率1%未満)80重量部、粒状透明性無機質粒子(寒水石;粒径0.1〜0.4mm、光透過率16%)20重量部、樹脂成分(アクリル樹脂エマルション、固形分50重量%、媒体;水)10重量部、添加剤(消泡剤、造膜助剤等)を定法により均一に混合し着色層組成物を製造した。
(着色透明コーティング材1〜5の製造)
表1に示す混合比率にて、各原料を定法により均一に混合して着色透明コーティング材を製造した。なお、原料は以下に示すものを使用した。
・樹脂成分1[アクリル樹脂エマルション、固形分50重量%、媒体;水]
・樹脂成分2[アクリルシリコン樹脂エマルション、固形分50重量%、媒体;水]
・撥水剤[ジメチルポリシロキサンのポリオキシエチレンアルキルエーテル乳化物、固形分50重量%、媒体;水]
・顔料分散液1[アクリル樹脂エマルション、顔料(オーカ顔料:アカサビ顔料:黒顔料(重量比)=25:55:20)の混合液、固形分50重量%、樹脂固形分40重量%、顔料固形分10重量%、媒体;水]
・顔料分散液2[アクリル樹脂エマルション、顔料(シロ顔料)の混合液、固形分50重量%、樹脂固形分30重量%、顔料固形分20重量%、媒体;水]
・添加剤:消泡剤、造膜助剤、等
Figure 2019155919
(面材1)
型枠として、平坦部に複数の凸部(凸部の高さ0.1〜0.3mm)を有する図3に示すような長方形の型枠を使用する。
上記型枠に、着色透明コーティング材1を塗付(単位面積当たりの重量100g/m)し、型枠の凸部ふもとに偏在させた後、乾燥・硬化(23℃下、24時間)させる。
ついで、上記着色透明被膜の上に、着色層用組成物を塗付(単位面積当たりの重量3.3kg/m)し、硬化(65℃下、24時間)後、脱型し面材1を製造した。
(面材2〜3)
上記着色透明コーティング材1を着色透明コーティング材2に代えた以外は同様にして面材2を製造した。
上記着色透明コーティング材1を着色透明コーティング材3に代えた以外は同様にして面材3を製造した。
面材1〜3は、着色層の表面の凹部縁部に、着色透明被膜が偏在し、平坦部と凹部縁部では、凹部縁部が濃色部となり、落ち着きのある面材が得られ、優れた立体感等を表出することができた。特に、面材1、2においては、相対的に凹部縁部が高光沢である面材が得られ、優れた立体感等を表出することができた。また、面材3においては、着色層の表面の凹部縁部に、着色透明被膜が厚膜で偏在し、平坦部と凹部縁部では、凹部縁部がよりいっそう濃色部となる面材が得られ、優れた立体感等を表出することができた。
(面材4)
上記着色透明コーティング材1を着色透明コーティング材4に代えた以外は同様にして面材4を製造した。
面材4は、着色層の表面の凹部縁部に、着色透明被膜が厚膜で偏在し、凹部縁部にアクセント模様が形成された面材が得られ、優れた立体感等を表出することができた。
(面材5)
面材1で使用したものと同様の型枠に、着色層用組成物を塗付(単位面積当たりの重量3.3kg/m)し、乾燥・硬化(65℃下、24時間)後、脱型した。
次いで、着色層の表面(平坦部及び凹部を有する面)に、着色透明コーティング材5を塗付(単位面積当たりの重量100g/m)し、硬化(23℃下、24時間)させ面材5を製造した。
面材5は、着色層の表面全体に着色透明被膜が形成されており、平面的な仕上がりであった。
(面材6)
上記面材3の着色透明被膜を有する面に、アクリルシリコン樹脂系透明コーティング材を塗付し(単位面積当たりの重量50g/m)、透明被膜層を設けた面材6を製造した。
面材6は、平坦部と凹部縁部に光沢が付与されるとともに、相対的に凹部縁部が高光沢である面材が得られ、優れた立体感等を表出することができた。
(面材7)
上記面材3の着色透明被膜を有する面に、シリコーン樹脂及びアクリル樹脂を含む透明コーティング材を塗付し(単位面積当たりの重量50g/m)、透明被膜層を設けた面材7を製造した。
面材7は、表面の光沢を抑え、落ち着きがあり、相対的に凹部縁部が高光沢である面材が得られ、優れた立体感等を表出することができた。


Claims (5)

  1. 凹部を有する面材であって、
    上記面材は、着色層、及びその表面に着色透明被膜を有し、
    上記着色層は、平坦部及び凹部を有し、
    上記着色透明被膜は、上記着色層の凹部縁部に偏在していることを特徴とする面材。
  2. 正面視において、上記平坦部と上記凹部縁部では、色調が異なることを特徴とする請求項1に記載の面材。
  3. 上記着色層は、表面に複数の凹部を有し、当該凹部が窪み模様を形成していることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の面材。
  4. 上記着色透明被膜は、非連続であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の面材。
  5. 上記着色層は、粒状無機質粒子を含む組成物によって形成されてなり、
    上記着色透明被膜は、着色透明コーティング材が偏在して形成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の面材。


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