JP6536418B2 - 運転席用エアバッグの折畳準備体と折畳体の折畳方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のステアリングホイールに対し、コンパクトに搭載できる運転席用エアバッグの折畳準備体と折畳体の折畳方法に関する。
従来、この種の運転席用のエアバッグが搭載されるステアリングホイールでは、操舵時に把持するリング部と、リング部の中央付近に配設されるボス部と、直進操舵時におけるボス部の前方側に隙間を空けて、ボス部とリング部とを連結するスポーク部と、を具備して構成されて、エアバッグを折り畳んだ折畳体が、ステアリングホイールのボス部に搭載される構成としていた(例えば、特許文献1参照)。エアバッグでは、外周壁が、膨張用ガスを流入させるための流入用開口を中央付近に配置させた車体側壁部と、車体側壁部の外周縁に対して外周縁を連ならせて、車体側壁部と対向するように配設される運転者側壁部と、を備えて構成されていた。エアバッグの折畳体は、コンパクトにできるように、エアバッグの外周壁における運転者側壁部と車体側壁部とを重ねた状態の初期準備体の外周縁を、流入用開口の上方側に集めた折畳形状としていた。
さらに、折畳体としては、エアバッグの外周壁における運転者側壁部と車体側壁部とを重ねた状態の初期準備体の外周縁を、放射状の複数のパドル等を利用して、流入用開口の上方側に集めるように折り畳むとともに、前縁側に、車体側壁部側に巻くロール折りによる折り部を設けて構成されるものもあった(例えば、特許文献2参照)。このような構成の折畳体では、ステアリングホイールのボス部に搭載した後の膨張時、運転者がボス部に接近し過ぎていても、前縁側の折り部の部位が、ボス部の前方におけるボス部とリング部との間に進入して、リング部の下面側で膨張することとなり、接近した運転者への押圧力を低減できた。
特開2007−261565号公報 米国特許出願公開第2005/0269807号明細書(図11,12参照)
しかし、従来の運転席用エアバッグの折畳体では、接近した運転者に対応させる特許文献2のように、前縁側にロール折りの折り部を設けては、このロール折りの折り部が、剛性を有して撓み難く、より一層、折畳体をコンパクトに折り畳めるように、流入用開口に接近させる特許文献1の技術を応用しても、ロール折りの折り部の剛性により、折畳体をコンパクトに折り畳むことを阻害していた。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、コンパクトに搭載できる運転席用エアバッグの折畳準備体と折畳体の折畳方法を提供することを目的とする。
本発明に係る運転席用エアバッグの折畳準備体は、ステアリングホイールに搭載される運転席用のエアバッグが、
膨張用ガスを流入させるための流入用開口を中央付近に配置させた車体側壁部と、
前記車体側壁部の外周縁に対して外周縁を連ならせて、前記車体側壁部と対向するように配設される運転者側壁部と、
を有した外周壁、を備えて構成されるとともに、
前記車体側壁部と前記運転者側壁部とを重ねた状態の前記エアバッグの初期準備体の前縁側に予備折り部を設けてなる折畳準備体を、前記流入用開口の上方側に集めた折畳形状に折り畳んで、前記ステアリングホイールに搭載する構成とした運転席用エアバッグの折畳準備体であって、
前記予備折り部が、前記初期準備体の前縁側を前記車体側壁部における前記流入用開口側に接近させるように折り返された部位から構成されるとともに、
前記折畳準備体の前記車体側壁部が、前記流入用開口の前側に、前記流入用開口から前記予備折り部の折目までの非折返し部と、前記折目から折り返されて前記非折返し部の下面側で重なる折返し部と、を備えて構成され、
前記折畳準備体の前記運転者側壁部が、前側に、前記非折返し部と前記折返し部との外表面側を覆う断面J字状のカバー部を備えて構成され、
前記予備折り部が、前記車体側壁部の前記折返し部と、前記運転者側壁部の前記カバー部における前記折返し部の外表面側を覆う下面側部位と、から構成されていることを特徴とする。
本発明に係る折畳準備体は、予備折り部が、初期準備体の前縁側を車体側壁部における流入用開口側に接近させるように折り返してなる車体側壁部の折返し部と、運転者側壁部のカバー部における折返し部の外表面側を覆う下面側部位と、から構成されている。換言すれば、予備折り部は、初期準備体の前縁側を車体側壁部における流入用開口側に接近させるように折り返して、左右方向に沿う一つだけの折目を設けて、形成されている。
そのため、折畳準備体は、前縁側に予備折り部を備えているものの、その予備折り部は、ロール折りされている訳ではなく、初期準備体の車体側壁部と運転者側壁部とが、重なった状態で、単に、一回、折り返されただけであって、予備折り部を設けた折畳準備体の前縁側は、二枚ずつ、運転者側壁部と車体側壁部とを重ねた状態、すなわち、計4枚分の壁部を単に平面状に重ねただけであり、極力、剛性が高くなることを抑制できる。その結果、折畳準備体は、予備折り部を備えていても、撓み易さを維持できて、流入用開口の周囲の部位を、流入用開口の上方側に集めるように折り畳む際、円滑に折り畳めて、コンパクトな折畳形状の折畳体を容易に形成することができる。
一方、予備折り部が、折畳準備体の下面側に折り返させて形成されており、流入用開口の上方側に集めるように折り畳まれた折畳体をステアリングホイールのボス部に搭載した後、運転者がボス部に接近した状態でエアバッグが膨張しても、予備折り部の部位が、ボス部の前方におけるボス部とリング部との間に進入して、リング部の下面側で膨張することとなって、接近した運転者への押圧力を低減できる。
したがって、本発明に係る運転席用エアバッグの折畳準備体と折畳体の折畳方法では、コンパクト性を阻害しないように折り畳めることができるとともに、ステアリングホイールへの搭載後の運転席用エアバッグの膨張時には、ステアリングホイールに接近している運転者への押圧力を、低減することにも寄与できる。
本発明に係る運転席用エアバッグの折畳体の折畳方法では、前記流入用開口の周囲の部位を前記流入用開口の上方側に集める際、前記折畳準備体の外周縁側の複数個所を、前記流入用開口に接近するように、押し込んで折り畳むことが望ましい。
このように折り畳めば、折畳準備体の外周縁の複数個所が、流入用開口に接近することから、折畳準備体における流入用開口の周囲の部位が、均等に、流入用開口の上方側に集まって、部分的に上方へ突出するような部位を設けずに折り畳めることとなり、小スペースの搭載部位に搭載可能なコンパクトな折畳体を、容易に得ることができる。
さらに、本発明に係る運転席用エアバッグの折畳体の折畳方法では、前記流入用開口の周囲の部位を前記流入用開口の上方側に集める際、前記折畳準備体の折目の部位も、前記流入用開口に接近するように、押し込んで折り畳むことが望ましい。
このように折り畳めれば、折目の部位自体も、流入用開口側に接近して、より一層コンパクトな折畳体に、折り畳むことができる。勿論、予備折り部がロール折りでなく、撓み難くないことから、円滑に、折目の部位自体を流入用開口側に接近させることができる。
本発明の一実施形態における運転席用エアバッグの折畳準備体を折り畳んだ折畳体を搭載したステアリングホイールの概略平面図である。 実施形態の運転席用エアバッグの折畳体を搭載したステアリングホイールの概略縦断面図であり、図1のII−II部位に対応する。 実施形態の折畳体を搭載したステアリングホイールの概略縦断面図であり、図1のIII−III部位に対応する。 実施形態のエアバッグにおける単体での膨張完了状態を示す概略平面図と概略断面図とを示す。 実施形態におけるリテーナを組み付けた状態の折畳体の概略部分縦断面図である。 実施形態におけるリテーナを組み付けた状態の折畳体の概略斜視図である。 実施形態におけるリテーナを組み付けた状態の折畳体の概略底面図である。 実施形態の折畳準備体を形成する状態を説明する図である。 実施形態の折畳準備体を折り畳んだ折畳体を形成するバッグ折り機を説明する概略平面図である。 実施形態の折畳準備体を折り畳むバッグ折り機を説明する概略断面図である。 実施形態の折畳準備体の折畳工程を説明する図である。 実施形態の折畳準備体の折畳工程を説明する図であり、図11の後の工程を示す。 実施形態の折畳準備体を折り畳んで形成した折畳体の折畳形状を維持させるための加熱圧縮工程を説明する図である。 実施形態の折畳準備体を折り畳んで形成した折畳体の折畳形状を維持させるための冷却圧縮工程を説明する図であり、図13の後の工程を示す。 実施形態のエアバッグを使用したエアバッグ装置の作動時を順に説明する概略縦断面図であり、ステアリングホイールに接近した運転者の場合である。 実施形態のエアバッグを使用したエアバッグ装置の作動時を順に説明する概略縦断面図であり、ステアリングホイールに接近していない運転者の場合である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態の運転席用のエアバッグ50は、図1〜3に示すように、ステアリングホイールWのボス部Bに取付固定される運転席用のエアバッグ装置20に使用され、エアバッグ装置20の後述するバッグホルダ21を利用して、ボス部Bに搭載されることとなる。ステアリングホイールWは、図1,2に示すように、操舵時に把持する円環状のリング部R、リング部Rの中央に配置されるボス部B、及び、リング部Rとボス部Bとを連結するスポーク部S、を有したステアリングホイール本体1と、ボス部Bの上部に配設されるエアバッグ装置20と、を備えて構成される。
なお、本明細書でのエアバッグ装置20、エアバッグ50、ステアリングホイールW等の上下・左右・前後の方向は、ステアリングホイールWを車両のステアリングシャフトSS(図2参照)にナットN止めして接続させた状態における車両の直進操舵時を基準として、上下方向は、そのステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向に対応し、左右方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の左右方向に対応し、前後方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の前後方向に対応している(図1,2参照)。
そして、実施形態の場合、ステアリングホイールWのスポーク部Sは、左右の左スポーク部SL、右スポーク部SRと、後部側の後スポーク部SBとの3本として構成され、ステアリングホイールWにおける左右のスポーク部SL,SRの間のボス部Bの前方には、ボス部Bとリング部Rとの間に、運転席の前方のメータ等の視認性を確保するために、大きな隙間Hが形成されている。
また、ステアリングホイール本体1は、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを相互に連結するように配設される芯金2と、リング部Rとリング部R近傍のスポーク部Sの芯金2の部位を覆うウレタン等からなる被覆層7と、を備えて構成されている。被覆層7の表面には、皮革8が巻き付けられている。さらに、リング部Rの前部と後部の内周側には、加飾ガーニッシュ13,15が配設されている。
芯金2は、リング部Rに配置されるリング芯金部3、ボス部Bに配置されてステアリングシャフトSSと接続されるボス芯金部4、及び、左右のスポーク部S(SL,SR)に配置されてリング芯金部3とボス芯金部4とを連結するスポーク芯金部5、から構成される。スポーク芯金部5は、実施形態の場合、前側の左右の二本のスポーク部SL,SRの部位にしか配設されておらず、後部側のスポーク部SBには、後述するエアバッグカバー(パッド)35の周囲を囲うベゼル14が配設されている。
そして、芯金2のボス芯金部4の周縁には、エアバッグ装置20の後述するホーンスイッチ機構25の各組付ピン27を固定させる固定部10が、配設されている(図2参照)。固定部10は、エアバッグ装置20のステアリングホイールWへの取付固定部位であり、下狭まりのテーパ状に貫通する係止孔11と、ボス芯金部4の下面側に配置されて、組付ピン27の先端(下端)を係止する係止ピン12と、を配設させて構成されている。係止ピン12は、復元可能に、ボス芯金部4の下面に沿って、撓み可能なばね材から形成されている。
また、ステアリングホイール本体1は、ボス部Bの下面側に、ロアカバー16を配設させて構成されている(図2,3参照)。
エアバッグ装置20は、図1〜3に示すように、エアバッグ50を折り畳んだ略円柱状の折畳体70と、エアバッグ50に膨張用ガスを供給するインフレーター30と、折畳体70を覆ってボス部Bの上面側に配置される合成樹脂製のエアバッグカバー(パッド)35と、折畳体70(エアバッグ50)をステアリングホイールWのボス部Bに搭載するために保持する金属製のバッグホルダ21と、を備えて構成されている。バッグホルダ21は、折畳体70を取付固定する部位であるとともに、インフレーター30とエアバッグカバー35とを保持する部位でもある。
実施形態の場合、エアバッグ50を折り畳んだ折畳体70には、底面70b側の内部に、エアバッグ50をバッグホルダ21に取付固定するための板金製の四角環状としたリテーナ42が配設されている(図2,3,5〜7参照)。そして、エアバッグ50は、リテーナ42を組み付けた状態で、予備折りされて折畳準備体64(図8参照)に形成され、さらに、折畳準備体64から折畳体70に折り畳まれて(図9〜12参照)、バッグホルダ21に取付固定される。
なお、実施形態の場合、折畳体70は、折畳準備体64から折り畳まれた後であってバッグホルダ21に搭載されるまでに、折畳形状を長期間にわたって維持できるように(換言すれば、高い形状保持性能を確保できるように)するためと、リテーナ42とバッグホルダ21との間へのエアバッグ50の部分的な噛み込み防止のための凹部70dやインフレーター30の収納用の収納用凹部71を賦形するために、さらに、圧縮成形される(図13,14参照)。
インフレーター30は、図2,3に示すように、円柱状の本体部31を備え、本体部31の外周面には、四角環状のフランジ部32が突設されている。フランジ部32には、リテーナ42の後述するボルト45を貫通させる貫通孔32aが形成されている。本体部31のフランジ部32より上方の上部31b側には、膨張用ガスを吐出させる複数のガス吐出口31aが配設されている。
エアバッグカバー35は、図1〜3に示すように、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の合成樹脂製として、ステアリングホイールWの中央付近のボス部Bの上面側に配設されている。エアバッグカバー35は、ボス部Bの内部に折り畳まれて収納された折畳体70の上方を覆う天井壁部36と、天井壁部36の下面から略円筒状に延び、略円柱状の折畳体70の側面(外周面)70cを覆う側壁部39と、を備えて構成されている。
天井壁部36には、膨張するエアバッグ50に押されて前方側に開く円板状のドア部36aが、配設されている。ドア部36aは、前縁側にヒンジ部36bを設けて、周囲に、上方から見て略円弧状とした薄肉の破断予定部36cを設けて構成されている。
なお、実施形態の場合、ドア部36aの上面側には、合成樹脂製の略円板状のオーナメント38が固着されている。ドア部36aが開くときには、オーナメント38は、ドア部36aと一体的に回転する。
エアバッグカバー35の側壁部39は、図1〜3に示すように、前側と左右の斜め後方側との三箇所に、バッグホルダ21に結合される係止脚部40を、配設させている。各係止脚部40は、側壁部39の下端面39cから下方へ延びるように突設され、それぞれ、バッグホルダ21における係止孔22eを挿通し、係止孔22eの周縁に係止される。係止脚部40は、側壁部39の内周面39aに突出する内側突起40aと、側壁部39の外周面39b側に突出する外側突起40bとを備えて構成され、係止脚部40の係止孔22eへの挿入後に曲げ変形される舌片部22fにより、内側突起40aが係止され、舌片部22fにより係止脚部40が押されて、外側突起40bが、係止孔22eのインフレーター30から離れる外縁側の周縁に、係止されることにより、バッグホルダ21に対し、エアバッグカバー35が、上方への抜けを規制されて係止されることとなる。
また、側壁部39は、係止脚部40,40間の下端面39cを、バッグホルダ21のベースプレート部22に、当接させる構成とし、さらに、係止脚部40によりバッグホルダ21からの上方移動が規制されることから、エアバッグカバー35は、バッグホルダ21に対し、上下動や前後左右の移動を規制されて、取付固定されることとなる。
バッグホルダ21は、板金製として、図1〜3に示すように、折畳体70、インフレーター30、及び、エアバッグカバー35、を保持し、さらに、スイッチ体26を利用して、エアバッグ装置20をステアリングホイール本体1側に取り付ける板金製の部材として構成されている。バッグホルダ21は、略円環状のベースプレート部22と、ベースプレート部22の外周縁から上方へ突出する側壁支持部23と、を備えて構成されている。
ベースプレート部22には、前側と左右の斜め後側とに、舌片部22fを設けた係止孔22eを貫通させて構成される係止部22dが配設され、後側と左右両側とに、各スイッチ体26を固定させる略半円板状のスイッチ支持部22gが配設されている。側壁支持部23は、係止部22dとスイッチ支持部22gとの間におけるエアバッグカバー35の側壁部39の外周面39b側に、配設され、エアバッグ50の膨張時における側壁部39の膨らむような変形を規制する。
また、ベースプレート部22の中央には、エアバッグ50の流入用開口53に対応して、インフレーター30の本体部31を下方から挿入可能な略円形の挿入孔22aが、開口し、挿入孔22aの周縁には、リテーナ42の各ボルト45を貫通させる四個の貫通孔22bが形成されている。挿入孔22aの周縁における貫通孔22bを設けた部位は、リテーナ42を利用して、折畳体70とインフレーター30とを取り付けるための取付座22cとなる。
なお、各スイッチ支持部22gに配設される3つのスイッチ体26は、ステアリングホイールWのフローティングタイプのホーンスイッチ機構(ホーンスイッチ)25を構成するものである。各スイッチ体26は、図2に示すように、それぞれ、コイルばね28により上方へ付勢されるとともに、芯金2の固定部10に対して、上方への抜けを規制されて係止される組付ピン27により、上方への付勢位置が規制されている。そして、ホーンスイッチ機構(ホーンスイッチ)25の操作時には、エアバッグ装置20を押下すれば、スイッチ体26内のスイッチ支持部22g側の可動側接点が組付ピン27側の固定側接点に接近して接触することにより、ホーン作動回路が通電されて、ホーンが作動するように構成されている。
なお、詳しくは、エアバッグカバー35の天井壁部36の中央付近を押下操作すると、天井壁部36が、天井壁部36を支持可能な形状保持性を有した折畳体70の天井面70aに当接して、折畳体70を下方へ押し、下方に移動する折畳体70の底面70bが当接しているバッグホルダ21を降下させる。そのため、バッグホルダ21が、ベースプレート部22とともに、各スイッチ体26の可動側接点を下降させて、ホーンを作動させることとなる。
エアバッグ50は、図1,2の二点鎖線や図16のCに示すように、球状に近似した厚みのある略円板状の膨張完了形状として、下部側に膨張用ガスを流入するために円形に開口した流入用開口53を備え(図4参照)、流入用開口53の周縁は、バッグホルダ21への取付部54としており、取付部54には、リテーナ42のボルト45を貫通させる4つの貫通孔54aが形成されている。
そして、エアバッグ50の外周壁51は、既述の流入用開口53や取付部54を中央付近に配置させた車体側壁部52と、車体側壁部52の外周縁52aに対して外周縁55aを連ならせて、車体側壁部52と対向するように配設される運転者側壁部55と、を備えて構成されている。車体側壁部52と運転者側壁部55とは、外形形状を共に円形とした可撓性を有したポリアミドやポリエステル等の合成繊維製のバッグ用基布から形成され、外周縁52a,55aに設けられた縫代52b,55b相互を縫合して、外周壁51が形成されている。
また、車体側壁部52の取付部54は、内側面をリテーナ42の後述する底壁部43の下面側に当接されて、バッグホルダ21の取付座22cに固定される略四角環状の部位としている。
リテーナ42は、図1〜3,5〜7に示すように、中央に、流入用開口53に対応して開口する連通用開口44を有した四角環状の底壁部43と、底壁部43の外周縁の全周から立ち上るように配設される補強用リブ46と、を備えた板金から形成されている。連通用開口44は、流入用開口53と同形の円形の開口としている。リテーナ42は、連通用開口44を中心とした連通用開口44の周囲の底壁部43から下方に突出し、エアバッグ50の取付部54をバッグホルダ21に固定させるための複数の固定手段としてのボルト45を備えている。各ボルト45は、四角環状の底壁部43の四隅付近から、下方に突設されている。そして、リテーナ42は、エアバッグ50内の流入用開口53の取付部54に配設され、各ボルト45をエアバッグ50の貫通孔54a、バッグホルダ21の貫通孔22b、及び、インフレーター30のフランジ部32の貫通孔32aに、順に貫通させ、各ボルト45にナット48を締結させることにより、バッグホルダ21に対し、エアバッグ50とインフレーター30とを取り付けている。
なお、エアバッグ50内の取付部54の部位には、取付部54の耐熱性を高めるために、円環状の補強布58が縫合され、また、補強布58の外周縁から延設されて、取付部54と運転者側壁部55の中央部56とを連結し、エアバッグ50の中央部56付近の取付部54からの離隔距離を規制するテザー59も、配設されている。そのため、リテーナ42は、実際には、補強布58を介在させて、車体側壁部52の取付部54に当接することとなる。
そして、リテーナ42を組み付けたエアバッグ50をバッグホルダ21に組み付けるまでの製造工程は、折畳工程、及び、折畳体70に対し、折畳形状の強固な維持性能(高い形状保持性能)を確保するためと凹部70d,71を形成するためとの圧縮工程、により構成されている。
折畳工程を説明すると、図8のAに示すように、各ボルト45を貫通孔54aから突出させるようにして、エアバッグ50内の取付部54にリテーナ42を配設し、ついで、車体側壁部52の上に運転者側壁部55を重ねて、エアバッグ50を平らに展開した初期準備体(初期展開体ともいえる)60を形成する。
ついで、図8のBに示すように、折畳準備体64を形成する。すなわち、初期準備体60の前縁61側に予備折り部69を形成して、折畳準備体64を形成する。予備折り部69は、初期準備体60の前縁61側に、左右方向に沿う一つだけの折目62を設けて、前縁61を、車体側壁部52における流入用開口53側に接近させるように折り返せば、形成することができる。
この折畳準備体64では、車体側壁部52が、流入用開口53の前側部位65に、流入用開口53から予備折り部69の折目62までの平面状の非折返し部65aと、折目62から折り返されて非折返し部65aの下面側で重なる平面状の折返し部65bと、を設けて構成されている。また、運転者側壁部55では、前側部位67において、非折返し部65aと折返し部65bとの外表面側を覆う断面J字状のカバー部68が形成される構成となる。
そして、予備折り部69は、車体側壁部52の折返し部65bと、運転者側壁部55のカバー部68における折返し部65bの外表面側を覆う下面側部位68bと、から構成されることとなる。この予備折り部69の車体側壁部52の折返し部65bと運転者側壁部55の下面側部位68bとは、共に、初期準備体60の平面視として、左右方向に延びた直線状の折目62を弦とした弓形形状としている。
このように形成した折畳準備体64は、折畳体70を形成するように、図9,10に示すバッグ折り機75にセットし、そして、図9,11,12に示すように、流入用開口53の上方に集めるように、折り畳む。
バッグ折り機75は、図9〜12に示すように、基板76と、基板76の上方で上下に移動可能に配設される天井壁部78と、基板76上で、基板76の中央側に移動する4つずつの2種類の押し込み具79,80と、を備えて構成されている。基板76の上面側の中央には、折畳準備体64から突出したリテーナ42の各ボルト45を嵌める組付孔77aを有したセット部77が、配設されている。基板76の上面側におけるセット部77の部位は、エアバッグ50の折畳体70の後述する凹部70dや収納用凹部71を設ける前の底面70b側を形成する成形面(型面)76aとなる。また、天井壁部78の下面側における中央付近は、折畳体70の凹部70d,71を設ける前の天井面70a側を形成する成形面(型面)78aとなる。なお、セット部77には、折畳体70内にインフレーター30の上部を収納するための収納用凹部71を形成し易いように、略円柱状の凸部77bが配設されている。また、セット部77は、折畳工程時に、リテーナ42の底壁部43の下面側に、エアバッグ50の取付部54以外の部位が進入しないように、リテーナ42のボルト45を的確に保持できるように、構成されている。
押し込み具79,80は、セット部77を中心とした周方向で交互に配設されて、セット部77側の面には、折畳体70の凹部70d,71を設ける前の外周面70c側を形成する円弧状の成形面(押圧面・型面)79a,80aが形成されている。
基板76と天井壁部78とには、セットした折畳準備体64を50℃以上(50〜90℃程度)に昇温できるように、加熱手段としてのヒータ82が、配設されている。押し込み具79,80にも、適宜、ヒータ82が、配設されている。
バッグ折り機75を使用する折畳工程では、まず、図9に示すように、折畳準備体64を形成した状態で、各ボルト45をセット部77の組付孔77aに嵌める。なお、予め、折畳準備体64を形成すること無く、エアバッグ50内から突出する各ボルト45をセット部77の組付孔77aに嵌めつつ、車体側壁部52の上に運転者側壁部55を重ねて、基板76上でエアバッグ50の初期準備体60を形成し、そして、予備折り部69を形成して、折畳準備体64を形成してもよい。
ついで、折畳体70を形成可能に、基板76から所定高さとなる位置に天井壁部78を配置させる(図10参照)。
そして、図11に示すように、各押し込み具79をセット部77側に移動させて、折畳準備体64の外周縁64aにおける流入用開口53を中心とした放射状の均等な複数個所(4箇所)64a1,64a2,64a3,64a4を、流入用開口53の上方側に集める。ついで、図12に示すように、各押し込み具80をセット部77側に移動させて、折畳準備体64の外周縁64aにおける流入用開口53を中心とした放射状の均等な複数個所(4箇所:押し込み具79とずれた位置の均等な放射状の箇所)64a5,64a6,64a7,64a8を、流入用開口53の上方側に集める。
すると、折畳準備体64は、基板76のセット部77付近の上面側の成形面76a、天井壁部78の下面側の中央付近の成形面78a、及び、各押し込み具79,80の成形面79a,80aにより、収納用凹部71や凹部70dを設ける前の略円柱状の折畳体70に折り畳まれる。
折畳工程を経た折畳体70を圧縮成形する圧縮工程(加熱圧縮工程と冷却圧縮工程)は、バッグ成形機84,93を使用する(図13,14参照)。
バッグ成形機84は、図13に示すように、折畳体70を加熱圧縮して、収納用凹部71と凹部70dとを形成するものであり、バッグ加熱圧縮機や成形型(加熱圧縮成形型)とも言える。また、実施形態の場合、熱伝導の良好な鉄等の金属製の保持枠部86を利用しており、バッグ加熱圧縮機(バッグ成形機84)は、保持枠部86を収納するセット部85aを有した成形本体部85と、上下移動可能な押圧側部90と、を備えて構成されている。
保持枠部86は、略円形の底壁部86aの外周縁から上方に円筒状の側壁部86bを設けて、内側に、リテーナ42を組み付けた折畳体70を嵌める収納凹部86dを設けて構成されている。さらに、底壁部86aには、リテーナ42の各ボルト45を貫通させる組付孔87を備えるとともに、中央に、収納用凹部71を形成可能な略円柱状に突出した収納用凸部88と、外周縁側に、凹部70dを形成するための略円環状の凸部89と、が配設されて、底壁部86aの上面側を、折畳体70の底面70b側を賦形する成形面86atとしている。側壁部86bは、その内周面を折畳体70の外周面70cを形成する成形面86cとしている。
成形本体部85の保持枠部86を収納するセット部85aには、リテーナ42の各ボルト45を収納可能な組付孔85bが、形成されている。
押圧側部90は、下面側に、折畳体70の曲面状の天井面70aを形成する押圧面(成形面)91を配設させている。
また、成形本体部85と押圧側部90には、折畳工程で昇温させた状態でセットした折畳体70を、保持枠部86ごと、さらに100℃以上(100〜150℃程度)に昇温できるように、加熱手段としてのヒータ92が、配設されている。
さらに、押圧側部90の押圧力は、折畳体70がバッグホルダ21上のコンパクトな収納スペースに収納可能な折畳形状を耐久性をもって維持できるように、80〜250N/cm2程度の範囲内とする。
バッグ成形機84を使用する加熱圧縮工程では、まず、押圧側部90を保持枠部86から離した上方に配置させた状態で、各ボルト45を組付孔87から突出させるように、折畳体70を底壁部86a上に配置させて、折畳体70を保持枠部86内に収納し、保持枠部86を成形本体部85のセット部85aにセットする。そして、図13に示すように、セットした保持枠部86内に押圧側部90を挿入して、折畳体70を圧縮するとともに加熱し、1〜2時間程度、その加熱圧縮状態を維持する。
所定時間が経過すれば、保持枠部86内に、凹部70d,71を賦形された折畳体70が形成される。
冷却圧縮工程に使用するバッグ成形機(バッグ冷却圧縮機・成形型(冷却圧縮成形型))93は、図14に示すように、保持枠部86を収納するセット部94aを有した成形本体部94と、上下移動可能な押圧側部95と、を備えて構成されている。成形本体部94の保持枠部86を収納するセット部94aには、リテーナ42の各ボルト45を収納可能な組付孔94bが、形成されている。押圧側部95は、下面側に、折畳体70の曲面状の天井面70aを形成する押圧面(成形面)96を配設させている。
また、成形本体部94には、セットした折畳体70を、保持枠部86ごと、40℃以下(5〜40℃程度)に冷却できるように、冷却手段としての冷却水路97が、配設されている。
さらに、押圧側部95の押圧力は、バッグホルダ21上の収納スペースに収納可能な折畳形状となるように、30〜120N/cm2程度の範囲内とする。なお、冷却圧縮工程前の加熱圧縮工程において、折畳体70が所定の折畳形状に略賦形されており、押圧側部95の押圧力は、加熱圧縮工程の押圧側部90の押圧力より小さくともよい。
バッグ冷却圧縮機93を使用した冷却圧縮工程では、バッグ加熱圧縮機84から取り出した折畳体70を収納済みの保持枠部86を、押圧側部95を上方に上げた状態とした成形本体部94のセット部94aにセットする。そして、セットした保持枠部86内に押圧側部95を挿入して、折畳体70を圧縮しつつ冷却し、20〜50分程度、その冷却圧縮状態を維持する。
所定時間が経過すれば、保持枠部86内に、リテーナ42を組み付けて所定折畳形状に賦形された折畳体70、すなわち、折畳形状を維持する耐久性を有するともに、底面70b側に、図5〜7に示すように、中央側の収納用凹部71と外周縁側の凹部70dとを賦形した折畳体70が、製造されることとなる。
そして、このように製造された折畳体70は、エアバッグカバー35の天井壁部36を支持可能な形状保持性を有している。具体的には、折畳体70は、板金製のバッグホルダ21やリテーナ42より剛性を低くしているものの、エアバッグカバー35より剛性を高くした形状保持性としており、斜めに傾けたり、上下を反転させり、あるいは、部分的に押しても、折り崩れせず、かつ、殆ど凹まずに、その略円柱状の外形形状を維持する程度の剛性を有している。勿論、折畳体70は、膨張用ガスの流入時には、エアバッグ50の展開膨張を許容する範囲内での形状保持性としている。
折畳体70は、図5〜7に示すように、底面70b側に収納用凹部71を設けた略円柱状として、上方へ若干膨らんだ略円形の天井面70aを備えて構成される。収納用凹部71は、リテーナ42の連通用開口44と内径を略等しくして円筒状に上方へ延びて、インフレーター30の本体部31の上部31bを収納可能な形状としている。
そして、折畳体70の底面70b側の外周縁には、円環状に凹む凹部70dが形成されている。凹部70dは、エアバッグ50における取付部54の部位以外の外周壁51の一部が、バッグホルダ21とリテーナ42との間に噛み込まれることを防止するために、形成されている。
そして、エアバッグ装置20の組み立て時には、まず、折畳体70をエアバッグカバー35の側壁部39の内周面39a側に嵌める。ついで、折畳体70の各ボルト45を、バッグホルダ21の貫通孔22bに、貫通させるとともに、エアバッグカバー35の各係止脚部40をバッグホルダ21の係止孔22eに挿入させ、各舌片部22fを、係止脚部40の内側突起40aに係止させるように、外側に曲げつつ、係止脚部40の外側突起40bを係止孔22eの外縁側の内周縁に係止させて、エアバッグカバー35をバッグホルダ21に取り付ける。なお、バッグホルダ21には、予め、各スイッチ体26が取り付けられている。その後、バッグホルダ21から突出している各ボルト45を、インフレーター30の貫通孔32aに貫通させて、各ボルト45にナット48を締結して、エアバッグカバー35を取付済みのバッグホルダ21に、折畳体70とインフレーター30とを取付固定すれば、エアバッグ装置20を組み立てることができる。
エアバッグ装置20の車両への搭載は、ステアリングシャフトSSへ組付済みのステアリングホイール本体1の各固定部10の係止孔11に、各スイッチ体26の組付ピン27の下端を挿入させて、組付ピン27を係止ピン12に係止させれば、エアバッグ装置20をステアリングホイール本体1に取り付けることができ、ステアリングホイールWの組立が完了するとともに、ステアリングホイールWを、エアバッグ装置20とともに、車両へ搭載することができる。
なお、エアバッグ装置20のステアリングホイール本体1への取り付け時には、バッグホルダ21の図示しないリード線を、ホーン作動回路の正極側に結線し、また、インフレーター30に、作動信号入力用の図示しないリード線を結線することとなる。
車両への搭載後、インフレーター30に作動信号が入力されれば、インフレーター30は、膨張用ガスGをガス吐出口31aから吐出させることから、折り畳まれたエアバッグ50は、膨張用ガスGを流入させて膨張し、エアバッグカバー35の天井壁部36のドア部36aを押し開き、ドア部36aの開いた開口から突出して、ボス部Bの上方からリング部Rの上面Ruを覆うように、展開膨張することととなる(図1,2の二点鎖線、図16参照)。
以上のように、実施形態の折畳準備体64では、図8のA,Bに示すように、予備折り部69が、初期準備体60の前縁61側を車体側壁部52における流入用開口53側に接近させるように折り返してなる車体側壁部52の折返し部65bと、運転者側壁部55のカバー部68における折返し部65bの外表面側を覆う下面側部位68bと、から構成されている。換言すれば、予備折り部69は、初期準備体60の前縁61側を車体側壁部52における流入用開口53側に接近させるように折り返して、左右方向に沿う一つだけの折目62を設けて、形成されている。
そのため、折畳準備体64は、前縁64af側に予備折り部69を備えているものの、その予備折り部69は、ロール折りされている訳ではなく、初期準備体60の車体側壁部52と運転者側壁部55とが、重なった状態で、単に、一回、折り返されただけであって、予備折り部69を設けた折畳準備体64の前縁64af側は、二枚ずつ、運転者側壁部55と車体側壁部52とを重ねた状態、すなわち、計4枚分の壁部(上面側部位68a,下面側部位68b,非折返し部65a,折返し部65b)を単に平面状に重ねただけであり、極力、剛性が高くなることを抑制できる。その結果、折畳準備体64は、予備折り部69を備えていても、撓み易さを維持できて、流入用開口53の周囲の部位を、流入用開口53の上方側に集めるように折り畳む際、円滑に折り畳めて、コンパクトな折畳形状の折畳体70を容易に形成することができる(図9,11,12参照)。
一方、予備折り部69が、折畳準備体64の下面64b側に折り返させて形成されており、流入用開口53の上方側に集めるように折り畳まれた折畳体70をステアリングホイールWのボス部Bに搭載した後、図15のAに示すように、運転者Dの頭部DHや胸部DBがボス部Bに接近した状態でエアバッグ50が膨張しても、図15のB,Cに示すように、予備折り部69の部位が、ボス部Bの前方におけるボス部Bとリング部Rとの隙間Hに進入して、リング部Rの下面Rb側で膨張することとなって、ステアリングホイールWに接近した運転者Dへの押圧力を低減できる。
なお、ステアリングホイールWに運転者Dが接近していない場合では、図16のA〜Cに示すように、予備折り部69がリング部Rの上面Ru側を乗り越えて、エアバッグ50が、リング部Rの上面Ru側で、球状に近似した厚みのある略円板状の所定の膨張完了形状で膨張を完了させることとなり、リング部Rの上面Ru側で反力を確保しつつ、運転者側壁部55側において、運転者Dの頭部DHや胸部DBを的確に受け止めて、運転者Dを保護できる。
したがって、実施形態の運転席用エアバッグ50の折畳準備体64と折畳体70の折畳方法では、コンパクト性を阻害しないように折り畳めることができるとともに、ステアリングホイールWへの搭載後の運転席用エアバッグ50の膨張時には、ステアリングホイールWに接近している運転者Dへの押圧力を、低減することにも寄与できる。
さらに、実施形態の運転席用エアバッグ50の折畳体70の折畳方法(折畳準備体64の折畳方法、あるいは、折畳体70の製造方法ともいえる)では、流入用開口53の周囲の部位を流入用開口53の上方側に集める際、図9,11,12に示すように、折畳準備体64の外周縁64a側の複数個所64a1,64a2,64a3,64a4,64a5,64a6,64a7,64a8を、流入用開口53に接近するように、押し込んで折り畳んでいる。
そのため、このように折り畳めば、折畳準備体64の外周縁64aの複数個所64a1,64a2,64a3,64a4,64a5,64a6,64a7,64a8が、流入用開口53に接近することから、折畳準備体64における流入用開口53の周囲の部位が、均等に、流入用開口53の上方側に集まって、部分的に上方へ突出するような部位を設けずに折り畳めることとなり、小スペースの搭載部位に搭載可能なコンパクトな折畳体70を、容易に得ることができる。
また、実施形態の折畳体70の折畳方法では、流入用開口53の周囲の部位を流入用開口53の上方側に集める際、折畳準備体64の折目62の部位64a1も、流入用開口53に接近するように、押し込んで折り畳まれている。すなわち、折目62の部位64a1が、流入用開口53の前方側に配置された押し込み具79の成形面(押圧面)79aにより、他の部位64a2,64a3,64a4,64a5,64a6,64a7,64a8とともに、押し込み具79,80の成形面(押圧面)79a,80aにより、流入用開口53の上方側に押し込まれて、折畳体70が形成されている。
このように折り畳めれば、折目62の部位64a1自体も、流入用開口53側に接近して、より一層コンパクトな折畳体70に、折り畳むことができる。勿論、予備折り部69がロール折りでなく、撓み難くないことから、円滑に、折目62の部位64a1自体を流入用開口53側に接近させることができる。
特に、実施形態の場合には、押し込み具79の成形面(押圧面)79aが押圧する折目62の部位64a1は、折目62の左右方向の中央部を、折目62の直交方向で流入用開口53の中心側に押圧しており、折り畳まれる左右のバランスを均等にして、予備折り部69付近を押し込んで折り畳むことができる。
なお、折畳準備体64の予備折り部69における流入用開口53側への折幅寸法FW(図8のB参照)は、ステアリングホイールWに接近した運転者Dがいる場合のエアバッグ50の膨張時、図15のB,Cに示すように、予備折り部69が、先端69a側を、ステアリングホイールWのリング部Rの前部Rfの内側Rfiにおける隙間H内において、旋回させて、リング部Rの前部Rfの下面Rb側に進入させ、そして、リング部Rの前部Rfの下面Rb側で膨張可能な寸法に設定することが、望ましい。
また、実施形態では、折畳体70を略円柱状として例示したが、折畳体70は、四角柱状等の多角柱状の形状に折り畳んでもよい。
さらに、折畳準備体64の外周縁64aを流入用開口53の上方に集めるように折り畳んで折畳体70を形成する場合、実施形態のように、流入用開口53の中心に集めてよいが、流入用開口53を含むように、折畳準備体64の外周縁64aを流入用開口53の上方に集めるように折り畳んで折畳体70を形成できれば、折畳準備体64の外周縁64aを集める中心は、流入用開口53(換言すれば、取付部54)の中心からずれていてもよい。
さらにまた、実施形態では、折畳準備体64の外周縁64aを流入用開口53の上方に集めるように折り畳む際、押し込み具79,80の成形面79a,80aが、折畳体70の外周面70cの略全周に当接するように、配設されており、略円柱状の折畳形状を安定して確保することができる。勿論、押し込み具79,80の成形面79a,80aは、折畳体70の外周面70cを、連続的、若しくは、断続的に、面状に押圧できれば、押し込み完了時に、相互に離隔して配設されていてもよい。
なお、折畳体の折畳形状を安定させることができれば、折畳準備体64の外周縁64aを、放射状の均等な8箇所や6箇所から、ブレード状(パドル状)の押し込み具(既述の特許文献1,2参照)により、流入用開口53側に接近するように、押し込んでもよい。これらのブレード状(パドル状)の押し込み具では、先端相互が薄板状としており、折畳体の折り畳みを完了させるように押し込んだ際、相互に接触せずに、折畳体の内部に大きく食い込む状態となる。
また、ステアリングホイールWのボス部Bに搭載する折畳体70としては、折畳形状の強固な維持が不要であったり、あるいは、凹部70d,71を考慮しなければ、圧縮工程を簡素化したり、あるいは、圧縮工程を無くして、折畳準備体64を形成する折畳工程だけで形成した折畳体70を、バッグホルダ21に組み付けて、ステアリングホイールWのボス部Bにエアバッグ50を搭載しても良い。
50…エアバッグ、51…外周壁、52…車体側壁部、52a…(車体側壁部の)外周縁、53…流入用開口、55…運転者側壁部、55a…(運転者側壁部の)外周縁、60…初期準備体、61…前縁、62…折目、64…折畳準備体、64a…(折畳準備体の)外周縁、64a1〜64a8…(押し込み)箇所、65…(車体側壁部の)前側部位、65a…非折返し部、65b…折返し部、67…(運転者側壁部の)前側部位、68…カバー部、68b…下面側部位、69…予備折り部、
D…運転者、W…ステアリングホイール。

Claims (1)

  1. ステアリングホイールに搭載される運転席用のエアバッグが、
    膨張用ガスを流入させるための流入用開口を中央付近に配置させた車体側壁部と、
    前記車体側壁部の外周縁に対して外周縁を連ならせて、前記車体側壁部と対向するように配設される運転者側壁部と、
    を有した外周壁、を備えて構成されるとともに、
    前記車体側壁部と前記運転者側壁部とを重ねた状態の前記エアバッグの初期準備体の前縁側に予備折り部を設けてなる折畳準備体を、前記流入用開口の上方側に集めた折畳形状に折り畳んで、前記ステアリングホイールに搭載可能な折畳体とする運転席用エアバッグの折畳体の折畳方法であって、
    前記予備折り部が、前記初期準備体の前縁側を前記車体側壁部における前記流入用開口側に接近させるように折り返して、左右方向に沿う一つだけの折目を設けて、形成され、
    前記予備折り部を設けた前記折畳準備体における前記流入用開口の周囲の部位を、前記流入用開口の上方側に集めた折畳形状に折り畳む際、
    前記折畳準備体の外周縁側の複数個所を、前記折畳準備体の折目の部位を含めて、前記流入用開口に接近するように、押し込むとともに、
    前記折畳準備体における前記流入用開口の周囲の部位を、均等に、前記流入用開口に接近するように、押し込んで折り畳むことを特徴とする運転席用エアバッグの折畳体の折畳方法。
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