JP2019177738A - エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エアバッグをコンパクトに折り畳むエアバッグの折畳方法を提供すること。【解決手段】エアバッグは、流入用開口33を配置させた車体側壁部32と、車体側壁部32の外周縁に対して外周縁を連ならせて、車体側壁部32と対向するように配設される乗員側壁部35とを備える。バッグ折り機60は、底側基板61と、底側基板61に対向する位置に間隔を空け設置されるとともに、流入用開口33付近に底側基板61側へ突出する突条部65cを備えた天井側基板64とを備える。エアバッグを、底側基板61と天井側基板64との間に、車体側壁部32と乗員側壁部35とが対向する状態で、底側基板61に車体側壁部32が面するように広げ、エアバッグの外周縁を流入用開口33の上方側に集めるように折り畳むエアバッグの折畳方法。【選択図】図10
Description
本発明は、車両のエアバッグ装置に関し、エアバッグをコンパクトに折り畳むエアバッグの折畳方法に関する。
従来、この種のエアバッグ装置では、エアバッグをコンパクトに折り畳めるように、2枚の平らな板を対向させるように配置し、その2枚の板の間にエアバッグを広げて置き、広げられたエアバッグの外周縁をエアバッグの中心に集めるように折り畳んでいた(例えば、特許文献1参照)。
しかし、従来のエアバッグの折畳方法では、エアバッグの外周縁をエアバッグの中心に集める際に、エアバッグの中心ほど、集められたエアバッグの基布が多くなり、エアバッグの中心から離れるほど、集められたエアバッグの基布が少なくなってしまい、エアバッグをコンパクトに折り畳むのに、改善の余地があった。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグをコンパクトに折り畳むエアバッグの折畳方法を提供することを目的とする。
折り畳まれた状態からガスの導入により膨張展開するエアバッグの折畳方法であって、前記エアバッグは、膨張用ガスを流入させるための流入用開口を配置させた車体側壁部と、前記車体側壁部の外周縁に対して外周縁を連ならせて、前記車体側壁部と対向するように配設される乗員側壁部と、を備え、バッグ折り機は、底側基板と、前記底側基板に対向する位置に間隔を空け設置されるとともに、前記流入用開口付近に前記底側基板側へ突出する突条部を備えた天井側基板と、を備え、前記エアバッグを、前記底側基板と前記天井側基板との間に、前記車体側壁部と前記乗員側壁部とが対向する状態で、前記底側基板に前記車体側壁部が面するように広げ、前記エアバッグの外周縁を前記流入用開口の上方側に集めるように折り畳んだ際、前記エアバッグが、前記突条部の周囲に配置され、天井側基板と前記底側基板とで挟持されるエアバッグの折畳方法。
本発明に係るエアバッグの折畳方法は、エアバッグの外周縁を流入用開口の上方側に集める際に、天井側基板の突条部により、エアバッグの基布が流入用開口の上方側に集まり難くなる。これにより、エアバッグの基布が、流入用開口付近で多くなり、流入用開口から離れるほど少なくなることを抑制できる。
上記エアバッグの折畳方法において、前記突条部は、前記底側基板に近づくにつれ次第に細くなるように形成されており、前記エアバッグの外周縁を前記流入用開口の上方側に集めるように折り畳んだ際、前記エアバッグの前記流入用開口側の面と対向する面には凹部が形成され、凹部の開口幅は、前記流入用開口側に近づくにつれ次第に狭くなるように折り畳まれることを特徴とする。
上記の方法によれば、エアバッグの外周縁を流入用開口の上方側に集める際に、エアバッグの基布の移動は、突条部の先端が特に移動し難く、先端から離れるほどその効果が薄れることとなり、エアバッグの基布をより均一に流入用開口の上方側に集めることが可能となる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、実施形態のエアバッグ装置10は、図1〜3に示すように、ステアリングホイールWのボス部Bに取付固定される運転席用のエアバッグ装置10である。ステアリングホイールWは、操舵時に把持する円環状のリング部R、リング部Rの中央に配置されるボス部B、及び、リング部Rとボス部Bとを連結するスポーク部S、を有したステアリングホイール本体1と、ボス部Bの上部に配設されるエアバッグ装置10と、を備えて構成される。
なお、本明細書でのエアバッグ装置10、エアバッグ30、ステアリングホイールW等の上下・左右・前後の方向は、ステアリングホイールWを車両のステアリングシャフトSSにナットN止めして接続させた状態における車両の直進操舵時を基準として、上下方向は、そのステアリングシャフトSSの軸方向に沿った上下方向に対応し、左右方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の左右方向に対応し、前後方向は、そのステアリングシャフトSSの軸直交方向の車両の前後方向に対応している。
実施形態のステアリングホイールWのスポーク部Sは、ボス部Bの左右と後部側の3本として構成されている。ステアリングホイール本体1は、リング部R、ボス部B、及び、スポーク部Sを相互に連結するように配設される芯金2と、リング部Rとリング部R近傍のスポーク部Sの芯金2の部位を覆うウレタン等からなる被覆層3と、を備えて構成されている。被覆層3の表面には、皮革4が巻き付けられている。さらに、リング部Rの前部と後部の内周側には、加飾ガーニッシュ6,8が配設されている。
芯金2は、リング部Rに配置されるリング芯金部2a、ボス部Bに配置されてステアリングシャフトSSと接続されるボス芯金部2b、及び、左右のスポーク部Sに配置されてリング芯金部2aとボス芯金部2bとを連結するスポーク芯金部2c、から構成される。スポーク芯金部2cは、実施形態の場合、前側の左右の二本のスポーク部Sの部位にしか配設されておらず、後部側のスポーク部には、後述するエアバッグカバー(パッド)20の後方側を覆うように、ベゼル7が配設されている。
そして、芯金2のボス芯金部2bの周縁には、エアバッグ装置10の後述するホーンスイッチ機構14の各組付ピン15aを固定させる固定部5が、配設されている。固定部5は、エアバッグ装置10のステアリングホイールWへの取付固定部位であり、下狭まりのテーパ状に貫通する係止孔5aと、ボス芯金部2bの下面側に配置されて、組付ピン15aの先端(下端)を係止する係止ピン5bと、を配設させて構成されている。係止ピン5bは、復元可能に、ボス芯金部2bの下面に沿って、撓み可能なばね材から形成されている。
また、ステアリングホイール本体1は、ボス部Bの下面側に、ロアカバー9を配設させて構成されている。
エアバッグ装置10は、エアバッグ30を折り畳んだ略円柱状の折畳体50と、エアバッグ30に膨張用ガスを供給するインフレーター17と、折畳体50を覆ってボス部Bの上面側に配置される合成樹脂製のエアバッグカバー(パッド)20と、折畳体50(エアバッグ30)をステアリングホイールWのボス部Bに搭載するために保持して収納する金属製のバッグホルダ(ケース)11と、折畳体50を折り崩れしないように包むラッピング材80と、を備えて構成されている。バッグホルダ11は、折畳体50を取付固定して収納する部位であるとともに、インフレーター17とエアバッグカバー20とを保持する部位でもある。
実施形態の場合、エアバッグ30を折り畳んだ折畳体50には、底面部51の内部に、エアバッグ30をバッグホルダ11に取付固定するための板金製の四角環状としたリテーナ25が配設されている(図2〜8参照)。そして、エアバッグ30は、リテーナ25を組み付けた状態で、予備折りされて折畳準備体44(図9参照)に形成され、さらに、折畳準備体44から折畳体50に折り畳まれ(図10〜14参照)、さらに、ラッピング材80に包まれて、バッグ組付体100(図15参照)となって、バッグホルダ11に取付固定される。
インフレーター17は、図2,3に示すように、円柱状の本体部18を備え、本体部18の外周面には、四角環状のフランジ部19が突設されている。フランジ部19には、リテーナ25の後述するボルト27を貫通させる貫通孔19aが形成されている。本体部18のフランジ部19より上方の上部18b側には、膨張用ガスを吐出させる複数のガス吐出口18aが配設されている。
エアバッグカバー20は、図1〜3に示すように、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)等の合成樹脂製として、ステアリングホイールWの中央付近のボス部Bの上面側に配設されている。エアバッグカバー20は、ボス部Bの内部に折り畳まれて収納された折畳体50の上方を覆う天井壁部21と、天井壁部21の下面から略円筒状に延び、略円柱状の折畳体50の側面部58の外周を覆う側壁部23と、を備えて構成されている。
天井壁部21には、膨張するエアバッグ30に押されて前方側に開く円板状のドア部21aが、配設されている。ドア部21aは、前縁側にヒンジ部21bを設けて、周囲に、上方から見て略円弧状とした薄肉の破断予定部21cを設けて構成されている。
なお、実施形態の場合、ドア部21aの上面側には、合成樹脂製の略円板状のオーナメント22が固着されている。ドア部21aが開くときには、オーナメント22は、ドア部21aと一体的に回転する。
エアバッグカバー20の側壁部23は、図1〜3に示すように、前側と左右の斜め後方側との三箇所に、バッグホルダ11に結合される係止脚部24を、配設させている。各係止脚部24は、側壁部23の下端面から下方へ延びるように突設され、それぞれ、バッグホルダ11における係止孔12eを挿通し、係止孔12eの周縁に係止される。係止脚部24は、側壁部23の内周面に突出する内側突起24aと、側壁部23の外周面側に突出する外側突起24bとを備えて構成され、係止脚部24の係止孔12eへの挿入後に曲げ変形される舌片部12fにより、内側突起24aが係止され、舌片部12fにより係止脚部24が押されて、外側突起24bが、係止孔12eのインフレーター17から離れる外縁側の周縁に、係止されることにより、バッグホルダ11に対し、エアバッグカバー20が、上方への抜けを規制されて係止されることとなる。
また、側壁部23は、係止脚部24,24間の下端面を、バッグホルダ11のベースプレート部12に、当接させる構成とし、さらに、係止脚部24によりバッグホルダ11からの上方移動が規制されることから、エアバッグカバー20は、バッグホルダ11に対し、上下動や前後左右の移動を規制されて、取付固定されることとなる。
バッグホルダ11は、板金製として、図1〜3に示すように、折畳体50、インフレーター17、及び、エアバッグカバー20、を保持し、さらに、スイッチ体15を利用して、エアバッグ装置10をステアリングホイール本体1側に取り付ける板金製の部材として構成されている。バッグホルダ11は、略円環状のベースプレート部12と、ベースプレート部12の外周縁から上方へ突出する側壁支持部13と、を備えて構成されている。
ベースプレート部12には、前側と左右の斜め後側とに、舌片部12fを設けた係止孔12eを貫通させて構成される係止部12dが配設され、後側と左右両側とに、各スイッチ体15を固定させる略半円板状のスイッチ支持部12gが配設されている。側壁支持部13は、係止部12dとスイッチ支持部12gとの間におけるエアバッグカバー20の側壁部23の外周面側に、配設され、エアバッグ30の膨張時における側壁部23の膨らむような変形を規制する。
また、ベースプレート部12の中央には、エアバッグ30の流入用開口33に対応して、インフレーター17の本体部18を下方から挿入可能な略円形の挿入孔12aが、開口し、挿入孔12aの周縁には、リテーナ25の各ボルト27を貫通させる四個の貫通孔12bが形成されている。挿入孔12aの周縁における貫通孔12bを設けた部位は、リテーナ25を利用して、折畳体50とインフレーター17とを取り付けるための取付座12cとなる。
なお、各スイッチ支持部12gに配設される3つのスイッチ体15は、ステアリングホイールWのフローティングタイプのホーンスイッチ機構(ホーンスイッチ)14を構成するものである。各スイッチ体15は、図2に示すように、それぞれ、コイルばね15bにより上方へ付勢されるとともに、芯金2の固定部5に対して、上方への抜けを規制されて係止される組付ピン15aにより、上方への付勢位置が規制されている。そして、ホーンスイッチ機構(ホーンスイッチ)14の操作時には、エアバッグ装置10を押下すれば、スイッチ体15内のスイッチ支持部12g側の可動側接点が組付ピン15a側の固定側接点に接近して接触することにより、ホーン作動回路が通電されて、ホーンが作動するように構成されている。
なお、詳しくは、エアバッグカバー20の天井壁部21の中央付近を押下操作すると、天井壁部21が、天井壁部21を支持可能な形状保持性を有した折畳体50の天井部54に当接して、折畳体50を下方へ押し、下方に移動する折畳体50の底面部51が当接しているバッグホルダ11を降下させる。そのため、バッグホルダ11が、ベースプレート部12とともに、各スイッチ体15の可動側接点を下降させて、ホーンを作動させることとなる。
エアバッグ30は、図1,2の二点鎖線に示すように、球状に近似した厚みのある略円板状の膨張完了形状として、下部側に膨張用ガスを流入するために円形に開口した流入用開口33を備え(図4参照)、流入用開口33の周縁は、バッグホルダ11への取付部34としており、取付部34には、リテーナ25のボルト27を貫通させる4つの貫通孔34aが形成されている。
そして、エアバッグ30の外周壁31は、既述の流入用開口33や取付部34を中央付近に配置させた車体側壁部32と、車体側壁部32の外周縁32aに対して外周縁35aを連ならせて、車体側壁部32と対向するように配設される運転者側壁部35と、を備えて構成されている。車体側壁部32と運転者側壁部35とは、外形形状を共に円形とした可撓性を有したポリアミドやポリエステル等の合成繊維製のバッグ用基布から形成され、外周縁32a,35aに設けられた縫代32b,35b相互を縫合して、外周壁31が形成されている。
また、車体側壁部32の取付部34は、内側面をリテーナ25の後述する底壁部26の下面側に当接されて、バッグホルダ11の取付座12cに固定される略四角環状の部位としている。
リテーナ25は、図1〜3,5〜8に示すように、中央に、流入用開口33に対応して開口する連通用開口26aを有した四角環状の底壁部26と、底壁部26の外周縁の全周から立ち上るように配設される補強用リブ28と、を備えた板金から形成されている。連通用開口26aは、流入用開口33と同形の円形の開口としている。リテーナ25は、連通用開口26aを中心とした連通用開口26aの周囲の底壁部26から下方に突出し、エアバッグ30の取付部34をバッグホルダ11に固定させるための複数のボルト27を備えている。各ボルト27は、四角環状の底壁部26の四隅付近から、下方に突設されている。そして、リテーナ25は、エアバッグ30内の流入用開口33の取付部34に配設され、各ボルト27をエアバッグ30の貫通孔34a、バッグホルダ11の貫通孔12b、及び、インフレーター17のフランジ部19の貫通孔19aに、順に貫通させ、各ボルト27にナット29を締結させることにより、バッグホルダ11に対し、エアバッグ30とインフレーター17とを取り付けている。
なお、各ボルト27は、後述する係止孔84aに嵌めて、折畳体50を包むラッピング材80の底面カバー部84を係止するための留め具、としての機能も有している。
また、エアバッグ30内の取付部34の部位には、取付部34の耐熱性を高めるために、円環状の補強布37が縫合され、また、補強布37の外周縁から延設されて、取付部34と運転者側壁部35の中央部35cとを連結し、エアバッグ30の中央部35c付近の取付部34からの離隔距離を規制するテザー38も、配設されている。そのため、リテーナ25は、実際には、補強布37を介在させて、車体側壁部32の取付部34に当接することとなる。
エアバッグ30の折畳体50は、図5〜8に示すように、底面部51と、底面部51と対向するように配設される天井部54と、底面部51と天井部54との間の側面部58と、を備えた略円柱状の立体形状としている。折畳体50は、図9に示すように平らに展開した初期準備体40から、折畳工程の第1工程としての小径折り工程(図9〜13参照)と、第2工程としての圧縮工程(図14参照)と、を経て折り畳まれている。折畳工程の第1工程としての小径折り工程は、図9に示すように平らに展開した初期準備体40を流入用開口33側に集める工程であり、第2工程としての圧縮工程は、折畳体50(予備折畳体49)の天井部54と底面部51とを相互に接近させる方向に圧縮する工程としている。そして、折畳体50は、これらの折畳工程を経て形成されていることから、外表面側には、多数のシワ50a(図5参照)を配設させている。
折畳体50の天井部54は、中央54a付近に、外周縁54b側より凹ませた凹部55を備え、外周縁54b側に、底面部51と略平行な天井面56aを有して、凹部55の周囲の全周を囲うように、凹部55から隆起する隆起部56を、配設させている(図7、図20のA参照)。天井部54の中央の凹部55は、円錐台形の凹形状として、底部55aから拡径するような傾斜部55bを隆起部56の内周縁56b側に連ならせて構成されている。凹部55は、折畳体50をラッピング材80で包んだ際に、折畳体50の天井部54の中央54a付近が、天井面56aより隆起すること防止するために、配設されている。
また、折畳体50は、底面部51の中央に、インフレーター17の円柱状の本体部18の上部18bを円滑に収納できるように、上部18bに対応する凹部52を配設させ、さらに、底面部51におけるリテーナ25の四角環状の底壁部26の外方を凹ませた凹部53を、配設させている。凹部53は、折畳体50内にリテーナ25を配設させており、リテーナ25とバッグホルダ11との間へのエアバッグ30の部分的な噛み込み防止のために、形成されている。
折畳体50を包む(覆う)ラッピング材80は、図6〜8に示すように、可撓性を有したシート状のカバー部材81と、カバー部材81に設けられた伸び規制材86と、から構成されている。カバー部材81は、エアバッグ30の壁部32,35と同様な可撓性を有したポリアミドやポリエステル等の合成繊維製のバッグ用基布から形成されている。伸び規制材86は、実施形態の場合、カバー部材81の伸びの抑制箇所に縫糸89を縫製してなる伸び規制用縫製部88、から構成されている。縫糸89は、ポリアミドやポリエステル等の合成繊維から形成されて、カバー部材81に対して、ロックステッチにより縫い付けている。
カバー部材81は、折畳体50の天井部54を覆う天井カバー部82、側面部58を覆う側面カバー部83、及び、底面部51を覆って、留め具としてのボルト27に係止させる係止孔84aを有した底面カバー部84と、を備えて構成されている。カバー部材81は、平らに展開した状態として、図16に示すようなカバー材用基布110から形成されている。カバー材用基布110は、略円板状の領域の中央部111から左右方向に2本ずつ帯状に突出する計4枚の帯状張出部112と、中央部111から前後方向の左右両側に突出する計4枚の放射状張出部117と、を備えて構成されている。
中央部111は、カバー部材81の天井カバー部82を形成する。帯状張出部112と放射状張出部117とは、中央部111の近傍の隣接部113,118が、カバー部材81の側面カバー部83を形成し、先端部114,119が、底面カバー部98を形成し、先端付近に、ボルト27を係止する係止孔84aを配設させている。
また、カバー材用基布110には、中央部111に、縫糸89を円形に縫製した天井側縫製部91の円環部91aが配設され、各張出部112,117の係止孔84aの周縁には、係止孔84aの周縁の全周を囲うように、縫糸89を縫製した係止孔側縫製部93が配設されている。さらに、各張出部112,117には、各係止孔84aから、天井側縫製部91の円環部91aの中心91b側に向かって直線的に延びて、天井側縫製部91の円環部91aと交差するように係止孔側縫製部93から延びる直線状縫製部94が配設されている。直線状縫製部94は、係止孔側縫製部93の近傍部位が、カバー部材81の底面カバー部84に配置される底面側縫製部92を構成し、係止孔84aから離れた円環部91aと交差する部位が、カバー部材81の天井カバー部96に配設される天井側縫製部91の延設部91cを構成し、そして、底面側縫製部92と延設部91cとの間が、カバー部材81の側面カバー部97に配設される側面側縫製部90を構成することとなる。天井側縫製部91は、既述したように、円環部91aと延設部91cとを備えて構成されている。
このカバー材用基布110では、図17,18に示すように、前側のスリット120を間にして左右に配置される例えば左側の先端部119LFが、係止孔84aを左前側のボルト27LFに係止させ、右前側の先端部119RFが、係止孔84aを右前側のボルト27RFに係止させ、さらに、後側のスリット120を間にして左右に配置される左後側の先端部119LBが、係止孔84aを左後側のボルト27LBに係止させ、右後側に配置される先端部119RBが、係止孔84aを右後側のボルト27RBに係止させている。また、図17,19に示すように、左側のスリット115を間にして前後に配置される先端部114(LF,RF)の内、例えば、左後側の先端部114LBが、係止孔84aを左前側のボルト27LFに係止させ、左前側の先端部114LFが、係止孔84aを左前側のボルト27LBに係止させ、さらに、右側のスリット115を間にして前後に配置される先端部114(RF,RB)の内、右前側の先端部114RFが、係止孔84aを右後側のボルト27RBに係止させ、さらに、右後側の先端部114RBが、係止孔84aを右前側のボルト27RFに係止させれば、ラッピング材80が、折畳体50を折り崩れしないように包むことができる。
この時、カバー材用基布110は、中央部111が、折畳体50の天井部54を覆うこととなって、カバー部材81の天井カバー部82を構成し、帯状張出部112と放射状張出部117との隣接部113,118が、折畳体50の側面部58を覆って、カバー部材81の側面カバー部83を構成し、先端部114,119が、折畳体50の底面部51を覆って、カバー部材81の底面カバー部98を形成することとなる(図6,16参照)。
なお、カバー材用基布110における中央部111から各係止孔84aまでの長さは、各係止孔84aを所定の留め具としてのボルト27に係止した際、カバー部材81が折畳体50を強く押圧して包むことができる長さ寸法に、設定されている。
また、カバー材用基布110は、各係止孔84aをボルト27に係止させる前に、図17のA,Bに示すように、予め、左側の前後の放射状張出部117LF,117LBの隣接部118の端縁を結合縁118aとして、相互に縫合し、また、右側の前後の放射状張出部117RF,117RBの隣接部118の端縁も結合縁118aとして、相互に縫合して、円筒部122を形成しておき、円筒部122内に、折畳体50を配置させて、ボルト27への係止作業を容易に行えるように、構成されている。
そして、このようにラッピング材80が折畳体50を包んだ際には、図6に示すように、各側面側縫製部90が、ボルト27近傍の側面カバー部83におけるボルト27近傍の底面カバー部84側の縁83bから、天井カバー部82と底面カバー部84との対向方向に沿って、天井カバー部82側の縁83aまで延びるように配設される。また、天井側縫製部91の円環部91aが、天井カバー部82の外周縁近傍で、天井カバー部82の外周縁に沿って配設され、延設部91cが、側面側縫製部90における天井カバー部82側の端部90aから天井カバー部82の中央(中心)91b側に延びるように配設されることとなる。さらに、底面側縫製部92が、側面側縫製部90における底面カバー部84側の端部90bから係止孔側縫製部93まで延びるように配設される(図8参照)。
そして、リテーナ25を組み付けたエアバッグ30をバッグホルダ11に組み付けるまでの製造工程は、小径折り工程と圧縮工程とを備えてなる折畳工程(図9〜14参照)と、折畳体50をラッピング材80により包むラッピング工程(図15、17〜19参照)と、により構成されている。
折畳工程の小径折り工程を説明すると、図9のAに示すように、各ボルト27を貫通孔34aから突出させるようにして、エアバッグ30内の取付部34にリテーナ25を配設し、ついで、車体側壁部32の上に運転者側壁部35を重ねて、エアバッグ30を平らに展開した初期準備体(初期展開体ともいえる)40を形成する。
ついで、図9のBに示すように、折畳準備体44を形成する。折畳準備体44は、初期準備体40の前縁41側に左右方向に沿う折目42を設けて、前縁41を、車体側壁部32における流入用開口33側に接近させるように折り返せば、形成することができる。
ついで、折畳準備体44を、図10,11に示すように、バッグ折り機60にセットし、そして、図12,13に示すように、外周縁45側を流入用開口33の上方に集めて、小径とするように、折り畳む。
バッグ折り機60は、図10〜12に示すように、底側基板61と、底側基板61の上方で上下に移動可能に配設される天井側基板64と、底側基板61上で、底側基板61の中央61b側に移動する8つずつの2種類の押し込み具67,68と、を備えて構成されている。底側基板61の上面側の中央61bには、折畳準備体44から突出したリテーナ25の各ボルト27を嵌めるセット部62が、配設されている。底側基板61の上面側におけるセット部62の部位は、エアバッグ30の折畳体50の凹部52,53を形成可能な小さな凹凸を有して、底面部51側を形成する成形面(型面)61aとなる。また、セット部62の部位は、底側基板61から上方に移動可能に構成されて(図13のC参照)、小径折り工程後の折畳体50(予備折畳体49)を、圧縮工程に移行できるように、押し出して、取り出せるように構成されている。さらに、押し込み具67は、折畳準備体44の外周縁45における8つの箇所46を、把持でき、かつ、中央61b側に押し込むことができるように、構成されている(図11、図12のB参照)。さらに、押し込み具67のセット部62側には、折畳体50の円柱状の側面部58における円弧状の曲面に対応する型面67aが、形成されている。
また、天井側基板64の下面側における中央付近は、折畳体50の天井部54を形成するための成形面(型面)64aとしている。そして、成形面64aの中央には、折畳体50の凹部55を賦形するための押し治具65を組み付けるためのセット部64bとしている。押し治具65は、セット部64bの組付孔64cの周縁に取り付けられる鍔状の組付部65aと、組付孔64c内に嵌め込まれる円板状の基板部65bと、基板部65bから下方へ突出する円錐台形の突条部65cと、を備えて構成されている。突条部65cは、図21のAに示すように、折畳体50の凹部55の凹形状に対応した凸形状として、凹部55の底部55aを形成可能な先端面65caと、凹部55の傾斜部55bを形成可能な傾斜面65cbとを備えて構成されている。そして、基板部65bの下面65ba側が、折畳体50の天井部54における隆起部56の天井面56aを賦形することとなる。
そして、バッグ折り機60を使用する折畳工程の小径折り工程では、まず、図10のA,Bに示すように、折畳準備体44を形成した状態で、各ボルト27をセット部62にセットし、ついで、図10のCに示すように、底側基板61のセット部62から、所定高さ(折畳体50の底面部51から天井部54までの高さ寸法H0と同等)となる位置に、天井側基板64を配置させる。
ついで、図11に示すように、各押し込み具67,68を、セット部62側に移動させるとともに、折畳準備体44の外周縁44aの所定の8つの箇所46を、押し込み具67に把持させる。その後、図12のAに示すように、まず、各押し込み具68をセット部62側(流入用開口33側)に移動させて、折畳準備体44における押し込み具67のセット部62側の領域を残して、折畳準備体44の外周縁44aの8つの押し込み箇所47を、セット部62側に押し込む。
その後、各押し込み具67における外周縁44aの把持箇所46の把持を解除し、各押し込み具67をセット部62側に移動させて、8つの箇所46を、図12のBに示すように、セット部62側に押し込む。
すると、折畳準備体44は、図13のAに示すように、略円柱状の折畳体50と同等とした略円柱状の予備折畳体49に小径折りされる。この予備折畳体49は、圧縮工程前であるものの、折畳体50と同様の凹部55を備えた天井部54、側面部58、及び、凹部52より小容積の凹部49aと凹部53とを有した底面部51、を備えて構成されている(図13のA,B参照)。
なお、押し治具65の突条部65cが円錐台形状としていることから、図21のAに示すように、押し込み具67,68に押圧されて、押し込み具67,68と突条部65cの傾斜面65cbとの間に挟まれた部位、すなわち、凹部55の周縁となる隆起部56の天井面56aから側面部58にわたる天井部54の外周縁54bの部位は、凹部55の部位より、強く圧縮されて賦形された状態としている。さらに、予備折畳体49は、押し治具65と底側基板61のセット部62との間で、押し込み具67,68に押圧されて圧縮された状態となって、押し込み完了時の内部の応力状態では、天井部54と底面部51とを相互に接近させる方向に圧縮されたと同様な応力状態となる。
小径折り工程を経た後には、圧縮工程を行えるように、図13のA,Bに示すように、押し治具65を設けた天井側基板64を、チューブ治具70を設けた天井側基板64に取り替える。チューブ治具70は、予備折畳体49を嵌挿可能な円筒状の筒部70aと、組付孔64cの周縁に組付可能なフランジ部70bと、を備えて構成されている。また、筒部70aには、ラッピング材80の側面カバー部83(円筒部122)を係止する係止ピン70cが配設されている。
その後、図13のBから図13のCの実線、さらに、図13のCの二点鎖線に示すように、チューブ治具70にラッピング材80を被せて、セット部62を、予備折畳体49ごと押し上げ、予備折畳体49をチューブ治具70の筒部70a内に移動させる。なお、ラッピング材80は、図17のBに示すように、円筒部122を形成しておき、そして、天井カバー部82を筒部70aの開口端70aaに配置させて、側面カバー部83(円筒部122)を係止ピン70cに係止させておく。
ついで、予備折畳体49を収納させたチューブ治具70を、図14のAに示すように、圧縮工程を行うバッグプレス機72の固定側部73のセット部73aにセットする。
バッグプレス機72は、固定側部73と可動側部76とを備えて構成される。固定側部73は、ラッピング材80を組み付けたチューブ治具70を収納するブロック74と、予備折畳体49における天井部54側と対向するように配設される押し治具75と、を備えている。押し治具75は、円板状の基板部75aと、基板部75aから上方へ突出する円錐台形の突条部75bと、を備えて構成されている。突条部75bは、折畳体50の凹部55の凹形状に対応した凸形状として、凹部55の底部55aを形成可能な先端面75baと、凹部55の傾斜部55bを形成可能な傾斜面75bbとを備えて構成されている。そして、基板部75aの上面75aa側が、折畳体50の天井部54における隆起部56の天井面56aを賦形することとなる。
可動側部76は、折畳体50におけるインフレーター17の収納用の凹部52を形成する押し治具77を下端に設けて、上下動可能に配設され、押し治具77の上縁側には、折畳体50の底面部51に当接される鍔部78が配設されている。鍔部78には、各ボルト27を貫通させる図示しない貫通孔が形成されている。
そして、図14のAに示すように、予備折畳体49を収納させたチューブ治具70を、固定側部73のセット部73aにセットし、ついで、図14のBに示すように、可動側部76を下降させて、押し治具75により、凹部53を賦形するとともに、精度良く、凹部55を賦形し直せば、折畳体50を形成することができる。
この時、押し治具75の突条部75bが円錐台形状としていることから、図21のBに示すように、押し治具77に押圧されて、押し治具77と突条部75bとの間に挟まれた部位、すなわち、凹部55の直下部位(底面部51側の部位)50bが、折畳体50の軸直交方向DVに逃げる状態となるとともに、突条部75bの傾斜面75bbにより、凹部55の周縁となる隆起部56の天井面56aから側面部58にわたる天井部54の外周縁54bの部位が、凹部55の部位より、強く圧縮されて賦形された状態となる。なお、図14では、ラッピング材80や押し治具75の形状が解りやすいように、それぞれ、予備折畳体49と隙間を空けて図示しているが、実際には、図21のBに示すように、押し治具75に天井部54やラッピング材80は密着している。
そして、圧縮工程を経た後には、図15のA,Bに示すように、チューブ治具70を抜くとともに、可動側部76を復帰させ、ラッピング材80の各底面カバー部84を、係止孔84aを利用して、所定のボルト27に係止させれば(図18,19参照)、折畳体50をラッピング材80により包んだバッグ組付体100を得ることができる。
そして、エアバッグ装置10の組み立て時には、まず、バッグ組付体100をエアバッグカバー20の側壁部23の内周面側に嵌める。ついで、バッグ組付体100の各ボルト27を、バッグホルダ11の貫通孔12bに、貫通させるとともに、エアバッグカバー20の各係止脚部24をバッグホルダ11の係止孔12eに挿入させ、各舌片部12fを、係止脚部24の内側突起24aに係止させるように、外側に曲げつつ、係止脚部24の外側突起24bを係止孔12eの外縁側の内周縁に係止させて、エアバッグカバー20をバッグホルダ11に取り付ける。なお、バッグホルダ11には、予め、各スイッチ体15が取り付けられている。その後、バッグホルダ11から突出している各ボルト27を、インフレーター17の貫通孔19aに貫通させて、各ボルト27にナット29を締結して、エアバッグカバー20を取付済みのバッグホルダ11に、バッグ組付体100とインフレーター17とを取付固定すれば、エアバッグ装置10を組み立てることができる。
エアバッグ装置10の車両への搭載は、ステアリングシャフトSSへ組付済みのステアリングホイール本体1の各固定部5の係止孔5aに、各スイッチ体15の組付ピン15aの下端を挿入させて、組付ピン15aを係止ピン5bに係止させれば、エアバッグ装置10をステアリングホイール本体1に取り付けることができ、ステアリングホイールWの組立が完了するとともに、ステアリングホイールWを、エアバッグ装置10とともに、車両へ搭載することができる。
なお、エアバッグ装置10のステアリングホイール本体1への取り付け時には、バッグホルダ11の図示しないリード線を、ホーン作動回路の正極側に結線し、また、インフレーター17に、作動信号入力用の図示しないリード線を結線することとなる。
車両への搭載後、インフレーター17に作動信号が入力されれば、インフレーター17は、膨張用ガスGをガス吐出口18aから吐出させることから、折り畳まれたエアバッグ30は、膨張用ガスGを流入させて膨張し、ラッピング材80の天井カバー部82を破断させ、さらに、エアバッグカバー20の天井壁部21のドア部21aを押し開き、ドア部21aの開いた開口から突出して、ボス部Bの上方からリング部Rの上面を覆うように、展開膨張することととなる(図1,2の二点鎖線参照)。
そして、実施形態のエアバッグ装置10では、図6〜8に示すように、エアバッグ30の折畳体50が、ラッピング材80に包まれており、このラッピング材80は、折畳体50の天井部54、側面部58、及び、底面部51にわたって覆うシート状のカバー部材81に、カバー部材81の伸びを抑制する伸び規制材86としての伸び規制用縫製部88を設けられて、構成されている。そのため、カバー部材81が、天井カバー部82によって折畳体50の天井部54を覆い、側面カバー部83によって折畳体50の側面部58を覆い、そして、底面カバー部84よって折畳体50の底面部51を覆うとともに、底面カバー部84を、係止孔84aを利用して、留め具としてのボルト27に係止させるように、折畳体50を包めば、伸び規制材86により、カバー部材81に作用する折畳体50の復元力に対抗でき、折畳体50のスプリングバックを規制できて、コンパクトな折畳形状を維持できる。
したがって、実施形態のエアバッグ装置10は、折り畳んだ折畳体50を、コンパクトな状態に維持できて、スペースの小さな部位、すなわち、ステアリングホイールWのボス部Bのバッグホルダ11上におけるエアバッグカバー20の天井壁部21と側壁部23とで囲まれる小容積の小さな収納部位BS(図2,3参照)に、容易に搭載することができる。
そして、実施形態のエアバッグ装置10では、伸び規制材86が、伸び規制用縫製部88として、側面側縫製部90と天井側縫製部91とを備えて構成されている。側面側縫製部90は、留め具としてのボルト27近傍の側面カバー部83におけるボルト27近傍の底面カバー部84側の縁83bから、天井カバー部82と底面カバー部84との対向方向に沿って、天井カバー部82まで延びるように配設されている。天井側縫製部91は、側面側縫製部90における天井カバー部82側の端部90aから天井カバー部82の中央(中心)91b側に延びる延設部91cと、天井カバー部82の外周縁近傍で、少なくとも天井カバー部82の外周縁に沿った部分、実施形態では、延設部91cと交差する円環部91aと、を有して配設されている。
そのため、実施形態では、伸び規制用縫製部88としてのカバー部材81の側面カバー部83に設けた側面側縫製部90が、ボルト27に係止される係止孔84a近傍に配設されて、折畳体50の復元力の作用方向TD(図6,16参照))に対向して、カバー部材81の天井カバー部82の外周縁に設けた天井側縫製部91の円環部91aを牽引する構成となる。そのため、カバー部材81が、伸び規制用縫製部88における天井側縫製部91と側面側縫製部90とにより、折畳体50の天井部54の中央54a付近の高さを増加させることを防止して、天井部54の外周縁54bの部位だけを、側面部58に沿って、底面部51側に押圧する状態となり、折畳体50の底面部51からの天井部54までの高さ寸法H0を抑制でき、折畳体50のコンパクトな折畳形状を維持できる。
ちなみに、図20のBに示すように、折畳体500の天井部54の外周縁54bの部位だけで無く、天井部54の中央54a付近を含め、その中央54a付近から、天井部54と側面部58との両側の交差部位59を経て、さらに、両側の側面部58を経て、底面部51側へ接続されるように、ラッピング材800が、折畳体500を包んで、折畳体500を強く押圧する場合には、図20のBの二点鎖線に示すように、天井部54と側面部58との両側の交差部位59が底面部51側に垂れるような状態となり、そして、天井部54の中央54a付近を隆起させる事態を招き、そのため、折畳体500の高さ寸法を、H0からH1、に増加させる結果となり、折畳体500のコンパクトな折畳形状を維持し難くなってしまう。
また、実施形態では、伸び規制用縫製部88として、留め具としてのボルト27に係止させる係止孔84aの周縁の全周に配設される係止孔側縫製部93が配設されている。
そのため、実施形態では、カバー部材81の底面カバー部84が引っ張られて伸びようとしても、ボルト27に係止させたカバー部材81の底面カバー部84における係止孔84aの周縁の伸びを抑えることができて、カバー部材81(ラッピング材80)が折畳体50のコンパクトな折畳形状を維持できる。
なお、実施形態では、係止孔側縫製部93として、係止孔84aの周縁の全周に配設させた場合を示したが、係止孔側縫製部93としては、少なくとも、折畳体50の復元力の作用方向TDと逆方向RDの縁93a側(図16参照)だけに配設させてもよい。勿論、実施形態のように、係止孔84aの周縁の縁93aと反対側の縁93bとを接続させ、さらに、縁93b側を、側面側縫製部90の底面側端部90bに直線状に接続させる底面側縫製部92を設ければ、一層、折畳体50の復元力に対抗できて、折畳体50のコンパクトな折畳形状を維持できる。
なお、伸び規制材としての伸び規制用縫製部を設ける場合、図22〜24に示すラッピング材80Aを使用してもよい。このラッピング材80Aは、カバー部材81のカバー材用基布110と同様な素材のカバー材用基布130からなるカバー部材81Aに、縫糸89をチェーンステッチにより縫製した伸び規制用縫製部88Aを配設させて構成されている。カバー材用基布130は、円板状の中央部131から、長短のある帯状張出部132(L,S)を放射状に突出させている。短い帯状張出部132Sは、中央部131から90°ずつずらした放射状に配設され、長い帯状張出部132Lは、短い帯状張出部132S,132S間から2本ずつ、放射状に突出している。そして、中央部131は、天井カバー部82Aを構成し、帯状張出部132の先端は、係止孔84aを設けた底面カバー部84Aを構成し、帯状張出部132の中央部131側は、側面カバー部83Aを構成している。
なお、カバー材用基布130の各帯状張出部132における中央部131から各係止孔84aまでの長さは、各係止孔84aを所定の留め具としてのボルト27に係止した際、カバー部材81Aが折畳体50を強く押圧して包むことができる長さ寸法に、設定されている。
そして、伸び規制用縫製部88Aは、底面カバー部84Aの係止孔84aの周縁に設けた係止孔側縫製部93と底面側縫製部92、及び、底面側縫製部92から、中央部131に設けた天井側縫製部91の円環部91aに交差する延設部91cまで伸びる側面側縫製部90、さらに、円環部91aと延設部91cとを備えてなる天井側縫製部91、を備えて構成されている。
このラッピング材80Aは、短い各帯状張出部132Sを、それぞれ、異なった位置の各ボルト27に接近した位置に配置させた状態として、天井カバー部82Aを折畳体50の天井部54に配置させて、短い各帯状張出部132Sの各係止孔134aを、それぞれ、近傍のボルト27に係止させ、各帯状張出部132Sの両側の長い帯状張出部132Lの係止孔134aを、両者の間の各ボルト27に係止させれば、折畳体50を包むことができる(図23,24参照)。
このラッピング材80Aでも、実施形態のラッピング材80と同様に、伸び規制用縫製部88Aを備えていることから、実施形態のラッピング材80と同様に、折畳体50の復元力に対抗でき、コンパクトな折畳形状を維持して、折畳体50を包むことができる。
このラッピング材80Aでも、実施形態のラッピング材80と同様に、伸び規制用縫製部88Aを備えていることから、実施形態のラッピング材80と同様に、折畳体50の復元力に対抗でき、コンパクトな折畳形状を維持して、折畳体50を包むことができる。
また、伸び規制材86としては、図25,26に示すラッピング材80Bのように、カバー部材81Bのカバー材用基布110Bに塗布する伸び規制用コーティング剤87、から構成してもよい。この伸び規制用コーティング剤87は、エアバッグ用基布に耐熱性を向上させるために使用されるシリコンコーティング剤としている。なお、伸び規制用コーティング剤87は、カバー部材の伸びの抑制箇所、すなわち、カバー部材81Bに対して部分的に、例えば、実施形態の伸び規制用縫製部88を設けた部位を、幅方向の中央付近に配置させた状態の帯状に、伸び規制用コーティング剤87を設けても良いが、図例の場合には、容易に塗布できることから、カバー部材81Bの全面に、伸び規制用コーティング剤87を設けている。また、図例の場合には、カバー部材81Bの表側面若しくは裏側面の一方の片面側に、伸び規制用コーティング剤87を設けているが、カバー部材81Bの表裏の両面側に、伸び規制用コーティング剤87を設けてもよい。
なお、カバー部材81Bを形成するカバー材用基布110Bは、実施形態のカバー部材81を形成するカバー材用基布110と略同様であり、同じ部位には、「B」の符号を付して、説明を省略する。
また、このカバー材用基布110Bは、膨張時のエアバッグ30がラッピング材80Bを容易に破断して突出できるように、所定位置に複数の切り込み124が形成されている。なお、このような切り込み124は、実施形態のカバー材用基布110や変形例のカバー材用基布130にも設けても良い。
このラッピング材80Bでは、実施形態のラッピング材80と同様に折畳体50を包むことなり、実施形態の同様な作用・効果を得ることができる。
また、実施形態の折畳体50は、バッグ折り機60やバッグプレス機72により、天井部54と底面部51とを相互に接近させる方向に圧縮されて形成されるとともに、折畳体50の天井部54が、中央54a付近に、外周縁54b側より凹ませた凹部55を備え、外周縁54b側に、底面部51と略平行な天井面56aを有して、凹部55を囲うように、凹部55から隆起する隆起部56を、配設させて構成されている。
このような折畳体50であれば、天井部54の外周縁54bに設けられた隆起部56が、底面部51側に圧縮された状態としており、伸び規制材86をカバー部材81,81A,81Bに設けたラッピング材80,80A,80Bが折畳体50を包んでも、天井部54と側面部58との交差部位59に位置する隆起部56が、圧縮された状態としていることから、底面部51の中央側に垂れ難く、折畳体50は、コンパクトな折畳形状を維持できる。そして、仮に、折畳体50が、ラッピング材80,80A,80Bに包まれて、天井部54と側面部58との交差部位59が下方へ垂れて、図20のAの二点鎖線に示すように、天井部54の中央54aを隆起させようとしても、天井部54の中央54aには、予め、凹部55が形成されており、凹部55自体が、天井部54を高くするような隆起を吸収できて、天井部54自体が高くなるような状態を防止でき、その結果、折畳体50は、コンパクトな折畳形状を維持できる。
ちなみに、既述したように、図20のBに示す凹部を備えていない折畳体500では、ラッピング材800により、天井部54から、天井部54と側面部58との両側の交差部位59を経て、さらに、両側の側面部58を経て、底面部51側へ接続されるように、折畳体500が包まれて、ラッピング材800が折畳体500を強く押圧する場合には、図20のBの二点鎖線に示すように、天井部54と側面部58との両側の交差部位59が底面部51側に垂れるような状態となり、そして、天井部54の中央54a付近を隆起させる事態を招き、そのため、折畳体500の高さ寸法H1を増加させる結果となり、折畳体500のコンパクトな折畳形状を維持し難くなってしまう。
なお、実施形態では、図21に示すようなバッグ折り機60やバッグプレス機72の押し治具65,75を使用して、折畳体50の凹部55を形成したが、他の凹部の形状としては、図27,28,29に示すような押し治具65A,65B,65C,75A,75B,75Cを使用した形状の凹部55A,55B,55Cとしてもよい。
図27に示す凹部55Aは、実施形態の凹部55と同様な円錐台形の凹部55Aであるが、大きくしたものである。
図28に示す凹部55Bは、底部55aが、中央に、さらに凹む凹部55aaを備えて、凹部55aaの周囲の周縁部55abから隆起部56に連なる傾斜部55bを、緩やかに立ち上る凹面状に形成したものである。
図29に示す凹部55Cは、略円錐形状の凹部55Cとして、球面状の底部55aから、膨らんだ円錐状の傾斜部55bを経て、隆起部56に連なるように形成されている。
これらの凹部55A,55B,55Cでも、小径折り工程や圧縮工程における押し治具65A,65B,65C,75A,75B,75Cによって、天井部54と底面部51とを相互に接近させる方向に圧縮されると、凹部55A,55B,55Cの傾斜部55bが、押し広げられて形成されるような内部応力を受けて、天井部54の外周縁54b側の隆起部56が、形状保持性能を高めるように、硬くなり、天井部54と側面部58との交差部位59が、下方へ垂れるように変形し難くなり、折畳体50A,50B,50Cが、ボルト27に係止されるラッピング材により、強い締結力で包まれても、天井部54の中央54aを隆起させるような変形を生じさせず、コンパクトな折畳形状を維持できる。
なお、天井部54の中央54aに設ける凹部55としては、天井部54の外周縁54b側の隆起部56が、形状保持性能を高めるように、押し治具に圧縮されて形成されれば、例えば、円柱状の押し治具を使用して、円柱状の凹部としてもよい。但し、天井部54の外周縁54b側の隆起部56が、より形状保持性能を高める場合には、隆起部56が側面部58側に圧縮される内部応力を確保できるように、底部55aから隆起部56の内周縁56b側にかけて、拡開するような傾斜部55bを有した凹部55,55A,55B,55Cの形状が望ましい。
また、折畳体50に凹部55を形成する場合には、折畳工程の第2工程の押し治具75を使用する圧縮工程だけで、形成するように構成してもよい。勿論、小径折り工程から凹部55を形成するように、天井部54と底面部51とを相互に接近させるように圧縮する内部応力を生じさせて、折畳工程の第1工程として、小径折り工程を行ってもよい。
また、各実施形態では、折畳体50を略円柱状として例示したが、折畳体50は、四角柱状等の多角柱状の形状に折り畳んでもよい。
また、各実施形態では、ステアリングホイールWのボス部Bに搭載する運転席用のエアバッグ装置10を例示したが、助手席用等のエアバッグ装置等に本発明を適用してもよい。
10…エアバッグ装置、27…(留め具)ボルト、30…エアバッグ、50,50A,50B,50C…折畳体、51…底面部、54…天井部、54a…中央、54b…外周縁、55,55A,55B,55C…凹部、56…隆起部、56a…天井面、58…側面部、80,80A,80B,80E…ラッピング材、81,81A,81B…カバー部材、82,82A…天井カバー部、83,83A…側面カバー部、84,84A…底面カバー部、84a…係止孔、86…伸び規制材、87…伸び規制用コーティング剤、88,88A…伸び規制用縫製部、89…縫糸、90…側面側縫製部、91…天井側縫製部、91a…円環部、91c…延設部、92…底面側縫製部、93…係止孔側縫製部、93a…(作用方向と逆方向の)縁、96…天井カバー部、96a…端末、96b…端部、96c…中央部、97…側面カバー部、98…底面カバー部、98a…係止孔。
Claims (2)
- 折り畳まれた状態からガスの導入により膨張展開するエアバッグの折畳方法であって、
前記エアバッグは、膨張用ガスを流入させるための流入用開口33を配置させた車体側壁部(32)と、前記車体側壁部(32)の外周縁に対して外周縁を連ならせて、前記車体側壁部(32)と対向するように配設される乗員側壁部(35)と、を備え、
バッグ折り機(60)は、底側基板(61)と、前記底側基板(61)に対向する位置に間隔を空け設置されるとともに、前記流入用開口(33)付近に前記底側基板(61)側へ突出する突条部(65c)を備えた天井側基板(64)と、を備え、
前記エアバッグを、前記底側基板(61)と前記天井側基板(64)との間に、前記車体側壁部(32)と前記乗員側壁部35とが対向する状態で、前記底側基板61に前記車体側壁部(32)が面するように広げ、前記エアバッグの外周縁を前記流入用開口(33)の上方側に集めるように折り畳んだ際、前記エアバッグが、前記突条部(65c)の周囲に配置され、天井側基板(64)と前記底側基板(61)とで挟持されるエアバッグの折畳方法。 - 前記突条部(65c)は、前記底側基板(61)に近づくにつれ次第に細くなるように形成されており、
前記エアバッグの外周縁を前記流入用開口(33)の上方側に集めるように折り畳んだ際、前記エアバッグの前記流入用開口(33)側の面と対向する面には凹部(55)が形成され、
凹部(55)の開口幅は、前記流入用開口(33)側に近づくにつれ次第に狭くなるように折り畳まれることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグの折畳方法。
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