JP6526960B2 - 冷凍麺の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、冷凍麺の製造方法に関し、より詳細には、食感としてコシが強く、もちもち感を有する多加水冷凍麺の製造方法に関する。
麺は、多くの人々に好まれている食品である。麺の中には様々な物性を持つものがあり、その好みも人によって分かれている。例えばうどんの場合、四国地方の一部(特に、香川県)では硬い食感が好まれ、「さぬきうどん」として広く知られている。
麺に関しては従来から工業的な生産方法が検討され、一例として冷凍麺が広く普及している。しかしながらその一方で、さぬきうどんのようなコシが強くてもちもち感のある物性については、工業生産された冷凍麺は手製(いわゆる、手ごね製法)の麺よりも劣っているのが現状である。その理由の一つは、加水率にあると考えられている。小麦粉使用の麺において加水率を高めた場合、麺に含まれるグルテンの膨潤度が増し、強固な網目状構造が形成される。これにより麺が硬くなり、食感としてコシが強くなる。また、小麦粉にはタンパク質とともに主成分として澱粉質を含んでいるが、加水量を増やすことにより、よりもちもちした食感が得られる。このようにもちもちした食感を有し、かつコシの強い麺が得られる点では、加水率が高いことが望ましい。しかし、加水率を高めた麺生地を工業生産することは容易ではない。なぜならば、加水率を高めた麺生地はやわらかく、重力や圧力を受けると生地全体がくっつき合って一つの塊状となったり、麺生地を引き延ばすためのロールに付着したりと、機械的生産には適さない場合が多いためである。尚、加水率の高い麺は、一般に多加水麺と呼ばれ、その加水量は、ラーメンにおいては小麦粉100重量部に対して40重量部であり、うどん等においては小麦粉100重量部に対して43重量部以上であると言われている。しかし、ラーメン、特に工業生産されるラーメンではそこまでの高品質を求められることはなく、また、うどんにおいては機械生産に広く用いられるピンミキサーとその後に用いられる通常の複合機とが最大で43重量部までの加水率の麺しか製造できないことから、いずれの場合も実際には多加水麺はほとんど工業的に生産されていない。
上述したように、加水率の高い麺を機械的に生産することは困難であり、そのため手製の麺よりも工業生産された麺の方がコシの強さが劣ることが問題となっている。そして、この問題を解決するための装置や方法が従来から検討されている。例えば、特許第2781820号(特許文献1)には多加水麺の自動製麺方法及びその設備が開示されており、当該製造方法の特徴として、麺生地の形成工程と切り出し工程の間で、2度以上にわたって麺生地の熟成を行うことが示されている。そうすることによって、麺に含まれるグルテン組織の破壊を防ぎ、コシの強い食感を可能とし、更にその食感を長期にわたって継続することができるとしている。またその他には、麺帯の圧延ロールを工夫した装置(特許文献2、3)や、麺帯を多重にねじり巻き込む工程を有する方法(特許文献4)等があり、これらの技術もグルテンの網目状構造の強化を図っている。さらに、やわらかい麺生地でも取り扱い可能となるように、多加水麺専用の特殊な装置(特許文献5)や包丁切りの技術(特許文献6)等が開示されている。
また、現在の多加水麺の量産を目的とした製麺設備に使用される水溶液は「冷水」(10℃前後あるいはそれ以下)を使用している。冷水を用いている理由は、ネリ水の温度が15℃から30℃の温水となると熟成が促進し、グルテンが活性化し、粘りが出てくるので従来のピンミキサーではミキシングが困難になること、麺生地が塊状(ドウ状)となり従来の製麺機の複合機で麺生地形成が出来ないこと、さらにはロール圧延についても麺生地が柔らかくなることでロールの表面にくっつき正常な製麺が出来ないことにある。つまり、冷水を用いることは単にグルテンの活性化を抑え、製造できるようにしているのみで、結果として麺の物性を改善するために本来は活性化させないといけないグルテンの働きを抑えその効果を弱めることから品質の良い麺には至らない。
このように多加水麺の工業的な製造技術は種々開発されているが、手打ち麺のようなコシの強い物性を工業的に生産するには更なる改善が必要とされている。そして今もなお多くの研究開発者によって検討が行われている。特に大量製造が必要で長期間保管が必要な冷凍麺においては、あらかじめ加水の量を制限して製造することが通常であり、そのような多加水の麺を製造する方法は明らかにはなっていなかった。
特許第2781820号公報 特開2002−176903号公報 特許第4004879号公報 特許第3122077号公報 特許第2988907号公報 特許第3798104号公報
小麦粉に水を加えるとグルテンが形成され、グルテンは加水率に応じて強固な網目状構造を形成する。このグルテンの網目状構造は麺の骨格の役割を果たし、麺のコシを形成して弾力のある食感を与える。
また、小麦粉は約70%が澱粉で構成されており、麺の粘りに関する食感はこの澱粉の特性によるものである。そのため、加水率を高めることにより、加熱後に得られるもちもちの食感をより高めることができると考えられる。
しかしながら、上述した通り、従来の工業的な製造方法及び装置は少量のサンプルレベルの製品しか提供することができず、結果として、多くの場合、工業生産される麺は加水率の低い麺にとどまっていた。
そこで、本発明は、消費者の満足度をこれまでよりも高めるために、食感として十分にコシが強く、さらにもちもち感に優れた多加水麺(特に、冷凍多加水麺)の工業的な製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決しようとする手段
多加水の麺を製造するにおいては、まずは原料を選抜することである。一定タンパク質含量の小麦粉を使用し、それに澱粉、加工澱粉、グルテン等を必要に応じて組み合わせることが必要である。
次に、多加水の麺を製造するためには以下の各工程を行うことが必要である。
まず、第一に多加水の麺を捏ね上げる機構を有する、手こね式のミキサーを用いた捏ね上げ工程が必要である。麺の製造においては、最初に小麦粉と食塩を混合し、捏ね上げる工程をとる。その捏練工程に於いて、温水を使用することで小麦中のグルテニンとグリアジンの結合を促進し、その後のグルテン形成を容易にする。この時に生地の温度が上昇するが、45℃を超えると生地にダメージを与えるために好ましくなく、45℃にできるだけ近い状態で止めることがその後のグルテンを増強させると共に水和を促進するには非常に有効である。さらに、その温水による効果はミキシング・ネリ工程後のグルテンの緊張をほぐす熟成工程に時間と温度が必用であり、その熟成効果を促進することから好ましい。
このような従来技術の下で、本発明者は、捏ね上げ工程に用いる食塩水について20〜40℃に保温し、短時間で投入することにより、捏ね上げ工程が短時間であっても生地温度によりグルテン組織形成が促進し、水和も促進するという熟成効果が発揮され、結果として麺にもちもち感が得られる事を発見した。また、本発明者はさらに製造方法を検討したところ、通常はピンミキサーが使用されるところを手ごね式の捏練機を使用することによって、その後の工程でグルテンも形成され、ピンミキサーで製造した多加水生地によっては得られなかったコシが出ることを見出した。通常のピンミキサーを用いた場合にはグルテンが繋がらず、バラバラのまとまっていない麺が製造されるが、本発明の方法では、ネリ羽根による加圧と水和の促進効果によりグルテンを膨潤させ、粘り強いドウ状の生地がネリ上がる。さらに真空装置によりその効果はさらに進んだ麺生地形成となる。
そこで第二にこの捏ね上げ工程の直後に熟成工程(いわゆる第一熟成工程)を行うことが必要である。ミキシングにより鍛えられたグルテン組織の緊張を緩和することができる。そのために捏ね上げ直後に、例えば一定速度以下のコンベアに載せて移動させる間に熟成工程を設置することが必要である。
さらに第三にこの麺生地からグルテンを損傷することなく麺生地(麺帯)を作成することが必要である。例えば、麺生地を一定厚さの麺生地が形成したのちにねじりながら麺巻き込みロール状の麺生地を作成する。この、麺生地を足踏みのごとく数段の上方向からの押しを行い、さらにグルテンを強化しつつ、圧延していく工程が必要である。
第四にこの圧延した麺生地を一定の長さで切断し、方向を転換し、さらに別方向からの圧延を行う工程が必要である。これによりグルテンの方向性が一方向ではなく二方向、あるいはそれ以上になり、そのためさらに強固なグルテン構造を有することができる。これによってさらに優れたコシを有する麺が得られる。
第五にその麺を切り出すことが必要である。切り出しはいわゆるスリッターを用いて切り出しても良いが、包丁切りを採用することにより、麺の切断にかかる圧力が軽減され、よりソフトな食感と鋭い角立ちの麺が得られる。
第六には、二次熟成工程を有することが必要である。これは第三工程と第四工程の間に設置しても、あるいは第五工程の麺線にした後でも良いが、より好ましくは第三工程と第四工程の間に設置すべきである。第三工程でプレス圧延され強靱となった麺生地のグルテン組織の緩和を目的とする。この工程を有することにより、麺生地の組織を破壊すること無く、熟成効果により粘り強い麺生地が得られる。その結果、ソフトで粘り強い食感に繋がり、品質を高めることができる。
その後、得られた麺線を加熱し、冷却し、さらに冷凍することによって冷凍麺が得られる。
本発明は、好ましくは以下に記載するような態様により行われるが、これに限定されるものではない。
[態様1]
以下の工程を含む、冷凍麺の製造方法:
(A)20〜40℃の水溶液を小麦粉100重量部に対して40重量部以上の量で加える工程、
(B)手ごね式の捏練機を用いて捏練する工程、
(C)捏練した生地を熟成する工程、
(D)麺生地を形成する工程、
(E)麺生地を切りだし麺線にする工程、および
(F)麺生地または麺線を熟成する工程。
[態様2]
捏練機の内部が真空である、態様1の方法。
[態様3]
麺生地を麺生地成形方向に対して直交方向に圧延する工程をさらに含む、態様1又は2の方法。
[態様4]
麺生地の切りだしが包丁切りにより行われる、態様1〜3のいずれか1の方法。
[態様5]
麺生地を熟成する工程が2回行われる、態様1〜4のいずれか1の方法。
[態様6]
麺がうどん又はラーメンである、態様1〜5のいずれか1の方法。
[態様7]
態様1〜6のいずれか1の方法を用いて作製された、冷凍麺。
本発明によれば、従来では得られていなかった手製のさぬきうどんのようなしっかりとしたコシやもちもち感を有する麺(特に、冷凍麺)を工業的に製造することができる。これにより、満足度の高い食感を有する麺を大量生産することが可能となり、多くの消費者に提供することが可能となる。
図1は、手ごね式撹拌機の例示である。(a)は機器の正面図を示し、(b)は機器の平面図を示す。 図2は、手ごね式撹拌機の撹拌羽根の例示である。 図3は、足踏み式ロータリープレスの例示である。Aは3段階の圧延処理を示しており、各段階において麺生地の1カ所が押圧されている。 図3は、足踏み式ロータリープレスの例示である。Bは3段階の圧延処理を示しており、各段階において麺生地の2カ所が押圧されている。 図3は、足踏み式ロータリープレスの例示である。Cは、足踏み式ロータリープレスを上から見た図を示す。ここでは、足踏み式ロータリープレスに進行する前に麺生地が二重に巻き込まれている様子が示されている。 図4は、本発明品および従来品A、Bの破断強度に関するグラフを示す。いずれのグラフにおいても、横軸は麺の歪率(%)を示し、縦軸は麺にかかる荷重(gf)を示す。各グラフは、試験数(N)=3で行ったそれぞれ破断曲線を示す。 図5は、本発明品および従来品A、Bの引っ張り試験に関するグラフを示す。グラフの横軸は平均切断距離(mm)を示し、縦軸は平均切断荷重(gf)を示す。 図6は、本発明品および従来品A、Bの官能評価に関するグラフを示す。グラフの横軸は粘りの評点を示し、縦軸は硬さの評点を示す。 図7は、冷凍麺の製造方法の一態様についてのフロー図を示す。
本発明は、冷凍麺の製造方法を提供するものであり、当該方法は、水溶液を小麦粉100重量部に対して40重量部以上の量で加える工程、および手ごね式捏練機を用いて捏練する工程を含むことを特徴とする。
本発明における「麺」とは、小麦粉を主原料として加えて混練することにより得られる生地(麺生地)を棒状に成形したものをいう。ここで、「主原料」とは、麺に使用される原材料(ただし、水分を除く)のうち当該原材料の総重量に対して50重量%以上含まれるものを意味する。また、本発明における「冷凍麺」とは、凍結処理した後の状態の麺をいう。
本発明における冷凍麺の製造方法は特定の工程をとることが必要である。例えば、原材料の配合、捏練(添加、混合等)、第一次熟成、麺生地作製(ねじり巻き、圧延)、第二次熟成、麺帯切り出し、反転後、必要に応じて別方向の圧延、切断(麺線作製)、加熱(茹で等)、及び凍結等の工程を通じて製造することができる。基本的に以下に説明するポイントを押さえてあれば、各工程の前後および間には別の工程を含めることも可能である。以下に、各工程に沿って本発明の製造方法を説明する。
(1)本発明における原材料およびその添加工程
本発明では、一工程において、水溶液が小麦粉100重量部に対して40重量部以上の量で加えられる。本発明における水溶液は、物質が水に溶解した液体を意味する。本発明において使用される水溶液は比較的に高温である温水であることが好ましく、その温度は、周囲温度が25℃の場合に、例えば10〜50℃であり、好ましくは15〜45℃、より好ましくは20〜40℃、さらに好ましくは25〜35℃である。ミキシングに使用する水溶液を温水にする事により麺生地温度が一定となり年間を通じて品質が安定する。つまり、原料小麦粉の品温は周囲の環境の温度と比例し、夏季と冬季では大きく異なる。その小麦粉の温度管理は高額な費用や設備が必要であるのに対し、ミキシング時に温水を使用することにより、設備費用などの軽減が図れる。また、小麦粉の内部から温度調整することができ、より厳密な温度管理を行うことができる。また、その場合にはミキサーや製麺機、その他の機器類の温度のばらつきについても対応できるため、環境温度に左右されずに製麺することができる。
一方、麺の製造工程における熟成効果は、温度と時間に比例する。熟成効果とは、小麦粉に加水した水分が麺生地全体に行き渡る(水和という)効果と、その水分が素早くグルテンを膨潤させることで強靭な麺生地が形成され、次の圧延工程につなぐためのグルテン組織の緩和を行う等の効果がある。つまり夏季のような高温時には熟成が早く促進し、冬季のように低温時には熟成は進まず長時間を必要とする。しかし、この温水を使用する事により熟成時間が短縮され、所定の時間で確実に熟成効果が得られ、グルテン組織の緩和を促進し、グルテンの破壊を起こすことなく麺生地が圧延されることとなり、品質的にも安定したものとなる。要するに年間を通じ、季節を問わず品質の良い麺が安定生産出来ることとなる。
熟成は少量生産の場合は適当な時間設定で行うが、連続的に量産する場合はミキシングから切り出しまでの製麺工程に時間的な制限があり、確実な熟成効果を生むには麺生地の温度管理が最も良い。つまり、周囲の環境温度に関係なく、ネリ水の温度を変化させることにより麺生地の内部から温度管理が出来るため、麺生地の熟成効果を確認しながら安定生産することができ、品質も安定する。従来の熟成装置は、麺生地形成後に外部から加温するため、麺生地内部に高い温度を安定して行き渡らせることが難しかった。
また、温水を使用することにより、熟成が促進し、活性化したグルテン組織を短時間で緩和し、麺生地の組織構造を破壊することなく麺に仕上げることが出来るため、その効果は特に限られた時間内での量産の連続製麺には有効である。
さらに、温水ネリは早い水和とグルテンを膨潤させる効果とにより、小麦粉に含まれるフラボノイド色素を引き出し麺の色が黄色みをおび、見た目にも美味しく感じさせることが出来る。昔から伝わる手打ち製法によるうどんの色が黄色みをおびており、それと同様の麺が得られる。
本発明において使用する温水によるミキシングは多加水用の捏練機(ニ―ダ―)を使用し、以後の製麺装置もその多加水に対応する装置であり、品質の差は歴然としている。冷水でミキシングした麺生地は白く、温水での麺生地は黄色みがある。これはグルテンそのものの色であり、温水による効果である。
尚、水溶液の温度範囲は周囲温度の変化に応じて異なり得る。例えば、周囲温度が低い場合は水溶液の温度を上昇させることが好ましく(例えば、水溶液の温度を40℃から50℃にすることができる)、周囲温度が高い場合は水溶液の温度を下降させることが好ましい。
添加される水溶液の量は、小麦粉100重量部に対して40重量部以上である。一般に、多加水麺とは、うどんの場合は小麦粉100重量部に対して38重量部以上の水溶液が使用され、ラーメンの場合は小麦粉100重量部に対して30重量部以上の水溶液が使用された麺と言われているが、本発明ではこれよりも多くの水溶液を使用する。水溶液の量は、特に限定されないが、好ましくは40〜60重量部、より好ましくは42〜58重量部、さらに好ましくは45〜55重量部である。特に、麺がうどんの場合、添加される水溶液の量は、例えば40〜60重量部、好ましくは42〜58重量部、より好ましくは45〜55重量部であり、麺がラーメンの場合、水溶液の量は、例えば40〜45重量部である。麺がラーメンの場合は、添加される水溶液の量が小麦粉100重量部に対して40重量部未満になることもあり得、その場合、当該水溶液の量は、好ましくは小麦粉100重量部に対して32〜40重量部、より好ましくは33〜38重量部である。
従来の機械を用いた麺の製造において用いるピンミキサーや複合機の場合は43重量部が限界とされており、それ以上の加水量では捏ね上げることも複合機で麺生地を制作することもできず、機械製造の限界とされていた。また、単に捏ね上げるだけであればピンミキサーを用いて時間をかけたり、真空にすることにより捏ね上げることは48重量部までとされており、そこまでは単にかき混ぜることはできるが、グルテンに水をしっかり吸水しコシやもちもち感を出すには至っていなかった。また、本発明におけるシステムを用いることによって50から55重量部の多加水麺や、55から58重量部のいわゆる超多加水麺の製造も可能である。
本発明における水溶液は、食塩(塩化ナトリウム)及び/又はかん水を含むことができる。麺がうどんである場合は食塩を使用することが好ましく、麺がラーメンである場合はかん水を使用することが好ましい。水溶液が食塩を含む場合、その濃度は特に限定されないが、通常、水溶液の総重量に対して1〜20重量%、好ましくは3〜18重量%、より好ましくは5〜15重量%、さらに好ましくは8〜12重量%である。水溶液がかん水を含む場合、その濃度は特に限定されないが、通常、水溶液の総重量に対して0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜2.5重量%、より好ましくは0.3〜2重量%、さらに好ましくは0.5〜1.7重量%である。尚、本明細書において「重量%」と示された場合は、特に断りのない限り、「重量%(w/w)」を意味する。また、本発明では、水溶液が食塩を含む場合はその濃度をボーメ度で表すこともできる。ボーメ度で表される濃度は、15℃での水溶液における食塩の濃度(重量%)を示す。
本発明では、原材料として小麦粉が使用される。小麦粉の種類としては、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉、超強力粉等が挙げられ、本発明ではこれらのいずれもが使用可能である。小麦粉中のタンパク質含量が多いほどグルテンが形成されるが、グルテンは吸水することにより約2倍に膨潤するため、グルテン含量は8〜10%程度であることが望ましい。そのグルテンを含有する小麦粉としては、特に限定されないが、中力粉が望ましい。中力粉は主に温帯地域で栽培され、小麦粉の性質として寒冷地域で栽培された強力粉よりも粘弾性があり、ソフトさとモチモチ感が得られるためである。強力粉や準強力粉はグルテン量が多く、コシが強くなると考えられるが、麺は硬くなりソフトさとモチモチ感が得られない可能性がある。本発明では、特にうどんの場合には上記の理由から中力粉を使用することが好ましい。小麦粉の配合量は麺の種類に応じて設定することができ、特に限定されないが、通常、原材料(水分を除く)の総重量に対して50〜95重量%、好ましくは52〜90重量%、より好ましくは53〜88重量%、さらに好ましくは55〜85重量%である。
小麦粉に加え、他の穀物粉を使用することもできる。他の穀物粉としては、例えば、そば粉(一番粉(内層粉、更科粉))、二番粉(中層粉)、三番粉(表層粉)、末粉)、米粉(圧扁粉、胴搗粉、ロールミル粉、ピンミル粉、しん粉、白玉粉、道明寺粉、酵素処理した米粉)等が挙げられる。また、穀物粉には、上記以外のイネ科穀物(例えば、ライ麦、大麦、トウモロコシ、ひえ、テフ)、上記以外の雑穀(例えば、アマランサス)、芋・根類(例えば、片栗、くず、タピオカ、馬鈴薯)、豆類(例えば、大豆、ひよこ豆、えんどう豆)の種子の全部又は一部の粉が含まれる。これらの穀物粉は、一種類のみを使用してもよく、或いは二種類以上を組み合わせて使用してもよい。他の穀物粉の配合量は、麺の種類に応じて適宜設定することができる。
また、本発明では、澱粉及び/又は加工澱粉を原材料として添加することができる。澱粉及び/又は加工澱粉を加えることによって、麺に粘りとコシ、そしてもちもち感を与えることができる。小麦粉自体に含まれる澱粉は約70%であるが、なぜタピオカ澱粉などの澱粉を加えるかについては、小麦粉そのものの持つ澱粉質にはアミロース量が多いと麺質が硬くなることが多く、そのアミロースを軽減させることでソフトでモチモチした食感を得るためである。澱粉はアミロースとアミロペクチンで構成され、アミロースが多いと食感が硬くなり、うどんの品質が悪くなる。一般の小麦粉に含まれるアミロペクチンとアミロースの含有量は約74%〜76%対24%〜26%であるが、アミロペクチンの含有量の多い澱粉を加えることで、そのアミロース含量を24%〜26%より少なくすることとなりソフトでモチモチした食感が得られ、品質は向上する。澱粉には種類も多く、どの澱粉を使用するかで目的の品質を得ることができる。
澱粉としては、植物より単離され、且つ食用として供されるものであれば特に限定されないが、例えば、コーンスターチ、サゴ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、大麦澱粉、ワキシーコーンスターチ、小豆澱粉、ソラマメ澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉等が挙げられる。これらの澱粉は、一種類のみを使用してもよく、或いは二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において澱粉が使用される場合、当該澱粉の含有量は、通常、原材料(水分を除く)の総重量に対して0.1〜50重量%、好ましくは5〜48重量%、より好ましくは8〜45重量%、さらに好ましくは10〜40重量%である。
本発明において加工澱粉とは、澱粉を生成する植物より得られる澱粉に対して化学的、物理的又は酵素的処理を施した澱粉のことをいう。本明細書において「加工澱粉」と示された場合は、特に断りのない限り、上記「澱粉」とは区別して用いられる。加工澱粉としては、食用として供されるものであれば特に限定されないが、例えば、架橋澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、酸化澱粉、グラフト化澱粉、可溶性澱粉、アルファー化澱粉、乾熱処理澱粉、酸処理澱粉、アルカリ処理澱粉、漂白処理澱粉、湿熱処理澱粉、酵素処理澱粉等が挙げられる。また、加工澱粉はアセチル基やヒドロキシプロピル基等の官能基を付与したものであってもよく、或いは当該官能基を付与していないものであってもよい。このような加工澱粉の具体例としては、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸化架橋デンプン、アセチル化酸化デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルリン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプンなどが挙げられる。上述した加工澱粉は、一種類のみを使用してもよく、或いは二種類以上を組み合わせて使用してもよい。本発明では、麺の種類によって異なり得るが、好ましくは酢酸澱粉が用いられる。
本発明において加工澱粉が使用される場合、当該加工澱粉の含有量は、通常、原材料(水分を除く)の総重量に対して0.1〜50重量%、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは5〜40重量%、さらに好ましくは10〜35重量%である。特に、小麦粉との重量比は、通常、(小麦粉):(加工澱粉)=9:1〜5:5、好ましくは8:2〜5.5:4.5、より好ましくは8:2〜6:4である。上記範囲内で加工澱粉を添加することにより、麺としてのまとまりが良好となり十分なコシが得られる傾向にある。
また、本発明では、グルテンを原材料として添加することができる。本発明におけるグルテンは、グルテンを抽出した後、乾燥、粉末化したものをいう。グルテンを添加することによって、麺に十分な硬さを与えることができる。グルテンとしては、例えば、小麦グルテン、変性小麦グルテン、活性小麦グルテン等が挙げられる。本発明では、特に限定されないが、伸展性がよいものが好ましい。グルテンを添加する場合、その含有量は、通常、原材料(水分を除く)の総重量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%、より好ましくは0.5〜4重量%、さらに好ましくは1〜3重量%である。
本発明では、上述した原材料に加え、必要に応じてその他の原材料を加えることができる。その他の原材料としては、例えば、卵白、色素、油脂などが挙げられる。また、副原料の含有量は、麺の種類に応じて適宜設定することができる。
上記の原材料は事前に混合しても良いし、後述の混合工程の中で順次添加しても良いし、事前に一部を混合し、残りを混合工程の中で添加しても良い。その順序は特に限定されず、同時に加えられてもよい。また、投入する時間間隔も特に限定されず、麺の種類等に応じて適宜設定することができる。
(2)原材料の捏練工程(手ごね式の捏練機を用いて捏練する工程)
上記の原材料が準備された上で、本発明の一工程である手ごね式捏練機での捏練が行われる。本発明における手ごね式捏練機には、通常の製麺技術で利用されるミキサー(例えばピンミキサー)よりも撹拌羽根が大きく、撹拌羽根の回転速度が遅い捏練機(「ニーダー」とも称する)が該当する。その撹拌羽根の回転速度は、通常3〜50rpm、好ましくは5〜30rpm、より好ましくは7〜20rpmである。
本発明における手ごね式捏練機は特に限定されないが、その具体例を以下に説明する。手ごね式捏練機に備えられた容器は有底状であり、該容器内において、互いに対向して回転自在に取り付けられ、且つ互いに逆回転し得る一対の撹拌羽根が設けられている。撹拌羽根の一部は湾曲していることが好ましい。この撹拌羽根によって麺塊をかきまぜながら捏ねることが可能となり、結果として麺生地を得ることができる。また、容器底部と撹拌羽根との隙間は小さいことが好ましく、例えばその隙間の大きさは0.5〜2cm(好ましくは0.7〜1.8cm、より好ましくは1.7〜1.8cm)であり、これによって麺塊の全量を効果的にかきまぜることができるとともに、麺塊を捏ねるための圧力も十分に与えることができる。手ごね式混練機及び撹拌羽根を、図1及び2に例示する。尚、手ごね式捏練器は、特許第2831327号に記載された内容を参照することができる。また、当該手ごね式捏練機については、さぬき麺機社製の製麺機(プレスニーダー又はスーパーニーダー)を利用してもよい。
手ごね式捏練機により混合する時間(捏練機を稼働する時間)は、麺の種類に応じて適宜設定することができるが、例えば2〜25分間、好ましくは3〜20分間、より好ましくは4〜18分間、さらに好ましくは5〜15分間である。
手ごね式捏練機においては、その内部(容器内)を真空にしてもよい。真空にすることによって、ミキシングの時間を短縮化することができ、小麦粉に含まれるグルテンの膨潤を促進し、澱粉の水和もより効率的に進行し、透明な表面を有する麺を作製することができる。
本発明において真空とは、大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間内の状態を意味する。本発明における真空は前記定義を満たす限り特に限定されないが、かかる真空を真空度で示した場合、その真空度は、通常0.01MPaG以上、好ましくは0.03MPaG以上、より好ましくは0.05MPaG以上、さらに好ましくは0.08MPaG以上である。尚、上記真空度は、大気圧を0とした場合の数値であり、且つ絶対値をもって示される。また、真空度は、自体公知の方法により測定することができ、使用する混練機またはミキサーに付属の目盛をもって調整することができる。
本発明では、麺生地の捏ね上げ温度が22℃以上になるように調整されてもよい。捏ね上げ温度とは、原材料の混合および混練によって得られた麺生地の温度をいい、具体的には、混合・混練操作が終了した直後の麺生地の温度を意味する。混合、捏練工程においては、当初の混合時のその工場の温度による水温、粉温、装置の温度などによって決まる初期温度から、生地をこねることによってグルテンが生成する際の生成熱によって生地が急速に温められる。また、生地を捏ねることによる摩擦熱や捏ね水に温水を使用することによっても生地温度は上昇し得る。このとき、生地温度が45℃よりも上がると、生成したグルテンが崩壊し、麺生地がべたつき製麺作業を困難にする。逆に、生地温度が低いうちに止めてしまうと、十分に生地中のタンパク質が混合されておらず、その後にグルテンが生成せず、コシがなくなってしまう。そのため、捏ね上げ時の温度によって混合、捏練工程の終期を調整することができる。麺生地の捏ね上げ温度は、例えば、生地温度により測定することができる。本発明において、麺生地の捏ね上げ温度は22〜30℃が望ましい。
(3)第一熟成工程(捏練した生地を熟成する工程)
上記の方法で捏ね上げた生地はドウ状(塊状)でグルテン組織が活性化しており、そのまま次の麺生地形成工程に進めるとグルテン組織を破壊することとなるため、このままの状態では取り扱うことが難しい。そのため捏ね上げ直後から熟成工程をとることが必要である。この段階で熟成工程をとることにより、生地中にグルテンを形成することができ、その後の加工を可能にする。熟成時間は30分から1時間程度であり、グルテンが形成されれば特に限定されるものではない。
(4)麺生地形成工程(麺生地を形成する工程)
次に、熟成された麺生地を圧延し、麺生地を形成する。このとき、麺帯を作成し、2枚以上の麺帯を複合し、さらに圧延機で引き延ばし、所定の厚さにするという従来の工程では、一定方向にしか圧延されず単調な食感しか得られないのみならず、急激な圧延によるストレスのため、グルテンの破壊を招き食感の低下も見られる。
そこで本発明においては麺生地をねじりながら巻き込む工程(ねじり巻き工程)で巻き込んだ二重のロール生地を作成し、足踏みを想定した多段階(複数段階)の圧延工程により徐々に押し延ばす工程をとることにより他方向のグルテン繊維を形成することができる。尚、本発明における麺生地の形成には、下記の(4−1)〜(4−4)が含まれる。
本工程で用いる装置は、特に限定されないが、(i)ミキシングされた生地が投入されるホッパー、(ii)該ホッパーから出てくる麺塊を平板状の麺帯に成形する麺帯ロール、(iii)該麺帯ロールから出た平板状の麺帯を送るコンベヤ、(iv)該コンベヤ上に前記麺帯の進行方向に対し斜めに交差させて配置されており、平板状の麺帯を多重にねじり巻きするように巻き込むねじり巻き込みロール、(v)前記ねじり巻きされた棒状麺帯を圧延する多段の足踏み式ロータリープレス、および(vi)該ロータリープレスから出た厚板状麺帯を所望の形状に成形する成形ロールを備えている。以下に、各種工程及びそれに伴う装置の詳細を説明する。
(4−1)麺塊の切り込み工程
本発明では、手ごね式捏練機による混合の後、麺帯の作製において、麺塊の切り込み工程を設けることができる。当該切り込み工程は、例えば、麺塊を切り込むための刃が備えられた装置を用いて行うことができる。当該装置は、特に限定されないが、(i)麺塊(麺生地)を投入するホッパー、(ii)該ホッパーの出口に設けられた麺帯成形用の一対のロールからなる麺帯ロール、および(iii)揺動アームとその先端に取付けられた切込み板を有し、該切込み板の先端縁には切込み刃が形成された麺塊切り込み手段を備えている。そして、前記揺動アームは、その基部が支軸に固定され、該支軸に連結された駆動源によって、往復揺動するようになっており、前記切り込み板は、前記支軸側が凹むように湾曲した側面視円弧状の板材であり、前記揺動アームを揺動させることにより、前記一方のロールの上方から、前記一対の麺帯ロールの谷間に向って突っ込み動作をし、前記ホッパー内の麺塊を、切り込まれた状態における切込み板の内側の麺塊と切込み板の外側の麺塊とに切り分けることができる。尚、「切込み板の内側」とは、ホッパー内に切込み板を突込んで二分した状態において切込み板より支軸側の部分をいい、「切込み板の外側」とは切込み板より反支軸側の部分をいう。
麺帯の切り込み工程を設ける理由は、麺帯を首尾よく形成させることにある。加水量の多い麺生地の場合、ミキシング後の生地がやわらかいため、重力や圧力を受けると生地全体がくっつき合って一つの塊状になる傾向にある。麺生地が一つの塊状になった場合は、その生地が麺帯形成用のロールに十分に食い込むことができず、麺帯に穴が開いたり破れたりして結果的に麺帯を形成することができなくなる。
これについて、上記の切込み板等を用いて麺帯を切り込む工程を設けると、麺塊を切断して小さく切り分けることができる。具体的には、当該切込み板は先端が包丁刃のようになっており、一対のロールの谷間に突っ込み動作をし、ホッパー内の生地を切り込んで分割する。この切込み板が、切込み板の内側の生地と外側の生地を分離するので、解砕機でバラバラ状の生地を供給するのと同じように、小単位の生地が一対のロールの谷間にくい込まれていく。このように小さく切り分けると、切り分けられたグルテン組織も切断され、ロールに近い生地がロールから遠い生地によって後方へ引っ張られないので、小さくなった生地がロールに食い込まれやすくなる。また、切り分けられた生地に無理な力が加わらないので、グルテン組織が必要以上に活性化されて組織が破壊されるような不都合がなく、麺帯に穴があいたり破れたりすることがない。このため、安定したきれいな麺帯形成ができる。尚、本発明における麺塊の切り込み工程は、特許第2988907号に記載された内容を参照することができる。
(4−2)巻き込み工程
本発明では、さらに、麺帯の作製において、麺帯の巻き込み(ねじり巻き込み)工程を設けることができる。当該巻き込み工程は、例えば、平板上の麺帯を巻き込むための手段(例えば、ねじり巻き込みロール)が備えられた装置を用いて行うことができる。
上記ねじり巻き込みロールは、駆動源により回転される1本のロールであってもよく、駆動源により回転される2本のロールであってもよい。ねじり巻き込みロールが駆動源により回転される1本のロールである場合は、該ロールの一端が前記コンベヤの一端で上流側に位置するように、かつ該ロールの他端が前記コンベヤの幅方向略中央付近で下流側に位置するように配置されており、該ロールの回転方向が、前記コンベヤと対面する部位の移動方向がコンベヤの走行方向と逆向きとなる。他方、ねじり巻き込みロールが駆動源により回転される2本のロールである場合は、各ロールの一端が、前記コンベヤの両端で上流側に位置し、かつ該ロールの他端が前記コンベヤの中央付近で下流側に位置し、各ロールの他端同士の間にねじり巻きされた棒状麺帯が通過する空間が設けられており、前記各ロールの回転方向が、前記コンベヤと対面する部位の移動方向がコンベヤの走行方向と逆向きとなる。
麺帯の巻き込み(ねじり巻き込み)工程を設ける理由は、麺に含まれるグルテン組織をより強靭なものにすることにある。グルテンの組織が強靭になれば、麺の歯ごたえや弾力性をより高めることができる。
ねじり巻き込みロールが駆動源により回転される1本のロールである上記装置を用いた場合、まず麺帯ロールで平板状の麺帯ができ、それに一定方向のグルテン組織ができる。ついで、コンベアによって、送られる平板状の麺帯が、回転中のねじり巻き込みロールに触れるとコンベア上で多重に巻き取られ、しかもロールは麺帯の走行方向に傾斜しているので、麺帯の一端側から順に巻き込まれていき、他端側では棒状になって、さらに下流側へ送られていく。この棒状となった状態でロータリープレスで圧延されると、先に形成されたグルテン組織と交差する方向のグルテン組織が形成される。このようにしてグルテン組織が互いに交差し、しかも多重に形成されるので、非常に腰の強い、高品質の麺が得られ、また茹で上げ後の形崩れがどの方向にも生じず、その品質を長く安定して保持できる麺となる。
(4−3)足踏み式ロータリープレス
前記ロータリープレスは、手捏ね麺の足踏み式の圧延を想定し、コンベア上で移動してくる前述の棒状の麺帯を上から半固定のロール又は平板を上から適度な力で押し付けることにより、圧力のかかった部分と逃げの部分が足踏みと同様な効果を生みながらプレス圧延を行う。本ロータリープレスは多段であることが望ましく、2段から18段、より好ましくは3段から9段であることが好ましい。上から押し当てるタイプのロータリープレス機を徐々に押していくことにより通常のロール式の圧延機と違い、麺生地にストレスを与えず、また連続的に圧延をせずに生地を休ませる工程を挟みながら圧延していくこととなるので、生地中のグルテンを破壊することなく圧延していくことができる。
ロール及び平板の表面は特に限定されず、平らであっても波状であってもよく、それらを組み合わせても良い。また、通常では一度の圧延で1カ所が押されるが、特にこれに限定されず、2から多カ所を押しても良い。一度の圧延で複数箇所(2カ所、3カ所、4カ所、5カ所等)を押す場合は、必要数のロールを組み合わせることにより実施することができる。例えば、一度の圧延で2カ所を押す場合は、2つのロールを並列に配置すればよい。また、ロールを複数並列させる場合は、麺生地の進行方向に応じてロールの上下位置をずらす(例えば、麺生地の進行方向に対して手前のロールは後方のロールよりも上方に配置させる)ことが好ましい。足踏み式ロータリープレスを、図3に例示する。
上記のようにして、ねじり巻きされた棒状の麺帯を圧延すると、グルテン組織が多重に交差して形成されている上から、さらにプレスすることにより、より一層強靱なグルテン組織が形成されことになる。このため、非常に高品質の麺生地が得られる。
(4−4)成形ロール工程
前記成形ロールは、前記足踏み式のロータリープレスで圧延された厚板状麺帯を所望の形状に成形することを主目的とするロールである。
この成形ロールを通過した生地は、手打ち麺用の平板状の、例えば厚さが1.5〜2cm程度の麺生地が得られる。通常はこの平板状の麺生地を圧延し、2.0〜4.5mmの厚さにして線切りすると、手打ち麺となる。いずれにしても、本実施形態では、グルテン組織へ非常に強靱な麺生地を連続して大量生産することができる。尚、本発明における巻き込み工程は、特許第3122077号に記載された内容を参照することができる。
(5)第二熟成工程(麺生地または麺線を熟成する工程)
本発明ではまた、前述の麺生地形成工程後に、第二次の麺生地を熟成する工程を設けることができる。麺生地形成工程において多方面に形成されたグルテン網をさらに熟成させることにより、よりコシがあり、もちもちした食感を得ることができる。第二次の熟成工程は、麺生地形成工程後、麺線を茹でる工程までのどの段階で行ってもよく、連続された麺生地の状態でも、それを切断した麺帯の状態でも、さらにそれを切り出した麺線の状態でもよいが、麺線の切り出す前の最終圧延工程間のどこかの段階で行うことが望ましい。麺生地の熟成は、通常10〜40℃、好ましくは15〜35℃、より好ましくは20〜30℃で、通常10分〜24時間、好ましくは20分〜12時間、より好ましくは30分〜4時間行われる。麺生地の熟成は、自体公知の装置を用いて行うことができ、かかる装置は麺生地の温度保持ができるものであれば特に限定されない。
本発明において、上記のように熟成工程は複数回設けることが好ましい。麺生地の熟成を複数回行う場合は、特に限定されないが、原料を混合した直後のドウ状(塊り状)で1回目の熟成を行い、厚板状に麺帯形成された状態で2回目以降の熟成を行うのが好ましい。尚、麺生地の熟成を行うこと、特に複数回の熟成を行うことは、圧延処理により緊張されたグルテン組織の緩和を促し、これによりグルテン組織の破壊を防ぐことができ、結果としてコシの強い麺を得ることが可能となる。このような本発明における熟成工程は、特許第2781820号に記載された内容を参照することができるが、多加水麺において捏ね上げ直後に熟成工程を設定することによって優れた麺が得られることを見いだしたのは本発明が初めてである。
(6)圧延工程(麺生地を圧延する工程)
本発明では、麺生地を形成した後、麺生地をさらに圧延する工程を設けることができる。麺生地の更なる圧延は、麺生地の熟成の後で行うのが好ましい。圧延作業は、特に限定されないが、ローラーを備えた自体公知の圧延装置を用いて行うことができる。かかる装置においては、複数のローラーが設けられ、ローラーで運搬する麺生地が波状になるものでも平板状になるものでも良い。尚、麺生地の圧延は、略平板上の麺生地の少なくとも一方向について行われ、ローラーを備えた装置を用いた場合は、ローラーで運搬する麺生地の進行方向において圧延が行われる。
得られた麺生地は、麺帯として所定の大きさに切り出すことができる。圧延される麺帯は、タテヨコ方向に圧延するため、所定の大きさの麺帯を切り出すことができる。麺帯の切り出しは、当業者に周知のカッティング装置を用いて行うことができる。尚、麺帯を切り出す大きさは、麺の種類に応じて適宜設定することができ、例えば30〜50cmの大きさで切り出すことができる。
本発明では、麺生地(または麺帯)を横方向に圧延する工程をさらに設けてもよい。麺生地の横方向とは、麺塊をローラーで引き延ばして略平板状の麺生地を成形する流れの中で、ローラーで引き延ばす方向(進行方向)を麺生地成形方向としたときに、略平板状の麺生地の最も大きな面において上方向から見て、麺生地成形方向に対して垂直な方向を意味し、横方向に圧延することは、略平板状の麺生地の最も大きな面において上方向から見て、麺生地成形方向に対して垂直な方向(少なくとも一方向、好ましくは両方向)に麺生地を圧延することをいう。
本発明では麺生地(または麺帯)を横方向に圧延する工程をさらに含んでもよいことから、本発明の一態様として、麺生地は縦方向と横方向との二方向に圧延される。即ち、麺生地は、略平板状の麺生地(または麺帯)の最も大きな面において互いに直交する二軸方向に圧延され、それぞれの軸の少なくとも一方向(好ましくは両方向)に麺生地が圧延される。このような二方向の圧延は、例えば、一定の厚さに圧延された麺生地を切断して麺帯とし、その麺帯を通常のライン方向(当初の麺生地成形方向)に対して直交するように方向を変えることにより行うことができる。具体的には、切り出した麺帯を、前述の直交方向に動作する別のベルトコンベア上に移動させ、圧延手段(例えば、圧延ローラー)により当該ベルトコンベアの動作方向に麺帯を圧延し、次いで当該ベルトコンベヤとは逆方向に動作する更なる別のベルトコンベヤ上に麺帯を移動し、その逆方向において圧延手段(例えば、圧延ローラー)により更に圧延処理を加えることによって、上記二方向の麺生地の圧延を行うことができる。
麺生地の上方向から見て、進行方向から横方向への圧延は、特に限定されないが、例えば、ローラー等による圧延により行うことができる。
(7)切り出し工程(麺生地を切りだし麺線にする工程)
以上のようにして作製された麺生地(または麺帯)について、麺(麺線)の切り出しが行われる。即ち、本発明では、麺の切り出し工程を設けることができる。麺の切り出しは、如何なる方法を用いてもよく、例えば、複数の切刃が所定間隔で設けられたスリッターでの切り出し、ローラーの表面に所定間隔で複数の切刃が設けられた回転刃での切り出し、包丁を上下動させて麺生地の端縁から切っていき麺線を一本ずつ切り出す包丁切り等が挙げられる。本発明では、特に限定されないが、包丁切りで麺の切り出しを行うことが好ましい。包丁切りを利用することによって、切断する時に麺にかかる圧力を軽減し、よりソフトでモチモチした食感の麺を得ることができる。麺を切り出す大きさ(太さ)は、麺の種類に応じて適宜設定することができ、例えば、3〜6mmの大きさ(太さ)で切り出すことができる
本発明での麺の包丁切りでは、特に限定されないが、一方向に周回運動するカッター(麺線カッター)を備えた装置を用いるのが好ましい。当該カッターを使用すれば、カッターの周回運動の底辺付近を横方向に移動しているときに麺帯を引いて切り、麺線を連続的に切り出すことができる。また、当該カッターを利用すれば、カッターの往復運動に伴う衝撃や騒音が発生せず、機構的に無理がないので高速化が可能であり、摩擦等も少ないため装置寿命を長くさせるという利点もある。一方向に周回運動するカッターの構造を、具体例として以下に説明する。
カッターを保持する機枠の左右には、回転駆動軸が軸受で支持され、各回転駆動軸の基端にはプーリが結合され、モータの出力プーリに巻き掛けられたタイミングベルトまたはチェーンが掛け廻され、同調して回転するようになっている。なお、タイミングベルト(歯付ベルト)またはチェーンであると、左右の回転駆動軸この回転位相がずれないので好ましい。また、各回転駆動軸の先端にはバランスウエイトが結合され、包丁等との重量バランスをとっている。そして、各バランスウエイトにはそれぞれ偏心軸が結合されており、回転駆動軸と偏心軸とは距離dだけ偏心している。
左右2本の偏心軸の取付板への連絡構造に関して、偏心軸はベアリングを介してリンクの下端に回転自在に連結され、リンクの上端にベアリングを介して取付けた取付ピンは取付板に回転自在に取付けられている。上記のリンクは、直接2本の偏心軸を取付板に取付けると製造誤差によって芯ズレがあった場合に、動きが不円滑になるので芯ズレを吸収するために用いられている。左側の取付構造は、直接、偏心軸をベアリング等を介して取付板に連結している。なお、リンクを用いる取付構造は取付板の一方で足り、右側だけでなく、左側であってもよい。この取付板には、包丁が複数本の取付ボルトで着脱自在に取付けられている。
上記の構造に基づき、モータにより回転駆動軸が回転すると、偏心軸が回転駆動軸のまわりを公転するので、包丁も一方向に周回運動することになり、周回運動の底辺付近を横方向に移動しているときに麺体を引いて切り、麺線を連続的に切り出すことができる。
上記の麺線カッターは板状麺体(麺帯)を1枚ずつ切ってもよいが、複数枚を積み重ねておいて切るのが好ましい。麺帯を複数枚積み重ねて切断する方法においては、特に限定されないが、2種類のコンベヤ(積重ねコンベヤおよび切出しコンベヤ)を用いて行うことができる。これらのコンベヤは動作方向が互いに直交していることが好ましく、その切り出し方法の具体例としては、積重ねコンベヤが板状麺体を送りながら、切出しコンベヤ上の受渡し位置に直交方向から前進して、切出しコンベヤ上に板状麺体を順次重ね置きし、ついで、後退して別の新しい板状麺体を受取り、この前進と後進を繰り返すことにより麺帯の積み重ねが行われ、これと同時に、前記切出しコンベヤを前記積重ねコンベヤの送り速度よりも小さな送り速度で前進させて、該切出しコンベヤの先端に付設された包丁切り麺線カッターにより重ねられた複数枚の板状麺体を麺線に切断していくことができる。
尚、上記の切り出し方法を行う場合には、特に限定されないが、(i)板状麺体を麺線に切り出す包丁切り麺線カッター、(ii)前記包丁切り麺線カッターに板状麺体を供給する切出しコンベヤ、および(iii)製麺装置によって圧延された板状麺体を前記切出しコンベヤ上に順次重ねて置いていく積重ねコンベヤを含む装置であって、前記積重ねコンベヤは、板状麺体を送っていくコンベヤ機構と、該積重ねコンベヤ自体を前記切出しコンベヤ上に前進した受渡し位置と該受渡し位置から後退した受取り位置との間で往復させる往復機構を備え、前記切出しコンベヤは、前記積重ねコンベヤに対し送り方向が直交するように配置され、かつその送り速度は前記積重ねコンベヤの送り速度より小さく設定されており、前記包丁切り麺線カッターは、前記切出しコンベヤの先端に付設されていることを特徴とする装置を用いることができる。尚、本発明における麺の切り出し工程は、特許第3155934号に記載された内容を参照することができる。
なお、本発明には乱切り機構を設けることが出来る。乱切り機構とは、手工程により包丁切りされる麺は1本1本が微妙に太さが違う、それを機械的に再現するもので、太さの違う麺が入り混じることでより手打ちらしさを出すことができ、食感的にも同じ茹で時間で茹でられた麺が太い麺は硬く、細い麺は柔らかくなるといったように一定の太さに切り出された麺との違いを出すことが出来、より手作り感を出すことが出来る。機構としては、目的の厚さに圧延仕上げされた麺帯に対し、その麺帯が包丁刃で切断される時、インバーターなどで包丁刃の回転数を高速にしたり低速にしたりして切断される麺線の太さを変化させる方法と、包丁刃の回転数は一定の速度とし、麺帯を運ぶコンベヤの動きを高速、低速に変化させる事で得られる。その切り幅、要するに乱切りの度合いはインバーダー制御で極端に違いを付ける場合とほぼ目立たない違いとすることが出来る。その乱切り装置としては、機構的なものとしては実用新案第1782508号、電気制御に関するものが実用新案第2118987号の内容を参照することが出来る。
麺は、切り出された後、熱湯で加熱処理(茹で処理)が行われる。加熱処理のための設備は、当業者に周知の設備を用いることができる。加熱温度、加熱時間等の種々の条件は、麺の種類、麺の太さ(大きさ)及び麺塊の量(重量)等に応じて適宜設定することができるが、喫食する際の麺自体の物性(弾性、硬さ等)の程度等を考慮して、加熱温度は通常95℃以上、好ましくは98℃以上であり、加熱時間は通常3〜60分間、好ましくは5〜20分間である。
加熱処理が完了した麺は、適度な温度まで冷却した後、凍結処理を行うことができる。凍結処理のための設備は、当業者に周知の設備を用いることができる。また、所定量の麺を凍結しながら成型するために、トレー(容器)を使用することもできる。凍結温度、凍結時間等の種々の条件は、冷凍麺として適した程度に凍結可能である限り、特に限定されないが、流通可能とされる冷凍麺の状態等を考慮して、凍結温度は通常−25℃以下であり、凍結時間は通常15〜240分間、好ましくは20〜60分間である。
本発明における冷凍麺の種類としては、例えば、うどん(きしめん、ほうとう、讃岐うどん、稲庭うどん等を含む)、中華麺(ラーメン等を含む)、素麺(節麺等を含む)、ひやむぎ、及びパスタ(スパゲッティ、スパゲティーニ、フェデリーニ、カペッリーニ、タリアテッレ、ブカティーニ等のロングパスタ;マカロニ等のショートパスタ;ラザニア、ニョッキ等を含む)等が挙げられる。本発明では、冷凍麺は、好ましくはうどん又はラーメンであり、特に好ましくはうどんである。
本発明における冷凍麺の解凍用途は、特に限定されないが、流水解凍用、自然解凍(室温解凍)用、冷蔵解凍(冷蔵庫解凍)用、電子レンジ解凍用、ボイル解凍用、スチーム解凍用等とすることができる。冷凍麺を解凍する条件は、解凍方法に応じて適宜設定することができる。
以上の通り、本発明の冷凍麺の製造方法を説明したが、本発明ではさらに、当該方法を用いて製造された冷凍麺も提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは単なる例示であって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。尚、実施例中、特に断りのない限り、「%」は「重量%(w/w)」を意味する。
実施例1 冷凍麺(うどん)の作製検討
(1)加水温度の検討<1>
配合組成を、小麦粉70重量部、加工デンプン(酢酸澱粉)30重量部、食塩水(ボーメ10度)49.5重量部として、上記の方法に準じて麺生地を作製した。このとき、添加する食塩水の温度を5℃間隔で10〜40℃に分けて、ピンミキサー(C&C製)を用いて低速5分で撹拌した後の、各温度での麺生地の状態を目視で確認した。その結果を下記の表1に示す。
得られた生地はぼそぼそした固まり状であり、全体にまとまった生地にはならなかった。
(2)配合組成および麺帯切り出し方法の検討
下記の表2に示された配合組成で冷凍麺を作製した。冷凍麺の麺生地は、食塩水の温度を35℃で添加した場合の、各種原材料を所定の量で添加した後、ピンミキサー(C&C製)を用いて、真空度0.08MPaGの条件で7分間(高速6分、低速1分)混合を行うことにより作製した。得られた麺生地の練上がり温度(捏ね上げ温度)は、サンプル1が24.5℃、サンプル2が25℃、サンプル3が25.8℃、サンプル4が26.3℃であった。通常は10分程度混合するが、捏ね上げ温度が上がりすぎるために、上記の7分間で停止した。その後、麺生地を22℃で30分間熟成し、次いで8.5番手(#8.5)の切刃または3.5mm幅で設けられた複数の包丁カッターで麺を切り出した。得られた麺を熱湯で13分間茹で、−25℃で2時間急速凍結を行い、冷凍麺を準備した。尚、麺の歩留まりは下記の表3の通りであった。
以上の通り作製した冷凍麺を電子レンジ加熱により解凍し、目視(色光沢、透明感、茹で後ののび具合)および食感(硬さ、弾力、粘り)について官能評価を行い、さらに、麺の破断応力(最大加重平均値、平均破断近似値)を測定した。
目視の官能評価については、サンプル1〜4を相対的に評価して順位付けを行った。また、食感の官能評価では、各評価項目を0(悪)〜5(良)で点数付け(0.25点刻み)を行った。
麺の破断応力は、レオメーター(RHEONER RE−33005、(株)山電)を用い、これに楔形プランジャーNo.49を装着し、垂直に配置した1本の麺を1mm/秒の測定速度で歪率99%まで破断した際の荷重を測定することによって得た。
各結果を、下記の表4〜6に示す。
目視の官能評価の結果、サンプル3および4は適度な弾力ともちもち感が再現可能と考えられた。
以上の結果から配合組成を検討したところ、小麦粉と加工デンプンとの比率を8:2から7:3にすることによって、麺の硬さの低下をわずかに抑えつつ、弾力や粘りが高い麺を生成できることがわかった。これにより、配合組成として小麦粉と加工デンプンとの比率は7:3とする方がより好適であることがわかった。
麺の切り出し方法については、切刃(スリッター)でも十分に切断できるが、包丁刃で切り出したものの方がよりもちもちとした食感を得ることができた。
(3)加水温度の検討<2>
加水温度の違いによる冷凍うどんの品位への影響を調べた。具体的には、加水温度を6℃または40℃とし、その他の条件は下記の表7の通りとして、官能評価およびレオメーターでの破断応力(最大加重平均値、平均破断近似値)を調べた。
ミキシング後に得られた麺生地について、加水温度が6℃のサンプル(サンプル5)の麺生地は粒が小さく、その捏ね上げ温度が21℃であったのに対し、加水温度が40℃のサンプル(サンプル6)の麺生地は塊状で、その捏ね上げ温度は28℃であった。また、ボイル歩留りは、加水温度が6℃のサンプルは172%であり、加水温度が40℃のサンプルは175%であった。官能評価および破断応力の結果を表8〜10に示す。
加水温度が6℃の場合には麺が硬いもの、いわゆるコシではなく、6℃では得られないもちもち感を40℃にすることにより、得られることが分かった。ただし、捏ね上げ温度が28℃にまで上昇しており、再現よく生産するためにはミキシング終了の判断に注意を払う必要があることが示唆された。尚、破断応力が上記(2)の測定値と異なったのは、麺の茹で時間の違いにあると考えられた。
(4)ミキシングの検討
上記の実験はいずれもピンミキサーを用いて原材料のミキシングを行ったが、液温が低い状態では低速5分の混合条件で十分に混合することができなかった。液温を高くすれば麺生地が吸水してまとまりやすくなったが、やはり高速で撹拌しないと粉の原料に十分に水和させることができず、また得られた生地もボソボゾ状の固まりの生地であった。その生地から得られた冷凍麺については、もちもち感は得られるものの硬さやコシが得られない場合もあった。また、上記(3)のように、液温をさらに上げるともちもち感も固さも良好の麺が得られたが、捏上温度の上昇が早く、工業的に製造することは困難であると思われた。そのため、工業的に製造可能な方法を見出すことを目的としてミキシングの検討を行った。
上記(1)と同一の配合組成で麺生地の作製を試みた。このとき、食塩水の温度は35℃とした。原材料のミキシングにおいてはピンミキサー(C&C製)または手ごね式の捏練機(さぬき麺機、プレスニーダー)を用い、さらに、それぞれのミキサーについて真空状態にした場合を合わせて調べた。尚、手ごね式捏練機の撹拌条件は22rpmとした。
上記表11の結果の通り、通常のミキサー(ピンミキサー)では原材料が空回りして十分に混合できず、混ぜてもぼそぼその固まり状の生地にしかならないのに対し、手ごね式の捏練機は8分間以上撹拌することによって原材料に水和させることができ、また、生地全体が水分を保持したドウ状の生地となった。さらに、手ごね式捏練機においては、真空状態にするとより短い時間で麺生地が得られた。
(5)加水温度の検討<3>
上記(4)にて手ごね式捏練機を用いて真空状態で作製した麺生地について、さらに加水温度を変化させた場合の状態を検討した。上記(1)と同様に、添加する食塩水の温度を5℃間隔で10〜40℃に分けて、各温度での麺生地の状態を目視で確認した。その結果を下記の表12に示す。なお、室温25℃で行い、捏ね上げ温度を30℃とし、10分間捏ね上げた。
(6)まとめ
上記(1)〜(5)の検討結果から、麺の配合組成は、小麦粉と加工デンプンとの比率が8:3よりも7:3の方がより好ましく、包丁切りにより麺を切り出すのが良いことがわかった。また、添加する食塩水の温度(加水温度)は15℃よりも高い方が良く、20〜40℃で麺生地が作製され、より好ましい温度は20〜35℃であることがわかった。さらに、麺の工業的製造において通常使用されるミキサー(ピンミキサー)を用いた場合よりも手ごね式の捏練機を使用する方が良いことがわかった。
実施例2.冷凍麺(うどん)の作製
下記の表13および14にそれぞれ示された配合組成および条件で冷凍麺を作製し、得られた冷凍麺を試食評価した。尚、得られた冷凍麺はサンプル7とし、試食評価を実施した(表15)。
上記真空プレスニーダーを用いてミキシングを行った後、15℃で30分間麺生地を熟成した。熟成を行わなかった場合にはドウ状の麺生地のグルテン組織が活性化しているため、その後の麺生地形成装置(ねじり巻粘力システム、さぬき麺機社)にかけても麺生地に穴が開く等の状態が見られ、熟成期間がミキシング直後に必要であることが示唆された。
第一熟成工程後に得られた麺生地を麺生地形成機に供した。麺生地形成機では、切り出し工程、ねじり巻処理、及び3段のローリングプレスによる上方向からの押し延ばし工程を行った。それから、波ロールでの圧延処理を2回行い、厚み2〜3cmで麺帯を切り出した。麺帯は、15℃で30〜40分間さらに熟成を行い、横圧延を含めた圧延処理を再び実施した。その後、麺線を切り出し、ボイルし、急速凍結して冷凍麺(うどん)を得た。
表15に示される通り、サンプル7は試食評価において良好な結果が得られた。
実施例3.物性測定
本発明において製造された冷凍麺(発明品)を、従来から市販されている2種類の冷凍麺(従来品A、B)と物性について比較した。
まずは破断強度を調べるため、各冷凍麺の破断曲線を作成した。破断曲線は、レオメーター(RHEONER RE−33005、(株)山電)を用い、これに楔形プランジャーNo.49を装着し、垂直に配置した1本の麺を1mm/秒の測定速度で歪率99%まで破断した際の荷重を経時的に測定することによって得た。破断強度の結果を図4に示す。
次に、テクスチャーアナライザー(TA−XT plus、マイクロステイプル社)を用いて引っ張り試験を行った。具体的には、茹でた麺をSPAGHETTI/NOODLETENSILE RIGを使用して10mm/秒の速度で引っ張った際の切断時の荷重と切断距離とを測定した。引っ張り試験の結果を図5に示す。
そして、上記の物性測定に加えて麺の硬さと粘りについて官能評価を実施した。官能評価の結果を図6に示す。
図4〜6に示された通り、発明品は従来品Aおよび従来品Bに対して麺の硬さおよび粘りが著しく高かった。破断強度の評価において発明品では破断点が検出されなかったことから、発明品は非常に粘りが強い傾向にある。また、引っ張り試験においても、麺が切れるまでの距離および荷重の測定値が大きく、麺の粘りが強い傾向にあると思われる。
実施例4.冷凍麺(ラーメン)の作製
下記の表16および17にそれぞれ示された配合組成および条件で冷凍麺を作製し、得られた冷凍麺を試食評価した。
試食評価を行った結果、麺の食感はしっかりしており、つるみも強かった。
冷凍麺に関する本発明は、食品分野において有用であり、その中でも特に冷凍食品の分野において有用である。本発明を用いることによって、食感として十分にコシが強く、さらにもちもち感に優れた多加水麺(特に、冷凍麺)を工業的に大量生産することが可能となる。

Claims (7)

  1. 以下の工程を含む、冷凍麺の製造方法:
    (A)20〜40℃の水溶液を小麦粉100重量部に対して45重量部以上の量で加える工程、
    (B)手ごね式の捏練機を用いて捏練する工程、
    (C)捏練した生地を熟成する工程、
    (D)麺生地を形成する工程、
    (E)麺生地を切りだし麺線にする工程、および
    (F)麺生地または麺線を熟成する工程。
  2. 捏練機の内部が真空である、請求項1に記載の方法。
  3. 麺生地を麺生地成形方向に対して直交方向に圧延する工程をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 麺生地の切りだしが包丁切りにより行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 麺生地を熟成する工程が2回行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 麺がうどんである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法を用いて作製された、冷凍麺。
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