JP6523501B2 - リチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法に関する。
近年における電子機器の小型化や軽量化に伴い、高いエネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池は、極めて有用な材料として益々注目を浴びている。さらにリチウムイオン二次電池の超薄型化や超軽量化を実現するため、外装材としてその多くがアルミラミネートフィルムを採用してはいるものの、充放電によって電極の体積の膨張及び収縮が繰り返されるにつれ、電池の縒れや電極間距離の拡大が生じて電池抵抗が増大しやすくなるため、電池特性の低下を招く結果に至ってしまう。
一方、Li2Na2Ti614等の空間群Fmmmに属する結晶構造を有するチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物は、充放電に伴う体積変化がほとんどなく、その結果電極の体積変化が極めて小さい点で、有用性の高い負極材料として期待される。こうしたことから、例えば特許文献1では、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物相(Li(2+y)NaTi614)と酸化チタン相(TiO2)との混相であるリチウムイオン二次電池用負極活物質が開示されており、上記のような問題に対応するための試みがなされている。
特開2016−171011号公報
しかしながら、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物は、そもそも導電性及びリチウムイオン伝導性が低いため、リチウムイオン二次電池に活用した場合にレート特性の低下を招くおそれがあるところ、上記特許文献1に記載されるような、固相法による合成工程と粉砕工程とを組合せた製造方法によってチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物を得るのでは、こうした問題にも充分に対応し得えない負極材料に留まるおそれがある。
したがって、本発明の課題は、リチウムイオン二次電池において優れたレート特性を発現し得る負極材料としてチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物を得るための、リチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、種々検討したところ、特定の溶媒を特定の条件下で用いながらソルボサーマル反応を介する工程と焼成工程とを組み合わせることにより、充分に微細化されたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物を得ることができ、これをリチウムイオン二次電池用負極活物質として用いることによって、優れたレート特性を発揮するリチウムイオン二次電池が実現できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記式(1):
LiaNabcTide ・・・(1)
(式(1)中、MはK、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Si、P、S、Fe、Mn、Co、Ni、Zn、V、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Pb、Ga、Ge、Bi、Ta、Sn、Eu、La、Ce、Nd、W、Ru又はGdから選ばれる1種又は2種以上を示し、a、b、c、d及びeは、0<a≦4、0<b≦4、0≦c≦6、0<d≦6、13≦e≦15、a+b+c×(Mの価数)+4d=2eを満たす数を示す。)
で表されるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物を得る工程を含む、リチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法であって、次の工程(I)〜(III):
(I)リチウム化合物、ナトリウム化合物及びチタン化合物と、或いはリチウム化合物、ナトリウム化合物、金属(M)化合物及びチタン化合物と、有機溶媒及び水から選ばれる1種以上の溶媒とを混合して、混合液Aを得る工程、
(II)得られた混合液Aを100℃以上でソルボサーマル反応に付した後、固液分離してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bを得る工程、
(III)得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bを500℃〜1200℃で焼成してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cを得る工程
を備えるリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、夾雑相の生成を有効に抑制しつつ、粒径が適切な範囲に制御された微細なチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物を得ることができるため、これをリチウムイオン二次電池用負極活物質として用いることによって、レート特性に優れたリチウムイオン二次電池を実現することができる。
実施例1で得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子を示すTEM像である。 実施例4で得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子を示すSEM像である。 比較例2で得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子を示すSEM像である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法は、下記式(1):
LiaNabcTide ・・・(1)
(式(1)中、MはK、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Si、P、S、Fe、Mn、Co、Ni、Zn、V、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Pb、Ga、Ge、Bi、Ta、Sn、Eu、La、Ce、Nd、W、Ru又はGdから選ばれる1種又は2種以上を示し、a、b、c、d及びeは、0<a≦4、0<b≦4、0≦c≦6、0<d≦6、13≦e≦15、a+b+c×(Mの価数)+4d=2eを満たす数を示す。)
で表されるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物を得る工程を含む、リチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法であって、次の工程(I)〜(III):
(I)リチウム化合物、ナトリウム化合物及びチタン化合物と、或いはリチウム化合物、ナトリウム化合物、金属(M)化合物及びチタン化合物と、有機溶媒及び水から選ばれる1種以上の溶媒とを混合して、混合液Aを得る工程、
(II)得られた混合液Aを100℃以上でソルボサーマル反応に付した後、固液分離してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bを得る工程、
(III)得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bを500℃〜1200℃で焼成してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cを得る工程
を備える。
なお、本発明の製造方法は、工程(I)において混合液Aを得るにあたり、所定の化合物とともに混合する溶媒として、有機溶媒を用いる場合(いわゆる「狭義のソルボサーマル反応」と称される製造方法)と、有機溶媒を用いることなく水のみを用いる場合(いわゆる「水熱反応」と称される製造方法)とに大別され、各々工程(I)における諸条件が異なるのみで、工程(II)〜工程(III)における諸条件は共通する。
したがって、本明細書では、前者の製造方法を「製造方法(X)」と称し、後者の製造方法を「製造方法(Y)」と称し、工程(I)においてのみ、製造方法(X)及び製造方法(Y)について分説する。
本発明の製造方法が備える工程(I)は、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びチタン化合物と、或いはリチウム化合物、ナトリウム化合物、金属(M)化合物(Mは、上記式(1)におけるMと同義である。)及びチタン化合物と、有機溶媒及び水から選ばれる1種以上の溶媒とを混合して、混合液Aを得る工程である。
まず初めに、製造方法(X)における工程(I)について説明する。
製造方法(X)における工程(I)は、溶媒として有機溶媒を用い、必要に応じて水も溶媒として併用する工程である。すなわち、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びチタン化合物と、有機溶媒のみ又は有機溶媒及び水とを混合して、混合液Aを得る工程であり、或いは、リチウム化合物、ナトリウム化合物、金属(M)化合物及びチタン化合物と、有機溶媒のみ又は有機溶媒及び水とを混合して、混合液Aを得る工程である。このようにして混合液Aを得ることにより、反応生成物の化学組成の均質性を高めながら、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子内の夾雑相の生成を効果的に抑制することができ、リチウムイオン二次電池用負極活物質として有用性の高いチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物を得ることが可能となる。
製造方法(X)での工程(I)において用いるリチウム化合物としては、水酸化物、塩化物、硫酸塩、及び有機酸塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、例えば、水酸化リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、シュウ酸リチウム、炭酸リチウム等が挙げられる。なかでも、後述する工程(II)におけるソルボサーマル反応を効率的に進行させる観点から、酢酸リチウムがより好ましい。
製造方法(X)での工程(I)において用いるナトリウム化合物としては、水酸化物、塩化物、硫酸塩、及び有機酸塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも、工程(II)におけるソルボサーマル反応を効率的に進行させる観点から、酢酸ナトリウムがより好ましい。
製造方法(X)での工程(I)において用いるチタン化合物としては、酸化チタン(アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型)、チタン錯体(グリコール酸チタン錯体、クエン酸チタン錯体等)、チタンアルコキシド(チタンイソプロポキシド等)、チタン塩(酢酸チタン、硫酸チタン、硝酸チタン、硫酸チタニル等)、及びチタン塩化物(四塩化チタン等)等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、工程(II)におけるソルボサーマル反応を効率的に進行させる観点から、チタンアルコキシドが好ましい。
製造方法(X)での工程(I)において、混合液Aは、上記溶媒とともに、リチウム化合物及びナトリウム化合物を混合するか、或いはリチウム化合物及びナトリウム化合物とともに、さらに金属(M)化合物を混合することにより得られる。すなわち、工程(I)において、金属(M)化合物は、式(1)で表される所望のチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cを得るにあたり、その化学組成に応じて用いるか否かを決定すればよい化合物である。この金属(M)は、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Si、P、S、Fe、Mn、Co、Ni、Zn、V、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Pb、Ga、Ge、Bi、Ta、Sn、Eu、La、Ce、Nd、W、Ru又はGdから選ばれる1種又は2種以上の金属を示し、好ましくはMg、Cu、Al、Nbを示し、より好ましくはMg、Al、Nbを示す。かかる金属(M)化合物としては、ハロゲン化物、硫酸塩、有機酸塩、水酸化物、硫化物、酸化物及びこれらの水和物等が挙げられる。なかでも、工程(II)におけるソルボサーマル反応を効率的に進行させる観点から、硫酸塩及び有機酸塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
製造方法(X)での工程(I)において、混合液Aを得るにあたり用いる有機溶媒としては、1〜3価のアルコールが好ましい。1価のアルコールとしては、具体的には、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等が挙げられる。2価のアルコールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等が挙げられる。3価のアルコールとしては、具体的には、例えば、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−アダマンタントリオール、1,3,5−シクロヘキサントリオール、1,2,3−シクロヘキサントリオールが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、工程(II)におけるソルボサーマル反応を効率的に進行させる観点から、エタノール及びプロパノールから選ばれる1種又は2種以上がより好ましい。
製造方法(X)での工程(I)において、溶媒として有機溶媒とともに併用することのできる水の量は、工程(II)におけるソルボサーマル反応を効率的に進行させる観点から、有機溶媒の量との質量比(水:有機溶媒)で、好ましくは80:20〜0:100であり、より好ましくは70:30〜0:100であり、さらに好ましくは60:40〜0:100である。
製造方法(X)での工程(I)において、混合液Aは、上記リチウム化合物、ナトリウム化合物及びチタン化合物を、或いは上記リチウム化合物、ナトリウム化合物、金属(M)化合物及びチタン化合物を、有機溶媒に、又は有機溶媒と水の混合液に混合することにより調製する。かかる混合液Aにおけるリチウム化合物、ナトリウム化合物、金属(M)化合物及びチタン化合物の合計含有量は、反応生成物の化学組成の均質性を高める観点から、混合液A中の溶媒100質量部に対し、好ましくは1質量部〜50質量部であり、より好ましくは5質量部〜30質量部であり、さらに好ましくは10質量部〜30質量部である。
また、製造方法(X)での工程(I)において混合液Aを得るにあたり、リチウム化合物、ナトリウム化合物、金属(M)化合物及びチタン化合物の混合割合は、リチウム及びナトリウムの合計量と、チタン及び金属(M)の合計量とのモル比((Li+Na):(Ti+M))で、好ましくは30:1〜1:1であり、より好ましくは25:1〜1:1であり、さらに好ましくは20:1〜2:1であり、混合液A中においてかかる量となるように、これらを混合すればよい。これにより、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子内における夾雑相の生成を効果的に抑制することができる。
製造方法(X)での工程(I)における、リチウム化合物、ナトリウム化合物、金属(M)化合物及びチタン化合物の溶媒への混合方法は、特に限定されるものではないが、初めにリチウム化合物及びナトリウム化合物を混合した後、チタン化合物を混合するのが好ましく、或いは金属(M)化合物を用いる場合には、初めにリチウム化合物及びナトリウム化合物を混合した後、金属(M)化合物及びチタン化合物を混合するのが好ましい。このようにすることにより、工程(II)におけるソルボサーマル反応での反応生成物の化学組成の均質性を一層高めることができる。
製造方法(X)での工程(I)における混合は、溶媒を撹拌しながら行うのが好ましく、かかる撹拌速度は、好ましくは250rpm〜600rpmであり、より好ましくは300rpm〜550rpmであり、さらに好ましくは350rpm〜500rpmである。
また、混合する際の温度は、好ましくは20℃〜80℃であり、より好ましくは20℃〜70℃であり、さらに好ましくは20℃〜60℃である。
製造方法(X)での工程(I)で得られる混合液Aの25℃におけるpHは、後述する工程(II)において、リチウム、ナトリウム、チタン及び金属(M)を均質に含むチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bを有効に得る観点から、好ましくは12〜14であり、より好ましくは12.5〜14であり、さらに好ましくは13〜14である。
次に、製造方法(Y)における工程(I)ついて説明する。
製造方法(Y)における工程(I)は、溶媒として水のみを用い、有機溶媒を用いない工程である。すなわち、リチウム化合物、ナトリウム化合物及びチタン化合物と、水とを混合して、混合液Aを得る工程であり、或いは、リチウム化合物、ナトリウム化合物、金属(M)化合物(Mは、上記式(1)におけるMと同義である。)及びチタン化合物と、水とを混合して、混合液Aを得る工程である。このようにして混合液Aを得ることにより、反応生成物の化学組成の均質性を高めながら、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子内の夾雑相の生成を効果的に抑制することができ、リチウムイオン二次電池用負極活物質として有用性の高いチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物を得ることができる。
製造方法(Y)における工程(I)は、より具体的には、リチウム化合物、ナトリウム化合物及び水を含有し、かつpHが12〜14であるスラリー水a1と、チタン化合物及び水、或いはチタン化合物、金属(M)化合物及び水を含むスラリー水a2とを混合して、混合液Aを得る工程であるのが好ましい。
製造方法(Y)での工程(I)において、スラリー水a1に用いるリチウム化合物としては、水酸化物、塩化物、硫酸塩、及び有機酸塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、例えば、水酸化リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、シュウ酸リチウム、炭酸リチウム等が挙げられる。なかでも、スラリー水a1のpH調整を容易にする観点から、水酸化物が好ましく、水酸化リチウムがより好ましい。
製造方法(Y)での工程(I)において、スラリー水a1に用いるナトリウム化合物としては、水酸化物、塩化物、硫酸塩、及び有機酸塩から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、例えば、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも、スラリー水a1のpH調整を容易にする観点から、水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムがより好ましい。
製造方法(Y)での工程(I)において用いるこれらリチウム化合物及びナトリウム化合物は、少なくとも一方が水酸化物であるのが好ましく、双方とも水酸化物であるのがより好ましい。
製造方法(Y)での工程(I)において、スラリー水a1は、上記リチウム化合物及びナトリウム化合物を水に混合することにより調製する。かかるスラリー水a1におけるリチウム化合物及びナトリウム化合物の合計含有量は、反応生成物の化学組成の均質性を高める観点から、スラリー水a1中の水100質量部に対し、好ましくは1質量部〜50質量部であり、より好ましくは5質量部〜30質量部であり、さらに好ましくは10質量部〜30質量部である。
製造方法(Y)での工程(I)において、スラリー水a1の25℃におけるpHは、好ましくは12〜14であり、より好ましくは12.5〜14であり、さらに好ましくは13〜14であり、またさらに好ましくは13.5〜14である。
製造方法(Y)での工程(I)において、スラリー水a2に用いるチタン化合物としては、酸化チタン(アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型)、チタン錯体(グリコール酸チタン錯体、クエン酸チタン錯体等)、チタンアルコキシド(チタンイソプロポキシド等)、チタン塩(酢酸チタン、硫酸チタン、硝酸チタン、硫酸チタニル等)、及びチタン塩化物(四塩化チタン等)等から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、後述する工程(II)におけるソルボサーマル反応を効率的に進行させる観点から、塩化チタン、酢酸チタン、硫酸チタン及び硫酸チタニルから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
製造方法(Y)での工程(I)において、混合液Aは、上記溶媒である水とともに、リチウム化合物及びナトリウム化合物を混合するか、或いはリチウム化合物及びナトリウム化合物とともに、さらに金属(M)化合物を混合することにより得られる。すなわち、工程(I)において、金属(M)化合物は、式(1)で表される所望のチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cを得るにあたり、その化学組成に応じ、スラリー水a2において用いるか否かを決定すればよい化合物である。
スラリー水a2に用いる金属(M)化合物におけるMは、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Si、P、S、Fe、Mn、Co、Ni、Zn、V、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Pb、Ga、Ge、Bi、Ta、Sn、Eu、La、Ce、Nd、W、Ru又はGdから選ばれる1種又は2種以上の金属を示し、好ましくはMg、Cu、Al、Nbを示し、より好ましくはMg、Al、Nbを示す。かかる金属(M)化合物としては、ハロゲン化物、硫酸塩、有機酸塩、水酸化物、硫化物、酸化物及びこれらの水和物等が挙げられる。なかでも、工程(II)におけるソルボサーマル反応を効率的に進行させる観点から、硫酸塩及び有機酸塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
製造方法(Y)での工程(I)において、スラリー水a2は、上記チタン化合物及び水、或いは上記チタン化合物、金属(M)化合物及び水を混合することにより調製する。かかるスラリー水a2におけるチタン化合物、金属(M)化合物の合計含有量は、スラリー水a2中の水100質量部に対し、好ましくは10質量部〜50質量部であり、より好ましくは15質量部〜30質量部であり、さらに好ましくは20質量部〜30質量部である。
製造方法(Y)での工程(I)では、上記スラリー水a1と上記スラリー水a2とを混合して、混合液Aとする。スラリー水a1とスラリー水a2との混合方法は、特に限定されるものではないが、スラリー水a1を撹拌しながらスラリー水a1にスラリー水a2を滴下するのが好ましい。このように、リチウム化合物、ナトリウム化合物及び水を含むスラリー水a1に、チタン化合物及び水、或いはチタン化合物、金属(M)化合物及び水を含むスラリー水a2を滴下して少量ずつ加えることにより、反応生成物の化学組成の均質性を一層高めることができる。この際、スラリー水a1のスラリー水a2への滴下速度は、10質量部のスラリー水a1に対し、好ましくは0.1質量部/分〜0.4質量部/分であり、より好ましくは0.15質量部/分〜0.4質量部/分であり、さらに好ましくは0.2質量部/分〜0.35質量部/分である。
スラリー水a2を滴下する際のスラリー水a1の撹拌速度は、好ましくは250rpm〜600rpmであり、より好ましくは300rpm〜550rpmであり、さらに好ましくは350rpm〜500rpmである。
製造方法(Y)での工程(I)において、スラリー水a1とスラリー水a2とを混合する際のスラリー水a1の温度は、好ましくは20℃〜80℃であり、より好ましくは20℃〜70℃であり、さらに好ましくは20℃〜60℃である。またスラリー水a2の温度は、好ましくは20℃〜80℃であり、より好ましくは20℃〜70℃であり、さらに好ましくは20℃〜60℃である。
なお、かかる反応生成物は、X線回折によって非晶質相であることを確認することができる。
製造方法(Y)での工程(I)において、上記スラリー水a1とスラリー水a2とを混合することにより得られる混合液Aの25℃におけるpHは、後述する工程(II)において、リチウム、ナトリウム、チタン及び金属(M)を均質に含むチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bを有効に得る観点から、好ましくは12〜14であり、より好ましくは12.5〜14であり、さらに好ましくは13〜14である。
製造方法(Y)での工程(I)において混合液Aを得るにあたり、混合する上記スラリー水a1と上記スラリー水a2との質量比(スラリー水a1:スラリー水a2)は、好ましくは20:1〜1:1であり、より好ましくは15:1〜1:1であり、さらに好ましくは10:1〜1:1である。
さらに、製造方法(Y)での工程(I)において混合液Aを得るにあたり、リチウム化合物、ナトリウム化合物、チタン化合物及び金属(M)化合物の混合割合は、リチウム及びナトリウムの合計量と、チタン及び金属(M)の合計量とのモル比((Li+Na):(Ti+M))で、好ましくは30:1〜1:1であり、より好ましくは25:1〜1:1であり、さらに好ましくは20:1〜2:1であり、混合液A中においてかかる量となるように上記スラリー水a1とスラリー水a2とを混合すればよい。これにより、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子内における夾雑相の生成を効果的に抑制することができる。
製造方法(Y)での工程(I)において、混合液A中の各成分をより均一に分散させ、反応生成物の化学組成を均質にさせる観点から、得られた混合液Aを工程(II)に移行する前に撹拌してもよい。撹拌時間は、好ましくは15分〜180分であり、より好ましくは30分〜180分であり、さらに好ましくは60分〜180分である。
工程(II)は、工程(I)で得られた混合液Aを100℃以上でソルボサーマル反応に付した後、固液分離してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bを得る工程である。かかる工程(II)におけるソルボサーマル反応は、圧力容器等に混合液Aを充填した反応容器を格納して加圧下で行う。
なお、ここで称する「ソルボサーマル反応」とは、溶媒として水のみが存在する液体、溶媒として有機溶媒のみが存在する液体、及び溶媒として有機溶媒と水とが共存する液体を対象とする全ての反応を意味し、いわゆる「水熱反応」と「狭義のソルボサーマル反応」をも包含する「広義のソルボサーマル反応」に相当する反応である。
なお、工程(I)で得られた混合液Aをかかる工程(II)に移行する前に撹拌する場合、かかる反応容器内で行えばよく、次いで圧力容器等に反応容器を格納すればよい。かかる撹拌は、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bを効率的に生成させる観点から、圧力容器等に格納された反応容器内において工程(II)におけるソルボサーマル反応が完了するまで継続するのが好ましい。この際における混合液Aの撹拌速度は、反応容器内壁面での混合液Aの流速に換算して、好ましくは15cm/秒以上であり、より好ましくは15cm/秒〜80cm/秒であり、さらに好ましくは15cm/秒〜70cm/秒である。撹拌方法としては、この撹拌速度が実現可能であれば特に限定されないが、例えば撹拌羽根を用いる方法、又は特開2014−118328号公報に記載のポンプを使用して合成容器中のスラリーを撹拌する方法等を好適に使用することができる。
さらに、上記の撹拌方法を用いる際に、混合液Aにおいて全体に均一なソルボサーマル反応を生じさせる観点から、反応容器内に邪魔板を設置したり、撹拌翼の回転方向やポンプの送液方向を間欠的に逆転したりさせることによって、混合液Aの流れに擾乱を生じさせるのが有効である。
ソルボサーマル反応における混合液Aの温度(反応温度)は、100℃以上であればよく、好ましくは130℃〜250℃であり、より好ましくは140℃〜230℃である。この際の圧力及び反応時間は、反応温度が100℃以上の場合は0.3MPa以上で10分以上が好ましく、130℃〜250℃で反応を行う場合は0.3MPa〜2.0MPaで10分〜24時間が好ましく、140℃〜230℃で反応を行う場合は0.4MPa〜1.8MPaで10分〜16時間が好ましい。
また、ソルボサーマル反応における反応容器内の雰囲気は限定されるものではないが、雰囲気の作製の容易性の観点から、空気下又は水蒸気下が好ましい。
混合液Aを上記ソルボサーマル反応に付した後、固液分離してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体B(固形分)を得る。固液分離に用いる装置としては、例えば、フィルタープレス機、遠心濾過機等が挙げられる。なかでも、効率的に固形分を得る観点から、フィルタープレス機を用いるのが好ましい。
次いで、回収された固形分は、硫酸ナトリウム等の副生成物及びアニオン成分等の不純物を効果的に除去する観点から、洗浄水によって洗浄するのが好ましい。かかる洗浄に用いる水の量は、回収された固形分の乾燥質量1質量部に対し、好ましくは5質量部〜50質量部であり、より好ましくは10質量部〜50質量部であり、さらに好ましくは15質量部〜50質量部である。かかる水の温度は、副生成物及び不純物を効果的に除去する観点から、好ましくは5℃〜70℃であり、より好ましくは20℃〜70℃である。
さらに、得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bは、後述する工程(III)に移行する前に、乾燥して単離するのが好ましい。乾燥手段としては、噴霧乾燥、箱型乾燥、流動床乾燥、外熱式乾燥、凍結乾燥、真空乾燥等が挙げられる。なかでも、得られるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bの粒子が必要以上に増大するのを有効に制御して微細化を図る観点から、噴霧乾燥又は凍結乾燥が好ましい。
乾燥後に得られるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bの平均粒径は、レーザー回折・散乱法に基づく粒度分布におけるD50値で、好ましくは5nm〜250nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。ここで、粒度分布測定におけD50値とは、レーザー回折・散乱法に基づく体積基準の粒度分布により得られる値であり、D50値は累積50%での粒径(メジアン径)を意味する。
工程(III)は、工程(II)で得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bを500℃〜1200℃で焼成してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cを得る工程である。かかる工程を経ることにより、極めて微細な粒子であって、リチウムイオン二次電池の負極活物質として非常に有用なチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cを得ることができる。
工程(III)における焼成温度は、得られるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cの結晶性を高めつつ、微細化された粒子を得る観点から、好ましくは500℃〜1200℃であり、より好ましくは500℃〜1000℃であり、さらに好ましくは500℃〜900℃である。また焼成時間は、同様の観点から、好ましくは0.5時間〜30時間であり、より好ましくは1時間〜24時間であり、さらに好ましくは1時間〜18時間である。
上記焼成における雰囲気は、特に限定されるものではなく、大気雰囲気、不活性ガス雰囲気下又は還元条件下のいずれであってもよいが、簡便性の観点から、大気雰囲気が好ましい。かかる焼成に用いる装置としては、温度の調整が可能な物であれば特に限定されず、バッチ式、連続式、加熱方式(間接又は直接)のいずれの方式のものも使用することができ、例えば、外熱キルンやローラーハース等の焼成炉が挙げられる。
工程(III)で得られるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cの平均粒径は、好ましくは5nm〜300nmであり、より好ましくは5nm〜250nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。さらに、その結晶子径は、好ましくは5nm〜300nmであり、より好ましくは5nm〜250nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmであって、その結晶性も高いものである。ここで、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cの結晶子径は、Cu−kα線による回折角2θの範囲が10°〜80°のX線回折プロファイルについて、シェラーの式を適用して求めた値を意味する。
また、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物CのBET比表面積は、レート特性に優れたリチウムイオン二次電池を得る観点から、好ましくは3m2/g以上であり、より好ましくは5m2/g以上であり、さらに好ましくは7m2/g以上である。
本発明の製造方法により得られるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cは、空間群Fmmmに属する結晶構造を有する、斜方晶の酸化物であり、具体的には、下記式(1)で表される。
LiaNabcTide ・・・(1)
(式(1)中、MはK、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Si、P、S、Fe、Mn、Co、Ni、Zn、V、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Pb、Ga、Ge、Bi、Ta、Sn、Eu、La、Ce、Nd、W、Ru又はGdから選ばれる1種又は2種以上を示し、a、b、c、d及びeは、0<a≦4、0<b≦4、0≦c≦6、0<d≦6、13≦e≦15、a+b+c×(Mの価数)+4d=2eを満たす数を示す。)
より具体的には、例えば、Li2Na2Ti614、Li1.94Na2Al0.02Ti614、Li1.94Na2Mg0.03Ti614が挙げられる。
このように、本発明の製造方法は、平均粒径が有効に微細化されたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物相を得ることができる。したがって、優れたレート特性を発現し得るリチウムイオン二次電池用負極活物質を、簡便に製造することができる。
本発明の製造方法で得られるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cは、そのままでも有効なリチウムイオン二次電池用負極活物質として用いることができるが、導電性を高めてさらにレート特性を有効に向上させる観点から、かかるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子表面に炭素源D由来の炭素を担持させ、これをリチウムイオン二次電池用負極活物質として用いてもよい。
なお、上記製造方法(X)のように、工程(I)において、溶媒として有機溶媒を用いた場合であっても、かかる有機溶媒は工程を経るなかで除去されるため、最終的に得られるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子表面に有機溶媒由来の炭素が担持されることはない。
チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子表面に担持される炭素となる炭素源Dとしては、水溶性炭素材料(d1)、水不溶性炭素材料(d2)、及びセルロースナノファイバー(d3)を用いることができる。
上記水溶性炭素材料(d1)とは、25℃の水100gに、水溶性炭素材料の炭素原子換算量で0.4g以上、好ましくは1.0g以上溶解する炭素材料を意味し、炭化されることで炭素としてリチウムイオン二次電池用負極活物質の表面に存在することとなる。かかる水溶性炭素材料(d1)としては、例えば、糖類、ポリオール、ポリエーテル、及び有機酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。より具体的には、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類;マルトース、スクロース、セロビオース等の二糖類;デンプン、デキストリン等の多糖類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール、プロパンジオール、ポリビニルアルコール、グリセリン等のポリオールやポリエーテル;クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸等の有機酸が挙げられる。なかでも、溶媒への溶解性及び分散性を高めて炭素材料として効果的に機能させる観点から、グルコース、フルクトース、スクロース、デキストリンが好ましく、グルコースがより好ましい。
上記水不溶性炭素材料(d2)とは、25℃の水100gに対する溶解量が、水不溶性炭素粒子の炭素原子換算量で0.4g未満である水不溶性の炭素粒子であって、焼成等せずともそのもの自体が導電性を有するものである。かかる水不溶性炭素材料(d2)としては、グラファイト、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、及びサーマルブラックから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、ハンドリング及び吸着水分量低減の観点から、グラファイトが好ましい。グラファイトとしては、人造グラファイト(鱗片状、塊状、土状、グラフェン)、天然グラファイトのいずれであってもよい。
水不溶性炭素材料(d2)のBET比表面積は、吸着水分量を効果的に低減する観点から、好ましくは1m2/g〜750m2/gであり、より好ましくは3m2/g〜500m2/gである。また、かかる水不溶性炭素材料(d2)の平均粒径は、同様の観点から、好ましくは0.5μm〜20μmであり、より好ましくは1.0μm〜15μmである。
上記セルロースナノファイバー(d3)とは、全ての植物細胞壁の約5割を占める骨格成分であって、かかる細胞壁を構成する植物繊維をナノサイズまで解繊等することにより得ることができる軽量高強度繊維であり、炭化されることでチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子表面に存在することとなるセルロースナノファイバー(d3)由来の炭素は、周期的構造を有する。かかるセルロースナノファイバー(d3)の繊維径は、1nm〜100nmであり、水への良好な分散性も有している。また、セルロースナノファイバー(d3)を構成するセルロース分子鎖では、炭素による周期的構造が形成されていることから、これが炭化されつつ上記チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bとも相まって、上記チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物の表面に堅固に担持されることにより、リチウムイオン二次電池用負極活物質に電子伝導性を付与し、充放電特性に優れる有用なリチウムイオン二次電池用負極活物質を得ることができる。
なお、炭化されることでチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子表面に存在する、水溶性炭素材料(d1)由来の炭素又はセルロースナノファイバー(d3)由来の炭素の原子換算量(炭素の担持量)は、リチウムイオン二次電池用負極活物質について炭素・硫黄分析装置を用いて測定した炭素量として、確認することができる。
上記炭素源Dを用いてチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子表面に炭素を担持させる方法としては、例えば、工程(II)においてチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bを洗浄した後、かかる前駆体Bと炭素源Dとを混合した混合物を噴霧乾燥して造粒体とし、次いで工程(III)において、かかる前駆体Bを含む造粒体をチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bとみなし、かかる造粒体を上記温度で焼成する方法が挙げられる。これにより、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cを粒子として得ると同時に、かかる粒子の表面に炭素源D由来の炭素を効率的かつ堅固に担持させることができる。
このチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cの粒子表面に担持される炭素源D由来の炭素の量は、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子Cと炭素源D由来の炭素とからなる負極活物質100質量%中に、好ましくは0.2〜15.0質量%であり、より好ましくは0.2〜12.5質量%であり、さらに好ましくは0.2〜10.0質量%である。
こうして本発明により得られるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cを負極活物質として用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法としては、特に限定されず、公知の方法を使用できる。
例えば、まず、かかるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cを結着剤や溶剤等の添加剤とともに混合して塗工液を得る。この際、必要に応じて、さらに導電助剤を添加して混合してもよい。かかる結着剤としては、特に限定されず、公知の剤をいずれも使用できる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルクロライド、エチレンプロピレンジエンポリマー等が挙げられる。また、かかる導電助剤としては、特に限定されず、公知の剤を使用できる。具体的には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人工黒鉛、繊維状炭素等が挙げられる。
次いで、かかる塗工液をアルミ箔、銅箔等の負極集電体上に塗布し、乾燥させて負極とする。
本発明により得られるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cからなる負極活物質は、リチウムイオン二次電池の負極として非常に優れたレート特性を発揮する点で有用である。かかる負極を適用できるリチウムイオン二次電池としては、正極と負極と電解液とセパレータ、又は正極と負極と固体電解質を必須構成とするものであれば特に限定されない。
ここで、正極については、リチウムイオンを充電時には放出し、かつ放電時には吸蔵することができれば、その材料構成は特に限定されるものではなく、公知の材料構成のものを用いることができる。例えば、原料を水熱反応させることにより得られる各種ポリアニオン型正極活物質からなる正極を好適に用いることができる。
電解液は、有機溶媒に支持塩を溶解させたものである。有機溶媒は、通常リチウムイオン二次電池の電解液の用いられる有機溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボネート類、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、ラクトン類、オキソラン化合物等を用いることができる。
支持塩は、その種類が特に限定されるものではないが、LiPF6、LiBF4、LiClO4及びLiAsF6から選ばれる無機塩、該無機塩の誘導体、LiSO3CF3、LiC(SO3CF32及びLiN(SO3CF32、LiN(SO2252及びLiN(SO2CF3)(SO249)から選ばれる有機塩、並びに該有機塩の誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
セパレータは、正極及び負極を電気的に絶縁し、電解液を保持する役割を果たすものである。たとえば、多孔性合成樹脂膜、特にポリオレフィン系高分子(ポリエチレン、ポリプロピレン)の多孔膜を用いればよい。
固体電解質は、正極及び負極を電気的に絶縁し、高いリチウムイオン電導性を示すものである。たとえば、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43、Li7La3Zr212、50Li4SiO4・50Li3BO3、Li2.9PO3.30.46、Li3.6Si0.60.44、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO43、Li1.5Al0.5Ge1.5(PO43、Li10GeP212、Li3.25Ge0.250.754、30Li2S・26B23・44LiI、63Li2S・36SiS2・1Li3PO4、57Li2S・38SiS2・5Li4SiO4、70Li2S・30P25、50Li2S・50GeS2、Li7311、Li3.250.954を用いればよい。
上記の構成を有するリチウムイオン二次電池の形状としては、特に制限を受けるものではなく、コイン型、円筒型,角型等種々の形状や、ラミネート外装体に封入した不定形状であってもよい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例で示されるLi2Na2Ti614の結晶子径は、各実施例で得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子のX線回折プロファイルにシェラーの式を適用して求めた。ただし、得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子が、Li2Na2Ti614とLi2TiO3の複相の場合は、夾雑相であるLi2TiO3のX線回折プロファイルを結晶構造パラメーター(ICDDデータベース)に基づいて計算して、得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物のX線回折プロファイルから差し引いて求めたLi2Na2Ti614のX線回折プロファイルに、シェラーの式を適用して求めた。
[実施例1]
エタノール100mLに、CH3COOLi・2H2Oを2.04g(20mmol)、CH3COONaを1.64g(20mmol)及び[(CH32CHO]4Tiを17.05g(60mmol)混合して混合液A1を得た。得られた混合液A1をオートクレーブに投入し、200℃、1.3MPaでのソルボサーマル反応を12時間行った。生成した固形分を吸引ろ過し、次いで得られた固形分を、固形分1質量部に対して12質量部の水で洗浄した。洗浄後の固形分を−50℃で12時間凍結乾燥してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体B1を得た。
得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体B1を、空気雰囲気下600℃で10時間焼成してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C1を得た。得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C1の平均粒径は40nm、BET比表面積は38m2/gであった。また、得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C1を構成するチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物は、Li2Na2Ti614単相であり、かかるLi2Na2Ti614の結晶子径は40nmであった。
得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C1のTEM写真を図1に示す。
[実施例2]
実施例1において得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体B1を2g採取し、これにグルコース (無水結晶ぶどう糖、日本食品化工(株)製)0.25g(負極活物質中における炭素原子換算量で5質量%に相当)及び水10gを添加して混合し、80℃で12時間乾燥を行った後、還元雰囲気下600℃で10時間焼成し粒子表面に炭素が担持してなるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C2を得た。得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C2の平均粒径は40nm、BET比表面積は42m2/gであった。また、得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C2を構成するチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物は、Li2Na2Ti614単相であり、かかるLi2Na2Ti614の結晶子径は40nmであった。
[実施例3]
CH3COOLi・2H2Oを2.04g(20mmol)用いる代わりに、CH3COOLi・2H2Oを1.98g(19.4mmol)、及びAl(C3533を0.06g(0.2mmol)用いた以外、実施例1と同様にして、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C3(Li1.94Na2Al0.02Ti614)を得た。得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C3の平均粒径は40nm、BET比表面積は38m2/gであった。また、得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C3を構成するチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物は、Li1.94Na2Al0.02Ti614単相であり、かかるLi1.94Na2Al0.02Ti614の結晶子径は40nmであった。
[実施例4]
水25mLにLiOH・H2O 0.43gとNaOH 8gを混合して、25℃におけるpHが14のスラリー水x4を得た。また、水35mLにTiOSO4・1.5H2O 5.61gを混合してスラリー水y4を得た。次いで、得られたスラリー水x4を25℃の温度に保持しながら撹拌速度300rpmにて撹拌し、スラリー水y4を50mL/分で滴下して混合液A4を得た。かかる混合液A4の25℃におけるpHは14.0であり、リチウム1モルに対して20モルのナトリウム及び3モルのチタンを含有していた。
得られた混合液A4をオートクレーブに投入し、200℃、1.3MPaでのソルボサーマル反応を12時間行った。生成した固形分を吸引ろ過し、次いで得られた固形分を、固形分1質量部に対して12質量部の水で洗浄した。洗浄後の固形分を−50℃で12時間凍結乾燥してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体B4を得た。
得られた前駆体B4を、実施例1同様に、空気雰囲気下600℃で10時間焼成してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C4を得た。得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C4の平均粒径は75nm、BET比表面積は25m2/gであった。また、得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C4を構成するチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物は、Li2Na2Ti614単相であり、かかるLi2Na2Ti614の結晶子径は70nmであった。
得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C4のSEM写真を図2に示す。
[実施例5]
実施例4で得られた2gのチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体B4に、グルコース0.25g(負極活物質中における炭素原子換算量で5質量%に相当)及び水10gを添加し、混合して80℃で12時間乾燥を行った後、窒素雰囲気下600℃で10時間焼成した以外、実施例4と同様にして、粒子表面に炭素が担持してなるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C5を得た。得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C5の平均粒径は75nm、BET比表面積は27m2/gであった。また、得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C5を構成するチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物は、Li2Na2Ti614単相であり、かかるLi2Na2Ti614の結晶子径は70nmであった。
[実施例6]
水25mLにLiOH・H2O 0.42gとNaOH 8gを混合して、25℃におけるpHが14のスラリー水x6を得た。また、水35mLに、TiOSO4・1.5H2Oを5.61gとAl2(SO4)3を0.02g混合してスラリー水y6を得た。次いで、得られたスラリー水xを25℃の温度に保持しながら撹拌速度300rpmにて撹拌し、スラリー水y6を50mL/分で滴下して混合液A6を得た。かかる混合液A6の25℃におけるpHは14.0であった。
以後は、実施例4と同様にして、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C6(Li1.94Na2Al0.02Ti614)を得た。得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C6の平均粒径は75nm、BET比表面積は25m2/gであった。また、得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C6を構成するチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物は、Li1.94Na2Al0.02Ti614単相であり、かかるLi1.94Na2Al0.02Ti614の結晶子径は72nmであった。
[比較例1]
エタノールを30mL、CH3COOLi・2H2Oを2.04g(20mmol)、CH3COONaを1.64g(20mmol)及びTiO2を4.79g(60mmol)とし、これらをジルコニア製の容器とボールからなる遊星ボールミル(P−5、フリッチュ社製)を用いて25℃で15時間混合した後、乾燥して得られた混合物を空気下で900℃10時間焼成して、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C7を得た。得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C7の平均粒径は500nm、BET比表面積は5m2/gであった。また、得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C7を構成するチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物は、Li2Na2Ti614単相であり、かかるLi2Na2Ti614の結晶子径は500nmであった。
[比較例2]
エタノールを30mL、CH3COOLi・2H2Oを2.04g(20mmol)、CH3COONaを1.64g(20mmol)及びTiO2を4.79g(60mmol)とし、これらをジルコニア製の容器とボールからなる遊星ボールミル(P−5、フリッチュ社製)を用いて25℃で15時間混合した後、乾燥して得られた混合物を空気下で900℃10時間焼成して、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C8を得た。得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C8の平均粒径は500nm、BET比表面積は5m2/gであった。また、得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C8を構成するチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物は、Li2Na2Ti614単相であり、かかるLi2Na2Ti614の結晶子径は500nmであった。
得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C8のSEM写真を図3に示す。
[比較例3]
スラリー水x4のNaOHを1.60gとした以外、実施例4と同様にして、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C9を得た。この際、水25mLにLiOH・H2O 0.43gとNaOH 1.60gを混合してなるスラリー水x9の25℃におけるpHは14であり、スラリー水x9とスラリー水y4を混合して得られた混合液A9の25℃におけるpHは7であった。
得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C9の平均粒径は60nm、BET比表面積は35m2/gであった。また、得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C9は、Li2Na2Ti614とLi2TiO3の複相からなり、含まれるLi2Na2Ti614の結晶子径は70nmであった。
[試験例1]
全ての実施例及び比較例で得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子C1〜C9を用い、リチウムイオン二次電池の負極を作製した。
具体的には、チタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物粒子(C)、アセチレンブラック(導電剤、G)及びポリフッ化ビニリデン(粘結剤、H)を、C:G:H(質量比)=80:10:10で混合し、これにN−メチル−2−ピロリドンを加えて充分混練し、負極スラリーを調製した。
得られた負極スラリーを、厚さ10μmの銅箔からなる集電体に塗工機を用いて塗布し、80℃で12時間の真空乾燥を行った。その後、80℃に加熱したロールプレスでプレスし、φ14mmの円盤状に打ち抜いて負極とした。
次いで、上記の負極を用いてコイン型リチウムイオン二次電池を構築した。正極には、リチウム箔を用いた。電解液には、エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート(体積比)=3:7の割合で混合した混合溶媒に、LIPF6を1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。セパレータには、ポリプロピレンを用いた。
これらの電池部品を、露点が−50℃以下の雰囲気下で常法により組み込み収容し、コイン型リチウムイオン二次電池(CR−2032)を製造した。
製造したリチウムイオン二次電池を用いて定電流密度での充放電試験を行い、充放電容量を測定した。このときの充電条件は電流密度90mA/g、電圧3.0Vの定電流充電とし、放電条件は電流密度90mA/g、終止電圧1.0Vの定電流放電とした。温度は全て30℃とした。また、充電条件を上記同様にして、放電時の電流密度を281mA/gとして放電容量を求めた。さらに、下記式(2)により90mA/gと281mA/gの放電容量の比を求めた。
放電容量の比(%)
=(281mA/gの放電容量)/(90mA/gの放電容量)×100・・・(2)
結果を表1に示す。
上記結果より、実施例の製造方法で得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物は、比較例の製造方法で得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物に比して、極めて微小な一次粒子であり、これを負極活物質として用いたリチウムイオン二次電池において優れたレート特性を示すことがわかる。比較例のなかでも、特に比較例3の製造方法で得られたチタン酸ナトリウムリチウムは、微細な粒子ではあるものの、夾雑相(Li2TiO3)を含んでいるため、放電容量並びに放電容量の比(レート特性)が低下したと考えられる。

Claims (5)

  1. 下記式(1):
    Li a Na b c Ti d e ・・・(1)
    (式(1)中、MはK、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Sc、Si、P、S、Fe、Mn、Co、Ni、Zn、V、Cu、Y、Zr、Nb、Mo、Pb、Ga、Ge、Bi、Ta、Sn、Eu、La、Ce、Nd、W、Ru又はGdから選ばれる1種又は2種以上を示し、a、b、c、d及びeは、0<a≦4、0<b≦4、0≦c≦6、0<d≦6、13≦e≦15、a+b+c×(Mの価数)+4d=2eを満たす数を示す。)
    で表されるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cを得る工程を含む、リチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法であって、次の工程(I)〜(III):
    (I)溶媒として水のみを用いる工程であって、リチウム化合物、ナトリウム化合物及び水を含有し、かつ25℃におけるpHが12〜14であるスラリー水a1と、チタン化合物及び水、或いはチタン化合物、金属(M)化合物及び水を含むスラリー水a2とを混合して、25℃におけるpHが12〜14の混合液Aを得る工程
    (II)得られた混合液Aを100℃以上でソルボサーマル反応に付した後、固液分離してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bを得る工程、
    (III)得られたチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物前駆体Bを500℃〜1200℃で焼成してチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cを得る工程
    を備えるリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法。
  2. 工程(I)において用いるリチウム化合物及びナトリウム化合物の少なくとも一方が、水酸化物である請求項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法。
  3. 工程(I)において用いるチタン化合物が、塩化チタン、酢酸チタン、硫酸チタン及び硫酸チタニルから選ばれる1種以上である請求項又はに記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法。
  4. 工程(III)で得られるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物Cの平均粒径が、5nm〜300nmである請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法。
  5. 工程(III)で得られるチタン酸ナトリウムリチウム複合酸化物CのBET比表面積が、3m2/g以上である請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用負極活物質の製造方法。
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