JP6509943B2 - 保管方法及び殺菌装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、保管方法及び殺菌方法に関する。
近年、各種の食料品等に対する安全への関心が一層高まりつつある。例えば、果物や野菜などの生鮮食品等についても例外ではなく、その生育過程は勿論のこと、収穫、集荷或いは加工から梱包、輸送、貯蔵及び消費者への販売などの各流通過程において安全への対策が望まれている。
このような対策の一つとして、生鮮食品等における菌の増殖或いは付着を防止することが挙げられる。消費者に届く前の生鮮食品等に対して適切な洗浄処理或いは殺菌処理を施すことにより、食の安全を保障するとともに、生鮮食品等の傷みを防ぐことが期待される。
しかしながら、生鮮食品の種類によっては、既存の洗浄処理或いは殺菌処理が不適な場合も存在する。例えば、いちごなどの一部の青果物については、水洗いのような液体を用いた洗浄及び殺菌に不向きである。
また一度梱包された生鮮食品は、消費者に届くまでに殺菌等の処理を施されることが少ない。例えば、出荷から消費者に届くまでに時間として大きなウエイトを占める輸送・貯蔵の過程において、現状では冷却以外の方法で生鮮食品等の菌の増殖を抑制する手段は、ほとんど見られない。
特開2013−99472号公報 特開2003−339312号公報
本発明が解決しようとする課題は、菌の増殖或いは付着の防止が必要な対象物の流通又は保管過程等に適した保管方法及び殺菌装置を提供することである。
一実施形態に係る保管方法は、育成場所で収穫された青果物の流通過程において、上記青果物を所定の空間内で保管する保管方法であって、上記空間内から回収した気体を除湿する除湿器と、次亜塩素酸水を自然気化する気化器とを収容する筐体から放出された次亜塩素酸気化物質により上記青果物を殺菌し、前記空間内に存在し、殺菌により失活した次亜塩素酸気化物質を含む気体を、上記筐体内に回収し、回収した気体を上記除湿器により除湿して、上記空間内の湿度よりも低い湿度の気体を生成し、生成した湿度の低い気体を上記気化器に当てて上記筐体内に補充された次亜塩素酸水を自然気化し、自然気化した次亜塩素酸気化物質を上記筐体から上記空間内に放出することにより、上記回収した気体に含まれる失活した次亜塩素酸気化物質とは異なる新たな次亜塩素酸気化物質を上記空間内に供給して、上記空間内の湿度を50〜80%に保って上記青果物に対する殺菌作用を維持する。
図1は、生鮮食品の生産及び流通の過程の一例を示す図である。 図2は、第1実施形態に係る殺菌システム及び殺菌方法を概略的に説明するための図である。 図3は、上記殺菌システムに含まれる第1殺菌装置の一構成例を概略的に示す図である。 図4は、上記殺菌システムに含まれる第2殺菌装置の一構成例を概略的に示す図である。 図5は、第1実施形態に係る殺菌処理の一例を示すフローチャートである。 図6は、気化した殺菌水による殺菌作用を検証する実験において菌が培養された培地を撮影した写真である。 図7は、気化した殺菌水による殺菌作用を検証する実験において菌が培養された培地を撮影した写真である。 図8は、気化した殺菌水による殺菌作用を検証する実験において菌が培養された培地を撮影した写真である。 図9は、第2実施形態に係る第1殺菌装置の一構成例を概略的に示す図である。 図10は、第2実施形態に係る第2殺菌装置の一構成例を概略的に示す図である。 図11は、第2実施形態に係る殺菌処理の一例を示すフローチャートである。 図12は、第3実施形態に係る第2殺菌装置の一構成例を概略的に示す図である。 図13は、気化した殺菌水の放出に加え除湿を行う場合の殺菌作用を検証する実験において菌が培養された培地を撮影した写真である。 図14は、図4に示した第2殺菌装置の気化器が壁部によって囲われた空間に配置された様子を概略的に示す図である。 図15は、図12に示した第2殺菌装置の気化器及び除湿器が壁部によって囲われた空間に配置された様子を示す図である。 図16は、図14に示す構成にて電解水の気化及び放出を継続した場合における空間の湿度及び気化された電解水の供給量の時間変化を示すグラフである。 図17は、図15に示す構成にて電解水の気化及び放出を継続した場合における空間の湿度及び気化された電解水の供給量の時間変化の一例を示すグラフである。 図18は、空間の湿度を一定に維持して電解水の気化量を変化させたときの電解水の供給量を示すグラフである。 図19は、気化器に送られる空気の湿度及び電解水の供給量の関係を示すグラフである。 図20は、第4実施形態に係る第2殺菌装置の一構成例を概略的に示す図である。 図21は、第5実施形態に係る気化装置の一構成例を概略的に示す図である。 図22は、第6実施形態に係る気化装置の一構成例を概略的に示す図である。 図23は、第7実施形態に係る気化装置の一構成例を概略的に示す図である。
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各実施形態を通して、同一或いは類似する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。各図は、実施形態の理解に資することを目的とした模式図であり、各図に示された要素の形状及び寸法などは実際のものと異なる場合があるが、これらは以下の開示と公知技術等を参酌して適宜変更し得る。
各実施形態では、生鮮食品の流通過程において、生鮮食品或いは生鮮食品の周囲の空間などを殺菌する殺菌システム及び殺菌方法を開示する。生鮮食品としては、例えば、果物や野菜などの青果物、肉類、或いは魚介類などが挙げられる。本実施形態では、一例として生鮮食品を対象物として挙げるが、加工食品、加工食品のための原料・中間食品・添加物に加えて、生花などの装飾用途品、さらに医療・介護分野等で取り扱う衛生用品等、その他、菌の増殖或いは付着の防止が必要な全ての対象物の殺菌・輸送・保管方法に、各実施形態の殺菌方法・殺菌システム・保管方法を適宜適用しても良い。
ここでは一例として、青果物の生産及び流通の過程を図1に示す。この図の流れのように、青果物は、種苗が屋外或いはビニールハウス等の屋内の農地や植物プラントなどの生育場所で生育され、適度に生育した際に収穫される。収穫された青果物は集荷場所に集荷され、必要に応じて各種の加工が施される。さらに、青果物は、所定の単位に梱包される。ここでいう梱包には、例えば、所定数或いは所定重量ごとのパック詰めや、段ボール箱或いは専用の梱包ケースなどの梱包容器への収容等が含まれる。梱包後に青果物は出荷され、輸送業者等によって販売先等に輸送される。輸送の態様としては、トラック或いは列車などの車両による輸送、船舶による輸送、及び、航空機による輸送などが想定される。また一般に、この輸送は、梱包後の青果物が荷台、荷室、或いはコンテナなどに収容された状態で行われる。青果物が販売先等に着荷すると、必要に応じて保管場所に貯蔵され、適宜のタイミングで店頭等に陳列して一般消費者に販売されるか、或いは飲食業者などに配送される。
各実施形態においては、生鮮食品が上記のような流通過程で流通する青果物である場合を想定する。但し、同様の殺菌システム及び殺菌方法を他種の生鮮食品の流通過程に適用できることはいうまでもない。
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態に係る殺菌システム及び殺菌方法を概略的に説明するための図である。この図の例において、殺菌システムは、第1殺菌装置1と、第2殺菌装置2と、を備えている。
第1殺菌装置1は、例えば青果物Pの生育場所或いは集荷場所などの第1殺菌場所L1に配置されている。
第1殺菌場所L1は、後述する第2殺菌装置2が配置された空間とは相違し、外気に完全に開放された空間であっても良いし、後述する第2殺菌装置2が配置された空間と同様の空間であっても良い。
第1殺菌装置1は、収穫後、集荷後、或いは収穫直前の青果物Pに気化した殺菌水を噴霧して、青果物Pの表面に付着した病害菌などを青果物Pの表面を濡らさずに殺菌する第1殺菌ステップを実行する。第1殺菌装置1が用いる殺菌水としては、例えば、電解水などの次亜塩素酸水を用いることができる。
電解水とは、塩化カリウムや塩化カルシウムなどの電解質を添加した被電解水を電気分解することで得られた物質を混合した水である。陰極側からはアルカリ性を示すアルカリイオン水(アルカリ性水)が作られる。電極の陽極側からは次亜塩素酸を含んだ酸性を示す酸性水が作られる。
収穫された後に第1殺菌ステップを経た青果物P、或いは第1殺菌ステップを経た後に収穫された青果物Pは、例えば集荷場所や加工場所において梱包容器3に梱包(収容)される。この梱包容器3としては、例えば、段ボールや発砲スチロールなどで形成された箱や専用の梱包ケースなどを用いることができる。青果物Pは、梱包容器3に収容された状態で出荷され、車両、船舶、或いは航空機などの輸送手段L2によって輸送される。梱包容器3は外部に開放された部分を有し、青果物P周辺の空気と梱包容器3内の空気を循環させることができる。
第1殺菌ステップは青果物Pの表面殺菌を目的としており、梱包後に実施して目的を達成できる場合は、梱包と第1殺菌ステップの順は問わない。また、その梱包形態も問わない。
第2殺菌装置2は、例えば輸送手段L2の荷台や荷室などに配置されている。ここでの第2殺菌装置2の配置場所は、壁部4によって囲われた空間5である。この空間5には、青果物Pが収容された梱包容器3も配置される。壁部4は、荷台や荷室の壁面であっても良いし、荷台や荷室に載せられたコンテナの壁面であっても良い。このような壁部4は、空間5の上方、下方、及び四方を囲っており、通常の荷室やコンテナなどと同程度の密閉性を有している。
ある程度の密閉性を有する空間5を提供するものとしては、車両、船舶、或いは航空機などの輸送に用いられるコンテナやその荷室、低温で保管可能な冷蔵室・冷凍庫、食糧などを保管する食糧庫・倉庫などがある。密閉性は完全に確保されていても、ある程度開放性があっても、本実施形態の効果が得られれば問題はない。
第2殺菌装置2は、気化した殺菌水を空間5に放出することにより、空間5に浮遊する菌(浮遊菌)や壁部4或いは梱包容器3の表面に付着した菌(表面菌)などを殺菌する第2殺菌ステップを実行する。梱包容器3の密閉性が低い場合には、第2殺菌ステップにおいて梱包容器3の内部も併せて殺菌され得る。第2殺菌ステップで、青果物Pの表面を殺菌する第1殺菌ステップの役割も併せて行える場合は、第1殺菌ステップを省略することも可能である。
第2殺菌装置2による殺菌は、例えば輸送手段L2が輸送先に到着するまでの間に実行される。第2殺菌装置2が用いる気化した殺菌水としては、例えば、第1殺菌装置1と同様の電解水などを用いることができる。
このような第1殺菌ステップ及び第2殺菌ステップは、青果物Pの表面或いは梱包容器3などを濡らすことがない。
また、第1殺菌ステップ及び第2殺菌ステップのいずれも気化した殺菌水により青果物Pの表面或いは青果物Pが配置された空間を殺菌するので、青果物Pの表面或いは梱包容器3を傷つけることがない。
また、青果物Pが梱包容器3に収容された状態でも、梱包容器3に設けられた孔や隙間から梱包容器3の内部に気化した殺菌水が入り込めば、第1殺菌ステップ及び第2殺菌ステップにおいて青果物Pの表面を殺菌することができる。
なお、本明細書においては、第1殺菌装置1が気化した殺菌水等を放つことを主として噴霧と言い、第2殺菌装置2が気化した殺菌水等を放つことを主として放出と言う。これら噴霧及び放出との用語は、いずれも気化した殺菌水或いはこの殺菌水とミストとを放つ動作を含み得るものであり、同一の動作を指す場合もある。
続いて、第1殺菌装置1及び第2殺菌装置2に適用可能な構成の一例について説明する。図3は、第1殺菌装置1の一構成例を概略的に示す図である。この図に示す第1殺菌装置1は、タンク10と、配管11と、ポンプ12と、噴霧装置13と、コントローラ14(第1制御手段)と、を備えている。
タンク10は、殺菌水の一例である次亜塩素酸水を貯水する。この次亜塩素酸水は、タンク10が備える給水口を介して人手により、或いはタンク10に接続された給水管を介してポンプなどの動力源により、適宜に補充される。
配管11は、一端がタンク10の例えば底面に接続されるとともに、他端が噴霧装置13に接続されている。ポンプ12は、タンク10の次亜塩素酸水を噴霧装置13に供給する送液装置として機能するものであり、配管11に設けられている。ポンプ12は、例えば回転数の可変制御により、噴霧装置13に送る次亜塩素酸水の流量を調整することができる。なお、タンク10から噴霧装置13への次亜塩素酸水の送液は、水頭圧等を利用して行われても良い。この場合においては、例えば配管11に開度が可変な電磁弁を設けることにより、噴霧装置13に送る次亜塩素酸水の流量を調整することができる。
噴霧装置13は、吸気口15a及び排気口15bを有する筐体15と、この筐体15に収容された気化器16及びファン17と、を備えている。図3の例において、配管11は筐体15の内部に延び、気化器16に接続されている。
気化器16は、配管11を介して供給される次亜塩素酸水を気化し、殺菌成分を空間に放出する。同時に、気化器16は粒径が比較的小さいミストも発生する。第1殺菌ステップにおいて、このようなミストの発生を主目的としない気化の方式としては、例えば、超音波方式を採用することができる。この場合において、気化器16は、配管11を介して供給される次亜塩素酸水を溜める容器と、超音波によりこの容器に溜められた次亜塩素酸水を振動させ、液面から次亜塩素酸水のミストを発生させる超音波振動子と、を有している。その他にも、気化器16により次亜塩素酸水を気化する方式としては、微細孔を有するノズルから次亜塩素酸水を放出することにより次亜塩素酸水を気化(霧化)する方式などを採用しても良い。さらに気化フィルタにファン等で風を当てる自然気化式がある。ただし、対象物を濡らさずに殺菌することが目的のため、発生するミスト量は少なく、かつ粒径が小さいことが望ましい。なお、後述する第2殺菌装置の気化器も含めて、気化器は、上述した方式の均等物のみならず、サーマル方式など熱による気化方式、その他、気化する機能を有すれば、何でもよい。
ファン17は、気化器16により生成された気化した次亜塩素酸水及びミストを筐体15の外部に送り出す。具体的には、ファン17の回転に伴って吸気口15aから筐体15に空気が取り込まれ、この空気が気化器16により生成された気化した次亜塩素酸水及びミストとともに排気口15bから排出(噴霧)される。ファン17の回転数の可変制御により、筐体15の外部に噴霧する気化した次亜塩素酸水等の量や風量を調整することができる。
コントローラ14は、例えば第1殺菌装置1の制御の中枢を担うプロセッサ、各種の設定条件やプロセッサが実行するコンピュータプログラムを記憶したメモリ、及び、各部に供給する電圧を生成する電源装置などを備えている。このコントローラ14は、ポンプ12、気化器16、及びファン17などを制御する。図3の例において、コントローラ14には、表示灯或いはディスプレイなどの表示装置、ボタン或いはスイッチ等の入力装置、及びスピーカなどの音声出力装置を備える入出力装置18が接続されている。
例えば、コントローラ14は、いちご類、サクランボ類、オクラ類などの青果物Pの表面を濡らすことがない程度に、ファン17の回転数を制御する。
このような気化した殺菌水(次亜塩素酸水)は、青果物Pの表面を濡らさずに殺菌することができ、同時に発生する粒径の小さいミストが付着しても迅速に蒸発するため、青果物Pの表面等を過度に濡らすことがない。したがって、水洗いなどに不向きな青果物P、例えばいちご類、さくらんぼ類、或いはオクラ類などの殺菌に適している。このように青果物Pの表面を濡らすことがないミスト(液状ミスト)の粒径は、例えば約50μm以下である。
このように、第1殺菌ステップ(或いは後述する噴霧ステップ)は、電解水をミスト化した液状粒子を噴霧することを含み、この液状粒子の粒径は液状粒子が青果物Pに付着した際に青果物Pを濡らすことがない程度である。
また、大根やごぼうなどは、上述した気化した殺菌水でなくても、第1殺菌ステップとして殺菌水を掛け流しても構わない。本願では、このように掛け流す場合でも、殺菌水の噴霧の一種として取り扱っている。また、噴霧は微細孔を有するノズルから次亜塩素酸水を放出することにより噴霧しても構わない。
図4は、第2殺菌装置2の一構成例を概略的に示す図である。この図に示す第2殺菌装置2は、タンク20と、配管21と、ポンプ22と、気化装置23と、コントローラ24(第2制御手段)と、を備えている。
タンク20は、殺菌水の一例である次亜塩素酸水を貯水する。この次亜塩素酸水は、タンク20が備える給水口を介して人手により、或いはタンク20に接続された給水管を介してポンプなどの動力源により、適宜に補充される。
配管21は、一端がタンク20の例えば底面に接続されるとともに、他端が気化装置23に接続されている。ポンプ22は、タンク20の次亜塩素酸水を気化装置23に供給する送液装置として機能するものであり、配管21に設けられている。ポンプ22は、例えば回転数の可変制御により、気化装置23に送る次亜塩素酸水の流量を調整することができる。なお、タンク20から気化装置23への次亜塩素酸水の送液は、水頭圧等を利用して行われても良い。この場合においては、例えば配管21に開度が可変な電磁弁を設けることにより、気化装置23に送る次亜塩素酸水の流量を調整することができる。
気化装置23は、吸気口25a及び排気口25bを有する筐体25と、この筐体25に収容された気化器26(気化部材)及びファン27と、を備えている。図4の例において、配管21は筐体25の上壁に接続され、気化器26に次亜塩素酸水を滴下する。
気化器26としては、例えば、配管21から滴下される次亜塩素酸水を吸水する吸水フィルタを用いることができる。この吸水フィルタは、空気との接触面積を増やして次亜塩素酸水を効率良く気化させるべく、微細なハニカム構造などの微細構造を有しても良い。さらに、吸水フィルタは、次亜塩素酸水と反応しにくい材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系材料、又は無機材料にて形成されるか、或いはこれらの材料にて表面がコーティングされたものであっても良い。このような吸水フィルタを用いれば、次亜塩素酸水による吸水フィルタの腐食や次亜塩素酸水の失活を防ぐことができる。なお、気化器26は、次亜塩素酸水を気化させると同時に、粒径が比較的小さいミストも発生し得る。
ファン27は、気化器26により気化された気体を筐体25の外部に放出する。具体的には、ファン27の回転に伴って吸気口25aから筐体25に空気が取り込まれ、この空気が気化器26により気化された気体とともに排気口25bから排出(放出)される。ファン27の回転数の可変制御により、筐体25の外部に放出する気体の量を調整することができる。図4の例において、ファン27は、気化器26と排気口25bとの間に配置されている。これにより、ファン27からの風が気化器26に直接当って気化される前の次亜塩素酸水が飛散することを防ぐことができる。
コントローラ24は、例えば第2殺菌装置2の制御の中枢を担うプロセッサ、各種の設定条件やプロセッサが実行するコンピュータプログラムを記憶したメモリ、及び、各部に供給する電圧を生成する電源装置を備えている。このコントローラ24は、ポンプ22、気化器26、及びファン27などを制御する。図4の例において、コントローラ24には、表示灯或いはディスプレイなどの表示装置、ボタン或いはスイッチ等の入力装置、及びスピーカなどの音声出力装置を備える入出力装置28が接続されている。
第1殺菌装置1及び第2殺菌装置2を用いた殺菌処理の流れにつき、図5のフローチャートを用いて説明する。
第1殺菌装置1が所在する第1殺菌場所L1の作業者は、青果物Pの表面を殺菌すべく、例えば入出力装置18の操作により、運転開始の指示を入力する(ステップS11)。この指示が入力されたことに応じて、コントローラ14は、次亜塩素酸水の噴霧を開始する(ステップS12)。すなわち、コントローラ14は、ポンプ12、気化器16、及びファン17の運転を開始する。これにより、タンク10の次亜塩素酸水が気化器16により気化されて例えばミストを含む気化した殺菌水となり、排気口15bから噴霧される。青果物Pは、この気化した殺菌水に晒される場所、例えば排気口15bと向い合う位置に配置されており、気化した殺菌水によってその表面が殺菌される。
気化した殺菌水を噴霧している間、コントローラ14は、処理終了のタイミングを待つ(ステップS13)。処理終了のタイミングは、例えば、入出力装置18の操作により処理終了の指示が入力されるタイミングや、噴霧開始から一定時間が経過したタイミングなどとすることができる。処理終了のタイミングが到来したことに応じて(ステップS13のYES)、コントローラ14は、気化した殺菌水の噴霧を停止する。
以上の第1殺菌ステップ(ステップS11〜S13)の後、青果物Pは梱包容器3に収容され、輸送される。この輸送に際して、作業者は、梱包容器3が配置される空間5を殺菌すべく、例えば第2殺菌装置2の入出力装置28の操作により、運転開始の指示を入力する(ステップS14)。この指示が入力されたことに応じて、コントローラ24は、気化した殺菌水及びミストの放出を開始する(ステップS15)。すなわち、コントローラ24は、ポンプ22及びファン27の運転を開始する。これにより、タンク20の次亜塩素酸水が気化器26により気化されて、この気化された気体が排気口25bから放出される。放出された気体(気化物質)は、空間5内に分散し、空間5に浮遊する菌を殺菌する。さらに、放出された気体(気化物質)は、空間5内の壁部4(天井、壁、床など)、或いは空間5内に配置された梱包容器3などの物体の表面に到達し、これら壁、床、或いは物体の表面に存在する菌を殺菌する。なお、気化装置23においては、空間5から取り込まれた空気に含まれる菌が気化器26に接触し、気化器26が吸水した次亜塩素酸水によって殺菌される。
コントローラ24は、ポンプ22及びファン27の運転と停止を一定時間ごとに繰り返しても良い。この一定時間は、例えば空間5の広さ(体積)、空間5に配置された梱包容器3の数、或いはタンク20の次亜塩素酸水の濃度などの種々の要素を勘案して、所望の殺菌作用が実現される時間に定めることができる。
殺菌水を気化及び放出している間、コントローラ24は、処理終了のタイミングを待つ(ステップS16)。処理終了のタイミングは、例えば、輸送手段L2が輸送先に到着したタイミングであって、具体的には梱包容器3を輸送手段L2から降ろす際に作業者が入出力装置28の操作により処理終了の指示を入力するタイミングとすることができる。その他にも、処理終了のタイミングは、気化及び放出開始から一定時間が経過したタイミングなどとすることができる。処理終了のタイミングが到来したことに応じて(ステップS16のYES)、コントローラ24は、殺菌水の気化及び放出を停止する。
以上で当該フローチャートに示す殺菌処理が終了する。このような第1殺菌ステップ(ステップS11〜S13)及び第2殺菌ステップ(ステップS14〜S16)を含む殺菌処理を用いれば、青果物Pの表面及びその包装などを好適に殺菌し、最終消費者等に安全かつ鮮度の良い状態で提供することができる。
また、第1殺菌ステップにおいて気化した殺菌水を噴霧すれば、青果物Pの表面は濡れず、水洗いに不向きな青果物Pの表面も殺菌することができる。さらに、第2殺菌ステップにおいては、気化した殺菌水により殺菌するので、梱包容器3等を濡らすことがない。
また、第2殺菌ステップにおいて空間5に気化した殺菌水とともに放出されるミストには水蒸気が含まれるため、空間5の湿度が高められる。これにより、青果物Pの鮮度維持に適切な湿度が実現され、梱包容器3に収容された青果物Pの乾燥が防がれて、青果物Pの鮮度が保たれる。
このように、本実施形態に係る殺菌処理は、青果物P等の生鮮食品の流通過程に適している。
ここで、第1殺菌ステップにおいて気化した殺菌水を噴霧する時間をT1、第2殺菌ステップにおいて次亜塩素酸水を気化及び放出する時間をT2とする。第1殺菌ステップは青果物Pの出荷前に実行され、第2殺菌ステップは輸送中に実行されることから、多くの場合においてT1<T2となる。
第1殺菌ステップにおいては、青果物Pの表面を短時間で良好に殺菌する必要があることから、有効塩素濃度が比較的高い次亜塩素酸水を用いることが好ましい。一方で、第2殺菌ステップにおいては、空間5を輸送中の長時間に亘って殺菌するために、有効塩素濃度が比較的低い次亜塩素酸水を用いることができる。例えば、第1殺菌ステップにて用いられる次亜塩素酸水の有効塩素濃度をD1、第2殺菌ステップにて用いられる次亜塩素酸水の有効塩素濃度をD2とすると、D1>D2の関係が成立し得る。例えば、D1はD2の約2倍以上とすることができる。
なお、第1殺菌装置1により噴霧されるミストにおける有効塩素濃度は、タンク10の次亜塩素酸水の濃度よりも1/2〜1/3程度に低くなる。そこで、タンク10に溜める次亜塩素酸水の有効塩素濃度は、目標とするミストの有効塩素濃度の少なくとも2倍、或いは3倍以上の有効塩素濃度としても良い。例えば、食品に添加できる有効塩素濃度が80ppm以下であれば、タンク10に貯水される次亜塩素酸水の有効塩素濃度を160ppm以下とし、噴霧される次亜塩素酸水の有効塩素濃度を80ppm以下としても良い。
また、第2殺菌ステップにおいて、長時間の輸送に際してタンク20の次亜塩素酸水が欠乏しないように、第2殺菌装置2が消費する次亜塩素酸水の量を比較的少なくしても良い。例えば、第2殺菌装置2にて単位時間あたりに消費される次亜塩素酸水の量は、第1殺菌装置1にて単位時間あたりに消費される次亜塩素酸水の量よりも少なくすることが想定される。次亜塩素酸水の消費量は、第1殺菌装置1のポンプ12やファン17及び第2殺菌装置2のポンプ22やファン27の運転条件を変えることで調整できる。一例として、ファン17の送風量(体積流量)をQ1、ファン27の送風量(体積流量)をQ2とすると、Q1>Q2の関係が成立し得る。例えば、Q1はQ2の約2倍以上とすることができる。
また、第1殺菌ステップでは、ファン17から送風される空気が直接対象物の表面に当るように対象物を配置した方が良く、第2殺菌ステップではファン27から送風される空気が空間5全体に循環するように、一旦天井に向かって空気を送風して、対象物には間接的に空気が当たるようにすると良い。
すなわち、第2殺菌ステップは、電解水(殺菌水、次亜塩素酸水)が気化された気化物質を空間5内に循環させる循環ステップを含み得る。また、この一実施形態では、ファン27は、気化された電解水を空間5内で循環させる循環手段として機能する。循環手段は、ファン27などの強制的に循環させる手段のみならず、空間5内の対流、ブラウン運動などによる電解水(殺菌水、次亜塩素酸水)気化物質の拡散、それらの均等物を含み、さらに、その他、気化物質を空間5内に循環させる機能を有するものであれば何でもよい。気化物質は、電解水を気化することにより得られる気体を含む。さらに、この循環ステップは、気化器26などの気化部材に空間5内に浮遊する浮遊菌が接触することによって浮遊菌を殺菌することと、気化物質が空間5内に分散することにより、空間5内の浮遊菌を殺菌することと、空間5内の壁、床、或いは空間5内に配置された梱包容器3などの物体の表面に気化物質を到達させ、壁、床、或いは上記物体の表面に存在する表面菌を殺菌することと、を含む。
第1殺菌ステップによる殺菌は、取れたての収穫物や外気に対して開放された空間に保管された対象物の主に表面に付着している菌を殺菌するため、大量に次亜塩素酸水を供給する必要があるが、第2殺菌ステップによる殺菌は、対象物の表面が殺菌された後に、主に密閉された空間に浮遊している菌を殺菌するため、第1殺菌ステップより少ない次亜塩素酸水を供給すれば十分である。その代わりに、保管期間・輸送期間全般にわたって、長期間、次亜塩素酸水を供給する必要がある。
第2殺菌ステップの空間5内の湿度は50〜100%であれば良く、望ましくは青果物P等の対象物の保存の観点から80〜100%が良い。列車やトラックによるコンテナ輸送では、季節により室内温度が大きく変動し、この温度変動により空間5内に飽和している次亜塩素酸水量も変動する。このため、この変動を予め予想し、湿度を50〜80%としても良い。
発明者らは、第1殺菌ステップにて用いるとした気化した殺菌水による殺菌作用を実験により検証した。この実験では、収穫されたオクラを約1mのブース内に配置するとともにこのブース内に気化した次亜塩素酸水を湿度50〜80%で所定時間の間に亘って噴霧した後、オクラの表面から菌を採取し、採取した菌を培地にて約1日に亘り37℃の環境下で培養した。比較のために、次亜塩素酸水にオクラを約2分間に亘って浸漬し、この浸漬後のオクラの表面から菌を採取し、採取した菌を同様の手法で培養した。
図6は、上記の実験を4回(N1〜N4)に亘って実施し、菌が培養された培地を撮影した写真である。ここで用いた気化用の次亜塩素酸水、及び、浸漬に用いた次亜塩素酸水はともに、ph6、有効塩素濃度76ppmである。各写真においては円形のシャーレの中に培地が配置されており、白味かかった部分が培養された菌に相当する。次亜塩素酸水に浸漬した場合(図中の「電解水浸漬」)と、気化した次亜塩素酸水を1時間に亘って噴霧した場合(図中の「気化した次亜塩素酸水1時間噴霧」)とを比較すると、N1〜N4のいずれにおいても次亜塩素酸水に浸漬した場合の方が培養された菌の量が少なかった。一方で、気化した次亜塩素酸水を24時間に亘って噴霧した場合(図中の「気化した電解水24時間噴霧」)においては、1時間の噴霧の場合よりも培養された菌の量が大幅に少なく、浸漬の場合と同程度か或いは良好な結果が得られた。
図7は、気化前の次亜塩素酸水の濃度を152ppmと図6の検証から濃度を2倍に変更し、且つ噴霧時間をより細かくして上記の実験を4回(N1〜N4)に亘って実施し、菌が培養された培地を撮影した写真である。噴霧時間は、1時間(図中の「気化した電解水1時間噴霧」)、3時間(図中の「気化した電解水3時間噴霧」)、6時間(図中の「気化した電解水6時間噴霧」)、及び24時間(図中の「気化した電解水24時間噴霧」)の4通りとした。図7からは、噴霧時間を長くするほど培養される菌が概ね減ることが判る。さらに図6と図7の24時間噴霧処理後の培地の菌の繁殖量を比較すると次亜塩素酸水の濃度を2倍とした図7の24時間噴霧処理後の方が培養される菌が少ないこと判る。すなわち、青果物の表面の殺菌作用は、噴霧時間と次亜塩素酸水の濃度に関連している。したがって、青果物の生産及び流通過程や青果物の種類などに応じた適切な噴霧時間及び濃度を設定することで、青果物の表面の殺菌作用を高めることができる。
さらに発明者らは、第2殺菌ステップにて用いるとした気化した殺菌水による殺菌作用を実験により検証した。この実験では、灰色カビ病菌の胞子を生理食塩水に溶かした後に、シャーレに小分けしてサンプルを作製し、このサンプルを約1mのブース内に配置し、ブース内に気化した次亜塩素酸水を湿度50〜80%で6時間の間に亘って噴霧した後、サンプルの液を採取して培地にて約6日に亘り20℃の環境下で培養した。図8は、上記の実験を3回(N1〜N3)に亘って実施し、菌が培養された培地を撮影した写真である。比較対象として、水の気化噴霧で処理したサンプルの培養結果は、灰色カビ病菌の胞子を溶かした生理食塩水を処理無しで培養した結果と同様に菌が培地全面に繁殖している。対して、次亜塩素酸水の気化噴霧で処理した後に培養した結果では、菌の繁殖が見られない。したがって、本実施形態は空間除菌として有効であることが示される。
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1殺菌装置1と第2殺菌装置2の構成、及び、第1殺菌ステップと第2殺菌ステップの流れにおいて、第1実施形態と相違する。第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略することがある。
図9は、本実施形態に係る第1殺菌装置1の一構成例を概略的に示す図である。この図に示す第1殺菌装置1は、図3に示したタンク10、配管11、及びポンプ12に代えて、第1タンク10a、第2タンク10b、第1配管11a、第2配管11b、第1ポンプ12a、及び第2ポンプ12bを備えている。
第1タンク10aは、電解水(或いは殺菌水)の一例である次亜塩素酸水を貯水する。第1配管11aは、一端が第1タンク10aの例えば底面に接続されるとともに、他端が噴霧装置13に接続されている。第1ポンプ12aは、第1タンク10aの次亜塩素酸水を噴霧装置13に供給する送液装置として機能するものであり、第1配管11aに設けられている。第1ポンプ12aは、例えば回転数の可変制御により、噴霧装置13に送る次亜塩素酸水の流量を調整することができる。
第2タンク10bは、電解水の一例であるアルカリ性水を貯水する。このアルカリ性水としては、例えば水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。第2配管11bは、一端が第2タンク10bの例えば底面に接続されるとともに、他端が噴霧装置13に接続されている。第2ポンプ12bは、第2タンク10bのアルカリ性水を噴霧装置13に供給する送液装置として機能するものであり、第2配管11bに設けられている。第2ポンプ12bは、例えば回転数の可変制御により、噴霧装置13に送るアルカリ性水の流量を調整することができる。
第1タンク10aの次亜塩素酸水及び第2タンク10bのアルカリ性水は、第1タンク10a及び第2タンク10bがそれぞれ備える給水口を介して人手により、或いは第1タンク10a及び第2タンク10bに接続された給水管を介してポンプなどの動力源により、適宜に補充される。第1タンク10a及び第2タンク10bから噴霧装置13への送液は、水頭圧等を利用して行われても良い。この場合においては、例えば第1配管11a及び第2配管11bに開度が可変な電磁弁をそれぞれ設けることにより、噴霧装置13に送る次亜塩素酸水及びアルカリ性水の流量を調整することができる。
コントローラ14は、第1ポンプ12a及び第2ポンプ12bをそれぞれ制御する。第2ポンプ12bを停止させた状態で第1ポンプ12aにより第1タンク10aの次亜塩素酸水を気化器16に供給すると、気化器16において次亜塩素酸水を気化することができる。同時に、気化器16は粒径が比較的小さい次亜塩素酸水のミストも発生する。一方で、第1ポンプ12aを停止させた状態で第2ポンプ12bにより第2タンク10bのアルカリ性水を気化器16に供給すると、気化器16においてアルカリ性水を気化することができる。同時に、気化器16は粒径が比較的小さいアルカリ性水のミストも発生する。このように、本実施形態に係る第1殺菌装置1は、第1ポンプ12a及び第2ポンプ12bの選択的な制御により、気化した次亜塩素酸水及び気化したアルカリ性水を選択的に噴霧することができる。
図10は、本実施形態に係る第2殺菌装置2の一構成例を概略的に示す図である。この図に示す第2殺菌装置2は、図4に示したタンク20、配管21、及びポンプ22に代えて、第1タンク20a、第2タンク20b、第1配管21a、第2配管21b、第1ポンプ22a、及び第2ポンプ22bを備えている。
第1タンク20aは、電解水(或いは殺菌水)の一例である次亜塩素酸水を貯水する。第1配管21aは、一端が第1タンク20aの例えば底面に接続されるとともに、他端が気化装置23に接続されている。第1ポンプ22aは、第1タンク20aの次亜塩素酸水を気化装置23に供給する送液装置として機能するものであり、第1配管21aに設けられている。第1ポンプ22aは、例えば回転数の可変制御により、気化装置23に送る次亜塩素酸水の流量を調整することができる。気化装置23に送られた次亜塩素酸水は、気化器26に滴下される。
第2タンク20bは、電解水の一例であるアルカリ性水を貯水する。このアルカリ性水としては、例えば水酸化ナトリウム水溶液を用いることができる。第2配管21bは、一端が第2タンク20bの例えば底面に接続されるとともに、他端が気化装置23に接続されている。第2ポンプ22bは、第2タンク20bのアルカリ性水を気化装置23に供給する送液装置として機能するものであり、第2配管21bに設けられている。第2ポンプ22bは、例えば回転数の可変制御により、気化装置23に送るアルカリ性水の流量を調整することができる。気化装置23に送られたアルカリ性水は、気化器26に滴下される。
第1タンク20aの次亜塩素酸水及び第2タンク20bのアルカリ性水は、第1タンク20a及び第2タンク20bがそれぞれ備える給水口を介して人手により、或いは第1タンク20a及び第2タンク20bに接続された給水管を介してポンプなどの動力源により、適宜に補充される。第1タンク20a及び第2タンク20bから気化装置23への送液は、水頭圧等を利用して行われても良い。この場合においては、例えば第1配管21a及び第2配管21bに開度が可変な電磁弁をそれぞれ設けることにより、気化装置23に送る次亜塩素酸水及びアルカリ性水の流量を調整することができる。
コントローラ24は、第1ポンプ22a及び第2ポンプ22bをそれぞれ制御する。第2ポンプ22bを停止させた状態で第1ポンプ22aにより第1タンク20aの次亜塩素酸水を気化器26に供給すると、気化器26において次亜塩素酸水を気化させた気体を生成することができる。なお、気化器26は、次亜塩素酸水を気化させると同時に、粒径が比較的小さい次亜塩素酸水のミストも発生する。一方で、第1ポンプ22aを停止させた状態で第2ポンプ22bにより第2タンク20bのアルカリ性水を気化器26に供給すると、気化器26においてアルカリ性水を気化させた気体を生成することができる。なお、気化器26は、アルカリ性水を気化させると同時に、粒径が比較的小さいアルカリ性水のミストも発生する。このように、本実施形態に係る第2殺菌装置2は、第1ポンプ22a及び第2ポンプ22bの選択的な制御により、次亜塩素酸水を気化させた気体及びアルカリ性水を気化させた気体等を選択的に放出することができる。
第1殺菌装置1及び第2殺菌装置2を用いた本実施形態に係る殺菌処理の流れにつき、図11のフローチャートを用いて説明する。
第1殺菌装置1のコントローラ14は、第1実施形態と同じく運転開始の指示が入力されると(ステップS21)、先ずアルカリ性水を所定時間に亘って噴霧する(ステップS22:第1噴霧ステップ)。すなわち、コントローラ14は、第1ポンプ12aを停止させた状態で、第2ポンプ12b、気化器16、及びファン17を所定時間に亘って運転する。これにより、第2タンク10bのアルカリ性水が気化器16により気化されて例えばミストを含む気体となり、排気口15bから噴霧される。この噴霧されたアルカリ性水によって、青果物Pの表面に付着した有機物などが除去される。
続いて、コントローラ14は、次亜塩素酸水を所定時間に亘って噴霧する(ステップS23:第2噴霧ステップ)。すなわち、コントローラ14は、第2ポンプ12bを停止させた状態で、第1ポンプ12a、気化器16、及びファン17を所定時間に亘って運転する。これにより、第1タンク10aの次亜塩素酸水が気化器16により気化されて例えばミストを含む気化した殺菌水となり、排気口15bから噴霧される。この気化した殺菌水によって、青果物Pの表面が殺菌される。
ステップS22,S23の後、コントローラ14は、処理終了のタイミングが到来したかを判定する(ステップS24)。処理終了のタイミングは、第1実施形態と同様である。処理終了のタイミングが到来していない場合(ステップS24のNO)、コントローラ14は、ステップS22,S23を再度実行する。一方で、処理終了のタイミングが到来したことに応じて(ステップS23のYES)、コントローラ14は、気化したアルカリ性水及び気化した次亜塩素酸水の噴霧を停止する。
以上の第1殺菌ステップ(ステップS21〜S24)の後の輸送に際して、作業者は、第1実施形態と同様に、第2殺菌装置2に運転開始の指示を入力する(ステップS25)。この指示が入力されたことに応じて、コントローラ24は、所定時間に亘って気化した殺菌水及びミストを空間5に放出する(ステップS26:第1放出ステップ)。すなわち、コントローラ24は、第2ポンプ22bを停止した状態で、所定時間に亘って第1ポンプ22a及びファン27を運転する。これにより、第1タンク20aの次亜塩素酸水が気化器26により気化されて、この気化された気体が排気口25bから放出される。
続いて、コントローラ24は、所定時間に亘って気化したアルカリ性水及びミストを空間5に放出する(ステップS27:第2放出ステップ)。すなわち、コントローラ24は、第1ポンプ22aを停止させた状態で、第2ポンプ22b及びファン27を所定時間に亘って運転する。このとき、第2タンク20bのアルカリ性水が気化器26により気化されて、この気化された気体が排気口25bから放出される。これにより、例えば壁部4や空間5に配置された梱包容器3などに付着した次亜塩素酸水が中和され、これらの腐食を防ぐことができる。例えば、ステップS27にて気化及び放出されるアルカリ性水の量は、ステップS26にて気化及び放出される次亜塩素酸水の量より少なくしても良い。
ステップS26,S27において、気化した次亜塩素酸水及びアルカリ性水を放出する時間は、例えば空間5の広さ(体積)、空間5に配置された梱包容器3の数、或いは第1タンク20aの次亜塩素酸水の濃度及び第2タンク20bのアルカリ性水の濃度などの種々の要素を勘案して、所望の殺菌作用及び中和作用が実現される時間に定めることができる。
ステップS26,S27の後、コントローラ24は、処理終了のタイミングが到来したかを判定する(ステップS28)。処理終了のタイミングは、第1実施形態と同様である。処理終了のタイミングが到来していない場合(ステップS28のNO)、コントローラ24は、ステップS26,S27を再度実行する。一方で、処理終了のタイミングが到来したことに応じて(ステップS28のYES)、コントローラ24は、次亜塩素酸水及びアルカリ性水の気化及び放出を停止する。以上で当該フローチャートに示す殺菌処理が終了する。
本実施形態のように、電解水として次亜塩素酸水だけでなく水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性水を用いることで、第1殺菌ステップ(ステップS21〜S24)及び第2殺菌ステップ(ステップS25〜S28)のそれぞれにおいて好適な作用を奏する。
すなわち、第1殺菌ステップにおいてはアルカリ性水の噴霧により青果物Pの表面に付着した有機物等が除去されるとともに、その後に噴霧される次亜塩素酸水による殺菌の作用を高めることができる。一方で、第2殺菌ステップにおいては、空間5内を中和し、壁部4などの腐食を防ぐことができる。
これらの他にも、本実施形態からは第1実施形態と同様の作用を得ることができる。
第2実施形態では、第1殺菌装置1の第1タンク10a、第2タンク10b、或いは第2殺菌装置2の第1タンク20a、第2タンク20bに電解水を予め保管する方法を用いたが、本出願人が提案した特願2014−191565号に添付された明細書に記載されたような3室型電解水製造装置を、これらタンクの代わりに取り付けて、電解水を電解製造しながら、それを噴霧しても良い。なお3室型電解水製造装置の詳細は特願2014−191565号を引用することにより詳細を省略し、ここにその内容全体を引用して本願の一部とする。
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。本実施形態は、第2殺菌装置2の構成、及び、第2殺菌ステップの流れにおいて、第1実施形態と相違する。第1実施形態、第2実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略することがある。
図12は、本実施形態に係る第2殺菌装置2の一構成例を概略的に示す図である。この図に示す第2殺菌装置2は、空間5から水分を回収する除湿装置30と、湿度センサ31と、をさらに備える点で、図4及び図10に示したものと相違する。
除湿装置30は、気化装置23とともに空間5に配置され、除湿器32と、この除湿器32に送風する除湿ファン33(第2ファン)と、を備えている。除湿ファン33との識別のために、本実施形態ではファン27を気化ファン27(第1ファン)と呼ぶ。
図12の例において、気化装置23及び除湿装置30は、筐体25を共用している。すなわち、筐体25の内部が仕切板34によって2つの空間に仕切られ、これらの一方の空間に気化器26及び気化ファン27が配置され、他方の空間に除湿器32及び除湿ファン33が配置されている。仕切板34には、これら2つの空間を連通する連通孔34aが設けられている。吸気口25aは除湿器32及び除湿ファン33が配置された空間と筐体25の外部とを連通し、排気口25bは気化器26及び気化ファン27が配置された空間と筐体25の外部とを連通している。図12の例において、除湿ファン33は、吸気口25aと除湿器32との間に配置されている。
除湿装置30には、例えば、除湿ファン33により送られる空気を除湿器32(凝縮器)にて冷却する冷却方式を適用し得る。この場合において、除湿装置30は、除湿器32に接続された循環配管と、この循環配管を流れる冷媒を圧縮するコンプレッサとを備え、除湿ファン33により送られる空気を除湿器32における冷媒との熱交換により冷却し、この空気に含まれる水蒸気を凝縮(冷媒は蒸発)させる。なお、除湿装置30には、吸気口25aから取り込まれる空気を等温圧縮してこの空気に含まれる水蒸気を凝縮させる圧縮方式や、除湿剤により吸着した水分をヒータの熱により蒸発させ、この水蒸気を冷却して凝縮させるデシカント方式などを適用することもできる。除湿器32における凝縮により生成された水分は、液滴となって筐体25内に落下し、例えば筐体25及び仕切板34により囲われた、除湿器32を収容する空間の下部に溜められる。
除湿装置30によって除湿された空気は連通孔34aを通って気化器26が配置された空間に至り、排気口25bから筐体25の外部に排気される。
湿度センサ31は、空間5の湿度を検出し、その検出値をコントローラ24に出力する。ここで検出される湿度は、例えば相対湿度である。コントローラ24は、ポンプ22及び気化ファン27に加えて、除湿ファン33を制御する。
除湿装置30による除湿(除湿ステップ)を実行するタイミングは、例えば、湿度センサ31によって検出される湿度が予め定められた飽和蒸気圧未満の閾値(第1閾値)に上昇したタイミングとすることができる。この閾値に湿度が達したことにより除湿を実行した後、気化装置23により次亜塩素酸水をさらに気化することで、空間5に放出された次亜塩素酸水の気化物質を入れ替えることができる。このような閾値は、例えば相対湿度が50%以上かつ100%(飽和蒸気圧)未満の範囲内で定められる。すなわち、この閾値を用いた制御によれば、湿度センサ31によって検出される相対湿度が50%以上かつ飽和蒸気圧である100%未満の範囲内となるように、除湿装置30による除湿及び気化装置23による電解水の気化が実行される。
さらに、青果物Pの十分な保湿作用を得るとともに空間5にて結露が生じることを防ぐために、上記の閾値は80%程度とすることが好ましい。また、湿度センサ31によって検出される相対湿度がこの80%程度の閾値となるように、除湿装置30による除湿及び気化装置23による電解水の気化が実行されても良い。
なお、除湿実行のタイミングは、例えば次亜塩素酸水の気化及び放出を開始してから予め定められた時間が経過したタイミングなど、湿度以外の要素によって定めることもできる。
除湿完了のタイミングは、例えば、湿度センサ31によって検出される湿度が予め定められた閾値(第2閾値)まで低下したタイミングとすることができる。このような閾値は、除湿実行のタイミングの判定にて使用する閾値よりも低い値に設定される。除湿完了のタイミングは、例えば除湿を開始してから予め定められた時間が経過したタイミングなど、湿度以外の要素によって定めることもできる。
なお、気化装置23による次亜塩素酸水の気化及び放出は、除湿装置30による除湿実行のタイミングに関わらず定常的に実行されても良いし、除湿装置30による除湿実行のタイミングと同じタイミングで実行されても良い。また、気化装置23による次亜塩素酸水の気化及び放出は、除湿装置30による除湿の非実行時に実行され、除湿の実行時に停止されても良い。
以上説明した本実施形態においても、第1実施形態と同様の作用を得ることができる。さらに、本実施形態の構成であれば、空間5の湿度をコントロールし、青果物Pの輸送や貯蔵により適した湿度環境を作り出すことができる。青果物Pの輸送等に際して、外気の寒暖差に起因した温度変化が空間5に生じたとしても、空間5の湿度を適切にコントロールすることで、空間5において青果物Pの表面や壁部4に発生し得る結露を抑制することができる。また、空間5に放出されて殺菌作用が薄れた気体を除湿装置30により回収し、フレッシュな気体を放出することで、空間5の殺菌能力を高めることができる。空間5の湿度が高ければ気化装置23において次亜塩素酸水が気化し難くなるが、空間5から水分を回収して湿度を下げることにより、気化装置23における次亜塩素酸水の気化を促進することができる。一般的に、次亜塩素酸は、有機物等と接触することにより、すぐに死活化する。そのため、常に新しい次亜塩素酸を殺菌対象物周辺に供給することが、次亜塩素酸を用いた殺菌管理としては極めて重要である。本実施形態によれば、空間5に放出された気体や水分(水分子)を除湿装置30により回収することにより、新たな気化された次亜塩素酸を供給することができる。また、上述のことは、空間5の湿度管理を行うことにより、容易に実現することができる。
なお、本明細書において、回収との用語には、除湿装置30により空間5から気体や水分(水分子)を取り除くことのみならず、空間5から気体や水分を排出することが含まれる。すなわち、壁部4に設けられた通気口や隙間などから空間5の気体や水分が排出される構成を採用しても良い。
発明者らは、本実施形態のように、気化した殺菌水を放出するとともに空間を除湿した場合の殺菌作用を実験により検証した。この実験では、購入したオクラを約1mのブース内に配置するとともにこのブース内に気化した次亜塩素酸水を所定時間に亘って噴霧した後、オクラの表面から菌を採取し、採取した菌を培地にて約1日に亘り37℃の環境下で培養した。この実験は、ブース内に除湿装置を配置して次亜塩素酸水の噴霧とともにブース内を除湿する場合と、除湿器を配置しない場合とについて行った。比較のために、購入直後のオクラの表面から菌を採取し、採取した菌を同様の手法で培養した。
図13は、上記の実験を4回(N1〜N4)に亘って実施し、菌が培養された培地を撮影した写真である。除湿を行わない場合(図中の「除湿無し」)の実験条件は、ブース内の室温が約12℃、湿度が100%、気化用の次亜塩素酸水の有効塩素濃度(ACC)が152ppm、実験時間が24時間である。一方、除湿を行う場合(図中の「除湿有り」)の実験条件は、ブース内の室温が約24℃、湿度が50〜80%、気化用の次亜塩素酸水の有効塩素濃度(ACC)が152ppm、実験時間が24時間である。除湿を行う場合のブース内の室温が高いのは、除湿装置が発生する熱に起因する。
各写真においては円形のシャーレの中に培地が配置されており、白味かかった部分が培養された菌に相当する。気化した次亜塩素酸水の噴霧を行わなかった場合(図中の「処理無し」)と、気化した次亜塩素酸水の噴霧を行った場合とを比較すると、除湿の有無にかかわらず、気化した次亜塩素酸水の噴霧を行った場合の方が培養された菌の量が少なかった。さらに、気化した次亜塩素酸水の噴霧を行う場合においては、除湿を行わない場合よりも除湿を行う場合の方が培養された菌の量が少なかった。除湿を行う場合の室温は24℃であり、除湿を行わない場合の12℃と比べて菌が繁殖し易い環境であるにもかかわらず、菌の培養が抑制されたことは注目に値する。
この実験から、第3実施形態のように第2殺菌装置2に除湿装置30を設け、空間5に気化した次亜塩素酸水を放出するとともに空間5を除湿することで、空間5の殺菌作用が向上することが判る。
殺菌の対象物により、第2殺菌装置2の駆動条件は異なる。気化した電解水を空間5に供給する条件に関しては、例えば短時間での殺菌が必要な場合は、単位時間あたりの供給量を増やす必要がある。一方で、例えばコンテナ輸送中や倉庫での貯蔵中に長時間に亘って殺菌する場合は、単位時間あたりの供給量は少なくて良い。
空間5の湿度に関しては、例えばいちご類など表面を濡らしたくない対象物を殺菌する場合は、60%以下の低湿度とすることが好ましい。また、保湿が必要な対象物を長期間保管する場合は80%〜95%の高湿度とすることが望ましい。
ここで、第1実施形態との比較により、本実施形態の利点を説明する。図14は、図4に示した第2殺菌装置2の気化器26が壁部4によって囲われた空間5に配置された様子を概略的に示す図である。図15は、図12に示した第2殺菌装置2の気化器26及び除湿器32が壁部4によって囲われた空間5に配置された様子を示す図である。ここでは、単位時間[min]あたりに気化器26から空間5に供給される電解水の量[μg]を供給量QA[μg/m・min]、単位時間[h]あたりに気化器26が気化する電解水の量[L]を気化量QB[L/h・m]、空間5の相対湿度を湿度RH1[%]と定義する。さらに、単位時間あたりに除湿器32が空間5から回収する水分量を回収量QC、気化器26に送風される雰囲気の相対湿度を湿度RH2と定義する。除湿器32が配置されていない図14の構成では、RH1≒RH2である。
図14に示す構成にて電解水の気化及び放出を継続した場合における湿度RH1及び供給量QAの時間変化の一例を、図16に示している。棒グラフが供給量QAを示し、折れ線グラフが湿度RH1を示す。横軸は、気化した電解水を連続して放出した時間T[min]である。時間Tに伴って湿度RH1が増加し、やがて100%に到達する。湿度RH1が100%に到達した状態では、結露が生じてしまう。また、湿度RH1が100%に到達した状態では、気化器26において電解水が気化されにくくなるため、供給量QAが大幅に低下する。途中、任意の湿度にて気化器26による気化を停止すると、空間5が密閉空間である場合には湿度が一定に保たれるが、空間5への電解水の供給も停止してしまう。このように、除湿器32を備えない構成では、空間5への気化した電解水の供給と、空間5の湿度の維持とを両立することが困難である。
一方で、図15に示す構成であれば、この問題を解決することが可能である。図17は、図15に示す構成にて電解水の気化及び放出を継続した場合における湿度RH1及び供給量QAの時間変化の一例を示している。任意の湿度において、気化器26による気化量QBと除湿器32による回収量QCとを同量にすることで、空間5への気化電解水の供給を止めることなく、空間5の湿度RH1を一定に保つことができる。さらに、気化量QB及び回収量QCの調整により、湿度RH1を任意の湿度にすることができる。なお、供給量QA(気化量QB)及び回収量QCの調整は、例えば、コントローラ24の制御の下で気化ファン27及び除湿ファン33の回転数を変化させることにより行われる。
また、図15に示す構成であれば、気化量QB及び回収量QCを同量のまま増加させることにより、湿度RH1を一定に維持したまま供給量QAを増やすことができる。図18は、湿度RH1を一定に維持して気化量QB(=回収量QC)を変化させたときの供給量QA(=気化電解水到達量)を示している。気化量QBと回収量QCとを同量増加させることで、線形に供給量QAが増加することが確認できる。
図19は、湿度RH1が80〜90%の高湿度下における湿度RH2及び供給量QAの関係を示すグラフである。プロットPAは図14に示した構成における測定結果であり、プロットPBは図15に示した構成における測定結果である。湿度RH2は、プロットPBでは30〜45%であり、プロットPAでは80〜90%である。供給量QAは、プロットPBがプロットPAの2倍以上となっている。これらプロットPA,PBは、図示したように直線で近似できることから、供給量QAと湿度RH2とは線形の関係にあり、湿度RH2が低いほど供給量QAが増加する。
このように、図15のように除湿器32で水分を回収した後の気体を気化器26に送る構成であれば、気化器26に送風される気体の湿度RH2が空間5の湿度RH1よりも低くなる。そして、図15の構成であれば、同じ送風量であっても図14のように除湿器32を備えない構成に比べて供給量QA及び気化量QBを増加させることができる。
なお、除湿装置30の除湿方式にコンプレッサ方式やデシカント方式が適用できることを上述したが、これらの方式を適用した場合にはコンプレッサやヒータを駆動するための電力が必要となる。そこで、駆動電源を確保する必要があるが、電力の供給が制限された環境下ではバッテリを用いるなどの対策が必要となる。バッテリを用いる場合には稼働時間が限られてしまうため、長時間の輸送などには不向きである。また、除湿装置30の稼働に伴う発熱により、空間5内の温度が意図した温度よりも上昇する可能性がある。
これらの問題に対処すべく、電力を要しない除湿剤にて除湿器32を構成し、空気が除湿器32を通過することでこの空気の水分が除湿剤に吸着されるようにしても良い。除湿剤としては、例えば、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ、活性炭などを用いることができる。除湿器32に用いる除湿剤の量を十分に多くすることで、長時間の輸送であっても除湿機能を保つことができる。また、加熱による温度上昇も無く、除湿装置30の構成も簡易化できる。
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。本実施形態は、第2殺菌装置2の構成において第1実施形態、第2実施形態、及び第3実施形態と相違する。上述した各実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略することがある。
図20は、本実施形態に係る第2殺菌装置2の一構成例を概略的に示す図である。この図に示す第2殺菌装置2は、除湿装置30の除湿器32が光触媒によって形成され、かつ除湿装置30が除湿器32に紫外線を照射する紫外線ランプ35(照射装置)を備える点で、図12に示したものと相違する。
除湿器32を形成する光触媒としては、例えば酸化チタンを用いることができる。紫外線ランプ35は、コントローラ24の制御により点灯及び消灯される。光触媒で形成された除湿器32は、紫外線ランプ35からの紫外線が照射されると、その酸化作用により、吸気口25aから取り込まれた空気に含まれるエチレンガス等の有機ガス(成長促進ガス)を分解する。
本実施形態に係る第2殺菌装置2を用いた殺菌処理は、例えば、図5のフローチャートに示すものと同様の手順とすることができる。コントローラ24は、例えば第2殺菌ステップの間、継続して紫外線ランプ35を点灯させる。或いは、コントローラ24は、例えば除湿装置30による除湿運転の実行時など、殺菌処理における所定のタイミングで紫外線ランプ35を点灯させても良い。
青果物Pはエチレンガスにより腐敗し、さらに腐敗した青果物Pがエチレンガスを発生する。本実施形態の構成であれば、このようなエチレンガスを光触媒によって形成された除湿器32により除去することができるので、青果物Pを一層新鮮に保つことができる。
その他、本実施形態によれば第3実施形態と同様の作用を得ることができる。
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。本実施形態は、気化装置23の構成において上述した各実施形態と相違する。各実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略することがある。
図21は、本実施形態に係る気化装置23の一構成例を概略的に示す図である。この図に示す気化装置23は、冷却フィン40を備える点で、図4、図10、図12、図20に示したものと相違する。
冷却フィン40は、例えば金属材料によって形成され、排気口25bの近傍に複数配置されている。排気口25bから放出された気体はこの冷却フィン40によって冷やされ、この気体に含まれる水蒸気が凝縮する。これにより生じた水分は、例えば液滴となって冷却フィン40に付着或いは落下する。気化装置23は、冷却フィン40から落下する水滴を受ける容器などを更に備えても良い。
本実施形態の構成であれば、冷却フィン40により排気口25bから空間5に放出される気体の水分を取り除き、青果物Pや青果物Pを収容した梱包容器3等の対象物の表面を濡らすことを防ぎ、また湿度を下げ、空間5の湿度の過度な上昇を防ぐことができる。
なお、図3及び図9に示した第1殺菌装置1に対して、本実施形態と同様の冷却フィン40を設けても良い。
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。本実施形態は、気化装置23の構成において上述した各実施形態と相違する。各実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略することがある。
図22は、本実施形態に係る気化装置23の一構成例を概略的に示す図である。この図に示す気化装置23は、気化器26に次亜塩素酸水を滴下するのではなく、筐体25内に溜められた次亜塩素酸水に気化器26を浸す点で、図4、図10、図12及び図20に示したものと相違する。
図22の例においては、配管21が筐体25の底壁(重力方向下側の壁部)に接続され、この配管21を介して供給される次亜塩素酸水が筐体25の下方に溜まっている。気化器26は、その一部が筐体25内に溜まった次亜塩素酸水に浸されている。ハニカム構造などの微細構造を有する気化器26は、筐体25内の次亜塩素酸水を毛細管現象により吸い上げる。このように吸い上げられた次亜塩素酸水は、気化器26の微差構造により広い面積で空気と接して効率よく気化する。
本実施形態の構成であっても、他の実施形態と同様の作用を得ることができる。本実施形態にて開示した構成は、第1殺菌装置1の噴霧装置13にも適用することができる。
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。本実施形態は、気化装置23の構成において上述した各実施形態と相違する。各実施形態と同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略することがある。
図23は、本実施形態に係る気化装置23の一構成例を概略的に示す図である。この図に示す気化装置23は、ファン27が気化器26と吸気口25a(或いは、仕切板34の連通孔34a)との間に配置されている点で、図4、図10、図12及び図20に示したものと相違する。
このような配置とした場合には、ファン27が送る風が気化器26に直接当たるので、気化器26への強い送風が必要な場合に有効である。さらに、ファン27が気化器26と排気口25bとの間に位置する場合には、気化器26にて気化された気体や飛翔する次亜塩素酸水にファン27が晒されるため、ファン27が腐食し易い。一方で、本実施形態の配置であれば、ファン27が気化器26にて気化された気体や飛翔する次亜塩素酸水に晒されにくく、ファン27の腐食を抑制することができる。本実施形態にて開示した構成は、第1殺菌装置1の噴霧装置13にも適用することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、各実施形態にて開示した第2殺菌ステップは、梱包容器3に収容された青果物Pの輸送中だけでなく、その着荷後において貯蔵されている際に実行されても良い。
また、各実施形態にて開示した第1殺菌ステップ及び第2殺菌ステップは、他の工程と適宜に組み合わせることができる。例えば、殺菌対象の生鮮食品が根菜類のように水洗いが可能なものである場合、第1殺菌ステップに代えて、或いは第1殺菌ステップとともに、水洗いの工程を加えても良い。
第2実施形態においては、1つの気化器16,26により次亜塩素酸水とアルカリ性水の双方を時分割で気化する例を示した。しかしながら、第1殺菌装置1及び第2殺菌装置2のそれぞれにおいて、次亜塩素酸水用の気化器とアルカリ性水用の気化器を別個に設けても良い。
第3実施形態においては、気化装置23及び除湿装置30が1つの筐体25を共用する例を示した。しかしながら、気化装置23及び除湿装置30は筐体が分離された別個の装置であっても良い。
各実施形態にて開示した第2殺菌装置2は、空間5の温度をコントロールする空気調和機の機能をさらに備えても良い。この場合においては、空間5に配置される生鮮食品に適した温度環境を作り出し、一層好適に生鮮食品を輸送或いは貯蔵することができる。
各実施形態にて開示した構成は、適宜に組み合わせることができる。例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせ、空間5内を中和する機能と空間5内を除湿する機能とを備えた殺菌装置を実現しても良いし、さらに第4実施形態を組み合わせて空間5内の有機ガスを分解する機能を備えた殺菌装置を実現しても良い。
P…青果物、L1…殺菌場所、L2…輸送手段、1…第1殺菌装置、2…第2殺菌装置、3…梱包容器、4…壁部、5…空間、10,20…タンク、11,21…配管、12,22…ポンプ、13…噴霧装置、14,24…コントローラ、16,26…気化器、17,27…ファン、23…気化装置。

Claims (21)

  1. 育成場所で収穫された青果物の流通過程において、前記青果物を所定の空間内で保管する保管方法であって、
    前記空間内から回収した気体を除湿する除湿器と、次亜塩素酸水を自然気化する気化器とを収容する筐体から放出された次亜塩素酸気化物質により前記青果物を殺菌し、
    前記空間内に存在し、殺菌により失活した次亜塩素酸気化物質を含む気体を、前記筐体内に回収し、
    回収した気体を前記除湿器により除湿して、前記空間内の湿度よりも低い湿度の気体を生成し、
    生成した湿度の低い気体を前記気化器に当てて前記筐体内に補充された次亜塩素酸水を自然気化し、
    自然気化した次亜塩素酸気化物質を前記筐体から前記空間内に放出することにより、前記回収した気体に含まれる失活した次亜塩素酸気化物質とは異なる新たな次亜塩素酸気化物質を前記空間内に供給して、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲に保って前記青果物に対する殺菌作用を維持する、
    ことを特徴とする保管方法。
  2. 前記空間は、密閉性を有しており、
    前記空間内の気体を、前記筐体内の前記除湿器及び前記気化器を順に経て、再び前記筐体の外の前記空間内に至る経路で循環させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の保管方法。
  3. 前記気化器は、次亜塩素酸水を吸水するフィルタであり、
    次亜塩素酸水の自然気化は、前記除湿器により除湿された気体を前記フィルタに当てることにより行われる、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の保管方法。
  4. 前記除湿器により回収された水分を、前記空間内から排出する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の保管方法。
  5. 前記気化器による単位時間あたりの次亜塩素酸水の気化量と、前記除湿器による単位時間あたりの水分の回収量とを同量にすることで、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲で一定に維持する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の保管方法。
  6. 前記気化器による単位時間あたりの次亜塩素酸水の気化量と、前記除湿器による単位時間あたりの水分の回収量とを同量にして、これら気化量および回収量を増加させることにより、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲で一定に維持したまま、前記空間内への単位時間あたりの次亜塩素酸水の供給量を増やす、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の保管方法。
  7. 前記気化器による単位時間あたりの次亜塩素酸水の気化量と、前記除湿器による単位時間あたりの水分の回収量との調整により、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲で任意の湿度に設定する、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の保管方法。
  8. 前記空間内の湿度を50〜80%とし、有効塩素濃度が76ppm以上の次亜塩素酸水を前記気化器により自然気化する場合において、前記空間内への次亜塩素酸気化物質の供給開始から少なくとも6時間が経過するまでの間、前記空間内の殺菌作用が維持される、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の保管方法。
  9. 育成場所で収穫された青果物の流通過程において、空間内に配置された前記青果物を殺菌するための殺菌装置であって、
    除湿器と、気化器と、前記除湿器および前記気化器を収容する筐体と、を備え、
    殺菌により失活した次亜塩素酸気化物質を含む気体を、前記空間内から前記筐体内に回収し、
    回収した気体を前記除湿器により除湿して、前記空間内の湿度よりも低い湿度の気体を生成し、
    生成した湿度の低い気体を前記気化器に当てて前記筐体内に補充された次亜塩素酸水を自然気化し、
    自然気化した次亜塩素酸気化物質を前記筐体から前記空間に放出することにより、前記回収した気体に含まれる失活した次亜塩素酸気化物質とは異なる新たな次亜塩素酸気化物質を前記空間内に供給して、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲に保って前記青果物に対する殺菌作用を維持する、
    ことを特徴とする殺菌装置。
  10. 前記空間は、密閉性を有しており、
    前記空間内の気体を、前記筐体内の前記除湿器及び前記気化器を順に経て、再び前記筐体の外の前記空間内に至る経路で循環させる、
    ことを特徴とする請求項9に記載の殺菌装置。
  11. 前記気化器は、次亜塩素酸水を吸水するフィルタであり、
    次亜塩素酸水の自然気化は、前記除湿器により除湿された気体を前記フィルタに当てることにより行われる、
    ことを特徴とする請求項9又は10に記載の殺菌装置。
  12. 前記除湿器により回収された水分を、前記空間内から排出する、
    ことを特徴とする請求項9乃至11のうちいずれか1項に記載の殺菌装置。
  13. 前記気化器による単位時間あたりの次亜塩素酸水の気化量と、前記除湿器による単位時間あたりの水分の回収量とを同量にすることで、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲で一定に維持する制御手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項9乃至11のうちいずれか1項に記載の殺菌装置。
  14. 前記気化器による単位時間あたりの次亜塩素酸水の気化量と、前記除湿器による単位時間あたりの水分の回収量とを同量にして、これら気化量および回収量を増加させることにより、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲で一定に維持したまま、前記空間内への単位時間あたりの次亜塩素酸水の供給量を増やす制御手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項9乃至11のうちいずれか1項に記載の殺菌装置。
  15. 前記気化器による単位時間あたりの次亜塩素酸水の気化量と、前記除湿器による単位時間あたりの水分の回収量との調整により、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲で任意の湿度に設定する制御手段をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項9乃至11のうちいずれか1項に記載の殺菌装置。
  16. 育成場所で収穫された青果物の流通過程において、前記青果物を所定の空間内で保管する保管方法であって、
    前記空間内から回収した気体を除湿する除湿器と、次亜塩素酸水を気化する気化器とを収容する筐体から放出された次亜塩素酸気化物質により前記青果物を殺菌し、
    前記空間内に存在し、殺菌により失活した次亜塩素酸気化物質を含む気体を、前記筐体内に回収し、
    回収した気体を前記除湿器により除湿して、前記空間内の湿度よりも低い湿度の気体を生成し、
    生成した湿度の低い気体を前記気化器に送って前記筐体内に補充された次亜塩素酸水を気化し、
    気化した次亜塩素酸気化物質を前記筐体から前記空間内に放出することにより、前記回収した気体に含まれる失活した次亜塩素酸気化物質とは異なる新たな次亜塩素酸気化物質を前記空間内に供給して、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲に保って前記青果物に対する殺菌作用を維持し、
    さらに、前記気化器による単位時間あたりの次亜塩素酸水の気化量と、前記除湿器による単位時間あたりの水分の回収量とを同量にすることで、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲で一定に維持する、
    ことを特徴とする保管方法。
  17. 前記気化器による単位時間あたりの次亜塩素酸水の気化量と、前記除湿器による単位時間あたりの水分の回収量とを同量にして、これら気化量および回収量を増加させることにより、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲で一定に維持したまま、前記空間内への単位時間あたりの次亜塩素酸水の供給量を増やす、
    ことを特徴とする請求項16に記載の保管方法。
  18. 育成場所で収穫された青果物の流通過程において、前記青果物を所定の空間内で保管する保管方法であって、
    前記空間内から回収した気体を除湿する除湿器と、次亜塩素酸水を気化する気化器とを収容する筐体から放出された次亜塩素酸気化物質により前記青果物を殺菌し、
    前記空間内に存在し、殺菌により失活した次亜塩素酸気化物質を含む気体を、前記筐体内に回収し、
    回収した気体を前記除湿器により除湿して、前記空間内の湿度よりも低い湿度の気体を生成し、
    生成した湿度の低い気体を前記気化器に送って前記筐体内に補充された次亜塩素酸水を気化し、
    気化した次亜塩素酸気化物質を前記筐体から前記空間内に放出することにより、前記回収した気体に含まれる失活した次亜塩素酸気化物質とは異なる新たな次亜塩素酸気化物質を前記空間内に供給して、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲に保って前記青果物に対する殺菌作用を維持し、
    さらに、前記気化器による単位時間あたりの次亜塩素酸水の気化量と、前記除湿器による単位時間あたりの水分の回収量との調整により、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲で任意の湿度に設定する、
    ことを特徴とする保管方法。
  19. 育成場所で収穫された青果物の流通過程において、空間内に配置された前記青果物を殺菌するための殺菌装置であって、
    除湿器と、気化器と、前記除湿器および前記気化器を収容する筐体と、制御手段と、を備え、
    殺菌により失活した次亜塩素酸気化物質を含む気体を、前記空間内から前記筐体内に回収し、
    回収した気体を前記除湿器により除湿して、前記空間内の湿度よりも低い湿度の気体を生成し、
    生成した湿度の低い気体を前記気化器に送って前記筐体内に補充された次亜塩素酸水を気化し、
    気化した次亜塩素酸気化物質を前記筐体から前記空間に放出することにより、前記回収した気体に含まれる失活した次亜塩素酸気化物質とは異なる新たな次亜塩素酸気化物質を前記空間内に供給して、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲に保って前記青果物に対する殺菌作用を維持し、
    さらに、前記制御手段は、前記気化器による単位時間あたりの次亜塩素酸水の気化量と、前記除湿器による単位時間あたりの水分の回収量とを同量にすることで、50〜80%の範囲で前記空間内の湿度を一定に維持する、
    ことを特徴とする殺菌装置。
  20. 前記制御手段は、前記気化器による単位時間あたりの次亜塩素酸水の気化量と、前記除湿器による単位時間あたりの水分の回収量とを同量にして、これら気化量および回収量を増加させることにより、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲で一定に維持したまま、前記空間内への単位時間あたりの次亜塩素酸水の供給量を増やす、
    ことを特徴とする請求項19に記載の殺菌装置。
  21. 育成場所で収穫された青果物の流通過程において、空間内に配置された前記青果物を殺菌するための殺菌装置であって、
    除湿器と、気化器と、前記除湿器および前記気化器を収容する筐体と、制御手段と、を備え、
    殺菌により失活した次亜塩素酸気化物質を含む気体を、前記空間内から前記筐体内に回収し、
    回収した気体を前記除湿器により除湿して、前記空間内の湿度よりも低い湿度の気体を生成し、
    生成した湿度の低い気体を前記気化器に送って前記筐体内に補充された次亜塩素酸水を気化し、
    気化した次亜塩素酸気化物質を前記筐体から前記空間に放出することにより、前記回収した気体に含まれる失活した次亜塩素酸気化物質とは異なる新たな次亜塩素酸気化物質を前記空間内に供給して、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲に保って前記青果物に対する殺菌作用を維持し、
    さらに、前記制御手段は、前記気化器による単位時間あたりの次亜塩素酸水の気化量と、前記除湿器による単位時間あたりの水分の回収量との調整により、前記空間内の湿度を50〜80%の範囲で任意の湿度に設定する、
    ことを特徴とする殺菌装置。
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