JP2010022474A - 空気清浄機能を有する電気機器 - Google Patents

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大輔 鈴木
Masahiro Izeki
正博 井関
Keiko Kurokawa
圭子 黒河
Mineo Ikematsu
峰男 池松
Hiroyuki Umezawa
浩之 梅沢
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Abstract

【課題】水の補給をすることなく、副生成物を発生することなく、活性酸素種を含んだ水を生成することができる小型でかつ低コストの空気清浄機能を有する電気機器の提供。
【解決手段】風路2の上流側より、空気を取り込む吸気口3と、取り込んだ空気を電解水4と気液接触させて浄化する気液接触部5と、気液接触後の空気に含まれる水分を回収するための水回収部6と、水分回収後の空気を排出する吹出口7とを順次配置するとともに、気液接触部5を浸漬するとともに水回収部6にて回収した水を貯留するための貯水部8と、貯水部8中に貯留した水を電気分解して活性酸素種を含む電解水4を生成させる電解部9とを備えたことを特徴とする電気機器1により課題を解決できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気清浄機、空気調和機(エアコン)、加湿器、冷蔵庫などの各種電気機器に関し、さらに詳しくは、空気清浄機能を有する電気機器に関するものである。
酸素の同位体であるオゾン(O3 )は、強い殺菌力、脱臭力、酸化力、漂白力などを持つことが知られており、そうした特性を利用して、近年、冷蔵庫内の殺菌や脱臭にオゾンガスを利用したものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。また、オゾンが水に溶解したオゾン水は、工場、病院などに設置される殺菌装置、あるいは半導体ウエハの洗浄装置などに利用されている。
オゾンを生成する方法としては様々な方法が知られているが、最も広く利用されているのはコロナ放電や無声放電を利用したものであり、特許文献1に記載の冷蔵庫でもそうした放電式のオゾン発生器は使用されている。また、オゾン水を利用する場合でも、前記のようなオゾン発生器で発生させたオゾンガスを、バブリング法やエジェクタ法などにより水に溶解させてオゾン水を生成するのが一般的である。
例えば特許文献2に記載の装置は風呂水の循環濾過装置にオゾンを利用したものであるが、オゾン発生器により発生させたオゾンガスと風呂水とをポンプ内で攪拌することで風呂水へのオゾンの溶解を促進させるようにしている。
しかしながら、放電式のオゾン発生器は湿度などの影響を受けてオゾンの発生量が不安定であることや、窒素酸化物などの不所望の副生成物が発生するなどの問題がある。またオゾン水を生成するためにオゾンガスを水に溶解させる方法では、装置が大掛かりになり易く、サイズやコストの点から一般家庭用の電気機器には採用しにくいという問題がある。
さらにまた、オゾンは人体に悪影響を及ぼすため、例えば工場用や病院用などの特殊な用途を除けば、上述したような強い殺菌力や脱臭力を活かすことが難しかった。
これらの問題に鑑みて、オゾン水生成装置を搭載してドレンパンのスライムの発生を抑えるようにした空気調和機(特許文献3)や、オゾン水生成装置で生成したオゾン水と外部空気を気液接触させて有害物質を除去するようにした床置き式空気除菌装置(特許文献4)や、空気を取り込んで温度、湿度などを調整し、オゾン水生成手段により生成されたオゾン水を微細化又は気化して空気中に放出して有害物質を除去して排出するようにした電気機器(特許文献5)などが提案されている。
特開2001−91146号公報 特開平7−214080号公報 特開2007−64534号公報 特開2007−175313号公報 特開2007−101023号公報
前記特許文献3や特許文献4においては、オゾン水を利用して有害物質を除去するようにしているが、オゾン水が空気とともに排出されるので新たな水を絶えずオゾン水生成装置に補給して電気分解してオゾン水を生成しなければならず、水の消費量が大で、手間がかかり、コストアップになる問題があった。
前記特許文献5においては、生成されたオゾン水を微細化又は気化して空気中に放出して有害物質を除去するので、水を微細化又は気化するための装置や水放出手段などが必要になり、コストアップになる問題がある上、オゾン水が消費されるので、絶えず新たにオゾン水を生成しなければならず水の消費量が大で、2重にコストアップになるという問題があった。
本発明は上述した問題を解決して成されたものであり、その主たる目的とするところは、水の補給をすることなく、副生成物を発生することなく、オゾン水などの活性酸素種を含む電解水を生成することができる小型でかつ低コストの空気清浄機能を有する電気機器を提供することにある。
本発明の請求項1記載の電気機器は、風路の上流側より、空気を取り込む吸気口と、取り込んだ空気を電解水と気液接触させて浄化する気液接触部と、気液接触後の空気に含まれる水分を回収するための水回収部と、水分回収後の空気を排出する吹出口とを順次配置するとともに、
前記気液接触部を浸漬するとともに前記水回収部にて回収した水を貯留するための貯水部と、前記貯水部中に貯留した水を電気分解して活性酸素種を含む前記電解水を生成させる電解部とを備えたことを特徴とする。
本発明の請求項2記載の電気機器は、請求項1記載の電気機器において、
前記水回収部が、気液接触後の空気に含まれる水分を吸着する吸湿材と、前記吸湿材に吸着した水分を加熱して放出する放出部と、放出した水分を前記気液接触後の空気により冷却凝縮して回収する冷却部とを備え、冷却凝縮して回収した水を前記貯水部に貯留するように構成したことを特徴とする。
本発明の請求項3記載の電気機器は、請求項1あるいは請求項2記載の電気機器において、
前記貯水部に貯留する水の水位を所定の範囲に制御して維持するための制御部を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項4記載の電気機器は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電気機器において、
前記吹出口から排出する空気中に含まれる活性酸素種を除去するための活性酸素種除去手段を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項5記載の電気機器は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の電気機器において、
前記水回収部がペルチェ素子を利用した水回収部であって、ペルチェ素子の吸熱部に、気液接触後の空気を接触させて空気中に含まれる水分を凝縮させて回収し、必要に応じて水分を回収した後の空気を前記ペルチェ素子の発熱部に接触させて温調して排出するように構成したことを特徴とする。
本発明の請求項1記載の電気機器は、風路の上流側より、空気を取り込む吸気口と、取り込んだ空気を電解水と気液接触させて浄化する気液接触部と、気液接触後の空気に含まれる水分を回収するための水回収部と、水分回収後の空気を排出する吹出口とを順次配置するとともに、
前記気液接触部を浸漬するとともに前記水回収部にて回収した水を貯留するための貯水部と、前記貯水部中に貯留した水を電気分解して活性酸素種を含む前記電解水を生成させる電解部とを備えたことを特徴とするものであり、
前記吸気口から取り込んだ空気に含まれる水分を水回収部(例えば、吸湿材方式、ペルチェ素子を用いた電子式、冷凍サイクルを利用した冷凍回路方式などを用いた水回収部)で回収した水を貯水部に貯留し、貯水部中で貯留した水を電気分解してオゾンなどの活性酸素種を含む電解水を生成させ、取り込んだ前記空気を前記気液接触部で前記電解水と気液接触させて浄化して排出するように構成したので、水の補給をすることなく、副生成物を発生することなく、空気を清浄にでき、小型でかつ低コストであり、安定して長期間にわたり使用できるという顕著な効果を奏するとともに、例えば、取り込んだ空気を気液接触させて湿度を上げることになるので、前記吸気口から取り込んだ空気に含まれる水分が少なく湿度が低い場合でも水の回収率が高くなり、また前記空気を前記気液接触部で前記電解水と気液接触させると水分が蒸発してその気化熱により空気が冷却されるので、冷却された空気を前記水回収部における水回収に利用するとさらに水の回収率が高くなるという顕著な効果を奏する。
本発明の請求項2記載の電気機器は、請求項1記載の電気機器において、
前記水回収部が、気液接触後の空気に含まれる水分を吸着する吸湿材と、前記吸湿材に吸着した水分を加熱して放出する放出部と、放出した水分を前記気液接触後の空気により冷却凝縮して回収する冷却部とを備え、冷却凝縮して回収した水を前記貯水部に貯留するように構成したことを特徴とするものであり、
水分を十分に吸着した吸湿材を再生して、再使用するには、まず例えばモータで駆動して吸湿材を回転させて放出部へ移送し、ヒーターなどの加熱手段で吸湿材を加熱して水分を空気中に放出させ、この水分を含む空気を冷却部で冷却して冷却凝縮して水を回収し、回収した水を前記貯水部に貯留するように構成したので、取り込んだ空気に含まれる水分を効率良く回収でき、水の補給をすることなく、空気を清浄にできる上、前記吸湿材で水を吸着する際に発生する吸着熱で加温された空気を前記冷却部で冷却できるので、排出する空気の温度上昇による不快感を低減緩和できる、というさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項3記載の電気機器は、請求項1あるいは請求項2記載の電気機器において、
前記貯水部に貯留する水の水位を所定の範囲に制御して維持するための制御部を備えたことを特徴とするものであり、
水位の状況に応じて、吸湿材を回転させるロータ回転数、ヒータへの入力、水回収量などを制御して前記気液接触部において安定した確実な空気浄化効果を発揮できるというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項4記載の電気機器は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の電気機器において、
前記吹出口から排出する空気中に含まれる活性酸素種を除去するための活性酸素種除去手段を備えたことを特徴とするものであり、
排出される空気中にセンサーにより所定濃度以上のオゾンなどの活性酸素種が含まれていることが検知された場合には、制御装置から信号をだして活性酸素種除去手段を作動させてオゾンなどの活性酸素種を安全なレベルまで除去したりあるいは完全に除去するなどして、安全性を向上できるというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項5記載の電気機器は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の電気機器において、
前記水回収部がペルチェ素子を利用した水回収部であって、ペルチェ素子の吸熱部に、気液接触後の空気を接触させて空気中に含まれる水分を凝縮させて回収し、必要に応じて水分を回収した後の空気を前記ペルチェ素子の発熱部に接触させて温調して排出するように構成したことを特徴とするものであり、
ペルチェ素子に電力を供給するとペルチェ素子の一端は吸熱部に、他端は発熱部となるのを利用し、吸熱部に空気を接触させて空気中に含まれる水分を凝縮させて回収し、必要に応じて水分を回収した後の空気を前記ペルチェ素子の発熱部に接触させて温調して排出するようにすれば、よりエネルギ一効率を向上することができ、小型でかつより低コスト化を達成できるというさらなる顕著な効果を奏する。
以下に、本発明の電気機器の実施の形態を図面を参照して説明する。
(本発明の電気機器の第1の実施の形態)
図1は、本発明の電気機器の一実施の形態を説明する説明図である。
図1に示すように本発明の電気機器1は、風路2の上流側より、汚れた空気を白矢印の方向に取り込む吸気口3と、取り込んだ空気を電解水4と気液接触させて浄化する気液接触部5と、気液接触後の空気に含まれる水分を回収するための水回収部6と、水分を回収し浄化した空気を排出する吹出口7とを順次配置して備えている。
また本発明の電気機器1は、回収した水を貯留するための貯水部8と、前記貯水部8中に貯留した水を電気分解して活性酸素種を含む前記電解水4を生成させる電解部9を備えている。
電解部9は水を電気分解して電解水4を生成するため貯水部8の水中に活性酸素種発生用電極10が設置されている。
また、貯水部8に貯留する水の水位を所定の上限値〜下限値の範囲H内に制御して維持するために、貯水部8中の電解水4中に水位センサ11が設置されている。
前記上限値は、それを超えると溢れてオーバーフローする恐れのある高さであり、一方、前記下限値は、それ未満では電極10が水中に十分浸漬されず電気分解ができなくなって電気分解に支障を来したり、気液接触部5での十分な気液接触ができなくなって空気の浄化が不完全になるなどの恐れのある高さである。
12は制御部であり、水位センサ11からの信号を受けて、それに応じて後述する吸湿材13を回転させるロータ17の回転数、気液接触部5の回転数、電極10への通電、ヒータ20への入力、水回収量などを制御して前記気液接触部5において安定した確実な空気浄化効果を発揮できるようにしている。
次に水回収部6について説明する。
水回収部6は、吸湿材13で吸湿した水分を放出部14で放出させ、冷却部15で、放出された水分を含む空気を冷却して凝縮して空気中の水分を回収した後、空気を黒矢印でしめした方向に循環させる空気循環風路16を備えている。21は空気移送のためのファンである。
すなわち水回収部6は、気液接触部5において気液接触させた空気を風路2を経て白矢印の方向に移送して、この空気中の水分を吸着するために風路2の適切な位置に回転可能に装着された吸湿材13と、吸湿材13を再生するために、吸湿材13を放出部14の位置まで回転させて吸湿材13に吸着した水分を加熱して放出させる放出部14を備えている。
空気循環風路16の冷却部15は、気液接触部5で電解水4と気液接触させて水分が蒸発してその気化熱により冷却された空気により空気循環風路16の外側から冷却して、放出部14で放出された水分を含む空気を冷却して空気中の水分を凝縮させるように構成されている。
凝縮された水は空気循環風路16の内壁に沿って下方に流下し、空気循環風路16の所定箇所に連結して一端が貯水部8に装入されて設置された連結路23を経て貯水部8に送られるように構成されている。貯留された水は貯水部8中で電気分解して活性酸素種を含む前記電解水4を生成する。
冷却部15での冷却には、前記気液接触部5で電解水4と気液接触させて水分が蒸発してその気化熱により冷却された空気により空気循環風路16の外側から冷却する方式以外に、例えば、ペルチェ素子を用いた電子式、冷凍サイクルを利用した冷凍回路方式などを併用したり、これらの少なくとも1つの方式を用いたりすることもできる。
吸湿材13と放出部14はロータ17の所定の位置に配置されており、モータ18で駆動して回転軸19の廻りに回転できるようになっている。
水分を吸着した吸湿材13を図1に示した放出部14に移動する時は、モータ18を作動して回転軸19の廻りにロータ17を回転させて、吸湿材13を放出部14に移動させる。放出部14に移動した吸湿材13はヒータ20で加熱されて水分を放出し再生される。再生された吸湿材13は再び、モータ18を作動して回転軸19の廻りにロータ17を回転させて図1に示した所定の位置に移動させて再使用できる。
21は空気移送のためのファンである。22はそれぞれの装置を所定の位置に一体的に収容する函体である。
本発明で用いる吸湿材は空気中に含まれた水分を吸着でき、そして加熱などにより再生できるものであればよく、特に限定されるものではない。本発明で用いる吸湿材としては、具体的には、例えばゼオライトを例示できる。市販品を使用することもできる。
ここで、活性酸素種とは、通常の酸素よりも高い酸化活性を持つ酸素と、その関連物質のことであり、スーパ一オキシドアニオン、一重項酸素、ヒドロキシルラジカル、あるいは過酸化水素といった、いわゆる狭義の活性酸素に、オゾン、次ハロゲン酸などといった、いわゆる広義の活性酸素を含めたものとする。
(水の電気分解する例について説明する)
本発明の電気機器1は、例えば居室内や閉鎖空間などの外部空間内の空気を吸気口3から取り込み、取り込んだ前記空気を気液接触部5で前記電解水4と気液接触させて浄化し、浄化した空気に含まれる水分を水回収部6で回収し、回収した水は貯水部8中で電気分解してオゾンなどの活性酸素種を含む電解水4を生成させ、そして吹出口7から排出するように構成されている。
活性酸素種発生電極がオゾン電極の場合、貯水部8の水中に所定以上の、つまり電極10(例えば白金カソ一ド)、電極10(例えば金属酸化物アノード)が浸漬する程度以上の水が溜まった状態で、制御部12からの信号により図示しない電源部が電極10、10に通電を行う。すると、水の電気分解が始まり下記式(1)の反応によりオゾンが生成し、生成したオゾンが水に溶解した電解水(オゾン水)4が貯水部8内に生成される。
3H2 O→O3 +6H+ +6e- (式1)
気液接触部5は、例えば、所定の間隙をおいて貯水部8内のオゾン水4に少なくとも一部が浸漬されて配設された複数の円盤を備えた気液接触部材(所謂、ディスク型)を備えている。複数の円盤は図示しない駆動手段により図示しない回転軸を中心に一体的に回転されている。複数の円盤が回転されると、複数の各円盤はオゾン水4を汲み上げて複数の円盤の表面がオゾン水4で濡れた状態となる。このような気液接触部5の気液接触部材は、公知であり、本発明においては公知のもの(例えば、三菱「ラクリアミストSV−DK807」で使用されている気液接触部材)を使用することができる。
そして気液接触部5に吸気口3から取り込んだ空気を供給すると、空気はオゾン水4で濡れた複数の円盤の間隙に入り込み、電解水4と気液接触する。空気とオゾン水4とが気液接触することにより空気の除菌(殺菌)、消臭(脱臭)、浮遊物質の除去や有害物質の除去が行われ空気を浄化することができる。そして、気液接触部5から浄化した空気を矢印で示した方向に移送する。
本発明の電気機器1では、空気中から凝縮回収した水をオゾン水の生成に利用しているので、例えば、使用者が水を供給する必要がなく、給水の装置が不要であり、手間が掛からない。
気液接触部5の気液接触部材は、上記の構成の気液接触部材に限定されるものではなく、例えば電解水による劣化が少ない素材、例えば、ポリオレフィン樹脂系、PET樹脂系、塩化ビニル樹脂系、フッ素樹脂系またはセラミックス樹脂系などの素材で作成されたポーラス構造(例えば、連通した多細孔を有する多孔質構造)を有する気液接触部材であって、気体接触面積が広く確保され、電解水で表面を濡らすことができ、目詰まりしにくい構造になっており、外部空間から取り込んだ空気と気液接触させて空気を浄化できるものであれば使用することができる。
(水道水を追加供給して電気分解を行う例について説明する)
本発明においては、水道水を貯水部8内に追加供給して電気分解を行うことができる。
貯水部8内に図示しない水道水供給手段を経て水道水を追加供給して、この貯水部8に所定以上の、つまり電極10、10が浸漬する程度以上の水が溜まった状態で制御部12からの信号により図示しない電源部は電極10、10に通電を行う。すると、水の電気分解により下記式(2)〜(5)の反応により活性酸素種が生成し、生成した活性酸素種が水に溶解した電解水4が貯水部8内に生成される。
活性酸素種発生電極が次亜塩素酸発生電極の場合、電極10、10は、例えばベースがTi(チタン)で皮膜層がIr(イリジウム)、Pt(白金)から構成された電極板であり、この電極に印加する電流値は、電流密度で数mA〜数十mA(ミリアンペア)/cm2(平方センチメートル)として、所定の遊離残留塩素濃度(例えば1mg(ミリグラム)/l(リットル))を発生させる。
カソードでは、
4H++4e-+(4OH-)→2H2+(4OH-) (式2)
の反応が起こり、アノードでは、
2H2O→4H++O2+4e- (式3)
の反応が起こると同時に、
水に含まれる塩素イオン(水道水に予め添加されているもの)が、
2Cl-→Cl2+2e- (式4)
のように反応し、さらにこのCl2は水と反応し、
Cl2+H2O→HClO+HCl (式5)
となる。
この構成では、電極10、10に通電することで、殺菌力の大きいHClO(次亜塩素酸)が発生し、生成したHClO(次亜塩素酸)が水に溶解した電解水4に浸漬された気液接触部5に吸気口3から取り込んだ空気を供給することにより、雑菌が繁殖することを防止でき、気液接触部5を通過する空気中に浮遊するウィルスやアレルゲンなどを不活化することができる。また、臭気も気液接触部5を通過する際に、電解水4中の次亜塩素酸と反応し、イオン化して溶解することで、空気中から除去され、脱臭される。
凝縮回収した水を電気分解する例および水道水を追加供給して電気分解を行う例について説明したが、本発明においては、両者を単独で使用することもできるが、両者を組合わせて使用することもできる。両者を組合わせて使用すると雑菌の繁殖の防止やウィルスやアレルゲンなどの不活化や脱臭の効果が増大する。
(本発明の電気機器の第2の実施の形態)
図2はペルチェ素子を利用した水回収部を備えた本発明の他の電気機器1Aの説明図である。
図2に示すように本発明の電気機器1Aは、風路2の上流側より、汚れた空気を矢印の方向に取り込む吸気口3と、取り込んだ空気を電解水4と気液接触させて浄化する気液接触部5と、気液接触させた空気に含まれる水分を回収するためのペルチェ素子30からなる水回収部6と、水分を回収し浄化した空気を排出する吹出口7とを順次配置して備えている。
また本発明の電気機器1Aは、回収した水を貯留するための貯水部8と、前記貯水部8中に貯留した水を電気分解して活性酸素種を含む前記電解水4を生成させる電解部9を備えている。
貯水部8中の水中に設置された電解部9は水を電気分解して電解水4を生成するための活性酸素種発生用電極10を備えている。
また、貯水部8に貯留する水の水位を所定の上限値〜下限値の範囲H内に制御して維持するために貯水部8中の電解水4中には水位センサ11が設置されている。
前記上限値は、それを超えると溢れてオーバーフローする恐れのある高さであり、一方、前記下限値は、それ未満では電極10が水中に十分浸漬されず電気分解ができなくなって電気分解に支障を来したり、気液接触部5での十分な気液接触ができなくなって空気の浄化が不完全になるなどの恐れのある高さである。
12は制御部であり、水位センサ11からの信号を受けて、それに応じて気液接触部5の回転数、電極10への通電、ペルチェ素子30への通電、水回収量などを制御して前記気液接触部5において安定した確実な空気浄化効果を発揮できるようにしている。
次に水回収部6について説明する。
水回収部6はペルチェ素子30から構成されており、気液接触部5において気液接触させた空気を風路2を経て白矢印の方向に移送してペルチェ素子30の吸熱部31に連結して設置した冷却フィン32に接触させて、空気中に含まれる水分を凝縮させ、凝縮した水は黒矢印で示した下方に流下して風路2の所定箇所に連結して一端が貯水部8に装入されて設置された連結路24を経て貯水部8に送られるように構成されている。貯留された水は貯水部8中で電気分解して活性酸素種を含む前記電解水4を生成する。
そして水分を回収した後の空気は白矢印で示したようにペルチェ素子30の発熱部33に連結して設置した放熱フィン34に接触させて加温して、制御部12により制御して温調して排出する。
(凝縮回収した水を電気分解する例について説明する)
本発明の電気機器1は、例えば居室内や閉鎖空間などの外部空間内の空気を吸気口3から取り込み、取り込んだ前記空気を気液接触部5で前記電解水4と気液接触させて浄化し、気液接触部5において気液接触させた空気を風路2を経て移送してペルチェ素子30の吸熱部31に連結して設置した冷却フィン32に接触させて、空気中に含まれる水分を凝縮させ、凝縮した水は下方に流下して貯水部8に送られ、貯水部8中で電気分解して活性酸素種を含む前記電解水4を生成するようになっている。
そして水分を回収した後の空気はペルチェ素子30の発熱部33に連結して設置した放熱フィン34に接触させて加温して、制御部12により制御して温調して排出する。
活性酸素種発生電極がオゾン電極の場合、貯水部8の水中に所定以上の、つまり電極10(例えば白金カソード)、電極10(例えば金属酸化物アノード)が浸漬する程度以上の水が溜まった状態で、制御部12からの信号により図示しない電源部が電極10、10に通電を行う。すると、水の電気分解が始まり前記式(1)の反応によりオゾンが生成し、生成したオゾンが水に溶解した電解水(オゾン水)4が貯水部8内に生成される。
前記のように、このような気液接触部5の気液接触部材は、公知であり、本発明においては公知のものを使用することができる。
気液接触部5に外部空間から取り込んだ空気を供給すると、空気はオゾン水4で濡れた複数の円盤の間隙に入り込み、電解水4と気液接触する。空気とオゾン水4とが気液接触することにより空気の除菌(殺菌)、消臭(脱臭)、浮遊物質の除去や有害物質の除去が行われ空気を浄化することができる。
上記実施の形態の説明では、凝縮回収した水を電気分解してオゾン水4を得る例について説明したが、水道水を追加供給して電気分解を行うことも可能であり、両者を組合わせて使用することもできる。両者を組合わせて使用すると雑菌の繁殖の防止やウィルスやアレルゲンなどの不活化や脱臭の効果が増大する。
21は空気移送のためのファンである。22は函体である。
本発明の電気機器1Aでは、空気中から凝縮回収した水をオゾン水の生成に利用しているので、例えば、使用者が水を供給する必要がなく、給水の装置が不要であり、手間が掛からない。
本発明で使用するペルチェ素子30は、例えばn型半導体、p型半導体をそれぞれn型熱電変換部、p型熱電変換部の熱電変換材料として用い、並置されたn型熱電変換部、p型熱電変換部の上端部および下端部にそれぞれ電極を設け、各熱電変換部の上端の電極が接続されて一体化されるとともに、各熱電変換部の下端の電極は分離されて構成されている。そして下端の電極間に電源から直流電流を流すことで、電極(吸熱部31)に吸熱作用を生じ、電極(放熱部33)において発熱作用が生じるようになっている。
図3は、取り込んだ空気、浄化後の空気および凝縮回収後の空気の温度と飽和水蒸気含有量との関係を説明する説明図である。
図3において、イは図2にイと示した箇所の取り込んだ空気の温度と飽和水蒸気含有量を示し、ロは図2にロと示した箇所の浄化後の空気の温度と飽和水蒸気含有量を示し、ハは図2にハと示した箇所の凝縮回収後の空気の温度と飽和水蒸気含有量を示す。
取り込んだ空気の温度イは、浄化後にロで示した温度に低下し、水分を凝縮させて回収した後にはハで示した温度に低下すする。ロとハの温度に対応する飽和水蒸気含有量の差の量の凝縮回収水が回収される。
本発明の電気機器1Aでは、空気中から凝縮回収した水をオゾン水の生成に利用しているので、例えば、使用者が水を供給する必要がなく、給水の装置が不要であり、手間が掛からない。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
1m3 中にタバコ1本を吸った全成分が含まれる臭気を含む常温の空気からなる外部空間を準備した。この状態の臭気を100%とし、図2に示した構成の実験用の本発明の電気機器を作動させて前記外部空間の空気を電解水(塩素濃度10mg/L)と気液接触することにより脱臭を行った。
試験結果を図4に示す。
図4から、本発明の電気機器を作動させると約15分程度で急速に脱臭されることが判る。
(比較例1)
比較のために本発明の電気機器を使用せずに自然放置した以外は実施例1と同様に試験した。試験結果を図4に示す。図4から、30分経過しても脱臭されることが判る。
(実施例2)
1m3 中に乳酸菌(バチルス属)1×108 個が浮遊して均一に含まれる常温の空気からなる外部空間を準備した。空気中にこの浮遊菌が含まれる状態を100%とし、図2に示した構成の実験用の本発明の電気機器を作動させて前記外部空間の空気を電解水(塩素濃度10mg/L)と気液接触することにより殺菌を行った。
試験結果を図5に示す。
図5から、本発明の電気機器を作動させると約15分程度で完全に殺菌できることが判る。
(比較例2)
比較のために本発明の電気機器を使用せずに自然放置した以外は実施例2と同様に試験した。試験結果を図5に示す。図5から、30分経過しても試験開始の状態が維持されており殺菌されることが判る。
上記実施の形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
(1)前記実施形態においては、水回収部の例として、デシカントを用いる水回収部およびペルチェ素子を利用した水回収部を示したが、水回収部は空気中の水分を凝縮して回収して利用できるものであればよく、これらに限定されるものではない。
他の例として、具体的には冷凍サイクルを利用した冷凍回路方式を挙げることができる。
(2)前記実施形態の本発明の電気機器の吹出口から排出する空気中のオゾンなどの活性酸素種を除去するために、例えばオゾン分解触媒に接触させてオゾンを分解して除去する活性酸素種除去手段や、紫外線照射してオゾンを分解して除去する活性酸素種除去手段や、活性炭などの吸収・吸湿材に接触させてオゾンを吸収・吸着させて除去する活性酸素種除去手段などを備えることができる。
本発明の電気機器の吹出口から排出される空気中にセンサーにより所定濃度以上のオゾンが含まれていることが検知された場合には、制御部から信号をだしてオゾン除去手段を作動させてオゾンを安全なレベルまで除去したりあるいは完全に除去するなどすすることも可能である。
(3)前記実施形態においては、ペルチェ素子を利用した水回収部を備えた本発明の電気機器のペルチェ素子の放熱部に空気を接触させて加温して温調してする例を示したが、ペルチェ素子の放熱部の利用はこれに限定されるものではない。 他の例として、具体的には貯水部内に貯留された水の加温に利用する例を挙げることができる。
本発明の電気機器は、前記吸気口から取り込んだ空気に含まれる水分を水回収部(例えば、吸湿材方式、ペルチェ素子を用いた電子式、冷凍サイクルを利用した冷凍回路方式などを用いた水回収部)で回収した水を貯水部に貯留し、貯水部中で貯留した水を電気分解してオゾンなどの活性酸素種を含む電解水を生成させ、取り込んだ前記空気を前記気液接触部で前記電解水と気液接触させて浄化して排出するように構成したので、水の補給をすることなく、副生成物を発生することなく、空気を清浄にでき、小型でかつ低コストであり、安定して長期間にわたり使用できるという顕著な効果を奏するとともに、例えば、取り込んだ空気を気液接触させて湿度を上げることになるので、前記吸気口から取り込んだ空気に含まれる水分が少なく湿度が低い場合でも水の回収率が高くなり、また前記空気を前記気液接触部で前記電解水と気液接触させると水分が蒸発してその気化熱により空気が冷却されるので、冷却された空気を前記水回収部における水回収に利用するとさらに水の回収率が高くなるという顕著な効果を奏するので、空気清浄機、空気調和機、加湿器、除湿器、ファンヒータ、掃除機、冷蔵庫などに活用でき、産業上の利用価値が甚だ大きい。
本発明の電気機器の一実施の形態を説明する説明図である。 本発明の電気機器の他の形態を説明する説明図である。 取り込んだ空気、浄化後の空気および凝縮回収後の空気の温度と各温度の飽和水蒸気含有量との関係を説明する説明図である。 本発明の電気機器を用いて空気を浄化した際のタバコ臭気と電気機器の作動時間との関係を説明する説明図である。 本発明の電気機器を用いて空気を浄化した際の浮遊菌と電気機器の作動時間との関係を説明する説明図である。
符号の説明
1、1A 電気機器
2 風路
3 吸気口
4 電解水
5 気液接触部
6 水回収部
7 吹出口
8 貯水部
9 電解部
10 活性酸素種発生用電極
11 水位センサ
12 制御部
13 吸湿材
14 放出部
15 冷却部
16 空気循環風路
17 ロータ
18 モータ
19 回転軸
20 ヒータ
21 ファン
22 函体
23、24 連結路
30 ペルチェ素子
31 吸熱部
32 冷却フィン
33 発熱部
34 放熱部

Claims (5)

  1. 風路の上流側より、空気を取り込む吸気口と、取り込んだ空気を電解水と気液接触させて浄化する気液接触部と、気液接触後の空気に含まれる水分を回収するための水回収部と、水分回収後の空気を排出する吹出口とを順次配置するとともに、
    前記気液接触部を浸漬するとともに前記水回収部にて回収した水を貯留するための貯水部と、前記貯水部中に貯留した水を電気分解して活性酸素種を含む前記電解水を生成させる電解部とを備えたことを特徴とする電気機器。
  2. 前記水回収部が、気液接触後の空気に含まれる水分を吸着する吸湿材と、前記吸湿材に吸着した水分を加熱して放出する放出部と、放出した水分を前記気液接触後の空気により冷却凝縮して回収する冷却部とを備え、冷却凝縮して回収した水を前記貯水部に貯留するように構成したことを特徴とする請求項1記載の電気機器。
  3. 前記貯水部に貯留する水の水位を所定の範囲に制御して維持するための制御部を備えたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の電気機器。
  4. 前記吹出口から排出する空気中に含まれる活性酸素種を除去するための活性酸素種除去手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電気機器。
  5. 前記水回収部がペルチェ素子を利用した水回収部であって、ペルチェ素子の吸熱部に、気液接触後の空気を接触させて空気中に含まれる水分を凝縮させて回収し、必要に応じて水分を回収した後の空気を前記ペルチェ素子の発熱部に接触させて温調して排出するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電気機器。
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