JP6509156B2 - 拡張装置及び電子部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品の製造に用いられる拡張装置と、当該拡張装置を利用した電子部品の製造方法に関する。
従来、コンデンサ等の電子部品の製造において、個片化された複数のチップが粘着保持された粘着シートを、エキスパンダ等の拡張装置を利用して拡張させることにより、隣接する複数のチップを互いに離間させる方法が知られている。
近年では、互いに離間している複数のチップの次工程でのハンドリング性を高めるため、例えば特許文献1のように、複数のチップが粘着保持された粘着シートを面内2軸方向に互いに異方性を持たせて拡張させることが行われている。これにより、粘着シート上の複数のチップを一軸方向に優先的に互いに離間させることを可能としている。
特開2015−070218号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、粘着シートの面内2軸方向各々の拡張率に差を生じさせるために、粘着シートの所定領域にスリット加工を施す必要があり、粘着シートをそのまま利用することができず、さらにスリットの形状のばらつきによる拡張率の変動が避けられないため、所望とする生産性が得られない場合がある。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、粘着シートに加工を施すことなく、粘着シートを2軸方向に互い異方性を持たせて拡張させることができる拡張装置及びこの拡張装置を用いた電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る拡張装置は、テーブルと、昇降機構とを有する。
上記テーブルは、第1の軸方向に直交し粘着シートの周縁部を固定可能な保持面と、上記保持面に設けられた開口部とを有する。
上記昇降機構は、ステージと、駆動部とを含む。
上記ステージは、上記開口部に配置され、上記保持面に固定された粘着シートに対向する。
上記駆動部は、上記テーブルに対して上記ステージを上記第1の軸方向に沿って昇降移動させる。
上記ステージは、上記保持面に平行な主面と、環状のエッジ部とを有する。
上記環状のエッジ部は、上記主面の周縁に設けられ、上記粘着シートに対する上記第1の軸方向への押圧力を上記主面に平行な面内での引張力に変換する。
上記環状のエッジ部は、第1の領域と、第2の領域とを有する。
上記第1の領域は、上記主面上の粘着シートを上記第1の軸方向に直交する第2の軸方向に第1の拡張率で拡張させる。
上記第2の領域は、上記主面上の粘着シートを上記第1及び第2の軸方向に直交する第3の軸方向に上記第1の拡張率とは異なる第2の拡張率で拡張させる。
上記拡張装置において、ステージの粘着シートに対する押圧力は、環状のエッジ部により主面に平行な面内での引張力に変換される。この際、環状のエッジ部に設けられた第1の領域が第2の軸方向に第1の拡張率で粘着シートを拡張させ、第2の領域が第3の軸方向に第1の拡張率とは異なる第2の拡張率で粘着シートを拡張させる。
従って、本発明に係る拡張装置によれば、粘着シートに加工を施すことなく、粘着シートを2軸方向に互い異方性を持たせて拡張させることが可能となる。
上記ステージは、上記主面を有するステージ本体と、上記ステージ本体の周囲に配置され上記ステージ本体と一体的に昇降可能な枠体とを有し、上記環状のエッジ部は、上記粘着シートに対向する上記枠体の一端部に設けられてもよい。
これにより、ステージを上昇させることで、ステージ本体で粘着シートを支持しつつ、枠体に設けられた環状のエッジ部で粘着シートを主面と平行な方向に拡張させることが可能となる。
上記第1の領域は、上記第2の軸方向に相互に対向して設けられ、上記第2の領域は、上記第3の軸方向に相互に対向して設けられてもよい。
これにより、粘着シートを、第1の領域が相互に対向している方向と、第2の領域が相互に対向している方向とに互いに異方性を持たせて拡張させることが可能となる。
上記第1及び第2の領域は、上記主面から上記ステージの側面に向かって連続する曲面部をそれぞれ有し、上記第1の領域における上記曲面部は、上記第2の領域における上記曲面部とは異なる曲率を有してもよい。
これにより、ステージが粘着シートを押圧したときに第1の領域と第2の領域とで粘着シートに対する摺動性(滑りやすさ)が異なるものとなる。従って、上記押圧力が上記引張力に変換される割合が第1の領域と第2の領域とで異なるものとなり、粘着シートを異方的に拡張させることが可能となる。
上記第1及び第2の領域は、上記粘着シートに対して相互に異なる動摩擦係数を有してもよい。
このような構成によっても、第1の領域と第2の領域とで粘着シートに対する摺動性(滑りやすさ)が異なるものとなり、粘着シートを異方的に拡張させることができる。
上記第1及び第2の領域のうち、一方は金属材料で構成され、他方はフッ素樹脂材料で構成されてもよい。
上記ステージは、上記主面の周縁部を構成し上記ステージ本体に着脱可能に取り付けられたリング部材と、上記枠体を上記ステージ本体に対して分離可能に支持する支持体とをさらに有してもよい。この場合、上記拡張装置は、上記粘着シートを挟んで上記リング部材の外周面に嵌合可能な環状部材をさらに具備する。
これにより、拡張装置から粘着シートをその拡張状態を保持した状態で取り出すことができる。
一方、本発明の一形態に係る電子部品の製造方法は、上記拡張装置を用いた電子部品の製造方法であって、
直交する2軸方向に配列された複数の積層チップの集合体を保持する粘着シートの周縁部を、上記2軸方向が上記第2及び第3の軸方向にそれぞれ平行となるように上記保持面に固定し、
上記ステージを上記第1の軸方向に移動させることで、上記粘着シートを上記第2及び第3の軸方向に異なる拡張率で拡張させる。
これにより、粘着シート拡張後の互いに隣接している複数の積層チップにおいて、幅方向における積層チップ間の間隔と、長さ方向における積層チップ間の間隔が異なるものとなり、次工程での複数の積層チップのハンドリング性を向上させることができる。
上記電子部品は、積層セラミックコンデンサであってもよい。
以上のように、本発明によれば粘着シートに加工を施すことなく、粘着シートを2軸方向に互い異方性を持たせて拡張させることができる拡張装置及びこの拡張装置を用いた電子部品の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る電子部品としての積層セラミックコンデンサの斜視図である。 図1におけるA−A'線断面図である。 図1におけるB−B'線断面図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造方法を示すフローチャートである。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す模式図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す模式図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す模式図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す模式図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す模式図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す模式図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す模式図である。 上記積層セラミックコンデンサの製造過程を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る拡張装置の構成を示す概略側断面図である。 上記拡張装置の平面図である。 上記拡張装置が有する枠体の平面図である。 図15におけるC−C'線拡大断面図である。 図15におけるD−D'線拡大断面図である。 上記拡張装置の作用を説明する概略側断面図である。 上記拡張装置の作用を説明する概略平面図である。 上記拡張装置の作用を説明する概略平面図である。 本発明の他の実施形態に係る拡張装置の構成を示す概略断面図である。 上記拡張装置の作用を説明する概略側断面図である。 上記拡張装置の作用を説明する概略側断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
本実施形態ではまず、電子部品としての積層セラミックコンデンサの構成及びその製造方法について説明した後、当該積層セラミックコンデンサの一製造工程において使用される拡張装置について説明する。
[積層セラミックコンデンサの構成]
図1は、本実施形態において製造される積層セラミックコンデンサの斜視図、図2は、図1におけるA−A'線断面図、図3は、図1におけるB−B'線断面図である。以下の図において、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は相互に直交する3軸方向を示している。
積層セラミックコンデンサ10は、素体11と、第1外部電極14と、第2外部電極15と、を具備する。外部電極14,15は、素体11を挟んでX軸方向に相互に対向している。
素体11は、X軸方向に対向する2つの端面と、Y軸方向に対向する2つの側面と、Z軸方向に対向する2つの主面と、を有する。素体11の各面を接続する稜部は面取りされている。素体11の大きさは特に限定されず、例えば、X軸方向に沿った長さ寸法を1.0mm、Y軸方向に沿った幅寸法及びZ軸方向に沿った高さ寸法をそれぞれ0.5mmとすることができる(各図における素体の各辺の比とは必ずしも一致しない。以下同様)。
なお、素体11の形状はこのような形状に限定されない。例えば、素体11の各面は曲面であってもよく、素体11は全体として丸みを帯びた形状であってもよい。
外部電極14,15は、素体11のX軸方向両端面を覆い、X軸方向両端面に接続するY軸方向両側面及びZ軸方向両主面に延出している。これにより、外部電極14,15のいずれにおいても、X−Z平面に平行な断面及びX−Y平面に平行な断面の形状がU字状となっている。
外部電極14,15はそれぞれ、電気の良導体により形成され、積層セラミックコンデンサ10の外部接続端子として機能する。外部電極14,15を形成する良導体としては、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)などを主成分とする金属や合金を用いることができる。外部電極14,15は、単層構造であっても複層構造であってもよい。
複層構造の外部電極14,15は、例えば、下地膜と表面膜との2層構造や、下地膜と中間膜と表面膜との3層構造として構成されていてもよい。
下地膜は、例えば、ニッケル、銅、パラジウム、白金、銀、金などを主成分とする金属や合金の焼き付け膜とすることができる。
中間膜は、例えば、白金、パラジウム、金、銅、ニッケルなどを主成分とする金属や合金のメッキ膜とすることができる。
表面膜は、例えば、銅、錫、パラジウム、金、亜鉛などを主成分とする金属や合金のメッキ膜とすることができる。
素体11は、積層チップ16と、サイドマージン部17と、を有する。サイドマージン部17は、X−Z平面に沿って延びる平板状であり、積層チップ16のY軸方向両側面をそれぞれ覆っている。
積層チップ16は、容量形成部18と、カバー部19と、を有する。カバー部19は、X−Y平面に沿って延びる平板状であり、容量形成部18のZ軸方向両主面をそれぞれ覆っている。
サイドマージン部17及びカバー部19は、主に、容量形成部18を保護するとともに、容量形成部18の周囲の絶縁性を確保する機能を有する。
第1及び第2内部電極12,13はそれぞれ、電気の良導体により形成され、積層セラミックコンデンサ10の内部電極として機能する。内部電極12,13を形成する良導体としては、例えばニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銀(Ag)、金(Au)、又はこれらの合金を含む金属材料が用いられる。第1内部電極12は第1外部電極14に接続され、第2内部電極13は第2外部電極15に接続される。
容量形成部18は、誘電体セラミックスによって形成されている。積層セラミックコンデンサ10では、内部電極12,13間の各誘電体セラミック層の容量を大きくするため、容量形成部18を形成する材料として高誘電率の誘電体セラミックスが用いられる。高誘電率の誘電体セラミックスとしては、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)に代表される、バリウム(Ba)及びチタン(Ti)を含むペロブスカイト構造の材料が挙げられる。また、容量形成部18を構成する誘電体セラミックスは、チタン酸バリウム系以外にも、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)系、チタン酸カルシウム(CaTiO)系、チタン酸マグネシウム(MgTiO)系、ジルコン酸カルシウム(CaZrO)系、チタン酸ジルコン酸カルシウム(PCZT)系、ジルコン酸バリウム(BaZrO)系、酸化チタン(TiO)系などであってもよい。
サイドマージン部17及びカバー部19も、誘電体セラミックスによって形成されている。サイドマージン部17及びカバー部19を形成する材料は、絶縁性セラミックスであればよいが、容量形成部18と同様の材料を用いることより、製造効率が向上するとともに、素体11における内部応力が抑制される。
上記の構成により、積層セラミックコンデンサ10では、第1外部電極14と第2外部電極15との間に電圧が印加されると、第1内部電極12と第2内部電極13との間の複数の誘電体セラミック層に電圧が加わる。これにより、積層セラミックコンデンサ10では、第1外部電極14と第2外部電極15との間の電圧に応じた電荷が蓄えられる。
なお、積層セラミックコンデンサ10の構成は、特定の構成に限定されず、積層セラミックコンデンサ10に求められるサイズや性能などに応じて、公知の構成を適宜採用可能である。例えば、容量形成部18における各内部電極12,13の枚数は、適宜決定可能である。
[積層セラミックコンデンサの製造方法]
図4は、積層セラミックコンデンサ10の製造方法を示すフローチャートである。図5〜12は、積層セラミックコンデンサ10の主要な製造過程を示す図である。以下、積層セラミックコンデンサ10の典型的な製造方法について、図4に沿って、図5〜12を適宜参照しながら説明する。
(ステップS01:セラミックシート準備)
ステップS01では、容量形成部18を形成するための第1セラミックシート101及び第2セラミックシート102と、カバー部19を形成するための第3セラミックシート103と、を準備する。
図5はセラミックシート101,102,103の平面図である。図5(A)はセラミックシート101を示し、図5(B)はセラミックシート102を示し、図5(C)はセラミックシート103を示している。セラミックシート101,102,103は、未焼成の誘電体グリーンシートとして構成され、例えば、ロールコーターやドクターブレードを用いてシート状に成形される。
ステップS01の段階では、セラミックシート101,102,103は素子単位で切り分けられていない。図5には、素子単位で切り分ける際の切断線Lx,Lyが示されている。切断線LxはX軸に平行であり、切断線LyはY軸に平行である。
図5に示すように、第1セラミックシート101には第1内部電極12に対応する未焼成の第1内部電極112が形成され、第2セラミックシート102には第2内部電極13に対応する未焼成の第2内部電極113が形成されている。なお、カバー部19に対応する第3セラミックシート103には内部電極が形成されていない。
内部電極112,113は、任意の導電性ペーストを用いて形成することができる。導電性ペーストによる内部電極112,113の形成には、例えば、スクリーン印刷法やグラビア印刷法を用いることができる。
内部電極112,113は、切断線Lyによって仕切られたX軸方向に隣接する2つの領域にわたって配置され、Y軸方向に帯状に延びている。第1内部電極112と第2内部電極113とでは、切断線Lyによって仕切られた領域が1列ずつX軸方向にずらされている。つまり、第1内部電極112の中央を通る切断線Lyが第2内部電極113の間の領域を通り、第2内部電極113の中央を通る切断線Lyが第1内部電極112の間の領域を通っている。
(ステップS02:積層)
ステップS02では、ステップS01で準備したセラミックシート101,102,103をZ軸方向(一軸方向)に積層することにより積層シート104を作製する。
図6は、ステップS02で得られる積層シート104の斜視図である。図6では、説明の便宜上、セラミックシート101,102,103を分解して示している。しかし、実際の積層シート104では、セラミックシート101,102,103が静水圧加圧や一軸加圧などにより圧着されて一体化される。これにより、高密度の積層シート104が得られる。後述するように、図6の積層シート104から複数の積層チップ116に個片化される。
積層シート104では、容量形成部18に対応する第1セラミックシート101及び第2セラミックシート102がZ軸方向に交互に積層されている。
また、積層シート104では、交互に積層されたセラミックシート101,102のZ軸方向最上面及び最下面にそれぞれカバー部19に対応する第3セラミックシート103が積層される。なお、図6に示す例では、第3セラミックシート103がそれぞれ3枚ずつ積層されているが、第3セラミックシート103の枚数は適宜変更可能である。
(ステップS03:切断)
ステップS03では、ステップS02で得られた積層シート104を切断することにより未焼成の複数の積層チップ116を作製する。ステップS03では、積層シート104を押し切りにより切断する。
図7は、ステップS03の後の積層シート104の平面図である。積層シート104は、保持部材としてのダイシング用の第1の粘着シートT1に貼り付けられた状態で、切断線Lx,Lyに沿って切断される。よって、積層シート104が素子単位に個片化され、複数の積層チップ116が得られる。このとき、第1の粘着シートT1は、切断されずに(ハーフカット状態)、各積層チップ116を粘着保持している。これにより、以降のステップにおいて複数の積層チップ116を一括して扱うことが可能となり、製造効率が向上する。
ステップS03により形成される積層シート104の切断面は、積層チップ116のY軸方向側面S1,S2及びX軸方向端面となる。このように、本工程により、内部電極112,113が露出する側面S1,S2を有する複数の積層チップ116が作製される(図8参照)。
(ステップS04:サイドマージン部形成)
ステップS04では、ステップS03で得られた複数の積層チップ116の側面S1,S2に、未焼成のサイドマージン部117を形成する。
ステップS04では、サイドマージン部117を形成するためのサイドマージンシート117sが準備される。サイドマージンシート117sは、ステップS01で準備されるセラミックシート101,102,103と同様に、未焼成の誘電体グリーンシートとして構成される。サイドマージンシート117sは、例えば、ロールコーターやドクターブレードを用いてシート状に成形される。
図8〜図12は、ステップS04のプロセスを示す模式図である。ステップS04では、複数の積層チップ116が第1の粘着シートT1からエキスパンド用の第2の粘着シートT2に貼り替えられる。
なお、第1の粘着シートT1が粘着シートを兼ねる場合、第1の粘着シートT1から第2の粘着シートT2への貼り替えは省略されてもよい。
第2の粘着シートT2は、少なくともその一方の主面に粘着層を有し、伸縮性を有する粘着シートである。第2の粘着シートT2は、例えば、基材が塩化ビニル樹脂製であるとともにその表面にアクリル系粘着剤からなる粘着層が形成されたものが採用される。
先ず、図8(a)に示すように、複数の積層チップ116を粘着保持する第2の粘着シートT2を拡張装置20にセットする。この際、直交する2軸方向(X及びY軸方向)に配列された複数の積層チップ116の集合体において、複数の積層チップ116の幅方向がX又はY軸方向と平行となり、長さ方向がY又はX軸方向と平行となるように、第2の粘着シートT2を拡張装置20にセットする(図19及び図20参照)。
次いで、拡張装置20を起動させて、第2の粘着シートT2を上記2軸方向に拡張させることにより、図8(b)に示すように、複数の積層チップ116を互いにX軸方向及びY軸方向に離間させる。なお、拡張装置20の詳細については後述する。
続いて、図8(c)及び図9(a)に示すように、互いに離間された複数の積層チップ116に第3の粘着シートT3を貼り付け、複数の積層チップ116を第2の粘着シートT2から第3の粘着シートT3に移し替える。粘着シートT3は、両面粘着シートで構成され、反対側の粘着面には載せ替え用の中継基板Hが貼り付けられている。そして、図9(b)に示すように、第3の粘着シートT3が中継基板Hから粘着プレートPに貼り替えられる。
なお、粘着プレートPは必ずしも必要ではなく、中継基板Hの上下を反転した上で、その後の工程が実施されてもよい。
次いで、図9(c)に示すように、第3の粘着シートT3上の複数の積層チップ116の上面(主面M)と接触するように、作用板Bを配置する。作用板Bは、粘着シートT3上のすべての積層チップ116をカバーできる大きさを有する。作用板Bとしては、好適には、少なくとも各積層チップ116との接触面がシリコンラバー等の弾性材料で構成された板材が採用される。
続いて、図10(a)に示すように、作用板BをY軸方向に移動させることにより、複数の積層チップ116をY軸方向に90°転動させ、複数の積層チップ116の一方の側面S1を第3の粘着シートT3に接着させる。これにより、図10(b)に示すように、複数の積層チップ116各々の他方の側面S2が同一平面上に位置し、且つそろって同一方向(図において上方)を向くこととなり、これらの側面S2の各々が隣接する積層チップ116に干渉されることなく開放された状態となる。
次いで、複数の積層チップ116の各側面S2に接着剤を塗布し、接着剤の溶剤を揮発させてから、図10(c)に示すように、各側面S2にサイドマージンシート117sを押し当てる。これにより、各積層チップ116の側面S2にサイドマージンシート117sが接着される。
次に、サイドマージンシート117sを側面S2の周縁に沿ってカットする。これにより、図11(a)に示すように、側面S2にサイドマージン部117が形成される。
続いて、側面S2に形成されたサイドマージン部117に第4の粘着シートT4を貼り付け、複数の積層チップ116を第3の粘着シートT3から第4の粘着シートT4に移し替えることにより、図11(b)に示すように、反対側の側面S1を開放させる。そして、上述と同様な方法で、側面S1にサイドマージンシート117sを貼り付けた後、側面S1の周縁に沿ってサイドマージンシート117sをカットすることにより、11(c)に示すように、側面S1にサイドマージン部117が形成される。
次いで、第4の粘着シートT4から、側面S1,S2にサイドマージン部117が形成された複数の積層チップ116を剥離させることにより、図12に示すように、側面S1,S2にサイドマージン部117が形成された素体111が得られる。
以上により、未焼成の素体111が得られる。素体111の形状は、焼成後の素体11の形状に応じて決定可能である。例えば、1.0mm×0.5mm×0.5mmの素体11を得るために、1.2mm×0.6mm×0.6mmの素体111を作製することができる。
なお、積層チップ116の側面S1,S2にサイドマージン部117を形成する方法は、上記の方法に限定されるものではない。例えば、予め切断されたサイドマージンシート117sを積層チップ116の側面S1,S2に貼り付けても構わない。あるいは、平板状の弾性体の上に配置されたサイドマージンシート117sを、複数の積層チップ116の側面S1,S2で打ち抜くことにより、形成されてもよい。
更に、サイドマージンシート117sを用いずに、セラミックペーストを積層チップ116の側面S1,S2に塗布することにより、サイドマージン部117を形成してもよい。セラミックペーストの塗布方法としては、例えば、ディップ法などを用いることができる。
(ステップS05:焼成)
ステップS05では、ステップS04で得られた未焼成の素体111を焼成することにより、図1〜3に示す積層セラミックコンデンサ10の素体11を作製する。焼成は、例えば、還元雰囲気下、又は低酸素分圧雰囲気下において行うことができる。
(ステップS06:外部電極形成)
ステップS06では、ステップS05で得られた素体11に外部電極14,15を形成することにより、図1〜3に示す積層セラミックコンデンサ10を作製する。
ステップS06では、まず、素体11の一方のX軸方向端面を覆うように未焼成の電極材料を塗布し、素体11の他方のX軸方向端面を覆うように未焼成の電極材料を塗布する。素体11に塗布された未焼成の電極材料に、例えば、還元雰囲気下、又は低酸素分圧雰
囲気下において焼き付け処理を行って、素体11に下地膜を形成する。そして、素体11に焼き付けられた下地膜の上に、中間膜及び表面膜を電界メッキなどのメッキ処理で形成して、外部電極14,15が完成する。
なお、上記のステップS06における処理の一部を、ステップS05の前に行ってもよい。例えば、ステップS05の前に未焼成の素体111のX軸方向両端面に未焼成の電極材料を塗布し、ステップS05において、未焼成の素体111を焼成すると同時に、未焼成の電極材料を焼き付けて外部電極14,15の下地層を形成してもよい。
[拡張装置の構成]
以下、ステップS04で用いられる拡張装置20の詳細について説明する。
図13は、拡張装置20の構成を概略的に示す断面図であり、図14はその平面図である。ここでは、X軸及びY軸方向を直交する水平方向とし、Z軸方向を高さ方向として説明する。
拡張装置20は、個片化された複数の積層チップ116を粘着保持する粘着シート(第2の粘着シート)T2をそのシート面内方向に拡張させて、個々の積層チップ116をX軸方向及びY軸方向に相互に離間させるエキスパンダとして構成される(図8(a),(b)参照)。
拡張装置20は、図13に示すように、テーブル21と、昇降機構22と、これらを支持するベース部23とを有する。
テーブル21は、テーブル本体211と、押え板212とを有する。
テーブル本体211は、典型的には金属材料で構成され、有底の円筒形状を有する。テーブル本体211は、その上端部に、Z軸方向に直交する環状の保持面21aを有する。
押え板212は、保持面21aとZ軸方向に対向する金属製又は合成樹脂製のリング部材で構成され、保持面21aに対して着脱可能に構成される。押え板212は、保持面21a上に配置された円形の粘着シートT2の周縁部T2aを介して保持面21aに固定されることで、粘着シートT2の周縁部T2aを保持面21a上に保持する保持具として機能する。
テーブル本体211は、開口部21bを有する。開口部21bは、保持面21aに設けられた円形の凹部で構成されており、保持面21aに保持された粘着シートT2によって被覆される。開口部21bの開口径は、保持面21aの内径に相当し、昇降機構22のステージ24を収容できる大きさに設計される。
昇降機構22は、ステージ24と、駆動部25とを有する。
ステージ24は、テーブル21の開口部21bに配置される。ステージ24は、図13及び図14に示すように、保持面21aに固定された粘着シートT2の裏面(下面)に対向する主面241aと、主面241aの周縁部に設けられた環状のエッジ部242aとを有する。
主面241aは、保持面21aに平行な円形の平坦面で構成され、駆動部25の駆動により、保持面21aに固定された粘着シートT2の裏面を保持面21aに対して上方側へ押圧することが可能に構成される。
本実施形態においてステージ24は、主面241aを有するステージ本体241と、エッジ部242aを有する枠体242とを有する。
ステージ本体241は、典型的には金属材料で構成され、円盤形状を有する。ステージ本体241は、駆動部25のロッド部25sの先端に固定されており、Z軸方向に沿って昇降可能に構成される。なお図示せずとも、開口部21bには、ステージ本体241の昇降をガイドするガイド機構が配置される。
枠体242は、図14に示すように、ステージ本体241の周囲に配置され、ステージ本体241と同心的な環状の筒体で構成される。枠体242は、ステージ本体241の底部に設けられた複数のストッパ片243を介してステージ本体241の周囲に支持されており、駆動部25の駆動により、ステージ本体241と一体的にZ軸方向に昇降可能に構成される。枠体242は、典型的には、金属材料又は合成樹脂材料で構成される
図13において枠体242の上端部は、ステージ本体241の上面(主面241a)と同一平面上に位置している。枠体242の内径は、ステージ本体241の外径よりも若干大きく形成される。枠体242は、開口部21bの開口径よりも小さい外径を有し、開口部21bの内周面に適宜の隙間を空けて対向している。枠体242の厚みは特に限定されず、比較的薄肉で形成されてもよい。枠体242の高さも特に限定されず、図示の例ではステージ本体241の高さ寸法と略同等の大きさに形成される。
複数のストッパ片243は、枠体242をステージ本体241に対して分離可能に支持する支持体を構成する。複数のストッパ片243は、ステージ本体241の底部に例えば90度間隔で配置された板状部材で構成される(図14参照)。各ストッパ片243の一端は、ステージ本体241の底部に対してZ軸まわりに回転可能に取り付けられている。典型的には、各ストッパ片243は、上記一端とは反対側の他端がステージ本体241の径外方に突出する回転位置に設定されることで枠体242の下端を支持し、これによりステージ本体241に対する枠体242の相対位置が保持される(図13参照)。一方、各ストッパ片243は、上記他端がステージ本体241の径内方側に引っ込む回転位置にまで回転操作されることで、ステージ本体241から枠体242を分離することが可能に構成される(図23参照)。
図15は、枠体242の平面図である。
枠体242の上端部には環状のエッジ部242aが設けられている。環状のエッジ部242aは、保持面21aに保持された粘着シートT2に対するZ軸方向への押圧力を主面241aに平行な面内での引張力に変換することが可能に構成される。
環状のエッジ部242aは、図15中、ハッチング(斜線)で示すように、枠体242の上端部の外周縁部に設けられる。エッジ部242aは、第1の領域242a1と、第2の領域242a2とに区分されている。第1の領域242a1は、Y軸方向に相互に対向する2つの円弧状領域に設けられ、第2の領域242a2は、X軸方向に相互に対向する2つの円弧状領域に設けられている。
図16は図15のC−C'線拡大断面図であり、第1の領域242a1の断面形状を示している。図17は図15のD−D'線拡大断面図であり、第2の領域242a2の断面形状を示している。
第1及び第2の領域242a1,242a2は、図16及び図17に示すように、その断面形状において、枠体242の上端部から枠体242の外周面(ステージ24の側面24b)に向かって連続する曲面部で構成される。そして、第1の領域242a1を構成する曲面部の曲率と、第2の領域242a2を構成する曲面部の曲率とは、相互に異なっている。
本実施形態において、第1の領域242a1は、第2の領域242a2よりも小さい曲率の曲面部で構成される。第1の領域242a1は、図16に示すように、曲率半径r1を有する円C1の部分円弧状の断面形状を有し、第2の領域242a2は、図17に示すように、r1よりも小さい曲率半径r2を有する円C2の部分円弧状の断面形状を有する。第1及び第2の領域242a1,242a2は、勿論、一定の曲率で形成される場合に限られず、曲率半径の異なる複数の円弧を含む複合的な断面で形成されてもよく、両領域242a1,242a2の全体的な曲率が相互に異なっていればよい。
一方、枠体242の上端部の内周側は、環状の平坦部242bで構成される。平坦部242bは、主面241aと平行な平面であり、典型的には、主面241aと連続するように主面241aと同一の高さに配置されるが、これに限られず、主面241aよりも僅かに上方又は下方に配置されてもよい。なお、枠体242の上端部の内周側は、平坦部242bで構成される例に限られず、エッジ部242aと同様に曲面で形成されてもよい。
(駆動部)
駆動部25は、テーブル21の底部に固定され、ベース部23の内部に収容される。駆動部25は、図13に示すように、テーブル本体211の底部を貫通しステージ本体241に固定されたロッド部25sを有し、ロッド部25sを伸縮させることでステージ24をZ軸方向に沿って昇降移動させるシリンダ装置で構成されている。
図18は、拡張装置20の一動作例を示す概略側断面図である。
駆動部25は、図13に示す下降位置と、図18に示す上昇位置との間で、ステージ24を昇降移動させる。上記下降位置は、ステージ24の主面241aが、保持面21aにセットされた粘着シートT2の裏面(下面)に接触あるいは近接する位置に設定される。一方、上記上昇位置は、ステージ24の主面241aが粘着シートT2を上方へ押圧しながら保持面21aよりも所定距離だけ上方へ突出した位置に設定される。
シリンダ装置はエアシリンダでもよいし、油圧シリンダであってもよい。また、シリンダ装置に限られず、ボールネジユニット等の他の昇降駆動部が採用されてもよい。ベース部23の内部には、駆動部25のほか、図示せずとも、駆動部25を駆動する流体圧回路や当該流体圧回路を制御する電気回路等を含む駆動回路が収容される。
[拡張装置の動作]
次に、拡張装置20の動作について説明する。
図13に示すように、まず、複数の積層チップ116(図示略)を粘着保持している粘着シートT2が保持面21aにセットされる。粘着シートT2の周縁部は、保持面21aと押え板212とにより挟持され、開口部21bを被覆するシート領域は、ステージ24の主面241aに対向配置される。この状態から、駆動部25の駆動によりステージ24を図13に示す下降位置から図18に示す上昇位置へ移動させる。このステージ24の上昇過程において、粘着シートT2を押圧するステージ24の押圧力Fが、主面241aに平行な面内での引張力F1,F2に変換される。
押圧力Fは、テーブル21の保持面21aとステージ24のエッジ部242aとの間における粘着シートT2の引張力F0に相当する。当該引張力F0は、ステージ24の全周囲において均等に作用し、環状のエッジ部242aを起点として主面241a上の粘着シートT2の面内2軸方向(Y軸およびX軸方向)への引張力F1,F2に変換される。
ここで、枠体242のエッジ部242aは、図16及び図17に示すように、曲率(又は曲率半径)が相互に異なる曲面部で構成された第1及び第2の領域242a1,242a2を有する。したがって、引張力F0を受けてエッジ部242a上を摺動する粘着シートT2の摺動抵抗は、第1の領域242a1と第2の領域242a2とで相違する。本実施形態では、第2の領域242a2よりも小さい曲率(大きい曲率半径)で形成された第1の領域242a1の方が、粘着シートT2の摺動抵抗が小さくなる。しかも、第1の領域242a1はY軸方向に相互に対向して設けられ、第2の領域242a2はX軸方向に相互に対向して設けられている。このことから、主面241a上の粘着シートT2にとっては、X軸方向よりもY軸方向の方が滑りやすく、Y軸方向に作用する引張力F1がX軸方向に作用する引張力F2よりも大きくなるため、X軸方向における拡張率よりも大きな拡張率でY軸方向に拡張されることになる。
図19は、複数の積層チップ116を粘着保持する粘着シートT2が、各積層チップ116の短辺方向をY軸方向に向けて(長辺方向をX軸方向に向けて)保持面21aにセットされ、拡張装置20により面内2軸方向に拡張されたときの状態を示す概略平面図である。
この例において、複数の積層チップ116相互間の離間距離は、それらの短辺方向(Y軸方向)の離間距離Dyがそれらの長辺方向(X軸方向)の離間距離Dxよりも大きくなるように相互に拡張される。離間距離Dyの大きさは、典型的には、図8(c)〜図10(b)を参照して説明したように、第3の粘着シートT3への転写後に実施される各積層チップ116のX軸まわりの転動操作が可能な大きさに設定される。
一方、図20は、複数の積層チップ116を粘着保持する粘着シートT2が、各積層チップ116の長辺方向をY軸方向に向けて(短辺方向をX軸方向に向けて)保持面21aにセットされ、拡張装置20により面内2軸方向に拡張されたときの状態を示す概略平面図である。
この例において、複数の積層チップ116相互間の離間距離は、それらの長辺方向(Y軸方向)の離間距離Dyがそれらの短辺方向(X軸方向)の離間距離Dxよりも大きくなるように相互に拡張される。この場合の離間距離Dyの大きさは、例えば、各積層チップ116をその長辺方向がZ軸方向に整列するように転動させることが可能な大きさに設定される。本例は、例えば、各積層チップ116の端面に外部電極14,15を形成する場合に有利となる。
以上のように本実施形態の拡張装置20によれば、粘着シートT2を面内2軸方向に互いに異方性をもたせて拡張させることができる。これにより、一軸方向への拡張量(伸び量)を他の軸方向よりも優先的に大きくしたい場合等において、図19及び図20に示すように、当該一方の軸方向をY軸方向に向けて保持面21aにセットすればよい。
この場合、X軸方向の拡張率がY軸方向の拡張率よりも小さいため、X軸方向に沿った積層チップ116の配列数の増加も可能となる。これにより、粘着シートT2に粘着保持される積層チップの数を増やして生産性の向上を図ることが可能となる。
また本実施形態によれば、粘着シートT2に特別な加工を施すことなく、粘着シートT2を面内2軸方向に互いに異方性をもたせて拡張させることができる。これにより、粘着シートT2の準備に要するコストの増加を抑えることができるとともに、所望とする拡張率差で粘着シートT2を安定に拡張することができる。
本実施形態においては、ステージ24のエッジ部242aの曲率を領域242a1,242a2ごとに異ならせることで、粘着シートT2に対する2軸方向への拡張率の異方性を実現している。このようにエッジ部242aの各領域の曲率を調整することで、各軸方向へ粘着シートT2を所望とする拡張率で安定に拡張することができる。
しかも、エッジ部242aの各領域の曲率が小さいほど、エッジ部242aにおける粘着シートT2の摺動抵抗の低減効果が高まる(滑りやすくなる)ため、上記各領域の曲率に上限を設けることで、比較的小さな押圧力でも粘着シートT2の十分な拡張作用が可能となる。これによりステージ24を上昇させる駆動部25の負荷の低減を図ることができるとともに、エッジ部242a上を摺動する粘着シートT2のストレスも緩和されるため拡張時における粘着シートT2の破損が抑制される。
さらに本実施形態によれば、環状のエッジ部242aを有する枠体242がステージ本体241とは別部材で構成されているため、既存のステージに枠体242を適用することで本実施形態の拡張装置20が構築可能となり、これにより装置コストの増加を抑制することができる。また、枠体242をステージ本体241とは異なる材料、例えば、粘着シートT2に対する摺動性(動摩擦係数)がステージ本体241のそれよりも低い材料で構成されてもよい。
例えば、ステージ本体241が、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料で構成される場合、枠体242は、フッ素系樹脂等の合成樹脂材料で構成されていてもよい。フッ素系樹脂材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等が挙げられる。
なお、枠体242を金属材料で構成し、エッジ部242aに相当する外周側上端部にフッ素系樹脂等で構成された樹脂被膜が設けられてもよい。これにより、枠体242の剛性を損なうことなく、粘着シートT2に対する摺動性を向上させることができる。この場合、エッジ部242aの領域242a1,242a2毎に異なる材料の樹脂被膜が用いられてもよく、各領域間で曲率を異ならせる構成に代えて又は当該構成に加えて、樹脂被膜の材質の相違に起因する粘着シートT2に対する摺動抵抗(動摩擦係数)を異ならせてもよい。
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
図21〜図23は、本実施形態に係る拡張装置200を示す概略断面図である。
以下、第1の実施形態と異なる構成について主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略または簡略化する。
本実施形態の拡張装置200は、テーブル21と、昇降機構22とを有する点で第1の実施形態と共通するが、ステージ24がリング部材244を有する点で第1の実施形態と異なる。
図21に示すように、リング部材244は、ステージ24の主面241aの周縁部を構成し、ステージ本体241に着脱可能に取り付けられる。リング部材244は、断面形状が矩形状であり、ステージ本体241の外周縁部を構成する。リング部材244は、典型的には金属材料又は合成樹脂材料で構成され、その上面は、ステージ本体241の上面と同一又は略同一平面上に位置し、ステージ24の主面241aの一部として機能する。また、リング部材244の外周面は、ステージ本体241の側周面と整列し、枠体242の内周面と対向している。
リング部材244の上面外周側の縁部は、典型的には、枠体242のエッジ部242aよりも鋭利に形成される。すなわち、上記縁部は、エッジ部242aを構成する曲面部よりも大きな曲率で形成され、粘着シートT2に対する摺動抵抗が高く(滑りにくく)なっている。これにより、後述するように環状部材30とともに粘着シートT2を挟持する際に、粘着シートT2の拡張状態が維持される(図23(a))。
本実施形態の拡張装置200において枠体242は、図22(a)に示すように、支持体(複数のストッパ片243)によってステージ本体241に支持された状態で、駆動部25により上昇し、保持面21aに保持された粘着シートT2を面内2軸方向(X軸、Y軸方向)にそれぞれ所定の拡張率で拡張させる。
拡張装置200は、粘着シートT2をその拡張状態が維持された状態で複数の積層チップ116とともにステージ本体241から取り外すための環状部材30を備える。環状部材30は、図22(b)及び図23(a)に示すように、粘着シートT2を挟んでリング部材244の外周面に嵌合可能に構成される。
具体的に、環状部材30は、リング部材244への嵌合時において、粘着シートT2をリング部材244の外周面に押し付けてその相対位置を保持できる形状又は構造を有し、このような作用が得られるように内径が設定された比較的剛性の高い金属又は合成樹脂材料で構成されてもよいし、弾性を有する環状体で構成されてもよい。
枠体242は、図22(b)に示すように、ステージ24が上昇位置に移動した後、複数のストッパ片243による支持作用が解除される。これにより枠体242は、自重により下方へ移動(落下)して、ステージ本体241から分離される。一方、粘着シートT2は、ステージ24の主面241a上でその拡張状態が維持される。
続いて、図23(a)に示すように、環状部材30が粘着シートT2を挟んで、主面241aの周縁部に配置されたリング部材244の外周面に装着される。そして図23(b)に示すように、保持面21aとステージ本体241との間で引き伸ばされている粘着シートT2の周縁部近傍部位がカッター等の切断具を用いて切断され、リング部材244及び環状部材30が粘着シートT2とともにステージ本体241から分離される。複数の積層チップ116は、粘着シートT2と一体となって次工程へ搬送され、その後、上述したような転動作用を受けて、サイドマージンあるいは外部電極が形成される。
本実施形態の拡張装置200によれば、枠体242に設けられた環状のエッジ部242aによって、ステージ24の主面241a上の粘着シートT2が面内2軸方向に異なる拡張率で拡張される。これにより第1の実施形態と同様に、粘着シートT2上の複数の積層チップ116の間隔を一方向へ優先的に拡張させることができる。
特に本実施形態によれば、ステージ本体241の周縁部に着脱可能に取り付けられたリング部材244と、枠体242をステージ本体241から分離可能に支持する支持体(ストッパ片243)と、粘着シートT2を挟んでリング部材244の外周面に嵌合可能な環状部材30とを備えているため、リング部材244と環状部材30とによる粘着シートT2の挟持作用が枠体242で阻害されることを防ぐことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば以上の実施形態では、粘着シートT2を面内2軸方向に異なる拡張率で拡張するに際して、枠体242のエッジ部242aにおける第1及び第2の領域242a1,242a2をそれぞれ異なる曲率の曲面部で構成したが、これに代えて、ステージ本体241の主面241aの周縁部を領域毎に異なる曲率の曲面部で構成してもよい。これにより、枠体242を用いることなく粘着シートを2軸方向に相互に異なる拡張率で拡張することができる。
また以上の実施形態では、枠体242を円環状に形成したが、これに代えて、楕円又は長円(2つの円弧を直線で結んだ形状)のような2軸方向において形状又は形態が異なる環状の枠体が用いられてもよい。これによりエッジ部の曲率を領域ごとに異ならせることなく、短軸方向の拡張率を長軸方向の拡張率よりも大きくすることができる。
さらに以上の実施形態では、積層セラミックコンデンサの製造に本発明に係る拡張装置を適用した例について説明したが、これ以外にも、例えば積層インダクタ等のチップ型コイル部品や圧電素子等、個々のチップに個片化した後、当該チップの切断面に絶縁層や導体層が形成される他の電子部品の製造にも本発明は適用可能である。
10…積層セラミックコンデンサ
16,116…積層チップ
17…サイドマージン部
20,200…拡張装置
21…テーブル
21a…保持面
21b…開口部
22…昇降機構
24…ステージ
25…駆動部
30…環状部材
241…ステージ本体
241a…主面
242…枠体
242a…エッジ部
242a1…第1の領域
242a2…第2の領域
243…ストッパ片(支持体)
244…リング部材
T2…粘着シート

Claims (8)

  1. 第1の軸方向に直交し粘着シートの周縁部を固定可能な保持面と、前記保持面に設けられた開口部とを有するテーブルと、
    前記開口部に配置され前記保持面に固定された粘着シートに対向するステージと、前記テーブルに対して前記ステージを前記第1の軸方向に沿って昇降移動させる駆動部とを含み、前記ステージは、前記保持面に平行な主面と、前記主面の周縁に設けられ前記粘着シートに対する前記第1の軸方向への押圧力を前記主面に平行な面内での引張力に変換する環状のエッジ部とを有し、前記環状のエッジ部は、前記主面上の粘着シートを前記第1の軸方向に直交する第2の軸方向に第1の拡張率で拡張させる第1の領域と、前記主面上の粘着シートを前記第1及び第2の軸方向に直交する第3の軸方向に前記第1の拡張率とは異なる第2の拡張率で拡張させる第2の領域とを有し、前記第1及び第2の領域は、前記主面から前記ステージの側面に向かって連続する曲面部をそれぞれ有し、前記第1の領域における前記曲面部は、前記第2の領域における前記曲面部とは異なる曲率を有する昇降機構と
    を具備する拡張装置。
  2. 請求項1に記載の拡張装置であって、
    前記ステージは、前記主面を有するステージ本体と、前記ステージ本体の周囲に配置され前記ステージ本体と一体的に昇降可能な枠体とを有し、
    前記環状のエッジ部は、前記粘着シートに対向する前記枠体の一端部に設けられる
    拡張装置。
  3. 請求項1又は2に記載の拡張装置であって、
    前記第1の領域は、前記第2の軸方向に相互に対向して設けられ、
    前記第2の領域は、前記第3の軸方向に相互に対向して設けられる
    拡張装置。
  4. 請求項1からのいずれか1つに記載の拡張装置であって、
    前記第1及び第2の領域は、前記粘着シートに対して相互に異なる動摩擦係数を有する
    拡張装置。
  5. 請求項1からのいずれか1つに記載の拡張装置であって、
    前記第1及び第2の領域のうち、一方は金属材料で構成され、他方はフッ素系樹脂材料で構成される
    拡張装置。
  6. 請求項2からのいずれか1つに記載の拡張装置であって、
    前記ステージは、前記主面の周縁部を構成し前記ステージ本体に着脱可能に取り付けられたリング部材と、前記枠体を前記ステージ本体に対して分離可能に支持する支持体とをさらに有し、
    前記拡張装置は、前記粘着シートを挟んで前記リング部材の外周面に嵌合可能な環状部材をさらに具備する
    拡張装置。
  7. 請求項1に記載の拡張装置を用いた電子部品の製造方法であって、
    直交する2軸方向に配列された複数の積層チップの集合体を保持する粘着シートの周縁部を、前記2軸方向が前記第2及び第3の軸方向にそれぞれ平行となるように前記保持面に固定し、
    前記ステージを前記第1の軸方向に移動させることで、前記粘着シートを前記第2及び第3の軸方向に異なる拡張率で拡張させる
    電子部品の製造方法。
  8. 請求項に記載の電子部品の製造方法であって、
    前記電子部品は、積層セラミックコンデンサである
    電子部品の製造方法。
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