JP6972715B2 - 積層セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法では、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性に優れるため、セラミック保護層用グリーンシートを薄くすることができる。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
図1は、本発明の積層セラミック電子部品の製造方法によって得られる積層セラミックコンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す積層セラミックコンデンサを構成する部品本体の一例を模式的に示す斜視図である。
後述するように、図2に示す部品本体12は、図3に示すグリーンチップ19の互いに対向する1対の側面(以下、切断側面という)20及び21上に、未焼成のセラミック保護層22及び23をそれぞれ形成したものを焼成することにより得られる。以後の説明において、焼成後の部品本体12におけるグリーンチップ19に由来する部分を積層部24と呼ぶことにする。
図4に示すように、セラミック層25となるべきセラミックグリーンシート31上に、所定のパターンをもって導電性ペーストが印刷されることによって、内部電極26及び27の各々となるべき内部電極パターン32が形成される。具体的には、セラミックグリーンシート31上に、帯状の内部電極パターン32が複数列形成される。
図5(a)に示すように、内部電極パターン32が形成されたセラミックグリーンシート31を、内部電極パターン32の幅方向に沿って所定間隔、すなわち内部電極パターン32の幅方向寸法の半分ずつずらしながら所定枚数積層する。さらに、その上下に内部電極パターンが印刷されていないセラミックグリーンシートを所定枚数積層する。
図5(b)及び図5(c)には、帯状の内部電極パターン32が延びる方向と直交する第1方向(図5(b)及び図5(c)における上下方向)の切断線33、及び、これに対して直交する第2方向(図5(b)及び図5(c)における左右方向)の切断線34の各一部が示されている。帯状の内部電極パターン32は、2つ分の内部電極26及び27が各々の引出し部同士で連結されたものが、第2方向に沿って連なった形状を有している。図5(b)及び図5(c)では、切断線33及び34が共通して示されている。
図6において、マザーブロック35は、互いに直交する第1方向の切断線33及び第2方向の切断線34に沿って切断され、行及び列方向に配列された複数のグリーンチップ19が得られる。図6では、マザーブロック35の内部に位置する最上の内部電極パターン32が破線で示されている。なお、図6では、1個のマザーブロック35から6個のグリーンチップ19が取り出されているが、実際には、より多数のグリーンチップ19が取り出される。また、図6に示すマザーブロック35はあくまでも一例であり、実際には、セラミックグリーンシート31及び内部電極パターン32を積層する枚数、及び、帯状の内部電極パターン32を形成する列の個数はより多くなる。
図6に示す粘着シート38を拡張することによって、図7に示すように、行及び列方向に配列された複数のグリーンチップ19は、互いの間隔を広げた状態とされることが好ましい。
本発明の積層セラミック電子部品の製造方法では、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性に優れるため、セラミック保護層用グリーンシートを薄くすることができる。
セラミックシートを成形することにより、セラミック保護層用グリーンシート全体が表1に示す厚み及び組成となるように、セラミック保護層用グリーンシートA、B、C、D、E、F、G、H、I及びJを作製した。
表1中、PVBはポリビニルブチラール、DOPはフタル酸ジオクチルを表している。樹脂の分子量は、重量平均分子量を意味している。また、セラミック材料としてBaTiO3を用いた。
作製したセラミック保護層用グリーンシートについて、測定サンプルを作製し、引張試験を行った。測定サンプルが切断したときの応力を測定し、それを破断荷重y[N]とした。また、上記切断時における測定サンプルの伸び率を測定し、それを破断歪x[%]とした。各セラミック保護層用グリーンシートの破断歪及び破断荷重の測定結果を表2〜表5に示す。
作製したセラミック保護層用グリーンシートを用いて、以下のように積層セラミックコンデンサを作製することにより、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性及び加工性を評価した。
セラミック原料としてのBaTiO3に、バインダ樹脂、可塑剤、分散剤、帯電防止剤及び有機溶剤を加え、これらをボールミルにより湿式混合し、セラミックスラリーを作製した。次いで、このセラミックスラリーをリップ方式によりシート成形し、矩形のセラミックグリーンシートを得た。次に、上記セラミックグリーンシート上に、Ni、セルロース系のバインダ樹脂、分散剤及び溶剤を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷し、Niを主成分とする内部電極パターンを形成した。
以下の基準により、セラミック保護層用グリーンシートのハンドリング性を評価した。
ハンドリング性×(不良):セラミック保護層用グリーンシートの巻取り及び巻出しができず、セラミック保護層用グリーンシートが破れる場合。
ハンドリング性〇(良):上記以外の場合。
ハンドリング性が〇であるセラミック保護層用グリーンシートに対しては、以下の基準により、セラミック保護層用グリーンシートの加工性を評価した。
加工性×(不良):セラミック保護層用グリーンシートが切断側面の形状に打ち抜けていない場合、又は、打ち抜いたセラミック保護層用グリーンシートによってグリーンチップが粘着シートから脱離する場合。
加工性△(可):セラミック保護層用グリーンシートは打ち抜けているものの、所定の位置で破断できていない場合。この場合、品質不良となる可能性がある。
加工性〇(良):上記以外の場合。
表2〜表4に示すNo.1〜10が比較例であり、表5に示すNo.11〜51が実施例である。
12 部品本体
13,14 主面
15,16 側面
17,18 端面
19 グリーンチップ
20,21 切断側面
22,23 セラミック保護層
24 積層部
25 セラミック層
26,27 内部電極
28,29 外部電極
31 セラミックグリーンシート
32 内部電極パターン
33 第1方向の切断線
34 第2方向の切断線
35 マザーブロック
36,37 切断端面
38 粘着シート
40 支持台
41 転動作用板
42 セラミック保護層用グリーンシート
43 貼付用弾性体
44 巻出しロール
45 巻取りロール
Claims (3)
- 積層された複数のセラミックグリーンシートと、前記セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含む、マザーブロックを作製する工程と、
前記マザーブロックを互いに直交する第1方向の切断線及び第2方向の切断線に沿って切断することによって、未焼成の状態にある複数のセラミック層と複数の内部電極とをもって構成された積層構造を有し、かつ前記第1方向の切断線に沿う切断によって現れた切断側面に前記内部電極が露出した、複数のグリーンチップを得る切断工程と、
前記切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付することによって、未焼成の部品本体を得る貼付工程と、
前記未焼成の部品本体を焼成する工程と、を備える積層セラミック電子部品の製造方法であって、
前記貼付工程では、貼付弾性体上に置かれた前記セラミック保護層用グリーンシートに前記切断側面を押し付けた後、前記セラミック保護層用グリーンシートを前記切断側面に付着させた状態で、前記グリーンチップを前記貼付用弾性体から離隔し、
前記セラミック保護層用グリーンシートの厚みは、15μm以上、30μm以下であり、
前記セラミック保護層用グリーンシートの破断歪をx[%]、前記セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重をy[N]としたとき、
y≧1.303であり、かつ、−0.0962x+2.277≦y≦−0.1172x+3.489を満たすことを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。 - 積層された複数のセラミックグリーンシートと、前記セラミックグリーンシート間の複数の界面に沿ってそれぞれ配置された内部電極パターンとを含む、マザーブロックを作製する工程と、
前記マザーブロックを第1方向の切断線に沿って切断することによって、未焼成の状態にある複数のセラミック層と複数の内部電極とをもって構成された積層構造を有し、かつ前記第1方向の切断線に沿う切断によって現れた切断側面に前記内部電極が露出した、複数の棒状のグリーンブロック体を得る第1切断工程と、
前記切断側面にセラミック保護層用グリーンシートを貼付する貼付工程と、
前記セラミック保護層用グリーンシートが貼付された前記棒状のグリーンブロック体を、前記第1方向に直交する第2方向の切断線に沿って切断することによって、複数の未焼成の部品本体を得る第2切断工程と、
前記未焼成の部品本体を焼成する工程と、を備える積層セラミック電子部品の製造方法であって、
前記貼付工程では、貼付弾性体上に置かれた前記セラミック保護層用グリーンシートに前記切断側面を押し付けた後、前記セラミック保護層用グリーンシートを前記切断側面に付着させた状態で、前記棒状のグリーンブロック体を前記貼付用弾性体から離隔し、
前記セラミック保護層用グリーンシートの厚みは、15μm以上、30μm以下であり、
前記セラミック保護層用グリーンシートの破断歪をx[%]、前記セラミック保護層用グリーンシートの破断荷重をy[N]としたとき、
y≧1.303であり、かつ、−0.0962x+2.277≦y≦−0.1172x+3.489を満たすことを特徴とする積層セラミック電子部品の製造方法。 - 前記セラミック保護層用グリーンシートは、前記切断側面より大きい寸法を有し、
前記切断側面を前記セラミック保護層用グリーンシートに押し付ける際、前記セラミック保護層用グリーンシートを前記切断側面の周縁によって打ち抜く請求項1又は2に記載の積層セラミック電子部品の製造方法。
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