JP2005193573A - セラミックグリーンシート並びにその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 薄膜化された場合にも十分な強度を有するセラミックグリーンシートを提供することにある。具体的には、1〜10μm程度の薄膜化された場合にも十分な引張り強度や曲げ強度を有し、十分に薄膜化に対応できるセラミックグリーンシートを提供すると共に、塗工前に粘度が上昇することがなく塗工性に優れ、さらに十分な強度を有しハンドリング性に優れたセラミックグリーンシートの製造方法を提供することにある。
【解決手段】 少なくともバインダ、可塑剤およびセラミックス粉体からなるセラミックシートであって、前記バインダは水酸基含有樹脂とポリイソシアネートとの反応生成物を含有してなるセラミックグリーンシートとすることによって、解決される。
【選択図面】 なし

Description

本発明は、セラミック多層配線基板等のセラミックパッケージの製造に用いられるセラミックグリーンシート並びにセラミックグリーンシートの製造方法に関するものである。
セラミック多層配線基板等のセラミックパッケージには、セラミックグリーンシートが使用されている。このセラミックグリーンシートは、例えばセラミック粉体、、バインダと有機溶剤からなる混合物をベースとし、必要により可塑剤、分散剤や消泡剤等の添加剤を添加し、ボールミル等で均一に混合してスラリーを調整し、このスラリーを、例えば剥離処理されたポリエステルフィルム等の支持体上に塗布した後、有機溶剤を乾燥除去し前記支持体から剥離することによってセラミックグリーンシートとなる。そしてこのセラミックグリーンシート上には、内部電極を形成するための導電性組成物がスクリーン印刷等によって所定のパターンに印刷され、ついでこれを複数枚重ね合わせ加熱圧縮して積層体とした後、焼成処理することによってバインダが熱分解されて除去されセラミック多層配線基板が得られる。
そして近年の電子機器類の多機能化や小型化に伴い、セラミック多層配線基板においても大容量化や小型化が求められている。このためセラミックグリーンシートもより薄膜化が求められている。例えば厚さが5μm以下のものである。このような薄膜のセラミックグリーンシートは、その作製時の諸工程において負荷される引張や曲げ等の応力に対して十分な強度がないとハンドリング性等が問題となる。また、バインダの加熱分解残渣もより問題となってくるので、より良好な熱分解性が要求される。
このような要求に対する技術として特許文献1には、アルキル(メタ)アクリレートがブチラール樹脂にグラフト共重合体された樹脂からなるバインダが、熱分解性と強度に優れていると記載されている。しかしながら、このようなグラフト共重合体は連鎖移動反応を利用してグラフト重合させるのでグラフト化の程度が低いという問題があり、グラフト化の程度が低いと生成物はブレンドの状態に近く白濁しているのでバインダとしての均質性が劣り、得られたセラミックグリーンシートの強度も十分でなくハンドリング性に問題があった。また特許文献2には、メタアクリル酸系の共重合体が、熱分解性とスラリーの安定性に優れている旨の記載が見られる。しかしながら、このようなメタアクリル酸系の共重合体をバインダとして用いたセラミックグリーンシートは、十分な強度が得られず同様にハンドリング性が悪いことが判った。
特開2001−172553号公報 特開平10−167836号公報
よって本発明が解決しようとする課題は、薄膜化された場合にも十分な強度を有するセラミックグリーンシートを提供することにある。具体的には、1〜10μm程度の薄膜化された場合にも十分な引張り強度や曲げ強度を有し、十分に薄膜化に対応できるセラミックグリーンシートを提供すると共に、塗工前に粘度が上昇することがなく塗工性に優れ、さらに十分な強度を有しハンドリング性に優れたセラミックグリーンシートの製造方法を提供することにある。
以上の課題を解決するためには、請求項1に記載されるように、少なくともバインダ、可塑剤およびセラミックス粉体からなるセラミックシートであって、前記バインダは水酸基含有樹脂とポリイソシアネートとの反応生成物を含有してなるセラミックグリーンシートとすることによって、解決される。
また請求項2に記載されるように、前記水酸基含有樹脂が水酸基含有(メタ)アクリル樹脂であり、前記ポリイソシアネートが脂肪族イソシアネートであるセラミックグリーンシートとすることによって、解決される。
さらに請求項3に記載されるように、前記ポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO基)が、前記バインダと前記可塑剤の合計量中に1.2〜20×10−4(mol/g)含有されているセラミックグリーンシートとすることによって、解決される。
さらにまた請求項4に記載されるように、前記請求項1〜3のいずれかに記載されるセラミックグリーンシートの製造方法であって、少なくとも水酸基含有樹脂、可塑剤、セラミックス粉末および有機溶剤の混合物からなるセラミックスラリーを得る工程、このセラミックスラリー中にポリイソシアネートを混合・分散する工程、得られたセラミックスラリーを剥離性の支持体上に塗工し、乾燥・硬化させてセラミックシートとする工程、ついで前記セラミックシートを前記支持体から剥離する工程からなるセラミックグリーンシートの製造方法とすることによって、解決される。
本発明のセラミックグリーンシートは、バインダが水酸基含有樹脂とポリイソシアネートとの反応生成物を含有すること、より好ましくは水酸基含有樹脂が水酸基含有(メタ)アクリル樹脂であり、前記ポリイソシアネートを脂肪族イソシアネートとしたので、さらには、ポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO基)の量を前記バインダと前記可塑剤の合計量中に1.2〜20×10−4(mol/g)含有するようにしたので、薄膜化しても十分に強度を有するセラミックグリーンシートとなる。具体的には、1〜10μm程度の薄膜化された場合にも十分な引張り強度や曲げ強度を有し、ハンドリング性に優れたセラミックグリーンシートである。
またその製造方法も、少なくとも水酸基含有樹脂、可塑剤、セラミックス粉体および有機溶剤の混合物からなるセラミックスラリーを得る工程、このセラミックスラリー中にポリイソシアネートを混合・分散する工程、得られたセラミックスラリーを剥離性の支持体上に塗工し、乾燥・硬化させてセラミックシートとする工程、ついで前記セラミックシートを前記支持体から剥離する工程からなるセラミックグリーンシートの製造方法としたので、塗工前にセラミックスラリーの粘度上昇がなく塗工性に優れ、また乾燥時の硬化反応によって薄膜化された場合にも十分に強度を有するセラミックグリーンシートが得られるので、ハンドリング性や塗工性に優れたセラミックグリーンシートの製造方法である。
以下に本発明を詳細に説明する。請求項1に記載される発明は、少なくともバインダ、可塑剤およびセラミックス粉体からなるセラミックシートであって、前記バインダは水酸基含有樹脂とポリイソシアネートとの反応生成物を含有させたセラミックグリーンシートである。前記水酸基含有樹脂としては特に限定されないが、水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、メチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、セルロースアセテート等のセルロース系樹脂やブチラール樹脂等が挙げられる。中でも水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂は、セラミックグリーンシートの焼成時の熱分解性に優れているので好ましい。そして請求項2に記載するように、脂肪族イソシアネートとの反応性生物を含有させたバインダとするのが、熱分解性と併せて、1〜10μm程度に薄膜化されたセラミックグリーンシートの強度や伸度を十分に確保することができ好ましい。
このような水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂は、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体と他の(メタ)アクリル酸エステル単量体を共重合させることによって得ることができる。水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられ、また他の(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これ等を単独で或いは2種以上混合して使用することができる。
このような水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂は、常法である懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等によって得ることができ、特に溶液重合法によって得られた水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂は、溶剤に重合体が溶解した形態となっているので、セラミックス粉末等のその他の材料の添加混合が容易になるので特に好ましい。さらに、セラミックス粉末の分散性を向上させるために、極性基を有する単量体を添加することができる。例えばアクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸の単量体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体やジメチルアクリルアミド等のアミド系単量体である。
また水酸基を有する(メタ)アクリル樹脂を構成する単量体成分としては、単量体のみを重合させた重合体の理論ガラス転移点温度が、−30〜70℃の範囲のものが好ましい。このような特性の単量体成分を選択することによって、セラミックグリーンシートの作製時に、任意の量の可塑剤を添加させることができセラミックグリーンシートの強度を高めることができる。なお、理論ガラス転移点温度は、つぎのFOXの式から求めることができる。1/Tg=Σ(Wi/Tgi)(ただし、Wiは単量体の質量分率、Tgiは単量体のガラス転移点温度(K)である。)
つぎに水酸基含有樹脂と反応させるポリイソシアネートについて説明する。このポリイソシアネートは、芳香族、脂肪族や脂環式ポリイソシアネートを単独で或いは混合物として用いることができる。例えばm−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート等である。中でもセラミックグリーンシートの焼成時における熱分解性の点から脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、最も好ましいのはヘキサメチレンジイソシアネートである。このようなポリイソシアネートを用いて水酸基含有樹脂との反応生成物を含有するバインダを用いることによって、1〜10μm程度に薄膜化されたセラミックグリーンシートの強度や伸度を、十分に確保することができる。
そして前記ポリイソシアネートの添加量は、請求項3に記載するように、前記ポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO基)が、前記バインダと前記可塑剤の合計量中に1.2〜20×10−4(mol/g)含有されているセラミックグリーンシートとすることによって、1〜10μm程度の薄膜化された場合にも十分な引張り強度や曲げ強度を有し、ハンドリング性や塗工性に優れたセラミックグリーンシートとすることができる。
このようにポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO基)を、バインダと可塑剤の合計量中に1.2〜20×10−4(mol/g)含有させるのは、−NCO基が1.2×10−4(mol/g)未満であると、バインダ中の水酸基との反応点が少なくなり、セラミックグリーンシートの強度が小さくなって好ましくない。また−NCO基が20×10−4(mol/g)を超えると、バインダ中の水酸基との反応点が多くなりすぎバインダ中に架橋構造が多くなり、セラミックグリーンシートの伸度が低下して好ましくなくなるためである。なお−NCO基の量(mol/g)は、下記数式1によって求めることができる。
Figure 2005193573
なおセラミックグリーンシート中のバインダと可塑剤の合計含有量は、5〜20wt%程度とするのが好ましい。これは、セラミックグリーンシートの収縮量や収縮のバラツキを小さくするためには、バインダと可塑剤との合計量を少なくするほうが好ましいためである。なお含有量が5wt%未満であるとセラミックス粉末への付着量が少なくなり、セラミックグリーンシートの柔軟性や強度が低下し、また20wt%を超えるとセラミックグリーンシートを焼結する際の収縮が大きくなって好ましくない。
また、セラミックスラリーの粘度調整や可塑性を得るために添加される可塑剤は、特に限定されないがバインダとの相溶性が良いものが好ましい。特にフタル酸エステル系の可塑剤が好ましい。具体的には、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。セラミックグリーンシート中の可塑剤の含有量は用いるバインダおよび可塑剤の種類によって決められるが、含有量が少なすぎると可塑効果が発現せず、逆に多すぎるとセラミックグリーンシートの強度が低下したり、ブロッキングが発生するようになるので、0.1〜10wt%程度とするのが好ましい。
さらにセラミックス粉末としては、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム等が使用される。そして好ましくは、その粒径が0.5μm以下の微粒子がよい。これによってセラミックグリーンシートを、10μm程度以下の薄膜としても対応できることになる。またその含有量も30〜80wt%程度とすることによって、セラミックグリーンシート作製時のスラリーの粘度が低くなりすぎてハンドリング性が悪くなることがなく、またバインダとの付着量が少なすぎるためにセラミックグリーンシートの柔軟性や強度が低下するということもなくなる。
以上のような構成のセラミックグリーンシートは、その膜厚を1〜10μm程度としても、破断強度が90kgf/cm以上で、伸度(破断伸び)も10%以上と高い引張破断強度のものとなる。よって、セラミックグリーンシート作製時の諸工程における引張りや曲げ等の応力に対して十分堪えることができ、ハンドリング性に優れたものとなる。なお、セラミックグリーンシート中には必要に応じて、分散剤、湿潤剤、消泡剤、帯電防止剤、減粘剤等を添加することができる。
以上のような特性のセラミックグリーンシートは、請求項4に記載する製造方法によって製造することができる。すなわち、少なくとも水酸基含有樹脂、可塑剤、セラミックス粉体および有機溶剤の混合物からなるセラミックスラリーを得る工程、このセラミックスラリー中にポリイソシアネートを混合・分散する工程、得られたセラミックスラリーを剥離性の支持体上に塗工し、乾燥・硬化させてセラミックシートとする工程、ついで前記セラミックシートを前記支持体から剥離する工程からなるセラミックグリーンシートの製造方法とすることによって、塗工前に粘度が上昇することがなく塗工性に優れ、さらに十分な強度を有しハンドリング性に優れたセラミックグリーンシートの製造方法とすることができる。
本発明の製造方法の最も特徴とするところは、セラミックグリーンシート用のセラミックスラリーを製造するに当り、少なくとも水酸基含有樹脂、可塑剤、セラミックス粉体および有機溶剤の混合物とし、これにポリイソシアネートを混合・分散することである。このような製法とすることによって、水酸基含有樹脂、可塑剤、セラミックス粉体、有機溶剤およびポリイソシアネートを一度に混合する場合に比較して、セラミックスラリーの粘度上昇が少なく、塗工性に優れ、また乾燥時の硬化反応により強度の強いセラミックグリーンシートが得られる。なお前記セラミックスラリーは、ボールミル、三本ロール等の混合・攪拌装置を用いて製造することができる。
具体的に説明すると、水酸基含有樹脂を有機溶剤に加えて攪拌溶解し、これに可塑剤、セラミックス粉末を加えた後混合攪拌し、ボールミル、三本ロール等の混合装置を用いて前記セラミックス粉末を分散してセラミックスラリーとする。このようにして得られたスラリーには所定量のポリイソシアネートを加え、更に分散させることによってセラミックグリーンシート用のセラミックスラリーとする。なお有機溶剤としては、水酸基含有樹脂および次工程で加えられるポリイソシアネートを溶解するものであれば良く、例えばアセトン、メチルエチレケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン等が好適に使用できる。また本発明のセラミックスラリーには、分散剤、湿潤剤、消泡剤、帯電防止剤、減粘剤等を必要量加えてもよい。
このようにして得られたセラミックスラリーは、剥離性の良い支持体上にドクターブレード法、カレンダーロール法、押出し法等によって適宜の厚さに塗工される。本発明のセラミックスラリーは塗工性に優れたものであるから、厚さが1〜10μmの薄膜とすることが可能である。また前記支持体としては、表面が平滑で剥離性を有するものが使用される。実用性の面からポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)が好適である。ついで塗工された薄膜は、乾燥して有機溶剤を除去すると共に、水酸基含有樹脂の水酸基とポリイソシアネートのイソシアネート基を反応硬化させてセラミックグリーンシートとする。乾燥条件は、乾燥温度100〜150℃で30〜60分程度とするのが好ましい。このようにして得られたセラミックグリーンシートは、適度な引張強度と伸び強度を有しているので、冷却した後支持体から剥離する場合にも問題なく剥がすことができるハンドリング性に優れたものである。
以下に実施例並びに比較例を示して本発明の効果を説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお表1中の配合処方の数値は、質量部として示した。
水酸基含有(メタ)アクリル樹脂の調整:攪拌機、還流冷却器、温度計を備えたガラス製の反応容器に、メタクリル酸エチル(EMA)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(2−HEMA)、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)、反応開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)をそれぞれの質量部加え、攪拌しながら70℃で10時間反応させた。反応液を室温まで冷却した後、さらに前記MEKを50質量部加えて共重合体溶液とした。得られた共重合体溶液は、それぞれ溶液A−1、溶液A−2、溶液A−3として表1に記載した。
Figure 2005193573
セラミックグリーンシートの成形:前記共重合体溶液(溶液A−1、溶液A−2、溶液A−3)および水酸基含有樹脂の他の例として、ブチラール樹脂(積水化学工業社のBM−S)を用意した。またセラミックス粉末として、粒子径0.5μmのチタン酸バリウム粉末(堺化学工業社製、BT−05)、可塑剤としてフタル酸ブチルベンジル(BBP)、溶剤として前記MEK、トルエンをそれぞれ必要質量部配合し、ボールミルを用いて20時間分散させた。ついで、架橋剤として脂肪族ポリイソシアネート(旭化成社製、デュラミネートD−101、デュラミネートD−201、デュラミネートE−405)をそれぞれ加えて30分間分散させ、セラミックグリーンシート成形用のセラミックスラリーを製造した。なお分散メディアにはジルコニアビーズを使用した。このセラミックスラリーを離型処理されたPETフィルム(パナック社製)上にドクターブレードを使用してそれぞれの厚さに塗布した後、100℃で30分間の乾燥・硬化処理を行った。その後薄膜シートを剥離しセラミックグリーンシートを得た。
このようにして得られたセラミックグリーンシートについて、破断強度並びに伸度(伸び強度)を測定した。測定は、引張試験機を用い温度23℃、相対湿度65%において、幅20mm、長さ30mmのシート試料について、引張り速度10mm/minで行った。結果を表2に示した。
Figure 2005193573
表2から明らかなごとく、実施例1〜8に示される本発明のセラミックグリーンシートは、薄膜のシートであって引張強度並びに伸度が優れており、製造中のハンドリング性に優れたものであることがわかる。より詳細に説明すると、水酸基含有樹脂(バインダ)と可塑剤の合計量中に、ポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO基)を1.2〜20×10−4mol/g含有するセラミックグリーンシートは、2〜10μmの薄膜であっても、引張強度が90kgf/cm以上で、伸度が10%以上の特性を有するハンドリング性に優れたものであることがわかる。また水酸基含有樹脂も、水酸基含有(メタ)アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂(BM−S)を使用できることがわかる。
これに対して、比較例1〜3のようにポリイソシアネートを用いない場合には、水酸基含有樹脂が水酸基含有(メタ)アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂(BM−S)のいずれも、引張強度が低く伸度も小さくハンドリング性に問題が生じるものであった。また比較例4に見られるように水酸基含有樹脂(バインダ)と可塑剤の合計量中のイソシアネート基(−NCO基)量が、0.6×10−4mol/gのように1.2×10−4mol/gよりも少ないと、引張強度が小さくなって好ましくない。さらに比較例5のように、水酸基含有樹脂(バインダ)と可塑剤の合計量中のイソシアネート基(−NCO基)量が、22×10−4mol/gのように20×10−4mol/gよりも多くなると、引張強度が小さくさらに伸度も小さくなって、ハンドリング性が悪くなって好ましくない。
以上のようなセラミックグリーンシートは、薄膜としても破断強度や破断伸びが大きいのでハンドリング性に優れ製造が容易であり、このため薄膜のセラミックグリーンシートが得られるので、薄型で小型化されるセラミックパッケージに対応できることになり有用なものである。

Claims (4)

  1. 少なくともバインダ、可塑剤およびセラミックス粉末からなるセラミックシートであって、前記バインダは水酸基含有樹脂とポリイソシアネートとの反応生成物を含有してなることを特徴とするセラミックグリーンシート。
  2. 前記水酸基含有樹脂が水酸基含有(メタ)アクリル樹脂であり、前記ポリイソシアネートが脂肪族ポリイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックグリーンシート。
  3. 前記ポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO基)が、前記バインダと前記可塑剤の合計量中に1.2〜20×10−4(mol/g)含有されていることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート。
  4. 前記請求項1〜3のいずれかに記載されるセラミックグリーンシートの製造方法であって、少なくとも水酸基含有樹脂、可塑剤、セラミックス粉末および有機溶剤の混合物からなるセラミックスラリーを得る工程、このセラミックスラリー中にポリイソシアネートを混合・分散する工程、得られたセラミックスラリーを剥離性の支持体上に塗工し、乾燥・硬化させてセラミックシートとする工程、ついで前記セラミックシートを前記支持体から剥離する工程からなることを特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
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