JP6508487B2 - ヘマタイト粒子粉末の製造方法、該ヘマタイト粒子粉末を用いた塗料の製造方法及び樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

ヘマタイト粒子粉末の製造方法、該ヘマタイト粒子粉末を用いた塗料の製造方法及び樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鮮やかな色相を有するヘマタイト粒子粉末を環境負荷の小さい製造方法によって得るものである。
ヘマタイト粒子粉末は、赤褐色を呈している為、顔料とビヒクルとを混合して塗料を製造する際の塗料用顔料粉末として広く使用されており、更に、ゴム・プラスチックに混錬・分散して用いる着色材やアスファルト等の混合剤に添加・混錬して用いる道路舗装用着色材、その他にも陶磁器及び化粧品の着色材等、広く使用されている。
前記の通り、ヘマタイト粒子粉末は、様々な分野で使用されているが、着色材として、共通して要求されるヘマタイト粒子粉末の特性は色の濁りの要因にもなるCr、Mn、Ti、Zn、Cuの含有率が低く、同様に色の濁りの原因となるゲータイトやマグネタイト等の異種酸化鉄化合物を含有せず粒子形状が均斉で分散性に優れていることである。
また、前記ヘマタイト粒子粉末の特性向上に加え、その製造方法についても硝酸を用いることなく、より環境負荷の小さい製造方法でヘマタイト粒子粉末を製造することが望まれている。
従来より、湿式反応によって、ヘマタイト粒子粉末を製造することが種々検討されている(特許文献1〜2)。
特開平6−115945号公報 特開平6−219750号公報
鮮やかな色相を有するヘマタイト粒子粉末を環境負荷の小さい手段で製造することが要求されている。
特許文献1には、酒石酸などを用いて種晶粒子を生成する第一段反応と、前記種晶粒子の存在下、pH、反応温度を制御してヘマタイト粒子を生成する第二段反応からなるヘマタイト粒子粉末の製造方法が記載されているが、種晶粒子が非晶質であるため、最終生成物であるヘマタイト粒子の特性管理が不十分となり、針状の不純物酸化鉄粒子が混入し易く、十分に鮮明な色相を有するとは言い難いものである。
特許文献2には、マグネタイト粒子を用い、更に、金属鉄を添加し、pH、反応温度を制御してヘマタイト粒子を生成するヘマタイト粒子粉末の製造方法が記載されているが、既存のいわゆる赤色酸化鉄顔料の有する色相と比較し、明らかに黄味が強く、赤色酸化鉄顔料とは言い難い色相を有する粉末もあり、赤色酸化鉄の色相としては十分とは言い難い。
本発明の目的は、鮮やかな色相を有するヘマタイト粒子粉末を環境負荷の小さい手段(例えば、酸性系反応で常圧化の硝酸イオンを含まない硫酸第一鉄水溶液を使用する製造方法)で得ることができるヘマタイト粒子粉末の製造方法を提供することである。
前記目的は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、第一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中のFeに対し当量比が0.91〜1.1のアルカリ水溶液とを反応させて得られる水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイドを含む第一鉄塩反応溶液に、カルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸又はその塩を添加しておき、次いで、この第一鉄塩反応溶液に30〜50℃の温度範囲で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行ってマグネタイト微粒子を生成させる第一段反応と、第一段反応の終了後、当該反応溶液を加熱昇温して90℃〜沸点の温度範囲とした後、第一鉄塩水溶液又は金属鉄を追加投入し、前記温度範囲を維持した状態でpHが3.5〜5.0の範囲において酸素含有ガスを通気して酸化反応を行ってヘマタイト粒子を生成させる第二段反応との二段階反応からなることを特徴とするヘマタイト粒子粉末の製造方法である(本発明1)。
また、本発明は、カルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸又はその塩の添加量が、反応溶液中のFeに対して0.1〜2.0mol%である本発明1記載のヘマタイト粒子粉末の製造方法である(本発明2)。
また、本発明は、カルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸が、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸のいずれか一種以上である本発明1又は2記載のヘマタイト粒子粉末の製造方法である(本発明3)。
また、本発明は、本発明1〜3のいずれかに記載のヘマタイト粒子粉末の製造方法によって得られたヘマタイト粒子粉末を配合した塗料である(本発明4)。
また、本発明は、本発明1〜3のいずれかに記載のヘマタイト粒子粉末の製造方法によって得られたヘマタイト粒子粉末を用いて着色した樹脂組成物である(本発明5)。
本発明に係るヘマタイト粒子粉末の製造方法によれば、既存の硝酸鉄及び硝酸/硫酸の混酸を使用して製造されるヘマタイト粒子の製造方法と比較して、小さい環境負荷でヘマタイト粒子を製造することができる。また、本発明により得られたヘマタイト粒子粉末は、特許文献1〜2により得られるヘマタイト粒子と比較して、相対的に黄味よりも赤味の強いヘマタイト粒子粉末として、塗料、樹脂、ゴム、プラスチック、陶磁器、化粧品、道路舗装用着色材料の原料粉末として好適である。
実施例1の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例3の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1〜2、比較例1で得られたヘマタイト粒子粉末の相対反射率曲線である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
まず、本発明に係るヘマタイト粒子粉末の製造方法について述べる。
本発明では、第一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中のFeに対し当量比が0.90〜1.1のアルカリ水溶液とを反応させて得られる水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイドを含む第一鉄塩反応溶液に、カルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸又はその塩を添加しておき、次いで、この第一鉄塩反応溶液に30〜50℃の温度範囲で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行ってマグネタイト微粒子を生成させる第一段反応と、第一段反応の終了後に、加熱昇温して90℃〜沸点の温度範囲とした後、pHを3.5〜5.0の範囲を維持させて第一鉄塩水溶液又は金属鉄を追加投入し、引き続いて、前記温度範囲(90℃〜沸点)を維持した状態において前記pHの範囲(3.5〜5.0)を維持するようにアルカリ水溶液を添加しながら酸素含有ガスを通気して酸化反応を行ってヘマタイト粒子を生成させる第二段反応との二段階反応からなる。
本発明における第一鉄塩水溶液としては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等を使用することができる。
本発明におけるアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などの水酸化アルカリ水溶液、又は、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液等の炭酸アルカリ水溶液の一種以上を用いることができ、これらの混合水溶液を用いてもよい。
本発明における第一段反応において使用される第一鉄塩の反応濃度としては、0.1〜1.5mol/Lの範囲が好ましい。第一鉄塩の反応濃度が0.1mol/L未満の場合には、経済的でなく、1.5mol/Lを越える場合には、最終生成物であるヘマタイト粒子粉末にマグネタイトが混入することもあるので好ましくない。より好ましい第一鉄塩の反応濃度は0.25mol/L〜1.0mol/Lである。
本発明の第一段反応において使用されるアルカリ水溶液の使用量は、第一鉄塩水溶液中のFeに対し当量比にして、0.91〜1.1である。アルカリ水溶液の使用量が当量比にして0.91未満の場合には、針状粒子が混在し易い。より好ましい当量比の範囲としては0.92〜1.08、さらにより好ましくは0.95〜1.05である。
本発明においては、反応溶液中にカルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸の一種以上を存在させる。カルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸としては、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸及びグルコン酸から選ばれる一種又は二種以上であり、またはそれらの塩である。酒石酸の塩としては、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸ナトリウムカリウム、酒石酸カルシウム、酒石酸水素ナトリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸バリウム、酒石酸リチウム等が挙げられる。リンゴ酸の塩としては、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、リンゴ酸カルシウム、リンゴ酸水素ナトリウム、リンゴ酸水素カリウム等が挙げられる。クエン酸の塩としては、クエン酸三ナトリウム、クエン酸水素二ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸水素二カリウム、クエン酸二水素カリウム、クエン酸三リチウム、クエン酸アンモニウムクエン酸鉄、クエン酸マグネシウム等が挙げられる。グルコン酸の塩としては、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸鉄等が挙げられる。
カルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸又はその塩は、生成粒子の結晶成長に影響を及ぼすものであり、マグネタイト粒子を生成させる酸化反応の開始に先立って、あらかじめ添加しておく必要があり、第一鉄塩水溶液、前記アルカリ水溶液及び酸素含有ガスを通気して酸化する前の前記第一鉄塩反応溶液のいずれかに添加することができる。
本発明におけるカルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸の添加量は、第一段反応に使用する第一鉄塩水溶液中のFeに対して0.1〜2.0mol%が好ましい。有機酸の添加量が0.1mol%未満の場合には、本発明の効果が得られず、ゲータイトが混在することもある。有機酸の添加量が2.0mol%を越える場合にもヘマタイト粒子を生成することはできるが、必要以上に加えると公害の発生等も生じ、また、経済的にも好ましくない。より好ましい有機酸の添加量は0.2〜1.0mol%である。
本発明においては、カルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸は二種以上を併用する場合、二種以上の有機酸の合計の添加量として前記濃度範囲を超えない範囲で、混合添加することもできる。
カルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸は二種以上を併用する場合、少なくとも酒石酸を用いることが好ましい。この場合、リンゴ酸、グルコン酸及びクエン酸又はそれらの塩の添加量(合計量)は、酒石酸又はその塩に対するモル比で0.1〜10.0が好ましい。
本発明における第一段反応の温度は、30〜50℃の範囲である。30℃未満では反応溶液の冷却が必要となる場合があり、且つ、反応温度を制御することが困難であり、工業的・経済的に好ましくない。50℃を越える場合には、最終生成物であるヘマタイト粒子粉末にマグネタイトやゲータイトが混入することもあるので好ましくない。より好ましい反応温度は32〜48℃であり、更により好ましくは35〜45℃の範囲である。
本発明における第一段反応のFe2+のFe3+への酸化速度は0.3mol/(L・Hr)以上が好ましい。酸化速度が0.3mol/(L・Hr)未満の場合、非晶質粒子やゲータイトを含むため、鮮明な赤色を呈するヘマタイト粒子粉末を得ることが困難な場合があり、また、安定的な生産には好ましくない。
本発明においては、第一段反応の終点として反応溶液のpHの変動がなくなり、且つ、反応溶液の酸化還元電位(ORP)の変動がなくなった時点を第一段反応の終点とする。
第一段反応終了後には、マグネタイトを主成分とする鉄化合物が生成していることが好ましい。第一段反応後のマグネタイト微粒子は、BET比表面積が40m/g以上、結晶子サイズ(311)が35nm以下が好ましい。
本発明においては、第一段反応終了後に反応溶液の温度を90℃〜沸点の温度範囲に加熱昇温した後に第二段反応を行う。反応溶液の温度が90℃未満の場合には、ゲータイトが混在してくる。沸点を越える場合にも本発明の目的を達成することはできるが、オートクレーブ等の特殊な装置を必要とするので工業的・経済的ではなくなる。
本発明における第二段反応においては、前記温度範囲を維持した状態で第一鉄塩水溶液を添加する。第一鉄塩水溶液の添加量は、第一段反応に使用した第一鉄塩水溶液の添加量に対し、モル比で0.5〜10.0が好ましく、より好ましくは0.8〜8.0、更により好ましくは1.2〜5.0の範囲である。第一鉄塩水溶液の添加量がモル比で0.5未満の場合、最終生成物であるヘマタイト粒子粉末にマグネタイトが混入する場合がある。
本発明における第二段反応では、第一鉄塩水溶液の一部またはその全部を金属鉄で代用することもできる。金属鉄の添加量は、第一段反応に使用した第一鉄塩水溶液の添加量に対し、モル比で1.0以上である。
本発明における金属鉄としては、粉末、繊維、板、チョッパー等を使用することができる。
本発明において、第二段反応の酸化反応を行う際は、反応溶液のpHを3.5〜5.0の範囲に維持する必要がある。反応溶液のpHが3.5未満の場合、最終生成物であるヘマタイト粒子粉末にゲータイトが混入し易く、且つ、ヘマタイト粒子の生成速度も遅くなる為、経済的にも好ましくない。反応溶液のpHが5.0を超える場合、ヘマタイト粒子粉末にマグネタイトやマグヘマイトが混入し易く、且つ、生成物であるヘマタイト粒子の粒度分布も広がり色相の濁りの要因にもなる為、好ましくない。より好ましいpHの制御範囲は3.7〜4.8であり、更により好ましくは3.8〜4.5である。必要により、反応溶液のpHを前記に制御するためには、アルカリ水溶液、第一鉄塩水溶液又は硫酸を適宜添加すればよい。
本発明における酸化手段は、特に限定されるものではないが、例えば、酸素含有ガス(例えば空気)を液中に通気することにより行い、第二段反応でのFe2+のFe3+への酸化速度は0.05mol/(L・Hr)以上であることが好ましい。酸化速度が0.05mol/(L・Hr)未満の場合、最終生成物であるヘマタイト粒子粉末にマグネタイトや扁平粒子を混入することもあり、好ましくない。更に、酸化速度はヘマタイト粒子の生成速度にも関係している為、経済的にも好ましくない。より好ましい酸化速度は0.06〜0.3mol/(L・Hr)である。
第二段反応の後、常法に従って、濾別、水洗、乾燥、必要により粉砕を行って、ヘマタイト粒子粉末を得ることができる。
尚、本発明において、第一段反応と第二段反応とを同一の反応塔を用いて行うことができることはもちろん、別々の反応塔を用いる場合でも本発明の目的とするヘマタイト粒子が得られる。
次に、本発明に係る製造方法によって得られるヘマタイト粒子粉末について述べる。
本発明のヘマタイト粒子粉末の平均粒子径は0.05〜1.0μmが好ましい。ヘマタイト粒子粉末の平均粒子径が1.0μmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、可視光吸収が大きくなり、赤色着色顔料としての色相から大きく外れる。より好ましい平均粒子径は0.1〜0.6μmである。
本発明のヘマタイト粒子粉末のBET比表面積は2.0〜30m/gが好ましい。BET比表面積が2m/g未満の場合には、粒子サイズが大きすぎるため、可視光吸収が大きくなり、赤色着色顔料としての色相から大きく外れる。一方、BET比表面積が30m/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こし易くなる。より好ましくは3.0〜25m/gであり、更により好ましくは4.0〜20m/gである。
本発明のヘマタイト粒子粉末は、X線回折による(110)面と(104)面との結晶子サイズの比(D(110/104))が0.85〜1.3であることが好ましい。前記比が前記範囲外の場合には、粒子形状も扁平となり、更には、鮮明な色相を呈するヘマタイト粒子粉末とは言い難い。好ましい結晶子サイズの比は0.90〜1.2、より好ましくは0.95〜1.15である。
本発明のヘマタイト粒子粉末において、前記結晶子サイズの比が0.9〜1.3の範囲にある場合、光の反射率で赤色(700nm)の反射率が黄色(600nm)の反射率に対して相対的に高い。従って、前記条件を満たすヘマタイト粒子は、赤味の強い、より鮮明な赤色系を呈するヘマタイト粒子粉末とすることができる。好ましい相対反射率の比(700nmの反射率/600nmの反射率)×100は、185%以上であり、より好ましくは190%以上である。
本発明のヘマタイト粒子粉末の明度(L*)は、30〜46が好ましい。明度(L*)が前記範囲外の場合には、明るさ及び着色力が不足している。
本発明のヘマタイト粒子粉末の色調のうち赤味a*は15〜35が好ましい。本発明のヘマタイト粒子粉末はa*を前記範囲に制御することによって、より鮮明な赤色系を呈するヘマタイト粒子粉末とすることができる。
本発明のヘマタイト粒子粉末の色調のうち黄味b*は5〜25が好ましい。本発明のヘマタイト粒子粉末はb*を前記範囲に制御することによって、より鮮明な赤色系を呈するヘマタイト粒子粉末とすることができる。
また、本発明のヘマタイト粒子粉末の粒子形状は粒状が好ましい。楕円状、板状、パイプ状等の形状異方性が大きい形状の粒子は色調が不鮮明になるため好ましくない。
また、本発明に係るヘマタイト粒状粒子粉末は、各種原料由来の不純物が不可避的に混入してもよいが、Mn、Zn、Ti、Cr、Cu等の不純物イオンは彩度を低下させ、また人体に有害である場合があるので極力含有量が少ないことが好ましい。
また、本発明に係るヘマタイト粒状粒子粉末は、ヘマタイト(α−Fe)単相からなる。α−FeOOHやFe等を含まない。
また、本発明に係るヘマタイト粒子粉末の水可溶性NO イオン濃度は100mg/L未満が好ましい。水可溶性NO イオン濃度が高いと環境に対する影響が大きい。より好ましくは50mg/L未満、更により好ましくは20mg/L未満である。
本発明に係るヘマタイト粒子粉末は、Si、Al、Zr、Ti、Zn、Pから選ばれる1種以上の化合物又は有機系表面処理剤を用いてヘマタイト粒子粉末の表面を被覆することができる。
Si、Al、Zr、Ti、Zn、Pから選ばれる1種以上の化合物としては、アルミニウム化合物として、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸アルカリ塩等が挙げられる。ケイ素化合物として、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等が挙げられる。ジルコニウム化合物として、酢酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等のジルコニウム塩等が使用できる。チタン化合物として、酢酸チタニウム、硫酸チタニウム、塩化チタニウム、硝酸チタニウム等のチタニウム塩等が使用できる。亜鉛化合物として、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛等の亜鉛塩等が使用できる。りん化合物として、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等のリン酸塩等が使用できる。
有機系表面処理剤としては、ステアリン酸又はその塩、ロジン、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤、リン酸化合物等が挙げられる。
有機ケイ素化合物としては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トルフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェイト)チタネート、テトラ(2−2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロボキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
リン酸化合物としては、リン酸エステル、亜リン酸エステル、酸性リン酸エステル、ホスホン酸等の有機リン化合物等が挙げられる。
前記表面処理剤の被覆量はヘマタイト粒子粉末に対して、0.1〜40wt%が好ましい。
本発明において表面処理方法は、湿式あるいは乾式方法等の常法に従って行えばよい。例えば、湿式方法は湿式分散したヘマタイト粒子粉末のスラリーに、Si、Al、Zrから選ばれる1種又は2種以上の可溶性化合物を、酸又はアルカリでpH調整しながら添加・混合して被覆する方法、乾式方法はヘンシェルミキサーなどの装置中でヘマタイト粒子粉末にSi、Al、Zrから選ばれる1種又は2種以上のカップリング剤などにより被覆処理する方法である。
次に、本発明に係るヘマタイト粒子粉末を配合した塗料について述べる。
本発明に係る塗料中におけるヘマタイト粒子粉末の配合割合は、塗料構成基材100重量部に対して0.5〜100重量部の範囲で使用することができ、塗料のハンドリング性を考慮すれば、好ましくは1.0〜100重量部である。
塗料構成基材としては、樹脂、溶剤、必要により油脂、消泡剤、体質顔料、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤等が配合される。
樹脂としては、溶剤系塗料用や油性印刷インクに通常使用されているアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ガムロジン、ライムロジン等のロジン系樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂等のロジン変性樹脂、石油樹脂、フッ素樹脂等を用いることができる。水系塗料用としては、水系塗料用や水性インクに通常使用されている水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレン−マレイン酸樹脂、水溶性アルキッド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性ウレタンエマルジョン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水可溶性フッ素樹脂等を用いることができる。
溶剤としては、溶剤系塗料用に通常使用されている大豆油、トルエン、キシレン、シンナー、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、ミネラルスピリット等の石油系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、脂肪族炭化水素等を用いることができる。
水系塗料用溶剤としては、水と水系塗料用に通常使用されているエチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル系溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン等の水溶性有機溶剤とを混合して使用することができる。
油脂としては、あまに油、きり油、オイチシカ油、サフラワー油等の乾性油を加工したボイル油を用いることができる。
消泡剤としては、ノプコ8034(商品名)、SNデフォーマー477(商品名)、SNデフォーマー5013(商品名)、SNデフォーマー247(商品名)、SNデフォーマー382(商品名)(以上、いずれもサンノプコ株式会社製)、アンチホーム08(商品名)、エマルゲン903(商品名)(以上、いずれも花王株式会社製)等の市販品を使用することができる。
次に、本発明に係るヘマタイト粒子粉末を含有する樹脂組成物について述べる。
本発明に係る樹脂組成物中におけるヘマタイト粒子粉末の配合割合は、樹脂100重量部に対して0.01〜200重量部の範囲で使用することができ、樹脂組成物のハンドリング性を考慮すれば、好ましくは0.05〜150重量部、更に好ましくは0.1〜100重量部である。
本発明に係る樹脂組成物における構成基材としては、ヘマタイト粒子粉末と周知の熱可塑性樹脂とともに、必要により、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤等の添加剤が配合される。
樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ロジン・エステル、ロジン、天然ゴム、合成ゴム等を用いることができる。
添加剤の量は、ヘマタイト粒子粉末と樹脂との総和に対して50重量%以下であればよい。添加剤の含有量が50重量%を超える場合には、成形性が低下する。
本発明に係る樹脂組成物は、樹脂原料とヘマタイト粒子粉末をあらかじめよく混合し、次に、混練機もしくは押出機を用いて加熱下で強いせん断作用を加えて、ヘマタイト粒子粉末の凝集体を破壊し、樹脂組成物中にヘマタイト粒子粉末を均一に分散させた後、目的に応じた形状に成形加工して使用する。
また本発明に係る樹脂組成物は、マスターバッチペレットを経由して得ることもできる。
本発明におけるマスターバッチペレットは、塗料及び樹脂組成物の構成基材としての結合材樹脂と前記ヘマタイト粒子粉末とを必要により、リボンブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の混合機で混合した後、周知の単軸混練押出機や二軸混練押出機等で混練、成形した後切断するか、又は、上記混合物をバンバリーミキサー、加圧ニーダー等で混練して得られた混練物を粉砕又は成形、切断することにより製造される。
結合材樹脂とヘマタイト粒子粉末の混練機への供給は、それぞれを所定比率で定量供給してもよいし、両者の混合物を供給してもよい。
本発明におけるマスターバッチペレットは、平均長径1〜6mm、好ましくは2〜5mmの範囲である。平均短径は2〜5mm、好ましくは2.5〜4mmである。平均長径が1mm未満の場合には、ペレット製造時の作業性が悪く好ましくない。6mmを超える場合には、希釈用結合材樹脂の大きさとの違いが大きく、十分に分散させるのが困難となる。また、その形状は種々のものができ、不定形及び球形等の粒状、円柱形、フレーク状等にできる。
本発明におけるマスターバッチペレットに使用する結合材樹脂としては、前記樹脂組成物用樹脂と同一の樹脂が使用できる。
なお、マスターバッチペレット中の結合材樹脂の組成は、希釈用結合材樹脂と同一の樹脂を用いても、また、異なる樹脂を用いてもよいが、異なる樹脂を使用する場合には、樹脂同士の相溶性により決まる諸特性を考慮して決めればよい。
マスターバッチペレット中に配合されるヘマタイト粒子粉末の量は、結合材樹脂100重量部に対して1〜200重量部、好ましくは1〜150重量部、より好ましくは1〜100重量部である。1重量部未満の場合には、混練時の溶融粘度が不足し、ヘマタイト粒子粉末の良好な分散混合が困難である。200重量部を超える場合には、ヘマタイト粒子粉末に対する結合材樹脂が少ないため、ヘマタイト粒子粉末の良好な分散混合が難しく、また、マスターバッチペレットの添加量のわずかな変化によって樹脂組成物中に配合されるヘマタイト粒子粉末の含有量が大きく変化するため所望の含有量に調製することが困難となり好ましくない。また、機械摩耗が激しく適当ではない。
<作用>
本発明に係るヘマタイト粒子粉末の製造方法によれば、酸性系反応で常圧化の硝酸イオンを含まない硫酸第一鉄水溶液中から直接、ヘマタイト粒子のみを生成させることが可能であるため、既存の硝酸鉄及び硝酸/硫酸の混酸を使用して製造されるヘマタイト粒子の製造方法と比較して、小さい環境負荷でヘマタイト粒子を製造することができる。また、本発明により得られたヘマタイト粒子粉末は、特許文献1〜2により得られるヘマタイト粒子と比較して、相対的に黄味よりも赤味の強いヘマタイト粒子粉末が得られる。
次に、本発明の代表的な実施例とその比較例を示す。
粒子形状は走査型電子顕微鏡(日立S−4800)写真で確認し、その粒子写真から100個の粒子の平均値より計算により求めた。
比表面積は、BET法により測定した値で示した。
ヘマタイト粒子粉末の結晶構造、結晶子サイズは、「X線回折装置D8 ADVANCE」(ブルカー株式会社製)で測定を行い、その測定値から計算により求めた。
ヘマタイト粒子粉末の色相(L*値、a*値、b*値)並びに可視光反射率は、粉末0.5gとひまし油0.4mlをフーバーマーラーで2min混練したものを塗料ラッカー4.5gと混ぜ合わせ、6milアプリケーターを用いて キャストコート紙に塗布し、室温で12時間乾燥させ、ミノルタ(株)分光測色計CM−3600d(D65光源)にて測定した。
ヘマタイト粒子粉末の水可溶性塩の測定は、ヘマタイト粒子粉末5gに煮沸した純水100mlを加え、更に、10分間煮沸攪拌し、室温まで冷却した溶液を濾過した後、100mlに定容しイオンクロマトグラフィー(東亜ディーケーケー:ICA−2000、陰イオンカラム)により測定した。尚、測定成分濃度次第で更に希釈し測定した。
本発明におけるFe2+のFe3+への酸化速度は、第一段反応、第二段反応伴に、反応開始時点の反応溶液中Fe2+濃度と反応終点におけるFe2+濃度より求めた。また、反応溶液中Fe2+濃度は固形分を含む一定量の反応溶液を窒素雰囲気下で混酸(燐酸/硫酸)溶解させた後、ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウムを指示薬とし、重クロム酸カリウム標準液でFe2+量を滴定し、その値から算出した。
実施例1:
第一段反応として、酒石酸6g(Feに対し、0.4mol%)、リンゴ酸5.36g(Feに対し0.4mol%)を予め添加した0.55mol/Lの硫酸第一鉄水溶液18Lを温度40℃において、10.2mol/LのNaOH水溶液2L(硫酸第一鉄水溶液中のFeに対し1.02当量)と混合し、150L/minの空気を通気して溶液pHが変動しなくなるまで40分間反応し、黒褐色沈殿を生成した。得られた反応溶液の一部を抜き取り、濾過、水洗、乾燥して得られた黒褐色粉末の比表面積は120.3m/gであった。尚、X線回折の結果、生成物はFeであった。
前記第一段反応溶液に水20Lを追加投入後、温度95℃に加熱昇温し、温度90℃以上を維持した状態で1.8mol/Lの硫酸第一鉄水溶液10L(第一段反応中のFeに対し1.75mol/mol)を100L/minの空気を通気しながら投入した。この際、5mol/LのNaOH水溶液を添加し、反応水溶液のpHを4.2〜4.4に維持し、更に、2時間の反応で赤褐色沈殿を製造した。得られた反応溶液を濾過、水洗、乾燥して赤褐色粉末を得た。
得られた赤褐色粉末の比表面積は17.1m/gであった。尚、X線回折の結果、α−Feであると同時に、110面の結晶子サイズと104面の結晶子サイズとの比であるD(110/104)が1.05であった。又、図1に示す走査型電子顕微鏡写真からこのヘマタイト粒子形状は粒状であった。
実施例2〜9、比較例1〜4:
各種添加化合物の種類、添加化合物の比率、アルカリ当量比、第一段反応と第二段反応での硫酸第一鉄中Fe添加量の比、反応温度、反応pH、酸化速度、反応時間を種々変化させた以外は、前記実施例1と同様にしてヘマタイト粒子粉末を得た。
実施例10:
実施例1に基づいて製造条件を種々変更して得られた第一段反応溶液1Lに、0.1mol/Lの硫酸第一鉄水溶液1Lと金属鉄400gを投入し、温度95℃、1L/minの空気を通気しながらpH3.5〜4.2の範囲で10時間反応させ赤褐色沈殿を製造した。得られた反応溶液を濾過、水洗、乾燥して赤褐色粉末を得た。
得られた赤褐色粉末の比表面積は12.3m/gであった。尚、X線回折の結果、α−Feであると同時に、D(110/104)が0.98であった。また、得られた赤褐色粉末の水可溶性NO イオン濃度は6mg/Lであった。
実施例11:
実施例10に基づいて製造条件を種々変化させてヘマタイト粒子粉末を製造した。
このときの製造条件及び得られたヘマタイト粒子粉末の諸特性を表1〜表5、図1〜4に示す。
表1に第一段反応の生成物の粉体特性を示す。実施例3で得られた反応生成物は、Feを主成分とし、ごく微量のδ−FeOOHが確認された。比較例1では、Feを主成分とし、ごく微量のα−FeOOHが確認された。比較例2では、γ−FeOOH、α−FeOOH、γ−Feの各相が確認された。比較例3では、微細な結晶ではあるが、Feを主成分とし、微量のα−FeOOHが確認された。
表4に第二段反応の生成物の粉体特性を示す。実施例1〜11はいずれもヘマタイト(α−Fe)単相であった。一方、比較例1では、α−Feを主成分とし、ごく微量のα−FeOOHが確認された。比較例2では、α−Feとともにα−FeOOHが確認された。比較例3、4では、α−Feを主成分とするものの、α−FeOOHとFeとが確認された。
実施例1〜11は表1のとおり、第一段反応でマグネタイトを生成することで、表4のとおり、α−FeのD(110/104)は0.96〜1.29と比較例1のα−FeのD(110/104)と比較して小さいヘマタイト粒子を安定的に製造できることが確認された。
表5には、実施例1〜2、比較例1で得られたヘマタイト粒子粉末の色相(L*値、a*値、b*値)、波長600nm(黄色)の光反射率(refrex−600)、波長700nm(赤色)の光反射率(refrex−700)及び相対反射率([refrex−700]/[refrex−600]×100)を示す。表5から明らかなとおり、実施例1及び2では、比較例1に対し赤色反射が強く、色相も赤味が強い。図4に実施例1〜2、比較例1で得られたヘマタイト粒子粉末の相対反射率曲線を示す。図4から明らかなとおり、実施例1及び2では、比較例1に対し黄色反射に対する赤色反射が強く、より鮮明な赤色を呈するヘマタイト粒子であることが確認された。
図2に比較例1で得られた最終生成物の走査型電子顕微鏡写真を示す。図2のとおり、比較例1の粒子は粒状と一部針状若しくは偏平状の混合粒子であることが確認された。図3に比較例3で得られた最終生成物の走査型電子顕微鏡写真を示す。図3のとおり、比較例3で得られた粒子は粗大粒子と針状粒子を含む微細な粒子との混合物から成る粒度分布の悪いものであった。
本発明に係るヘマタイト粒子粉末の製造方法によれば、既存の硝酸鉄及び硝酸/硫酸の混酸を使用して製造されるヘマタイト粒子の製造方法と比較して、小さい環境負荷でヘマタイト粒子を製造することができ、また、本発明により得られたヘマタイト粒子粉末は、従来技術により得られるヘマタイト粒子と比較して、相対的に黄味よりも赤味の強いヘマタイト粒子粉末として、塗料、樹脂、ゴム、プラスチック、陶磁器、化粧品、道路舗装用着色材料の原料粉末として好適である。

Claims (5)

  1. 第一鉄塩水溶液と該第一鉄塩水溶液中のFeに対し当量比が0.91〜1.1のアルカリ水溶液とを反応させて得られる水酸化第一鉄コロイド又は鉄含有沈澱物コロイドを含む第一鉄塩反応溶液に、カルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸又はその塩を添加しておき、次いで、この第一鉄塩反応溶液に35〜50℃の温度範囲で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行ってマグネタイト微粒子を生成させる第一段反応と、第一段反応の終了後、当該反応溶液を加熱昇温して90℃〜沸点の温度範囲とした後、第一鉄塩水溶液又は金属鉄を追加投入し、前記温度範囲を維持した状態でpHが3.5〜5.0の範囲において酸素含有ガスを通気して酸化反応を行ってヘマタイト粒子を生成させる第二段反応との二段階反応からなり、前記第一鉄塩水溶液が硫酸第一鉄塩水溶液であることを特徴とするヘマタイト粒子粉末の製造方法。
  2. カルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸又はその塩の添加量が、反応溶液中のFeに対して0.1〜2.0mol%である請求項1記載のヘマタイト粒子粉末の製造方法。
  3. カルボン酸基とヒドロキシル基とを有する有機酸が、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸のいずれか一種以上である請求項1又は2記載のヘマタイト粒子粉末の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のヘマタイト粒子粉末の製造方法によって得られたヘマタイト粒子粉末を配合する塗料の製造方法
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のヘマタイト粒子粉末の製造方法によって得られたヘマタイト粒子粉末を用いて着色する樹脂組成物の製造方法
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