JP4438925B2 - 改質カーボンブラック粒子粉末及びその製造法、当該改質カーボンブラック粒子粉末を含有する塗料及び樹脂組成物 - Google Patents

改質カーボンブラック粒子粉末及びその製造法、当該改質カーボンブラック粒子粉末を含有する塗料及び樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、分子量依存パラメーターα値が0.35以上であることによって、分散性に優れると共に、流動性及び耐光性にも優れたカーボンブラック粒子粉末並びに該カーボンブラック粒子粉末を用いた塗料及び樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラックは、着色性、導電性、紫外線・赤外線吸収性等を有することから、塗料、樹脂組成物、印刷インキ、繊維、化粧品等の様々な分野に用いられている。
【0003】
カーボンブラックは、各種黒色顔料の中では最も黒色度が優れており、カーボンブラックを用いて得られた塗膜や樹脂組成物は耐酸性や耐老化性にも優れているが、一方、粒子サイズが平均粒子径0.005〜0.05μm程度の微粒子であるため、ビヒクル中や樹脂組成物中への分散が困難であり、また、かさ密度が0.1g/cm程度とかさ高い粉末であるため、取り扱いが困難で、作業性が悪いことが知られている。
【0004】
そこで、ビヒクル中や樹脂組成物中への分散性に優れるとともに、流動性に優れた、取り扱いの容易なカーボンブラックが強く要求されている。
【0005】
また、塗料は、溶剤の種類により有機溶剤を主溶剤とする溶剤系塗料と、水を主溶剤とする水系塗料とがあるが、近年、大気を汚染することが少なく、省資源、省エネルギーであり、しかも、火災の危険性が少ない等、安全面、衛生面から水系塗料が有望視されている。同様に、水性インキや、インクジェット用インクのように、水を主溶剤とする印刷インキも多用されつつある。
【0006】
しかしながら、カーボンブラックは、一般には疎水性であるため、水系塗料中に分散させる場合には、界面活性剤を添加したり、カーボンブラックの表面を酸化処理して親水化する必要があるが、界面活性剤を添加すると気泡が発生し、カーボンブラックの分散が不均一になる、あるいは、酸化処理等の表面処理では親水化は不十分といった問題がある。
【0007】
そこで、溶剤系塗料はもちろん、水系塗料においても優れた易分散性、分散均一性及び分散安定性を示すカーボンブラックが強く要求されている。
【0008】
更に、塗料、樹脂組成物及び印刷インキから得られる塗膜、樹脂組成物、及び印刷物は屋外で使用される場合が多く、これらの耐光性の向上が強く要求されている。
【0009】
なお、分散性については、(株)テクノシステム発行「分散・凝集の解明と応用技術」(1992年)第94〜96頁の「‥‥天然および合成高分子の多くは、コロイド粒子の表面に吸着して厚い吸着層を形成するので、分散系の安定性に大きな影響を与える。‥‥高分子の分子量(M)と飽和吸着量(As)の間には一般に次の関係が成立する。As=K・Mα ここでK、αは系特有の定数で、特にαは分子量依存パラメーターと呼ばれ、吸着層の構造によって0から1まで変化する。‥‥α=1のときは、高分子は分子末端で吸着しており、Asは分子量(M)に比例する。この系では高分子は粒子表面に林立した最も厚い吸着層を作るので、強い立体反発効果を示し、より効果的に分散系の安定性に寄与する。‥‥」なる記載の通り、分子量依存パラメーターα(以下、αで示す。)で表すことができる。
【0010】
カーボンブラックの各種特性の向上のためにカーボンブラックの粒子表面をチタン又はジルコニウム等で被覆することが行われている(特許文献1乃至6等)。
【0011】
【特許文献1】
特開昭61−28560号公報
【特許文献2】
特開平9−272816号公報
【特許文献3】
特開平10−095873号公報
【特許文献4】
特開2000−007720号公報
【特許文献5】
特開2001−026675号公報
【特許文献6】
特表2001−518975号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
分散性、流動性及び耐光性に優れたカーボンブラック粒子粉末は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
【0013】
即ち、前出特許文献1にはカーボンブラックとチタン、シリコン等の金属の酸化物、硫化物又は炭酸塩を乳鉢等で混合することによってカーボンブラックを変性する技術が記載されているが、乳鉢等の乾式による方法ではカーボンブラックの凝集塊の粉砕が不十分であるため、チタン、シリコン等の金属の酸化物、硫化物又は炭酸塩による均一な付着処理が困難である。そのため、ビヒクル中あるいは樹脂組成物中で分散させた時にカーボンブラック粒子の粒子表面における高分子の吸着点が少なくなり、分子量依存パラメーターα値が0.35未満となるため、十分な分散性を得ることが困難である。
【0014】
また、前出特許文献2にはカーボンブラックの表面に、コロイド状の金属酸化物、金属オキシ水酸化物、金属水酸化物の少なくとも一種を浮遊状態より固着させる技術が記載されているが、予めカーボンブラックを分散させていないためカーボンブラックの分散が不十分であり、カーボンブラック粒子表面への金属酸化物、金属オキシ水酸化物、金属水酸化物等の均一な固着処理が困難である。また、固着後に、メカノケミカル的な強固な固着処理を行っていないため、ビヒクル中あるいは樹脂組成物中で分散させた時に物理的固着をしている金属酸化物、金属オキシ水酸化物、金属水酸化物等が脱離するため、後出比較例に示す通り、分子量依存パラメーターα値が0.35未満となり、十分な分散性を得ることが困難となる。
【0015】
また、前出特許文献3、4及び5にはカーボンブラックをシリコン、チタン、ジルコニウム等を含有するアルコキシ化合物で高温処理する技術が記載さているが、シリカ等の付着が十分でないため、後出比較例に示す通り、分子量依存パラメーターα値が0.35未満となり、十分な分散性を得ることが困難である。
【0016】
また、前出特許文献6にはカーボンブラックとチタン、ジルコニウム等の金属化合物とを分解・気化することによって、カーボンブラックと濃縮した金属含有領域を含む凝集体を生成させる技術が記載されているが、金属含有種は凝集体の上をコーティングするのではなく、濃縮した状態で凝集体の一部を構成しているため、該粒子粉末とビヒクル中あるいは樹脂組成物中で分散させた場合、粒子表面における高分子の吸着点が少なくなり、分子量依存パラメーターα値が0.35未満となるため、十分な分散性を得ることが困難である。
【0017】
そこで、本発明は、カーボンブラック粒子の粒子表面にZr、Ti及びCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させ、カーボンブラック粒子の粒子表面に高分子の吸着点を多数設けることによって、ビヒクル中又は樹脂組成物中で分散させた時に、分散性、流動性及び耐光性に優れたカーボンブラック粒子粉末を得ることを技術的課題とする。
【0018】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0019】
即ち、本発明は、粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させたカーボンブラック粒子からなる改質カーボンブラック粒子粉末であって、前記改質カーボンブラック粒子粉末の有する高分子化合物の飽和吸着量(As)と該高分子化合物の分子量(M)との関係から成立する下記の数2における分子量依存パラメーターα値が0.35以上であり、前記改質カーボンブラック粒子粉末の流動性が30〜80であることを特徴とする改質カーボンブラック粒子粉末である(本発明1)。
【0020】
【数2】
Figure 0004438925
【0021】
また、本発明は、カーボンブラック粒子を含む水性懸濁液のpH値を10.0以上に調整し、該懸濁液にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む化合物水溶液を添加し、攪拌しながらこの液のpH値を中性付近に調節してZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子を速沈させた後、該液中のカーボンブラック粒子を酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とともに濾別してカーボンブラック粒子と酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とからなる混合物を得、該混合物を水洗・乾燥した後、当該混合物をエッジランナーによって圧密粉砕処理をすることにより、カーボンブラック粒子の粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させることを特徴とする前記改質カーボンブラック粒子粉末の製造法である(本発明2)。
【0022】
また、本発明は、カーボンブラック粒子を含む水性懸濁液のpH値を4.0以下に調整し、該懸濁液にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む化合物水溶液を添加し、攪拌しながらこの液のpH値を中性付近に調節してZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上の酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子を速沈させた後、該液中のカーボンブラック粒子を酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とともに濾別してカーボンブラック粒子と酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とからなる混合物を得、該混合物を水洗・乾燥した後、当該混合物をエッジランナーによって圧密粉砕処理をすることにより、カーボンブラック粒子の粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させることを特徴とする前記改質カーボンブラック粒子粉末の製造法である(本発明3)。
【0023】
また、本発明は、カーボンブラック粒子を含む水性懸濁液のpH値を中性付近に調整し、該懸濁液にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む化合物粉末を添加し、攪拌しながらこの液のpH値を中性付近に維持し、Zr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子を速沈させた後、該液中のカーボンブラック粒子を酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とともに濾別してカーボンブラック粒子と酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とからなる混合物を得、該混合物を水洗・乾燥した後、当該混合物をエッジランナーによって圧密粉砕処理をすることにより、カーボンブラック粒子の粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させることを特徴とする前記改質カーボンブラック粒子粉末の製造法である(本発明4)。
【0024】
また、本発明は、前記改質カーボンブラック粒子粉末を塗料構成基材中に配合したことを特徴とする塗料である(本発明5)。
【0025】
また、本発明は、前記改質カーボンブラック粒子粉末を用いて着色したことを特徴とする樹脂組成物である(本発明6)。
【0026】
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0027】
先ず、本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末について述べる。
【0028】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末は、改質カーボンブラック粒子粉末が有する高分子化合物の飽和吸着量(As)と該高分子化合物の分子量(M)との関係から成立する下記の数3における分子量依存パラメーターα値が0.35以上である。
【0029】
【数3】
Figure 0004438925
【0030】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末のα値が0.35未満の場合には、カーボンブラック粒子の粒子表面への高分子の吸着が少なくなり、ビヒクル中及び樹脂組成物中に分散させた場合に、分散性及び分散安定性が劣るものとなる。好ましくは0.40以上であり、より好ましくは0.45以上、最も好ましくは0.50以上である。
【0031】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末は、一次平均粒子径が0.001〜1.0μm、好ましくは、0.0015〜0.5μm、より好ましくは0.002〜0.2μmである。本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末の一次平均粒子径が1.0μmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、着色力が低下する。一次平均粒子径が0.001μm未満の場合には、ビヒクル中又は樹脂組成物中への分散が困難となる場合がある。
【0032】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末のBET比表面積値は1.0〜1000m/gであり、好ましくは1.5〜800m/g、より好ましくは2.0〜500m/gである。BET比表面積値が1.0m/g未満の場合には、粒子が粗大であるため着色力が低下する。BET比表面積値が1000m/gを超える場合には、粒子の微細化により凝集を起こしやすく、ビヒクル中又は樹脂組成物中への分散が困難となる。
【0033】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末の黒色度は、上限値がL値で22.0が好ましく、より好ましくはL値が21.0、更により好ましくはL値が20.0である。L値が22.0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が十分とは言えない。改質カーボンブラック粒子粉末の黒色度の下限値は、L値が14.0である。
【0034】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末の着色力は、後述する評価方法により103%以上が好ましく、最も好ましくは105%以上である。
【0035】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末の耐光性は、後述する評価方法において、ΔE値で5.0以下が好ましく、より好ましくは4.0以下、更により好ましくは3.5以下、最も好ましくは3.0以下である。
【0036】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末の流動性は30〜80が好ましく、より好ましくは35〜80であり、最も好ましくは40〜80である。
【0037】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末の酸化物超微粒子及び/又は水酸化物超微粒子の含有量は、改質カーボンブラック粒子粉末に対してZr換算、Ti換算及びCe換算の総和で0.01〜38.0重量%である。0.01重量%未満の場合には、本発明の効果は得られない。0.01〜38.0重量%の含有量により、本発明の効果が十分に得られるので、38.0重量%を超えて必要以上に固着させる意味がない。得られる改質カーボンブラック粒子粉末の分散性及び黒色度を考慮した場合、1.9〜36.0重量%が好ましく、より好ましくは4.5〜34.0重量%であり、最も好ましくは9.0〜34.0重量%である。
【0038】
次に、本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末の製造法について述べる。
【0039】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末は、カーボンブラック粒子粉末を含む水性懸濁液のpH値を10.0以上又は4.0以下に調整し、該懸濁液にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む化合物水溶液もしくは化合物粉末を添加し、攪拌しながら該懸濁液のpH値を中性付近に調整して、Zr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子を速沈させた後、該液中のカーボンブラック粒子を酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とともに濾別してカーボンブラック粒子と酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とからなる混合物を得、該混合物を水洗・乾燥した後、当該混合物をエッジランナーによって圧密粉砕処理をすることにより、カーボンブラック粒子の粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させることによって得ることができる(本発明2又は本発明3)。
【0040】
また、本発明に係る改質カーボンブラックは、カーボンブラック粒子粉末を含む水性懸濁液のpH値を中性付近に調整し、該懸濁液にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む化合物粉末を添加し、攪拌しながら該懸濁液のpH値を中性付近に維持し、Zr、Ti及びCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子を速沈させた後、該液中のカーボンブラック粒子を酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とともに濾別してカーボンブラック粒子と酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とからなる混合物を得、該混合物を水洗・乾燥した後、当該混合物をエッジランナーによって圧密粉砕処理をすることにより、カーボンブラック粒子の粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させることによって得ることができる(本発明4)。
【0041】
本発明におけるカーボンブラック粒子粉末としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラックを用いることができる。
【0042】
カーボンブラック粒子粉末は、一次平均粒子径が0.001〜1.0μm、好ましくは0.0015〜0.5μm、より好ましくは0.002〜0.2μmである。本発明に係るカーボンブラック粒子粉末の一次平均粒子径が1.0μmを超える場合には、得られる改質カーボンブラック粒子の粒子サイズもまた1.0μmを超えるため、着色力が低下する。一次平均粒子径が0.001μm未満の場合には、得られるカーボンブラック粒子もまた微細となり凝集を起こしやすいため、ビヒクル中や樹脂組成物中への分散が困難となる場合がある。
【0043】
カーボンブラック粒子粉末のBET比表面積値は、1.0〜1000m/gであり、好ましくは1.5〜800m/g、より好ましくは2.0〜500m/gである。BET比表面積値が1.0m/g未満の場合には、得られる改質カーボンブラック粒子もまた粗大となり、着色力が低下する。BET比表面積値が1000m/gを超える場合には、得られる改質カーボンブラック粒子もまた微細粒子となり凝集を起こしやすいため、ビヒクル中や樹脂組成物中への分散が困難となる場合がある。
【0044】
カーボンブラック粒子粉末の分子量依存パラメーターα値は、通常0.35未満であり、その下限値は、好ましくは0.10である。
【0045】
カーボンブラック粒子粉末の黒色度は、上限値がL値で22.0が好ましく、より好ましくはL値が21.0、更により好ましくはL値が20.0である。カーボンブラック粒子粉末の黒色度の下限値は、L値が14.0である。
【0046】
カーボンブラック粒子粉末の耐光性は、後述する評価方法において、通常、ΔE値で5.0を超えており、その上限値は15.0であり、好ましくは14.0、より好ましくは13.0である。
【0047】
カーボンブラック粒子粉末の流動性は、通常30未満であり、その下限値は10、好ましくは15である。
【0048】
本発明2又は本発明3の製造法において、カーボンブラック粒子を含む水性懸濁液にアルカリ水溶液又は酸水溶液等を添加してpH値を10.0以上又は4.0以下とした後、Zr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む化合物水溶液もしくは化合物粉末を添加するのは、当該各化合物を酸化物又は水酸化物として析出させないでカーボンブラック粒子を分散状態とし、添加した化合物と均一に混合させるためである。
【0049】
懸濁液のpH値を10.0以上にするためのアルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等の水溶液を用いることができる。
【0050】
懸濁液のpH値を4.0以下にするための酸水溶液としては、硫酸、塩酸、硝酸等の水溶液を使用することができる。
【0051】
Zrを含む化合物水溶液としては、硫酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等のジルコニウム塩等の水溶液を用いることができる。また、ジルコン酸ナトリウム、ジルコン酸カリウム等の加水分解を起こしやすいジルコン酸塩は、粉末で用いることが好ましい。
【0052】
Zrを含む化合物の添加量は、カーボンブラック粒子粉末に対し、Zr換算で0.01〜60.0重量部である。0.01重量部未満の場合には、本発明の効果は得られない。0.01〜60.0重量部の添加量により、本発明の効果が十分に得られるので、60.0重量部を超えて必要以上に添加する意味がない。得られる改質カーボンブラック粒子粉末の分散性及び黒色度を考慮した場合、2.0〜55.0重量部が好ましく、より好ましくは5.0〜50.0重量部であり、最も好ましくは10.0〜50.0重量部である。
【0053】
Tiを含む化合物水溶液としては、硫酸チタニル、塩化チタン等の水溶液を用いることができる。また、チタン酸ナトリウム、チタン酸カルシウム等の加水分解を起こしやすいチタン酸塩は、粉末で用いることが好ましい。
【0054】
Tiを含む化合物の添加量は、カーボンブラック粒子粉末に対し、Ti換算で0.01〜60.0重量部である。0.01重量部未満の場合には、本発明の効果は得られない。0.01〜60.0重量部の添加量により、本発明の効果が十分に得られるので、60.0重量部を超えて必要以上に添加する意味がない。得られる改質カーボンブラック粒子粉末の分散性及び黒色度を考慮した場合、2.0〜55.0重量部が好ましく、より好ましくは5.0〜50.0重量部であり、最も好ましくは10.0〜50.0重量部である。
【0055】
Ceを含む化合物水溶液としては、炭酸セリウム、塩化セリウム、硝酸セリウム等の水溶液を用いることができる。
【0056】
Ceを含む化合物の添加量は、カーボンブラック粒子粉末に対し、Ce換算で0.01〜60.0重量部である。0.01重量部未満の場合には、本発明の効果は得られない。0.01〜60.0重量部の添加量により、本発明の効果が十分に得られるので、60.0重量部を超えて必要以上に添加する意味がない。得られる改質カーボンブラック粒子粉末の分散性及び黒色度を考慮した場合、2.0〜55.0重量部が好ましく、より好ましくは5.0〜50.0重量部であり、最も好ましくは10.0〜50.0重量部である。
【0057】
本発明においてZr、Ti及びCeから選ばれる1種又は2種以上を含む混合水溶液を添加する場合には、カーボンブラック粒子粉末に対し、Zr換算、Ti換算及びCe換算の総量で0.01〜60.0重量部、好ましくは2.0〜55.0重量部、より好ましくは5.0〜50.0重量部、最も好ましくは10.0〜50.0重量部である。
【0058】
尚、Zr、Ti又はCeを含む化合物を水溶液として用いるのは、pH値10.0以上又はpH値4.0以下の懸濁液中において十分かつ均一に混合するためであるが、各化合物を粉末状態で添加し、当該懸濁液中で十分に溶解・混合させることもできる。
【0059】
本発明2又は本発明3におけるpH値10以上又はpH値4.0以下の懸濁液に添加した前記各化合物を含む水溶液は、当該懸濁液を攪拌しながら急速にpH値を中性付近(pH値6.5〜8.5)に調整することにより、Zr、Ti、Ceの酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子として略全量を速沈させてカーボンブラック粒子と酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とからなる混合物とする。
【0060】
また、加水分解を起こしやすい化合物を用いる場合には、カーボンブラックを含む懸濁液のpH値を中性付近に調整しておき、前記各化合物を添加することによって変化する該懸濁液のpH値を、酸又はアルカリを用いて中性付近に維持することで、Zr、Ti及びCeの酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子として略全量を速沈させてカーボンブラック粒子と酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とからなる混合物とする。
【0061】
速沈させる時間としては、1〜10分間の範囲である。10分間を超える場合は、カーボンブラック粒子の粒子表面に前記酸化物又は水酸化物が層状に形成されることもある。従って、速沈後は速やかに濾別する。1分間未満でもよいが、前記酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子として析出させ十分に混合させる場合には、1分間程度はかかる。
【0062】
pH値を調整するための酸としては、硫酸、塩酸、酢酸、硝酸等を使用することができ、アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等を用いることができる。
【0063】
尚、カーボンブラック粒子と酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とからなる混合物を濾別、水洗、乾燥する方法は、常法に従って行えばよい。
【0064】
本発明における圧密粉砕処理に用いるエッジランナーとしては、「サンドミル」(株式会社松本鋳造鉄工所製)や「ミックスマーラー」(新東工業株式会社製)等を用いることができる。
【0065】
エッジランナーの線加重は147〜784N/cm(15〜80Kg/cm)であり、より好ましくは294〜588N/cm(30〜60Kg/cm)である。147N/cm(15Kg/cm)未満の場合には、摩砕による剪断力が弱すぎるため、メカノケミカル効果が得られない。784N/cm(80Kg/cm)を超える場合には、摩砕による剪断力が強すぎて、粒子そのものを破壊してしまう恐れがある。また、処理時間は15〜120分間であり、好ましくは30〜60分間である。
【0066】
本発明においては、カーボンブラック粒子と酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とからなる混合物をエッジランナーによって圧密粉砕処理するまでの操作を、複数回繰り返してもよい。
【0067】
次に、本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末を配合した塗料について述べる。
【0068】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末を配合した塗料は、貯蔵安定性がΔE値で1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下、更により好ましくは1.1以下、最も好ましくは1.0以下である。塗膜にした場合には、塗膜の光沢度は75〜115%、好ましくは80〜115%、より好ましくは90〜115%、最も好ましくは100%〜115%であり、塗膜の黒色度L値は14.0〜22.0が好ましく、より好ましくは14.0〜21.0、最も好ましくは14.0〜20.0であり、塗膜の耐光性ΔE値は5.0以下、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0以下、最も好ましくは2.0以下である。
【0069】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末を配合した水系塗料は、貯蔵安定性がΔE値で1.5以下が好ましく、より好ましくは1.2以下、更により好ましくは1.1以下、最も好ましくは1.0以下である。塗膜にした場合には、塗膜の光沢度は70〜110%、好ましくは75〜110%、より好ましくは85〜110%、最も好ましくは95〜110%であり、塗膜の黒色度L値は14.0〜22.0が好ましく、より好ましくは14.0〜21.0、最も好ましくは14.0〜20.0であり、塗膜の耐光性ΔE値は5.0以下、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0以下、最も好ましくは2.0以下である。
【0070】
本発明に係る塗料中における改質カーボンブラック粒子粉末の配合割合は、塗料構成基材100重量部に対して0.5〜100重量部の範囲で使用することができ、塗料のハンドリングを考慮すれば、好ましくは1.0〜100重量部である。
【0071】
塗料構成基材としては、樹脂、溶剤、必要により油脂、消泡剤、体質顔料、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤等が配合される。
【0072】
樹脂としては、溶剤系塗料用や油性印刷インクに通常使用されているアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ガムロジン、ライムロジン等のロジン系樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂等のロジン変性樹脂、石油樹脂等を用いることができる。水系塗料用としては、水系塗料用や水性インクに通常使用されている水溶性アクリル樹脂、水溶性スチレン−マレイン酸樹脂、水溶性アルキッド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性ウレタンエマルジョン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル樹脂等を用いることができる。
【0073】
溶剤としては、溶剤系塗料用に通常使用されている大豆油、トルエン、キシレン、シンナー、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルイソブチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤、ミネラルスピリット等の石油系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、脂肪族炭化水素等を用いることができる。
【0074】
水系塗料用溶剤としては、水と水系塗料用に通常使用されているエチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のグリコールエーテル系溶剤、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン付加重合体、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール等のアルキレングリコール、グリセリン、2−ピロリドン等の水溶性有機溶剤とを混合して使用することができる。
【0075】
油脂としては、あまに油、きり油、オイチシカ油、サフラワー油等の乾性油を加工したボイル油を用いることができる。
【0076】
消泡剤としては、ノプコ8034(商品名)、SNデフォーマー477(商品名)、SNデフォーマー5013(商品名)、SNデフォーマー247(商品名)、SNデフォーマー382(商品名)(以上、いずれもサンノプコ株式会社製)、アンチホーム08(商品名)、エマルゲン903(商品名)(以上、いずれも花王株式会社製)等の市販品を使用することができる。
【0077】
次に、本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末を用いて着色した樹脂組成物について述べる。
【0078】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末を用いて着色した樹脂組成物は、目視観察による分散状態は、後出評価法による4又は5、好ましくは5であり、樹脂組成物の黒色度L値は14.0〜22.0が好ましく、より好ましくは14.0〜21.0、最も好ましくは14.0〜20.0であり、樹脂組成物の耐光性ΔE値は5.0以下、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.0以下、最も好ましくは2.0以下である。
【0079】
本発明に係る樹脂組成物中における改質カーボンブラック粒子粉末の配合割合は、樹脂100重量部に対して0.01〜200重量部の範囲で使用することができ、樹脂組成物のハンドリングを考慮すれば、好ましくは0.05〜150重量部、更に好ましくは0.1〜100重量部である。
【0080】
本発明に係る樹脂組成物における構成基材としては、改質カーボンブラック粒子粉末と周知の樹脂とともに、必要により、シリカ等の充填材、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤等の添加剤が配合される。
【0081】
樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−EPDM−スチレン共重合体、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ロジン・エステル、ロジン、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム及びその混合物等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0082】
添加剤の量は、樹脂組成物構成基材に対して50重量%以下であればよい。添加剤の含有量が50重量%を超える場合には、成形性が低下する。
【0083】
本発明に係る樹脂組成物は、樹脂原料と改質カーボンブラック粒子粉末をあらかじめよく混合し、次に、混練機もしくは押出機を用いて加熱下で強いせん断作用を加えて、改質カーボンブラック粒子粉末の凝集体を破壊し、樹脂組成物中に改質カーボンブラック粒子粉末を均一に分散させた後、目的に応じた形状に成形加工して使用する。
【0084】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0085】
粒子粉末の一次平均粒子径は、いずれも電子顕微鏡写真(倍率50,000倍)に示される粒子350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0086】
比表面積値は、BET法により測定した値で示した。
【0087】
カーボンブラック粒子粉末の粒子表面に存在するZr量、Ti量及びCe量は、「蛍光X線分析装置 3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0088】
カーボンブラック粒子粉末及び改質カーボンブラック粒子粉末のα値は、分子量の異なるバインダー(数平均分子量M=15000のウレタン樹脂、28000のウレタン樹脂、42000のウレタン樹脂)を用いて、常法により被測定粒子粉末の飽和樹脂吸着量(As)を測定し、得られたAsとMとを下記数4に基づいて両対数表にプロットすることによって得られた直線の傾きより、α値を求めた。
【0089】
【数4】
Figure 0004438925
【0090】
カーボンブラック粒子粉末及び改質カーボンブラック粒子粉末の黒色度は、試料0.5gとヒマシ油0.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗布片について「多光源分光測色計 MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z8929に定めるところに従って表色指数L値で示した。
【0091】
改質カーボンブラック粒子粉末の着色力は、まず下記に示す方法に従って作製した原色エナメルと展色エナメルのそれぞれを、キャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布して塗布片を作製し、該塗布片について「多光源分光測色計 MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いてL値を測色し、その差をΔL値とした。
【0092】
次いで、改質カーボンブラック粒子粉末の標準試料として、未処理のカーボンブラック粒子粉末を用いて、上記と同様にして原色エナメルと展色エナメルの塗布片を作製し、各塗布片のL値を測色し、その差をΔLs値とした。
【0093】
得られた改質カーボンブラック粒子粉末のΔL値と標準試料のΔLs値を用いて下記数5に従って算出した値を着色力(%)として示した。
【0094】
【数5】
着色力(%)=100+{(ΔLs値−ΔL値)×10}
【0095】
原色エナメルの作製:
上記試料粉体3gとアミノアルキッド樹脂16g及びシンナー10gとを配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで45分間混合分散した後、アミノアルキッド樹脂50gを追加し、更に5分間ペイントシェーカーで分散させて、原色エナメルを作製した。
【0096】
展色エナメルの作製:
上記原色エナメル8gとアミラックホワイト(二酸化チタン分散アミノアルキッド樹脂)40gとを配合し、ペイントシェーカーで15分間混合分散して、展色エナメルを作製した。
【0097】
カーボンブラック粒子粉末及び改質カーボンブラック粒子粉末の耐光性は、前述の着色力を測定するために作製した原色エナメルを、冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成し、得られた測定用塗布片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター SUV−W13」(岩崎電気株式会社製)を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、下記数6に従って算出したΔE値によって示した。
【0098】
【数6】
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する試料の紫外線照射有無のL値の差
Δa値: 比較する試料の紫外線照射有無のa値の差
Δb値: 比較する試料の紫外線照射有無のb値の差
【0099】
カーボンブラック粒子粉末及び改質カーボンブラック粒子粉末の流動性は、「パウダテスタ」(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、安息角(度)、圧縮度(%)、スパチュラ角(度)、凝集度の各粉体特性値を測定し、該各測定値を同一基準の数値に置き換えた各々の指数を求め、各々の指数を合計した流動性指数で示した。流動性指数が100に近いほど、流動性が優れていることを意味する。
【0100】
塗膜の光沢度は、前記測定用塗布片を「グロスメーター UGV−5D」(スガ試験機株式会社製)を用いて入射角60°の時の光沢度で示した。光沢度が高いほど、改質カーボンブラック粒子粉末を配合した塗料の分散性が優れていることを示す。
【0101】
改質カーボンブラック粒子粉末を用いた溶剤系塗料及び水系塗料の黒色度は、後述する処方によって調製した各塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して塗膜を形成して得られた測定用塗布片について、「多光源分光測色計 MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて測定を行い、JIS Z 8929に定めるところに従って表色指数L値で示した。また、改質カーボンブラック粒子粉末を用いて着色した樹脂組成物の色相は、後述する処法によって作製した着色樹脂プレートを「多光源分光測色計 MSC−IS−2D」(スガ試験機株式会社製)を用いて前記と同様にして測定した。
【0102】
各塗料を用いた塗膜の耐光性は、前述の塗料の色相を測定するために作製した測定用塗布片の半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター SUV−W13」(岩崎電気株式会社製)を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、下記数7に従って算出したΔE値によって示した。
【0103】
【数7】
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する塗膜の紫外線照射有無のL値の差
Δa値: 比較する塗膜の紫外線照射有無のa値の差
Δb値: 比較する塗膜の紫外線照射有無のb値の差
【0104】
また、各樹脂組成物の耐光性は、前述の樹脂組成物の色相を測定するために作製した樹脂プレートの半分を金属製フォイルで覆い、「アイ スーパーUVテスター SUV−W13」(岩崎電気株式会社製)を用いて、紫外線を照射強度100mW/cmで6時間連続照射した後、金属製フォイルで覆うことによって紫外線が照射されなかった部分と紫外線照射した部分との色相(L値、a値、b値)をそれぞれ測定し、紫外線が照射されなかった部分の測定値を基準に、下記数8に従って算出したΔE値によって示した。
【0105】
【数8】
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する樹脂プレートの紫外線照射有無のL値の差
Δa値: 比較する樹脂プレートの紫外線照射有無のa値の差
Δb値: 比較する樹脂プレートの紫外線照射有無のb値の差
【0106】
塗料の貯蔵安定性は、後述する処方によって調製した各塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS−G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して製造した塗膜のL値、a値及びb値と、該塗料を25℃において1週間静置して得られた塗料を冷間圧延鋼板に塗布、乾燥して製造した塗膜のL値、a値及びb値を測定し、下記数9に従って得られたΔE値で示した。
【0107】
【数9】
ΔE値=((ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL値: 比較する塗膜の静置前後のL値の差
Δa値: 比較する塗膜の静置前後のa値の差
Δb値: 比較する塗膜の静置前後のb値の差
【0108】
塗料粘度については、後述する処方によって調製した塗料の25℃における塗料粘度を「E型粘度計(コーンプレート型粘度計)EMD−R」(株式会社東京計器製)を用いて、ずり速度D=1.92 sec−1における値を求めた。
【0109】
改質カーボンブラック粒子粉末の樹脂組成物への分散性は、得られた着色樹脂プレート表面における未分散の凝集粒子の個数を目視により判定し、5段階で評価した。5が最も分散状態が良いことを示す。
5: 未分散物認められず、
4: 1cm当たり1個以上5個未満、
3: 1cm当たり5個以上10個未満、
2: 1cm当たり10個以上50個未満、
1: 1cm当たり50個以上。
【0110】
<改質カーボンブラック粒子粉末の製造>
カーボンブラック粒子粉末(粒子形状:粒状、一次平均粒子径:0.020μm、BET比表面積値137.7m/g、α値0.15、流動性22、黒色度L値16.5、耐光性ΔE値12.14)1.5kgを水に投入し攪拌・分散した後、硫酸水溶液を加えてpH値4.0とした。次いで、2mol/lの硫酸ジルコニウム水溶液を0.82l(カーボンブラック粒子粉末に対してZr換算で10.0重量部に相当する)を添加して攪拌・混合した後、当該懸濁液を攪拌しながらNaOH水溶液を用いてpH値7.0に調整した。そのときの所要時間は5分であった。直ちに、濾別・水洗・乾燥してカーボンブラック粒子粉末とジルコニア超微粒子との混合物を得た。得られたカーボンブラック粒子粉末とジルコニア超微粒子との混合物を「エッジランナー MSH−0LH型」(新東工業株式会社製)に投入して線荷重421N/cm(43Kg/cm)で30分間圧密粉砕を行った。
【0111】
得られた改質カーボンブラック粒子粉末の一次平均粒子径は0.022μmであり、BET比表面積値は143.7m/g、固着している酸化ジルコニウムはZr換算で9.03重量%、α値は0.53、流動性は45、黒色度L値は16.7、着色力は112%、耐光性ΔE値は2.95であった。
【0112】
<改質カーボンブラック粒子粉末を含む溶剤系塗料の製造>
前記改質カーボンブラック粒子粉末10gとアミノアルキッド樹脂及びシンナーとを下記割合で配合して3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いで、ペイントシェーカーで90分間混合分散し、ミルベースを作製した。
【0113】
改質カーボンブラック粒子粉末 12.2重量部、
アミノアルキッド樹脂 19.5重量部、
(アミラックNo.1026:関西ペイント株式会社製)
シンナー 7.3重量部。
【0114】
前記ミルベースを用いて、下記割合となるようにアミノアルキッド樹脂を配合し、ペイントシェーカーで更に15分間混合分散して、改質カーボンブラック粒子粉末を含む溶剤系塗料を得た。
【0115】
ミルベース 39.0重量部、
アミノアルキッド樹脂 61.0重量部。
(アミラックNo.1026:関西ペイント株式会社製)
【0116】
得られた溶剤系塗料の塗料粘度は1,064cP、塗料の貯蔵安定性は、ΔE値で0.98であった。
【0117】
次いで、前記溶剤系塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して得られた塗膜の光沢度は98%、黒色度L値は17.3、耐光性ΔE値は2.24であった。
【0118】
<改質カーボンブラック粒子粉末を含む水系塗料の製造>
前記改質カーボンブラック粒子粉末7.62gと水溶性アルキッド樹脂等とを下記割合で3mmφガラスビーズ90gと共に140mlのガラスビンに添加し、次いでペイントシェーカーで90分間混合分散し、ミルベースを作製した。
【0119】
改質カーボンブラック粒子粉末 12.4重量部、
水溶性アルキッド樹脂 9.0重量部、
(商品名:S−118:大日本インキ化学工業株式会社製)
消泡剤 0.1重量部、
(商品名:ノプコ8034:サンノプコ株式会社製)
水 4.8重量部、
ブチルセロソルブ 4.1重量部。
【0120】
前記ミルベースを用いて、塗料組成を下記割合で配合してペイントシェーカーで更に15分間混合分散して、改質カーボンブラック粒子粉末を含有する水系塗料を得た。
【0121】
ミルベース 30.4重量部、
水溶性アルキッド樹脂 46.2重量部、
(商品名:S−118:大日本インキ化学工業株式会社製)
水溶性メラミン樹脂 12.6重量部、
(商品名:S−695:大日本インキ化学工業株式会社製)
消泡剤 0.1重量部、
(商品名:ノプコ8034:サンノプコ株式会社製)
水 9.1重量部、
ブチルセロソルブ 1.6重量部。
【0122】
得られた水系塗料の塗料粘度は3,012cP、貯蔵安定性はΔE値で1.02であった。
【0123】
次いで、前記水系塗料を冷間圧延鋼板(0.8mm×70mm×150mm)(JIS G−3141)に150μmの厚みで塗布、乾燥して得られた塗膜の光沢度は91%、黒色度L値は17.4、耐光性ΔE値は2.35であった。
【0124】
<樹脂組成物の製造>
前記改質カーボンブラック粒子粉末2.5gとポリ塩化ビニル樹脂粉末「103EP8D」(日本ゼオン株式会社製)47.5gとを秤量し、これらを100mlポリビーカーに入れ、スパチュラでよく混合して混合粉末を得た。
【0125】
得られた混合粉末にステアリン酸カルシウムを0.5g加えて混合し、160℃に加熱した熱間ロールのクリアランスを0.2mmに設定した後、前記混合粉末を少しずつロールにて練り込んで樹脂組成物が一体となるまで混練を続けた後、樹脂組成物をロールから剥離して着色樹脂プレート原料として用いた。
【0126】
次に、表面研磨されたステンレス板の間に上記樹脂組成物を挟んで180℃に加熱したホットプレス内に入れ、98,000kPa(1トン/cm)の圧力で加圧成形して厚さ1mmの着色樹脂プレートを得た。得られた着色樹脂プレートの分散状態は5であり、黒色度L値は17.4、耐光性はΔE値で2.05であった。
【0127】
【作用】
本発明において最も重要な点は、粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させた分子量依存パラメーターα値が0.35以上である改質カーボンブラック粒子粉末は、分散性、流動性及び耐光性に優れるという事実である。
【0128】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末が優れた分散性を有する理由について、本発明者は、短時間のうちに析出させたZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とカーボンブラック粒子とを圧密粉砕処理して、カーボンブラック粒子の粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子を固着させたことにより、粒子表面の高分子の吸着点を増やし、分子量依存パラメーターα値を0.35以上とすることができたことによるものと考えている。
【0129】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末が優れた流動性を有する理由について、本発明者は、Zr、Ti又は/及びCeを含む酸化物又は水酸化物を粒子表面に比較的長時間かけて析出させて均一に被覆した場合に比べて、カーボンブラック粒子表面に前記酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子に起因する微細な凹凸を形成することができたことによるものと考えている。
【0130】
本発明に係るカーボンブラック粒子の粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させたα値が0.35以上である改質カーボンブラック粒子粉末は、塗料とした場合には分散性及び貯蔵安定性に優れている。また、樹脂組成物とした場合には、分散性に優れているため極めて均一で色ムラのない樹脂組成物を得ることができる。
【0131】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末が耐光性に優れている理由としては、カーボンブラック粒子の粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上の酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を緊密に固着させており、改質カーボンブラック粒子がビヒクル中又は樹脂組成物中に高度に分散・配合することができ、光や熱に対して優れた遮断効果が発揮されるので、光や熱のビヒクル又は樹脂に対する影響を十分抑制することができたことによるものと、本発明者は考えている。
【0132】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を示す。
【0133】
カーボンブラック粒子A〜G:
カーボンブラック粒子として表1に示す特性を有するカーボンブラック粒子を用意した。
【0134】
【表1】
Figure 0004438925
【0135】
実施例1〜7、比較例1〜4:
カーボンブラック粒子粉末の種類、添加物の種類、添加方法及び添加量、酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子を速沈させる反応条件及び圧密粉砕処理における線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして改質カーボンブラック粒子粉末を得た。
【0136】
このときの製造条件を表2に、得られた改質カーボンブラック粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0137】
実施例8
カーボンブラック粒子粉末A 1.5kgを水に投入し攪拌・分散した後、NaOH水溶液を加えてpH値7.5とした。次いで、ジルコン酸ナトリウム228g(カーボンブラック粒子粉末に対してZr換算で7.5重量部に相当する)を添加して攪拌・混合した後、当該懸濁液を攪拌しながら酢酸水溶液を用いてpH値6.5に調整した。そのときの所要時間は8分であった、直ちに、濾別・水洗・乾燥してカーボンブラック粒子粉末とジルコニア超微粒子との混合物を得た。得られたカーボンブラック粒子粉末を「エッジランナー MSH−0LH型」(新東工業株式会社製)に投入して線過重441N/cm(45kg/cm)で60分間圧密粉砕を行った。
【0138】
得られた改質カーボンブラック粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0139】
実施例9、比較例5:
カーボンブラック粒子粉末の種類、添加物の種類、添加方法及び添加量、酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子を速沈させる反応条件及び圧密粉砕処理における線荷重及び時間を種々変化させた以外は、前記実施例8と同様にして改質カーボンブラック粒子粉末を得た。
【0140】
このときの製造条件を表2に、得られた改質カーボンブラック粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0141】
比較例6(特開平9−272816号公報 追試実験)
10g/lのTiCl水溶液を500ml作製し、70℃に加熱し、塩酸を用いてpH値を0.4に調製した後、pH値0.8になるように十分に攪拌を行い、水酸化ナトリウム水溶液をゆっくり滴下してpH調整を行い、コロイド状の浮遊状態の析出物が浮遊する反応液を得た。次いで、該反応液にカーボンブラックA 100gを浸漬させて10分間保持した後、濾別・水洗後、70℃で4時間乾燥し、101.7gを得た。
【0142】
得られたカーボンブラック粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0143】
比較例7(特開平10−95873号公報 実施例1の追試実験)
カーボンブラック粒子粉末Aを穏やかにつぶした後、カーボンブラック粒子粉末1gあたり0.15gのテトラエトキシジルコネート(Aldrich社製)をカーボンブラック粒子粉末に加え均質化した後、該混合物を焼き戻したアルミナるつぼ内に置いた。次いでそのるつぼを雰囲気焼成炉内に置き、窒素で30分間パージして焼成炉内を不活性ガス雰囲気とした後、約800℃で2時間加熱した。次いで、るつぼを焼成炉から取り出し、室温まで冷却した。
【0144】
得られたカーボンブラック粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0145】
【表2】
Figure 0004438925
【0146】
【表3】
Figure 0004438925
【0147】
<溶剤系塗料>
実施例10〜18、比較例8〜15:
カーボンブラック粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして溶剤系塗料を得た。
【0148】
得られた塗料の諸特性及び塗膜の諸特性を表4に示す。
【0149】
【表4】
Figure 0004438925
【0150】
<水系塗料>
実施例19〜27、比較例16〜23:
カーボンブラック粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして水系塗料を得た。
【0151】
得られた水系塗料の諸特性及び塗膜の諸特性を表5に示す。
【0152】
【表5】
Figure 0004438925
【0153】
<樹脂組成物>
実施例28〜36、比較例24〜31:
カーボンブラック粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして樹脂組成物を得た。
【0154】
このときの製造条件及び得られた樹脂組成物の諸特性を表6及び表7に示す。
【0155】
実施例37
下記に示す配合割合にて樹脂組成物を常法に従ってバンバリーミキサー及び練りロール機で混合混練して調製した。
【0156】
Figure 0004438925
【0157】
得られた樹脂組成物を160℃で20分間プレス加硫して試験片を得た。
【0158】
このときの製造条件及び得られた樹脂組成物の諸特性を表6に示す。
【0159】
実施例38〜41、比較例32〜39:
カーボンブラック粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記実施例37と同様にして樹脂組成物を得た。
【0160】
このときの製造条件及び得られた樹脂組成物の諸特性を表6及び表7に示す。
【0161】
【表6】
Figure 0004438925
【0162】
【表7】
Figure 0004438925
【0163】
【発明の効果】
本発明に係る改質カーボンブラック粒子粉末は、分散性、流動性及び耐光性に優れているので、塗料用及び樹脂組成物用として好適である。

Claims (6)

  1. 粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させたカーボンブラック粒子からなる改質カーボンブラック粒子粉末であって、前記改質カーボンブラック粒子粉末の有する高分子化合物の飽和吸着量(As)と該高分子化合物の分子量(M)との関係から成立する下記の数1における分子量依存パラメーターα値が0.35以上であり、前記改質カーボンブラック粒子粉末の流動性が30〜80であることを特徴とする改質カーボンブラック粒子粉末。
    Figure 0004438925
  2. カーボンブラック粒子を含む水性懸濁液のpH値を10.0以上に調整し、該懸濁液にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む化合物水溶液を添加し、攪拌しながらこの液のpH値を中性付近に調節してZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子を速沈させた後、該液中のカーボンブラック粒子を酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とともに濾別してカーボンブラック粒子と酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とからなる混合物を得、該混合物を水洗・乾燥した後、当該混合物をエッジランナーによって圧密粉砕処理をすることにより、カーボンブラック粒子の粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させることを特徴とする請求項1記載の改質カーボンブラック粒子粉末の製造法。
  3. カーボンブラック粒子を含む水性懸濁液のpH値を4.0以下に調整し、該懸濁液にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む化合物水溶液を添加し、攪拌しながらこの液のpH値を中性付近に調節してZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上の酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子を速沈させた後、該液中のカーボンブラック粒子を酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とともに濾別してカーボンブラック粒子と酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とからなる混合物を得、該混合物を水洗・乾燥した後、当該混合物をエッジランナーによって圧密粉砕処理をすることにより、カーボンブラック粒子の粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させることを特徴とする請求項1記載の改質カーボンブラック粒子粉末の製造法。
  4. カーボンブラック粒子を含む水性懸濁液のpH値を中性付近に調整し、該懸濁液にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む化合物粉末を添加し、攪拌しながらこの液のpH値を中性付近に維持し、Zr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子を速沈させた後、該液中のカーボンブラック粒子を酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とともに濾別してカーボンブラック粒子と酸化物超微粒子又は水酸化物超微粒子とからなる混合物を得、該混合物を水洗・乾燥した後、当該混合物をエッジランナーによって圧密粉砕処理をすることにより、カーボンブラック粒子の粒子表面にZr、Ti又はCeから選ばれる1種又は2種以上を含む酸化物超微粒子或いは水酸化物超微粒子を固着させることを特徴とする請求項1記載の改質カーボンブラック粒子粉末の製造法。
  5. 請求項1記載の改質カーボンブラック粒子粉末を塗料構成基材中に配合したことを特徴とする塗料。
  6. 請求項1記載の改質カーボンブラック粒子粉末を用いて着色したことを特徴とする樹脂組成物。
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