JP4764558B2 - 吸油量の増大した非晶質シリカ粒子、その製法及び用途 - Google Patents

吸油量の増大した非晶質シリカ粒子、その製法及び用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、濃密な非晶質シリカ及び嵩高な非晶質シリカとを組合せた吸油量を増大した非晶質シリカ粒子、その製法及び用途に関するもので、好ましくは、濃密な非晶質シリカのコアと嵩高な非晶質シリカのシェルとの二重構造を有する非晶質シリカ粒子、その製法及び塗料用艶消し剤等の用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から塗膜表面の光沢を低下させる目的でシリカ微粉末等を艶消し剤として塗料中に配合することが行われており、この艶消し剤は塗膜表面に微細な凹凸を形成させ、これによりグロス値を低下させるものである。
【0003】
このような艶消し剤用シリカとしては、従来湿式法シリカ即ちケイ酸ナトリウムを酸で中和して得られる湿式法シリカが使用されており、例えば、特公昭55−6669号公報には、常法により湿式製造したのち約800℃以上の高温で高温熱処理を施して得た約1.448より大きい屈折率と2%を超えない強熱減量値を有する微粉シリカを含有することを特徴とする艶消し組成物が記載されている。
【0004】
また、特開平1−298014号公報には、湿式法により得られるシリカを平均粒径が1〜20μmとなるまで粉砕した後400〜1000℃の温度で30〜120分間熱処理することから成る塗料用艶消し剤の製造法が記載されている。
【0005】
特開平2−289670号公報には、少なくとも1.0ml/gの細孔容積1〜10ミクロンの範囲の平均粒子寸法及びコーテイング賦形剤中に分散させたとき特定の粒子寸法分布を有する無機ヒドロゲルから成る艶消し剤が記載されている。
【0006】
更に、特開平5−117548号公報には、シリカ微粉末及び正のゼータ電位をもつ平均粒子径0.01〜5μmの樹脂粒子を含有することを特徴とする艶消し塗料組成物が記載されている。
【0007】
更にまた、特開平7−166091号公報には、BET法比表面積が30乃至150m/gであり、吸油量が120乃至280ml/100gであり、嵩比重が30乃至150g/Lであり、2次粒子の平均粒子径が1.0乃至5.0μmである湿式法沈殿シリカをポリエチレンワックスで表面処理した塗料用艶消し剤において、前記ポリエチレンワックスの処理量が前記湿式法沈殿シリカ100重量部に対して4乃至12重量部であることを特徴とする塗料用艶消し剤が記載されている。
【0008】
本出願人の提案にかかる特開平11−60231号公報には、濃密な非晶質シリカのコアと嵩高な非晶質シリカのシェルとの二重構造を有し、体積基準のメジアン径が1乃至5μmの範囲にあり且つ粒径0.5μm以下の微粒子の含有率が10容積%以下であることを特徴とする非晶質シリカ粒子が記載されており、この二重構造非晶質シリカ粒子は、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とをpH2乃至10の条件下で中和してゲル法非晶質シリカを製造する工程と、生成するゲル法非晶質シリカを湿式粉砕する工程と、湿式粉砕されたゲル法非晶質シリカ粒子の存在下に、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とをpH5乃至9の条件下で中和して沈降法非晶質シリカ粒子をゲル法非晶質シリカ粒子の表面に析出させることにより製造されることが記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来艶消し剤に使用されているシリカ微粉末は、一次粒径は微細であるが、これら一次粒子が凝集した不定形の二次粒子から成っており、その粒子形状が不定であると共に粒度分布も広くて不均斉であり、更に塗料中に分散した状態では、その分散粒径を制御することが困難であるという問題を有している。
【0010】
即ち、塗膜表面に凹凸を形成して光沢を減少させるのに有効に作用するシリカ粒子の粒径には一定の制限があり、この有効粒径を下回る粒子は塗膜表面の光沢減少には有効に役立たず、またこの有効粒径を上回る粒子は塗膜表面にブツを形成して、塗膜の外観特性や表面特性を損うという欠点がある。しかも、公知のシリカ系艶消し剤では粉砕や分級等により、前記有効粒径よりも大きな粒子の含有量を低減させることはできても、これにより有効粒径よりも小径の粒子の含有量が増大し、これにより以下に述べる不都合が発生する。
【0011】
先ず、表面光沢減少に役立つ有効粒径の粒子の含有量が少ないため、塗料当りのシリカ系艶消し剤の配合量を多くしなければならず、そのためのコストが必要となり、配合操作も面倒となる。また、塗料中に有効粒径よりも小粒径の粒子が含有されるようになると、これにより塗料の粘度が増大して塗装作業性が低下するという問題があり、更に塗料中に存在する小粒径粒子の存在により、塗膜の色相がくすんだものとなったり、塗膜の強靭性等の機械的性質が低下したりするという欠点もある。また、小粒径の凝集した粒子等を含む塗膜では摩擦等により表面に傷が入る傾向も大である。
【0012】
更に、公知の不定形のシリカ系艶消し剤は、配合前にはある程度満足すべき粒度構成を有していたとしても、塗料中に分散したとき、剪断力により崩壊する傾向(ディスインテグレーション)があり、これにより前述した欠点を避け得ない。
【0013】
また、本出願人の上記提案にかかる特開平11−60231号公報の発明は、粉体の状態では勿論のこと、塗料或いは樹脂中に配合した状態でも粒径が一定しており、微粒子の発生がなく、艶消し作用やアンチブロッキング作用に優れているとともに、磨耗傾向が少なく、耐傷付き性乃至耐擦傷性にも優れた新規構造の非晶質シリカ粒子を提供したものとして意義深いものがあるが、非晶質シリカの塗料等への配合量と艶消し作用との関係については、所定の艶消し作用を得るためには比較的多量の配合を必要とするという点で未だ十分満足できるものではない。
【0014】
したがって、本発明の目的は、比較的少量の配合で所定の優れた艶消し効果が得られると共に、艶消し効果の発現が塗膜表面の平滑性を損なうことなしに可能となる特性を有する非晶質シリカ粒子及びその製法を提供するにある。
本発明の他の目的は、吸油量が顕著に向上した非晶質シリカ粒子及びその製法を提供するにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ゲル法非晶質シリカ(A)のコアと沈降法非晶質シリカ(B)のシェルから成る二重構造を有しており、ゲル法非晶質シリカ(A)及び沈降法非晶質シリカ(B)が7:3乃至4:6の重量比で存在し、水銀圧入法により求めた細孔半径3600オングストローム以下の細孔容積が2.6mL/g以上であり、吸油量(JIS K 5101)が260mL/100g以上であることを特徴とする非晶質シリカ粒子が提供される。
本発明の非晶質シリカ粒子においては、
1.水銀圧入法により求めた細孔半径40乃至100オングストロームの領域の細孔容積が0.50mL/g以上となるメソポアを有すること、
が好ましい。
本発明によれば、また、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とをpH2乃至10の条件下で中和した後に湿式粉砕してゲル法非晶質シリカを製造する工程と、ゲル法非晶質シリカ粒子の存在下に、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とをpH5乃至9の条件下で中和して沈降法非晶質シリカ粒子をゲル法非晶質シリカコアの表面にシェルとして析出させる工程とからなる二重構造を有する非晶質シリカ粒子の製法において、コアシリカ当たりのシェルシリカの重量比が毎時0.5以下の増加となる析出速度で行うことを特徴とする非晶質シリカ粒子の製法が提供される。
また本発明では、上記非晶質シリカ粒子から成ることを特徴とする塗料用艶消し剤、フィルム用アンチブロッキング剤、インクジェット記録紙用填剤、及び製紙用裏抜け防止剤が提供される。
本発明の塗料用艶消し剤においては、上記非晶質シリカ粒子100重量部当たり1乃至20重量部のワックスで表面処理されて成ることが好ましい。
尚、本発明の非晶質シリカ粒子において、コアを形成するゲル法非晶質シリカ(A)は、シェルを形成する沈降法非晶質シリカ(B)に比して濃密であり、従って、かかる非晶質シリカを濃密なシリカと呼ぶことがある。また、シェルを形成する沈降法非晶質シリカ(B)は、コアを形成するゲル法非晶質シリカ(A)に比して相対的に嵩高であり、従って、かかる非晶質シリカ(B)を嵩高な非晶質シリカと呼ぶことがある。
【0016】
【発明の実施形態】
[非晶質シリカ粒子]
本発明の非晶質シリカ粒子では、水銀圧入法により求めた細孔半径3600オングストローム以下の細孔容積が2.6mL/g以上、特に2.7乃至3.1mL/gの範囲にあることが特徴であり、これにより、塗料艶消し剤として用いたとき、比較的少量の配合で所定の優れた艶消し効果が得られると共に、艶消し効果の発現が塗膜表面の平滑性を損なうことなしに可能となる。また、本発明の非晶質シリカ粒子は、前述した先行技術と同様に濃密な非晶質シリカのコアと嵩高な非晶質シリカのシェルとの二重構造を有する。この二重構造は、非晶質シリカ粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより、確認することができる(特開平11−60231号公報の図1参照)。
【0017】
昭和46年5月1日 共立出版株式会社発行の「塗料の流動と顔料分散」の第142頁によると、塗膜の物性と顔料体積濃度(PVC)との関係は、図1のZ字型のカーブ(シグモイドカーブ)に示す関係となり、顔料体積濃度(PVC)が低い上側の領域は光沢がある領域、顔料体積濃度(PVC)が中間の領域は半光沢の状態の領域、顔料体積濃度(PVC)が高い下側の領域は艶消し状態の領域とされている。これはまた、塗料組成系で、顔料粒子間の空隙の大きさを示す代用特性として臨界顔料体積濃度(CPVC)値と大きく関係している。CPVC値(下記式(1)のOAから計算)は2種の全く異なった分散状態を分ける境界、または限界領域を示す。CPVC以上のPVCでは塗膜中で顔料間の空間を満たすバインダーが不足している。逆にCPVC以下ではバインダーが空間を満たすに必要な量以上に存在している。この境界の両側では、塗膜の特性が急激に変化する。
【0018】
ここで、顔料体積濃度(PVC)とは、顔料とビヒクル混合物に対する顔料の体積率である。
また、臨界顔料体積濃度(CPVC)とは、乾燥塗膜において結合剤(バインダー)がちょうど顔料粒子間の空隙を埋めるのに必要にして且つ十分なPVCの値と定義され、ある塗料組成系におけるCPVCは、その系の分散状態に相応した最大顔料濃度を示している。CPVCは下記式(1)
(式1)
Figure 0004764558
OA=吸油量(顔料100gを堅いペーストにするため要するアマニ油量mL)
ρp =顔料の密度(g/cm
で表される。
【0019】
図1より、一定の吸油量(JIS K 5101)を有する顔料については、PVCの値の大きい方が艶消し効果があることが分かる。しかしながら、吸油量の違う顔料の艶消し効果を比較する場合には、CPVCの値に着目する必要がある。CPVC値が小さい顔料を使用することにより、比較的少量の配合で優れた艶消し効果が得られる。本発明の非晶質シリカ粒子の吸油量は260mL/100g以上であり、後述する実施例のCPVCの値は13.2乃至14.6%である。
また、比較例4の非晶質シリカでは吸油量が200mL/100gであり、CPVC値は18.5%である。
【0020】
本発明の非晶質シリカ粒子は、既に指摘したとおり、細孔半径3600オングストローム以下の細孔容積が2.6mL/g以上であるという特徴を有するが、細孔分布に関してもいくつかの特徴を有している。
先ず、本発明の非晶質シリカは、水銀圧入法により求めた細孔半径40乃至100オングストロームの領域の細孔容積が0.50mL/g以上、特に0.60mL/g以上となるメソポアを有している。また、細孔半径200乃至1000オングストロームの細孔容積は約1.0mL程度のものである。
図2に、実施例1の非晶質シリカ粒子と比較例4及び5の非晶質シリカとについて、水銀圧入法により求めた細孔分布を示す。本発明の非晶質シリカ(実施例1)は、細孔半径が40乃至100オングストロームの細孔容積は0.73mL/gであるのに対し、比較例4及び5のそれぞれの値は、0.09mL/g及び0.43mL/gである。
本発明の非晶質シリカでは、上記範囲のメソポアを有することにより、嵩高な粒子構造が安定に維持され、塗料中での沈降も防止される。すなわち、比較例4及び5ではかなりデンスな沈降を生じているのに対して、実施例1では嵩高な粒子構造が維持されるため、沈降の程度が緩いものであることが了解される。
更に、市販のゲル法で得られた非晶質シリカと沈降法で得られた非晶質シリカとを単に混合した非晶質シリカ粒子(比較例6)は、水銀圧入法により求めた細孔半径3600オングストローム以下の細孔容積は、2.2mL/g、細孔半径が40乃至100オングストロームの細孔容積が0.26mLであり、吸油量も222mL/100gであって、本発明の非晶質シリカ粒子に比して、艶消し性、沈降安定性、耐擦傷性の何れにおいても劣っている。
【0021】
また、本発明の非晶質シリカ粒子は、前述した先行技術と同様に、濃密な非晶質シリカのコアと嵩高な非晶質シリカのシェルとの二重構造を有していることが好ましい。濃密な非晶質シリカは、粒子の強度を高めて粒子の崩壊や粉化を防止する成分であるとともに、粒子の屈折率を向上させることにより透明性を向上させる成分である。一方、嵩高な非晶質シリカは、艶消し作用やアンチブロッキング作用に寄与するとともに、耐磨耗性、耐擦傷性を向上させる成分である。
【0022】
濃密な非晶質シリカ粒子を単独で塗料や樹脂中に配合すると、満足すべき艶消し作用やアンチブロッキング作用は発現されず、また磨耗傾向が著しく、摺擦によるフィルムや塗膜の傷付き傾向が著しい(後述する比較例5参照)。一方、嵩高な非晶質シリカを塗料や樹脂中に配合すると、ある程度の艶消し作用やアンチブロッキング作用が得られるものの、塗料や樹脂の粘度が増大する傾向があり、更に透明性にも劣る傾向が見られる(後述する比較例4参照)。これは、嵩高な非晶質シリカ粒子が、粒子の崩壊(ディスインテグレーション)を生じ、艶消し作用やアンチブロッキング作用に有効に作用する粒径のものの割合が低下すること、崩壊により生じる微粒子が粘度を上昇せしめることがこの原因と考えられる。
【0023】
これに対して、本発明の濃密な非晶質シリカ(A)及び嵩高な非晶質シリカ(B)が7:3乃至4:6の重量比で組み合わせた非晶質シリカ粒子は、艶消し作用やアンチブロッキング作用に優れているとともに、磨耗傾向が少なく、耐傷付き性乃至耐擦傷性にも優れている。特に濃密な非晶質シリカをコアとし、嵩高な非晶質シリカをシェルとした二重粒子構造をとる場合には、粉体の状態では勿論のこと、塗料或いは樹脂中に配合した状態でも粒径が一定しており、微粒子の発生がなく、更にこの非晶質シリカ粒子を配合した塗料或いは樹脂組成物は透明性に優れており、深みのある外観を与える等の作用効果が得られるのである(実施例1参照)。この理由は、嵩高な非晶質シリカのシェルが、艶消し作用やアンチブロッキング作用の向上と、磨耗傾向の減少と耐傷付き性の向上に役立っていると共に、濃密な非晶質シリカのコアが粒子の崩壊や粉化を防止し、非晶質シリカ粒子の粒度を艶消し作用やアンチブロッキング作用の発現に最も好都合の範囲に維持し、粉化による粘度の増加を抑制し、また透明性の向上に寄与しているためと考えられる。
【0024】
本発明の非晶質シリカ粒子においては、体積基準のメジアン径が1乃至5μmの範囲にあり且つ粒径0.5μm以下の微粒子の含有率が10容積%以下であることも重要である。というのは、メジアン径が上記範囲にあることにより、少ない配合量でも艶消し作用やアンチブロッキング作用を最大限発現させることができ、また、微粒子含有量を上記範囲以下に抑制することにより、配合塗料や樹脂の粘度上昇を抑制することができる。
【0025】
本発明の非晶質シリカ粒子は、粉体特性として、BET法比表面積が150乃至400m/gの範囲にある。比表面積が上記範囲よりも小さいと、透明性が低下する傾向があり、一方上記範囲よりも大きいと、粒子強度が増大する傾向があり、樹脂に添加した場合に磨耗性が増加する傾向がある。
【0026】
本発明の非晶質シリカ粒子においては、濃密な非晶質シリカと嵩高な非晶質シリカが、7:3乃至4:6の重量比、特に6.5:3.5乃至4.5:5.5の重量比で存在するのが、前述した性能のバランスの上でよく、濃密な非晶質シリカの量が上記範囲よりも少ないと、粉化傾向が増大し、透明性が低下する傾向にあり、一方嵩高な非晶質シリカの量が上記範囲よりも少ないと、艶消し作用やアンチブロッキング作用が低下し、磨耗性等が増加する傾向がある。
【0027】
また、本発明の非晶質シリカ粒子において、濃密な非晶質シリカがゲル法非晶質シリカ粒子であり且つ嵩高な非晶質シリカが沈降法非晶質シリカ粒子である。
【0028】
図3には、本発明の非晶質シリカ粒子(実施例1)の添加量を変化させて、塗料中に配合した塗膜について、その添加量と艶消し効果(60°Gloss)との関係をプロットしたものであるが、本発明の非晶質シリカ粒子は、ゲル法非晶質シリカ(比較例5)、沈降法非晶質シリカ(比較例4)に比べ、少ない添加量で艶消し効果が表れていることが明らかである。
【0029】
次に、図4には、本発明の非晶質シリカ粒子の添加量を変化させて、塗料中に配合した塗膜について、艶消し効果(60°Gloss)と平滑度の関係をプロットしたものであるが、本発明の非晶質シリカ粒子(実施例1)は、艶消し効果のほぼ同等な比較例7に比べ、平滑性を保ちながら艶消し効果が表れていることが明らかである。
【0041】
[非晶質シリカ粒子の製造2]
本発明の非晶質シリカ粒子は、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とをpH2乃至10の条件下で中和した後に湿式粉砕してゲル法非晶質シリカを製造する工程と、ゲル法非晶質シリカ粒子の存在下に、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とをpH5乃至9の条件下で中和して沈降法非晶質シリカ粒子をゲル法非晶質シリカコアの表面にシェルとして析出させる工程とからなる。この二重構造を有する非晶質シリカ粒子の製法においては、コアシリカ当たりのシェルシリカの重量比が毎時0.5以下の増加となる析出速度で行うことが重要である。この製造法により得られた非晶質シリカ粒子は、コアとシェルからなる二重構造を有している。
【0042】
この製造方法では、ゲル法非晶質シリカヒドロゲルスラリーを高速剪断下での湿式粉砕処理に付することにより、均質な粒度範囲の種(コア)粒子を製造することが特徴である。
湿式粉砕には、それ自体公知の摩擦内板ミル、例えば(ウィリー・A・バッコーフェン社製のダイノーミル)が好適に使用されるが、勿論高速剪断が可能であれば、他の湿式粉砕機を使用することもできる。この場合、スラリーの温度が50℃を越えないようにすることが粒子間の凝集を少なくするために重要である。
【0043】
こうして得られた種粒子(シリカヒドロゲル)は、SiO濃度2乃至10重量%のシリカヒドロゲルスラリーに調整を行う。そして、この種粒子の存在下に、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とをpH5乃至9の範囲で中和反応を行うことにより、種粒子の表面に嵩高な非晶質シリカのシェルを確実に形成させることができる。
【0044】
本発明の製法において、ゲル法非晶質シリカ粒子の製造を50℃以下の温度で行うことが、均一な組織のゲル法シリカを形成させる点で好ましく、この条件下で製造した種を用いた非晶質シリカ粒子は、諸物性の点でも優れている。
【0045】
更に、沈降法非晶質シリカ粒子の生成を60乃至100℃の温度で行うことが好ましく、これにより遊離の嵩高な非晶質シリカの析出を防止しながら、艶消し作用やアンチブロッキング作用及び耐磨耗性に優れた非晶質シリカ粒子を収率よく、且つ再現性をもって製造できるようになる。
【0046】
また、本発明の製法において、沈降法非晶質シリカ粒子をゲル法非晶質シリカコアの表面にシェルとして析出させる工程とからなる二重構造を有する非晶質シリカ粒子の製法において、コアシリカ当たりのシェルシリカの重量比が毎時0.5以下、特に0.3以下の増加となる析出速度で行うことも重要である。この析出速度よりも早い速度では、細孔容積(水銀圧入法)が小さく、高吸油性の非晶質シリカを得る事ができない。
【0047】
[用途]
本発明の非晶質シリカ粒子は、それ自体公知の塗料中に配合して、艶消し塗料組成物とすることができる。
【0048】
塗料としては、樹脂の種類からいって、油性塗料、ニトロセルロース塗料、アルキッド樹脂塗料、アミノアルキッド塗料、ビニル樹脂塗料、アクリル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、塩化ゴム系塗料等の慣用のそれ自体公知の塗料の他に、ロジン、エステルガム、ペンタレジン、クマロン・インデンレジン、フェノール系レジン、変性フェノール系レジン、マレイン系レジン、アルキド系レジン、アミノ系レジン、ビニル系レジン、石油レジン、エポキシ系レジン、ポリエステル系レジン、スチレン系レジン、アクリル系レジン、シリコーン系レジン、ゴムベース系レジン、塩素化物系レジン、ウレタン系レジン、ポリアミド系レジン、ポリイミド系レジン、フッ素系レジン、天然或いは合成の漆等の1種或いは2種以上を含有する塗料が挙げられる。
【0049】
また、用いる塗料は、その用い方によって、溶液型塗料、水性塗料、紫外線硬化型塗料、粉体塗料等の任意のものであってよいが、本発明は溶液型塗料、水性塗料に特に適している。
【0050】
この溶液型塗料の有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ヘプタン、n−ヘキサン、アイソパー等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;エタノール、プロパノール、ブタノール、ダイアセトンアルコール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒等の1種または2種以上を用いることができる。原料溶液中の樹脂分濃度は、一般に5乃至70重量%、特に10乃至60重量%の範囲にあるのが適当である。
【0051】
また、水性塗料としては、水溶液型の塗料の他、自己乳化型或いは界面活性剤乳化型の塗料が使用される。水性塗料の樹脂としては、水性媒体に水溶化された或いは自己乳化されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂或いはこれらの2種以上の組み合わせを挙げることができる。自己乳化型樹脂では、カルボキシル基をアンモニア或いはアミン類で中和することにより、或いは含有されるアミンを4級化することにより自己乳化性が付与される。また、種々のラテックス樹脂も使用される。樹脂分濃度は、一般に10乃至70重量%、特に20乃至60重量%の範囲にあるのが適当である。
【0052】
紫外線(UV)硬化型塗料としては、ハイソリッドレジン、例えばUV硬化型のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等が単独或いは2種以上の組み合わせで使用される。
【0053】
粉体塗料としてはポリアミド、ポリエステル、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、セルロース誘導体、ポリエーテル、塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂の他、エポキシ樹脂、エポキシ/ノボラック樹脂、イソシアネート或いはエポキシ硬化型ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0054】
本発明に用いる非晶質シリカ粒子は、その表面を無機酸化物、例えば酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、;シラン系、チタニウム系或いはジルコニウム系のカップリング剤で被覆し或いは表面処理しておくことができる。
【0055】
また、この非晶質シリカは、金属石鹸、樹脂酸石鹸、各種樹脂乃至ワックス類等のコーティング等を所望により施すことができる。特に、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸変性ポリエチレンワックス等オレフィン系樹脂ワックスや、動植物系ワックス、鉱物系ワックス等のワックスによる処理が、艶消し効果増大や耐擦傷性向上に有効である。このコーティング処理は、水洗上がりの非晶質シリカのケーキにワックスの水性エマルジョンを添加し混合することにより、容易に行うことができる。非晶質シリカ粒子100重量部当たり1乃至20重量部のワックスで表面処理されていることが好ましい。
【0056】
本発明においては、前述した非晶質シリカ粒子を単独で艶消し剤として使用するほか、他の充填剤や顔料と組合せて塗料の配合に使用しうる。組合せで使用する無機成分としては、アルミナ、アタパルガイド、カオリン、カーボンブラック、グラファイト、微粉ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイソウ土、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、スレート粉、セリサイト、フリント、炭酸カルシウム、タルク、長石粉、二硫化モリブデン、バライト、ひる石、ホワイティング、マイカ、ろう石クレイ、石こう、炭化ケイ素、ジルコン、ガラスビーズ、シラスバルーン、アスベスト、ガラス繊維、カーボン繊維、ロックウール、スラグウール、ボロンウスイカ、ステンレススチール繊維、チタン白、亜鉛華、ベンガラ、鉄黒、黄色酸化鉄、ゼオライト、ハイドロタルサイト、リチウム、アルミニウム、カーボネート、チタンエロー、酸化クロムグリーン、群青、紺青等が挙げられる。
【0057】
また、本発明の非晶質シリカ粒子は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂或いは各種ゴム配合用の充填剤、特にアンチブロッキング剤としても有用である。
【0058】
アンチブロッキング剤として配合する熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂が好適なものであり、特に低−、中−或いは高−密度のポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、あるいはこれらのエチレン乃至α−オレフィンとの共重合体であるポリプロピレン系重合体、線状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、これらは単独でも或いは2種以上のブレンド物の形でも使用できる。本発明の非晶質シリカ粒子は、メタロセン触媒を用いて製造したオレフィン系樹脂フィルムのアンチブロッキング剤として有用であり、従来のアンチブロッキング剤に見られた着色傾向を解消することができる。
【0059】
勿論、本発明のアンチブロッキング剤は、それ自体公知の他の樹脂フィルムにも配合することができ、例えばナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、塩化ビニール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂等に配合することもできる。
【0060】
アンチブロッキング剤としての用途の場合、上記非晶質シリカ粒子を、熱可塑性樹脂100重量部当たり、0.005乃至10重量部、特に0.05乃至3.0重量部、さらに好ましくは0.005乃至1.0重量部の量で用いるのがよい。
【0061】
勿論、本発明の非晶質シリカ粒子は、充填剤として、上記熱可塑性樹脂や、各種ゴム、或いは熱硬化性樹脂に配合することができる。
【0062】
ゴム用のエラストマー重合体としては、例えばニトリル−ブタジエンゴム(NBR),スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IIB)、ブチルゴム、天然ゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ポリウレタン、シリコーンゴム、アクリルゴム等;熱可塑性エラストマー、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素化スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。
【0063】
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、或いはこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0064】
充填剤としての用途の場合、上記熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂或いはエラストマー100重量部当たり、0.5乃至20重量部、特に2乃至10重量部の量で配合することができる。
【0065】
また、吸湿性充填剤としての用途の場合、目的に応じて、上記熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂或いはエラストマー100重量部当たり、0.5乃至20重量部、特に2乃至10重量部の量で配合することができる。
【0066】
更に、本発明の非晶質シリカは、紙用コート剤、特にインクジェット記録紙用填剤、製紙用裏抜け防止剤として有用である。また、クロマトグラフ担体、化粧料基剤、電子部品用塗料、電子部品用吸湿剤、その他の非晶質シリカの用途に用いることができる。
【0067】
【実施例】
本発明は以下の例で詳細に説明する。なお本発明に用いる艶消剤等の物性及び評価方法は以下の通りである。また、実施例6は、シリカ構造がクラスターであり、コアシェルの二重構造を有しておらず、本発明の範囲外の参考例である。
【0068】
(1)粒度
コールターカウンター(コールターエレクトロニクス社製TA−II型)法により、アパーチャーチューブ50μmを用いて測定した。
【0069】
(2)比表面積(BET法)
マイクロメリティックス社製 ASAP 2010(V3.0)を使用し、BET法により比表面積を測定した。
【0070】
(3)細孔容積(水銀圧入法)
マイクロメリティックス社製 オートポア9220を用いて粉末の水銀圧入法による細孔分布を測定し、細孔半径3600オングストローム以下の細孔容積を求めた。
【0071】
(4)艶消し効果試験法
塗膜形成剤として2液形ポリウレタン塗料(関西ペイント(株)製 常乾形 Retan PG80III Clear)を用いて、イソシアネート硬化剤と90:10の割合で混合し、この混合物100重量部に試料を1乃至6部添加し、ディスパー分散機を用いて2500rpmで5分間分散させた後、バーコーター#14を用いてPETフィルムに塗布し、室温で硬化し塗布フィルムを調製した。次いで村上色彩技術研究所製のデジタル光沢度計GM−3Dを用いて60゜Gloss(光沢率(%))を測定した。表1には、試料を2部添加した時の測定値を示した。
【0072】
(5)平滑度試験法
(4)で得た塗布フィルムを東洋精機製のベック平滑度試験機を用いて380から360mmHgまで減圧度が低下する時間を測定した。
【0073】
(6)樹脂中に於ける沈降性の試験法
2液型ポリウレタン樹脂(常乾形 Retan Clear No.2026 関西ペイント製)を専用のシンナーで希釈して、No.4 Ford Cup にて粘度を調整する。
この樹脂100gに試料を2g添加し、ディスパーを用いて2500rpmで 10分間分散させる。その後、100mLの目盛付き比色管に入れ静置する。静置30日後に沈降状態を観察し、更に、比色管を振って沈降性を以下のように評価した。
沈降性(再分散性)
◎:軽い振盪により沈降物がかなり容易に再分散する。
○:軽い振盪により沈降物が容易に再分散する。
△:強い振盪により沈降物が再分散する。
×:強い振盪によっても沈降物が再分散しない。
【0074】
(7)摩擦試験(耐擦傷性)
(4)で得られた塗布シートから試験片1(3×3cm)と試験片2(20×4cm)を作り、試験片2の塗膜を上にしてガラス板に固定し、試験片1の塗膜が試験片2と合うように乗せる。この時、試験片1に900gのおもりを乗せ1cm2当たり100gの荷重を掛けた。次いで試験片1を試験片2の端から端まで移動し、摩擦した塗板の表面状態を観察した。なお、摩擦回数(往復/回)5、15、25について下記の目視観察により、塗膜の傷つき性を評価した。
Figure 0004764558
【0075】
(実施例1)
(第一工程)
500Lのステンレス製容器に3号珪酸ソーダ(SiO濃度22%)を86kgと水253kgを加えた後、攪拌しながら35℃まで昇温した。昇温後、硫酸をpHが2.5になるまで一方注加し、ゲル法非晶質シリカスラリーを得た。注加終了後、5時間の熟成を行った。熟成終了後、マイコロイダーにて湿式粉砕を行った。
(第二工程)
上記第一工程で得たゲル法非晶質シリカスラリー60kg(SiO分3kg)を150Lのステンレス製容器に秤取り、攪拌下85℃まで昇温する。昇温後、シリカ濃度13%に希釈した3号珪酸ソーダと7%硫酸をpH7.5になるように同時注下して沈降法非晶質シリカを析出した。この時の3号珪酸ソーダの使用量は20.8kg、流量は0.08L/min(4時間注加)とした。熟成終了後、硫酸を注加しpHを3.5に調整した。
pH調整後、濾過洗浄を行いケーキを得た。その後、この濾過ケーキを乾燥して粉砕、分級を行い二重構造を有する非晶質シリカ粒子を得た。得られた粉末の物性値及び評価結果を表1に示す。
【0076】
(実施例2)
実施例1の第二工程における3号珪酸ソーダの使用量を10.4kg、流量を0.08L/minとした以外は実施例1と同様にして行った。得られた粉末の物性値及び評価結果を表1に示す。
【0077】
(実施例3)
実施例1の第二工程における3号珪酸ソーダの使用量を15.2kg、流量を0.08L/minとした以外は実施例1と同様にして行った。得られた粉末の物性値及び評価結果を表1に示す。
【0078】
(実施例4)
実施例1の第二工程における3号珪酸ソーダの使用量を25.6kg、流量を0.08L/minとした以外は実施例1と同様にして行った。得られた粉末の物性値及び評価結果を表1に示す。
【0079】
(実施例5)
実施例1の第二工程における3号珪酸ソーダの使用量を30.7kg、流量を0.08L/minとした以外は実施例1と同様にして行った。得られた粉末の物性値及び評価結果を表1に示す。
【0080】
(実施例6)
実施例1の第一工程において湿式粉砕を行わずに得たゲル法非晶質シリカのスラリー60kg(SiO分3kg)を150Lのステンレス製容器に秤取り、攪拌下85℃まで昇温する。昇温後、シリカ濃度13%に希釈した3号珪酸ソーダと7%硫酸をpH7.5になるように同時注下して沈降法非晶質シリカと、ゲル法非晶質シリカを混合し、非晶質シリカ粒子を得た。得られた粉末の物性値及び評価結果を表1に示す。
【0081】
(実施例7)
実施例1の第二工程における3号珪酸ソーダの流量を0.16L/minとした以外は実施例1と同様にして行った。得られた粉末の物性値及び評価結果を表1に示す。
【0082】
(実施例8)
実施例1の第二工程での濾過洗浄後のケーキに、低分子量ポリエチレンワックスエマルジョン(HYTEC E−8237:東邦化学工業製)を、シリカ100重量部に対してポリプロピレンワックス固形分で、5重量部となるように添加し、表面処理された非晶質シリカを得た。得られた粉末の物性値及び評価結果を表1に示す。
【0083】
(比較例1)
実施例1の第二工程における3号珪酸ソーダの流量を0.65L/minとした以外は実施例1と同様にして行った。得られた粉末の物性値及び評価結果を表2に示す。
【0084】
(比較例2)
実施例1の第二工程における3号珪酸ソーダの使用量を39.2kg、流量を0.15L/minとした以外は実施例1と同様にして行った。得られた粉末の物性値及び評価結果を表2に示す。
【0085】
(比較例3)
実施例1の第一工程で得たゲル法非晶質シリカゲルスラリー60kg(SiO分3kg)と別に第二工程と同様に同時注加法で反応して得た沈降法非晶質シリカ(SiO分2.7kg)を85℃で4時間混合した。その後、実施例1と同様にの熟成後の工程を得て非晶質シリカを得た。得られた粉末の物性値及び評価結果を表2に示す。
【0086】
(比較例4)
沈降法非晶質シリカである市販品ミズカシルP−526(水澤化学工業株式会社製)を用いて物性値測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
【0087】
(比較例5)
ゲル法非晶質シリカである市販品ミズカシルP−78A(水澤化学工業株式会社製)を用いて物性値測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
【0088】
(比較例6)
比較例4と比較例5のシリカ粉末を重量比1:1で混合し物性値測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
【0089】
(比較例7)
乾式法非晶質シリカである市販品TS100(デグッサ社製)を用いて物性値測定及び評価を行った。結果を表2に示す。
【0090】
【表1】
Figure 0004764558
注:(B)シリカ/(A)シリカ(重量比)は、嵩高な非晶質シリカ(B)と、濃密な
非晶質シリカ(A)の重量比である。
シリカ構造は、◎が2重構造、○がクラスターである。
細孔容積1は、細孔半径3600オングストローム以下の細孔容積の値
である。
細孔容積2は、細孔半径40乃至100オングストロームの細孔容積の値
である。
【0091】
【表2】
Figure 0004764558
注:(B)シリカ/(A)シリカ(重量比)は、嵩高な非晶質シリカ(B)と、濃密な
非晶質シリカ(A)の重量比である。
シリカ構造は、◎が2重構造、○がクラスターである。
細孔容積1は、細孔半径3600オングストローム以下の細孔容積の値
である。
細孔容積2は、細孔半径40乃至100オングストロームの細孔容積の値
である。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とをpH2乃至10の条件下で中和して得たゲル法非晶質シリカを湿式粉砕し、このゲル法非晶質シリカの存在下に、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とをpH5乃至9の条件下で中和して沈降法非晶質シリカを析出させる工程において、コアシリカ当たりのシェルシリカの重量比が毎時0.5以下の増加となる析出速度で行うことにより、濃密なゲル法非晶質シリカと嵩高な沈降法非晶質シリカからなる二重構造を有する非晶質シリカ粒子が得られる。
【0093】
この二重構造の非晶質シリカ粒子は、適度なシリカ粒子強度を有し
細孔容積及び吸油量の非常に大きい非晶質シリカであり、粉体の状態では勿論のこと、塗料或いは樹脂中に配合した状態でも粒径が一定しており、微粒子の発生がなく、艶消し作用やアンチブロッキング作用に優れているとともに、磨耗傾向が少なく、耐傷付き性乃至耐擦傷性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】共立出版株式会社発行の「塗料の流動と顔料分散」による塗膜の物性(光沢)と顔料体積濃度(PVC)との関係である。
【図2】実施例1と比較例4,5の水銀圧入法による細孔分布である。
【図3】実施例1と比較例4,5のシリカ添加量と60゜Gloss(光沢率(%))の関係である。
【図4】 実施例1と比較例4,7の60゜Gloss(光沢率(%))と平滑度の関係である。

Claims (8)

  1. ゲル法非晶質シリカ(A)のコアと沈降法非晶質シリカ(B)のシェルから成る二重構造を有しており、ゲル法非晶質シリカ(A)及び沈降法非晶質シリカ(B)が7:3乃至4:6の重量比で存在し、水銀圧入法により求めた細孔半径3600オングストローム以下の細孔容積が2.6mL/g以上であり、吸油量(JIS K 5101)が260mL/100g以上であることを特徴とする非晶質シリカ粒子。
  2. 水銀圧入法により求めた細孔半径40乃至100オングストロームの領域の細孔容積が0.50mL/g以上となるメソポアを有することを特徴とする請求項1に記載の非晶質シリカ粒子。
  3. ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とをpH2乃至10の条件下で中和した後に湿式粉砕してゲル法非晶質シリカを製造する工程と、ゲル法非晶質シリカ粒子の存在下に、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸水溶液とをpH5乃至9の条件下で中和して沈降法非晶質シリカ粒子をゲル法非晶質シリカコアの表面にシェルとして析出させる工程とからなる二重構造を有する非晶質シリカ粒子の製法において、コアシリカ当たりのシェルシリカの重量比が毎時0.5以下の増加となる析出速度で行うことを特徴とする、請求項1に記載の非晶質シリカ粒子の製法。
  4. 請求項1または2に記載の非晶質シリカ粒子から成ることを特徴とする塗料用艶消し剤。
  5. 前記非晶質シリカ粒子100重量部当たり1乃至20重量部のワックスで表面処理されて成る請求項4に記載の塗料用艶消し剤。
  6. 請求項1または2に記載の非晶質シリカ粒子から成ることを特徴とするフィルム用アンチブロッキング剤。
  7. 請求項1または2に記載の非晶質シリカ粒子からなることを特徴とするインクジェット記録紙用填剤。
  8. 請求項1または2に記載の非晶質シリカ粒子からなることを特徴とする製紙用裏抜け防止剤。
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