JP4446133B2 - 微細な黄色複合含水酸化鉄顔料及びその製造法並びに該顔料を用いた塗料及び樹脂組成物 - Google Patents

微細な黄色複合含水酸化鉄顔料及びその製造法並びに該顔料を用いた塗料及び樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、透明性と耐熱性とがともに優れている微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
含水酸化鉄粒子粉末は、黄色を呈していることから黄色顔料として広く知られており、塗料、印刷インキ、プラスチック、フィルム、建材及び化粧品の着色等、多くの用途を持つものである。
【0003】
含水酸化鉄粒子粉末の中でも、粒子径が0.1μm未満の粒子からなるものは、塗膜にした時に可視光領域の光に対して透明な塗膜を得ることができるため、透明性を呈する黄色含水酸化鉄顔料として知られている。
【0004】
この粒子径が0.1μm未満の含水酸化鉄微粒子からなる黄色含水酸化鉄顔料(以下、「微細な黄色含水酸化鉄顔料」という。)は、微粒子であるため、ビヒクル中や樹脂組成物中における分散性が劣っており、塗膜や樹脂組成物にした時に十分な透明性を呈するものでなく、また、耐熱性に劣っているものである。
【0005】
即ち、微細な黄色含水酸化鉄顔料は、微粒子であるため、粉体の表面エネルギーが高く凝集を起こしやすいために、ビヒクル中への分散は困難なものであり、これを塗布して得られた塗膜は、粒子が凝集して粗大な粒子となるために十分な透明性を有さないものである。
【0006】
そこで、微細な黄色含水酸化鉄顔料の、ビヒクル中や樹脂中での分散性を改良することはもちろん、顔料自体の透明性を向上させることが強く要求されている。
【0007】
また、含水酸化鉄粒子は、Fe・HOで示される通り、結晶水を有しており、加熱温度を上げていくと、一般に200℃前後で脱水が開始し、やがて230℃程度の温度で赤褐色のヘマタイト(α−Fe)に変態するため、元来、耐熱性に劣ったものであるが、殊に、微粒子である場合には、比表面積が大きいことから、脱水開始温度は更に低下する傾向にあり、このため、通常200℃以上の高温度で成形加工されているポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、スチレン重合体、ポリアミド、ABS等の熱可塑性樹脂に微細な黄色含水酸化鉄顔料を使用することは困難であり、耐熱性の向上が強く要求されている。
【0008】
従来、微細な黄色含水酸化鉄顔料の耐候性や耐熱性などの耐久性を向上させるため、平均粒子径が300Å以下の水和金属酸化物のゾルに、界面活性剤を加えるか、或いは、アルミニウムイオンを加えた状態で界面活性剤を加えてゾルを凝集させて、透明性金属酸化物を得る手段(特公平6−2562号公報)や、耐熱性を向上させるため黄色酸化鉄粒子にAlOOHを固溶させる手段(特公昭55−8462号公報、特公昭59−17050号公報)が試みられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
透明性と耐熱性とがともに優れた微細な黄色含水酸化鉄顔料は、現在、最も要求されているところであるが、これら諸特性を満たす微細な黄色含水酸化鉄顔料は、未だ提供されていない。
【0010】
前出特公平6−2562号公報には、金属酸化物粒子表面を酸化アルミニウムで被覆することが記載されているが、後出比較例8に示す通り、透明性は改善されているが、耐熱性については十分とは言い難いものである。
【0011】
前出特公昭55−8462号公報に記載されている黄色酸化鉄顔料は、AlOOHが固溶しているため、耐熱性には優れているが、後出比較例9に示す通り、透明性については十分といえるものではない。
【0012】
そこで、本発明は、透明性と耐熱性とがともに優れている微細な黄色含水酸化鉄顔料を得ることを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0014】
即ち、本発明は、粒子内部にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを含有しており、且つ、粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている平均長軸径0.005μm以上で0.1μm未満のゲータイト微粒子からなることを特徴とする微細な黄色複合含水酸化鉄顔料である。
【0015】
また、本発明は、被着されているFe及びAlからなる複合含水酸化物の表面にAl換算で0.1〜20重量%のアルミニウムの水酸化物が被覆されている上記記載の微細な黄色複合含水酸化鉄顔料である。
【0016】
また、本発明は、粒子内部にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを含有している平均長軸径が0.005μm以上で0.1μm未満であるゲータイト微粒子粉末の水分散液に、アルミニウム化合物と第一鉄塩化合物とを添加・混合した後、酸素含有ガスを通気して、前記粒子内部にアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子の粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物を被着させることを特徴とする上記記載の微細な黄色複合含水酸化鉄顔料の製造法である。
【0017】
また、本発明は、上記記載の微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を用いることを特徴とする塗料である。
【0018】
また、本発明は、上記記載の微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を用いることを特徴とする樹脂組成物である。
【0019】
本発明の構成を詳しく説明すれば、次の通りである。
【0020】
先ず、本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料について述べる。
【0021】
本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料は、粒子内部にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを含有しており、且つ、粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されているゲータイト微粒子からなり、当該ゲータイト微粒子粉末の平均長軸径は0.005μm以上で0.1μm未満である。
【0022】
本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料の粒子形状は、軸比(平均長軸径/平均短軸径)(以下、「軸比」という。)が2以上の針状である。ここで「針状」とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状や米粒状などを含む意味である。
【0023】
粒子内部に含有されているアルミニウムは、粒子の中心部から粒子表面に至るまでアルミニウムが実質的に均一に含有されていることが好ましい。
【0024】
粒子内部に含有されているアルミニウム量がゲータイト微粒子粉末に対して0.05重量%未満の場合には、十分な透明性と耐熱性を有する黄色複合含水酸化鉄顔料を得ることができない。50重量%を超える場合には、得られた黄色複合含水酸化鉄顔料は、十分な透明性と耐熱性を有しているが、効果が飽和するため必要以上に含有させる意味がない。得られる黄色複合含水酸化鉄顔料の透明性と耐熱性及び生産性を考慮すると、粒子内部に含有されているアルミニウム量は、ゲータイト微粒子粉末に対してAl換算で0.1〜40重量%が好ましく、より好ましくは0.2〜30重量%である。
【0025】
粒子表面に被着されているFe及びAlからなる複合含水酸化物中のアルミニウムの含有量は、粒子内部にアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子粉末に対してAl換算で0.1〜10重量%が好ましく、鉄の含有量は、粒子内部にアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子粉末に対してFe換算で0.1〜30重量%が好ましい。当該複合含水酸化物中のアルミニウム含有量及び鉄の含有量のそれぞれが下限値未満の場合には、本発明の目的である透明性や耐熱性向上の効果が得られない。アルミニウム含有量及び鉄の含有量が上限値を超える場合には、透明性と耐熱性の改良効果がほぼ飽和するため必要以上に含有させる意味がない。得られる黄色複合含水酸化鉄顔料の透明性と耐熱性を考慮すれば、複合含水酸化物中のアルミニウム含有量は、粒子内部にアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子粉末に対してAl換算で0.5〜10重量%がより好ましく、鉄の含有量はアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子粉末に対してFe換算で0.1〜20重量%がより好ましい。
【0026】
アルミニウムを含有しているゲータイト微粒子粉末の粒子表面に被着されているFe及びAlからなる複合含水酸化物中のAlとFeの原子比は2:1〜1:20の範囲が好ましく、より好ましくは1:1〜1:10の範囲である。複合含水酸化物中のAlとFeの原子比が上記範囲外の場合には、Fe及びAlからなる複合含水酸化物のゲータイト微粒子粉末の粒子表面への密着性が低下し、その結果、十分な分散性や耐熱性が得られない。
【0027】
本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料の平均長軸径は、0.005μm以上で0.1μm未満である。通常、平均長軸径が0.1μm未満になると、粒子の微細化による分子間力の増大により、ビヒクル中や樹脂組成物中における分散が困難となり、得られる塗膜の光沢度や樹脂組成物の分散性は悪化する傾向にあるが、本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を塗料や樹脂組成物に用いた場合には、これに反し、高い塗膜光沢度、例えば80%以上を示し、樹脂組成物は高い分散性、例えば後出の評価法による4又は5を示す。
【0028】
平均長軸径が0.005μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により、ビヒクル中や樹脂組成物中における分散が困難となり、該黄色複合含水酸化鉄顔料を用いて得られた塗膜や樹脂組成物は、十分な透明性を有しているとは言い難い。平均長軸径が0.1μm以上の場合には、ビヒクル中や樹脂組成物中への分散性は良いが、粒子が粗大となって着色力が上がり、該黄色複合含水酸化鉄顔料を用いて得られた塗膜や樹脂組成物は、十分な透明性を有さない。
【0029】
ビヒクル中や樹脂組成物中への分散性及び得られる塗膜や樹脂組成物の透明性を考慮すれば、平均長軸径は0.01〜0.096μmが好ましく、より好ましくは0.01〜0.092μmである。
【0030】
本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料は、平均短軸径は0.0025μm以上で0.05μm未満が好ましく、より好ましくは0.005〜0.048μmであって、更に好ましくは0.005〜0.046μmである。また、軸比は、20以下が好ましく、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下である。また、BET比表面積値は50〜300m/gが好ましく、より好ましくは70〜280m/g、更に好ましくは、80〜250m/gである。長軸径の幾何標準偏差値は1.8以下が好ましく、より好ましくは1.7以下であり、下限値は1.01である。
【0031】
平均短軸径が0.0025μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により、ビヒクル中や樹脂組成物中における分散が困難となる。平均短軸径が0.05μm以上のものは、工業的に得ることが困難である。
【0032】
BET比表面積値が50m/g未満の場合には、粒子が粗大となって着色力が上がり、該複合含水酸化鉄顔料を用いて得られた塗膜や樹脂組成物は、十分な透明性を有さない。BET比表面積値が300m/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により、ビヒクル中や樹脂組成物中における分散が困難となる。
【0033】
長軸径の幾何標準偏差値が1.80を超える場合には、存在する粗大粒子のため、ビヒクル中や樹脂組成物中における均一な分散が困難となる。工業的な生産性を考慮すると、長軸径の幾何標準偏差値の下限値は1.01である。
【0034】
軸比が20を超える場合には、粒子相互間の絡み合いが多くなり、ビヒクル中や樹脂組成物中における分散性が悪くなったり、ビヒクル中での粘度が増加したりすることがある。
【0035】
本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料の耐熱温度は260℃以上が好ましく、より好ましくは263℃以上、更により好ましくは266℃以上である。
【0036】
本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料は、必要により、更にその表面がアルミニウムの水酸化物で被覆されていても良い。表面がアルミニウムの水酸化物で被覆されている黄色複合含水酸化鉄顔料は、アルミニウムの水酸化物が耐熱性に優れていることから、耐熱性がより向上する。
【0037】
アルミニウムの水酸化物による被覆量は、Al換算で、粒子の全重量に対して0.01〜20重量%が好ましい。0.01重量%未満である場合には、被覆による耐熱性向上効果がほとんど無く、20重量%を超える場合には、被覆効果が飽和するため必要以上に添加する意味がない。耐熱性及び生産性を考慮すれば、0.05〜15重量%がより好ましい。
【0038】
本発明に係る粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着され、更に、その表面にアルミニウムの水酸化物が被覆されている微細な黄色複合含水酸化鉄顔料の平均長軸径、平均短軸径、軸比、BET比表面積値及び幾何標準偏差値の各諸特性は、アルミニウムの水酸化物が被覆されていない場合の前記各諸特性とほぼ同程度である。また、耐熱性がより向上したものであり、耐熱温度は263℃以上が好ましく、より好ましくは266℃以上、更により好ましくは269℃以上である。
【0039】
次に、本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料の製造法について述べる。
【0040】
本発明におけるアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子粉末は、第一鉄塩水溶液と、水酸化アルカリ水溶液、炭酸アルカリ水溶液、又は水酸化アルカリ・炭酸アルカリ水溶液とを用いて得られる鉄の水酸化物や炭酸鉄等の鉄含有沈殿物を含む懸濁液に空気等の酸素含有ガスを通してゲータイト微粒子を生成させるにあたり、空気等の酸素含有ガスを通気する前にアルミニウム化合物を存在させておくことにより、粒子内部にアルミニウムを実質的に均一に含有しているゲータイト微粒子粉末を得ることができる。
【0041】
アルミニウム化合物の添加は、空気等の酸素含有ガスを通気する前に存在させておくことが肝要であり、具体的には、第一鉄塩水溶液、水酸化アルカリや炭酸アルカリ水溶液、鉄含有沈殿物を含む懸濁液のいずれかの溶液中に添加すればよいが、第一鉄塩水溶液に添加することが好ましい。
【0042】
添加するアルミニウム化合物としては、アルミン酸ナトリウムなどのアルミン酸アルカリや、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム塩を使用することができ、アルミニウム化合物の添加量は、第一鉄塩水溶液中のFeに対し、Al換算で0.5〜350mol%が好ましい。0.5mol%未満である場合には、本発明の目的とする透明性や耐熱性向上の効果が得られない。350mol%を超える場合には、効果がほぼ飽和に達するため、必要以上に添加する意味がない。
【0043】
本発明におけるアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子粉末の粒子表面へのFe及びAlからなる複合含水酸化物の被着は、アルミニウムを含有しているゲータイト微粒子粉末を含む水懸濁液に、アルミニウム化合物と第一鉄塩水溶液を添加、混合した後、酸素含有ガスを通気することにより行う。Fe及びAlからなる複合含水酸化物の生成を考慮すれば、懸濁液のpH値を5以下又は10以上に維持しながら酸素含有ガスを通気することが好ましい。水懸濁液中のアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子粉末の濃度は、5〜150g/l程度に調整すればよい。生産性を考慮すれば、10〜120g/l程度が好ましく、より好ましくは、20〜100g/l程度である。
【0044】
添加するアルミニウム化合物としては、粒子内部に含有させる時に使用する前記各アルミニウム化合物を使用することができ、その添加量は、粒子内部にアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子粉末に対し、Al換算で0.1〜10重量%である。0.1重量%未満である場合には、本発明の目的とする分散性改良の効果や耐熱性向上の効果が得られない。10重量%を超える場合には、効果がほぼ飽和に達するため、必要以上に添加する意味がない。また、添加したものはほぼ全量が被着される。
【0045】
添加する第一鉄塩水溶液としては、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、硝酸第一鉄等の第一鉄塩を使用することができ、その添加量は、粒子内部にアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子粉末に対し、Fe換算で0.1〜30重量%である。0.1重量%未満である場合には、本発明の目的とする分散性改良の効果や耐熱性向上の効果が得られない。30重量%を超える場合には、本発明の目的とする効果が飽和に達するため、必要以上に添加する意味がない。また、添加したものはほぼ全量が被着される。
【0046】
添加するアルミニウム化合物と第一鉄塩水溶液の割合は、本発明の目的である分散性改良の効果や耐熱性向上の効果を考慮すれば、Al/Feの原子換算で2:1〜1:20の範囲が好ましく、より好ましくは1:1〜1:10の範囲である。
【0047】
添加したアルミニウム化合物と第一鉄塩水溶液は、そのほとんどがFe及びAlからなる複合含水酸化物としてアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子の粒子表面に被着されるため、該Fe及びAlからなる複合含水酸化物におけるFe及びAlの割合は、添加時の割合とほぼ同程度である。
【0048】
アルミニウム化合物と第一鉄塩水溶液の添加順序は、いずれが先でもまた、同時でもよい。
【0049】
酸化手段は、酸素含有ガス(例えば、空気)を液中に通気することにより行い、また、当該通気ガスや機械的操作等により攪拌しながら行なう。
【0050】
本発明においては、必要により更に、アルミニウムの水酸化物を被覆させることができる。
【0051】
本発明にアルミニウムの水酸化物による被覆は、常法によれば良い。即ち、粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている黄色複合含水酸化鉄粒子粉末を含む水分散液のpH値を4以下又は10以上に調整した後、アルミニウム化合物を添加、攪拌し、次いで、分散液のpH値を5〜9の範囲に再調整して、Fe及びAlからなる複合含水酸化物の上にアルミニウムの水酸化物を被覆させた後、濾別、水洗、乾燥することにより得ることができる。
【0052】
上記のpH値の調整は、通常使用されるアルカリ水溶液、又は酸水溶液を使用すれば良い。
【0053】
また、添加するアルミニウム化合物は前記の各アルミニウム化合物を使用することができる。
【0054】
添加したアルミニウム化合物は、ほぼ全量がアルミニウムの水酸化物となって、被着されたFe及びAlからなる複合含水酸化物の上に被覆される。
【0055】
次に、本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を用いた塗料について述べる。
【0056】
本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を用いた塗料は、塗膜にした場合、光沢度は80%以上、好ましくは85%以上であって、塗膜の耐熱温度は255℃以上、好ましくは258℃以上であり、塗膜の透明性は線吸収係数が0.05μm−1以下、好ましくは0.03μm−1以下である。
【0057】
本発明に係る粒子表面にFe及びAlからなる微細な複合含水酸化物が被着され、更に、その表面にアルミニウムの水酸化物が被覆されている微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を用いた塗料は、塗膜にした場合、光沢度は80%以上、好ましくは85%以上であって、塗膜の耐熱温度は258℃以上、好ましくは262℃以上であり、塗膜の透明性は線吸収係数が0.05μm−1以下、好ましくは0.03μm−1以下である。
【0058】
本発明における黄色複合含水酸化鉄顔料と塗料構成基材との配合割合は、黄色複合含水酸化鉄顔料を塗料構成基材100重量部に対し0.5〜100重量部の範囲で使用することができ、塗料のハンドリングを考慮すれば、好ましくは1.0〜80重量部、更に好ましくは1.0〜50重量部である。
【0059】
塗料構成基材は、樹脂及び溶剤と、必要により添加される消泡剤、体質顔料、乾燥促進剤、界面活性剤、硬化促進剤、助剤等からなる。
【0060】
樹脂としては、溶剤系塗料用として通常使用されるアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アミノ樹脂等、並びに、水系塗料用として、通常使用される水溶性アルキッド樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ウレタンエマルジョン樹脂等を用いることができる。
【0061】
溶剤としては、溶剤系塗料用として通常使用されるトルエン、キシレン、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルイソブチルケトン、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルアルコール、脂肪酸炭化水素等、並びに、水系塗料用溶剤として通常使用される水、ブチルセロソルブ、ブチルアルコール等を用いることができる。
【0062】
尚、消泡剤としては、ノプコ8034(商品名)、SNデフォーマー477(商品名)、SNデフォーマー5013(商品名)、SNデフォーマー382(商品名)、SNデフォーマー247(商品名)、SNデフォーマー382(商品名)(以上、いずれもサンノプコ株式会社製)アンチホーム08(商品名)、エマルゲン903(商品名)(以上、いずれも花王株式会社製)等の市販品を用いることができる。
【0063】
次に、本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を用いた樹脂組成物について述べる。
【0064】
本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を用いた樹脂組成物は、樹脂組成物の耐熱温度が210℃以上、好ましくは213℃以上を有しており、透明性は線吸収係数で0.06μm−1以下、好ましくは0.05μm−1以下であって、分散状態は後出の評価法による3以上、好ましくは4、更に好ましくは5を有している。
【0065】
本発明に係る粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着され、更に、その表面にアルミニウムの水酸化物が被覆されている微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を用いた樹脂組成物は、樹脂組成物の耐熱温度が213℃以上、好ましくは216℃以上を有しており、透明性は線吸収係数で0.06μm−1以下、好ましくは0.05μm−1以下であって、分散状態は後出の評価法による3以上、好ましくは4、更に好ましくは5を有している。
【0066】
本発明における微細な黄色複合含水酸化鉄顔料の配合割合は、樹脂100重量部に対して0.01〜50重量部の範囲で使用することができ、樹脂組成物のハンドリングを考慮すれば、好ましくは0.05〜45重量部、更に好ましくは、0.1〜40重量部である。
【0067】
樹脂としては、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、スチレン重合体、ポリアミド等)等を用いることができ、必要により、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、各種安定剤等の添加剤が配合できる。
【0068】
添加剤の量は、黄色複合含水酸化鉄顔料と樹脂との総和に対して50重量%以下であれば良い。添加剤の含有量が50重量%を超える場合には、成形性が低下する。
【0069】
本発明に係る樹脂組成物は、樹脂と微細な黄色複合含水酸化鉄顔料をあらかじめよく混合し、次に、混練機もしくは押出機を用いて加熱下で強いせん断作用を加えて、微細な黄色複合含水酸化鉄顔料の凝集体を破壊し、樹脂中に微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を均一に分散させた後、目的に応じた形状に成形加工して使用する。
【0070】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は、次の通りである。
【0071】
粒子の平均長軸径及び平均短軸径は、電子顕微鏡写真(×30,000)を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個について、長軸径及び短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0072】
粒子の軸比は平均長軸径と平均短軸径との比を計算することによって求めた。
【0073】
粒子の長軸径の幾何標準偏差値は下記の方法により求めた値で示した。即ち、上記拡大写真に示される粒子の長軸径を測定した値を、その測定値から計算して求めた粒子の実際の粒子の長軸径と個数から、統計学的手法に従って、対数正規確率紙上の横軸に粒子の長軸径を、縦軸に所定の長軸径区間のそれぞれに属する粒子の累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットした。そしてこのグラフから粒子の累積個数が50%及び84.13%のそれぞれに相当する長軸径の値を読み取り、幾何標準偏差値=(積算フルイ下84.13%における長軸径)/(積算フルイ下50%における長軸径(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準偏差値が1に近いほど、粒子の長軸径の粒度分布が優れていることを意味する。
【0074】
比表面積値はBET法により測定した値で示した。
【0075】
ゲータイト微粒子の粒子内部に含有されているAl量、ゲータイト微粒子の粒子表面に被着されているFe及びAlからなる複合含水酸化物中に含有されているAl量及び被着されているFe及びAlからなる複合含水酸化物の表面に被覆されているアルミニウムの水酸化物のそれぞれのAl量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業(株)製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0076】
ゲータイト微粒子の粒子表面に被着させたFe及びAlからなる複合含水酸化物中のAl/Fe原子比は下記の方法により求めた値で示した。
【0077】
即ち、黄色複合含水酸化鉄顔料0.25gを100mlの三角フラスコに秤り取り、イオン交換水33.3mlを加え、60℃に加温したウォータバス中で、マグネチックスターラーを用いて20分間攪拌し、分散懸濁液とした。次いで、12Nの塩酸を16.7ml加え、更に20分間攪拌して、アルミニウムを含有しているゲータイト微粒子の表面に被着されているFe及びAlからなる複合含水酸化物の最外表面から粒子の内部方向に向けて、アルミニウムを含有しているゲータイト微粒子の表面までの距離の中央部位までの組成が実質的に均一である部分を酸溶解した(数多くの実験結果に基づいて確認している)。この酸溶解懸濁液を0.1μmのメンブランフィルターを用いて吸引濾過を行い、得られた濾液中のAl量(ppm)及びFe量(ppm)のそれぞれを誘導プラズマ発光分光分析装置SPS4000(セイコー電子工業(株)製)を用いて測定した。
【0078】
Fe及びAlからなる複合含水酸化物中のFe量は、上記濾液中のAl量及びFe量から求めたFeに対するAl量の重量比と前記蛍光X線分析より求めた上記複合含水酸化物中のAl重量%とから、下記式に従って算出した値で示した。
Fe重量%=Al重量%/Feに対するAlの重量比
【0079】
黄色複合含水酸化鉄顔料の耐熱性は、熱分析装置SSC5000(セイコー電子工業(株)製)を用いて被測定物の示差走査熱量測定(DSC)を行ない、得られたDSCチャート上に示されるピークを形成する2つの変曲点のうち、最初の変曲点を構成する2つの曲線のそれぞれについて接線を引き、両接線の交点に対応する温度を読み取って、その温度で示した。
【0080】
黄色複合含水酸化鉄顔料を用いた塗膜の透明性は、後述する処法によって調製した塗料を厚さ100μmのクリアベースフィルムに塗布して得られた塗布膜について、樹脂組成物の透明性は後述する組成から成る樹脂プレートについて、「自記光電分光光度計UV−2100」((株)島津製作所製)を用いて測定した光透過率から、次式によって定義される線吸収係数で示した。線吸収係数は値が小さいほど光を透しやすく透明性が高いことを示す。
線吸収係数(μm−1)=ln(1/t)/FT
t:λ=900nmにおける光透過率(−)
【0081】
塗布膜の耐熱性は、後述する処法によって調製した塗料を透明ガラス板(0.8mm(厚)×70mm(幅)×150mm(長さ))に塗布し、その塗布板を電気炉に入れ、電気炉の温度を種々変化させて各温度において15分間熱処理を行い、塗布板の各温度における熱処理前後での色相(L値、a値、b値)を標準白色板をバックにして、ポータブル分光色彩計 カラーガイド45/0(ビックケミー・ジャパン(株)製)を用いてJIS Z 8729に定めるところに従ってそれぞれ測定した。熱処理前の測色値を基準に下記式で示されるΔEを求め、ΔE値がちょうど1.5となるときの温度を塗布膜の耐熱温度とした。
【0082】
樹脂組成物の耐熱性は5cm角に裁断した樹脂プレートをホットプレスにかけ、ホットプレス温度を種々変化させて、各温度において1トン/cmの荷重をかけながら10分間熱処理を行い、樹脂プレートの各温度における熱処理前後での色相(L値、a値、b値)の変化をそれぞれ測定し、熱処理前の測色値を基準に下式で示されるΔEを求め、ΔE値がちょうど1.5となるときの温度を樹脂組成物の耐熱温度とした。
【0083】
ΔE値=((ΔL値)+(Δa値)+(Δb値)1/2
ΔL値: 比較する試料の熱処理前後のL値の差
Δa値: 比較する試料の熱処理前後のa値の差
Δb値: 比較する試料の熱処理前後のb値の差
【0084】
ビヒクル中への分散性は、後述する処法によって調整した塗料を用いて得られた塗布膜について、塗布面の光沢度の大小によって調べた。
【0085】
光沢度は、「グロスメーター UGV−5D」(スガ試験機(株)製)を用いて20°光沢を測定して求めた。光沢値が高いほど、ビヒクル中における黄色複合含水酸化鉄顔料の分散性が良いことを示す。
【0086】
塗料粘度については、後述する処方によって調製した塗料の25℃のおける塗料粘度をE型粘度計(コーンプレート型粘度計)EMD−R((株)東京計器製)を用いて、ずり速度D=1.92 sec−1における値で示した。
【0087】
樹脂組成物への分散性は、得られた樹脂組成物表面における未分散の凝集粒子の個数を目視により判定し、5段階で評価した。5が最も分散状態が良いことを示す。
5: 未分散物認められず、
4: 1cm当たりに1個以上5個未満、
3: 1cm当たりに5個以上10個未満、
2: 1cm当たりに10個以上50個未満、
1: 1cm当たりに50個以上。
【0088】
<微細な黄色複合含水酸化鉄顔料の製造>
硫酸第一鉄水溶液と硫酸アルミニウム水溶液と炭酸ナトリウム水溶液とを用いて得られた、アルミニウムを含有した針状ゲータイト微粒子粉末(平均長軸径0.0710μm、平均短軸径0.0108μm、軸比6.6、BET比表面積値180.5m/g、Al含有量0.83重量%、幾何標準偏差値1.33、耐熱性245℃)のスラリーを、プレスフィルターを用いて濾別し、通水しながら十分水洗した。
【0089】
得られた湿ケーキを取り出し、攪拌機を用いて再度水に邂逅し、懸濁液中のアルミニウムを含有したゲータイト微粒子粉末を45g/lに調整した。得られたpH値が6.5の該懸濁液20lに0.5mol/lの酢酸アルミニウム水溶液667ml(アルミニウムを含有したゲータイト微粒子粉末に対してAl換算で1.0重量%に相当)及び1.4mol/lの硫酸第一鉄溶液476ml(添加した時のAl/Feの原子比=1/2)を加え、毎分65lの空気を吹き込みながら80℃まで加熱昇温した後、pH値を4.3に維持しながら3時間保持し、アルミニウムを含有したゲータイト微粒子粉末の粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物を被着させた。
【0090】
続いてプレスフィルターを用いて濾別し、通水しながら十分水洗して湿ケーキを得た。湿ケーキの一部を120℃で24時間乾燥させた後、自由粉砕機M−2型((株)奈良機械製作所製)で解砕し、黄色複合含水酸化鉄顔料を得た。得られた黄色複合含水酸化鉄顔料は平均長軸径0.0712μm、平均短軸径0.0111μm、軸比6.4、BET比表面積値171.4m/g、耐熱性276℃であった。複合含水酸化物の被着量はアルミニウムを含有したゲータイト微粒子粉末に対して、Al換算で0.98重量%、Fe換算で4.05重量%であった。
【0091】
<微細な黄色複合酸化物顔料を用いた塗料の製造>
250mlのガラスビンに前記黄色複合含水酸化鉄顔料5gを用い、塗料組成を下記割合で配合して3mmφガラスビーズ160gとともにペイントシェーカーで120分間混合分散し、ミルベースを作製した。
Figure 0004446133
【0092】
この塗料を透明ガラス板(0.8mm(厚)×70mm(幅)×150mm(長さ))に塗布して得られた塗膜の光沢度は91%、線吸収係数は0.0210μm−1であった。
【0093】
次に、塗布膜の耐熱温度を求めるため、上記塗料を用いて同様にして塗布板を5枚用意し、それぞれ210℃、230℃、250℃、270℃及び290℃に加熱されたギヤオーブン中に入れ、15分間熱処理した後に取り出し、塗布板の色相値を測定し、熱処理前の色相値を基準としてΔE値を求め、熱処理温度とΔE値との関係からΔE値が1.5となる温度を求めたところ、272℃であった。
【0094】
<黄色複合含水酸化鉄顔料を用いた樹脂組成物の製造>
黄色複合含水酸化鉄顔料0.5gとポリ塩化ビニル樹脂粉末(103EP8D:商品記号:日本ゼオン(株)製)49.5gとを秤量し、これらを100ccポリビーカーに入れ、スパチュラでよく混合して混合粉末を得た。
【0095】
得られた混合粉末にステアリン酸カルシウムを1.0g加えて混合し、160℃に加熱した熱間ロールのクリアランスを0.2mmに設定した後、上記混合粉末を少しずつロールにて練り込んで樹脂組成物が一体となるまで混練を続けた後、樹脂組成物をロールから剥離して着色樹脂プレート原料として用いた。
【0096】
次に、表面研磨されたステンレス板の間に上記樹脂組成物を挟んで180℃に加熱したホットプレス内に入れ、1トン/cmの圧力で加圧成形して厚さ1mmの着色樹脂プレートを得た。得られた着色樹脂プレートの線吸収係数は0.0430μm−1、分散状態は4であった。
【0097】
次に樹脂組成物の耐熱温度を求めるため、着色樹脂プレートを5cm角に裁断した試験片5枚を用意し、それぞれ185℃、200℃、215℃、230℃及び245℃に加熱されたホットプレス中に入れ、1トン/cmの荷重を掛けながら、10分間熱処理した後に取り出して樹脂プレートの色相値を測定し、熱処理前の色相値を基準としてΔE値を求め、熱処理温度とΔE値との関係からΔE値が1.5となる温度を求めたところ、220℃であった。
【0098】
<アルミニウムの水酸化物による表面被覆>
得られた黄色複合含水酸化鉄顔料のうち450gを、純水10lに攪拌機を用いて邂逅し、さらにホモミックラインミル(特殊機化工業(株)製)を3回通して黄色複合含水酸化物粒子粉末のスラリーを得た。
【0099】
続いて、得られた黄色複合含水酸化鉄粒子粉末を含むスラリーを横形SGM(マイティーミル:井上製作所(株)製)を用いて、軸回転数2000rpmにおいて5回パスさせた。得られたスラリー中の黄色複合含水酸化鉄粒子粉末の325mesh(目開き44μm)における篩残分は0%であった。
【0100】
得られた黄色複合含水酸化鉄粒子粉末のスラリーの濃度を40g/lに調整し、スラリーを10l採取した。このスラリーを攪拌しながら60℃まで加熱し、6.5Nの水酸化ナトリウム溶液を加えてスラリーのpH値を10.5に調整した。
【0101】
次に、このスラリー中に1.0mol/lのアルミン酸ナトリウム溶液148ml(黄色複合含水酸化鉄粒子粉末に対してAl換算で1.0重量%に相当する)を加え、30分間保持した後、酢酸を用いてpH値を8.0に調整し、この状態で30分間保持した。次いで濾過、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面にAlの水酸化物により被覆されている黄色複合含水酸化鉄顔料を得た。
【0102】
得られた黄色複合含水酸化鉄顔料は、平均長軸径0.0712μm、平均短軸径0.0112μm、軸比6.4、BET比表面積値172.1m/g、幾何標準偏差値は1.33、耐熱性281℃であった。粒子表面に被覆されたアルミニウムの水酸化物量はAl換算で0.98重量%であった。
【作用】
【0103】
本発明において最も重要な点は、粒子内部にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを含有しており、且つ、粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されているゲータイト微粒子からなる微細な黄色複合含水酸化鉄顔料は、透明性と耐熱性とがともに優れているという事実である。
【0104】
本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料の透明性が向上する理由については、本発明者は、屈折率が小さく、油やワニスと練った場合に透明性で被塗面を隠さないような顔料、即ち、体質顔料の一つであるアルミニウムの含水酸化物がゲータイト微粒子内部に含有されていることにより粒子自体の透明性が向上することに加えて、粒子表面に被着されているFe及びAlからなる複合含水酸化物が最外層にあることによってビヒクル中や樹脂組成物中での分散性が向上するので、塗料や樹脂組成物の透明性がより向上するものと考えている。
【0105】
尚、本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料の分散性が改良される理由については未だ明らかではないが、塗布膜とした時の光沢度が上がることや塗料化時における塗料粘度が低下すること等から、最外層がアルミニウムを有する化合物であるため、ビヒクルとの相溶性が良いことによるものと考えている。
【0106】
また、耐熱性が向上した理由について、ゲータイト微粒子内部にアルミニウムを含有していることと、Fe及びAlからなる複合含水酸化物が緻密な層を形成しやすく、しかも、Feを有していることから、同じくFeを有しているゲータイト微粒子粉末の粒子表面に密着して被着されることによるものと考えている。
【0107】
必要により、表面に更にアルミニウムの水酸化物を被覆した場合、耐熱性がより向上する理由について、アルミニウムの水酸化物が耐熱性に優れているとともに、アルミニウムの水酸化物の下層にアルミニウムが含有されていることから上層のアルミニウムの水酸化物がより密着して被覆されることによるものと考えている。尚、この場合、透明性は、アルミニウムの水酸化物による被覆をしていない場合と同程度であり、アルミニウムの水酸化物による被覆は粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されているアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子粉末の粒子の透明性を妨げるものではない。
【0108】
【実施例】
【0109】
次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0110】
ゲータイト微粒子1〜4:
アルミニウムを含有しているゲータイト微粒子として、表1に示されるゲータイト微粒子1乃至ゲータイト微粒子4を準備した。
【0111】
【表1】
Figure 0004446133
【0112】
実施例1〜5:
アルミニウムを含有しているゲータイト微粒子の種類、水懸濁液中のゲータイト微粒子粉末の濃度、Fe及びAlからなる複合含水酸化物の被着工程におけるpH値、アルミニウム化合物の種類及び添加量、第一鉄塩水溶液の種類及び添加量、反応温度、維持pH値、空気量、反応時間を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にしてFe及びAlからなる複合含水酸化物の被着処理を行った。
【0113】
このときの製造条件を表2に、得られた黄色複合含水酸化鉄顔料の諸特性を表3に示す。
【0114】
【表2】
Figure 0004446133
【0115】
【表3】
Figure 0004446133
【0116】
実施例6〜10:
黄色複合含水酸化鉄顔料の種類、アルミニウムの水酸化物による被覆工程における水懸濁液中の黄色複合含水酸化鉄粒子粉末の濃度、アルミニウム化合物添加前の懸濁液のpH値、添加するアルミニウム化合物の種類及び添加量、懸濁液の最終pH値を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着され、更に、その表面がアルミニウムの水酸化物により被覆されている黄色複合含水酸化鉄顔料を得た。
【0117】
このときの製造条件を表4に、粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着され、更に、その表面にアルミニウムの水酸化物で被覆されている黄色複合含水酸化鉄顔料の諸特性を表5に示す。
【0118】
【表4】
Figure 0004446133
【0119】
【表5】
Figure 0004446133
【0120】
比較例1〜7:
ゲータイト微粒子粉末の種類、ゲータイト微粒子粉末の粒子内部におけるアルミニウムの有無及び含有量、Fe及びAlからなる複合含水酸化物の被着処理の有無及びAl/Feの原子比、アルミニウムの水酸化物による表面処理の有無及び被覆量を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして黄色含水酸化鉄粒子粉末を得た。
【0121】
このときの製造条件及び得られた黄色含水酸化鉄粒子粉末の諸特性を表6に示す。
【0122】
【表6】
Figure 0004446133
【0123】
比較例8:
(特公平6-2562号公報 実施例2の方法で得た含水酸化鉄)
2mol/lの硝酸第二鉄水溶液2lに2mol/lの炭酸ナトリウム水溶液をpH値が3になるまで加えて透明な陽性の水和酸化物ゾルを調整し、これに0.05mol/lの硝酸アルミニウムを500ml加えた。次いで、これに0.2mol/lのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液を1150ml加えて水和酸化鉄と酸化アルミニウムの複合ゾルを凝集させた。得られた複合ゾルを濾過し、沈殿物を0.01〜0.02mol/lのアンモニア水で洗浄、濾過を繰り返してpH値を6.5〜7.0にした後、更に60〜70℃の温水24lにて2回洗浄、濾過を行った。次いで、乾燥・粉砕し、酸化アルミニウムを含む透明性含水酸化鉄粒子粉末を得た。
【0124】
得られた酸化アルミニウムを含む透明性含水酸化鉄粒子粉末の諸特性を表6に示す。
【0125】
比較例9:
(特公昭55−8462号公報 実施例1の方法で得た含水酸化鉄)
Fe(SOとして濃度60g/lの硫酸第二鉄水溶液500ml中に50g/lの苛性ソーダ水溶液をpH値が12になるまで加え、室温において23時間熟成後Alとして291g/lのアルミン酸ソーダ水溶液19.4ml及びSiOとして20g/lのケイ酸ソーダ水溶液6.7mlを添加した後ステンレス製のオートクレーブに仕込み、180℃で1時間水熱処理を行った。尚、この時のpH値は約13であった。水熱処理後、オートクレーブより内容物を取り出し、濾液の電気伝導度が100μs/cm以下になるまで水洗した後、120℃の乾燥機中で4時間乾燥させ、粉砕してAlOOH固溶黄色酸化鉄粒子粉末を得た。
【0126】
得られたAlOOH固溶黄色酸化鉄粒子粉末の諸特性を表6に示す。
【0127】
実施例11〜20、比較例10〜22:
黄色複合含水酸化鉄顔料の種類を種々変化させた以外は、発明の実施の形態と同様にして、塗料及び塗布膜を製造した。
【0128】
このときの製造条件及び塗布膜の諸特性を表7及び表8に示す。
【0129】
【表7】
Figure 0004446133
【0130】
【表8】
Figure 0004446133
【0131】
実施例21〜30、比較例23〜35:
黄色複合含水酸化鉄顔料の種類を種々変化させた以外は、発明の実施の形態と同様にして、黄色複合含水酸化鉄顔料を用いた樹脂組成物を製造した。
【0132】
このときの製造条件及び樹脂組成物の諸特性を表9及び表10に示す。
【0133】
【表9】
Figure 0004446133
【0134】
【表10】
Figure 0004446133
【0135】
【発明の効果】
本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料は、前出実施例に示した通り、透明性と耐熱性とがともに優れているので、微細な黄色着色顔料として好ましいものである。
【0136】
また、本発明に係る微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を用いた塗料及び樹脂組成物は、黄色複合含水酸化鉄顔料の透明性と耐熱性とがともに優れていることから、透明性及び耐熱性に優れた塗料及び樹脂組成物である。

Claims (5)

  1. 粒子内部にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを含有しており、且つ、粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物が被着されている平均長軸径0.005μm以上で0.1μm未満のゲータイト微粒子からなることを特徴とする微細な黄色複合含水酸化鉄顔料。
  2. 被着されているFe及びAlからなる複合含水酸化物の表面にAl換算で0.1〜20重量%のアルミニウムの水酸化物が被覆されている請求項1記載の微細な黄色複合含水酸化鉄顔料。
  3. 粒子内部にAl換算で0.05〜50重量%のアルミニウムを含有している平均長軸径が0.005μm以上で0.1μm未満であるゲータイト微粒子粉末の水分散液に、アルミニウム化合物と第一鉄塩化合物とを添加・混合した後、酸素含有ガスを通気して、前記粒子内部にアルミニウムを含有しているゲータイト微粒子の粒子表面にFe及びAlからなる複合含水酸化物を被着させることを特徴とする請求項1記載の微細な黄色複合含水酸化鉄顔料の製造法。
  4. 請求項1又は請求項2記載の微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を用いることを特徴とする塗料。
  5. 請求項1又は請求項2記載の微細な黄色複合含水酸化鉄顔料を用いることを特徴とする樹脂組成物。
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