JP6507522B2 - 改良Fc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法および当該タンパク質を用いた抗体吸着剤 - Google Patents

改良Fc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法および当該タンパク質を用いた抗体吸着剤 Download PDF

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Description

本発明は、免疫グロブリンに親和性のあるFc結合性タンパク質に関する。より詳しくは、本発明は、熱や酸に対する安定性が野生型よりも高いFc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法、および当該タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる抗体吸着剤に関する。
Fcレセプターは、免疫グロブリン分子のFc領域に結合する一群の分子である。個々の分子は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する認識ドメインによって、単一の、または同じグループの免疫グロブリンイソタイプをFcレセプター上の認識ドメインによって認識している。これによって、免疫応答においてどのアクセサリー細胞が動因されるかが決まってくる。Fcレセプターは、さらにいくつかのサブタイプに分類することができ、IgG(免疫グロブリンG)に対するレセプターであるFcγレセプター、IgEのFc領域に結合するFcεレセプター、IgAのFc領域に結合するFcαレセプター等がある。また各レセプターは更に細かく分類されており、Fcγレセプターは、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb及びFcγRIIIa、FcγRIIIbの存在が報告されている(非特許文献1)。
Fcγレセプターの中でも、FcγRIIIaはナチュラルキラー細胞(NK細胞)やマクロファージなどの細胞表面に存在しており、ヒト免疫機構の中でも重要なADCC(抗体依存性細胞傷害)活性に関与している重要なレセプターである。このFcγRIIIaとヒトIgGとの親和性は結合の強さを示す結合定数(KA)が10−1以下であることが報告されている(非特許文献2)。ヒトFcγRIIIaのアミノ酸配列(配列番号1)はUniProt(Accession number:P08637)などの公的データベースに公表されている。また、ヒトFcγRIIIaの構造上の機能ドメイン、細胞膜を貫通するためのシグナルペプチド配列、細胞膜貫通領域の位置についても同様に公表されている。図1にヒトFcγRIIIaの構造略図を示す。なお、図1中のアミノ酸番号は配列番号1に記載のアミノ酸番号に対応する。すなわち、配列番号1中の1番目のメチオニン(Met)から16番目のアラニン(Ala)までがシグナル配列(S)、17番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までが細胞外領域(EC)、209番目のバリン(Val)から229番目のバリン(Val)までが細胞膜貫通領域(TM)および230番目のリジン(Lys)から254番目のリジン(Lys)までが細胞内領域(C)とされている。なおFcγRIIIaはIgG1からIgG4まであるヒトIgGサブクラスのうち、特にIgG1とIgG3に対し強く結合する一方、IgG2とIgG4に対する結合は弱いことが知られている。
Takai.T.,Jpn.J.Clin.Immunol.,28,318−326,2005 J.Galon等,Eur.J.Immunol.,27,1928−1932,1997
本発明の課題は、特に熱や酸に対する安定性が向上したFc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法、および当該タンパク質を用いた抗体吸着剤を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、ヒトFcγRIIIaにおける安定性向上に関与したアミノ酸残基を特定し、当該アミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換した変異体が、熱や酸に対して優れた安定性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願は以下の(A)から(Q)に記載の態様を包含する:
(A)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において以下の(1)から(40)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質。
(1)配列番号1の18番目のメチオニンがアルギニンに置換
(2)配列番号1の27番目のバリンがグルタミン酸に置換
(3)配列番号1の29番目のフェニルアラニンがロイシンまたはセリンに置換
(4)配列番号1の30番目のロイシンがグルタミンに置換
(5)配列番号1の35番目のチロシンがアスパラギン酸、グリシン、リジン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、セリン、スレオニン、ヒスチジンのいずれかに置換
(6)配列番号1の46番目のリジンがイソロイシンまたはスレオニンに置換
(7)配列番号1の48番目のグルタミンがヒスチジンまたはロイシンに置換
(8)配列番号1の50番目のアラニンがヒスチジンに置換
(9)配列番号1の51番目のチロシンがアスパラギン酸またはヒスチジンに置換
(10)配列番号1の54番目のグルタミン酸がアスパラギン酸またはグリシンに置換
(11)配列番号1の56番目のアスパラギンがスレオニンに置換
(12)配列番号1の59番目のグルタミンがアルギニンに置換
(13)配列番号1の61番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(14)配列番号1の64番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
(15)配列番号1の65番目のセリンがアルギニンに置換
(16)配列番号1の71番目のアラニンがアスパラギン酸に置換
(17)配列番号1の75番目のフェニルアラニンがロイシン、セリン、チロシンのいずれかに置換
(18)配列番号1の77番目のアスパラギン酸がアスパラギンに置換
(19)配列番号1の78番目のアラニンがセリンに置換
(20)配列番号1の82番目のアスパラギン酸がグルタミン酸またはバリンに置換
(21)配列番号1の90番目のグルタミンがアルギニンに置換
(22)配列番号1の92番目のアスパラギンがセリンに置換
(23)配列番号1の93番目のロイシンがアルギニンまたはメチオニンに置換
(24)配列番号1の95番目のスレオニンがアラニンまたはセリンに置換
(25)配列番号1の110番目のロイシンがグルタミンに置換
(26)配列番号1の115番目のアルギニンがグルタミンに置換
(27)配列番号1の116番目のトリプトファンがロイシンに置換
(28)配列番号1の118番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(29)配列番号1の119番目のリジンがグルタミン酸に置換
(30)配列番号1の120番目のグルタミン酸がバリンに置換
(31)配列番号1の121番目のグルタミン酸がアスパラギン酸またはグリシンに置換
(32)配列番号1の151番目のフェニルアラニンがセリンまたはチロシンに置換
(33)配列番号1の155番目のセリンがスレオニンに置換
(34)配列番号1の163番目のスレオニンがセリンに置換
(35)配列番号1の167番目のセリンがグリシンに置換
(36)配列番号1の169番目のセリンがグリシンに置換
(37)配列番号1の171番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(38)配列番号1の180番目のアスパラギンがリジン、セリン、イソロイシンのいずれかに置換
(39)配列番号1の185番目のスレオニンがセリンに置換
(40)配列番号1の192番目のグルタミンがリジンに置換
(B)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において少なくとも配列番号1の35番目のチロシンがアスパラギン酸、グリシン、リジン、ロイシン、アスパラギン、プロリン、セリン、スレオニン、ヒスチジンのいずれかに置換した、(A)に記載のFc結合性タンパク質。
(C)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において少なくとも配列番号1の35番目のチロシンがアスパラギンまたはプロリンに置換した、(B)に記載のFc結合性タンパク質。
(D)配列番号27、配列番号31、配列番号33、配列番号37、配列番号41、配列番号43、配列番号47、配列番号49のいずれかに記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含む、(C)に記載のFc結合性タンパク質。
(E)配列番号27、配列番号31、配列番号33、配列番号37、配列番号41、配列番号43、配列番号47、配列番号49のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる、(D)に記載のFc結合性タンパク質。
(F)さらに、以下の(41)から(44)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、(A)から(C)のいずれかに記載のFc結合性タンパク質。
(41)配列番号1の66番目のロイシンがヒスチジンまたはアルギニンに置換
(42)配列番号1の147番目のグリシンがアスパラギン酸に置換
(43)配列番号1の158番目のチロシンがヒスチジンに置換
(44)配列番号1の176番目のバリンがフェニルアラニンに置換
(G)(A)から(F)のいずれかに記載のFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる、吸着剤。
(H)(G)に記載の吸着剤を用いた抗体の精製方法。
(I)(G)に記載の吸着剤を用いて抗体を分離することで、抗体が有する糖鎖構造の
違いを識別する方法。
(J)(H)に記載の精製方法で得られる抗体。
(K)(G)に記載の吸着剤を用いた糖鎖の分離方法。
(L)(K)に記載の分離方法で得られる糖鎖。
(M)(A)から(F)のいずれかに記載のFc結合性タンパク質をコードするポリヌ
クレオチド。
(N)(M)に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
(O)(N)に記載の発現ベクターで宿主を形質転換して得られる形質転換体。
(P)宿主が大腸菌である、(O)に記載の形質転換体。
(Q)(O)または(P)に記載の形質転換体を培養することによりFc結合性タンパ
ク質を発現させ、その培養物から発現されたFc結合性タンパク質を回収する、Fc結合
性タンパク質の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のFc結合性タンパク質は、抗体のFc領域に結合性を持つタンパク質であり、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcγRIIIaの細胞外領域(図1のECの領域)のうち、少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質であって、当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において特定位置におけるアミノ酸置換が生じたタンパク質である。したがって、本発明のFc結合性タンパク質は、細胞外領域のN末端側にあるシグナルペプチド領域(図1のS)の全てまたは一部を含んでもよいし、細胞外領域のC末端側にある細胞膜貫通領域(図1のTM)および細胞外領域(図1のC)の全てまたは一部を含んでもよい。前記特定位置におけるアミノ酸置換は、具体的には、配列番号1に記載のアミノ酸配列において、Met18Arg(この表記は、配列番号1の18番目のメチオニンがアルギニンに置換されていることを表す、以下同様)、Val27Glu、Phe29Leu、Phe29Ser、Leu30Gln、Tyr35Asp、Tyr35Gly、Tyr35Lys、Tyr35Leu、Tyr35Asn、Tyr35Pro、Tyr35Ser、Tyr35Thr、Tyr35His、Lys46Ile、Lys46Thr、Gln48His、Gln48Leu、Ala50His、Tyr51Asp、Tyr51His、Glu54Asp、Glu54Gly、Asn56Thr、Gln59Arg、Phe61Tyr、Glu64Asp、Ser65Arg、Ala71Asp、Phe75Leu、Phe75Ser、Phe75Tyr、Asp77Asn、Ala78Ser、Asp82Glu、Asp82Val、Gln90Arg、Asn92Ser、Leu93Arg、Leu93Met、Thr95Ala、Thr95Ser、Leu110Gln、Arg115Gln、Trp116Leu、Phe118Tyr、Lys119Glu、Glu120Val、Glu121Asp、Glu121Gly、Phe151Ser、Phe151Tyr、Ser155Thr、Thr163Ser、Ser167Gly、Ser169Gly、Phe171Tyr、Asn180Lys、Asn180Ser、Asn180Ile、Thr185Ser、Gln192Lysのうち、少なくともいずれかの1つの置換である。中でも、Tyr35Asp、Tyr35Gly、Tyr35Lys、Tyr35Leu、Tyr35Asn、Tyr35Pro、Tyr35Ser、Tyr35Thr、Tyr35His、Glu121Glyのうちいずれかの置換が生じていると、熱安定性が向上するため好ましい。また、野生型ヒトFcγRIIIaには、Leu66His、Leu66Arg、Gly147Asp、Tyr158HisまたはVal176Pheの置換が生じた変異体が知られているが、前記特定位置におけるアミノ酸置換以外にこれらのアミノ酸置換を含んでいてもよい。
なおアミノ酸置換を行なうことで本発明のFc結合性タンパク質を作製する際、特定位置のアミノ酸残基については、抗体結合活性を有する限り前述したアミノ酸以外のアミノ酸に置換してもよい。その一例として、両アミノ酸の物理的性質と化学的性質またはそのどちらかが類似したアミノ酸間で置換する保守的置換があげられる。保守的置換は、Fc結合性タンパク質に限らず一般に、置換が生じているものと置換が生じていないものとの間でタンパク質の機能が維持されることが当業者において知られている。保守的置換の一例としては、グリシンとアラニン間、アスパラギン酸とグルタミン酸間、セリンとプロリン間、またはグルタミン酸とアラニン間に生じる置換があげられる(タンパク質の構造と機能,メディカル・サイエンス・インターナショナル社,9,2005)。
本発明のFc結合性タンパク質において、置換するアミノ酸の数に特に制限はない。一例として、以下の(a)から(h)に示すFc結合性タンパク質があげられる。これらのFc結合性タンパク質は熱および酸に対する安定性が向上する点で好ましい。
(a)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、Val27GluおよびTyr35Asnのアミノ酸置換が生じているFc結合性タンパク質(配列番号27に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)
(b)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、Val27Glu、Tyr35AsnおよびPhe75Leuのアミノ酸置換が生じているFc結合性タンパク質(配列番号31に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)
(c)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、Val27Glu、Tyr35Asn、Phe75LeuおよびGlu121Glyのアミノ酸置換が生じているFc結合性タンパク質(配列番号33に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)
(d)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、Val27Glu、Tyr35Asn、Phe75Leu、Asn92SerおよびGlu121Glyのアミノ酸置換が生じているFc結合性タンパク質(配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)
(e)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、Val27Glu、Tyr35Asn、Glu54Asp、Phe75LeuおよびGlu121Glyのアミノ酸置換が生じているFc結合性タンパク質(配列番号41に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)
(f)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、Val27Glu、Tyr35Asn、Glu54Asp、Phe75Leu、Asn92SerおよびGlu121Glyのアミノ酸置換が生じているFc結合性タンパク質(配列番号43に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)
(g)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、Val27Glu、Tyr35Asn、Glu54Asp、Phe75Leu、Glu120ValおよびGlu121Glyのアミノ酸置換が生じているFc結合性タンパク質(配列番号47に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)
(h)配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、Val27Glu、Tyr35Asn、Glu54Asp、Phe75Leu、Asn92Ser、Glu120ValおよびGlu121Glyのアミノ酸置換が生じているFc結合性タンパク質(配列番号49に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
本発明のFc結合性タンパク質は、そのN末端側またはC末端側に、夾雑物質存在下の溶液から分離する際に有用なオリゴペプチドをさらに付加してもよい。前記オリゴペプチドとしては、ポリヒスチジン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等があげられる。また本発明のFc結合性タンパク質をクロマトグラフィー用の支持体等の固相に固定化する際に有用な、システインを含むオリゴペプチドを、本発明のFc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側にさらに付加してもよい。Fc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側に付加するオリゴペプチドの長さは、本発明のFc結合性タンパク質のIgG結合性や安定性を損なわない限り特に制限はない。前記オリゴペプチドを本発明のFc結合性タンパク質に付加させる際は、前記オリゴペプチドをコードするポリヌクレオチドを作製後、当業者に周知の方法を用いて遺伝子工学的にFc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側に付加させてもよいし、化学的に合成した前記オリゴペプチドを本発明のFc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側に化学的に結合させて付加させてもよい。さらに本発明のFc結合性タンパク質のN末端側には、宿主での効率的な発現を促すためのシグナルペプチドを付加してもよい。宿主が大腸菌の場合における前記シグナルペプチドの例としては、PelB、DsbA、MalE(UniProt No.P0AEX9に記載のアミノ酸配列のうち1番目から26番目までの領域)、TorTなどといったペリプラズムにタンパク質を分泌させるシグナルペプチドを例示することができる(特開2011−097898号公報)。
本発明のポリヌクレオチドの作製方法の一例として、
(I)本発明のFc結合性タンパク質のアミノ酸配列からヌクレオチド配列に変換し、当該ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを人工的に合成する方法や、
(II)Fc結合性タンパク質の全体または部分配列を含むポリヌクレオチドを直接人工的に、またはFc結合性タンパク質のcDNA等からPCR法といったDNA増幅法を用いて調製し、調製した当該ポリヌクレオチドを適当な方法で連結する方法、が例示できる。
前記(I)の方法において、アミノ酸配列からヌクレオチド配列に変換する際、形質転換させる宿主におけるコドンの使用頻度を考慮して変換するのが好ましい。一例として、宿主が大腸菌(Escherichia coli)の場合は、アルギニン(Arg)ではAGA/AGG/CGG/CGAが、イソロイシン(Ile)ではATAが、ロイシン(Leu)ではCTAが、グリシン(Gly)ではGGAが、プロリン(Pro)ではCCCが、それぞれ使用頻度が少ないため(いわゆるレアコドンであるため)、それらのコドンを避けるように変換すればよい。コドンの使用頻度の解析は公的データベース(例えば、かずさDNA研究所のホームページにあるCodon Usage Databaseなど)を利用することによっても可能である。
本発明のポリヌクレオチドへ変異を導入する場合、エラープローンPCR法を用いることができる。エラープローンPCR法における反応条件は、ヒトFcγRI(またはFc結合性タンパク質)をコードするポリヌクレオチドに所望の変異を導入できる条件であれば特に限定はなく、例えば、基質である4種類のデオキシヌクレオチド(dATP/dTTP/dCTP/dGTP)の濃度を不均一にし、MnClを0.01から10mM(好ましくは0.1から1mM)の濃度でPCR反応液に添加してPCRを行なうことで、ポリヌクレオチドに変異を導入することができる。またエラープローンPCR法以外の変異導入方法としては、ヒトFcγRIの全体または部分配列を含むポリヌクレオチドに、変異原となる薬剤を接触・作用させたり、紫外線を照射したりして、ポリヌクレオチドに変異を導入して作製する方法があげられる。当該方法において変異原として使用する薬剤としては、ヒドロキシルアミン、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン、亜硝酸、亜硫酸、ヒドラジン等、当業者が通常用いる変異原性薬剤を用いればよい。
本発明のポリヌクレオチドを用いて宿主を形質転換する場合、本発明のポリヌクレオチドそのものを用いてもよいが、発現ベクター(例えば、原核細胞や真核細胞の形質転換に通常用いるバクテリオファージ、コスミドやプラスミド等)の適切な位置に本発明のポリヌクレオチドを挿入したものを用いると、より好ましい。なお当該発現ベクターは、形質転換する宿主内で安定に存在し複製できるものであれば特に制限はなく、大腸菌を宿主とする場合は、pETプラスミドベクター、pUCプラスミドベクター、pTrcプラスミドベクター、pCDFプラスミドベクター、pBBRプラスミドベクターを例示することができる。また前記適切な位置とは、発現ベクターの複製機能、所望の抗生物質マーカー、伝達性に関わる領域を破壊しない位置を意味する。前記発現ベクターに本発明のポリヌクレオチドを挿入する際は、発現に必要なプロモータといった機能性ポリヌクレオチドに連結される状態で挿入すると好ましい。当該プロモータの例として、宿主が大腸菌の場合は、trpプロモータ、tacプロモータ、trcプロモータ、lacプロモータ、T7プロモータ、recAプロモータ、lppプロモータ、さらにはλファージのλPLプロモータ、λPRプロモータ等があげられる。
前記方法により作製した、本発明のポリヌクレオチドを挿入した発現ベクター(以下、本発明の発現ベクターとする)を用いて宿主を形質転換するには、当業者が通常用いる方法で行なえばよい。例えば、宿主としてEscherichia属に属する微生物(大腸菌JM109株、大腸菌BL21(DE3)株、大腸菌W3110株等)を選択する場合には、公知の文献(例えば、Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory,256,1992)に記載の方法等により形質転換すればよい。前述した方法で形質転換して得られた形質転換体は、適切な方法でスクリーニングすることにより、本発明のFc結合性タンパク質を発現可能な形質転換体(以下、本発明の形質転換体とする)を取得することができる。なお、本発明のFc結合性タンパク質を発現させる宿主には特に制限はなく、一例として、動物細胞(CHO細胞、HEK細胞、Hela細胞、COS細胞等)、酵母(Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris、Hansenula polymorpha、Schizosaccharomyces japonicus、Schizosaccharomyces octosporus、Schizosaccharomyces pombe等)、昆虫細胞(Sf9、Sf21等)、大腸菌(JM109株、BL21(DE3)株、W3110株等)や枯草菌があげられる。なお動物細胞や大腸菌を宿主として用いると生産性の面で好ましく、大腸菌を宿主として用いるとさらに好ましい。
本発明の形質転換体から、本発明の発現ベクターを調製するには、本発明の形質転換体を培養して得られる培養物からアルカリ抽出法またはQIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン社製)等の市販の抽出キットを用いて調製すればよい。本発明の形質転換体を培養し、得られた培養物から本発明のFc結合性タンパク質を回収することで、本発明のFc結合性タンパク質を製造することができる。なお本明細書において培養物とは、培養された本発明の形質転換体の細胞そのもののほか、培養に用いた培地も含まれる。本発明のタンパク質製造方法で用いる形質転換体は、対象宿主の培養に適した培地で培養すればよく、宿主が大腸菌の場合は、必要な栄養源を補ったLB(Luria−Bertani)培地が好ましい培地の一例としてあげられる。なお、本発明のベクターの導入の有無により本発明の形質転換体を選択的に増殖させるために、培地に当該ベクターに含まれる薬剤耐性遺伝子に対応した薬剤を添加して培養すると好ましい。例えば、当該ベクターがカナマイシン耐性遺伝子を含んでいる場合は、培地にカナマイシンを添加すればよい。また培地には、炭素、窒素および無機塩供給源の他に、適当な栄養源を添加してもよく、所望により、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレートおよびジチオスレイトールからなる群から選択される一種類以上の還元剤を含んでもよい。さらにグリシンといった前記形質転換体から培養液へのタンパク質分泌を促す試薬を添加してもよく、具体的には、宿主が大腸菌の場合、培地に対してグリシンを2%(w/v)以下で添加すると好ましい。培養温度は宿主が大腸菌の場合、一般に10℃から40℃、好ましくは20℃から37℃、より好ましくは25℃前後であるが、発現させるタンパク質の特性により選択すればよい。培地のpHは宿主が大腸菌の場合、pH6.8からpH7.4、好ましくはpH7.0前後である。また本発明のベクターに誘導性のプロモータが含まれている場合は、本発明のFc結合性タンパク質が良好に発現できるような条件下で誘導をかけると好ましい。誘導剤としてはIPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)を例示することができる。宿主が大腸菌の場合、培養液の濁度(600nmにおける吸光度)を測定し、約0.5から1.0となったときに適当量のIPTGを添加後、引き続き培養することで、Fc結合性タンパク質の発現を誘導することができる。IPTGの添加濃度は0.005から1.0mMの範囲から適宜選択すればよいが、0.01から0.5mMの範囲が好ましい。IPTG誘導に関する種々の条件は当該技術分野において周知の条件で行なえばよい。
本発明の形質転換体を培養して得られた培養物から本発明のFc結合性タンパク質を回収するには、本発明の形質転換体における本発明のFc結合性タンパク質の発現形態に適した方法で、当該培養物から分離/精製して本発明のFc結合性タンパク質を回収すればよい。例えば、培養上清に発現する場合は菌体を遠心分離操作によって分離し、得られる培養上清から本発明のFc結合性タンパク質を精製すればよい。また、細胞内(ペリプラズムを含む)に発現する場合には、遠心分離操作により菌体を集めた後、酵素処理剤や界面活性剤等を添加することにより菌体を破砕して本発明のFc結合性タンパク質を抽出した後、精製すればよい。本発明のFc結合性タンパク質を精製するには、当該技術分野において公知の方法を用いればよく、一例として液体クロマトグラフィーを用いた分離/精製があげられる。液体クロマトグラフィーには、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等があり、これらのクロマトグラフィーを組み合わせて精製操作を行なうことにより、本発明のFc結合性タンパク質を高純度に調製することができる。得られた本発明のFc結合性タンパク質のIgGに対する結合活性を測定する方法としては、例えばIgGに対する結合活性をEnzyme−Linked ImmunoSorbent Assay(以下、ELISAと表記)法や表面プラズモン共鳴法などを用いて測定すればよい。結合活性の測定に使用するIgGは、ヒトIgGが好ましく、ヒトIgG1やヒトIgG3が特に好ましい。
本発明のFc結合性タンパク質を不溶性担体に結合させることで、本発明の吸着剤を製造することができる。前記不溶性担体には特に限定はなく、アガロース、アルギネート(アルギン酸塩)、カラゲナン、キチン、セルロース、デキストリン、デキストラン、デンプンといった多糖質を原料とした担体や、ポリビニルアルコール、ポリメタクレート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリウレタンといった合成高分子を原料とした担体や、シリカなどのセラミックスを原料とした担体が例示できる。中でも、多糖質を原料とした担体や合成高分子を原料とした担体が不溶性担体として好ましい。前記好ましい担体の一例として、トヨパール(東ソー社製)等の水酸基を導入したポリメタクリレートゲル、Sepharose(GEヘルスケア社製)等のアガロースゲル、セルファイン(JNC社製)等のセルロースゲルがあげられる。不溶性担体の形状については特に限定はなく、粒状物または非粒状物、多孔性または非多孔性、いずれであってもよい。
Fc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化するには、不溶性担体にN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)活性化エステル基、エポキシ基、カルボキシル基、マレイミド基、ハロアセチル基、トレシル基、ホルミル基ハロアセトアミド等の活性基を付与し、当該活性基を介してヒトFc結合性タンパク質と不溶性担体とを共有結合させることで固定化すればよい。活性基を付与した担体は市販の担体をそのまま用いてもよいし、適切な反応条件で担体表面に活性基を導入して調製してもよい。活性基を付与した市販の担体としてはTOYOPEARL AF−Epoxy−650M、TOYOPEARL AF−Tresyl−650M(いずれも東ソー社製)、HiTrap NHS−activated HP Columns、NHS−activated Sepharose 4 Fast Flow、Epoxy−activated Sepharose 6B(いずれもGEヘルスケア社製)、SulfoLink Coupling Resin(サーモサイエンティフィック社製)が例示できる。
一方、担体表面に活性基を導入する方法としては、担体表面に存在する水酸基やエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基等に対して2個以上の活性部位を有する化合物の一方を反応させる方法が例示できる。当該化合物の一例のうち、担体表面の水酸基やアミノ基にエポキシ基を導入する化合物としては、エピクロロヒドリン、エタンジオールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが例示できる。前記化合物により担体表面にエポキシ基を導入した後、担体表面にカルボキシル基を導入する化合物としては、2−メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、4−メルカプト酪酸、6−メルカプト酪酸、グリシン、3−アミノプロピオン酸、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸を例示できる。
担体表面に存在する水酸基やエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基にマレイミド基を導入する化合物としては、N−(ε−マレイミドカプロン酸)ヒドラジド、N−(ε−マレイミドプロピオン酸)ヒドラジド、4−[4−N−マレイミドフェニル]酢酸ヒドラジド、2−アミノマレイミド、3−アミノマレイミド、4−アミノマレイミド、6−アミノマレイミド、1−(4−アミノフェニル)マレイミド、1−(3−アミノフェニル)マレイミド、4−(マレイミド)フェニルイソシアナート、2−マレイミド酢酸、3−マレイミドプロピオン酸、4−マレイミド酪酸、6−マレイミドヘキサン酸、(N−[α―マレイミドアセトキシ]スクシンイミドエステル)、(m−マレイミドベンゾイル)N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、(スクシンイミジル−4−[マレイミドメチル]シクロヘキサンー1−カルボニル−[6−アミノヘキサン酸])、(スクシンイミジル−4−[マレイミドメチル]シクロヘキサンー1−カルボン酸)、(p−マレイミドベンゾイル)N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、(m−マレイミドベンゾイル)N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを例示できる。
担体表面に存在する水酸基やアミノ基にハロアセチル基を導入する化合物としては、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、クロロ酢酸クロリド、ブロモ酢酸クロリド、ブロモ酢酸ブロミド、クロロ酢酸無水物、ブロモ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、2−(ヨードアセトアミド)酢酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、3−(ブロモアセトアミド)プロピオン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、4−(ヨードアセチル)アミノ安息香酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを例示できる。なお担体表面に存在する水酸基やアミノ基にω−アルケニルアルカングリシジルエーテルを反応させた後、ハロゲン化剤でω−アルケニル部位をハロゲン化し活性化する方法も例示できる。ω−アルケニルアルカングリシジルエーテルとしては、アリルグリシジルエーテル、3−ブテニルグリシジルエーテル、4−ペンテニルグリシジルエーテルを例示でき、ハロゲン化剤としてはN−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミドを例示できる。
担体表面に活性基を導入する方法の別の例として、担体表面に存在するカルボキシル基に対して縮合剤と添加剤を用いて活性化基を導入する方法がある。縮合剤としては1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジアミド、カルボニルジイミダゾールを例示できる。また添加剤としてはN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)、4−ニトロフェノール、1−ヒドロキシベンズトリアゾールを例示できる。
本発明のFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化する際用いる緩衝液としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、MES(2−Morpholinoethanesulfonic acid)緩衝液、HEPES(2−[4−(2−Hydroxyethyl)−1−piperazinyl]ethanesulfonic acid)緩衝液、Tris緩衝液、ホウ酸緩衝液を例示できる。固定化させるときの反応温度は、5℃から50℃までの温度範囲の中から活性基の反応性や本発明のFc結合性タンパク質の安定性を考慮の上、適宜設定すればよく、好ましくは10℃から35℃の範囲である。
本発明のFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる本発明の吸着剤を用いて、糖鎖を有した抗体を精製するには、例えば、本発明の吸着剤を充填したカラムに糖鎖を有した抗体を含む緩衝液をポンプ等の送液手段を用いて添加することで、糖鎖を有した抗体を本発明の吸着剤に特異的に吸着させた後、適切な溶出液をカラムに添加することで、糖鎖を有した抗体を溶出すればよい。なお本発明の吸着剤で精製可能な、糖鎖を有した抗体は、Fc結合性タンパク質と親和性を有する、糖鎖を有した抗体のFc領域を少なくとも含んだ抗体であればよい。一例として、抗体医薬に用いる抗体として一般的に用いられているキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体やそれらのアミノ酸置換体があげられる。また二重特異性抗体(バイスペシフィック抗体)、糖鎖を有した抗体のFc領域と他のタンパク質との融合抗体、糖鎖を有した抗体のFc領域と薬物との複合体(ADC)などの人工的に構造改変した抗体であっても、本発明の吸着剤で精製することができる。また糖鎖を有した抗体を含む緩衝液をカラムに添加する前に、適切な緩衝液を用いてカラムを平衡化すると、糖鎖を有した抗体をより高純度に精製できるため好ましい。緩衝液としてはリン酸緩衝液等、無機塩を成分とした緩衝液を例示することができ、緩衝液のpHは、pH3から10、好ましくはpH5から8である。
本発明の吸着剤に吸着した、糖鎖を有した抗体を溶出させるには、糖鎖を有した抗体とリガンド(本発明のFc結合性タンパク質)との相互作用を弱めればよく、具体的には、緩衝液によるpH変化、カウンターペプチド、温度変化、塩濃度変化が例示できる。本発明の吸着剤に吸着した、糖鎖を有した抗体を溶出させるための溶出液の具体例として、本発明の吸着剤に糖鎖を有した抗体を吸着させる際に用いた溶液よりも酸性側の緩衝液があげられる。緩衝液の種類としては酸性側に緩衝能を有するクエン酸緩衝液、グリシン塩酸緩衝液、酢酸緩衝液を例示できる。緩衝液のpHは、抗体が有する機能を損なわない範囲で設定すればよく、好ましくはpH2.5から6.0、より好ましくはpH3.0から5.0、さらに好ましくはpH3.3から4.0である。
なお糖鎖を有した抗体を含む溶液から、本発明の吸着剤を用いて前記抗体を精製する際、前記抗体が有する糖鎖構造の違いにより、抗体の溶出位置(溶出フラクション)が異なる。従って、本発明の吸着剤を用いて抗体を分離することで、抗体が有する糖鎖構造の違いを識別することができる。識別可能な糖鎖の構造に特に限定はなく、一例として、CHO細胞といった動物由来の細胞や、ピキア酵母やサッカロミセス酵母といった酵母を宿主として抗体を発現させたときに付加される糖鎖や、ヒト抗体が有する糖鎖や、化学合成法で抗体に付加した糖鎖があげられる。また本発明の吸着剤は、抗体が有する糖鎖構造の違いに基づき分離できることから、糖鎖そのものの分離にも利用できる。
本発明のFc結合性タンパク質は、ヒトFcγRIIIaの細胞外領域中の特定位置におけるアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に置換したタンパク質である。本発明のFc結合性タンパク質は野生型ヒトFcγRIIIaと比較し、熱および酸に対する安定性が向上している。そのため、本発明のFc結合性タンパク質はイムノグロブリンを分離するための吸着剤のリガンドとして有用である。
ヒトFcγRIIIaの概略図である。図中の数字は配列番号1に記載のアミノ酸配列の番号を示している。図中のSはシグナル配列、ECは細胞外領域、TMは細胞膜貫通領域、Cは細胞内領域を示している。 1アミノ酸置換したFc結合性タンパク質の抗体結合活性を評価した結果を示す図である。図中の野生型はアミノ酸置換の無いFc結合性タンパク質を示している。 1アミノ酸置換したFc結合性タンパク質の熱安定性を評価した結果を示す図である。図中の野生型はアミノ酸置換の無いFc結合性タンパク質を示している。 FcR5a固定化ゲルを用いた抗体の溶出を示したクロマトチャートである。図中のFrは回収したフラクションの位置を示している。 抗体に付加した糖鎖構造の一覧を示した図である。図中のN1からN8は表10のN1からN8に対応し、M1およびM2は表11のM1およびM2に対応している。 FcR5a固定化ゲルを用いた抗体精製の結果を示した図(SDS−PAGE)である。(A)はヒトIgG1の精製結果を、(B)はヒトIgG3の精製結果を、それぞれ示している。
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1 Fc結合性タンパク質発現ベクターの作製
(1)配列番号1に記載のヒトFcγRIIIaアミノ酸配列のうち、17番目のグリシン(Gly)から192番目のグルタミン(Gln)までのアミノ酸配列を基に、DNAworks法(Nucleic Acids Res.,30,e43,2002)を用いて、コドンをヒト型から大腸菌型に変換したヌクレオチド配列を設計した。設計したヌクレオチド配列を配列番号2に示す。
(2)配列番号2に記載の配列を含むポリヌクレオチドを作製するために、配列番号3から20に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを合成し、前記オリゴヌクレオチドを用いて、下記に示す二段階PCRを行なった。
(2−1)一段階目のPCRは、表1に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、62℃で5秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を10サイクル繰り返すことでポリヌクレオチドを合成し、これをFcRp1とした。なお表1中のDNAミックスとは、配列番号3から20に記載の配列からなる18種類のオリゴヌクレオチドをそれぞれ一定量サンプリングし混合した溶液を意味する。
Figure 0006507522
(2−2)二段階目のPCRは、(2−1)で合成したFcRp1を鋳型とし、配列番号21(5’−TAGCCATGGGCATGCGTACCGAAGATCTGCCGAAAGC−3’)および配列番号22(5’−CCCAAGCTTAATGATGATGATGATGATGGCCCCCTTGGGTAATGGTAATATTCACGGTCTCGCTGC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして実施した。具体的には、表2に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、62℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1.5分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
Figure 0006507522
(3)(2)で得られたポリヌクレオチドを精製し、制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、当該ライゲーション産物を用いて大腸菌BL21株(DE3)を形質転換した。
(4)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンンを含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン社製)を用いて、発現ベクターpET−eFcRを抽出した。
(5)(4)で作製した発現ベクターpET−eFcRのうち、ヒトFcγRIIIaをコードするポリヌクレオチドおよびその周辺の領域について、チェーンターミネータ法に基づくBig Dye Terminator Cycle Sequencing ready Reaction kit(ライフサイエンス社製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーABI Prism 3700 DNA analyzer(ライフサイエンス社製)にてヌクレオチド配列を解析した。なお当該解析の際、配列番号23(5’−TAATACGACTCACTATAGGG−3’)または配列番号24(5’−TATGCTAGTTATTGCTCAG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをシークエンス用プライマーとして使用した。
発現ベクターpET−eFcRで発現されるポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号25に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号26に、それぞれ示す。なお配列番号25において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがヒトFcγRIIIaの細胞外領域(配列番号1の17番目から192番目までの領域)であり、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。
実施例2 Fc結合性タンパク質への変異導入およびライブラリーの作製
実施例1で作製したFc結合性タンパク質発現ベクターpER−eFcRのうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド部分に、エラープローンPCRによりランダムに変異導入を施した。
(1)鋳型として実施例1で作製したpET−eFcRを用いてエラープローンPCRを行なった。エラープローンPCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、60℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を35サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。前記エラープローンPCRによりFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドに良好に変異が導入され、その平均変異導入率は1.26%であった。
Figure 0006507522
(2)(1)で得られたPCR産物を精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ同制限酵素で消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションした。
(3)ライゲーション反応終了後、反応液をエレクトロポレーション法により大腸菌BL21(DE3)株に導入し、50μg/mLのカナマイシンを含むLBプレート培地で培養(37℃で18時間)後、プレート上に形成したコロニーをランダム変異体ライブラリーとした。
実施例3 熱安定化Fc結合性タンパク質のスクリーニング
(1)実施例2で作製したランダム変異体ライブラリー(形質転換体)を、50μg/mLのカナマイシンを含む2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)200μLに接種し、96穴ディープウェルプレートを用いて、30℃で一晩振とう培養した。
(2)培養後、5μLの培養液を500μLの0.05mMのIPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)、0.3%のグリシンおよび50μg/mLのカナマイシンを含む2YT液体培地に植え継ぎ、96穴ディープウェルプレートを用いて、さらに20℃で一晩振とう培養した。
(3)培養後、遠心操作によって得られた培養上清を150mMの塩化ナトリウムを含む20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で2倍に希釈した。希釈した溶液を45℃で10分間熱処理を行なった。
(4)(3)の熱処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性と、(3)の熱処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、それぞれ下記に示すELISA法にて測定し、熱処理を行なった時のFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、熱処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性で除することで、残存活性を算出した。
(4−1)ヒト抗体であるガンマグロブリン製剤(化学及血清療法研究所製)を、96穴マイクロプレートのウェルに1μg/wellで固定化し(4℃で18時間)、固定化終了後、2%(w/v)のSKIM MILK(BD社製)および150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)によりブロッキングした。
(4−2)洗浄緩衝液(0.05%[w/v]のTween 20、150mMのNaClを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4))で洗浄後、抗体結合活性を評価するFc結合性タンパク質を含む溶液を添加し、Fc結合性タンパク質と固定化ガンマグロブリンとを反応させた(30℃で1時間)。
(4−3)反応終了後、前記洗浄緩衝液で洗浄し、100ng/mLに希釈したAnti−6His抗体(Bethyl Laboratories社製)を100μL/wellで添加した。
(4−4)30℃で1時間反応させ、前記洗浄緩衝液で洗浄した後、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を50μL/wellで添加した。1Mのリン酸を50μL/wellで添加することで発色を止め、マイクロプレートリーダー(テカン社製)にて450nmの吸光度を測定した。
(5)(4)の方法で約2700株の形質転換体を評価し、その中から野生型(アミノ酸置換のない)Fc結合性タンパク質と比較して熱安定性が向上したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を選択した。前記選択した形質転換体を培養し、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン社製)を用いて発現ベクターを調製した。
(6)得られた発現ベクターに挿入されたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列を実施例1(5)の記載と同様の方法によりヌクレオチド配列を解析し、アミノ酸の変異箇所を特定した。
(5)で選択した形質転換体が発現するFc結合性タンパク質の、野生型(アミノ酸置換のない)Fc結合性タンパク質に対するアミノ酸置換位置および熱処理後の残存活性(%)をまとめたものを表4に示す。配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、かつ当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、Met18Arg(この表記は、配列番号1の18番目のメチオニンがアルギニンに置換されていることを表す、以下同様)、Val27Glu、Phe29Leu、Phe29Ser、Leu30Gln、Tyr35Asn、Tyr35Asp、Tyr35Ser、Tyr35His、Lys46Ile、Lys46Thr、Gln48His、Gln48Leu、Ala50His、Tyr51Asp、Tyr51His、Glu54Asp、Glu54Gly、Asn56Thr、Gln59Arg、Phe61Tyr、Glu64Asp、Ser65Arg、Ala71Asp、Phe75Leu、Phe75Ser、Phe75Tyr、Asp77Asn、Ala78Ser、Asp82Glu、Asp82Val、Gln90Arg、Asn92Ser、Leu93Arg、Leu93Met、Thr95Ala、Thr95Ser、Leu110Gln、Arg115Gln、Trp116Leu、Phe118Tyr、Lys119Glu、Glu120Val、Glu121Asp、Glu121Gly、Phe151Ser、Phe151Tyr、Ser155Thr、Thr163Ser、Ser167Gly、Ser169Gly、Phe171Tyr、Asn180Lys、Asn180Ser、Asn180Ile、Thr185Ser、Gln192Lysのいずれかのアミノ酸置換が少なくとも1つ生じているFc結合性タンパク質は、野生型のFc結合性タンパク質と比較し熱安定性が向上しているといえる。
Figure 0006507522
表4に示す、アミノ酸置換されたFc結合性タンパク質のうち、最も残存活性の高い、Val27GluおよびTyr35Asnのアミノ酸置換が生じたFc結合性タンパク質をFcR2と命名し、FcR2をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターをpET−FcR2と命名した。FcR2のアミノ酸配列を配列番号27に、FcR2をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号28に示す。なお配列番号27において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR2のアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。また配列番号27において、Val27Gluのグルタミン酸は43番目、Tyr35Asnのアスパラギンは51番目の位置にそれぞれ存在する。
実施例4 アミノ酸置換Fc結合性タンパク質の作製
実施例3で判明した、Fc結合性タンパク質の熱安定性向上に関与するアミノ酸置換を集積することで、さらなる安定性向上を図った。置換アミノ酸の集積は、主にPCRを用いて行ない、以下の(a)から(g)に示す7種類のFc結合性タンパク質を作製した。
(a)FcR2に対し、さらにPhe75Leuのアミノ酸置換を行なったFcR3
(b)FcR2に対し、さらにPhe75LeuおよびGlu121Glyのアミノ酸置
換を行なったFcR4
(c)FcR4に対し、さらにAsn92Serのアミノ酸置換を行なったFcR5a
(d)FcR4に対し、さらにGlu54Aspのアミノ酸置換を行なったFcR5b
(e)FcR5aに対し、さらにGlu54Aspのアミノ酸置換を行なったFcR6a
(f)FcR5bに対し、さらにGlu120Valのアミノ酸置換を行なったFcR6b
(g)FcR6aに対し、さらにGlu120Valのアミノ酸置換を行なったFcR7
以下、各Fc結合性タンパク質の作製方法を詳細に説明する。
(a)FcR3
実施例3で明らかになった、熱安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Val27Glu、Tyr35AsnおよびPhe75Leuを選択し、それらの置換を野生型のFc結合性タンパク質に集積したFcR3を作製した。具体的には、FcR2をコードするポリヌクレオチドに対してPhe75Leuを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR3を作製した。
(a−1)実施例3で取得した、pET−FcR2を鋳型としてPCRを実施した。当該PCRにおけるプライマーは、配列番号24および配列番号29(5’−AGCCAGGCGAGCAGCTACCTTATTGATGCG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン社製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm3Fとした。
Figure 0006507522
(a−2)実施例3で取得した、pET−FcR2を鋳型とし、配列番号23および配列番号30(5’−CCACCGTCGCCGCATCAATAAGGTAGCTGC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様に行なった。精製したPCR産物をm3Rとした。
(a−3)(a−1)および(a−2)で得られた2種類のPCR産物(m3F、m3R)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、m3Fとm3Rを連結したPCR産物m3pを得た。
Figure 0006507522
(a−4)(a−3)で得られたPCR産物m3pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとしてPCRを行なった。PCRは、表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なった。これによりFcR2に1箇所アミノ酸置換を導入したFcR3をコードするポリヌクレオチドを作製した。
Figure 0006507522
(a−5)(a−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌E.coli BL21(DE3)株を形質転換した。
(a−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、野生型Fc結合性タンパク質に対して3箇所アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR3をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR3を得た。
(a−7)pET−FcR3のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
シグナル配列およびポリヒスチジンタグを付加したFcR3のアミノ酸配列を配列番号31に、前記FcR3をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号32に示す。なお配列番号31において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR3のアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。また配列番号31において、Val27Gluのグルタミン酸は43番目、Tyr35Asnのアスパラギンは51番目、Phe75Leuのロイシンは91番目の位置にそれぞれ存在する。
(b)FcR4
実施例3で明らかになったFc結合性タンパク質の安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Val27Glu、Tyr35Asn、Phe75LeuおよびGlu121Glyを選択し、それらの置換を野生型のFc結合性タンパク質に集積したFcR4を作製した。具体的には、FcR2をコードするポリヌクレオチドに対してPhe75LeuおよびGlu121Glyを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR4を作製した。
(b−1)(a−1)と同様の方法でPCR産物m3Fを得た。また実施例3で取得した、Ala71Asp、Phe75LeuおよびGlu121Glyのアミノ酸置換を含んだFc結合性タンパク質(表4)を発現するプラスミドを鋳型とし、配列番号24および配列番号29に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、(a−1)と同様の方法でPCRを行なうことでPCR産物m4Rを得た。
(b−2)(b−1)により得られた2種類のPCR産物(m3F、m4R)を混合後、(a−3)と同様の方法にてPCRを行ない、m3Fとm4Rを連結した。得られたPCR産物をm4pとした。
(b−3)(b−2)で得られたPCR産物m4pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、(a−4)と同様の方法でPCRを行なった。これによりFcR4をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(b−4)(b−3)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌E.coli BL21(DE3)株を形質転換した。
(b−5)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、野生型Fc結合性タンパク質に対して4箇所アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR4をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR4を得た。
(b−6)pET−FcR4のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
シグナル配列およびポリヒスチジンタグを付加したFcR4のアミノ酸配列を配列番号33に、前記FcR4をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号34に示す。なお、配列番号33において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR4のアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。また配列番号33において、Val27Gluのグルタミン酸は43番目、Tyr35Asnのアスパラギンは51番目、Phe75Leuのロイシンは91番目、Glu121Glyのグリシンは137番目の位置にそれぞれ存在する。
(c)FcR5a
実施例3で明らかになったFc結合性タンパク質の安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Val27Glu、Tyr35Asn、Phe75Leu、Asn92SerおよびGlu121Glyを選択し、それらの置換を野生型のFc結合性タンパク質に集積したFcR5aを作製した。具体的には、(b)で作製したFcR4をコードするポリヌクレオチドに対してAsn92Serを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR5aを作製した。
(c−1)(b)で作製した、pET−FcR4を鋳型とし、配列番号22および配列番号35(5’−GAATATCGTTGCCAGACCAGCCTGAGCACC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm5aFとした。
(c−2)(b)で作製したpET−FcR4を鋳型とし、配列番号21および配列番号36(5’−GATCGCTCAGGGTGCTCAGGCTGGTCTGGC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm5aRとした。
(c−3)(c−1)および(c−2)で得られた2種類のPCR産物(m5aF、m5aR)を混合後、(a−3)と同様の方法にてPCRを行ない、m5aFとm5aRを連結した。得られたPCR産物をm5apとした。
(c−4)(c−3)で得られたPCR産物m5apを鋳型とし、配列番号21および配列番号22に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、(a−4)と同様の方法でPCRを行なった。これによりFcR5aをコードするポリヌクレオチドを作製した。
(c−5)(c−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌E.coli BL21(DE3)株を形質転換した。
(c−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、野生型Fc結合性タンパク質に対して5箇所アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR5aをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR5aを得た。
(c−7)pET−FcR5aのヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
シグナル配列およびポリヒスチジンタグを付加したFcR5aのアミノ酸配列を配列番号37に、前記FcR5aをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号38に示す。なお、配列番号37において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR5aのアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。また配列番号37において、Val27Gluのグルタミン酸は43番目、Tyr35Asnのアスパラギンは51番目、Phe75Leuのロイシンは91番目、Asn92Serのセリンは108番目、Glu121Glyのグリシンは137番目の位置にそれぞれ存在する。
(d)FcR5b
実施例3で明らかになったFc結合性タンパク質の安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Val27Glu、Tyr35Asn、Glu54Asp、Phe75LeuおよびGlu121Glyを選択し、それらの置換を野生型のFc結合性タンパク質に集積したFcR5bを作製した。具体的には、(b)で作製したFcR4をコードするポリヌクレオチドに対してGlu54Aspを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR5bを作製した。
(d−1)(b)で作製した、pET−FcR4を鋳型とし、配列番号22および配列番号39(5’−CAGGGCGCGTATAGCCCGGATGATAACAGC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm5bFとした。
(d−2)(b)で作製したpET−FcR4を鋳型とし、配列番号21および配列番号40(5’−CACTGGGTGCTGTTATCATCCGGGCTATAC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm5bRとした。
(d−3)(d−1)および(d−2)で得られた2種類のPCR産物(m5bF、m5bR)を混合後、(a−3)と同様の方法でPCRを行ない、m5bFとm5bRを連結した。得られたPCR産物をm5bpとした。
(d−4)(d−3)で得られたPCR産物m5bpを鋳型とし、配列番号21および配列番号22に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、(a−4)と同様の方法でPCRを行なった。これによりFcR5bをコードするポリヌクレオチドを作製した。
(d−5)(d−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌E.coli BL21(DE3)株を形質転換した。
(d−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、野生型Fc結合性タンパク質に対して5箇所アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR5bをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR5bを得た。
(d−7)pET−FcR5bのヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
シグナル配列およびポリヒスチジンタグを付加したFcR5bのアミノ酸配列を配列番号41に、前記FcR5bをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号42に示す。なお、配列番号41において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR5bのアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。また配列番号41において、Val27Gluのグルタミン酸は43番目、Tyr35Asnのアスパラギンは51番目、Glu54Aspのアスパラギン酸は70番目、Phe75Leuのロイシンは91番目、Glu121Glyのグリシンは137番目の位置にそれぞれ存在する。
(e)FcR6a
実施例3で明らかになったFc結合性タンパク質の安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Val27Glu、Tyr35Asn、Glu54Asp、Phe75Leu、Asn92SerおよびGlu121Glyを選択し、それらの置換を野生型のFc結合性タンパク質に集積したFcR6aを作製した。具体的には、(c)で作製したFcR5aをコードするポリヌクレオチドに対してGlu54Aspを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR6aを作製した。
(e−1)(c)で作製したpET−FcR5aを鋳型とし、配列番号22および配列番号39に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm6aFとした。
(e−2)(b)で作製したpET−FcR4を鋳型とし、配列番号21および配列番号40に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm6aRとした。
(e−3)(e−1)および(e−2)で得られた2種類のPCR産物(m6aF、m6aR)を混合後、(a−3)と同様の方法でPCRを行ない、m6aFとm6aRを連結した。得られたPCR産物をm6apとした。
(e−4)(e−3)で得られたPCR産物m6apを鋳型とし、配列番号21および配列番号22に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、(a−4)と同様の方法でPCRを行なった。これによりFcR6aをコードするポリヌクレオチドを作製した。
(e−5)(e−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌E.coli BL21(DE3)株を形質転換した。
(e−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、野生型Fc結合性タンパク質に対して6箇所アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR6aをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR6aを得た。
(e−7)pET−FcR6aのヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
シグナル配列およびポリヒスチジンタグを付加したFcR6aのアミノ酸配列を配列番号43に、前記FcR6aをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号44に示す。なお、配列番号43において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR6aのアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。また配列番号43において、Val27Gluのグルタミン酸は43番目、Tyr35Asnのアスパラギンは51番目、Glu54Aspのアスパラギン酸は70番目、Phe75Leuのロイシンは91番目、Asn92Serのセリンは108番目、Glu121Glyのグリシンは137番目の位置にそれぞれ存在する。
(f)FcR6b
実施例3で明らかになったFc結合性タンパク質の安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Val27Glu、Tyr35Asn、Glu54Asp、Phe75Leu、Glu120ValおよびGlu121Glyを選択し、それらの置換を野生型のFc結合性タンパク質に集積したFcR6bを作製した。具体的には、(d)で作製したFcR5bをコードするポリヌクレオチドに対してGlu120Valを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR6bを作製した。
(f−1)(d)で作製したpET−FcR5bを鋳型とし、配列番号22および配列番号45(5’−GTGTTCAAAGTGGGGGATCCGATTCATCTG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm6bFとした。
(f−2)(d)で作製したpET−FcR5bを鋳型とし、配列番号21および配列番号46(5’−AATCGGATCCCCCACTTTGAACACCCACCG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm6bRとした。
(f−3)(f−1)および(f−2)で得られた2種類のPCR産物(m6bF、m6bR)を混合後、(a−3)と同様の方法でPCRを行ない、m6bFとm6bRを連結した。得られたPCR産物をm6bpとした。
(f−4)(f−3)で得られたPCR産物m6bpを鋳型とし、配列番号21および配列番号22に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−4)と同様の方法でPCRを行なった。これによりFcR6bをコードするポリヌクレオチドを作製した。
(f−5)(f−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌E.coli BL21(DE3)株を形質転換した。
(f−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、野生型Fc結合性タンパク質に対して6箇所アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR6bをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR6bを得た。
(f−7)pET−FcR6bのヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
シグナル配列およびポリヒスチジンタグを付加したFcR6bのアミノ酸配列を配列番号47に、前記FcR6bをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号48に示す。なお、配列番号47において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR6bのアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。また配列番号47において、Val27Gluのグルタミン酸は43番目、Tyr35Asnのアスパラギンは51番目、Glu54Aspのアスパラギン酸は70番目、Phe75Leuのロイシンは91番目、Glu120Valのバリンは136番目、Glu121Glyのグリシンは137番目の位置にそれぞれ存在する。
(g)FcR7
実施例3で明らかになったFc結合性タンパク質の安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Val27Glu、Tyr35Asn、Glu54Asp、Phe75Leu、Asn92Ser、Glu120ValおよびGlu121Glyを選択し、それらの置換を野生型のFc結合性タンパク質に集積したFcR7を作製した。具体的には、(e)で作製したFcR6aをコードするポリヌクレオチドに対してGlu120Valを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR7を作製した。
(g−1)(e)で作製したpET−FcR6aを鋳型とし、配列番号22および配列番号45に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm7Fとした。
(g−2)(e)で作製したpET−FcR6aを鋳型とし、配列番号21および配列番号46に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm7Rとした。
(g−3)(g−1)および(g−2)で得られた2種類のPCR産物(m7F、m7R)を混合後、(a−3)と同様の方法にてPCRを行ない、m7Fとm7Rを連結した。得られたPCR産物をm7pとした。
(g−4)(g−3)で得られたPCR産物m7pを鋳型とし、配列番号21および配列番号22に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−4)と同様のPCRを行なった。これによりFcR7をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(g−5)(g−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌E.coli BL21(DE3)株を形質転換した。
(g−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、野生型Fc結合性タンパク質に対して7箇所アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR7をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR7を得た。
(g−7)pET−FcR7のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
シグナル配列およびポリヒスチジンタグを付加したFcR7のアミノ酸配列を配列番号49に、前記FcR7をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号50に示す。なお、配列番号49において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR7のアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。また配列番号49において、Val27Gluのグルタミン酸は43番目、Tyr35Asnのアスパラギンは51番目、Glu54Aspのアスパラギン酸は70番目、Phe75Leuのロイシンは91番目、Asn92Serのセリンは108番目、Glu120Valのバリンは136番目、Glu121Glyのグリシンは137番目
の位置にそれぞれ存在する。
実施例5 改良Fc結合性タンパク質の熱安定性評価
(1)実施例1で作製した野生型Fc結合性タンパク質、実施例3で選択した変異型のFc結合性タンパク質(FcR2)、および実施例4で作製した変異型のFc結合性タンパク質(FcR3、FcR4、FcR5a、FcR5b、FcR6a、FcR6b、FcR7)を発現する形質転換体を、それぞれ50μg/mLのカナマイシンを含む3mLの2YT液体培地に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)50μg/mLのカナマイシンを添加した20mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に前培養液を200μL接種し、37℃で好気的に振とう培養を行なった。
(3)培養開始1.5時間後、培養温度を20℃に変更して30分間振とう培養した。その後、終濃度0.01mMとなるようIPTGを添加し、引き続き20℃で一晩、好気的に振とう培養した。
(4)培養終了後、遠心分離により集菌し、BugBuster Protein extraction kit(タカラバイオ社製)を用いてタンパク質抽出液を調製した。
(5)(4)で調製したタンパク質抽出液中の野生型Fc結合性タンパク質および変異型のFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法を用いて測定した。この時、市販のFcγRIIIaの細胞外領域(R&D Systems社:4325−FC−050)を用いて検量線を作製し、濃度測定を行なった。
(6)各タンパク質の濃度が5μg/mLになるよう150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス緩衝液(pH7.4)で希釈した。これを等量に分け、一方はサーマルサイクラー(エッペンドルフ社製)を用いて45℃で10分間加熱処理を行ない、もう一方は熱処理をしなかった。前記熱処理後、または非熱処理のタンパク質の抗体結合活性を実施例3(4)に記載のELISA法によって測定し、熱処理を行なった場合の抗体結合活性を、熱処理を行なわなかったときの抗体結合活性で除することで、残存活性を算出した。
結果を表8に示す。今回評価した変異型のFc結合性タンパク質(FcR2、FcR3、FcR4、FcR5a、FcR5b、FcR6a、FcR6b、FcR7)は、野生型Fc結合性タンパク質と比較し、残存活性が高くなっており、当該変異型のFc結合性タンパク質の熱安定性が向上していることが確認された。
Figure 0006507522
実施例6 改良Fc結合性タンパク質の酸安定性評価
(1)実施例5(1)から(5)と同様の方法で改良Fc結合性タンパク質を調製した。
(2)各タンパク質の濃度が30μg/mLになるよう150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス緩衝液(pH7.4)で希釈した。希釈した各Fc結合性タンパク質60μLと0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)120μLを混合し、30℃で2時間静置した。
(3)実施例3(4)に記載のELISA法によって、グリシン塩酸緩衝液(pH3.0)による酸処理を行なった後のタンパク質の抗体結合活性と、前記酸処理を行なわなかったときのタンパク質の抗体結合活性を測定した。その後、酸処理を行なった場合の抗体結合活性を、酸処理を行なわなかったときの抗体結合活性で除することで、残存活性を算出した。
結果を表9に示す。今回評価した変異型のFc結合性タンパク質(FcR2、FcR3、FcR4、FcR5a、FcR5b、FcR6a、FcR6b、FcR7)は、野生型Fc結合性タンパク質と比較し、残存活性が高くなっており、当該変異型のFc結合性タンパク質の酸安定性が向上していることが確認された。
Figure 0006507522
実施例7 1箇所アミノ酸置換したFc結合性タンパク質の作製
実施例3で明らかになったFc結合性タンパク質の安定性向上に関与するアミノ酸置換のうち、配列番号1の27番目のバリン(Val)、35番目のチロシン(Tyr)および121番目のグルタミン酸(Glu)について、他のアミノ酸に置換したFc結合性タンパク質を、それぞれ下記の方法で作製した。
(A)配列番号1の27番目のバリン(Val)を他のアミノ酸に置換したFc結合性タンパク質の作製
(A−1)実施例1で作製したpET−eFcRを鋳型とし、配列番号24および配列番号51(5’−CTGCCGAAAGCGNNKGTGTTTCTGGAACCG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、実施例4(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物を27pFとした。
(A−2)実施例1で作製したpET−eFcRを鋳型とし、配列番号23および配列番号52(5’−TTCCAGAAACACMNNCGCTTTCGGCAGATC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、実施例4(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物を27pRとした。
(A−3)(A−1)および(A−2)で得られた2種類のPCR産物(27pF、27pR)を混合後、実施例4(a−3)と同様の方法でPCRを行ない、27pFと27pRを連結した。得られたPCR産物を27pとした。
(A−4)(A−3)で得られたPCR産物27pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、実施例4(a−4)と同様の方法でPCRを行なった。これにより配列番号1の27番目のバリンを任意のアミノ酸に置換したFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(A−5)(A−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌E.coli BL21(DE3)株を形質転換した。
(A−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出し、実施例1(5)と同様の方法でヌクレオチド配列解析を行なった。
結果、Val27Gly(V27G)、Val27Lys(V27K)、Val27Thr(V27T)、Val27Ala(V27A)、Val27Trp(V27W)、またはVal27Arg(V27R)のアミノ酸置換が生じたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを得た。
(B)配列番号1の35番目のチロシン(Tyr)を他のアミノ酸に置換したFc結合
性タンパク質の作製
(B−1)実施例1で作製したpET−eFcRを鋳型とし、配列番号24および配列番号53(5’−AACCGCAGTGGNNKCGCGTGCTGGAGAAAG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、実施例4(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物を35pFとした。
(B−2)実施例1で作製したpET−eFcRを鋳型とし、配列番号23および配列番号54(5’−AGCACGCGMNNCCACTGCGGTTCCAGAAAC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、実施例4(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物を35pRとした。
(B−3)(B−1)および(B−2)で得られた2種類のPCR産物(35pF、35pR)を混合後、実施例4(a−3)と同様の方法にてPCRを行ない、35pFと35pRを連結した。得られたPCR産物を35pとした。
(B−4)(B−3)で得られたPCR産物35pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、実施例4(a−4)と同様の方法でPCRを行なった。これにより配列番号1の35番目のチロシンを任意のアミノ酸に置換したFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(B−5)(B−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌E.coli BL21(DE3)株を形質転換した。
(B−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出し、実施例1(5)と同様の方法でヌクレオチド配列解析を行なった。
結果、Tyr35Cys(Y35C)、Tyr35Asp(Y35D)、Tyr35Phe(Y35F)、Tyr35Gly(Y35G)、Tyr35Lys(Y35K)、Tyr35Leu(Y35L)、Tyr35Asn(Y35N)、Tyr35Pro(Y35P)、Tyr35Arg(Y35R)、Tyr35Ser(Y35S)、Tyr35Thr(Y35T)、Tyr35Val(Y35V)、またはTyr35Trp(Y35W)のアミノ酸置換が生じたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを得た。
(C)配列番号1の121番目のグルタミン酸(Glu)を他のアミノ酸に置換したF
c結合性タンパク質の作製
(C−1)実施例1で作製したpET−eFcRを鋳型とし、配列番号24および配列番号55(5’−GTGTTCAAAGAGNNKGATCCGATTCATCTG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、実施例4(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物を121pFとした。
(C−2)実施例1で作製したpET−eFcRを鋳型とし、配列番号23および配列番号56(5’−AATCGGATCMNNCTCTTTGAACACCCACCG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、実施例4の(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物を121pRとした。
(C−3)(C−1)および(C−2)により得られた2種類のPCR産物(121pF、121pR)を混合後、実施例4(a−3)と同様の方法にてPCRを行ない、121pFと121pRを連結した。得られたPCR産物を121pとした。
(C−4)(C−3)で得られたPCR産物121pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして実施例4(a−4)と同様のPCRを行なった。これにより配列番号1の121番目のグルタミン酸が任意のアミノ酸に置換されたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを
作製した。
(C−5)(C−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌E.coli BL21(DE3)株を形質転換した。
(C−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出し、実施例1(5)と同様の方法でヌクレオチド配列解析を行なった。
結果、Glu121Lys(E121K)、Glu121Pro(E121P)、Glu121Arg(E121R)、Glu121Gly(E121G)、Glu121His(E121H)、またはGlu121Val(E121V)のアミノ酸置換が生じたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを得た。
実施例8 1アミノ酸置換Fc結合性タンパク質の抗体結合活性評価
(1)実施例1で作製した野生型Fc結合性タンパク質、および実施例7で作製した1箇所アミノ酸置換したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を、実施例3(1)および(2)と同様の方法でそれぞれ培養を行ない、野生型Fc結合性タンパク質および1アミノ酸置換したFc結合性タンパク質を発現させた。
(2)発現した1アミノ酸置換したFc結合性タンパク質を実施例3(4)に記載のELISA法にて抗体との結合活性を調べた。
結果を図2に示す。配列番号1の27番目のバリンをグリシン(V27G)、リジン(V27K)、スレオニン(V27T)、アラニン(V27A)、アルギニン(V27R)、に置換することで、野生型Fc結合性タンパク質と比較し抗体結合活性が向上した一方、配列番号1の27番目のValがトリプトファン(V27W)へ置換すると、野生型Fc結合性タンパク質と比較し抗体結合活性が低下した。
配列番号1の35番目のチロシンを、アスパラギン酸(Y35D)、フェニルアラニン(Y35F)、グリシン(Y35G)、リジン(Y35K)、ロイシン(Y35L)、アスパラギン(Y35N)、プロリン(Y35P)、セリン(Y35S)、スレオニン(Y35T)、バリン(Y35V)、トリプトファン(Y35W)に置換することで、野生型Fc結合性タンパク質と比較し抗体結合活性が向上した。中でもY35D、Y35G、Y35K、Y35L、Y35N、Y35P、Y35S、Y35T、Y35Wは、野生型Fc結合性タンパク質に比較し大幅に抗体結合活性が向上した。一方、配列番号1の35番目のチロシンを、システイン(Y35C)、アルギニン(Y35R)に置換した場合は、野生型Fc結合性タンパク質とほぼ同等の抗体結合活性であった。
配列番号1の121番目のグルタミン酸を、リジン(E121K)、アルギニン(E121R)、グリシン(E121G)、ヒスチジン(E121H)に置換することで、野生型Fc結合性タンパク質と比較し抗体結合活性が向上した。中でもE121Gは、野生型Fc結合性タンパク質と比較し大幅に抗体結合活性が向上した。一方、配列番号1の121番目のグルタミン酸を、バリン(E121V)に置換した場合は野生型Fc結合性タンパク質とほぼ同等の抗体結合活性であり、プロリン(E121P)に置換した場合は野生型Fc結合性タンパク質と比較し抗体結合活性が低下した。
実施例9 1アミノ酸置換Fc結合性タンパク質の熱安定性評価
実施例8で評価した1アミノ酸置換したFc結合性タンパク質の熱安定性を比較するため、実施例3(3)と同様の方法で熱処理を行ない(45℃、10分間)、残存活性を算出した。
結果を図3に示す。配列番号1の35番目のチロシンを、アスパラギン酸(Y35D)、グリシン(Y35G)、リジン(Y35K)、ロイシン(Y35L)、アスパラギン(Y35N)、プロリン(Y35P)、セリン(Y35S)、スレオニン(Y35T)にそれぞれ置換したFc結合性タンパク質、ならびに配列番号1の121番目のグルタミン酸を、グリシン(E121G)に置換したFc結合性タンパク質は、野生型Fc結合性タンパク質と比較し大幅に熱安定性が向上した。中でもY35N、Y35Pは野生型Fc結合性タンパク質と比較し大幅に熱安定性が向上した。
実施例10 FcR5aの大量調製
(1)実施例4(c)で作製したFcR5aを発現する形質転換体を2Lのバッフルフラスコに入った50μg/mLのカナマイシンを含む400mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)グルコース10g/L、酵母エキス20g/L、リン酸三ナトリウム十二水和物3g/L、リン酸水素二ナトリウム十二水和物9g/L、塩化アンモニウム1g/Lおよび硫酸カナマイシン50mg/Lを含む液体培地1.8Lに、(1)の培養液180mLを接種し、3L発酵槽(バイオット社製)を用いて本培養を行なった。温度30℃、pH6.9から7.1、通気量1VVM、溶存酸素濃度30%飽和濃度の条件に設定し、本培養を開始した。pHの制御には酸として50%リン酸、アルカリとして14%アンモニア水をそれぞれ使用し、溶存酸素の制御は撹拌速度を変化させることで制御し、撹拌回転数は下限500rpm、上限1000rpmに設定した。培養開始後、グルコース濃度が測定できなくなった時点で、流加培地(グルコース248.9g/L、酵母エキス83.3g/L、硫酸マグネシウム七水和物7.2g/L)を溶存酸素(DO)により制御しながら加えた。
(3)菌体量の目安として600nmの吸光度(OD600nm)が約150に達したところで培養温度を25℃に下げ、設定温度に到達したことを確認した後、終濃度が0.5mMになるようIPTGを添加し、引き続き25℃で培養を継続した。
(4)培養開始から約48時間後に培養を停止し、培養液を4℃で8000rpm、20
分間の遠心分離により菌体を回収した。
(5)(4)で回収した菌体の一部を150mMの塩化ナトリウムを含む20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)に5mL/1g(菌体)となるように懸濁し、超音波発生装置(インソネーター201M(商品名)、久保田商事製)を用いて、4℃で約10分間、約150Wの出力で菌体を破砕した。菌体破砕液は4℃で20分間、10000rpmの遠心分離を2回行ない、上清を回収した。
(6)(5)で得られた破砕液に終濃度で20mMとなるようイミダゾールを添加後、あらかじめ150mMの塩化ナトリウムおよび20mMのイミダゾールを含む20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化したNi Sepharose 6 Fast Flow(GEヘルスケア社製)50mLを充填したXK 26/20カラム(GEヘルスケア社製)にアプライした。平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、150mMの塩化ナトリウムおよび0.5Mのイミダゾールを含む20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)を用いてFcR5aを溶出した。
(7)(6)で得られた溶出液を、あらかじめ150mMの塩化ナトリウムを含む20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化したIgGセファロース(GEヘルスケア社製)30mLを充填したHR 16/10カラム(GEヘルスケア社製)にアプライした。平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)でFcR5aを溶出した。なお溶出液は、溶出液量の1/4量の1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)を加えることでpHを中性付近に戻した。
実施例11 FcR5a固定化ゲルの作製
(1)実施例10で調製したFcR5aを、限外ろ過膜(ミリポア社製:アミコンウルトラ−15)を用いて濃縮・緩衝液交換を行ない、150mMの塩化ナトリウムを含む20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)に8.37mg/mLの濃度まで濃縮した。
(2)担体である親水性ビニルポリマー(東ソー社製:トヨパール)の水酸基に1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを反応させてエポキシトヨパールゲルを調製した。
(3)(2)で調製したエポキシトヨパールゲル100μLを入れたスピンカラム(バイオラッド社製)を5本用意し、0.5Mの塩化ナトリウムを含んだ0.1Mのホウ酸緩衝液(pH9.0)0.5mLで3回洗浄した。
(4)(1)で調製したFcR5a溶液0.3mLと0.5Mの塩化ナトリウムを含んだ0.1Mのホウ酸緩衝液(pH9.0)0.45mLとを混合した溶液を、(3)に記載のゲルを充填したスピンカラムにそれぞれ添加し、35℃で3時間振とうした。
(5)ゲルに加えたFcR5a溶液と0.5Mの塩化ナトリウムを含んだ0.1Mのホウ酸緩衝液の混合溶液を回収した後、0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)0.2mLで3回洗浄した。その後、150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)0.5mLで3回洗浄することでpHを中性付近に戻し、FcR5a固定化ゲル0.5mLを調製した。
(5)で回収した溶液、および洗浄液中に含まれるタンパク質濃度を測定し、ゲルに固定化されたFcR5aの量を算出することで固定化率を計算したところ、添加したFcR5aの33.7%がゲルに固定化していた。
実施例12 FcR5a固定化ゲルでの抗体分離
(1)実施例11で作製したFcR5a固定化ゲル0.5mLをHR16/5カラム(GEヘルスケア社製)に充填し、AKTAprime plus(GEヘルスケア社製)につなげた。その後、150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化した。
(2)150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)を0.1mLの流速で流し、150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で1mg/mLに調製したヒトIgG1(Sigma社製:I5154−1MG)溶液0.5mLをアプライし、ヒトIgG1をFcR5a固定化ゲルに吸着させた。その後、20mMの酢酸緩衝液(pH5.0)を流すことで平衡化し、20mMのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)によるpHグラジエントで、吸着したヒトIgG1を溶出した。溶出したヒトIgG1は0.5mLごとにフラクションを回収した。
ヒトIgG1の溶出パターンと回収したフラクションを図4に示す。回収した溶出フラクションのうち、フラクション13(Fr13)およびフラクション14(Fr14)を混合したものをフラクションA(FrA)とし、フラクション16(Fr16)およびフラクション17(Fr17)を混合したものをフラクションB(FrB)とした。
実施例13 分離抗体の糖鎖構造解析
(1)実施例12で使用した精製前のヒトIgG1および溶出フラクション(FrA、FrB)を100℃、10分の熱処理により変性後、グリコアミダーゼA/ペプシンおよびプロナーゼで順次処理し、ゲルろ過法による精製操作を経て糖鎖画分を取得した。
(2)(1)で得られた糖鎖をエバポレーターにて濃縮・乾燥後、酢酸溶媒下、2−アミノピリジン、次いでジメチルアミンボランを順次作用させて蛍光ラベル化糖鎖とし、ゲルろ過法により精製した。
(3)(2)で得られた蛍光ラベル化糖鎖を陰イオン交換カラム(TSKgel DEAE−5PW、φ7.5mm×7.5cm:東ソー社製)にて、中性糖鎖画分とモノシアリル化糖鎖画分に分離した。
(4)(3)で得られた中性糖鎖画分とモノシアリル化糖鎖画分をODSカラムを用いて、個々の糖鎖に単離した。MALDI−TOF−MS分析により単離した糖鎖の分子量情報を取得後、ODSカラムクロマトグラフのリテンションタイムと照らし合わせて糖鎖構造を帰属した。
中性糖鎖の組成比を表10に、モノシアリル化糖鎖の組成比を表11に示す。また、帰属した糖鎖構造(N1からN8ならびにM1およびM2)を図5に示す。表10に示した結果より、糖鎖構造N2およびN7を有した抗体は精製前およびFrBで検出されたが、FrAから検出されなかった。すなわち、前記2種の糖鎖構造(図5のN2およびN7)を持つ抗体は、早く溶出したフラクションであるFrAには検出せず、遅く溶出したフラクションであるFrBで検出されたことから、他の糖鎖構造を有した抗体と比較しFcR5a固定化ゲルへ強く結合することが示された。以上の結果から、本発明の吸着剤の一態様である、FcR5a固定化ゲルは、抗体が有する糖鎖構造の違いにより抗体を分離できることがわかった。
Figure 0006507522
Figure 0006507522
実施例14 FcR5a固定化ゲルでの抗体精製
実施例11で作製したFcR5a固定化ゲルを用いて、ヒトIgG1およびヒトIgG3の精製を行なった。
(1)実施例11と同様の方法でFcR5a固定化ゲル0.2mLを作製した。作製したFcR5a固定化ゲル0.1mLをスピンカラムに充填した。
(2)(1)で作製したFcR5a固定化ゲルを充填したカラムを150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)0.5mLで3回洗浄した。
(3)動物細胞用の培地であるDMEM/F12培地(ライフテクノロジー社製)に10%のウシ胎児血清(FCS)を添加した培地に対し、ヒトIgG1(シグマ社製:I5154−1MG)またはヒトIgG3(シグマ社製:I4639−1MG)を0.3mg/mLとなるように添加することで模擬培養液を調製した。
(4)(2)で洗浄したカラムに(3)で調製した模擬培養液を0.4mL加え、25℃で2時間振とうした。
(5)模擬培養液を取り除き、150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)0.5mLで4回洗浄後、500μLの0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出し、100μLごとにフラクションを回収した。
(6)模擬培養液、溶出フラクションをそれぞれ2×サンプルバッファー(2(w/v)%ドデシル硫酸ナトリウム、6(w/v)%β−メルカプトエタノール、10(w/v)%グリセリンおよび0.005(w/v)%ブロモフェノールブルーを含む50mMのトリス塩酸緩衝液(pH6.8))を添加し加熱処理した。その後、処理したサンプルを5から20%のグラジエントSDS−PAGE用ゲル(アトー社製)を用いた電気泳動にて分離した。なお比較として、模擬培養液に添加したヒトIgG1およびヒトIgG3(濃度:0.2mg/mL)についても同様の処理を行ない、SDS−PAGEで分析した。
ヒトIgG1またはヒトIgG3を含む溶出フラクションのSDS−PAGEによる分析結果を図6に示す。ヒトIgG1を添加した模擬培養液を精製して得られた、ヒトIgG1を含む溶出フラクションは、模擬培養液に添加したヒトIgG1と同様の位置を示しており、かつ模擬培養液に見られるアルブミンのバンドも見られないことからヒトIgG1を高純度に精製していることが確認できる(図6(A))。また、ヒトIgG3を添加した模擬培養液を精製して得られた、ヒトIgG3を含む溶出フラクションも、模擬培養液に添加したヒトIgG3と同様の位置を示しており、かつ模擬培養液に見られるアルブミンのバンドが見られないことからヒトIgG3を高純度に精製していることが確認できる(図6(B))。これらの結果から、本発明の吸着剤の一態様である、FcR5a固定化ゲルは、動物細胞用の培養液からヒトIgG1およびヒトIgG3が精製できることが示された。

Claims (13)

  1. 配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基からなるアミノ酸配列において、以下の(1)から(40)のうち少なくとも(5)のアミノ酸置換が生じているアミノ酸配列を含むヒトFc結合性タンパク質。
    (1)配列番号1の18番目のメチオニンがアルギニンに置換
    (2)配列番号1の27番目のバリンがグルタミン酸に置換
    (3)配列番号1の29番目のフェニルアラニンがロイシンまたはセリンに置換
    (4)配列番号1の30番目のロイシンがグルタミンに置換
    (5)配列番号1の35番目のチロシンがアスパラギンまたはプロリンに置換
    (6)配列番号1の46番目のリジンがイソロイシンまたはスレオニンに置換
    (7)配列番号1の48番目のグルタミンがヒスチジンまたはロイシンに置換
    (8)配列番号1の50番目のアラニンがヒスチジンに置換
    (9)配列番号1の51番目のチロシンがアスパラギン酸またはヒスチジンに置換
    (10)配列番号1の54番目のグルタミン酸がアスパラギン酸またはグリシンに置換
    (11)配列番号1の56番目のアスパラギンがスレオニンに置換
    (12)配列番号1の59番目のグルタミンがアルギニンに置換
    (13)配列番号1の61番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
    (14)配列番号1の64番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
    (15)配列番号1の65番目のセリンがアルギニンに置換
    (16)配列番号1の71番目のアラニンがアスパラギン酸に置換
    (17)配列番号1の75番目のフェニルアラニンがロイシン、セリン、チロシンのいずれかに置換
    (18)配列番号1の77番目のアスパラギン酸がアスパラギンに置換
    (19)配列番号1の78番目のアラニンがセリンに置換
    (20)配列番号1の82番目のアスパラギン酸がグルタミン酸またはバリンに置換
    (21)配列番号1の90番目のグルタミンがアルギニンに置換
    (22)配列番号1の92番目のアスパラギンがセリンに置換
    (23)配列番号1の93番目のロイシンがアルギニンまたはメチオニンに置換
    (24)配列番号1の95番目のスレオニンがアラニンまたはセリンに置換
    (25)配列番号1の110番目のロイシンがグルタミンに置換
    (26)配列番号1の115番目のアルギニンがグルタミンに置換
    (27)配列番号1の116番目のトリプトファンがロイシンに置換
    (28)配列番号1の118番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
    (29)配列番号1の119番目のリジンがグルタミン酸に置換
    (30)配列番号1の120番目のグルタミン酸がバリンに置換
    (31)配列番号1の121番目のグルタミン酸がアスパラギン酸またはグリシンに置換
    (32)配列番号1の151番目のフェニルアラニンがセリンまたはチロシンに置換
    (33)配列番号1の155番目のセリンがスレオニンに置換
    (34)配列番号1の163番目のスレオニンがセリンに置換
    (35)配列番号1の167番目のセリンがグリシンに置換
    (36)配列番号1の169番目のセリンがグリシンに置換
    (37)配列番号1の171番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
    (38)配列番号1の180番目のアスパラギンがリジン、セリン、イソロイシンのいずれかに置換
    (39)配列番号1の185番目のスレオニンがセリンに置換
    (40)配列番号1の192番目のグルタミンがリジンに置換
  2. 配列番号27、配列番号31、配列番号33、配列番号37、配列番号41、配列番号4
    3、配列番号47、配列番号49のいずれかに記載のアミノ酸配列のうち33番目から2
    08番目までのアミノ酸残基を含む、請求項に記載のヒトFc結合性タンパク質。
  3. 配列番号27、配列番号31、配列番号33、配列番号37、配列番号41、配列番号43、配列番号47、配列番号49のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる、請求項に記載のヒトFc結合性タンパク質。
  4. さらに、以下の(41)から(44)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生
    じている、請求項1から3のいずれかに記載のヒトFc結合性タンパク質。
    (41)配列番号1の66番目のロイシンがヒスチジンまたはアルギニンに置換
    (42)配列番号1の147番目のグリシンがアスパラギン酸に置換
    (43)配列番号1の158番目のチロシンがヒスチジンに置換
    (44)配列番号1の176番目のバリンがフェニルアラニンに置換
  5. 請求項1からのいずれかに記載のヒトFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる吸着剤。
  6. 請求項に記載の吸着剤を用いた抗体の精製方法。
  7. 請求項に記載の吸着剤を用いて抗体を分離することで、抗体が有する糖鎖構造の違いを識別する方法。
  8. 請求項に記載の吸着剤を用いた糖鎖の分離方法。
  9. 請求項1からのいずれかに記載のヒトFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  10. 請求項に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  11. 請求項10に記載の発現ベクターで宿主を形質転換して得られる形質転換体。
  12. 宿主が大腸菌である、請求項11に記載の形質転換体。
  13. 請求項11または12に記載の形質転換体を培養することによりヒトFc結合性タンパク質を発現させ、その培養物から発現されたヒトFc結合性タンパク質を回収する、ヒトFc結合性タンパク質の製造方法。
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