JP6848241B2 - Fc結合性タンパク質を用いたIgG1の精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、免疫グロブリンに親和性のあるFc結合性タンパク質を用いた免疫グロブリンの精製方法に関する。より詳しくは、本発明は野生型のFcγRIIIaよりもIgG1への結合性が高いFc結合性タンパク質を固定化した不溶性担体を用いたIgG1の精製方法に関する。
抗体医薬品の糖鎖構造は薬効や安定性に大きく関与するため、抗体医薬品を製造する際に糖鎖構造を制御することは極めて重要である。Fc結合性タンパク質のうちFcγRIIIaは、抗体(免疫グロブリン)の糖鎖構造を認識することが知られており、FcγRIIIaを不溶性担体に固定化して得られる吸着剤を用いることで、抗体を糖鎖構造に基づき分離できる(特許文献1)。したがって、前記吸着剤は、抗体医薬品製造時の工程分析や分取時に有用である。
一方でFcγRIIIaは、他のFc結合性タンパク質であるFcγRIと比較して、IgG1への結合性が低いことが知られており(非特許文献1)、FcγRIIIaを固定化した不溶性担体をIgG1の工程分析に用いると精度の低下等の問題が、IgG1の分取に用いると分取効率の低下等の問題がそれぞれ生じる。したがって、前記担体をIgG1抗体医薬品製造における工程分析や分取目的へ適用するのは困難であった。
特開2015−086216号公報
P.Bruhns等,Blood,16,3716−3725,2009
本発明は、FcγRIIIaを固定化した不溶性担体を用いた、高精度かつ高効率な免疫グロブリン、特にIgG1の精製方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは、FcγRIIIaにおけるIgG1に対する結合性向上に関与したアミノ酸残基を特定し、当該アミノ酸残基の他のアミノ酸残基への置換によりIgG1への結合力を向上させることで、FcγRIIIaを固定化した不溶性担体による、高精度かつ高効率なIgG1の精製を可能にした。
すなわち、本発明は以下の(1)から(3)に記載の態様を包含する。
(1)Fc結合性タンパク質を固定化した不溶性担体を充填したカラムにIgG1を含む溶液を添加して当該IgG1を前記担体に吸着させる工程と、前記担体に吸着したIgG1を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、IgG1の精製方法であって、
前記Fc結合性タンパク質が、配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目から192番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、但し、当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、少なくとも178番目のセリンがアルギニンにアミノ酸置換されたタンパク質である、前記精製方法。
(2)Fc結合性タンパク質が、
配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目から192番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、少なくとも27番目のバリンがグルタミン酸に、29番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、35番目のチロシンがアスパラギンに、48番目のグルタミンがアルギニンに、75番目のフェニルアラニンがロイシンに、92番目のアスパラギンがセリンに、117番目のバリンがグルタミン酸に、121番目のグルタミン酸がグリシンに、171番目のフェニルアラニンがセリンに、178番目のセリンがアルギニンに、それぞれアミノ酸置換されたタンパク質、
又は
配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目から192番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、少なくとも21番目のグルタミン酸がグリシンに、23番目のロイシンがメチオニンに、27番目のバリンがグルタミン酸に、29番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、35番目のチロシンがアスパラギンに、48番目のグルタミンがアルギニンに、75番目のフェニルアラニンがロイシンに、92番目のアスパラギンがセリンに、117番目のバリンがグルタミン酸に、121番目のグルタミン酸がグリシンに、171番目のフェニルアラニンがセリンに、178番目のセリンがアルギニンに、それぞれアミノ酸置換されたタンパク質、である、(1)に記載の精製方法。
(3)Fc結合性タンパク質が、当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、さらに少なくとも68番目のセリンがプロリンにアミノ酸置換されたタンパク質である、(1)又は(2)に記載の精製方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるFc結合性タンパク質は、抗体(免疫グロブリン)のFc領域に結合性を持つタンパク質であり、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるヒトFcγRIIIaの細胞外領域(図1のECの領域)のうち、少なくとも17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含むタンパク質であって、当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において特定位置におけるアミノ酸置換が少なくとも生じたタンパク質である。したがって、本発明に用いるFc結合性タンパク質は、細胞外領域のN末端側にあるシグナルペプチド領域(図1のS)の全てまたは一部を含んでもよいし、細胞外領域のC末端側にある細胞膜貫通領域(図1のTM)および細胞内領域(図1のC)の全てまたは一部を含んでもよい。前記特定位置におけるアミノ酸置換は、具体的には、配列番号1に記載のアミノ酸配列においてSer178Arg(この表記は、配列番号1の178番目のセリンがアルギニンに置換されていることを表す、以下同様)のアミノ酸置換である。なおSer178Argのアミノ酸置換が生じたFc結合性タンパク質に対し、Ser68Proのアミノ酸置換がさらに生じるとIgG1に対する結合性がさらに向上するため、本発明で用いるFc結合性タンパク質として好ましい。
なお本発明で用いるFc結合性タンパク質は、少なくともSer178Arg、好ましくはさらにSer68Proのアミノ酸置換が生じているものであり、抗体結合活性を有する限り、他のアミノ酸置換が生じてもよい。一例として、両アミノ酸の物理的性質と化学的性質またはそのどちらかが類似したアミノ酸間で置換する保守的置換があげられる。保守的置換は、Fc結合性タンパク質に限らず一般に、置換が生じているものと置換が生じていないものとの間でタンパク質の機能が維持されることが当業者において知られている。保守的置換の一例としては、グリシンとアラニン間、アスパラギン酸とグルタミン酸間、セリンとプロリン間、またはグルタミン酸とアラニン間に生じる置換があげられる(タンパク質の構造と機能,メディカル・サイエンス・インターナショナル社,9,2005)。
本発明で用いるFc結合性タンパク質の具体例としては、
配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目から192番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、少なくともVal27Glu、Phe29Ile、Tyr35Asn、Gln48Arg、Phe75Leu、Asn92Ser、Val117Glu、Glu121GlyおよびPhe171Serのアミノ酸置換が生じたFc結合性タンパク質(一例として、配列番号5に記載のアミノ酸配列。なお配列番号5に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までが配列番号1のアミノ酸配列の17番目から192番目に相当する。)に対して、少なくともSer178Arg、好ましくは更にSer68Proのアミノ酸置換が生じたFc結合性タンパク質や、
配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目から192番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、少なくともGlu21Gly、Leu23Met、Val27Glu、Phe29Ile、Tyr35Asn、Gln48Arg、Phe75Leu、Asn92Ser、Val117Glu、Glu121GlyおよびPhe171Serのアミノ酸置換が生じたFc結合性タンパク質(一例として、配列番号8に記載のアミノ酸配列。なお配列番号8に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までが配列番号1のアミノ酸配列の17番目から192番目に相当する。)に対して、少なくともSer178Arg、好ましくは更にSer68Proのアミノ酸置換が生じたFc結合性タンパク質(それぞれ配列番号12のFcR12、配列番号16のFcR13)、
があげられる。
さらに野生型FcγRIIIaには、Leu66His、Leu66Arg、Gly147Asp、Tyr158His、Val176Pheのうち、いずれか1つ以上のアミノ酸置換が生じた変異体が知られているが、前記特定位置におけるアミノ酸置換以外にこれらのアミノ酸置換を含んでいてもよい。
本発明で用いるFc結合性タンパク質は、そのN末端側またはC末端側に、夾雑物質存在下の溶液から分離する際に有用なオリゴペプチドをさらに付加してもよい。前記オリゴペプチドとしては、ポリヒスチジン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等があげられる。また本発明に用いるFc結合性タンパク質をクロマトグラフィー用の支持体等の固相に固定化する際に有用な、システインを含むオリゴペプチドを、本発明のFc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側にさらに付加してもよい。Fc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側に付加するオリゴペプチドの長さは、特に制限はない。前記オリゴペプチドを本発明に用いるFc結合性タンパク質に付加させる際は、前記オリゴペプチドをコードするポリヌクレオチドを作製後、当業者に周知の方法を用いて遺伝子工学的にFc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側に付加させてもよいし、化学的に合成した前記オリゴペプチドを本発明のFc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側に化学的に結合させて付加させてもよい。さらに本発明に用いるFc結合性タンパク質のN末端側には、宿主での効率的な発現を促すためのシグナルペプチドを付加してもよい。宿主が大腸菌の場合における前記シグナルペプチドの例としては、PelB、DsbA、MalE(UniProt No.P0AEX9に記載のアミノ酸配列のうち1番目から26番目までの領域)、TorTなどといったペリプラズムにタンパク質を分泌させるシグナルペプチドを例示することができる(特開2011−097898号公報)。
本発明を行なう際は、前述した特定位置におけるアミノ酸置換が少なくとも生じたFc結合性タンパク質を不溶性担体に結合させた、IgG1吸着剤を作製する必要がある。前記Fc結合性タンパク質に結合させる不溶性担体には特に限定はなく、アガロース、アルギネート(アルギン酸塩)、カラゲナン、キチン、セルロース、デキストリン、デキストラン、デンプンといった多糖質を原料とした担体や、ポリビニルアルコール、ポリメタクレート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリウレタンといった合成高分子を原料とした担体や、シリカなどのセラミックスを原料とした担体が例示できる。中でも、多糖質を原料とした担体や合成高分子を原料とした担体が不溶性担体として好ましい。前記好ましい担体の一例として、トヨパール(東ソー製)等の水酸基を導入したポリメタクリレートゲル、Sepharose(GEヘルスケア製)等のアガロースゲル、セルファイン(JNC製)等のセルロースゲルがあげられる。不溶性担体の形状については特に限定はなく、粒状物または非粒状物、多孔性または非多孔性、いずれであってもよい。
前述したFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化するには、当該不溶性担体にN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)活性化エステル基、エポキシ基、カルボキシル基、マレイミド基、ハロアセチル基、トレシル基、ホルミル基、ハロアセトアミド等の活性基を付与し、当該活性基を介してヒトFc結合性タンパク質と不溶性担体とを共有結合させることで固定化すればよい。活性基を付与した担体は市販の担体をそのまま用いてもよいし、適切な反応条件で担体表面に活性基を導入して調製してもよい。活性基を付与した市販の担体としてはTOYOPEARL AF−Epoxy−650M、TOYOPEARL AF−Tresyl−650M(いずれも東ソー製)、HiTrap NHS−activated HP Columns、NHS−activated Sepharose 4 Fast Flow、Epoxy−activated Sepharose 6B(いずれもGEヘルスケア製)、SulfoLink Coupling Resin(サーモフィッシャーサイエンティフィック製)が例示できる。
一方、担体表面に活性基を導入する方法としては、担体表面に存在する水酸基やエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基等に対して2個以上の活性部位を有する化合物の一方を反応させる方法が例示できる。当該化合物の一例のうち、担体表面の水酸基やアミノ基にエポキシ基を導入する化合物としては、エピクロロヒドリン、エタンジオールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが例示できる。前記化合物により担体表面にエポキシ基を導入した後、担体表面にカルボキシル基を導入する化合物としては、2−メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、4−メルカプト酪酸、6−メルカプト酪酸、グリシン、3−アミノプロピオン酸、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸を例示できる。
担体表面に存在する水酸基やエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基にマレイミド基を導入する化合物としては、N−(ε−マレイミドカプロン酸)ヒドラジド、N−(ε−マレイミドプロピオン酸)ヒドラジド、4−[4−N−マレイミドフェニル]酢酸ヒドラジド、2−アミノマレイミド、3−アミノマレイミド、4−アミノマレイミド、6−アミノマレイミド、1−(4−アミノフェニル)マレイミド、1−(3−アミノフェニル)マレイミド、4−(マレイミド)フェニルイソシアナート、2−マレイミド酢酸、3−マレイミドプロピオン酸、4−マレイミド酪酸、6−マレイミドヘキサン酸、(N−[α―マレイミドアセトキシ]スクシンイミドエステル)、(m−マレイミドベンゾイル)N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、(スクシンイミジル−4−[マレイミドメチル]シクロヘキサンー1−カルボニル−[6−アミノヘキサン酸])、(スクシンイミジル−4−[マレイミドメチル]シクロヘキサンー1−カルボン酸)、(p−マレイミドベンゾイル)N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、(m−マレイミドベンゾイル)N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを例示できる。
担体表面に存在する水酸基やアミノ基にハロアセチル基を導入する化合物としては、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、クロロ酢酸クロリド、ブロモ酢酸クロリド、ブロモ酢酸ブロミド、クロロ酢酸無水物、ブロモ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、2−(ヨードアセトアミド)酢酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、3−(ブロモアセトアミド)プロピオン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、4−(ヨードアセチル)アミノ安息香酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを例示できる。なお担体表面に存在する水酸基やアミノ基にω−アルケニルアルカングリシジルエーテルを反応させた後、ハロゲン化剤でω−アルケニル部位をハロゲン化し活性化する方法も例示できる。ω−アルケニルアルカングリシジルエーテルとしては、アリルグリシジルエーテル、3−ブテニルグリシジルエーテル、4−ペンテニルグリシジルエーテルを例示でき、ハロゲン化剤としてはN−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミドを例示できる。
担体表面に活性基を導入する方法の別の例として、担体表面に存在するカルボキシル基に対して縮合剤と添加剤を用いて活性化基を導入する方法がある。縮合剤としては1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジアミド、カルボニルジイミダゾールを例示できる。また添加剤としてはN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)、4−ニトロフェノール、1−ヒドロキシベンズトリアゾールを例示できる。
前述したFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化する際用いる緩衝液としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、MES(2−Morpholinoethanesulfonic acid)緩衝液、HEPES(4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazineethanesulfonic acid)緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液を例示できる。固定化させるときの反応温度は、5℃から50℃までの温度範囲の中から活性基の反応性やFc結合性タンパク質の安定性を考慮の上、適宜設定すればよく、好ましくは10℃から35℃の範囲である。
前述した方法により得られたIgG1吸着剤を用いて本発明を実施するには、当該IgG1吸着剤を充填したカラムに、ポンプ等の送液手段を用いてIgG1を含む溶液を添加することで、当該吸着剤にIgG1を特異的に吸着させた後、適切な溶出液を当該カラムに添加することで、IgG1を溶出すればよい。なおIgG1を含む溶液は、カラムに添加する前にあらかじめ適切な緩衝液を用いて溶媒置換させるとよい。またIgG1を含む溶液をカラムに添加する前に、適切な緩衝液を用いてカラムを平衡化すると、IgG1をより高純度に分離できるため好ましい。緩衝液としてはリン酸緩衝液等、無機塩を成分とした緩衝液を例示することができる。なお緩衝液のpHは、pH3から10、好ましくはpH5から8である。IgG1吸着剤に吸着したIgG1を溶出させるには、IgG1とリガンド(本発明のFc結合性タンパク質)との相互作用を弱めればよく、具体的には、緩衝液によるpHの低下、カウンターペプチドの添加、温度上昇、塩濃度変化が例示できる。IgG1吸着剤に吸着したIgG1を溶出させるための溶出液の具体例として、IgG1吸着剤にIgG1を吸着させる際に用いた溶液よりも酸性側の緩衝液があげられる。その緩衝液の種類としては酸性側に緩衝能を有するクエン酸緩衝液、グリシン塩酸緩衝液、酢酸緩衝液を例示できる。緩衝液のpHは、IgG1が有する機能(抗原への結合性等)を損なわない範囲で設定すればよく、好ましくはpH2.5から6.0、より好ましくはpH3.0から5.0、さらに好ましくはpH3.3から4.0である。
本発明に用いられるFc結合性タンパク質は、野生型FcγRIIIaと比較し、IgG1に対する結合性が向上している。従って本発明により、FcγRIIIa固定化担体を用いた、IgG1の工程分析における精度やIgG1分取時における精製効率が向上する。また本発明はIgG1を精製する際、溶離液中のIgG1を高濃度に溶離させる濃縮効果も期待できる。
さらに本発明で用いるFc結合性タンパク質は、FcγRIIIaのアミノ酸置換体(変異体)であり、FcγRIIIaを不溶性担体に固定化して得られる吸着剤は糖鎖構造に基づく分離ができる(特開2015−086216号)ことから、本発明は特にIgG1抗体医薬品の工程分析や分取に有用な方法といえる。
ヒトFcγRIIIaの概略図である。図中の数字は配列番号1に記載のアミノ酸配列の番号を示している。図中のSはシグナル配列、ECは細胞外領域、TMは細胞膜貫通領域、Cは細胞内領域を示している。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 Fc結合性タンパク質の作製
WO2015/199154号に記載の方法で作製したFcR9(配列番号5)に対し、以下に示すさらなるアミノ酸置換を行なった。具体的にはFcR9をコードするポリヌクレオチド(配列番号6)を含むプラスミドpET−FcR9(WO2015/199154号)に対し、PCRを用いてアミノ酸の置換を行ない、以下の(a)から(c)に示す3種類のFc結合性タンパク質を作製した。
(a)FcR9に対し、さらにGlu21GlyおよびLeu23Metのアミノ酸置換を行なったFcR11b(配列番号8)
(b)FcR11bに対し、さらにSer178Argのアミノ酸置換を行なったFcR12(配列番号12)
(c)FcR12に対し、さらにSer68Proのアミノ酸置換を行なったFcR13(配列番号16)。
なおFcR9(配列番号5)は、配列番号4に示す野生型FcγRIII細胞外領域を含むFc結合性タンパク質において、43番目のValをGluに(配列番号1では27番目に相当)、45番目のPheをIleに(配列番号1では29番目に相当)、51番目のTyrをAsnに(配列番号1では35番目に相当)、64番目のGlnをArgに(配列番号1では48番目に相当)、91番目のPheをLeuに(配列番号1では75番目に相当)、108番目のAsnをSerに(配列番号1では92番目に相当)、133番目のValをGluに(配列番号1では117番目に相当)、137番目のGluをGlyに(配列番号1では121番目に相当)および187番目のPheをSerに(配列番号1では171番目に相当)のアミノ酸置換が生じたFc結合性タンパク質である。
以下、各Fc結合性タンパク質の作製方法を詳細に説明する。
(a)FcR11b(配列番号8)
FcR9をコードするポリヌクレオチドに対して、配列番号1のGlu21GlyおよびLeu23Metに相当する変異を生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR11bを作製した。
(a−1)前述したpET−FcR9(WO2015/199154号)を鋳型とし、配列番号3(5’−TATGCTAGTTATTGCTCAG−3’)および配列番号7(5’−CTAGCCATGGGCATGCGTACCGGAGATATGCCGAAAGCGGAG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマー(Forward primerおよびReverse primer)として用いた。PCRは、表1に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm11bpとした。
Figure 0006848241
(a−2)(a−1)で得られたm11bpを制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(a−3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR9に対して2箇所(野生型Fc結合性タンパク質に対して11箇所)アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR11bをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR11bを得た。
(a−4)(a−3)で作製したプラスミドpET−FcR11bのうち、FcγRIIIaをコードするポリヌクレオチドおよびその周辺の領域について、チェーンターミネータ法に基づくBig Dye Terminator Cycle Sequencing FS read Reaction kit(アプライドバイオシステムズ製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーABI Prism 3700 DNA analyzer(アプライドバイオシステムズ製)にてヌクレオチド配列を解析した。なお当該解析の際、配列番号2(5’−TAATACGACTCACTATAGGG−3’)または配列番号3(5’−TATGCTAGTTATTGCTCAG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをシークエンス用プライマーとして使用した。
シグナル配列およびポリヒスチジンタグを付加したFcR11bのアミノ酸配列を配列番号8に、前記FcR11bをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号9に示す。なお配列番号8において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR11bのアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。また、配列番号1のGlu21Glyのグリシンは配列番号8の37番目の位置に、配列番号1のLeu23Metのメチオニンは配列番号8の39番目の位置に、それぞれ存在する。
(b)FcR12(配列番号12)
FcR11bをコードするポリヌクレオチドに対して、配列番号1のSer178Argに相当する変異を生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR12を作製した。
(b−1)(a)で作製した、pET−FcR11bを鋳型とし、配列番号2および配列番号10(5’−TGCTCACATTTTTTCTGCCCACCAGCCCAC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマー(Forward primerおよびReverse primer)として用いた。PCRは、表2に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm12Fとした。
Figure 0006848241
(b−2)(a)で作製したpET−FcR11bを鋳型としてPCRを実施した。当該PCRにおけるプライマーは、配列番号3および配列番号11(5’−GTGGGCTGGTGGGCAGAAAAAATGTGAGCA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた他は、(b−1)と同様な方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm12Rとした。
(b−3)(b−1)および(b−2)で得られた2種類のPCR産物(m12F、m12R)を混合後、表3に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、m12Fとm12Rを連結したPCR産物m12pを得た。
Figure 0006848241
(b−4)(b−3)で得られたPCR産物m12pを鋳型とし、配列番号2および配列番号3に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとしてPCRを行なった。PCRは、表4に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なった。これによりFcR11bに1箇所アミノ酸置換を導入したFcR12をコードするポリヌクレオチドを作製した。
Figure 0006848241
(b−5)(b−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(b−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR9に対して3箇所(野生型Fc結合性タンパク質に対して12箇所)アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR12をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR12を得た。
(b−7)pET−FcR12のヌクレオチド配列の解析を、(a−4)と同様の方法で行なった。
シグナル配列およびポリヒスチジンタグを付加したFcR12のアミノ酸配列を配列番号12に、前記FcR12をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号13に示す。なお配列番号12において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR12のアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。また、配列番号1のGlu21Glyのグリシンは配列番号12の37番目の位置に、配列番号1のLeu23Metのメチオニンは配列番号12の39番目の位置に、配列番号1のSer178Argのアルギニンは配列番号12の194番目の位置に、それぞれ存在する。
(c)FcR13(配列番号16)
FcR12をコードするポリヌクレオチドに対して、配列番号1のSer68Proに相当する変異を生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR13を作製した。
(c−1)(b)で作製した、pET−FcR12を鋳型とし、配列番号2および配列番号14(5’−GTAGCTGCTCGCCTGGCTGGGAATCAGGCT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(b−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm13Fとした。
(c−2)(b)で作製したpET−FcR12を鋳型とし、配列番号3および配列番号15(5’−CACAATGAAAGCCTGATTCCCAGCCAGGCG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(b−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm13Rとした。
(c−3)(c−1)および(c−2)で得られた2種類のPCR産物(m13F、m13R)を混合後、(b−3)と同様の方法にてPCRを行ない、m13Fとm13Rを連結した。得られたPCR産物をm13pとした。
(c−4)(c−3)で得られたPCR産物m13pを鋳型とし、配列番号2および配列番号3に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、(b−4)と同様の方法でPCRを行なった。これによりFcR13をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(c−5)(c−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(c−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR9に対して4箇所(野生型Fc結合性タンパク質に対して13箇所)アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR13をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR13を得た。
(c−7)pET−FcR13のヌクレオチド配列の解析を、(a−4)と同様の方法で行なった。
シグナル配列およびポリヒスチジンタグを付加したFcR13のアミノ酸配列を配列番号16に、前記FcR13をコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号17に示す。なお配列番号16において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR13のアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。また、配列番号1のGlu21Glyのグリシンは配列番号16の37番目の位置に、配列番号1のLeu23Metのメチオニンは配列番号16の39番目の位置に、配列番号1のSer68Proのプロリンは配列番号16の84番目の位置に、配列番号1のSer178Argのアルギニンは配列番号16の194番目の位置に、それぞれ存在する。
実施例2 Fc結合性タンパク質とIgG1との結合性評価
(1)実施例1で作製したFc結合性タンパク質(FcR11b、FcR12およびFcR13)を発現する形質転換体を、それぞれ50μg/mLのカナマイシンを含む20mLの2YT液体培地に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)50μg/mLのカナマイシンを添加した1000mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に前培養液を10mL接種し、37℃で好気的に振とう培養を行なった。
(3)培養開始1.5時間後、培養温度を20℃に変更して30分間振とう培養した。その後、終濃度0.01mMとなるようにIPTG(イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド)を添加し、引き続き20℃で一晩、好気的に振とう培養した。
(4)培養終了後、遠心分離により集菌し、緩衝液(150mMのNaClを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4))で懸濁し、超音波破砕した。その後、遠心分離により上清を回収した。
(5)回収した上清は、Ni Sepharose 6 Fast Flow(GEヘルスケア製)を充填したカラムに通液し、洗浄緩衝液(150mMのNaClを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4))で十分量の洗浄を行なった後、溶出緩衝液(150mMのNaClと500mMのイミダゾールを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4))で溶出し、当該溶出画分を回収した。
(6)(5)で回収した溶出画分を、IgG Sepharose 6 Fast Flow(GEヘルスケア製)を充填したカラムに通液し、洗浄緩衝液(150mMのNaClを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4))で十分量の洗浄を行なった後、溶出緩衝液(100mMグリシン緩衝液(pH3.0))で溶出し、当該溶出画分を回収した。
(7)(6)の溶出画分として回収したFc結合性タンパク質とIgG1との結合性評価を表面プラズモン共鳴法を用いて行なった。表面プラズモン共鳴法を用いた結合性の測定において、測定装置としてはBiacore T100(GEヘルスケア製)を、センサーチップとしてはSensor Chip CM5(GEヘルスケア製)を、解析ソフトとしてはBiacore T100 Evaluation Software(GEヘルスケア製)を、それぞれ用いた。
(8)Amine Coupling Kit(GEヘルスケア製)を用いてFc結合性タンパク質を固定化したセンサーチップに対し、IgG1(SIGMA−ALDRICH社製)をHBS−EP(GEヘルスケア製)で希釈した溶液を流すことでセンサグラムを得た。当該センサグラムを基にカーブフィッティングを行なうことで、IgG1に対する結合性を算出した。
IgG1に対する結合性を算出した結果を表5に示す。なお表5において、KD値(アフィニティ結合定数)が低いほど、高いアフィニティ(結合性)を有している。Ser178Argのアミノ酸置換を含むFc結合性タンパク質であるFcR12およびFcR13は、当該置換を含まないFcR11bと比較して、低い解離定数及び低いアフィニティ結合定数を有している。このことから、Fc結合性タンパク質を固定化した不溶性担体を充填したカラムにIgG1を含む溶液を添加して当該IgG1を前記担体に吸着させる工程と前記担体に吸着したIgG1を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む方法でIgG1の精製を行なう際、前記Fc結合性タンパク質として、野生型FcγRIIIa(配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までのアミノ酸残基を少なくとも含むタンパク質、または配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含むタンパク質)に対して配列番号1のSer178Argのアミノ酸置換が少なくとも生じたタンパク質を用いることで、野生型FcγRIIIaをFc結合性タンパク質として用いたときと比較し、IgG1を高精度かつ高効率に精製できることが示唆される。
さらにFcR12とFcR13との比較で、FcR13のアフィニティ結合定数が低い(すなわちIgG1に対する結合性が高い)ことから、不溶性担体に固定化させるFc結合性タンパク質として、前述した野生型FcγRIIIaに対して配列番号1のSer178Argに加え、少なくとも配列番号1のSer68Pheのアミノ酸置換が生じたFc結合性タンパク質を用いると、IgG1をさらに高精度かつ高効率に精製できることが示唆される。
Figure 0006848241

Claims (1)

  1. Fc結合性タンパク質を固定化した不溶性担体を充填したカラムにIgG1を含む溶液を添加して当該IgG1を前記担体に吸着させる工程と、前記担体に吸着したIgG1を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、IgG1の精製方法であって、
    前記Fc結合性タンパク質が、配列番号12または16に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質である、前記精製方法。
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