JP7009913B2 - アミノ酸置換したFc結合性タンパク質 - Google Patents

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本発明は、免疫グロブリンに親和性のあるFc結合性タンパク質に関する。より詳しくは、本発明はヒトFcγRIIIaのうち、特定位置のアミノ酸残基を他の特定のアミノ酸残基に置換することで、遺伝子組換体による生産性が向上したFc結合性タンパク質に関する。
抗体(免疫グロブリン)のFc領域に特異的に結合するタンパク質として、細菌Staphylococcus属由来のProtein AやProtein G、ヒト由来のFc受容体、Fc結合能を有した前記Fc受容体の部分領域等が知られている。
Fc受容体は、体内の免疫機構に関与し、免疫グロブリン分子のFc領域に結合する一群の分子である。個々の分子は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する認識ドメインによって、単一の、または同じグループの免疫グロブリンイソタイプをFc受容体上の認識ドメインによって認識している。これによって、免疫応答においてどのアクセサリー細胞が動因されるかが決まってくる。Fc受容体は、さらにいくつかのサブタイプに分類することができ、IgGに対する受容体であるFcγ受容体、IgEのFc領域に結合するFcε受容体、IgAのFc領域に結合するFcα受容体等がある。また各受容体は更に細かく分類されており、例えばFcγ受容体は、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa、FcγRIIIbの存在が報告されている(非特許文献1)。
Fcγ受容体の中でも、ヒトFcγRIIIaはナチュラルキラー細胞(NK細胞)やマクロファージなどの細胞表面に存在しており、ヒト免疫機構の中でも重要なADCC(抗体依存性細胞傷害)活性に関与している重要な受容体である。また、抗体の糖鎖構造の違いにより、抗体との結合性が異なることが知られている(非特許文献2)。なお、ヒトFcγRIIIaのアミノ酸配列(配列番号1)はGenBank(AAH17865.1)等の公的データベースに公表されている。
一方、抗体の糖鎖構造は、抗体医薬品における薬効や安定性に大きく関与するため、抗体医薬品を製造する際に糖鎖構造を制御することは極めて重要である。抗体の糖鎖構造を認識するFcγRIIIaを不溶性担体に固定化して得られる吸着剤を用いることで、抗体をその糖鎖構造に基づく結合性の違いにより分離できる(特許文献1および2)。このため、前記吸着剤は抗体医薬品製造時の工程分析や分取に有用である。
なおヒトFcγRIIIaには、配列番号1における176番目のアミノ酸がフェニルアラニンであるタイプとバリン(配列番号1の態様)であるタイプの遺伝子多型が存在し、バリンのタイプの方が抗体親和性は高く、フェニルアラニンのタイプの方が抗体親和性は低いことが知られている(非特許文献3および4)。
特開2015-086216号公報 特開2016-169197号公報
Takai.T.,Jpn.J.Clin.Immunol.,28,318-326,2005 C.L.Chen等,ACS Chem. Biol.,12,1335-1345,2017 H.R.Koene等,Blood,90,1109-1114,1997 P.Bruhns等,Blood,16,3716-3725,2009
前述した通りFcγRIIIaは抗体の糖鎖構造を認識することから、FcγRIIIaを不溶性担体に固定化して得られる吸着剤は抗体医薬品製造時の工程分析や分取に有用である。しかしながら、抗体医薬品の工業的製造を前記吸着剤を用いて行なおうとした場合、従来のFcγRIIIaでは遺伝子組換体による生産性が劣っており、コスト面で課題があった。
そこで本発明は、従来のFcγRIIIaと比較し、遺伝子組換体による生産性が向上した、FcγRIIIaアミノ酸置換体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは、配列番号1に示すヒトFcγRIIIaのアミノ酸配列のうち、176番目のアミノ酸残基を他のアミノ酸残基に網羅的に置換した結果、従来のFcγRIIIaよりも遺伝子組換体による生産性が向上したアミノ酸置換体を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]から[12]に記載の態様を包含する。
[1] 以下の(a)、(b)または(c)に記載のFc結合性タンパク質:
(a)配列番号4に記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、少なくとも192番目のバリンがイソロイシン、アラニン、およびチロシンから選択されるいずれかにアミノ酸置換された、タンパク質;
(b) 配列番号4に記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基において少なくとも192番目のバリンがイソロイシン、アラニン、およびチロシンから選択されるいずれかにアミノ酸置換され、さらに1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、抗体結合活性を有するタンパク質;
(c)配列番号4に記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基において少なくとも192番目のバリンがイソロイシン、アラニン、およびチロシンから選択されるいずれかにアミノ酸置換されたアミノ酸配列に対して、90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、抗体結合活性を有するタンパク質。
[2] 配列番号4に記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基において、少なくとも192番目のバリンがイソロイシンにアミノ酸置換された、[1]に記載のFc結合性タンパク質。
[3] 以下の(a)、(b)または(c)に記載のFc結合性タンパク質:
(a)配列番号5に記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、少なくとも192番目のバリンがイソロイシン、アラニン、およびチロシンから選択されるいずれかにアミノ酸置換された、タンパク質;
(b)配列番号5に記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基において少なくとも192番目のバリンがイソロイシン、アラニン、およびチロシンから選択されるいずれかにアミノ酸置換され、さらに1~10個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を含み、かつ、抗体結合活性を有するタンパク質;
(c)配列番号5に記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基において少なくとも192番目のバリンがイソロイシン、アラニン、およびチロシンから選択されるいずれかにアミノ酸置換されたアミノ酸配列に対して、90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、抗体結合活性を有するタンパク質。
[4] 配列番号5に記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基において、少なくとも192番目のバリンがイソロイシンにアミノ酸置換された、[3]に記載のFc結合性タンパク質。
[5] 配列番号9、11、および13から選択されるいずれかに記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸配列を少なくとも含む、[3]に記載のFc結合性タンパク質。
[6] [1]から[5]のいずれかに記載のFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
[7] [6]に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
[8] [7]に記載の組換えベクターで宿主を形質転換して得られる、Fc結合性タンパク質を生産可能な形質転換体。
[9] 宿主が大腸菌である、[8]に記載の形質転換体。
[10] [8]または[9]に記載の形質転換体を培養することによりFc結合性タンパク質を生産する工程と、得られた培養物から生産された前記Fc結合性タンパク質を回収する工程とを含む、Fc結合性タンパク質の製造方法。
[11] [1]から[5]のいずれかに記載のFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる、抗体吸着剤。
[12] [11]に記載の吸着剤を充填したカラムに抗体を含む溶液を添加して当該抗体を前記吸着剤に吸着させる工程と、前記吸着剤に吸着した抗体を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、抗体の分離方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のFc結合性タンパク質は、抗体(免疫グロブリン)のFc領域に結合性を持つヒトFcγRIIIaのアミノ酸置換体である。具体的には、配列番号4に記載のFc結合性タンパク質のアミノ酸配列のうち、33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、少なくともVal192Ile(この表記は、配列番号4の192番目のバリンがイソロイシンに置換されていることを表す、以下同様)、Val192Ala、Val192Tyrのうち、いずれかのアミノ酸置換が生じたタンパク質である。
なお配列番号4に記載のアミノ酸配列のうち、33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸配列は、配列番号1に記載のヒトFcγRIIIaの細胞外領域(図1のECの領域)の一部である、17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸配列と同一の配列である。したがって本発明のFc結合性タンパク質は、配列番号1に記載のヒトFcγRIIIaのアミノ酸配列のうち、17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、少なくとも176番目のバリンをイソロイシン、アラニン、チロシンのいずれかにアミノ酸置換したタンパク質と言い換えることもできる。
また本発明のFc結合性タンパク質は、細胞外領域のN末端側にあるシグナルペプチド領域(配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち1番目から16番目までの領域、図1のS)の全てまたは一部を含んでもよいし、細胞外領域のC末端側(配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち193番目から208番目までの領域)、細胞膜貫通領域(配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち209番目から229番目までの領域、図1のTM)および細胞内領域(配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち230番目から254番目までの領域、図1のC)の全てまたは一部を含んでもよい。
本発明のFc結合性タンパク質は、抗体結合活性を有する限り、配列番号4に記載のFc結合性タンパク質のアミノ酸配列のうち、33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基において、Val192Ile、Val192Ala、およびVal192Tyrから選択されるいずれかのアミノ酸に置換するアミノ酸置換以外に、1若しくは数個の位置での1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加等を含んでいてもよい。前記「1若しくは数個」とは、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置やアミノ酸残基の種類によっても異なるが、具体的には「1若しくは数個」とは、例えば1~50個、1~40個、1~30個、1~20個、1~10個を意味する。上記のアミノ酸の置換、欠失、挿入、または付加等には、遺伝子が由来する微生物の個体差、種の違いに基づく場合などの天然に生じる変異(mutant又はvariant)によって生じるものも含まれる。例えばヒトFcγRIIIaには、Leu82His、Leu82Arg、Gly163Asp、Tyr174Hisのうち、いずれか1つ以上のアミノ酸置換が生じたアミノ酸置換体が知られているが、本発明のFc結合性タンパク質はこれらのアミノ酸置換をさらに含んでいてもよい。また、上記の1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、または付加等の例として、両アミノ酸の物理的性質と化学的性質またはそのどちらかが類似したアミノ酸間で置換する保守的置換があげられる。保守的置換は、Fc結合性タンパク質に限らず一般に、置換が生じているものと置換が生じていないものとの間でタンパク質の機能が維持されることが当業者において知られている。保守的置換の一例としては、グリシンとアラニン間、アスパラギン酸とグルタミン酸間、セリンとプロリン間、またはグルタミン酸とアラニン間に生じる置換があげられる(タンパク質の構造と機能,メディカル・サイエンス・インターナショナル社,9,2005)。本発明のFc結合性タンパク質は、抗体結合活性を有する限り、上記アミノ酸配列(配列番号4に記載のFc結合性タンパク質のアミノ酸配列のうち、33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基において、Val192Ile、Val192Ala、およびVal192Tyrから選択されるいずれかのアミノ酸に置換するアミノ酸置換を生じたアミノ酸配列)全体に対して、例えば、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上の相同性を有するタンパク質であってもよい。
上記1若しくは数個の位置での1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入又は付加等についての記載および相同性についての記載は、後述する「配列番号5に記載のFc結合性タンパク質のアミノ酸配列のうち、33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、少なくともVal192Ile、Val192Ala、およびVal192Tyrのうち、いずれかのアミノ酸置換が生じたタンパク質」においても準用できる。
本発明のFc結合性タンパク質は、そのN末端側またはC末端側に、夾雑物質存在下の溶液から目的の抗体を分離する際に有用なオリゴペプチドをさらに付加してもよい。前記オリゴペプチドとしては、ポリヒスチジン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等があげられる。また本発明のFc結合性タンパク質をクロマトグラフィー用の支持体等の固相に固定化する際に有用な、システインを含むオリゴペプチドを、本発明のFc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側にさらに付加してもよい。Fc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側に付加するオリゴペプチドの長さは、特に制限はない。前記オリゴペプチドを本発明のFc結合性タンパク質に付加させる際は、前記オリゴペプチドをコードするポリヌクレオチドを作製後、当業者に周知の方法を用いて遺伝子工学的にFc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側に付加させてもよいし、化学的に合成した前記オリゴペプチドを本発明のFc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側に化学的に結合させて付加させてもよい。さらに本発明のFc結合性タンパク質のN末端側には、宿主での効率的な発現を促すためのシグナルペプチドを付加してもよい。宿主が大腸菌の場合における前記シグナルペプチドの例としては、PelB、DsbA、MalE(UniProt No.P0AEX9に記載のアミノ酸配列のうち1番目から26番目までの領域)、TorTなどのペリプラズムにタンパク質を分泌させるシグナルペプチドを例示することができる(特開2011-097898号公報)。
本発明のFc結合性タンパク質の好ましい例として、配列番号5に記載のFc結合性タンパク質のアミノ酸配列のうち、33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、少なくともVal192Ile、Val192Ala、およびVal192Tyrのうち、いずれかのアミノ酸置換が生じたタンパク質があげられる。なお配列番号5の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基からなるポリペプチドは、配列番号4の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基からなり、但しVal43Glu、Phe45Ile、Tyr51Asn、Gln64Arg、Phe91Leu、Asn108Ser、Val133Glu、Glu137GlyおよびPhe187Serのアミノ酸置換が生じたポリペプチドである。
前述した本発明のFc結合性タンパク質の好ましい例の一態様として、
(I)配列番号5に記載のFc結合性タンパク質のアミノ酸配列のうち、Val192Ileの置換が生じた配列番号9に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質や、
(II)配列番号5に記載のFc結合性タンパク質のアミノ酸配列のうち、Val192Alaの置換が生じた配列番号11に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質や、
(III)配列番号5に記載のFc結合性タンパク質のアミノ酸配列のうち、Val192Tyrの置換が生じた配列番号13に記載のアミノ酸配列を含むタンパク質、
があげられる。なお配列番号9、11および13に記載のFc結合性タンパク質のうち、1番目のメチオニンから26番目のアラニンまでがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジンから32番目のメチオニンまでがリンカー配列であり、209番目から210番目までのグリシンがリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジンがタグ配列である。
本発明のFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド(以下、単に本発明のポリヌクレオチドとも表記する)の作製方法の一例として、
(i)本発明のFc結合性タンパク質のアミノ酸配列からヌクレオチド配列に変換し、当該ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを人工的に合成する方法や、
(ii)本発明のFc結合性タンパク質の全体または部分配列を含むポリヌクレオチドを直接人工的に、または本発明のFc結合性タンパク質のcDNA等からPCR法といったDNA増幅法を用いて調製し、調製した当該ポリヌクレオチドを適当な方法で連結する方法、が例示できる。
前記(i)の方法において、アミノ酸配列からヌクレオチド配列に変換する際、形質転換させる宿主におけるコドンの使用頻度を考慮して変換するのが好ましい。一例として、宿主が大腸菌(Escherichia coli)の場合は、アルギニン(Arg)ではAGA/AGG/CGG/CGAが、イソロイシン(Ile)ではATAが、ロイシン(Leu)ではCTAが、グリシン(Gly)ではGGAが、プロリン(Pro)ではCCCが、それぞれ使用頻度が少ないため(いわゆるレアコドンであるため)、それらのコドンを避けるように変換すればよい。コドンの使用頻度の解析は公的データベース(例えば、かずさDNA研究所のウェブサイトにあるCodon Usage Databaseなど)を利用することによっても可能である。
FcγRIIIaをコードするポリヌクレオチドに変異を導入することで本発明のポリヌクレオチドを作製する際、エラープローンPCR法を用いることができる。エラープローンPCR法における反応条件は、FcγRIIIaをコードするポリヌクレオチドに所望の変異を導入できる条件であれば特に限定はなく、例えば、基質である4種類のデオキシヌクレオチド(dATP/dTTP/dCTP/dGTP)の濃度を不均一にし、MnClを0.01から10mM(好ましくは0.1から1mM)の濃度でPCR反応液に添加してPCRを行なうことで、ポリヌクレオチドに変異を導入することができる。またエラープローンPCR法以外の変異導入方法としては、Fc結合性タンパク質の全体または部分配列を含むポリヌクレオチドに、変異原となる薬剤を接触・作用させたり、紫外線を照射したりして、ポリヌクレオチドに変異を導入して作製する方法があげられる。当該方法において変異原として使用する薬剤としては、ヒドロキシルアミン、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン、亜硝酸、亜硫酸、ヒドラジン等、当業者が通常用いる変異原性薬剤を用いればよい。
本発明のFc結合性タンパク質を発現させる宿主には特に制限はなく、一例として、動物細胞(CHO細胞、HEK細胞、Hela細胞、COS細胞等)、酵母(Saccharomyces cerevisiae、Pichia pastoris、Hansenula polymorpha、Schizosaccharomyces japonicus、Schizosaccharomyces octosporus、Schizosaccharomyces pombe等)、昆虫細胞(Sf9、Sf21等)、大腸菌(JM109株、BL21(DE3)株、W3110株等)や枯草菌があげられる。なお動物細胞や大腸菌を宿主として用いると生産性の面で好ましく、大腸菌を宿主として用いるとさらに好ましい。
本発明のポリヌクレオチドを用いて宿主を形質転換する場合、本発明のポリヌクレオチドそのものを用いてもよいが、発現ベクター(例えば、原核細胞や真核細胞の形質転換に通常用いるバクテリオファージ、コスミドやプラスミド等)の適切な位置に本発明のポリヌクレオチドを挿入したものを用いると、より好ましい。なお当該発現ベクターは、形質転換する宿主内で安定に存在し複製できるものであれば特に制限はなく、大腸菌を宿主とする場合は、pETプラスミドベクター、pUCプラスミドベクター、pTrcプラスミドベクター、pCDFプラスミドベクター、pBBRプラスミドベクターを例示することができる。また前記適切な位置とは、発現ベクターの複製機能、所望の抗生物質マーカー、伝達性に関わる領域を破壊しない位置を意味する。前記発現ベクターに本発明のポリヌクレオチドを挿入する際は、発現に必要なプロモータといった機能性ポリヌクレオチドに連結される状態で挿入すると好ましい。当該プロモータの例として、宿主が大腸菌の場合は、trpプロモータ、tacプロモータ、trcプロモータ、lacプロモータ、T7プロモータ、recAプロモータ、lppプロモータ、さらにはλファージのλPLプロモータ、λPRプロモータがあげられ、宿主が動物細胞の場合は、SV40プロモーター、CMVプロモーター、CAGプロモーターがあげられる。
前記方法により作製した、本発明のポリヌクレオチドを含む発現ベクター(以下、本発明の発現ベクターとする)を用いて宿主を形質転換するには、当業者が通常用いる方法で行なえばよい。例えば、宿主としてEscherichia属に属する微生物(大腸菌JM109株、大腸菌BL21(DE3)株、大腸菌W3110株等)を選択する場合には、公知の文献(例えば、Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory,256,1992)に記載の方法等により形質転換すればよい。なお宿主が動物細胞である場合にはエレクトロポレーションやリポフェクションを用いればよい。前述した方法で形質転換して得られた形質転換体は、適切な方法でスクリーニングすることにより、本発明のFc結合性タンパク質を発現可能な形質転換体(以下、本発明の形質転換体とする)を取得することができる。
本発明の形質転換体から本発明の発現ベクターを調製するには、形質転換に用いた宿主に適した方法で、本発明の形質転換体から本発明の発現ベクターを抽出し調製すればよい。
例えば、本発明の形質転換体の宿主が大腸菌の場合、形質転換体を培養して得られる培養物からアルカリ抽出法またはQIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)等の市販の抽出キットを用いて調製すればよい。
本発明の形質転換体を培養し、得られた培養物から本発明のFc結合性タンパク質を回収することで、本発明のFc結合性タンパク質を製造することができる。なお本明細書において培養物とは、培養された本発明の形質転換体の細胞そのもののほか、培養に用いた培地も含まれる。本発明のタンパク質製造方法で用いる形質転換体は、対象宿主の培養に適した培地で培養すればよく、宿主が大腸菌の場合は、必要な栄養源を補ったLB(Luria-Bertani)培地が好ましい培地の一例としてあげられる。なお、本発明の発現ベクターの導入の有無により本発明の形質転換体を選択的に増殖させるために、培地に当該ベクターに含まれる薬剤耐性遺伝子に対応した薬剤を添加して培養すると好ましい。例えば、当該ベクターがカナマイシン耐性遺伝子を含んでいる場合は、培地にカナマイシンを添加すればよい。また培地には、炭素、窒素および無機塩供給源の他に、適当な栄養源を添加してもよく、所望により、グルタチオン、システイン、シスタミン、チオグリコレートおよびジチオスレイトールからなる群から選択される一種類以上の還元剤を含んでもよい。さらにグリシンといった前記形質転換体から培養液へのタンパク質分泌を促す試薬を添加してもよく、具体的には、宿主が大腸菌の場合、培地に対してグリシンを2%(w/v)以下で添加すると好ましい。培養温度は宿主が大腸菌の場合、一般に10℃から40℃、好ましくは20℃から37℃、より好ましくは25℃前後であるが、発現させるタンパク質の特性により選択すればよい。培地のpHは宿主が大腸菌の場合、pH6.8からpH7.4、好ましくはpH7.0前後である。また本発明のベクターに誘導性のプロモータが含まれている場合は、本発明のFc結合性タンパク質が良好に発現できるような条件下で誘導をかけると好ましい。誘導剤としてはIPTG(イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド)を例示することができる。宿主が大腸菌の場合、培養液の濁度(600nmにおける吸光度)を測定し、約0.5から1.0となったときに適当量のIPTGを添加後、引き続き培養することで、Fc結合性タンパク質の発現を誘導することができる。IPTGの添加濃度は0.005から1.0mMの範囲から適宜選択すればよいが、0.01から0.5mMの範囲が好ましい。IPTG誘導に関する種々の条件は当該技術分野において周知の条件で行なえばよい。
本発明の形質転換体を培養して得られた培養物から本発明のFc結合性タンパク質を回収するには、本発明の形質転換体における本発明のFc結合性タンパク質の発現形態に適した方法で、当該培養物から分離/精製して本発明のFc結合性タンパク質を回収すればよい。例えば、培養上清に発現する場合は菌体を遠心分離操作によって分離し、得られる培養上清から本発明のFc結合性タンパク質を精製すればよい。また、細胞内(ペリプラズムを含む)に発現する場合には、遠心分離操作により菌体を集めた後、酵素処理剤や界面活性剤等を添加したり、超音波やフレンチプレス等を用いて菌体を破砕して本発明のFc結合性タンパク質を抽出した後、精製すればよい。本発明のFc結合性タンパク質を精製するには、当該技術分野において公知の方法を用いればよく、一例として液体クロマトグラフィーを用いた分離/精製があげられる。液体クロマトグラフィーには、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等があり、これらのクロマトグラフィーを組み合わせて精製操作を行なうことにより、本発明のFc結合性タンパク質を高純度に調製することができる。
得られた本発明のFc結合性タンパク質のIgGに対する結合活性を測定する方法としては、例えばIgGに対する結合活性をELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)法や表面プラズモン共鳴法などを用いて測定すればよい。結合活性の測定に使用するIgGは、ヒトFc結合性タンパク質の改変型を用いる場合はヒトIgGが好ましい。
本発明のFc結合性タンパク質を用いて抗体の分離・分析を行なう際は、前述した本発明のFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化させた、抗体吸着剤を作製する必要がある。なお本明細書における抗体の分離とは、夾雑物質共存下の溶液からの抗体の分離に限らず、構造・性質・活性等に基づく抗体間の分離も含まれる。前記Fc結合性タンパク質に固定化させる不溶性担体には特に限定はなく、アガロース、アルギネート(アルギン酸塩)、カラゲナン、キチン、セルロース、デキストリン、デキストラン、デンプン等の多糖質を原料とした担体や、ポリビニルアルコール、ポリメタクレート、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリウレタン等の合成高分子を原料とした担体や、シリカ等のセラミックスを原料とした担体が例示できる。中でも、多糖質を原料とした担体や合成高分子を原料とした担体が不溶性担体として好ましい。前記好ましい担体の一例として、トヨパール(東ソー製)等の水酸基を導入したポリメタクリレートゲル、Sepharose(GEヘルスケア製)等のアガロースゲル、セルファイン(JNC製)等のセルロースゲルがあげられる。不溶性担体の形状については特に限定はなく、粒状物または非粒状物、多孔性または非多孔性、いずれであってもよい。
本発明のFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化するには、当該不溶性担体にN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)活性化エステル基、エポキシ基、カルボキシル基、マレイミド基、ハロアセチル基、トレシル基、ホルミル基、ハロアセトアミド等の活性基を付与し、当該活性基を介して本発明のFc結合性タンパク質と不溶性担体とを共有結合させることで固定化すればよい。活性基を付与した担体は市販の担体をそのまま用いてもよいし、適切な反応条件で担体表面に活性基を導入して調製してもよい。活性基を付与した市販の担体としてはTOYOPEARL AF-Epoxy-650M、TOYOPEARL AF-Tresyl-650M(いずれも東ソー製)、HiTrap NHS-activated HP Columns、NHS-activated Sepharose 4 Fast Flow、Epoxy-activated Sepharose 6B(いずれもGEヘルスケア製)、SulfoLink Coupling Resin(サーモフィッシャーサイエンティフィック製)が例示できる。
一方、担体表面に活性基を導入する方法としては、担体表面に存在する水酸基やエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基等に対して2個以上の活性部位を有する化合物の一方を反応させる方法が例示できる。当該化合物の一例のうち、担体表面の水酸基やアミノ基にエポキシ基を導入する化合物としては、エピクロロヒドリン、エタンジオールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが例示できる。前記化合物により担体表面にエポキシ基を導入した後、担体表面にカルボキシル基を導入する化合物としては、2-メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸、4-メルカプト酪酸、6-メルカプト酪酸、グリシン、3-アミノプロピオン酸、4-アミノ酪酸、6-アミノヘキサン酸を例示できる。
担体表面に存在する水酸基やエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基にマレイミド基を導入する化合物としては、N-(ε-マレイミドカプロン酸)ヒドラジド、N-(ε-マレイミドプロピオン酸)ヒドラジド、4-[4-N-マレイミドフェニル]酢酸ヒドラジド、2-アミノマレイミド、3-アミノマレイミド、4-アミノマレイミド、6-アミノマレイミド、1-(4-アミノフェニル)マレイミド、1-(3-アミノフェニル)マレイミド、4-(マレイミド)フェニルイソシアナート、2-マレイミド酢酸、3-マレイミドプロピオン酸、4-マレイミド酪酸、6-マレイミドヘキサン酸、N-(α-マレイミドアセトキシ)スクシンイミドエステル、(m-マレイミドベンゾイル)N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スクシンイミジル-4-(マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボニル-(6-アミノヘキサン酸)、スクシンイミジル-4-(マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、(p-マレイミドベンゾイル)N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、(m-マレイミドベンゾイル)N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを例示できる。
担体表面に存在する水酸基やアミノ基にハロアセチル基を導入する化合物としては、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、クロロ酢酸クロリド、ブロモ酢酸クロリド、ブロモ酢酸ブロミド、クロロ酢酸無水物、ブロモ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、2-(ヨードアセトアミド)酢酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、3-(ブロモアセトアミド)プロピオン酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、4-(ヨードアセチル)アミノ安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを例示できる。なお担体表面に存在する水酸基やアミノ基にω-アルケニルアルカングリシジルエーテルを反応させた後、ハロゲン化剤でω-アルケニル部位をハロゲン化し活性化する方法も例示できる。ω-アルケニルアルカングリシジルエーテルとしては、アリルグリシジルエーテル、3-ブテニルグリシジルエーテル、4-ペンテニルグリシジルエーテルを例示でき、ハロゲン化剤としてはN-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミドを例示できる。
担体表面に活性基を導入する方法の別の例として、担体表面に存在するカルボキシル基に対して縮合剤と添加剤を用いて活性化基を導入する方法がある。縮合剤としては1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジアミド、カルボニルジイミダゾールを例示できる。また添加剤としてはN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)、4-ニトロフェノール、1-ヒドロキシベンズトリアゾールを例示できる。
本発明のFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化する際用いる緩衝液としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid)緩衝液、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液を例示できる。固定化させるときの反応温度は、5℃から50℃までの温度範囲の中から活性基の反応性やFc結合性タンパク質の安定性を考慮の上、適宜設定すればよく、好ましくは10℃から35℃の範囲である。
前述した方法により得られた抗体吸着剤を用いて本発明の分離方法を実施するには、当該抗体吸着剤を充填したカラムに、ポンプ等の送液手段を用いて抗体を含む溶液を添加することで、当該吸着剤に抗体を特異的に吸着させた後、適切な溶出液を当該カラムに添加することで、抗体を溶出すればよい。なお抗体を含む溶液は、カラムに添加する前にあらかじめ適切な緩衝液を用いて溶媒置換させるとよい。また抗体を含む溶液をカラムに添加する前に、適切な緩衝液を用いてカラムを平衡化すると、抗体をより高純度に分離できるため好ましい。平衡化に用いる緩衝液(平衡化液)としてはリン酸緩衝液、酢酸緩衝液、MES緩衝液が例示でき、さらに前記緩衝液に、10mMから100mMの塩化ナトリウム等の無機塩を添加してもよい。抗体吸着剤に吸着した抗体を溶出させるには、抗体とリガンド(本発明のFc結合性タンパク質)との相互作用を弱めればよく、具体的には、緩衝液によるpHの低下、カウンターペプチドの添加、温度上昇、塩濃度変化が例示できる。抗体吸着剤に吸着した抗体を溶出させるための溶出液の具体例として、抗体吸着剤に抗体を吸着させる際に用いた溶液よりも酸性側の緩衝液があげられる。その緩衝液の種類としては酸性側に緩衝能を有するクエン酸緩衝液、グリシン塩酸緩衝液、酢酸緩衝液を例示できる。緩衝液のpHは、抗体が有する機能(抗原への結合性等)を損なわない範囲で設定すればよい。
さらに、溶出された抗体が含まれる画分を分取することができ、得られた画分から抗体を得ることができる。分取は常法により行ってよい。具体的には、例えば、一定の時間ごとや、一定の容量ごとに回収容器を交換する方法や、溶出液のクロマトグラムの形状に合わせて回収容器を換える方法や、オートサンプラー等の自動フラクションコレクター等により画分の分取をすることが挙げられる。
本発明は、ヒトFcγRIIIaのうち、特定位置のアミノ酸残基を他の特定のアミノ酸残基に置換することで、遺伝子組換体による生産性を向上させることができる。
なお本発明のFc結合性タンパク質は、従来のFcγIIIaと同等の抗体への親和性を有している。そのため、当該タンパク質を不溶性担体に固定して得られる抗体吸着剤は、抗体医薬品の工業的製造における工程分析および分取用途に有用といえる。
ヒトFcγRIIIaの概略図である。図中の数字は配列番号1に記載のアミノ酸配列の番号を示している。図中のSはシグナル配列、ECは細胞外領域、TMは細胞膜貫通領域、Cは細胞内領域を示している。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 FcR9アミノ酸置換体の作製
特開2016-169197号公報(特許文献2)に記載の方法で作製したFc結合性タンパク質FcR9(配列番号5)に対し、192番目(配列番号1では176番目に相当)のアミノ酸残基を他のアミノ酸へ置換することの有用性を確認するため、以下に示すアミノ酸置換を行なった。具体的にはFcR9をコードするポリヌクレオチド(配列番号6)を含むプラスミドpET-FcR9(特開2016-169197号公報)に対し、PCRを用いてアミノ酸の置換を行ない、FcR9(配列番号5)のうち192番目のバリンを他のアミノ酸に置換したFc結合性タンパク質を作製した。なおFcR9(配列番号5)は、配列番号4に示すヒトFcγRIII細胞外領域を含むFc結合性タンパク質において、43番目(配列番号1では27番目に相当)のバリンをグルタミン酸に、45番目(配列番号1では29番目に相当)のフェニルアラニンをイソロイシンに、51番目(配列番号1では35番目に相当)のチロシンをアスパラギンに、64番目(配列番号1では48番目に相当)のグルタミンをアルギニンに、91番目(配列番号1では75番目に相当)のフェニルアラニンをロイシンに、108番目(配列番号1では92番目に相当)のアスパラギンをセリンに、133番目(配列番号1では117番目に相当)のバリンをグルタミン酸に、137番目(配列番号1では121番目に相当)のグルタミン酸をグリシンに、および187番目(配列番号1では171番目に相当)のフェニルアラニンをセリンに、それぞれアミノ酸置換されたFc結合性タンパク質である。
(1)鋳型DNAとして特開2016-169197号公報に記載の方法で作製したFcR9(配列番号5)をコードするポリヌクレオチド(配列番号6)を含むプラスミドpET-FcR9(特開2016-169197号公報)を、フォワードプライマーとして配列番号2(5’-TAATACGACTCACTATAGGG-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして配列番号7(5’-CATTTTTGCTGCCMNNCAGCCCACGGCAGG-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いて、表1に示す組成からなる反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、50℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することでPCRを行なった。得られたPCR産物をV192p1とした。
Figure 0007009913000001
(2)フォワードプライマーとして配列番号8(5’-CCTGCCGTGGGCTGNNKGGCAGCAAAAATG-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして配列番号3(5’-TATGCTAGTTATTGCTCAG-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いた他は(1)と同様な方法でPCRを行ない、得られたPCR産物をV192p2とした。
(3)PCR産物として(1)で得られたV192p1と(2)で得られたV192p2との混合物を用いて、表2に示す組成からなる反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、V192p1とV192p2を連結したPCR産物V192pを得た。
Figure 0007009913000002
(4)PCR産物として(3)で得られたV192pを、フォワードプライマーとして配列番号2に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、リバースプライマーとして配列番号3に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いて、表3に示す組成からなる反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なうPCRを行ない、FcR9(配列番号5)の192番目のバリンを任意のアミノ酸に置換したFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを得た。得られたポリヌクレオチドをV192p3とした。
Figure 0007009913000003
(5)(4)で得られたV192p3を精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011-206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出した。
(7)得られたプラスミドのうちFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドおよびその周辺の領域について、チェーンターミネータ法に基づくBigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit(ライフテクノロジーズ製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーApplied Biosystems 3130 Genetic Analyzer(ライフテクノロジーズ製)にてヌクレオチド配列を解析した。なお当該解析の際、配列番号2または配列番号3に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをシークエンス用プライマーとして使用した。
配列解析の結果、Fc結合性タンパク質FcR9(配列番号5)の192番目のバリンがアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンのいずれかに置換されたFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を得た。
実施例2 Fc結合性タンパク質のIgGに対する結合活性測定
(1)実施例1で得た形質転換体のうち、FcR9(配列番号5)の192番目(配列番号1では176番目)のアミノ酸残基をイソロイシン(以下、Val192Ileとも表記)、アラニン(以下、Val192Alaとも表記)またはチロシン(以下、Val192Tyrとも表記)に置換したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を、それぞれ50μg/mLのカナマイシンを含む2mLの2YT液体培地に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)50μg/mLのカナマイシンを添加した20mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に前培養液を0.2mL接種し、37℃で好気的に振とう培養を行なった。
(3)培養開始1.5時間後、培養温度を20℃に変更して30分間振とう培養した。その後、終濃度0.01mMとなるようにIPTG(イソプロピル-β-チオガラクトピラノシド)を添加し、引き続き20℃で一晩、好気的に振とう培養した。
(4)培養終了後、遠心分離により集菌し、BugBuster Protein extraction kit(タカラバイオ製)を用いてタンパク質抽出液を調製した。
(5)Fc結合性タンパク質の抗体結合活性を、下記に示すELISA法にて測定した。
(5-1)ヒト抗体であるガンマグロブリン製剤(化学及血清療法研究所製)を、96穴マイクロプレートのウェルに1μg/wellで添加して固定化(4℃で一晩)後、2%(w/v)のSKIM MILK(BD製)および150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)をウェルに添加することでブロッキングした。
(5-2)洗浄緩衝液(0.05%(w/v)のTween 20、150mMのNaClを含む20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.4))で洗浄後、抗体結合活性を評価するFc結合性タンパク質を含む溶液を添加し、Fc結合性タンパク質と固定化ガンマグロブリンとを反応させた(30℃で1時間)。
(5-3)反応終了後、前記洗浄緩衝液で洗浄し、100ng/mLに希釈したAnti-6His抗体(Bethyl Laboratories製)を100μL/wellで添加した。
(5-4)30℃で1時間反応させ、前記洗浄緩衝液で洗浄した後、TMB Peroxidase Substrate(KPL製)を50μL/wellで添加した。1Mのリン酸を50μL/wellで添加することで発色を止め、マイクロプレートリーダー(テカン製)にて450nmの吸光度を測定した。
(6)(5)の方法で得られたFc結合性タンパク質のIgGに対する結合活性よりFc結合性タンパク質の発現量を算出した。
結果を表4に示す。Val192Ileのアミノ酸置換を含むFc結合性タンパク質であるFcR9_I(配列番号9)、Val192Alaのアミノ酸置換を含むFc結合性タンパク質であるFcR9_A(配列番号11)、およびVal192Tyrのアミノ酸置換を含むFc結合性タンパク質であるFcR9_Y(配列番号13)を発現する形質転換体における培養液1LあたりのFc結合性タンパク質発現量はそれぞれ、130.6mg、21.7mgおよび14.6mgとなった。
本実施例で検討したFc結合性タンパク質であるFcR9_Iのアミノ酸配列を配列番号9に、前記FcR9_Iをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号10にそれぞれ示す。なお配列番号9において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR9(配列番号5)の33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までのアミノ酸配列においてVal192Ileのアミノ酸置換が生じたポリペプチドであり、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。また、Val192Ileのイソロイシンは配列番号9では192番目の位置に存在する。
本実施例で検討したFc結合性タンパク質であるFcR9_Aのアミノ酸配列を配列番号11に、前記FcR9_Aをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号12に示す。なお配列番号11は、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR9(配列番号5)の33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までのアミノ酸配列においてVal192Alaのアミノ酸置換が生じたポリペプチドである他は、配列番号9と同じ配列である。また、Val192Alaのアラニンは配列番号11では192番目の位置に存在する。
本実施例で検討したFc結合性タンパク質であるFcR9_Yのアミノ酸配列を配列番号13に、前記FcR9_Yをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号14に示す。なお配列番号13は、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR9(配列番号5)の33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までのアミノ酸配列においてVal192Tyrのアミノ酸置換が生じたポリペプチドである他は、配列番号9と同じ配列である。また、Val192Tyrのチロシンは配列番号13では192番目の位置に存在する。
Figure 0007009913000004
比較例1
形質転換体として、特開2016-169197号公報(特許文献2)で開示のFc結合性タンパク質FcR9(配列番号5)を発現する形質転換体を用いたこと以外は実施例2と同様に行なった。
結果を表4に示す。培養液1LあたりのFc結合性タンパク質の発現量は1.4mgとなった。以上の結果から、FcR9にVal192Ile、Val192Ile、Val192Tyrのいずれかのアミノ酸置換を導入したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体は、FcR9を発現する形質転換体と比較し、発現量が大幅に向上していることがわかる。
比較例2
形質転換体として、FcR9(配列番号5)の192番目(配列番号1では176番目)のアミノ酸残基をフェニルアラニン(以下、Val192Pheとも表記)、アルギニン(以下、Val192Argとも表記)、ロイシン(以下、Val192Leuとも表記)、アスパラギン(以下、Val192Asnとも表記)、アスパラギン酸(以下、Val192Aspとも表記)、システイン(以下、Val192Cysとも表記)、グルタミン(以下、Val192Glnとも表記)、グルタミン酸(以下、Val192Gluとも表記)、グリシン(以下、Val192Glyとも表記)、ヒスチジン(以下、Val192Hisとも表記)、リジン(以下、Val192Lysとも表記)、メチオニン(以下、Val192Metとも表記)、プロリン(以下、Val192Proとも表記)、セリン(以下、Val192Serとも表記)、スレオニン(以下、Val192Thrとも表記)またはトリプトファン(以下、Val192Trpとも表記)に置換したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を用いたこと以外は実施例2と同様に行なった。
結果を表4に示す。いずれも培養液1LあたりのFc結合性タンパク質の発現量はゼロまたは1mg未満であった。
実施例3 Fc結合性タンパク質とIgG1との結合親和性評価
(1)実施例1で得た形質転換体のうち、FcR9_I(配列番号9)またはFcR_A(配列番号11)を発現する形質転換体を、それぞれ50μg/mLのカナマイシンを含む100mLの2YT液体培地に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)50μg/mLのカナマイシンを添加した1000mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に前培養液を10mL接種し、37℃で好気的に振とう培養を行なった。
(3)培養開始1.5時間後、培養温度を20℃に変更して30分間振とう培養した。その後、終濃度0.01mMとなるようにIPTGを添加し、引き続き20℃で一晩、好気的に振とう培養した。
(4)培養終了後、遠心分離により集菌し、緩衝液(150mMのNaClを含む20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.4))で懸濁し、超音波破砕した。その後、遠心分離により上清を回収した。
(5)回収した上清は、Ni Sepharose 6 Fast Flow(GEヘルスケア製)を充填したカラムに通液し、洗浄緩衝液(150mMのNaClを含む20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.4))で十分量の洗浄を行なった後、溶出緩衝液(150mMのNaClと500mMのイミダゾールを含む20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.4))で溶出し、当該溶出画分を回収した。
(6)(5)で回収した溶出画分を、IgG Sepharose 6 Fast Flow(GEヘルスケア製)を充填したカラムに通液し、洗浄緩衝液(150mMのNaClを含む20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.4))で十分量の洗浄を行なった後、溶出緩衝液(100mMグリシン緩衝液(pH3.0))で溶出し、当該溶出画分を回収した。
(7)(6)の溶出画分として回収したFc結合性タンパク質とIgG1との結合性評価を表面プラズモン共鳴法を用いて行なった。表面プラズモン共鳴法を用いた結合性の測定において、測定装置としてはBiacore T100(GEヘルスケア製)を、センサーチップとしてはSensor Chip CM5(GEヘルスケア製)を、解析ソフトとしてはBiacore T100 Evaluation Software(GEヘルスケア製)を、それぞれ用いた。
(8)Amine Coupling Kit(GEヘルスケア製)を用いてFc結合性タンパク質を固定化したセンサーチップに対し、IgG1(SIGMA-ALDRICH製)をHBS-EP(GEヘルスケア製)で希釈した溶液を流すことでセンサグラムを得た。当該センサグラムを基にカーブフィッティングを行なうことで、IgG1に対する結合性を算出した。
IgG1に対する親和性を算出した結果を表5に示す。なお表5において、K値(解離定数)が低いほど、高いアフィニティ(親和性)を有している。FcR9_I(配列番号9)およびFcR9_A(配列番号11)のK値は、それぞれ6.0×10-8Mおよび3.6×10-8Mとなった。
比較例3
形質転換体として、特開2016-169197号公報(特許文献2)で開示のFc結合性タンパク質FcR9(配列番号5)を発現する形質転換体を用いたこと以外は実施例3と同様に行なった。
IgG1に対する親和性を算出した結果を表5に示す。FcR9のK値は7.7×10-8Mであり、FcR9_I(配列番号9)およびFcR9_A(配列番号11)と同等の親和性であった。このことから本発明のFc結合性タンパク質の一態様である、FcR9_IおよびFcR9_Aは、FcR9と同様、不溶性担体に固定化することで抗体医薬品製造における工程分析および分取のための抗体吸着剤として使用可能であることが示唆される。
Figure 0007009913000005
比較例4
形質転換体として、FcR9(配列番号5)の192番目(配列番号1では176番目)のバリンをフェニルアラニンに置換したFc結合性タンパク質(FcR_F)を発現する形質転換体を用いたこと以外は実施例3と同様に行なった。
IgG1に対する親和性を算出した結果を表5に示す。FcR9_FのK値は、3.3×10-6Mとなり、本発明のFc結合性タンパク質であるFcR9_I(配列番号99)およびFcR_A(配列番号11)ならびにFcR9(配列番号5)と比較し、親和性が低いことを確認した。

Claims (10)

  1. 配列番号5に記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を含み、但し当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、192番目のバリンがイソロイシン、アラニン、およびチロシンから選択されるいずれかにアミノ酸置換された、Fc結合性タンパク質。
  2. 配列番号5に記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基において、192番目のバリンがイソロイシンにアミノ酸置換された、請求項1に記載のFc結合性タンパク質。
  3. 配列番号9、11、および13から選択されるいずれかに記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸配列から成る、請求項に記載のFc結合性タンパク質。
  4. 請求項1からのいずれかに記載のFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド 。
  5. 請求項に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  6. 請求項に記載の組換えベクターで宿主を形質転換して得られる、Fc結合性タンパク質を生産可能な形質転換体。
  7. 宿主が大腸菌である、請求項に記載の形質転換体。
  8. 請求項またはに記載の形質転換体を培養することによりFc結合性タンパク質を生産する工程と、得られた培養物から生産された前記Fc結合性タンパク質を回収する工程とを含む、Fc結合性タンパク質の製造方法。
  9. 請求項1からのいずれかに記載のFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる、抗体吸着剤。
  10. 請求項に記載の吸着剤を充填したカラムに抗体を含む溶液を添加して当該抗体を前記吸着剤に吸着させる工程と、前記吸着剤に吸着した抗体を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、抗体の分離方法。
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