JP7404689B2 - Fc結合性タンパク質を固定化した抗体吸着剤、およびそれを用いた抗体分離法 - Google Patents

Fc結合性タンパク質を固定化した抗体吸着剤、およびそれを用いた抗体分離法 Download PDF

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Description

本発明は、Fc結合性タンパク質を固定化した抗体吸着剤、およびそれを用いた抗体分離法に関する。より詳しくは、本発明は、前記タンパク質を固定化させる担体を変更することで抗体吸着量が向上した吸着剤、およびそれを用いた抗体分離法に関する。
抗体医薬品の糖鎖構造は薬効や安定性に大きく関与する。そのため、抗体医薬品を製造する際、糖鎖構造の制御は極めて重要である。
Fc結合性タンパク質のうちFcγRIIIaは、抗体(免疫グロブリン)の糖鎖構造を認識することが知られており、FcγRIIIaをアフィニティリガンドとして不溶性担体に固定化した吸着剤を用いることで、抗体を糖鎖構造に基づき分離できる(特許文献1)。したがって、前記吸着剤は、抗体医薬品製造時の工程分析に有用である。また、FcγRIIIaのうち細胞外領域(具体的には、配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち17番目から192番目までの領域)中の特定位置にあるアミノ酸残基を他の特定のアミノ酸残基に置換することで、アフィニティリガンドとして必要な、熱安定性、酸安定性、アルカリ安定性を向上させている(特許文献1から3)。
しかしながら、FcγRIIIaまたは前述したアミノ酸置換体を不溶性担体に固定化して得られる吸着剤を、糖鎖構造に基づく抗体の分取目的に適用しようとしたところ、抗体の吸着量が不十分であり、前記吸着剤を工業的な抗体医薬品の製造における抗体の分取目的に適用するのは困難であった。
特開2015-086216号公報 特開2016-169197号公報 特開2017-118871号公報
本発明の課題は、抗体と特異的に結合可能なアフィニティリガンドを不溶性担体に固定化して得られる抗体吸着剤であって、抗体の分取目的にも利用可能な、抗体吸着量の高い吸着剤を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討した結果、アフィニティリガンドであるFc結合性タンパク質を固定化させる不溶性担体を最適化することで、従来よりも抗体吸着量が向上した抗体吸着剤を得ることができた。具体的には、従来の抗体吸着剤において不溶性担体として用いていた非多孔質粒子に替え、粒子径の小さな多孔質粒子を用いることで、非多孔質粒子を不溶性担体として用いたときと比較し抗体吸着量が向上した。
すなわち、本発明は以下の[1]から[8]に記載の態様を包含する。
[1]Fc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる抗体吸着剤であって、不溶性担体が粒子径7μm以上25μm以下の多孔質親水性ポリマー粒子である、前記吸着剤。
[2]Fc結合性タンパク質がヒトFcγRIIIaである、[1]に記載の吸着剤。
[3]ヒトFcγRIIIaが、以下の(a)から(f)のいずれかに記載のタンパク質である、[2]に記載の吸着剤。
(a)配列番号3に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、少なくとも192番目のバリンがフェニルアラニンにアミノ酸置換され、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
(b)配列番号3に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、少なくとも192番目のバリンがフェニルアラニンにアミノ酸置換され、さらに1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有し、かつFcR9のアミノ酸置換を保持し、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
(c)配列番号3に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該33番目から208番目までのアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有し、かつFcR9のアミノ酸置換を保持し、かつ少なくとも192番目のバリンがフェニルアラニンにアミノ酸置換され、かつ抗体結合活性を有するタンパク質(d)配列番号13に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
(e)配列番号13に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、さらに1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有し、かつFcR36iのアミノ酸置換を保持し、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
(f)配列番号13に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該33番目から208番目までのアミノ酸配列に対して80%以上の相同性を有し、かつFcR36iのアミノ酸置換を保持し、かつ抗体結合活性を
有するタンパク質
[4]多孔質親水性ポリマーが、ポリメタクリレートである、[1]から[3]のいずれかに記載の吸着剤。
[5][1]から[4]のいずれかに記載の吸着剤を充填したカラムに平衡化液を添加してカラムを平衡化する工程と、前記平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加して抗体を前記吸着剤に吸着させる工程と、前記吸着剤に吸着した抗体を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、抗体の分離法。
[6][5]に記載の方法において、溶出液により溶出された抗体を含む画分を分取する工程をさらに含む、抗体医薬の製造方法。
[7][5]の方法により、糖鎖構造の違いによって抗体を分離する方法。
[8]糖鎖構造の違いが、末端のガラクトースの量の違いによる[7]に記載の方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において不溶性担体に固定化させるFc結合性タンパク質は、抗体(免疫グロブリン)のFc領域に結合性を有するタンパク質のことをいい、Fc受容体、Protein A、Protein Gが例示できる。Fc結合性タンパク質がヒトFc受容体である場合の具体例としては、ヒトFcγRI、ヒトFcγRIIa、ヒトFcγRIIb、ヒトFcγRIIIa、ヒトFcRnがあげられる。特にヒトFcγRIIIaは、抗体が有する糖鎖構造を認識可能なヒトFc受容体であり、ヒトFcγRIIIaを不溶性担体に固定化した抗体分離剤は、抗体を糖鎖構造に基づき分離できる(特開2015-086216号公報、特許文献1)ことから、本発明において不溶性担体に固定化させるFc結合性タンパク質として好ましい態様といえる。
ヒトFcγRIIIaの一例として、以下の(i)から(xiv)のいずれかに記載のタンパク質があげられる。
(i)配列番号1に記載の天然型ヒトFcγRIIIaのアミノ酸配列のうち、細胞外領域(図1ではEC領域)の一部である、17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含むタンパク質;
(ii)配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、少なくとも176番目のバリンがフェニルアラニンにアミノ酸置換され、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
(iii)配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、少なくとも176番目のバリンがフェニルアラニンにアミノ酸置換され、さらに1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有し、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;(iv)配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該17番目から208番目までのアミノ酸配列に対して70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、の相同性を有し、かつ少なくとも176番目のバリンがフェニルアラニンにアミノ酸置換され、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
(v)配列番号3に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基(配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基のうち、9箇所アミノ酸置換したポリペプチド)を少なくとも含み、ただし当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、少なくとも192番目のバリンがフェニルアラニンにアミノ酸置換され、かつ抗体結合活性を有するタンパク質(vi)配列番号3に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、少なくとも192番目のバリンがフェニルアラニンにアミノ酸置換され、さらに1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有し、かつFcR9のアミノ酸置換を保持し、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
(vii)配列番号3に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該33番目から208番目までのアミノ酸配列に対して80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、の相同性を有し、かつFcR9のアミノ酸置換を保持し、かつ少なくとも192番目のバリンがフェニルアラニンにアミノ酸置換され、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
(viii)配列番号5に記載のアミノ酸配列のうち、33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基(配列番号3に記載のアミノ酸配列の33番目のグリシンから208番目のグルタミンまでのアミノ酸残基のうち、192番目のバリンをフェニルアラニンにアミノ酸置換したポリペプチド)を少なくとも含むタンパク質;
(ix)配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、少なくとも176番目のバリンがイソロイシンにアミノ酸置換され、
かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
(x)配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該17番目から192番目までのアミノ酸残基において、少なくとも176番目のバリンがイソロイシンにアミノ酸置換され、さらに1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有し、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;;
(xi)配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該17番目から208番目までのアミノ酸配列に対して70%以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、の相同性を有し、かつ少なくとも176番目のバリンがイソロイシンにアミノ酸置換され、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
(xii)配列番号13に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基(配列番号1に記載のアミノ酸配列の17番目のグリシンから192番目のグルタミンまでのアミノ酸残基のうち、36箇所アミノ酸置換したポリペプチド)を少なくとも含み、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
(xiii)配列番号13に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、さらに1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有し、かつFcR36iのアミノ酸置換を保持し、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
(xiv)配列番号13に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該33番目から208番目までのアミノ酸配列に対して80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、の相同性を有し、かつFcR36iのアミノ酸置換を保持し、かつ抗体結合活性を有するタンパク質。
なお前記(i)から(xiv)に記載のタンパク質は、いずれもヒトFcγRIIIaの細胞外領域(図1ではEC領域)の一部またはそのアミノ酸置換体を少なくとも含んでいればよく、細胞外領域のN末端側にあるシグナルペプチド領域(図1のS)の全てまたは一部を含んでもよいし、細胞外領域のC末端側にある細胞膜貫通領域(図1のTM)および細胞内領域(図1のC)の全てまたは一部を含んでもよい。また天然型ヒトFcγRIIIaには、Leu66His(この表記は、配列番号1の66番目(配列番号3では82番目)のロイシンがヒスチジンにアミノ酸置換されていることを表す、以下同様)、Leu66Arg、Gly147Asp、Tyr158Hisのうち、いずれか1つ以上のアミノ酸置換が生じた変異体が知られているが、これらアミノ酸置換を前記(ii)から(vii)、(ix)から(xi)、(xiii)および(xiv)に記載のタンパク質に有してもよい。さらに前記(ii)から(vii)、(ix)から(xi)、(xiii)および(xiv)に記載のタンパク質において、「1もしくは数個」とは、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造における位置や種類によっても異なるが、好ましくは1~50個、さらにより好ましくは1~30個、最も好ましくは1~20個または1~10個(例、1、2、3、4または5個)である。特定位置のアミノ酸残基については、抗体結合活性を有する限り前述したアミノ酸以外のアミノ酸に置換してもよい。その一例として、両アミノ酸の物理的性質と化学的性質またはそのどちらかが類似したアミノ酸間で置換する保守的置換があげられる。保守的置換は、Fc結合性タンパク質に限らず一般に、置換が生じているものと置換が生じていないものとの間でタンパク質の機能が維持されることが当業者において知られている。保守的置換の一例としては、グリシンとアラニン間、アスパラギン酸とグルタミン酸間、セリンとプロリン間、またはグルタミン酸とアラニン間に生じる置換があげられる(タンパク質の構造と機能、メディカル・サイエンス・インターナショナル社、9、2005)。
本発明において不溶性担体に固定化させるFc結合性タンパク質は、そのN末端側またはC末端側に、夾雑物質存在下の溶液から目的の抗体を分離する際に有用なオリゴペプチドをさらに付加してもよい。前記オリゴペプチドとしては、ポリヒスチジン、ポリリジン、ポリアルギニン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸等があげられる。また本発明のFc結合性タンパク質をクロマトグラフィー用の支持体等の固相に固定化する際に有用な、システインを含むオリゴペプチド(例えば、配列番号11に記載のアミノ酸配列の200番目から208番目までのアミノ酸残基からなるオリゴペプチド)を、Fc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側にさらに付加してもよい。Fc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側に付加するオリゴペプチドの長さは、特に制限はない。前記オリゴペプチドを本発明のFc結合性タンパク質に付加させる際は、前記オリゴペプチドをコードするポリヌクレオチドを作製後、当業者に周知の方法を用いて遺伝子工学的にFc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側に付加させてもよいし、化学的に合成した前記オリゴペプチドを本発明のFc結合性タンパク質のN末端側またはC末端側に化学的に結合させて付加させてもよい。さらにFc結合性タンパク質のN末端側には、宿主での効率的な発現を促すためのシグナルペプチドを付加してもよい。宿主が大腸菌の場合における前記シグナルペプチドの例としては、PelB(UniProt No.P0C1C1の1番目から22番目までのアミノ酸残基からなるオリゴペプチド)、DsbA、MalE(UniProt No.P0AEX9の1番目から26番目までのアミノ酸残基からなるオリゴペプチド)、TorTなどのペリプラズムにタンパク質を分泌させるシグナルペプチドを例示することができる(特開2011-097898号公報)。
本発明の吸着剤は前述したFc結合性タンパク質に固定化させる不溶性担体として、粒子径7μm以上25μm以下の多孔質親水性ポリマー粒子を用いることを特徴としている。親水性ポリマーの一例としては、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレート、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリウレタン等の合成高分子があげられる。なお粒子径は7μm以上22μm以下が好ましく、7μm以上18μm以下がより好ましく、7μm以上15μm以下がさらに好ましく、8μm以上12μm以下が特により好ましい。本発明において粒子径は、体積平均粒子径を意味し、具体的にはコールターカウンター(コールター社製)にて粒度分布を測定することにより求めた。
本明細書において多孔質粒子とは、表面にも孔があり中も空洞になっているスポンジ状のものを意味し、具体的には空孔率30%から95%の粒子のことをいい、空孔率50%以上であると、より好ましい。本発明の粒子の空孔率は、以下の(a)から(e)に記載の操作により測定されるものである。なお、当該測定方法は液体クロマトグラフィーの分野では多孔質粒子の空孔率測定法として一般的な方法である。
(a)本発明の多孔質粒子をクロマトグラフィー用カラムに充填する。
(b)水を溶出液として、前記カラムからの分子量200万のブルーデキストランと塩化ナトリウムの溶出容積を測定する。
(c)前記カラムのカラム容積から操作(b)で測定した分子量200万のブルーデキストランの溶出容積を引くことにより、ゲル容積を算出する。
(d)操作(b)で測定した塩化ナトリウムの溶出容積から、操作(b)で測定した分子量200万のブルーデキストランの溶出容積を引くことにより、細孔容積を算出する。
(e)操作(d)で算出した細孔容積を操作(c)で算出したゲル容積で除することにより、空孔率を算出する。
すなわち、塩化ナトリウムの溶出容積(Vn)、分子量200万のブルーデキストランの溶出容積(Vo)及びカラム容積(Vc)を用い、以下に示した計算式から空孔率を算出することができる
空孔率(%)=((Vn-Vo)/(Vc-Vo))x100。
Fc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化するには、当該不溶性担体にN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)活性化エステル基、エポキシ基、カルボキシル基、マレイミド基、ハロアセチル基、トレシル基、ホルミル基、ハロアセトアミド等の活性基を付与し、当該活性基を介してFc結合性タンパク質と不溶性担体とを共有結合させることで固定化すればよい。活性基を付与した担体は、例えば適切な反応条件で担体表面に活性基を導入して調製すればよい。
一方、担体表面に活性基を導入する方法としては、担体表面に存在する水酸基やエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基等に対して2個以上の活性部位を有する化合物の一方を反応させる方法が例示できる。当該化合物の一例のうち、担体表面の水酸基やアミノ基にエポキシ基を導入する化合物としては、エピクロロヒドリン、エタンジオールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが例示できる。前記化合物により担体表面にエポキシ基を導入した後、担体表面にカルボキシル基を導入する化合物としては、2-メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸、4-メルカプト酪酸、6-メルカプト酪酸、グリシン、3-アミノプロピオン酸、4-アミノ酪酸、担体表面に存在する水酸基やエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基にマレイミド基を導入する化合物としては、N-(ε-マレイミドカプロン酸)ヒドラジド、N-(ε-マレイミドプロピオン酸)ヒドラジド、4-[4-N-マレイミドフェニル]酢酸ヒドラジド、2-アミノマレイミド、3-アミノマレイミド、4-アミノマレイミド、6-アミノマレイミド、1-(4-アミノフェニル)マレイミド、1-(3-アミノフェニル)マレイミド、4-(マレイミド)フェニルイソシアナート、2-マレイミド酢酸、3-マレイミドプロピオン酸、4-マレイミド酪酸、6-マレイミドヘキサン酸、N-(α-マレイミドアセトキシ)スクシンイミドエステル、(m-マレイミドベンゾイル)N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、スクシンイミジル-4-(マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボニル-(6-アミノヘキサン酸)、スクシンイミジル-4-(マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、(p-マレイミドベンゾイル)N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、(m-マレイミドベンゾイル)N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを例示できる。
担体表面に存在する水酸基やアミノ基にハロアセチル基を導入する化合物としては、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、クロロ酢酸クロリド、ブロモ酢酸クロリド、ブロモ酢酸ブロミド、クロロ酢酸無水物、ブロモ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、2-(ヨードアセトアミド)酢酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、3-(ブロモアセトアミド)プロピオン酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、4-(ヨードアセチル)アミノ安息香酸-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルを例示できる。なお担体表面に存在する水酸基やアミノ基にω-アルケニルアルカングリシジルエーテルを反応させた後、ハロゲン化剤でω-アルケニル部位をハロゲン化し活性化する方法も例示できる。ω-アルケニルアルカングリシジルエーテルとしては、アリルグリシジルエーテル、3-ブテニルグリシジルエーテル、4-ペンテニルグリシジルエーテルを例示でき、ハロゲン化剤としてはN-クロロスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド、N-ヨードスクシンイミドを例示できる。
担体表面に活性基を導入する方法の別の例として、担体表面に存在するカルボキシル基に対して縮合剤と添加剤を用いて活性化基を導入する方法がある。縮合剤としては1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジアミド、カルボニルジイミダゾールを例示できる。また添加剤としてはN-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)、4-ニトロフェノール、1-ヒドロキシベンズトリアゾールを例示できる。
本発明の方法において用いられる多孔質親水性ポリマー粒子の好適な例としては、Shodex(昭和電工社製)、Sepharose(GE社製)、Amberlite(オルガノ社製)、Cellufine(JN社製)、POROS(THermo Fisher SCIENTIFIC社製)、TOYOPEARL(東ソー社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
Fc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化する際用いる緩衝液としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid)緩衝液、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)緩衝液、トリス緩衝液、ホウ酸緩衝液を例示できる。固定化させるときの反応温度は、5℃から50℃までの温度範囲の中から活性基の反応性やFc結合性タンパク質の安定性を考慮の上、適宜設定すればよく、好ましくは10℃から35℃の範囲である。
前述した方法でFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化し得られた本発明の抗体吸着剤を用いて抗体を分離するには、当該抗体吸着剤を充填したカラムにポンプ等の送液手段を用いて平衡化液を添加することでカラムを平衡化し、前記送液手段で抗体を含む溶液を添加することで前記抗体吸着剤に抗体を特異的に吸着させた後、適切な溶出液を前記送液手段で添加することで前記吸着した抗体を溶出させればよい。なお本発明において抗体の分離とは、夾雑物を含む溶液からの抗体分離(夾雑物除去)に限らず、構造・性質・活性等に基づく抗体間での分離も含まれる。
前記平衡化液としてはリン酸緩衝液、酢酸緩衝液、MES緩衝液、クエン酸緩衝液が例示でき、さらに前記緩衝液に、10mMから100mM(好ましくは40mMから60mM)の塩化ナトリウム等の無機塩を添加してもよい。平衡化液のpHは、pH4.0から7.0までの範囲から、緩衝液成分、カラム形状、吸着剤のカラムへの充填圧力などを考慮し、適宜最適値を決定すればよい。
抗体吸着剤に吸着した抗体を溶出させるには、抗体とリガンド(Fc結合性タンパク質)との相互作用を弱めればよく、具体的には、緩衝液によるpHの低下、カウンターペプチドの添加、温度上昇、塩濃度変化が例示できる。抗体吸着剤に吸着した抗体を溶出させるための溶出液の具体例として、抗体吸着剤に抗体を吸着させる際に用いた溶液よりも酸性側の緩衝液があげられる。その緩衝液の種類としては酸性側に緩衝能を有するクエン酸緩衝液、グリシン塩酸緩衝液、酢酸緩衝液を例示できる。溶出液のpHは、抗体が有する機能(抗原への結合性等)を損なわない範囲で設定すればよく、一例としてpH2.5以上6.0以下、pH3.0以上5.0以下、pH3.0以上4.0以下、があげられる。
塩濃度の変化で抗体を溶出させる場合、高濃度の塩を含む緩衝液(溶出液)で一段階に溶出してもよく、任意に塩濃度を段階的に上昇させてもよく(ステップグラジエント)、直線的濃度勾配で塩濃度を上昇させてもよい(リニアグラジエント)が、リニアグラジエントで溶出させると好ましい。例えば水溶性の塩として塩化ナトリウムを用いる場合、塩化ナトリウム濃度0Mから1Mまでのリニアグラジエントで溶出させればよい。また、pH変化で抗体を溶出させる場合、平衡化緩衝液よりpHが低下した酸性緩衝液(溶出液)で一段階に溶出してもよく、任意に緩衝液のpHを段階的に低下させてもよく(ステップグラジエント)、直線的濃度勾配で緩衝液のpHを低下させてもよい(リニアグラジエント)が、リニアグラジエントで溶出させると好ましい。例えば抗体が吸着する中性から弱酸性の緩衝液から抗体が溶離する酸性の緩衝液へと、リニアグラジエントで溶出させればよい。
前述した方法で溶出された、抗体が含まれる画分を分取することで当該抗体を得ることができる。分取は常法により行なってよい。具体的には、例えば、一定の時間ごとや、一定の容量ごとに回収容器を交換する方法や、溶出液のクロマトグラムの形状に合わせて回収容器を換える方法や、自動フラクションコレクター等により画分の分取をすることが挙げられる。
本発明は、Fc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる抗体吸着剤において、不溶性担体が粒子径7μm以上25μm以下の多孔質親水性ポリマー粒子であることを特徴としている。本発明の吸着剤は、不溶性担体として非多孔質粒子を用いた従来の吸着剤と比較し、抗体吸着量が増加している。従って、本発明は工業的な抗体医薬品の製造における抗体の分取に有用である。
特にFc結合性タンパク質として、ヒトFcγRIIIaを用いた場合、これらタンパク質を不溶性担体に固定化して得られる抗体分離剤は、糖鎖構造に基づく分離(特開2015-086216号公報)や、抗体依存性細胞傷害活性の強さに基づいた分離(特開2016-023152号公報)ができるため、特定の糖鎖構造を有した抗体や、抗体依存性細胞傷害活性の高い(または低い)抗体を、選択的かつ大量に調製できる。
ヒトFcγRIIIaの概略図である。図中の数字は配列番号1に記載のアミノ酸配列の番号を示している。図中のSはシグナル配列、ECは細胞外領域、TMは細胞膜貫通領域、Cは細胞内領域を示している。 実施例9の結果を示す溶出パターンである。 実施例10の結果を示す溶出パターンである。 比較例3の結果を示す溶出パターンである。 比較例4の結果を示す溶出パターンである。 実施例11の結果を示す溶出パターンである。 実施例12の結果を示す溶出パターンである。 実施例13の結果を示す溶出パターンである。 実施例14の結果を示す溶出パターンである。 実施例15の結果を示す溶出パターンである。 実施例16の結果を示す溶出パターンである。 実施例17の結果を示す各抗体医薬品に含まれる糖鎖構造の割合である。 実施例18の結果を示す各抗体医薬品に含まれる糖鎖構造の割合である。 実施例19の結果を示す各抗体医薬品に含まれる糖鎖構造の割合である。 実施例20の結果を示す各抗体医薬品に含まれる糖鎖構造の割合である。 実施例21の結果を示す各抗体医薬品に含まれる糖鎖構造の割合である。 実施例22の結果を示す各抗体医薬品に含まれる糖鎖構造の割合である。 実施例23の結果を示す各抗体医薬品に含まれる糖鎖構造の割合である。
以下、実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら例に限定されるものではない。
実施例1 FcR9アミノ酸置換体の作製
WO2015/199154号に記載の方法で作製したFc結合性タンパク質FcR9(配列番号3)に対し、192番目のバリン(配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる天然型ヒトFcγRIIIaでは176番目のバリンに相当)をフェニルアラニンにアミノ酸置換したFc結合性タンパク質FcR9_Fを作製した。
具体的にはFcR9をコードするポリヌクレオチド(配列番号4)を含むプラスミドpET-FcR9(WO2015/199154号)から、PCRを用いて前記アミノ酸置換を有したポリヌクレオチドを作製し、当該ポリヌクレオチドを発現ベクターpETMalE(特開2011-206046号公報)にライゲーション後、当該ライゲーション産物で大腸菌BL21(DE3)株を形質転換することで、FcR9_Fを発現する形質転換体を得た。なおFcR9(配列番号3)は、配列番号2に示す天然型ヒトFcγRIIIa細胞外領域を含むFc結合性タンパク質において、43番目(配列番号1では27番目に相当)のバリンをグルタミン酸に、45番目(配列番号1では29番目に相当)のフェニルアラニンをイソロイシンに、51番目(配列番号1では35番目に相当)のチロシンをアスパラギンに、64番目(配列番号1では48番目に相当)のグルタミンをアルギニンに、91番目(配列番号1では75番目に相当)のフェニルアラニンをロイシンに、108番目(配列番号1では92番目に相当)のアスパラギンをセリンに、133番目(配列番号1では117番目に相当)のバリンをグルタミン酸に、137番目(配列番号1では121番目に相当)のグルタミン酸をグリシンに、および187番目(配列番号1では171番目に相当)のフェニルアラニンをセリンに、それぞれアミノ酸置換したFc結合性タンパク質である。本明細書では、前記FcR9(配列番号3)が天然型ヒトFcγRIIIa細胞外領域を含むFc結合性タンパク質(配列番号2)に対して保有する前記9箇所のアミノ酸置換を、「FcR9のアミノ酸置換」と称することがある。
FcR9_Fのアミノ酸配列を配列番号5に、FcR9_Fをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号6に、それぞれ示す。配列番号5において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチド(UniProt No.P0AEX9の1番目から26番目までのアミノ酸残基からなるオリゴペプチド)であり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR9_Fのアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。
実施例2 システインタグを付加したFc結合性タンパク質(FcR9_F_Cys)の作製
(1)実施例1で作製したFcR9_F(配列番号5)をコードするポリヌクレオチド(配列番号6)を含む発現ベクターpET-FcR9_Fを鋳型としてPCRを実施した。当該PCRにおけるプライマーは、配列番号7(5’-TAGCCATGGGCATGCGTACCGAAGATCTGCCGAAAGC-3’)および配列番号8(5’-CCCAAGCTTATCCGCAGGTATCGTTGCGGCACCCTTGGGTAATGGTAATATTCACGGTCTCGCTGC-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、表1に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
(2)(1)で得られたポリヌクレオチドを精製し、制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したWO2015/199154号に記載の方法で作製の発現ベクターpTrc-PelBV3にライゲーションし、当該ライゲーション産物を用いて大腸菌W3110株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を100μg/mLのカルベニシリンを含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)を用いて、発現ベクターpTrc-FcR9_F_Cysを得た。
(4)pTrc-FcR9_F_Cysのヌクレオチド配列の解析を、配列番号9(5’-TGTGGTATGGCTGTGCAGG-3’)または配列番号10(5’-TCGGCATGGGGTCAGGTG-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いて行なった。
発現ベクターpTrc-FcR9_F_Cysで発現されるポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号11に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号12にそれぞれ示す。なお配列番号11において、1番目のメチオニン(Met)から22番目のアラニン(Ala)までが改良PelBシグナルペプチド(UniProt No.P0C1C1の1番目から22番目までのアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであって、ただし6番目のプロリンをセリンにアミノ酸置換したオリゴペプチド)であり、24番目のグリシン(Gly)から199番目のグルタミン(Gln)までがFc結合性タンパク質FcR9_Fのアミノ酸配列(配列番号5の33番目から208番目までの領域)であり、200番目のグリシン(Gly)から207番目のグリシン(Gly)までがシステインタグ配列である。
実施例3 FcR9_F_Cysの調製
(1)実施例2で作製したFcR9_F_Cysを発現する形質転換体を2Lのバッフルフラスコに入った100μg/mLのカルベニシリンを含む400mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)グルコース10g/L、酵母エキス20g/L、リン酸三ナトリウム十二水和物3g/L、リン酸水素二ナトリウム十二水和物9g/L、塩化アンモニウム1g/Lおよびカルベニシリン100mg/Lを含む液体培地1.8Lに、(1)の培養液180mLを接種し、3L発酵槽(バイオット製)を用いて本培養を行なった。温度30℃、pH6.9から7.1、通気量1VVM、溶存酸素濃度30%飽和濃度の条件に設定し、本培養を開始した。pHの制御には酸として50%リン酸、アルカリとして14%アンモニア水をそれぞれ使用し、溶存酸素の制御は撹拌速度を変化させることで制御し、撹拌回転数は下限500rpm、上限1000rpmに設定した。培養開始後、グルコース濃度が測定できなくなった時点で、流加培地(グルコース248.9g/L、酵母エキス83.3g/L、硫酸マグネシウム七水和物7.2g/L)を溶存酸素(DO)により制御しながら加えた。
(3)菌体量の目安として600nmの吸光度(OD600nm)が約150に達したところで培養温度を25℃に下げ、設定温度に到達したことを確認した後、終濃度が0.5mMになるようIPTG(Isopropyl β-D-1-thiogalactopyranoside)を添加し、引き続き25℃で培養を継続した。
(4)培養開始から約48時間後に培養を停止し、培養液を4℃で8000rpm、20分間の遠心分離により菌体を回収した。
(5)回収した菌体を20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.0)に5mL/1g(菌体)となるように懸濁し、超音波発生装置(インソネーター201M(商品名)、久保田商事製)を用いて、4℃で約10分間、約150Wの出力で菌体を破砕した。菌体破砕液は4℃で20分間、8000rpmの遠心分離を2回行ない、上清を回収した。
(6)(5)で得られた上清を、あらかじめ20mMのリン酸緩衝液(8mMリン酸二水素ナトリウム、12mMリン酸水素二ナトリウム)(pH7.0)で平衡化した140mLのTOYOPEARL CM-650M(東ソー製)を充填したVL32×250カラム(メルクミリポア製)に流速5mL/分でアプライした。平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.5Mの塩化ナトリウムを含む20mMのリン酸緩衝液(pH7.0)で溶出した。
(7)(6)で得られた溶出液を、あらかじめ150mMの塩化ナトリウムを含む20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化したIgGセファロース(GEヘルスケア製)90mLを充填したXK26/20カラム(GEヘルスケア製)にアプライした。平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出した。なお溶出液は、溶出液量の1/4量の1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を加えることでpHを中性にした。
前記精製により、高純度のFcR9_F_Cysを約20mg得た。
実施例4 FcR36iアミノ酸置換体の作製
配列番号2に示す天然型ヒトFcγRIIIa細胞外領域を含むFc結合性タンパク質に対し、36箇所のアミノ酸置換したFc結合性タンパク質FcR36iを作製した。FcR36iは、配列番号2に示す天然型ヒトFcγRIIIa細胞外領域を含むFc結合性タンパク質において、37番目(配列番号1では21番目に相当)のグルタミン酸をグリシンに、39番目(配列番号1では23番目に相当)のロイシンをメチオニンに、43番目(配列番号1では27番目に相当)のバリンをグルタミン酸に、45番目(配列番号1では29番目に相当)のフェニルアラニンをイソロイシンに、49番目(配列番号1では33番目に相当)のグルタミンをプロリンに、51番目(配列番号1では35番目に相当)のチロシンをアスパラギンに、56番目(配列番号1では40番目に相当)のリジンをグルタミンに、64番目(配列番号1では48番目に相当)のグルタミンをアルギニンに、67番目(配列番号1では51番目に相当)のチロシンをヒスチジンに、70番目(配列番号1では54番目に相当)のグルタミン酸のアスパラギン酸に、72番目(配列番号1では56番目に相当)のアスパラギンをアスパラギン酸に、81番目(配列番号1では65番目に相当)のセリンをアルギニンに、84番目(配列番号1では68番目に相当)のセリンをプロリンに、90番目(配列番号1では74番目に相当)のチロシンをフェニルアラニンに、91番目(配列番号1では75番目に相当)のフェニルアラニンをイソロイシンに、94番目(配列番号1では78番目に相当)のアラニンをセリンに、96番目(配列番号1では80番目に相当)のスレオニンをセリンに、108番目(配列番号1では92番目に相当)のアスパラギンをセリンに、133番目(配列番号1では117番目に相当)のバリンをグルタミン酸に、135番目(配列番号1では119番目に相当)のリジンをバリンに、137番目(配列番号1では121番目に相当)のグルタミン酸をグリシンに、138番目(配列番号1では122番目に相当)のアスパラギン酸をグルタミン酸に、148番目(配列番号1では132番目に相当)のリジンをアルギニン に、156番目(配列番号1では140番目に相当)のスレオニンをメチオニンに、157番目(配列番号1では141番目に相当)のチロシンをフェニルアラニンに、163番目(配列番号1では147番目に相当)のグリシンをバリンに、174番目(配列番号1では158番目に相当)のチロシンをバリンに、181番目(配列番号1では165番目に相当)のリジンをグルタミン酸に、187番目(配列番号1では171番目に相当)のフェニルアラニンをセリンに、192番目(配列番号1では176番目に相当)のバリンをイソロイシンに、194番目(配列番号1では178番目に相当)のセリンをアルギニンに、196番目(配列番号1では180番目に相当)のアスパラギンをリジンに、200番目(配列番号1では184番目に相当)のグルタミン酸をグリシンに、201番目(配列番号1では185番目に相当)のスレオニンをアラニンに、203番目(配列番号1では187番目に相当)のアスパラギンをアスパラギン酸に、206番目(配列番号1では190番目に相当)のイソロイシンをバリンに、それぞれアミノ酸置換したFc結合性タンパク質である。本明細書では、前記の特定位置の36箇所のアミノ酸置換を「FcR36iのアミノ酸置換」と称することがある。
FcR36iのアミノ酸配列を配列番号13に、FcR36iをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号14に、それぞれ示す。FcR36iのアミノ酸配列(配列番号13)をコードするポリヌクレオチド配列(配列番号14)に制限酵素(NcoIおよびHindIII)サイトを結合させたポリヌクレオチド配列を全合成(ファスマック社)により作製し、常法により制限酵素処理後、pETMalE(特開2011-206046号公報)にライゲーション後、当該ライゲーション産物で大腸菌BL21(DE3)株を形質転換することで、FcR36iを発現する形質転換体を得た。当該形質転換体から発現ベクターを抽出することで、FcR36i発現ベクターpET-FcR36iを得た。配列番号13において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチド(UniProt No.P0AEX9の1番目から26番目までのアミノ酸残基からなるオリゴペプチド)であり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR36iのアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目から210番目までのグリシン(Gly)がリンカー配列であり、211番目から216番目のヒスチジン(His)がタグ配列である。
実施例5 システインタグを付加した本発明のFc結合性タンパク質(FcR36i_Cys)の作製
(1)実施例4で作製したFcR36i(配列番号13)をコードするポリヌクレオチド(配列番号14)を含む発現ベクターpET-FcR36iを鋳型として、実施例2(1)と同様の方法でPCRを実施した。なお、PCRにおけるプライマーは、配列番号15(5’- CATATGAAAATAAAAACAGGTGCACGCATCCTCGCATTATCCGCATTAACGAC-3’)および配列番号16(5’- CCCAAGCTTATCCGCAGGTATCGTTGCGGCACCCTTGGGTAACGGTAATGTCCACGGCCCCGCTG-3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。
(2)(1)で得られたポリヌクレオチドを精製し、実施例2(2)および(3)と同様の方法で、発現ベクターpTrc-FcR36i_CysおよびFcR36i_Cysを発現する形質転換体を得た。
(3)実施例2(4)と同様の方法で、pTrc-FcR36i_Cysヌクレオチド配列の解析を行った。
発現ベクターpTrc-FcR36i_Cysで発現されるポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号17に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号18にそれぞれ示す。
なお配列番号17において、1番目のメチオニン(Met)から22番目のアラニン(Ala)までが改良PelBシグナルペプチド(UniProt No.P0C1C1の1番目から22番目までのアミノ酸残基からなるオリゴペプチドであって、ただし6番目のプロリンをセリンにアミノ酸置換したオリゴペプチド)であり、24番目のグリシン(Gly)から199番目のグルタミン(Gln)までがFc結合性タンパク質FcR36iのアミノ酸配列(配列番号13の33番目から208番目までの領域)であり、200番目のグリシン(Gly)から207番目のグリシン(Gly)までがシステインタグ配列である。
実施例6 FcR36i_Cysの調製
実施例5で作製したFcR36i_Cysを発現する形質転換体を用いたこと以外は、実施例3(1)から(7)と同様の方法により行い、高純度のFcR36i_Cysを約20mg得た。
実施例7 Fc結合性タンパク質(FcR9_F)を固定化した多孔質親水性ポリマー粒子(本発明の抗体吸着剤)による抗体吸着量の測定
(1)粒子径10μmの多孔質親水性ポリマー粒子表面に存在する水酸基をヨードアセチル基で活性化後、当該活性化ゲルに実施例3で調製したFcR9_F_Cysを反応させることにより、FcR9_F固定化ゲルを得た。
(2)(1)で作製した固定化ゲル1mLに対し50%スラリーとなるよう、PBS(Phosphate Buffered Saline)(pH7.4)を添加した。
(3)作製したスラリーを均一化後、当該スラリー100μL(固定化ゲルとしては5
0μL)をスピンカラム(コスモスピンフィルターH 0.45μm、ナカライテスク製)へ添加し、3000rpmで1分間遠心することで、サクションドライゲルを調製した。
(4)サクションドライゲルにPBSを150μL添加し、3000rpmで1分間遠心した。本操作を3回繰り返すことでゲルを洗浄した。
(5)洗浄後のゲルにPBSを150μLおよび人免疫グロブリン(グロブリン筋注1500mg/10mL「JB」、日本血液製剤機構製)を順次添加し、25℃にて2時間撹拌することで、ゲルに免疫グロブリン(抗体)を吸着させた。
(6)(5)の吸着操作後、スピンカラムを3000rpmで1分間遠心することによ
り未吸着の抗体を含んだ溶液とゲルを分離した。
(7)ゲルにPBSを150μL添加し、3000rpmで1分間遠心した。本操作を
3回繰り返すことでゲルを洗浄した。
(8)ゲルに50mMクエン酸緩衝液(pH3.0)を150μL添加し、3000r
pmで1分間遠心した。本操作を3回繰り返すことでゲルに吸着した抗体を溶出した。溶
出液の吸光度を測定することで抗体の濃度を算出し、FcR9_F固定化ゲルへの抗体の
吸着量を求めた。
結果を表2に示す。固定化ゲル1gに対する抗体の吸着量は9.4mgであった。
実施例8 Fc結合性タンパク質(FcR36i)を固定化した多孔質親水性ポリマー粒子(本発明の抗体吸着剤)による抗体吸着量の測定
(1)実施例6で調製したFcR36i_Cysを用いたこと以外は実施例7(1)と同様の方法により、FcR36i固定化ゲルを得た。
(2)(1)で作製したFcR36i固定化ゲルを用いて、実施例7(2)から(8)と同様の方法によりFcR36i固定化ゲルへの抗体の吸着量を求めた。
結果を表2に示す。固定化ゲル1gに対する抗体の吸着量は10.7mgであった。
比較例1 Fc結合性タンパク質(FcR9_F)を固定化した非多孔質親水性ポリマ
ー粒子による抗体吸着量の測定
(1)粒子径5.8μmの非多孔質親水性ポリマー粒子を用いたこと以外は、実施例7(1)と同様の方法によりFcR9_F固定化ゲルを得た。
(2)(1)で作製した固定化ゲルを用いて、実施例7(2)から(8)に記載と同様な方法により、FcR9_F固定化ゲルへの抗体吸着量を求めた。
結果を表2に示す。固定化ゲル1gに対する抗体の吸着量は1mg以下と、実施例7で作製した固定化ゲルと比較し低かった。実施例7および比較例1の結果より、Fc結合性タンパク質に固定化させる不溶性担体として、粒子径5.8μmの非多孔質親水性ポリマー
粒子(比較例1)よりも粒子径10μmの多孔質親水性ポリマー粒子(実施例7、本発明の一態様)を用いたほうが、抗体吸着量が高いことがわかる。
比較例2 Fc結合性タンパク質(FcR36i)を固定化した非多孔質親水性ポリマー粒子による抗体吸着量の測定
(1)実施例6で調製したFcR36i_Cysを用いたこと以外は、比較例1(1)と同様の方法によりFcR36i固定化ゲルを得た。
(2)(1)で作製した固定化ゲルを用いて、実施例7(2)から(8)と同様な方法により、固定化ゲルへの抗体吸着量を求めた。
結果を表2に示す。固定化ゲル1gに対する抗体の吸着量は1mg以下と、実施例8で作製した固定化ゲルと比較し低かった。実施例7および比較例1の結果と同様に、実施例8および比較例2の結果より、Fc結合性タンパク質に固定化させる不溶性担体として、粒子径5.8μmの非多孔質親水性ポリマー粒子(比較例2)よりも粒子径10μmの多孔質親水性ポリマー粒子(実施例8、本発明の一態様)を用いたほうが、抗体吸着量が高いことがわかる。
実施例9 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)による抗体(リツキサン(登録商標))分離
(1)実施例7(1)で作製したFcR9_F固定化ゲル3.3mLをステンレスカラム(東ソー製、内径7.5mm)に充填し、当該カラムをHPLC装置(AKTA Avant、GEヘルスケア製)に接続後、pH5.8の50mMのクエン酸緩衝液(BufferA)を用いて平衡化した。
(2)(1)の平衡化に用いた緩衝液で濃度調製した1mg/mLのモノクローナル抗体(リツキサン、全薬工業製)を、流速0.5mL/minにて5mLアプライし、前記抗体を固定化ゲルに吸着させた。
(3)流速0.5mL/minのまま(1)の平衡化に用いた緩衝液で30分洗浄後、pH4.36の50mMのクエン酸緩衝液(BufferB)によるpHグラジエント(40分でpH4.4の50mMのクエン酸緩衝液(BufferB)が100%となる
グラジエント)で、固定化ゲルに吸着したモノクローナル抗体を溶出した。
溶出パターンを図2に示す。3つのピークに分かれた状態で抗体が溶出された。これまでに、FcγRIIIaをアフィニティリガンドとして不溶性担体に固定化した吸着剤を用いることで、抗体を糖鎖構造に基づき分離できることが示されており(特許文献1)、本結果より本発明の分離剤が糖鎖構造の違いに基づく抗体分離ができることを確認した。また、図2に示す4つのフラクションFrA、FrB、FrCおよびFrDを分取し、糖鎖構造解析(実施例17)に用いた。
実施例10 本発明の抗体吸着剤(FcR36i、粒子径10μm)による抗体(リツキサン)分離
実施例8(1)で作製したFcR36i固定化ゲルを用いたこと以外は、実施例9(1)から(3)と同様の方法で抗体を分離した。
溶出パターンを図3に示す。3つのピークに分かれた状態で抗体が溶出されており、本発明の分離剤が糖鎖構造の違いに基づく抗体分離ができることを確認した。
比較例3 Fc結合性タンパク質固定化ゲル(FcR9_F、粒子径30から60μm)による抗体(リツキサン)分離
(1)粒子径30から60μmの多孔質親水性ポリマー粒子を用いたこと以外は実施例7(1)と同様の方法によりFcR9_F固定化ゲルを得た。
(2)(1)で作製した固定化ゲルを用いて、実施例9(1)から(3)と同様の方法で抗体を分離した。
溶出パターンを図4に示す。抗体は分離せず1つのピークとして溶出されたことから、粒子径が30から60μmの多孔質親水性ポリマー(比較例3)よりも、粒子径が10μ
mの多孔質親水性ポリマー(実施例9、本発明の一態様)を使用したほうが、分離能が高いことがわかる。
比較例4 Fc結合性タンパク質固定化ゲル(FcR36i、粒子径30から60μm)による抗体(リツキサン)分離
(1)実施例6で調製したFcR36i_Cysを用いたこと以外は比較例3(1)と同様の方法によりFcR36i固定化ゲルを得た。
(2)(1)で作製した固定化ゲルを用いて、実施例9(1)から(3)と同様の方法で抗体を分離した。
溶出パターンを図5に示す。比較例3の結果と同様に、抗体は分離せず1つのピークとして溶出されたことから、粒子径が30から60μmの多孔質親水性ポリマー(比較例4)よりも、粒子径が10μmの多孔質親水性ポリマー(実施例10、本発明の一態様)を使用したほうが、分離能が高いことがわかる。
実施例11 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)による抗体(アービタックス(登録商標))分離
抗体としてアービタックス(メルクセローノ製)を用いたこと以外は、実施例9(1)から(3)と同様の方法で抗体を分離した。
溶出パターンを図6に示す。重なり合ったおよそ3つのピークに抗体を分離した。
また、図6に示す3つのフラクションFrE、FrFおよびFrGを分取し、糖鎖構造解析(実施例18)に用いた。
実施例12 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)による抗体(ハーセプチン(登録商標))分離
抗体としてハーセプチン(ロシュ製)を用いたこと以外は、実施例9(1)から(3)と同様の方法で抗体を分離した。
溶出パターンを図7に示す。3つのピークに抗体を分離した。
また、図7に示す3つのフラクションFrH、FrIおよびFrJを分取し、糖鎖構造解析(実施例19)に用いた。
実施例13 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)による抗体(カドサイラ(登録商標))分離
抗体としてカドサイラ(ロシュ製)を用いたこと以外は、実施例9(1)から(3)と同様の方法で抗体を分離した。
溶出パターンを図8に示す。抗体は1つの大きなブロードなピークとして溶出された。
また、図8に示す3つのフラクションFrK、FrLおよびFrMを分取し、糖鎖構造解析(実施例20)に用いた。
実施例14 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)による抗体(アバスチン(登録商標))分離
抗体としてアバスチン(ロシュ製)を用いたこと以外は、実施例9(1)から(3)と同様の方法で抗体を分離した。
溶出パターンを図9に示す。抗体は大きな1つのピークとそのピークと重なった2つのピークとして溶出された。
また、図9に示す3つのフラクションFrN、FrOおよびFrPを分取し、糖鎖構造解析(実施例21)に用いた。
実施例15 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)による抗体(ヒュミラ(登録商標))分離
抗体としてヒュミラ(アッヴィ合同製)を用いたこと以外は、実施例9(1)から(3)と同様の方法で抗体を分離した。
溶出パターンを図10に示す。抗体は大きな1つのピークとそのピークと重なった2つのピークとして溶出された。
また、図10に示す4つのフラクションFrQ、FrR、FrSおよびFrTを分取し、糖鎖構造解析(実施例22)に用いた。
実施例16 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)による抗体(アクテムラ(登録商標))分離
抗体としてアクテムラ(ロシュ製)を用いたこと以外は、実施例9(1)から(3)と同様の方法で抗体を分離した。
溶出パターンを図11に示す。抗体は重なり合った3つのピークとして溶出された。
また、図11に示す3つのフラクションFrU、FrVおよびFrWを分取し、糖鎖構造解析(実施例23)に用いた。
実施例9、実施例11から16より、本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)により、様々な種類の抗体医薬品を分離できることを示した。また、抗体医薬品の種類によって、抗体医薬品の分離のパターンが異なることがわかった。
実施例17 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)を用いてリニアグラジエント溶出により分離した抗体の糖鎖構造解析(リツキサン)
(1)実施例9で分取した図2のFrA、FrB、FrCおよびFrDにそれぞれ含まれる抗体を100℃、10分の熱処理により変性後、グリコアミダーゼA/ペプシンおよびプロナーゼで順次処理し、ゲルろ過法による精製操作を経て糖鎖画分を取得した。
(2)(1)で得られた糖鎖をエバポレーターにて濃縮・乾燥後、酢酸溶媒下、2-アミノピリジン、次いでジメチルアミンボランを順次作用させて蛍光ラベル化糖鎖とし、ゲルろ過法により精製した。
(3)(2)で得られた蛍光ラベル化糖鎖を陰イオン交換カラム(TSKgel DEAE-5PW、φ7.5mm×7.5cm:東ソー製)にて、中性糖鎖画分とモノシアリル化糖鎖画分に分離した。
(4)(3)で得られた中性糖鎖画分とモノシアリル化糖鎖画分をODSカラムを用いて、個々の糖鎖に単離した。MALDI-TOF-MS分析により単離した糖鎖の分子量情報を取得後、ODSカラムクロマトグラフのリテンションタイムと照らし合わせて糖鎖構造を帰属した。
帰属した糖鎖構造の結果を図12および表3、糖鎖構造の概略図を表4に示す。FrAに含まれる抗体と比較してFrDに含まれる抗体では末端にガラクトースを含む糖鎖構造(G1FaおよびG2F)を有した抗体の割合が高く、末端にガラクトースを含まない糖鎖構造(G0F)を有した抗体の割合が低かった。

実施例18 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)を用いてリニアグラジエント溶出により分離した抗体の糖鎖構造解析(アービタックス)
実施例11で分取した図6のFrE、FrFおよびFrGにそれぞれ含まれる抗体を用いたこと以外は、実施例17の(1)から(4)と同様の方法で糖鎖構造の解析を行った。
帰属した糖鎖構造の結果を図13および表5に示す。FrEに含まれる抗体と比較してFrGに含まれる抗体では末端にガラクトースを含む糖鎖構造(G1FaおよびG2F)を有した抗体の割合が高く、末端にガラクトースを含まない糖鎖構造(G0F)を有した抗体の割合が低かった。
実施例19 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)を用いてリニアグラジエント溶出により分離した抗体の糖鎖構造解析(ハーセプチン)
実施例12で分取した図7のFrH、FrIおよびFrJにそれぞれ含まれる抗体を用いたこと以外は、実施例17の(1)から(4)と同様の方法で糖鎖構造の解析を行った。
帰属した糖鎖構造の結果を図14および表6に示す。FrHに含まれる抗体と比較してFrJに含まれる抗体では末端にガラクトースを含む糖鎖構造(G1FaおよびG2F)を有した抗体の割合が高く、末端にガラクトースを含まない糖鎖構造(G0F)を有した抗体の割合が低かった。
実施例20 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)を用いてリニアグラジエント溶出により分離した抗体の糖鎖構造解析(カドサイラ)
実施例13で分取した図8のFrK、FrLおよびFrMにそれぞれ含まれる抗体を用いたこと以外は、実施例17の(1)から(4)と同様の方法で糖鎖構造の解析を行った。
帰属した糖鎖構造の結果を図15および表7に示す。FrKに含まれる抗体と比較してFrMに含まれる抗体では末端にガラクトースを含む糖鎖構造(G1Fa)を有した抗体の割合が高く、末端にガラクトースを含まない糖鎖構造(G0F)を有した抗体の割合が低かった。
実施例21 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)を用いてリニアグラジエント溶出により分離した抗体の糖鎖構造解析(アバスチン)
実施例14で分取した図9のFrN、FrOおよびFrPにそれぞれ含まれる抗体を用いたこと以外は、実施例17の(1)から(4)と同様の方法で糖鎖構造の解析を行った。
帰属した糖鎖構造の結果を図16および表8に示す。FrNに含まれる抗体と比較してFrPに含まれる抗体では末端にガラクトースを含む糖鎖構造(G1FaおよびG2F)を有した抗体の割合が高く、末端にガラクトースを含まない糖鎖構造(G0F)を有した抗体の割合が低かった。
実施例22 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)を用いてリニアグラジエント溶出により分離した抗体の糖鎖構造解析(ヒュミラ)
実施例15で分取した図10のFrQ、FrR、FrSおよびFrTにそれぞれ含まれる抗体を用いたこと以外は、実施例17の(1)から(4)と同様の方法で糖鎖構造の解析を行った。
帰属した糖鎖構造の結果を図17および表9に示す。FrQ、FrRに含まれる抗体と比較してFrPに含まれる抗体では末端にガラクトースを含む糖鎖構造(G1FaおよびG2F)を有した抗体の割合が高く、末端にガラクトースを含まない糖鎖構造(G0F)を有した抗体の割合が低かった。
実施例23 本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)を用いてリニアグラジエント溶出により分離した抗体の糖鎖構造解析(アクテムラ)
実施例16で分取した図11のFrU、FrVおよびFrWにそれぞれ含まれる抗体を用いたこと以外は、実施例17の(1)から(4)と同様の方法で糖鎖構造の解析を行った。
帰属した糖鎖構造の結果を図18および表10に示す。FrUに含まれる抗体と比較してFrWに含まれる抗体では末端にガラクトースを含む糖鎖構造(G1Fa)を有した抗体の割合が高く、末端にガラクトースを含まない糖鎖構造(G0F)を有した抗体の割合が低かった。
実施例17から23より、本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)により分離した抗体医薬品の糖鎖構造を解析した結果、早く溶出された抗体の糖鎖よりも遅く溶出された抗体の糖鎖の方が、末端にガラクトースを含む糖鎖構造の割合が高いことが分かった。
このことより、末端にガラクトースを含む糖鎖構造を有した抗体はFcR9_Fと強く結合し、Fc9_F固定化ゲルで分離した際に遅い溶出時間で溶出され(すなわち、低いpHにて溶出される)、末端にガラクトースを含まない糖鎖構造を有した抗体はFcR9_Fとの結合が弱いこと、および本発明の抗体吸着剤(FcR9_F、粒子径10μm)で分離する際に早く溶出される(すなわち、高いpHにて溶出される)ことがわかる。

Claims (6)

  1. Fc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる抗体吸着剤であって、不溶性担体が粒子径7μm以上15μm以下の多孔質親水性ポリマー粒子であり、
    Fc結合性タンパク質がヒトFcγRIIIaであって、
    以下の(a)から(f)のいずれかに記載のタンパク質である前記吸着剤。
    (a)配列番号5に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、かつ抗体結合活性を有するタンパク質。
    (b)配列番号に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有し、以下の(i)から(x)のアミノ酸残基を全て保持し、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
    (i)配列番号の43番目のグルタミン
    (ii)配列番号の45番目のイソロイシ
    (iii)配列番号の51番目のアスパラギ
    (iv)配列番号の64番目のアルギニ
    (v)配列番号の91番目のロイシ
    (vi)配列番号の108番目のセ
    (vii)配列番号の133番目のグルタミン
    (viii)配列番号の137番目のグリシ
    (ix)配列番号の187番目のセ
    (x)配列番号5の192番目のフェニルアラニン
    (c)配列番号に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ以下の(i)から(x)のアミノ酸残基を全て保持し、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
    (i)配列番号の43番目のグルタミン
    (ii)配列番号の45番目のイソロイシ
    (iii)配列番号の51番目のアスパラギ
    (iv)配列番号の64番目のアルギニ
    (v)配列番号の91番目のロイシ
    (vi)配列番号の108番目のセ
    (vii)配列番号の133番目のグルタミン
    (viii)配列番号の137番目のグリシ
    (ix)配列番号の187番目のセ
    (x)配列番号5の192番目のフェニルアラニン
    (d)配列番号13に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
    (e)配列番号13に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、さらに1もしくは数個の位置での1もしくは数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、または付加を含むアミノ酸配列を有し、以下の(1)から(36)のアミノ酸残基を全て保持し、かつ抗体結合活性を有するタンパク質;
    (1)配列番号13の37番目のグリシ
    (2)配列番号1339番目のメチオニ
    (3)配列番号13の43番目のグルタミン
    (4)配列番号13の45番目のイソロイシ
    (5)配列番号13の49番目のプロリ
    (6)配列番号13の51番目のアスパラギ
    (7)配列番号13の56番目のグルタミ
    (8)配列番号13の64番目のアルギニ
    (9)配列番号13の67番目のヒスチジ
    (10)配列番号13の70番目のアスパラギン
    (11)配列番号13の72番目のアスパラギン
    (12)配列番号13の81番目のアルギニ
    (13)配列番号13の84番目のプロリ
    (14)配列番号13の90番目のフェニルアラニ
    (15)配列番号13の91番目のイソロイシ
    (16)配列番号13の94番目のセ
    (17)配列番号13の96番目のセ
    (18)配列番号13の108番目のセ
    (19)配列番号13の133番目のグルタミン
    (20)配列番号13の135番目のバ
    (21)配列番号13の137番目のグリシ
    (22)配列番号13の138番目のグルタミン
    (23)配列番号13の148番目のアルギニ
    (24)配列番号13の156番目のメチオニ
    (25)配列番号13の157番目のフェニルアラニ
    (26)配列番号13の163番目のバ
    (27)配列番号13の174番目のバ
    (28)配列番号13の181番目のグルタミン
    (29)配列番号13の187番目のセ
    (30)配列番号13の192番目のイソロイシ
    (31)配列番号13の194番目のアルギニ
    (32)配列番号13の196番目のリ
    (33)配列番号13の200番目のグリシ
    (34)配列番号13の201番目のアラニ
    (35)配列番号13の203番目のアスパラギン
    (36)配列番号13の206番目のバ
    (f)配列番号13に記載のアミノ酸配列の33番目から208番目までのアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、以下の(1)から(36)のアミノ酸残基を全て保持し、かつ抗体結合活性を有するタンパク質
    (1)配列番号13の37番目のグリシ
    (2)配列番号1339番目のメチオニ
    (3)配列番号13の43番目のグルタミン
    (4)配列番号13の45番目のイソロイシ
    (5)配列番号13の49番目のプロリ
    (6)配列番号13の51番目のアスパラギ
    (7)配列番号13の56番目のグルタミ
    (8)配列番号13の64番目のアルギニ
    (9)配列番号13の67番目のヒスチジ
    (10)配列番号13の70番目のアスパラギン
    (11)配列番号13の72番目のアスパラギン
    (12)配列番号13の81番目のアルギニ
    (13)配列番号13の84番目のプロリ
    (14)配列番号13の90番目のフェニルアラニ
    (15)配列番号13の91番目のイソロイシ
    (16)配列番号13の94番目のセ
    (17)配列番号13の96番目のセ
    (18)配列番号13の108番目のセ
    (19)配列番号13の133番目のグルタミン
    (20)配列番号13の135番目のバ
    (21)配列番号13の137番目のグリシ
    (22)配列番号13の138番目のグルタミン
    (23)配列番号13の148番目のアルギニ
    (24)配列番号13の156番目のメチオニ
    (25)配列番号13の157番目のフェニルアラニ
    (26)配列番号13の163番目のバ
    (27)配列番号13の174番目のバ
    (28)配列番号13の181番目のグルタミン
    (29)配列番号13の187番目のセ
    (30)配列番号13の192番目のイソロイシ
    (31)配列番号13の194番目のアルギニ
    (32)配列番号13の196番目のリ
    (33)配列番号13の200番目のグリシ
    (34)配列番号13の201番目のアラニ
    (35)配列番号13の203番目のアスパラギン
    (36)配列番号13の206番目のバ
  2. 多孔質親水性ポリマーが、ポリメタクリレートである、請求項1に記載の吸着剤。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の吸着剤を充填したカラムに平衡化液を添加してカラムを平衡化する工程と、前記平衡化したカラムに抗体を含む溶液を添加して抗体を前記吸着剤に吸着させる工程と、前記吸着剤に吸着した抗体を溶出液を用いて溶出させる工程とを含む、抗体の分離法。
  4. 請求項3に記載の方法において、溶出液により溶出された抗体を含む画分を分取する工程をさらに含む、抗体医薬の製造方法。
  5. 請求項3の方法により、糖鎖構造の違いによって抗体を分離する方法。
  6. 糖鎖構造の違いが、末端のガラクトースの量の違いによる請求項5に記載の方法。
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