JP2018050616A - 改良型組換えFcγRII - Google Patents
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Abstract
【課題】リフォールディングが不必要であり、なおかつ生産性と熱安定性が高い改良型組換えFcγRIIbおよびFcγRIIa、ならびにその製造方法の提供。
【解決手段】ヒトFcγRIIbの細胞外領域(UniProt No.P31994の43番目から215番目まで)のアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該アミノ酸残基において、82番目、94番目、98番目、104番目、105番目および139番目に相当する位置のアミノ酸置換が少なくとも1つ以上生じた改良型組換えFcγRIIb。ヒトFcγRIIaの細胞外領域(UniProt No.P12318−1の34番目から206番目まで)のアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該アミノ酸残基において、73番目、85番目、89番目、95番目、96番目および130番目に相当する位置のアミノ酸置換が少なくとも1つ以上生じた改良型組換えFcγRIIa。
【選択図】図1
【解決手段】ヒトFcγRIIbの細胞外領域(UniProt No.P31994の43番目から215番目まで)のアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該アミノ酸残基において、82番目、94番目、98番目、104番目、105番目および139番目に相当する位置のアミノ酸置換が少なくとも1つ以上生じた改良型組換えFcγRIIb。ヒトFcγRIIaの細胞外領域(UniProt No.P12318−1の34番目から206番目まで)のアミノ酸残基を少なくとも含み、但し当該アミノ酸残基において、73番目、85番目、89番目、95番目、96番目および130番目に相当する位置のアミノ酸置換が少なくとも1つ以上生じた改良型組換えFcγRIIa。
【選択図】図1
Description
本発明は、免疫グロブリンG(IgG)に対し結合親和性を有するヒトFcγレセプター(以下、FcγRという)IIb(CD32b)およびFcγRIIa(CD32a)に由来し、生産性および熱安定性を高めた改良型組換えFcγRIIbおよび改良型組換えFcγRIIaに関するものである。
FcγRは、抗原とIgGとの結合物であるIgG免疫複合体に結合して細胞内にシグナル伝達を行なうレセプター群である(非特許文献1)。ヒトのFcγRは、サブタイプに分類することができ、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32a)、FcγRIIb(CD32b)、FcγRIIc(CD32c)、FcγRIIIa(CD16a)およびFcγRIIIb(CD16b)が報告されている(非特許文献1〜3)。
IgG免疫複合体とFcγRの結合は、IgGのFc領域にFcγRが結合することで起こる。個々のFcγR分子種は、IgGのFc領域認識ドメインを有し、単一種の、または同じサブタイプに属するIgGを認識する。これによって個々の免疫応答において、どのアクセサリー細胞が動員されるかが決定される(非特許文献1〜3)。FcγRの中でもFcγRIIbは細胞の活性化を抑制するシグナル伝達を行ない、細胞の活性化のシグナル伝達を行なう他のサブタイプのFcγRとは異なる(非特許文献1〜3)。FcγRIIaは活性化型FcγRのうちの一つであり、マクロファージ、血小板、好中球、単球や樹状細胞などで発現される。FcγRIIcは活性化型FcγRのうちの一つであり、ナチュラルキラー細胞などで発現される。
成熟したFcγRのタンパク質は、IgGのFc領域と結合する細胞外領域、細胞膜貫通領域、およびシグナル伝達に関わる細胞内領域から構成される。FcγRIIbとFcγRIIcの細胞外領域のアミノ酸配列は同一である。また、FcγRIIaとFcγRIIbの細胞外領域のアミノ酸配列は非常に相同性が高い。
ヒトFcγRIIb由来の組換えタンパク質(以下、組換えFcγRIIbという)は、診断、医療、結晶構造解析、さらには抗体の分離や濃縮に使用するためのクロマトグラフィー材料などへの応用の可能性がある(特許文献1から4)。大腸菌宿主を用いた組換えFcγRIIbの調製に関して、これまでにいくつかの研究が行なわれているが、特許文献1から4では、大腸菌宿主で封入体(不溶性)として発現させた組換えFcγRIIbを、再生(リフォールディング)させる調製方法が報告されている。
ヒトFcγRIIa由来の組換えタンパク質(以下、組換えFcγRIIaという)は、診断、医療、結晶構造解析、さらには抗体の分離や濃縮に使用するためのクロマトグラフィー材料などへの応用の可能性がある。大腸菌宿主を用いた組換えFcγRIIaの調製に関して、これまでにいくつかの研究が行なわれており、非特許文献4および5では、大腸菌宿主で封入体(不溶性)として発現させた組換えFcγRIIaを、再生(リフォールディング)させる調製方法が報告されている。
しかしながら、リフォールディングは一般的に複雑な操作が必要、操作に時間がかかる、効率が低いなどの課題がある(非特許文献6)。
また、組換えFcγRIIbおよびFcγRIIaを産業応用するためには、使用や保存などの観点から組換えFcγRIIbおよびFcγRIIaは各種条件(熱、酸性、アルカリ性など)に対して安定性が高いことが好ましい。しかしながら、これまでに組換えFcγRIIbおよびFcγRIIaの安定性向上は行なわれていなかった。
高井俊行,Jpn.J.Clin.Immunol.,28,318−326,2005
J.V.Ravetch等,Annu.Rev.Immunol.,9,457−492,1991
P.Bruhns,BLOOD,119,5640−5649,2012
P.Sondermann等,J.Mol.Biol.,309,737−749,2001
S.T.Jung等,Biotechnol.Bioeng.,107,21−30,2010
H.Yamaguchi & M.Miyazaki,Biomolecules,4,235−251,2014
本発明の目的は、リフォールディングが不必要であり、なおかつ生産性と熱安定性が高い改良型組換えFcγRIIbおよびFcγRIIa、ならびにその製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討を行なった結果、組換えFcγRIIbおよびFcγRIIaを構成するアミノ酸のうちの特定のアミノ酸を他の特定のアミノ酸に置換し、大腸菌宿主により可溶性として発現させることで、リフォールディングが不必要であり、なおかつ生産性と熱安定性が高い改良型組換えFcγRIIbおよびFcγRIIaを提供し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおり例示できる。
[1]
以下の(i)〜(iii)から選択される何れかの改良型組換えFcγRII。
(i)配列番号1で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、以下の(1)から(6)に記載のアミノ酸置換のうちいずれか1つ以上を含む、改良型組換えFcγRIIb
(1)配列番号1の68番目のイソロイシンのバリンへの置換
(2)配列番号1の80番目のヒスチジンのグルタミンへの置換
(3)配列番号1の84番目のセリンのトレオニンへの置換
(4)配列番号1の90番目のアスパラギンのトレオニンへの置換
(5)配列番号1の91番目のアスパラギンのセリンへの置換
(6)配列番号1の125番目のヒスチジンのアルギニンへの置換
(ii)配列番号88で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、以下の(7)から(12)に記載のアミノ酸置換のうちいずれか1つ以上を含む、改良型組換えFcγRIIa
(7)配列番号88の68番目のイソロイシンのバリンへの置換
(8)配列番号88の80番目のヒスチジンのグルタミンへの置換
(9)配列番号88の84番目のセリンのトレオニンへの置換
(10)配列番号88の90番目のアスパラギンのトレオニンへの置換
(11)配列番号88の91番目のアスパラギンのセリンへの置換
(12)配列番号88の125番目のヒスチジンのアルギニンへの置換
(iii)上記(i)または(ii)の改良型組換えFcγRIIのアミノ酸配列において、前記(1)〜(12)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRII
[2]
以下の(iv)〜(vi)から選択される何れかの改良型組換えFcγRIIである、[1]に記載の改良型組換えFcγRII。
(iv)配列番号1で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、以下の(1)に記載のアミノ酸置換を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIb
(1)配列番号1の68番目のイソロイシンのバリンへの置換
(v)配列番号88で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、以下の(7)に記載のアミノ酸置換を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIa
(7)配列番号88の68番目のイソロイシンのバリンへの置換
(vi)上記(iv)または(v)の改良型組換えFcγRIIのアミノ酸配列において、前記(1)または(7)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRII
[3]
以下の(vii)〜(ix)から選択される何れかである、[1]に記載の改良型組換えFcγRII。
(vii)配列番号2から配列番号11のいずれかで示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIb
(viii) 配列番号89で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIa
(ix)上記(vii)または(viii)の改良型組換えFcγRIIのアミノ酸配列において、前記(1)〜(12)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRII
[4] [1]から[3]のいずれかに記載の改良型組換えFcγRIIをコードするDNA。
[5] [4]に記載のDNAを含む組換えベクター。
[6] [5]に記載の組換えベクターで宿主を形質転換した、改良型組換えFcγRIIを生産可能な形質転換体。
[7] 宿主が大腸菌である、[6]に記載の形質転換体。
[8] [6]または[7]に記載の形質転換体を培養することにより改良型組換えFcγRIIbを生産する工程、得られた培養物から生産された改良型組換えFcγRIIを回収する工程、の2つの工程を含む、改良型組換えFcγRIIの製造方法。
[9] [1]から[3]のいずれかに記載の改良型組換えFcγRIIを不溶性担体に固定化して得られる吸着剤。
[10] 抗体を含む溶液を[9]に記載の吸着剤を充填したカラムに添加し当該吸着剤に前記抗体を吸着させる工程、吸着した前記抗体を溶出液を用いて溶出させる工程、の2つの工程を含む、抗体の分離方法。
[1]
以下の(i)〜(iii)から選択される何れかの改良型組換えFcγRII。
(i)配列番号1で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、以下の(1)から(6)に記載のアミノ酸置換のうちいずれか1つ以上を含む、改良型組換えFcγRIIb
(1)配列番号1の68番目のイソロイシンのバリンへの置換
(2)配列番号1の80番目のヒスチジンのグルタミンへの置換
(3)配列番号1の84番目のセリンのトレオニンへの置換
(4)配列番号1の90番目のアスパラギンのトレオニンへの置換
(5)配列番号1の91番目のアスパラギンのセリンへの置換
(6)配列番号1の125番目のヒスチジンのアルギニンへの置換
(ii)配列番号88で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、以下の(7)から(12)に記載のアミノ酸置換のうちいずれか1つ以上を含む、改良型組換えFcγRIIa
(7)配列番号88の68番目のイソロイシンのバリンへの置換
(8)配列番号88の80番目のヒスチジンのグルタミンへの置換
(9)配列番号88の84番目のセリンのトレオニンへの置換
(10)配列番号88の90番目のアスパラギンのトレオニンへの置換
(11)配列番号88の91番目のアスパラギンのセリンへの置換
(12)配列番号88の125番目のヒスチジンのアルギニンへの置換
(iii)上記(i)または(ii)の改良型組換えFcγRIIのアミノ酸配列において、前記(1)〜(12)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRII
[2]
以下の(iv)〜(vi)から選択される何れかの改良型組換えFcγRIIである、[1]に記載の改良型組換えFcγRII。
(iv)配列番号1で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、以下の(1)に記載のアミノ酸置換を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIb
(1)配列番号1の68番目のイソロイシンのバリンへの置換
(v)配列番号88で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、以下の(7)に記載のアミノ酸置換を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIa
(7)配列番号88の68番目のイソロイシンのバリンへの置換
(vi)上記(iv)または(v)の改良型組換えFcγRIIのアミノ酸配列において、前記(1)または(7)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRII
[3]
以下の(vii)〜(ix)から選択される何れかである、[1]に記載の改良型組換えFcγRII。
(vii)配列番号2から配列番号11のいずれかで示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIb
(viii) 配列番号89で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIa
(ix)上記(vii)または(viii)の改良型組換えFcγRIIのアミノ酸配列において、前記(1)〜(12)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRII
[4] [1]から[3]のいずれかに記載の改良型組換えFcγRIIをコードするDNA。
[5] [4]に記載のDNAを含む組換えベクター。
[6] [5]に記載の組換えベクターで宿主を形質転換した、改良型組換えFcγRIIを生産可能な形質転換体。
[7] 宿主が大腸菌である、[6]に記載の形質転換体。
[8] [6]または[7]に記載の形質転換体を培養することにより改良型組換えFcγRIIbを生産する工程、得られた培養物から生産された改良型組換えFcγRIIを回収する工程、の2つの工程を含む、改良型組換えFcγRIIの製造方法。
[9] [1]から[3]のいずれかに記載の改良型組換えFcγRIIを不溶性担体に固定化して得られる吸着剤。
[10] 抗体を含む溶液を[9]に記載の吸着剤を充填したカラムに添加し当該吸着剤に前記抗体を吸着させる工程、吸着した前記抗体を溶出液を用いて溶出させる工程、の2つの工程を含む、抗体の分離方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
1.本発明の改良型組換えFcγRIIb
本発明の改良型組換えFcγRIIbについて以下に述べる。
本発明の改良型組換えFcγRIIbについて以下に述べる。
本願第1発明の改良型組換えFcγRIIbは、(a):配列番号1に示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、前記の置換(1)から置換(6)のうちいずれか1つ以上の置換を含む、または(b):上述の(a)のアミノ酸配列において置換(1)〜(6)により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなるものである。
配列番号1のアミノ酸配列について説明する。配列番号1のアミノ酸配列は、ヒトFcγRIIb(配列番号12、UniProt No.P31994)の細胞外領域に由来した組換えタンパク質(組換えFcγRIIb)のアミノ酸配列である。配列番号1のN末端側1番目のメチオニンから26番目のアラニンまでのアミノ酸配列は大腸菌ペリプラズムへの分泌発現シグナル配列(MalEシグナル配列)であり、27番目のメチオニンから28番目のグリシンまでアミノ酸配列はリンカー配列であり、29番目のトレオニンから201番目のグルタミンまでのアミノ酸配列はヒトFcγRIIb(配列番号12)の細胞外領域のアミノ酸配列(配列番号12に示すアミノ酸配列のN末端側43番目のトレオニンから215番目のグルタミン)に由来する配列であり、202番目のグリシンから203番目のグリシンまでのアミノ酸配列はリンカー配列であり、204番目のヒスチジンから209番目のヒスチジンまでのアミノ酸配列はポリヒスチジン配列である。
前記の置換(1)から置換(6)は、本願第1発明の改良型組換えFcγRIIbの製造において、形質転換体による生産性(発現量)を高める効果がある。そのため、本願第1発明の改良型組換えFcγRIIbの生産性は、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる組換えFcγRIIbの生産性より高い。形質転換体による本願第1発明の改良型組換えFcγRIIbの生産性をより高めるためには、前記の置換(1)から置換(6)の置換を複数有することが好ましく、すべてを有することがより好ましい。
さらに、前記の置換(1)から置換(6)は、本願第1発明の改良型組換えFcγRIIbの熱安定性を高める効果もある。そのため、本願第1発明の改良型組換えFcγRIIbの熱安定性は、配列番号1に示されるアミノ酸配列からなる組換えFcγRIIbの熱安定性より高い。本願第1発明の改良型組換えFcγRIIbの熱安定性をより高めるためには、前記の置換(1)から置換(6)の置換を複数有することが好ましく、すべてを有することがより好ましい
本願第1発明の改良型組換えFcγRIIbの好ましい例として、本願第2発明の改良型FcγRIIb、すなわち(a’):配列番号1に示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、前記(1)の置換を少なくとも含む改良型組換えFcγRIIb、または(b’):上述(a’)の改良型組換えFcγRIIbのアミノ酸配列において、前記(1)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRIIb、を挙げることができる。
本願第1発明の改良型組換えFcγRIIbの好ましい例として、本願第2発明の改良型FcγRIIb、すなわち(a’):配列番号1に示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、前記(1)の置換を少なくとも含む改良型組換えFcγRIIb、または(b’):上述(a’)の改良型組換えFcγRIIbのアミノ酸配列において、前記(1)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRIIb、を挙げることができる。
本願第1発明の改良型組換えFcγRIIbの他の好ましい例として、本願第3発明の改良型組換えFcγRIIb、すなわち(c):
配列番号2(置換(3)を含む)、
配列番号3(置換(6)を含む)、
配列番号4(置換(1)を含む)、
配列番号5(置換(1)、置換(3)および置換(6)を含む)、
配列番号6(置換(1)、置換(3)、置換(5)および置換(6)を含む)、
配列番号7(置換(1)、置換(3)、置換(4)および置換(6)を含む)、
配列番号8(置換(1)、置換(2)、置換(3)および置換(6)を含む)、
配列番号9(置換(1)、置換(2)、置換(3)、置換(5)および置換(6)を含む)、
配列番号10(置換(1)、置換(3)、置換(4)、置換(5)および置換(6)を含む)、ならびに
配列番号11(置換(1)、置換(2)、置換(3)、置換(4)、置換(5)および置換(6)を含む)
のいずれかで示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIb、または(d):上述(c)の改良型組換えFcγRIIbのアミノ酸配列において、前記(1)〜(6)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRIIb、を挙げることができる。
配列番号2(置換(3)を含む)、
配列番号3(置換(6)を含む)、
配列番号4(置換(1)を含む)、
配列番号5(置換(1)、置換(3)および置換(6)を含む)、
配列番号6(置換(1)、置換(3)、置換(5)および置換(6)を含む)、
配列番号7(置換(1)、置換(3)、置換(4)および置換(6)を含む)、
配列番号8(置換(1)、置換(2)、置換(3)および置換(6)を含む)、
配列番号9(置換(1)、置換(2)、置換(3)、置換(5)および置換(6)を含む)、
配列番号10(置換(1)、置換(3)、置換(4)、置換(5)および置換(6)を含む)、ならびに
配列番号11(置換(1)、置換(2)、置換(3)、置換(4)、置換(5)および置換(6)を含む)
のいずれかで示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIb、または(d):上述(c)の改良型組換えFcγRIIbのアミノ酸配列において、前記(1)〜(6)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRIIb、を挙げることができる。
本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbは、そのN末端側に発現用宿主での可溶性発現を促すシグナル配列を有することが好ましい。例えば、宿主が大腸菌である場合は、大腸菌ペリプラズムへの分泌発現シグナル配列を有することが好ましい。大腸菌ペリプラズムへの分泌発現シグナル配列は、MalEシグナル配列などの文献等(例えば、S.H.Yoon等,Recent Pat.Biotechnol.,4,23−29,2010)で公知のものを使用すればよい。ただし、前記の置換(1)から置換(6)による熱安定性を高める効果のみを望む場合は、本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbが、そのN末端側に発現用宿主での可溶性発現を促すシグナル配列を有することは必須ではない。
本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbは、そのIgG結合性が維持される限り、前記の置換(1)から置換(6)により置換された位置以外の領域に(言い換えれば、前記の置換(1)から置換(6)の置換を保持しつつ、更に加えて)、1または複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されていてもよい。例えば、配列番号1のアミノ酸配列における大腸菌ペリプラズムへの分泌発現シグナルであるMalEシグナル配列(場合によって隣接のリンカー配列も含む)に相当する部分をPelB、DsbAまたはTorTなどの他のシグナル配列(S.H.Yoon等,Recent Pat.Biotechnol.,4,23−29,2010)に置換してもよいし、当該MalEシグナル配列に相当する部分を欠失させてもよい。また、例えば、配列番号1のアミノ酸配列におけるポリヒスチジン配列(場合によって隣接のリンカー配列も含む)に相当する部分を他の配列(例えばポリリジン、ポリアルギニン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、配列番号86の200番目のアルギニンから205番目のグリシンまでのアミノ酸残基からなるシステインタグなどのオリゴペプチド)に置換してもよいし、当該ポリヒスチジン配列に相当する部分を欠失させてもよい。さらに、本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbにグルタチオン S−トランスフェラーゼやマルトース結合タンパク質などの他の機能を有するタンパク質のアミノ酸配列を付加して融合タンパク質としてもよい。なお、配列番号1のアミノ酸配列における29番目のトレオニンから201番目のグルタミンまでのアミノ酸残基に相当する部分の、前記の欠失、置換または付加されていてもよいアミノ酸残基数は、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個である。アミノ酸の欠失、置換または付加は、当業者に周知の遺伝子工学的な方法を用いて行なうことができる。
本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIb等のIgG結合性は、Enzyme−linked immunosorbent assay(ELISA)法(例えば、下記のELISA方法1)や表面プラズモン共鳴法(P.Bruhns等,Blood,113,3716−3725,2009)などにより評価することができる。
ELISA方法1について説明する。ELISA方法1ではIgG(化学及血清療法研究所製)を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で10μg/mLの濃度に調整後、それを96穴マイクロプレート(MaxiSorp、Nunc社製)の各ウェルに100μL/wellで添加し、IgGを固定化する(4℃で18時間)。固定化終了後、各ウェルの溶液を捨て、TBS−B緩衝液(137mMのNaClと2.68mMのKClと0.5%(w/v)のBovine serum albuminとを含む20mMのTris−HCl(pH8.0))を各ウェルに添加し、ブロッキングを行なう(30℃で2時)。洗浄緩衝液(0.05%(w/v)のTween20と150mMのNaClを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5))で各ウェルを洗浄後、改良型組換えFcγRIIbを含有するサンプル溶液をウェルに添加し、固定化IgGと反応させる(30℃で1時間半)。反応終了後、洗浄緩衝液で各ウェルを洗浄し、Horseradish Peroxidase標識抗His−Tag抗体試薬(BETHYL社製)(50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で希釈)を各ウェルに添加し、30℃で1時間半反応させる。反応後、洗浄緩衝液で各ウェルの洗浄を行ない、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を各ウェルに添加し、450nmにおける吸光度を測定する。
以下、本願第4発明から本願第8発明について説明する。本願第4発明のDNAは、Polymerase Chain Reaction(PCR)法といったDNA増幅法を利用しヒトFcγRIIbまたは他のFcγR(FcγRIIaやFcγRIIcなど)のcDNA等をもとに改変して作製する方法、ヒトFcγRIIbまたは他のFcγR(FcγRIIaやFcγRIIcなど)のアミノ酸配列から塩基配列に変換し、当該塩基配列を含むDNAを人工的に作製し、それをさらにDNA増幅法を利用し改変して作製する方法、そして例えば配列番号2から配列番号11に記載のアミノ酸配列を塩基配列に変換し、当該塩基配列を含むDNAを人工的に作製する方法等により得ることができる。これらの方法において、アミノ酸配列から塩基配列に変換する際には、本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbの生産に利用する微生物や細胞(宿主)におけるコドンの使用頻度を考慮することが好ましい。一例として、大腸菌を宿主として利用する場合、アルギニン(Arg)ではAGA、AGG、CGGまたはCGAが、イソロイシン(Ile)ではATAが、ロイシン(Leu)ではCTAが、グリシン(Gly)ではGGAが、プロリン(Pro)ではCCCが、それぞれ使用頻度が少ないいわゆるレアコドンであるため、これらのコドン以外のコドンを選択して変換することが好ましい。ちなみに、コドンの使用頻度の解析は、例えば、かずさDNA研究所のホームページにあるCodon Usage Database(http://www.kazusa.or.jp/codon/、アクセス日:2016年6月21日)を利用することにより可能である。
DNA増幅法を用いて本願第4発明のDNAを作製する際は、エラープローンPCR法を用いた変異導入法を利用することができる。エラープローンPCR法における反応条件は、DNAに所望の変異を導入できる条件であれば特に限定はなく、例えば、基質である4種類のデオキシヌクレオチド(dATP/dTTP/dCTP/dGTP)の濃度を不均一にし、MnCl2を0.01から10mM、好ましくは0.1から1mMの濃度でPCR反応液に添加してPCRを行なうことができる。
本願第4発明のDNAとして、具体的に、
配列番号2のアミノ酸配列をコードする配列番号13の塩基配列からなるDNA、
配列番号3のアミノ酸配列をコードする配列番号14の塩基配列からなるDNA、
配列番号4のアミノ酸配列をコードする配列番号15の塩基配列からなるDNA、
配列番号5のアミノ酸配列をコードする配列番号16および17の塩基配列からなるDNA、
配列番号6のアミノ酸配列をコードする配列番号18の塩基配列からなるDNA、
配列番号7のアミノ酸配列をコードする配列番号19の塩基配列からなるDNA、
配列番号8のアミノ酸配列をコードする配列番号20の塩基配列からなるDNA、
配列番号9のアミノ酸配列をコードする配列番号21の塩基配列からなるDNA、
配列番号10のアミノ酸配列をコードする配列番号22の塩基配列からなるDNA、
および配列番号11のアミノ酸配列をコードする配列番号23の塩基配列からなるDNA
を例示することができる。
配列番号2のアミノ酸配列をコードする配列番号13の塩基配列からなるDNA、
配列番号3のアミノ酸配列をコードする配列番号14の塩基配列からなるDNA、
配列番号4のアミノ酸配列をコードする配列番号15の塩基配列からなるDNA、
配列番号5のアミノ酸配列をコードする配列番号16および17の塩基配列からなるDNA、
配列番号6のアミノ酸配列をコードする配列番号18の塩基配列からなるDNA、
配列番号7のアミノ酸配列をコードする配列番号19の塩基配列からなるDNA、
配列番号8のアミノ酸配列をコードする配列番号20の塩基配列からなるDNA、
配列番号9のアミノ酸配列をコードする配列番号21の塩基配列からなるDNA、
配列番号10のアミノ酸配列をコードする配列番号22の塩基配列からなるDNA、
および配列番号11のアミノ酸配列をコードする配列番号23の塩基配列からなるDNA
を例示することができる。
本願第4発明のDNAを用いて宿主を形質転換するには、本発明のDNAそのものを用いて形質転換してもよいが、例えば、原核細胞や真核細胞の形質転換に通常用いるバクテリオファージ、コスミドまたはプラスミドなどを基にしたベクター中の適切な位置に本願第4発明のDNAを挿入して本願第5発明の組換えベクターとし、それを用いて形質転換したほうが、安定した形質転換が実施できる点で好ましい。ここで、適切な位置とは、組換えベクターの複製機能、所望の抗生物質マーカー、および伝達性に関わる領域を破壊しない位置を意味する。またベクターに本願第4発明のDNAを挿入する際は、発現に必要なプロモータといった機能性DNAに連結される状態でベクターに挿入することが好ましい。
本願第5発明において使用するベクターは、宿主内で安定に存在し複製できるものであれば特に制限はなく、例えば大腸菌を宿主とする場合、pETベクター、pUCベクター、pTrcベクター、pCDFベクターおよびpBBRベクター等が例示できる。また本願発明において使用するプロモータとしては、例えば大腸菌を宿主とする場合、trpプロモータ、tacプロモータ、trcプロモータ、lacプロモータ、T7プロモータ、recAプロモータ、lppプロモータ、さらにはλファージのλPLプロモータ、λPRプロモータ等を挙げることができる。
本願第6発明または本願第7発明の形質転換体は、本願第5発明の組換えベクターを用いて宿主を形質転換することで得ることができる。
本願第6発明において使用する宿主に特に制限はないが、遺伝子工学に関する実験が容易な点で大腸菌(本願第7発明の態様)が好ましい。また本願第5発明の組換えベクターを用いて宿主を形質転換するには、当業者が通常用いる方法で行なえばよく、例えば、宿主として大腸菌(大腸菌JM109株、大腸菌BL21(DE3)株、大腸菌NiCo21(DE3)株、大腸菌W3110株等)を選択する場合には、公知の文献(例えば、Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory,256,1992)に記載の方法等を使用することができる。なお、本願第6発明または本願第7発明の形質転換体から適当な抽出方法または市販のキットなどを用いることで、本願第5発明の組換えベクターを抽出することができる。例えば宿主が大腸菌の場合には、アルカリ抽出法またはQIAprep Spin Miniprep kit(商品名、キアゲン社製)等の市販の抽出キットを用いることができる。
本願第8発明は、本願第6発明または本願第7発明の形質転換体を用いて本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbを製造する方法であり、形質転換体を培養することで本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbを生産する工程(以下、第1工程という)、得られた培養物から本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbを回収する工程(以下、第2工程という)の2つの工程を含む。なお本明細書において、培養物とは、培養された形質転換体の細胞自体や細胞分泌物のほか、培養に用いた培地等も含まれる。
本願第8発明における第1工程では、形質転換体をその培養に適した培地で培養すればよい。例えば、宿主として大腸菌を用いた場合(すなわち本願第7発明の態様)では、必要な栄養源を補ったLuria−Bertani(LB)培地を使用することが好ましい。本願第5発明の組換えベクターが薬剤耐性遺伝子を含む場合、その遺伝子に対応した薬剤を培地に添加して第1工程を実施すれば、形質転換体の選択的増殖が可能となり、例えば、当該組換えベクターがカナマイシン耐性遺伝子を含んでいる場合は、培地にカナマイシンを添加することが好ましい。
培地には、炭素、窒素および無機塩供給源の他に、適当な栄養源を添加するが、さらに、本願第6発明または本願第7発明の形質転換体から培養液へのタンパク質分泌を促すためにグリシンなどの試薬を添加してもよい。宿主が大腸菌である(本願第7発明の形質転換体を用いる)場合、添加するグリシン濃度はその増殖に影響を与えない範囲であればよく、好ましくは培地に対して10%(w/v)以下、より好ましくは0.1%(w/v)から2%(w/v)である。培養温度は利用する宿主に関して一般的に知られた温度であればよく、例えば宿主が大腸菌である(本願第7発明の形質転換体を用いる)場合、10℃から40℃、好ましくは20℃から37℃であり、製造しようとする本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbの製造量等を勘案しつつ、適宜決定すればよい。培地のpHは、利用する宿主に関して一般的に知られたpH範囲とすればよく、例えば宿主が大腸菌である(本願第7発明の形質転換体を用いる)場合、pH6.8からpH7.4の範囲、好ましくはpH7.0前後であり、製造しようとする本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbの製造量等を勘案しつつ、適宜決定すればよい。
本願第5発明の組換えベクターに誘導性のプロモータを導入した場合は、本願第1から本願第3発明が良好に製造可能な条件下で培地に誘導剤を添加してその発現を誘導すればよい。好ましい誘導剤としてはisopropyl−β−D−thiogalactopyranoside(IPTG)を例示することができ、その添加濃度は0.005から1.0mMの範囲、好ましくは0.01から0.5mMの範囲である。IPTG添加による発現誘導は、利用する宿主に関して一般的に知られた条件で行なえばよい。
本願第8発明における第2工程では、第1工程で得られた培養物から一般的に知られた回収方法によって本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbを回収する。例えば本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbが培養液中に分泌生産される場合は細胞を遠心分離操作によって分離し、得られる培養上清から本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbを回収すればよく、細胞内(原核生物においてはペリプラズムも含む)に発現する場合は、遠心分離操作により細胞を集めた後、酵素処理剤や界面活性剤等を添加するなどにより細胞を破砕し、細胞破砕液から回収すればよい。
以上説明したように、本願第8発明により、宿主の培養物から本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbを回収することができる。回収された本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIbについて、更に高純度化する場合は、一般的に知られた精製方法を用いればよい。例えば、液体クロマトグラフィーを用いた分離精製を挙げることができるが、その際にはイオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を使用することが好ましく、これらのクロマトグラフィーを複数種組み合わせて精製を行なうことがより好ましい。
本願第1発明から本願第3発明の改良型FcγRIIbを不溶性担体に結合させることで、本願第9発明の吸着剤を製造することができる。前記不溶性担体には特に限定はなく、アガロース、アルギネート(アルギン酸塩)、カラゲナン、キチン、セルロース、デキストリン、デキストラン、デンプンといった多糖質を原料とした担体や、ポリビニルアルコール、ポリメタクレート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリウレタンといった合成高分子を原料とした担体や、シリカなどのセラミックスを原料とした担体が例示できる。中でも、多糖質を原料とした担体や合成高分子を原料とした担体が不溶性担体として好ましい。前記好ましい担体の一例として、トヨパール(東ソー製)等の水酸基を導入したポリメタクリレートゲル、Sepharose(GEヘルスケア製)等のアガロースゲル、セルファイン(JNC製)等のセルロースゲルがあげられる。不溶性担体の形状については特に限定はなく、粒状物または非粒状物、多孔性または非多孔性、いずれであってもよい。
本願第1発明から本願第3発明の改良型FcγRIIbを不溶性担体に固定化するには、不溶性担体にN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)活性化エステル基、エポキシ基、カルボキシル基、マレイミド基、ハロアセチル基、トレシル基、ホルミル基、ハロアセトアミド等の活性基を付与し、当該活性基を介してヒトFc結合性タンパク質と不溶性担体とを共有結合させることで固定化すればよい。活性基を付与した担体は市販の担体をそのまま用いてもよいし、適切な反応条件で担体表面に活性基を導入して調製してもよい。活性基を付与した市販の担体としてはTOYOPEARL AF−Epoxy−650M、TOYOPEARL AF−Tresyl−650M(いずれも東ソー製)、HiTrap NHS−activated HP Columns、NHS−activated Sepharose 4 Fast Flow、Epoxy−activated Sepharose 6B(いずれもGEヘルスケア製)、SulfoLink Coupling Resin(サーモサイエンティフィック製)が例示できる。
一方、担体表面に活性基を導入する方法としては、担体表面に存在する水酸基やエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基等に対して2個以上の活性部位を有する化合物の一方を反応させる方法が例示できる。当該化合物の一例のうち、担体表面の水酸基やアミノ基にエポキシ基を導入する化合物としては、エピクロロヒドリン、エタンジオールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが例示できる。前記化合物により担体表面にエポキシ基を導入した後、担体表面にカルボキシル基を導入する化合物としては、2−メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、4−メルカプト酪酸、6−メルカプト酪酸、グリシン、3−アミノプロピオン酸、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸を例示できる。
担体表面に存在する水酸基やエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基にマレイミド基を導入する化合物としては、N−(ε−マレイミドカプロン酸)ヒドラジド、N−(ε−マレイミドプロピオン酸)ヒドラジド、4−(4−N−マレイミドフェニル)酢酸ヒドラジド、2−アミノマレイミド、3−アミノマレイミド、4−アミノマレイミド、6−アミノマレイミド、1−(4−アミノフェニル)マレイミド、1−(3−アミノフェニル)マレイミド、4−(マレイミド)フェニルイソシアナート、2−マレイミド酢酸、3−マレイミドプロピオン酸、4−マレイミド酪酸、6−マレイミドヘキサン酸、(N−[α―マレイミドアセトキシ])スクシンイミドエステル、(m−マレイミドベンゾイル)N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、(スクシンイミジル−4−[マレイミドメチル])シクロヘキサンー1−カルボニル−[6−アミノヘキサン酸]、(スクシンイミジル−4−[マレイミドメチル])シクロヘキサンー1−カルボン酸、(p−マレイミドベンゾイル)N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、(m−マレイミドベンゾイル)N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを例示できる。
担体表面に存在する水酸基やアミノ基にハロアセチル基を導入する化合物としては、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、クロロ酢酸クロリド、ブロモ酢酸クロリド、ブロモ酢酸ブロミド、クロロ酢酸無水物、ブロモ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、2−(ヨードアセトアミド)酢酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、3−(ブロモアセトアミド)プロピオン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、4−(ヨードアセチル)アミノ安息香酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを例示できる。なお担体表面に存在する水酸基やアミノ基にω−アルケニルアルカングリシジルエーテルを反応させた後、ハロゲン化剤でω−アルケニル部位をハロゲン化し活性化する方法も例示できる。ω−アルケニルアルカングリシジルエーテルとしては、アリルグリシジルエーテル、3−ブテニルグリシジルエーテル、4−ペンテニルグリシジルエーテルを例示でき、ハロゲン化剤としてはN−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミドを例示できる。
担体表面に活性基を導入する方法の別の例として、担体表面に存在するカルボキシル基に対して縮合剤と添加剤を用いて活性化基を導入する方法がある。縮合剤としては1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジアミド、カルボニルジイミダゾールを例示できる。また添加剤としてはN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)、4−ニトロフェノール、1−ヒドロキシベンズトリアゾールを例示できる。
本願第1発明から本願第3発明の改良型FcγRIIbを不溶性担体に固定化する際用いる緩衝液としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、MES(2−Morpholinoethanesulfonic acid)緩衝液、HEPES(4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazineethanesulfonic acid)緩衝液、Tris緩衝液、ホウ酸緩衝液を例示できる。固定化させるときの反応温度は、5℃から50℃までの温度範囲の中から活性基の反応性や本発明のFc結合性タンパク質の安定性を考慮の上、適宜設定すればよく、好ましくは10℃から35℃の範囲である。
本願第9発明の吸着剤を用いて抗体を分離(本願第10発明を実施)するには、例えば、本願第9発明の吸着剤を充填したカラムに抗体を含む緩衝液をポンプ等の送液手段を用いて添加することで、抗体を本願第9発明の吸着剤に特異的に吸着させた後、適切な溶出液をカラムに添加することで、抗体を溶出すればよい。なお、抗体を含む緩衝液をカラムに添加する前に、適切な緩衝液を用いてカラムを平衡化すると、抗体をより高純度に分離できるため好ましい。緩衝液としてはリン酸緩衝液等、無機塩を成分とした緩衝液を例示することができる。なお緩衝液のpHは、pH3から10、好ましくはpH6から9である。本願第8発明の吸着剤に吸着した、抗体を溶出させるには、抗体とリガンド(本発明のFc結合性タンパク質)との相互作用を弱めればよく、具体的には、緩衝液によるpH変化、カウンターペプチド、温度変化、塩濃度変化が例示できる。本願第8発明の吸着剤に吸着した、抗体を溶出させるための溶出液の具体例として、本願第8発明の吸着剤に抗体を吸着させる際に用いた溶液よりも酸性側の緩衝液があげられる。緩衝液の種類としては酸性側に緩衝能を有するクエン酸緩衝液、グリシン塩酸緩衝液、酢酸緩衝液を例示できる。緩衝液のpHは、抗体が有する機能を損なわない範囲で設定すればよく、好ましくはpH2.5から6.0、より好ましくはpH3.0から5.0、さらに好ましくはpH3.3から4.0である。
2.本発明の改良型組換えFcγRIIa
本発明の改良型組換えFcγRIIaについて以下に述べる。
本発明の改良型組換えFcγRIIaについて以下に述べる。
本願第1発明の改良型組換えFcγRIIaは、(a):配列番号88に示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、前記の置換(7)から置換(12)のうちいずれか1つ以上の置換を含む、または(b):上述の(a)のアミノ酸配列において置換(7)〜(12)により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなる、ものである。
配列番号88のアミノ酸配列について説明する。配列番号88のアミノ酸配列は、ヒトFcγRIIa(配列番号90、UniPlot No.P12318−1)の細胞外領域に由来した組換えタンパク質(組換えFcγRIIa)のアミノ酸配列である。配列番号88のN末端側1番目のメチオニンから26番目のアラニンまでのアミノ酸配列は大腸菌ペリプラズムへの分泌発現シグナル配列(MalEシグナル配列)であり、27番目のメチオニンから28番目のグリシンまでアミノ酸配列はリンカー配列であり、29番目のグルタミンから201番目のグルタミンまでのアミノ酸配列はヒトFcγRIIa(配列番号90)の細胞外領域のアミノ酸配列(配列番号90に示すアミノ酸配列のN末端側34番目のグルタミンから206番目のグルタミン)に由来する配列であり、202番目のグリシンから203番目のグリシンまでのアミノ酸配列はリンカー配列であり、204番目のヒスチジンから209番目のヒスチジンまでのアミノ酸配列はポリヒスチジン配列である。
なお、配列番号88のアミノ酸配列の29番目のグルタミンから201番目のグルタミンまでのアミノ酸配列と、配列番号1のアミノ酸配列の29番目のトレオニンから201番目のグルタミンまでのアミノ酸配列の相同性は高く、わずか12アミノ酸残基のみが相違する。具体的な相違箇所は図4に示す。ヒトFcγRIIaとヒトFcγRIIbのアミノ酸配列の保存性は高い。
前記の置換(7)から置換(12)は、本願第1発明の改良型組換えFcγRIIaの製造において、形質転換体による生産性(発現量)を高める効果がある。そのため、本願第1発明の改良型組換えFcγRIIaの生産性は、配列番号88に示されるアミノ酸配列からなる組換えFcγRIIaの生産性より高い。形質転換体による本願第1発明の改良型組換えFcγRIIaの生産性をより高めるためには、前記の置換(7)から置換(12)の置換を複数有することが好ましく、すべてを有することがより好ましい。
さらに、前記の置換(7)から置換(12)は、本願第1発明の改良型組換えFcγRIIaの熱安定性を高める効果もある。そのため、本願第1発明の改良型組換えFcγRIIaの熱安定性は、配列番号88に示されるアミノ酸配列からなる組換えFcγRIIaの熱安定性より高い。本願第1発明の改良型組換えFcγRIIaの熱安定性をより高めるためには、前記の置換(7)から置換(12)の置換を複数有することが好ましく、すべてを有することがより好ましい。
本願第1発明の改良型組換えFcγRIIaの好ましい例として、本願第2発明の改良型FcγRIIa、すなわち(v):配列番号88で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、前記(7)に記載のアミノ酸置換を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIa、または(vi):上述(v)の改良型組換えFcγRIIaのアミノ酸配列において、前記(7)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRIIa、を挙げることができる。
本願第1発明の改良型組換えFcγRIIaの他の好ましい例として、本願第3発明の改良型組換えFcγRIIa、すなわち置換(7)、置換(8)、置換(9)、置換(10)、置換(11)および置換(12)を含む改良型組換えFcγRIIaである、配列番号89で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含む改良型組換えFcγRIIa、を挙げることができる。
本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaは、そのN末端側に発現用宿主での可溶性発現を促すシグナル配列を有することが好ましい。例えば、宿主が大腸菌である場合は、大腸菌ペリプラズムへの分泌発現シグナル配列を有することが好ましい。大腸菌ペリプラズムへの分泌発現シグナル配列は、MalEシグナル配列などの文献等(例えば、S.H.Yoon等,Recent Pat.Biotechnol.,4,23−29,2010)で公知のものを使用すればよい。ただし、前記の置換(7)から置換(12)による熱安定性を高める効果のみを望む場合は、本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaが、そのN末端側に発現用宿主での可溶性発現を促すシグナル配列を有することは必須ではない。
本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaは、そのIgG結合性が維持される限り、前記の置換(7)から置換(12)により置換された位置以外の領域に(言い換えれば、前記の置換(7)から置換(12)の置換を保持しつつ、更に加えて)、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されていてもよい。例えば、配列番号88のアミノ酸配列における大腸菌ペリプラズムへの分泌発現シグナルであるMalEシグナル配列(場合によって隣接のリンカー配列も含む)に相当する部分をPelB、DsbAまたはTorTなどの他のシグナル配列(S.H.Yoon等,Recent Pat.Biotechnol.,4,23−29,2010)に置換してもよいし、当該MalEシグナル配列に相当する部分を欠失させてもよい。また、例えば、配列番号88のアミノ酸配列におけるポリヒスチジン配列(場合によって隣接のリンカー配列も含む)に相当する部分を他の配列(例えばポリリジン、ポリアルギニン、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸、配列番号175の200番目のアルギニンから205番目のグリシンまでのアミノ酸残基からなるシステインタグ、などのオリゴペプチドなど)に置換してもよいし、当該ポリヒスチジン配列に相当する部分を欠失させてもよい。さらに、本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaにグルタチオン S−トランスフェラーゼやマルトース結合タンパク質などの他の機能を有するタンパク質のアミノ酸配列を付加して融合タンパク質としてもよい。なお、配列番号88のアミノ酸配列における29番目のグルタミンから201番目のグルタミンまでのアミノ酸残基に相当する部分の、前記の欠失、置換または付加されていてもよいアミノ酸残基数は、好ましくは1〜10個、さらに好ましくは1〜5個である。アミノ酸の欠失、置換または付加は、当業者に周知の遺伝子工学的な方法を用いて行なうことができる。
本発明の改良型組換えFcγRIIa等のIgG結合性は、Enzyme−linked immunosorbent assay(ELISA)法(例えば、下記のELISA方法1)や表面プラズモン共鳴法(P.Bruhns等,Blood,113,3716−3725,2009)などにより評価することができる。
ELISA方法1について説明する。ELISA方法1ではIgG(化学及血清療法研究所製)を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で10μg/mLの濃度に調整後、それを96穴マイクロプレート(MaxiSorp、Nunc社製)の各ウェルに100μL/wellで添加し、IgGを固定化する(4℃で18時間)。固定化終了後、各ウェルの溶液を捨て、TBS−B緩衝液(137mMのNaClと2.68mMのKClと0.5%(w/v)のBovine serum albuminとを含む20mMのTris−HCl(pH8.0))を各ウェルに添加し、ブロッキングを行なう(30℃で2時間)。洗浄緩衝液(0.05%(w/v)のTween 20と150mMのNaClを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5))で各ウェルを洗浄後、改良型組換えFcγRIIaを含有するサンプル溶液をウェルに添加し、固定化IgGと反応させる(30℃で1時間半)。反応終了後、洗浄緩衝液で各ウェルを洗浄し、Horseradish Peroxidase標識抗His−Tag抗体試薬(BETHYL社製)(50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で希釈)を各ウェルに添加し、30℃で1時間半反応させる。反応後、洗浄緩衝液で各ウェルの洗浄を行ない、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を各ウェルに添加し、450nmにおける吸光度を測定する。
以下、本願第4発明から本願第8発明について説明する。本願第4発明のDNAは、Polymerase Chain Reaction(PCR)法といったDNA増幅法を利用しFcγRIIaまたは他のFcγR(ヒトFcγRIIbやFcγRIIcなど)のcDNA等をもとに改変して作製する方法、ヒトFcγRIIaまたは他のFcγR(FcγRIIbやFcγRIIcなど)のアミノ酸配列から塩基配列に変換し、当該塩基配列を含むDNAを人工的に作製し、それをさらにDNA増幅法を利用し改変して作製する方法、そして例えば配列番号89に記載のアミノ酸配列を塩基配列に変換し、当該塩基配列を含むDNAを人工的に作製する方法等により得ることができる。これらの方法において、アミノ酸配列から塩基配列に変換する際には、本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaの生産に利用する微生物や細胞(宿主)におけるコドンの使用頻度を考慮することが好ましい。一例として、大腸菌を宿主として利用する場合、アルギニン(Arg)ではAGA、AGG、CGGまたはCGAが、イソロイシン(Ile)ではATAが、ロイシン(Leu)ではCTAが、グリシン(Gly)ではGGAが、プロリン(Pro)ではCCCが、それぞれ使用頻度が少ないいわゆるレアコドンであるため、これらのコドン以外のコドンを選択して変換することが好ましい。ちなみに、コドンの使用頻度の解析は、例えば、かずさDNA研究所のホームページにあるCodon Usage Database(http://www.kazusa.or.jp/codon/、アクセス日:2016年6月21日)を利用することにより可能である。
DNA増幅法を用いて本願第4発明のDNAを作製する際は、エラープローンPCR法を用いた変異導入法を利用することができる。エラープローンPCR法における反応条件は、DNAに所望の変異を導入できる条件であれば特に限定はなく、例えば、基質である4種類のデオキシヌクレオチド(dATP/dTTP/dCTP/dGTP)の濃度を不均一にし、MnCl2を0.01から10mM、好ましくは0.1から1mMの濃度でPCR反応液に添加してPCRを行なうことができる。
本願第4発明のDNAとして、具体的に、配列番号89のアミノ酸配列をコードする配列番号91の塩基配列からなるDNAを例示することができる。
本願第4発明のDNAを用いて宿主を形質転換するには、本発明のDNAそのものを用いて形質転換してもよいが、例えば、原核細胞や真核細胞の形質転換に通常用いるバクテリオファージ、コスミドまたはプラスミドなどを基にしたベクター中の適切な位置に本願第4発明のDNAを挿入して本願第5発明の組換えベクターとし、それを用いて形質転換したほうが、安定した形質転換が実施できる点で好ましい。ここで、適切な位置とは、組換えベクターの複製機能、所望の抗生物質マーカー、および伝達性に関わる領域を破壊しない位置を意味する。またベクターに本願第4発明のDNAを挿入する際は、発現に必要なプロモータといった機能性DNAに連結される状態でベクターに挿入することが好ましい。
本願第5発明において使用するベクターは、宿主内で安定に存在し複製できるものであれば特に制限はなく、例えば大腸菌を宿主とする場合、pETベクター、pUCベクター、pTrcベクター、pCDFベクターおよびpBBRベクター等が例示できる。また本願発明において使用するプロモータとしては、例えば大腸菌を宿主とする場合、trpプロモータ、tacプロモータ、trcプロモータ、lacプロモータ、T7プロモータ、recAプロモータ、lppプロモータ、さらにはλファージのλPLプロモータ、λPRプロモータ等を挙げることができる。
本願第6発明または本願第7発明の形質転換体は、本願第5発明の組換えベクターを用いて宿主を形質転換することで得ることができる。
本願第6発明において使用する宿主に特に制限はないが、遺伝子工学に関する実験が容易な点で大腸菌(本願第7発明の態様)が好ましい。また本願第4発明の組換えベクターを用いて宿主を形質転換するには、当業者が通常用いる方法で行なえばよく、例えば、宿主として大腸菌(大腸菌JM109株、大腸菌BL21(DE3)株、大腸菌NiCo21(DE3)株、大腸菌W3110株等)を選択する場合には、公知の文献(例えば、Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Laboratory,256,1992)に記載の方法等を使用することができる。なお、本願第6発明または本願第7発明の形質転換体から適当な抽出方法または市販のキットなどを用いることで、本願第5発明の組換えベクターを抽出することができる。例えば宿主が大腸菌の場合には、アルカリ抽出法またはQIAprep Spin Miniprep kit(商品名、キアゲン社製)等の市販の抽出キットを用いることができる。
本願第8発明は、本願第6発明または本願第7発明の形質転換体を用いて本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaを製造する方法であり、形質転換体を培養することで本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaを生産する工程(以下、第1工程という)、得られた培養物から本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaを回収する工程(以下、第2工程という)の2つの工程を含む。なお本明細書において、培養物とは、培養された形質転換体の細胞自体や細胞分泌物のほか、培養に用いた培地等も含まれる。
本願第8発明における第1工程では、形質転換体をその培養に適した培地で培養すればよい。例えば、宿主として大腸菌を用いた場合(すなわち本願第7発明の態様)では、必要な栄養源を補ったLuria−Bertani(LB)培地を使用することが好ましい。本願第5発明の組換えベクターが薬剤耐性遺伝子を含む場合、その遺伝子に対応した薬剤を培地に添加して第1工程を実施すれば、形質転換体の選択的増殖が可能となり、例えば、当該組換えベクターがカナマイシン耐性遺伝子を含んでいる場合は、培地にカナマイシンを添加することが好ましい。
培地には、炭素、窒素および無機塩供給源の他に、適当な栄養源を添加するが、さらに、本願第6発明または本願第7発明の形質転換体から培養液へのタンパク質分泌を促すためにグリシンなどの試薬を添加してもよい。宿主が大腸菌である(本願第7発明の形質転換体を用いる)場合、添加するグリシン濃度はその増殖に影響を与えない範囲であればよく、好ましくは培地に対して10%(w/v)以下、より好ましくは0.1%(w/v)から2%(w/v)である。培養温度は利用する宿主に関して一般的に知られた温度であればよく、例えば宿主が大腸菌の場合、10℃から40℃、好ましくは20℃から37℃であり、製造しようとする本願第1発明から本願第3発明の製造量等を勘案しつつ、適宜決定すればよい。培地のpHは、利用する宿主に関して一般的に知られたpH範囲とすればよく、例えば宿主が大腸菌である(本願第7発明の形質転換体を用いる)場合、pH6.8からpH7.4の範囲、好ましくはpH7.0前後であり、製造しようとする本願第1発明から本願第3発明の製造量等を勘案しつつ、適宜決定すればよい。
本願第5発明の組換えベクターに誘導性のプロモータを導入した場合は、本願第1発明から本願第3発明が良好に製造可能な条件下で培地に誘導剤を添加してその発現を誘導すればよい。好ましい誘導剤としてはisopropyl−β−D−thiogalactopyranoside(IPTG)を例示することができ、その添加濃度は0.005から1.0mMの範囲、好ましくは0.01から0.5mMの範囲である。IPTG添加による発現誘導は、利用する宿主に関して一般的に知られた条件で行なえばよい。
本願第8発明における第2工程では、第1工程で得られた培養物から一般的に知られた回収方法によって本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaを回収する。例えば本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaが培養液中に分泌生産される場合は細胞を遠心分離操作によって分離し、得られる培養上清から本願
第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaを回収すればよく、細胞内(原核生物においてはペリプラズムも含む)に発現する場合は、遠心分離操作により細胞
集めた後、酵素処理剤や界面活性剤等を添加するなどにより細胞を破砕し、細胞破砕液から回収すればよい。
第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaを回収すればよく、細胞内(原核生物においてはペリプラズムも含む)に発現する場合は、遠心分離操作により細胞
集めた後、酵素処理剤や界面活性剤等を添加するなどにより細胞を破砕し、細胞破砕液から回収すればよい。
以上説明したように、本願第8発明により、宿主の培養物から本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaを回収することができる。回収された本願第1発明から本願第3発明の改良型組換えFcγRIIaについて、更に高純度化する場合は、一般的に知られた精製方法を用いればよい。例えば、液体クロマトグラフィーを用いた分離精製を挙げることができるが、その際にはイオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等を使用することが好ましく、これらのクロマトグラフィーを複数種組み合わせて精製を行なうことがより好ましい。
本願第1発明から本願第3発明の改良型FcγRIIaを不溶性担体に結合させることで、本願第9発明の吸着剤を製造することができる。前記不溶性担体には特に限定はなく、アガロース、アルギネート(アルギン酸塩)、カラゲナン、キチン、セルロース、デキストリン、デキストラン、デンプンといった多糖質を原料とした担体や、ポリビニルアルコール、ポリメタクレート、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリウレタンといった合成高分子を原料とした担体や、シリカなどのセラミックスを原料とした担体が例示できる。中でも、多糖質を原料とした担体や合成高分子を原料とした担体が不溶性担体として好ましい。前記好ましい担体の一例として、トヨパール(東ソー製)等の水酸基を導入したポリメタクリレートゲル、Sepharose(GEヘルスケア製)等のアガロースゲル、セルファイン(JNC製)等のセルロースゲルがあげられる。不溶性担体の形状については特に限定はなく、粒状物または非粒状物、多孔性または非多孔性、いずれであってもよい。
本願第1発明から本願第3発明の改良型FcγRIIaを不溶性担体に固定化するには、不溶性担体にN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)活性化エステル基、エポキシ基、カルボキシル基、マレイミド基、ハロアセチル基、トレシル基、ホルミル基、ハロアセトアミド等の活性基を付与し、当該活性基を介してヒトFc結合性タンパク質と不溶性担体とを共有結合させることで固定化すればよい。活性基を付与した担体は市販の担体をそのまま用いてもよいし、適切な反応条件で担体表面に活性基を導入して調製してもよい。活性基を付与した市販の担体としてはTOYOPEARL AF−Epoxy−650M、TOYOPEARL AF−Tresyl−650M(いずれも東ソー製)、HiTrap NHS−activated HP Columns、NHS−activated Sepharose 4 Fast Flow、Epoxy−activated Sepharose 6B(いずれもGEヘルスケア製)、SulfoLink Coupling Resin(サーモサイエンティフィック製)が例示できる。
一方、担体表面に活性基を導入する方法としては、担体表面に存在する水酸基やエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基等に対して2個以上の活性部位を有する化合物の一方を反応させる方法が例示できる。当該化合物の一例のうち、担体表面の水酸基やアミノ基にエポキシ基を導入する化合物としては、エピクロロヒドリン、エタンジオールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが例示できる。前記化合物により担体表面にエポキシ基を導入した後、担体表面にカルボキシル基を導入する化合物としては、2−メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸、4−メルカプト酪酸、6−メルカプト酪酸、グリシン、3−アミノプロピオン酸、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸を例示できる。
担体表面に存在する水酸基やエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基にマレイミド基を導入する化合物としては、N−(ε−マレイミドカプロン酸)ヒドラジド、N−(ε−マレイミドプロピオン酸)ヒドラジド、4−(4−N−マレイミドフェニル)酢酸ヒドラジド、2−アミノマレイミド、3−アミノマレイミド、4−アミノマレイミド、6−アミノマレイミド、1−(4−アミノフェニル)マレイミド、1−(3−アミノフェニル)マレイミド、4−(マレイミド)フェニルイソシアナート、2−マレイミド酢酸、3−マレイミドプロピオン酸、4−マレイミド酪酸、6−マレイミドヘキサン酸、(N−[α―マレイミドアセトキシ])スクシンイミドエステル、(m−マレイミドベンゾイル)N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、(スクシンイミジル−4−[マレイミドメチル])シクロヘキサンー1−カルボニル−[6−アミノヘキサン酸]、(スクシンイミジル−4−[マレイミドメチル])シクロヘキサンー1−カルボン酸、(p−マレイミドベンゾイル)N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、(m−マレイミドベンゾイル)N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを例示できる。
担体表面に存在する水酸基やアミノ基にハロアセチル基を導入する化合物としては、クロロ酢酸、ブロモ酢酸、ヨード酢酸、クロロ酢酸クロリド、ブロモ酢酸クロリド、ブロモ酢酸ブロミド、クロロ酢酸無水物、ブロモ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、2−(ヨードアセトアミド)酢酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、3−(ブロモアセトアミド)プロピオン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、4−(ヨードアセチル)アミノ安息香酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを例示できる。なお担体表面に存在する水酸基やアミノ基にω−アルケニルアルカングリシジルエーテルを反応させた後、ハロゲン化剤でω−アルケニル部位をハロゲン化し活性化する方法も例示できる。ω−アルケニルアルカングリシジルエーテルとしては、アリルグリシジルエーテル、3−ブテニルグリシジルエーテル、4−ペンテニルグリシジルエーテルを例示でき、ハロゲン化剤としてはN−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミドを例示できる。なお担体表面に存在する水酸基やアミノ基にω−アルケニルアルカングリシジルエーテルを反応させた後、ハロゲン化剤でω−アルケニル部位をハロゲン化し活性化する方法も例示できる。ω−アルケニルアルカングリシジルエーテルとしては、アリルグリシジルエーテル、3−ブテニルグリシジルエーテル、4−ペンテニルグリシジルエーテルを例示でき、ハロゲン化剤としてはN−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−ヨードスクシンイミドを例示できる。
担体表面に活性基を導入する方法の別の例として、担体表面に存在するカルボキシル基に対して縮合剤と添加剤を用いて活性化基を導入する方法がある。縮合剤としては1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、ジシクロヘキシルカルボジアミド、カルボニルジイミダゾールを例示できる。また添加剤としてはN−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)、4−ニトロフェノール、1−ヒドロキシベンズトリアゾールを例示できる。
本願第1発明から本願第3発明の改良型FcγRIIaを不溶性担体に固定化する際用いる緩衝液としては、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、MES(2−Morpholinoethanesulfonic acid)緩衝液、HEPES(4−(2−hydroxyethyl)−1−piperazineethanesulfonic acid)緩衝液、Tris緩衝液、ホウ酸緩衝液を例示できる。固定化させるときの反応温度は、5℃から50℃までの温度範囲の中から活性基の反応性や本発明のFc結合性タンパク質の安定性を考慮の上、適宜設定すればよく、好ましくは10℃から35℃の範囲である。
本願第9発明の吸着剤を用いて抗体を分離(本願第10発明を実施)するには、例えば、本願第9発明の吸着剤を充填したカラムに抗体を含む緩衝液をポンプ等の送液手段を用いて添加することで、抗体を本願第9発明の吸着剤に特異的に吸着させた後、適切な溶出液をカラムに添加することで、抗体を溶出すればよい。なお、抗体を含む緩衝液をカラムに添加する前に、適切な緩衝液を用いてカラムを平衡化すると、抗体をより高純度に分離できるため好ましい。緩衝液としてはリン酸緩衝液等、無機塩を成分とした緩衝液を例示することができる。なお緩衝液のpHは、pH3から10、好ましくはpH6から9である。本願第9発明の吸着剤に吸着した、抗体を溶出させるには、抗体とリガンド(本発明のFc結合性タンパク質)との相互作用を弱めればよく、具体的には、緩衝液によるpH変化、カウンターペプチド、温度変化、塩濃度変化が例示できる。本願第9発明の吸着剤に吸着した、抗体を溶出させるための溶出液の具体例として、本願第9発明の吸着剤に抗体を吸着させる際に用いた溶液よりも酸性側の緩衝液があげられる。緩衝液の種類としては酸性側に緩衝能を有するクエン酸緩衝液、グリシン塩酸緩衝液、酢酸緩衝液を例示できる。緩衝液のpHは、抗体が有する機能を損なわない範囲で設定すればよく、好ましくはpH2.5から6.0、より好ましくはpH3.0から5.0、さらに好ましくはpH3.3から4.0である。
大腸菌宿主により可溶性として発現されることでリフォールディングが不必要であり、なおかつ生産性と熱安定性が高い改良型組換えFcγRIIbおよび改良型FcγRIIa、ならびにそれらの製造方法が提供される。
以下、本発明の実施の形態について、実施例および比較例等を用いて詳細に説明するが、これら例は本発明の一形態を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
実施例1 改良型組換えFcγRIIb−a4F3の作製
(1)改良型組換えFcγRIIb−a4F3をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(3)を含む改良型組換えFcγRIIb−a4F3(配列番号2のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号13)を含むDNAを、下記((1−1)から(1−3))に示すように、まずヒトFcγRIIbのアミノ酸配列から塩基配列へ変換し、次に該塩基配列を含むDNAを作製し、それをさらにDNA増幅法(PCR法およびエラープローンPCR法の二段階)を利用し改変して作製した。
(1)改良型組換えFcγRIIb−a4F3をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(3)を含む改良型組換えFcγRIIb−a4F3(配列番号2のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号13)を含むDNAを、下記((1−1)から(1−3))に示すように、まずヒトFcγRIIbのアミノ酸配列から塩基配列へ変換し、次に該塩基配列を含むDNAを作製し、それをさらにDNA増幅法(PCR法およびエラープローンPCR法の二段階)を利用し改変して作製した。
(1−1)ヒトFcγRIIbのアミノ酸配列から塩基配列への変換および該塩基配列を含むDNA作製
ヒトFcγRIIbのアミノ酸配列(配列番号12)を基にDNAworks法(Nucleic Acid Res.,30,e43頁,2002年)を用いてコドンを大腸菌型に変換し、配列番号24に示すヒトFcγRIIbのアミノ酸配列をコードする塩基配列を設計した。
ヒトFcγRIIbのアミノ酸配列(配列番号12)を基にDNAworks法(Nucleic Acid Res.,30,e43頁,2002年)を用いてコドンを大腸菌型に変換し、配列番号24に示すヒトFcγRIIbのアミノ酸配列をコードする塩基配列を設計した。
配列番号25から配列番号66に示す42種類のオリゴヌクレオチドを使用した二段階のPCRにより、配列番号24に示すヒトFcγRIIbのアミノ酸配列をコードするDNAを作製した。
一段階目のPCRは、表1に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、94℃で5分の熱処理後、94℃で30秒間の第1ステップ、62℃で30秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を25サイクル繰り返した後、72℃で7分処理後に4℃に冷却することで実施した。なお、表1のDNA mixとは、配列番号25から配列番号66に示す42種類のオリゴヌクレオチドをそれぞれ一定量サンプリングし混合した溶液を意味する。
二段階目のPCRは、表2に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、94℃で5分の熱処理後、94℃で30秒間の第1ステップ、65℃で30秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を25サイクル繰り返した後、72℃で7分処理後に4℃に冷却することで実施した。
二段階目のPCR産物を、アガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した(以下、同様の方法での精製をDNA断片精製と略記する)。精製したPCR産物の5’末端をリン酸化し(TaKaRa BKL Kit:タカラバイオ社)、制限酵素SmaIで消化したpUC19プラスミドベクターにライゲーションにより連結し、大腸菌JM109株(タカラバイオ社)を形質転換した。得られた形質転換体を50μg/mLのアンピシリンを添加したLB培地(10g/LのTryptone、5g/LのYeast extract、5g/LのNaCl)で培養し、QIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を用いて抽出することでベクターpUC−FcγRIIbを調製した。
(1−2)DNA増幅法(PCR法)を利用した改変
鋳型DNAとして前記のベクターpUC−FcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号67および配列番号68に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で5分の熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返した後、72℃で5分処理後に4℃に冷却することで実施した。得られたPCR産物をrhFcγRIIb−p1と命名した。
鋳型DNAとして前記のベクターpUC−FcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号67および配列番号68に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で5分の熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返した後、72℃で5分処理後に4℃に冷却することで実施した。得られたPCR産物をrhFcγRIIb−p1と命名した。
DNA断片精製したPCR産物rhFcγRIIb−p1を制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、再度DNA断片精製した。この制限酵素NcoIとHindIIIで消化したPCR産物rhFcγRIIb−p1を、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクター(pETMalE21ベクターはHatayama&Ideが報告した方法(Protein Expr.Purif.,111,1−8,2015)で作製)へライゲーションにより連結することで組換えベクターpET−rhFcγRIIbを作製し、これを用いて大腸菌NiCo21(DE3)株(New England Biolabs社製)を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体rhFcγRIIbと命名した。
形質転換体rhFcγRIIbを50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、QIAprep Spin Miniprep Kitを用いて抽出することで組換えベクターpET−rhFcγRIIbを調製した。
組換えベクターpET−rhFcγRIIbのうち、制限酵素XbaI認識配列からHindIII認識配列までのDNAの塩基配列を配列番号69に示す。配列番号69の5’末端側から50番目のアデニンから676番目のチミンは、配列番号1で示されるアミノ酸配列からなる組換えFcγRIIbをコードする。
(1−3)DNA増幅法(エラープローンPCR法)を利用した改変
エラープローンPCR法を用いて、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードするDNAにランダムに変異を導入した。鋳型DNAとして組換えベクターpET−rhFcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号70および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをそれぞれ用いた。エラープローンPCRは、表4に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、60℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返し、最後に72℃で7分間熱処理することで実施した。得られたPCR産物(改良型組換えFcγRIIb−a4F3をコードする塩基配列を含むDNAが含まれる)をEPと命名した。
エラープローンPCR法を用いて、配列番号1で示されるアミノ酸配列をコードするDNAにランダムに変異を導入した。鋳型DNAとして組換えベクターpET−rhFcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号70および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをそれぞれ用いた。エラープローンPCRは、表4に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、60℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返し、最後に72℃で7分間熱処理することで実施した。得られたPCR産物(改良型組換えFcγRIIb−a4F3をコードする塩基配列を含むDNAが含まれる)をEPと命名した。
DNA断片精製したPCR産物EPを、制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、再度DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結し、これを用いて塩化カルシウム法により大腸菌NiCo21(DE3)株を形質転換した。得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含むLB寒天培地でコロニー形成させた。
(2)改良型組換えFcγRIIb−a4F3をコードするDNAを含む組換えベクターを有する形質転換体の取得
前記のコロニー形成させた形質転換体から、改良型組換えFcγRIIb−a4F3をコードするDNA(配列番号13)を含む組換えベクター(以下、組換えベクターpET−a4F3とする)により形質転換された形質転換体(以下、形質転換体a4F3とする)を選抜し、取得した。すなわち、前記の形質転換体の各コロニー(約1800)を、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地400μLに接種し、96穴ディープウェルプレートを用いて、37℃で好気的に一晩振とう培養した。
前記のコロニー形成させた形質転換体から、改良型組換えFcγRIIb−a4F3をコードするDNA(配列番号13)を含む組換えベクター(以下、組換えベクターpET−a4F3とする)により形質転換された形質転換体(以下、形質転換体a4F3とする)を選抜し、取得した。すなわち、前記の形質転換体の各コロニー(約1800)を、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地400μLに接種し、96穴ディープウェルプレートを用いて、37℃で好気的に一晩振とう培養した。
培養後、20μLの培養液を600μLのLB培地(0.05mMのIPTG、0.3%(w/v)のグリシン、および50μg/mLのカナマイシンを含む)に植え継ぎ、96穴ディープウェルプレートを用いて、さらに20℃で好気的に24時間振とう培養した。培養後、遠心操作により得られる培養上清をサンプル溶液とした。
次いで、50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)を用いて5倍希釈した各サンプル溶液について、それに含まれる可溶性の改良型組換えFcγRIIbの量を前記のELISA方法1の測定値により評価した。このELISA方法1による評価結果から、形質転換体a4F3を選抜し、取得した。
形質転換体a4F3からの組換えベクターpET−a4F3の抽出、ならびに改良型組換えFcγRIIb−a4F3をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は以下に記す組換えベクター抽出方法および配列解析方法をそれぞれ用いて行なった。
組換えベクター抽出方法:形質転換体を培養し(50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地、37℃で一晩、好気的)、QIAprep Spin Miniprep Kitを用いて組換えベクターを抽出した。
配列解析方法:組換えベクターのうち、改良型組換えFcγRIIb−a4F3をコードするDNAおよびその周辺の領域について、チェーンターミネータ法に基づくBig Dye Terminator Cycle Sequencing FS read Reaction kit(PEアプライドバイオシステム社製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーABI Prism 3700 DNA analyzer(PEアプライドバイオシステム社製)にて塩基配列を解析した。なお当該解析の際、配列番号70または配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドのいずれかをシークエンス用プライマーとして使用した。
(3)改良型組換えFcγRIIb−a4F3の製造
形質転換体a4F3を、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地5mLに接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。前培養後、0.01mMのIPTGと50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地20mLに前培養液を1%(v/v)接種し、20℃で24時間、好気的に振とう培養し、改良型組換えFcγRIIb−a4F3を生産させた。
形質転換体a4F3を、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地5mLに接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。前培養後、0.01mMのIPTGと50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地20mLに前培養液を1%(v/v)接種し、20℃で24時間、好気的に振とう培養し、改良型組換えFcγRIIb−a4F3を生産させた。
BugBuster Protein extraction kit(Novagen社製)を用いて、培養液から遠心分離により集菌した菌体から改良型組換えFcγRIIb−a4F3を含む可溶性タンパク質抽出液を回収した。可溶性タンパク質抽出液中の改良型組換えFcγRIIb−a4F3の濃度測定は、以下に記すELISA方法2により行なった。可溶性タンパク質抽出液中の改良型組換えFcγRIIb−a4F3の濃度を基に計算した結果、培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−a4F3の生産性は1.0±0.1mg(n=2、可溶性タンパク質抽出液の回収および測定を2連で実施)であった。
ELISA方法2:抗FcγRIIB/C抗体(Anti−FcγRIIB/C,Mouse−Mono(190710))(R&D Systems社製、カタログ番号BAM18751)を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で1μg/mLの濃度に調整後、それを96穴マイクロプレート(MaxiSorp、Nunc社製)の各ウェルに100μL/wellで添加し、抗FcγRIIB/C抗体を固定化した(4℃で18時間)。固定化終了後、各ウェルの溶液を捨て、TBS−B緩衝液(137mMのNaClと2.68mMのKClと0.5%(w/v)のBovine serum albuminとを含む)を各ウェルに添加し、ブロッキングを行なった(30℃で2時間)。洗浄緩衝液(0.05%(w/v)のTween 20と150mMのNaClを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5))で各ウェルを洗浄後、調製した可溶性タンパク質抽出液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で段階希釈し、それらをウェルに添加して固定化抗FcγRIIB/C抗体と反応させた(30℃で1時間半)。反応終了後、洗浄緩衝液で各ウェルを洗浄し、Horseradish Peroxidase標識抗His−Tag抗体試薬(BETHYL社製)(50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で希釈)を各ウェルに添加し、30℃で1時間半反応させた。反応後、前記洗浄緩衝液で各ウェルの洗浄を行ない、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を各ウェルに添加し、450nmにおける吸光度を測定した。既知濃度の糖鎖付組換えFcγRIIb(CD32b/c,Human,Recombinant,Carrier−free <FcγRIIB/C>)(R&D Systems社製、カタログ番号1875−CD−050)の測定結果を基準として、測定吸光度から可溶性タンパク質抽出液中の改良型組換えFcγRIIbの濃度を決定した。
実施例2 改良型組換えFcγRIIb−a2E2の作製
(1)改良型組換えFcγRIIb−a2E2をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−a2E2(配列番号3のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号14)を含むDNAは、実施例1の(1)に記載の方法と同様の方法で作製した(PCR産物EPには改良型組換えFcγRIIb−a2E2をコードする塩基配列を含むDNAが含まれる)。
(1)改良型組換えFcγRIIb−a2E2をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−a2E2(配列番号3のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号14)を含むDNAは、実施例1の(1)に記載の方法と同様の方法で作製した(PCR産物EPには改良型組換えFcγRIIb−a2E2をコードする塩基配列を含むDNAが含まれる)。
(2)改良型組換えFcγRIIb−a2E2をコードするDNAを含む組換えベクターを有する形質転換体の取得
実施例1の(1−3)に記載のコロニー形成させた形質転換体から、改良型組換えFcγRIIb−a2E2をコードするDNA(配列番号14)を含む組換えベクター(以下、組換えベクターpET−a2E2とする)により形質転換された形質転換体(以下、形質転換体a2E2とする)を選抜し、取得した。この選抜の方法は、実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法で行なった。形質転換体a2E2からの組換えベクターpET−a2E2の抽出と改良型組換えFcγRIIb−a2E2をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
実施例1の(1−3)に記載のコロニー形成させた形質転換体から、改良型組換えFcγRIIb−a2E2をコードするDNA(配列番号14)を含む組換えベクター(以下、組換えベクターpET−a2E2とする)により形質転換された形質転換体(以下、形質転換体a2E2とする)を選抜し、取得した。この選抜の方法は、実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法で行なった。形質転換体a2E2からの組換えベクターpET−a2E2の抽出と改良型組換えFcγRIIb−a2E2をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(3)改良型組換えFcγRIIb−a2E2の製造
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体a2E2を用いた改良型組換えFcγRIIb−a2E2の製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−a2E2の生産性は1.3±0.0mg(n=2)であった。
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体a2E2を用いた改良型組換えFcγRIIb−a2E2の製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−a2E2の生産性は1.3±0.0mg(n=2)であった。
実施例3 改良型組換えFcγRIIb−a15A6の作製
(1)改良型組換えFcγRIIb−a15A6をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)を含む改良型組換えFcγRIIb−a15A6(配列番号4のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号15)を含むDNAは、実施例1の(1)に記載の方法と同様の方法で作製した(PCR産物EPには改良型組換えFcγRIIb−a15A6をコードする塩基配列を含むDNAが含まれる)。
(1)改良型組換えFcγRIIb−a15A6をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)を含む改良型組換えFcγRIIb−a15A6(配列番号4のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号15)を含むDNAは、実施例1の(1)に記載の方法と同様の方法で作製した(PCR産物EPには改良型組換えFcγRIIb−a15A6をコードする塩基配列を含むDNAが含まれる)。
(2)改良型組換えFcγRIIb−a15A6をコードするDNAを含む組換えベクターを有する形質転換体の取得
実施例1の(1−3)に記載のコロニー形成させた形質転換体から、改良型組換えFcγRIIb−a15A6をコードするDNA(配列番号15)を含む組換えベクター(以下、組換えベクターpET−a15A6とする)により形質転換された形質転換体(以下、形質転換体a15A6とする)を選抜し、取得した。この選抜の方法は、実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法で行なった。形質転換体a15A6からの組換えベクターpET−a15A6の抽出と改良型組換えFcγRIIb−a15A6をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
実施例1の(1−3)に記載のコロニー形成させた形質転換体から、改良型組換えFcγRIIb−a15A6をコードするDNA(配列番号15)を含む組換えベクター(以下、組換えベクターpET−a15A6とする)により形質転換された形質転換体(以下、形質転換体a15A6とする)を選抜し、取得した。この選抜の方法は、実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法で行なった。形質転換体a15A6からの組換えベクターpET−a15A6の抽出と改良型組換えFcγRIIb−a15A6をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(3)改良型組換えFcγRIIb−a15A6の製造
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体a15A6を用いた改良型組換えFcγRIIb−a15A6の製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組えFcγRIIb−a15A6の生産性は1.7±0.0mg(n=2)であった。
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体a15A6を用いた改良型組換えFcγRIIb−a15A6の製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組えFcγRIIb−a15A6の生産性は1.7±0.0mg(n=2)であった。
実施例4 改良型組換えFcγRIIb−m3の作製
(1)改良型組換えFcγRIIb−m3をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)、置換(3)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−m3(配列番号5のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号16)を含むDNAは、下記のように作製した。
(1)改良型組換えFcγRIIb−m3をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)、置換(3)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−m3(配列番号5のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号16)を含むDNAは、下記のように作製した。
鋳型DNAとして実施例1の(1−2)に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号70および配列番号72に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm3p1と命名した。
鋳型DNAとして実施例1の(2)に記載の組換えベクターpET−a4F3を、PCRプライマーとして配列番号73および配列番号74に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm3p2と命名した。
鋳型DNAとして実施例1の(1−2)に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号75および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm3p3と命名した。
DNA断片精製したPCR産物m3p1、m3p2およびm3p3を混合後、表6に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表7に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をm3p4と命名した。
PCR産物m3p4を鋳型DNAとし、配列番号70および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をDNA断片精製することで、改良型組換えFcγRIIb−m3をコードする塩基配列(配列番号16)を含むDNAを得た。
(2)改良型組換えFcγRIIb−m3をコードするDNAを含む組換えベクターとそれを有する形質転換体の作製
前記の改良型組換えFcγRIIb−m3をコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−m3とする)を作製した。組換えベクターpET−m3を用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体m3と命名した。
前記の改良型組換えFcγRIIb−m3をコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−m3とする)を作製した。組換えベクターpET−m3を用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体m3と命名した。
形質転換体m3からの組換えベクターpET−m3の抽出と改良型組換えFcγRIIb−m3をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(3)改良型組換えFcγRIIb−m3の製造
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体m3を用いた改良型組換えFcγRIIb−m3の製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−m3の生産性は2.3±0.2mg(n=2)であった。
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体m3を用いた改良型組換えFcγRIIb−m3の製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−m3の生産性は2.3±0.2mg(n=2)であった。
実施例5 改良型組換えFcγRIIb−d10D5の作製
(1)改良型組換えFcγRIIb−d10D5をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)、置換(3)、置換(5)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−d10D5(配列番号6のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号18)を含むDNAは、下記((1−1)と(1−2))に示すように改良型組換えFcγRIIb−m3をコードするDNAを基にDNA増幅法(PCR法およびエラープローンPCR法の二段階)を利用し改変して作製した。
(1)改良型組換えFcγRIIb−d10D5をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)、置換(3)、置換(5)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−d10D5(配列番号6のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号18)を含むDNAは、下記((1−1)と(1−2))に示すように改良型組換えFcγRIIb−m3をコードするDNAを基にDNA増幅法(PCR法およびエラープローンPCR法の二段階)を利用し改変して作製した。
(1−1)DNA増幅法(PCR法)を利用した改変
改良型組換えFcγRIIb−m3のアミノ酸配列の一部(配列番号5のアミノ酸配列のN末端側107番目セリンから109番目プロリンまで)をコードするDNA領域に制限酵素BamHI認識配列を設ける改変を行なった。
改良型組換えFcγRIIb−m3のアミノ酸配列の一部(配列番号5のアミノ酸配列のN末端側107番目セリンから109番目プロリンまで)をコードするDNA領域に制限酵素BamHI認識配列を設ける改変を行なった。
鋳型DNAとして実施例4に記載の組換えベクターpET−m3を、PCRプライマーとして配列番号70および配列番号76に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm3(B)p1と命名した。
鋳型DNAとして実施例4に記載の組換えベクターpET−m3を、PCRプライマーとして配列番号77および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm3(B)p2と命名した。
DNA断片精製したPCR産物m3(B)p1およびm3(B)p2を混合後、表6に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表7に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をm3(B)p3と命名した。
PCR産物m3(B)p3を鋳型DNAとし、配列番号70および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。
得られたPCR産物をDNA断片精製することで、制限酵素BamHI認識配列を有し、かつ実施例4に記載の改良型組換えFcγRIIb−m3と同一のアミノ酸配列をコードした塩基配列(配列番号17)を含むDNAを得た。このDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−m3(B)とする)を作製した。組換えベクターpET−m3(B)を用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体m3(B)と命名した。
形質転換体m3(B)からの組換えベクターpET−m3(B)の抽出と改良型組換えFcγRIIb−m3をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(1−2)DNA増幅法(エラープローンPCR法)を利用した改変
エラープローンPCR法を用いて、改良型組換えFcγRIIb−m3のアミノ酸配列をコードするDNA(配列番号17)にランダムに変異を導入した。鋳型DNAとして組換えベクターpET−m3(B)を、PCRプライマーとして配列番号70および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをそれぞれ用いた。エラープローンPCRは、表4に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、50℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返し、最後に72℃で7分間熱処理することで実施した。得られたPCR産物(改良型組換えFcγRIIb−d10D5をコードする塩基配列を含むDNAも含まれる)をEPm3(B)と命名した。
エラープローンPCR法を用いて、改良型組換えFcγRIIb−m3のアミノ酸配列をコードするDNA(配列番号17)にランダムに変異を導入した。鋳型DNAとして組換えベクターpET−m3(B)を、PCRプライマーとして配列番号70および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをそれぞれ用いた。エラープローンPCRは、表4に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、50℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返し、最後に72℃で7分間熱処理することで実施した。得られたPCR産物(改良型組換えFcγRIIb−d10D5をコードする塩基配列を含むDNAも含まれる)をEPm3(B)と命名した。
DNA断片精製したPCR産物EPm3(B)を、制限酵素NcoIとBamHIで消化後、再度DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとBamHIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結し、これを用いて塩化カルシウム法により大腸菌NiCo21(DE3)株を形質転換した。得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含むLB寒天培地でコロニー形成させた。
(2)改良型組換えFcγRIIb−d10D5をコードするDNAを含む組換えベクターを有する形質転換体の取得
前記のコロニー形成させた形質転換体から、改良型組換えFcγRIIb−d10D5をコードするDNA(配列番号18)を含む組換えベクター(以下、組換えベクターpET−d10D5とする)により形質転換された形質転換体(以下、形質転換体d10D5とする)を選抜し、取得した。すなわち、前記の形質転換体の各コロニー(約1600)を、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地400μLに接種し、96穴ディープウェルプレートを用いて、37℃で好気的に一晩振とう培養した。培養後、20μLの培養液を600μLのLB培地(0.05mMのIPTG、0.3%(w/v)のグリシン、および50μg/mLのカナマイシンを含む)に植え継ぎ、96穴ディープウェルプレートを用いて、さらに20℃で好気的に24時間振とう培養した。培養後、遠心操作により得られる培養上清をサンプル溶液とした。次いで、50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)を用いて5倍希釈した各サンプル溶液について、それに含まれる可溶性の改良型組換えFcγRIIbの量を前記のELISA方法1の測定値により評価した。このELISA方法1による評価結果から、形質転換体d10D5を選抜し、取得した。形質転換体d10D5からの組換えベクターpET−d10D5の抽出と改良型組換えFcγRIIb−d10D5をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
前記のコロニー形成させた形質転換体から、改良型組換えFcγRIIb−d10D5をコードするDNA(配列番号18)を含む組換えベクター(以下、組換えベクターpET−d10D5とする)により形質転換された形質転換体(以下、形質転換体d10D5とする)を選抜し、取得した。すなわち、前記の形質転換体の各コロニー(約1600)を、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地400μLに接種し、96穴ディープウェルプレートを用いて、37℃で好気的に一晩振とう培養した。培養後、20μLの培養液を600μLのLB培地(0.05mMのIPTG、0.3%(w/v)のグリシン、および50μg/mLのカナマイシンを含む)に植え継ぎ、96穴ディープウェルプレートを用いて、さらに20℃で好気的に24時間振とう培養した。培養後、遠心操作により得られる培養上清をサンプル溶液とした。次いで、50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)を用いて5倍希釈した各サンプル溶液について、それに含まれる可溶性の改良型組換えFcγRIIbの量を前記のELISA方法1の測定値により評価した。このELISA方法1による評価結果から、形質転換体d10D5を選抜し、取得した。形質転換体d10D5からの組換えベクターpET−d10D5の抽出と改良型組換えFcγRIIb−d10D5をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(3)改良型組換えFcγRIIb−d10D5の製造
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体d10D5を用いた改良型組換えFcγRIIb−d10D5の製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−d10D5の生産性は2.5±0.1mg(n=2)であった。
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体d10D5を用いた改良型組換えFcγRIIb−d10D5の製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−d10D5の生産性は2.5±0.1mg(n=2)であった。
実施例6 改良型組換えFcγRIIb−d11D7の作製
(1)改良型組換えFcγRIIb−d11D7をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)、置換(3)、置換(4)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−d11D7(配列番号7のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号19)を含むDNAは、実施例5の(1)に記載の方法と同様の方法で作製した(PCR産物EPm3(B)には改良型組換えFcγRIIb−d11D7をコードする塩基配列を含むDNAが含まれる)。
(1)改良型組換えFcγRIIb−d11D7をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)、置換(3)、置換(4)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−d11D7(配列番号7のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号19)を含むDNAは、実施例5の(1)に記載の方法と同様の方法で作製した(PCR産物EPm3(B)には改良型組換えFcγRIIb−d11D7をコードする塩基配列を含むDNAが含まれる)。
(2)改良型組換えFcγRIIb−d11D7をコードするDNAを含む組換えベクターを有する形質転換体の取得
実施例5の(1−2)に記載のコロニー形成させた形質転換体から、改良型組換えFcγRIIb−d11D7をコードするDNA(配列番号19)を含む組換えベクター(以下、組換えベクターpET−d11D7とする)により形質転換された形質転換体(以下、形質転換体d11D7とする)を選抜し、取得した。この選抜の方法は、実施例5の(2)に記載の方法と同様の方法で行なった。形質転換体d11D7からの組換えベクターpET−d11D7の抽出と改良型組換えFcγRIIb−d11D7をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
実施例5の(1−2)に記載のコロニー形成させた形質転換体から、改良型組換えFcγRIIb−d11D7をコードするDNA(配列番号19)を含む組換えベクター(以下、組換えベクターpET−d11D7とする)により形質転換された形質転換体(以下、形質転換体d11D7とする)を選抜し、取得した。この選抜の方法は、実施例5の(2)に記載の方法と同様の方法で行なった。形質転換体d11D7からの組換えベクターpET−d11D7の抽出と改良型組換えFcγRIIb−d11D7をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(3)改良型組換えFcγRIIb−d11D7の製造
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体d11D7を用いた改良型組換えFcγRIIb−d11D7の製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−d11D7の生産性は3.0±0.3mg(n=2)であった。
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体d11D7を用いた改良型組換えFcγRIIb−d11D7の製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−d11D7の生産性は3.0±0.3mg(n=2)であった。
実施例7 改良型組換えFcγRIIb−d6E2の作製
(1)改良型組換えFcγRIIb−d6E2をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)、置換(2)、置換(3)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−d6E2(配列番号8のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号20)を含むDNAは、実施例5の(1)に記載の方法と同様の方法で作製した(PCR産物EPm3(B)には改良型組換えFcγRIIb−d6E2をコードする塩基配列を含むDNAが含まれる)。
(1)改良型組換えFcγRIIb−d6E2をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)、置換(2)、置換(3)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−d6E2(配列番号8のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号20)を含むDNAは、実施例5の(1)に記載の方法と同様の方法で作製した(PCR産物EPm3(B)には改良型組換えFcγRIIb−d6E2をコードする塩基配列を含むDNAが含まれる)。
(2)改良型組換えFcγRIIb−d6E2をコードするDNAを含む組換えベクターを有する形質転換体の取得
実施例5の(1−2)に記載のコロニー形成させた形質転換体から、改良型組換えFcγRIIb−d6E2をコードするDNA(配列番号20)を含む組換えベクター(以下、組換えベクターpET−d6E2とする)により形質転換された形質転換体(以下、形質転換体d6E2とする)を選抜し、取得した。この選抜の方法は、実施例5の(2)に記載の方法と同様の方法で行なった。形質転換体d6E2からの組換えベクターpET−d6E2の抽出と改良型組換えFcγRIIb−d6E2をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
実施例5の(1−2)に記載のコロニー形成させた形質転換体から、改良型組換えFcγRIIb−d6E2をコードするDNA(配列番号20)を含む組換えベクター(以下、組換えベクターpET−d6E2とする)により形質転換された形質転換体(以下、形質転換体d6E2とする)を選抜し、取得した。この選抜の方法は、実施例5の(2)に記載の方法と同様の方法で行なった。形質転換体d6E2からの組換えベクターpET−d6E2の抽出と改良型組換えFcγRIIb−d6E2をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(3)改良型組換えFcγRIIb−d6E2の製造
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体d6E2を用いた改良型組換えFcγRIIb−d6E2の製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−d6E2の生産性は3.4±0.0mg(n=2)であった。
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体d6E2を用いた改良型組換えFcγRIIb−d6E2の製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−d6E2の生産性は3.4±0.0mg(n=2)であった。
実施例8 改良型組換えFcγRIIb−m5bの作製
(1)改良型組換えFcγRIIb−m5bをコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)、置換(2)、置換(3)、置換(5)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−m5b(配列番号9のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号21)を含むDNAは、下記のように作製した。
(1)改良型組換えFcγRIIb−m5bをコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)、置換(2)、置換(3)、置換(5)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−m5b(配列番号9のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号21)を含むDNAは、下記のように作製した。
鋳型DNAとして実施例5に記載の組換えベクターpET−d10D5を、PCRプライマーとして配列番号70および配列番号78に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm5bp1と命名した。
鋳型DNAとして実施例5に記載の組換えベクターpET−d10D5を、PCRプライマーとして配列番号79および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm5bp2と命名した。
DNA断片精製したPCR産物m5bp1とm5bp2を混合後、表6に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を、当該反応液を表7に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をm5bp3と命名した。
PCR産物m5bp3を鋳型DNAとし、配列番号70および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をDNA断片精製することで、改良型組換えFcγRIIb−m5bをコードする塩基配列を含むDNAを得た。
(2)改良型組換えFcγRIIb−m5bをコードするDNAを含む組換えベクターとそれを有する形質転換体の作製
前記の改良型組換えFcγRIIb−m5bをコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−m5bとする)を作製した。組換えベクターpET−m5bを用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体m5bと命名した。
前記の改良型組換えFcγRIIb−m5bをコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−m5bとする)を作製した。組換えベクターpET−m5bを用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体m5bと命名した。
形質転換体m5bからの組換えベクターpET−m5bの抽出と改良型組換えFcγRIIb−m5bをコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(3)改良型組換えFcγRIIb−m5bの製造
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体m5bを用いた改良型
組換えFcγRIIb−m5bの製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−m5bの生産性は3.0±0.9mg(n=2)であった。
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体m5bを用いた改良型
組換えFcγRIIb−m5bの製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−m5bの生産性は3.0±0.9mg(n=2)であった。
実施例9 改良型組換えFcγRIIb−m5cの作製
(1)改良型組換えFcγRIIb−m5cをコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)、置換(3)、置換(4)、置換(5)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−m5c(配列番号10のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号22)を含むDNAは、下記のように作製した。
(1)改良型組換えFcγRIIb−m5cをコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(1)、置換(3)、置換(4)、置換(5)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−m5c(配列番号10のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号22)を含むDNAは、下記のように作製した。
鋳型DNAとして実施例5の(1−1)に記載の組換えベクターpET−m3(B)を、PCRプライマーとして配列番号70および配列番号80に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm5cp1と命名した。
鋳型DNAとして実施例5の(1−1)に記載の組換えベクターpET−m3(B)を、PCRプライマーとして配列番号81および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm5cp2と命名した。
DNA断片精製したPCR産物m5cp1とm5cp2を混合後、表6に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表7に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をm5cp3と命名した。
PCR産物m5cp3を鋳型DNAとし、配列番号70および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をDNA断片精製することで、改良型組換えFcγRIIb−m5cをコードする塩基配列を含むDNAを得た。
(2)改良型組換えFcγRIIb−m5cをコードするDNAを含む組換えベクターとそれを有する形質転換体の作製
前記の改良型組換えFcγRIIb−m5cをコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−m5cとする)を作製した。組換えベクターpET−m5cを用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体m5cと命名した。
前記の改良型組換えFcγRIIb−m5cをコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−m5cとする)を作製した。組換えベクターpET−m5cを用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体m5cと命名した。
形質転換体m5cからの組換えベクターpET−m5cの抽出と改良型組換えFcγRIIb−m5cをコードするDNAおよびその周辺の領域の配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(3)改良型組換えFcγRIIb−m5cの製造
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体m5cを用いた改良型組換えFcγRIIb−m5cの製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−m5cの生産性は3.5±0.6mg(n=2)であった。
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体m5cを用いた改良型組換えFcγRIIb−m5cの製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−m5cの生産性は3.5±0.6mg(n=2)であった。
実施例10 改良型組換えFcγRIIb−m6bの作製
(1)改良型組換えFcγRIIb−m6bをコードする塩基配列を含むDNAの作製 前記の置換(1)、置換(2)、置換(3)、置換(4)、置換(5)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−m6b(配列番号11のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号23)を含むDNAは、下記の方法で作製した。
(1)改良型組換えFcγRIIb−m6bをコードする塩基配列を含むDNAの作製 前記の置換(1)、置換(2)、置換(3)、置換(4)、置換(5)および置換(6)を含む改良型組換えFcγRIIb−m6b(配列番号11のアミノ酸配列)をコードする塩基配列(配列番号23)を含むDNAは、下記の方法で作製した。
鋳型DNAとして実施例9の(1)に記載の改良型組換えFcγRIIb−m5cをコードする塩基配列を含むDNAを、PCRプライマーとして配列番号70および配列番号78に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm6bp1と命名した。
鋳型DNAとして実施例9の(1)に記載の改良型組換えFcγRIIb−m5cをコードする塩基配列を含むDNAを、PCRプライマーとして配列番号79および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm6bp2と命名した。
DNA断片精製したPCR産物m6bp1とm6bp2を混合後、表6に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表7に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をm6bp3と命名した。
PCR産物m6bp3を鋳型DNAとし、配列番号70および配列番号71に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表5に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をDNA断片精製することで、改良型組換えFcγRIIb−m6bをコードする塩基配列を含むDNAを得た。
(2)改良型組換えFcγRIIb−m6bをコードするDNAを含む組換えベクターとそれを有する形質転換体の作製
前記の改良型組換えFcγRIIb−m6bをコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−m6bとする)を作製した。組換えベクターpET−m6bを用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体m6bと命名した。
前記の改良型組換えFcγRIIb−m6bをコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−m6bとする)を作製した。組換えベクターpET−m6bを用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体m6bと命名した。
形質転換体m6bからの組換えベクターpET−m6bの抽出と改良型組換えFcγRIIb−m6bをコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例1の(2)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(3)改良型組換えFcγRIIb−m6bの製造
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体m6bを用いた改良型
組換えFcγRIIb−m6bの製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−m6bの生産性は4.1±0.4mg(n=2)であった。
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体m6bを用いた改良型
組換えFcγRIIb−m6bの製造を行なった。培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIb−m6bの生産性は4.1±0.4mg(n=2)であった。
実施例11 改良型組換えFcγRIIbのIgG結合性
(1)改良型組換えFcγRIIb−a4F3、改良型組換えFcγRIIb−a2E2および改良型組換えFcγRIIb−a15A6のIgG結合性
実施例1に記載の改良型組換えFcγRIIb−a4F3、実施例2に記載の改良型組換えFcγRIIb−a2E2および実施例3に記載の改良型組換えFcγRIIb−a15A6についてIgG結合性の評価を行なった。
(1)改良型組換えFcγRIIb−a4F3、改良型組換えFcγRIIb−a2E2および改良型組換えFcγRIIb−a15A6のIgG結合性
実施例1に記載の改良型組換えFcγRIIb−a4F3、実施例2に記載の改良型組換えFcγRIIb−a2E2および実施例3に記載の改良型組換えFcγRIIb−a15A6についてIgG結合性の評価を行なった。
IgG結合性の評価は、前記のELISA方法1を利用して行なった。具体的には、前記のELISA方法1どおりのIgG固定化ありの条件と、前記のELISA方法1からIgG固定化操作を行なわない変更をしたIgG固定化無しの条件の2条件で実験を行なった(各2連で実験を行なった)。実験では、実施例1から実施例3に記載の各改良型組換えFcγRIIbを含む可溶性タンパク質抽出液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で5倍希釈したものをサンプルとして用いた。
対照として、pETMalE21ベクターで大腸菌NiCo21(DE3)株を形質転換した形質転換体を用いて実施例1の(3)に記載の培養方法と可溶性タンパク質抽出液の調製方法により調製した可溶性タンパク質抽出液(以下、サンプルMalE21とする)と50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)(以下、サンプル緩衝液とする)を用いて同様の実験を行なった。
各改良型組換えFcγRIIbのIgG結合性の評価結果を表8に示す。表8に示すように、各改良型組換えFcγRIIbのサンプルを用いて前記のELISA方法1(IgG固定化ありの条件)の実験を行なった場合でのみ高い検出値が得られた。この結果から、改良型組換えFcγRIIb−a4F3、改良型組換えFcγRIIb−a2E2および改良型組換えFcγRIIb−a15A6はIgG結合性を有することが確認された。
(2)改良型組換えFcγRIIb−m3のIgG結合性
実施例4に記載の改良型組換えFcγRIIb−m3についてIgG結合性の評価を行なった。IgG結合性の評価は、前記の方法と同様に行なった。IgG結合性の評価では、実施例4に記載の改良型組換えFcγRIIb−m3を含む可溶性タンパク質抽出液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で5倍希釈したものをサンプルとして用いた。対照として、前記のサンプル緩衝液を用いて同様の実験を行なった。
実施例4に記載の改良型組換えFcγRIIb−m3についてIgG結合性の評価を行なった。IgG結合性の評価は、前記の方法と同様に行なった。IgG結合性の評価では、実施例4に記載の改良型組換えFcγRIIb−m3を含む可溶性タンパク質抽出液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で5倍希釈したものをサンプルとして用いた。対照として、前記のサンプル緩衝液を用いて同様の実験を行なった。
IgG結合性の評価結果を表9に示す。表9に示すように、改良型組換えFcγRIIb−m3のサンプルを用いて前記のELISA方法1(IgG固定化ありの条件)を行なった場合でのみ高い検出値が得られた。この結果から、改良型組換えFcγRIIb−m3はIgG結合性を有することが確認された。
(3)改良型組換えFcγRIIb−d10D5、改良型組換えFcγRIIb−d11D7および改良型組換えFcγRIIb−d6E2のIgG結合性
実施例5に記載の改良型組換えFcγRIIb−d10D5、実施例6に記載の改良型組換えFcγRIIb−d11D7および実施例7に記載の改良型組換えFcγRIIb−d6E2についてIgG結合性の評価を行なった。IgG結合性の評価は、前記の方法と同様に行なった。IgG結合性の評価では、実施例5から実施例7に記載の各改良型組換えFcγRIIbを含む可溶性タンパク質抽出液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で5倍希釈したものをサンプルとして用いた。対照として、前記のサンプル緩衝液を用いて同様の実験を行なった。
実施例5に記載の改良型組換えFcγRIIb−d10D5、実施例6に記載の改良型組換えFcγRIIb−d11D7および実施例7に記載の改良型組換えFcγRIIb−d6E2についてIgG結合性の評価を行なった。IgG結合性の評価は、前記の方法と同様に行なった。IgG結合性の評価では、実施例5から実施例7に記載の各改良型組換えFcγRIIbを含む可溶性タンパク質抽出液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で5倍希釈したものをサンプルとして用いた。対照として、前記のサンプル緩衝液を用いて同様の実験を行なった。
IgG結合性の評価結果を表10に示す。表10に示すように、各改良型組換えFcγRIIbのサンプルを用いて前記のELISA方法1(IgG固定化ありの条件)を行なった場合でのみ高い検出値が得られた。この結果から、改良型組換えFcγRIIb−d10D5、改良型組換えFcγRIIb−d11D7および改良型組換えFcγRIIb−d6E2はIgG結合性を有することが確認された。
(4)改良型組換えFcγRIIb−m5b、改良型組換えFcγRIIb−m5cおよび改良型組換えFcγRIIb−m6bのIgG結合性
実施例8に記載の改良型組換えFcγRIIb−m5b、実施例9に記載の改良型組換えFcγRIIb−m5cおよび実施例10に記載の改良型組換えFcγRIIb−m6bについてIgG結合性の評価を行なった。IgG結合性の評価は、前記の方法と同様に行なった。IgG結合性の評価では、実施例8から実施例10に記載の各改良型組換えFcγRIIbを含む可溶性タンパク質抽出液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で5倍希釈したものをサンプルとして用いた。対照として、前記のサンプル緩衝液を用いて同様の実験を行なった。IgG結合性の評価結果を表11に示す。表11に示すように、各改良型組換えFcγRIIbのサンプルを用いて前記のELISA方法1(IgG固定化ありの条件)を行なった場合でのみ高い検出値が得られた。この結果から、改良型組換えFcγRIIb−m5b、改良型組換えFcγRIIb−m5cおよび改良型組換えFcγRIIb−m6bはIgG結合性を有することが確認された。
実施例8に記載の改良型組換えFcγRIIb−m5b、実施例9に記載の改良型組換えFcγRIIb−m5cおよび実施例10に記載の改良型組換えFcγRIIb−m6bについてIgG結合性の評価を行なった。IgG結合性の評価は、前記の方法と同様に行なった。IgG結合性の評価では、実施例8から実施例10に記載の各改良型組換えFcγRIIbを含む可溶性タンパク質抽出液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で5倍希釈したものをサンプルとして用いた。対照として、前記のサンプル緩衝液を用いて同様の実験を行なった。IgG結合性の評価結果を表11に示す。表11に示すように、各改良型組換えFcγRIIbのサンプルを用いて前記のELISA方法1(IgG固定化ありの条件)を行なった場合でのみ高い検出値が得られた。この結果から、改良型組換えFcγRIIb−m5b、改良型組換えFcγRIIb−m5cおよび改良型組換えFcγRIIb−m6bはIgG結合性を有することが確認された。
実施例12 改良型組換えFcγRIIbの熱安定性
実施例1に記載の改良型組換えFcγRIIb−a4F3、実施例2に記載の改良型組換えFcγRIIb−a2E2、実施例3に記載の改良型組換えFcγRIIb−a15A6、実施例4に記載の改良型組換えFcγRIIb−m3、実施例5に記載の改良型組換えFcγRIIb−d10D5、実施例6に記載の改良型組換えFcγRIIb−d11D7、実施例7に記載の改良型組換えFcγRIIb−d6E2、実施例8に記載の改良型組換えFcγRIIb−m5b、実施例9に記載の改良型組換えFcγRIIb−m5cおよび実施例10に記載の改良型組換えFcγRIIb−m6bについて熱安定性の評価を行なった。
実施例1に記載の改良型組換えFcγRIIb−a4F3、実施例2に記載の改良型組換えFcγRIIb−a2E2、実施例3に記載の改良型組換えFcγRIIb−a15A6、実施例4に記載の改良型組換えFcγRIIb−m3、実施例5に記載の改良型組換えFcγRIIb−d10D5、実施例6に記載の改良型組換えFcγRIIb−d11D7、実施例7に記載の改良型組換えFcγRIIb−d6E2、実施例8に記載の改良型組換えFcγRIIb−m5b、実施例9に記載の改良型組換えFcγRIIb−m5cおよび実施例10に記載の改良型組換えFcγRIIb−m6bについて熱安定性の評価を行なった。
熱安定性の評価では、実施例1から実施例10に記載の各改良型組換えFcγRIIbを含む可溶性タンパク質抽出液をサンプルとして用いた。各サンプルを50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で200倍希釈し、4℃で30分間の処理、55℃で30分間の熱処理、または60℃で30分間の熱処理を行なった。各処理後のサンプルの改良型組換えFcγRIIb濃度を実施例1の(3)に記載のELISA方法2により測定した。各サンプルについて、4℃で30分間の処理の改良型組換えFcγRIIb濃度を100%として、55℃で30分間の熱処理と60℃で30分間の熱処理の改良型組換えFcγRIIb濃度の割合をそれぞれ算出し、熱処理後の検出率(%)とした。実験は2連で行なった。
各改良型組換えFcγRIIbの熱安定性の評価結果を図1に示す。図1に示すように熱安定性(熱処理後の検出率)は、改良型組換えFcγRIIb−m6bが最も高く、改良型組換えFcγRIIbに存在する前記の置換(1)から置換(6)の数が多いほどその熱安定性が向上する傾向があることがわかる。
比較例1 組換えFcγRIIbの作製
配列番号1で示されるアミノ酸配列からなる組換えFcγRIIbの作製を行なった。
配列番号1で示されるアミノ酸配列からなる組換えFcγRIIbの作製を行なった。
(1)組換えFcγRIIbをコードする塩基配列を含むDNA、組換えベクターpET−rhFcγRIIbおよび形質転換体rhFcγRIIbの作製
実施例1の(1−1)と(1−2)に記載の方法により、組換えFcγRIIb(配列番号1)をコードする塩基配列を含むDNA、組換えベクターpET−rhFcγRIIbおよび形質転換体rhFcγRIIbを作製した。
実施例1の(1−1)と(1−2)に記載の方法により、組換えFcγRIIb(配列番号1)をコードする塩基配列を含むDNA、組換えベクターpET−rhFcγRIIbおよび形質転換体rhFcγRIIbを作製した。
(2)組換えFcγRIIbの製造
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体rhFcγRIIbを用いた組換えFcγRIIの製造を行なった。培養液1Lあたりの組換えFcγRIIbの生産性は0.8±0.0mg(n=2)であった。
実施例1の(3)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体rhFcγRIIbを用いた組換えFcγRIIの製造を行なった。培養液1Lあたりの組換えFcγRIIbの生産性は0.8±0.0mg(n=2)であった。
比較例1に記載の組換えFcγRIIbの生産性および実施例1から実施例10に記載の各改良型組換えFcγRIIbの生産性を表12にまとめて示す。表12に示すように、実施例1から実施例10の各改良型組換えFcγRIIbはいずれも組換えFcγRIIb(比較例1)よりも生産性が高いことがわかる。また、表12に示すように、改良型組換えFcγRIIbに存在する前記の置換(1)から置換(6)の数が多いほどその生産性が向上する傾向があることがわかる。さらに、置換(1)を含む改良型組換えFcγRIIb(実施例4から実施例10に記載の改良型組換えFcγRIIb)は、比較例1の組換えFcγRIIbと比較して、いずれも生産性が2倍以上向上していることから、置換(1)は生産性の向上に特に有用であることがわかる。
比較例2 組換えFcγRIIbの熱安定性
比較例1に記載の組換えFcγRIIbについて熱安定性の評価を行なった。熱安定性の評価では、比較例1に記載の組換えFcγRIIbを含む可溶性タンパク質抽出液をサンプルとして用いた。実験は実施例12に記載の方法と同様の方法で行なった。
比較例1に記載の組換えFcγRIIbについて熱安定性の評価を行なった。熱安定性の評価では、比較例1に記載の組換えFcγRIIbを含む可溶性タンパク質抽出液をサンプルとして用いた。実験は実施例12に記載の方法と同様の方法で行なった。
組換えFcγRIIbの熱安定性の評価結果を図1に示す。図1に示すように、実施例1から実施例10の各改良型組換えFcγRIIbはいずれも組換えFcγRIIb(比較例2)よりも熱安定性(熱処理後の検出率)が高いことがわかる。
実施例13 改良型組換えFcγRIIbの酸安定性
実施例10に記載の改良型組換えFcγRIIb−m6bについて酸安定性の評価を行なった。実施例10に記載の改良型組換えFcγRIIb−m6bを含む可溶性タンパク質抽出液のサンプル溶液を30μg/mLになるよう純水で希釈後、前記希釈したサンプル溶液100μLと0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)200μLとを混合し、30℃でそれぞれ24時間、48時間、72時間静置した。
実施例10に記載の改良型組換えFcγRIIb−m6bについて酸安定性の評価を行なった。実施例10に記載の改良型組換えFcγRIIb−m6bを含む可溶性タンパク質抽出液のサンプル溶液を30μg/mLになるよう純水で希釈後、前記希釈したサンプル溶液100μLと0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)200μLとを混合し、30℃でそれぞれ24時間、48時間、72時間静置した。
グリシン塩酸緩衝液(pH3.0)による酸処理を行なった後のタンパク質の抗体結合活性と、前記酸処理を行なわなかったときのタンパク質の抗体結合活性を、実施例1の(3)に記載のELISA方法2によって測定した。その後、酸処理を行なった場合の抗体結合活性を、酸処理を行なわなかったときの抗体結合活性で除することで、残存活性を算出した。
比較例3 組換えFcγRIIbの酸安定性
比較例1に記載の組換えFcγRIIbについて酸安定性の評価を行なった。酸安定性の評価は、比較例1に記載の組換えFcγRIIbを含む可溶性タンパク質抽出液をサンプルとして用いた他は、実施例13に記載の方法と同様の方法で行なった。
比較例1に記載の組換えFcγRIIbについて酸安定性の評価を行なった。酸安定性の評価は、比較例1に記載の組換えFcγRIIbを含む可溶性タンパク質抽出液をサンプルとして用いた他は、実施例13に記載の方法と同様の方法で行なった。
改良型組換えFcγRIIb−m6b(実施例13)および組換えFcγRIIb(比較例3)の熱安定性の評価結果を合わせて表13に示す。表13に示すように、実施例10に記載の改良型組換えFcγRIIb−m6bは比較例3に記載の組換えFcγRIIbよりも酸安定性(酸処理後の残存活性)が高いことがわかる。以上のことより、前記改良型組換えFcγRIIbは前記組換えFcγRIIbと比較し、熱安定性が向上(実施例12および比較例2)するとともに酸安定性も向上することがわかる。
実施例14 システインタグを付加した改良型組換えFcγRIIb−m6b_Cysの作製
(1)実施例10で作製した配列番号11に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする配列番号23に記載のポリヌクレオチドを含んだ発現ベクターpET−m6bを鋳型としてPCRを実施した。当該PCRにおけるプライマーは、配列番号82(5’−TAGCCATGGGCATGCGTACCGAAGATCTGCCGAAAGC−3’)および配列番号83(5’−CCCAAGCTTATCCGCAGGTATCGTTGCGGCAGCCCTGCACGGTGATAGTAACCGGCTTGCTGCTATA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
(1)実施例10で作製した配列番号11に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする配列番号23に記載のポリヌクレオチドを含んだ発現ベクターpET−m6bを鋳型としてPCRを実施した。当該PCRにおけるプライマーは、配列番号82(5’−TAGCCATGGGCATGCGTACCGAAGATCTGCCGAAAGC−3’)および配列番号83(5’−CCCAAGCTTATCCGCAGGTATCGTTGCGGCAGCCCTGCACGGTGATAGTAACCGGCTTGCTGCTATA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
(2)(1)で得られたポリヌクレオチドを精製し、制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したWO2015/199154号に記載の方法で作製の発現ベクターpTrc−PelBV3にライゲーションし、当該ライゲーション産物を用いて大腸菌W3110株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を100μg/mLのカルベニシリンを含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)を用いて、発現ベクターpTrc−m6b_Cysを得た。
(4)pTrc−m6b_Cysのヌクレオチド配列の解析を、配列番号84(5’−TGTGGTATGGCTGTGCAGG−3’)または配列番号85(5’−TCGGCATGGGGTCAGGTG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをシーケンス用プライマーに使用した以外は、実施例1の(2)と同様の方法で行なった。
発現ベクターpTrc−m6b_Cysで発現されるポリペプチドFcγRIIb−m6b_Cysのアミノ酸配列を配列番号86に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号87にそれぞれ示す。なお配列番号86に記載のアミノ酸配列のうち、1番目のメチオニンから22番目のアラニンまでのアミノ酸残基がPelBシグナルペプチドであり、23番目のメチオニンおよび24番目のグリシンがリンカーであり、25番目のトレオニンから197番目のグルタミンまでのアミノ酸残基が改良型FcγRIIb細胞内領域(配列番号1に記載のアミノ酸配列のうち、29番目のトレオニンから201番目のグルタミンまでのアミノ酸残基に相当)であり、198番目のグリシンおよび199番目のシステインがリンカーであり、200番目のアルギニンから205番目のグリシンまでのアミノ酸残基がシステインタグである。また前記改良型FcγRIIb細胞内領域が有するアミノ酸置換のうち、配列番号11の68番目のバリン(置換(1))は配列番号86では64番目に、配列番号11の80番目のグルタミン(置換(2))は配列番号86では76番目に、配列番号11の84番目のトレオニン(置換(3))は配列番号86では80番目に、配列番号11の90番目のトレオニン(置換(4))は配列番号86では86番目に、配列番号11の91番目のセリン(置換(5))は配列番号86では87番目に、配列番号11の125番目のアルギニン(置換(6))は配列番号86では121番目に、それぞれ相当する。
実施例15 システインタグを付加した改良型組換えFcγRIIb−m6b_Cysの調製
(1)実施例14で作製したシステインタグを付加した改良型組換えFcγRIIb−m6b_Cysを発現する形質転換体を2Lのバッフルフラスコに入った100μg/mLのカルベニシリンを含む400mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(1)実施例14で作製したシステインタグを付加した改良型組換えFcγRIIb−m6b_Cysを発現する形質転換体を2Lのバッフルフラスコに入った100μg/mLのカルベニシリンを含む400mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)グルコース10g/L、酵母エキス20g/L、リン酸三ナトリウム十二水和物3g/L、リン酸水素二ナトリウム十二水和物9g/L、塩化アンモニウム1g/Lおよびカルベニシリン100mg/Lを含む液体培地1.8Lに、(1)の培養液180mLを接種し、3L発酵槽(バイオット製)を用いて本培養を行なった。温度30℃、pH6.9から7.1、通気量1VVM、溶存酸素濃度30%飽和濃度の条件に設定し、本培養を開始した。pHの制御には酸として50%リン酸、アルカリとして14%(w/v)アンモニア水をそれぞれ使用し、溶存酸素の制御は撹拌速度を変化させることで制御し、撹拌回転数は下限500rpm、上限1000rpmに設定した。培養開始後、グルコース濃度が測定できなくなった時点で、流加培地(グルコース248.9g/L、酵母エキス83.3g/L、硫酸マグネシウム七水和物7.2g/L)を溶存酸素(DO)により制御しながら加えた。
(3)菌体量の目安として600nmの吸光度(OD600nm)が約150に達したところで培養温度を25℃に下げ、設定温度に到達したことを確認した後、終濃度が0.5mMになるようIPTGを添加し、引き続き25℃で培養を継続した。
(4)培養開始から約48時間後に培養を停止し、培養液を4℃で8000rpm、20分間の遠心分離により菌体を回収した。
(5)回収した菌体を20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.0)に5mL/1g(菌体)となるように懸濁し、超音波発生装置(インソネーター201M(商品名)、久保田商事製)を用いて、4℃で約10分間、約150Wの出力で菌体を破砕した。菌体破砕液は4℃で20分間、8000rpmの遠心分離を2回行ない、上清を回収した。
(6)(5)で得られた上清を、あらかじめ20mMのリン酸緩衝液(8mMリン酸二水素ナトリウム、12mMリン酸水素二ナトリウム)(pH7.0)で平衡化した140mLのTOYOPEARL CM−650M(東ソー製)を充填したVL32×250カラム(メルクミリポア製)に流速5mL/分でアプライした。平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.5Mの塩化ナトリウムを含む20mMのリン酸緩衝液(pH7.0)で溶出した。
(7)(6)で得られた溶出液を、あらかじめ150mMの塩化ナトリウムを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)で平衡化したIgGセファロース(GEヘルスケア製)90mLを充填したXK26/20カラム(GEヘルスケア製)にアプライした。平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出した。なお溶出液は、溶出液量の1/4量の1MのTris−HCl緩衝液(pH8.0)を加えることでpHを中性付近に戻した。
前記精製により、高純度のシステインタグを付加した改良型組換えFcγRIIb−m6b_Cysを約20mg得た。
実施例16 改良型組換えFcγRIIb−m6b_Cys固定化ゲルの作製と分離性能評価
(1)2mLの分離剤用親水性ビニルポリマー(東ソー製)の表面の水酸基をヨードアセチル基で活性化後、実施例15で調製したシステインタグを付加した改良型組換えFcγRIIb−m6b_Cysを4mg反応させることにより、FcγRIIb−m6b固定化ゲルを得た。
(1)2mLの分離剤用親水性ビニルポリマー(東ソー製)の表面の水酸基をヨードアセチル基で活性化後、実施例15で調製したシステインタグを付加した改良型組換えFcγRIIb−m6b_Cysを4mg反応させることにより、FcγRIIb−m6b固定化ゲルを得た。
(2)(1)で作製したFcγRIIb−m6b固定化ゲル1.2mLをφ4.6mm×75mmのステンレスカラムに充填してFcγRIIb−m6bカラムを作製した。
(3)(2)で作製したFcγRIIb−m6bカラムを高速液体クロマトグラフィー装置(東ソー製)に接続し、50mMのTris−グリシン緩衝液(pH8.5)の平衡化緩衝液で平衡化した。
(4)PBS(Phosphate Buffered Saline)(pH7.4)で1.0mg/mLに希釈したモノクローナル抗体(リツキサン(全薬工業製);ベバシズマブ;インフリキシマブ)およびポリクローナル抗体(ヒト免疫グロブリン)を流速0.6mL/minにて5μL添加した。
(5)流速0.6mL/minのまま平衡化緩衝液で10分洗浄後、50mMのTris−グリシン緩衝液(pH3.0)によるpHグラジエント(30分で50mMのTris−グリシン緩衝液(pH3.0)が100%となるグラジエント)で吸着したモノクローナル抗体を溶出した。
結果(溶出パターン)を図2に示す。図2中、a)はリツキサンを、b)はベバシズマブを、c)はインフリキシマブを、d)はヒト免疫グロブリンを、それぞれFcγRIIb−m6bカラムへアプライしたときの結果である。モノクローナル抗体やポリクローナル抗体の種類が異なると、それぞれの抗体の構造(アミノ酸配列や付加している糖鎖構造)が異なるため、これらの構造の違いがFc結合性タンパク質との相互作用に寄与し、それぞれの抗体ごとに異なるピークに分離されることがわかる。
実施例17 改良型組換えFcγRIIa−m6の作製
(1)改良型組換えFcγRIIa−m6をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(7)、置換(8)、置換(9)、置換(10)、置換(11)および置換(12)を含む改良型組換えFcγRIIa−m6のアミノ酸配列()をコードする塩基配列(配列番号91)を含むDNAは、下記のように作製した。
(1)改良型組換えFcγRIIa−m6をコードする塩基配列を含むDNAの作製
前記の置換(7)、置換(8)、置換(9)、置換(10)、置換(11)および置換(12)を含む改良型組換えFcγRIIa−m6のアミノ酸配列()をコードする塩基配列(配列番号91)を含むDNAは、下記のように作製した。
鋳型DNAとして下記の参考例2に記載の組換えベクターpET−m6bを、PCRプライマーとして配列番号92および配列番号93に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAm6p1と命名した。
鋳型DNAとして下記の参考例2に記載の組換えベクターpET−m6bを、PCRプライマーとして配列番号94および配列番号95に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAm6p2と命名した。
鋳型DNAとして下記の参考例2に記載の組換えベクターpET−m6bを、PCRプライマーとして配列番号96および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAm6p3と命名した。
PCR産物Am6p1、Am6p2とAm6p3は、それぞれアガロースゲルを用いて電気泳動後、目的のPCR産物を含むゲル部分を切り出し、QIAquick Gel extraction kit(キアゲン社製)を用いて抽出することで精製した(以下、同様の方法での精製をDNA断片精製と略記する)。DNA断片精製したPCR産物Am6p1、Am6p2とAm6p3を混合後、表16に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表17に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をAm6p4と命名した。
PCR産物Am6p4を鋳型DNAとし、配列番号92および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAm6p5と命名した。
鋳型DNAとしてDNA断片精製したPCR産物Am6p5を、PCRプライマーとして配列番号92および配列番号98に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAm6p6と命名した。
鋳型DNAとしてDNA断片精製したPCR産物Am6p5を、PCRプライマーとして配列番号99および配列番号100に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAm6p7と命名した。
鋳型DNAとしてDNA断片精製したPCR産物Am6p5を、PCRプライマーとして配列番号101および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAm6p8と命名した。
DNA断片精製したPCR産物Am6p6、Am6p7とAm6p8を混合後、表16に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表17に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をAm6p9と命名した。
PCR産物Am6p9を鋳型DNAとし、配列番号92および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAm6p10と命名した。
鋳型DNAとしてDNA断片精製したPCR産物Am6p10を、PCRプライマーとして配列番号102および配列番号103に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAm6p11と命名した。
鋳型DNAとしてDNA断片精製したPCR産物Am6p10を、PCRプライマーとして配列番号104および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAm6p12と命名した。
DNA断片精製したPCR産物Am6p11とAm6p12を混合後、表16に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表17に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をAm6p13と命名した。
PCR産物Am6p13を鋳型DNAとし、配列番号102および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をDNA断片精製することで、改良型組換えFcγRIIa−m6をコードする塩基配列を含むDNAを得た。
(2)改良型組換えFcγRIIa−m6をコードするDNAを含む組換えベクターとそれを有する形質転換体の作製
前記の改良型組換えFcγRIIa−m6をコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクター(pETMalE21ベクターはHatayama & Ideが報告した方法(Protein Expr.Purif.,111,1−8,2015)で作製)にライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−Am6とする)を作製した。組換えベクターpET−Am6を用いて大腸菌NiCo21(DE3)株(New England Biolabs社製)を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体Am6と命名した。
前記の改良型組換えFcγRIIa−m6をコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクター(pETMalE21ベクターはHatayama & Ideが報告した方法(Protein Expr.Purif.,111,1−8,2015)で作製)にライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−Am6とする)を作製した。組換えベクターpET−Am6を用いて大腸菌NiCo21(DE3)株(New England Biolabs社製)を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体Am6と命名した。
形質転換体Am6からの組換えベクターpET−Am6の抽出、ならびに改良型組換えFcγRIIa−m6をコードするDNAおよびその周辺の領域の塩基配列の確認は以下に記す組換えベクター抽出方法および配列解析方法をそれぞれ用いて行なった。
組換えベクター抽出方法:形質転換体を培養し(50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地(10g/LのTryptone、5g/LのYeast extract、5g/LのNaCl)、37℃で一晩、好気的)、QIAprep Spin Miniprep Kitを用いて組換えベクターを抽出した。
配列解析方法:組換えベクターのうち、改良型組換えFcγRIIa−m6をコードするDNAおよびその周辺の領域について、チェーンターミネータ法に基づくBig Dye Terminator Cycle Sequencing FS read Reaction kit(PEアプライドバイオシステム社製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーABI Prism 3700 DNA analyzer(PEアプライドバイオシステム社製)にて塩基配列を解析した。なお当該解析の際、配列番号92または配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドのいずれかをシークエンス用プライマーとして使用した。
(3)改良型組換えFcγRIIa−m6の製造
形質転換体Am6を、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地5mLに接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。前培養後、0.01mMのIPTGと50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地20mLに前培養液を1%(v/v)接種し、20℃で24時間、好気的に振とう培養し、改良型組換えFcγRIIa−m6を生産させた。
形質転換体Am6を、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地5mLに接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。前培養後、0.01mMのIPTGと50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地20mLに前培養液を1%(v/v)接種し、20℃で24時間、好気的に振とう培養し、改良型組換えFcγRIIa−m6を生産させた。
BugBuster Protein extraction kit(Novagen社製)を用いて、培養液から遠心分離により集菌した菌体から改良型組換えFcγRIIa−m6を含む可溶性タンパク質抽出液を回収した。可溶性タンパク質抽出液中の改良型組換えFcγRIIa−m6の濃度測定は、以下に記すELISA方法2により行なった。可溶性タンパク質抽出液中の改良型組換えFcγRIIa−m6の濃度を基に計算した結果、培養液1Lあたりの改良型組換えFcγRIIa−m6の生産性は4.7±0.1mg(n=2、可溶性タンパク質抽出液の回収および測定を2連で実施)であった。
ELISA方法2:抗FcγRIIa抗体(Human FcγRIIA/CD32a Antibody)(R&D Systems社製、カタログ番号AF1875)を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で1μg/mLの濃度に調整後、それを96穴マイクロプレート(MaxiSorp、Nunc社製)の各ウェルに100μL/wellで添加し、抗FcγRIIa抗体を固定化した(4℃で18時間)。固定化終了後、各ウェルの溶液を捨て、TBS−B緩衝液(137mMのNaClと2.68mMのKClと0.5%(w/v)のBovine serum albuminとを含む20mMのTris−HCl(pH8.0))を各ウェルに添加し、ブロッキングを行なった(30℃で2時間)。洗浄緩衝液(0.05%(w/v)のTween 20と150mMのNaClを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.5))で各ウェルを洗浄後、調製した可溶性タンパク質抽出液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で段階希釈し、それらをウェルに添加して固定化抗FcγRIIa抗体と反応させた(30℃で1時間半)。反応終了後、洗浄緩衝液で各ウェルを洗浄し、Horseradish Peroxidase標識抗His−Tag抗体試薬(BETHYL社製)(50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で希釈)を各ウェルに添加し、30℃で1時間半反応させた。反応後、前記洗浄緩衝液で各ウェルの洗浄を行ない、TMB Peroxidase Substrate(KPL社製)を各ウェルに添加し、450nmにおける吸光度を測定した。既知濃度の糖鎖付組換えFcγRIIa(Recombinant Human Fc gamma RIIA/CD32a(R167) Protein,CF)(R&D Systems社製、カタログ番号1330−CD−050/CF)の測定結果を基準として、測定吸光度から可溶性タンパク質抽出液中の改良型組換えFcγRIIa−m6の濃度を決定した。
実施例18 改良型組換えFcγRIIa−m6のIgG結合性
実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6についてIgG結合性の評価を行なった。
実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6についてIgG結合性の評価を行なった。
IgG結合性の評価は、前記のELISA方法1を利用して行なった。具体的には、前記のELISA方法1どおりのIgG固定化ありの条件と、前記のELISA方法1からIgG固定化操作を行なわない変更をしたIgG固定化無しの条件の2条件で実験を行なった(各2連で実験を行なった)。実験では、実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6を含む可溶性タンパク質抽出液を50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で5倍希釈したものをサンプルとして用いた。
対照として、50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)(以下、サンプル緩衝液とする)を用いて同様の実験を行なった。
改良型組換えFcγRIIa−m6のIgG結合性の評価結果を表18に示す。表18に示すように、改良型組換えFcγRIIa−m6のサンプルを用いて前記のELISA方法1(IgG固定化ありの条件)の実験を行なった場合でのみ高い検出値が得られた。この結果から、改良型組換えFcγRIIa−m6はIgG結合性を有することが確認された。
実施例19 改良型組換えFcγRIIa−m6の熱安定性
実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6について熱安定性の評価を行なった。
実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6について熱安定性の評価を行なった。
熱安定性の評価では、実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6を含む可溶性タンパク質抽出液をサンプルとして用いた。サンプルを50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)で200倍希釈し、4℃で30分間の処理または50℃で30分間の熱処理を行なった。各処理後のサンプルについて改良型組換えFcγRIIa−m6の濃度を実施例17の(9)に記載のELISA方法2により測定した。4℃で30分間の処理の改良型組換えFcγRIIa−m6の濃度を100%として、50℃で30分間の熱処理の改良型組換えFcγRIIa−m6の濃度の割合を算出し、熱処理後の検出率(%)とした。実験は2連で行なった。その結果、改良型組換えFcγRIIa−m6の50℃で30分間の熱処理後の検出率(%)は86±9%(n=2)であった。
比較例4 組換えFcγRIIaの作製
配列番号88で示されるアミノ酸配列からなる組換えFcγRIIaの作製を行なった。
(1)組換えFcγRIIaをコードする塩基配列(配列番号105)を含むDNAの作製
鋳型DNAとして下記の参考例1に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号92および配列番号93に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAp1と命名した。
配列番号88で示されるアミノ酸配列からなる組換えFcγRIIaの作製を行なった。
(1)組換えFcγRIIaをコードする塩基配列(配列番号105)を含むDNAの作製
鋳型DNAとして下記の参考例1に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号92および配列番号93に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAp1と命名した。
鋳型DNAとして下記の参考例1に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号94および配列番号95に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAp2と命名した。
鋳型DNAとして下記の参考例1に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号96および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAp3と命名した。
DNA断片精製したPCR産物Ap1、Ap2とAp3を混合後、表16に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表17に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をAp4と命名した。
PCR産物Ap4を鋳型DNAとし、配列番号92および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAp5と命名した。
鋳型DNAとしてDNA断片精製したPCR産物Ap5を、PCRプライマーとして配列番号92および配列番号98に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAp6と命名した。
鋳型DNAとしてDNA断片精製したPCR産物Ap5を、PCRプライマーとして配列番号99および配列番号100に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAp7と命名した。
鋳型DNAとしてDNA断片精製したPCR産物Ap5を、PCRプライマーとして配列番号101および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAp8と命名した。
DNA断片精製したPCR産物Ap6、Ap7とAp8を混合後、表16に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表17に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をAp9と命名した。
PCR産物Ap9を鋳型DNAとし、配列番号92および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAp10と命名した。
鋳型DNAとしてDNA断片精製したPCR産物Ap10を、PCRプライマーとして配列番号102および配列番号103に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAp11と命名した。
鋳型DNAとしてDNA断片精製したPCR産物Ap10を、PCRプライマーとして配列番号104および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をAp12と命名した。
DNA断片精製したPCR産物Ap11とAp12を混合後、表16に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表17に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をAp13と命名した。
PCR産物Ap13を鋳型DNAとし、配列番号102および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をDNA断片精製することで、組換えFcγRIIaをコードする塩基配列を含むDNAを得た。
(2)組換えFcγRIIaをコードするDNAを含む組換えベクターとそれを有する形質転換体の作製
前記の組換えFcγRIIaをコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−rhFcγRIIaとする)を作製した。組換えベクターpET−rhFcγRIIaを用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体rhFcγRIIaと命名した。
前記の組換えFcγRIIaをコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−rhFcγRIIaとする)を作製した。組換えベクターpET−rhFcγRIIaを用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体rhFcγRIIaと命名した。
形質転換体rhFcγRIIaからの組換えベクターpET−rhFcγRIIaの抽出ならびに組換えFcγRIIaをコードするDNAおよびその周辺の領域の配列の確認は実施例17の(8)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(3)組換えFcγRIIaの製造
実施例17の(9)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体rhFcγRIIaを用いた組換えFcγRIIaの製造を行なった。培養液1Lあたりの組換えFcγRIIaの生産性は1.5±0.4mg(n=2)であった。この結果と実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6の生産性の結果を表19にまとめて示す。表19に示すように、実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6は組換えFcγRIIaよりも生産性が高いことがわかる。すなわち、改良型組換えFcγRIIa−m6は前記の置換(7)から置換(12)を有することで生産性(発現量)が向上したことがわかる。
実施例17の(9)に記載の方法と同様の方法により、形質転換体rhFcγRIIaを用いた組換えFcγRIIaの製造を行なった。培養液1Lあたりの組換えFcγRIIaの生産性は1.5±0.4mg(n=2)であった。この結果と実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6の生産性の結果を表19にまとめて示す。表19に示すように、実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6は組換えFcγRIIaよりも生産性が高いことがわかる。すなわち、改良型組換えFcγRIIa−m6は前記の置換(7)から置換(12)を有することで生産性(発現量)が向上したことがわかる。
比較例5
比較例4に記載の組換えFcγRIIaについて熱安定性の評価を行なった。熱安定性の評価では、比較例4に記載の組換えFcγRIIaを含む可溶性タンパク質抽出液をサンプルとして用いた。実験は実施例19に記載の方法と同様の方法で行なった。その結果、組換えFcγRIIaの50℃で30分間の熱処理後の検出率(%)は66±4%(n=2)であった。
比較例4に記載の組換えFcγRIIaについて熱安定性の評価を行なった。熱安定性の評価では、比較例4に記載の組換えFcγRIIaを含む可溶性タンパク質抽出液をサンプルとして用いた。実験は実施例19に記載の方法と同様の方法で行なった。その結果、組換えFcγRIIaの50℃で30分間の熱処理後の検出率(%)は66±4%(n=2)であった。
実施例19に記載のように改良型組換えFcγRIIa−m6の50℃で30分間の熱処理後の検出率は86±9%(n=2)であり、組換えFcγRIIaより熱安定性が高いことがわかる。すなわち、改良型組換えFcγRIIa−m6は前記の置換(7)から置換(12)を有することで熱安定性が向上したことがわかる。
参考例1 組換えベクターpET−rhFcγRIIbの作製
比較例4に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbの作製について以下に記載する。なお、組換えベクターpET−rhFcγRIIbは配列番号106で示されるアミノ酸配列からなる組換えFcγRIIbの発現に用いる組換えベクターである。
比較例4に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbの作製について以下に記載する。なお、組換えベクターpET−rhFcγRIIbは配列番号106で示されるアミノ酸配列からなる組換えFcγRIIbの発現に用いる組換えベクターである。
ヒトFcγRIIbのアミノ酸配列(配列番号107)を基にDNAworks法(Nucleic Acid Res.,30,e43,2002)を用いてコドンを大腸菌型に変換し、配列番号108に示すヒトFcγRIIbのアミノ酸配列をコードする塩基配列を設計した。
配列番号109から配列番号150に示す42種類のオリゴヌクレオチドを使用した二段階のPCRにより、配列番号108に示すヒトFcγRIIbのアミノ酸配列をコードするDNAを作製した。
一段階目のPCRは、表20に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、94℃で5分の熱処理後、94℃で30秒間の第1ステップ、62℃で30秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を25サイクル繰り返した後、72℃で7分処理後に4℃に冷却することで実施した。なお、表20のDNA mixとは、配列番号109から配列番号150に示す42種類のオリゴヌクレオチドをそれぞれ一定量サンプリングし混合した溶液を意味する。
二段階目のPCRは、表21に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、94℃で5分の熱処理後、94℃で30秒間の第1ステップ、65℃で30秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を25サイクル繰り返した後、72℃で7分処理後に4℃に冷却することで実施した。
DNA断片精製した二段階目のPCR産物の5’末端をリン酸化し(TaKaRa BKL Kit:タカラバイオ社)、制限酵素SmaIで消化したpUC19プラスミドベクターにライゲーションにより連結し、大腸菌JM109株(タカラバイオ社)を形質転換した。得られた形質転換体を50μg/mLのアンピシリンを添加したLB培地で培養し、QIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を用いて抽出することでベクターpUC−FcγRIIbを調製した。
鋳型DNAとして前記のベクターpUC−FcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号151および配列番号152に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を、98℃で5分の熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返した後、72℃で5分処理後に4℃に冷却することで実施した。得られたPCR産物をrhFcγRIIb−p1と命名した。DNA断片精製したPCR産物rhFcγRIIb−p1を制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、再度DNA断片精製した。この制限酵素NcoIとHindIIIで消化したPCR産物rhFcγRIIb−p1を、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクター(pETMalE21ベクターはHatayama & Ideが報告した方法(Protein Expr.Purif.,111,1−8,2015)で作製)へライゲーションにより連結することで組換えベクターpET−rhFcγRIIbを作製し、これを用いて大腸菌NiCo21(DE3)株(New England Biolabs社製)を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体rhFcγRIIbと命名した。形質転換体rhFcγRIIbを50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養し、QIAprep Spin Miniprep Kitを用いて抽出することで組換えベクターpET−rhFcγRIIbを調製した。
組換えベクターpET−rhFcγRIIbのうち、制限酵素XbaI認識配列からHindIII認識配列までのDNAの塩基配列を配列番号153に示す。配列番号153の5’末端側から50番目のアデニンから676番目のチミンは、配列番号106で示されるアミノ酸配列からなる組換えFcγRIIbをコードする。
参考例2 組換えベクターpET−m6bの作製
実施例17に記載の組換えベクターpET−m6bの作製について以下に記載する。組換えベクターpET−m6bはDNA増幅法(PCR法およびエラープローンPCR法)を利用して、参考例1に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbを基に、組換えベクターpET−a4F3、組換えベクターpET−m3、組換えベクターpET−m3(B)、組換えベクターpET−m6bの順に改変して作製した。
実施例17に記載の組換えベクターpET−m6bの作製について以下に記載する。組換えベクターpET−m6bはDNA増幅法(PCR法およびエラープローンPCR法)を利用して、参考例1に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbを基に、組換えベクターpET−a4F3、組換えベクターpET−m3、組換えベクターpET−m3(B)、組換えベクターpET−m6bの順に改変して作製した。
(1)組換えベクターpET−a4F3の作製
組換えベクターpET−a4F3を下記の方法で作製した。なお、組換えベクターpET−a4F3は配列番号154で示されるアミノ酸配列からなる改良型組換えFcγRIIb−a4F3の発現に用いる組換えベクターである。
組換えベクターpET−a4F3を下記の方法で作製した。なお、組換えベクターpET−a4F3は配列番号154で示されるアミノ酸配列からなる改良型組換えFcγRIIb−a4F3の発現に用いる組換えベクターである。
鋳型DNAとして参考例1に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号92および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをそれぞれ用いてエラープローンPCRを行なった。エラープローンPCRは、表22に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、60℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返し、最後に72℃で7分間熱処理することで実施した。得られたPCR産物をEPと命名した。
DNA断片精製したPCR産物EPを、制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、再度DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結し、これを用いて塩化カルシウム法により大腸菌NiCo21(DE3)株を形質転換した。得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含むLB寒天培地でコロニー形成させた。前記の形質転換体の各コロニー(約1800)を、50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地400μLに接種し、96穴ディープウェルプレートを用いて、37℃で好気的に一晩振とう培養した。培養後、20μLの培養液を600μLのLB培地(0.05mMのIPTG、0.3%(w/v)のグリシン、および50μg/mLのカナマイシンを含む)に植え継ぎ、96穴ディープウェルプレートを用いて、さらに20℃で好気的に24時間振とう培養した。培養後、遠心操作により得られる培養上清をサンプル溶液とした。次いで、50mMのTris−HCl緩衝液(pH8.0)を用いて5倍希釈した各サンプル溶液について、それに含まれる可溶性の改良型組換えFcγRIIbの量を前記のELISA方法1(改良型組換えFcγRIIaを含有するサンプル溶液の代わりに前記の遠心操作により得られる培養上清のサンプル溶液を使用)の測定値により評価した。このELISA方法1による評価結果から、形質転換体(以下、形質転換体a4F3とする)を選抜し、取得した。
形質転換体a4F3からの組換えベクターpET−a4F3の抽出と改良型組換えFcγRIIb−a4F3(配列番号154)をコードするDNA(配列番号155)およびその周辺の領域の配列の確認は実施例17の(8)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(2)組換えベクターpET−m3の作製
組換えベクターpET−m3を下記の方法で作製した。なお、組換えベクターpET−m3は配列番号156で示されるアミノ酸配列からなる改良型組換えFcγRIIb−m3の発現に用いる組換えベクターである。
組換えベクターpET−m3を下記の方法で作製した。なお、組換えベクターpET−m3は配列番号156で示されるアミノ酸配列からなる改良型組換えFcγRIIb−m3の発現に用いる組換えベクターである。
鋳型DNAとして参考例1に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号92および配列番号157に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm3p1と命名した。
鋳型DNAとして前記の組換えベクターpET−a4F3を、PCRプライマーとして配列番号158および配列番号159に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm3p2と命名した。
鋳型DNAとして参考例1に記載の組換えベクターpET−rhFcγRIIbを、PCRプライマーとして配列番号160および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm3p3と命名した。
DNA断片精製したPCR産物m3p1、m3p2およびm3p3を混合後、表16に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表17に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm3p4と命名した。
PCR産物m3p4を鋳型DNAとし、配列番号92および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をDNA断片精製することで、改良型組換えFcγRIIb−m3をコードする塩基配列を含むDNAを得た。
前記の改良型組換えFcγRIIb−m3をコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−m3とする)を作製した。組換えベクターpET−m3を用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体m3と命名した。
形質転換体m3からの組換えベクターpET−m3の抽出と改良型組換えFcγRIIb−m3(配列番号156)をコードするDNA(配列番号161)およびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例17の(8)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(3)組換えベクターpET−m3(B)の作製
組換えベクターpET−m3(B)を下記の方法で作製した。なお、組換えベクターpET−m3(B)は配列番号156で示されるアミノ酸配列からなる改良型組換えFcγRIIb−m3の発現に用いる組換えベクターである。組換えベクターpET−m3(B)は、組換えベクターpET−m3を基に、改良型組換えFcγRIIb−m3のアミノ酸配列の一部(配列番号156のアミノ酸配列のN末端側107番目セリンから109番目プロリンまで)をコードするDNA領域に制限酵素BamHI認識配列を設ける改変を行なったものである。
組換えベクターpET−m3(B)を下記の方法で作製した。なお、組換えベクターpET−m3(B)は配列番号156で示されるアミノ酸配列からなる改良型組換えFcγRIIb−m3の発現に用いる組換えベクターである。組換えベクターpET−m3(B)は、組換えベクターpET−m3を基に、改良型組換えFcγRIIb−m3のアミノ酸配列の一部(配列番号156のアミノ酸配列のN末端側107番目セリンから109番目プロリンまで)をコードするDNA領域に制限酵素BamHI認識配列を設ける改変を行なったものである。
鋳型DNAとして前記の組換えベクターpET−m3を、PCRプライマーとして配列番号92および配列番号162に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm3(B)p1と命名した。
鋳型DNAとして前記の組換えベクターpET−m3を、PCRプライマーとして配列番号163および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm3(B)p2と命名した。
DNA断片精製したPCR産物m3(B)p1およびm3(B)p2を混合後、表16に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表17に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をm3(B)p3と命名した。
PCR産物m3(B)p3を鋳型DNAとし、配列番号92および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をDNA断片精製することで、制限酵素BamHI認識配列を有し、かつ前記の改良型組換えFcγRIIb−m3と同一のアミノ酸配列をコードした塩基配列を含むDNAを得た。このDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−m3(B)とする)を作製した。組換えベクターpET−m3(B)を用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体m3(B)と命名した。
形質転換体m3(B)からの組換えベクターpET−m3(B)の抽出と改良型組換えFcγRIIb−m3(配列番号156)をコードするDNA(配列番号164)およびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例17の(8)に記載の方法と同様の方法により行なった。
(4)組換えベクターpET−m6bの作製
組換えベクターpET−m6bを下記の方法で作製した。なお、組換えベクターpET−m6bは配列番号165で示されるアミノ酸配列からなる改良型組換えFcγRIIb−m6bの発現に用いる組換えベクターである。
組換えベクターpET−m6bを下記の方法で作製した。なお、組換えベクターpET−m6bは配列番号165で示されるアミノ酸配列からなる改良型組換えFcγRIIb−m6bの発現に用いる組換えベクターである。
鋳型DNAとして前記の組換えベクターpET−m3(B)を、PCRプライマーとして配列番号92および配列番号166に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm5cp1と命名した。
鋳型DNAとして前記の組換えベクターpET−m3(B)を、PCRプライマーとして配列番号167および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm5cp2と命名した。
DNA断片精製したPCR産物m5cp1とm5cp2を混合後、表16に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表17に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をm5cp3と命名した。
PCR産物m5cp3を鋳型DNAとし、配列番号92および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をDNA断片精製し、m5cp4と命名した。
鋳型DNAとして前記のPCR産物m5cp4を、PCRプライマーとして配列番号92および配列番号168に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm6bp1と命名した。
鋳型DNAとして前記のPCR産物m5cp4を、PCRプライマーとして配列番号169および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを、それぞれ用いてPCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をm6bp2と命名した。
DNA断片精製したPCR産物m6bp1とm6bp2を混合後、表16に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を表17に示す条件で反応させることでPCRを実施した。得られたPCR産物をm6bp3と命名した。
PCR産物m6bp3を鋳型DNAとし、配列番号92および配列番号97に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを実施した。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を表15に示す条件で反応させることで実施した。得られたPCR産物をDNA断片精製することで、改良型組換えFcγRIIb−m6bをコードする塩基配列を含むDNAを得た。
前記の改良型組換えFcγRIIb−m6bをコードする塩基配列を含むDNAを制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、DNA断片精製し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したpETMalE21ベクターにライゲーションにより連結して組換えベクター(以下、組換えベクターpET−m6bとする)を作製した。組換えベクターpET−m6bを用いて大腸菌NiCo21(DE3)株を塩化カルシウム法により形質転換した。得られた形質転換体を形質転換体m6bと命名した。
形質転換体m6bからの組換えベクターpET−m6bの抽出と改良型組換えFcγRIIb−m6bをコードするDNA(配列番号170)およびその周辺の領域の塩基配列の確認は実施例17の(8)に記載の方法と同様の方法により行なった。
実施例20 改良型組換えFcγRIIaの酸安定性
実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6について酸安定性の評価を行なった。
実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6について酸安定性の評価を行なった。
実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIa−m6を含む可溶性タンパク質抽出液のサンプル溶液を30μg/mLになるよう純水で希釈後、前記希釈したサンプル溶液100μLと0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)200μLとを混合し、30℃でそれぞれ24時間、48時間、72時間静置した。
グリシン塩酸緩衝液(pH3.0)による酸処理を行なった後のタンパク質の抗体結合活性と、前記酸処理を行なわなかったときのタンパク質の抗体結合活性を、実施例17の(9)に記載のELISA方法2によって測定した。その後、酸処理を行なった場合の抗体結合活性を、酸処理を行なわなかったときの抗体結合活性で除することで、残存活性を算出した。
比較例6 組換えFcγRIIaの酸安定性
比較例4に記載の組換えFcγRIIaについて酸安定性の評価を行なった。酸安定性の評価は、比較例4に記載の組換えFcγRIIaを含む可溶性タンパク質抽出液をサンプルとして用いた他は、実施例20に記載の方法と同様の方法で行なった。
比較例4に記載の組換えFcγRIIaについて酸安定性の評価を行なった。酸安定性の評価は、比較例4に記載の組換えFcγRIIaを含む可溶性タンパク質抽出液をサンプルとして用いた他は、実施例20に記載の方法と同様の方法で行なった。
改良型組換えFcγRIIa(実施例20)および組換えFcγRIIa(比較例6)の酸安定性の評価結果を合わせて表23に示す。表23に示すように、実施例17に記載の改良型組換えFcγRIIaは比較例4に記載の組換えFcγRIIaよりも酸安定性(酸処理後の残存活性)が高いことがわかる。以上のことより、前記改良型組換えFcγRIIaは前記組換えFcγRIIaと比較し、熱安定性が向上(実施例19および比較例5比較例5)するとともに酸安定性も向上することがわかる。
実施例21 システインタグを付加した改良型組換えFcγRIIa−m6_Cysの作製
(1)実施例17で作製した配列番号89に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする配列番号91に記載のポリヌクレオチドを含んだ発現ベクターpET−Am6を鋳型としてPCRを実施した。当該PCRにおけるプライマーは、配列番号171(5’−TAGCCATGGGCATGCGTACCGAAGATCTGCCGAAAGC−3’)および配列番号172(5’−CCCAAGCTTATCCGCAGGTATCGTTGCGGCAGCCCTGCACGGTGATAGTAACCGGCTTGCTGCTATA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
(1)実施例17で作製した配列番号89に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする配列番号91に記載のポリヌクレオチドを含んだ発現ベクターpET−Am6を鋳型としてPCRを実施した。当該PCRにおけるプライマーは、配列番号171(5’−TAGCCATGGGCATGCGTACCGAAGATCTGCCGAAAGC−3’)および配列番号172(5’−CCCAAGCTTATCCGCAGGTATCGTTGCGGCAGCCCTGCACGGTGATAGTAACCGGCTTGCTGCTATA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、表14に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
(2)(1)で得られたポリヌクレオチドを精製し、制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化したWO2015/199154号に記載の方法で作製の発現ベクターpTrc−PelBV3にライゲーションし、当該ライゲーション産物を用いて大腸菌W3110株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を100μg/mLのカルベニシリンを含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)を用いて、発現ベクターpTrc−Am6_Cysを得た。
(4)pTrc−Am6_Cysのヌクレオチド配列の解析を、配列番号173(5’−TGTGGTATGGCTGTGCAGG−3’)または配列番号174(5’−TCGGCATGGGGTCAGGTG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをシーケンス用プライマーに使用した以外は、実施例17の(2)と同様の方法で行なった。
発現ベクターpTrc−Am6_Cysで発現されるポリペプチドFcγRIIa−Am6_Cysのアミノ酸配列を配列番号175に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号176にそれぞれ示す。なお配列番号175に記載のアミノ酸配列のうち、1番目のメチオニンから22番目のアラニンまでのアミノ酸残基がPelBシグナルペプチドであり、23番目のメチオニンおよび24番目のグリシンがリンカーであり、25番目のグルタミンから197番目のグルタミンまでのアミノ酸残基が改良型FcγRIIa細胞内領域(配列番号89に記載のアミノ酸配列のうち、29番目のグルタミンから201番目のグルタミンまでのアミノ酸残基に相当)であり、198番目のグリシンおよび199番目のシステインがリンカーであり、200番目のアルギニンから205番目のグリシンまでのアミノ酸残基がシステインタグである。また前記改良型FcγRIIa細胞内領域が有するアミノ酸置換のうち、配列番号89の68番目のバリン(置換(7))は配列番号175では64番目に、配列番号89の80番目のグルタミン(置換(8))は配列番号175では76番目に、配列番号89の84番目のトレオニン(置換(9))は配列番号175では80番目に、配列番号89の90番目のトレオニン(置換(10))は配列番号175では86番目に、配列番号89の91番目のセリン(置換(11))は配列番号175では87番目に、配列番号89の125番目のアルギニン(置換(12))は配列番号175では121番目に、それぞれ相当する。
実施例22 システインタグを付加した改良型組換えFcγRIIa−Am6_Cysの調製
(1)実施例21で作製したシステインタグを付加した改良型組換えFcγRIIa−Am6_Cysを発現する形質転換体を2Lのバッフルフラスコに入った100μg/mLのカルベニシリンを含む400mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(1)実施例21で作製したシステインタグを付加した改良型組換えFcγRIIa−Am6_Cysを発現する形質転換体を2Lのバッフルフラスコに入った100μg/mLのカルベニシリンを含む400mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)グルコース10g/L、酵母エキス20g/L、リン酸三ナトリウム十二水和物3g/L、リン酸水素二ナトリウム十二水和物9g/L、塩化アンモニウム1g/Lおよびカルベニシリン100mg/Lを含む液体培地1.8Lに、(7)の培養液180mLを接種し、3L発酵槽(バイオット製)を用いて本培養を行なった。温度30℃、pH6.9から7.1、通気量1VVM、溶存酸素濃度30%飽和濃度の条件に設定し、本培養を開始した。pHの制御には酸として50%リン酸、アルカリとして14%(w/v)アンモニア水をそれぞれ使用し、溶存酸素の制御は撹拌速度を変化させることで制御し、撹拌回転数は下限500rpm、上限1000rpmに設定した。培養開始後、グルコース濃度が測定できなくなった時点で、流加培地(グルコース248.9g/L、酵母エキス83.3g/L、硫酸マグネシウム七水和物7.2g/L)を溶存酸素(DO)により制御しながら加えた。
(3)菌体量の目安として600nmの吸光度(OD600nm)が約150に達したところで培養温度を25℃に下げ、設定温度に到達したことを確認した後、終濃度が0.5mMになるようIPTGを添加し、引き続き25℃で培養を継続した。
(4)培養開始から約48時間後に培養を停止し、培養液を4℃で8000rpm、20分間の遠心分離により菌体を回収した。
(5)回収した菌体を20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.0)に5mL/1g(菌体)となるように懸濁し、超音波発生装置(インソネーター201M(商品名)、久保田商事製)を用いて、4℃で約10分間、約150Wの出力で菌体を破砕した。菌体破砕液は4℃で20分間、8000rpmの遠心分離を2回行ない、上清を回収した。
(6)(5)で得られた上清を、あらかじめ20mMのリン酸緩衝液(8mMリン酸二水素ナトリウム、12mMリン酸水素二ナトリウム)(pH7.0)で平衡化した140mLのTOYOPEARL CM−650M(東ソー製)を充填したVL32×250カラム(メルクミリポア製)に流速5mL/分でアプライした。平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.5Mの塩化ナトリウムを含む20mMのリン酸緩衝液(pH7.0)で溶出した。
(7)(6)で得られた溶出液を、あらかじめ150mMの塩化ナトリウムを含む20mMのTris−HCl緩衝液(pH7.4)で平衡化したIgGセファロース(GEヘルスケア製)90mLを充填したXK26/20カラム(GEヘルスケア製)にアプライした。平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出した。なお溶出液は、溶出液量の1/4量の1MのTris−HCl緩衝液(pH8.0)を加えることでpHを中性付近に戻した。
前記精製により、高純度のシステインタグを付加した改良型組換えFcγRIIa−Am6_Cysを約20mg得た。
実施例23 改良型組換FcγRIIa−Am6_Cys固定化ゲルの作製と分離性能評価
(1)2mLの分離剤用親水性ビニルポリマー(東ソー製)の表面の水酸基をヨードアセチル基で活性化後、実施例22で調製したシステインタグを付加した改良型組換えFcγRIIa−Am6_Cysを4mg反応させることにより、FcγRIIa−Am6固定化ゲルを得た。
(1)2mLの分離剤用親水性ビニルポリマー(東ソー製)の表面の水酸基をヨードアセチル基で活性化後、実施例22で調製したシステインタグを付加した改良型組換えFcγRIIa−Am6_Cysを4mg反応させることにより、FcγRIIa−Am6固定化ゲルを得た。
(2)(1)で作製したFcγRIIa−Am6固定化ゲル1.2mLをφ4.6mm×75mmのステンレスカラムに充填してFcγRIIa−Am6カラムを作製した。
(3)(2)で作製したFcγRIIa−Am6カラムを高速液体クロマトグラフィー装置(東ソー製)に接続し、50mMのTris−グリシン緩衝液(pH8.5)の平衡化緩衝液で平衡化した。
(4)PBS(Phosphate Buffered Saline)(pH7.4)で1.0mg/mLに希釈したモノクローナル抗体(リツキサン(全薬工業製);ベバシズマブ;インフリキシマブ)およびポリクローナル抗体(ヒト免疫グロブリン)を流速0.6mL/minにて5μL添加した。
(5)流速0.6mL/minのまま平衡化緩衝液で10分洗浄後、50mMのTris−グリシン緩衝液(pH3.0)によるpHグラジエント(30分で50mMのTris−グリシン緩衝液(pH3.0)が100%となるグラジエント)で吸着したモノクローナル抗体を溶出した。
結果(溶出パターン)を図3に示す。図3中、a)はリツキサンを、b)はベバシズマブを、c)はインフリキシマブを、d)はヒト免疫グロブリンを、それぞれFcγRIIa−Am6カラムへアプライしたときの結果である。モノクローナル抗体やポリクローナル抗体の種類が異なると、それぞれの抗体の構造(アミノ酸配列や付加している糖鎖構造)が異なるため、これらの構造の違いがFc結合性タンパク質との相互作用に寄与し、それぞれの抗体ごとに異なるピークに分離されることがわかる。
本発明の改良型組換えFcγRIIbおよびFcγRIIaは、診断薬を含む医薬品、生化学試薬およびIgGを精製または分析するためのアフィニティークロマトグラフィー用のリガンドとして有
用である。
用である。
Claims (10)
- 以下の(i)〜(iii)から選択される何れかの改良型組換えFcγRII。
(i)配列番号1で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、以下の(1)から(6)に記載のアミノ酸置換のうちいずれか1つ以上を含む、改良型組換えFcγRIIb
(1)配列番号1の68番目のイソロイシンのバリンへの置換
(2)配列番号1の80番目のヒスチジンのグルタミンへの置換
(3)配列番号1の84番目のセリンのトレオニンへの置換
(4)配列番号1の90番目のアスパラギンのトレオニンへの置換
(5)配列番号1の91番目のアスパラギンのセリンへの置換
(6)配列番号1の125番目のヒスチジンのアルギニンへの置換
(ii)配列番号88で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、以下の(7)から(12)に記載のアミノ酸置換のうちいずれか1つ以上を含む、改良型組換えFcγRIIa
(7)配列番号88の68番目のイソロイシンのバリンへの置換
(8)配列番号88の80番目のヒスチジンのグルタミンへの置換
(9)配列番号88の84番目のセリンのトレオニンへの置換
(10)配列番号88の90番目のアスパラギンのトレオニンへの置換
(11)配列番号88の91番目のアスパラギンのセリンへの置換
(12)配列番号88の125番目のヒスチジンのアルギニンへの置換
(iii)上記(i)または(ii)の改良型組換えFcγRIIのアミノ酸配列において、前記(1)〜(12)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRII - 以下の(iv)〜(vi)から選択される何れかの改良型組換えFcγRIIである、請求項1に記載の改良型組換えFcγRII。
(iv)配列番号1で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、以下の(1)に記載のアミノ酸置換を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIb
(1)配列番号1の68番目のイソロイシンのバリンへの置換
(v)配列番号88で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含み、ただし当該29番目から201番目までのアミノ酸残基において、以下の(7)に記載のアミノ酸置換を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIa
(7)配列番号88の68番目のイソロイシンのバリンへの置換
(vi)上記(iv)または(v)の改良型組換えFcγRIIのアミノ酸配列において、前記(1)または(7)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRII - 以下の(vii)〜(ix)から選択される何れかである、請求項1に記載の改良型組換えFcγRII。
(vii)配列番号2から配列番号11のいずれかで示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIb
(viii) )配列番号89で示されるアミノ酸配列のうち29番目から201番目までのアミノ酸残基を少なくとも含む、改良型組換えFcγRIIa
(ix)上記(vii)または(viii)の改良型組換えFcγRIIのアミノ酸配列において、前記(1)〜(12)の置換により置換された位置以外の領域に1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、かつIgG結合性を有する改良型組換えFcγRII - 請求項1から3のいずれかに記載の改良型組換えFcγRIIをコードするDNA。
- 請求項4に記載のDNAを含む組換えベクター。
- 請求項5に記載の組換えベクターで宿主を形質転換した、改良型組換えFcγRIIを生産可能な形質転換体。
- 宿主が大腸菌である、請求項6に記載の形質転換体。
- 請求項6または7に記載の形質転換体を培養することにより改良型組換えFcγRIIbを生産する工程、得られた培養物から生産された改良型組換えFcγRIIを回収する工程、の2つの工程を含む、改良型組換えFcγRIIの製造方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載の改良型組換えFcγRIIを不溶性担体に固定化して得られる吸着剤。
- 抗体を含む溶液を請求項9に記載の吸着剤を充填したカラムに添加し当該吸着剤に前記抗体を吸着させる工程、吸着した前記抗体を溶出液を用いて溶出させる工程、の2つの工程を含む、抗体の分離方法。
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