JP2016169197A - 改良Fc結合性タンパク質、当該タンパク質の製造方法および当該タンパク質を用いた抗体吸着剤 - Google Patents
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Abstract
Description
(A)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において以下の(1)から(84)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質。
(1)配列番号37の45番目のフェニルアラニンがイソロイシンまたはロイシンに置換
(2)配列番号37の55番目のグルタミン酸がグリシンに置換
(3)配列番号37の64番目のグルタミンがアルギニンに置換
(4)配列番号37の67番目のチロシンがセリンに置換
(5)配列番号37の77番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(6)配列番号37の93番目のアスパラギン酸がグリシンに置換
(7)配列番号37の98番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(8)配列番号37の106番目のグルタミンがアルギニンに置換
(9)配列番号37の128番目のグルタミンがロイシンに置換
(10)配列番号37の133番目のバリンがグルタミン酸に置換
(11)配列番号37の135番目のリジンがアスパラギンまたはグルタミン酸に置換
(12)配列番号37の156番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(13)配列番号37の158番目のロイシンがグルタミンに置換
(14)配列番号37の187番目のフェニルアラニンがセリンに置換
(15)配列番号37の191番目のロイシンがアルギニンに置換
(16)配列番号37の196番目のアスパラギンがセリンに置換
(17)配列番号37の204番目のイソロイシンがバリンに置換
(18)配列番号37の34番目のメチオニンがイソロイシン、リジンまたはスレオニンに置換
(19)配列番号37の37番目のグルタミン酸がグリシンまたはリジンに置換
(20)配列番号37の39番目のロイシンがメチオニンまたはアルギニンに置換
(21)配列番号37の49番目のグルタミンがプロリンに置換
(22)配列番号37の62番目のリジンがイソロイシンまたはグルタミン酸に置換
(23)配列番号37の64番目のグルタミンがトリプトファンに置換
(24)配列番号37の67番目のチロシンがヒスチジンまたはアスパラギンに置換
(25)配列番号37の70番目のグルタミン酸がグリシンまたはアスパラギン酸に置換
(26)配列番号37の72番目のアスパラギンがセリンまたはイソロイシンに置換
(27)配列番号37の77番目のフェニルアラニンがロイシンに置換
(28)配列番号37の80番目のグルタミン酸がグリシンに置換
(29)配列番号37の81番目のセリンがアルギニンに置換
(30)配列番号37の83番目のイソロイシンがロイシンに置換
(31)配列番号37の84番目のセリンがプロリンに置換
(32)配列番号37の85番目のセリンがアスパラギンに置換
(33)配列番号37の87番目のアラニンがスレオニンに置換
(34)配列番号37の90番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(35)配列番号37の91番目のフェニルアラニンがアルギニンに置換
(36)配列番号37の93番目のアスパラギン酸がバリンまたはグルタミン酸に置換
(37)配列番号37の94番目のアラニンがグルタミン酸に置換
(38)配列番号37の97番目のバリンがメチオニンとグルタミン酸に置換
(39)配列番号37の98番目のアスパラギン酸がアラニンに置換
(40)配列番号37の102番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
(41)配列番号37の106番目のグルタミンがロイシンに置換
(42)配列番号37の109番目のロイシンがグルタミンに置換
(43)配列番号37の117番目のグルタミンがロイシンに置換
(44)配列番号37の119番目のグルタミン酸がバリンに置換
(45)配列番号37の121番目のヒスチジンがアルギニンに置換
(46)配列番号37の130番目のプロリンがロイシンに置換
(47)配列番号37の135番目のリジンがチロシンに置換
(48)配列番号37の136番目のグルタミン酸がバリンに置換
(49)配列番号37の141番目のヒスチジンがグルタミンに置換
(50)配列番号37の146番目のセリンがスレオニンに置換
(51)配列番号37の154番目のリジンがアルギニンに置換
(52)配列番号37の159番目のグルタミンがヒスチジンに置換
(53)配列番号37の163番目のグリシンがバリンに置換
(54)配列番号37の165番目のリジンがメチオニンに置換
(55)配列番号37の167番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(56)配列番号37の169番目のヒスチジンがチロシンに置換
(57)配列番号37の174番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(58)配列番号37の177番目のリジンがアルギニンに置換
(59)配列番号37の185番目のセリンがグリシンに置換
(60)配列番号37の194番目のセリンがアルギニンに置換
(61)配列番号37の196番目のアスパラギンがリジンに置換
(62)配列番号37の201番目のスレオニンがアラニンに置換
(63)配列番号37の203番目のアスパラギンがイソロイシンまたはリジンに置換
(64)配列番号37の207番目のスレオニンがアラニンに置換
(65)配列番号37の94番目のアラニンがセリンに置換
(66)配列番号37の98番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(67)配列番号37の117番目のグルタミンがアルギニンに置換
(68)配列番号37の174番目のチロシンがヒスチジンに置換
(69)配列番号37の181番目のリジンがグルタミン酸に置換
(70)配列番号37の203番目のアスパラギンがアスパラギン酸またはチロシンに置換
(71)配列番号37の56番目のリジンがグルタミンに置換
(72)配列番号37の62番目のリジンがアスパラギンに置換
(73)配列番号37の66番目のアラニンがスレオニンに置換
(74)配列番号37の 72番目のアスパラギンがチロシンに置換
(75)配列番号37の78番目のヒスチジンがロイシンに置換
(76)配列番号37の81番目のセリンがグリシンに置換
(77)配列番号37の90番目のチロシンがヒスチジンに置換
(78)配列番号37の138番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(79)配列番号37の153番目のヒスチジンがグルタミンに置換
(80)配列番号37の156番目のスレオニンがアラニン、アルギニン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、セリン、バリンまたはメチオニンに置換
(81)配列番号37の157番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(82)配列番号37の174番目のチロシンがロイシン、システイン、イソロイシン、リジン、トリプトファンまたはバリンに置換
(83)配列番号37の206番目のイソロイシンがバリンに置換
(84)配列番号37の207番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(B)配列番号39、配列番号43、配列番号47、配列番号51、配列番号55、配列番号63、配列番号67、配列番号69、配列番号73、配列番号77、配列番号83、配列番号89のいずれかに記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含む、(A)に記載のFc結合性タンパク質。
(85)配列番号37の82番目のロイシンがヒスチジンまたはアルギニンに置換
(86)配列番号37の163番目のグリシンがアスパラギン酸に置換
(87)配列番号37の174番目のチロシンがヒスチジンに置換
(88)配列番号37の192番目のバリンがフェニルアラニンに置換
(E)(A)から(D)のいずれかに記載のFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる吸着剤。
(a)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、133番目のバリンがグルタミン酸にそれぞれ置換されているFc結合性タンパク質(配列番号39に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
(b)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、133番目のバリンがグルタミン酸に、187番目のフェニルアラニンがセリンにそれぞれ置換されているFc結合性タンパク質(配列番号43に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
(c)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、64番目のグルタミンがアルギニンに、133番目のバリンがグルタミン酸に、187番目のフェニルアラニンがセリンにそれぞれ置換されているFc結合性タンパク質(配列番号47に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
(d)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、64番目のグルタミンがアルギニンに、67番目のチロシンがセリンに、133番目のバリンがグルタミン酸に、187番目のフェニルアラニンがセリンにそれぞれ置換されているFc結合性タンパク質(配列番号51に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
(e)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、64番目のグルタミンがアルギニンに、67番目のチロシンがセリンに、106番目のグルタミンがアルギニンに、133番目のバリンがグルタミン酸に、187番目のフェニルアラニンがセリンにそれぞれ置換されているFc結合性タンパク質(配列番号55に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
(f)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、37番目のグルタミン酸がグリシンに、39番目のロイシンがメチオニンに、45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、64番目のグルタミンがアルギニンに、133番目のバリンがグルタミン酸に、187番目のフェニルアラニンがセリンに、194番目のセリンがアルギニンにそれぞれ置換されているFc結合性タンパク質(配列番号63に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
(g)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、37番目のグルタミン酸がグリシンに、39番目のロイシンがメチオニンに、45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、64番目のグルタミンがアルギニンに、84番目のセリンがプロリンに、133番目のバリンがグルタミン酸に、187番目のフェニルアラニンがセリンに、194番目のセリンがアルギニンにそれぞれ置換されているFc結合性タンパク質(配列番号67に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
(h)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、37番目のグルタミン酸がグリシンに、39番目のロイシンがメチオニンに、45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、64番目のグルタミンがアルギニンに、84番目のセリンがプロリンに、133番目のバリンがグルタミン酸に、163番目のグリシンがバリンに、187番目のフェニルアラニンがセリンに、194番目のセリンがアルギニンにそれぞれ置換されているFc結合性タンパク質(配列番号69に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
(i)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、37番目のグルタミン酸がグリシンに、39番目のロイシンがメチオニンに、45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、64番目のグルタミンがアルギニンに、67番目のチロシンがヒスチジン、70番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に、84番目のセリンがプロリンに、133番目のバリンがグルタミン酸に、163番目のグリシンがバリンに、187番目のフェニルアラニンがセリンに、194番目のセリンがアルギニンにそれぞれ置換されているFc結合性タンパク質(配列番号73に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
(j)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、37番目のグルタミン酸がグリシンに、39番目のロイシンがメチオニンに、45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、64番目のグルタミンがアルギニンに、67番目のチロシンがヒスチジン、70番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に、84番目のセリンがプロリンに、133番目のバリンがグルタミン酸に、156番目のスレオニンがイソロイシンに、163番目のグリシンがバリンに、174番目のチロシンがヒスチジンに、181番目のリジンがグルタミン酸に、187番目のフェニルアラニンがセリンに、194番目のセリンがアルギニンにそれぞれ置換されているFc結合性タンパク質(配列番号77に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
(k)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、37番目のグルタミン酸がグリシンに、39番目のロイシンがメチオニンに、45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、64番目のグルタミンがアルギニンに、67番目のチロシンがヒスチジン、70番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に、84番目のセリンがプロリンに、98番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に、117番目のグルタミンがロイシンに、133番目のバリンがグルタミン酸に、156番目のスレオニンがイソロイシンに、163番目のグリシンがバリンに、174番目のチロシンがヒスチジンに、181番目のリジンがグルタミン酸に、187番目のフェニルアラニンがセリンに、194番目のセリンがアルギニンにそれぞれ置換されているFc結合性タンパク質(配列番号83に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
(l)配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において、37番目のグルタミン酸がグリシンに、39番目のロイシンがメチオニンに、45番目のフェニルアラニンがイソロイシンに、64番目のグルタミンがアルギニンに、67番目のチロシンがヒスチジン、70番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に、84番目のセリンがプロリンに、94番目のアラニンがセリンに、98番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に、117番目のグルタミンがロイシンに、133番目のバリンがグルタミン酸に、156番目のスレオニンがイソロイシンに、163番目のグリシンがバリンに、174番目のチロシンがヒスチジンに、181番目のリジンがグルタミン酸に、187番目のフェニルアラニンがセリンに、194番目のセリンがアルギニンに、201番目のスレオニンがアラニンに、203番目のアスパラギンがアスパラギン酸にそれぞれ置換されているFc結合性タンパク質(配列番号89に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸配列を含むFc結合性タンパク質)。
(I)本発明のFc結合性タンパク質のアミノ酸配列からヌクレオチド配列に変換し、当該ヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを人工的に合成する方法や、
(II)Fc結合性タンパク質の全体または部分配列を含むポリヌクレオチドを直接人工的に、またはFc結合性タンパク質のcDNA等からPCR法といったDNA増幅法を用いて調製し、調製した当該ポリヌクレオチドを適当な方法で連結する方法、が例示できる。
前記(I)の方法において、アミノ酸配列からヌクレオチド配列に変換する際、形質転換させる宿主におけるコドンの使用頻度を考慮して変換するのが好ましい。一例として、宿主が大腸菌(Escherichia coli)の場合は、アルギニン(Arg)ではAGA/AGG/CGG/CGAが、イソロイシン(Ile)ではATAが、ロイシン(Leu)ではCTAが、グリシン(Gly)ではGGAが、プロリン(Pro)ではCCCが、それぞれ使用頻度が少ないため(いわゆるレアコドンであるため)、それらのコドンを避けるように変換すればよい。コドンの使用頻度の解析は公的データベース(例えば、かずさDNA研究所のホームページにあるCodon Usage Databaseなど)を利用することによっても可能である。
例えば、本発明の形質転換体の宿主が大腸菌の場合、形質転換体を培養して得られる培養物からアルカリ抽出法またはQIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)等の市販の抽出キットを用いて調製すればよい。
(1)配列番号1に記載のヒトFcγRIIIaアミノ酸配列のうち、17番目のグリシン(Gly)から192番目のグルタミン(Gln)までのアミノ酸配列を基に、DNAworks法(Nucleic Acids Res.,30,e43,2002)を用いて、コドンをヒト型から大腸菌型に変換したヌクレオチド配列を設計した。設計したヌクレオチド配列を配列番号2に示す。
(2)配列番号2に記載の配列を含むポリヌクレオチドを作製するために、配列番号3から20に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを合成し、前記オリゴヌクレオチドを用いて、下記に示す二段階PCRを行なった。
(2−1)一段階目のPCRは、表1に示す組成の反応液を調製し、当該反応液を98℃で5分熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、62℃で5秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を10サイクル繰り返すことでポリヌクレオチドを合成し、これをFcRp1とした。なお表1中のDNAミックスとは、配列番号3から20に記載の配列からなる18種類のオリゴヌクレオチドをそれぞれ一定量サンプリングし混合した溶液を意味する。
(4)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンンを含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)を用いて、発現ベクターpET−eFcRを抽出した。
(5)(4)で作製した発現ベクターpET−eFcRのうち、ヒトFcγRIIIaをコードするポリヌクレオチドおよびその周辺の領域について、チェーンターミネータ法に基づくBig Dye Terminator Cycle Sequencing FS read Reaction kit(ライフサイエンス製)を用いてサイクルシークエンス反応に供し、全自動DNAシークエンサーABI Prism 3700 DNA analyzer(ライフサイエンス製)にてヌクレオチド配列を解析した。なお当該解析の際、配列番号23(5’−TAATACGACTCACTATAGGG−3’)または配列番号24(5’−TATGCTAGTTATTGCTCAG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをシークエンス用プライマーとして使用した。
実施例1で作製したFc結合性タンパク質発現ベクターpET−eFcRのうち、Fc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド部分に、エラープローンPCRによりランダムに変異導入を施した。
(1)鋳型として実施例1で作製したpET−eFcRを用いてエラープローンPCRを行なった。エラープローンPCRは、表3に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、60℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を35サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。前記エラープローンPCRによりFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドに良好に変異が導入され、その平均変異導入率は1.26%であった。
(3)ライゲーション反応終了後、反応液をエレクトロポレーション法により大腸菌BL21(DE3)株に導入し、50μg/mLのカナマイシンを含むLBプレート培地で培養(37℃で18時間)後、プレート上に形成したコロニーをランダム変異体ライブラリーとした。
実施例3 熱安定化Fc結合性タンパク質のスクリーニング
(1)実施例2で作製したランダム変異体ライブラリー(形質転換体)を、50μg/mLのカナマイシンを含む2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)200μLに接種し、96穴ディープウェルプレートを用いて、30℃で一晩振とう培養した。
(2)培養後、5μLの培養液を500μLの0.05mMのIPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)、0.3%のグリシンおよび50μg/mLのカナマイシンを含む2YT液体培地に植え継ぎ、96穴ディープウェルプレートを用いて、さらに20℃で一晩振とう培養した。
(3)培養後、遠心操作によって得られた培養上清を150mMの塩化ナトリウムを含む20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で2倍に希釈した。希釈した溶液を45℃で10分間熱処理を行なった。
(4)(3)の熱処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性と、(3)の熱処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、それぞれ下記に示すELISA法にて測定し、熱処理を行なった時のFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、熱処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性で除することで、残存活性を算出した。
(4−1)ヒト抗体であるガンマグロブリン製剤(化学及血清療法研究所製)を、96穴マイクロプレートのウェルに1μg/wellで固定化し(4℃で18時間)、固定化終了後、2%(w/v)のSKIM MILK(BD製)および150mMの塩化ナトリウムを含んだ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)によりブロッキングした。
(4−2)洗浄緩衝液(0.05%[w/v]のTween 20、150mMのNaClを含む20mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4))で洗浄後、抗体結合活性を評価するFc結合性タンパク質を含む溶液を添加し、Fc結合性タンパク質と固定化ガンマグロブリンとを反応させた(30℃で1時間)。
(4−3)反応終了後、前記洗浄緩衝液で洗浄し、100ng/mLに希釈したAnti−6His抗体(Bethyl Laboratories製)を100μL/wellで添加した。
(4−4)30℃で1時間反応させ、前記洗浄緩衝液で洗浄した後、TMB Peroxidase Substrate(KPL製)を50μL/wellで添加した。1Mのリン酸を50μL/wellで添加することで発色を止め、マイクロプレートリーダー(テカン製)にて450nmの吸光度を測定した。
(5)(4)の方法で約2700株の形質転換体を評価し、その中から野生型(アミノ酸置換のない)Fc結合性タンパク質と比較して熱安定性が向上したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を選択した。前記選択した形質転換体を培養し、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)を用いて発現ベクターを調製した。
(6)得られた発現ベクターに挿入されたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列を実施例1(5)の記載と同様の方法によりヌクレオチド配列を解析し、アミノ酸の変異箇所を特定した。
実施例3で判明した、Fc結合性タンパク質の熱安定性向上に関与するアミノ酸置換を集積することで、さらなる安定性向上を図った。置換アミノ酸の集積は、主にPCRを用いて行ない、以下の(a)から(c)に示す3種類のFc結合性タンパク質を作製した。
(a)FcR2に対し、さらにPhe75Leuのアミノ酸置換を行なったFcR3
(b)FcR2に対し、さらにPhe75LeuおよびGlu121Glyのアミノ酸置換を行なったFcR4
(c)FcR4に対し、さらにAsn92Serのアミノ酸置換を行なったFcR5a
以下、各Fc結合性タンパク質の作製方法を詳細に説明する。
実施例3で明らかになった、熱安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Val27Glu、Tyr35AsnおよびPhe75Leuを選択し、それらの置換を野生型のFc結合性タンパク質に集積したFcR3を作製した。具体的には、FcR2をコードするポリヌクレオチドに対してPhe75Leuを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR3を作製した。
(a−1)実施例3で取得した、pET−FcR2を鋳型としてPCRを実施した。当該PCRにおけるプライマーは、配列番号24および配列番号29(5’−AGCCAGGCGAGCAGCTACCTTATTGATGCG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm3Fとした。
(a−3)(a−1)および(a−2)で得られた2種類のPCR産物(m3F、m3R)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、m3Fとm3Rを連結したPCR産物m3pを得た。
(a−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、野生型Fc結合性タンパク質に対して3箇所アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR3をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR3を得た。
(a−7)pET−FcR3のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
実施例3で明らかになったFc結合性タンパク質の安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Val27Glu、Tyr35Asn、Phe75LeuおよびGlu121Glyを選択し、それらの置換を野生型のFc結合性タンパク質に集積したFcR4を作製した。具体的には、FcR2をコードするポリヌクレオチドに対してPhe75LeuおよびGlu121Glyを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR4を作製した。
(b−1)(a−2)と同様の方法でPCR産物m3Rを得た。また実施例3で取得した、Ala71Asp、Phe75LeuおよびGlu121Glyのアミノ酸置換を含んだFc結合性タンパク質(表4)を発現するプラスミドを鋳型とし、配列番号24および配列番号29に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、(a−1)と同様の方法でPCRを行なうことでPCR産物m4Rを得た。
(b−2)(b−1)により得られた2種類のPCR産物(m3R、m4R)を混合後、(a−3)と同様の方法にてPCRを行ない、m3Rとm4Rを連結した。得られたPCR産物をm4pとした。
(b−3)(b−2)で得られたPCR産物m4pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、(a−4)と同様の方法でPCRを行なった。これによりFcR4をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(b−4)(b−3)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(b−5)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、野生型Fc結合性タンパク質に対して4箇所アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR4をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR4を得た。
(b−6)pET−FcR4のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
実施例3で明らかになったFc結合性タンパク質の安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Val27Glu、Tyr35Asn、Phe75Leu、Asn92SerおよびGlu121Glyを選択し、それらの置換を野生型のFc結合性タンパク質に集積したFcR5aを作製した。具体的には、(b)で作製したFcR4をコードするポリヌクレオチドに対してAsn92Serを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR5aを作製した。
(c−1)(b)で作製した、pET−FcR4を鋳型とし、配列番号22および配列番号35(5’−GAATATCGTTGCCAGACCAGCCTGAGCACC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm5aFとした。
(c−2)(b)で作製したpET−FcR4を鋳型とし、配列番号21および配列番号36(5’−GATCGCTCAGGGTGCTCAGGCTGGTCTGGC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm5aRとした。
(c−3)(c−1)および(c−2)で得られた2種類のPCR産物(m5aF、m5aR)を混合後、(a−3)と同様の方法にてPCRを行ない、m5aFとm5aRを連結した。得られたPCR産物をm5apとした。
(c−4)(c−3)で得られたPCR産物m5apを鋳型とし、配列番号21および配列番号22に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、(a−4)と同様の方法でPCRを行なった。これによりFcR5aをコードするポリヌクレオチドを作製した。
(c−5)(c−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(c−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、野生型Fc結合性タンパク質に対して5箇所アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR5aをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR5aを得た。
(c−7)pET−FcR5aのヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
実施例4(c)で作製したFcR5aをコードするポリヌクレオチド部分に、エラープローンPCRによりランダムに変異導入を施した。
(1)鋳型として実施例4(c)で作製した発現ベクターpET−FcR5aを用いてエラープローンPCRを行なった。エラープローンPCRは、鋳型にpET−FcR5aを用いた以外は表3に示す組成と同様の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、60℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を35サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。この反応によりFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドに良好に変異が導入された。
(2)(1)で得られたPCR産物を精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ同制限酵素で消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションした。
(3)ライゲーション反応終了後、反応液をエレクトロポレーション法により大腸菌BL21(DE3)株に導入し、50μg/mLのカナマイシンを含むLBプレート培地で培養後、プレート上に形成したコロニーをランダム変異ライブラリーとした。
(1)実施例5で作製したランダム変異ライブラリーを実施例3(1)から(2)に記載の方法で培養することでFc結合性タンパク質を発現させた。
(2)培養後、遠心操作によって得られた、Fc結合性タンパク質を含む培養上清を純水にて20倍に希釈し、更に0.1Mの炭酸ナトリウム緩衝液(pH10.0)で20倍に希釈した。その後、希釈した溶液を40℃で15分間熱処理を行ない、1Mのトリス緩衝液(pH7.0)でpHを中性付近に戻した。
(3)(2)の熱処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性と、(2)の熱処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法にて測定し、熱処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、熱処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性で除することで、残存活性を算出した。
(4)(3)の方法で約2700株の形質転換体を評価し、その中からFcR5aと比較して熱安定性が向上したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を選択した。選択した形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含む2YT液体培地にて培養し、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)を用いて発現ベクターを調製した。
(5)得られた発現ベクターに挿入されたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列を実施例1(5)に記載の方法によりヌクレオチド配列を解析し、アミノ酸の変異箇所を特定した。
実施例6で判明した、Fc結合性タンパク質の熱安定性向上に関与するアミノ酸置換をFcR7aに集積することで、さらなる安定性向上を図った。置換アミノ酸の集積は、主にPCRを用いて行ない、以下の(a)から(d)に示す4種類の改良Fc結合性タンパク質を作製した。
(a)FcR7aに対し、さらにPhe171Serのアミノ酸置換を行なったFcR8
(b)FcR8に対し、さらにGln48Argのアミノ酸置換を行なったFcR9
(c)FcR8に対し、さらにGln48ArgおよびTyr51Serのアミノ酸置換を行なったFcR10
(d)FcR10に対し、さらにGln90Argのアミノ酸置換を行なったFcR11
以下、各改良Fc結合性タンパク質の作製方法を詳細に説明する。
(a)FcR8
実施例6で明らかとなった、熱安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Phe29Ile、Val117GluおよびPhe171Serを選択し、それらの置換をFcR5a(実施例4(c))に集積したFcR8を作製した。具体的には、FcR7aをコードするポリヌクレオチドに対して、Phe171Serを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR8を作製した。
(a−1)実施例6で取得した、pET−FcR7aを鋳型としてPCRを実施した。当該PCRにおけるプライマーは、配列番号23および配列番号41(5’−ACCAGCCCACGGCAGGAATAGCTGCCGCTG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm8Fとした。
(a−2)実施例6で取得した、pET−FcR7aを鋳型とし、配列番号42(5’−GACAGCGGCAGCTATTCCTGCCGTGGGCTG−3’)および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様に行なった。精製したPCR産物をm8Rとした。
(a−3)(a−1)および(a−2)で得られた2種類のPCR産物(m8F、m8R)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、m8Fとm8Rを連結したPCR産物m8pを得た。
(a−4)(a−3)で得られたPCR産物m8pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとしてPCRを行なった。PCRは、表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なった。これによりFcR7aに1箇所アミノ酸置換を導入したFcR8をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(a−5)(a−4)で得られたポリヌクレオチドを制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(a−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR5aに対して3箇所(野生型Fc結合性タンパク質に対して8箇所)アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR8をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR8を得た。
(a−7)pET−FcR8のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
(b)FcR9
実施例6で明らかとなった、熱安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Phe29Ile、Gln48Arg、Val117GluおよびPhe171Serを選択し、それらの置換をFcR5a(実施例4(c))に集積したFcR9を作製した。具体的には、FcR8をコードするポリヌクレオチドに対して、Gln48Argを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR9を作製した。
(b−1)(a)で作製した、pET−FcR8を鋳型とし、配列番号24および配列番号45(5’−GTGACCCTTAAATGCCGGGGCGCGTATAGC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm9Fとした。
(b−2)(a)で作製したpET−FcR8を鋳型とし、配列番号23および配列番号46(5’−CCGGGCTATACGCGCCCCGGCATTTAAGGG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm9Rとした。
(b−3)(b−1)および(b−2)で得られた2種類のPCR産物(m9F、m9R)を混合後、(a−3)と同様の方法にてPCRを行ない、m9Fとm9Rを連結した。得られたPCR産物をm9pとした。
(b−4)(b−3)で得られたPCR産物m9pを鋳型とし、配列番号21および配列番号22に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、(a−4)と同様の方法でPCRを行なった。これによりFcR9をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(b−5)(b−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(b−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR5aに対して4箇所(野生型Fc結合性タンパク質に対して9箇所)アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR9をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR9を得た。
(b−7)pET−FcR9のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
(c)FcR10
実施例6で明らかとなった、熱安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Phe29Ile、Gln48Arg、Tyr51Ser、Val117GluおよびPhe171Serを選択し、それらの置換をFcR5a(実施例4(c))に集積したFcR10を作製した。具体的には、FcR8をコードするポリヌクレオチドに対して、Gln48ArgおよびTyr51Serを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR10を作製した。
(c−1)(a)で作製した、pET−FcR8を鋳型とし、配列番号22および配列番号49(5’−TGCCGGGGCGCGTCTAGCCCGGAAGATAAC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm10Fとした。
(c−2)(a)で作製したpET−FcR8を鋳型とし、配列番号21および配列番号50(5’−GCTAGACGCGCCCCGGCATTTAAGGGTCAC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm10Rとした。
(c−3)(c−1)および(c−2)で得られた2種類のPCR産物(m10F、m10R)を混合後、(a−3)と同様の方法にてPCRを行ない、m10Fとm10Rを連結した。得られたPCR産物をm10pとした。
(c−4)(c−3)で得られたPCR産物m10pを鋳型とし、配列番号21および配列番号22に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、(a−4)と同様の方法でPCRを行なった。これによりFcR10をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(c−5)(c−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(c−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR5aに対して5箇所(野生型Fc結合性タンパク質に対して10箇所)アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR10をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR10を得た。
(c−7)pET−FcR10のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
(d)FcR11
実施例6で明らかとなった、熱安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Phe29Ile、Gln48Arg、Tyr51Ser、Gln90Arg、Val117GluおよびPhe171Serを選択し、それらの置換をFcR5a(実施例4(c))に集積したFcR11を作製した。具体的には、FcR10をコードするポリヌクレオチドに対して、Gln90Argを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR11を作製した。
(d−1)(c)で作製した、pET−FcR10を鋳型とし、配列番号22および配列番号53(5’−GGCGAATATCGTTGCCGGACCAGCCTGAGC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm11Fとした。
(d−2)(c)で作製したpET−FcR10を鋳型とし、配列番号21および配列番号54(5’−GGTGCTCAGGCTGGTCCGGCAACGATATTC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm11Rとした。
(d−3)(d−1)および(d−2)で得られた2種類のPCR産物(m11F、m11R)を混合後、(a−3)と同様の方法にてPCRを行ない、m11Fとm11Rを連結した。得られたPCR産物をm11pとした。
(d−4)(d−3)で得られたPCR産物m11pを鋳型とし、配列番号21および配列番号22に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、(a−4)と同様の方法でPCRを行なった。これによりFcR11をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(d−5)(d−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(d−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR5aに対して6箇所(野生型Fc結合性タンパク質に対して11箇所)アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR11をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR11を得た。
(d−7)pET−FcR11のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
(1)実施例1で作製した野生型Fc結合性タンパク質、実施例6で選択したFc結合性タンパク質(FcR7a)、および実施例7で作製したFc結合性タンパク質(FcR8、FcR9、FcR10、FcR11)を発現する形質転換体を、それぞれ50μg/mLのカナマイシンを含む3mLの2YT液体培地に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)50μg/mLのカナマイシンを添加した20mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に前培養液を200μL接種し、37℃で好気的に振とう培養を行なった。
(3)培養開始1.5時間後、培養温度を20℃に変更して30分間振とう培養した。その後、終濃度0.01mMとなるようIPTGを添加し、引き続き20℃で一晩、好気的に振とう培養した。
(4)培養終了後、遠心分離により集菌し、BugBuster Protein extraction kit(タカラバイオ製)を用いてタンパク質抽出液を調製した。
(5)(4)で調製したタンパク質抽出液中の野生型Fc結合性タンパク質、FcR7a、FcR8、FcR9、FcR10およびFcR11の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法を用いて測定した。この時、市販のFcγRIIIaの細胞外領域(R&Dテクノロジーズ製:4325−FC−050)を用いて検量線を作製し、濃度測定を行なった。
(6)各Fc結合性タンパク質の濃度が30μg/mLになるよう純水で希釈後、前記希釈した溶液100μLと0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)200μLとを混合し、30℃で2時間静置した。
(7)グリシン塩酸緩衝液(pH3.0)による酸処理を行なった後のタンパク質の抗体結合活性と、前記酸処理を行なわなかったときのタンパク質の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法によって測定した。その後、酸処理を行なった場合の抗体結合活性を、酸処理を行なわなかったときの抗体結合活性で除することで、残存活性を算出した。
(1)実施例4(c)で作製したpET−FcR5aを鋳型としてPCRを実施した。当該PCRにおけるプライマーは、配列番号21および配列番号57(5’−CCCAAGCTTATCCGCAGGTATCGTTGCGGCACCCTTGGGTAATGGTAATATTCACGGTCTCGCTGC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、表2に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル繰り返すことで実施した。
(2)(1)で得られたポリヌクレオチドを精製し、制限酵素NcoIとHindIIIで消化後、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、当該ライゲーション産物を用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含むLB培地にて培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)を用いて、発現ベクターpET−FcR5aCysを抽出した。
(4)pET−FcR5aCysのヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。発現ベクターpET−FcR5aCysで発現されるポリペプチドのアミノ酸配列を配列番号58に、当該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの配列を配列番号59にそれぞれ示す。なお配列番号58において、1番目のメチオニン(Met)から26番目のアラニン(Ala)までがMalEシグナルペプチドであり、27番目のリジン(Lys)から32番目のメチオニン(Met)までがリンカー配列であり、33番目のグリシン(Gly)から208番目のグルタミン(Gln)までがFcR5aのアミノ酸配列(配列番号1の17番目から192番目までの領域に相当)、209番目のグリシン(Gly)から216番目のグリシン(Gly)までがシステインタグ配列である。
(1)実施例7(b)で作製したpET−FcR9を鋳型とし、配列番号21および配列番号57に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、実施例9(1)と同様の方法でPCRを行なった。
(2)実施例9(2)と同様な方法で大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(3)得られた形質転換体を実施例9(3)と同様な方法で培養後、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)を用いて、発現ベクターpET−FcR9Cysを抽出した。
(4)pET−FcR9Cysのヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
(1)実施例9で作製したFcR5aCysを発現する形質転換体を2Lのバッフルフラスコに入った50μg/mLのカナマイシンを含む400mLの2YT液体培地(ペプトン16g/L、酵母エキス10g/L、塩化ナトリウム5g/L)に接種し、37℃で一晩、好気的に振とう培養することで前培養を行なった。
(2)グルコース10g/L、酵母エキス20g/L、リン酸三ナトリウム十二水和物3g/L、リン酸水素二ナトリウム十二水和物9g/L、塩化アンモニウム1g/Lおよび硫酸カナマイシン50mg/Lを含む液体培地1.8Lに、(1)の培養液180mLを接種し、3L発酵槽(バイオット製)を用いて本培養を行なった。温度30℃、pH6.9から7.1、通気量1VVM、溶存酸素濃度30%飽和濃度の条件に設定し、本培養を開始した。pHの制御には酸として50%リン酸、アルカリとして14%アンモニア水をそれぞれ使用し、溶存酸素の制御は撹拌速度を変化させることで制御し、撹拌回転数は下限500rpm、上限1000rpmに設定した。培養開始後、グルコース濃度が測定できなくなった時点で、流加培地(グルコース248.9g/L、酵母エキス83.3g/L、硫酸マグネシウム七水和物7.2g/L)を溶存酸素(DO)により制御しながら加えた。
(3)菌体量の目安として600nmの吸光度(OD600nm)が約150に達したところで培養温度を25℃に下げ、設定温度に到達したことを確認した後、終濃度が0.5mMになるようIPTGを添加し、引き続き25℃で培養を継続した。
(4)培養開始から約48時間後に培養を停止し、培養液を4℃で8000rpm、20分間の遠心分離により菌体を回収した。
(5)回収した菌体を20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.0)に5mL/1g(菌体)となるように懸濁し、超音波発生装置(インソネーター201M(商品名)、久保田商事製)を用いて、4℃で約10分間、約150Wの出力で菌体を破砕した。菌体破砕液は4℃で20分間、8000rpmの遠心分離を2回行ない、上清を回収した。
(6)(5)で得られた上清を、あらかじめ20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.0)で平衡化した140mLのTOYOPEARL CM−650M(東ソー製)を充填したVL32×250カラム(メルクミリポア製)に流速5mL/分でアプライした。平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.5Mの塩化ナトリウムを含む20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.0)で溶出した。
(7)(6)で得られた溶出液を、あらかじめ150mMの塩化ナトリウムを含む20mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.4)で平衡化したIgGセファロース(GEヘルスケア製)90mLを充填したXK26/20カラムカラム(GEヘルスケア製)にアプライした。平衡化に用いた緩衝液で洗浄後、0.1Mのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出した。なお溶出液は、溶出液量の1/4量の1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を加えることでpHを中性付近に戻した。
(1)2mLの分離剤用親水性ビニルポリマー(東ソー製:トヨパール)の表面の水酸基をヨードアセチル基で活性化後、実施例11で調製したFcR5aCysを4mg反応させることにより、FcR5a固定化ゲルを得た。
(2)(1)で調製したFcR5a固定化ゲル0.5mLをφ4.6mm×75mmのステンレスカラムに充填した。
(3)FcR5a固定化ゲルを充填したカラムをAKTA Explorer(GEヘルスケア製)につなげ、20mMの酢酸緩衝液(pH4.6)で平衡化した。
(4)20mMの酢酸緩衝液(pH4.6)で0.5mg/mLに希釈したモノクローナル抗体(リツキサン、全薬工業製)を流速0.2mL/minにて0.4mLアプライした。
(5)流速0.2mL/minのまま平衡化緩衝液で25分洗浄後、20mMのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)によるpHグラジエント(25分で20mMのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)が100%となるグラジエント)で吸着したモノクローナル抗体を溶出した。
(1)実施例12に記載の溶出条件でモノクローナル抗体を分離し、図2に記載の溶出パターン中のフラクションA(FrA)およびフラクションB(FrB)の部分を分取した。
(2)分取したFrAおよびFrBを限外ろ過膜(メルクミリポア社)で濃縮しながら、PBS(Phosphate Buffered Saline)(pH7.4)に緩衝液を交換した。
(3)濃縮、緩衝液交換したFrAおよびFrBに含まれる抗体、ならびに分離前のモノクローナル抗体の濃度を280nmの吸光度で測定した。
(4)以下に示す方法で、FrAおよびFrBに含まれる抗体が有するADCC活性を測定した。
(4−1)1.4mLのLow IgG Serumと33.6mLのRPMI1640培地とを混合して調製したADCC Assay Bufferを用いて、FrAおよびFrBに含まれる抗体ならびに分離前のモノクローナル抗体を3μg/mLから1/3希釈で8段階の希釈系列を調製した。
(4−2)Raji細胞をADCC Assay Bufferにて約5×105cells/mLに調製し、96wellプレート(3917:コーニング社)に25μL/wellで加えた。
(4−3)Raji細胞を加えたwellに(4−1)で調製したフラクションA、フラクションB、分離前のモノクローナル抗体、ブランク(ADCC Assay Bufferのみ)を25μL/well加えた。
(4−4)Effector細胞(プロメガ製)をADCC Assay Bufferにて約3.0×105cells/mLに調製し、Raji細胞および抗体を加えたwellに25μL/wellで加えた。その後、CO2インキュベーター(5%CO2、37℃)にて6時間静置した。
(4−5)96wellプレートを室温で5分から30分静置した後、Luciferase Assay Reagent(プロメガ製)を75μL/wellで加えた。室温で30分反応させたのち、GloMax Multi Detection System(プロメガ製)で発光を測定した。
(1)実施例13(1)で分取したFrAおよびFrB、ならびに分離前のモノクローナル抗体を100℃、10分の熱処理により変性後、グリコアミダーゼA/ペプシンおよびプロナーゼで順次処理し、ゲルろ過法による精製操作を経て糖鎖画分を取得した。
(2)(1)で得られた糖鎖をエバポレーターにて濃縮・乾燥後、酢酸溶媒下、2−アミノピリジン、次いでジメチルアミンボランを順次作用させて蛍光ラベル化糖鎖とし、ゲルろ過法により精製した。
(3)(2)で得られた蛍光ラベル化糖鎖を陰イオン交換カラム(TSKgel DEAE−5PW、φ7.5mm×7.5cm:東ソー製)にて、中性糖鎖画分とモノシアリル化糖鎖画分に分離した。
(4)(3)で得られた中性糖鎖画分とモノシアリル化糖鎖画分をODSカラムを用いて、個々の糖鎖に単離した。MALDI−TOF−MS分析により単離した糖鎖の分子量情報を取得後、ODSカラムクロマトグラフのリテンションタイムと照らし合わせて糖鎖構造を帰属した。
(1)実施例10で作製したFcR9Cysを発現する形質転換体を用いて、実施例11
(1)から(4)と同様な方法で培養を行なった。
(2)実施例11と同様な方法で精製し、高純度のFcR9Cysを約10mg得た。
(3)実施例12(1)と同様な方法でFcR9Cys固定化ゲルを得た後、当該ゲル0.5mLをφ4.0mm×40mmのステンレスカラムに充填した。
(4)FcR9固定化ゲルを充填したカラムを高速液体クロマトグラフィー装置(東ソー製)につなげ、20mMの酢酸緩衝液(pH4.5)で平衡化した。
(5)PBS(Phosphate Buffered Saline)(pH7.4)で4.0mg/mLに希釈したモノクローナル抗体(リツキサン、全薬工業製)を流速0.3mL/minにて0.15mLアプライした。
(6)流速0.3mL/minのまま平衡化緩衝液で2分洗浄後、10mMのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)によるpHグラジエント(38分で10mMのグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)が100%となるグラジエント)で吸着したモノクローナル抗体を溶出した。
(1)実施例15の溶出条件でモノクローナル抗体を分離し、図5に記載の溶出パターン中のフラクションA(FrA)、フラクションB(FrB)およびフラクションC(FrC)の部分を分取した。
(2)FrA、FrBおよびFrCに含まれる抗体、ならびに分離前のモノクローナル抗体の濃度を280nmの吸光度で測定し、実施例13(4)と同様な方法でADCC活性を測定した。
実施例7(b)で作製したFcR9をコードするポリヌクレオチド部分に、エラープローンPCRによりランダムに変異導入を施した。
(1)鋳型として実施例7(b)で作製した発現ベクターpET−FcR9を用いてエラープローンPCRを行なった。エラープローンPCRは、pET−FcR9を鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとした他は表3に示す組成と同様の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、50℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を35サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。この反応によりFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドに良好に変異が導入された。
(2)(1)で得られたPCR産物を精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ同制限酵素で消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションした。
(3)ライゲーション反応終了後、反応液をエレクトロポレーション法により大腸菌BL21(DE3)株に導入し、50μg/mLのカナマイシンを含むLBプレート培地で培養後、プレート上に形成したコロニーをランダム変異ライブラリーとした。
(1)実施例17で作製したランダム変異ライブラリーを実施例3(1)から(2)に記載の方法で培養することでFc結合性タンパク質を発現させた。
(2)培養後、遠心操作によって得られた、Fc結合性タンパク質を含む培養上清を純水にて10倍に希釈し、等量の60mMの水酸化ナトリウム溶液と混合し、30℃で1.5時間静置することでアルカリ処理した。その後、4倍量の1Mトリス緩衝液(pH7.0)でpHを中性付近に戻した。
(3)(2)に記載のアルカリ処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性と、(2)に記載のアルカリ処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法にてそれぞれ測定し、アルカリ処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、アルカリ処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性で除することで、残存活性を算出した。
(4)(3)の方法で約2700株の形質転換体を評価し、その中からFcR9と比較して安定性が向上したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を選択した。選択した形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含む2YT液体培地にて培養し、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)を用いて発現ベクターを調製した。
(5)得られた発現ベクターに挿入されたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列を実施例1(5)に記載の方法によりヌクレオチド配列を解析し、アミノ酸の変異箇所を特定した。
実施例18で判明した、Fc結合性タンパク質のアルカリ安定性向上に関与するアミノ酸置換をFcR9に集積することで、さらなる安定性向上を図った。置換アミノ酸の集積は、主にPCRを用いて行ない、以下の(a)および(b)に示す2種類の改良Fc結合性タンパク質を作製した。
(a)FcR9に対し、さらにGlu21Gly、Leu23MetおよびSer178Argのアミノ酸置換を行なったFcR12
(b)FcR9に対し、さらにGlu21Gly、Leu23Met、Ser68ProおよびSer178Argのアミノ酸置換を行なったFcR13
以下、各改良Fc結合性タンパク質の作製方法を詳細に説明する。
(a)FcR12
実施例18で明らかとなった、アルカリ安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Glu21Gly、Leu23MetおよびSer178Argを選択し、それらの置換をFcR9(実施例7(b))に集積したFcR12を作製した。具体的には、実施例18で得られたSer178Argの変異を含んだポリヌクレオチドに対して、Glu21GlyおよびLeu23Metを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR12
を作製した。
(a−1)実施例18で取得した、FcR9にSer178Argの変異を含んだFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを鋳型としてPCRを実施した。当該PCRにおけるプライマーは、配列番号24および配列番号62(5’−CTAGCCATGGGCATGCGTACCGGAGATATGCCGAAAGCGGAG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドを用いた。PCRは、鋳型とプライマー以外は表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm12pとした。
(a−2)(a−1)で得られたm12pを制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(a−3)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR9に対して3箇所(野生型Fc結合性タンパク質に対して12箇所)アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR12をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR12を得た。
(a−4)pET−FcR12のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
(b)FcR13
実施例18で明らかとなった、アルカリ安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Glu21Gly、Leu23Met、Ser68ProおよびSer178Argを選択し、それらの置換をFcR9(実施例7(b))に集積したFcR13を作製した。具体的には、FcR12をコードするポリヌクレオチドに対して、Ser68Proを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR13を作製した。
(b−1)(a)で作製した、pET−FcR12を鋳型とし、配列番号24および配列番号65(5’−CACAATGAAAGCCTGATTCCCAGCCAGGCG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm13Fとした。
(b−2)(a)で作製したpET−FcR12を鋳型とし、配列番号62および配列番号66(5’−GTAGCTGCTCGCCTGGCTGGGAATCAGGCT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(b−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm13Rとした。
(b−3)(b−1)および(b−2)で得られた2種類のPCR産物(m13F、m13R)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理するPCRを行ない、m13Fとm13Rを連結した。得られたPCR産物をm13pとした。
(b−4)(b−3)で得られたPCR産物m13pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを行なった。PCRは、表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なった。これによりFcR12に1箇所アミノ酸置換を導入したFcR13をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(b−5)(b−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(b−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR9に対して4箇所(野生型Fc結合性タンパク質に対して13箇所)アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR13をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR13を得た。
(b−7)pET−FcR13のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
(1)実施例4(c)で作製したFc結合性タンパク質(FcR5a)、実施例7(b)で作製したFc結合性タンパク質(FcR9)、および実施例19で作製したFc結合性タンパク質(FcR12、FcR13)を発現する形質転換体を、実施例8の(1)から(4)に記載の方法で培養し、タンパク質を抽出することでFcR5a、FcR9、FcR12およびFcR13を調製した。
(2)(1)で調製したタンパク質抽出液中のFcR5a、FcR9、FcR12およびFcR13の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法を用いて測定した。この時、精製し定量したFcR9を用いて検量線を作製し、濃度測定を行なった。
(3)各Fc結合性タンパク質の濃度が30μg/mLになるよう純水で希釈後、前記希釈した溶液50μLと40mMの水酸化ナトリウム溶液50μLとを混合し、30℃で2時間静置することでアルカリ処理した。その後、1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)を4倍量加えることで中和し、Fc結合性タンパク質の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法によって測定した。
(4)アルカリ処理を行なった場合の抗体結合活性をアルカリ処理を行なわなかったときの抗体結合活性で除することで、残存活性を算出しアルカリ安定性を評価した。
実施例19(b)で作製したFcR13をコードするポリヌクレオチド部分に、エラープローンPCRによりランダムに変異導入を施した。
(1)鋳型として実施例19(b)で作製した発現ベクターpET−FcR13を用いてエラープローンPCRを行なった。エラープローンPCRは、pET−FcR13を鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとした他は表3に示す組成と同様の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、50℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を35サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。この反応によりFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドに良好に変異が導入された。
(2)(1)で得られたPCR産物を精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ同制限酵素で消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションした。
(3)ライゲーション反応終了後、反応液をエレクトロポレーション法により大腸菌BL21(DE3)株に導入し、50μg/mLのカナマイシンを含むLBプレート培地で培養後、プレート上に形成したコロニーをランダム変異ライブラリーとした。
(1)実施例21で作製したランダム変異ライブラリーを実施例3(1)から(2)に記載の方法で培養することでFc結合性タンパク質を発現させた。
(2)培養後、遠心操作によって得られた、Fc結合性タンパク質を含む培養上清を以下に示す方法でアルカリ処理した。なおアルカリ処理後は、4倍量の1Mトリス緩衝液(pH7.0)でpHを中性付近に戻した。
(i)純水にて5倍に希釈し、等量の80mMの水酸化ナトリウム溶液と混合した後、30℃で2時間静置
(ii)純水にて20倍に希釈し、等量の60mMの水酸化ナトリウム溶液と混合した後、30℃で2時間静置
(3)(2)に記載のアルカリ処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性と、(2)に記載のアルカリ処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法にてそれぞれ測定した。その後、アルカリ処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、アルカリ処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性で除することで、残存活性を算出した。
(4)(3)の方法で約2700株の形質転換体を評価し、その中からFcR13と比較して安定性が向上したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を選択した。選択した形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含む2YT液体培地にて培養し、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)を用いて発現ベクターを調製した。
(5)得られた発現ベクターに挿入されたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列を実施例1(5)に記載の方法によりヌクレオチド配列を解析し、アミノ酸の変異箇所を特定した。
実施例22で明らかとなった、Fc結合性タンパク質のアルカリ安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Tyr51HisおよびGlu54Aspを選択し、それらの置換をFcR14に集積することで、改良Fc結合性タンパク質(FcR16)を作製した。以下、作製方法を詳細に説明する。
(1)実施例22で得られた、pET−FcR14を鋳型とし、配列番号24および配列番号71(5’−TGCCGGGGCGCGCATAGCCCGGATGATAAC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm16Fとした。
(2)実施例22で得られたpET−FcR14を鋳型とし、配列番号23および配列番号72(5’−GGTGCTGTTATCATCCGGGCTATGCGCGCC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm16Rとした。
(3)(1)および(2)で得られた2種類のPCR産物(m16F、m16R)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行ない最後に72℃で5分間熱処理するPCRを行ない、m16Fとm16Rを連結したPCR産物m16pを得た。
(4)(3)で得られたPCR産物m16pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとして、PCRを行なった。PCRは、表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない最後に72℃で5分間熱処理するPCRを行なった。これによりFcR14に2箇所アミノ酸置換を導入したFcR16をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(5)(4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR14に対して2箇所(野生型Fc結合性タンパク質に対して16箇所)アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR16をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR16を得た。
(7)pET−FcR16のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
(1)実施例19(b)で作製したFc結合性タンパク質(FcR13)、実施例22で取得したFc結合性タンパク質(FcR14)、および実施例23で作製したFc結合性タンパク質(FcR16)を発現する形質転換体を、実施例8の(1)から(4)に記載の方法で培養し、タンパク質を抽出することでFcR13、FcR14およびFcR16を調製した。
(2)(1)で調製したタンパク質抽出液中のFcR13、FcR14およびFcR16の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法を用いて測定した。この時、精製し定量したFcR9を用いて検量線を作製し、濃度測定を行なった。
(3)各Fc結合性タンパク質の濃度が10μg/mLになるよう純水で希釈後、前記希釈した溶液50μLと60mMの水酸化ナトリウム溶液50μLとを混合し、30℃で2時間静置することでアルカリ処理した。その後、1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)を4倍量加えることで中和し、Fc結合性タンパク質の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法によって測定した。
(4)アルカリ処理を行なった場合の抗体結合活性をアルカリ処理を行なわなかったときの抗体結合活性で除することで、残存活性を算出しアルカリ安定性を評価した。
実施例23で作製したFcR16をコードするポリヌクレオチド部分に、エラープローンPCRによりランダムに変異導入を施した。
(1)鋳型として実施例23で作製した発現ベクターpET−FcR16を用いてエラープローンPCRを行なった。エラープローンPCRは、pET−FcR16を鋳型とし、配列番号23および24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた他は表3に示す組成と同様の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、50℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を35サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。この反応によりFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドに良好に変異が導入された。
(2)(1)で得られたPCR産物を精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ同制限酵素で消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションした。
(3)ライゲーション反応終了後、反応液をエレクトロポレーション法により大腸菌BL21(DE3)株に導入し、50μg/mLのカナマイシンを含むLBプレート培地で培養後、プレート上に形成したコロニーをランダム変異ライブラリーとした。
(1)実施例25で作製したランダム変異ライブラリーを実施例3(1)から(2)に記載の方法で培養することでFc結合性タンパク質を発現させた。
(2)培養後、遠心操作によって得られた、Fc結合性タンパク質を含む培養上清を純水にて20倍に希釈し、等量の80mMの水酸化ナトリウム溶液と混合した後、30℃で2時間静置することでアルカリ処理した。アルカリ処理後は、4倍量の1Mトリス緩衝液(pH7.0)でpHを中性付近に戻した。
(3)(2)に記載のアルカリ処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性と、(2)に記載のアルカリ処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法にてそれぞれ測定した。その後、アルカリ処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、アルカリ処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性で除することで、残存活性を算出した。
(4)(3)の方法で約2700株の形質転換体を評価し、その中からFcR16と比較して安定性が向上したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を選択した。選択した形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含む2YT液体培地にて培養し、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)を用いて発現ベクターを調製した。
(5)得られた発現ベクターに挿入されたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列を実施例1(5)に記載の方法によりヌクレオチド配列を解析し、アミノ酸の変異箇所を特定した。
実施例26で判明した、Fc結合性タンパク質のアルカリ安定性向上に関与するアミノ酸置換をFcR16に集積することで、さらなる安定性向上を図った。置換アミノ酸の集積は、主にPCRを用いて行ない、以下の(a)から(c)に示す3種類の改良Fc結合性タンパク質を作製した。
(a)FcR16に対し、さらにThr140Ile、Tyr158HisおよびLys165Gluのアミノ酸置換を行なったFcR19
(b)FcR16に対し、さらにAsp82Glu、Gln101Leu、Thr140Ile、Tyr158HisおよびLys165Gluのアミノ酸置換を行なったFcR21
(c)FcR16に対し、さらにAla78Ser、Asp82Glu、Gln101Leu、Thr140Ile、Tyr158His、Lys165Glu、Thr185AlaおよびAsn187Aspのアミノ酸置換を行なったFcR24
以下、各改良Fc結合性タンパク質の作製方法を詳細に説明する。
(a)FcR19
実施例26で明らかとなった、アルカリ安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Thr140Ile、Tyr158HisおよびLys165Gluを選択し、それらの置換をFcR16(実施例23)に集積したFcR19を作製した。具体的には、実施例26で得られたThr140IleおよびTyr158Hisの変異を含んだポリヌクレオチドに対して、Lys165Gluを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR19を作製した。
(a−1)実施例26で取得した、FcR16にThr140IleおよびTyr158Hisの変異を含んだFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを鋳型とし、配列番号24および配列番号75(5’−ATTCCCAAAGCGACGCTGGAGGACAGCGGC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm19Fとした。
(a−2)実施例26で取得した、FcR16にThr140IleおよびTyr158Hisの変異を含んだFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを鋳型とし、配列番号23および配列番号76(5’−ATAGCTGCCGCTGTCCTCCAGCGTCGCTTT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(a−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm19Rとした。
(a−3)(a−1)および(a−2)で得られた2種類のPCR産物(m19F、m19R)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、m19Fとm19Rを連結したPCR産物m19pを得た。
(a−4)(a−3)で得られたPCR産物m19pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとしてPCRを行なった。PCRは、表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なった。これによりFcR16に3箇所アミノ酸置換を導入したFcR19をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(a−5)(a−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(a−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR16に対して3箇所(野生型Fc結合性タンパク質に対して19箇所)アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR19をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR19を得た。
(a−7)pET−FcR19のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
(b)FcR21
実施例26で得られたAsp82Glu、Gln101LeuおよびAsn187Aspの変異を含んだポリヌクレオチドに対して、Thr140Ile、Tyr158HisおよびLys165Gluを生じさせる変異導入を行ない、改良Fc結合性タンパク質を得た。なお前記変異のうちAsn187Aspは後述の(b−9)の操作で欠失したため、本実験で実際に得られた改良Fc結合性タンパク質はAsp82Glu、Gln101Leu、Thr140Ile、Tyr158HisおよびLys165Gluの置換をFcR16(実施例23)に集積したFc結合性タンパク質(FcR21)である。
(b−1)実施例26で取得した、FcR16にAsp82Glu、Gln101LeuおよびAsn187Aspの変異を含んだFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを鋳型とし、配列番号24および配列番号79(5’−ACCGCCCTGCATAAAGTGATCTACCTGCAA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm21−2Fとした。
(b−2)実施例26で取得した、FcR16にAsp82Glu、Gln101LeuおよびAsn187Aspの変異を含んだFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを鋳型とし、配列番号23および配列番号80(5’−TTGCAGGTAGATCACTTTATGCAGGGCGGT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(b−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm21−2Rとした。
(b−3)(b−1)および(b−2)で得られた2種類のPCR産物(m21−2F、m21−2R)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、m21−2Fとm21−2Rを連結したPCR産物m21−2pを得た。
(b−4)(b−3)で得られたPCR産物m21−2pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとしてPCRを行なった。PCRは、表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なった。これによりFcR16にAsp82Glu、Gln101Leu、Thr140IleおよびAsn187Aspの変異を含んだFcR21−2をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(b−5)(b−4)で取得した、FcR16にAsp82Glu、Gln101Leu、Thr140IleおよびAsn187Aspの変異を含んだFcR21−2をコードするポリヌクレオチドを鋳型とし、配列番号24および配列番号81(5’−CACCACAACTCCGACTTCCATATTCCCAAA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm21−1Fとした。
(b−6)(b−4)で取得した、FcR16にAsp82Glu、Gln101Leu、Thr140IleおよびAsn187Aspの変異を含んだFcR21−2をコードするポリヌクレオチドを鋳型とし、配列番号23および配列番号82(5’−CAGCGTCGCTTTGGGAATATGGAAGTCGGA−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(b−5)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm21−1Rとした。
(b−7)(b−5)および(b−6)で得られた2種類のPCR産物(m21−1F、m21−1R)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、m21−1Fとm21−1Rを連結したPCR産物m21−1pを得た。
(b−8)(b−7)で得られたPCR産物m21−1pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとしてPCRを行なった。PCRは、表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なった。これによりFcR16にAsp82Glu、Gln101Leu、Thr140Ile、Tyr158HisおよびAsn187Aspの変異を含んだFcR21−1をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(b−9)(b−8)で取得した、FcR16にAsp82Glu、Gln101Leu、Thr140Ile、Tyr158HisおよびAsn187Aspの変異を含んだFcR21−1をコードするポリヌクレオチドを鋳型とし、配列番号22および配列番号75に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm21Fとした(本操作によりAsn187Aspの変異が欠失している)。
(b−10)(b−8)で取得した、FcR16にAsp82Glu、Gln101Leu、Thr140Ile、Tyr158HisおよびAsn187Aspの変異を含んだFcR21−1をコードするポリヌクレオチドを鋳型とし、配列番号62および配列番号76に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(b−9)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm21Rとした。
(b−11)(b−9)および(b−10)で得られた2種類のPCR産物(m21F、m21R)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、m21Fとm21Rを連結したPCR産物m21pを得た。
(b−12)(b−11)で得られたPCR産物m21pを鋳型とし、配列番号62および配列番号22に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとしてPCRを行なった。PCRは、表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なった。これによりFcR16に5箇所(Asp82Glu、Gln101Leu、Thr140Ile、Tyr158HisおよびLys165Glu)(野生型Fc結合性タンパク質に対して21箇所)アミノ酸置換を導入したFcR21をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(b−13)(a−12)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(b−14)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR16に対して5箇所アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR21をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR21を得た。
(b−15)pET−FcR21のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
(c)FcR24
実施例26で明らかとなった、アルカリ安定性向上に関与するアミノ酸置換の中から、Ala78Ser、Asp82Glu、Gln101Leu、Thr140Ile、Tyr158His、Lys165Glu、Thr185AlaおよびAsn187Aspを選択し、それらの置換をFcR16(実施例23)に集積したFcR24を作製した。具体的には、FcR21をコードするポリヌクレオチドに対して、Ala78Ser、Thr185AlaおよびAsn187Aspを生じさせる変異導入を行なうことにより、FcR24を作製した。
(c−1)(b)で作製した、pET−FcR21を鋳型とし、配列番号24および配列番号85(5’−AGCAGCTACCTTATTGATTCGGCGACGGTG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm24−2Fとした。
(c−2)(b)で作製した、pET−FcR21を鋳型とし、配列番号23および配列番号86(5’−GCTATCTTCCACCGTCGCCGAATCAATAAG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(c−1)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm24−2Rとした。
(c−3)(c−1)および(c−2)で得られた2種類のPCR産物(m24−2F、m24−2R)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、m21−2Fとm21−2Rを連結したPCR産物m24−2pを得た。
(c−4)(c−3)で得られたPCR産物m24−2pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとしてPCRを行なった。PCRは、表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なった。これによりFcR16にAla78Ser、Asp82Glu、Gln101Leu、Thr140Ile、Tyr158HisおよびLys165Gluの変異を含んだFcR24−2をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(c−5)(c−4)で取得した、FcR16にAla78Ser、Asp82Glu、Gln101Leu、Thr140Ile、Tyr158HisおよびLys165Gluの変異を含んだFcR24−2をコードするポリヌクレオチドを鋳型とし、配列番号24および配列番号87(5’−AAAAATGTGAGCAGCGAGGCCGTGGATATT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、表5に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行ない、最後に72℃で5分間熱処理することで行なった。増幅したPCR産物をアガロースゲル電気泳動に供し、そのゲルからQIAquick Gel Extraction kit(キアゲン製)を用いて精製した。精製したPCR産物をm24Fとした。
(c−6)(c−4)で取得した、FcR16にAla78Ser、Asp82Glu、Gln101Leu、Thr140Ile、Tyr158HisおよびLys165Gluの変異を含んだFcR24−2をコードするポリヌクレオチドを鋳型とし、配列番号62および配列番号88(5’−GGTAATGGTAATATCCACGGCCTCGCTGCT−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとした他は、(c−5)と同様の方法でPCRを行なった。精製したPCR産物をm24Rとした。
(c−7)(c−5)および(c−6)で得られた2種類のPCR産物(m24F、m24R)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、m24Fとm24Rを連結したPCR産物m24pを得た。
(c−8)(c−7)で得られたPCR産物m24pを鋳型とし、配列番号62および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとしてPCRを行なった。PCRは、表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なった。これによりFcR16に8箇所(野生型Fc結合性タンパク質に対して24箇所)アミノ酸置換を導入したFcR24をコードするポリヌクレオチドを作製した。
(c−9)(c−8)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(c−10)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。回収した菌体(形質転換体)からプラスミドを抽出することで、FcR16に対して8箇所アミノ酸置換したポリペプチドである、FcR24をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドpET−FcR24を得た。
(c−11)pET−FcR24のヌクレオチド配列の解析を、実施例1(5)と同様の方法で行なった。
(1)実施例23で作製したFc結合性タンパク質(FcR16)、ならびに実施例27で取得したFc結合性タンパク質(FcR19、FcR21およびFcR24)を発現する形質転換体を、実施例8の(1)から(4)に記載の方法で培養し、タンパク質を抽出することでFcR16、FcR19、FcR21およびFcR24を調製した。
(2)(1)で調製したタンパク質抽出液中のFcR16、FcR19、FcR21およびFcR24の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法を用いて測定した。この時、精製し定量したFcR13を用いて検量線を作製し、濃度測定を行なった。
(3)各Fc結合性タンパク質の濃度が10μg/mLになるよう純水で希釈後、前記希釈した溶液50μLと80mMの水酸化ナトリウム溶液50μLとを混合し、30℃で2時間静置することでアルカリ処理した。その後、1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)を4倍量加えることで中和し、Fc結合性タンパク質の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法によって測定した。
(4)アルカリ処理を行なった場合の抗体結合活性をアルカリ処理を行なわなかったときの抗体結合活性で除することで、残存活性を算出しアルカリ安定性を評価した。
実施例27(c)で作製したFcR24をコードするポリヌクレオチド部分に、エラープローンPCRによりランダムに変異導入を施した。
(1)鋳型として実施例27(c)で作製した発現ベクターpET−FcR24を用いてエラープローンPCRを行なった。エラープローンPCRは、pET−FcR24を鋳型とし、配列番号23および24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた他は表3に示す組成と同様の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、50℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を35サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。この反応によりFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドに良好に変異が導入された。
(2)(1)で得られたPCR産物を精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ同制限酵素で消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションした。
(3)ライゲーション反応終了後、反応液をエレクトロポレーション法により大腸菌BL21(DE3)株に導入し、50μg/mLのカナマイシンを含むLBプレート培地で培養後、プレート上に形成したコロニーをランダム変異ライブラリーとした。
(1)実施例29で作製したランダム変異ライブラリーを実施例3(1)から(2)に記載の方法で培養することでFc結合性タンパク質を発現させた。
(2)培養後、遠心操作によって得られた、Fc結合性タンパク質を含む培養上清を純水にて20倍に希釈し、等量の300mMの水酸化ナトリウム溶液と混合した後、30℃で2時間静置することでアルカリ処理した。アルカリ処理後は、4倍量の1Mトリス緩衝液(pH7.0)でpHを中性付近に戻した。
(3)(2)に記載のアルカリ処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性と、(2)に記載のアルカリ処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法にてそれぞれ測定した。その後、アルカリ処理を行なったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性を、アルカリ処理を行なわなかったときのFc結合性タンパク質の抗体結合活性で除することで、残存活性を算出した。
(4)(3)の方法で約2700株の形質転換体を評価し、その中からFcR24と比較して安定性が向上したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を選択した。選択した形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを含む2YT液体培地にて培養し、QIAprep Spin Miniprep kit(キアゲン製)を用いて発現ベクターを調製した。
(5)得られた発現ベクターに挿入されたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド領域の配列を実施例1(5)に記載の方法によりヌクレオチド配列を解析し、アミノ酸の変異箇所を特定した。
実施例26で明らかになったFc結合性タンパク質のアルカリ安定性向上に寄与するアミノ酸置換のうち、配列番号1の140番目(配列番号37では156番目)のスレオニン(Thr140)がイソロイシン(Ile)に、158番目(配列番号37では174番目)のチロシン(Tyr158)がヒスチジンにそれぞれ置換されることでアルカリ安定性が特に向上した。そこで、Thr140およびTyr158の他のアミノ酸への置換の有用性を確認するため、実施例26(c)で作製したFcR24(配列番号89)のうちThr140(配列番号89では156番目)またはTyr158(配列番号89では174番目)を他のアミノ酸に置換したFc結合性タンパク質を作製した。
(a)Thr140アミノ酸置換体の作製
(a−1)実施例27(c)で作製した、pET−FcR24を鋳型とし、配列番号24および配列番号91(5’−CCTGCATAAAGTGNNKTACCTGCAAAACGG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた他は表3に示す組成と同様の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、50℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を35サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。得られたPCR産物をT140p1とした。
(a−2)実施例27(c)で作製した、pET−FcR24を鋳型とし、配列番号23および配列番号92(5’−CCGTTTTGCAGGTAMNNCACTTTATGCAGG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた他は表3に示す組成と同様の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、50℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を35サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。得られたPCR産物をT140p2とした。
(a−3)(a−1)および(a−2)で得られた2種類のPCR産物(T140p1、T140p2)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、T140p1とT140p2を連結したPCR産物T140pを得た。
(a−4)(a−3)で得られたPCR産物T140pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとしてPCRを行なった。PCRは、表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なった。これによりFc結合性タンパク質(FcR24)の140番目のアミノ酸が任意のアミノ酸に置換されたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを得た。得られたポリヌクレオチドをT140p3とした。
(a−5)(a−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(a−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。
(b)Tyr158アミノ酸置換体の作製
(b−1)実施例27(c)で作製した、pET−FcR24を鋳型とし、配列番号24および配列番号93(5’−CAACTCCGACTTCNNKATTCCCAAAGCGAC−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた他は表3に示す組成と同様の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、50℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を35サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。得られたPCR産物をY158p1とした。
(b−2)実施例27(c)で作製した、pET−FcR24を鋳型とし、配列番号23および配列番号94(5’−GTCGCTTTGGGAATMNNGAAGTCGGAGTTG−3’)に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いた他は表3に示す組成と同様の反応液を調製後、当該反応液を95℃で2分間熱処理し、95℃で30秒間の第1ステップ、50℃で30秒間の第2ステップ、72℃で90秒間の第3ステップを1サイクルとする反応を35サイクル行ない、最後に72℃で7分間熱処理することで行なった。得られたPCR産物をY158p2とした。
(b−3)(b−1)および(b−2)で得られた2種類のPCR産物(Y158p1、Y158p2)を混合し、表6に示す組成の反応液を調製した。当該反応液を98℃で5分間熱処理後、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を5サイクル行なうPCRを行ない、Y140p1とY140p2を連結したPCR産物Y140pを得た。
(b−4)(b−3)で得られたPCR産物Y140pを鋳型とし、配列番号23および配列番号24に記載の配列からなるオリゴヌクレオチドをPCRプライマーとしてPCRを行なった。PCRは、表7に示す組成の反応液を調製後、当該反応液を98℃で5分間熱処理し、98℃で10秒間の第1ステップ、55℃で5秒間の第2ステップ、72℃で1分間の第3ステップを1サイクルとする反応を30サイクル行なった。これによりFc結合性タンパク質(FcR24)の158番目のアミノ酸が任意のアミノ酸に置換されたFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチドを得た。得られたポリヌクレオチドをY158p3とした。
(b−5)(b−4)で得られたポリヌクレオチドを精製後、制限酵素NcoIとHindIIIで消化し、あらかじめ制限酵素NcoIとHindIIIで消化した発現ベクターpETMalE(特開2011−206046号公報)にライゲーションし、これを用いて大腸菌BL21(DE3)株を形質転換した。
(b−6)得られた形質転換体を50μg/mLのカナマイシンを添加したLB培地で培養した。
(1)実施例31で作製したFc結合性タンパク質を発現する形質転換体を、実施例8の(1)から(4)に記載の方法で培養し、タンパク質を抽出した。
(2)(1)で調製したタンパク質抽出液中のFc結合タンパク質の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法を用いて測定した。この時、精製し定量したFcR24を用いて検量線を作製し、濃度測定を行なった。
(3)各Fc結合性タンパク質の濃度が10μg/mLになるよう純水で希釈後、前記希釈した溶液50μLと、300mM(Thr140アミノ酸置換体の場合)または350mM(Tyr158アミノ酸置換体の場合)の水酸化ナトリウム溶液50μLとを混合し、30℃で2時間静置することでアルカリ処理した。その後、1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)を4倍量加えることで中和し、Fc結合性タンパク質の抗体結合活性を、実施例3(4)に記載のELISA法によって測定した。
(4)アルカリ処理を行なった場合の抗体結合活性をアルカリ処理を行なわなかったときの抗体結合活性で除することで、残存活性を算出しアルカリ安定性を評価した。
Claims (15)
- 配列番号37に記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含み、かつ当該33番目から208番目までのアミノ酸残基において以下の(1)から(84)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質。
(1)配列番号37の45番目のフェニルアラニンがイソロイシンまたはロイシンに置換
(2)配列番号37の55番目のグルタミン酸がグリシンに置換
(3)配列番号37の64番目のグルタミンがアルギニンに置換
(4)配列番号37の67番目のチロシンがセリンに置換
(5)配列番号37の77番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(6)配列番号37の93番目のアスパラギン酸がグリシンに置換
(7)配列番号37の98番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(8)配列番号37の106番目のグルタミンがアルギニンに置換
(9)配列番号37の128番目のグルタミンがロイシンに置換
(10)配列番号37の133番目のバリンがグルタミン酸に置換
(11)配列番号37の135番目のリジンがアスパラギンまたはグルタミン酸に置換
(12)配列番号37の156番目のスレオニンがイソロイシンに置換
(13)配列番号37の158番目のロイシンがグルタミンに置換
(14)配列番号37の187番目のフェニルアラニンがセリンに置換
(15)配列番号37の191番目のロイシンがアルギニンに置換
(16)配列番号37の196番目のアスパラギンがセリンに置換
(17)配列番号37の204番目のイソロイシンがバリンに置換
(18)配列番号37の34番目のメチオニンがイソロイシン、リジンまたはスレオニンに置換
(19)配列番号37の37番目のグルタミン酸がグリシンまたはリジンに置換
(20)配列番号37の39番目のロイシンがメチオニンまたはアルギニンに置換
(21)配列番号37の49番目のグルタミンがプロリンに置換
(22)配列番号37の62番目のリジンがイソロイシンまたはグルタミン酸に置換
(23)配列番号37の64番目のグルタミンがトリプトファンに置換
(24)配列番号37の67番目のチロシンがヒスチジンまたはアスパラギンに置換
(25)配列番号37の70番目のグルタミン酸がグリシンまたはアスパラギン酸に置換
(26)配列番号37の72番目のアスパラギンがセリンまたはイソロイシンに置換
(27)配列番号37の77番目のフェニルアラニンがロイシンに置換
(28)配列番号37の80番目のグルタミン酸がグリシンに置換
(29)配列番号37の81番目のセリンがアルギニンに置換
(30)配列番号37の83番目のイソロイシンがロイシンに置換
(31)配列番号37の84番目のセリンがプロリンに置換
(32)配列番号37の85番目のセリンがアスパラギンに置換
(33)配列番号37の87番目のアラニンがスレオニンに置換
(34)配列番号37の90番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(35)配列番号37の91番目のフェニルアラニンがアルギニンに置換
(36)配列番号37の93番目のアスパラギン酸がバリンまたはグルタミン酸に置換
(37)配列番号37の94番目のアラニンがグルタミン酸に置換
(38)配列番号37の97番目のバリンがメチオニンとグルタミン酸に置換
(39)配列番号37の98番目のアスパラギン酸がアラニンに置換
(40)配列番号37の102番目のグルタミン酸がアスパラギン酸に置換
(41)配列番号37の106番目のグルタミンがロイシンに置換
(42)配列番号37の109番目のロイシンがグルタミンに置換
(43)配列番号37の117番目のグルタミンがロイシンに置換
(44)配列番号37の119番目のグルタミン酸がバリンに置換
(45)配列番号37の121番目のヒスチジンがアルギニンに置換
(46)配列番号37の130番目のプロリンがロイシンに置換
(47)配列番号37の135番目のリジンがチロシンに置換
(48)配列番号37の136番目のグルタミン酸がバリンに置換
(49)配列番号37の141番目のヒスチジンがグルタミンに置換
(50)配列番号37の146番目のセリンがスレオニンに置換
(51)配列番号37の154番目のリジンがアルギニンに置換
(52)配列番号37の159番目のグルタミンがヒスチジンに置換
(53)配列番号37の163番目のグリシンがバリンに置換
(54)配列番号37の165番目のリジンがメチオニンに置換
(55)配列番号37の167番目のフェニルアラニンがチロシンに置換
(56)配列番号37の169番目のヒスチジンがチロシンに置換
(57)配列番号37の174番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(58)配列番号37の177番目のリジンがアルギニンに置換
(59)配列番号37の185番目のセリンがグリシンに置換
(60)配列番号37の194番目のセリンがアルギニンに置換
(61)配列番号37の196番目のアスパラギンがリジンに置換
(62)配列番号37の201番目のスレオニンがアラニンに置換
(63)配列番号37の203番目のアスパラギンがイソロイシンまたはリジンに置換
(64)配列番号37の207番目のスレオニンがアラニンに置換
(65)配列番号37の94番目のアラニンがセリンに置換
(66)配列番号37の98番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(67)配列番号37の117番目のグルタミンがアルギニンに置換
(68)配列番号37の174番目のチロシンがヒスチジンに置換
(69)配列番号37の181番目のリジンがグルタミン酸に置換
(70)配列番号37の203番目のアスパラギンがアスパラギン酸またはチロシンに置換
(71)配列番号37の56番目のリジンがグルタミンに置換
(72)配列番号37の62番目のリジンがアスパラギンに置換
(73)配列番号37の66番目のアラニンがスレオニンに置換
(74)配列番号37の 72番目のアスパラギンがチロシンに置換
(75)配列番号37の78番目のヒスチジンがロイシンに置換
(76)配列番号37の81番目のセリンがグリシンに置換
(77)配列番号37の90番目のチロシンがヒスチジンに置換
(78)配列番号37の138番目のアスパラギン酸がグルタミン酸に置換
(79)配列番号37の153番目のヒスチジンがグルタミンに置換
(80)配列番号37の156番目のスレオニンがアラニン、アルギニン、ロイシン、リジン、フェニルアラニン、セリン、バリンまたはメチオニンに置換
(81)配列番号37の157番目のチロシンがフェニルアラニンに置換
(82)配列番号37の174番目のチロシンがロイシン、システイン、イソロイシン、リジン、トリプトファンまたはバリンに置換
(83)配列番号37の206番目のイソロイシンがバリンに置換
(84)配列番号37の207番目のスレオニンがイソロイシンに置換 - 配列番号39、配列番号43、配列番号47、配列番号51、配列番号55、配列番号63、配列番号67、配列番号69、配列番号73、配列番号77、配列番号83、配列番号89のいずれかに記載のアミノ酸配列のうち33番目から208番目までのアミノ酸残基を含む、請求項1に記載のFc結合性タンパク質。
- 配列番号39、配列番号43、配列番号47、配列番号51、配列番号55、配列番号63、配列番号67、配列番号69、配列番号73、配列番号77、配列番号83、配列番号89のいずれかに記載のアミノ酸配列からなる、請求項2に記載のFc結合性タンパク質。
- 請求項1に記載のFc結合性タンパク質において、さらに以下の(85)から(88)のうち少なくともいずれか1つのアミノ酸置換が生じている、Fc結合性タンパク質。
(85)配列番号37の82番目のロイシンがヒスチジンまたはアルギニンに置換
(86)配列番号37の163番目のグリシンがアスパラギン酸に置換
(87)配列番号37の174番目のチロシンがヒスチジンに置換
(88)配列番号37の192番目のバリンがフェニルアラニンに置換 - 請求項1から4のいずれかに記載のFc結合性タンパク質を不溶性担体に固定化して得られる吸着剤。
- 請求項5に記載の吸着剤を用いた抗体の分離方法。
- 請求項6に記載の分離方法で得られる抗体。
- 請求項5に記載の吸着剤を用いて抗体を分離することで、抗体が有する糖鎖構造の違いを識別する方法。
- 請求項5に記載の吸着剤を用いた糖鎖の分離方法。
- 請求項9に記載の分離方法で得られる糖鎖。
- 請求項1から4のいずれかに記載のFc結合性タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
- 請求項11に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
- 請求項12に記載の発現ベクターで宿主を形質転換して得られる形質転換体。
- 宿主が大腸菌である、請求項13に記載の形質転換体。
- 請求項13または14に記載の形質転換体を培養することによりFc結合性タンパク質を発現させ、その培養物から発現されたFc結合性タンパク質を回収する、Fc結合性タンパク質の製造方法。
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