JP6502817B2 - タイヤのビード部の耐摩耗性能の評価方法 - Google Patents

タイヤのビード部の耐摩耗性能の評価方法 Download PDF

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本発明は、タイヤのビード部の耐摩耗性能を評価するのに役立つ評価方法に関する。
近年、タイヤの摩耗性能を、コンピュータを用いて評価するためのシミュレーション方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この種のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータが、タイヤモデルを路面モデルの上で転動させる。次に、コンピュータが、タイヤモデルのトレッド部表面の各節点について、接地圧、せん断力及びすべり量等を含む物理量を計算する。そして、節点の物理量に基づいて、タイヤのトレッド部の摩耗エネルギー等が計算される。
特開2015−006853号公報
ところで、タイヤのビード部は、リムによって強く嵌合されている。ビード部のリム接触面は、リムとの摩擦によって摩耗し、その摩耗量は走行距離と相関がある。従って、ビード耐久性に優れるタイヤを設計するためには、ビード部のリム接触面の耐摩耗性能を評価することが重要である。
しかしながら、従来、このようなビード部のリム接触面の耐摩耗性能を評価する手法は提案されていない。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、タイヤのビード部の耐摩耗性能を評価することができる方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、リムに嵌合されたタイヤのビード部の耐摩耗性能を、コンピュータを用いて評価するための方法であって、前記コンピュータに、前記タイヤを有限個の要素でモデル化して、ビード部を有するタイヤモデルを入力する工程と、前記コンピュータに、前記リムを有限個の要素でモデル化したリムモデルを入力する工程と、前記コンピュータが、前記タイヤモデルの前記ビード部に、前記リムモデルを嵌合させて、タイヤ・リム組立体モデルを得る工程と、前記コンピュータが、前記タイヤ・リム組立体モデルに荷重を負荷して、少なくとも前記ビード部を変形させる工程と、前記コンピュータが、前記ビード部の前記リムモデルとの接触面の摩耗エネルギーを計算する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る前記タイヤのビード部の耐摩耗性能の評価方法において、前記タイヤモデルを構成する前記各要素は、複数の節点を含み、前記摩耗エネルギーを計算する工程は、前記接触面に予め定められた少なくとも一つの第1節点について、せん断力及びすべり量を計算する工程と、前記せん応断力と前記すべり量とを乗じることにより、前記第1節点の前記摩耗エネルギーを計算する工程とを含むのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤのビード部の耐摩耗性能の評価方法において、前記第1節点は、タイヤ軸心を中心とする同一の円周線上に配置された前記節点から複数選択されるのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤのビード部の耐摩耗性能の評価方法において、前記すべり量は、前記第1節点の第1座標値と、タイヤ軸心を中心とする第1角度で前記第1節点から離間する他の第1節点を、前記第1角度で座標変換した第2座標値との差に基づいて計算されるのが望ましい。
本発明に係る前記タイヤのビード部の耐摩耗性能の評価方法において、前記第1節点は、前記すべり量が相対的に大きくなる領域に、前記すべり量が相対的に小さくなる領域よりも多く定義されるのが望ましい。
本発明の評価方法は、コンピュータが、タイヤモデルのビード部に、リムモデルを嵌合させて、タイヤ・リム組立体モデルを得る工程と、タイヤ・リム組立体モデルに荷重を負荷して、少なくともビード部を変形させる工程と、ビード部のリムモデルとの接触面の摩耗エネルギーを計算する工程とを含んでいる。従って、本発明の評価方法は、ビード部の接触面の耐摩耗性能を評価できるため、ビード耐久性に優れるタイヤの設計に役立つ。
本実施形態の評価方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。 本実施形態の評価方法によってビード部の耐摩耗性能が評価されるタイヤの断面図である。 本実施形態の評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 タイヤ・リム組立体モデル及び路面モデルの斜視図である。 タイヤ・リム組立体モデルの断面図である。 本実施形態の摩耗エネルギー計算工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図4の部分側面図である。 タイヤ軸心を中心とする第1節点の角度と、第1節点の摩耗エネルギーとの関係を示すグラフである。 図4の側面図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態のタイヤのビード部の耐摩耗性能の評価方法(以下、単に「評価方法」ということがある)は、リムに嵌合されたタイヤのビード部の耐摩耗性能を、コンピュータを用いて評価するための方法である。
図1は、本実施形態の評価方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んでいる。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。記憶装置には、本実施形態の評価方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。
図2は、本実施形態の評価方法によってビード部の耐摩耗性能が評価されるタイヤの断面図である。タイヤ2は、例えば、乗用車用タイヤとして構成されている。本実施形態のタイヤ2は、図2に示されるように、トレッド部2aからサイドウォール部2bを経てビード部2cのビードコア5に至るカーカス6と、カーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2aの内部に配されるベルト層7とが設けられている。このタイヤ2のビード部2cは、リム11によって強く嵌合される。
ビード部2cは、リム11と接触する接触面9を有している。接触面9は、ビード部2cのタイヤ半径方向内面であるビード底面9Aと、ビード底面9Aのヒール側に連なってタイヤ半径方向外側にのびるビード側面9Bとを含んでいる。
カーカスプライ6Aの本体部6aと折返し部6bとの間には、ビードコア5からタイヤ半径方向外側にのびるビードエーペックスゴム8が配されている。また、カーカスプライ6Aは、例えば、タイヤ赤道Cに対して80度〜90度の角度で配列されたカーカスコード(図示省略)が、互いに交差する向きに重ねられている。
ベルト層7は、タイヤ半径方向内、外2枚のベルトプライ7A、7Bによって構成される。2枚のベルトプライ7A、7Bは、ベルトコード(図示省略)が、タイヤ周方向に対して、例えば10〜35度の角度で傾けて配列されている。このようなベルトプライ7A、7Bは、ベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わされている。
リム11は、リム組み時にビード部2cを落とし込むためのウェル部(図示省略)と、このウェル部のタイヤ軸方向両側に配置される一対のリム片12、12とを含んでいる。リム片12は、リムシート面12Aと、リムフランジ面12Bとを含んでいる。リムシート面12Aは、タイヤ2のリム組み時において、ビード部2cのビード底面9Aに当接する。リムフランジ面12Bは、リムシート面12Aに連なってタイヤ半径方向外側にのび、かつビード部2cのビード側面9Bに当接する。
次に、本実施形態の評価方法について説明する。図3は、本実施形態の評価方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の評価方法は、先ず、コンピュータ1に、タイヤ2を有限個の要素F(i)でモデル化したタイヤモデル20を入力する(工程S1)。図4は、タイヤ・リム組立体モデル及び路面モデルの斜視図である。図5は、タイヤ・リム組立体モデルの断面図である。
図5に示されるように、工程S1では、図2に示したタイヤ2に関する情報(例えば、タイヤ2の輪郭データ等)に基づいて、有限個の要素F(i)(i=1、2、…)で離散化している。本実施形態では、ビード部2c等を構成するゴム部材2G、カーカスプライ6A、及び、各ベルトプライ7A、7B等の各タイヤ構成部材が、要素F(i)で離散化されている。これにより、タイヤ2をモデル化したタイヤモデル20(図5に示す)が設定される。本実施形態のタイヤモデル20は、タイヤ軸心26(図4に示す)を中心とする回転対称性を有する3次元モデルとして定義される。
要素F(i)は、数値解析法により取り扱い可能なものである。数値解析法としては、例えば有限要素法、有限体積法、差分法又は境界要素法が適宜採用できるが、本実施形態では有限要素法が採用される。
要素F(i)としては、例えば、4面体ソリッド要素、5面体ソリッド要素、又は、6面体ソリッド要素などが用いられるのが望ましい。各要素F(i)は、複数の節点35が設けられている。このような各要素F(i)には、要素番号、節点35の番号、節点35の座標値及び材料特性(例えば密度、ヤング率及び/又は減衰係数等)などの数値データが定義される。
本実施形態のタイヤモデル20は、図2に示したタイヤ2のビード部2cに基づいて設定されたビード部20cを有している。本実施形態のビード部20cは、後述するリムモデル21と接触する接触面29を有している。接触面29は、タイヤ2の接触面9と同様に、ビード底面29Aと、ビード側面29Bとを含んでいる。タイヤモデル20は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の評価方法では、コンピュータ1に、図2に示したリム11を有限個の要素でモデル化したリムモデル21を入力する(工程S2)。図5に示されるように、リムモデル21は、図2に示したリム11に関する情報(例えば、リム11の輪郭データ等)に基づいて、例えば、剛表面の要素Gでモデル化されている。これにより、リムモデル21は、外力が作用しても変形不能に定義される。
リムモデル21は、図2に示したリム11同様に、リムシート面22Aと、リムフランジ面22Bとを含んでいる。リムシート面22Aは、タイヤモデル20のビード部20cのビード底面29Aに当接する。リムフランジ面22Bは、タイヤモデル20のビード部20cのビード側面29Bに当接する。本実施形態のリムモデル21は、タイヤモデル20と同様に、タイヤ軸心26(図4に示す)を中心とする回転対称性を有する3次元モデルとして定義される。リムモデル21は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の評価方法では、コンピュータ1に、タイヤ2が接地する路面(図示省略)を有限個の要素でモデル化した路面モデル25を入力する(工程S3)。図4に示されるように、路面モデル25は、例えば、単一の平面を構成する剛表面の要素Hでモデル化される。これにより、路面モデル25は、外力が作用しても変形不能に定義される。なお、路面モデル25は、単一の平面に形成される場合が例示されたが、例えば、ドラム試験機のように円筒状表面に形成されても良い。また、路面モデル25には、必要に応じて、段差、窪み、うねり又は轍などが設けられても良い。路面モデル25は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1に、タイヤモデル20のビード部20cにリムモデル21を嵌合させるための境界条件、及び、タイヤモデル20(後述するタイヤ・リム組立体モデル31)を路面モデル25に接触させるための境界条件を入力する(工程S4)。
本実施形態のリムモデル21を嵌合させるための境界条件としては、例えば、タイヤモデル20の内圧条件、又は、リム条件が含まれる。内圧条件としては、適宜設定することができる。本実施形態の内圧条件としては、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定める空気圧が設定される。荷重条件としては、適宜設定することができる。本実施形態の荷重条件は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定める荷重が設定される。
本実施形態の路面モデル25に接触させるための境界条件としては、例えば、タイヤモデル20と路面モデル25との間の接触条件、タイヤモデル20と路面モデル25との間の摩擦係数、荷重条件、又は、キャンバー角等が入力される。これらの境界条件は、コンピュータ1に入力される。
次に、本実施形態の評価方法では、コンピュータ1が、タイヤモデル20のビード部20cに、リムモデル21を嵌合させて、タイヤ・リム組立体モデル31を定義する(工程S5)。
本実施形態の工程S5では、先ず、図5に示されるように、タイヤモデル20に内圧条件が定義されていない状態で、タイヤモデル20のビード部20c、20cにリムモデル21が当接される。このとき、ビード部20cのビード底面29Aには、リムモデル21のリムシート面22Aが当接される。さらに、ビード部20cのビード側面29Bには、リムフランジ面22Bが当接される。
次に、本実施形態の工程S5では、ビード部20c、20cにリムモデル21が当接されたタイヤモデル20に、内圧条件が定義される。本実施形態では、タイヤモデル20の内腔面の全体に、内圧条件に相当する等分布荷重wが定義される。これにより、タイヤモデル20のビード部20cに、リムモデル21を嵌合させたタイヤ・リム組立体モデル31を得ることができる。
タイヤモデル20の変形計算は、従来のシミュレーションと同様に、例えば、陽解法、又は、陰解法に基づいて計算されうる。陽解法に基づいて計算される場合、各要素F(i)の形状及び材料特性などをもとに、各要素F(i)の質量マトリックス、剛性マトリックス及び減衰マトリックスがそれぞれ作成される。さらに、これらの各マトリックスが組み合わされて、全体の系のマトリックスが作成される。そして、コンピュータ1が、前記各種の条件を当てはめて運動方程式を作成し、これらを単位時間T(x)(x=0、1、…)ごと(例えば、1μ秒毎)にタイヤモデル20の変形計算を行う。このような変形計算は、例えば、Dassault Systems 社製のABAQUSなどの市販の有限要素解析アプリケーションソフトを用いて計算できる。
次に、本実施形態の評価方法は、コンピュータ1に、タイヤモデル20の接触面29に、少なくとも一つの第1節点35Aを定義する(工程S6)。第1節点35Aは、後述する工程S8において、接触面29の摩耗エネルギーを計算するためのものである。
第1節点35Aは、タイヤモデル20の接触面29を構成する要素F(i)の節点35において定義されうる。なお、第1節点35Aは、例えば、図2に示したタイヤ2のビード部2cの接触面9の摩耗量を評価したい部分に定義される。
図2に示したタイヤ2において、ビード側面9Bは、ビード底面9Aに比べて、リム11とのすべりが大きくなり摩耗しやすい。このため、第1節点35Aは、タイヤモデル20のビード部20cのビード側面29Bに設定されるのが望ましい。
本実施形態の第1節点35Aは、タイヤ軸心26(図4に示す)を中心とする同一の円周線24(図9に示す)上に配置された要素F(i)の節点35から複数選択される。これにより、タイヤ周方向で同一位置に配置された複数の第1節点35Aにおいて、摩耗エネルギーが計算されうる。
次に、本実施形態の評価方法は、コンピュータ1が、タイヤ・リム組立体モデル31に荷重を負荷して、少なくともビード部20cを変形させる(工程S7)。本実施形態の工程S7では、先ず、図4に示されるように、工程S4で定義された接触条件及び摩擦係数等を含む境界条件に基づいて、タイヤ・リム組立体モデル31と、路面モデル25との接触が計算される。次に、工程S7では、工程S4で定義された荷重条件L及びキャンバー角等を含む境界条件に基づいて、タイヤ・リム組立体モデル31の変形が計算される。これにより、路面モデル25に接地したタイヤモデル20が計算される。この荷重条件Lの負荷により、図5に示したタイヤ・リム組立体モデル31のビード部20cが変形する。
なお、本実施形態では、タイヤ・リム組立体モデル31を路面モデル25に接触させてビード部20cを変形させる態様が示されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、タイヤ・リム組立体モデル31を路面モデル25に接触させずに、タイヤ・リム組立体モデル31のトレッド部20aの外面の少なくとも一部を拘束し、かつ、そのトレッド部20aの拘束領域(図示省略)に向かって荷重条件Lが負荷されることにより、ビード部20bを変形させてもよい。
次に、本実施形態の評価方法は、コンピュータ1が、ビード部20cのリムモデル21との接触面29の摩耗エネルギーを計算する(摩耗エネルギー計算工程S8)。本実施形態では、工程S6で定義された少なくとも一つの第1節点35Aについて、摩耗エネルギーが計算される。図6は、本実施形態の摩耗エネルギー計算工程S8の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の摩耗エネルギー計算工程S8では、先ず、変形したビード部20cの接触面29の各第1節点35Aについて、せん断力P、及び、リムモデル21に対するすべり量Qを計算する(工程S81)。
せん断力Pは、x方向のせん断力Px、y方向のせん断力Py、及び、z方向のせん断力Pzが含まれる。これらのせん断力Px、Py、Pzが、工程S6で定義された全ての第1節点35Aについて計算される。
すべり量Qは、せん断力Pxに対応するx方向のすべり量Qx、せん断力Pyに対応するy方向のすべり量Qy、及び、せん断力Pzに対応するz方向のすべり量Qzが含まれる。これらのすべり量Qx、Qy、Qzが、工程S6で定義された全ての第1節点35Aについて計算される。
図7は、図4の部分側面図である。本実施形態のすべり量Qx、Qy、Qzは、各第1節点35Aについて、第1座標値(x1、y1、z1)と、第2座標値(x2、y2、z2)との差に基づいて計算される。第1座標値(x1、y1、z1)は、すべり量が計算される第1節点35Aaの荷重条件負荷後の座標値である。
第2座標値(x2、y2、z2)は、タイヤ軸心26を中心とする予め定められた第1角度θ1で第1節点35Aaから離間する他の第1節点35Abの荷重条件負荷後の座標値を、第1角度θ1で座標変換したものである。なお、第1角度θ1は、荷重条件Lが負荷される前のタイヤ・リム組立体モデル31に基づいて特定されるものとする。上述したように、リムモデル21は、タイヤ軸心26を中心とする回転対称性を有しており、タイヤモデル20に対して剛体とみなすことができる。従って、第2座標値(x2、y2、z2)は、荷重条件Lが負荷されたタイヤ・リム組立体モデル31において、第1節点35Aaにすべりが発生しなかった場合の第1節点35Aaの座標値を示している。
なお、第2座標値(x2、y2、z2)は、例えば、タイヤ赤道面Cpとタイヤ軸心26との交点37の座標値(x、y、z)が(0、0、0)とし、かつ、他の第1節点35Abの荷重負荷後の座標値(x、y、z)が(a、b、c)の場合、(a、b・cosθ1−c・sinθ1、b・cosθ1+c・sinθ1)と変換される。
このように、本実施形態の第1節点35Aaのすべり量Qx、Qy、Qzは、荷重条件Lの負荷によって周方向に移動した(即ち、リムモデル21のリムフランジ面22Bに沿ってすべった)他の第1節点35Abを基準として計算される。このため、例えば、第1節点35Aaの荷重条件負荷後の第1座標値(x1、y1、z1)と、荷重条件Lが負荷される前の第1節点35Aaの座標値(図示省略)との差に基づいて計算される場合に比べて、他の第1節点35Abの移動(すべり)分を考慮することができる。従って、各第1節点35Aのすべり量Qx、Qy、Qzを、精度よく計算することができる。
第1節点35Aaと他の第1節点35Abとの第1角度θ1については、適宜選択することができる。なお、第1角度θ1が大きいと、他の第1節点35Abが第1節点35Aから大きく離間してしまい、他の第1節点35Abの移動(すべり)分を精度よく考慮できないおそれがある。従って、第1角度θ1は、好ましくは3度以下であり、より好ましくは2度以下である。
第1角度θ1が上記範囲に設定されると、すべり量Qx、Qy、Qzの値が小さくなるため、第1座標値(x1、y1、z1)と、第2座標値(x2、y2、z2)との間の直線距離として求められてもよい。これにより、計算を簡略化できるため、計算時間を短縮することができる。
次に、本実施形態の摩耗エネルギー計算工程S8は、せん断力Pとすべり量Qとを乗じることにより、第1節点35Aの摩耗エネルギーを計算する(工程S82)。工程S82では、接触面29の各第1節点35Aにおいて、各せん断力Px、Py、Pzと、せん断力Px、Py、Pzに対応するすべり量Qx、Qy、Qzとを乗じた値を積算(即ち、Px・Qx+Py・Qy+Pz・Qz)する。これにより、荷重条件Lが負荷されたタイヤモデル20について、各第1節点35Aでの摩耗エネルギーが計算される。図8は、タイヤ軸心を中心とする第1節点35Aの角度と、第1節点の摩耗エネルギーとの関係を示すグラフである。
上述したように、タイヤモデル20は、タイヤ軸心26を中心とする回転対称性を有している。このため、例えば、タイヤ軸心26を中心とする角度θ(図示省略)で第1節点35Aaと離間する他の第1節点35Abの摩耗エネルギーを、角度θで回転した第1節点35Aの摩耗エネルギーと等しいとみなしうる。従って、本実施形態では、各第1節点35Aの摩耗エネルギーを積分することにより、タイヤモデル20を1回転させたときの各第1節点35Aでの摩耗エネルギー(図8において、色付けした領域の面積)を計算することができる。このような摩耗エネルギーは、コンピュータ1に入力される。
このように、本実施形態の評価方法では、タイヤモデル20の転動計算が実施されなくても、タイヤモデル20を1回転させたときの各第1節点35Aでの摩耗エネルギーを計算することができる。従って、本実施形態の評価方法は、タイヤモデル20の転動計算が実施される場合に比べて、計算時間を大幅に短縮しうる。また、タイヤモデル20は、上記したソリッド要素で構成されているため、タイヤ赤道面Cpに沿った断面において、多面体状に形成されている。このような多面体状のタイヤモデル20を用いた転動計算では、実際のタイヤ2の転動時には生じない振動がノイズとして計算され、摩耗エネルギー等の物理量に影響を及ぼしやすい。本実施形態の評価方法では、タイヤモデル20の転動計算が実施されないため、各第1節点35Aの摩耗エネルギーを精度よく計算することができる。
図9は、図4の側面図である。すべり量Qは、路面への接地時、及び、路面からの離間時において生じるタイヤ2の変形によって相対的に大きくなる。従って、第1節点35A(図5に示す)が定義される円周線24上において、すべり量が相対的に大きくなる領域Ar1に、第1節点35Aが多く定義されるのが望ましい。これにより、すべり量が相対的に大きい領域Ar1において、多くのすべり量Qを計算できるため、タイヤモデル20を1回転させたときの各第1節点35Aでの摩耗エネルギーを精度よく計算することができる。なお、すべり量が相対的に大きい領域Ar1に、第1節点35Aが少なく定義されると、各第1節点35Aでの摩耗エネルギーが小さく計算されるおそれがある。
すべり量が相対的に大きい領域Ar1、Ar1は、例えば、円周線24と、タイヤモデル20の路面モデル25への接触領域27のタイヤ周方向の両端部27t、27tとタイヤ軸心26とを結ぶ直線28、28との交点30、30の近傍(例えば、この交点30、30からタイヤ軸心26を中心とする±5〜±30度の領域)に定義されるのが望ましい。また、領域Ar1、Ar1には、例えば、2度以下の間隔で、第1節点35A(図5に示す)が定義されるのが望ましい。
他方、すべり量Qは、接触領域27の180度反対側において、相対的に小さくなる傾向がある。従って、第1節点35A(図5に示す)が定義される円周線24上において、すべり量が相対的に小さくなる領域Ar2には、第1節点35Aを少なく定義されてもよい。これにより、すべり量が相対的に小さい領域Ar2において、すべり量Qの計算量を抑制できるため、計算時間を短縮することができる。なお、すべり量が相対的に小さい領域Ar2は、例えば、接地中心を0度として、100度〜260度の領域に定義されるのが望ましい。また、この領域Ar2には、領域Ar1よりも大きな間隔で、第1節点35Aが定義されるのが望ましい。
このように、すべり量が相対的に大きい領域Ar1、Ar1には、第1節点35Aを相対的に多く定義し、かつ、すべり量が相対的に小さい領域Ar2には、第1節点35Aを相対的に少なく定義することにより、摩耗エネルギーの計算精度を高めつつ、第1節点35Aの増加に起因する計算時間の増大を抑えることができる。
次に、本実施形態の評価方法では、図3に示されるように、コンピュータ1が、第1節点35Aの摩耗エネルギーに基づいて、タイヤ2のビード部2c(図2に示す)の耐摩耗性能が良好か否かを判断する(工程S9)。工程S9では、第1節点35Aの摩耗エネルギーが、予め定められた許容値以下であるか否かで判断される。なお、許容値については、タイヤ2に求められるビード部2cの耐摩耗性能に応じて、適宜設定されうる。
工程S9において、ビード部2cの耐摩耗性能が良好であると判断された場合(工程S9で、「Y」)、タイヤモデル20に基づいて、タイヤ2が製造される(工程S10)。他方、ビード部2cの耐摩耗性能が良好でないと判断された場合(工程S10で、「N」)、タイヤ2の設計因子が変更され(工程S11)、工程S1〜工程S9が再度実施される。これにより、本発明では、ビード耐久性に優れるタイヤ2を確実に設計することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図2に示した基本構造を有し、かつ、ビードコア及びビードエーペックスゴムの構造が異なる2つのタイヤA、Bが製造された(実験例)。これらのタイヤA、Bを排気量2000ccの国産FF車の4輪に下記条件で装着するとともに、一般道を走行させた。そして、走行後のタイヤA、Bについて、ビード部の摩耗量が測定された。テストの結果、タイヤAの摩耗量は、タイヤBの摩耗量よりも小であった。共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:195/65R15 91S
リムサイズ:15×6J
内圧:230kPa
荷重:4100N
図3及び図6に示した処理手順に従って、タイヤA、Bをそれぞれモデル化したタイヤモデルA、Bがコンピュータに定義され、上記条件(内圧、荷重)に従って、ビード部のリムモデルとの接触面の摩耗エネルギーが計算された(実施例)。そして、タイヤモデルA、Bの摩耗エネルギーの大小により、ビード部の耐摩耗性能が評価された。
テストの結果、タイヤモデルAの摩耗エネルギーは、タイヤモデルBの摩耗エネルギーよりも小であり、実験例のタイヤA、Bの摩耗量の大小関係と一致した。従って、実施例の評価方法は、ビード部の接触面の耐摩耗性能を評価できた。
S5 タイヤ・リム組立体モデルを得る工程
S7 ビード部を変形させる工程
S8 ビード部のリムモデルとの接触面の摩耗エネルギーを計算する工程

Claims (5)

  1. リムに嵌合されたタイヤのビード部の耐摩耗性能を、コンピュータを用いて評価するための方法であって、
    前記コンピュータに、前記タイヤを有限個の要素でモデル化して、ビード部を有するタイヤモデルを入力する工程と、
    前記コンピュータに、前記リムを有限個の要素でモデル化したリムモデルを入力する工程と、
    前記コンピュータが、前記タイヤモデルの前記ビード部に、前記リムモデルを嵌合させて、タイヤ・リム組立体モデルを得る工程と、
    前記コンピュータが、前記タイヤ・リム組立体モデルに荷重を負荷して、少なくとも前記ビード部を変形させる工程と、
    前記コンピュータが、前記ビード部の前記リムモデルとの接触面の摩耗エネルギーを計算する工程とを含むことを特徴とするタイヤのビード部の耐摩耗性能の評価方法。
  2. 前記タイヤモデルを構成する前記各要素は、複数の節点を含み、
    前記摩耗エネルギーを計算する工程は、前記接触面に予め定められた少なくとも一つの第1節点について、せん断力及びすべり量を計算する工程と、
    前記せん応断力と前記すべり量とを乗じることにより、前記第1節点の前記摩耗エネルギーを計算する工程とを含む請求項1記載のタイヤのビード部の耐摩耗性能の評価方法。
  3. 前記第1節点は、タイヤ軸心を中心とする同一の円周線上に配置された前記節点から複数選択される請求項2記載のタイヤのビード部の耐摩耗性能の評価方法。
  4. 前記すべり量は、前記第1節点の第1座標値と、タイヤ軸心を中心とする第1角度で前記第1節点から離間する他の第1節点を、前記第1角度で座標変換した第2座標値との差に基づいて計算される請求項3記載のタイヤのビード部の耐摩耗性能の評価方法。
  5. 前記第1節点は、前記すべり量が相対的に大きくなる領域に、前記すべり量が相対的に小さくなる領域よりも多く定義される請求項3又は4に記載のタイヤのビード部の耐摩耗性能の評価方法。
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