本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
<構成について>
(概略構成)
はじめに、図1を参照して、本実施の形態に係る食品洗浄装置1の概略構成例について説明する。食品洗浄装置1は、野菜などの食品の基本洗浄を行うためのベースユニット11と、基本洗浄後の食品の機能別洗浄を行うためのオプションユニット15とを備えている。ベースユニット11およびオプションユニット15は、たとえば四角柱形状の1つの筐体10内に設けられている。
基本洗浄は、高濃度の電解水を用いて食品を洗浄する「除菌洗浄」を少なくとも含み、望ましくは、水道水を用いて食品を洗浄する「すすぎ洗浄」をさらに含む。なお、水道水は、水道管を流れる原水に限定されず、浄化処理後の水(浄水)、あるいは、軟化処理後の水(軟水)であってもよい。
機能別洗浄は、たとえば50℃程度の温水で食品を洗浄する「温水洗浄」、低濃度の電解水で食品を洗浄する「低除菌洗浄」、および、食品の水分を除去する「脱水洗浄」のうちの少なくとも1つを含む。なお、低除菌洗浄で用いられる電解水の濃度は、ベースユニット11の除菌洗浄で用いられる電解水の濃度よりも低く、たとえばその1/10以下である。
ベースユニット11は、洗浄用液体としての電解水を貯留し、被洗浄物としての食品を収容する洗浄タンク21を含む。洗浄タンク21の容量は、たとえば20リットルである。洗浄タンク21において、食品の除菌洗浄およびすすぎ洗浄が行われる。
本実施の形態のオプションユニット15は、上記した3つの洗浄機能全てを有しており、温水洗浄ユニット12と、低除菌洗浄ユニット13と、脱水ユニット14とを含む。これらの機能別ユニット12〜14は、それぞれが、食品を収容するタンク22〜24を有している。タンク22は、第1の機能別タンクであり、温水を貯留する。タンク23は、第2の機能別タンクであり、低濃度の電解水を貯留する。タンク24は、第3の機能別タンクである。オプションユニット15のタンク22〜24の容量は、いずれもベースユニット11の洗浄タンク21よりも小さく、たとえばその1/10以下である。
筐体10の上面10aには、洗浄タンク21の蓋部21aと、タンク22〜24の蓋部22a,23a,24aとが、開閉可能に設けられている。また、筐体10のたとえば上面10aには、ユーザにより操作される操作部94が設けられている。操作部94は、たとえば、それぞれのユニット11〜14に対応した操作ボタン21b,22b,23b,24bを含んでいる。
ベースユニット11での洗浄運転を指示するための操作ボタン21bは、典型的には食品の提供者によって操作される。これに対し、オプションユニット15での洗浄運転を指示するための操作ボタン22b,23b,24bは、典型的には消費者により操作される。つまり、オプションユニット15での温水洗浄運転、低除菌洗浄運転、および脱水洗浄運転は、消費者自身が指示することによって行われる。
この場合、筐体10の上面10aのうち、ベースユニット11の洗浄タンク21の蓋部21aと、蓋部21aに最も近いオプションユニット15の蓋部22aとの間には、ベースユニット11で除菌洗浄された後の食品が、器に入れられた状態で載置されるようにしてもよい。そうすることで、消費者は、器の中の食品を取り出し、自らの手で所望の機能別洗浄を行うことができる。これにより、食品に対する安心感を向上させることができる。
ここで、本実施の形態のベースユニット11は、(高濃度の)電解水を生成する機能を有しており、生成した電解水を洗浄タンク21に貯水する「電解水貯水運転」を実行可能である。同様に、低除菌洗浄ユニット13もまた、(低濃度の)電解水を生成する機能を有しており、生成した電解水をタンク23に貯水する「電解水貯水運転」を実行可能である。また、温水洗浄ユニット12は、温水を生成する機能を有しており、生成した温水をタンク22に貯水する「温水貯水運転」を実行可能である。
なお、タンク21〜23内の液体は、その種類を問わず、「洗浄水」とも表わす。
(配管構成)
次に、食品洗浄装置1に含まれるベースユニット11、温水洗浄ユニット12、低除菌洗浄ユニット13、および脱水ユニット14の配管構成例について説明する。
図2を参照して、ベースユニット11の配管構成例について説明する。ベースユニット11は、洗浄タンク21に水道水を供給するための給水経路31と、洗浄タンク21内の液体を循環させるための循環経路32と、洗浄タンク21内の液体を排水するための排水経路37とを備えている。
給水経路31は、給水管16に一端が接続され、洗浄タンク21に他端が接続されている。給水経路31には、液体の流動を可能にしたり停止したりするために、開閉制御されるバルブ(以下「給水バルブ」ともいう)31aが設けられている。
循環経路32は、途中位置に循環ポンプ33を有し、洗浄タンク21に両端が接続されている。より具体的には、循環経路32は、洗浄タンク21の底壁に一端が接続され、側壁に他端が接続されている。すなわち、洗浄タンク21内の液体が、その下部から流出して、その側部から洗浄タンク21内に流入するように構成されている。電解水貯水運転では、洗浄タンク21における循環経路32との接続部よりも上方位置まで洗浄水が貯められることが望ましい。
循環経路32は、洗浄タンク21から循環ポンプ33に至る上流側区間32SAと、循環ポンプ33から洗浄タンク21に至る下流側区間32SBとで構成されている。循環経路32の下流側区間32SBには、並列的に配置された第1経路321および第2経路322が含まれる。なお、説明の容易のために、循環経路32の下流側区間32SBのうち、第1経路321および第2経路322が並列配置された部分(区間)を、並列経路部320という。
第2経路322は、途中位置に電気分解装置34を有している。電気分解装置34は、循環経路32の第2経路322を通過する液体(食塩水)の電気分解を行い、電解水を生成する。電気分解装置34は、直流電源38に電気的に接続された電極341,342を有する電解槽を含む。このように、本実施の形態では、ベースユニット11の循環経路32から分岐する第2経路322だけが電解経路として機能している。なお、電解槽は、無隔膜であっても有隔膜であってもよい。
循環経路32には、液体の流動を可能にしたり停止したりするために、開閉制御されるバルブ(以下「循環バルブ」ともいう)32aが設けられている。具体的には、循環バルブ32aは、下流側区間32SBのうちの循環ポンプ33と並列経路部320との間に設けられている。循環バルブ32aは、循環ポンプ33と連動制御される。
排水経路37は、洗浄タンク21ではなく、循環経路32に接続されている。具体的には、排水経路37は、循環経路32に一端が接続され、排水管17に他端が接続されている。本実施の形態では、排水経路37は、循環経路32の上流側区間32SAに接続された第1排水ライン35と、循環経路32の下流側区間32SBに接続された第2排水ライン36とを含む。第2排水ライン36は、並列経路部320よりも循環ポンプ33側であって、循環バルブ32aよりも上流側に接続されていることが望ましい。
第1排水ライン35および第2排水ライン36には、液体の流動を可能にしたり停止したりするために、開閉制御されるバルブ(以下「排水バルブ」ともいう)35a,36aがそれぞれ設けられている。排水バルブ35aは、循環バルブ32aが閉状態のときに開状態とされることで、洗浄タンク21内の液体が、自重により、循環経路32の上流側区間32SAから第1排水ライン35を通って排水される。排水バルブ36aは、循環バルブ32aが開状態のときに開状態とされることで、循環経路32を流れる液体の一部が、第2排水ライン36を通って排水される。
ベースユニット11は、また、洗浄タンク21内の液体の水位を検知するための水位センサ71と、洗浄水槽21内の液体の濃度、すなわち有効塩素濃度を検知するための濃度センサ81とを有している。濃度センサ81は、たとえば、循環経路32に設けられている。
図3を参照して、温水洗浄ユニット12の配管構成例について説明する。温水洗浄ユニット12は、タンク22に水道水を供給するための給水経路41と、タンク22内の液体を循環させるための循環経路42と、タンク22内の液体を排水するための排水経路45とを備えている。
給水経路41は、給水管16に一端が接続され、タンク22に他端が接続されている。給水経路41には、液体の流動を可能にしたり停止したりするために、開閉制御されるバルブ(以下「給水バルブ」ともいう)41aが設けられている。
循環経路42は、第1の機能別循環経路であり、途中位置に循環ポンプ43を有し、タンク22に両端が接続されている。より具体的には、循環経路42は、タンク22の底壁に一端が接続され、側壁に他端が接続されている。すなわち、タンク22内の液体が、タンク22の下部から流出して、タンク22の側部からタンク22内に流入するように構成されている。温水貯水運転では、タンク22における循環経路42との接続部よりも上方位置まで洗浄水が貯められることが望ましい。
循環経路42は、タンク22から循環ポンプ43に至る上流側区間42SAと、循環ポンプ43からタンク22に至る下流側区間42SBとで構成されている。循環経路42の下流側区間42SBには、加熱器44が設けられている。加熱器44は、循環経路32を通過する液体を加熱する。循環経路42の上流側区間42SAには、液体の流動を可能にしたり停止したりするために、開閉制御されるバルブ(以下「循環バルブ」ともいう)42aが設けられている。循環バルブ42aは、循環ポンプ43と連動制御される。なお、循環バルブ42aは、下流側区間42SBに設けられてもよい。
排水経路45は、循環経路42に一端が接続され、排水管17に他端が接続されている。排水経路45は、循環経路42の上流側区間42SAであって、循環バルブ42aよりも上流側に接続されている。排水経路45には、液体の流動を可能にしたり停止したりするために、開閉制御されるバルブ(以下「排水バルブ」ともいう)45aが設けられている。排水バルブ45aは、循環バルブ42aが閉状態のときに開状態とされることで、タンク22内の液体が、自重により、循環経路42の上流側区間42SAから排水経路45を通って排水される。
温水洗浄ユニット12は、また、タンク22内の液体の水位を検知するための水位センサ72と、タンク22内の液体の温度を検知するための温度センサ82とを有している。温度センサ82は、たとえば、タンク22内に設けられている。
図3を参照して、低除菌洗浄ユニット13の配管構成例について説明する。低除菌洗浄ユニット13は、タンク23に水道水を供給するための給水経路51と、タンク23内の液体を循環させるための循環経路52と、タンク23内の洗浄水を排水するための排水経路55とを備えている。
給水経路51は、給水管16に一端が接続され、タンク23に他端が接続されている。給水経路51には、液体の流動を可能にしたり停止したりするために、開閉制御されるバルブ(以下「給水バルブ」ともいう)51aが設けられている。
循環経路52は、第2の機能別循環経路であり、途中位置に循環ポンプ53を有し、タンク23に両端が接続されている。より具体的には、循環経路52は、タンク23の底壁に一端が接続され、側壁に他端が接続されている。すなわち、タンク23内の液体が、タンク23の下部から流出して、タンク23の側部からタンク23内に流入するように構成されている。電解水貯水運転では、洗浄タンク21における循環経路32との接続部よりも上方位置まで洗浄水が貯められることが望ましい。
循環経路52の基本的な構成は、図2に示したベースユニット11の循環経路32の構成と同様である。すなわち、循環ポンプ53からタンク23に至る下流側区間52SBには、並列的に配置された第1経路521および第2経路522が含まれる。第2経路522は、途中位置に電気分解装置54を有している。電気分解装置54は、循環経路52の第2経路522を通過する液体(食塩水)の電気分解を行い、電解水を生成する。電気分解装置54は、直流電源58に電気的に接続された電極541,542を有する電解槽を含む。
循環経路52には、液体の流動を可能にしたり停止したりするために、開閉制御されるバルブ(以下「循環バルブ」ともいう)52aが設けられている。具体的には、循環バルブ52aは、循環経路52の上流側区間52SAに設けられている。循環バルブ52aは、循環ポンプ53と連動制御される。なお、循環バルブ52aは、循環経路52の下流側区間52SBに設けられていてもよい。
排水経路55は、循環経路52に一端が接続され、排水管17に他端が接続されている。排水経路55は、循環経路52の上流側区間52SAであって、循環バルブ52aよりも上流側に接続されている。排水経路55には、液体の流動を可能にしたり停止したりするために、開閉制御されるバルブ(以下「排水バルブ」ともいう)55aが設けられている。排水バルブ55aは、循環バルブ52aが閉状態のときに開状態とされることで、タンク23内の液体が、自重により、循環経路52の上流側区間52SAから排水経路55を通って排水される。
低除菌洗浄ユニット13は、また、タンク23内の液体の水位を検知するための水位センサ73と、タンク23内の液体の濃度、すなわち有効塩素濃度を検知するための濃度センサ83とを有している。濃度センサ83は、たとえば循環経路52に設けられている。
図3を参照して、脱水ユニット14の配管構成例について説明する。脱水ユニット14は、タンク24に水道水を供給するための給水経路61と、タンク24内の液体を排水するための排水経路62とを備えている。
給水経路61は、給水管16に一端が接続され、タンク24に他端が接続されている。給水経路61には、液体の流動を可能にしたり停止したりするために、開閉制御されるバルブ(以下「給水バルブ」ともいう)61aが設けられている。
排水経路62は、脱水用排水経路であり、タンク24に一端が接続され、排水管17に他端が接続されている。排水経路62には、タンク24内へ風を送り込むためのブロワ63が設けられており、ブロワ63は、排気経路64に連結されている。
(回路構成)
上記のようなベースユニット11、温水洗浄ユニット12、低除菌洗浄ユニット13、および脱水ユニット14は、一つの制御装置によって制御可能である。この場合の食品洗浄装置1の回路構成例を以下に説明する。
図4に示されるように、制御装置90は、各種演算処理を行う制御部91と、各種データおよびプログラムを記憶するための記憶部92と、計時動作を行うための計時部93とを含んでいる。
制御部91は、上記した水位センサ71〜73、濃度センサ81,83、温度センサ82、循環ポンプ33,43,53、バルブ31a,32a,35a,36a,41a,42a,45a,51a,52a,55a,61a、直流電源38,58、加熱器44、ブロワ63、および、操作部94と電気的に接続されている。制御部91は、たとえばCPU(Central Processing Unit)により実現される。
制御部91は、水位センサ71〜73からの信号に基づいて、タンク21〜23への水道水の供給、および、循環経路32,42,52を介した洗浄水の循環を制御する。すなわち、循環ポンプ33,43,53のON/OFF、および、給水バルブ31a,41a,51a、循環バルブ32a,42a,52aの開閉切替えを制御する。また、制御部91は、濃度センサ81,83からの信号に基づいて、タンク21,23内の液体の濃度を調整する。すなわち、直流電源38,58のON/OFFを制御する。さらに、制御部91は、温度センサ82からの信号に基づいて、タンク22内の液体の温度を調整する。すなわち、加熱器44のON/OFFを制御する。ブロワ63のON/OFFの制御は、たとえば、操作部94からの信号に応じて行われてよい。
ここで、制御部91は、タンク21〜23への水道水の供給、および、循環経路32,42,52を介した洗浄水の循環の制御に関し、第1モードと、第2モードと、第3モードとを選択的に実行可能である。第1モードは、洗浄水の循環を停止して水道水の供給のみを実行するモードであり、第2モードは、水道水の供給を停止して洗浄水の循環のみを実行するモードであり、第3モードは、洗浄水の循環と水道水の供給との両方を実行するモードである。
具体的には、ベースユニット11、温水洗浄ユニット12、および低除菌洗浄ユニット13での貯水運転では、第1モード、第2モード、および第3モードのいずれかが実行される。ベースユニット11での除菌洗浄運転、温水洗浄ユニット12での温水洗浄運転、および低除菌洗浄ユニット13での低除菌洗浄運転では、第2モードが実行される。ベースユニット11でのすすぎ運転では、第3モードが実行される。
<動作について>
次に、食品洗浄装置1の動作について、ユニットごとに説明する。
(ベースユニット11の動作)
ベースユニット11の動作は、制御装置90の制御部91が、記憶部92に予め記憶されたプログラムを読み出して、図5に示す基本洗浄処理を実行することによって実現される。
図5は、本実施の形態における基本洗浄処理のメインルーチンを示すフローチャートである。なお、この処理の開始時には、洗浄タンク21内は空であるか、または、少量の液体(たとえば水道水)のみが入れられている状態である。ただし、洗浄タンク21内には食塩が入れられていてもよい。また、循環ポンプ33および直流電源38はOFFであり、全てのバルブ31a,32a,35a,36aは閉状態である。
図2および図5を参照して、ユーザ(食品提供者)により洗浄水の貯水開始の指示が入力されると、制御部91は、電解水貯水処理を実行する(ステップS(以下「S」と略す)1)。これにより、ベースユニット11では、電解水の生成および貯水が行われる。電解水貯水処理については、図6にサブルーチンを挙げて後に説明する。
電解水貯水処理が終わると、ユーザから、除菌洗浄運転の指示が入力されるまで待機する(S2にてNO)。洗浄タンク21内に食品が投入され、ユーザから、除菌洗浄運転の指示が入力されると(S2にてYES)、制御部91は、除菌洗浄処理を実行する(S3)。これにより、ベースユニット11では、食品の除菌洗浄が行われる。除菌洗浄処理については、図7にサブルーチンを挙げて後に説明する。
除菌洗浄処理が終わると、制御部91は、排水バルブ35aを開状態とし、排水処理を実行する(S4)。これにより、洗浄タンク21内の液体が、自重により第1排水ライン35を通って排水される。制御部91は、水位センサ71により、洗浄タンク21内の液体の水量がゼロまたは少量(低レベル)と検知された場合に、排水バルブ35aを閉じて、排水処理を終了する。
排水処理が終わると、すすぎ処理が実行される(S5)。これにより、ベースユニット11では、水道水の貯水および食品のすすぎ洗浄が行われる。すすぎ処理については、図8にサブルーチンを挙げて後に説明する。
すすぎ処理が終わると、再び排水処理が実行される(S6)。ここでの排水処理は、上記S4の排水処理と同様であってよい。以上で、基本洗浄処理のメインルーチンは終了する。
ここで、上記した電解水貯水処理(S1)、除菌洗浄処理(S3)、およびすすぎ処理(S5)について、詳細に説明する。
図6は、電解水貯水処理を示すフローチャートである。図2および図6を参照して、はじめに、制御部91は、第1モードを選択し、給水バルブ31aを開状態とする。これにより、ベースユニット11では、洗浄タンク21への給水が開始される(S11)。
その後、水位センサ71により洗浄タンク21内の液体(より具体的には食塩水または水道水)の水位が、たとえば中レベル(第1の水位)と検知された場合(S12にてYES)、ベースユニット11の動作は、第1モードから第3モードに切り替えられる。すなわち、制御部91は、循環ポンプ33をONにするとともに、循環バルブ32aを開状態とすることで、洗浄タンク21内の液体(洗浄水)の循環を開始する(S13)。同時に、直流電源38をONにし、電解水の生成を開始する(S14)。これにより、ベースユニット11では、洗浄タンク21内の液体の増量と電気分解とが並行して行われる。
さらに、水位センサ71により洗浄タンク21内の液体(電解水)の水位が、高レベル(第2の水位)と検知されると(S15にてYES)、ベースユニット11の動作は、第3モードから第2モードに切り替えられる。すなわち、制御部91は、給水バルブ31aを閉状態とし、給水経路31からの給水を停止する(S16)。これにより、ベースユニット11では、洗浄タンク21内の液体の電気分解(電解水の生成処理)のみが継続される。洗浄液の循環は、濃度が所定値となるまで続けられる。
濃度センサ81により、洗浄タンク21内の液体(電解水)の濃度が、所定値以上と検知された場合(S17にてYES)、制御部91は、電解水貯水運転を終了する。すなわち、制御部91は、循環ポンプ33をOFFにするとともに、循環バルブ32aを閉状態とすることで、洗浄水の循環を停止する(S18)。同時に、直流電源38をOFFにし、電解水の生成を停止する(S19)。この処理が終わると、処理はメインルーチンに戻される。
図7は、除菌洗浄処理を示すフローチャートである。図2および図7を参照して、はじめに、制御部91は、第2モードを選択し、循環ポンプ33をONにするとともに、循環バルブ32aを開状態とする。これにより、ベースユニット11では、洗浄タンク21内の液体(洗浄水)の循環が開始される(S22)。ただし、この段階では、直流電源38はOFFにしたままである。
除菌洗浄運転は、所定時間(たとえば10分)行われる。本実施の形態では、除菌洗浄運転中、電解水の濃度をほぼ一定とするための制御が行われる。すなわち、制御部91は、除菌洗浄運転中に、濃度センサ81により、洗浄水(電解水)の濃度が所定値未満と検知された場合には(S23にてYES)、電解水の生成が開始される(S24)。ここでの処理は、図6のS14での処理と同じである。一方、洗浄水の濃度が所定値以上と検知された場合には(S23にてNO)、電解水の生成は停止される(S25)。
なお、実際には、食品が投入されると、電解水の濃度は投入前よりも低下することが想定されるため、除菌洗浄処理での所定値は、電解水貯水処理での所定値よりも低い値であってもよい。
除菌洗浄処理が開始されてから、所定時間が経過すると(S26にてYES)、洗浄水の循環を停止する(S27)。これにより、ベースユニット11の除菌洗浄運転が停止される。なお、ここでの処理は、図6のS18の処理と同じである。以上で除菌洗浄処理は終了し、処理はメインルーチンに戻される。
図8は、すすぎ処理を示すフローチャートである。図2および図8を参照して、制御部91は、まず、第1モードを選択し、給水バルブ31aを開状態とする。これにより、ベースユニット11では、洗浄タンク21への給水が開始される(S31)。すすぎ洗浄のための貯水運転では、水道水が、洗浄タンク21のたとえば中レベルまで供給される。
水位センサ71により、洗浄タンク21内の液体(より具体的には水道水)の水位が、中レベルに達したと検知された場合(S32にてYES)、制御部91は、ベースユニット11の動作を第1モードから第3モードに切り替えて、洗浄タンク21内の液体の循環を開始するとともに、定量排水を開始する(S33,S34)。すなわち、循環ポンプ33をONにするとともに、循環バルブ32aを開状態とする。同時に、制御部91は、第2排水ライン36の排水バルブ36aを開状態とする。これにより、ベースユニット11では、食品の流水すすぎ洗浄が行われる。
このように、本実施の形態では、水道水の供給と洗浄水の循環との両方を実行しつつ、循環経路32を通る液体の一部(望ましくは、給水量と同量の水)を第2排水ライン36から排水する流水すすぎ処理が行われる。
食品のすすぎ運転は、所定時間(たとえば2分)行われる(S35)。すすぎ運転が開始されてから所定時間経過したと判断された場合(S35にてYES)、水道水の給水を停止するとともに、洗浄タンク21内の液体(洗浄水)の循環を停止する(S36,S37)。すなわち、制御部91は、循環ポンプ33をOFFにするとともに、給水バルブ31a,循環バルブ32a,排水バルブ36aを閉状態とする。これにより、ベースユニット11でのすすぎ運転が停止される。以上ですすぎ処理は終了し、処理はメインルーチンに戻される。
上述のように、本実施の形態では、電解水を事前に洗浄タンク21内に貯留しておくため、食品洗浄装置1は、水道水の供給流量が不安定な地域にも適用可能である。また、電解水を貯留しておくタンクと洗浄用のタンクとが共通とされることで、食品の除菌洗浄をすぐに開始することができる。
また、電解水貯水運転の途中段階で、第3モードが選択されるため、ベースユニット11では、洗浄タンク21への水道水の供給と、洗浄タンク21内の液体の電気分解とが、並行して行われる。そのため、洗浄タンク21内に、所定濃度の電解水を所定量貯水するのに要する時間を短縮することができる。すなわち、電解水の増量および濃度アップを促進することができる。
また、除菌洗浄運転の際に、洗浄タンク21内の液体が循環されるため、直流電源38のON/OFF切替えによって電解水の濃度を一定に制御することができる。また、循環経路32の下流側区間32SBは、分岐された第2経路322にのみ電気分解装置34を有している。そのため、下流側区間32SBが第2経路322だけの場合よりも、循環量を多くすることができる。したがって、洗浄タンク21内に水流を発生させる動力を不要とすることができ、簡易な構成で、食品の洗浄効率を向上させることができる。また、電解水の貯水工程においても、多くの量の液体が循環することで水流が発生するため、洗浄タンク21内の電解水の濃度を均一化することができる。
また、本実施の形態では、食品の流水すすぎ洗浄が行われるため、食品を効率良くすすぐことができる。
なお、本実施の形態では、除菌洗浄処理に引き続き、すすぎ処理が行われることとしたが、除菌洗浄処理とは独立して、すすぎ処理だけを実行可能としてもよい。これにより、除菌洗浄に向かない食品に対しては、水道水によるすすぎ洗浄だけを行うこともできる。
(温水洗浄ユニットの動作)
温水洗浄ユニット12の動作は、制御装置90の制御部91が、記憶部92に予め記憶されたプログラムを読み出して、図9に示す温水洗浄処理を実行することによって実現される。
図9は、本実施の形態における温水洗浄処理を示すフローチャートである。なお、この処理の開始時には、タンク22内は空であるか、または、少量の液体(たとえば水道水)のみが入れられている状態である。また、循環ポンプ33および加熱器44はOFFであり、全てのバルブ41a,42a,45aは閉状態である。
図3および図9を参照して、ユーザにより洗浄水(温水)の貯水開始の指示が入力されると、制御部91は、温水貯水処理を実行する(S41)。これにより、温水洗浄ユニット12では、温水の生成および貯水が行われる。なお、ここでのユーザは、食品の提供者であってもよい。
温水貯水運転の際、制御部91は、まず第1モードを選択する。すなわち、給水バルブ41aを開状態とし、給水経路41を介してタンク22への水道水の供給を開始する。その後、水位センサ72により、タンク22内の液体(より具体的には水道水)の水位が、たとえば中レベル(第1の水位)と検知された場合に、温水洗浄ユニット12の動作は、第1モードから第3モードに切り替えられる。すなわち、制御部91は、循環ポンプ43をONにするとともに、循環バルブ42aを開状態とすることで、タンク22内の液体の循環を開始する。同時に、加熱器44をONにし、液体の加温を開始する。これにより、タンク22内の液体の増量と加温とが並行して行われる。
続いて、水位センサ72により、タンク22内の液体(温水)の水位が、高レベル(第2の水位)に達したと検知された場合に、温水洗浄ユニット12の動作は、第3モードから第2モードに切り替えられる。すなわち、制御部91は、給水バルブ41aを閉状態とし、給水経路41からの給水を停止する。これにより、タンク22内の液体の加温(温水の生成処理)のみが継続される。
その後、温度センサ82により、洗浄タンク21内の液体(電解水)の温度が、所定温度(たとえば50℃)以上と検知された場合に、制御部91は、温水貯水運転を終了する。すなわち、制御部91は、循環ポンプ43をOFFにするとともに、循環バルブ42aを閉状態とすることで、洗浄水の循環を停止する。同時に、加熱器44をOFFにし、タンク22内の液体の加温を停止する。これにより、所定温度の温水がタンク22に貯水される。
温水貯水処理が終わると、ユーザ(消費者)から、温水洗浄運転の指示が入力されるまで待機する(S42にてNO)。タンク22内に食品が投入され、ユーザから、温水洗浄運転の指示が入力されると(S42にてYES)、制御部91は、温水洗浄運転を開始する(S43)。このとき、まず、制御部91は、循環ポンプ33をONにするとともに、循環バルブ32aを開状態とすることで、タンク22内の液体の循環を開始する。温水洗浄運転は、ユーザに設定された時間だけ行われる。洗浄時間の設定は、たとえば、温水洗浄開始の指示の入力時に行われる。
温水洗浄が設定時間行われると(S44にてYES)、温水洗浄運転を停止する(S45)。すなわち、制御部91は、循環ポンプ43をOFFにするとともに、循環バルブ42aを閉状態とする。その後、排水バルブ45aが開状態とされて、洗浄水の排水処理が実行される(S46)。なお、この場合も、制御部91は、水位センサ72により、タンク22内の液体の水量がゼロまたは少量(低レベル)と検知された場合に、排水バルブ45aを閉じて、排水処理を終了する。
このように、本実施の形態では、温水洗浄中にもタンク22内の液体が循環するため、温水洗浄ユニット12においても、タンク22内に水流を発生させる動力が不要である。
また、本実施の形態では、消費者自らが、温水洗浄を行うことで食品の鮮度を向上させることができる。したがって、消費者は、安全性だけでなく状態の良い食品を得ることができる。
なお、温水洗浄中に、温度をほぼ一定にする調整制御が行われてもよい。すなわち、タンク22内の温度が所定温度未満となった場合に、加熱器44をONとしてもよい。
または、温水貯水運転が終了してから温水洗浄運転が開始されるまでに時間を要すると、タンク22内の液体の温度が低下してしまうため、制御部91は、次のような制御を行ってもよい。すなわち、温水貯水処理が終了しても、循環経路42を介した温水の循環を継続しておき、タンク22内の温度が低下した場合に、加熱器44をONとする制御を行ってもよい。
(低除菌洗浄ユニットの動作)
低除菌洗浄ユニット13の動作は、制御装置90の制御部91が、記憶部92に予め記憶されたプログラムを読み出して、図10に示す低除菌洗浄処理を実行することによって実現される。
図10は、本実施の形態における低除菌洗浄処理を示すフローチャートである。なお、この処理の開始時には、タンク23内は空であるか、または、少量の液体(たとえば水道水)のみが入れられている状態である。ただし、タンク23内に、食塩が入れられていてもよい。また、循環ポンプ53および直流電源58はOFFであり、全てのバルブ51a,52a,55aは閉状態である。
図3および図10を参照して、ユーザにより洗浄水(電解水)の貯水開始の指示が入力されると、制御部91は、電解水貯水処理を実行する(S51)。ここでのユーザも、食品の提供者であってよい。S51の電解水貯水処理の基本的な動作は、目標濃度が異なるのみで、図6に示した電解水貯水処理と同様であり、ベースユニット11における循環ポンプ33、直流電源38、給水バルブ31a、循環バルブ32a、水位センサ71、および、濃度センサ81を、それぞれ、循環ポンプ53、直流電源58、給水バルブ51a、循環バルブ52a、水位センサ73、および、濃度センサ83と読み替えればよい。そのため、ここでは、詳細な説明は繰り返さない。
電解水貯水処理が終わると、ユーザ(消費者)から、低除菌洗浄運転の指示が入力されるまで待機する(S52にてNO)。タンク23内に食品が投入され、ユーザから、低除菌洗浄運転の指示が入力されると(S52にてYES)、制御部91は、低除菌洗浄運転を開始する(S53)。具体的には、まず、第2モードを選択し、循環ポンプ53をONにするとともに、循環バルブ52aを開状態とする。これにより、低除菌洗浄ユニット13では、タンク23内の液体の循環が開始される。
低除菌洗浄運転は、ユーザに設定された時間だけ行われる。洗浄時間の設定は、たとえば、低除菌洗浄開始の指示の入力時に行われる。なお、低除菌洗浄運転においても、濃度を一定とする制御が行われてもよい。
低除菌洗浄が設定時間行われると(S54にてYES)、低除菌洗浄運転を停止する(S55)。すなわち、制御部91は、循環ポンプ53をOFFにするとともに、循環バルブ52aを閉状態とする。その後、排水バルブ55aが開状態とされて、洗浄水の排水処理が実行される(S56)。なお、この場合も、水位センサ73により、タンク23内の液体の水量がゼロまたは少量(低レベル)と検知された場合に、制御部91は、排水バルブ55aを閉じて、排水処理を終了する。
このように、本実施の形態では、低除菌洗浄中にもタンク23内の液体が循環するため、低除菌洗浄ユニット13においても、タンク23内に水流を発生させる動力が不要である。
また、本実施の形態では、消費者自らが、食品を電解水で除菌することができるため、信頼性の高い食品を得ることができる。
(脱水ユニットの動作)
脱水ユニット14の動作は、制御装置90の制御部91が、記憶部92に予め記憶されたプログラムを読み出して、図11に示す脱水処理を実行することによって実現される。
図11は、本実施の形態における脱水処理を示すフローチャートである。なお、この処理の開始時には、タンク24内は空である。また、ブロワ63はOFFであり、給水バルブ61aは閉状態である。
図3および図11を参照して、ユーザ(消費者)により脱水運転開始の指示が入力されると(S61にてYES)、制御部91は、脱水運転を開始する(S62)。すなわち、ブロワ63をONにし、タンク24内に風を送り込む。脱水運転も、ユーザに設定された時間だけ行われる。洗浄時間の設定は、たとえば、脱水洗浄開始の指示の入力時に行われる。
脱水運転が設定時間行われると(S63にてYES)、制御部91は、ブロワ63をOFFにして、脱水運転を停止する(S64)。
このように、本実施の形態では、消費者自らが、食品の脱水を行うことができるため、消費者は、好みの仕上がりの食品を得ることができる。
上述の基本洗浄処理、温水洗浄処理、低除菌洗浄処理、および脱水洗浄処理は、並行して行うことができる。なお、上記4つの機能は1つのタンクで実現されてもよく、このような場合には、上記運転は選択的に行われる。
以上説明したように、本実施の形態に係る食品洗浄装置1は、洗浄機能ごとにユニット化されているため、ユニットごとの配管構成を簡易にすることができる。
なお、本実施の形態では、各ユニット11〜14は一つの制御装置90で制御されることとしたが、ユニットごとに制御装置が設けられていてもよい。
また、本実施の形態では、ベースユニット11および低除菌洗浄ユニット13において、洗浄水の循環中に電気分解を停止する際には、直流電源38,58をOFFすることとしたが、第2経路322,522自体に液体が通過しないようにしてもよい。この場合、たとえば、第2経路322,522に、制御部91によって制御されるバルブ(図示せず)が設けられてもよい。
また、ベースユニット11での除菌洗浄運転およびすすぎ運転は、予め定められた時間行われることとしたが、オプションユニット15での洗浄運転と同様に、ユーザにより設定された時間だけ行われてもよい。あるいは、反対に、オプションユニット15での洗浄運転が、予め定められた時間行われてもよい。
また、オプションユニット15は、3つのユニット12〜14を含むこととしたが、これらのうち少なくとも1つを含んでいればよい。あるいは、食品洗浄装置1が、オプションユニット15自体を含まず、ベースユニット11のみで構成されてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。