JP6485307B2 - タンタル酸リチウム単結晶及びその製造方法 - Google Patents

タンタル酸リチウム単結晶及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、タンタル酸リチウム単結晶及びその製造方法に関し、より詳しくは、表面弾性波(SAW:Surface Acounstic Wave)デバイス用基板等に用いられ、温度特性を改善しうるタンタル酸リチウム単結晶及びその製造方法に関する。
タンタル酸リチウム単結晶は、SAWフィルターをはじめ振動子、発信器の基板材料として知られている。近年、携帯電話の高性能化に伴い、特に送受信用のデバイスに用いられるSAWフィルターに対する高性能化の要求も厳しくなっている。例えば、アンテナデュプレクサなど、デバイスに高電力が印加される用途では、SAWフィルターに対する高性能化に対して、低損失・高抑圧化に加え、温度特性の改善が求められている。
タンタル酸リチウム(以下、LTと略称することがある)基板は、SAWの振動エネルギーと電気的エネルギーの変換効率を示す電気機械結合係数が大きく、デバイス設計上有利であるが、SAWの伝搬速度の温度依存性が大きく、デバイスの周波数特性が温度により変化しやすいという問題があるためである。
SAWフィルターの中心周波数fは、表面弾性波の音速(伝搬速度)をv、IDT(Inter Digital Transducer)電極の周期をλとすると、f=v/λで表されるが、温度変化があるとLT基板の熱膨張のため電極周期が変化し中心周波数fのシフトが起る。この温度による周波数シフトのため、例えば、送信波用フィルターの透過周波数帯が受信波の波長域にかかってしまう等、S/Nを大きく低下させる問題が発生することが指摘され、LT基板の温度特性の改善が必要とされている。
そこで、LT単結晶の温度特性を改善するため、LT単結晶よりも熱膨張係数の小さい材料をLT単結晶に貼り合せ、単結晶の熱膨張を押さえ込む方法が提案されている(特許文献1〜3参照)。
例えば、特許文献1では、線熱膨張係数の差が特定値以内にある2枚の基板を用い、いずれかの基板に応力を緩和する切り込みを設けること、特許文献2では、LT基板とサファイア基板を接合し、その界面にアモルファスの接合領域を設けること、また、特許文献3では、圧電基板と特定の厚みで表面が酸化されたSi支持基板とを接着層を介して貼り合わせることが提案されている。
しかし、これらの方法で作製された基板は、熱膨張係数が異なる材料を貼り合せているため、一般に300℃程度の熱履歴を経るSAWデバイス製造プロセスでは割れが発生し、収率を悪化させるだけでなく、基板が厚くなり、デバイスの低背化が達成されにくい。更に、LT基板に貼り合わされる低熱膨張材料や貼り合せ工程のコスト、および貼り合せ工程で収率が低下するという問題もある。
そのため、本出願人は、LT基板に特定量のNiを添加することを提案し(特許文献4参照)、低コストで結晶の音速温度依存性を改善することができた。しかし、鉄系金属であるニッケルが添加されることで、熱伝導率が下がりLT基板の放熱性が悪化するという問題があった。
このような状況にあって、結晶の音速温度依存性を改善することができるだけでなく、鉄やニッケルのように熱伝導率を下げることのないLT基板用のタンタル酸リチウム単結晶が必要とされている。
特開2003−124767号公報 特開2005−252550号公報 特開2005−347295号公報 特開2010−280525号公報
本発明の目的は、上記した問題点に鑑み、表面弾性波(SAW)デバイス用基板等に用いられ、温度特性を改善しうるタンタル酸リチウム単結晶及びその製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記した問題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、LT単結晶の結晶構造を変えることなしにLiサイト若しくはTaサイトを置換する元素を模索し、LT単結晶の温度特性改善効果を調べたところ、LT単結晶を育成する際の原料融液にLiサイトを置換するガリウム(Ga)を特定量添加することにより、育成した結晶の熱伝導率が大きくなることを見出し、このGaドープ結晶をSAWデバイスの基板として用いることにより、デバイスのIDT電極で発生したジュール熱が効率よく排熱され、SAWデバイスの温度特性が改善されることを確認して本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、タンタル酸リチウム単結晶のLiサイト若しくはTaサイトの一部が、ガリウム(Ga)元素で置換されており、単結晶中のガリウム(Ga)含有量が0.11重量%以上、0.4重量%以下の範囲であることを特徴とするタンタル酸リチウム単結晶が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、本発明の第1の発明において、単結晶の熱伝導率が、4.0〜4.5W/m・Kであることを特徴とするタンタル酸リチウム単結晶が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、本発明の第1又は2の発明において、タンタル酸リチウム単結晶の原料粉末に、ドーパントとなるガリウム原料粉末を添加して、チョクラルスキー法により結晶を育成するタンタル酸リチウム単結晶の製造方法であって、ガリウム原料粉末は、原料融液中のGa濃度が0.05重量%以上、1.5重量%以下になるように添加することを特徴とするタンタル酸リチウム単結晶の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、本発明の第3の発明において、前記ガリウム原料粉末が、Ga粉末であることを特徴とするタンタル酸リチウム単結晶の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、本発明の第1又は2の発明のタンタル酸リチウム単結晶を基板として用いたSAWフィルターが提供される。
本発明によれば、比較的容易に熱伝導率の大きいタンタル酸リチウム単結晶を製造することができる。また、従来のタンタル酸リチウム基板と比較して温度特性を改善させることが可能となり、SAWデバイスを低コスト化できる。
音速測定のために基板上に作製したSAWデバイスの概略図である。 LT単結晶へのGa添加量と、熱伝導率の関係を示したグラフである。 SAWフィルターを模式的に示した概略図である。
以下、本発明のタンタル酸リチウム単結晶とその製造方法、SAWフィルターに関する具体的な実施の形態を説明する。
1、タンタル酸リチウム単結晶
すなわち、本発明のタンタル酸リチウム単結晶は、ドーパントとしてガリウム(Ga)を0.01重量%以上0.3重量%以下の範囲で含有する。
本発明は、LT結晶の結晶構造を変えることなしにLiサイト若しくはTaサイトを置換する元素として、ガリウム(Ga)を添加して、LT基板における電気機械結合係数、音速等のSAW特性を維持しながら、結晶の熱伝導率が大きくなって、結晶の温度特性を改善させることができる。
LT結晶の結晶構造は、変形イルメナイト構造を有しており、置換元素であるGaは、Li、Taの中間のイオン半径を持つために置換による結晶構造の歪みを小さくすることができる。そして、Gaは、LT原料へのドープ材料として、結晶育成が容易であり、音速温度係数の改善効果にとっても有効である。また、Gaのほかに同様な効果が期待できる周期表で同族のAl、Inを本発明の目的を損なわない範囲で含有させることができる。
育成結晶中のGa濃度と熱伝導率との関係は、図2のグラフに示すように、Ga濃度が0.01重量%未満であると、結晶の温度係数がアンドープ結晶と大きな違いは見られず、十分な改善効果は現れない。また、結晶中Ga濃度が0.1重量%付近まで熱伝導率が上昇し、さらに0.3重量%付近まで高レベルに維持されるが、それ以上になると徐々に低下していき、0.4重量%を超えると熱伝導率は従来よりも高水準に維持されてもクラック発生の問題が懸念される。従って、上記熱伝導率改善のためには、結晶中のGa濃度を0.01重量%以上0.4重量%以下とする必要がある。好ましいGa濃度は0.04〜0.3重量%であり、より好ましいGa濃度は0.1〜0.3重量%である。
本発明のLT単結晶は、熱伝導率が、4.0〜4.5W/m・Kであることが好ましい。熱伝導率は、単結晶から500μm程度に薄く切り出し、レーザーフラッシュ法により測定される。
熱伝導率が、4.0W/m・K未満であると、放熱性が悪く、特性の良いSAWデバイスが得られない。一方、熱伝導率が、4.5W/m・Kを超えるようなLT単結晶の製造は難しくコストがかかる。
2、タンタル酸リチウム単結晶の製造方法
本発明は、タンタル酸リチウム単結晶の原料粉末に、ドーパントとなるガリウム原料粉末を添加して、チョクラルスキー法により結晶を育成するタンタル酸リチウム単結晶の製造方法であって、ガリウム原料粉末は、原料融液中のGa濃度が0.05重量%以上、1.5重量%以下になるように添加することを特徴とする。
ここで、単結晶の育成は、特に制限されないが、チョクラルスキー法により行うことが好ましい。チョクラルスキー法とは、原材粉末を溶融して得られた融液に、種結晶を浸けて引き上げることにより単結晶を成長させる育成方法であり、例えば高周波誘導加熱装置等を用いて行うことができる。このチョクラルスキー法によれば、大型の結晶を安定的に製造することができる。
具体的には、先ず、所定の融液組成となるように秤量した単結晶用原料を育成装置の坩堝に投入する。
使用する坩堝としては、特に限定されるものではなく、例えば白金、モリブデン、タングステン、イリジウム、ロジウム、レニウム、又はこれらの合金等からなるもの等を使用することができる。その中でも特に、タンタル酸リチウムは、比較的融点が高いため、イリジウムのような耐熱性に優れた素材からなるものを用いることが好ましい。
具体的に、本発明の製造方法においては、Ta、LiOの酸化物粉末を使用し、加熱して得られる融液が所定の組成となるように、各原料を秤量する。なお、使用する原料酸化物粉末は、特に限定されないが、その純度が4N以上のものであることが好ましい。
また、添加するドーパントの形態としては、金属Ga、酸化物であるGaが考えられるが、酸化物であるLT融液へ溶解させることから原料としてGaを選択するのが望ましい。Gaは、溶解したとき適度な蒸気圧なので系外へ逸散しにくいので使用しやすい。
Ga原料粉末は、最初からタンタル酸リチウムの各原料粉末と混合してもよく、あらかじめタンタル酸リチウムのLT仮焼粉を調製し、これにGa元素化合物を添加してもよい。Gaのほかに周期表で同族のAl、Inを含有させるときは、本発明の目的を損なわないように、蒸気圧が小さくなりすぎない物質として、少量含有させるようにする。
また、本発明のタンタル酸リチウム単結晶の製造方法において、結晶育成に用いる原料融液は、Ga濃度が0.05重量%以上2.0重量%以下の組成となるように調整することが好ましい。
ここで、原料融液中のGa濃度が0.05重量%以上2.0重量%以下となるように添加するのは、結晶育成に用いる原料融液へ添加するのがGaである場合、LT単結晶育成におけるGaの偏析係数(すなわち、結晶中のGa濃度/融液中のGa濃度)が概ね0.2であるためであり、これにより育成した結晶中のGa濃度を0.01重量%以上0.4重量%以下とすることができる。
なお、結晶中のGa濃度は、LT原料中のGa濃度が所定量となるようにGa粉を坩堝に秤量して混合し、高周波誘導加熱により融解させ、冷却後、坩堝内原料をサンプリングし、ICP−AES法によりGa濃度分析を行って測定する。
育成した結晶中のGa濃度は、0.01重量%未満の結晶では熱伝導率がアンドープ結晶と大きな違いは見られない。また、種結晶と育成結晶のGa濃度の差が大きすぎると種結晶と育成結晶の界面でクラックが発生してしまい単結晶成長が困難となる。そのためにも、原料融液中のGa濃度が2.0重量%以下となるようにするのが好ましい。
続いて、坩堝内に投入した原料粉末を加熱融解させる。その際、炉内の雰囲気としては、酸素と窒素やアルゴン等の不活性ガスとの混合ガス雰囲気とすることが好ましい。
次に、原料粉末を溶融して得られた融液から、単結晶を育成する。チョクラルスキー法(引き上げ法)による単結晶の育成に際しては、チャンバ内を上述した混合ガス雰囲気に保ち、所望の組成とした融液内に種結晶を浸して、その回転数や引き上げ速度を調整しながら、ネック部や肩部を形成し、引き続き直胴部を形成する。
結晶形状の調節は、例えば、育成中の結晶重量を測定して直径や育成速度等を計算によって導き出し、回転速度や引き上げ速度を調整して行うことができる。また、結晶重量の変化をヒータへの投入電力にフィードバックして融液温度をコントロールしてもよい。
また、タンタル酸リチウム単結晶は、比較的融点が高いため、育成過程におけるLiの蒸発を考慮して、蒸発に見合う過剰のLiO成分を融液中に添加してもよい。
この製造方法では、上述した所定の組成からなる融液を用いて結晶を育成させることのみの極めて容易な方法で、組成が均一で、特性に優れたタンタル酸リチウム単結晶を製造することができる。必要によりアニールを行うことができる。
得られた単結晶(インゴット)は、所定の厚さにスライス、研磨して下記のSAWフィルターなどの基板とすることができる。
3、SAWフィルター
本発明のSAWフィルターは、上記タンタル酸リチウム単結晶を用いた素子であり、圧電体基板上に形成された櫛形電極に高周波電力を入力して圧電体基板表面に弾性表面波を発生させ、この弾性表面波を別の櫛形電極により再び高周波電気信号に戻すデバイスである。
このSAWフィルター10は、図3のように、タンタル酸リチウム(LT)単結晶1からなる圧電基板10を用いて作製されており、圧電基板10の主面上にはSAWの伝搬方向がX方向となるようにSAW共振器11が設けられている。
SAWフィルターは、弾性表面波の波長が電磁波と比較して10−5程度小さいために小型化が可能であること、伝搬損失が小さいために効率が高いこと、その作製に半導体プロセス技術が応用できるために量産性に優れ低価格化が可能なデバイスであり、携帯電話機など通信機器におけるバンドパスフィルタとして幅広く用いられる。
近年の携帯電話などの高性能化に伴い、SAWフィルターにも更なる高性能化が求められるが、本発明では、タンタル酸リチウム(LT)が、ガリウム(Ga)を含有し、広帯域のフィルター特性を実現するのに有利な大きな電気機械結合係数をもつ圧電材料であり、熱伝導率が高く温度安定性が改善されているので、従来のように支持基板とアモルファス状態の接合界面を介して接合する必要がなく、低コストで製造できる。
以下、実施例を用い比較例と対比して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、得られた単結晶は、500μmの厚さに切り出し、試料の熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定した。また、音速は、図1に示したようなLT単結晶1の基板上に、電極周期が4μm、すなわち電極幅が1μm、かつ間隔が1μmの櫛形電極2を形成した1ポートSAWデバイスを作製し(電極材質:Cu)、両側に反射器3を配置したネットワークアナライザーにより共振周波数を測定した。
[実施例1]
チョクラルスキー法により、高周波誘導加熱炉を用いてGaを含有するLT単結晶の育成を行った。
まず、炉内にφ170mmのイリジウム(Ir)製坩堝を設置し、坩堝内にコングルエント組成、すなわち組成ずれ(組成揺らぎ)がなく均一な組成の結晶を容易に得ることができる調和溶融(一致溶融)で調合したLT仮焼粉とGa粉を充填して、約1750℃で融解させた。
Ga粉の添加量は、原料融液中のGa濃度(以下、仕込みGa濃度と称す)が0.05重量%となるように秤量した。
その後、融液温度をLTの融点(1650℃)付近に調整し、種結晶を10rpmで回転させながら融液表面に接触させ、十分に馴染ませた後、引上げを開始した。
育成後、炉内を室温付近まで冷却して結晶を取り出し、φ4インチのクラック・フリーのGaドープLT単結晶を得た。
そして、得られた単結晶をアニール、ポーリングした後に熱伝導率測定用試料を結晶から切り出し、また、結晶のスライス、研磨を行って音速測定用試料(基板)を作製した。
LT単結晶中のGa濃度分析をICP−AES法で行ったところ、0.01重量%であった。また、得られた熱伝導率測定用試料の熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、4.29W/m・Kであった。アンドープ結晶の熱伝導率と比較して約11%の改善がみられた。
また、音速測定用に作製したLT基板上に、図1に示したような電極周期が4μmの1ポートSAWデバイスを作製し(電極材質:Cu)、ネットワークアナライザーにより共振周波数を測定し、音速を求めたところ3850m/secであった。更に、得られたLT単結晶中のGa濃度分析をICP−AES法で行ったところ、0.01重量%であった。結果を表1に示した。
[実施例2]
実施例2では、仕込みGa濃度を1.5重量%となるようにGa粉を坩堝にチャージした以外は、実施例1と同様にして結晶育成を行い、クラック・フリーのGaドープLT単結晶を得た。
得られた結晶の熱伝導率を測定したところ、4.40W/m・Kであり、アンドープ結晶の熱伝導率と比較して約14%の改善が見られた。また、音速は3840m/secでアンドープと比較して変化は見られなかった。更に、得られたLT単結晶中のGa濃度分析をICP−AES法で行ったところ、0.29重量%であった。
[実施例3]
実施例3では、仕込みGa濃度を0.5重量%となるようにGa粉を坩堝にチャージした以外は、実施例1と同様にして結晶育成を行い、クラック・フリーのGaドープLT単結晶を得た。
得られた結晶の熱伝導率を測定したところ、4.45W/m・Kであり、アンドープ結晶の熱伝導率と比較して約14%の改善が見られた。また、音速は3840m/secでアンドープと比較して変化は見られなかった。更に、得られたLT単結晶中のGa濃度分析をICP−AES法で行ったところ、0.11重量%であった。
[実施例4]
実施例4では、仕込みGa濃度を0.9重量%となるようにGa粉を坩堝にチャージした以外は、実施例1と同様にして結晶育成を行い、クラック・フリーのGaドープLT単結晶を得た。
得られた結晶の熱伝導率を測定したところ、4.43W/m・Kであり、アンドープ結晶の熱伝導率と比較して約14%の改善が見られた。また、音速は3840m/secでアンドープと比較して変化は見られなかった。更に、得られたLT単結晶中のGa濃度分析をICP−AES法で行ったところ、0.18重量%であった。
[実施例5]
実施例5では、仕込みGa濃度を0.2重量%となるようにGa粉を坩堝にチャージした以外は、実施例1と同様にして結晶育成を行い、クラック・フリーのGaドープLT単結晶を得た。
得られた結晶の熱伝導率を測定したところ、4.32W/m・Kであり、アンドープ結晶の熱伝導率と比較して約12%の改善が見られた。また、音速は3840m/secでアンドープと比較して変化は見られなかった。更に、得られたLT単結晶中のGa濃度分析をICP−AES法で行ったところ、0.04重量%であった。
[実施例6]
実施例6では、仕込みGa濃度を0.4重量%となるようにGa粉を坩堝にチャージした以外は、実施例1と同様にして結晶育成を行い、クラック・フリーのGaドープLT単結晶を得た。
得られた結晶の熱伝導率を測定したところ、4.35W/m・Kであり、アンドープ結晶の熱伝導率と比較して約13%の改善が見られた。また、音速を求めたところ3850m/secであった。更に、得られたLT単結晶中のGa濃度分析をICP−AES法で行ったところ、0.08重量%であった。
[実施例7]
実施例7では、仕込みGa濃度を1.7重量%となるようにGa粉を坩堝にチャージした以外は、実施例1と同様にして結晶育成を行い、クラック・フリーのGaドープLT単結晶を得た。
得られた結晶の熱伝導率を測定したところ、4.16W/m・Kであり、アンドープ結晶の熱伝導率と比較して約8%の改善が見られた。また、音速は3840m/secでアンドープと比較して変化は見られなかった。更に、得られたLT単結晶中のGa濃度分析をICP−AES法で行ったところ、0.34重量%であった。
[実施例8]
実施例8では、仕込みGa濃度を1.9重量%となるようにGa粉を坩堝にチャージした以外は、実施例1と同様にして結晶育成を行い、クラック・フリーのGaドープLT単結晶を得た。
得られた結晶の熱伝導率を測定したところ、4.08W/m・Kであり、アンドープ結晶の熱伝導率と比較して約6%の改善が見られた。また、音速を求めたところ3850m/secであった。更に、得られたLT単結晶中のGa濃度分析をICP−AES法で行ったところ、0.38重量%であった。
[従来例]
チョクラルスキー法を用いてアンドープLT単結晶の育成を行った。育成には、実施例1と同様に高周波誘導加熱炉を用いた。炉内にφ170mmのイリジウム(Ir)製坩堝を設置し、坩堝内にコングルエント組成で調合したLT仮焼粉を充填して、約1700℃で融解させた。
その後、融液温度をLTの融点(1650℃)付近に調整し、種結晶を10rpmで回転させながら融液表面に接触させ、十分に馴染ませた後、引上げを開始した。
育成後、炉内を室温付近まで冷却して結晶を取り出し、φ4インチのアンドープLT単結晶を得た。そして、得られた単結晶をアニール、ポーリングした後に熱伝導率測定用試料を結晶から切り出し、また、結晶のスライス、研磨を行って音速測定用試料(基板)を作製した。
得られた熱伝導率測定用試料の熱伝導率をレーザーフラッシュ法により測定したところ、3.85W/m・Kであった。
また、音速測定用に作製したLT基板上に、図1に示したような電極周期が4μmの1ポートSAWデバイスを作製し(電極材質:Cu)、ネットワークアナライザーにより共振周波数を測定し、音速を求めたところ3840m/secであった。
[比較例1]
比較例1では、仕込みGa濃度を0.03重量%となるようにGa粉を坩堝にチャージした以外は、実施例1と同様にして結晶育成を行い、クラック・フリーのGaドープLT単結晶を得た。
得られた結晶の熱伝導率を測定したところ、3.89W/m・Kであり、アンドープ結晶の熱伝導率に対してほとんど変化は見られなかった。音速は3840m/secでアンドープと比較して変化は見られなかった。更に、得られたLT単結晶中のGa濃度分析をICP−AES法で行ったところ、0.006重量%であった。
[比較例2]
比較例2では、仕込みGa濃度を2.0重量%となるようにGa粉を坩堝にチャージした以外は、実施例1と同様にして結晶育成を行った。冷却後に炉から取り出した結晶はクラックが発生しており、単結晶を得ることができなかった。なお、この時に得られた結晶中のGa濃度は0.42重量%であった。
Figure 0006485307
「評価」
実験結果を示す表1から明らかなように、実施例1〜8で得られたLT単結晶中のGa濃度は、0.01〜0.38重量%、また、熱伝導率は、4.08〜4.43W/m・Kであり、従来例のアンドープ結晶の熱伝導率と比較して約6〜15%の改善が見られた。また、得られた結晶を用いて基板上に作製したSAWデバイスで求めた音速は、3840〜3850m/secで音速の変化はほとんど見られなかった。
これに対して、比較例1では、得られたLT単結晶中のGa濃度が0.006重量%と低かったため、熱伝導率が、3.89W/m・Kとなり、従来例のアンドープ結晶の熱伝導率と比べ、さほど改善が見られなかった。また、比較例2では得られたLT単結晶中のGa濃度が0.42重量%と高かったため、クラックが発生した。
以上の実施例および比較例の結果から、本発明によれば、熱伝導率が高いタンタル酸リチウム結晶を製造することができ、温度特性が改善された低コストの基板を提供しうることが分かる。
本発明のタンタル酸リチウム単結晶は、SAWフィルターをはじめ振動子、発信器の基板材料として利用可能である。

Claims (5)

  1. タンタル酸リチウム単結晶のLiサイト若しくはTaサイトの一部が、ガリウム(Ga)元素で置換されており、単結晶中のガリウム(Ga)含有量が0.11重量%以上、0.4重量%以下の範囲であることを特徴とするタンタル酸リチウム単結晶。
  2. 単結晶の熱伝導率が、4.0〜4.5W/m・Kであることを特徴とする請求項1に記載のタンタル酸リチウム単結晶。
  3. タンタル酸リチウム単結晶の原料粉末に、ドーパントとなるガリウム原料粉末を添加して、チョクラルスキー法により結晶を育成するタンタル酸リチウム単結晶の製造方法であって、
    ガリウム原料粉末は、原料融液中のGa濃度が0.05重量%以上、1.5重量%以下になるように添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のタンタル酸リチウム単結晶の製造方法。
  4. 前記ガリウム原料粉末が、Ga粉末であることを特徴とする請求項3に記載のタンタル酸リチウム単結晶の製造方法。
  5. 上記請求項1又は2に記載のタンタル酸リチウム単結晶を基板として用いたSAWフィルター。
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