JP6478988B2 - 湿気硬化性組成物、使用法、及び複合物品 - Google Patents

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Description

本開示は、広くは、保護コーティングに用いてよい湿気硬化性組成物に関する。
長年にわたり、機械的損傷、腐食、海生生物及び/又は落書きに対する耐性を付与する様々な保護コーティングが開発されてきた。これらのコーティングは、シリコーン及び/又は有機フッ素成分をベースとすることが多い。
多くの保護コーティングは、所望のレベルの湿気耐性、薬品耐性、及び/又は落書き耐性を得られるように、フッ素の濃度が高い。しかしながら、このような組成物では、付着防止性を追及する際に、硬度と耐久性が犠牲になるのが典型的である。基材の上に保護コーティングを作製するのに使用できる新たな物質に対するニーズが依然として存在する。
一態様においては、本開示は、少なくとも1つのモノマーAと少なくとも1つのモノマーBとを含むモノマーのフリーラジカル共重合によって調製可能なポリマーを含み、
モノマーAがそれぞれ独立して、次式によって表され、
Figure 0006478988

式中、
が、H又はメチルを表し、
が、共有結合、又は1〜10個の炭素原子を有する2価の脂肪族基であり、
がそれぞれ独立して、1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表し、
がそれぞれ独立して、加水分解性基を表し、
gが、0、1、又は2であり、
モノマーBがそれぞれ独立して、次式によって表され、
Figure 0006478988

式中、
、R、及びRが、H、メチル、トリフルオロメチル、又はFを表し、R、R、及びRのうちの少なくとも1つがFであり、
が、共有結合、又は−(CFO)−、−(CFCFO)−、−(CFCFCFO)−、
−(CFCFCFCFO)−、−(CFCF(CF)O)−、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2価の基を表し、式中、a、b、c、d、及びeが、0〜130の範囲の整数を表し、1≦a+b+c+d+e≦130であり、
が、ペルフルオロアルキル基であり、
更に、上記のポリマーが、0.49重量パーセント以下のフッ素化アルケン含む湿気硬化性組成物を提供する。
別の態様においては、本開示は、少なくとも1つのモノマーAと少なくとも1つのモノマーBとを含むモノマーのフリーラジカル共重合によって調製可能なポリマーを含み、
モノマーAがそれぞれ独立して、次式によって表され、
Figure 0006478988

式中、
が、H又はメチルを表し、
が、共有結合、又は1〜10個の炭素原子を有する2価の脂肪族基であり、
がそれぞれ独立して、1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表し、
がそれぞれ独立して、加水分解性基を表し、
gが、0、1、又は2であり、
モノマーBがそれぞれ独立して、次式によって表され、
Figure 0006478988

式中、
、R、及びRが、H、メチル、トリフルオロメチル、又はFを表し、R、R、及びRのうちの少なくとも1つがFであり、
が、共有結合、又は−(CFO)−、−(CFCFO)−、−(CFCFCFO)−、
−(CFCFCFCFO)−、−(CFCF(CF)O)−、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2価の基を表し、式中、a、b、c、d、及びeが、0〜130の範囲の整数を表し、2≦a+b+c+d+e≦130であり、
がペルフルオロアルキル基である湿気硬化性組成物を提供する。
本開示による湿気硬化性組成物は、例えば、複合物品を作製するために、基材をコーティングするのに有用である。したがって、別の態様においては、本開示は、複合物品を作製する方法であって、本開示による湿気硬化性組成物の層を基材の上に配置する工程と、その湿気硬化性組成物を少なくとも部分硬化させる工程とを含む方法を提供する。
更に別の態様においては、本開示は、基材の上に配置された組成物を含む複合物品であって、この組成物が、本開示による湿気硬化性組成物を含む成分の架橋反応生成物を含む複合物品を提供する。
有益にも、本開示による湿気硬化性組成物は、例えば、保護コーティングを基材の上に容易に作製するのに有用である。フッ素化部分の導入により、この保護コーティングは、優れた撥水性、撥油性、及び汚染付着防止性などの低表面エネルギー性、並びに、耐久性、及び多種多様な基材に対する良好な密着性を有する。従来の有機フッ素ベースの保護コーティングは、その保護コーティングの基材への密着性を高めるために、追加の高価なプライマーを必要とする場合がある。これに対して、本開示による湿気硬化性組成物は、プライマーがなくても、様々な基材上で、効果的に用いることができる。
本明細書で使用する場合、
「脂肪族」という用語は、芳香族部分を含まないいずれかの有機基又は有機分子を指す。
「アルケン」という用語は、炭素原子と水素原子とからなるエチレン性不飽和化合物を指す。
「フッ素化アルケン」という用語は、1つ以上の水素原子がフッ素原子(単一又は複数)によって置換されたアルケンを指す。
「(メタ)アクリル」という接頭辞は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味する。
本開示による例示的な複合物品100の概略側面図である。
多くのその他の修正形態及び実施形態を当業者が考案でき、それらが、本開示の原理の範囲及び趣旨に含まれることを理解されたい。図面は、縮尺どおりに描かれていない場合がある。
本開示による湿気硬化性組成物は、少なくとも1つのモノマーA(すなわち単一又は複数のモノマーA)と少なくとも1つのモノマーB(すなわち単一又は複数のモノマーB)とを含むモノマーのフリーラジカル共重合によって調製可能である(いくつかの実施形態においては、調整された)ポリマーを含む。
単一又は複数のモノマーAは独立して、次式によって表される。
Figure 0006478988

は、共有結合(すなわち、炭素とケイ素原子との間の共有結合)、又は1〜10個の炭素原子を有する2価の脂肪族基を表す。好適な2価の脂肪族基の例としては、2価のアルキレン基(例えばメチレン、エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレン、1,8−オクチレン、1,9−ノニレン、及び1,10−デシレン)、−C(=O)O(CH−(式中、vは2、3、4、又は5を表す)、並びに−O(CH−(式中、pは、2、3、4、5、又は6を表す)が挙げられる。いくつかの実施形態においては、Lは、共有結合であるのが好ましい。
はそれぞれ独立して、1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基(概して非加水分解性である)を表す。Yの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソブチル、ペンチル、シクロヘキシル、及びフェニルが挙げられる。
各Yは、独立して加水分解性基を表す。本発明との関連における「加水分解性基」という用語は、典型的な縮合反応条件下で直接縮合反応できるか、又は典型的な縮合反応条件で加水分解でき、それにより、縮合反応できる化合物をもたらす基を指す。加水分解性基の例としては、ハロ基(例えば、クロロ、ブロモ、ヨード)、アルコキシ基(例えば、1〜4個の炭素原子、好ましくは1又は2個の炭素原子を有するアルコキシ基)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基)、ヒドロキシル基、及び2〜4個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基(例えば、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ)が挙げられる。典型的な縮合反応条件には、酸性条件又は塩基性条件が含まれる。
gは、0、1、又は2であり、好ましくは0である。
このようなモノマーの多くは既知である。例えば、好適なエチレン性不飽和加水分解性シランと、それらを作製する方法は、国際公開第98/28307 A1号(Ceskaら)に記載されている。同様に、このような好適なモノマーの多くは市販されている。好適な市販のフリーラジカル重合性加水分解性シランの例としては、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス(1−メトキシ−2−プロポキシ)シラン、及びビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランが挙げられ、これらは全て、ペンシルベニア州モリスビルのGelest,Inc.から入手可能である。その他の好適なモノマーとしては、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシランが挙げられる。
ビニルアルコキシシランは、触媒下でアルコキシシランとアセチレンをヒドロシリル化反応させることによって調製してよい。別のアプローチは、ビニルクロロシランをアルコールと反応させることを含む。調製方法は、米国特許第2,637,738号(Wagner)、同第4,579,965号(Kennerら)、及び同第5,041,595号(Yangら)に記載されている。ビニルアルコキシシランも、例えばSigma−Aldrich Co.及びGelest Inc.から市販されている。
単一又は複数のモノマーBは独立して、次式によって表される。
Figure 0006478988

、R、及びRは、H、メチル、トリフルオロメチル、又はFを表し、ただし、R、R、及びRのうちの少なくとも1つがFであることを条件とする。いくつかの実施形態においては、R、R、及びRのうちの少なくとも2つがFである。いくつかの実施形態においては、RとRがFであり、RはF又はトリフルオロメチルである。
は、共有結合、又は−(CFO)−、−(CFCFO)−、−(CFCFCFO)−、−(CFCFCFCFO)−、−(CFCF(CF)O)−、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2価の基を表し、式中、a、b、c、d、及びeは、0〜130の範囲の整数を表す。
いくつかの実施形態においては、1≦a+b+c+d+e≦130である。いくつかの実施形態においては、2≦a+b+c+d+e≦130である。いくつかの実施形態においては、a、b、c、d、又はeのうちの少なくとも1つは、1又は2〜130、好ましくは1又は2〜80、より好ましくは1又は2〜50、より好ましくは1又は2〜40の範囲の整数を表す。いくつかの実施形態においては、a、b、c、d、又はeのうちの少なくとも1つは、1又は2〜10、好ましくは1又は2〜5の範囲の整数を表す。いくつかの実施形態においては、1≦a+b+c+d+e≦50である。いくつかの実施形態においては、2≦a+b+c+d+e≦50である。いくつかの実施形態においては、10≦a+b+c+d+e≦130である。いくつかの実施形態においては、10≦a+b+c+d+e≦50である。いくつかの実施形態においては、30≦a+b+c+d+e≦60である。いくつかの実施形態においては、4≦a+b+c+d+e≦130、好ましくは4≦a+b+c+d+e≦80、より好ましくは4≦a+b+c+d+e≦50、より好ましくは4≦a+b+c+d+e≦40、更に好ましくは4≦a+b+c+d+e≦40である。
の一部の例としては、−(CFO)20〜30−、−(CFCFO)30〜40−、
−(CFCFCFO)40〜50−、−(CFCFCFCFO)20〜30、−(CFCF(CF)O)4〜8−、
−(CFCF(CF)O)30〜40−、−(CFCFO)30〜40(CFCF(CF)O)30〜40−、及び
−(CFO)20〜30(CFCFO)85〜100−が挙げられる。−(CFO)−、
−(CFCFO)−、−(CFCFCFO)−、−(CFCFCFCFO)−、及び−(CFCF(CF)O)−という単位は、組み合わせた形で存在する場合、ランダム若しくは疑似ランダムな順序、及び/又はブロック状で存在してよい。
はペルフルオロアルキル基である。R は、1〜6個の炭素原子を有するのが好ましい。好適なペルフルオロアルキル基の例としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロイソブチル、ペルフルオロペンチル、及びペルフルオロヘキシルが挙げられる。
好適なフッ素化ビニルエーテルは、例えば当該技術分野において周知の方法、例えば米国特許第6,255,536 B1号(Wormら)に記載されているような方法に従って調製できる。
いくつかの実施形態においては、単一又は複数のモノマーAの単一又は複数のモノマーBに対する平均モル比は、少なくとも1(例えば少なくとも10、少なくとも40、少なくとも80、少なくとも100、少なくとも125、又更には少なくとも150)である。いくつかの実施形態においては、単一又は複数のモノマーBの単一又は複数のモノマーAに対する重量比は、少なくとも0.8(例えば少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも25、又更には少なくとも30)である。
モノマーA及びBは、重合前に、1つ以上の追加のフリーラジカル重合性モノマーと組み合わせてもよい。このような追加のモノマーが存在する場合、追加のモノマーは、その個々の量又は組み合わせた量が、存在するモノマーの総重量に対して、好ましくは20重量パーセント未満、より好ましくは10重量パーセント未満、より好ましくは2重量パーセント未満で存在する。例えば、いくつかの好ましい実施形態においては、モノマーは、次式によって独立して表される少なくとも1つのモノマーCを更に含む。
Figure 0006478988

式中、Rは、上記の定義と同じであり、Lは、共有結合、又は1〜6個の炭素原子を有する2価の脂肪族基を表し、Rは、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、シアノ基、イソシアナート基、カルボキサミド基、光架橋性基、ホルムアミド基、及びエポキシ基からなる群から選択される反応性基を表す。
の代表的な基としては、2価のアルキレン基(例えばメチレン、エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、及び1,6−ヘキシレン)、−C(=O)O(CH)f−(式中、fは1、2、3、4、又は5を表す)、−O(CH)j−(式中、jは、1〜12の範囲の整数を表す)、−C(=O)O(CH)qNHC(=O)−(式中、qは、1〜4の範囲の整数である)が挙げられる。いくつかの実施形態においては、Lは、共有結合であるのが好ましい。
いくつかの実施形態においては、Rは、カルボキシル基、スルホ基(すなわち−SOH)、ホルムアミド基(すなわち、−HNC(=O)H、又はそのN−アルキル置換誘導体)、及びホスホノ基(すなわち−POH)からなる群から選択する。いくつかの実施形態においては、Rは、ベンゾフェノン部分又は置換ベンゾフェノン部分を含む光架橋性基を含む。例としては、次式によって表されるものが挙げられる。
Figure 0006478988

式中、R及びRは、アルキル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルコキシ、シアノ、クロロ、ブロモ、又はヒドロキシルを表す。活性エネルギー線(好ましくは波長範囲が300〜360nmの電磁線)に曝露されると、カルボニル基が励起し、利用可能な水素原子を引き抜き、フリーラジカル対を生成する。このようにして生成された2個のフリーラジカルが、別個のポリマー巨大分子上にある場合には、それらのポリマー巨大分子間に共有結合が形成されることがあり、その結果、架橋が形成され、この架橋は、耐摩耗性及び/又は耐薬品性を増大させる傾向を持ち得る。
光架橋可能な基を含む光架橋性基を含むフリーラジカル重合性モノマーの例としては、米国特許第4,737,559号(Kellenら)に記載されているものが挙げられる。具体例としては、p−アクリルオキシベンゾフェノン、p−アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、p−N−(メチルアクリルオキシエチル)カルバモイルエトキシベンゾフェノン、p−アクリルオキシアセトフェノン、o−アクリルアミドアセトフェノン、及びアクリル化アントラキノンが挙げられる。
(例えば、付着防止性及び/又は硬度特性を修正するために、)上述のように、1つ以上の追加のフリーラジカル重合性モノマーも重合性成分に含めてよく、すなわち、得られるポリマーに組み込んでよい。このようなモノマーの例としては、4〜22個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレート(例えばブチルアクリレート、イソボルニルアクリレート)、4〜22個の炭素原子を有するアルコキシアルキルメタクリレート、6〜22個の炭素原子を有するエポキシアクリレート(例えばグリシジルメタクリレート)、6〜22個の炭素原子を有するイソシアナートアルキル(メタ)アクリレート(例えば3−イソシアナートプロピル(メタ)アクリレート))、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態においては、フリーラジカル重合性モノマーを全て合わせたものは全体として、0.49重量パーセント以下(好ましくは0.3重量パーセント未満、より好ましくは0.1重量パーセント未満)のフッ素化アルケンを含む。いくつかの実施形態においては、フリーラジカル重合性モノマーを全て合わせたものは全体として、フッ素化アルケンを含まない。
この追加のモノマーは、架橋を引き起こす複数のフリーラジカル重合性基を含まないのが好ましいが、例えば、シロップをもたらす極少量の架橋は許容可能である。
熱フリーラジカル重合開始剤の存在下で、フリーラジカル重合によってポリマーを形成させるために、モノマーを組み合わせて共重合させることができる。エチレン性不飽和モノマーのフリーラジカル重合の技法は、当該技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5,637,646号(Ellis)に記載されている。
重合は、有機フリーラジカル反応に適するいずれかの溶媒中で行うことができる。その反応物質は、溶媒中に、いずれかの好適な濃度、例えば、反応混合物の総重量に対して約5重量パーセント〜約90重量パーセント存在できる。好適な溶媒の例示的な例。オリゴマー化反応は、有機フリーラジカル反応を行うのに適するいずれかの温度で行うことができる。当業者は、試薬の溶解度、具体的な開始剤を用いるのに必要とされる温度、望ましい分子量などの考慮事項に基づき、用いる具体的な温度及び溶媒を容易に選択できる。全ての開始剤及び全ての溶媒に適する具体的な温度を示すのは現実的ではないが、好適な温度は概して、約30℃〜約200℃であるが、他の温度も用いてよい。
フリーラジカル重合用の熱開始剤は概して、有効量(例えば約0.01〜5重量パーセント)で用いる。有用な熱開始剤としては、例えば、アゾ開始剤と過酸化物開始剤が挙げられる。好適なアゾ開始剤の例としては、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、(1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、及び2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。好適な過酸化物開始剤の例としては、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルペルオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、及び過酸化ジクミル(dicurnyl)が挙げられる。
得られるポリマーは典型的には、重合中に存在するモノマーを含むランダム又は疑似ランダムコポリマーであるが、これは必須要件ではない。得られるポリマーの数平均及び/又は重量平均分子量は典型的には、少なくとも10000g/モル、少なくとも20000g/モル、少なくとも50000g/モル、少なくとも150000g/モル、及び/又は更には少なくとも200000g/モルであるが、これは必須要件ではない。高い分子量を得るために、重合は、連鎖移動剤(例えばメルカプタン)を加えずに行うのが好ましい。
本発明の湿気硬化性組成物には、任意に応じて、その他の様々な添加剤を含めてもよい。任意の添加剤の例としては、香料、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線(UV)安定剤、増粘剤、充填材、加水分解性シラン(例えばエポキシシラン、4〜16個の炭素原子を有するテトラアルキルオルトシリケート)、及びチクソ性付与剤が挙げられる。本開示による湿気硬化性組成物は、複合物品(例えば、その表面の少なくとも一部にハードコートを有する基材)を作製するのに有用である。この複合物品は、湿気硬化性組成物の層を基材の上に配置し、この湿気硬化性組成物を少なくとも部分硬化させることによって作製できる。
図1を参照すると、例示的な複合物品100は、組成物層120を有する基材110を含み、その組成物は、本開示による湿気硬化性組成物を含む成分の架橋反応生成物を含む。
コーティングは、例えば、スプレーコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ナイフコーティング、カーテンコーティング、スポンジコーティング、及びワイプコーティングを含むいずれかの好適な方法によって行うことができる。
湿気硬化性組成物のコーティング及び/又は取扱いを容易にするために、例えば、所望の固形分及び/又は粘度を得られるように、湿気硬化性組成物を溶媒で希釈してよい。好適な溶媒の例としては、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン)、芳香族溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、エーテル(例えば、ジエチルエーテル、グリム、ジグリム、ジイソプロピルエーテル)、エステル(例えば、エチルアセテート、ブチルアセテート)、アルコール(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、スルホキシド(例えばジメチルスルホキシド)、アミド(例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)、ハロゲン化溶媒(例えば、エチルクロロホルム、ジクロロエチレン、トリフルオロトルエン)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の湿気硬化性組成物の硬化(例えば少なくとも部分硬化)は概して、湿気硬化性組成物の加水分解と縮合によって行われ、典型的には、空気(例えば水蒸気を含む空気)中での静置及び/又はコーティングの溶媒の蒸発と同時に行われて、(例えばSi−O−Si結合による)架橋反応生成物を形成させる。熱及び/又は蒸気(例えば過熱蒸気)を用いて、湿気硬化性組成物の硬化を加速及び/又は進行させてよい。
得られた硬化済み組成物(いくつかの実施形態においては、「ハードコート」という)は典型的には、良好な機械的耐久性(例えば硬度及び/又は耐摩耗性)、密着性、及び付着防止性を有する。このハードコートの厚みは、例えば、10ナノメートル〜1ミリメートル(mm)以上であってよい。より典型的には、ハードコートの厚みは0.01mm〜0.3mmである。
本発明の湿気硬化性組成物(及び得られる硬化済み組成物を上に配置できる好適な基材としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ガラス、銅、銀、キッチンタイル、洗面所の設備、プラスチックフィルム、成型プラスチック部品、塗装及び/又はクリアコートの自動車ボディパネル、船舶表面(例えば船体及びトリム)、二輪自動車の部品、並びに電子ディスプレイ用カバーガラスが挙げられる。
本開示の特定の実施形態
第1の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのモノマーAと少なくとも1つのモノマーBとを含むモノマーのフリーラジカル共重合によって調製可能なポリマーを含み、
モノマーAがそれぞれ独立して、次式によって表され、
Figure 0006478988

式中、
が、H又はメチルを表し、
が、共有結合、又は1〜10個の炭素原子を有する2価の脂肪族基であり、
がそれぞれ独立して、1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表し、
がそれぞれ独立して、加水分解性基を表し、
gが、0、1、又は2であり、
モノマーBがそれぞれ独立して、次式によって表され、
Figure 0006478988

式中、
、R、及びRが、H、メチル、トリフルオロメチル、又はFを表し、R、R、及びRのうちの少なくとも1つがFであり、
が、共有結合、又は−(CFO)−、−(CFCFO)−、−(CFCFCFO)−、
−(CFCFCFCFO)−、−(CFCF(CF)O)−、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2価の基を表し、式中、a、b、c、d、及びeが、0〜130の範囲の整数を表し、1≦a+b+c+d+e≦130であり、
が、ペルフルオロアルキル基であり、
更に、上記のポリマーが、0.49重量パーセント以下のフッ素化アルケンを含む湿気硬化性組成物を提供する。
第2の実施形態では、本開示は、少なくとも1つのモノマーAと少なくとも1つのモノマーBとを含むモノマーのフリーラジカル共重合によって調製可能なポリマーを含み、
モノマーAがそれぞれ独立して、次式によって表され、
Figure 0006478988

式中、
が、H又はメチルを表し、
が、共有結合、又は1〜10個の炭素原子を有する2価の脂肪族基であり、
がそれぞれ独立して、1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表し、
がそれぞれ独立して、加水分解性基を表し、
gが、0、1、又は2であり、
モノマーBがそれぞれ独立して、次式によって表され、
Figure 0006478988

式中、
、R、及びRが、H、メチル、トリフルオロメチル、又はFを表し、R、R、及びRのうちの少なくとも1つがFであり、
が、共有結合、又は−(CFO)−、−(CFCFO)−、−(CFCFCFO)−、
−(CFCFCFCFO)−、−(CFCF(CF)O)−、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2価の基を表し、式中、a、b、c、d、及びeが、0〜130の範囲の整数を表し、2≦a+b+c+d+e≦130であり、
がペルフルオロアルキル基である湿気硬化性組成物を提供する。
第3の実施形態では、本開示は、第1又は第2の実施形態による湿気硬化性組成物であって、前記少なくとも1つのモノマー単位Bの前記少なくとも1つのモノマー単位Aに対する重量比が少なくとも0.8である湿気硬化性組成物を提供する。
第4の実施形態では、本開示は、第1〜第3の実施形態のいずれか1つによる湿気硬化性組成物であって、Lが共有結合である湿気硬化性組成物を提供する。
第5の実施形態では、本開示は、第1〜第4の実施形態のいずれか1つによる湿気硬化性組成物であって、Yが、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、2〜4個の炭素原子を有するアルカノイルオキシ基、ヒドロキシル基、及びClからなる群から選択される湿気硬化性組成物を提供する。
第6の実施形態では、本開示は、第1〜第5の実施形態いずれか1つによる湿気硬化性組成物であって、前記少なくとも1つのモノマーAの前記少なくとも1つのモノマーBに対する平均モル比が少なくとも1である湿気硬化性組成物を提供する。
第7の実施形態では、本開示は、第1〜第6の実施形態のいずれか1つによる湿気硬化性組成物であって、R、R、及びRがFを表す湿気硬化性組成物を提供する。
第8の実施形態では、本開示は、第1〜第7の実施形態のいずれか1つに記載の湿気硬化性組成物であって、前記少なくとも1つのモノマーBのa+b+c+d+eの和の平均が、30〜40の範囲である湿気硬化性組成物を提供する。
第9の実施形態では、本開示は、第1〜第8の実施形態のいずれか1つによる湿気硬化性組成物であって、前記少なくとも1つのモノマーBのa+b+c+d+eの和の平均が、4〜8の範囲である湿気硬化性組成物を提供する。
第10の実施形態では、本開示は、第1〜第9の実施形態のいずれか1つによる湿気硬化性組成物であって、そのモノマーが更に、次式によって独立して表される少なくとも1つのモノマーCを含み、
Figure 0006478988

式中、
が、共有結合、又は1〜6個の炭素原子を含む2価の脂肪族基を表し、
が、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、シアノ基、イソシアナート基、カルボキサミド基、光架橋性基、ホルムアミド基、及びエポキシ基からなる群から選択される反応性基を表す湿気硬化性組成物を提供する。
第11の実施形態では、本開示は、第1〜第10の実施形態のいずれか1つによる湿気硬化性組成物であって、Rが、カルボキシル基、スルホ基、ホルムアミド基、及びホスホノ基からなる群から選択される湿気硬化性組成物を提供する。
第12の実施形態では、本開示は、第1〜第10の実施形態のいずれか1つによる湿気硬化性組成物であって、Rが、ベンゾフェノン部分又は置換ベンゾフェノン部分を含む光架橋性基を含む湿気硬化性組成物を提供する。
第13の実施形態では、本開示は、複合物品を作製する方法であって、第1〜第12の実施形態のいずれか1つの湿気硬化性組成物の層を基材の上に配置する工程と、その湿気硬化性組成物を少なくとも部分硬化させる工程とを含む方法を提供する。
第14の実施形態では、本開示は、基材の上に配置された組成物を含む複合物品であって、その組成物が、第1〜第12の実施形態のいずれか1つによる湿気硬化性組成物を含む成分の架橋反応生成物を含む複合物品を提供する。
以下の非限定的な実施例によって、本開示の目的及び利点を更に例示するが、これらの実施例に記載されている具体的な材料及びその量、並びにその他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものとして解釈すべきではない。
特に断りのない限り、実施例及び本明細書の残部における部、パーセンテージ、比率などはいずれも、重量基準である。
材料:
ビニルトリメトキシシランは、オレゴン州ポートランドのTCI Americaから得た。
トリアセトキシビニルシランは、マサチューセッツ州ワードヒルのAlfa Aesarから得た。
ペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテルは、米国特許第3,114,778号(Fritzら)の記載のとおりに作製した(ペンタフルオロプロピオニルフルオリドを2モルのヘキサフルオロプロピレンエポキシドと反応させて、脱ハロカルボニル化する)。
BPアクリレートは、4−(2−アクリルオキシエトキシ)ベンゾフェノンを指し、米国特許第4,847,137号(Kellenら)の11段落目、3〜37行目の記載のとおりに調製できる。
実施例で用いたその他の化学物質は、例えばAldrich Chemical Co.などの化学物質供給業者から得たか、又は入手可能なものである。
接触角の測定
実施例で報告されている接触角は、下記の技法に従って測定したものである。接触角を測定するための試験片は、記載されている方法に従ってコーティング組成物をガラス基材の上にコーティングすることによって作製した。測定は、そのままの状態の試薬グレードヘキサデカン、及び濾過システム(マサチューセッツ州ビレリカのMillipore Corporationから入手したもの)で濾過した脱イオン水、並びにビデオ式接触角分析計(ドイツ、ハンブルグのKruss GmbHから、製品番号DSA 100Eとして入手可能)を用いて行った。報告されている値は、液滴の右側と左側で測定した、少なくとも3滴の測定値の平均である。液滴体積は、前進接触角と後退接触角の測定において、1〜5マイクロリットルであった。
撥インク性試験
コーティングした(すなわち、試験対象のコーティングをコーティングした)ポリカーボネート製の装飾用プレートの表面にわたり、Sharpieのマーカー(イリノイ州ベルウッドのSanfordから入手可能)を用いて、線を引いた。サンプルの外観と、Sharpieの黒色マーカーをはじく能力を目視評価した。
Figure 0006478988
オリゴマーヘキサルオロプロピレンオキシド(HFPO)1300MWビニルエーテル
(CO[CF(CF)CFO]CF=CF、n=4〜8)の調製
メカニカルスターラーと窒素バブリング装置を備えた3リットルの3口丸底フラスコに、米国特許第3,322,826(Moore)の記載のとおりに、対応する酸フッ化物を選んで、過剰なメタノールと反応させることによって調製したオリゴマーHFPOエステルCO[CF(CF)CFO]nCF(CF)C(=O)OCH(n=4〜8)880g、0.68モルと、3M Companyから入手可能な電子機器用流体FLUORINERT FC−770、70gを充填し、水400gに溶解した水酸化ナトリウムを40g、1.0モル加えてナトリウム塩にした。この塩基溶液は、1時間かけて加え、わずかに還流する状態で20時間加熱した。この混合物をガラストレイの中に入れ、105℃/25mm Hg(3.3kPa)の真空オーブン内で20時間乾燥した。乾燥したオリゴマーHFPOカルボキシレート塩に、炭酸ナトリウムを100g、2つのバッチに分けて加えたのに続いて、1mm Hg(0.13kPa)に減圧してから、オリゴマーHFPOビニルエーテルを蒸留するために、1mm Hg(0.13kPa)の真空下で、200℃のヘッド温度まで加熱することによって、1リットルの丸底フラスコ内で脱炭酸した。2回分の留分を合わせたところ、オリゴマービニルエーテルCO−[CF(CF)CFO]nCF=CF(n=4〜8)を665g得、その収率は80%、数平均分子量は1300g/モルであった。
オリゴマーヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)6000MWビニルエーテル
O[CF(CF)CFO]nCF=CF(n=30〜40)
メカニカルスターラーと窒素バブリング装置を備えた1リットルの3口丸底フラスコに、デラウェア州ウィルミントンのE.I.du Pont de Nemours and Co.からKRYTOX 157FSHとして入手可能なオリゴマーHFPO酸CO[CF(CF)CFO]nCF(CF)COH(n=30〜40)200g、0.03モルと、3M Company製の電子機器用液体FLUORINERT FC−770、200gを充填し、ナトリウムメトキシド(メタノール中に25重量パーセント)7g、0.33モルを加えることによって、上記の酸をナトリウム塩に変換した。この塩基溶液は、5分で加え、わずかに還流する状態で1時間加熱し、メタノールとFLUORINERT FC 770の一部を留去した。この生成混合物をガラストレイの中に入れ、105℃/25mm Hg(3.3kPa)の真空オーブン内で20時間乾燥した。乾燥したオリゴマーHFPO塩に、炭酸ナトリウムを25g加えてから、1mm Hg(0.13kPa)に減圧してから、1時間、250℃の容器温度、2mm Hg(0.26kPa)の真空下で加熱することによって、1リットルの丸底フラスコ内で脱炭酸した。数平均分子量4300g/モルのオリゴマービニルエーテルCO[CF(CF)CFO]nCF=CF(n=20〜30)の脱炭酸中に、生成留分52gをレシーバーに回収した。反応フラスコから、ビニルエーテル、水素化物、及び不活性末端基の混合物を含むオリゴマーペルフルオロポリエーテル92gを回収した。
(実施例1)
ビニルトリメトキシシラン(100g)、HFPOビニルエーテル(M=1300g/モル)5g、及び過酸化ジクミル2.1gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、150℃で5時間加熱した。ビニルトリメトキシシランとHFPOビニルエーテルとのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は175であった。
上で調製した粘性液体0.2g、イソプロパノール9.8g、及び5%HCl水溶液0.03gを合わせることによって、コーティング溶液を調製した。続いて、12番のマイヤーロッドを用いて、この溶液をガラススライドの上にコーティングした(湿潤時の見かけ厚さ=1.08ミル(27.4マイクロメートル))。コーティングしたスライドを120℃で10分間加熱することによって硬化させた。
(実施例2)
ビニルトリメトキシシラン(100g)、HFPOビニルエーテル(M=1300g/モル)5g、ビニルホスホン酸(CH=CHPOH)1g、及び過酸化ジクミル2.1gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、150℃で5時間加熱した。ビニルトリメトキシシランとHFPOビニルエーテルとビニルホスホン酸とのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は175であった。
上で調製した粘性液体0.2g、イソプロパノール9.8g、及び5%HCl水溶液0.03gを合わせることによって、コーティング溶液を調製した。続いて、12番のマイヤーロッドを用いて、この溶液をガラススライドの上にコーティングした(湿潤時の見かけ厚さ=1.08ミル(27.4マイクロメートル))。コーティングしたスライドを120℃で10分間加熱することによって硬化させた。
(実施例3)
ビニルトリメトキシシラン(100g)、ペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテル5g、及び過酸化ジクミル2.1gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、150℃で5時間加熱した。ビニルトリメトキシシランとペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテルとのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は58であった。
上で調製した粘性液体0.2g、イソプロパノール9.8g、及び5%HCl水溶液0.03gを合わせることによって、コーティング溶液を調製した。続いて、12番のマイヤーロッドを用いて、この溶液をガラススライドの上にコーティングした(湿潤時の見かけ厚さ=1.08ミル(27.4マイクロメートル))。コーティングしたスライドを120℃で10分間加熱することによって硬化させた。
(実施例4)
ビニルトリメトキシシラン(100g)、HFPOビニルエーテル(M=1300g/モル)5g、BPアクリレート2g、及び過酸化ジクミル2.1gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、150℃で5時間加熱した。ビニルトリメトキシシランとHFPOビニルエーテルとBPアクリレートとのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は175であった。
上で調製した粘性液体0.2g、イソプロパノール9.8g、及び5%HCl水溶液0.03gを合わせることによって、コーティング溶液を調製した。続いて、12番のマイヤーロッドを用いて、この溶液をガラススライドの上にコーティングした(湿潤時の見かけ厚さ=1.08ミル(27.4マイクロメートル))。コーティングしたスライドを120℃で10分間加熱することによって硬化させた。
(実施例5A〜5C)
トリアセトキシビニルシラン(100g)、HFPOビニルエーテル(M=1300g/モル)5g、及び過酸化ジクミル2.1gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、150℃で5時間加熱した。トリアセトキシビニルシランとHFPOビニルエーテルとのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は112であった。
3つの複合物品試験片を下記のように用意した。
試験片5A:上で調製した粘性液体0.2g、及びメチルエチルケトン9.8gを合わせることによって、コーティング溶液を調製した。続いて、12番のマイヤーロッドを用いて、この溶液をガラススライドの上にコーティングした(湿潤時の見かけ厚さ=1.08ミル(27.4マイクロメートル))。コーティングしたスライドを120℃で5分間加熱することによって硬化させた。
試験片5B:上で調製した粘性液体0.2g、イソプロパノール9.8g、及び5%HCl水溶液0.03gを合わせることによって、コーティング溶液を調製した。続いて、12番のマイヤーロッドを用いて、この溶液をガラススライドの上にコーティングした(湿潤時の見かけ厚さ=1.08ミル(27.4マイクロメートル))。コーティングしたスライドを120℃で5分間加熱することによって硬化させた。
試験片5C:上で調製した粘性液体0.2g、及びメチルエチルケトン9.8gを合わせることによって、コーティング溶液を調製した。続いて、12番のマイヤーロッドを用いて、この溶液をガラススライドの上にコーティングした(湿潤時の見かけ厚さ=1.08ミル(27.4マイクロメートル))。コーティングしたスライドを一晩、室温で硬化させた。
(実施例6A〜6B)
トリアセトキシビニルシラン(100g)、ペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテル5g、及び過酸化ジクミル2.1gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、150℃で5時間加熱した。トリアセトキシビニルシランとペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテルとのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は37.2であった。
3つのコーティング溶液を調製した。
溶液6A:上で調製した粘性液体0.2g、及びメチルエチルケトン9.8gを合わせることによって、コーティング溶液を調製した。続いて、12番のマイヤーロッドを用いて、この溶液をガラススライドの上にコーティングした(湿潤時の見かけ厚さ=1.08ミル(27.4マイクロメートル))。コーティングしたスライドを120℃で5分間加熱することによって硬化させた。
溶液6B:上で調製した粘性液体0.2g、イソプロパノール9.8g、及び5%HCl水溶液0.03gを合わせることによって、コーティング溶液を調製した。続いて、12番のマイヤーロッドを用いて、この溶液をガラススライドの上にコーティングした(湿潤時の見かけ厚さ=1.08ミル(27.4マイクロメートル))。コーティングしたスライドを120℃で5分間加熱することによって硬化させた。
溶液6C:上で調製した粘性液体0.2g、及びメチルエチルケトン9.8gを合わせることによって、コーティング溶液を調製した。続いて、12番のマイヤーロッドを用いて、この溶液をガラススライドの上にコーティングした(湿潤時の見かけ厚さ=1.08ミル(27.4マイクロメートル))。コーティングしたスライドを一晩、室温で硬化させた。
(実施例7)
ビニルトリメトキシシラン(100g)、HFPOビニルエーテル(M=6100g/モル)5g、及び過酸化ジクミル2.1gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、150℃で5時間加熱した。ビニルトリメトキシシランとHFPOビニルエーテルとのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は823であった。
上で調製した粘性液体0.2g、イソプロパノール9.8g、及び5%HCl水溶液0.03gを合わせることによって、コーティング溶液を調製した。続いて、12番のマイヤーロッドを用いて、この溶液をガラススライドの上にコーティングした(湿潤時の見かけ厚さ=1.08ミル(27.4マイクロメートル))。コーティングしたスライドを120℃で10分間加熱することによって硬化させた。
実施例1〜7の試験の結果は、表1(下記)に示されている。
Figure 0006478988
(実施例8)
ビニルトリメトキシシラン(30g)、ペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテル70g、イソシアナートエチルメタクリレート5g、及び過酸化ジクミル2.1gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、150℃で8時間加熱した。ビニルトリメトキシシランとペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテルとイソシアナートエチルメタクリレートとのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は1.25であった。
(実施例9)
ビニルトリメトキシシラン(40g)、ペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテル55g、グリシジルメタクリレート5g、及び過酸化ジクミル2.1gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、150℃で8時間加熱した。ビニルトリメトキシシランとペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテルとグリシジルメタクリレートとのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は2.12であった。
(実施例10)
ビニルトリメトキシシラン(40g)、ペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテル100g、塩化ビニリデン10g、及び過酸化ジクミル2gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、150℃で8時間加熱した。ビニルトリメトキシシランとペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテルと塩化ビニリデンとのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は1.16であった。
(実施例11)
ビニルトリメトキシシラン(60g)、ペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテル82.5g、アクリロニトリル7.5g、及び過酸化ジクミル3.15gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、150℃で15時間加熱した。ビニルトリメトキシシランとペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテルとアクリロニトリルとのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は2.12であった。
(実施例12)
ビニルトリメトキシシラン(90g)、ペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテル100g、N−ビニルホルムアミド10g、及び過酸化ジクミル4.2gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、120℃で15時間加熱した。ビニルトリメトキシシランとペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテルとN−ビニルホルムアミドとのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は2.6であった。
(実施例13)
ビニルトリメトキシシラン(45g)、ペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテル50g、アクリル酸5g、エチルアセテート100g、及び過酸化ジクミル2.2gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、150℃で15時間加熱した。ビニルトリメトキシシランとペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテルとアクリル酸とのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は2.6であった。
(実施例14)
ビニルトリメトキシシラン(60g)、ペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテル100g、イソプレン40g、及び過酸化ジクミル4.4gを250ml Parrの加圧反応装置に充填した。この反応装置を2分間窒素でパージしてから、120℃で15時間加熱した。ビニルトリメトキシシランとペルフルオロプロポキシイソプロピルビニルエーテルとイソプレンとのコポリマーを粘性液体として得た。AのBに対する平均モル比の計算値は1.79であった。
特許証のための上記の出願において引用した全ての参考文献、特許、又は特許出願は、参照により、その全体が、一貫した形で本明細書に組み込まれる。組み込まれた参照文献の部分と本願の部分との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の情報が優先されるものとする。上記の説明は、特許請求されている開示内容を当業者が実行できるようにする目的で示されたものであり、本開示の範囲を限定するものとして解釈すべきではなく、本開示の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって定義される。

Claims (2)

  1. 少なくとも1つのモノマーAと、少なくとも1つのモノマーBと、少なくとも一つのモノマーCとを含むモノマーのフリーラジカル共重合によって調製可能なポリマーを含み、
    モノマーAがそれぞれ独立して、次式によって表され、
    Figure 0006478988

    式中
    が、共有結合、又は1〜10個の炭素原子を有する2価の脂肪族基であり、
    がそれぞれ独立して、1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表し、
    がそれぞれ独立して、加水分解性基を表し、
    gが、0、1、又は2であり、
    モノマーBがそれぞれ独立して、次式によって表され、
    Figure 0006478988

    式中、
    、R、及びRが、H、メチル、トリフルオロメチル、又はFを表し、R、R、及びRのうちの少なくとも1つがFであり、
    が、−(CFO)−、−(CFCFO)−、−(CFCFCFO)−、−(CFCFCFCFO)−、−(CFCF(CF)O)−、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2価の基を表し、式中、a、b、c、d、及びeが、0〜130の範囲の整数を表し、1≦a+b+c+d+e≦130であり、
    が、ペルフルオロアルキル基であり、
    更に、前記ポリマーが、0.49重量パーセント以下のフッ素化アルケンに由来する単位を含み、
    モノマーCがそれぞれ独立して、次式によって表され、
    Figure 0006478988

    式中、
    が、共有結合、又は1〜6個の炭素原子を含む2価の脂肪族基を表し、
    が、ベンゾフェノン部分又は置換ベンゾフェノン部分を含む光架橋性基を表す、湿気硬化性組成物。
  2. 少なくとも1つのモノマーAと、少なくとも1つのモノマーBと、を含むモノマーのフリーラジカル共重合によって調製可能なポリマーを含み、
    モノマーAがそれぞれ独立して、次式によって表され、
    Figure 0006478988

    式中
    が、共有結合、又は1〜10個の炭素原子を有する2価の脂肪族基であり、
    がそれぞれ独立して、1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基を表し、
    がそれぞれ独立して、加水分解性基を表し、
    gが、0、1、又は2であり、
    モノマーBがそれぞれ独立して、次式によって表され、
    Figure 0006478988

    式中、
    、R、及びRが、H、メチル、トリフルオロメチル、又はFを表し、R、R、及びRのうちの少なくとも1つがFであり、
    が、−(CFO)−、−(CFCFO)−、−(CFCFCFO)−、−(CFCFCFCFO)−、−(CFCF(CF)O)−、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される2価の基を表し、式中、a、b、c、d、及びeが、0〜130の範囲の整数を表し、2≦a+b+c+d+e≦130であり、
    が、ペルフルオロアルキル基である、湿気硬化性組成物。
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