JP6476882B2 - 導電性組成物、蓄電デバイス用下地層付き集電体、蓄電デバイス用電極、及び蓄電デバイス - Google Patents

導電性組成物、蓄電デバイス用下地層付き集電体、蓄電デバイス用電極、及び蓄電デバイス Download PDF

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Description

本発明は、導電性組成物、及びその組成物を用いて得られる下地層を有する蓄電デバイス用下地層付き集電体、蓄電デバイス用電極、並びにその電極を用いて得られる蓄電デバイスに関する。
近年、デジタルカメラや携帯電話のような小型携帯型電子機器が広く用いられるようになってきた。これらの電子機器には、容積を最小限にし、かつ重量を軽くすることが常に求められてきており、搭載される電池においても、小型、軽量かつ大容量の電池の実現が求められている。また、自動車搭載用等の大型二次電池においても、従来の鉛蓄電池に代えて、大型二次電池の実現が望まれており、電池が使用される様々な環境下でさらなる高寿命化が求められている。さらに、高出力かつ高エネルギー密度な蓄電デバイスとしては、電気二重層キャパシター、リチウムイオンキャパシターなどのキャパシターも注目されている。
そのような要求に応えるため、リチウムイオン二次電池、アルカリ二次電池などの二次電池やキャパシターなどの蓄電デバイスの開発、例えば、これら蓄電デバイス用電極の形成に使用される合材インキや、合材層の下地層の形成に使用される下地層形成用組成物の開発にも関心が集まりつつある。
電極の形成に使用される合材インキや下地層形成用組成物に求められる重要特性としては、活物質や導電性の炭素材料が適度に分散されてなる均一性と、合材インキや下地層形成用組成物の乾燥後に形成される電極の密着性が挙げられる。
合材インキ中の活物質や導電性の炭素材料の分散状態や下地層形成用組成物中の導電性の炭素材料の分散状態が、合材層中の活物質や導電性の炭素材料の分布状態や下地層中の導電性の炭素材料の分布状態に関連しており、電極物性に影響し、ひいては電池性能に影響する。
そのため、活物質や導電性の炭素材料の分散は重要な課題である。とりわけ導電性に優れた炭素材料は、ストラクチャーや比表面積が大きいため凝集力が強く、合材インキ中であれ、下地層形成用組成物中であれ、均一混合・分散することが困難である。
そして、導電性の炭素材料の分散性や粒度の制御が不十分な場合、均一な導電ネットワークが形成されないために電極の内部抵抗の低減が図れず、その結果、電極材料の性能を十分に引き出せないという問題が生じている。
また、合材インキや下地層形成用組成物には、集電体として機能する金属箔表面に塗工可能とするための適度な流動性が求められる。さらに、表面ができるだけ平坦で厚みが均一な合材層や下地層を形成するために、合材インキや下地層形成用組成物には、適度な粘性も求められる。
一方、合材インキから形成された合材層や下地層形成用組成物から形成された下地層は、形成された後、基材たる金属箔ごと所望の大きさ・形状の切片に切り分けられたり、打ち抜かれたりする。そこで、切り分け加工や打ち抜き加工によって、傷つかない堅さと割れたり剥がれたりしない密着性が、合材層や下地層には要求される。
更に、形成された合材層や下地層は、電池内部の電解液に触れるため、電解液耐性も求められる。
つまり、合材層や下地層の密着性や電解液耐性は蓄電デバイス性能に大きく影響を与えるため重要である。
リチウムイオン電池を例に挙げると、電極の密着性が悪いと、充放電時のリチウムイオンのインターカレーション・デインターカレーションに伴う活物質の膨張・収縮による電極構造の崩壊や集電体からの電極剥離を引き起こしてしまい、電池寿命劣化に繋がってしまう。
また、電極の電解液耐性が悪いと、電極抵抗増大による電池内部抵抗増大が起こり、電池寿命劣化や電池発熱による危険が伴う。
電池は使用される環境が様々であり、特に寿命においては高温環境下で劣化しやすいため、高温環境下においても電極の密着性や導電性を維持しながら充放電サイクルにも耐えうる耐久性が重要となる。
特許文献1には、導電性の炭素粉とアクリル酸重合体などの水溶性結着材とを含む導電性組成物を電極の集電体上へコーティングした下地層が開示されている。また、特許文献2には、カーボンブラック粉末とブチルゴムとをトルエン中で混合して作製した下地形成用組成物が開示されている。しかしながら、これらの組成物は、下地層として用いた場合に集電体との密着性、電解液耐性にさらなる改良が必要であった。
そこで、これらの改良に向けて、特許文献3、4では、架橋成分の導入等により結着材を改良し密着性、電解液耐性を改善している。また特許文献5では、バインダーとしてポリテトラフルオロエチレンを用いることで、高電圧下でも電解液耐性に優れる下地層が開示されている。しかし、これら下地層の電解液耐性は改善するものの導電性に関しては更なる改良が必要であった。
そこで、特許文献6、7では導電性の高い炭素繊維を利用し下地層を得ることが開示されている。しかし、分散不良により経時安定性が悪いため、炭素繊維本来の導電性を引き出せておらず、更なる導電性の改善が必要である。
また、電池の使用される環境も様々であり、高温、高電圧などの環境下にも耐えうる電池においては、さらに電極の密着性、電解液耐性、導電性を改善し、充放電サイクル特性を向上させる必要がある。
特開昭62−160656号公報 特開昭63−121265号公報 特開2007−226969号公報 特開2008−60060号公報 WO2012036288A1号報 特開2013−073906号公報 特開2013−219055号公報
本発明は、分散性に優れる導電組成物を提供することであり、該導電組成物から形成される密着性や電解液耐性、導電性に優れる蓄電デバイス用下地層付き集電体、該下地層付き集電体上に合材を形成した蓄電デバイス用電極と充放電サイクル特性に優れる蓄電デバイスを提供することである。
本発明は、導電性のカーボンナノチューブ(A)と、カーボンブラック(B)を特定の範囲で含む導電性組成物であり、カーボンナノチューブ(A)の分散性を損なうことなく、高い導電性と電極の密着性や電解液耐性、さらには蓄電デバイスの充放電サイクル特性を向上できたものである。
即ち、媒体と、カーボンナノチューブ(A)と、カーボンブラック(B)と、樹脂バインダー(C)(ただし、微粒子バインダー(D)である場合を除く)と、微粒子バインダー(D)である架橋型樹脂微粒子もしくは粒子間架橋の(メタ)アクリル系エマルションとを含有する導電性組成物であって、
カーボンナノチューブ(A)とカーボンブラック(B)の合計100質量%中、カーボンナノチューブ(A)の含有率が、15質量%以上75質量%以下であることを特徴とする導電性組成物に関する。
また、本発明は、蓄電デバイス用電極の下地層形成用であることを特徴とする、上記導電性組成物に関する。
また、本発明は、前記カーボンナノチューブの直径が5nm以上1000nm以下であり、アスペクト比が1以上2000以下である、上記導電性組成物に関する。
また、本発明は、集電体と、上記導電性組成物から形成された下地層とを有する蓄電デバイス用下地層付き集電体に関する。
また、本発明は、集電体と、上記導電性組成物から形成された下地層と、合材層とを有する蓄電デバイス用電極に関する。
また、本発明は、正極と負極と電解液とを具備する蓄電デバイスであって、前記正極または前記負極の少なくとも一方が、上記蓄電デバイス用電極である、蓄電デバイスに関する。
カーボンナノチューブ(A)と、カーボンブラック(B)を特定の比率で含むことにより、導電性組成物中のカーボンナノチューブ(A)と、カーボンブラック(B)の分散性を損ねることなく、高導電性かつ集電体への密着性、電解液耐性に優れる下地層を形成でき、蓄電デバイスが使用される高温などの過酷な環境下においても良好な充放電サイクル特性を有する蓄電デバイスを提供できる。
蓄電デバイス用の電極は、種々の方法で得ることができる。
例えば、金属箔等の集電体の表面に、
(1)活物質と溶媒とを含有するインキ状組成物(以下、合材インキという)や、
(2)活物質と導電助剤と溶媒とを含有する合材インキや、
(3)活物質とバインダーと溶媒とを含有する合材インキや、
(4)活物質と導電助剤とバインダーと溶媒とを含有する合材インキを、
用いて合材層を形成し、電極を得ることができる。
あるいは、金属箔の集電体の表面に、導電性の炭素材料と液状媒体とを含有する下地層形成用組成物を用い、下地層を形成し、該下地層上に、上記の合材インキ(1)〜(4)やその他の合材インキ用いて合材層を形成し、電極を得ることもできる。
いずれの場合であっても、導電性の炭素材料の分散状態や、電極の密着性が蓄電デバイス性能を左右することは背景技術の項で詳述した。
従って、本発明の導電性組成物は、下地層を良好に形成するために使用することができる。
<導電性組成物>
前記したように、本発明の導電性組成物は、蓄電デバイスの下地層形成用として使用できる。導電性組成物は、媒体と、カーボンナノチューブ(A)と、カーボンブラック(B)と、樹脂バインダー(C)(ただし、微粒子バインダー(D)である場合を除く)および/または微粒子バインダー(D)とを含有する。
導電性組成物の総固形分に占める導電性の炭素材料(A+B)の割合は、導電性、及び塗膜の密着性などの耐久性の観点から、20質量%以上、70質量%以下であり、好ましくは25質量%以上、60質量%以下である。
また、カーボンナノチューブ(A)とカーボンブラック(B)の合計100質量%中、カーボンナノチューブ(A)の含有率が好ましくは15質量%以上、75質量%以下、更に好ましい範囲は30質量%以上60質量%以下である。
上記特定の比率で、カーボンナノチューブ(A)とカーボンブラック(B)とを併用することが良好な下地層を形成する上では重要である。
また、導電性組成物の適正粘度は、導電性組成物の塗工方法によるが、一般には、10mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
まず、カーボンナノチューブ(A)について説明する。
本発明で使用されるカーボンナノチューブ(A)は、特に限定されるものではなく、従来のアーク放電法、レーザー蒸発法、化学気相成長法(気相流動法、触媒担持気相成長法等)から製造される単層、多層の炭素繊維である。
用いられるカーボンナノチューブは、直径が5nm以上1000nm以下であり、アスペクト比が1以上2000以下であるものが好ましく、特に好ましいのは、直径5nm以上300nm以下でありアスペクト比が50以上1000以下のものである。ただし、ここでいう直径とアスペクト比とは、電子顕微鏡により下記方法で測定されたカーボンナノチューブの直径とアスペクト比である。
カーボンナノチューブの直径とは、電子顕微鏡観察より求めた個々のカーボンナノチューブの短軸長の数平均値を意味する。
カーボンナノチューブのアスペクト比とは、電子顕微鏡観察より求めた個々のカーボンナノチューブの短軸長と長軸長の数平均値の比であり、下記の式により算出された値を意味する。

アスペクト比=長軸長の数平均値÷短軸長の数平均値
カーボンナノチューブの例としては、例えば、Flotube9000、9100、9110等(シーナノテクノロジー社製)VGCF、VGCF−H(昭和電工社製)、AMC(宇部興産)、NC7000(ナノシル)、BN−1100(ハイペリオン・キャタリシス・インターナショナル社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
本発明で使用される導電性のカーボンブラック(B)としては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンブラックの酸化処理は、カーボンブラックを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボンブラック表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンブラックの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m2/g以上、1500m2/g以下が好ましく、より好ましくは50m2/g以上、1500m2/g以下、更に好ましくは100m2/g以上、1500m2/g以下のものを使用することが望ましい。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡などで測定された粒子径を平均したものである。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、205等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(アクゾ社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
カーボンナノチューブ(A)とカーボンブラック(B)を併用した導電性組成物中の分散粒径は、0.03μm以上、5μm以下に微細化することが望ましい。
ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、レーザー回折方式の粒度分布計(日機装社製「MT3300」)等で測定される。
次に、樹脂バインダー(C)について説明する。
本発明で使用される樹脂バインダー(C)とは、25℃の溶解可能な溶剤または水である媒体99g中に樹脂バインダー(C)1g混合して撹拌し、25℃で24時間放置した後、分離・析出せずに媒体でバインダーが完全に溶解可能なものである。
樹脂バインダー(C)としては、エマルション状態以外の樹脂であれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリルアミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等の多糖類の樹脂を含む高分子化合物が挙げられる。また、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良い。これらバインダーは、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
次に、微粒子バインダー(D)について説明する。
本発明で使用される微粒子バインダー(D)とは、一般的に水性エマルションとも呼ばれるものであり、バインダー樹脂が水中で溶解せずに、微粒子の状態で分散されているものである。
使用するエマルションは特に限定されないが、(メタ)アクリル系エマルション、ニトリル系エマルション、ウレタン系エマルション、ジエン系エマルション(SBRなど)、フッ素系エマルション(PVDFやPTFEなど)等が挙げられる。水溶性高分子と異なり、エマルションは粒子間の結着性と柔軟性(膜の可とう性)に優れるものが好ましい。
(エマルションの粒子構造)
また、微粒子バインダー(D)の粒子構造は、多層構造、いわゆるコアシェル粒子にすることもできる。例えば、コア部、またはシェル部に官能基を有する単量体を主に重合させた樹脂を局在化させたり、コアとシェルによってTgや組成に差を設けたりすることにより、硬化性、乾燥性、成膜性、バインダーの機械強度を向上させることができる。
(エマルションの粒子径)
使用される微粒子バインダー(D)の平均粒子径は、結着性や粒子の安定性の点から、10〜500nmであることが好ましく、10〜300nmであることがより好ましい。また、1μmを超えるような粗大粒子が多く含有されるようになると粒子の安定性が損なわれるので、1μmを超える粗大粒子は多くとも5%以下であることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、体積平均粒子径のことを表し、動的光散乱法により測定された値である。
動的光散乱法による平均粒子径の測定は、以下のようにして行うことができる。微粒子バインダー(D)は固形分に応じて200〜1000倍に水希釈しておく。該希釈液約5mlを測定装置[(株)日機装製 マイクロトラックUPA−EX150]のセルに注入し、サンプルに応じた溶剤および樹脂バインダーの屈折率条件を入力後、測定を行う。この時得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを平均粒子径とした。
(メタ)アクリル系エマルションを使用する場合、以下で説明する架橋型樹脂微粒子を含むことが好ましい。架橋型樹脂微粒子とは、内部架橋構造(三次元架橋構造)を有する樹脂微粒子を示す。架橋型樹脂微粒子が架橋構造をとることにより耐電解液溶出性を確保することができ、粒子内部の架橋を調整することでその効果を高めることができる。また、架橋型樹脂微粒子が特定の官能基を含有することにより、集電体、または電極との密着性に寄与することができる。さらには架橋構造や官能基の量を調整することで、蓄電デバイスの耐久性に優れた導電性組成物を得ることができる。
また、架橋には粒子同士の架橋(粒子間架橋)を併用することもできるが、この場合、多くは架橋剤をあとで添加するため、架橋剤成分の電解液への漏出や電極作製時のバラツキが生じる場合もある。このため、架橋剤は耐電解液性を損なわない程度に用いるのがよい。
本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子は、エチレン性不飽和単量体を水中にて界面活性剤の存在下、ラジカル重合開始剤によって乳化重合して得られる樹脂微粒子である。本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルションは、下記単量体(C1)および(C2)を下記割合で含むエチレン性不飽和単量体を乳化重合することにより得ることが好ましい。
(C1)単官能または多官能アルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1)、および1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する単量体(c2)からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体:0.1〜20質量%
(C2)前記単量体(c1)〜(c2)以外のエチレン性不飽和単量体(c3):80〜99.9質量%
(但し、前記(c1)〜(c3)の合計を100質量%とする)
本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子を構成するエチレン性不飽和単量体のうち(c1)、(c3)は、特に断らない限り、1分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する単量体のことを示す。
<単量体群(C1)について>
単量体群(C1)に含まれる単量体の有する官能基(アルコキシシリル基、エチレン性不飽和基)は、自己架橋型反応性官能基であり、主に粒子合成中における粒子内部架橋を形成する効果がある。粒子の内部架橋を十分に行うことで、耐電解液性を向上させることができる。したがって、単量体群(C1)に含まれる単量体を使用することで架橋型樹脂微粒子とすることができる。また、粒子架橋を十分に行うことで、耐電解液性を向上させることができる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、アルコキシシリル基とを有する単量体(c1)としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する単量体(c2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1−メチルアリル、(メタ)アクリル酸2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−ブテニル、(メタ)アクリル酸3−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル,リノレン酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチルなどのエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類;ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ジアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリル酸などの多官能(メタ)アクリル酸エステル類;ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニルなどのジビニル類;イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリルなどのジアリル類などがあげられる。
単量体(c1)または単量体(c2)中のアルコキシシリル基またはエチレン性不飽和基は、主に重合中にそれぞれが自己縮合、または重合して粒子に架橋構造を導入することを目的としているが、その一部が重合後にも粒子内部や表面に残存していてもよい。残存したアルコキシシリル基、またはエチレン性不飽和基は、バインダー組成物の粒子間架橋に寄与する。特にアルコキシシリル基は集電体への密着性向上に寄与する効果があるため好ましい。
本発明では、単量体群(C1)に含まれる単量体は、乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体全体(合計100質量%)中に0.1〜20質量%使用されることを特徴とする。好ましくは0.2〜10質量%である。
<単量体群(C2)について>
本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子は、上述した1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、アルコキシシリル基とを有する単量体(c1)、および1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する単量体(c2)に加えて、単量体群(C2)として、単量体(c1)、(c2)以外の、エチレン性不飽和基を有する単量体(c3)を同時に乳化重合することで得ることができる。
この単量体(c3)としては、単量体(c1)、(c2)以外であって、エチレン性不飽和基を有する単量体であれば特に限定されないが、例えば、
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、単官能または多官能エポキシ基とを有する単量体(c4)、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、単官能または多官能アミド基とを有する単量体(c5)、および1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、単官能または多官能水酸基とを有する単量体(c6)からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体、および、単量体(c1)、(c2)、(c4)〜(c6)以外の、エチレン性不飽和基を有する単量体(c7)を使用することができる。
単量体(c4)〜(c6)を使用することにより、エポキシ基、アミド基、または水酸基を架橋型樹脂微粒子の粒子内や表面に残存させることができ、これにより集電体の密着性などの物性を向上させることができる。単量体(c4)〜(c6)は、粒子合成後でもその官能基が粒子内部や表面に残存しやすく、少量でも集電体への密着性効果が大きい。また、その一部が架橋反応に使用されてもよく、これらの官能基の架橋度合いを調整することで、耐電解液性と密着性のバランスをとることができる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、単官能または多官能エポキシ基とを有する単量体(c4)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、単官能または多官能アミド基とを有する単量体(c5)としては、例えば、(メタ)アクリルアミドなどの第一アミド基含有エチレン性不飽和単量体;N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアルキロール(メタ)アクリルアミド類;N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミドなどのモノアルコキシ(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミドなどのジアルコキシ(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミドなどのジアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどのジアルキル(メタ)アクリルアミド類;ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどのケト基含有(メタ)アクリルアミド類などがあげられる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、単官能または多官能水酸基とを有する単量体(c6)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコールなどがあげられる。
単量体(c4)〜(c6)に含まれる単量体の官能基は、その一部が粒子重合中に反応し、粒子内架橋に使われても構わない。本発明では、単量体(c4)〜(c6)に含まれる単量体は、乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体全体(合計100質量%)中に0.1〜20質量%使用されることが好ましく、より好ましくは1〜15質量%であり、特に好ましくは2〜10質量%である。
単量体(c7)としては、単量体(c1)、(c2)、(c4)〜(c6)以外であって、エチレン性不飽和基を有する単量体であれば特に限定されないが、例えば、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数8〜18のアルキル基とを有する単量体(c8)、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、環状構造とを有する単量体(c9)などがあげられる。単量体(c7)として、該単量体(c8)および/または単量体(c9)を乳化重合に使用する場合には(単量体(c7)としてそれら以外の単量体を含んでいてもよい)、該単量体(c8)および(c9)が、エチレン性不飽和基を有する単量体全体((c1)、(c2)、(c4)〜(c6)および(c7))中に合計で30〜95質量%含まれることが好ましい。単量体(c8)や単量体(c9)を使用することで粒子合成時の粒子安定性や耐電解液性に優れるため好ましい。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数8〜18のアルキル基とを有する単量体(c8)としては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、環状構造とを有する単量体(c9)としては、脂環式エチレン性不飽和単量体や芳香族エチレン性不飽和単量体などがあげられる。脂環式エチレン性不飽和単量体としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどがあげられ、芳香族エチレン性不飽和単量体としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、アリルベンゼン、エチニルベンゼンなどがあげられる。
上記単量体(c8)、単量体(c9)以外の単量体(c7)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有エチレン性不飽和単量体;パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルアミル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルウンデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和単量体;パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレンなどのパーフルオロアルキル、アルキレン類などのパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和化合物;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエーテル鎖を有するエチレン性不飽和化合物;ラクトン変性(メタ)アクリレートなどのポリエステル鎖を有するエチレン性不飽和化合物;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、およびトリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル)アンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩基含有エチレン性不飽和化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどの脂肪酸ビニル系化合物;ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系エチレン性不飽和単量体;1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンなどのα−オレフィン系エチレン性不飽和単量体;酢酸アリル、シアン化アリルなどのアリル単量体;シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトンなどのビニル単量体;アセチレン、エチニルトルエンなどのエチニル単量体などがあげられる。
また、上記単量体(c8)、単量体(c9)以外の単量体(c7)としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸などのカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体;ターシャリーブチル(メタ)アクリレートなどのターシャリーブチル基含有エチレン性不飽和単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホ基含有エチレン性不飽和単量体;(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアッシドホスフェートなどのリン酸基含有エチレン性不飽和単量体;ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクロレイン、N−ビニルホルムアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレートなどのケト基含有エチレン性不飽和単量体(1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、ケト基とを有する単量体)などがあげられる。
単量体(c7)として、ケト基含有エチレン性不飽和単量体を使用する場合、架橋剤としてケト基と反応しうるヒドラジド基を2個以上有する多官能ヒドラジド化合物をバインダー組成物に混合すると、ケト基とヒドラジド基との架橋により強靱な塗膜を得ることができる。このことにより優れた耐電解液性、結着性を有する。さらに、充放電の繰り返しや、発熱による高温環境下における耐性と可とう性とを両立することができるため、充放電サイクルにおける放電容量低下の低減された長寿命の蓄電デバイスを得ることができる。
また、単量体(c7)の中でもカルボキシル基、ターシャリーブチル基(熱によりターシャリーブタノールが脱離してカルボキシル基になる。)、スルホ基、およびリン酸基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合して得られた樹脂微粒子は、重合後にも粒子内や表面に前記官能基が残存し、集電体の密着性などの物性を向上させる効果があると同時に、合成時の凝集を防いだり、合成後の粒子安定性を保持したりする場合あるため好ましく使用することができる。
カルボキシル基、ターシャリーブチル基、スルホ基、およびリン酸基は、その一部が重合中に反応し、粒子内架橋に使われても構わない。カルボキシル基、ターシャリーブチル基、スルホ基、およびリン酸基を含む単量体を用いる場合には、乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体全体(合計100質量%)中に0.1〜10質量%含まれることが好ましく、さらには1〜5質量%含まれることがより好ましい。さらにこれらの官能基は、乾燥時に反応して粒子内や粒子間の架橋に使われても構わない。
例えばカルボキシル基は、重合中および乾燥時にエポキシ基と反応して樹脂微粒子に架橋構造を導入できる。同様に、ターシャリーブチル基も一定温度以上の熱が加わるとターシャリーブチルアルコールが生成するとともにカルボキシル基が形成されるため、前記同様エポキシ基と反応することができる。
これらの単量体(c7)は、粒子の重合安定性やガラス転移温度、さらには成膜性や塗膜物性を調整するために、上記にあげたような単量体を2種以上併用して用いることができる。また、例えば(メタ)アクリロニトリルなどを併用することでゴム弾性が発現する効果がある。
<本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子の製造方法>
本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子は、従来既知の乳化重合方法により合成される。
<乳化重合で用いられる乳化剤>
本発明において乳化重合の際に用いられる乳化剤としては、エチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤やエチレン性不飽和基を有しない非反応性乳化剤など、従来公知のものを任意に使用することができる。
エチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤はさらに大別して、アニオン系、非イオン系のノニオン系のものが例示できる。特にエチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤若しくはノニオン性反応性乳化剤を用いると、共重合体の分散粒子径が微細となるとともに粒度分布が狭くなるため、二次電池電極用バインダーとして使用した際に耐電解液性を向上することができ好ましい。このエチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤若しくはノニオン性反応性乳化剤は、1種を単独で使用しても、複数種を混合して用いてもよい。
エチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤の一例として、以下にその具体例を例示するが、本願発明において使用可能とする乳化剤は、以下に記載するもののみに限定されるものではない。
乳化剤としては、アルキルエーテル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンKH−05、KH−10、KH−20、株式会社ADEKA製アデカリアソープSR−10N、SR−20N、花王株式会社製ラテムルPD−104など);スルフォコハク酸エステル系(市販品としては、例えば、花王株式会社製ラテムルS−120、S−120A、S−180P、S−180A、三洋化成株式会社製エレミノールJS−2など);アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンH−2855A、H−3855B、H−3855C、H−3856、HS−05、HS−10、HS−20、HS−30、株式会社ADEKA製アデカリアソープSDX−222、SDX−223、SDX−232、SDX−233、SDX−259、SE−10N、SE−20N、など);(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製アントックスMS−60、MS−2N、三洋化成工業株式会社製エレミノールRS−30など);リン酸エステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製H−3330PL、株式会社ADEKA製アデカリアソープPP−70など)などがあげられる。
本発明で用いることのできるノニオン系反応性乳化剤としては、例えばアルキルエーテル系(市販品としては、例えば、株式会社ADEKA製アデカリアソープER−10、ER−20、ER−30、ER−40、花王株式会社製ラテムルPD−420、PD−430、PD−450など);アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50、株式会社ADEKA製アデカリアソープNE−10、NE−20、NE−30、NE−40など);(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製RMA−564、RMA−568、RMA−1114など)などがあげられる。
本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子を乳化重合により得るに際しては、前記したエチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤とともに、必要に応じエチレン性不飽和基を有しない非反応性乳化剤を併用することができる。非反応性乳化剤は、非反応性アニオン系乳化剤と非反応性ノニオン系乳化剤とに大別することができる。
非反応性ノニオン系乳化剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどを例示することができる。
また、非反応性アニオン系乳化剤の例としては、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩およびその誘導体類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩類などを例示することができる。
本発明において用いられる乳化剤の使用量は、必ずしも限定されるものではなく、架橋型樹脂微粒子が最終的なバインダーとして使用される際に求められる物性にしたがって適宜選択できる。例えば、エチレン性不飽和単量体の合計100質量部に対して、乳化剤は通常0.1〜30質量部であることが好ましく、0.3〜20質量部であることがより好ましく、0.5〜10質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子の乳化重合に際しては、水溶性保護コロイドを併用することもできる。水溶性保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩などのセルロース誘導体;グアガムなどの天然多糖類などがあげられ、これらは、単独でも複数種併用の態様でも利用できる。水溶性保護コロイドの使用量としては、エチレン性不飽和単量体の合計100質量部当り0.1〜5質量部であり、さらに好ましくは0.5〜2質量部である。
<乳化重合で用いられる水性媒体>
本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子の乳化重合に際して用いられる水性媒体としては、水があげられ、親水性の有機溶剤も本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
<乳化重合で用いられる重合開始剤>
本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子を得るに際して用いられる重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、公知の油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤を使用することができる。
油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリルなどのアゾビス化合物などをあげることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。これら重合開始剤は、エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0.1〜10.0質量部の量を用いるのが好ましい。
本発明においては水溶性重合開始剤を使用することが好ましく、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドなど、従来既知のものを好適に使用することができる。また、乳化重合を行うに際して、所望により重合開始剤とともに還元剤を併用することができる。これにより、乳化重合速度を促進したり、低温において乳化重合を行ったりすることが容易になる。このような還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、エルソルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラートなどの金属塩などの還元性有機化合物、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元性無機化合物、塩化第一鉄、ロンガリット、二酸化チオ尿素などを例示できる。これら還元剤は、全エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、0.05〜5.0質量部の量を用いるのが好ましい。
<乳化重合の条件>
なお、前記した重合開始剤によらずとも、光化学反応や、放射線照射などによっても重合を行うことができる。重合温度は各重合開始剤の重合開始温度以上とする。例えば、過酸化物系重合開始剤では、通常70℃程度とすればよい。重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。
<反応に用いられるその他の材料>
さらに必要に応じて、緩衝剤として、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどが、また、連鎖移動剤としてのオクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、ステアリルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類が適量使用できる。
本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子の重合にカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体などの酸性官能基を有する単量体を使用した場合、重合前や重合後に塩基性化合物で中和することができる。中和する際、アンモニアもしくはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミンなどのアルキルアミン類;2−ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノールなどのアルコールアミン類;モルホリンなどの塩基で中和することができる。ただし、乾燥性に効果が高いのは揮発性の高い塩基であり、好ましい塩基はアミノメチルプロパノール、アンモニアである。
<本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子の特性>
(ガラス転移温度)
また、本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子のガラス転移温度(以下、Tgともいう)は、−50〜70℃が好ましく、−30〜30℃がさらに好ましい。なお、ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量計)を用いて求めた値である。
DSC(示差走査熱量計)によるガラス転移温度の測定は以下のようにして行うことができる。測定試料約2mgをアルミニウムパン上で秤量し、該試験容器をDSC測定ホルダーにセットし、10℃/分の昇温条件にて得られるチャートの吸熱ピークを読み取る。このときのピーク温度をガラス転移温度とした。
(粒子構造)
また、本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子の粒子構造を多層構造、いわゆるコアシェル粒子にすることもできる。例えば、コア部、またはシェル部に官能基を有する単量体を主に重合させた樹脂を局在化させたり、コアとシェルによってTgや組成に差を設けたりすることにより、硬化性、乾燥性、成膜性、バインダーの機械強度を向上させることができる。
(粒子径)
本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子の平均粒子径は、電極活物質の結着性や粒子の安定性の点から、10〜500nmであることが好ましく、30〜300nmであることがより好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、体積平均粒子径のことを表し、動的光散乱法により測定できる。
<重合した樹脂微粒子に添加する未架橋の化合物(E)>
本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルションは、架橋型樹脂微粒子に加えて、さらに、未架橋のエポキシ基含有化合物、未架橋のアミド基含有化合物、未架橋の水酸基含有化合物、および未架橋のオキサゾリン基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの未架橋の化合物(E)[以下、化合物(E)と表記する場合がある]とを含むことが好ましい。化合物(E)は、水性液状媒体に溶解することがなく、分散する化合物である。
化合物(E)である「未架橋の官能基含有化合物」とは、単量体群(C1)に含まれる単量体のように本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルションの内部架橋構造(三次元架橋構造)を形成する化合物とは異なり、樹脂微粒子が乳化重合(ポリマー形成)された後に添加される(樹脂微粒子の内部架橋形成に関与しない)化合物のことのことをいう。すなわち、「未架橋」とは、本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルションの内部架橋構造(三次元架橋構造)の形成に関与していないことを意味する。
本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルションが架橋構造をとることにより耐電解液性が確保され、また、化合物(E)を使用することで、化合物(E)中のエポキシ基、アミド基、水酸基、およびオキサゾリン基から選ばれる少なくとも1つの官能基が、集電体、または電極との密着性に寄与することができる。さらには架橋構造や官能基の量を調整することで、蓄電デバイスの耐久性に優れた導電性組成物を得ることができる。
なお、本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子は、粒子内部で架橋していることが必要である。粒子内部の架橋を適度に調整することによって、耐電解液性を確保することができる。さらに、官能基含有架橋型樹脂微粒子に未架橋のエポキシ基含有化合物、未架橋のアミド基含有化合物、未架橋の水酸基含有化合物、および未架橋のオキサゾリン基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの未架橋の化合物(E)を添加することで、エポキシ基、アミド基、水酸基またはオキサゾリン基が集電体に作用し、集電体や電極への密着性を効果的に向上させることができる。化合物(E)に含まれる上記官能基は、長期保存時や電極作製時の熱によっても安定であるため、少量の使用でも集電体への密着性効果が大きい。さらには保存安定性にも優れている。化合物(E)は、バインダーの可とう性や耐電解液性を調整する目的で架橋型樹脂微粒子中の官能基と反応してもよいが、官能基含有架橋型樹脂微粒子中の官能基との反応のために化合物(E)中の官能基が使われすぎると、集電体または電極と相互作用し得る官能基が少なくなってしまう。このため、本発明で好適に使用される(メタ)アクリル系エマルション中の架橋型樹脂微粒子と化合物(E)との反応は、集電体または電極への密着性を損なわない程度である必要がある。また、化合物(E)に含まれる上記官能基の一部が架橋反応に用いられる場合[化合物(E)が多官能化合物の場合]には、これらの官能基の架橋度合いを調整することで、耐電解液性と密着性のバランスをとることができる。
<未架橋のエポキシ基含有化合物>
未架橋のエポキシ基含有化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体;前記エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどの多官能エポキシ化合物;ビスフェノールA−エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF−エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂などがあげられる。
エポキシ基含有化合物の中でも特にビスフェノールA−エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF−エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂や、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂が好ましい。エポキシ系樹脂は、ビスフェノール骨格を有することで耐電解液性を向上させ、また、骨格に含まれる水酸基により集電体密着性を向上させるという相乗効果が期待できる。また、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂は、樹脂骨格内により多くのエポキシ基を有することにより集電体密着性を向上させ、また、樹脂であることにより、単量体に比べて耐電解液性を向上させる効果が期待できる。
<未架橋のアミド基含有化合物>
未架橋のアミド基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミドなどの第一アミド基含有化合物;N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアルキロール(メタ)アクリルアミド系化合物;N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミドなどのモノアルコキシ(メタ)アクリルアミド系化合物;N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミドなどのジアルコキシ(メタ)アクリルアミド系化合物;N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミドなどのジアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド系化合物;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどのジアルキル(メタ)アクリルアミド系化合物;ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどのケト基含有(メタ)アクリルアミド系化合物など、以上のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;前記アミド基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂などがあげられる。
アミド基含有化合物の中でも、特にアクリルアミドなどのアミド基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂が好ましい。樹脂骨格内に、より多くのアミド基を有することにより集電体密着性を向上させ、また、樹脂であることにより、単量体に比べて耐電解液性を向上させる効果が期待できる。
<未架橋の水酸基含有化合物>
未架橋の水酸基含有化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコールなどの水酸基含有エチレン性不飽和単量体;前記水酸基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの直鎖脂肪族ジオール類;プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどの分岐鎖脂肪族ジオール類;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどの環状ジオール類などがあげられる。
水酸基含有化合物の中でも、特に水酸基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂、または環状ジオール類が好ましい。水酸基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂は、樹脂骨格内に、より多くの水酸基を有することにより集電体密着性を向上させ、また、樹脂であることにより、単量体に比べて耐電解液性を向上させる効果が期待できる。また、環状ジオール類は、骨格に環状構造を有することにより、耐電解液性を向上させる効果が期待できる。
<未架橋のオキサゾリン基含有化合物>
未架橋のオキサゾリン基含有化合物としては、例えば、2’−メチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−プロピレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−フェニレンビス−2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、さらにはオキサゾリン基含有ラジカル重合系樹脂などがあげられる。
オキサゾリン基含有化合物の中でも、特に、2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)などのフェニレンビス型オキサゾリン化合物、または、オキサゾリン基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂が好ましい。フェニレンビス型オキサゾリン化合物は、骨格内にフェニル基を有することにより耐電解液性を向上させる効果がある。また、オキサゾリン基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂は、樹脂骨格内により多くのオキサゾリン基を有することにより集電体密着性を向上させ、また、樹脂であることにより、単量体に比べて耐電解液性を向上させることができる。
<化合物(E)の添加量、分子量>
化合物(E)は、架橋型樹脂微粒子の固形分100質量部に対して0.1〜50質量部添加するのが好ましく、5〜40質量部添加するのがさらに好ましい。さらに、化合物(E)は2種類以上併用することも可能である。
化合物(E)の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量が1,000〜1,000,000であるのが好ましく、さらには5,000〜500,000がより好ましい。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
つぎに、媒体について説明する。本発明に使用する媒体としては、N−メチルピロリドン(NMP)などの一般的な有機溶剤または水を使用することができる。また、水を使用した場合は、集電体への塗工性向上のために、水と相溶する有機溶剤を使用しても良い。
水と相溶する有機溶剤としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等が挙げられ、水と相溶する範囲で使用しても良い。
さらに、導電性組成物には、成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤などを必要に応じて配合できる。
また、本発明の導電性組成物は、蓄電デバイス用電極の下地層形成用として用いることもできるため、蓄電デバイスの充放電サイクル劣化を抑制する目的で、電極中の不純物と電解液の反応によって生成する酸を吸着または消費する材料を加えても良い。
電解液の反応によって生成する酸を吸着する材料として、特に限定はされないが、例えば、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al23)、酸化ホウ素(B23)、酸化ガリウム(Ga23)、および酸化インジウム(In23)などが挙げられる。
電解液の反応によって生成する酸を消費する材料として、集電体を腐食しなければ特に限定はされないが、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩類、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウム、スルホン酸ナトリウム、スルホン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウムなどの金属有機酸塩類、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、二酸化ケイ素などのケイ酸塩類、水酸化マグネシウムなどのアルカリ性水酸化物類を挙げることができる。
さらに、本発明の導電性組成物を蓄電デバイス用電極の下地層形成用として用いる場合、蓄電デバイスの過充電または短絡発生時における熱暴走を抑制する目的で、所定温度以上になるとガスを発生する材料、抵抗の温度係数が正である材料を加えてもよい。
所定温度以上になるとガスを発生する材料として、例えば、炭酸リチウム、炭酸亜鉛、炭酸鉛、炭酸ストロンチウムなどの炭酸塩類、膨張黒鉛などを挙げることができる。
また、抵抗の温度係数が正である材料として、PTC材料および高分子PTC材料が挙げられる。PTC材料とはそのキュリー温度を超えると抵抗が急激に増大する材料であり、例えば、BaTiMO2(MはCr、Pb、Ca、Sr、Ce、Mn、La、Mn、Y、NbおよびNdのいずれか一種以上の元素)が挙げられる。
高分子PTC材料とは、熱による高分子の体積変化を利用して抵抗を増大させる材料であり、低温では、導電性の炭素材料(A)によって導電パスが形成されているため電流が流れるが、高温になると高分子が膨張または収縮して導電パスが遮断され、抵抗を増大させることができる。このような高分子PTC材料として、ポリエチレン 、ポリプロピレン 、ポリエチレンテレフタレート 、ポリエーテルニトリル 、ポリイミド 、ポリアミド 、ポリテトラフルオロエチレン 、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリロニトリル、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、エポキシ樹脂などが挙げられ、これらの共重合体または混合物などが挙げられる。
(分散機・混合機)
本発明の導電性組成物や後述する合材インキを得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、または、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。また、強い衝撃で粒子が割れたり、潰れたりしやすい正または負極活物質の場合は、メディア型分散機よりは、ロールミルやホモジナイザー等のメディアレス分散機が好ましい。
(蓄電デバイス用下地層付き集電体、蓄電デバイス用電極)
本発明の蓄電デバイス用下地層付き集電体とは、集電体上に、本発明の導電性組成物から形成された下地層を有するものである。
また、本発明の蓄電デバイス用電極とは、集電体上に、本発明の導電性組成物から形成された下地層と、電極活物質とバインダーとを含有する電極形成用組成物(合材インキ)から形成された合材層とを有する。
(集電体)
電極に使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、各種蓄電デバイス用にあったものを適宜選択することができる。
例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。リチウムイオン電池の場合、特に正極材料としてはアルミニウムが、負極材料としては銅が、それぞれ好ましい。
また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状の集電体も使用できる。
集電体上に導電性組成物や後述する合材インキを塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。
具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。下地層の厚みは、一般的には0.1μm以上、5μm以下であり、好ましくは0.1μm以上、2μm以下である。電極合材層の厚みは、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。
<合材インキ>
前記したように、一般的な蓄電デバイス用の合材インキは、活物質と、溶媒を必須とし、必要に応じて導電助剤と、バインダーとを含有する。
活物質はできるだけ多く含まれることが好ましく、例えば、合材インキ固形分に占める活物質の割合は、80質量%以上、99質量%以下が好ましい。導電助剤を含む場合、合材インキ固形分に占める導電助剤の割合は、0.1〜15質量%であることが好ましい。バインダーを含む場合、合材インキ固形分に占めるバインダーの割合は、0.1〜15質量%であることが好ましい。
塗工方法によるが、固形分30〜90質量%の範囲で、合材インキの粘度は、100mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
(活物質)
合材インキ中で使用される活物質について以下で説明する。
リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。
例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V25、V613、TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料、TiS2、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。
また、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子を使用することもできる。また、上記の無機化合物や有機化合物を混合して用いてもよい。
リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能なものであれば特に限定されない。例えば、金属Li、その合金であるスズ合金、シリコン合金、鉛合金等の合金系、LiXFe23、LiXFe34、LiXWO2、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子系、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が挙げられる。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
これら電極活物質の大きさは、0.05〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜50μmの範囲内である。そして、合材インキ中の電極活物質(A)の分散粒径は、0.5〜20μmであることが好ましい。ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
電気二重層キャパシター用の電極活物質としては、特に限定されないが、活性炭、ポリアセン、カーボンウィスカ及びグラファイト等が挙げられ、これらの粉末または繊維などが挙げられる。電気二重層キャパシター用の好ましい電極活物質は活性炭であり、具体的にはフェノール系、ヤシガラ系、レーヨン系、アクリル系、石炭/ 石油系ピッチコークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)等を賦活した活性炭を挙げることができる。同じ重量でもより広い面積の界面を形成することが可能な、比表面積の大きいものが好ましい。具体的には、比表面積が30m2/g以上、好ましくは500〜5000m2/g、より好ましくは1000〜 3000m2/gであることが好ましい。
これらの電極活物質は、単独、または二種類以上を組み合わせて使用することができるし、平均粒径または粒度分布の異なる二種類以上の炭素を組み合わせて使用してもよい。
リチウムイオンキャパシター用の正極活物質としては、リチウムイオンおよびアニオンを可逆的にドープ・脱ドープすることが可能な材料であれば、特に限定されるものではないが、例えば活性炭粉末が挙げられる。活性炭の分散粒径は、0.1μm〜20μmが好ましい。ここでいう分散粒径は、上述の通りである。
リチウムイオンキャパシター用の負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能である材料であれば、特に限定されるものではないが、例えば人造黒鉛、天然黒鉛などの黒鉛系材料が挙げられる。活性炭の分散粒径は、0.1μm〜20μmが好ましい。ここでいう分散粒径は、上述の通りである。
合材インキ中の導電助剤とは、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではなく、上述の導電性のカーボンブラック(B)と同様のものも使用できる。
合材インキ中のバインダーとは、活物質や導電性の炭素材料などの粒子同士、あるいは導電性の炭素材料と集電体を結着させるために使用されるものである。
合材インキ中で使用されるバインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等のセルロース樹脂、スチレン−ブタジエンゴムやフッ素ゴム等の合成ゴム、ポリアニリンやポリアセチレン等の導電性樹脂等、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、及びテトラフルオロエチレン等のフッ素原子を含む高分子化合物が挙げられる。また、これらの樹脂の変性物、混合物、又は共重合体でも良い。これらバインダーは、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
また、水性の合材インキ中で好適に使用されるバインダーとしては水媒体のものが好ましく、水媒体のバインダーの形態としては、水溶性型、エマルション型、ハイドロゾル型等が挙げられ、適宜選択することができる。
さらに、合材インキには、成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤などを必要に応じて配合できる。
<電極の製造方法>
本発明の導電性組成物を、集電体上に塗工・乾燥し、下地層を形成し、蓄電デバイス用下地層電極を得ることができる。
あるいは、本発明の導電性組成物を、集電体上に塗工・乾燥し、下地層を形成し、該下地層上に、合材層を設け、蓄電デバイス用電極を得ることもできる。下地層上に設ける合材層は、上記した合材インキを用いて形成することができる。
<蓄電デバイス>
正極もしくは負極の少なくとも一方に上記の電極を用い、二次電池、キャパシターなどの蓄電デバイスを得ることができる。
二次電池としては、リチウムイオン二次電池の他、ナトリウムイオン二次電池、マグネシウムイオン二次電池、アルカリ二次電池、鉛蓄電池、ナトリウム硫黄二次電池、リチウム空気二次電池等が挙げられ、それぞれの二次電池で従来から知られている、電解液やセパレーター等を適宜用いることができる。
キャパシターとしては、電気二重層キャパシター、リチウムイオンキャパシターなどが挙げられ、それぞれのキャパシターで従来から知られている、電解液やセパレーター等を適宜用いることができる。
(電解液)
リチウムイオン二次電池の場合を例にとって説明する。電解液としては、リチウムを含んだ電解質を非水系の溶剤に溶解したものを用いる。
電解質としては、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6
LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49SO3、Li(CF3SO23C、
LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、又はLiBPh4等が挙げられるがこれらに限定されない。
非水系の溶剤としては特に限定はされないが、例えば、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びγ−オクタノイックラクトン等のラクトン類;
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、及び1,2−ジブトキシエタン等のグライム類;
メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、
アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。又これらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
さらに上記電解液を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とすることもできる。ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、及びポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
(セパレーター)
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びそれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
(電池構造・構成)
本発明の組成物を用いたリチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシター、リチウムイオンキャパシターの構造については特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例および比較例における「部」は「質量部」を表す。また、導電性組成物(1)、(4)、(8)を用いた例、および下地層付き集電体(1)、(4)、(8)、(10)、(13)、(17)を用いた例である、実施例1,4,8,10,13,17,19,22,26,28,31,35,37,40,44,46,49,53,55,58,62は、参考例である。
<微粒子バインダーの調製>
[合成例1]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水40部と界面活性剤としてアデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製)0.2部とを仕込み、別途、メチルメタクリレート48.5部、ブチルアクリレート50部、アクリル酸1部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、イオン交換水53部および界面活性剤としてアデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製)1.8部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1質量%をさらに加えた。内温を70℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5質量%水溶液10部の10質量%を添加し重合を開始した。反応系内を70℃で5分間保持した後、内温を70℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5質量%水溶液の残りを3時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却した。25質量%アンモニア水を添加して、pHを8.5とし、さらにイオン交換水で固形分を40質量%に調整して微粒子バインダーを得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
<化合物(E)の製造[エポキシ基含有化合物の製造]>
[製造例1]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器にイソプロピルアルコール20部、水20部を仕込み、別途、メチルメタクリレート40部、メチルアクリレート40部、グリシジルメタクリレート20部を滴下槽1に、また、過硫酸カリウム2部をイソプロピルアルコール30部および水30部に溶解させて滴下槽2に仕込んだ。内温を80℃に昇温し十分に窒素置換した後、滴下槽1、2を2時間かけて滴下し、重合を行った。滴下終了後、内温を80℃に保ったまま1時間攪拌を続け、固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却し、固形分40質量%のエポキシ基含有化合物(メチルメタクリレート/メチルアクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体)溶液を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
<化合物(E)の製造[アミド基含有化合物の製造]>
[製造例2]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、水90部を仕込み、別途、アクリルアミド20部を滴下槽1に、また、過硫酸カリウム2部を水90部に溶解させて滴下槽2に仕込んだ。内温を80℃に昇温し十分に窒素置換した後、滴下槽1、2を2時間かけて滴下し、重合を行った。滴下終了後、内温を80℃に保ったまま1時間攪拌を続け、固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却し、固形分40質量%のアミド基含有化合物(ポリアクリルアミド)溶液を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
[製造例3]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、水40部を仕込み、別途、2−エチルヘキシルアクリレート40部、スチレン40部、ジメチルアクリルアミド20部を滴下槽1に、また、過硫酸カリウム2部を水60部に溶解させて滴下槽2に仕込んだ。内温を80℃に昇温し十分に窒素置換した後、滴下槽1、2を2時間かけて滴下し、重合を行った。滴下終了後、内温を80℃に保ったまま1時間攪拌を続け、固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却し、固形分40質量%のアミド基含有化合物(2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン/ジメチルアクリルアミド共重合体)溶液を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
<化合物(E)の製造[水酸基含有化合物の製造]>
[製造例4]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール20部、水20部を仕込み、別途、メチルメタクリレート40部、ブチルアクリレート40部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部を滴下槽1に、また、過硫酸カリウム2部をイソプロピルアルコール30部および水30部に溶解させて滴下槽2に仕込んだ。内温を80℃に昇温し十分に窒素置換した後、滴下槽1、2を2時間かけて滴下し、重合を行った。滴下終了後、内温を80℃に保ったまま1時間攪拌を続け、固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却し、固形分40質量%の水酸基含有化合物(メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体)溶液を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
[合成例2〜23]
表5、表6、表11に示す材料および組成に変更した以外は、合成例1と同様の方法で合成し、合成例2〜23の微粒子バインダーを得た。ただし、合成例20、21は乳化重合時に樹脂が凝集し、目的の樹脂微粒子を得ることができなかった。
<導電性組成物>
[実施例1]
カーボンナノチューブ (A−2:Flotube9000)4部、カーボンブラック(B−3:デンカブラック粒状品)9.33部、樹脂バインダーであるPVDF(ポリフッ化ビニリデン)(C−5:KF−ポリマー#1320)を55.5部(固形分として6.67部)、NMP31.1部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、導電性組成物(1)を得た。得られた分散体の経時安定性について評価を行った。評価基準を下記に示し、評価結果を表1に示す。
B型粘度計にて導電性組成物の初期粘度を測定、その後40℃の恒温槽にて2週間保管し、再度粘度測定を行った。下記の計算式から経時粘度変化率を求め評価を行った。評価基準を下記に記す。
経時粘度変化率(%)=(2週間後の粘度−初期粘度)/ (初期粘度)×100 (%)
5:「10%未満の粘度変化率(経時安定において特に優れているレベル)」
4:「10%以上20%未満の粘度変化率(優れているレベル)」
3:「20%以上30%未満の粘度変化率(実用上問題のないレベル)」
2:「30%以上50%未満の粘度変化率(問題はあるが使用可能レベル)」
1:「50%以上の粘度変化率(実用上問題あり、使用不可レベル)」
[実施例2〜実施例9、比較例1〜比較例4]
表1に示す材料および組成比に変更した以外は、導電性組成物(1)と同様の方法によりそれぞれ導電性組成物(2)〜(13)を得た。
実施例で使用した材料を下記に示す。
〈カーボンナノチューブ(A)〉
・A−1:VGCF−H(昭和電工社製)
・A−2:Flotube9000(C−nano社製)
・A−3:AMC(宇部興産社製)
・A−4:NC7000(ナノシル社製)
〈カーボンブラック(B)〉
・B−1:デンカブラックHS−100(電気化学工業社製)
・B−2:ミツビシカーボン#3050B(三菱化学社製)
・B−3:デンカブラック粒状品(電気化学工業社製)
・B−4:EC−300J(ライオン社製)
〈樹脂バインダー(C)〉
・C−1:ポリアリルアミン(20%水溶液)(PAA−05:日東紡績社製)
・C−2:カルボキシルメチルセルロース(和光純薬工業社製)
・C−3:ポリアクリル酸(25%水溶液)(和光純薬工業社製、平均分子量150000)
・C−4:スチレンアクリル共重合体(スチレン75%アクリル酸25%の共重合体20%水溶液)
・C−5:PVDF(12%NMP溶液)(KF−ポリマー#1320:クレハ株式会社製)
・C−6:ポリアミック酸(20%NMP溶液)(U−ワニス−A:宇部興産株式会社製)
〈微粒子バインダー(D)〉
・D−1:ポリテトラフルオロエチレン(固形分60%水分散液)(30−J:三井・デュポンフロロケミカル社製)
・D−2:スチレンブタジエンエマルジョン(固形分48%水分散液)(TED−2001:JSR社製)
・D−3:ウレタンエマルジョンディスコパール(固形分30%水分散液)(U−53:住化バイエルウレタン社製)
・合成例1〜21:自社アクリルエマルジョン(固形分45%水分散液)
以下に、カーボンナノチューブの直径、アスペクト比の測定方法を示す。
(直径)
走査型電子顕微鏡(日本電子(JEOL)社製、JSM−6700M))を用いて加速電圧5kVにてカーボンナノチューブを観察し、5万倍の画像(画素数1024×1280)を撮影した。次いで、撮影された画像にて任意のカーボンナノチューブ100個について、各々の短軸長を測定し、それら短軸長の数平均値をカーボンナノチューブの直径とした。
(アスペクト比)
上述した直径と同様にしてカーボンナノチューブの画像を撮影した。次いで、撮影された画像にて任意のカーボンナノチューブ100個について、各々の長軸長を測定し、それら長軸長の数平均値をカーボンナノチューブの長さとした。下記の式よりアスペクト比を算出した。

式 アスペクト比=長軸長の数平均値÷直径
表1に、カーボンナノチューブの直径、アスペクト比を示す。

そして、この導電性組成物(1)を、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にバーコーターを用いて塗布した後、加熱乾燥し、厚みが1.0μmとなるように蓄電デバイス用下地層付き集電体(1)を得た。得られた下地層付き集電体の抵抗と電解液耐性を以下の方法にて評価した。
また、表2に記載の導電性組成物と集電体に変更した以外は、蓄電デバイス用下地層付き集電体(1)と同様の方法により蓄電デバイス用下地層付き集電体(2)〜(26)を得、それぞれ同様の評価を行った。
(下地層付き集電体の抵抗測定)
前記抵抗測定の方法について説明する。図1に抵抗測定装置の模式図を示した。図1中、1はプレス装置であり、2は厚さ20mmのCu板であり、3は測定する下地層付き集電体であり、4は抵抗測定装置(ポテンションスタット/ガルバノスタットHA−151B:北斗電工製)である。2の銅板にはリード線5、6、7、8が接続されており、リード線5、6、7、8は、抵抗測定装置4に接続されている。このとき、測定される下地層付き集電体3としては、φ20mmに切り出されたものが用いられる。そして、プレス装置1により下地層付き集電体3を2kg/cm2でプレスしたときの抵抗を抵抗測定装置4により測定した。評価基準を下記に示す。
5:「0.05Ω以下(抵抗値において特に優れているレベル)」
4:「0.05Ωを超えて、0.75Ω以下(優れているレベル)」
3:「0.75Ωを超えて、0.10Ω以下(実用上問題のないレベル)」
2:「0.10Ωを超えて、0.13Ω以下(問題はあるが使用可能レベル)」
1:「0.13Ωを超えて、0.15Ω以下(実用上問題あり、使用不可レベル)」
(下地層付き集電体の電解液耐性試験)
上記で作製した下地層付き集電体をエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1(体積比)の割合で混合した電解液に1時間浸漬させた後に60℃、12時間減圧乾燥を行い、上記の抵抗測定と下記式に示す抵抗変化率から電解液耐性の評価を行った。評価基準を下記に示す。
抵抗変化率=(電解液浸漬後の抵抗−浸漬前抵抗) / (浸漬前の抵抗)×100(%)
5:「50%未満の抵抗変化率(電解液耐性において特に優れているレベル)」
4:「50%以上100%未満の抵抗変化率(優れているレベル)」
3:「100%以上200%未満の抵抗変化率(実用上問題のないレベル)」
2:「200%以上300%未満の抵抗変化率(問題はあるが使用可能レベル)」
1:「300%以上の抵抗変化率(実用上問題あり、使用不可レベル)」
<リチウムイオン二次電池用正極用NMP系合材インキ>
正極活物質としてLiFePO4 44部、導電助剤(アセチレンブラック)3部、バインダー(PVDF)3部、NMP(N−メチルピロリドン)50部を混合して、正極用NMP系合材インキを作製した。
<リチウムイオン二次電池用負極用NMP系合材インキ>
負極活物質として人造黒鉛46.5部、導電助剤(アセチレンブラック)1部、バインダー(PVDF)2.5部、NMP50部を混合して、負極用NMP系合材インキを作製した。
<リチウムイオン二次電池用正極用水系合材インキ>
正極活物質としてLiFePO445部、導電助剤(アセチレンブラック:デンカブラックHS−100、電気化学工業社)2.5部、カルボキシメチルセルロース(和光純薬工業社)3部を入れて混合し、更に水47部、バインダー(ポリテトラフルオロエチレン30−J:三井・デュポンフロロケミカル社製、60質量%水系分散体)2.5部(固形分として1.5部)を混合して、正極用水系合材インキを作製した。
<リチウムイオン二次電池負極用水系合材インキ>
負極活物質として人造黒鉛48部、ヒドロキシエチルセルロース(和光純薬工業社)2質量%水溶液25部(固形分として0.5部)をミキサーに入れて混合し、水23.3部、バインダー(SBR:スチレンブタジエン系ラテックス40質量%水系分散体3.75部(固形分として1.5部)を混合して、負極用水系合材インキを得た。
<下地層付きリチウムイオン二次電池用正極>
[実施例10]
上述のリチウムイオン二次電池用正極用水系合材インキを、蓄電デバイス用下地層付き集電体(1)上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥して電極の厚みが100μmとなるよう調整した。さらに、ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが85μmとなる正極を作製した。得られた電極の密着性を下記の方法にて評価した。評価結果を表3に示す。
[実施例12〜15、17、比較例6〜8]
表2に示す蓄電デバイス用下地層付き集電体(3)〜(6)、(8)、(20)〜(22)に変更した以外は実施例10と同様にして、それぞれ正極を得、実施例10と同様の評価を行い、評価結果を表3に示す。
[実施例11]
上述のリチウムイオン二次電池用正極用NMP系合材インキを蓄電デバイス用下地層付き集電体(2)上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥して電極の厚みが100μmとなるよう調整した。さらに、ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが85μmとなる正極を作製した。得られた電極の密着性を下記の方法にて評価した。評価結果を表3に示す。
[実施例16、18、比較例5]
表2に示す蓄電デバイス用下地層付き集電体(7)、(9)、(19)に変更した以外は実施例11と同様にして、それぞれ正極を得、実施例11と同様の評価を行い、評価結果を表3に示す。
<下地層なしリチウムイオン二次電池用負極(比較例、及び評価用対極)>
上述のリチウムイオン二次電池用負極用水系、NMP系合材インキを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥して電極の厚みが82μmとなるよう調整した。さらに、ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが70μmとなる負極を作製した。
<下地層付きリチウムイオン二次電池用負極>
[実施例19]
上述のリチウムイオン二次電池用負極用水系合材インキを、蓄電デバイス用下地層付き集電体(10)上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥して電極の厚みが82μmとなるよう調整した。ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが70μmとなる負極を作製した。得られた電極の密着性を下記の方法にて評価した。評価結果を表4に示す。
[実施例21〜24、26、比較例10〜12]
表4に示す蓄電デバイス用下地層付き集電体(12)〜(15)、(17)、(24)〜(26)に変更した以外は実施例19と同様にして、それぞれ負極を得た。実施例19と同様の評価を行い、評価結果を表4に示す。
[実施例20]
上述のリチウムイオン二次電池用負極用NMP系合材インキを、蓄電デバイス用下地層付き集電体(11)上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥して電極の厚みが82μmとなるよう調整した。ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが70μmとなる負極を作製した。得られた電極の密着性を下記の方法にて評価した。評価結果を表4に示す。
[実施例25、27、比較例9]
表4に示す蓄電デバイス用下地層付き集電体(16)、(18)、(23)に変更した以外は実施例20と同様にして、それぞれ負極を得た。実施例20と同様の評価を行い、評価結果を表4に示す。
<下地層なしリチウムイオン二次電池用水系、NMP系正極(比較例、及び評価用対極)>
上述のリチウムイオン二次電池用正極用水系またはNMP系合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥して電極の厚みが100μmとなるよう調整した。さらに、ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが85μmとなる正極を作製した。
(電極の密着性)
上記で作製した電極に、ナイフを用いて電極表面から集電体に達する深さまでの切込みを2mm間隔で縦横それぞれ6本の碁盤目の切込みを入れた。この切り込みに粘着テープを貼り付けて直ちに引き剥がし、電極の脱落の程度を目視判定で判定した。
評価基準を下記に示す。
5:「剥離なし(密着性に非常に優れるレベル)」
4:「剥離はないが、テープに若干付着(密着性に優れるレベル)」
3:「わずかに剥離(問題はあるが使用可能レベル)」
2:「ほとんどの部分で剥離(使用困難レベル)」
1:「完全剥離(使用不可能レベル)」
<コイン型リチウムイオン二次電池>
表3、表4に示す正極と負極をそれぞれ直径16mmに打ち抜き、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)と、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)とからなるコイン型電池を作製した。コイン型電池はアルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で行い、コイン型電池作製後、所定の電池特性評価を行った。評価結果を表3、表4に示す。
(充放電サイクル特性)
得られたコイン型電池について、充放電装置(北斗電工社製SM−8)を用い、充放電測定を行った。
充電電流1.0mA(0.2C)にて充電終止電圧4.0Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流0.1mA)を行った後、放電電流1.0mAで放電終止電圧2.0Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして5サイクルの充電・放電を繰り返し、5サイクル目の放電容量を初回放電容量とした。(初回放電容量を維持率100%とする)。
次に、50℃恒温槽にて充電電流5.0mAにて充電終止電圧4.0Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流0.5mA)を行った後、放電電流5.0mAで放電終止電圧2.0Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電サイクルを200回行い、放電容量維持率(初回放電容量に対する200回目の放電容量の百分率)を算出した(100%に近いほど良好)。評価基準を下記に示す。
5:「放電容量維持率が93%以上。非常に優れている。」
4:「放電容量維持率が90%以上、93%未満。優れている。」
3:「放電容量維持率が85%以上、90%未満。問題なし。使用可能レベル」
2:「放電容量維持率が80%以上、85%未満、問題はあるが使用可能レベル」
1:「放電容量維持率が80%未満。実用上問題あり、使用不可。」
<電気二重層キャパシター用正極、負極用NMP系合材インキ>
活物質として活性炭(比表面積1800m2/g)88部、導電助剤(アセチレンブラック)5部、バインダー(PVDF)7部、NMP(N−メチルピロリドン)230部を混合して、正極、負極用合材インキを作製した。
<下地層なし電気二重層キャパシター用NMP系正極、負極(比較例、及び評価用対極)>
上述の電気二重層キャパシター用NMP系合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥した後にロールプレスによる圧延処理を行い、電極の厚みが50μmとなる正極および負極を作製した。
<電気二重層キャパシター用正極、負極用水系合材インキ>
活物質として活性炭(比表面積1800m2/g)85部、導電助剤(アセチレンブラック:デンカブラックHS−100、電気化学工業社)5部、カルボキシメチルセルロース(和光純薬工業社)8部、バインダー(ポリテトラフルオロエチレン30−J:三井・デュポンフロロケミカル社製、60質量%水系分散体)3.3部(固形分として2部)、水220部を混合して正極、負極用合材インキを作製した。
<下地層なし電気二重層キャパシター用水系正極、負極(比較例、及び評価用対極)>
上述の電気二重層キャパシター用水系合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥した後にロールプレスによる圧延処理を行い、電極の厚みが50μmとなる正極および負極を作製した。
<下地層付き電気二重層キャパシター用正極、負極>
[実施例28、37]
上述の電気二重層用水系合材インキを、蓄電デバイス用下地層付き集電体(1)、(10)上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥した後に、ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが50μmとなる正極および負極を作製した。得られた電極の密着性を上述の方法にて評価した。評価結果を表7、8に示す。
[実施例30〜33、35、39〜42、44、比較例14〜16、18〜20]
表7、表8に示す蓄電デバイス用下地層付き集電体(3)〜(6)、(8)、(12)〜(15)、(17)、(20)〜(22)、(24)〜(26)に変更した以外は実施例28、37と同様にして、それぞれ正極および負極を得た。評価結果を表7、8に示す。
[実施例29、38]
上述の電気二重層用NMP系合材インキを、蓄電デバイス用下地層付き集電体(2)、(11)上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥した後に、ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが50μmとなる正極および負極を作製した。得られた電極の密着性を上述の方法にて評価した。評価結果を表7、8に示す。
[実施例34、36、43、45、比較例13、17]
表7、表8に示す蓄電デバイス用下地層付き集電体(7)、(9)、(19)、(16)、(18)、(23)に変更した以外は実施例29、38と同様にして、それぞれ正極および負極を得た。評価結果を表7、8に示す。
<電気二重層キャパシター>
表7、8に示す正極と負極をそれぞれ直径16mmに打ち抜き、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)と、電解液(プロピレンカーボネート溶媒にTEMABF4(四フッ化ホウ素トリエチルメチルアンモニウム)を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)とからなる電気二重層キャパシターを作製した。電気二重層キャパシターはアルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で行い、電気二重層キャパシター作製後、所定の電気特性評価を行った。評価結果を表7、8に示す。
(充放電サイクル特性)
得られた電気二重層キャパシターについて、充放電装置を用い、充放電測定を行った。
充電電流10Cレートにて充電終止電圧2.0Vまで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧0Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして5サイクルの充電・放電を繰り返し、5サイクル目の放電容量を初回放電容量とした。(初回放電容量を維持率100%とする)。また、充放電電流レートは、セル容量を1時間で放電出来る電流の大きさを1Cとした。
次に、50℃恒温槽にて充電電流10Cレートにて充電終止電圧2.0Vで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧0Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電サイクルを500回行い、放電容量維持率(初回放電容量に対する500回目の放電容量の百分率)を算出した(100%に近いほど良好)。評価基準を下記に示す。
5:「放電容量維持率が93%以上。非常に優れている。」
4:「放電容量維持率が90%以上、93%未満。優れている。」
3:「放電容量維持率が85%以上、90%未満。問題なし。使用可能レベル」
2:「放電容量維持率が80%以上、85%未満、問題はあるが使用可能レベル」
1:「放電容量維持率が80%未満。実用上問題あり、使用不可。」
<リチウムイオンキャパシター用正極用NMP系合材インキ>
活物質として活性炭(比表面積1800m2/g)88部、導電助剤(アセチレンブラック)5部、バインダー(PVDF)7部、NMP(N−メチルピロリドン)230部を混合して、正極用NMP系合材インキを作製した。
<リチウムイオンキャパシター用負極用NMP系合材インキ>
負極活物質として黒鉛90部、導電助剤(アセチレンブラック)5部、バインダー(PVDF)5部、NMP200部を混合して、負極用NMP系合材インキを作製した。
<リチウムイオンキャパシター用正極用水系合材インキ>
活物質として活性炭(比表面積1800m2/g)85部、導電助剤(アセチレンブラック:デンカブラックHS−100、電気化学工業社)5部、カルボキシメチルセルロース(和光純薬工業社)8部、バインダー(ポリテトラフルオロエチレン30−J:三井・デュポンフロロケミカル社製、60質量%水系分散体)3.3部(固形分として2部)を混合して正極用合材インキを作製した。
<リチウムイオンキャパシター用負極用水系合材インキ>
負極活物質として黒鉛90部、導電助剤(アセチレンブラック:デンカブラックHS−100、電気化学工業社)5部、ヒドロキシエチルセルロース(和光純薬工業社)2質量%水溶液175部(固形分として3.5部)をミキサーに入れて混合し、水26.3部、バインダー(SBR:スチレンブタジエン系ラテックス40質量%水系分散体)3.75部(固形分として1.5部)を混合して、負極用水系合材インキを作製した。
<下地層付きリチウムイオンキャパシター用正極>
[実施例46]
上述のリチウムイオンキャパシター用正極用水系合材インキを、蓄電デバイス用下地層付き集電体(1)上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが60μmとなる正極を作製した。得られた電極の密着性を上述の方法にて評価した。評価結果を表9に示す。
[実施例48〜51、53、比較例22〜24]
表9に示す蓄電デバイス用下地層付き集電体(3)〜(6)、(8)、(20)〜(22)に変更した以外は実施例46と同様にして、それぞれ正極を得た。評価結果を表9に示す。
[実施例47]
上述のリチウムイオンキャパシター用正極用NMP系合材インキを、蓄電デバイス用下地層付き集電体(2)上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが60μmとなる正極を作製した。得られた電極の密着性を上述の方法にて評価した。評価結果を表9に示す。
[実施例52,54、比較例21]
表9に示す蓄電デバイス用下地層付き集電体(7)、(9)、(19)に変更した以外は実施例47と同様にして、それぞれ正極を得た。評価結果を表9に示す。
<下地層なしリチウムイオンキャパシター用負極(比較例、及び評価用対極)>
上述のリチウムイオンキャパシター用負極用水系またはNMP系合材インキを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが45μmとなる負極を作製した。
<下地層付きリチウムイオンキャパシター用負極>
[実施例55]
上述のリチウムイオンキャパシター用負極用水系合材インキを、蓄電デバイス用下地層付き集電体(10)上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが45μmとなる負極を作製した。得られた電極の密着性を上述の方法にて評価した。評価結果を表10に示す。
[実施例57〜60、62、比較例26〜28]
表10に示す蓄電デバイス用下地層付き集電体(12)〜(15)、(17)、(24)〜(26)に変更した以外は実施例55と同様にして、それぞれ負極を得た。評価結果を表10に示す。
[実施例56]
上述のリチウムイオンキャパシター用負極用NMP系合材インキを、蓄電デバイス用下地層付き集電体(11)上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが45μmとなる負極を作製した。得られた電極の密着性を上述の方法にて評価した。評価結果を表10に示す。
[実施例61、63、比較例25]
表10に示す蓄電デバイス用下地層付き集電体(16)、(18)、(23)に変更した以外は実施例56と同様にして、それぞれ負極を得た。評価結果を表10に示す。
<下地層なしリチウムイオンキャパシター用水系、NMP系正極(比較例、及び評価用対極)>
上述のリチウムイオンキャパシター用正極用水系またはNMP系合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが60μmとなる正極を作製した。
<リチウムイオンキャパシター>
表9、10に示す正極と、あらかじめリチウムイオンのハーフドープ処理を施した負極を、それぞれ直径16mmの大きさで用意し、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)と、電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートを1:1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)とからなるリチウムイオンキャパシターを作製した。リチウムイオンのハーフドープは、ビーカーセル中で負極とリチウム金属の間にセパレーターを挟み、負極容量の約半分の量となるようリチウムイオンを負極にドープして行った。また、リチウムイオンキャパシターはアルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で行い、リチウムイオンキャパシター作製後、所定の電気特性評価を行った。評価結果を表9、10に示す。
(充放電サイクル特性)
得られたリチウムイオンキャパシターについて、充放電装置を用い、充放電測定を行った。
充電電流10Cレートにて充電終止電圧4.0Vまで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧2.0Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして5サイクルの充電・放電を繰り返し、5サイクル目の放電容量を初回放電容量とした。(初回放電容量を維持率100%とする)。
次に、50℃恒温槽にて充電電流10Cレートにて充電終止電圧4.0Vで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧2.0Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電サイクルを500回行い、放電容量維持率(初回放電容量に対する500回目の放電容量の百分率)を算出した(100%に近いほど良好)。評価基準を下記に示す。
5:「放電容量維持率が93%以上。非常に優れている。」
4:「放電容量維持率が90%以上、93%未満。優れている。」
3:「放電容量維持率が85%以上、90%未満。問題なし。使用可能レベル」
2:「放電容量維持率が80%以上、85%未満、問題はあるが使用可能レベル」
1:「放電容量維持率が80%未満。実用上問題あり、使用不可。」
表3、4、7〜10に示すように、本発明の導電性組成物から形成された下地層を用いた場合、下地層上へ合材インキを塗工して正極、あるいは負極を作製した場合に不具合を生じることなく、電極の密着性を大幅に改善することが出来た。さらに、本発明の導電性組成物を使用した下地層付き集電体は、導電性に優れるため、電池、キャパシター特性においても充放電サイクル特性が向上したものと考えられる。特に、カーボンナノチューブ(A)とカーボンブラック(B)との合計質量との比が本発明の特定の範囲である場合に、材料の分散状態、密着性、導電性などの良好な電極物性のバランスを示し、さらには良好な電池、キャパシター特性が得られることが分かった。電池やキャパシターは使用される環境が厳しい高温で使用されることもあり、耐久性が重要なため、電極物性のバランスが大変重要だと考えられる。
図1は、抵抗測定装置の模式図である。
1 プレス装置
2 Cu板
3 下地層付き集電体
4 抵抗測定装置
5 リード線(正極電流端子)
6 リード線(負極電流端子)
7 リード線(正極電圧端子)
8 リード線(負極電圧端子)

Claims (6)

  1. 媒体と、カーボンナノチューブ(A)と、カーボンブラック(B)と、樹脂バインダー(C)(ただし、微粒子バインダー(D)である場合を除く)と、微粒子バインダー(D)である架橋型樹脂微粒子もしくは粒子間架橋の(メタ)アクリル系エマルションとを含有する導電性組成物であって、
    カーボンナノチューブ(A)とカーボンブラック(B)の合計100質量%中、カーボンナノチューブ(A)の含有率が、15質量%以上75質量%以下であることを特徴とする導電性組成物。
  2. 蓄電デバイス用電極の下地層形成用であることを特徴とする、請求項1記載の導電性組成物。
  3. 前記カーボンナノチューブの直径が5nm以上1000nm以下であり、アスペクト比が1以上2000以下である、請求項1または2記載の導電性組成物。
  4. 集電体と、請求項1〜3いずれか記載の導電性組成物から形成された下地層とを有する蓄電デバイス用下地層付き集電体。
  5. 集電体と、請求項1〜3いずれか記載の導電性組成物から形成された下地層と、合材層とを有する蓄電デバイス用電極。
  6. 正極と負極と電解液とを具備する蓄電デバイスであって、前記正極または前記負極の少なくとも一方が、請求項5記載の蓄電デバイス用電極である、蓄電デバイス。
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