JP2017168213A - 蓄電デバイス用樹脂微粒子、蓄電デバイス電極、蓄電デバイス。 - Google Patents

蓄電デバイス用樹脂微粒子、蓄電デバイス電極、蓄電デバイス。 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明は、集電体や活物質との密着性に優れ、優れた充放電サイクル特性を有する蓄電デバイスを提供することが可能な蓄電デバイス用樹脂微粒子を提供することであって、さらにこの樹脂微粒子を用いた蓄電デバイス電極、およびこの電極を用いた蓄電デバイスを提供すること。
【解決手段】
前記課題は、樹脂微粒子の構成単位として、ヒドロキシ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有するモノマー(a)単位と、架橋性モノマー(b)単位と、モノマー(a)およびモノマー(b)以外のモノマー(c)単位とを含み、樹脂微粒子を構成する全モノマーに対して、モノマー(a)単位が20質量%を超えて50質量%以下、架橋性モノマー(b)単位が0.1質量%以上10質量%以下、モノマー(c)単位が40質量%以上79.9質量%未満であることを特徴とする蓄電デバイス電極用樹脂微粒子によって解決される。
【選択図】なし

Description

本発明は、蓄電デバイス用樹脂微粒子、及びその樹脂微粒子を用いて得られる蓄電デバイス電極、並びに蓄電デバイスに関する。
近年、デジタルカメラや携帯電話のような小型携帯型電子機器が広く用いられるようになってきた。これらの電子機器には、容積を最小限にし、かつ質量を軽くすることが常に求められてきており、搭載される電池においても、小型、軽量かつ大容量の電池の実現が求められている。また、自動車搭載用等の大型二次電池においても、従来の鉛蓄電池に代えて、大型二次電池の実現が望まれており、電池が使用される様々な環境下でさらなる高寿命化が求められている。さらに、高出力かつ高エネルギー密度な蓄電デバイスとしては、電気二重層キャパシター、リチウムイオンキャパシターなどのキャパシターも注目されている。
そのような要求に応えるため、リチウムイオン二次電池、アルカリ二次電池などの二次電池やキャパシターなどの蓄電デバイスの開発、例えば、電極用バインダーの開発にも関心が集まりつつある。
蓄電デバイスの電極は、電極活物質のほかにこれを集電体に結着させるバインダーを必要とする。蓄電デバイスの中でも、特に二次電池用バインダー樹脂には従来、正極、負極共にポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂が多く用いられてきた(非特許文献1、2)。しかし、二次電池は充放電時に正極または負極が体積膨張や収縮を繰り返すため、活物質や導電剤の脱落が起こることで充放電サイクル寿命を短くする場合がある。そのため電極用バインダーには電極の膨潤、収縮に耐え得るクッション性が要求される。しかしフッ素樹脂では電極に追随し得るクッション性は不十分であった。また、集電体や活物質への密着性(以下、密着性ともいう)も悪く、バインダー樹脂を多量に使用しないと結着剤として効果を発現しない。このため、電極中の活物質密度を高くすることが出来ず、高容量な電池電極を作製する際の障害となっていた。また、フッ素樹脂はN−メチルピロリドンなどの特定の溶剤にしか溶解しないという特徴もあり、電極作製時の異臭など、人体や環境に対する悪影響が問題であった。
これらの問題に対して、電極用バインダーとして水分散体の樹脂微粒子の開発が進められている。特許文献1には、酸性官能基やニトリル基、架橋基を組み込んだ樹脂が報告されており、サイクル特性や密着性に優れていることが開示されている。特許文献2には、酸性官能基やニトリル基、架橋基を組み込んだ樹脂の水分散体が報告されており、サイクル特性や密着性に優れていることが開示されている。パーフルオロアルキル基を組み込んだ樹脂の水分散体が報告されており、曲げ性や電池特性の優れた電極が得られることが報告されている。このように水分散体の樹脂微粒子の開発にはさまざまな官能基の導入や組成の最適化が進められているが、蓄電デバイスへの要求自体が高まり続けているため、更なる電極の密着性や充放電サイクル特性の改善が求められている。
このような水分散体樹脂微粒子の開発とは対照的に、水溶性樹脂のバインダーとしての利用も検討が進められている。特許文献3には、活物質や集電体との密着性に優れた極性官能基であるカルボン酸基を有する水溶性バインダーが報告されている。しかし、このような極性官能基を多く有する水溶性樹脂は、液性の変化によって水溶液の粘度を大きく変化させてしまう性質があり、さまざまな構成要素が混在する電極作成時のスラリーでは取り扱いが困難になってしまうという欠点がある。
「電池ハンドブック」電気書院刊1980年 「工業材料」2008年9月号(Vol.56、No.9)
国際特許公開WO2011/002057号 特開2002−042819号 特開2013−033692号
本発明は、集電体や活物質との密着性に優れ、優れた充放電サイクル特性を有する蓄電デバイスを提供することが可能な蓄電デバイス用樹脂微粒子の提供を目的とする。さらにこの樹脂微粒子を用いた蓄電デバイス電極、およびこの電極を用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
本発明の第1の発明は、樹脂微粒子の構成単位として、ヒドロキシ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有するモノマー(a)単位と、架橋性モノマー(b)単位と、モノマー(a)およびモノマー(b)以外のモノマー(c)単位とを含み、樹脂微粒子を構成する全モノマーに対して、モノマー(a)単位が20質量%を超えて50質量%以下、架橋性モノマー(b)単位が0.1質量%以上10質量%以下、モノマー(c)単位が40質量%以上79.9質量%未満であることを特徴とする蓄電デバイス電極用樹脂微粒子に関する。
また、第2の発明は、電解液浸漬における膨潤率が200%以上であることを特徴とする、第1の発明の蓄電デバイス電極用樹脂微粒子に関する。
また、第3の発明は、前記樹脂微粒子のガラス転移温度が−60〜60℃であることを特徴とする、第1または第2の発明の蓄電デバイス電極用樹脂微粒子に関する。
また、第4の発明は、前記樹脂微粒子の平均粒子径が50〜500nmであることを特徴とする、第1〜3いずれかの発明の蓄電デバイス電極用樹脂微粒子に関する。
また、第5の発明は、モノマー(c)として、炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートモノマー(d)を、樹脂微粒子を構成する全モノマーに対して40質量%以上79.9質量%未満を含むことを特徴とする、第1〜4いずれかの発明の蓄電デバイス電極用樹脂微粒子に関する。
また、第6の発明は、第1〜5いずれかの発明の蓄電デバイス電極用樹脂微粒子を用いてなることを特徴とする、蓄電デバイス電極に関する。
また、第7の発明は、正極と負極と電解液とを具備する蓄電デバイスであって、前記正極または前記負極の少なくとも一方が、第6の発明の蓄電デバイス電極である、蓄電デバイスに関する。
本発明の蓄電デバイス用樹脂微粒子は、集電体や活物質との密着性に優れており、この樹脂微粒子を用いることにより、集電体との密着性に優れた電極を提供でき、ひいては優れた充放電サイクル特性を有する蓄電デバイスを提供できる。
本発明の蓄電デバイス用樹脂微粒子は、ヒドロキシ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有するモノマーを共重合して得られることを特徴とする。樹脂微粒子中のヒドロキシ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基が、集電体や活物質と良好な密着性を示すことにより、密着性を向上させることができる。
<樹脂微粒子>
本発明の蓄電デバイス電極用樹脂微粒子は、樹脂微粒子の構成単位として、ヒドロキシ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有するモノマー(a)単位と、架橋性モノマー(b)単位と、モノマー(a)およびモノマー(b)以外のモノマー(c)単位とを含み、
樹脂微粒子を構成する全モノマーに対して、モノマー(a)単位が20質量%を超えて50質量%以下、架橋性モノマー(b)単位が0.1質量%以上10質量%以下、モノマー(c)単位が40質量%以上79.9質量%未満であることを特徴とする。
樹脂微粒子を構成する各モノマー単位の原料となる、モノマー(a)、架橋性モノマー(b)、モノマー(a)およびモノマー(b)以外のモノマー(c)について説明する。
<モノマー(a)>
モノマー(a)は、ヒドロキシ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有するモノマーである。モノマー(a)を使用することにより、樹脂微粒子の粒子内や表面にヒドロキシ基やアミド基を残存させることができ、これにより密着性などの物性を向上させることができる。
ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、(メタ)アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、オイゲノール、イソオイゲノールなどがあげられる。
アミド基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、などがあげられる。
密着性向上の観点から、活性水素を有する1級アミド基または2級アミド基を有するモノマーを使用することが好ましい。
ヒドロキシ基とアミド基の双方を有するモノマーとしては、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−(2−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、などがあげられる。
本発明では、モノマー(a)は、全モノマーに対して20を超えて50質量%未満、好ましくは20を超えて30質量%未満である。20を超えて50質量%未満であると、集電体や活物質との密着向上効果が大きく、優れた密着性や充放電サイクル特性が得られる。また、樹脂微粒子が適切な極性となり、樹脂微粒子としての安定性に優れる。
<架橋性モノマー(b)>
架橋性モノマー(b)は、エチレン性不飽和結合を二つ以上有するモノマーまたは、エチレン性不飽和結合およびアルコキシシリル基を有するモノマーである。架橋性モノマー(b)を使用することにより、樹脂微粒子内部や粒子間、集電体と架橋構造をとり、水中での分散性や、電解液への耐性、集電体との密着性を向上させ、蓄電デバイスのサイクル特性を改善させることができる。
エチレン性不飽和結合を二つ以上有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1−メチルアリル、(メタ)アクリル酸2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−ブテニル、(メタ)アクリル酸3−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル、リノレン酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチル、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ジアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリル酸、ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリルなどがあげられる。
また、エチレン性不飽和結合およびアルコキシシリル基を有するモノマーとしては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
本発明では、架橋性モノマー(b)は、全モノマーに対して0.1質量%以上10質量%以下、好ましくは1質量%以上5質量%以下である。0.1質量%以上10質量%以下であると、樹脂微粒子中の架橋が好ましい密度となり、電解液への耐性と樹脂の柔軟性が両立でき、優れたサイクル特性と密着性を得ることができる。
<モノマー(c)>
本発明の樹脂微粒子はモノマー(a)、架橋性モノマー(b)に加えて、モノマー(a)、架橋性モノマー(b)以外のモノマー(c)を同時に重合して得ることができる。
本発明では、モノマー(c)は、全モノマーに対して40質量%以上79.9質量%未満含まれる。
このモノマー(c)としては、モノマー(a)、架橋性モノマー(b)以外であって、共重合可能であれば特に限定されないが、炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートモノマー(d)を含むことが好ましい。該(メタ)アクリレートモノマー(d)の含有量は特に限定されないが、樹脂微粒子を構成する全モノマーに対して40質量%以上79.9質量%未満含まれると、粒子合成時の粒子安定性や密着性に優れるため好ましい。
炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートモノマー(d)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
モノマー(c)としては、例えば、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレートなどの、炭素数5以上のアルキル(メタ)アクリレートモノマーがあげられる。
また、モノマー(c)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどの環状アルキル(メタ)アクリレートモノマーがあげられる。
また、モノマー(c)としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、アリルベンゼンなどの芳香環を有するモノマーがあげられる。
また、モノマー(c)としては、例えば、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなどの複素環を有するビニルモノマーがあげられる。
また、モノマー(c)としては、例えば、ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテルモノマーがあげられる。
また、モノマー(c)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、イソクロトン酸、α―アセトキシアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニルマレイン酸、クロロマレイン酸、ジクロロマレイン酸、フルオロマレイン酸、ビニルスルホン酸、メチルビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、リン酸−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸メチル−2−(メタ)アクリロイルオキシエチル、リン酸エチル−(メタ)アクリロイルオキシエチルなどの酸性モノマーまたは加水分解によって酸性官能基を有するモノマーがあげられる。
また、モノマー(c)としては、例えば、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどの、分子内にポリアルキレングリコールエーテルを有するモノマーがあげられる。
また、モノマー(c)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリルなどのニトリル基を有するモノマーがあげられる
また、モノマー(c)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩などの4級アンモニウム塩基を有するモノマーがあげられる
また、モノマー(c)としては、例えば、アクロレイン、N−ビニルホルムアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレートなどのケト基を有するモノマーがあげられる。
また、モノマー(c)としては、例えば、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブテニルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテル、ブタジエンモノエポキシド、クロロプレンモノエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン、3,4−エポキシ−1−ブテン、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセン、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステルなどのエポキシ基を有するモノマーがあげられる。
また、モノマー(c)としては、例えば、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−トリフロロメチルオキセタン、3−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)オキセタン、2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−4−トリフロロメチルオキセタンなどのオキセタニル基を有するモノマーがあげられる。
また、モノマー(c)としては、例えば、パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルアミル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルウンデシル(メタ)アクリレートなどのパーフルオロアルキル基を有するモノマーがあげられる。
また、モノマー(c)としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−(0−[1'−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチル(メタ)アクリレート、2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチルカルバモイル)マロン酸ジエチルなどのブロックイソシアネート基を有するモノマーがあげられる。
これらのモノマーは、粒子の重合安定性やガラス転移温度、さらには成膜性や塗膜物性を調整するために、モノマーを2種以上併用して用いることができる。
<樹脂微粒子の製造方法>
本発明の樹脂微粒子は、従来既知の乳化重合方法により合成することができる。
<乳化重合で用いられる乳化剤>
本発明において乳化重合の際に用いられる乳化剤としては、エチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤やエチレン性不飽和基を有しない非反応性乳化剤など、従来公知のものを任意に使用することができる。
エチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤はさらに大別して、アニオン系、非イオン系のノニオン系のものが例示できる。特にエチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤またはノニオン性反応性乳化剤が好ましく、共重合体の分散粒子径が微細となるとともに粒度分布が狭くなるため、蓄電デバイス用バインダーとして使用した際に耐電解液性を向上することができる。このエチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤またはノニオン性反応性乳化剤は、1種を単独で使用しても、複数種を混合して用いてもよい。
エチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤としては特に限定されないが、具体的には、アルキルエーテル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンKH−05、KH−10、KH−20、株式会社ADEKA製アデカリアソープSR−10N、SR−20N、花王株式会社製ラテムルPD−104など);スルフォコハク酸エステル系(市販品としては、例えば、花王株式会社製ラテムルS−120、S−120A、S−180P、S−180A、三洋化成株式会社製エレミノールJS−2など);アルキルフェニルエーテル系またはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンH−2855A、H−3855B、H−3855C、H−3856、HS−05、HS−10、HS−20、HS−30、株式会社ADEKA製アデカリアソープSDX−222、SDX−223、SDX−232、SDX−233、SDX−259、SE−10N、SE−20N、など);(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製アントックスMS−60、MS−2N、三洋化成工業株式会社製エレミノールRS−30など);リン酸エステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製H−3330PL、株式会社ADEKA製アデカリアソープPP−70など)などがあげられる。
エチレン性不飽和基を有するノニオン系反応性乳化剤としては特に限定されないが、具体的には、例えばアルキルエーテル系(市販品としては、例えば、株式会社ADEKA製アデカリアソープER−10、ER−20、ER−30、ER−40、花王株式会社製ラテムルPD−420、PD−430、PD−450など);アルキルフェニルエーテル系またはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50、株式会社ADEKA製アデカリアソープNE−10、NE−20、NE−30、NE−40など);(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製RMA−564、RMA−568、RMA−1114など)などがあげられる。
本発明の樹脂微粒子を乳化重合により得るに際しては、前記したエチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤とともに、必要に応じエチレン性不飽和基を有しない非反応性乳化剤を併用することができる。非反応性乳化剤は、非反応性アニオン系乳化剤と非反応性ノニオン系乳化剤とに大別することができる。
非反応性ノニオン系乳化剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどを例示することができる。
また、非反応性アニオン系乳化剤の例としては、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩およびその誘導体類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩類などを例示することができる。
本発明において用いられる乳化剤の使用量は、必ずしも限定されるものではなく、樹脂微粒子が最終的に蓄電デバイス用バインダーとして使用される際に求められる物性にしたがって適宜選択できる。例えば、樹脂微粒子を構成する全モノマーに対して、乳化剤は重合時の安定性の理由から、通常0.5〜40質量%であることが好ましく、0.5〜20質量%であることがより好ましく、0.5〜10質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明の樹脂微粒子の乳化重合に際しては、水溶性保護コロイドを併用することもできる。水溶性保護コロイドとしては、例えば、アクリルポリマー、スチレンアクリルポリマー、スチレンマレイン酸共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩などのセルロース誘導体;グアガムなどの天然多糖類などがあげられ、これらは、単独でも複数種併用の態様でも利用できる。水溶性保護コロイドの使用量としては重合時の安定性の理由から、樹脂微粒子を構成する全モノマーに対して、0.1〜10.0質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
<乳化重合で用いられる水性媒体>
本発明の樹脂微粒子の乳化重合に際して用いられる水性媒体としては、水があげられ、親水性の有機溶剤も本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
<乳化重合で用いられる重合開始剤>
本発明の樹脂微粒子を得るに際して用いられる重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、公知の油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤を使用することができる。
油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリルなどのアゾビス化合物などをあげることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。これら重合開始剤の使用量は、必ずしも限定されるものではないが、樹脂微粒子を構成する全モノマーに対して、0.1〜10.0質量%の量を用いるのが好ましい。
本発明においては水溶性重合開始剤を使用することが好ましく、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドなど、従来既知のものを好適に使用することができる。また、乳化重合を行うに際して、所望により重合開始剤とともに還元剤を併用することができる。これにより、乳化重合速度を促進したり、低温において乳化重合を行ったりすることが容易になる。このような還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、エルソルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラートなどの金属塩などの還元性有機化合物、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元性無機化合物、塩化第一鉄、ロンガリット、二酸化チオ尿素などを例示できる。これら還元剤の使用量は、必ずしも限定されるものではないが、樹脂微粒子を構成する全モノマーに対して、0.05〜5.0質量%の量を用いるのが好ましい。
<乳化重合の条件>
なお、前記した重合開始剤によらずとも、光化学反応や、放射線照射などによっても重合を行うことができる。重合温度は各重合開始剤の重合開始温度以上とする。例えば、過酸化物系重合開始剤では、通常70℃程度とすればよい。重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。
<反応に用いられるその他の材料>
さらに必要に応じて、緩衝剤として、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどが、また、連鎖移動剤としてのオクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、ステアリルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類が適量使用できる。
樹脂微粒子の重合にカルボキシル基含有モノマーなどの酸性官能基を有するモノマーを使用した場合、重合前や重合後に塩基性化合物で中和することができる。塩基性化合物としては、アンモニアもしくはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミンなどのアルキルアミン類;2−ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノールなどのアルコールアミン類;モルホリンなどがあげられる。アミノメチルプロパノール、アンモニア等の揮発性の高い塩基は、乾燥性を上げる効果が高いため好ましい。
<樹脂微粒子の特性>
<膨潤率>
膨潤率とは、樹脂微粒子を成膜して得られる試験片(以下、浸漬前試験片ともいう)を有機溶剤(ここで有機溶剤とは、メタノール、エタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサンなどの汎用的に使用される溶媒、またはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートなどの二次電池電解液として使用される溶媒などのことを言う)に一定時間浸漬後、樹脂表面に付着した有機溶剤を拭き取った状態(以下、浸漬後試験片ともいう)の質量を、浸漬前試験片の質量で除した値の百分率のことをいう。
<電解液浸漬における膨潤率>
電解液浸漬における膨潤率とは、有機溶剤としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを等体積で混合したものを用いて評価した膨潤率であり、好ましくは200%以上である。本検討においては、以下の方法で評価を行った。樹脂微粒子を乾固して2cm×2cm×1mmの浸漬前試験片を得る。これをエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを等体積で混合して作成した有機溶剤に浸漬させ、60℃72時間静置する。試験片を有機溶剤から取り出し、表面に付着した有機溶剤を拭きとり試験片(以下、浸漬後試験片ともいう)を得る。
浸漬後試験片の質量を、乾燥後試験片の質量で除した値を、電解液浸漬における膨潤率とする。膨潤率が小さい樹脂では、電池での使用時に電解液を吸収せずリチウムイオン拡散を阻害し、電池性能の低下をもたらす。
<溶出率>
溶出率とは、浸漬前試験片、浸漬後試験片を200℃120分で乾燥させた試験片(以下、乾燥後試験片)それぞれの質量から、下記の式で算出される。

溶出率=[1−(乾燥後試験片質量/浸漬前試験片質量)]×100(%)
<電解液浸漬における溶出率>
電解液浸漬における溶出率とは、有機溶剤としてエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを等体積で混合したものを用いて評価した溶出率であり、好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下である。溶出率が大きい樹脂では、電解液中での使用時にバインダー本来の結着性を維持することができず、下地層の剥離などが発生し、蓄電デバイス性能の劣化の問題が起こりうる。
<ガラス転移温度>
樹脂微粒子のガラス転移温度(以下、Tgともいう)は、−60〜60℃が好ましく、−20〜40℃がさらに好ましい。−60〜60℃の場合、バインダーの柔軟性が適度であり密着性に優れるほか、樹脂微粒子がその形状を維持しやすく活物質や導電性の炭素材料への被覆状態が好ましくなると考えられる。なお、ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量計)を用いて求めた値である。
DSC(示差走査熱量計)によるガラス転移温度の測定は以下のようにして行うことができる。樹脂微粒子を乾固した樹脂約2mgをアルミニウムパン上で秤量し、該試験容器をDSC測定ホルダーにセットし、10℃/分の昇温条件にて得られるチャートの吸熱ピークを読み取る。このときのピーク温度を本発明のガラス転移温度とする。
<平均粒子径>
樹脂微粒子の平均粒子径は、50〜500nmであることが好ましい。また、粒子径が1μmを超える粗大粒子は多くとも樹脂微粒子100質量部のうち5質量部以下であることが好ましい。
平均粒子径が、50〜500nmの場合、体積に対して樹脂微粒子が適度な表面積をもち、極性官能基が粒子表面に効果的に配置されることから、活物質や導電性の炭素材料の結着性や粒子の安定性が優れる。また、粗大粒子(粒子径が1μmを超える樹脂微粒子)の数は多くとも全樹脂微粒子数の5%以下であることが好ましい。なお、本明細書における平均粒子径とは、体積平均粒子径のことを表し、動的光散乱法により測定された値である。また、粗大粒子の粒子径と数は、個数カウント方式により測定できる。
動的光散乱法による平均粒子径の測定は、以下のようにして行うことができる。樹脂微粒子分散液は、樹脂微粒子濃度が0.035質量%となるよう水希釈しておく。該希釈液約5mlを測定装置[(株)日機装製マイクロトラック]のセルに注入し、サンプルに応じた溶剤(本発明では水)および樹脂の屈折率条件を入力後、測定を行う。この時得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを本発明の平均粒子径とする。
個数カウント方式による粗大粒子の粒子径と数の測定は、例えば、米国パーティクルサイジングシステムズ(Particle Sizing Systems)社製「アキュサイザー(Accusizer)780」及びコールター(Coulter)社製「コールターカウンター」等によって測定できる。
<粒子構造>
本発明の樹脂微粒子は、その樹脂微粒子の内部が単一の組成、または二種類以上の異なる組成により構成される多層構造であっても構わない。
<樹脂微粒子の使用態様>
本発明の樹脂微粒子は、二次電池の正極、または負極に用いるバインダーとして使用することができる。その他、蓄電デバイス、すなわち、キャパシター、リチウムイオンキャパシターなどの電極用バインダーまたは、電極下地層用コート箔用バインダーにも使用することができる。
<合材インキ>
本発明の蓄電デバイス用バインダーを、電極活物質と、また必要に応じて他の樹脂微粒子や水溶性樹脂、導電性材料、成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、pH調整剤などの添加剤とを配合することにより、合材インキを製造することができる。
本発明において、樹脂微粒子は、電極活物質100質量部に対して、通常0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部用いられる。樹脂微粒子が通常0.1〜20質量部であると、合材層と集電体を結着させる力に優れ、合材層内の樹脂微粒子が占める割合が小さく取り出せるエネルギー量が大きく、電池性能に優れる。
蓄電デバイス用の活物質としては、材質や形状は特に限定されず、各種蓄電デバイス用に最適なものを適宜選択することができる。
リチウムイオン二次電池用の正極活物質としては、特に限定はされないが、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属酸化物、金属硫化物等の金属化合物、および導電性高分子等を使用することができる。
例えば、Fe、Co、Ni、Mn等の遷移金属の酸化物、リチウムとの複合酸化物、遷移金属硫化物等の無機化合物等が挙げられる。具体的には、MnO、V25、V613
TiO2等の遷移金属酸化物粉末、層状構造のニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウムなどのリチウムと遷移金属との複合酸化物粉末、オリビン構造のリン酸化合物であるリン酸鉄リチウム系材料、TiS2、FeSなどの遷移金属硫化物粉末等が挙げられる。
また、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子を使用することもできる。また、上記の無機化合物や有機化合物を混合して用いてもよい。
リチウムイオン二次電池用の負極活物質としては、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能なものであれば特に限定されない。例えば、金属Li、その合金であるスズ合金、シリコン合金、鉛合金等の合金系、LiFe23、LiFe34、LiWO2、チタン酸リチウム、バナジウム酸リチウム、ケイ素酸リチウム等の金属酸化物系、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン等の導電性高分子系、ソフトカーボンやハードカーボンといった、アモルファス系炭素質材料や、高黒鉛化炭素材料等の人造黒鉛、あるいは天然黒鉛等の炭素質粉末、カーボンブラック、メソフェーズカーボンブラック、樹脂焼成炭素材料、気層成長炭素繊維、炭素繊維などの炭素系材料が挙げられる。これら負極活物質は、1種または複数を組み合わせて使用することも出来る。
これら電極活物質の大きさは、0.05〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜50μmの範囲内である。そして、合材インキ中の電極活物質(A)の分散粒径は、0.5〜20μmであることが好ましい。ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50体積%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
<下地層形成用インキ>
本発明もしくは他の樹脂微粒子や水溶性樹脂、導電性材料、また必要に応じて成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、pH調整剤などの添加剤を配合することにより、下地層形成用インキを製造することができる。
<合材層><蓄電デバイス電極>
合材インキを集電体に塗布し乾燥することにより、集電体上に合材層が形成された蓄電デバイス電極を製造することができる。
集電体の材質や形状は特に限定されず、各種蓄電デバイス用に最適なものを適宜選択することができる。
例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。リチウムイオン電池の場合、特に正極材料としてはアルミニウムが、負極材料としては銅が、それぞれ好ましい。また、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状の集電体も使用できる。
また集電体として、金属箔に下地層形成用インキを塗布し乾燥させて得られた下地層をもつ集電体を使用することもできる。これにより、集電体の腐食による劣化の抑制や、集電体と合材層との間の抵抗の低減が可能になる。
集電体上に下地層形成用インキや合材インキを塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。
具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
<蓄電デバイス>
正極または負極の少なくとも一方に上記の蓄電デバイス電極を用い、二次電池、キャパシターなどの蓄電デバイスを得ることができる。
二次電池としては、リチウムイオン二次電池の他、ナトリウムイオン二次電池、マグネシウムイオン二次電池、アルカリ二次電池、鉛蓄電池、ナトリウム硫黄二次電池、リチウム空気二次電池等が挙げられ、それぞれの二次電池で従来から知られている、電解液やセパレーター等を適宜用いることができる。
キャパシターとしては、電気二重層キャパシター、リチウムイオンキャパシターなどが挙げられ、それぞれのキャパシターで従来から知られている、電解液やセパレーター等を適宜用いることができる。
(電解液)
リチウムイオン二次電池の場合を例にとって説明する。電解液としては、リチウムを含んだ電解質を非水系の溶剤に溶解したものを用いる。
電解質としては、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49SO3、Li(CF3SO23C、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、又はLiBPh4等が挙げられるがこれらに限定されない。
非水系の溶剤としては特に限定はされないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びγ−オクタノイックラクトン等のラクトン類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、及び1,2−ジブトキシエタン等のグライム類;メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。又これらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
さらに上記電解液を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とすることもできる。ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、及びポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
(セパレーター)
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びそれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
(電池構造・構成)
リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシター、リチウムイオンキャパシターの構造については特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例および比較例における「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を表す。
(樹脂微粒子のガラス転移温度の測定)
本願明細書に記載の方法によって測定した。
(樹脂微粒子の平均粒子径の測定)
本願明細書に記載した動的光散乱法によって測定した。
(樹脂微粒子の電解液浸漬における膨潤率の測定)
本願明細書に記載の方法によって測定した。
<樹脂微粒子水分散体の調製>
[実施例1]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水100部と界面活性剤としてアデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製)0.2部とを仕込み、別途、4−ヒドロキシブチルアクリレート30部、ジビニルベンゼン0.5部、メタクリル酸メチル8.5部、ブチルアクリレート30部、スチレン30部、アクリル酸1部、イオン交換水80部および界面活性剤としてアデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製)1.8部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1%をさらに加えた。内温を70℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部の10%を添加し重合を開始した。反応系内を70℃で5分間保持した後、内温を70℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液の残りを3時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却した。イオン交換水で固形分を30%に調整して実施例1の樹脂微粒子を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
得られた樹脂微粒子の平均粒子径は150nm、ガラス転移温度は−5℃であった。
[実施例2〜16、比較例1〜5]
表1に示す配合組成に変更した以外は、実施例1と同様の方法で合成し、実施例2〜16、比較例1〜2の樹脂微粒子水分散体を得た。比較例3〜5は反応容器、撹拌器に多量の凝集物が付着し、合成が困難であることが分かった。得られた樹脂微粒子の平均粒子径、ガラス転移温度は表1に示す。
Figure 2017168213
[モノマーの説明]
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
GLM:グリセロールメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
AAm:アクリルアミド
TBAA:N-t-ブチルアクリルアミド
DEAA:ジエチルアクリルアミド
MAAm:メタクリルアミド
DVB:ジビニルベンゼン
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
MMA:メタクリル酸メチル
EA:エチルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
St:スチレン
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
アデカリアソープSR−10:アルキルエーテル系アニオン界面活性剤(株式会社ADEKA製)
[略称の説明]
Tg:ガラス転移温度
膨潤率:電解液膨潤率
[実施例17]
実施例1で得られた樹脂微粒子の固形分100部に対して、正極活物質であるリン酸鉄リチウム(LiFePO4)を3000部、アセチレンブラック167部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業社製、CMCダイセル1190)200部を添加し、固合材形分52%になるようにイオン交換水を加えた後、混練してリチウムイオン電池正極合材インキを調製した。これを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて、目付量が18 mg/cm2となるよう塗布した後、110℃で5分間加熱乾燥し、ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが85μmとなる実施例17のリチウムイオン二次電池用正極を作製した。
[実施例18〜32、比較例6〜7]
表2に示す樹脂微粒子を用いた以外は、実施例17のリチウムイオン二次電池正極と同様にして、実施例18〜32、比較例6〜7のリチウムイオン二次電池正極を作製した。
[評価用対極1]
樹脂微粒子としてポリテトラフルオロエチレン30−J(三井・デュポンフロロケミカル社製、60%水系分散体)を用いた以外は、実施例17のリチウムイオン二次電池正極と同様にして、評価用対極1を作製した。
[実施例33]
実施例1の樹脂微粒子の固形分100部に対して、負極活物質である人造黒鉛を3000部、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(ダイセル化学工業社製、CMCダイセル1190)33部を添加し、固形分50%になるようにイオン交換水を加えた後、混練してリチウムイオン電池用負極合材インキを調製した。これを集電体となる厚さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて、目付量が9 mg/cm2となるよう塗布した後、110℃で5分間加熱乾燥し、ロールプレスによる圧延処理を行い、厚みが70μmとなる実施例33のリチウムイオン二次電池用負極を作製した。
[実施例34〜48、比較例8〜9]
表2に示す樹脂微粒子を用いた以外は、実施例33のリチウムイオン二次電池負極と同様にして、実施例34〜48、比較例8〜9のリチウムイオン二次電池負極を作製した。
[評価用対極2]
スチレンブタジエン系ラテックス40%水系分散体を用いた以外は、実施例33のリチウムイオン二次電池負極と同様にして、評価用対極2を作製した。
<密着性の評価>
各リチウムイオン二次電池電極の表面にナイフを用いて、合材層から集電体に達する深さまでの切込みを1mm間隔で縦横それぞれ10本入れて碁盤目の切込みを入れた。この切り込みに粘着テープを貼り付けて直ちに引き剥がし、活物質の脱落の程度を目視判定で判定した。評価基準を下記に示す。評価結果を表2に示す。
◎:「0〜5マスで剥離。特に優れている。」
○:「6〜10マスで剥離。全く問題なし。」
○△:「11〜20マスで剥離。使用可能なレベル。」
△:「21〜30マスで剥離。問題はあるが使用可能なレベル。」
×:「31〜50マスで剥離。実用上問題あり、使用不可。」
Figure 2017168213
<正極評価用コイン型リチウムイオン二次電池>
作用極として表3に示す正極をそれぞれ直径16mmに打ち抜いたものを、対極として評価用対極2を用いた。これら作用極、対極の間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)と、電解液(エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)とからなるコイン型電池を作製した。コイン型電池はアルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で行い、コイン型電池作製後、下記の電池特性評価を行った。
<負極評価用コイン型リチウムイオン二次電池>
作用極として表4に示す負極をそれぞれ直径16mmに打ち抜いたものを、対極として評価用対極1を用いた以外は、正極評価用コイン型リチウムイオン二次電池と同様にコイン型電池を作製し、下記の電池特性評価を行った。
(充放電サイクル特性)
得られたコイン型電池について、充放電装置(北斗電工社製SM−8)を用い、充放電測定を行った。
充電電流1.0mAにて充電終止電圧4.0Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流0.1mA)を行った後、放電電流1.0mAで放電終止電圧2.0Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして5サイクルの充電・放電を繰り返し、5サイクル目の放電容量を初回放電容量とした。(初回放電容量を維持率100%とする)。
次に、50℃恒温槽にて充電電流1.0mAにて充電終止電圧4.0Vで定電流定電圧充電(カットオフ電流0.1mA)を行った後、放電電流1.0mAで放電終止電圧2.0Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電サイクルを200回行い、初回放電容量に対する200サイクル目の放電容量の百分率を放電容量維持率として算出した(100%に近いほど良好)。
◎:「放電容量維持率が90%以上。特に優れている。」
○:「放電容量維持率が85%以上、90%未満。全く問題なし。」
○△:「放電容量維持率が80%以上、85%未満。使用可能なレベル。」
△:「放電容量維持率が75%以上、80%未満。問題はあるが使用可能なレベル。」
×:「放電容量維持率が75%未満。実用上問題あり、使用不可。」
Figure 2017168213
Figure 2017168213
表2に示すように、本発明の樹脂微粒子(実施例1〜16)を用いることで密着性に優れた蓄電デバイス電極を得ることができた。樹脂微粒子が、極性の官能基を有し、適切な架橋構造を有するため活物質や集電体との高い密着性が得られたと考えられる。
表3、4に示すように、本発明の樹脂微粒子(実施例1〜16)を用いることで優れた電池特性を有する電極、またそれを用いた蓄電デバイスが得られることが分かった。これは、電極中で樹脂微粒子がバインダーとして活物質同士、もしくは活物質と集電体の結着を効果的に維持し、電極構造の劣化を抑制できたためであると考えられる。
表2〜4に示すように、電解液浸漬における膨潤率が200%以上である樹脂微粒子(実施例1〜3、5〜10、12〜16)を用いた蓄電デバイス電極(実施例17〜19、21〜26、28〜35、37〜42、44〜48)を用いることで、電解液浸漬における膨潤率が200%以下である樹脂微粒子(実施例4、11)を用いて得られた蓄電デバイス電極(実施例20、27、36、43)と比べて優れた密着性と電池特性を示す電極、またそれを用いた蓄電デバイスが得られることが分かった。これは、樹脂を膨潤率が向上する極性としたとき密着に対しても好ましい影響があるほか、電解液で膨潤することでイオン拡散が有利になったためであると考えられる。
表2〜4に示すように、さらに、ガラス転移温度が−60〜60℃である樹脂微粒子(実施例1〜3、5、7〜10、12、13、15〜16)を用いた蓄電デバイス電極(実施例17〜19、21、23〜26、28、29、31〜35、37、39〜42、44、45、47〜48)を用いることで、ガラス転移温度が60℃より大きい樹脂微粒子(実施例6、14)を用いて得られた蓄電デバイス電極(実施例22、30、38、46)と比べて優れた密着性と電池特性を示す電極、またそれを用いた蓄電デバイスが得られることが分かった。これは、樹脂の柔軟性が適切に制御されることで、電極中の活物質同士、もしくは活物質と集電体の結着がさらに効果的に維持され、電極構造の劣化を抑制できたためであると考えられる。
表2〜4に示すように、さらに、平均粒子径が50〜500nmである樹脂微粒子(実施例1〜3、5、8〜10、12、13、15〜16)を用いた蓄電デバイス電極(実施例17〜19、21、24〜26、28、29、31〜35、37、40〜42、44、45、47〜48)は、平均粒子径がより大きい樹脂微粒子(実施例7)を用いて得られた蓄電デバイス電極(実施例23、39)と比べて優れた密着性を示し、また蓄電デバイスとして優れた電池特性を示すことが分かった。これは、樹脂の平均粒子径が適切に制御されることで、構成物質に対して適切な密着性をもたらす電極構造や、電池におけるリチウムイオン伝導などに効果的な電極構造が得られたためであると考えられる。
表2〜4に示すように、さらに、炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートモノマーを全モノマーに対して40質量%を超えて79.9質量%未満を共重合して得られた樹脂微粒子(実施例1〜3、5、9〜10、12、13、16)を用いた蓄電デバイス電極(実施例17〜19、21、25、26、28、29、32〜35、37、41、42、44、45、48)は、上記の割合以外の組成を共重合して得られた樹脂微粒子(実施例8、15)を用いた蓄電デバイス電極(実施例24、31、40、47)と比べて優れた密着性を示す電極、また優れた電池特性をもつ蓄電デバイスが得られることが分かった。これは、樹脂の重合が均一に進行することで、極性官能基が樹脂中に均一に存在し、密着性向上に効果的に寄与したためであると考えられる。

Claims (7)

  1. 樹脂微粒子の構成単位として、ヒドロキシ基およびアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一つの官能基を有するモノマー(a)単位と、架橋性モノマー(b)単位と、モノマー(a)およびモノマー(b)以外のモノマー(c)単位とを含み、
    樹脂微粒子を構成する全モノマーに対して、モノマー(a)単位が20質量%を超えて50質量%以下、架橋性モノマー(b)単位が0.1質量%以上10質量%以下、モノマー(c)単位が40質量%以上79.9質量%未満であることを特徴とする蓄電デバイス電極用樹脂微粒子。
  2. 電解液浸漬における膨潤率が200%以上である請求項1に記載の蓄電デバイス電極用樹脂微粒子。
  3. 前記樹脂微粒子のガラス転移温度が−60〜60℃である請求項1または2に記載の蓄電デバイス電極用樹脂微粒子。
  4. 前記樹脂微粒子の平均粒子径が50〜500nmである請求項1〜3いずれか1項に記載の蓄電デバイス電極用樹脂微粒子。
  5. モノマー(c)として、炭素数1〜4のアルキル(メタ)アクリレートモノマー(d)を、樹脂微粒子を構成する全モノマーに対して40質量%以上79.9質量%未満を含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の蓄電デバイス電極用樹脂微粒子。
  6. 請求項1〜5いずれか1項に記載の蓄電デバイス電極用樹脂微粒子を用いてなることを特徴とする、蓄電デバイス電極。
  7. 正極と負極と電解液とを具備する蓄電デバイスであって、前記正極または前記負極の少なくとも一方が、請求項6記載の蓄電デバイス電極である、蓄電デバイス。
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