JP6244783B2 - キャパシタ電極形成用組成物、キャパシタ電極、及びキャパシタ - Google Patents

キャパシタ電極形成用組成物、キャパシタ電極、及びキャパシタ Download PDF

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Description

本発明は、キャパシタ電極形成用組成物、及びその組成物を用いて得られる電極、並びにその電極を用いて得られるキャパシタに関する。
近年、ニ次電池を用いたデジタルカメラや携帯電話のような小型携帯型電子機器が広く用いられるようになってきた。又、重機や自動車搭載用途等の大型二次電池においても、従来の鉛蓄電池に代えて、大型のキャパシタや新しいタイプの二次電池の実現が望まれている。さらに、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタなどのキャパシタは高出力な蓄電デバイスとして注目されている。
そのような要求に応えるため、リチウムイオン二次電池、アルカリ二次電池などの二次電池やキャパシタなどの蓄電デバイスの開発が盛んに行われており、更に例えば、電極の形成に使用される合材インキや、合材層の下地層の形成に使用される下地層形成用組成物の開発にも関心が集まりつつある。
電極の形成に使用される合材インキや下地層形成用組成物に求められる重要特性としては、活物質や導電助剤が適度に分散されてなる均一性が挙げられる。
これは合材インキや下地層形成用組成物中の活物質や導電助剤の分散状態が、合材層中の活物質や導電助剤の分布状態や下地層中の導電助剤の分布状態に関連しており、電極物性に影響し、ひいては電池性能に影響するからである。
そのため、活物質や導電助剤の分散は重要な課題である。とりわけ導電性に優れた炭素材料(導電助剤)は、比表面積が大きいため凝集力が強く、合材インキ中であれ、下地層形成用組成物中であれ、均一混合・分散することが困難である。
そして、導電助剤である炭素材料の分散性や粒度の制御が不十分な場合、均一な導電ネットワークが形成されないために電極の内部抵抗の低減が図れず、その結果、電極材料の性能を十分に引き出せないという問題が生じている。
また、導電助剤だけでなく、合材インキ中の活物質の分散が不十分であると、そのような合材インキから形成される合材層中に部分的凝集が生じる。そして、部分的凝集に起因して電極上に抵抗分布が生じ、蓄電デバイスとして使用した際の電流集中が生じ、部分的な発熱および劣化が促進される等の不具合が生じることがある。
また、合材インキや下地層形成用組成物には、集電体として機能する金属箔表面に塗工可能とするための適度な流動性が求められる。さらに、表面ができるだけ平坦で厚みが均一な合材層や下地層を形成するために、合材インキや下地層形成用組成物には、適度な粘性も求められる。
合材インキから形成された合材層や下地層形成用組成物から形成された下地層は、形成された後、基材たる金属箔ごと所望の大きさ・形状の切片に切り分けられたり、打ち抜かれたりする。そこで、切り分け加工や打ち抜き加工によって、傷つかない硬さと割れたり剥がれたりしない柔らかさとが、合材層や下地層には要求される。
さらに、合材インキから形成された合材層や下地層形成用組成物から形成された下地層は、蓄電デバイス中では電解液中にさらされるため、合材層や下地層の崩壊、集電体からの剥離を引き起こしてしまう恐れがある。そこで、電解液中での耐溶出性も合材層や下地層には要求される。
電気二重層キャパシタ用電極として、例えば特許文献1には、活物質として活性炭粉末と、カルボキシメチルセルロースなどのバインダーなどの水溶液からなるスラリーを調製し、このスラリーをアルミニウム箔などの集電体に、ロールコーティング、またはドクターブレードコーティング等の手法で付着させて作製した電極が開示されているが、活物質の分散性にはさらなる改良が必要である。また、特許文献2には、カルボキシメチルセルロース樹脂のアンモニウム塩、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース樹脂からなる群から選ばれる一種類以上セルロース系化合物と、四フッ化エチレン樹脂エマルションとを含む分散液の中に、活物質として活性炭及び導電性付与剤が分散された塗料を導電箔上に塗布したものが開示されているが、活物質や導電助剤の大きな分散性の改善には至っていない。
特許文献3には、活物質と、導電助剤と、バインダーと、分散剤と、水から構成されるキャパシタ電極形成用組成物が開示されている。すなわち、正極・負極として用いる活物質としては、活性炭やポリアセン等が挙げられ、導電性助剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、天然/ 人造黒鉛等が用いられる。分散剤としては、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースのNa塩が用いられ、バインダーとしては、水系のスチレンブタジエンゴム(SBR)が使用されている。しかし、これらの組成物を使用した場合であっても、活物質や導電助剤の分散性にはさらなる改良が必要であり、さらに柔軟性や集電体への密着性、耐電解液溶出性が不十分であるため、所望の電極が得られず、高出力でサイクル寿命に優れるキャパシタを得るためにはさらなる改良が必要である。
また、従来のキャパシタ以外にハイブリッドキャパシタと呼ばれる蓄電装置が注目されている。ハイブリッドキャパシタでは通常、正極に分極性電極、負極に非分極性電極を使用する、いわゆる非対称電極キャパシタであり、さらに負極にリチウム金属と接触させ、予め化学的方法または電気化学的方法でリチウムイオンを吸蔵、担持(ドーピング)させてエネルギー密度を大幅に大きくすることを意図したリチウムイオンキャパシタの提案もなされている。(特許文献4、5)
また、特許文献6には、導電性の炭素粉とアクリル酸重合体などの水溶性結着材とを含む導電性組成物を電極の集電体上へコーティングした下地層が開示されている。また、特許文献7には、カーボンブラック粉末とブチルゴムとをトルエン中で混合して作製した下地形成用組成物が開示されている。しかしながら、これらの組成物は、下地層として用いた場合に集電体との密着性にさらなる改良が必要であり、さらに、炭素材料の分散状態不足が招く導電性不良や塗工性不良の改良、また、上層に合材インキを塗工するために必要な耐溶剤性の改良が必要であり、蓄電デバイスの高寿命化にはさらなる改良が望まれていた。
特開平3−280518号公報 国際公開WO1998/058397号 特開2012−084612号公報 特開平8−107048号公報 特開平9−55342号公報 特開昭62−160656号公報 特開昭63−121265号公報
本発明の目的は、高出力で充放電サイクル特性に優れるキャパシタを形成するための電極形成用組成物であって、活物質や導電助剤の分散性に優れ、さらには柔軟性、集電体への密着性、耐電解液溶出性に優れた電極形成用組成物を提供することである。
本発明は、電極活物質や導電助剤の分散性に優れる樹脂型分散剤(D)と、集電体への密着性、耐電解液溶出性に優れた樹脂微粒子を含むバインダー(C)を用いることで、前記課題を解決すものである。
即ち、本発明は、電極活物質(A)または導電助剤である炭素材料(B)の少なくとも一方と、架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)と、下記構造単位を有する共重合体中のカルボキシル基またはアミノ基の少なくとも一部を中和してなる樹脂型分散剤(D)と、水性液状媒体(E)とを含有する、キャパシタ電極形成用組成物に関する。
芳香環を有する構造単位(d1):5〜70重量%
カルボキシル基またはアミノ基を有する構造単位(d2):15〜60重量%
水酸基を有する構造単位(d3):1〜80重量%
前記(d1)〜(d3)以外のその他の構造単位(d4):0〜79重量%
(但し、前記(d1) 〜(d4)の合計を100重量%とする)
また、本発明は、電極活物質(A)が比表面積50〜5000m2/gの電極活物質(A)を含んでなる、前記キャパシタ電極形成用組成物に関する。
また、本発明は、電極活物質(A)が活性炭である、前記キャパシタ電極形成用組成物に関する。
また、本発明は、架橋型樹脂微粒子が、下記単量体を水中にて界面活性剤の存在下、ラジカル重合開始剤によって乳化重合してなる樹脂微粒子であることを特徴とする前記キャパシタ電極形成用組成物に関する。
(C1)1つ又は2つ以上のアルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1)、および1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する単量体(c2)からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体:0.1〜5重量%
(C2)前記単量体(c1)〜(c2)以外のエチレン性不飽和単量体(c3):95〜99.9重量%
(但し、前記(c1)〜(c3)の合計を100重量%とする)
さらに、本発明は、エチレン性不飽和単量体(c3)が、下記組成であることを特徴とする前記キャパシタ電極形成用組成物に関する。
1つ又は2つ以上のエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(c4)、1つ又は2つ以上のアミド基を有するエチレン性不飽和単量体(c5)、および1つ又は2つ以上の水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c6)からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体:0.1〜20重量%
前記単量体(c1)、(c2)、(c4)〜(c6)以外のエチレン性不飽和単量体(c7):75〜99.8重量%
(但し、前記(c1)〜(c3)の合計を100重量%とする)
さらに、本発明は、エチレン性不飽和単量体(c7)が、下記組成であることを特徴とする前記キャパシタ電極形成用組成物に関する。
炭素数8〜18のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(c8)、および環状構造を有するエチレン性不飽和単量体(c9)からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体:30〜95重量%
前記(c1)、(c2)、(c4)〜(c6)、(c8)、(c9)以外のエチレン性不飽和単量体:0〜69.8重量%
(但し、前記(c1)〜(c3)の合計を100重量%とする)
さらに、本発明は、架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)が、未架橋のエポキシ基含有化合物、未架橋のアミド基含有化合物、未架橋の水酸基含有化合物、および未架橋のオキサゾリン基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの未架橋の化合物(F)を含むことを特徴とする前記キャパシタ電極形成用組成物に関する。
さらに、本発明は、集電体と、前記キャパシタ電極形成用組成物から形成される合材層もしくは電極下地層の少なくも一層とを具備するキャパシタ用電極に関する。
さらに、本発明は、正極と負極と電解液とを具備するキャパシタであって、正極もしくは負極の少なくとも一方が、前記キャパシタ用電極である、キャパシタに関する。
樹脂型分散剤と架橋型樹脂微粒子を含むバインダー組成物を併用することで、良好な活物質や導電助剤の分散性が実現でき、本発明の電極形成用組成物を得ることができた。本発明の電極形成用組成物は、柔軟性、耐電解液溶出性、及び集電体への密着性に優れる合材層や下地層を形成でき、充放電サイクル特性等の寿命に優れるキャパシタを提供できる。
キャパシタ用の電極は、種々の方法で得ることができる。
例えば、金属箔等の集電体の表面に、
(1)活物質と液状媒体とを含有するインキ状組成物(以下、合材インキという)や、
(2)活物質と導電助剤と液状媒体とを含有する合材インキや、
(3)活物質とバインダーと液状媒体とを含有する合材インキや、
(4)活物質と導電助剤とバインダーと液状媒体とを含有する合材インキを、
用いて合材層を形成し、電極を得ることができる。
あるいは、金属箔の集電体の表面に、導電助剤と液状媒体とを含有する下地層形成用組成物を用い、下地層を形成し、該下地層上に、上記の合材インキ(1)〜(4)やその他の合材インキ用いて合材層を形成し、電極を得ることもできる。
いずれの場合であっても、活物質や導電助剤の分散状態及び、電極の合材層、下地層の耐電解液溶出性がキャパシタ性能を左右することは背景技術の項で詳述した。
樹脂型分散剤(D)は、活物質の凝集を緩和したり、導電助剤に対しても分散剤として機能したりする。
従って、本発明のキャパシタ電極形成用組成物は、活物質を必須とする合材インキとしても、活物質を必須とはしない下地層形成用組成物としても活用できる。
そこで、まず本発明における樹脂型分散剤(D)について説明する。
本発明における樹脂型分散剤(D)は、芳香環を有する構造単位(d1)と、カルボキシル基もしくはアミノ基を有する構造単位(d2)と、水酸基を有する構造単位(d3)と、を必須成分とする共重合体中のカルボキシル基もしくはアミノ基の少なくとも一部を中和したものである。
本発明における構造単位とは、共重合体の原料となる単量体に由来する部分のことを示す。前記構造単位(d1)〜(d4)を有する共重合体を得る方法としては特に限定されないが、例えば、構造単位(d1)〜(d4)を形成する単量体を共重合する方法が挙げられる。また、もう1つの方法としては、構造単位(d1)〜(d4)を形成する単量体の誘導体を重合して得られる共重合体を変性する方法が挙げられる。ここで、構造単位としては、自然界に安定に存在し得ないポリビニルアルコールなどのような単量体に相当する化合物も含まれる。
また、本発明における前記構造単位(d1)〜(d4)の重量比は、先の方法の場合は、使用する単量体の重量比と同じになる。また、後の方法の場合は、変性後の共重合体における各構造単位の重量比を意味する。
まず、芳香環を有する構造単位(d1)について説明する。
芳香環を有する構造単位(d1)を形成する単量体としては特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレンもしくはベンジル(メタ)アクリレートを例示することが出来る。
つぎに、カルボキシル基もしくはアミノ基を有する構造単位(d2)について説明する 。
カルボキシル基を有する構造単位(d2)を形成する単量体としては特に限定されないが、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸等を例示することが出来る。特にメタクリル酸、アクリル酸が好ましい。
また、アミノ基を有する構造単位(d2)を形成する単量体としては特に限定されないが、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メチルエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン等が挙げられる。これらのカルボキシル基もしくはアミノ基を有する構造単位は単独もしくは2種類以上を併用して使用することもでき、カルボキシル基を有する構造単位と、アミノ基を有する構造単位の組み合わせであってもよい。
つぎに、水酸基を有する構造単位(d3)について説明する。
水酸基を有する構造単位(d3)を形成する単量体としては特に限定されないが、水酸基を有する単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシスチレン、ビニルアルコール、アリルアルコール等が挙げられる。
また、ビニルアルコールの誘導体である単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステルが例示できる。これらのビニルエステルを共重合し、得られた共重合体を鹸化することで、水酸基を有する構造単位(d3)を形成することができる。
ポリビニルエステルからポリビニルアルコールへの鹸化触媒としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ触媒や塩酸、硫酸等の酸触媒が挙げられる。
つぎに、前記(d1)〜(d3)以外のその他の構造単位(d4)について説明する。
その他の構造単位(d4)を形成する単量体としては特に限定されないが、アルキル系(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜22のアルキル(メタ)アクリレートがあり、極性の調節を目的とする場合には好ましくは炭素数2〜10、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキル基を有するアルキル基含有アクリレートまたは対応するメタクリレートが挙げられる。
また、その他の構造単位(d4)を形成する単量体としては窒素含有の単量体が挙げられ、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド等のモノアルキロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド等のジアルキロール(メタ)アクリルアミド等、アクリルアミド系の構造単位を例示できる。
更にその他の構造単位(d4)を形成する単量体としては、パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキルアルキル(メタ)アクリレート類;
パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレン等のパーフルオロアルキル、アルキレン類等のパーフルオロアルキル基含有ビニルモノマー、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラノール基含有ビニル化合物及びその誘導体などを挙げることができ、これらの群から複数用いることができる。
更に、その他の構造単位(d4)を形成する単量体としては、脂肪酸ビニル化合物、アルキルビニルエーテル化合物、α−オレフィン化合物、ビニル化合物、エチニル化合物等が挙げられる。
脂肪酸ビニル化合物としては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられる。
アルキルビニルエーテル化合物としては、ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等が挙げられる。
α−オレフィン化合物としては、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等が挙げられる。
ビニル化合物としては、酢酸アリル、アリルベンゼン、シアン化アリル等のアリル化合物、シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトン、スチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。
エチニル化合物としては、アセチレン、エチニルベンゼン、エチニルトルエン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等が挙げられる。これらは単独もしくは2種類以上を併用して使用することもできる。
本発明で用いられる樹脂型分散剤(D)中の共重合体を構成する構造単位の比率は、構造単位(d1)〜(d4)の合計を100重量%とした場合に、
芳香環を有する構造単位(d1)が5〜70重量%、
カルボキシル基またはアミノ基を有する構造単位(d2)が15〜60重量%、
水酸基を有する構造単位(d3)が1〜80重量%、
前記(d1)〜(d3)以外のその他の構造単位(d4)が0〜79重量%である。
好ましくは、(d1):20〜70重量%、(d2):15〜45重量%、(d3):1〜70重量%、(d4):0〜50重量%である。
より好ましくは、(d1):30〜70重量%、(d2):15〜35重量%、(d3):1〜40重量%、(d4):0〜40重量%である。
各構造単位は1種類であってもよいし、複数種類を組み合わせてもよく、規定した各合計重量の範囲であればその構成比率を自由に変えることができる。
芳香環を有する構造単位(d1)の芳香環が、後述する活物質(A)や導電助剤(B)への主たる吸着部位となると推測している。
カルボキシル基またはアミノ基を有する構造単位(d2)、及び水酸基を有する構造単位(d3)が、共重合体の中和物を水性液状媒体に溶解ないし分散させる機能を担う。
そして、活物質(A)や導電助剤(B)に、芳香環を介してコポリマーが吸着し、水酸基による水溶性付与、及び中和されイオン化されたカルボキシル基またはアミノ基の電荷反発により、活物質(A)や導電助剤(B)の水性液状媒体中における分散状態を安定に保つことができるようになったものと考察される。
上記単量体(d1)〜(d4)を共重合してなるコポリマーの分子量は特に制限はないが、樹脂型分散剤(D)の固形分20%水溶液における粘度が、好ましくは5〜100,000mPa・sであり、さらに好ましくは10〜50,000mPa・sである。所定範囲の粘度より低く、樹脂型分散剤(D)の分子量が小さすぎる場合、あるいは所定範囲の粘度より高く、樹脂型分散剤(D)の分子量が大きすぎる場合には、電極活物質(A)もしくは導電助剤である炭素材料(B)の分散不良を引き起こす可能性がある。
尚、本発明における粘度とは、B型粘度計を用いて25℃の条件下で測定した値である。
上記コポリマーは、水酸基を有する構造単位(d3)を有する共重合体であるが、コポリマーにおける水酸基を有する構造単位の構成比率を水酸基価で表すと下記のようであることが好ましい。即ち、使用するコポリマーの水酸基価が、4mgKOH/g以上900mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、更には、水酸基価が20mgKOH/g以上600mgKOH/g以下の範囲であることが好ましい。
本発明で使用するコポリマーの水酸基価が上記した範囲よりも低いと分散体の分散安定性が低下し、粘度が増加する傾向がある。また、本発明で使用するコポリマーの水酸基価が上記した範囲より高いと、粒子表面に対するコポリマーの付着力が低下し、分散体の保存安定性が低下する傾向がある。
本発明における水酸基価とは、無水酢酸を用いて試料中の水酸基をアセチル化し、使われなかった酢酸をKOH溶液で滴定を行い、固形分換算した値である。滴定は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠する。
また、同様に上記コポリマーの酸価とアミン価の合計が、50mgKOH/g以上500mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、更には、80mgKOH/g以上400mgKOH/g以下の範囲であることが好ましい。
上記した範囲よりも低いと分散体の分散安定性が低下し、粘度が増加する傾向がある。また、上記した範囲より高いと、粒子表面に対するコポリマーの付着力が低下し、分散体の保存安定性が低下する傾向がある。
なお、酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠して測定した酸価(mgKOH/g)を固形分換算した値である。なお、アミン価は、試料1g中に含まれる全塩基性窒素を中和するのに要する過塩素酸と当量の水酸化カリウムのmg数で表したものである。測定方法は、JIS K 7237(1995)に記載されている電位差滴定法により求めたものを固形分換算した値である。
樹脂型分散剤(D)は、種々の製造方法で得ることができる。
例えば、上記単量体(d1)〜(d4)を、水と共沸し得る有機溶剤中で重合する。その後、水に代表される水性液状媒体と中和剤とを加えてカルボキシル基の少なくとも一部を中和し、共沸可能な溶剤を留去し、樹脂型分散剤(D)の水溶液ないし水性分散液を得ることができる。
重合時の有機溶剤としては、水と共沸するものであれば良いが、コポリマーに対し溶解性の高いものが良く、好ましくはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールであり、さらに好ましくは1−ブタノールである。
あるいは、親水性有機溶剤中で共重合し、水とアミンを加えて中和し水性化し、前記するが、親水性有機溶剤は留去せず、親水性有機溶剤と水とを含む水性液状媒体に、樹脂型分散剤(D)が溶解ないし分散した液を得ることができる。
または、上記構造単位(d1)〜(d4)を形成する単量体の誘導体を、水と共沸し得る有機溶剤中で共重合する。その後、触媒等を用いて上記構造単位(d1)〜(d4)に変性し、水に代表される水性液状媒体と中和剤とを加えてカルボキシル基またはアミノ基の少なくとも一部を中和する。更に共沸可能な溶剤を留去し、樹脂型分散剤(D)の水溶液ないし水性分散液を得ることができる。
この場合、用いられる親水性有機溶剤としては、コポリマーに対し溶解性の高いものが良く、好ましくはグリコールエーテル類、ジオール類、さらに好ましくは(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオール類が良い。
コポリマーの中和に使用される中和剤としては、下記のものが挙げられる。
例えば、アンモニア水、ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等を使用することができる。上記したようなコポリマーは、水性液媒体中に、分散又は溶解される。
次に、架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)について説明する。本発明の架橋型樹脂微粒子とは、内部架橋構造(三次元架橋構造)を有する樹脂微粒子を示し、粒子内部で架橋していることが重要である。架橋型樹脂微粒子が架橋構造をとることにより耐電解液溶出性を確保することができ、粒子内部の架橋を調整することでその効果を高めることができる。また、架橋型樹脂微粒子が特定の官能基を含有することにより、集電体、または電極との密着性に寄与することができる。さらには架橋構造や官能基の量を調整することで、可とう性に優れたキャパシタ電極形成用組成物を得ることができる。ただし、バインダーの可とう性を調整する目的で粒子同士の架橋(粒子間架橋)を併用することもできるが、この場合、多くは架橋剤をあとで添加するため、架橋剤成分の電解液への漏出や電極作製時のバラツキが生じる場合もある。このため、架橋剤は耐電解液溶出性を損なわない程度に用いる必要がある。
本発明のキャパシタ電極形成用組成物に用いる架橋型樹脂微粒子は、エチレン性不飽和単量体を水中にて界面活性剤の存在下、ラジカル重合開始剤によって乳化重合して得られる樹脂微粒子である。本発明に用いる架橋型樹脂微粒子は、下記単量体(C1)および(C2)を下記割合で含むエチレン性不飽和単量体を乳化重合することにより得ることが好ましい。
(C1)1つ又は2つ以上のアルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1)、および1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する単量体(c2)からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体:0.1〜5重量%
(C2)前記単量体(c1)〜(c2)以外のエチレン性不飽和単量体(c3):95〜99.9重量%
(但し、前記(c1)〜(c3)の合計を100重量%とする)
本発明における架橋型樹脂微粒子を構成するエチレン性不飽和単量体のうち(c1)、(c3)は、特に断らない限り、1分子中に1つのエチレン性不飽和基を有する単量体のことを示す。
<単量体群(C1)について>
単量体群(C1)に含まれる単量体の有する官能基(アルコキシシリル基、エチレン性不飽和基)は、自己架橋型反応性官能基であり、主に粒子合成中における粒子内部架橋を形成する効果がある。粒子の内部架橋を十分に行うことで、耐電解液溶出性を向上させることができる。したがって、単量体群(C1)に含まれる単量体を使用することで架橋型樹脂微粒子とすることができる。また、粒子架橋を十分に行うことで、耐電解液溶出性を向上させることができる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、アルコキシシリル基とを有する単量体(c1)としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリブトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシメチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する単量体(c2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸1−メチルアリル、(メタ)アクリル酸2−メチルアリル、(メタ)アクリル酸1−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−ブテニル、(メタ)アクリル酸3−ブテニル、(メタ)アクリル酸1,3−メチル−3−ブテニル、(メタ)アクリル酸2−クロルアリル、(メタ)アクリル酸3−クロルアリル、(メタ)アクリル酸o−アリルフェニル、(メタ)アクリル酸2−(アリルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸アリルラクチル、(メタ)アクリル酸シトロネリル、(メタ)アクリル酸ゲラニル、(メタ)アクリル酸ロジニル、(メタ)アクリル酸シンナミル、ジアリルマレエート、ジアリルイタコン酸、(メタ)アクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、オレイン酸ビニル,リノレン酸ビニル、(メタ)アクリル酸2−(2’−ビニロキシエトキシ)エチルなどのエチレン性不飽和基含有(メタ)アクリル酸エステル類;ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸ペンタエリスリトール、ジアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、トリアクリル酸1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリアクリル酸などの多官能(メタ)アクリル酸エステル類;ジビニルベンゼン、アジピン酸ジビニルなどのジビニル類;イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリルなどのジアリル類などがあげられる。
単量体(c1)または単量体(c2)中のアルコキシシリル基またはエチレン性不飽和基は、主に重合中にそれぞれが自己縮合、または重合して粒子に架橋構造を導入することを目的としているが、その一部が重合後にも粒子内部や表面に残存していてもよい。残存したアルコキシシリル基、またはエチレン性不飽和基は、バインダーの粒子間架橋に寄与する。特にアルコキシシリル基は集電体への密着性向上に寄与する効果があるため好ましい。
本発明では、単量体群(C1)に含まれる単量体は、乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体全体(合計100重量%)中に0.1〜5重量%使用されることを特徴とする。好ましくは0.5〜3重量%である。単量体群(C1)に含まれる単量体が、0.1重量%未満であると粒子の架橋が十分でなくなり、耐電解液溶出性が悪くなる。また、5重量%を超えると、乳化重合する際の重合安定性に問題を生じるか、重合できたとしても保存安定性に問題を生じる。
<単量体群(C2)について>
本発明の架橋型樹脂微粒子を含むバインダーに用いる架橋型樹脂微粒子は、上述した1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、アルコキシシリル基とを有する単量体(c1)、および1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する単量体(c2)に加えて、単量体群(C2)として、単量体(c1)、(c2)以外の、エチレン性不飽和基を有する単量体(c3)を同時に乳化重合することで得ることができる。
この単量体(c3)としては、単量体(c1)、(c2)以外であって、エチレン性不飽和基を有する単量体であれば特に限定されないが、例えば、
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、1つ又は2つ以上のエポキシ基とを有する単量体(c4)、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、1つ又は2つ以上のアミド基とを有する単量体(c5)、および1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、1つ又は2つ以上の水酸基とを有する単量体(c6)からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体、および、単量体(c1)、(c2)、(c4)〜(c6)以外の、エチレン性不飽和基を有する単量体(c7)を使用することができる。
単量体(c4)〜(c6)を使用することにより、エポキシ基、アミド基、または水酸基を架橋型樹脂微粒子の粒子内や表面に残存させることができ、これにより集電体の密着性などの物性を向上させることができる。単量体(c4)〜(c6)は、粒子合成後でもその官能基が粒子内部や表面に残存しやすく、少量でも集電体への密着性効果が大きい。また、その一部が架橋反応に使用されてもよく、これらの官能基の架橋度合いを調整することで、耐電解液溶出性と密着性のバランスをとることができる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、1つ又は2つ以上のエポキシ基とを有する単量体(c4)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、1つ又は2つ以上のアミド基とを有する単量体(c5)としては、例えば、(メタ)アクリルアミドなどの第一アミド基含有エチレン性不飽和単量体;N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアルキロール(メタ)アクリルアミド類;N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミドなどのモノアルコキシ(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミドなどのジアルコキシ(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミドなどのジアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどのジアルキル(メタ)アクリルアミド類;ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどのケト基含有(メタ)アクリルアミド類などがあげられる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、1つ又は2つ以上の水酸基とを有する単量体(c6)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコールなどがあげられる。
単量体(c4)〜(c6)に含まれる単量体の官能基は、その一部が粒子重合中に反応し、粒子内架橋に使われても構わない。本発明では、単量体(c4)〜(c6)に含まれる単量体は、乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体全体(合計100重量%)中に0.1〜20重量%使用されることを特徴とする。好ましくは1〜15重量%であり、特に好ましくは2〜10重量%である。乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体全体(合計100重量%)中の単量体(c4)〜(c6)が0.1重量%未満であると、重合後の粒子内部や表面に残存している官能基の量が少なくなり、集電体の密着性向上に十分寄与できない。また、20重量%を超えると、乳化重合する際の重合安定性に問題を生じるか、重合できたとしても保存安定性に問題を生じる。
単量体(c7)としては、単量体(c1)、(c2)、(c4)〜(c6)以外であって、エチレン性不飽和基を有する単量体であれば特に限定されないが、例えば、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数8〜18のアルキル基とを有する単量体(c8)、1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、環状構造とを有する単量体(c9)などがあげられる。単量体(c7)として、該単量体(c8)および/または単量体(c9)を乳化重合に使用する場合には(単量体(c7)としてそれら以外の単量体を含んでいてもよい)、該単量体(c8)および(c9)が、エチレン性不飽和基を有する単量体全体((c1)、(c2)、(c4)〜(c6)および(c7))中に合計で30〜95重量%含まれることが好ましい。単量体(c8)や単量体(c9)を使用することで粒子合成時の粒子安定性や耐電解液溶出性に優れるため好ましい。30重量%未満であると耐電解液溶出性に悪影響をおよぼす場合があり、95重量%を超えると粒子合成時の安定性に悪影響をおよぼすか、合成できたとしても粒子の経時安定性が損なわれる場合がある。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、炭素数8〜18のアルキル基とを有する単量体(c8)としては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、環状構造とを有する単量体(c9)としては、脂環式エチレン性不飽和単量体や芳香族エチレン性不飽和単量体などがあげられる。脂環式エチレン性不飽和単量体としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレートなどがあげられ、芳香族エチレン性不飽和単量体としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、クロロスチレン、アリルベンゼン、エチニルベンゼンなどがあげられる。
上記単量体(c8)、単量体(c9)以外の単量体(c7)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレートなどのアルキル基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有エチレン性不飽和単量体;パーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロノニルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルアミル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルウンデシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基を有するパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和単量体;パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、パーフルオロデシルエチレンなどのパーフルオロアルキル、アルキレン類などのパーフルオロアルキル基含有エチレン性不飽和化合物;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、プロポキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ブトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、n−ペンタキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエーテル鎖を有するエチレン性不飽和化合物;ラクトン変性(メタ)アクリレートなどのポリエステル鎖を有するエチレン性不飽和化合物;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、およびトリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル)アンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩基含有エチレン性不飽和化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニルなどの脂肪酸ビニル系化合物;ブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル系エチレン性不飽和単量体;1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンなどのα−オレフィン系エチレン性不飽和単量体;酢酸アリル、シアン化アリルなどのアリル単量体;シアン化ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルメチルケトンなどのビニル単量体;アセチレン、エチニルトルエンなどのエチニル単量体などがあげられる。
また、上記単量体(c8)、単量体(c9)以外の単量体(c7)としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、または、これらのアルキルもしくはアルケニルモノエステル、フタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、イソフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、テレフタル酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、コハク酸β−(メタ)アクリロキシエチルモノエステル、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、けい皮酸などのカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体;ターシャリーブチル(メタ)アクリレートなどのターシャリーブチル基含有エチレン性不飽和単量体;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸などのスルホン酸基含有エチレン性不飽和単量体;(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートアッシドホスフェートなどのリン酸基含有エチレン性不飽和単量体;ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクロレイン、N−ビニルホルムアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレートなどのケト基含有エチレン性不飽和単量体(1分子中に1つのエチレン性不飽和基と、ケト基とを有する単量体)などがあげられる。
単量体(c7)として、ケト基含有エチレン性不飽和単量体を使用する場合、架橋剤としてケト基と反応しうるヒドラジド基を2個以上有する多官能ヒドラジド化合物をバインダー組成物に混合すると、ケト基とヒドラジド基との架橋により強靱な塗膜を得ることができる。このことにより優れた耐電解液溶出性、結着性を有する。さらに、充放電の繰り返しや、発熱による高温環境下における耐性と可とう性とを両立することができるため、充放電サイクルにおける放電容量低下の低減された長寿命のキャパシタを得ることができる。
また、単量体(c7)の中でもカルボキシル基、ターシャリーブチル基(熱によりターシャリーブタノールが脱離してカルボキシル基になる。)、スルホン酸基、およびリン酸基を有するエチレン性不飽和単量体を共重合して得られた樹脂微粒子は、重合後にも粒子内や表面に前記官能基が残存し、集電体の密着性などの物性を向上させる効果があると同時に、合成時の凝集を防いだり、合成後の粒子安定性を保持したりする場合あるため好ましく使用することができる。
カルボキシル基、ターシャリーブチル基、スルホン酸基、およびリン酸基は、その一部が重合中に反応し、粒子内架橋に使われても構わない。カルボキシル基、ターシャリーブチル基、スルホン酸基、およびリン酸基を含む単量体を用いる場合には、乳化重合に使用するエチレン性不飽和単量体全体(合計100重量%)中に0.1〜10重量%含まれることが好ましく、さらには1〜5重量%含まれることがより好ましい。カルボキシル基、ターシャリーブチル基、スルホン酸基、およびリン酸基を含む単量体が0.1重量%未満であると、粒子の安定性が悪くなる場合がある。また10重量%を超えると、バインダーの親水性が強くなりすぎて耐電解液溶出性が悪くなる場合がある。さらにこれらの官能基は、乾燥時に反応して粒子内や粒子間の架橋に使われても構わない。
例えばカルボキシル基は、重合中および乾燥時にエポキシ基と反応して樹脂微粒子に架橋構造を導入できる。同様に、ターシャリーブチル基も一定温度以上の熱が加わるとターシャリーブチルアルコールが生成するとともにカルボキシル基が形成されるため、前記同様エポキシ基と反応することができる。
これらの単量体(c7)は、粒子の重合安定性やガラス転移温度、さらには成膜性や塗膜物性を調整するために、上記にあげたような単量体を2種以上併用して用いることができる。また、例えば(メタ)アクリロニトリルなどを併用することでゴム弾性が発現する効果がある。
<架橋型樹脂微粒子の製造方法>
本発明の架橋型樹脂微粒子は、従来既知の乳化重合方法により合成される。
<乳化重合で用いられる乳化剤>
本発明において乳化重合の際に用いられる乳化剤としては、エチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤やエチレン性不飽和基を有しない非反応性乳化剤など、従来公知のものを任意に使用することができる。
エチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤はさらに大別して、アニオン系、非イオン系のノニオン系のものが例示できる。特にエチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤若しくはノニオン性反応性乳化剤を用いると、共重合体の分散粒子径が微細となるとともに粒度分布が狭くなるため、二次電池電極用バインダーとして使用した際に耐電解液溶出性を向上することができ好ましい。このエチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤若しくはノニオン性反応性乳化剤は、1種を単独で使用しても、複数種を混合して用いてもよい。
エチレン性不飽和基を有するアニオン系反応性乳化剤の一例として、以下にその具体例を例示するが、本願発明において使用可能とする乳化剤は、以下に記載するもののみに限定されるものではない。
乳化剤としては、アルキルエーテル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンKH−05、KH−10、KH−20、株式会社ADEKA製アデカリアソープSR−10N、SR−20N、花王株式会社製ラテムルPD−104など);スルフォコハク酸エステル系(市販品としては、例えば、花王株式会社製ラテムルS−120、S−120A、S−180P、S−180A、三洋化成株式会社製エレミノールJS−2など);アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンH−2855A、H−3855B、H−3855C、H−3856、HS−05、HS−10、HS−20、HS−30、株式会社ADEKA製アデカリアソープSDX−222、SDX−223、SDX−232、SDX−233、SDX−259、SE−10N、SE−20N、など);(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製アントックスMS−60、MS−2N、三洋化成工業株式会社製エレミノールRS−30など);リン酸エステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製H−3330PL、株式会社ADEKA製アデカリアソープPP−70など)などがあげられる。
本発明で用いることのできるノニオン系反応性乳化剤としては、例えばアルキルエーテル系(市販品としては、例えば、株式会社ADEKA製アデカリアソープER−10、ER−20、ER−30、ER−40、花王株式会社製ラテムルPD−420、PD−430、PD−450など);アルキルフェニルエーテル系もしくはアルキルフェニルエステル系(市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50、株式会社ADEKA製アデカリアソープNE−10、NE−20、NE−30、NE−40など);(メタ)アクリレート硫酸エステル系(市販品としては、例えば、日本乳化剤株式会社製RMA−564、RMA−568、RMA−1114など)などがあげられる。
本発明の官能基含有架橋型樹脂微粒子を乳化重合により得るに際しては、前記したエチレン性不飽和基を有する反応性乳化剤とともに、必要に応じエチレン性不飽和基を有しない非反応性乳化剤を併用することができる。非反応性乳化剤は、非反応性アニオン系乳化剤と非反応性ノニオン系乳化剤とに大別することができる。
非反応性ノニオン系乳化剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルなどを例示することができる。
また、非反応性アニオン系乳化剤の例としては、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩およびその誘導体類;ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩類などを例示することができる。
本発明において用いられる乳化剤の使用量は、必ずしも限定されるものではなく、架橋型樹脂微粒子が最終的にキャパシタ電極用バインダーとして使用される際に求められる物性にしたがって適宜選択できる。例えば、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対して、乳化剤は通常0.1〜30重量部であることが好ましく、0.3〜20重量部であることがより好ましく、0.5〜10重量部の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明の架橋型樹脂微粒子の乳化重合に際しては、水溶性保護コロイドを併用することもできる。水溶性保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩などのセルロース誘導体;グアガムなどの天然多糖類などがあげられ、これらは、単独でも複数種併用の態様でも利用できる。水溶性保護コロイドの使用量としては、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部当り0.1〜5重量部であり、さらに好ましくは0.5〜2重量部である。
<乳化重合で用いられる水性媒体>
本発明の架橋型樹脂微粒子の乳化重合に際して用いられる水性媒体としては、水があげられ、親水性の有機溶剤も本発明の目的を損なわない範囲で使用することができる。
<乳化重合で用いられる重合開始剤>
本発明の架橋型樹脂微粒子を得るに際して用いられる重合開始剤としては、ラジカル重合を開始する能力を有するものであれば特に制限はなく、公知の油溶性重合開始剤や水溶性重合開始剤を使用することができる。
油溶性重合開始剤としては特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス−シクロヘキサン−1−カルボニトリルなどのアゾビス化合物などをあげることができる。これらは1種類または2種類以上を混合して使用することができる。これら重合開始剤は、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.1〜10.0重量部の量を用いるのが好ましい。
本発明においては水溶性重合開始剤を使用することが好ましく、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライドなど、従来既知のものを好適に使用することができる。また、乳化重合を行うに際して、所望により重合開始剤とともに還元剤を併用することができる。これにより、乳化重合速度を促進したり、低温において乳化重合を行ったりすることが容易になる。このような還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、エルソルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖、ホルムアルデヒドスルホキシラートなどの金属塩などの還元性有機化合物、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元性無機化合物、塩化第一鉄、ロンガリット、二酸化チオ尿素などを例示できる。これら還元剤は、全エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、0.05〜5.0重量部の量を用いるのが好ましい。
<乳化重合の条件>
なお、前記した重合開始剤によらずとも、光化学反応や、放射線照射などによっても重合を行うことができる。重合温度は各重合開始剤の重合開始温度以上とする。例えば、過酸化物系重合開始剤では、通常70℃程度とすればよい。重合時間は特に制限されないが、通常2〜24時間である。
<反応に用いられるその他の材料>
さらに必要に応じて、緩衝剤として、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどが、また、連鎖移動剤としてのオクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、ステアリルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類が適量使用できる。
架橋型樹脂微粒子の重合にカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体などの酸性官能基を有する単量体を使用した場合、重合前や重合後に塩基性化合物で中和することができる。中和する際、アンモニアもしくはトリメチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミンなどのアルキルアミン類;2−ジメチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノールなどのアルコールアミン類;モルホリンなどの塩基で中和することができる。ただし、乾燥性に効果が高いのは揮発性の高い塩基であり、好ましい塩基はアミノメチルプロパノール、アンモニアである。
<架橋型樹脂微粒子の特性>
<ガラス転移温度>
また、架橋型樹脂微粒子のガラス転移温度(以下、Tgともいう)は、−30〜70℃が好ましく、−20〜30℃がさらに好ましい。Tgが−30℃未満の場合、バインダーが過度に電極活物質を覆い、インピーダンスが高くなりやすい。また、Tg が70℃を超えると、バインダーの柔軟性、粘着性が乏しくなり、電極活物質の集電材への接着性、電極の成形性が劣る場合がある。なお、ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量計)を用いて求めた値である。
DSC(示差走査熱量計)によるガラス転移温度の測定は以下のようにして行うことができる。架橋型樹脂微粒子を乾固した樹脂約2mgをアルミニウムパン上で秤量し、該試験容器をDSC測定ホルダーにセットし、10℃/分の昇温条件にて得られるチャートの吸熱ピークを読み取る。このときのピーク温度を本発明のガラス転移温度とする。
<粒子構造>
また、本発明においては架橋型樹脂微粒子の粒子構造を多層構造、いわゆるコアシェル粒子にすることもできる。例えば、コア部、またはシェル部に官能基を有する単量体を主に重合させた樹脂を局在化させたり、コアとシェルによってTgや組成に差を設けたりすることにより、硬化性、乾燥性、成膜性、バインダーの機械強度を向上させることができる。
<粒子径>
架橋型樹脂微粒子の平均粒子径は、電極活物質の結着性や粒子の安定性の点から、10〜500nmであることが好ましく、30〜250nmであることがより好ましい。また、1μmを超えるような粗大粒子が多く含有されるようになると粒子の安定性が損なわれるので、1μmを超える粗大粒子は多くとも5重量%以下であることが好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、体積平均粒子径のことを表し、動的光散乱法により測定できる。
動的光散乱法による平均粒子径の測定は、以下のようにして行うことができる。架橋型樹脂微粒子分散液は固形分に応じて200〜1000倍に水希釈しておく。該希釈液約5mlを測定装置[(株)日機装製 マイクロトラック]のセルに注入し、サンプルに応じた溶剤(本発明では水)および樹脂の屈折率条件を入力後、測定を行う。この時得られた体積粒子径分布データ(ヒストグラム)のピークを本発明の平均粒子径とする。
<重合した樹脂微粒子に添加する未架橋の化合物(F)>
本発明の架橋型樹脂微粒子を含むバインダーは、架橋型樹脂微粒子に加えて、さらに、未架橋のエポキシ基含有化合物、未架橋のアミド基含有化合物、未架橋の水酸基含有化合物、および未架橋のオキサゾリン基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの未架橋の化合物(F)[以下、化合物(F)と表記する場合がある]とを含むことが好ましい。
化合物(F)である「未架橋の官能基含有化合物」とは、単量体群(C1)に含まれる単量体のように本発明の架橋型樹脂微粒子の内部架橋構造(三次元架橋構造)を形成する化合物とは異なり、樹脂微粒子が乳化重合(ポリマー形成)された後に添加される(樹脂微粒子の内部架橋形成に関与しない)化合物のことのことをいう。すなわち、「未架橋」とは、本発明の架橋型樹脂微粒子の内部架橋構造(三次元架橋構造)の形成に関与していないことを意味する。
架橋型樹脂微粒子が架橋構造をとることにより耐電解液溶出性が確保され、また、化合物(F)を使用することで、化合物(F)中のエポキシ基、アミド基、水酸基、およびオキサゾリン基から選ばれる少なくとも1つの官能基が、集電体、または電極との密着性に寄与することができる。さらには架橋構造や官能基の量を調整することで、可とう性に優れたキャパシタ電極用バインダーを得ることができる。
なお、本発明における架橋型樹脂微粒子は、粒子内部で架橋していることが必要である。粒子内部の架橋を適度に調整することによって、耐電解液溶出性を確保することができる。さらに、官能基含有架橋型樹脂微粒子に未架橋のエポキシ基含有化合物、未架橋のアミド基含有化合物、未架橋の水酸基含有化合物、および未架橋のオキサゾリン基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの未架橋の化合物(F)を添加することで、エポキシ基、アミド基、水酸基またはオキサゾリン基が集電体に作用し、集電体や電極への密着性を効果的に向上させることができる。化合物(F)に含まれる上記官能基は、長期保存時や電極作製時の熱によっても安定であるため、少量の使用でも集電体への密着性効果が大きい。さらには保存安定性にも優れている。化合物(F)は、バインダーの可とう性や耐電解液溶出性を調整する目的で架橋型樹脂微粒子中の官能基と反応してもよいが、官能基含有架橋型樹脂微粒子中の官能基との反応のために化合物(F)中の官能基が使われすぎると、集電体または電極と相互作用し得る官能基が少なくなってしまう。このため、架橋型樹脂微粒子と化合物(F)との反応は、集電体または電極への密着性を損なわない程度である必要がある。また、化合物(F)に含まれる上記官能基の一部が架橋反応に用いられる場合[化合物(F)が多官能化合物の場合]には、これらの官能基の架橋度合いを調整することで、耐電解液溶出性と密着性のバランスをとることができる。
<未架橋のエポキシ基含有化合物>
未架橋のエポキシ基含有化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体;前記エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどの多官能エポキシ化合物;ビスフェノールA−エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF−エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂などがあげられる。
エポキシ基含有化合物の中でも特にビスフェノールA−エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF−エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂や、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂が好ましい。エポキシ系樹脂は、ビスフェノール骨格を有することで耐電解液溶出性を向上させ、また、骨格に含まれる水酸基により集電体密着性を向上させるという相乗効果が期待できる。また、エポキシ基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂は、樹脂骨格内により多くのエポキシ基を有することにより集電体密着性を向上させ、また、樹脂であることにより、単量体に比べて耐電解液溶出性を向上させる効果が期待できる。
<未架橋のアミド基含有化合物>
未架橋のアミド基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミドなどの第一アミド基含有化合物;N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジ(メチロール)アクリルアミド、N−メチロール−N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアルキロール(メタ)アクリルアミド系化合物;N−メトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−(メタ)アクリルアミド、N−ペントキシメチル−(メタ)アクリルアミドなどのモノアルコキシ(メタ)アクリルアミド系化合物;N,N−ジ(メトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−メトキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(エトキシメチル)アクリルアミド、N−エトキシメチル−N−プロポキシメチルメタアクリルアミド、N,N−ジ(プロポキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(プロポキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ブトキシメチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチル−N−(メトキシメチル)メタアクリルアミド、N,N−ジ(ペントキシメチル)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−(ペントキシメチル)メタアクリルアミドなどのジアルコキシ(メタ)アクリルアミド系化合物;N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリルアミドなどのジアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド系化合物;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどのジアルキル(メタ)アクリルアミド系化合物;ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどのケト基含有(メタ)アクリルアミド系化合物など、以上のアミド基含有エチレン性不飽和単量体;前記アミド基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂などがあげられる。
アミド基含有化合物の中でも、特にアクリルアミドなどのアミド基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂が好ましい。樹脂骨格内に、より多くのアミド基を有することにより集電体密着性を向上させ、また、樹脂であることにより、単量体に比べて耐電解液溶出性を向上させる効果が期待できる。
<未架橋の水酸基含有化合物>
未架橋の水酸基含有化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート4−ヒドロキシビニルベンゼン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、アリルアルコールなどの水酸基含有エチレン性不飽和単量体;前記水酸基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの直鎖脂肪族ジオール類;プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどの分岐鎖脂肪族ジオール類;1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどの環状ジオール類などがあげられる。
水酸基含有化合物の中でも、特に水酸基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂、または環状ジオール類が好ましい。水酸基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂は、樹脂骨格内に、より多くの水酸基を有することにより集電体密着性を向上させ、また、樹脂であることにより、単量体に比べて耐電解液溶出性を向上させる効果が期待できる。また、環状ジオール類は、骨格に環状構造を有することにより、耐電解液溶出性を向上させる効果が期待できる。
<未架橋のオキサゾリン基含有化合物>
未架橋のオキサゾリン基含有化合物としては、例えば、2’−メチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−プロピレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−フェニレンビス−2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−o−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−エチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、さらにはオキサゾリン基含有ラジカル重合系樹脂などがあげられる。
オキサゾリン基含有化合物の中でも、特に、2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)などのフェニレンビス型オキサゾリン化合物、または、オキサゾリン基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂が好ましい。フェニレンビス型オキサゾリン化合物は、骨格内にフェニル基を有することにより耐電解液溶出性を向上させる効果がある。また、オキサゾリン基含有エチレン性不飽和単量体を含むエチレン性不飽和単量体を重合して得られるラジカル重合系樹脂は、樹脂骨格内により多くのオキサゾリン基を有することにより集電体密着性を向上させ、また、樹脂であることにより、単量体に比べて耐電解液溶出性を向上させることができる。
<化合物(F)の添加量、分子量>
化合物(F)は、架橋型樹脂微粒子の固形分100重量部に対して0.1〜50重量部添加するのが好ましく、5〜40重量部添加するのがさらに好ましい。化合物(F)の添加量が0.1重量部未満であると、集電体の密着性に寄与する官能基の量が少なくなり、集電体の密着性向上に十分寄与できない場合がある。また、50重量部を超えると、化合物(F)の電解液への漏出など、バインダー性能への悪影響を起こす場合がある。さらに、化合物(F)は2種類以上併用することも可能である。
化合物(F)の分子量は特に限定されないが、重量平均分子量が1,000〜1,000,000であるのが好ましく、さらには5,000〜500,000がより好ましい。重量平均分子量が1,000未満であると集電体への密着性効果が十分でない場合があり、また、重量平均分子量が1,000,000を超えると化合物の粘度が高くなる場合があり、電極作製時のハンドリング性が悪くなる場合がある。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。さらに化合物(F)は、溶媒に溶解する化合物であっても、分散する化合物であってもよい。
<合材インキ>
前記したように、本発明のキャパシタ電極形成用組成物は、合材インキとしても使用できるし、下地層形成用組成物としても使用できる。そこで、本発明のキャパシタ電極形成用組成物の好適な態様の1つである活物質を必須とする合材インキについて説明する。合材インキは、正極合材インキまたは負極合材インキがあり、合材インキは、電極活物質(A)と、架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)と、樹脂型分散剤(D)と、水性液状媒体(E)からなり、さらに導電助剤(B)を用いることができる。
(活物質)
合材インキ中で使用される活物質(A)について以下で説明する。
電気二重層キャパシタ用の電極活物質としては、特に限定されないが、活性炭、ポリアセン、カーボンウィスカ及びグラファイト等が挙げられ、これらの粉末または繊維などが挙げられる。電気二重層キャパシタ用の好ましい電極活物質は活性炭であり、具体的にはフェノール系、ヤシガラ系、レーヨン系、アクリル系、石炭/ 石油系ピッチコークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB) 等を賦活した活性炭を挙げることができる。
リチウムイオンキャパシタ用の正極活物質としては、リチウムイオンおよびアニオンを可逆的にドープ・脱ドープすることが可能な材料であれば、特に限定されるものではないが、例えば活性炭粉末が挙げられる。
リチウムイオンキャパシタ用の負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能である材料であれば、特に限定されるものではないが、例えば人造黒鉛、天然黒鉛などの黒鉛系材料が挙げられる。
活物質は、同じ重量でもより広い面積の界面を形成することが可能な、比表面積の大きいものが好ましい。具体的には、比表面積が30m2/g以上、好ましくは50〜5000m2/g、より好ましくは500〜 3000m2/gであることが好ましい。
活性炭の分散粒径は、0.1μm〜20μmが好ましい。ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
これらの電極活物質は、単独、または二種類以上を組み合わせて使用することができるし、平均粒径または粒度分布の異なる二種類以上の炭素を組み合わせて使用してもよい。
次に、導電助剤(B)について説明する。
本発明のキャパシタ電極形成用合材インキは、形成される電極の導電性をより高めるために、導電助剤として炭素材料を含有することが好ましい。
本発明における導電助剤である炭素材料(B)としては、導電性を有する炭素材料であれば特に限定されるものではないが、グラファイト、カーボンブラック、導電性炭素繊維(カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー)、フラーレン等を単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。導電性、入手の容易さ、およびコスト面から、カーボンブラックの使用が好ましい。
カーボンブラックとしては、気体もしくは液体の原料を反応炉中で連続的に熱分解し製造するファーネスブラック、特にエチレン重油を原料としたケッチェンブラック、原料ガスを燃焼させて、その炎をチャンネル鋼底面にあて急冷し析出させたチャンネルブラック、ガスを原料とし燃焼と熱分解を周期的に繰り返すことにより得られるサーマルブラック、特にアセチレンガスを原料とするアセチレンブラックなどの各種のものを単独で、もしくは2種類以上併せて使用することができる。また、通常行われている酸化処理されたカーボンブラックや、中空カーボン等も使用できる。
カーボンの酸化処理は、カーボンを空気中で高温処理したり、硝酸や二酸化窒素、オゾン等で二次的に処理したりすることより、例えばフェノール基、キノン基、カルボキシル基、カルボニル基の様な酸素含有極性官能基をカーボン表面に直接導入(共有結合)する処理であり、カーボンの分散性を向上させるために一般的に行われている。しかしながら、官能基の導入量が多くなる程カーボンの導電性が低下することが一般的であるため、酸化処理をしていないカーボンの使用が好ましい。
用いるカーボンブラックの比表面積は、値が大きいほど、カーボンブラック粒子どうしの接触点が増えるため、電極の内部抵抗を下げるのに有利となる。具体的には、窒素の吸着量から求められる比表面積(BET)で、20m2/g以上、1500m2/g以下、好ましくは50m2/g以上、1500m2/g以下、更に好ましくは100m2/g以上、1500m2/g以下のものを使用することが望ましい。比表面積が20m2/gを下回るカーボンブラックを用いると、十分な導電性を得ることが難しくなる場合があり、1500m2/gを超えるカーボンブラックは、市販材料での入手が困難となる場合がある。
また、用いるカーボンブラックの粒径は、一次粒子径で0.005〜1μmが好ましく、特に、0.01〜0.2μmが好ましい。ただし、ここでいう一次粒子径とは、電子顕微鏡などで測定された粒子径を平均したものである。
導電助剤である炭素材料(B)の合材インキ中の分散粒径は、0.03μm以上、5μm以下に微細化することが望ましい。導電助剤としての炭素材料の分散粒径が0.03μm未満の組成物は、その作製が難しい場合がある。又、導電助剤としての炭素材料の分散粒径が2μmを超える組成物を用いた場合には、合材塗膜の材料分布のバラつき、電極の抵抗分布のバラつき等の不具合が生じる場合がある。
ここでいう分散粒径とは、体積粒度分布において、粒子径の細かいものからその粒子の体積割合を積算していったときに、50%となるところの粒子径(D50)であり、一般的な粒度分布計、例えば、動的光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)等で測定される。
市販のカーボンブラックとしては、例えば、トーカブラック#4300、#4400、#4500、#5500等(東海カーボン社製、ファーネスブラック)、プリンテックスL等(デグサ社製、ファーネスブラック)、Raven7000、5750、5250、5000ULTRAIII、5000ULTRA等、Conductex SC ULTRA、Conductex 975 ULTRA等、PUER BLACK100、115、205等(コロンビヤン社製、ファーネスブラック)、#2350、#2400B、#2600B、#30050B、#3030B、#3230B、#3350B、#3400B、#5400B等(三菱化学社製、ファーネスブラック)、MONARCH1400、1300、900、VulcanXC−72R、BlackPearls2000等(キャボット社製、ファーネスブラック)、Ensaco250G、Ensaco260G、Ensaco350G、SuperP−Li(TIMCAL社製)、ケッチェンブラックEC−300J、EC−600JD(アクゾ社製)、デンカブラック、デンカブラックHS−100、FX−35(電気化学工業社製、アセチレンブラック)等、グラファイトとしては例えば人造黒鉛や燐片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、2種以上を組み合わせて用いても良い。
導電性炭素繊維としては石油由来の原料から焼成して得られるものが良いが、植物由来の原料からも焼成して得られるものも用いることができる。例えば石油由来の原料で製造される昭和電工社製のVGCFなどを挙げることができる。
つぎに、水性液状媒体(E)について説明する。
本発明に使用する水性液状媒体(E)としては、水を使用することが好ましいが、必要に応じて、例えば、集電体への塗工性向上のために、水と相溶する液状媒体を使用しても良い。
水と相溶する液状媒体としては、アルコール類、グリコール類、セロソルブ類、アミノアルコール類、アミン類、ケトン類、カルボン酸アミド類、リン酸アミド類、スルホキシド類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、エーテル類、ニトリル類等が挙げられ、水と相溶する範囲で使用しても良い。
さらに、合材インキには、成膜助剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、pH調整剤、粘性調整剤などを必要に応じて配合できる。
塗工方法によるが、固形分30〜90重量%の範囲で、合材インキの粘度は、100mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
塗工可能な粘度範囲内において、活物質(A)はできるだけ多く含まれることが好ましく、例えば、合材インキ固形分に占める活物質(A)の割合は、80重量%以上、99重量%以下が好ましい。
また、合材インキ固形分に占める樹脂型分散剤(D)の割合は、0.1〜15重量%であることが好ましい。
また、活物質(A)と導電助剤(B)の合計100重量部に対する樹脂型分散剤(D)の添加量は、1〜10重量部であることが好ましい。
導電助剤(B)を含む場合、合材インキ固形分に占める導電助剤(B)の割合は、0.1〜15重量%であることが好ましい。
本発明の合材インキは、種々の方法で得ることができる。
ただし、導電助剤(B)の使用は任意である。
例えば、
(1) 活物質(A)と樹脂型分散剤(D)と水性液状媒体(E)とを含有する活物質の水性分散体を得、該水性分散体に導電助剤(B)と架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)とを加え、合材インキを得ることができる。
導電助剤(B)と架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)は、同時に加えることもできるし、導電助剤(B)を加えた後、バインダーを加えてもよいし、その逆であってもよい。
(2) 導電助剤(B)と樹脂型分散剤(D)と水性液状媒体(E)と含有する導電助剤の水性分散体を得、該水性分散体に活物質(A)と架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)とを加え、合材インキを得ることができる。
活物質(A)とバインダー同時に加えることもできるし、活物質(A)を加えた後、架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)を加えてもよいし、その逆であってもよい。
(3) 活物質(A)と樹脂型分散剤(D)と架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)と水性液状媒体(E)と含有する活物質の水性分散体を得、該水性分散体に導電助剤(B)を加え、合材インキを得ることができる。
(4) 導電助剤(B)と樹脂型分散剤(D)と架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)と水性液状媒体(E)と含有する導電助剤の水性分散体を得、該水性分散体に活物質(A)を加え、合材インキを得ることができる。
(5) 活物質(A)と導電助剤(B)と樹脂型分散剤(D)と架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)と水性液状媒体(E)をほとんど同時に混合し、合材インキを得ることができる。
(分散機・混合機)
合材インキを得る際に用いられる装置としては、顔料分散等に通常用いられている分散機、混合機が使用できる。
例えば、ディスパー、ホモミキサー、若しくはプラネタリーミキサー等のミキサー類;エム・テクニック社製「クレアミックス」、若しくはPRIMIX社「フィルミックス」等のホモジナイザー類;ペイントコンディショナー(レッドデビル社製)、ボールミル、サンドミル(シンマルエンタープライゼス社製「ダイノミル」等)、アトライター、パールミル(アイリッヒ社製「DCPミル」等)、若しくはコボールミル等のメディア型分散機;湿式ジェットミル(ジーナス社製「ジーナスPY」、スギノマシン社製「スターバースト」、ナノマイザー社製「ナノマイザー」等)、エム・テクニック社製「クレアSS−5」、若しくは奈良機械社製「MICROS」等のメディアレス分散機;または、その他ロールミル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、分散機としては、分散機からの金属混入防止処理を施したものを用いることが好ましい。
例えば、メディア型分散機を使用する場合は、アジテーター及びベッセルがセラミック製又は樹脂製の分散機を使用する方法や、金属製アジテーター及びベッセル表面をタングステンカーバイド溶射や樹脂コーティング等の処理をした分散機を用いることが好ましい。そして、メディアとしては、ガラスビーズ、または、ジルコニアビーズ、若しくはアルミナビーズ等のセラミックビーズを用いることが好ましい。また、ロールミルを使用する場合についても、セラミック製ロールを用いることが好ましい。分散装置は、1種のみを使用しても良いし、複数種の装置を組み合わせて使用しても良い。また、強い衝撃で粒子が割れたり、潰れたりしやすい正または負極活物質の場合は、メディア型分散機よりは、ロールミルやホモジナイザー等のメディアレス分散機が好ましい。
<下地層形成用組成物>
前記したように、本発明のキャパシタ電極形成用組成物は、合材インキとしても使用できる他、下地層形成用組成物としても使用できる。
下地層形成用組成物は、導電助剤(B)と架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)と樹脂型分散剤(D)と水性液状媒体(E)とを含有する。各成分については、合材インキの場合と同様である。
電極下地層に用いる組成物の総固形分に占める導電助剤(B)の割合は、5重量%以上、95重量%以下が好ましく、20重量%以上、80重量%以下が更に好ましい。導電助剤(B)が少ないと、下地層の導電性が保てない場合があり、一方、導電助剤(B)が多すぎると、塗膜の耐性が低下する場合がある。また、電極下地層インキの適正粘度は、電極下地層インキの塗工方法によるが、一般には、10mPa・s以上、30,000mPa・s以下とするのが好ましい。
<電極>
本発明の合材インキを、集電体上に塗工・乾燥し、合材層を形成し、キャパシタ用電極を得ることができる。
あるいは、本発明のキャパシタ電極形成用組成物のうち下地層形成用組成物を、集電体上に下地層を形成し、該下地層上に、合材層を設け、二次電池用電極を得ることもできる。下地層上に設ける合材層は、上記した本発明の合材インキ(1)〜(4)を用いて形成してもよいし、他の合材インキを用いて形成することもできる。
(集電体)
電極に使用する集電体の材質や形状は特に限定されず、各種キャパシタにあったものを適宜選択することができる。
例えば、集電体の材質としては、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、又はステンレス等の金属や合金が挙げられる。
又、形状としては、一般的には平板上の箔が用いられるが、表面を粗面化したものや、多孔質の発泡状のもの、穴あき箔状のもの、及びメッシュ状の集電体も使用できる。
集電体上に合材インキを塗工する方法としては、特に制限はなく公知の方法を用いることができる。
具体的には、ダイコーティング法、ディップコーティング法、ロールコーティング法、ドクターコーティング法、ナイフコーティング法、スプレーコティング法、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法または静電塗装法等が挙げる事ができ、乾燥方法としては放置乾燥、送風乾燥機、温風乾燥機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機などが使用できるが、特にこれらに限定されるものではない。
又、塗布後に平版プレスやカレンダーロール等による圧延処理を行っても良い。電極合材層の厚みは、一般的には1μm以上、500μm以下であり、好ましくは10μm以上、300μm以下である。また、下地層を具備する場合には下地層の厚みは、一般的には0.1μm以上、100μm以下であり、好ましくは0.5μm以上、50μm以下である。
(電解液)
電気二重層キャパシタ、およびリチウムイオンキャパシタの場合を例にとって説明する。電解液としては、電解質を非水系の溶剤に溶解したものを用いる。
電気二重層キャパシタの電解質としては、四フッ化ホウ酸テトラエチルアンモニウム(TEABF4)、四フッ化ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(TEMABF4)、トリエチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TEMATFSI)、テトラエチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TEATFSI)、テトラフルオロホウ酸スピロ−(1,1')− ビピロリジニウム(SBP−BF4)等が挙げられる。また、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(EMI−BF4)、ジエチルメチル(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボラート(DEME−BF4)、トリメチルプロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TMPA−TFSI)、ブチルメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(BMP−TFSI)等のイオン液体を用いることもできる。リチウムイオンキャパシタの場合はリチウムを含んだ電解質が用いられ、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiCF3SO3、Li(CF3SO22N、LiC49SO3、Li(CF3SO23C、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF2、LiSCN、又はLiBPh4等が挙げられるがこれらに限定されない。
電気二重層キャパシタの溶剤としては、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトンアセトニトリル等が主に用いられる。リチウムイオンキャパシタの非水系の溶剤としては特に限定はされないが、例えば、
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びジエチルカーボネート等のカーボネート類;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、及びγ−オクタノイックラクトン等のラクトン類;
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−メトキシエタン、1,2−エトキシエタン、及び
1,2−ジブトキシエタン等のグライム類;
メチルフォルメート、メチルアセテート、及びメチルプロピオネート等のエステル類;
ジメチルスルホキシド、及びスルホラン等のスルホキシド類;並びに、
アセトニトリル等のニトリル類等が挙げられる。又これらの溶剤は、それぞれ単独で使用しても良いが、2種以上を混合して使用しても良い。
さらに上記電解液を、ポリマーマトリクスに保持しゲル状とした高分子電解質とすることもできる。ポリマーマトリクスとしては、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するアクリレート系樹脂、ポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリホスファゼン系樹脂、及びポリアルキレンオキシドセグメントを有するポリシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されない。
(セパレーター)
セパレーターとしては、例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリアミド不織布及びそれらに親水性処理を施したものが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
(キャパシタ構造・構成)
本発明の組成物を用いたキャパシタの構造については特に限定されないが、通常、正極及び負極と、必要に応じて設けられるセパレーターとから構成され、ペーパー型、円筒型、ボタン型、積層型等、使用する目的に応じた種々の形状とすることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。尚、実施例および比較例における「部」は「重量部」を表す。
<樹脂型分散剤(D)の合成>
(合成例1)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブタノール200.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、スチレン100.0部、アクリル酸60.0部、4−ヒドロキシブチルアクリレート40.0部、およびV−601(和光純薬工業製)12.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬工業製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、共重合体(1)溶液を得た。また、共重合体(1)の酸価は219.1(mgKOH/g)であった。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール74.2部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を400部添加して水性化した後、100℃まで加熱し、ブタノールを水と共沸させてブタノールを留去した。
水で希釈し、不揮発分20%の樹脂型分散剤(1)の水溶液ないし水性分散体を得た。また、不揮発分20%の樹脂型分散剤(1)の水溶液の粘度は、40mPa・sであった。
(合成例2〜22、26〜30)
表1に示す配合組成で、合成例1と同様の方法で合成し、合成例2〜22、26〜30の分散剤を得た。
(合成例23)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、ブタノール200.0部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を55℃に加熱して、スチレン100.0部、アクリル酸60.0部、酢酸ビニル78.2部、およびV−601(和光純薬工業製)12.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−55(和光純薬工業製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、共重合体(23)溶液を得た。また、共重合体(23)の酸価は219.1(mgKOH/g)であった。
さらに、室温まで冷却した後、反応容器内を40℃として50%水酸化ナトリウム水溶液を加えて酢酸ビニルを100%鹸化、かつアクリル酸を100%中和した。さらに、中和、析出、洗浄、濾過等の後処理を行って酢酸ナトリウムを除去し、表1に示す組成の共重合体を得た。その後、水で希釈し、不揮発分20%の樹脂型分散剤(23)の水溶液ないし水性分散体を得た。また、不揮発分20%の樹脂型分散剤(23)の水溶液の粘度は、40mPa・sであった。
(合成例24、25)
表1に示す構造単位の重量比となるよう、合成例23と同様の方法で合成し、合成例24、25の分散剤を得た。
Figure 0006244783
表1の各構造単位の数値は重量部を表す。
St:スチレン
BzMA:ベンジルメタクリレート
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
DM:ジメチルアミノメタクリレート
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート
2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
VA:ビニルアルコール
BMA:ブチルメタクリレート
DMAE:ジメチルアミノエタノール
<バインダー(C)の作製>
<樹脂微粒子水分散体の調製>
[合成例31]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水40部と界面活性剤としてアデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製)0.2部とを仕込み、別途、メチルメタクリレート48.5部、ブチルアクリレート50部、アクリル酸1部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.5部、イオン交換水53部および界面活性剤としてアデカリアソープSR−10(株式会社ADEKA製)1.8部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1%をさらに加えた。内温を70℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部の10%を添加し重合を開始した。反応系内を70℃で5分間保持した後、内温を70℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液の残りを3時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却した。25%アンモニア水を添加して、pHを8.5とし、さらにイオン交換水で固形分を50%に調整して樹脂微粒子水分散体を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
[合成例32〜51]
表2、表3、表4に示す配合組成で、合成例31と同様の方法で合成し、合成例32〜51の樹脂微粒子水分散体を得た。また、表3の樹脂微粒子水分散体は、表3に示すベースとなる樹脂微粒子分散体と下記の化合物(F)を混合して得た。ただし、合成例50、51は乳化重合時に樹脂が凝集し、目的の樹脂微粒子を得ることができなかった。尚、表2〜4中の数値は重量部を表す。
<化合物(F)(エポキシ基含有化合物)>
[製造例1]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器にイソプロピルアルコール20部、水20部を仕込み、別途、メチルメタクリレート40部、メチルアクリレート40部、グリシジルメタクリレート20部を滴下槽1に、また、過硫酸カリウム2部をイソプロピルアルコール30部および水30部に溶解させて滴下槽2に仕込んだ。内温を80℃に昇温し十分に窒素置換した後、滴下槽1、2を2時間かけて滴下し、重合を行った。滴下終了後、内温を80℃に保ったまま1時間攪拌を続け、固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却し、固形分50%のエポキシ基含有化合物(メチルメタクリレート/メチルアクリレート/グリシジルメタクリレート共重合体)溶液を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
<化合物(F)(アミド基含有化合物の製造)>
[製造例2]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、水90部を仕込み、別途、アクリルアミド20部を滴下槽1に、また、過硫酸カリウム2部を水90部に溶解させて滴下槽2に仕込んだ。内温を80℃に昇温し十分に窒素置換した後、滴下槽1、2を2時間かけて滴下し、重合を行った。滴下終了後、内温を80℃に保ったまま1時間攪拌を続け、固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却し、固形分10%のアミド基含有化合物(ポリアクリルアミド)溶液を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
[製造例3]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、水40部を仕込み、別途、2−エチルヘキシルアクリレート40部、スチレン40部、ジメチルアクリルアミド20部を滴下槽1に、また、過硫酸カリウム2部を水60部に溶解させて滴下槽2に仕込んだ。内温を80℃に昇温し十分に窒素置換した後、滴下槽1、2を2時間かけて滴下し、重合を行った。滴下終了後、内温を80℃に保ったまま1時間攪拌を続け、固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却し、固形分50%のアミド基含有化合物(2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン/ジメチルアクリルアミド共重合体)溶液を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
<化合物(F)(水酸基含有化合物)>
[製造例4]
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール20部、水20部を仕込み、別途、メチルメタクリレート40部、ブチルアクリレート40部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部を滴下槽1に、また、過硫酸カリウム2部をイソプロピルアルコール30部および水30部に溶解させて滴下槽2に仕込んだ。内温を80℃に昇温し十分に窒素置換した後、滴下槽1、2を2時間かけて滴下し、重合を行った。滴下終了後、内温を80℃に保ったまま1時間攪拌を続け、固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却し、固形分50%の水酸基含有化合物(メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体)溶液を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。
Figure 0006244783
Figure 0006244783
Figure 0006244783
なお、表2および表4中の製品名の説明は以下のとおりである。
アデカリアソープSR−10;アルキルエーテル系アニオン界面活性剤(株式会社ADEKA製)
アデカリアソープER−20;アルキルエーテル系ノニオン界面活性剤(株式会社ADEKA製)
エポキシ樹脂;製品名アデカレジンEM−1-60L、株式会社ADEKA製、エポキシ当量320、ビスフェノールA−エピクロロヒドリン型エポキシ樹脂
オキサゾリン含有アクリル・スチレン樹脂;製品名エポクロスK−2020E、株式会社日本触媒製、オキサゾリン当量550
(キャパシタ電極用炭素材料分散体)
導電助剤である炭素材料としてアセチレンブラック(デンカブラックHS−100)11部、合成例(1)に記載の樹脂型分散剤(1)の水溶液ないし水性分散体を35部(固形分として7部)、水14部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、キャパシタ電極用炭素材料分散体(1)を得た。
表5に示す配合組成で、キャパシタ電極用炭素材料分散体(1)と同様の方法でキャパシタ電極用炭素材料分散体(2)〜(34)を得た。
(キャパシタ電極形成用組成物)
表5に示すキャパシタ電極用炭素材料分散体30部と、固形分で6重量部となる量の表2〜4に示す樹脂微粒子水分散体を混合してキャパシタ電極形成用組成物を得た(表6)。また、キャパシタ電極形成用組成物の分散度を、グラインドゲージによる判定(JIS K5600−2−5に準ず)より求めた。評価結果を表6に示す。表中の数字は粗大粒子の大きさを示し、数値が小さいほど分散性に優れ、均一なキャパシタ電極形成用組成物であることを示している。
(キャパシタ電極形成用組成物から得られる電極の電解液溶出性)
キャパシタ電極形成用組成物から得られる電極の電解液への溶出は、キャパシタ電極形成用組成物を用いてキャパシタを作製した後の電極崩壊、集電体からの電極層の剥離によるキャパシタ特性劣化を引き起こしてしまうため、その溶出が見られないことが望ましい。電解液溶出性の評価は次のように行なった。表6に示すキャパシタ電極形成用組成物を厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥して厚み5μmのキャパシタ電極形成用組成物塗膜を作製した。得られた塗膜を非水系電解液溶媒(プロピレンカーボネート)に浸して60℃の環境下で5日間保管後、塗膜の状態を観察した。評価基準を下記に示し、評価結果を表6に示す。
○:「塗膜の崩壊、剥離は見られない」
△:「塗膜の部分的な崩壊、剥離が見られる」
×:「塗膜の大部分が崩壊、剥離している」
Figure 0006244783
A:アセチレンブラック、デンカブラックHS−100(電気化学工業社製)
F:ファーネスブラック、Super−P Li (TIMCAL社製)
HEC:ヒドロキシエチルセルロース
Figure 0006244783
<電気二重層キャパシタ用正極、負極用合材インキ>、<正極、負極>
[実施例26]
活物質として活性炭(比表面積1800m2/g)85部、樹脂型分散剤(合成例1)の水溶液17.5部(樹脂固形分として3.5部)導電助剤(アセチレンブラック)5.5部、合成例31で合成したバインダー12部(固形分として6部)、水130部を混合して、正極、負極用合材インキを作製した。
上述の電気二重層キャパシタ用合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥した後にロールプレスによる圧延処理を行い、電極の厚みが50μmとなる正極および負極を作製した。
[実施例27〜31]、[比較例10〜19]
表7に示す活物質、導電助剤、樹脂型分散剤、キャパシタ電極用炭素材料分散体、キャパシタ電極形成用組成物及び、樹脂微粒子水分散体の組み合せを変えて、キャパシタ電極用合材インキの最終固形分が40重量%となるように水を加えた以外は実施例26と同様にして、キャパシタ電極用合材インキ、および正極、負極を得た。なお、表7に示す部数は重量部を表す。
(電極の電解液溶出性)
上記で作製した電極の電解液溶出性を、キャパシタ電極形成用組成物と同様の方法により求めた。評価結果を表8に示す。
(電極の柔軟性)
上記で作製した電極を短冊状にして集電体側を直径3mmの金属棒に接するように巻きつけ、巻きつけ時に起こる電極表面のひび割れを、目視観察により判定した。ひび割れが起こらないものほど、柔軟性が良い。評価結果を表8に示す。
○:「ひび割れなし(実用上問題のないレベル)」
○△:「ごくまれにひび割れが見られる(問題があるが、使用可能レベル)」
△:「部分的にひび割れが見られる」
×:「全体的にひび割れが見られる」
(電極の密着性)
上記で作製した電極に、ナイフを用いて電極表面から集電体に達する深さまでの切込みを2mm間隔で縦横それぞれ6本の碁盤目の切込みを入れた。この切り込みに粘着テープを貼り付けて直ちに引き剥がし、活物質の脱落の程度を目視判定で判定した。評価基準を下記の通りであり、評価結果を表8に示す。
○:「剥離なし(実用上問題のないレベル)」
○△:「わずかに剥離(問題はあるが使用可能レベル)」
△:「半分程度剥離」
×:「ほとんどの部分で剥離」
<電気二重層キャパシタ>
表8に示す正極と負極をそれぞれ直径16mmに打ち抜き、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)と、電解液(プロピレンカーボネート溶媒に(TEMABF4(四フッ化ホウ素トリエチルメチルアンモニウム)を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)とからなる電気二重層キャパシタを作製した。アルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で作製を行い、電気二重層キャパシタ作製後、所定の電気特性評価を行った。
(出力特性)
充放電装置(北斗電工(株)製SD8)を用いて電気二重層キャパシタを充電し、2.3Vを印加しながら60℃で1000時間保存し、キャパシタ内部抵抗を測定し、保存前後の抵抗変化率を求めた。また、内部抵抗測定はキャパシタセルの室温(25℃)における1kHzの交流インピーダンスの測定値から算出した。交流インピーダンスは電気化学測定装置(Bio−Logic社製SP−150)を用いて測定した。評価結果を表8に示す。
○:「抵抗変化率が5%未満(実用上問題のないレベル)」
△:「抵抗変化率が10%未満(問題あるが使用可能レベル)」
×:「抵抗変化率が10%以上(問題あり)」
(充放電サイクル特性)
充放電装置(北斗電工(株)製SD8)を用いて充電電流10Cレートにて充電終止電圧2.0Vまで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧0Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして5サイクルの充電・放電を繰り返し、5サイクル目の放電容量を初回放電容量とした。また、充放電電流レートは、セル容量を1時間で放電出来る電流の大きさを1Cとした。
次に、50℃恒温槽にて充電電流10Cレートにて充電終止電圧2.0Vで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧0Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電サイクルを500回行い、初回放電容量に対する500サイクル目の放電容量の割合から放電容量維持率(%)を算出した(100%に近いほど良好)。評価結果を表8に示す。
○:「放電容量維持率が95%以上。特に優れている。」
○△:「放電容量維持率が90%以上、85%未満。全く問題なし。」
△:「放電容量維持率が85%以上、80%未満。問題はあるが使用可能なレベル。」
×:「放電容量維持率が85%未満。実用上問題あり、使用不可。」
Figure 0006244783
A:アセチレンブラック、デンカブラックHS−100(電気化学工業社製)
F:ファーネスブラック、Super−P Li (TIMCAL社製)
HEC:ヒドロキシエチルセルロース、CMC:カルボキシメチルセルロース
PTFE:ポリテトラフッ化エチレン
Figure 0006244783
<リチウムイオンキャパシタ用正極、負極用合材インキ>、<正極、負極>
[実施例32]
活物質として活性炭(比表面積1800m2/g)85部、樹脂型分散剤(合成例3)の水溶液17.5部(樹脂固形分として3.5部)導電助剤(アセチレンブラック)5.5部、合成例32で合成したバインダー12部(固形分として6部)、水130部を混合して、リチウムイオンキャパシタ正極用合材インキを作製した。
上述のリチウムイオンキャパシタ用合材インキを、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥した後にロールプレスによる圧延処理を行い、電極の厚みが50μmとなる正極を作製した。
[実施例33〜37]、[比較例20〜29]
表9に示す活物質、導電助剤、樹脂型分散剤、キャパシタ電極用炭素材料分散体、キャパシタ電極形成用組成物及び、樹脂微粒子水分散体の組み合せを変えて、キャパシタ電極用合材インキの最終固形分が40重量%となるように水を加えた以外は実施例32と同様にして、リチウムイオンキャパシタ正極用合材インキ、および正極を得た。なお、表9に示す部数は重量部を表す。
[実施例38]
負極活物質として人造黒鉛89部、導電助剤としてアセチレンブラック4.4部、樹脂型分散剤(合成例1)の水溶液9部(樹脂固形分として1.8部)、合成例31で合成した樹脂微粒子水分散体9.6部(固形分として4.8部)、水84部を混合して、リチウムイオンキャパシタ負極用合材インキを作製した。
上述のリチウムイオンキャパシタ用負極用合材インキを、集電体となる厚さ20μmの銅箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、減圧加熱乾燥してロールプレスによる圧延処理を行った後、厚みが45μmとなる負極を作製した。
[実施例39〜43]、[比較例30〜39]
表10に示す活物質、導電助剤、樹脂型分散剤、二次電池電極用炭素材料分散体、二次電池電極形成用組成物及び、樹脂微粒子水分散体の組み合せを変えて、リチウムイオンキャパシタ負極用合材インキの最終固形分が50重量%となるように水を加えた以外は実施例38と同様にして、リチウムイオンキャパシタ負極用合材インキ、および負極を得た。なお、表10に示す部数は重量部を表す。
得られたリチウムイオンキャパシタ用正極、負極用合材インキ、及び正極、負極について電気二重層キャパシタ電極用組成物及び電極と同様に合材インキの分散度、電極の溶出性、柔軟性、密着性を評価した。合材インキの評価結果を表9、10に、電極の評価結果を表11、12に示す。
Figure 0006244783
A:アセチレンブラック、デンカブラックHS−100(電気化学工業社製)
F:ファーネスブラック、Super−P Li (TIMCAL社製)
HEC:ヒドロキシエチルセルロース、CMC:カルボキシメチルセルロース
PTFE:ポリテトラフッ化エチレン
Figure 0006244783
A:アセチレンブラック、デンカブラックHS−100(電気化学工業社製)
F:ファーネスブラック、Super−P Li (TIMCAL社製)
HEC:ヒドロキシエチルセルロース、CMC:カルボキシメチルセルロース
PTFE:ポリテトラフッ化エチレン
<リチウムイオンキャパシタ>
表11、12に示す正極と、あらかじめリチウムイオンのハーフドープ処理を施した負極を、それぞれ直径16mmの大きさで用意し、その間に挿入されるセパレーター(多孔質ポリプロピレンフィルム)と、電解液(エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとジエチルカーボネートを1:1:1(体積比)の割合で混合した混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させた非水系電解液)とからなるリチウムイオンキャパシタを作製した。リチウムイオンのハーフドープは、ビーカーセル中で負極とリチウム金属の間にセパレーターを挟み、負極容量の約半分の量となるようリチウムイオンを負極にドープして行った。また、リチウムイオンキャパシタはアルゴンガス置換したグロ−ブボックス内で作製を行い、リチウムイオンキャパシタ作製後、所定の電気特性評価を行った。正極の評価結果を表11に示し、負極の評価結果を表12に示す。
得られたリチウムイオンキャパシタについて、充放電装置(北斗電工(株)製SD8)を用いて充放電測定を行った。
(出力特性)
リチウムイオンキャパシタを充電し、4.0Vを印加しながら60℃で1000時間保存し、キャパシタ内部抵抗を測定し、保存前後の抵抗変化率を求めた。また、内部抵抗測定はキャパシタセルの室温(25℃)における1kHzの交流インピーダンスの測定値から算出した。交流インピーダンス測定は電気化学測定装置(Bio−Logic社製SP−150)を用いた。評価基準を下記の通りであり、評価結果を表11、12に示す。
○:「抵抗変化率が5%未満(実用上問題のないレベル)」
△:「抵抗変化率が10%未満(問題あるが使用可能レベル)」
×:「抵抗変化率が10%以上(問題あり)」
(充放電サイクル特性)
充電電流10Cレートにて充電終止電圧4.0Vまで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧2.0Vに達するまで定電流放電を行った。これらの充電・放電サイクルを1サイクルとして5サイクルの充電・放電を繰り返し、5サイクル目の放電容量を初回放電容量とした。
次に、50℃恒温槽にて充電電流10Cレートにて充電終止電圧4.0Vで充電を行った後、放電電流10Cレートで放電終止電圧2.0Vに達するまで定電流放電を行った。この充放電サイクルを500回行い、初回放電容量に対する500サイクル目の放電容量の割合から放電容量維持率(%)を算出した(100%に近いほど良好)。評価基準を下記の通りであり、評価結果を表11、12に示す。
○:「放電容量維持率が95%以上。特に優れている。」
○△:「放電容量維持率が90%以上、95%未満。全く問題なし。」
△:「放電容量維持率が85%以上、90%未満。問題はあるが使用可能なレベル。」
×:「放電容量維持率が85%未満。実用上問題あり、使用不可。」
Figure 0006244783
Figure 0006244783
表8、11、12に示すように、本発明のキャパシタ電極形成用組成物を用いた場合、分散剤とバインダーの最適な組み合わせを使用することにより、活物質、または導電助剤が合材インキ中で均一に分散されており、電極の柔軟性、密着性のバランスが取れ、キャパシタ特性においても、出力、充放電サイクル特性が向上すると考えられる。
このことについては、活物質または導電助剤が、合材インキ中での分散制御が不十分な場合、電極とした時の均一な導電ネットワークが形成されないために、電極中で部分的凝集に起因する抵抗分布が生じてしまい、キャパシタとして使用した際の電流集中が起こるために劣化促進を引き起こしているのではないかと考察している。
また、導電助剤または活物質の分散制御が不十分な場合、電極の密着性も不十分な傾向が見られている。特に導電助剤の分散制御が不十分な場合、その傾向は顕著である。
また、本発明は、分散剤とバインダーの最適な組み合わせにより、電極塗膜の電解液に対する溶出性を抑制や、柔軟性や、密着性を改善させることで電極の崩壊や剥離を防ぎ、出力特性やサイクル特性が向上しているものと考えられる。比較例のように、分散剤とバインダーの相性が悪い場合は、電極の崩壊や剥離による電極の抵抗増加や電極の劣化を引き起こし、最終的にキャパシタの耐久性が低下すると考えられる。
そのため、本発明のキャパシタ電極形成用組成物を使用した場合においては、活物質、導電助剤が合材インキ中で均一に分散され、さらに、分散剤とバインダーの組み合わせが良好であることにより、電極塗膜の電解液に対する溶出性を抑制させることで電極の崩壊や剥離を防いでキャパシタ反応の阻害を低減し、改善が可能になったと考えられる。
また、キャパシタで一般的に使用される活物質は、比表面積が大きく、細かい粒子径で均一に分散させることが困難である。これらの活物質や導電助剤を均一にするだけでなく、より細かく分散させた組成物を用いることで、細かな粒子が均一で、かつ密に接触した状態の、導電性に優れた合材層を作製することが可能である。その結果、キャパシタの出力特性やサイクル特性が向上できたものと考えられる。
[実施例44〜47、比較例40〜43]
表13、14に示すキャパシタ電極形成用組成物を、集電体となる厚さ20μmのアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布した後、加熱乾燥し、厚みが1.5μmとなるように下地層を形成した。
次いで、前記下地層上に表7、9に示す電気二重層キャパシタ正極、負極用合材インキ、リチウムイオンキャパシタ正極用合材インキを塗布した後、減圧加熱乾燥して、上述と同様にして評価を行った。リチウムイオンキャパシタの負極には、実施例46、47および比較例42、43では実施例39を用いた。評価結果を表13、14に示す。
Figure 0006244783
*下地層に使用した電極形成用組成物の値である
Figure 0006244783
*下地層に使用した電極形成用組成物の値である
表13、14に示すように、本発明のキャパシタ電極形成用組成物を下地層へ用いた実施例44〜47の場合、下地層を使用しない表8の実施例28、表11の実施例32の評価結果と比較して、さらに良好となっていることが分かる。このことは、本発明のキャパシタ電極形成用組成物が、集電体と合材層との密着部分をより均一、かつ強固にしたためと考えられる。しかしながら、比較例40〜43では比較例3、6、4、8の下地層用のキャパシタ電極形成用組成物の分散状態、電解液への耐溶出性が不十分であり、電極とした場合においても、下地層を使用しない実施例28、32の評価結果と比較して劣る結果であった。このことは、集電体と合材層との密着状態がかえって不十分な状態となってしまったため、下地層を使用しない場合よりも電極として不均一な状態になってしまったためと考えられる。そのため、出力特性や充放電サイクル特性の改善には繋がらなかったと考えられる。

Claims (9)

  1. 電極活物質(A)または導電助剤(B)の少なくとも一方と、架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)と、下記構造単位を有する共重合体中のカルボキシル基またはアミノ基の少なくとも一部を中和してなる樹脂型分散剤(D)と、水性液状媒体(E)とを含有する、キャパシタ電極形成用組成物。
    芳香環を有する構造単位(d1):5〜70重量%
    カルボキシル基またはアミノ基を有する構造単位(d2):15〜60重量%
    水酸基を有する構造単位(d3):1〜80重量%
    前記(d1)〜(d3)以外のその他の構造単位(d4):0〜79重量%
    (但し、前記(d1)〜(d4)の合計を100重量%とする)
  2. 電極活物質(A)が比表面積50〜5000m2/gの電極活物質(A)を含んでなる、請求項1に記載のキャパシタ電極形成用組成物。
  3. 電極活物質(A)が活性炭である、請求項1または2に記載のキャパシタ電極形成用組成物。
  4. 架橋型樹脂微粒子が、下記単量体を水中にて界面活性剤の存在下、ラジカル重合開始剤によって乳化重合してなる樹脂微粒子であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のキャパシタ電極形成用組成物。
    (C1)1つ又は2つ以上のアルコキシシリル基を有するエチレン性不飽和単量体(c1)、および1分子中に2つ以上のエチレン性不飽和基を有する単量体(c2)からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体:0.1〜5重量%
    (C2)前記単量体(c1)〜(c2)以外のエチレン性不飽和単量体(c3):95〜99.9重量%
    (但し、前記(c1)〜(c3)の合計を100重量%とする)
  5. エチレン性不飽和単量体(c3)が、下記組成であることを特徴とする請求項4記載のキャパシタ電極形成用組成物。
    1つ又は2つ以上のエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(c4)、1つ又は2つ以上のアミド基を有するエチレン性不飽和単量体(c5)、および1つ又は2つ以上の水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c6)からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体:0.1〜20重量%
    前記単量体(c1)、(c2)、(c4)〜(c6)以外のエチレン性不飽和単量体(c7):75〜99.8重量%
    (但し、前記(c1)〜(c3)の合計を100重量%とする)
  6. エチレン性不飽和単量体(c7)が、下記組成であることを特徴とする請求項5記載のキャパシタ電極形成用組成物。
    炭素数8〜18のアルキル基を有するエチレン性不飽和単量体(c8)、および環状構造を有するエチレン性不飽和単量体(c9)からなる群より選ばれる少なくとも1つの単量体:30〜95重量%
    前記(c1)、(c2)、(c4)〜(c6)、(c8)、(c9)以外のエチレン性不飽和単量体:0〜69.8重量%
    (但し、前記(c1)〜(c3)の合計を100重量%とする)
  7. 架橋型樹脂微粒子を含むバインダー(C)が、未架橋のエポキシ基含有化合物、未架橋のアミド基含有化合物、未架橋の水酸基含有化合物、および未架橋のオキサゾリン基含有化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの未架橋の化合物(F)を含むことを特徴とする、請求項1〜6いずれか記載のキャパシタ電極形成用組成物。
  8. 集電体と、請求項1〜7いずれか記載のキャパシタ電極形成用組成物から形成される合材層もしくは電極下地層の少なくも一層とを具備するキャパシタ用電極。
  9. 正極と負極と電解液とを具備するキャパシタであって、前記正極もしくは前記負極の少なくとも一方が請求項8記載のキャパシタ用電極である、キャパシタ。
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