JP6468531B2 - コードガイド機構および該コードガイド機構を備えたミシン - Google Patents
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Description
ミシンを使ってコード等を上糸、下糸からなる本縫いによって布に縫いつけるには、コード等を針落ち位置に確実に案内する必要があり、そのためのコードガイド機構を設けたミシンが広く知られている。
とくに、刺繍専用機ではない家庭用ミシンにおいてコード縫いを行う場合には、より簡易で取り付け取り外しが容易なコードガイド機構が求められており、ときには刺繍データによる自動刺繍装置によらず、布を手で動かしてコード縫いを行えることが求められることもあった。
また、本発明のミシンは、上記課題を解決するため、上記のいずれかのコードガイド機構を備えたことを特徴とする構成を採用する。
そして、ガイド支持盤と押さえホルダーのいずれか一方または両方をガイド取り付け棒に取り付けるだけでミシン本体に位置決め固定することができ、取り付け取り外しが容易である。
また、コードガイドおよびガイド支持盤は針孔を中心とした円盤状をなしているので、コードガイドおよびガイド支持盤が縫い針の上昇に伴う布の上昇を抑える布押さえの役割を果たし、別途複雑な布押さえの機構を必要しない。
本発明のコードガイド機構は、このように簡素でコンパクトな構造でありながら、コード等を縫い位置に確実に案内することができ、取り付け取り外しも容易で使い勝手のよいものとなった。
また、針孔に対して角度センサーにより検出された布の動いた方向と反対方向にガイド孔が位置するようにコードガイドを回転させる駆動手段を備えている実施形態では、コードガイドを回転させる力は駆動手段が担うので、布の移動をより軽快に行うことができる。
ガイド取り付け棒1の下端には、コードガイド機構Gがホルダー腕10を介してボルト11によって取り付けられている。
コードガイド機構Gは、縫い針2を通す針孔6とコードCを通すガイド孔7とを有する円盤状のコードガイド5と、コードガイド5の下面を支持するガイド支持盤4と、コードガイド5の上面を規制するとともにホルダー腕10によってガイド取り付け棒1に装着される押さえホルダー3とを備えている。
コードガイド5の下部には、後述するローラ25が布Nに接するように取り付けられている。
図1中のNは刺繍が縫いつけられる布であり、図示しないミシンのベッド上において刺繍枠などによりXY方向に移動可能になっている。C1は布Nに縫いつけられたコードであり、破線で示されるC2はコードCが縫いつけられる予定の軌跡を示している。
ホルダー腕10には、ガイド取り付け棒1が嵌挿される凹部13が、上部から軸方向に延びて互いに直交する3つの面13a,13b,13cを形成し、互いに直交する2つの面13a,13b、または13b,13cによって押さえホルダー3がガイド取り付け棒1に対して平面視で位置決めされるようになっている。
これらの凹部13の各面およびボルト横穴14が、押さえホルダー3を介してコードガイド機構Gをミシンに対して位置決めする位置決め手段を構成している。
押さえ上板15の外周縁の向かい合う2箇所からは連結部16が垂設され、連結部16の下端には内方に突出するフック部17が設けられている。
図3に示すように、コードガイド5の中心に穿設された針孔6の中心から所定距離dだけ偏心してガイド孔7が穿設され、該ガイド孔7は、コードCを上方から通して下方で針落ち点に案内する役割を果たす。
また、コードガイド5の基盤20の下面からは、ガイドアーム24が針孔6を挟んで斜め下方に延び、平面視で針孔6とガイド孔7の中心を結ぶX−X線に平行な方向に針孔6の中心から所定距離Lだけ離隔して軸孔27が設けられている。
なお、回転軸26に嵌合するローラ25の形状は、回転軸26を対称軸とする回転体であればよく、円筒状のローラに限らず、球状でも断面が楕円状のものでもよい。
底板30の上面はコードガイド5の基盤20の下面を支持しており、ガイドアーム24は底板30の内周より内側の基盤20下面から突出して、コードガイド5の自由な回転を保証している。
周壁31の高さは、基盤20の上面21の高さよりわずかに高く設定され、底板30の下面が連結部16のフック部17に係合したとき、周壁31の上端が押さえ上板15に当接するようになっており、上面21と押さえ上板15の下面とは摩擦摺動せずコードガイド5がなめらかに回転するようになっている。
まず、図2の状態からコードガイド機構Gを組み立てるには、ローラ25を回転軸26によってガイドアーム24を介してコードガイド5の下部に取り付ける。
ローラ25を底板30の内周側に挿入しながら、コードガイド5の基盤20をガイド支持盤4の周壁31の内方に嵌入し、底板30の上面で基盤20の下面周縁部を支持する。
コードガイド5を支持した状態で、ガイド支持盤4の切欠き部32に連結部16をあてがい押さえホルダー3の上方から押圧していくと、フック部17が底板30の外周縁を乗り越えて底板30の下面に係合し、押さえホルダー3とガイド支持盤4とが連結される。
組み立てられたコードガイド機構Gは、ホルダー腕10のボルト横穴14にボルト11を嵌入させながらガイド取り付け棒1が凹部13の面13aに当接するまで、またはボルト11がボルト横穴14の端部に当接するまで水平移動させる。
その後、ボルト11を締め込んでガイド取り付け棒1が面13aと面13cとの間に嵌入するようになると、ガイド取り付け棒1が面13cに当接するようにホルダー腕10を位置決めしながらさらにボルト11を締め込み、コードガイド機構Gはガイド取り付け棒1に当接する面13b,面13c、およびボルト11とボルト横穴14によってミシン本体に対して位置決め固定される[図3(a)参照]。
図4(c)に示すように、布NがT方向に移動させられると、ローラ25は針孔6の中心、すなわちコードガイド5の中心から距離Lだけ離隔した位置で布Nに接しているから、ガイドアーム24がT方向を向くようにコードガイド5が回転し、ガイド孔7と針孔6を結ぶX−X線がT方向と一致して、ガイド孔7が針落ち点(針孔の中心)からT方向と反対の延長線上に位置するようになる。
布Nの移動方向Tを変えていくと、図5,図6に示すように、布Nの動きに追従してガイド孔7と針孔6を結ぶX−X線がT方向に一致するようにコードガイド5が回転する。
そのため、ガイド孔7は常にT方向と反対方向で予定軌跡C2上に位置決めされ、縫い針2がコードCをとらえて縫い続けることができる。
なお、ガイド孔7を通ったコードCが針落ち点からぶれないためには、コードガイド5の下面と布Nの隙間はできるだけ小さいことが望ましい。
また、コードガイド5とガイド支持盤4は針孔6を中心とした円盤状であり下面と布Nとの隙間も狭く、ローラ25も布Nに接しているので、ローラ25やコードガイド5、ガイド支持盤4の下面は布Nの上昇を抑える布押さえの役割を果たし、別途布押さえの機構を必要としない。
さらに、押さえホルダー3のホルダー腕10をガイド取り付け棒1に取り付けるだけでコードガイド機構Gをミシン本体に固定することができ、刺繍専用機ではない家庭用ミシンなどでも容易に利用できる。
以下、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
操作受け部43は、基盤20の下面に突設され、ガイドアーム24の外方側で、かつガイド支持盤4の底板30内周縁より内側に設けられている。
本実施例では、差し込み片41は扁平な板状部材で、差し込み口44は差し込み片41に対応した長方形の入り口を有するものであるが、ガイド支持盤4の下面と布Nとの小さな隙間に設けることができれば、このような形状には限定されない。
枠体45は、芯だし孔18が設けられたリング状の上板46と、上板46の外周縁から垂設された外周壁47とからなり、外周壁47には、下端に開口を有しクランク状に折曲して周方向に延びる鈎状穴48と、鈎状穴48の周方向反対側の下端には所定周範囲に切り欠かれた連結凹部49が設けられている。
連結凸部51には、留めねじ53が貫通する留め孔52が設けられている。
連結凸部51は、嵌合突起50を鈎状穴48の下端開口から嵌入してガイド支持盤4を回転させたとき、嵌合突起50が鈎状穴48の折曲して周方向に延びる部分に嵌合するまでの回転を許容する範囲で、連結凹部49内で周方向に摺動可能な形状とされている。
本実施例では、嵌合突起50は鈎状穴48の周方向幅の約半分の幅を有する板状体であり、連結凸部51は連結凹部49の周方向幅の約半分の幅を有する板状体をなしている。
まず、コードガイド機構Gを組み立てるには、図7(a)の状態からローラ25と操作受け部43を底板30の内周側に挿入しながら、コードガイド5の基盤20をガイド支持盤4の周壁31の内方に嵌入し、底板30の上面で基盤20の下面周縁部を支持する。
コードガイド5を支持した状態で、ガイド支持盤4の嵌合突起50を鈎状穴48の下端開口から嵌入しつつ、周壁31を枠体45内に嵌入していく。
嵌合突起50が鈎状穴48の上端に当接し、連結凸部51が連結凹部49に当接したとき、ガイド支持盤4を回転させ、嵌合突起50を鈎状穴48の折曲して周方向に延びる部分に嵌入させる。
この状態で、留めねじ53を留め孔52から挿入して押さえホルダー3の図示しないねじ孔に螺合し、押さえホルダー3とガイド支持盤4との相対移動を阻止して連結する[図7(b)参照]。
本実施例では、これらの鈎状穴48、連結凹部49、嵌合突起50、連結凸部51、留めねじ53が押さえホルダー3とガイド支持盤4との連結手段を構成している。
本実施例のコードガイド機構Gは、操作レバー40の差し込み片41をコードガイド5の差し込み口44に嵌入することによって、コードガイド5を操作レバー40の操作により容易に回転させることができる。
そのため、布NにコードCを縫いつけ始めるときに、針孔6が縫いつけ開始の針落ち点に一致するように布Nを動かした後、操作レバー40を操作することによってガイド孔7をコードの予定軌跡C2上に位置させることができ、縫いつけ開始点においてコードガイド5を簡単に位置合わせすることができる。
その後、布Nの動きに追従してガイド孔7が予定軌跡C2上に位置するようにコードガイド5が回転するコードガイド機構Gの作用効果については第1実施例で述べたと同様である。
以下、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
駆動ギア62の軸64には、図示しない角度センサーからの情報に基づいて軸64を回転させるパルスモータ63が取り付けられ、パルスモータ63は基台66内に回動不能に装着される。
本実施例では、基盤20の外周に設けられた従動ギア61が伝導歯車を構成しているが、基盤20とは別体でコードガイド5に回転を伝える伝導歯車を設けてもよい。
ガイド支持盤4は、周壁31の内周側にコードガイド5とともに駆動ギア62を収容、支持するように底板30が設けられ、底板30のコードガイド5を支持する部位には、基盤20の下部に同心円状に突設された押さえ凸部65が嵌入する押さえ孔75が設けられている。
押さえ凸部65は、ガイド孔7が配設される大きさの径に設定され、押さえ凸部65より外周側の基盤20の下面外周縁が底板30により支持される。
ガイド支持盤4が押さえホルダー3に連結されたとき、周壁31は、上端が基台66と押さえ上板67の下面に当接する高さに設定されている。
なお、押さえホルダー3とガイド支持盤4との連結手段は種々の形態が可能であり、このようなねじによる結合に限定されない。
また、コードガイド5のミシン本体に対する位置決めが、押さえホルダー3のホルダー腕10と芯だし孔18によるものに限定されないことは、実施例1で述べたとおりである。
エンコーダ84a,84bは、検出ローラ83a,83bのそれぞれの単位時間あたりの回転量、すなわち回転速度Ma,Mbを検出し、該回転検出信号を角度算出手段に出力する。
軸方向U−U,V−Vが布Nの座標軸と一致していれば、当該算出した角度θが実際の布Nの移動方向であり、軸方向U−U,V−Vが布Nの座標軸に対して傾いていれば角度θを布Nの座標軸に換算して布Nの実際の移動方向を算出するようにすればよい。
なお、本実施例のコードガイド機構Gは、ここで示した角度センサーに限らず、位置情報から移動方向を算出する周知の各種角度センサーを採用することができる。
まず、コードガイド機構Gを組み立てるには、図9(a)の状態からパルスモータ63を基台66内に収納して駆動手段60を押さえホルダー3に装着する。
押さえ凸部65を押さえ孔75に嵌入させてコードガイド5を支持したガイド支持盤4を留めねじ72で押さえホルダー3に取り付ける。この際、突出部22が芯だし孔18に嵌入し、従動ギア61と駆動ギア62が噛み合うようにする。
押さえ凸部65によって、コードガイド5の下面およびガイド孔7の下端を布Nに近接させることができるので、安定してコードCを針落ち位置に案内することができるとともに、縫い針2による布Nの上昇を小さく抑えることができる。
なお、パルスモータ63を基台66内に嵌入するだけで取り付けが完了する簡易な構造とすれば、コードガイド5と駆動手段60とを両ギアが噛み合ったままガイド支持盤4に支持して押さえホルダー3に取り付けることも可能である。
本実施例のコードガイド機構Gは、布Nを移動させると、布Nに接するボール80が摩擦力により回転し、該ボール80に接する2つの検出ローラ83a,83bによって直交する2軸回りの回転速度Ma,Mbが検出され、該回転速度Ma,Mbによって布Nの移動方向Tの角度θが算出される。
パルスモータ63は、角度センサーによって算出された角度θに基づいて、ガイド孔7が針孔6に対して常に布Nの移動方向Tと反対方向に位置するようにコードガイド5を回転させる。
本実施例では、布Nに接するボール80は、検出ローラ83a,83bとエンコーダ84a,84bを回転させるだけで小さな負荷しかかからず、コードガイド5はパルスモータ63によって回転させられるから、布Nの移動操作をより軽快に行うことができる。
G コードガイド機構
N 布
Ma,Mb 回転速度
T 布の移動方向
1 ガイド取り付け棒
2 縫い針
3 押さえホルダー
4 ガイド支持盤
5 コードガイド
6 針孔
7 ガイド孔
10 ホルダー腕
11 ボルト
13 凹部
13a,13b,13c 面
14 ボルト横穴
15,67 押さえ上板
16 連結部
17 フック部
18 芯だし孔
20 基盤
21 上面
22 突出部
24 ガイドアーム
25 ローラ
26 回転軸
27 軸孔
30 底板
31 周壁
32 切欠き部
40 操作レバー
41 差し込み片
43 操作受け部
44 差し込み口
45 枠体
46 上板
47 外周壁
48 鈎状穴
49 連結凹部
50 嵌合突起
51 連結凸部
52,71 留め孔
53,72 留めねじ
60 駆動手段
61 従動ギア
62 駆動ギア
63 パルスモータ
64 軸
65 押さえ凸部
66 基台
70 耳部
75 押さえ孔
80 ボール
82a,82b 検出軸
83a,83b 検出ローラ
84a,84b エンコーダ
90 信号線
91 コネクタ
Claims (8)
- 中心に縫い針が通る針孔を設け、コード等を通すガイド孔を針孔に対して偏心位置に設けた円盤状のコードガイドと、コードガイドを支持するガイド支持盤と、コードガイドの上面を規制する押さえホルダーと、布の動きに応じてコードガイドを回転する回動手段とを備え、
ガイド支持盤と押さえホルダーを連結することによって、コードガイドを針孔を中心として回転可能に保持し、ガイド支持盤と押さえホルダーのいずれか一方または両方をガイド取り付け棒を介してミシン本体に位置決め固定したことを特徴とするコードガイド機構。 - 回動手段は、コードガイドの下面から延びるガイドアームと、ガイドアームの下端部に取り付けられた回転軸と、回転軸を対称軸として取り付けられた布に接する回転体とを備え、
回転軸は、ガイド孔の中心と針孔の中心とを結ぶ線に直角でかつ布面に平行な方向に配置され、針孔をはさんでガイド孔と反対側に所定距離偏心した位置でガイドアームに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載のコードガイド機構。 - 回転体は、円筒形状のローラであることを特徴とする請求項2記載のコードガイド機構。
- コードガイドは、操作レバーが挿入可能な径方向に延びる差し込み口を有する操作受け部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコードガイド機構。
- 回動手段は、平面視における基準軸方向に対する布の動いた方向を検出する角度センサーと、針孔に対して該角度センサーにより検出された布の動いた方向と反対方向にガイド孔が位置するようにコードガイドを回転させる駆動手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載のコードガイド機構。
- 角度センサーは、布に接して布との摩擦力で自由に回転するボールと、ボールに接して回転し、それぞれの軸が平面視で直交する2つのローラと、それぞれのローラの回転量を検出するエンコーダと、エンコーダの検出データに基づいて布の動いた方向を算出する角度算出手段とを備えていることを特徴とする請求項5記載のコードガイド機構。
- 駆動手段は、駆動モータと、駆動モータの回転軸に取り付けられた駆動歯車と、駆動歯車と噛み合いコードガイドに回転を伝える伝導歯車とを備えることを特徴とする請求項5または6に記載のコードガイド機構。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のコードガイド機構を備えたミシン。
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