JP2014105416A - 刺繍枠移送装置及びミシン - Google Patents

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Abstract

【課題】刺繍枠の停止位置の精度を向上することが可能な刺繍枠移送装置及びミシンを提供する。
【解決手段】刺繍枠移送装置30のキャリッジ50は、回転可能な刺繍枠9を着脱可能である。第一駆動機構45は、キャリッジ50をY方向に移送する第一移送機構46と、第一移送機構46を駆動する第一モータ49とを備えている。第一モータ49と第一移送機構46との間には、駆動切換機構48が設けられている。駆動切換機構48は、第一駆動機構45がY方向における所定位置にキャリッジ50を移送した場合に、第一モータ49から第一移送機構46への駆動力の伝達を遮断するように切り換える。回転駆動機構47は、駆動切換機構48が第一モータ49から第一移送機構46への駆動力の伝達を遮断した状態で、第一モータ49の駆動力によって刺繍枠9を回転させる。
【選択図】図4

Description

本発明は、刺繍枠を移送する刺繍枠移送装置、及び刺繍枠移送装置を装着可能なミシンに関する。
従来、刺繍枠を移送する刺繍枠移送装置及び刺繍枠移送装置を装着可能なミシンが知られている。例えば、特許文献1に記載の自動ミシンは、保持手段を備えている。保持手段は、円形状の外側枠と、外側枠の内側に嵌まる内側枠と、外側枠及び内側枠を支持する支持枠とからなっている。保持手段は外側枠と内側枠との間に被縫製物を挟み込み、縫針の下方で被縫製物を水平に張った状態とすることができる。自動ミシンは、3つのモータを備えている。1つのモータは、保持手段をX方向に移動させる。他の1つのモータは、保持手段をY方向に移動させる。さらに他の1つのモータは、保持手段の支持枠上に設けられている。支持枠上のモータが回転すると、保持手段が水平方向に回動する。
特開平5−123464号公報
しかしながら、前記従来の自動ミシンでは、保持手段の支持枠上に、保持手段を回転させるためのモータが設けられている。このため、保持手段の重量が大きくなる。よって、保持手段をX方向及びY方向に移動させて停止させる場合に、停止し難くなる。よって、保持手段の停止位置の精度が低下する場合がある。
本発明の目的は、刺繍枠の停止位置の精度を向上することが可能な刺繍枠移送装置及びミシンを提供することである。
本発明の第1の態様に係る刺繍枠移送装置は、回転可能な刺繍枠を着脱可能なキャリッジと、前記キャリッジを第一方向に移送する第一移送機構と、前記キャリッジとは別に設けられ、前記第一移送機構を駆動する第一駆動源とを有する第一駆動手段と、前記第一駆動手段が前記第一方向における所定位置に前記キャリッジを移送した場合に、前記第一駆動源から前記第一移送機構への駆動力の伝達を遮断するように切り換える駆動切換手段と、前記駆動切換手段が前記第一駆動源から前記第一移送機構への駆動力の伝達を遮断した状態で、前記第一駆動源の駆動力によって前記刺繍枠を回転させる回転駆動手段とを備えている。この場合、第一駆動源はキャリッジに設けられていない。このため、キャリッジの重量を小さくできる。よって、第一駆動手段がキャリッジを第一方向に移送する場合に、キャリッジが停止し易くなる。故に、刺繍枠及びキャリッジの停止位置の精度を向上することができる。
本発明の第2の態様に係るミシンは、前記刺繍枠移送装置を装着可能である。この場合、刺繍枠及びキャリッジの停止位置の精度を向上することができる。
刺繍枠移送装置30を装着した状態のミシン1の斜視図である。 カットワーク針8が装着された針棒6の近傍をミシン1の左側から見た図である。 可動ケース41の内部構造を示した刺繍枠移送装置30の平面図である。 キャリッジ50及び刺繍枠9が所定位置に移動した場合における可動ケース41の内部構造を示した刺繍枠移送装置30の平面図である。 刺繍枠移送装置30の内部構造を示す図である。 駆動ギア483が第一位置にある場合における可動ケース41の内部構造等を示す前方からの要部拡大図である。 駆動ギア483が第二位置にある場合における可動ケース41の内部構造等を示す前方からの要部拡大図である。 キャリッジ50の支持部51の右側面図である。 キャリッジ50の支持部51の正面図である。 刺繍枠9の分解斜視図である。 ミシン1の電気的構成を示すブロック図である。 刺繍枠9が装着された状態の右側面図である。 刺繍枠9が装着された状態の支持部51の断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。ミシン1の構成について、図1〜図3を参照して説明する。図1の右下側、左上側、左下側、及び右上側をそれぞれ、ミシン1の前側、後側、左側、右側とする。また、ミシン1の左右方向をX方向とし、前後方向をY方向とする(図3参照)。
図1に示すように、ミシン1は、ベッド部11、脚柱部12、アーム部13、及び頭部14を備える。ベッド部11は、ミシン1の土台であって左右方向に延びるように設けられる。脚柱部12は、ベッド部11の右端部から上方へ立設されている。アーム部13は、脚柱部12の上端から左方へ延びる。頭部14は、アーム部13の左先端部に設けられている。ベッド部11の上面には、針板(図示せず)が配設されている。針板の下のベッド部11内には、送り歯(図示せず)、布送り機構(図示せず)、送り量調整用パルスモータ78(図11参照)、及び釜機構(図示せず)が設けられている。送り歯は、縫製される加工布を所定の送り量で移動させる。布送り機構は、送り歯を駆動する。送り量調整用パルスモータ78は、送り量を調整する。
ミシン1で刺繍縫製やカットワーク(後述)が行われる場合、ベッド部11の上側には、加工布を保持する刺繍枠(例えば、刺繍枠9)が配置される。ミシン1では、刺繍枠移送装置30に装着された刺繍枠の種類に応じて、刺繍枠の内側に縫製可能領域が設定される。刺繍枠9を移動させる刺繍枠移送装置30は、ベッド部11に着脱可能である。
刺繍枠9が、刺繍枠移送装置30によってX方向及びY方向に移動され、回転が行われながら、針棒6(図2参照)や釜機構(図示せず)が駆動される。このようにして、刺繍枠9に保持された加工布100に対して所定の刺繍模様を縫製する模様縫製動作や、加工布100を所定の形状に切断するカットワークが実行される。刺繍模様ではない通常模様が縫製される場合には、刺繍枠移送装置30はベッド部11から取り外される。そして、加工布100が送り歯により移動されながら、通常縫製が行われる
図1に示すように、脚柱部12の前面には、縦長長方形状の液晶ディスプレイ15が設けられている。液晶ディスプレイ15には、複数種類の模様、各種の機能を実行させるコマンド名、各種のメッセージ等、様々な項目の画像が表示される。液晶ディスプレイ15の前面には、透明のタッチパネル26が設けられている。液晶ディスプレイ15に表示された項目に対応するタッチパネル26の部位を、ユーザが指や専用のタッチペンを用いて触れることにより、縫製したい模様や実行すべきコマンドを選択することができる。
アーム部13の構成について説明する。アーム部13の前面下部には、縫製開始・停止スイッチ等を含むスイッチ群25が設けられている。アーム部13の上部には開閉カバー16が設けられている。開閉カバー16は、アーム部13の上後端部に左右方向の軸回りに開閉可能に軸支されている。開閉カバー16の下方、つまりアーム部13の内部には、上糸を供給する糸駒(図示せず)を収納する糸収容部(図示せず)が設けられている。糸駒から延びる上糸は、図示しない糸調子器及び糸取バネ、天秤等を含む糸掛部を経由して、図示しない縫針に供給される。糸調子器は、頭部14に設けられ、糸張力を調整する。天秤は、上下方向に往復移動するよう駆動されて上糸を引き上げる。頭部14の下部に設けられている針棒6(図2参照)の下端部には、縫針(図示外)又はカットワーク針8(図2参照)が装着可能である。針棒6は、頭部14内に設けられた針棒上下動機構(図示せず)により、上下動するように駆動される。針棒上下動機構は、ミシンモータ79(図11参照)により回転駆動される主軸(図示せず)により駆動される。つまり、針棒6はミシンモータ79によって駆動される。
図2に示すように、カットワーク針8は、所定の方向(図2では、前後方向)に所定の幅を有する刃89を備えている。カットワーク針8が用いられてカットワークが実行されると、加工布100に所定の幅の切れ目が形成される。針棒6の下端部にカットワーク針8が固定されている場合、カットワークを実行可能であり、針棒6の下端部に縫針(図示外)が固定されている場合、刺繍縫製を実行可能である。針棒6の後側には、押え棒17が設けられている。押え棒17の下端部には、押えホルダ18が取り付けられている。押えホルダ18には、加工布100を押える押え足19を着脱可能である。
図1及び図3に示すように、刺繍枠移送装置30は、平滑な上面を有するケース21と、このケース21の上側に配設されて前後方向に細長く且つ前後両端部分がケース21の前後両側へ張出す可動ケース41とを有する。刺繍枠移送装置30がベッド部11に装着されると、ケース21の上面がベッド部11の上面と同じ高さになる。ケース21の上面の前後方向中央部には、左右方向に延びるスリット101が設けられている。ケース21の前面の上部には、左右方向に延びるスリット102が設けられている。キャリッジ50は、可動ケース41内に設けられた第一駆動機構45から右方向に延びる。キャリッジ50には、刺繍枠9が装着される。キャリッジ50及び刺繍枠9は、ケース21の上側に位置している。
図3から図9を参照して、可動ケース41の内部構造及びキャリッジ50について詳細に説明する。図3から図7に示すように、可動ケース41の内部には、Y方向フレーム44、第一駆動機構45、キャリッジ50の一部、回転駆動機構47、及び駆動切換機構48が配置されている。Y方向フレーム44は、Y方向に延び、第一駆動機構45、キャリッジ50、及び回転駆動機構47を支持する。キャリッジ50には、回転可能な刺繍枠9を着脱可能である。第一駆動機構45は、第一移送機構46と第一モータ49とを備えている。第一移送機構46は、キャリッジ50とは別に設けられ、キャリッジ50をY方向に移送する機構である。第一モータ49は、キャリッジ50とは別に設けられ、第一移送機構46を駆動する。駆動切換機構48は、第一駆動機構45がY方向における所定位置にキャリッジ50を移送した場合に、第一モータ49から第一移送機構46への駆動力の伝達を遮断するように切り換える機構である。本実施形態における所定位置は、キャリッジ50がその駆動範囲の前端部に移動した位置である(図4参照)。以下の説明では、キャリッジ50がその駆動範囲の前端部に移動した位置を、単に「所定位置」という。
駆動切換機構48は、切換部481及びソレノイド487を備えている。切換部481は、スプライン軸482(図6及び図7参照)と駆動ギア483とを備える。回転駆動機構47は、駆動切換機構48が第一モータ49から第一移送機構46(後述)への駆動力の伝達を遮断した状態で、第一モータ49の駆動力によって刺繍枠9を回転させる機構である。
図6及び図7に示すように、第一モータ49は、Y方向フレーム44の前部に配置されている。第一モータ49は、その駆動軸491(図6及び図7参照)を上方に向けて、Y方向フレーム44に支持された板部443にネジ止めされている。駆動軸491は、板部443を貫通して上方に延びる。第一モータ49は、図示外の配線を介して、基板29の駆動回路291(図11参照)に電気的に接続されている。
スプライン軸482は、平面視、つまり軸方向と垂直方向の断面形状が略四角形状であり、板部443の上側から駆動軸491の上端に延びる。スプライン軸482の中心には、駆動軸491に嵌合する貫通孔(図示せず)が形成されている。スプライン軸482は、前記貫通孔に駆動軸491が圧入されることで、駆動軸491に固定される。スプライン軸482は、第一モータ49の駆動による駆動軸491の回転に伴って回転する。スプライン軸482の周囲には、スプライン軸482の回転に伴って回転する駆動ギア483が設けられている。駆動ギア483は、ソレノイド487の動作によってスプライン軸482の軸方向(図6及び図7の矢印780参照)に移動可能である(図6及び図7参照)。駆動ギア483は、第一駆動ギア484と第二駆動ギア485と円筒部486とを有する。円筒部486は、スプライン軸482に沿って上下に延びる。円筒部486の内側の孔の形状は、平面視で、スプライン軸482に係合する略四角形状である。円筒部486の外周面の上下方向中央部には、外周面が内側に凹んだ溝部4861が設けられている。
第一駆動ギア484は、円筒部486の下端に設けられている。第二駆動ギア485は、円筒部486の上端に設けられている。第一駆動ギア484の径は、第二駆動ギア485の径より小さい。第一駆動ギア484の左後方には、円柱状のソレノイド487が、その駆動軸488を上側に向けて設けられている。駆動軸488の上端には、接続部材489が固定されている。接続部材489は、駆動ギア483の円筒部486に向かって延び、溝部4861と係合している。ソレノイド487の駆動によって駆動軸488が上下に移動すると、接続部材489を介して駆動ギア483が上下に移動する。
図3〜図5に示すように、第一駆動ギア484は、第一移送機構46に連結可能である。第一移送機構46は、第一従動ギア461、第一プーリ462、第二プーリ463、及びベルト464を備えている。第一従動ギア461は、第一駆動ギア484の後側において、第一駆動ギア484と噛合可能に配置されている。駆動ギア483が下方に移動した場合(図6参照)、第一従動ギア461と第一駆動ギア484とが噛合する。駆動ギア483が上方に移動した場合(図7参照)、第一従動ギア461と第一駆動ギア484とが離間し、噛合が解除される。以下の説明では、ソレノイド487によって駆動ギア483が下方に移動され、駆動ギア483が第一従動ギア461に噛合する場合の駆動ギア483の位置を「第一位置」という。また、駆動ギア483が上方に移動され、駆動ギア483が第一従動ギア461から離間した場合の駆動ギア483の位置を「第二位置」という。
第一プーリ462は、第一従動ギア461の中央部の上側に一体的に設けられている。第一プーリ462は、第一従動ギア461の回転に伴って回転する。第二プーリ463は、Y方向において第一従動ギア461と離間して設けられている。第二プーリ463は、Y方向フレーム44の後端部に回転可能に支持されている。ベルト464は、第一プーリ462と第二プーリ463とに掛架されている。ベルト464における右側の部位の一部は、キャリッジ50と接続されている。
図3〜図5に示すように、キャリッジ50は、刺繍枠9を支持する。Y方向フレーム44の右端部には、前後方向に延びる軸441が設けられている。Y方向フレーム44の左端部には、Y方向フレーム44の前後方向に亘って前方にやや突出する板部442が形成されている。キャリッジ50は、軸441と板部442の夫々に支持されて前後方向に移動可能である。
キャリッジ50の右端部には、刺繍枠9を支持する支持部51が設けられている。図8及び図9に示すように、支持部51は、上板部511、下板部512、板バネ513、板バネ516、及びレバー部519を備える。上板部511は、支持部51の上側の壁部を形成する板部であり、前後方向に延びる。上板部511の後端は、下方に折れ曲がっている。下板部512は、支持部51の下側の壁部を形成する板部であり、前後方向に延びる。下板部512の後端は上方に折れ曲がっている。
板バネ513は、上板部511の底面に固定されている。板バネ513は、下方に向かって刺繍枠9の取付部942を押圧する2つの押圧部514,515を備えている。押圧部514,515は、前後方向に離間して設けられている。板バネ516は、上板部511の後端部から下方に向かって延びる。板バネ516は、下端部に、前方に向かって刺繍枠9の取付部942を押圧する押圧部517を備えている。
下板部512の右端部には、前後方向に亘って下方に凹んだ凹部518が設けられている(図9参照)。支持部51の前端部には、レバー部519が設けられている。レバー部519の基端は軸支部520に支持され、先端が上方に向いた姿勢と前方に向いた姿勢との間で揺動可能である(図8の矢印781参照)。レバー部519の先端が上方に向いた姿勢のとき、レバー部519と下板部512との間に開口部522が開いた状態となる。レバー部519の先端が前方に向いた姿勢のとき、レバー部519によって開口部522が閉じた状態となる。支持部51への刺繍枠9の取り付け方法については後述する。
図3〜図7に示すように、回転駆動機構47は、第二従動ギア471を備えている。第二従動ギア471は、キャリッジ50に設けられている。第二従動ギア471は、上側ギア472と、上側ギア472の下側に設けられた下側ギア473とを有する。キャリッジ50が所定位置に移動した場合、且つ、駆動ギア483が第二位置(図7参照)に移動した場合、上側ギア472と駆動ギア483の第二駆動ギア485とが噛合される。キャリッジ50が、所定位置よりも後方に移動した場合、又は、駆動ギア483が第一位置に移動した場合、上側ギア472と駆動ギア483の第二駆動ギア485との噛合が解除される。下側ギア473は、刺繍枠9がキャリッジ50に装着された場合に、刺繍枠9に設けられたギア947と噛合する。第二従動ギア471が回転すると刺繍枠9が回転するが、詳細は後述する。
規制部43について説明する。規制部43は、回転駆動機構47によって刺繍枠9が回転される場合に、キャリッジ50のY方向への移動を規制し、第一移送機構46によってキャリッジがY方向に移送される場合に、刺繍枠9の回転を規制する。規制部43は、板バネ431,436を含む。板バネ431は、Y方向フレーム44の右側の壁部445の前端部に前方に向けて設けられている。板バネ431の基端部は壁部445の前端部に固定されている。板バネ431の自由端部の先端には、右方に向かって突出するように略V字状に形成された突出部432が設けられている。キャリッジ50の支持部51の左側における前端部には、係合板52が前方に向けて設けられている。係合板52は、係合板52の下端から上方に向かって切欠かれた切欠部521が設けられている(図8参照)。キャリッジ50が、前端位置(所定位置)に移動すると、突出部432が切欠部521に係合される。このとき、板バネ431の弾性力によってキャリッジ50が係止され、キャリッジ50のY方向への移動が規制される。一方、キャリッジ50が前端位置(所定位置)から後方に移動する場合は、板バネ431の弾性力に抗して移動することで、突出部432と切欠部521の係合が外れる。また、板バネ436は、刺繍枠9に設けられているが、詳細は後述する。
刺繍枠9について説明する。以下の説明では、図10の紙面上下方向が刺繍枠9の上下方向であるとする。図3及び図10に示すように、刺繍枠9は、それぞれ円形の枠形状の内枠91、中枠92、及び外枠94が組み合わされて形成されている。刺繍枠9において、内枠91の径方向外側に中枠92が配置される。中枠92の径方向外側に、外枠94が配置される。刺繍枠9は、内枠91と中枠92との間で加工布100を狭持する(図1参照)。刺繍枠9は、外枠94に対して中枠92が回転可能な構成を有する。
内枠91は、円形の枠部911を備えている。枠部911は、軸方向に厚みを有する。内枠91は、その直径を調整可能な調整部915を備えている。内枠91の直径は、内枠91と中枠92との間で挟持する加工布100の布厚に応じて調整される。調整部915は、分断部916、一対のネジ装着部917、及び調整ネジ918を備えている。分断部916は、内枠91の枠部911の周方向の一部が、軸方向に亘って分断された部位である。一対のネジ装着部917は、枠部911において分断部916の両側の上部に設けられ、径方向外側に突出して相対向している。一対のネジ装着部917には、ネジ装着部917が対向する面に直交する方向に貫通する孔部9171,9172が設けられている。2つの孔部9171,9172のうち、一方の孔部9172(図10の右下側の孔部)には、ネジ穴が形成されたナット(図示せず)が埋設されている。
調整ネジ918は、ユーザが指で摘んで回転させる径大な頭部9181と、頭部9181から一体的に延びる径小の軸部9183とを有するネジ部材である。軸部9183の先端寄りの部位には、雄ネジ部9182が形成されている。また、軸部9183の頭部9181側寄りの部位には、止め輪9185が嵌入される細溝9184が形成されている。調整ネジ918は、軸部9183が孔部9171を貫通し、孔部9172に埋設されたナットのネジ穴と雄ネジ部9182が螺合するように装着される。調整ネジ918は、この状態で、軸部9183の細溝9184に止め輪9185が嵌入されることで、孔部9171がある側のネジ装着部917に回転可能且つ軸方向には移動不能に保持される。ここで、ユーザが、調整ネジ918の頭部9181を指で摘んで回転操作すると、ナットを介して孔部9172がある側のネジ装着部917が軸部9183の軸方向に移動する。また、その移動方向は、調整ネジ918の回転方向によって決定される。このように、調整ネジ918は、一対のネジ装着部917を連結すると共に、一対のネジ装着部917の間隔を拡大又は縮小するように調整する。そして、一対のネジ装着部917の間隔が調整されることで、加工布100の布厚に応じて内枠91の直径が調整される。例えば、一対のネジ装着部917の間隔が狭くなるほど、内枠91の直径がより小さくなるので、布厚がより厚い加工布100を中枠92と内枠91との間で狭持することができる。なお、止め輪9185は、図10以外は図示を省略している。
中枠92は、内枠91の枠部911の外径よりも大きい内径を有する円形の枠部921を備えている。中枠92の枠部921が内枠91の枠部911の径方向外側に着脱されることで、中枠92が内枠91に着脱される。中枠92の枠部921の下端部には、外周面の全周に亘って形成された歯車である枠ギア934が形成されている。枠ギア934は、キャリッジ50に設けられたギア949と噛合される。枠部921の外周側面における軸方向の中央部、且つ枠ギア934の上側には、枠部921の全周に亘って径方向外側に向けて突出するフランジ部929が設けられている。
外枠94は円形の枠部941を備えている。枠部941の下端の内周側面には、枠部941の全周に亘って径方向内側に向けて突出する支持部946が設けられている。支持部946が中枠92の下端面を支持することによって、枠部941が中枠92を保持する。
枠部941の径方向外側には、取付部942が設けられている。取付部942は、キャリッジ50に着脱可能に構成されている。取付部942の底面には、下側に突出する凸部951が設けられている(図13参照)。凸部951は、刺繍枠9がキャリッジ50に装着される姿勢において前後方向に延びる。凸部951は、刺繍枠9がキャリッジ50に装着される場合に、キャリッジ50の凹部518に係合する。
枠部941と取付部942との間には、枠部941と取付部942とを連結する箱状の収納部943が設けられている。図3及び図10に示すように、収納部943の上側には、ギア947が設けられている。ギア947は、ギア947の下側に設けられたギア948と一体形成されている。ギア948はギア947より径が小さい。ギア948は、収納部943の上面に設けられた図示外の孔を介して収納部943の内部に延びる。刺繍枠9がキャリッジ50に装着された場合、ギア947は、第二従動ギア471の下側ギア473と噛合される。ギア948は、収納部943の内部に収納されたギア949に噛合されている。ギア949の枠部941側の端部は、枠部941に設けられた図示外の孔から枠部941の内側に露出している。ギア949は、枠ギア934に噛合可能である。
刺繍枠9がキャリッジ50に装着される姿勢における収納部943の右後部には、規制部43としての板バネ436が設けられている。図10に示すように、板バネ436の基端部は円柱状のネジ取付部950に、ネジによって固定されている。板バネ436の基端部から延びる自由端部の先端には、中枠92に向かって突出するように略V字形状に形成された突出部437が設けられている。突出部437の先端は、詳しくは図示しないが、枠ギア934の歯部のうち、隣り合う歯同士に係合可能である。このとき、板バネ436の弾性力によって、枠ギア934は回転しないように係止される。
しかしながら、枠ギア934が回転する場合は、枠ギア934は、板バネ436の弾性力に抗して回転する。従って、板バネ436の弾性力は、ギア949から伝達される回転駆動力により枠ギア934が回転可能で、且つギア949からの回転駆動力が伝達されない場合には枠ギア934の回転が係止される程度の弾性力に設定されている。
図5を参照して、ケース21の内部構造について詳細に説明する。ケース21の内部には、X方向フレーム22、第二駆動機構23、及び基板29等が配置されている。X方向フレーム22は、ケース21内の前後方向中央部から前側に所定幅を有し、左右方向(X方向)に延びる。X方向フレーム22は、第二駆動機構23及び基板29を支持する。
第二駆動機構23は、Y方向フレーム44をX方向に移送することで、第一駆動機構45をX方向へ移送する機構である。より詳細には、第二駆動機構23は、第二移送機構24と第二モータ27とを備えている。第二移送機構24は、第一移送機構46をX方向に移送するための機構である。第二モータ27は、第二移送機構24を駆動する。
第二移送機構24は、案内軸241、案内部材242、補助フレーム243、大径ギア244、プーリ245、及びタイミングベルト246を含む。案内軸241は、左右方向に長く、X方向フレーム22の後部に設けられている。案内軸241の両端部は、X方向フレーム22の左右両側壁部に固着されている。案内部材242は、X方向フレーム22の前端の壁部に接続されている。案内部材242は、前後方向に所定幅を有し、左右方向に延びる。
案内軸241と案内部材242との上側には補助フレーム243が配置されている。補助フレーム243は、案内軸241に沿って左右方向に延びる部位と、該部位の右端部から左斜め前方向に延びる部位とを有する略三角形状である。補助フレーム243は、案内軸241と案内部材242に支持され、左右方向に摺動可能である。補助フレーム243の後端部は、上方に立ち上がるように形成されており、スリット101(図1参照)から上方に突出し、Y方向フレーム44に接続されている。補助フレーム243の前端部は、スリット102(図1参照)から前方に突出した後、上方に立ち上がるように形成されており、Y方向フレーム44に接続されている。
第二モータ27は、X方向フレーム22の右前部における底部の下側に上向きにして固定されている。第二モータ27は、X方向フレーム22の底部の上側へ挿通する駆動軸(図示外)を有する。駆動軸の上端には、駆動ギア271が固着されている。X方向フレーム22の右部には、一体的に形成された大径ギア244とプーリ245が回転可能に枢支されている。大径ギア244は、駆動ギア271に噛合している。X方向フレーム22の左部には、図示外のプーリが回転可能に枢支され、該プーリとプーリ245とに、無端状のタイミングベルト246が掛架されている。タイミングベルト246は、案内軸241と案内部材242の間に配設され、その一部が補助フレーム243に連結されている。タイミングベルト246が移動すると、補助フレーム243がX方向に移送され、Y方向フレーム44がX方向に移送される。
基板29は、X方向フレーム22の右前部に接続されている。基板29上には、駆動回路291〜293(図11参照)、図示略のコネクタ等が実装されている。基板29から延びる配線群298は、スリット101を挿通してY方向フレーム44に向けて配置されている。配線群298は、駆動回路291及び第一モータ49を電気的に接続する配線と、駆動回路293及びソレノイド487を電気的に接続する配線を含む。
図11を参照して、ミシン1の電気的構成について説明する。図11に示すように、ミシン1の制御部60は、CPU61,ROM62,RAM63,フラッシュメモリ64、入出力インターフェイス65を備え、これらはバス67により相互に接続されている。ROM62には、CPU61が処理を実行するためのプログラムデータ等が記憶されている。フラッシュメモリ64には、ミシン1が刺繍縫製を実行するための複数の刺繍データ及び
後述するカットワークデータ等、種々のデータが記憶されている。
入出力インターフェイス65には、スイッチ群25、タッチパネル26、及び駆動回路71〜73,291〜293が電気的に接続されている。駆動回路71は、送り量調整用パルスモータ78を駆動する。駆動回路72は、ミシンモータ79を駆動する。駆動回路73は、液晶ディスプレイ15を駆動する。駆動回路291〜293は、刺繍枠移送装置30の基板29に実装されている。刺繍枠移送装置30がミシン1本体に接続された場合に、駆動回路291〜293は、図示略のコネクタを介して入出力インターフェイス65に接続される。駆動回路291は、第一モータ49を駆動する。駆動回路292は、第二モータ27を駆動する。駆動回路293は、ソレノイド487を駆動する。
刺繍枠9で加工布100を狭持して、キャリッジ50の移送と刺繍枠9の回転とを行う動作について説明する。まず、ユーザは、中枠92を、枠ギア934が下側になるように作業机(図示せず)の上に載置する。そして、内枠91の下端で加工布100を下方に押圧し、内枠91を中枠92の内側に挿入し、内枠91と中枠92との間で加工布100を狭持する(図1参照)。このとき、調整ネジ918を適宜回転させて、加工布100の布厚に応じて内枠91の直径を調整する。加工布100が狭持された状態では、加工布100の縫製がなされる面は、内枠91の下端で内枠91の内側に張られた状態となる。以下の説明では、内枠91と中枠92とが組み合わされた状態の枠を組付体95という(図1及び図3参照)。なお、図1以外は加工布100の図示を省略している。
次いで、ユーザは、外枠94の上側から組付体95を外枠94に設置する。このとき、ユーザは、枠ギア934とギア949とを噛み合わせるように組付体95を枠部941に載置する。このとき、板バネ436の突出部437が枠ギア934の歯部と係合され、外枠94に対する中枠92(組付体95)の回転が規制される。以上のようにして、内枠91、中枠92、及び外枠94が組み合わせられ、刺繍枠9の完成体が得られる。
次いで、刺繍枠9がキャリッジ50に装着される。図8に示すように、ユーザは、レバー部519を上方に向ける。そして、支持部51の前端の開口部522(図8参照)から後方に向けて、刺繍枠9の取付部942をスライドさせるように、取付部942を支持部51に挿入する。この時、図13に示すように、ユーザは、取付部942の凸部951が凹部518に沿うようにスライドさせる。図12に示すように、ユーザは、取付部942を支持部51に挿入した後、レバー部519を回し、レバー部519を前方に向ける。取付部942は、板バネ513の押圧部514,515によって下方に押圧され、押圧部514,515と下板部512との間で狭持される。また、取付部942は、板バネ516の押圧部517によって、前方に押圧され、押圧部517とレバー部519との間で狭持される。これによって、刺繍枠9がキャリッジ50に固定される。
カットワーク針8の刃89は、前後方向に所定幅を有する(図2参照)。このため、カットワーク針8によって加工布100に形成される切れ目の方向は前後方向である。よって、加工布100を所定の模様形状の輪郭に沿って切り抜くためには、刺繍枠9をX方向及びY方向に移動させると共に、刺繍枠9を回転させて加工布100に形成する切れ目の方向を変更する必要がある。ミシン1のフラッシュメモリ64には、加工布100を切り抜いて所定の模様等を作成するためのカットワークデータが記憶されている。カットワークデータでは、変数N、枠回転データ、X座標、及びY座標についてのデータが対応付けられている。変数Nは、加工布100を切断する順序を示す変数である。枠回転データは、予め設定された刺繍枠9の回転角度のデータである。X座標及びY座標は、予め設定されたミシン1に固有の刺繍座標系における針落点(カットワーク針8が加工布100に刺さる点)の座標である。ミシン1のCPU61は、刺繍枠移送装置30を制御して、カットワークデータの変数Nの順に、枠回転データが示す回転角度に刺繍枠9を回転し、針落点の座標(X座標、Y座標)に刺繍枠9を移動する。そして、CPU61は、ミシンモータ79を駆動して針棒6(図2参照)を駆動し、加工布100にカットワーク針8(図2参照)による切れ目を形成する。
RAM63には、現在の針落点のX座標、Y座標と、現在の刺繍枠9の回転角度とが記憶されている。CPU61は、刺繍枠9の現在の回転角度と、次回の回転角度との差分だけ、刺繍枠9を回転するための第一モータ49の回転量を決定する。CPU61は、現在の針落点のY座標から所定位置(図4参照)に刺繍枠9を移送するための第一モータ49の回転量を決定する。CPU61は、所定位置から次回の針落点のY座標に刺繍枠9を移送するための第一モータ49の回転量を決定する。CPU61は、現在の針落点のX座標と次回の針落点のX座標との差分だけ、キャリッジ50を支持するY方向フレーム44を移送するように、第二モータ27の回転量を決定する。以下の説明では、CPU61が決定した、第一モータ49と第二モータ27との回転量を総称して、「決定回転量」という。
キャリッジ50及び刺繍枠9がY方向に移送される場合の刺繍枠移送装置30の動作について説明する。キャリッジ50及び刺繍枠9のY方向への移送は、CPU61による制御によって行われる。
まず、図3に示すように、刺繍枠9が所定位置より後方にある場合に、刺繍枠9が所定位置(図4参照)に移送される場合について説明する。ソレノイド487が駆動され、駆動ギア483が第一位置に移動される(図6参照)。これによって、第一駆動ギア484が第一従動ギア461と噛合した状態となる。この時、第二駆動ギア485は第二従動ギア471とは噛合されない。よって、駆動ギア483が回転しても、刺繍枠9が回転しない回転停止状態になる。
第一モータ49が駆動され、駆動ギア483が回転される。駆動ギア483の回転に伴って、第一従動ギア461及び第一プーリ462が回転する。第一プーリ462と第二プーリ463とが回転しながらベルト464が移送される。これによって、ベルト464に接続されているキャリッジ50が前方に移送され、刺繍枠9が前方に移送される。CPU61は、決定回転量分、第一モータ49を回転させ、停止させる。これによって、刺繍枠9が所定位置に移送される(図4参照)。なお、刺繍枠9の枠ギア934は、板バネ436によってその回転が規制されている。このため、キャリッジ50及び刺繍枠9がY方向に移送される場合に勝手に刺繍枠9が回転することが防止される。また、刺繍枠9が所定位置に移動された場合、板バネ431が切欠部521(図8参照)に係合され、キャリッジ50及び刺繍枠9のY方向への移動が規制された状態となる。
刺繍枠9が回転される場合の刺繍枠移送装置30の動作について説明する。刺繍枠9の回転は、CPU61による制御によって行われる。ソレノイド487が駆動され、駆動ギア483が第二位置に移動される(図7参照)これによって、第二駆動ギア485が第二従動ギア471の上側ギア472と噛合した状態となる。このとき、第一駆動ギア484は第一従動ギア461と噛合されない。すなわち、駆動切換機構48は第一駆動機構45が所定位置にキャリッジ50を移送した場合に、第一モータ49から第一移送機構46への駆動力の伝達を遮断するように切り換える。よって、駆動ギア483が回転してもキャリッジ50及び刺繍枠9がY方向に移送されない移動停止状態になる。
第一モータ49が駆動され、駆動ギア483が回転される。駆動ギア483の回転に伴って上側ギア472、下側ギア473、ギア947、ギア948、及びギア949を介して枠ギア934が回転する。これによって、刺繍枠9(より詳細には組付体95)が回転する(図4の矢印107参照)。すなわち、回転駆動機構47は、駆動切換機構48が第一モータ49から第一移送機構46への駆動力の伝達を遮断した状態で、第一モータ49の駆動力によって刺繍枠9を回転させる。CPU61は、決定回転量分、第一モータ49を回転させ、停止させる。これによって、刺繍枠9が次回の回転角度に設定される。
また、板バネ431によってキャリッジ50及び刺繍枠9のY方向への移動が規制されている。このため、駆動ギア483が第二従動ギア471を回転させるときに、第二従動ギア471が所定位置からずれてしまうこと、つまり第二従動ギア471が駆動ギア483から勝手に離れてしまうことが防止される。よって、確実に刺繍枠9を回転させることができる。
所定位置において刺繍枠9が回転された後、次回の針落点のY座標に刺繍枠9が移送される。移動方法は、前述した刺繍枠9が所定位置(図4参照)に移送される場合と同様である。なお、第一モータ49は、刺繍枠9が前方に移送される場合の逆方向に回転する。
刺繍枠9がX方向に移送される場合の刺繍枠移送装置30の動作について説明する。キャリッジ50及び刺繍枠9のX方向への移送は、CPU61による制御によって行われる。第二モータ27が駆動され、駆動ギア271が駆動される。駆動ギア271の回転に伴って、大径ギア244及びプーリ245が回転する。プーリ245の回転に伴って、タイミングベルト246が移動する。タイミングベルト246の移動に伴って、補助フレーム243が案内軸241及び案内部材242に沿ってX方向に移送される。これによって、補助フレーム243に接続されているY方向フレーム44がX方向に移送され、刺繍枠9がX方向に移送される。CPU61は、決定した回転量分、第二モータ27を回転させ、停止させる。なお、刺繍枠9の枠ギア934は、板バネ436によってその回転が規制されている。このため、キャリッジ50及び刺繍枠9がX方向に移送される場合に勝手に刺繍枠9が回転することが防止される。
以上のように、本実施形態における刺繍枠9の移送及び回転が行われる。本実施形態では、第一モータ49は、キャリッジ50に設けられていない。このため、キャリッジ50にモータが設けられている場合に比べて、キャリッジ50の重量を小さくできる。よって、第一駆動機構45がキャリッジ50をY方向に移送する場合に、キャリッジ50が停止し易くなる。故に、刺繍枠9及びキャリッジ50の停止位置の精度を向上することができる。
また、第一モータ49によってキャリッジ50のY方向への移送と刺繍枠9の回転とを行うことができる。よって、2つのモータを使用して第一移送機構46と回転駆動機構47とを駆動する場合に比べてモータの数を少なくすることができ、コストを低減することができる。
また、キャリッジ50にモータが設けられている場合に比べて、キャリッジ50の重量を小さくできる共に、キャリッジ50を小型化できる。よって、キャリッジ50が撓み難くなる。よって、キャリッジ50が撓むことによって縫製及びカットワークに影響を及ぼすことを防止できる。また、モータが刺繍枠9に設けられていないので、刺繍枠9自体のコストを低減することができる。
また、ソレノイド487は、スプライン軸482の軸方向に駆動ギア483を移動することで、第一位置と第二位置とを切り換えることができる。また、刺繍枠移送装置30は、第一モータ49、スプライン軸482、駆動ギア483、第一従動ギア461、第一プーリ462、第二プーリ463、及びベルト464を駆動させることで、キャリッジ50及び刺繍枠9をY方向に移送することができる。
また、本実施形態では、ソレノイド487によって切換部481を駆動し、第一移送機構46への駆動力の伝達の遮断と、回転駆動機構への駆動力の伝達とを行うことができる。また、1つのソレノイド487で1つの駆動ギア483を第一位置と第二位置との間で移動させることで、キャリッジ50及び刺繍枠9のY方向への移送と刺繍枠9の回転とを切り換えることができる。よって、ソレノイド等のアクチュエータを複数設け、駆動ギアを複数設けて、キャリッジ50及び刺繍枠9のY方向への移送と刺繍枠9の回転とを切り換える場合に比べて、コストを低減することができる。
また、刺繍枠移送装置30は、第一駆動機構45をX方向に移送する第二移送機構24と、第二移送機構24を駆動する第二モータ27とを有し、第一駆動機構45をX方向に移送することで、刺繍枠9をX方向に移送することができる。
上記実施形態において、Y方向が本発明の「第一方向」に相当する。X方向が本発明の「第二方向」に相当する。第一モータ49が本発明の「第一駆動源」及び「モータ」に相当する。駆動切換機構48が本発明の「駆動切換手段」に相当する。回転駆動機構47が本発明の「回転駆動手段」に相当する。ソレノイド487が本発明の「アクチュエータ」に相当する。駆動ギア483が本発明の「駆動ギア」に相当する。ベルト464が本発明の「ベルト」に相当する。規制部43に含まれる板バネ431,436が本発明の「規制部」に相当する。第二モータ27が本発明の「第二駆動源」に相当する。第二駆動機構23が本発明の「第二駆動手段」に相当する。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、所定位置は、キャリッジ50がその駆動範囲の前端部に移動した位置(図4参照)であったが、Y方向の他の位置であってもよい。
また、第一モータ49が本発明の第一駆動源であり、第二モータ27が本発明の第二駆動源であったが、これに限定されない。例えば、第一モータ49及び第二モータ27ではなく、第一移送機構46及び第二移送機構24を駆動可能なベルトなどの他の構成であってもよい。
また、ソレノイド487によって、駆動ギア483を第一位置と第二位置との間で切り換えていたが、これに限定されない。例えば、モータや他のアクチュエータによって駆動ギア483を第一位置と第二位置との間で切り換えてもよい。
また、規制部43は板バネ431及び板バネ436によって構成されていたが、これに限定されない。回転駆動機構47によって刺繍枠9が回転される場合に、キャリッジ50のY方向への移動を規制し、第一移送機構46によってキャリッジ50がY方向に移送される場合に、刺繍枠9の回転を規制することができれば、他の構成でもよい。例えば、板バネ436を設けず、第二従動ギア472の回転を規制する板バネをキャリッジ50に設けてもよい。また、回転駆動機構47によって刺繍枠9が回転される場合に、ソレノイドの動作によって第一プーリ462の回転を係止する機構を設け、第一移送機構46によってキャリッジ50がY方向に移送される場合に、ソレノイドの動作によって第二従動ギア472又は枠ギア934を係止する機構を設けてもよい。また、規制部43を設けなくてもよい。
また、第一駆動機構45の構成は限定されない。キャリッジ50をY方向に移送し、キャリッジ50に支持される刺繍枠9を回転させる機構であれば、他の構成でもよい。
1 ミシン
9 刺繍枠
23 第二駆動機構
24 第二移送機構
27 第二モータ
30 刺繍枠移送装置
43 規制部
45 第一駆動機構
46 第一移送機構
47 回転駆動機構
48 駆動切換機構
49 第一モータ
50 キャリッジ
461 第一従動ギア
462 第一プーリ
463 第二プーリ
464 ベルト
471 第二従動ギア
481 切換部
482 スプライン軸
483 駆動ギア
487 ソレノイド
934 枠ギア

Claims (7)

  1. 回転可能な刺繍枠を着脱可能なキャリッジと、
    前記キャリッジを第一方向に移送する第一移送機構と、前記キャリッジとは別に設けられ、前記第一移送機構を駆動する第一駆動源とを有する第一駆動手段と、
    前記第一駆動手段が前記第一方向における所定位置に前記キャリッジを移送した場合に、前記第一駆動源から前記第一移送機構への駆動力の伝達を遮断するように切り換える駆動切換手段と、
    前記駆動切換手段が前記第一駆動源から前記第一移送機構への駆動力の伝達を遮断した状態で、前記第一駆動源の駆動力によって前記刺繍枠を回転させる回転駆動手段と
    を備えたことを特徴とする刺繍枠移送装置。
  2. 前記駆動切換手段は、
    前記第一駆動源から前記第一移送機構への駆動力の伝達を遮断し、且つ前記第一駆動源から前記回転駆動機構への駆動力の伝達を接続させる切換部と、
    前記切換部を駆動するアクチュエータと
    を備えたことを特徴とする請求項1に記載の刺繍枠移送装置。
  3. 前記第一駆動源はモータであり、
    前記切換部は、
    前記モータの駆動によって回転するスプライン軸と、
    前記スプライン軸の周囲に設けられ、前記アクチュエータの動作によって前記スプライン軸の軸方向に移動可能であり、前記スプライン軸の回転に伴って回転する駆動ギアと
    を備え、
    前記第一移送機構は、
    前記駆動ギアに噛合可能な第一従動ギアと、
    前記第一従動ギアの回転に伴って回転する第一プーリと、
    前記第一方向において前記第一従動ギアと離間して設けられた第二プーリと、
    前記第一プーリと前記第二プーリとに掛架され、前記キャリッジに接続されたベルトと
    を備え、
    前記アクチュエータは、前記駆動ギアを前記軸方向に移動させ、前記駆動ギアが前記第一従動ギアに噛合する第一位置と、前記駆動ギアが前記第一従動ギアから離間した第二位置との間で、前記駆動ギアの位置を切り換えることを特徴とする請求項2に記載の刺繍枠移送装置。
  4. 前記回転駆動機構は、前記刺繍枠に設けられた枠ギアを回転可能であり、前記キャリッジに設けられた第二従動ギアを有し、
    前記第二従動ギアは、前記駆動ギアが前記第二位置にある場合に前記駆動ギアに噛合され、前記駆動ギアの駆動力を前記枠ギアに伝達し、前記刺繍枠を回転させることを特徴とする請求項3に記載の刺繍枠移送装置。
  5. 前記回転駆動手段によって前記刺繍枠が回転される場合に、前記キャリッジの前記第一方向への移動を規制し、前記第一移送機構によって前記キャリッジが前記第一方向に移送される場合に、前記刺繍枠の回転を規制する規制部を備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の刺繍枠移送装置。
  6. 前記第一駆動手段を前記第一方向とは異なる第二方向に移送する第二移送機構と、前記第二移送機構を駆動する第二駆動源とを有する第二駆動手段を備えたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の刺繍枠移送装置。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載の刺繍枠移送装置を装着可能であることを特徴とするミシン。
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