JP6466766B2 - 除染評価方法 - Google Patents

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本発明は、除染評価方法に関する。
放射性セシウム、放射性ストロンチウム等の放射性物質を含有する汚染水、例えば事故後の原発における炉心冷却用循環水や廃水等は、環境破壊を防止するために放射性物質を除去しなければ排出することが許されない。
このため、事故後の原発では、余剰となった原子炉冷却水を回収した汚染水からSARRY(単純型汚染水処理システム:Simplified Active Water Retrieve and Recovery System)によって放射性セシウムが除去され、放射性物質としてストロンチウムを主に含有する汚染水が多数のタンクに貯留されている。
放射性ストロンチウムは、ベータ崩壊により放射性イットリウムを生じる。1か月以上タンク内に貯留されている汚染水は、放射性ストロンチウムと放射性イットリウムとを一定の比で含有している。つまり、汚染水中の放射性ストロンチウムと放射性イットリウムとが放射平衡の状態となっている。
これらの汚染水を貯留するタンクの多くは、複数の板状部材をボルト締めすることにより現地で接合して形成されたボルト締め型タンクである。このようなボルト締め型タンクでは、部材間の締結部のパッキン等の劣化により漏れが生じ得るため、数年が耐用期間と考えられる。
そこで、複数の板状部材を溶接により接合して形成され、より寿命の長い溶接型タンクで、ボルト締め型タンクを置き換えることが望まれている。しかしながら、ボルト締め型タンクから汚染水を排出しても、タンクの内面に付着した放射性物質のために、さらに除染処理をしなければボルト締め型タンクを容易に解体することができない。
このようなタンクに貯留されている汚染水の典型的な放射性物質含有量は、100,000Bq/ccオーダーであると考えられており、内部の汚染水を排出してもタンクの内面には放射性物質が付着した状態となる。このため、汚染水排出後のタンクの放射能レベルとしては、表面汚染濃度で1,000Bq/cm程度になると予想される。この表面汚染濃度では、放射線量が高すぎ、解体を行う作業員の被爆量が短時間で被爆限度に達してしまうため、多数のタンクを汚染水排出後そのまま解体することは現実的ではない。従って、上記汚染水排出後のタンクについては、内面を除染してから解体することが必要である。
そこで、このようなタンク等の除染対象の表面をブラストにより研削して放射性物質を除去し、放射線計測器によって除染施工状況、つまりどの程度放射性物質を除去できたかを確認することが提案されている(特開2013−163226号公報参照)。しかしながら、ブラストによる研磨を行う場合、汚染物質を含むダストを発生するという問題が生じる。
また、上記公報記載の方法以外に、物品の表面に付着した放射性汚染物質を除去するために広く利用されている除染方法としては、洗浄水を噴射する洗浄がある。上記タンクの内面を洗浄水の噴射により除染する場合、比較的水溶性の大きい放射性ストロンチウムは比較的容易に洗い落とすことができるが、放射性イットリウムはラジオコロイドを形成して付着性が高いため、洗浄水での除去が容易ではない。
本発明者らは、先ず、洗浄水を用いてタンク内壁面の放射性ストロンチウムを殆ど除去することができれば、放射性イットリウムは経時的な減衰によって、除染の効率化が図れると考えた。しかしながら、表面汚染濃度を測定するために用いられる例えばサーベイメーター等の可搬性を有する放射線量計は、放射線の合計線量を測定できるだけであり、放射線の発生源となっている核種を特定することはできない。
特開2013−163226号公報
上記事情に鑑みて、本発明は、放射性ストロンチウム含有汚染水を貯留していたタンクの放射性ストロンチウムの除染状態を適切に評価することができる除染評価方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、放射性ストロンチウム含有汚染水を貯留していたタンクの除染評価方法であって、除染後にタンク内壁面の初期放射線量を測定する工程と、上記初期放射線量測定工程から時間を空け、タンク内壁面の中間放射線量を測定する工程と、上記初期放射線量測定工程での測定値及び中間放射線量測定工程での測定値に基づき、予め設定される収束時間経過後のタンク内壁面の収束放射線量を算出する工程とを備えることを特徴とする除染評価方法である。
当該除染評価方法は、初期放射線量測定工程及び中間放射線量測定工程と、初期放射線量測定工程及び中間放射線量測定工程での測定値に基づき収束時間経過後のタンク内壁面の収束放射線量を算出する工程とを備える。これによって、当該除染評価方法は、半減期の長い放射性ストロンチウムに主に依存する収束放射線量を算出することができるので、放射性ストロンチウムの除染状態を適切に評価することができる。
収束放射線量算出工程で、放射線量の測定値を放射性ストロンチウムと放射性イットリウムとの合計線量とみなして収束放射線量を算出するとよい。このように、収束放射線量算出工程で、放射線量の測定値を放射性ストロンチウムと放射性イットリウムとの合計線量とみなして収束放射線量を算出することによって、収束放射線量の算出が容易となり、放射性ストロンチウムの除染状態を適切かつ容易に評価することができる。
上記初期放射線量測定工程から中間放射線量測定工程までの時間としては、12時間以上120時間以下が好ましい。このように、上記初期放射線量測定工程から中間放射線量測定工程までの時間が上記範囲内であることによって、初期放射線量測定工程での測定値と中間放射線量測定工程での測定値との比が適切な範囲内となり、収束放射線量を比較的正確に算出できるので、放射性ストロンチウムの除染状態をより適切に評価することができる。
上記収束時間としては、500時間以上が好ましい。このように、上記収束時間を上記下限以上とすることによって、収束放射線量がタンクを解体する際の合計放射線量に近い値となる。つまり、当該除染評価方法により実効的なタンクの除染状態を把握することができ、放射性ストロンチウムの除染状態をより適切に評価することができる。
上記初期放射線量をR[Bq]、中間放射線量をR[Bq]、収束放射線量をR[Bq]、初期放射線量測定工程から中間放射線量測定工程までの時間をt[sec]とし、イットリウムY−90の崩壊定数λを用いて、上記収束放射線量Rを下記式(1)により算出するとよい。このように、比較的半減期が長い放射性ストロンチウムの崩壊を無視し、比較的半減期が短い放射性イットリウムの崩壊による減少のみを考慮した下記式(1)により上記収束放射線量Rを算出することによって、比較的簡単にストロンチウムの除染状態を評価することができる。
=(R−R・e−λ・t)/(1−e−λ・t) ・・・(1)
上述のように、本発明に係る除染評価方法は、放射性ストロンチウム含有汚染水を貯留していたタンクの放射性ストロンチウムの除染状態を適切に評価することができる。
本発明の一実施形態の除染評価方法の手順を示すフローチャートである。 図1の除染評価方法を用いたタンクの解体の手順を示すフローチャートである。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
[除染評価方法]
図1に示す本発明の一実施形態に係る除染評価方法は、放射性ストロンチウム含有汚染水を貯留していた汚染水タンクの除染状態、好ましくは汚染水タンクの内壁面の除染状態を評価する方法である。つまり、当該除染評価方法により除染状態が評価される汚染物質は、放射性ストロンチウムを含む放射性汚染物質である。
当該除染評価方法は、例えば作業員が汚染水タンクの内部で作業することが可能か否かを判断するために用いることができる。
当該除染評価方法は、除染後に汚染水タンク内壁面の初期放射線量を測定する工程(ステップS1)と、この初期放射線量測定工程から時間を空け、汚染水タンク内壁面の中間放射線量を測定する工程(ステップS2)と、初期放射線量測定工程での測定値及び中間放射線量測定工程での測定値に基づき、予め設定される収束時間経過後の汚染水タンク内壁面の収束放射線量を算出する工程(ステップS3)とを備える。
<汚染水>
上記放射性ストロンチウム含有汚染水としては、特に限定されないが、例えば事故後の原発において炉心を冷却するために使用した冷却水からSARRY(単純型汚染水処理システム)によって放射性セシウム等を除去した汚染水等を挙げることができる。
除染前の汚染水タンクに貯留される汚染水の汚染物質濃度としては、特に限定されないが、例えば500Bq/cc以上500,000Bq/cc以下とされる。
<汚染水タンク>
当該除染評価方法により除染状態が評価される汚染水タンクとしては、特に限定されないが、事故後の原発において、放射性物質を含む汚染水を貯留するために使用され、複数の板材の周縁に配設したフランジ間をボルトで締結して形成されたボルト締め型タンクが想定される。
また、当該除染評価方法により除染状態が評価される汚染水タンクとしては、例えばJIS−G3101(2010)に規定されるSS400のような一般構造用圧延鋼材等によって形成され、内面に例えばタールエポキシ樹脂等で防錆塗装を施したタンクとすることができる。
当該除染評価方法により除染状態が評価される汚染水タンクの平均内径の下限としては、特に限定されないが、3mが好ましく、5mがより好ましい。一方、汚染水タンクの平均内径の上限としては、25mが好ましく、20mがより好ましい。汚染水タンクの平均内径が上記下限に満たない場合、汚染水タンクを密閉空間内に移動して、密閉空間に設けた遠隔操作可能な装置を使用して解体及び最終的な除染を行うことが可能であり、当該除染評価方法を適用してストロンチウムに特化した除染状態を評価する必要がないおそれがある。逆に、汚染水タンクの平均内径が上記上限を超える場合、除染状態を確認できても、構造上の他の問題等により汚染水タンクを容易に解体できないおそれがある。なお、「平均内径」とは、タンク内部の水平方向の最小寸法とこれに直交する水平方向の寸法との平均値を意味する。
また、当該除染評価方法により除染状態が評価される汚染水タンクの平均高さの下限としては、3mが好ましく、5mがより好ましい。一方、汚染水タンクの平均高さの上限としては、30mが好ましく、25mがより好ましい。汚染水タンクの平均高さが上記下限に満たない場合、汚染水タンクを密閉空間内に移動して、密閉空間に設けた遠隔操作可能な装置を使用して解体及び最終的な除染を行うことが可能であり、当該除染評価方法を適用してストロンチウムに特化した除染状態を評価する必要がないおそれがある。逆に、汚染水タンクの平均高さが上記上限を超える場合、除染状態を確認できても、構造上の他の問題等により汚染水タンクを容易に解体できないおそれがある。
<初期放射線量測定工程>
ステップS1の初期放射線量測定工程では、汚染水タンク内壁面の放射線量を測定し、この測定値を初期放射線量とする。
放射線量の測定方法としては、ストロンチウムSr−90の放射線量を測定できる方法であればよく、例えば汚染水タンクの内壁面から一定の距離にサーベイメーターを配置して放射線量を測定する方法等が挙げられる。
放射線量の測定は、汚染水タンクの内壁面に沿う複数の位置において行うことが好ましい。
放射線量の測定値の単位としては、汚染水タンク内壁面の単位面積当たりの表面汚染密度、例えば[Bq/cm]とすることが好ましいが、測定条件を一定にできれば空間線量、つまり測定装置に入射する総放射線量、例えば[cpm]、[Sv/h]等であってもよい。
<中間放射線量測定工程>
ステップS2の中間放射線量測定工程では、初期放射線量測定工程から時間を空けて再度初期放射線量測定工程と同様に、汚染水タンク内壁面の放射線量を測定し、この測定値を中間放射線量とする。
この中間放射線量測定工程における放射線量の測定は、上記初期放射線量測定における放射線量の測定と同じ条件で行うことが好ましい。
初期放射線量測定工程から中間放射線量測定工程までの時間の下限としては、12時間が好ましく、24時間がより好ましい。一方、初期放射線量測定工程から中間放射線量測定工程までの時間の上限としては、120時間が好ましく、100時間がより好ましい。初期放射線量測定工程から中間放射線量測定工程までの時間が上記下限に満たない場合、初期放射線量と中間放射線量との差が小さくなり、ストロンチウムの残留量の計算誤差が大きくなるので、除染状態の評価精度が不十分となるおそれがある。逆に、初期放射線量測定工程から中間放射線量測定工程までの時間が上記上限を超える場合、除染状態の評価に時間がかかり過ぎ、非効率となるおそれがある。
<収束放射線量算出工程>
ステップS3の収束放射線量算出工程では、初期放射線量測定工程での測定値及び中間放射線量測定工程での測定値に基づき、予め設定される収束時間経過後の汚染水タンク内壁面の収束放射線量を算出する。
この収束放射線量の算出は、放射線源が放射性ストロンチウム及び放射性イットリウムのみであるとして、つまり放射線量の測定値をストロンチウムSr−90からの放射線とイットリウムY−90からの放射線との合計線量とみなして行ってもよい。
上記収束時間の下限としては、200時間が好ましく、300時間がより好ましい。一方、上記収束時間の上限としては、3,000時間が好ましく、2,000時間がより好ましい。上記収束時間が上記下限に満たない場合、放射性イットリウムの線量が十分に収束せず、汚染水タンク解体等の作業時の実効的な放射線量を正しく評価できないおそれがある。逆に、上記収束時間が上記上限を超える場合、評価に基づいて作業を開始できるまでの時間が長く、非効率となるおそれがある。
具体的な収束放射線量の算出方法としては、初期放射線量をR[Bq]、中間放射線量をR[Bq]、収束放射線量をR[Bq]、初期放射線量測定工程から中間放射線量測定工程までの時間をt[sec]とし、放射性イットリウムY−90の崩壊定数λ及び自然対数の底eを使用して、上記収束放射線量Rを下記式(1)により算出することができる。
=(R−R・e−λ・t)/(1−e−λ・t) ・・・(1)
この式(1)は、比較的半減期が長い放射性ストロンチウムの崩壊を無視し、比較的半減期が短い放射性イットリウムの崩壊による減少のみを考慮したものである。
また、上記式(1)は、収束放射線量Rとして初期放射線量Rのうちの放射性ストロンチウムによる放射線量を算出するものである。
このモデルでは、収束時間を200時間乃至300時間以上とすることによって放射性イットリウムの放射線量が問題にならないレベルとなる。また、このモデルでは、収束時間を2,000時間乃至3,000時間以下とすることによって放射性ストロンチウムの減少を略無視できる。
従って、上記式(1)により算出される収束放射線量Rの値は、除染によりストロンチウムの放射線量がイットリウムの放射線量の1/10以下、好ましくは1/100以下に低減されている場合には、収束時間を400時間時間以上1000時間以下としたときに観測される放射線量と略近い値となると考えられる。
このような除染状態は、水洗により放射性汚染物質を除去する場合に、ストロンチウムとイットリウムとの水溶性の違いにより必然的に生じると考えられる。つまり、水洗により初期放射線量Rを除染前の放射線量の例えば1/2以下に低下させた状態では、必然的にストロンチウムの放射線量がイットリウムの放射線量の1/10以下になると考えられる。
このように、ストロンチウムの崩壊を無視する簡略化モデルに基づく上記式(1)により収束放射線量R、つまり放射性イットリウムが十分に減少した後に残留する放射性ストロンチウムの放射線量を算出することによって、比較的簡単にストロンチウムの除染状態を確認することができる。
もちろん、収束放射線量算出工程で、放射性ストロンチウム及び放射性イットリウムの量を厳密に計算してもよい。
具体的には、初期放射線量測定工程時のストロンチウムの原子数をNSi[個]、初期放射線量測定工程時のイットリウムの原子数をNYi[個]、放射性ストロンチウムの崩壊定数をλs、放射性イットリウムの崩壊定数をλyとすると、初期放射線量測定工程時からt秒後の中間放射線測定工程時のストロンチウムの原子数NSm[個]及びイットリウムの原子数NYm[個]は、次の式(2)及び式(3)によってそれぞれ表わすことができる。
Sm=NSi・e(−λs・t) ・・・(2)
Ym={λs/(λy−λs)}・NSi・{e(−λs・t)−e(−λy・t)}+NYi・e(−λy・t) ・・・(3)
上記式(2)及び式(3)を用いて、時間tに予め設定される収束時間を代入することにより収束時間におけるストロンチウムの原子数及びイットリウムの原子数を導出し、これらを放射線量に換算することによって、収束時間における総放射線量である収束放射線量Rを算出することができる。
このように、汚染水タンクを除染後、収束時間が経過したとき、つまり数週間乃至数ヶ月放置したときに予測される収束放射線量Rを算出することで、放射性ストロンチウムの除染状態を適切に評価することができる。
当該除染評価方法は、上述のように、イットリウムが減少する収束時間経過時の主にストロンチウムから放出される放射線量を予測するものであるため、収束時間経過前はイットリウムから放出される放射線量が大きく、合計放射線量が収束放射線量Rより高い値となる。従って、汚染水タンクの解体等の作業は、当該除染評価方法の評価結果がよい場合、収束時間が経過してから、つまりイットリウムから放出される放射線量が十分に低下してから行うことで、被爆を防止できる。
[タンク解体手順]
続いて、当該除染評価方法を用いて、安全に汚染水タンクを解体する手順を説明する。
図2の汚染水タンク解体手順は、汚染水タンクの内壁面を除染する工程(ステップS11)と、この除染工程で除染した汚染水タンクに当該除染評価方法を用いて除染状態を評価する工程(ステップS12)と、この評価工程での評価結果に基づいて、上記除染工程を再度行うか否かを判定する工程(ステップS13)と、除染した汚染水タンクを収束時間が経過するまで放置する工程(ステップS14)と、汚染水タンクを解体する工程(ステップS15)とを備える。
〔除染工程〕
ステップS11の除染工程における汚染水タンクの除染方法としては、汚染水タンクの放射線量を低減できる方法であればよく、特に限定されないが、例えば汚染水タンクへの洗浄水の導入、汚染水タンクの内壁面へのブラスト噴射等が挙げられる。
具体的な汚染水タンクの除染方法について、汚染水タンクの洗浄水を導入する場合を例にとって説明する。
洗浄水による汚染水タンクの除染方法は、汚染水タンクに貯留されている汚染水を排出する工程と、この汚染水排出工程後の汚染水タンクに、内壁面に当接するよう洗浄水を導入する工程と、汚染水排出工程後に残留していた汚染水が洗浄水で希釈された低濃度汚染水を排出する工程とを備える。
<汚染水排出工程>
汚染水排出工程では、一般的な手段、例えば汚染水タンク内の水中ポンプによる排出、汚染水タンク内に挿入されるパイプを介して接続される吸引ポンプによる吸引等によって、汚染水タンク中に貯留されている汚染水を排出する。
この汚染水排出工程は、汚染水タンクから排出される汚染水を浄化設備に連続的に供給して、汚染水中の汚染物質を除去する工程、つまり汚染水を浄化するための工程として行うことが想定される。
<洗浄水導入工程>
洗浄水導入工程では、汚染水タンクの内壁面に洗浄水を当接させることにより、タンク内壁面に付着した汚染物質を洗い流す。
この洗浄水導入工程では、洗浄水を汚染水タンクの内壁面全体に順次衝突させるよう噴射することがより好ましい。このように、洗浄水を汚染水タンクの内壁面に衝突させるよう当接させることで、汚染水タンクの側壁内面に付着している汚染物質を水圧によって効率よく洗い落とすことができるので、汚染水タンクの内壁面の表面汚染濃度をより確実に低減することができる。
洗浄水を噴射する方法としては、浄化水の供給圧力によって浄化水の噴射方向を自動的に360°変化させながら噴射することができる三次元洗浄ノズルを用いることが好ましい。このような三次元洗浄ノズルとしては、噴射口の向きを互いに直交する2つの軸を中心に回転させる回転機構を有するものが好ましい。
また、これと同時に汚染水排出工程後にタンク底部に残留する汚染水を洗浄水によって希釈することで、タンク底部の残留水からの放射線量を低減する。
例えば事故後の原発において発生した汚染水を貯留するために使用されるほとんどの汚染水タンクの構造は、一般的な手段では貯留する汚染水を全量排出することが困難なものである。従って、この洗浄水導入工程において汚染水タンク内に残留する汚染水を希釈することによって、汚染水タンク内で作業者が作業を行うことができる程度に汚染物質濃度を低下させる。
洗浄水導入工程では、洗浄水での希釈により、汚染水タンク内の残留水の放射性汚染物質濃度を3,000Bq/cc以下に低下させることが好ましい。
(洗浄水)
洗浄水としては、汚染物質濃度が低い水であればよいが、上記汚染水排出工程で汚染水タンクから浄化設備に供給され、浄化設備において汚染物質が除去された浄化水を用いることができる。洗浄水の汚染物質濃度としては、浄化設備の能力にもよるが、例えば例えばNDレベル(数Bq/cc)以上500Bq/cc以下とすることができる。このように、洗浄水として汚染水を浄化した水を用いることによって、汚染水の総量を増加させずに、汚染水タンク内の貯留水の汚染物質濃度を低減することができる。
(浄化設備)
洗浄水として使用される浄化水を得るための浄化設備としては、フィルターユニット、1次吸着塔及び2次吸着塔を備えるものを使用することが好ましい。
フィルターユニットは、汚染水中の浮遊物質や油等を濾し取る。これにより、1次吸着塔及び2次吸着塔の吸着剤の目詰まりによる能力低下を抑制し、吸着能力を十分に発揮させる。
フィルターユニットは、複数がいずれかに選択的に通水できるよう並列に接続され、通水されていないフィルターユニット全体又はその内部のフィルターを交換できるように配設されることが好ましい。
フィルターユニットに配設されるフィルターとしては、例えば平均開口径0.2μm程度のメンブレンフィルター等が好適に用いられる。
さらに、フィルターユニットは、メンブレンフィルターの下流側に、活性炭吸着剤層を有することが好ましい。フィルターユニットが活性炭吸着剤層を有することにより、1次吸着塔及び2次吸着塔の吸着剤の目詰まりをより確実に防止できる。
1次吸着塔は、ストロンチウムを選択的に吸着する吸着剤が充填される。
1次吸着塔は、複数配設されることが好ましく、全てに通水可能かつ任意の1つを除外して通水可能に直列に接続され、切り離した1次吸着塔を新しいものと交換し、交換後の新しい1次吸着塔を最下流に接続することができるよう配管されるとよい。これにより、破過つまり吸着能力が飽和した1次吸着塔を順次新しいものに入れ替えることで、連続して浄化を行うことができる。
1次吸着塔に充填されるストロンチウムを選択的に吸着する吸着剤としては、例として、カルシウム及びマグネシウムを透過せず、ストロンチウムを選択的に透過する膜を表面に有し、ストロンチウムを吸着する無機材料を内部に有するカプセル状の吸着剤が使用できる。
上記ストロンチウムを選択的に透過する膜としては、例えばアルギン酸カルシウム膜等が挙げられる。また、ストロンチウムを吸着する無機材料としては、A型ゼオライト、X型ゼオライト等が挙げられる。このようなストロンチウム用吸着剤は、浮遊物質及び油分を濾し取る濾材としても機能する多孔質体に担持させることが好ましい。このような担持体としては、活性炭、ゼオライト等が挙げられる。
2次吸着塔は、ストロンチウム以外の放射性物質を吸着する吸着剤が充填される。
2次吸着塔は、複数配設されることが好ましく、全てに通水可能かつ任意の1つを除外して通水可能に直列に接続され、切り離した2次吸着塔を新しいものと交換し、交換後の新しい2次吸着塔を最下流に接続することができるよう配管されるとよい。これにより、破過つまり吸着能力が飽和した2次吸着塔を順次新しいものに入れ替えることで、連続して浄化を行うことができる。
2次吸着塔に充填される吸着剤としては、例えばフェロシアン化コバルト又はフェロシアン化鉄を担持する酸化チタンで構成される吸着剤、無機炭素及びアルミナで構成される吸着剤(除去対象:多元素)、酸化セシウム系無機材料で構成される吸着剤(除去対象:Sb、Se、Te、ヨウ素酸)、ヨウ素を担持する活性炭で構成される吸着剤(除去対象:ヨウ素)、タンニンを担持する活性炭で構成される吸着剤(除去対象:超ウラン元素(U、np、Pu、Am、Cm))、還元鉄を担持する活性炭で構成される吸着剤(除去対象:Sb、Se、Te、多元素)、アルミニウム含有無機炭素系材料で構成される吸着剤(除去対象:Sb、Se、Te、Tc)、各種キレート剤(例えばDDTC、オキシン、DTPA、クペロン等)を担持する活性炭で構成される吸収剤(除去対象:超ウラン元素(U、np、Pu、Am、Cm))等を含むものが挙げられる。ここで除去対象が「多元素」とは、Ag、Cd、Eu、Mn、Co、Y、Ru、Ce、Te、ni、Zn、Rh、nd、Sn、Sb、Tc、Pr、Sm、Gd、V及び超ウラン元素(U、np、Pu、Am、Cm)の一部又は全部を除去対象とすることを意味する。
<残留水除去工程>
残留水除去工程では、例えば低水位水中ポンプによる吸引等によって汚染水タンクに残留する水を除去する。この残留水除去工程により、汚染水タンクの解体作業を妨げたり、解体により周囲に漏洩するおそれがある残留水を除去し、作業者が汚染水タンクの中で解体作業を行うことを可能にする。
残留水除去工程で用いる低水位水中ポンプとしては、例えば土木工事現場等において広く使用されている公知の低水位排水ポンプ、つまり汚染水タンクの底部に着床して配置され、その下部から周囲の水を吸い込んで送出することができるポンプを挙げることができる。
また、残留水除去工程では、例えばウエス等に汚染水を吸収させる工程を組み合わせることによって、汚染水タンク内に残留する汚染水の水量をさらに低減するようにしてもよい。
〔評価工程〕
ステップS12の評価工程では、図1の除染評価方法を用いて、汚染水タンクの除染状態を評価、つまり予め設定される収束時間経過後に予想される収束放射線量Rを算出する。
〔判定工程〕
ステップS13の判定工程では、上記評価工程において算出した収束放射線量Rを予め設定される閾値と比較し、閾値以下であるか否かを確認する。この判定工程において収束放射線量Rが閾値以下であれば、ステップS14の放置工程に進むが、収束放射線量Rが閾値を超える場合、ステップS11の除染工程に戻る。つまり、この判定工程において収束放射線量Rが閾値以下になるまで、ステップS11の除染工程及びステップS12の評価工程を繰り返し行う。
〔放置工程〕
ステップS14の放置工程では、最後に行った評価工程の初期放射線量測定時から収束時間が経過するまで、汚染水タンクを放置する。これによって、放射性イットリウムが減少し、放射線量が収束放射線量Rに近い値まで低下する。
〔解体工程〕
ステップS15の解体工程では、汚染水タンクの壁を複数の板片に分割し、汚染水タンク設置場所からの搬出を容易にする。
上記汚染水タンクの壁の分割方法としては、汚染水タンクがボルト締め型タンクである場合にはボルトの取り外し、汚染水タンクが溶接型タンクである場合には例えばバンドソー等を用いた切断による方法が挙げられる。
また、上記汚染水タンクの壁の分割の際には、作業を行う分割部分の近傍の空気を吸引し、例えばフィルター等によりダストを除去してから空気を放出するようにしてもよい。これによって、汚染物質の飛散を防止することができる。
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
当該除染評価方法は、複数の中間放射線量測定工程を備えてもよい。このように、複数の中間放射線量測定工程を備えることによって、収束放射線量の算出精度を向上させることや、ストロンチウム及びイットリウム以外に無視できない量の核種が存在する場合にその核種の放射線量の変化を考慮したモデルを採用することができる。
本発明に係る除染評価方法は、放射性ストロンチウム含有汚染水を貯留していたタンクの除染状態を評価するために利用することができ、特に、汚染水タンクの解体時に作業員の被爆を効果的に防止するために好適に利用することができる。
S1 初期放射線量測定工程
S2 中間放射線量測定工程
S3 収束放射線量算出工程
S11 除染工程
S12 評価工程
S13 判定工程
S14 放置工程
S15 解体工程

Claims (4)

  1. 放射性ストロンチウム含有汚染水を貯留していたタンクの除染評価方法であって、
    除染後にタンク内壁面の初期放射線量を測定する工程と、
    上記初期放射線量測定工程から時間を空け、タンク内壁面の中間放射線量を測定する工程と、
    上記初期放射線量測定工程での測定値及び中間放射線量測定工程での測定値に基づき、予め設定される収束時間経過後のタンク内壁面の収束放射線量を算出する工程と
    を備え
    上記初期放射線量をR [Bq]、中間放射線量をR [Bq]、収束放射線量をR [Bq]、初期放射線量測定工程から中間放射線量測定工程までの時間をt[sec]とし、イットリウムY−90の崩壊定数λを用いて、上記収束放射線量R を次の式(1)により算出することを特徴とする除染評価方法。
    =(R −R ・e −λ・t )/(1−e −λ・t ) ・・・(1)
  2. 収束放射線量算出工程で、放射線量の測定値を放射性ストロンチウムと放射性イットリウムとの合計線量とみなして収束放射線量を算出する請求項1に記載の除染評価方法。
  3. 上記初期放射線量測定工程から中間放射線量測定工程までの時間が12時間以上120時間以下である請求項1又は請求項2に記載の除染評価方法。
  4. 上記収束時間が500時間以上である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の除染評価方法。
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