JP6367700B2 - 汚染水貯留タンクの除染処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、汚染水貯留タンクの除染処理方法に関する。
放射性セシウム、放射性ストロンチウム等の放射性物質を含有する汚染水、例えば廃水、事故原発炉心冷却用循環水等は、環境破壊を防止するために放射性物質を除去しなければ排出することが許されない。
このため、事故原発において、余剰となった原子炉冷却水等を回収した汚染水が多数の貯留タンクに貯留されており、その量が日々増大している。これらの貯留タンクの多くは、複数の板状部材をボルト締めすることにより現地で接合して形成されたボルト締め型タンクである。このようなボルト締め型タンクでは、部材間の締結部のパッキン等の劣化により漏れが生じ得るため、数年が寿命と考えられる。
そこで、このようなボルト締め型タンクから、複数の板状部材を溶接により接合して形成され、より寿命の長い溶接型タンクに置き換えることが望ましい。しかしながら、ボルト締め型タンクから汚染水を排出しても、タンクの内壁に付着した放射能やタンク底部のボルト締結用フランジ間に残留する汚染水のために、さらに除染処理をしなければボルト締め型タンクを容易に解体処分することができない。
このような貯留タンクに貯留されている汚染水の典型的な放射性物質含有量は、100,000Bq/ccオーダーであると考えられており、内部の汚染水を排出しても貯留タンクの内壁面には放射性物質が付着した状態となり、その放射能レベルとしては、表面汚染濃度が1,000Bq/cm程度になると予想される。これでは、放射線量が大きすぎ、解体作業を行う作業員の被爆量が短時間で被爆限度に達してしまうため、多数の貯留タンクを汚染水排出後そのまま解体することは現実的ではない。
従って、上記汚染水排出後の貯留タンクについては、内壁面を除染してから解体することが検討されるが、除染作業も解体作業と同様に作業員の被爆が問題となり、非常に困難である。そこで、作業員が貯留タンク内に立ち入ることなく、貯留タンクの内壁面を除染することが望まれる。
一案として、汚染水を排出した貯留タンクに非汚染水である新しい水を供給すれば、放射能レベルをさらに低下させられる。しかしながら、非汚染水を使用すると、低濃度とはいえども新たな汚染水が発生することになり、その処理が問題となる。従って、非汚染水を使用して貯留タンクの除染を行うことは好ましくない。
また、そのような汚染レベルの高い貯留タンクを除染することなく解体できたとしても、解体された鋼板等の解体物の表面汚染濃度が高く、その処分方法が問題となる。
また、放射能汚染設備の解体法方法としては、放射能汚染設備を覆う上屋を建設し、この上屋の天井付近に遠隔操作可能なクレーンを配設し、このクレーンを使用して人が上屋内に立ち入ることなく設備の解体及び除染を行うことが提案されている(例えば特開2013−181921号公報参照)。しかしながら、上屋の建設には大きなコストが必要である上、事故原発では多数の貯留タンクが密集して配設されており、上屋の建設は技術的にも極めて困難である。
特開2013−181921号公報
上記不都合に鑑みて、本発明は、汚染水量の増加を抑制しつつ、比較的安価かつ容易に汚染水貯留タンクの放射能レベルを低下できる汚染水貯留タンクの除染処理方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、放射性物質を含む汚染水が貯留されたn基(nは2以上)の貯留タンクの除染処理方法であって、1番目の貯留タンクから汚染水を排出及び浄化し、代替タンクに導入する第1工程と、k番目の貯留タンクから汚染水を排出及び浄化し、k−1番目の貯留タンクに流入する第2工程とを備え、上記第2工程をkが2からnまで繰り返し行うことを特徴とする汚染水貯留タンクの除染処理方法である。
当該汚染水貯留タンクの除染処理方法は、先に汚染水を排出した貯留タンクに次の貯留タンクから排出した汚染水を浄化して得られる浄化水を流入することによって、先に汚染水を排出した貯留タンク内に残留する放射性物質を希釈する。これにより、新たな水を使用して汚染水量を増加させることなく、比較的安価かつ容易に1番目からn−1番目の貯留タンクの放射能レベルを低下できる。なお、「浄化水」とは、浄化により放射性物質含有量が低減された汚染水を意味し、海洋等の管理区域外に放出できる程度まで浄化されていることを要求しない。
上記第2工程後における貯留タンク中の低濃度汚染水を代替タンクに導入する第3工程をさらに備えるとよい。このように、第2工程で放射能レベルを低下させた貯留タンク中の低濃度汚染水を排出することで、貯留タンクの解体処理を可能にできる。
上記第2工程後における貯留タンク中の低濃度汚染水又は上記代替タンク中の水を第2工程後のn番目の貯留タンクに流入し、希釈後の低濃度汚染水を上記代替タンクに導入する第4工程をさらに備えるとよい。このように、第2工程で貯留タンク中の汚染水を希釈した低濃度汚染水又は第1工程若しくは第3工程で代替タンクに導入された浄化水若しくは低濃度汚染水を使用して最後に汚染水を排出した貯留タンクに残留する放射性物質を希釈することによって、新たな水を使用して汚染水量を増加させることなく、比較的安価かつ容易に最後の貯留タンクの放射能レベルも低下することができる。
上記汚染水の排出をポンプにより行い、所定の水位からは低水位ポンプにより行うとよい。このように、上記汚染水の排出をポンプにより行い、所定の水位からは低水位ポンプにより行うことによって、貯留タンクの底に残される汚染水の水量を少なくすることができ、浄化水又は低濃度汚染水による放射性物質の希釈がより確実となる。また、この希釈のために導入する浄化水又は低濃度汚染水の水量を少なくすることができるので、希釈後の貯留タンクを解体する前に低濃度汚染水を排出する際の費用及び時間を低減することができる。
上記貯留タンクが複数の部材をボルト締めにより締結したものであり、上記代替タンクが複数の部材を溶接により接合したものであるとよい。このように、比較的寿命が短いボルト締め型の貯留タンクの放射能レベルを低下させると共に、残される浄化水又は低濃度汚染水を比較的寿命が長い溶接型のタンクに流入することによって、タンクの漏れによる汚染の拡大を防止できる。
上記浄化に、移動可能な架台に搭載され、ストロンチウムを選択的に吸着する吸着剤が充填された1又は複数の吸着塔を用いるとよい。このように、移動可能な架台に搭載される吸着塔を用いることによって、貯留タンクの近傍に簡単かつ確実に汚染水浄化設備を配設することができる。また、ストロンチウムを選択的に吸着する吸着剤が充填された吸着塔を用いることによって、SARRY(単純型汚染水処理システム:Simplified Active Water Retrieve and Recovery System)等により処理されて、貯留タンクに貯留されている汚染水に残留する放射性物質中の多くを占めるストロンチウムを効率よく除去して放射能レベルをより確実に低下させることができる。なお、「架台」とは、その上に吸着塔が配設される基台を意味し、高さの小さい板状又はフレーム状のものを含む。
上記貯留タンクへの浄化水の流入が、貯留タンク内で乱流を生じるように行われるとよい。このように、浄化水の流入により貯留タンク内で乱流を生じるようにすることで、貯留タンクの内壁面に付着した放射性物質を効率よく洗い落として希釈し、放射能レベルをより確実に低下させられる。
以上のように、本発明の汚染水貯留タンクの除染処理方法は、汚染水量を増加させることなく、比較的安価かつ容易に汚染水貯留タンクの放射能レベルを低下できる。
本発明の一実施形態の汚染水貯留タンクの除染処理方法を適用する汚染水貯留タンクと除染処理に使用する代替タンク及び汚染水浄化設備を示す模式図である。 図2の汚染水浄化設備の詳細な構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態の汚染水貯留タンクの除染処理方法の手順を示すフローチャートである。 図3の第1工程を説明する模式図である。 図3の第2工程の最初のサイクルを説明する模式図である。 図3の第2工程の次のサイクルを説明する模式図である。 図3の第2工程の最後のサイクルを説明する模式図である。 図3の第3工程の最初のサイクルを説明する模式図である。 図3の第3工程の最後のサイクルを説明する模式図である。 図3の第4工程の最初の工程を説明する模式図である。 図3の第4工程の図10の次の工程を説明する模式図である。 図3の第2工程と第3工程とを同時に行う例を説明する模式図である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
[第一実施形態]
図1に、本発明の一実施形態に係る汚染水貯留タンクの除染処理方法によって除染処理される貯留タンクTs1〜Ts4と、当該汚染水貯留タンクの除染処理方法に用いる代替タンクTr1〜Tr4及び汚染水浄化設備Uを模式的に示す。なお、図において、汚染水にはハッチングを施し、汚染レベルが高いほどハッチングの密度を大きく図示する。
当該汚染水貯留タンクの除染処理方法は、放射性物質を含む汚染水が貯留されたn基(nは2以上)の貯留タンクの除染処理方法であるが、以降の説明では、図1に示すように、n=4、つまり4基の貯留タンクTs1〜Ts4の除染処理を行う例を示す。なお、本実施形態では、貯留タンクTs1〜Ts4及び代替タンクTr1〜Tr4からの汚染水の排出は、ポンプPによって行う。
(汚染水)
貯留タンクの除染処理方法が適用される貯留タンクTs1〜Ts4に貯留されている汚染水としては、放射性物質を一定量以上含むものであり、汚染水を排水しても貯留タンクTs1〜Ts4の表面汚染密度が表面密度限度(α線放出核種で4Bq/cm、α線放出核種以外の核種で40Bq/cm)を超えると予想されるような濃度の放射性物質を含むものとされる。このような汚染水の放射性物質濃度としては、特に限定されないが、目安として10,000Bq/cc以上、典型的には100,000Bq/cc以上である。
(貯留タンク)
貯留タンクTs1〜Ts4は、特に限定されないが、小さく解体して処分される汚染水タンクであることが想定され、特に寿命が残り少ないことにより処分が必要となった汚染水タンクであることが想定される。このように処分が必要な汚染水タンクとしては、典型的には、板材の周縁にフランジを配設した複数の部材をボルト締めにより締結したボルト締め型タンクが挙げられる。
また、貯留タンクTs1〜Ts4の容積としては、特に限定されないが、一般的には100m以上、典型的には1,000m以上とされる。貯留タンクTs1〜Ts4の容積が上記下限に満たない場合、貯留タンクTs1〜Ts4を移動して処理する場合と比べて却って不経済となるおそれがある。
(代替タンク)
代替タンクTr1〜Tr4としては、汚染水が漏えいしないものであればよいが、好ましくは、複数の板材を溶接により接合した溶接型タンクとされる。また、代替タンクTr1〜Tr4としては、新品で空のタンクを用いることが好ましい。この溶接型タンクは、例えばSS400等の一般構造用圧延鋼板を用いて製造することができるが、内面を樹脂等でコーティングすることが好ましい。このように、代替タンクTr1〜Tr4として比較的寿命が長い溶接型タンクを使用すれば、汚染水の漏えい防止が長期にわたって担保される。
また、代替タンクTr1〜Tr4の容積としては、特に限定されないが、対応する貯留タンクTs1〜Ts4の容積以上とすることが好ましく、対応する貯留タンクTs1〜Ts4の容積と略等しいことが空間効率の観点からより好ましい。代替タンクTr1〜Tr4の容積が対応する貯留タンクTs1〜Ts4の容積よりも小さい場合、いずれか1基の貯留タンクTs1〜Ts4から複数の代替タンクTr1〜Tr4に汚染水を移送する必要が生じるため、作業が煩雑となるおそれがある。
(汚染水浄化設備)
汚染水浄化設備Uは、図2に図示するように、車輪を有し自走可能な架台1の上に、複数のフィルター2と、ストロンチウムを選択的に吸着する吸着剤が充填された複数の吸着塔3とが搭載されている。
このように汚染水浄化設備Uは、架台1上に複数のフィルター2及び複数の吸着塔3を搭載して移動可能に構成されることによって、貯留タンクの近傍に簡単かつ確実に配設することができ、汚染水浄化設備Uからの汚染水の漏れ等のリスクも低減できる。
フィルター2は、吸着塔3における吸着処理の前に、汚染水中の浮遊物質及び油分を濾し取るために配設される。このようなフィルターとしては、例えば平均開口径0.2μm程度のメンブレンフィルター等が好適に用いられる。
複数のフィルター2は、直列に接続され、任意の1つを除外して汚染水を流通しながら、切り離したフィルター2を新しいものと交換し、交換後の新しいフィルター2を最下流に接続することができるよう配管されている。
複数の吸着塔3は、フィルター2と同様に、直列に接続され、任意の1つを除外して汚染水を流通しながら、切り離した吸着塔3を新しいものと交換し、交換後の新しい吸着塔3を最下流に接続することができるよう配管されている。
このように複数のフィルター2及び複数の吸着塔3をそれぞれ順次新しいものに入れ替え可能に構成することにより、貯留タンクTs1〜Ts4の除染処理を滞ることなく行うことができる。
吸着塔3は、ストロンチウムを選択的に吸着する吸着剤が充填されているので、SARRY(単純型汚染水処理システム:Simplified Active Water Retrieve and Recovery System)等により処理されてから貯留タンクTs1〜Ts4に貯留されている汚染水に残留する放射性物質中の多くを占めるストロンチウムを効率よく除去できる。これにより、貯留タンクTs1〜Ts4の放射能レベルを容易に低下できる。
上記ストロンチウムを選択的に吸着する吸着剤としては、カルシウム及びマグネシウムの共存下でもストロンチウムに対して高い吸着性能を有する材料、例えばA型ゼオライト、X型ゼオライト等が挙げられる。
(ポンプ)
ポンプPとしては、貯留タンクTs1〜Ts4及び代替タンクTr1〜Tr4中の水を排出できるものであればよく、特に限定されないが、貯留タンクTs1〜Ts4及び代替タンクTr1〜Tr4の底部、つまり板面上又はフランジ上に着床して配置され、その下部から周囲の水を吸い込んで送出する低水位ポンプつまり低水位排水用の水中ポンプが好適に使用される。このような低水位ポンプは、貯留タンクTs1〜Ts4及び代替タンクTr1〜Tr4の上部の開口からワイヤー等で吊り下ろされて汚染水中に浸漬される。
ポンプP、特に低水位ポンプを使用することによって、貯留タンクTs1〜Ts4及び代替タンクTr1〜Tr4から汚染水を排出した後に不可避的に残留する汚染水量を少なくすることができ、貯留タンクTs1〜Ts4の除染効率を向上できる。ポンプPとして、一般的なポンプ等のポンプを使用した後、さらに低水位ポンプを使用してもよい。
<汚染水貯留タンクの除染処理方法>
図3に、当該汚染水貯留タンクの除染処理方法の手順を示す。また、当該汚染水貯留タンクの除染処理方法を分かり易く説明するため、図4乃至図11に、図3の各工程を模式的に図示する。
図3の汚染水貯留タンクの除染処理方法は、1番目の貯留タンクTs1から汚染水を排出及び除染し、1番目の代替タンクTr1に導入する第1工程(ステップS1)と、k番目(kは自然数)の貯留タンクTskから汚染水を排出及び浄化し、k−1番目の貯留タンクTs(k−1)に流入する工程であって、kが2からn=4まで繰り返し行われる第2工程(ステップS2)と、上記第2工程後における貯留タンクTs1〜Ts3中の低濃度汚染水を代替タンクTr2〜Tr4に導入する第3工程(ステップS3)と、第2工程後の1若しくは複数の貯留タンクTs1〜Ts3中の低濃度汚染水、又は1若しくは複数の上記代替タンクTr1〜Tr4中の水を第2工程後のn=4番目の貯留タンクTs4に流入し、希釈後の低濃度汚染水を1又は複数の代替タンクTr1〜Tr4に導入する第4工程(ステップS4)とを備える。
<第1工程>
ステップS1の第1工程では、図4に示すように、先ず、1番目の貯留タンクTs1からポンプPにより汚染水を排出して汚染水浄化設備Uに供給する。そしてこの汚染水を汚染水浄化設備Uにより浄化して得られる浄化水を1番目の代替タンクTr1に導入する。
これにより、1番目の貯留タンクTs1から汚染水が排出されるが、貯留タンクTs1の内部の汚染水全量を完全に排出することは困難である。このため、汚染水を排出した後の貯留タンクTs1は、底部に僅かに汚染水が残留し、かつ内壁面に放射性物質が付着した状態となる。
代替タンクTr1に導入される浄化水の放射性物質含有量は、汚染水浄化設備Uの能力に依存するが、100Bq/cc程度とされることが好ましい。
<第2工程>
ステップS2の第2工程では、先に汚染水を排出した貯留タンクTs(k−1)内に残留する放射性物質を次の貯留タンクTskに貯留されている汚染水を排出及び浄化した浄化水によって希釈する。この第2工程は、kが2からnまで繰り返し行われる。
最初の第2工程では、図5に示すように、先ず、2番目の貯留タンクTs2からポンプPにより汚染水を排出し、この汚染水を汚染水浄化設備Uにおいて浄化した浄化水を1番目の貯留タンクTs1に流入する。
これにより、1番目の貯留タンクTs1に残留する汚染水が流入された浄化水によって希釈され、内壁面に付着していた放射性物質が洗い落とされて浄化水に溶け込む。従って、1番目の貯留タンクTs1は、底部や内壁面に残留していた放射性物質が希釈された低濃度汚染水を貯留する状態となる。
2番目の貯留タンクTs2の汚染水略全量を浄化して1番目の貯留タンクTs1に流入した場合、1番目の貯留タンクTs1の低濃度汚染水の放射性物質含有量としては、5,000Bq/cc程度となると予想される。
次の第2工程では、図6に示すように、3番目の貯留タンクTs3からポンプPにより汚染水を排出し、この汚染水を汚染水浄化設備Uにおいて浄化した浄化水を2番目の貯留タンクTs2に流入する。さらに、この第2工程、つまり先に汚染水を排出した貯留タンク内に残留する放射性物質を次の貯留タンクに貯留されている汚染水を排出及び浄化した浄化水によって希釈する処理を順番に繰り返す。
従って、この第2工程の繰り返しが終わると、図7に示すように、最後の貯留タンクTs4(一般的には最後の貯留タンク)には少量の汚染水が残留し、他の貯留タンクTs1〜Ts3が内部の放射性物質が希釈された低濃度汚染水を貯留する状態となる。
この第2工程における貯留タンクTs1〜Ts3への浄化水の流入は貯留タンクTs1〜Ts3の内壁面に付着した放射性物質を洗い流す効果を促進するために、例えばスプレーノズル等を用いて貯留タンクTs1〜Ts3の内部で乱流を生じるよう行われることが好ましい。なお、「乱流」とは、貯留タンクTs1〜Ts3の内壁面に浄化水が直接吹き付けられる流れの他、貯留タンクTs1〜Ts3内で大きな渦を形成するような流れを創生して、内壁面での浄化水の剪断、剥離等を含む乱流を生じさせるものであってもよい。
<第3工程>
ステップS3の第3工程では、図8及び図9に示すように、ポンプPを用いて貯留タンクTs1〜Ts3の低濃度汚染水を代替タンクTr2〜Tr4に導入、つまり移し替えを行う。貯留タンクTs1〜Ts3の底部には少量の低濃度汚染水が残留するが、低濃度汚染水は放射線量が低いので、防護服を着用した作業員が手作業で排出又は拭き取りすることができる。
これにより、貯留タンクTs1〜Ts3の内壁面の表面汚染密度は、例えば400Bq/cm程度までに低減されると考えられる。この程度の放射能レベルであれば、防護服を着用した作業員が解体作業を行うことができる。
<第4工程>
ステップS4の第4工程では、図10に示すように1番目の代替タンクTr1中の浄化水又は他の代替タンクTr2〜Tr4中の低濃度汚染水を、ポンプPを用いて4番目の貯留タンクTs4に流入し、残留する放射性物質を希釈する。
これにより4番目の貯留タンクTs4内に形成される低濃度汚染水は、図11に示すように、ポンプPを用いて代替タンクTr1〜Tr4の少なくともいずれか、典型的には4番目の貯留タンクTs4に流入した浄化水又は低濃度汚染水を排出した代替タンク(図11では1番目の代替タンクTr1)に導入される。
これにより、最後の貯留タンクTs4内に残留する放射性物質も希釈されて低濃度汚染水となり、この最後の貯留タンクTs4内の低濃度汚染水が排出されることにより、防護服を着用した作業員が解体作業を行うことができる。
なお、一度他の貯留タンクTs1〜Ts3に残留する放射性物質を希釈して形成された低濃度汚染水であっても、最後の貯留タンクTs4内に残留する放射性物質を希釈するには十分に放射性物質含有量が低いと考えられる。このため、この第4工程では、代替タンクTr2〜Tr4中の低濃度汚染水を貯留タンクTs4に流入してもよい。
また、当該汚染水貯留タンクの除染処理方法において、貯留タンクTs1〜Ts4からの汚染水の排出は、先ず、ポンプPとして一般的なポンプを用いて貯留タンク内の汚染水が一定の水位となるまで汚染水の排出を行い続いて、ポンプPとして低水位ポンプを用いてさらに汚染水の排出を行うことが好ましい。上記一定水位までの汚染水の排出は、例えば貯留タンクの側面に配設されたノズル等を通して、ポンプPとして例えば遠心ポンプ等の比較的汎用かつ大容量のポンプを使用して行うことができる。
<利点>
当該汚染水貯留タンクの除染処理方法は、先に汚染水を排出したk−1番目の貯留タンクTs(k−1)に次のk番目の貯留タンクTskから排出した汚染水を浄化して得られる浄化水を流入することによって、先に汚染水を排出した貯留タンクTs(k−1)内に残留する放射性物質を希釈する。これにより、新たな水を使用して汚染水量を増加させることなく、比較的安価かつ容易に1番目からn−1番目の貯留タンクTs1〜Ts(n−1)の放射能レベルを低下させることができる。
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
当該汚染水貯留タンクの除染処理方法に使用する代替タンクは、貯留タンクに一対一に対応しなくてもよい。例えば複数の貯留タンクに対して1つの大きな代替タンクを対応させてもよい。また、第3工程で各貯留タンクから複数の代替タンクに振り分けて低濃度汚染水を移送することで、汚染レベルを均等化することもできる。また、代替タンクに導入した低濃度汚染水を逐次さらなる処理工程に供して、海洋等に放出できるまで最終処理する場合、代替タンクは貯留タンクと同等の大きさを有するもの1つでもよい。
また、当該汚染水貯留タンクの除染処理方法において、第3工程は必須ではない。つまり、貯留タンクの汚染レベルを低下させるために第1工程で浄化水を受け入れる1基の代替タンクがあれば、複数の貯留タンク内の汚染水を希釈して低濃度汚染水とすることができる。その後、万が一、貯留タンクから漏出した場合にも人手によりピットから回収する等の対応が容易となり、放射能汚染拡大のリスクを低減できる。
また、当該汚染水貯留タンクの除染処理方法において、第2工程と第3工程とは、並行して行ってもよい。具体例としては、図12に示すように、k番目の貯留タンクTskから汚染水を排出及び浄化し、k−1番目の貯留タンクTs(k−1)に流入する第2工程と同時に、k−2番目の貯留タンクTs(k−2)中の低濃度汚染水を代替タンクTr(k−1)に導入する第3工程を行うことができる。これによって、複数の貯留タンクの除染を迅速化できる。
また、当該汚染水貯留タンクの除染処理方法において、第4工程を第3工程より先に行ってもよい。
また、当該汚染水貯留タンクの除染処理方法において、第4工程は必須ではない。例えば複数の貯留タンクの中に漏れが発生する可能性が小さい溶接型タンクがある場合、この溶接型タンクを希釈せず最後に残すことができる。また、多数の貯留タンクを除染処理する場合において、最後の貯留タンクに残留する汚染水だけ非汚染水で薄めても、汚染水の増加は大きくないものと評価できる。
また、第2工程において、先に汚染水を排出した貯留タンク内に残留する放射性物質を希釈するために流入される浄化水は、後の貯留タンクから排出及び浄化して得られる浄化水の一部であってもよい。つまり、第2工程において、放射性物質の希釈を必要最小限にとどめ、その余の浄化水を直接代替タンクに導入することで、先に汚染水を排出した貯留タンクへの浄化水の流入及びこの貯留タンクから代替タンクへの低濃度汚染水の導入の時間及びエネルギーコストを低減することができる。
また、当該汚染水貯留タンクの除染処理方法において使用する代替タンクは、使用済みのタンクを再利用してもよく、既に汚染水等が貯留されているタンクの空き容量を使用してもよい。代替タンクとして使用済みタンクを用いる場合、貯留タンクの汚染水を浄化した浄化水又は貯留タンクの汚染水を希釈した低濃度汚染水の導入によって汚染レベルを十分低下させられる程度に内壁面に放射性汚染物質が付着又は底部に汚染水が残留しているものを使用してもよい。さらに、代替タンクが溶接型タンク等の漏えいの危険性が小さいタンクであれば、代替タンクに先に高濃度の汚染水が貯留されており、貯留タンクから浄化水又は低濃度汚染水を導入した後の汚染レベルが貯留タンクよりも高くなるものであってもよい。
また、当該汚染水貯留タンクの除染処理方法において使用する汚染水浄化設備は、ブースターポンプや、クッションタンク及びこのクッションタンクから浄化水を送出するポンプ等の送出手段を有してもよい。
また、汚染水浄化設備は、上記実施形態のようにストロンチウムを選択的に吸着する吸着剤が充填された1又は複数の吸着塔を有するものが特に好ましいが、放射能レベルを十分に低下させられるものであればよく、放射性ストロンチウムを除去できるものが好ましい。
また、汚染水浄化設備は、1又は複数の吸着塔のみを有するものであってもよい。
また、汚染水浄化設備の架台は、車輪を有せず、例えばフォークリフト、ユニック車等を用いて移動可能なものであってもよい。また、汚染水浄化設備は、架台を有せず、分解して搬送され、現場で組み立てられるものであってもよい。
当該汚染水貯留タンクの除染処理方法は、複数の放射能汚染水貯留タンクがある場合、これらの貯留タンクの除染を行うために広く適用可能であるが、特に事故原発に配設された複数の貯留タンクを処理するために好適に利用することができる。
1 架台
2 フィルター
3 吸着塔
P ポンプ
S1 第1工程
S2 第2工程
S3 第3工程
S4 第4工程
Tr1〜Tr4 代替タンク
Ts1〜Ts4 貯留タンク
U 汚染水浄化設備

Claims (7)

  1. 放射性物質を含む汚染水が貯留されたn基(nは2以上)の貯留タンクの除染処理方法であって、
    1番目の貯留タンクから汚染水を排出及び浄化し、代替タンクに導入する第1工程と、
    k番目の貯留タンクから汚染水を排出及び浄化し、k−1番目の貯留タンクに流入する第2工程と
    を備え、
    上記第2工程をkが2からnまで繰り返し行うことを特徴とする汚染水貯留タンクの除染処理方法。
  2. 上記第2工程において浄化され貯留タンクに流入された低濃度汚染水を代替タンクに導入する第3工程をさらに備える請求項1に記載の汚染水貯留タンクの除染処理方法。
  3. 上記第2工程において浄化され貯留タンク流入された低濃度汚染水又は上記代替タンク中の水を第2工程後のn番目の貯留タンクに流入し、希釈後の低濃度汚染水を上記代替タンクに導入する第4工程をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の汚染水貯留タンクの除染処理方法。
  4. 上記汚染水の排出をポンプにより行い、所定の水位からは低水位ポンプにより行う請求項1、請求項2又は請求項3に記載の汚染水貯留タンクの除染処理方法。
  5. 上記貯留タンクが複数の部材をボルト締めにより締結したものであり、上記代替タンクが複数の部材を溶接により接合したものである請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の汚染水貯留タンクの除染処理方法。
  6. 上記浄化に、移動可能な架台に搭載され、ストロンチウムを選択的に吸着する吸着剤が充填された1又は複数の吸着塔を用いる請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の汚染水貯留タンクの除染処理方法。
  7. 上記貯留タンクへの浄化水の流入が、貯留タンク内で乱流を生じるように行われる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の汚染水貯留タンクの除染処理方法。
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