JP2013140096A - 放射性物質汚染物の汚染除去方法 - Google Patents

放射性物質汚染物の汚染除去方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013140096A
JP2013140096A JP2012000763A JP2012000763A JP2013140096A JP 2013140096 A JP2013140096 A JP 2013140096A JP 2012000763 A JP2012000763 A JP 2012000763A JP 2012000763 A JP2012000763 A JP 2012000763A JP 2013140096 A JP2013140096 A JP 2013140096A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
radioactive material
radioactive
nanobubble
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2012000763A
Other languages
English (en)
Inventor
Yuzuru Ajima
譲 安島
Yoshimitsu Nakayama
喜光 中山
Toru Oka
徹 岡
Hideyasu Tsuji
秀泰 辻
Yasuhiro Tsuji
康広 辻
Yoshikatsu Ueda
義勝 上田
Takaaki Tokuda
陽明 徳田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ligaric
Sunstar Engineering Inc
Ligaric Co Ltd
Kyoto University NUC
Original Assignee
Ligaric
Sunstar Engineering Inc
Ligaric Co Ltd
Kyoto University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ligaric, Sunstar Engineering Inc, Ligaric Co Ltd, Kyoto University NUC filed Critical Ligaric
Priority to JP2012000763A priority Critical patent/JP2013140096A/ja
Publication of JP2013140096A publication Critical patent/JP2013140096A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

【課題】
生活圏での使用に適した水を用いた高圧洗浄等による除染技術をベースにしつつ、放射性セシウムの除去効果が高く、現実的なコストで実施でき、実施後も環境に悪影響を与えない放射性物質汚染物の汚染除去方法を提供する。
【解決手段】
最頻粒子径が500nm以下、総粒子数濃度が107個/ml以上の微細気泡が水に分散されたナノバブル水を用い、放射性物質が表面に付着して汚染された放射性物質汚染物を前記ナノバブル水に浸漬して放射性物質を溶出し若しくは放射性物質汚染物の表面に前記ナノバブル水を流動させて放射性物質を洗浄する。ナノバブル水は、最頻粒子径が70〜200nmであり、総粒子数濃度が1.0×107個/ml以上、1.5×109個/ml以下である。
【選択図】 図3

Description

本発明は、放射性物質汚染物の汚染除去方法に係わり、更に詳しくは放射性物質で汚染された土壌や砂礫、コンクリート構造物、アスファルト舗装、家屋、鋼構造物、植物等から放射性物質を除去する方法に関するものである。
東京電力福島第一原子力発電所の事故により、様々な放射性物質が大量に放出され、深刻な環境汚染が発生している。放射性同位元素には土壌に吸着固定され易い核種(セシウム)や、水溶性が高く水運によって平面的・地下浸透的に拡散する性質の核種(ヨウ素)が存在し、体内被曝や環境拡散が危惧されている。土壌に蓄積した放射性セシウムは、表層の5cm辺りに90%以上含まれていることが分かっている。できるだけ早い段階で表面回収等の処理方法を実施すれば、(1)放射性同位元素の拡散をかなり防げること、(2)処理対象となる汚染土壌・水源が大幅に減じられること、(3)結果として住民への健康被害を食い止める、あるいは減じることができると期待できる。
環境に放出された放射性同位元素の中で主なものは、放射性ヨウ素(131I:ヨウ素131)と放射性セシウム(134Cs:セシウム134、137Cs:セシウム137)である。ヨウ素131は半減期が約8日、セシウム134は約2年、セシウム137は約30年であるので、福島原発事故当初はヨウ素131が放射線源として支配的であったが、9ヶ月以上経過した現在ではセシウム134とセシウム137が主な放射線源となっている。福島原発事故で放出されたセシウム134とセシウム137の放射能強度比r(ベクレルで測った比率)はほぼ1であったことが調査により分かっている。この初期の放射能強度比rと半減期を考慮したセシウム核種からの放射線の強さ(シーベルトで計った値)は、約3年で1/2になり、10年くらいまでは急激に減少して約1/4になるが、それ以降は30年単位で半減していくことになる。これは、半減期の短いセシウム134が先ず減衰してしまい、半減期の長いセシウム137の影響が後まで残ることを意味している。
スリーマイル島やチェルノブイリ原発の事故における放射性核種(セシウム、ストロンチウム)による土壌汚染に対する研究は多々行われているが、特にセシウムの土壌固定に関する報告は多く、汚染された地域の除染に対する画期的な技術報告は未だ無いのが現状である。土壌からその核種を取り出す手法としては、強酸(塩酸等)や強塩基(水酸化カリウム等)を用いて強制的な溶出実験も存在するが、実験後の土壌が今度は酸・塩基で汚染されてしまい、もはや農作物を育てることのできる「土壌」とは別の物になってしまう。放射性物質で汚染された土壌や砂礫、コンクリート構造物、アスファルト舗装、家屋、鋼構造物、植物等から放射性物質を除去する、あるいは減少させる方法として、水による高圧洗浄が根本的な解決にはならないにしても広い面積の洗浄、費用対効果の観点から有力な候補である。現に、水による高圧洗浄は、一部で実施されつつある。
従来からマイクロバブル水(粒子径がμmオーダーの微細気泡を含有する水)又はナノバブル水(粒子径がnmオーダーの微細気泡を含有する水)を用いて、汚染水や汚染物を浄化、洗浄することは公知である。また、ナノバブル水を製造する方法、装置も既に提供されている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1には、浮遊物質含有水をナノバブル水を用いて処理し、浮遊物質を除去する方法も開示され、浮遊物質含有水の例として、上水、排水、地下水、工業用水、浴槽水、化粧水、医薬品を含む液剤、有機溶媒等の溶剤、原油、バイオエタノール、発酵液、フッ素化合物排水が挙げられている。
また、特許文献2には、橋梁・鉄骨・コンクリート構造物に付着した塩分を除去する方法及び装置として、粒子径が100nmを最大数量として微小気泡を1ml当たり200万個(2×106個/ml)以上含むナノバブル水を貯留したタンクを用意し、該タンク内のナノバブル水をポンプによって加圧してノズルから、塩分が付着した構造物の表面に吹きつけるようにした方法が開示されている。また、ナノバブル水中のナノバブルの平均粒子径が、100nm〜200nmとなるようにした点も開示されている。
また、特許文献3には、放射性物質で汚染された除染対象物の除染方法において、液体中にオゾンのマイクロバブルを発生させる発生工程と、オゾンのマイクロバブルを含んだ液体を前記除染対象物に接触させる除染工程とを有する除染方法が開示されている。前記除染工程として、オゾンのマイクロバブルを含んだ液体を前記除染対象物に噴きつける方法が例示され、またオゾンのマイクロバブルを含んだ液体を洗濯機の洗濯液水として使用することが例示されている。
また、特許文献4には、原子力発電所の点検作業で発生する洗濯物の洗濯に使用するマイクロバブル又はナノバブルを発生させる泡発生装置と、前記泡発生装置を中に設置し、洗濯機への洗濯用水を一時蓄える水槽と、前記洗濯機から前記泡発生装置にマイクロバブル又はナノバブルを発生させるために前記洗濯用水を圧送する洗濯用水循環ポンプと、前記洗濯物の殺菌・除染に使用するオゾン又は空気を発生させ泡発生装置に供給するオゾン又は空気発生装置とを備えた洗濯装置が開示されている。
特開2008−296096号公報 特開2010−281124号公報 特開2007−309864号公報 特開2009−226208号公報
除染対象は、農業用用地以外にも一般住宅や学校等、生活圏における除染技術の確立も必須になってきている。生活圏の除染には高圧洗浄等の主に水を使って行うことが多いが、現地でも確認されているが放射線強度をゼロにすることは非常に難しく、台風等の天候により放射性セシウムの移行がみられ、せっかく下がっていた放射線強度がまた上がってしまう事例もある。生活圏での洗浄技術として唯一関連する技術は特許文献2のみであるが、この特許文献2はナノバブルがNaClと接触することにより、NaClの針状結晶化を促進させ、塩分を効率よく除去することを目的としており、そこからは放射性セシウムを効果的に除去できることは全く想定できない。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、生活圏での使用に適した水を用いた高圧洗浄等による除染技術をベースにしつつ、放射性セシウムの除去効果が高く、現実的なコストで実施でき、実施後も環境に悪影響を与えない放射性物質汚染物の汚染除去方法を提供する点にある。
本発明は、前述の課題解決のために、最頻粒子径が500nm以下、総粒子数濃度が107個/ml以上の微細気泡が水に分散されたナノバブル水を用い、放射性物質が表面に付着して汚染された放射性物質汚染物を前記ナノバブル水に浸漬して放射性物質を溶出し若しくは放射性物質汚染物の表面に前記ナノバブル水を流動させて放射性物質を洗浄することを特徴とする放射性物質汚染物の汚染除去方法を構成した。
ここで、前記ナノバブル水は、最頻粒子径が70〜200nmであり、総粒子数濃度が1.0×107個/ml以上、1.5×109個/ml以下であることがより好ましい。また、前記ナノバブル水は、最頻粒子濃度が1.0×105個/ml以上、1.0×109個/ml以下、好ましくは3.0×105個/ml以上、1.0×108個/ml以下である。
また、前記ナノバブル水を用いて放射性物質汚染物の表面を高圧洗浄してなることも好ましい。
そして、前記放射性物質汚染物が、土壌や砂礫、コンクリート構造物、アスファルト舗装、家屋、鋼構造物、植物の中から選ばれた少なくとも一つである。
以上にしてなる本発明の放射性物質汚染物の汚染除去方法は、最頻粒子径が500nm以下、総粒子数濃度が107個/ml以上の微細気泡が水に分散されたナノバブル水を用い、放射性物質が表面に付着して汚染された放射性物質汚染物を前記ナノバブル水に浸漬して放射性物質を溶出し若しくは放射性物質汚染物の表面に前記ナノバブル水を流動させて放射性物質を洗浄するので、従来の水による除染方法に比べて放射性物質の除去能率に優れ、単に水に代えて放射性物質の除去に最適なように調製したナノバブル水を用いるだけで、効果的な除染を行うことができ、しかも現実的なコストで実施でき、実施後も環境に全く悪影響を与えない。例えば、土壌を本発明により除染した後、農地の土壌として作物を栽培することができる。本発明は、環境負荷が全くない除染方法であるので、生活圏の除染作業に最適である。
また、最頻粒子径が70〜200nmであり、総粒子数濃度が1.0×107個/ml以上、1.5×109個/ml以下であるナノバブル水を用いることにより、あるいは最頻粒子濃度が1.0×105個/ml以上、1.0×109個/ml以下、好ましくは3.0×105個/ml以上、1.0×108個/ml以下であるナノバブル水を用いることにより、放射性物質の除去率が高くなり、更に効果的に除染作業を行うことができる。特に、ナノバブル水を用いて高圧洗浄すれば、最大約90%の放射性物質の除去率が達成できる。
ナノバブル水製造装置の運転時間の経過につれて変化する微細気泡の粒度分布を示すグラフである。 (a)はナノバブル水製造装置の運転時間の経過につれて変化する最頻粒子濃度のグラフ、(b)は同じく最頻粒子径のグラフである。 実施例1の洗浄結果を示す放射性セシウムの減少率のグラフである。 ナノバブル水製造後の日数の経過に伴って変化する最頻粒子径のグラフである。 ナノバブル水製造後の日数の経過に伴って変化する最頻粒子濃度のグラフである。 ナノバブル水製造後の日数の経過に伴って変化する総粒子濃度のグラフである。 実施例2の洗浄結果を示す放射性セシウムの減少率のグラフである。 実施例3の洗浄結果を示す放射性セシウムの減少率のグラフである。
本発明の放射性物質汚染物の汚染除去方法は、最頻粒子径が500nm以下、総粒子数濃度が107個/ml以上の微細気泡が水に分散されたナノバブル水を用い、放射性物質が表面に付着して汚染された放射性物質汚染物を前記ナノバブル水に浸漬して放射性物質を溶出し若しくは放射性物質汚染物の表面に前記ナノバブル水を流動させて放射性物質を洗浄することを特徴としている。
<ナノバブル水の製造>
ナノバブル水を製造するには、先ず水と空気又は所望により他のガス(例えば、窒素、酸素、二酸化炭素など)を気液混合器で混合し、それをスクリュー型のマイクロバブル発生機に通してマイクロバブルを発生させた後、ナノバブル発生機に通してマイクロバブルをせん断してナノバブルを発生させ、それを貯留タンクに蓄えるとともに、貯留タンク内の水を前記マイクロバブル発生機とナノバブル発生機に循環させてナノバブルの小径化と濃度を高めるのである。このナノバブル水の製造方法は一例を示したに過ぎず、各種の方式が存在する。本発明では、ナノバブル水の製造方法は限定されない。
粒子径が10μm以上のマイクロバブルは、水中での浮力のため浮かび上がり水表面で破裂して比較的早く消滅するが、ナノバブルは水中における浮力をほとんど受けることがなく、水表面での破裂は皆無に近いので長期間安定に保たれることが知られている。例えば、粒子径が100nm程度のナノバブル水は、1ヶ月放置していてもナノバブルの濃度が1桁程度しか減少しない。従って、作り置きしたナノバブル水を除染対象物がある場所に搬送し、それを用いて高圧洗浄等によって放射性物質汚染物から放射性物質を洗い流して除去、若しくは減少させることができる。勿論、除染対象物がある場所に、可動式のナノバブル水製造装置を搬送し、そこで製造したナノバブル水を用いて除染することも可能である。
本実施形態では、株式会社協和機設が製造販売しているナノバブル水製造装置によってナノバブル水を製造した。図1、図2及び表1に、このナノバブル水製造装置(商標名:BUVITAS HYK-32)を使って、水道水を濾過した水を用いて製造した大気ナノバブル水の粒度分布測定結果を示す。ここで、粒度測定には、NanoSight LM20-20X-FT(英国NanoSight社製)を用いた。ナノバブル生成装置の稼働直後は、ナノバブルの粒子径分布が広く、総粒子数濃度も低いが、運転時間の経過につれて最頻粒子径は小さい方に移動するとともに、粒子径分布も狭くなり、90分後には最頻粒子径が100nmの近辺になり、粒子径分布も50〜200nmの範囲に集中するようなる。尚、運転時間0分における最頻粒子径44nmと最頻粒子濃度0.04×106個/mlの値は測定ノイズである。
Figure 2013140096
本発明で用いるナノバブル水は、最頻粒子径が500nm以下、総粒子数濃度が107個/ml以上のものを用いる。好ましくは、ナノバブル水は、最頻粒子径が70〜200nmであり、総粒子数濃度が1.0×107個/ml以上、1.5×109個/ml以下である。また、本発明で用いる前記ナノバブル水は、最頻粒子濃度が1.0×105個/ml以上、1.0×109個/ml以下、好ましくは3.0×105個/ml以上、1.0×108個/ml以下である。製造可能な総粒子数濃度の上限はナノバブル水製造装置の能力限界で決まり、例えば粒子径が200nmの気泡が1ml中に接触状態で密に生成されたとすると総粒子数濃度は約1014個/mlとなるが、現実的には実現可能な総粒子数濃度の上限は1010〜1011個/ml程度であると考える。後述の実施例では、異なるナノバブル水製造装置(株式会社協和機設製、商標名:BUVITAS HYK-25-D)を用いるが、HYK-25-DはHYK-32より能力が低く、最終的な粒子径、粒子濃度になるまでに1.5倍の処理時間が必要である。但し、両機種とも最終的な粒子径、粒子濃度に差はない。
<ナノバブル水の特性>
ナノバブル水(粒子径がnmオーダーの微細気泡を含有する水)は、水中での上昇速度が遅い、摩擦抵抗を低減する等の流体力学的特性や、気泡内圧力が高い、気液界面積が大きい、気泡表面が負に帯電している、フリーラジカル(HラジカルやOHラジカル)を有する等の物理化学的特性を有することが知られている。ここで、フリーラジカルは、マイクロバブルがナノバブルに圧壊される際、あるいはナノバブル自体が圧力崩壊現象を起こした際に、周囲の水分子の一部を分解することにより生成されると考えられている。これらフリーラジカルは、洗浄対象物に付着しているパーティクルの分子と酸化還元反応を起こし不活性化したり、パーティクルの分子の結合を切断したりして、洗浄対象物からパーティクルを除去するよう作用する。これは、ラジカル洗浄と呼ばれ、超音波によるキャビテーション洗浄に比べ、100〜1000倍もの洗浄力があることが知られている。また、液中の微細気泡が持つゼータ電位は、その粒子径が小さくなるほど大きくなることも知られている。
<除染メカニズム>
本発明によって汚染対象物から放射性セシウムを効果的に除去できるメカニズムは未だ解明されてないが、ナノバブル水は、通常の水と比べて表面張力低下機能、浸透性及び濡れ性向上機能(これらを総じて「界面活性作用」とする)を有するとともに、負に帯電した大量の粒子を有していると考えられ、汚染対象物の複雑な凹凸表面や多孔質内部に吸着された放射性セシウムに対するアタック性と、それが持つ優れた洗浄性によるものと推測できる。また、ナノバブルが崩壊する際に発生する衝撃圧力作用による洗浄も期待できる。しかし、総粒子濃度が高くなり過ぎると、逆に洗浄効果が落ちることが後述の実施例の結果より分かっている。尚、最頻粒子径が90〜120nmの範囲では、洗浄効果に及ぼす粒子径の影響は見られない。
<放射線測定>
放射線の測定には、放射線と物質との相互作用を利用しているため、一般にその方法は放射線の種類や強度によって、また目的によっても大きく異なる。内部被爆を議論する場合にはα線やβ線の測定も必要になるが、本発明では外部被爆から人体を守ることを主な目的としており、そのため空間放射線を測定する必要がある。空間放射線として本発明ではγ線を測定する。放射線の強さは、単位時間当たりの放射線の数で表され、GMサーベイメータやシンチレーションサーベイメータで測定する。1秒間当たりに放射線測定器が係数した値はCPS、1分間当たりに放射線測定器が係数した値はCPMで表示される。また、放射線の強さは、ベクレル(Bq)でも表される。ベクレルは単位時間当たりの原子核の崩壊数であり、単位面積当たり(Bq/m2)や単位重量当たり(Bq/kg)で表すことが多い。線源校正によって計数率(CPS、CPM)とベクレル(Bq/m2、Bq/kg)は予め関連づけされる。また、放射線の被曝線量を表すには、人体に対する放射線の吸収率を考慮に入れたシーベルト(Sv)を用いるが、正確に測定することは困難な量である。
本実施形態において放射線強度の測定には、高純度ゲルマニウム半導体検出器(EG&G ORTEC社製 GMX−18200−S)を用いた。本実施形態では、放射線強度の絶対値は重要でなく、洗浄前後の放射線強度の比較や他の洗浄方法との比較ができれば足りるので計数率を用いる。ここで、セシウム134とセシウム137では、1回の原子核の崩壊によって発生するγ線のエネルギーと個数が異なるので、セシウム134とセシウム137を別々に計数可能である。因みに、計数率が同じでも、1回の原子核の崩壊によって発生するγ線のエネルギーは、セシウム134はセシウム137の2.6倍になる。
次に、本発明による放射性セシウムの除去効果を確認するための実施例を説明する。
(1)バックグランド放射線強度測定
先ず、放射性物質で汚染された除染対象物として砂利(サンプル)の約100cc(100〜120g)を所定の容器(115ml)に入れ、これを必要数だけ用意した。各サンプルの放射線強度(CPS/g)を、ゲルマニウム半導体検出器を用いて10分間Cs134及びCs137を測定した。尚、サンプルは、福島県農業総合センターが福島県で採取したものを用いた。
(2)洗浄実験
ネットに入れたサンプルを250ml容器に入れ、純水、ナノバブル水をそれぞれ100cc加え、14時間静置後、ネットごとサンプルを取り出し、ペーパータオル上で30〜40℃の条件で24時間自然乾燥させた。
(3)洗浄後の放射線強度測定
洗浄後の各サンプルを所定の容器(115ml)に入れ、放射線強度(CPS/g)を、ゲルマニウム半導体検出器を用いて10分間Cs134及びCs137を測定した。
ナノバブル水は、ナノバブル水製造装置(株式会社協和機設製、商標名:BUVITAS HYK-25-D)で製造し、製造条件を変えて総粒子濃度が異なる3種類のものを製造し、その洗浄効果の比較を行った。原水は水道水の濾過水である。その結果を表2に示す。ここで、減少率(%)は、{([バックグランド放射線強度]−[洗浄後放射線強度])/[バックグランド放射線強度]}×100で表される。
Figure 2013140096
表2とその減少率をグラフ化した図3より、本発明のナノバブル水を用いる方が、純水を用いる場合よりも放射性セシウムを溶出させる作用が大きいことが分かる。但し、総粒子濃度が高いナノバブル水Cは、セシウム134に対しては純水と同程度の減少率しかなかった。純水は、通常の水道水や湖川の水よりも洗浄力は大きいと考えられるが、この結果は本発明の有効性を示すものである。この結果は、洗浄効果において、ナノバブル水の粒度分布や濃度に最適な範囲があることを示唆している。
尚、本実験で使用したナノバブル水は、製造後、1日経ったものを用いた。図4〜図6に、ナノバブル水A、B、Cの最頻粒子径、最頻粒子濃度、総粒子濃度の経時変化を示している。最頻粒子径は、ナノバブル水を製造後、日数の経過につれてナノバブル水A、Bに関しては徐々に大きくなるが、ナノバブル水Cは少し特異な傾向を示し、製造時に最も大きく、1日経過後は4日まであまり変化がない。一方、最頻粒子濃度及び総粒子濃度は、ナノバブル水を製造後、日数の経過につれて低くなるが、当初の濃度が高いほど低下は急になる。
当日製造直後のナノバブル水D、E、Fを用いた以外は、前述の実施例1と同様の洗浄試験を行った。この場合も原水は水道水の濾過水で、ナノバブル水は、ナノバブル水製造装置(株式会社協和機設製、商標名:BUVITAS HYK-25-D)で製造した。ナノバブル水D、E、Fの最頻粒子径、最頻粒子濃度、総粒子濃度を表3に示す。表3には、純水とナノバブル水D、E、Fによって砂利を洗浄した後の放射性セシウム134とセシウム137の減少率も併せて示した。また、放射性セシウムの減少率については図7にグラフ化して示す。
Figure 2013140096
この実験結果では、純水による洗浄で放射性セシウムは却って増加し、理由は不明であるが全く洗浄できなかった。減少率がマイナスになるのは測定誤差であると考えている。それに対して、本発明のナノバブル水D、Eによる洗浄で、セシウム134とセシウム137とも20〜40%の減少率を達成できた。しかし、この洗浄実験でも総粒子濃度の高いナノバブル水Fではあまり洗浄効果がなかった。このことは、ナノバブル水の総粒子濃度が約1.5×109個/mlを超えると洗浄効果が落ちることを意味している。
(1)バックグランド放射線強度測定
先ず、放射性物質で汚染された除染対象物として砂利(サンプル)の約100cc(100〜120g)を所定の容器(115ml)に入れ、これを必要数だけ用意した。各サンプルの放射線強度(CPS/g)を、ゲルマニウム半導体検出器を用いて10分間Cs134及びCs137を測定した。尚、サンプルは、福島県農業総合センターが福島県で採取したものを用いた。
(2)洗浄実験
ネットに入れたサンプルを250ml容器に入れ、純水、製造直後のナノバブル水、製造後8時間後のナノバブル水をそれぞれ100cc加え、振とう(160rpm×3hr)で洗浄した後、ネットごとサンプルを取り出し、ペーパータオル上で30〜40℃の条件で24時間自然乾燥させた。
(3)洗浄後の放射線強度測定
洗浄後の各サンプルを所定の容器(115ml)に入れ、放射線強度(CPS/g)を、ゲルマニウム半導体検出器を用いて10分間Cs134及びCs137を測定した。
原水として純水(精製水)を用い、ナノバブル水製造装置(株式会社協和機設製、商標名:BUVITAS HYK-25-D)で製造条件を変えて二種類のナノバブル水G、Hを製造した。製造直後のナノバブル水G、Hと精製直後の純水を用いて振とう機による砂利の洗浄実験を行った。それぞれ3回ずつ実験を行いその平均をとって放射性セシウムの減少率を算出した。併せて、製造後8時間経過したナノバブル水G1、H1を用いて振とう機による砂利の洗浄実験を行った。その結果を表4に示し、放射性セシウムの減少率については図8にグラフ化して示す。
Figure 2013140096
この振とう機洗浄の実験結果では、純水よりもナノバブル水G、Hを用いる方が、明らかにセシウム134とセシウム137の洗浄性に優れていることが示された。この場合、ナノバブル水G、Hでは、総粒子濃度が1桁異なっているが、略同じ減少率となった。ナノバブル水の総粒子濃度が約1.5×109個/ml程度までは十分に洗浄効果があるものと考える。ところが、総粒子濃度が低いナノバブル水Gの製造後8時間経過したナノバブル水G1は予想外に大きな減少率を示す一方、総粒子濃度が高いナノバブル水Hの製造後8時間経過したナノバブル水H1は逆に放射性セシウムの放射線強度が増加してしまった。この理由は、今のところ不明であるが、測定誤差であると考えている。また、振とう機洗浄では、純水、ナノバブル水とも、セシウム137よりもセシウム134の減少率の方が有意に大きいことが分かった。
最後に、福島県農業総合センターの敷地内でフィールド洗浄試験を行った。アスファルト舗装面とコンクリート舗装面を水道水とナノバブル水で洗浄し、放射線強度の減少率を測定した。ナノバブル水は水道水を原水として、ナノバブル水製造装置(商標名:BUVITAS HYK-32)で製造した。ナノバブル水は、最頻粒子径が110nm、最頻粒子濃度が3.81×106個/ml、総粒子濃度が4.02×108個/mlである。
アスファルト舗装面は、水道水とナノバブル水を用いて高圧洗浄し、コンクリート舗装面は、水道水とナノバブル水を掛け流し洗浄した。洗浄前後の舗装面の放射線強度の測定には、周囲からのノイズが入らないように、約10cm四方の測定領域を残して周囲を鉛ブロックで遮蔽し、測定領域の中央部と四隅部の5箇所をそれぞれGMサーベイメータで10秒間放射線量を測定した。洗浄の前後で同じ測定領域の放射線強度を測定した。全ての放射線強度測定で、測定面とGMサーベイメータのプローブの距離を1cmと一定に保った。その洗浄結果を表5に示す。
Figure 2013140096
コンクリート舗装面の掛け流し洗浄では、水道水よりナノバブル水を用いる方が若干放射線強度の減少率が高い傾向にあるが、アスファルト舗装面の高圧洗浄では、水道水よりナノバブル水を用いる方が有意に放射線強度の減少率が高いという結果になった。条件によっては、ナノバブル水を用いてアスファルト舗装面を高圧洗浄することによって、放射線強度が約90%も減少する結果が得られた。
東京電力福島第一原子力発電所の事故により、大量の放射性物質が広域に放出され、それが降り積もって汚染された生活圏の除染作業に本発明を適用することができる。本発明は、従来の水による除染方法において、放射性物質の除去に最適なように調製したナノバブル水を用いるだけで、経済的且つ効果的に除染を行うことができる。ナノバブル水の製造装置や洗浄装置は技術的に確立されているので、本発明は直ちに実施可能である。

Claims (5)

  1. 最頻粒子径が500nm以下、総粒子数濃度が107個/ml以上の微細気泡が水に分散されたナノバブル水を用い、放射性物質が表面に付着して汚染された放射性物質汚染物を前記ナノバブル水に浸漬して放射性物質を溶出し若しくは放射性物質汚染物の表面に前記ナノバブル水を流動させて放射性物質を洗浄することを特徴とする放射性物質汚染物の汚染除去方法。
  2. 前記ナノバブル水は、最頻粒子径が70〜200nmであり、総粒子数濃度が1.0×107個/ml以上、1.5×109個/ml以下である請求項1記載の放射性物質汚染物の汚染除去方法。
  3. 前記ナノバブル水は、最頻粒子濃度が1.0×105個/ml以上、1.0×109個/ml以下、好ましくは3.0×105個/ml以上、1.0×108個/ml以下である請求項1又は2記載の放射性物質汚染物の汚染除去方法。
  4. 前記ナノバブル水を用いて放射性物質汚染物の表面を高圧洗浄してなる請求項1〜3何れか1項に記載の放射性物質汚染物の汚染除去方法。
  5. 前記放射性物質汚染物が、土壌や砂礫、コンクリート構造物、アスファルト舗装、家屋、鋼構造物、植物の中から選ばれた少なくとも一つである請求項1〜4何れか1項に記載の放射性物質汚染物の汚染除去方法。
JP2012000763A 2012-01-05 2012-01-05 放射性物質汚染物の汚染除去方法 Pending JP2013140096A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012000763A JP2013140096A (ja) 2012-01-05 2012-01-05 放射性物質汚染物の汚染除去方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012000763A JP2013140096A (ja) 2012-01-05 2012-01-05 放射性物質汚染物の汚染除去方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2013140096A true JP2013140096A (ja) 2013-07-18

Family

ID=49037647

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012000763A Pending JP2013140096A (ja) 2012-01-05 2012-01-05 放射性物質汚染物の汚染除去方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2013140096A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015137484A1 (ja) * 2014-03-14 2015-09-17 株式会社ピーシーエス 超微細気泡含有液体を用いる超微細気泡洗浄方法、その装置及び加圧浮上装置
JP2017209302A (ja) * 2016-05-25 2017-11-30 株式会社ニイタカ 自動洗浄機及び洗浄方法
WO2018189973A1 (ja) * 2017-04-13 2018-10-18 東芝ライフスタイル株式会社 洗浄方法、洗濯機、食器洗浄機、及び便器
US10155229B2 (en) 2015-08-10 2018-12-18 International Business Machines Corporation Nanobubbles for enhanced interaction between solids and gas volumes
US10219670B2 (en) 2014-09-05 2019-03-05 Tennant Company Systems and methods for supplying treatment liquids having nanobubbles
EP3799076A1 (en) * 2019-09-30 2021-03-31 High Energy Technologies IP Holding GK Process for the decontamination of radioactively contaminated materials
JP2021058840A (ja) * 2019-10-04 2021-04-15 株式会社未来環境エナジー 処理用液体製造システム、処理用液体製造方法、処理用液体、及び、処理方法
JP2022031841A (ja) * 2017-04-13 2022-02-22 東芝ライフスタイル株式会社 洗浄方法、洗濯機、食器洗浄機、及び便器
EP4038643A4 (en) * 2019-09-30 2023-11-29 High Energy Technologies IP Holding GK DECONTAMINATION PROCESS OF MATERIALS CONTAMINATED BY RADIOACTIVITY

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2015137484A1 (ja) * 2014-03-14 2017-04-06 株式会社ピーシーエス 超微細気泡含有液体を用いる超微細気泡洗浄方法、その装置及び加圧浮上装置
US11311921B2 (en) 2014-03-14 2022-04-26 Pcs Co., Ltd. Ultrafine bubble cleaning method using ultrafine bubble-containing liquid, apparatus therefor, and dissolved air floatation apparatus
WO2015137484A1 (ja) * 2014-03-14 2015-09-17 株式会社ピーシーエス 超微細気泡含有液体を用いる超微細気泡洗浄方法、その装置及び加圧浮上装置
US10219670B2 (en) 2014-09-05 2019-03-05 Tennant Company Systems and methods for supplying treatment liquids having nanobubbles
US10155229B2 (en) 2015-08-10 2018-12-18 International Business Machines Corporation Nanobubbles for enhanced interaction between solids and gas volumes
JP2017209302A (ja) * 2016-05-25 2017-11-30 株式会社ニイタカ 自動洗浄機及び洗浄方法
JP2018175443A (ja) * 2017-04-13 2018-11-15 東芝ライフスタイル株式会社 洗浄方法、洗濯機、食器洗浄機、及び便器
CN110073050A (zh) * 2017-04-13 2019-07-30 东芝生活电器株式会社 清洁方法、洗衣机、餐具清洁机以及便器
TWI678444B (zh) * 2017-04-13 2019-12-01 日商東芝生活電器股份有限公司 洗淨方法、洗衣機、餐具洗淨機及便器
JP2022031841A (ja) * 2017-04-13 2022-02-22 東芝ライフスタイル株式会社 洗浄方法、洗濯機、食器洗浄機、及び便器
WO2018189973A1 (ja) * 2017-04-13 2018-10-18 東芝ライフスタイル株式会社 洗浄方法、洗濯機、食器洗浄機、及び便器
JP7185390B2 (ja) 2017-04-13 2022-12-07 東芝ライフスタイル株式会社 洗浄方法、洗濯機、食器洗浄機、及び便器
JP7309826B2 (ja) 2017-04-13 2023-07-18 東芝ライフスタイル株式会社 洗浄方法、洗濯機、食器洗浄機、及び便器
EP3799076A1 (en) * 2019-09-30 2021-03-31 High Energy Technologies IP Holding GK Process for the decontamination of radioactively contaminated materials
EP4038643A4 (en) * 2019-09-30 2023-11-29 High Energy Technologies IP Holding GK DECONTAMINATION PROCESS OF MATERIALS CONTAMINATED BY RADIOACTIVITY
JP2021058840A (ja) * 2019-10-04 2021-04-15 株式会社未来環境エナジー 処理用液体製造システム、処理用液体製造方法、処理用液体、及び、処理方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013140096A (ja) 放射性物質汚染物の汚染除去方法
Lv et al. Physicochemical factors controlling the retention and transport of perfluorooctanoic acid (PFOA) in saturated sand and limestone porous media
WO2013065744A1 (ja) 除染剤及びそれを用いる除染方法
JP2014166629A (ja) 気液混合装置、ガス溶存液、オゾン水生成システム、水処理システム及び除染方法
Yoon et al. Effect of silica nanoparticles on the stability of decontamination foam and their application for oxide dissolution of corroded specimens
Moore et al. Decontamination of caesium and strontium from stainless steel surfaces using hydrogels
Pozo et al. Radioactive decontamination of metal surfaces using peelable films made from chitosan gels and chitosan/magnetite nanoparticle composites
JP2012242254A (ja) 汚染土壌の原位置浄化方法
JP2013190408A (ja) 放射性物質含有焼却灰等の放射線量低減処理方法
WO2014115267A1 (ja) 高濃度オゾン水を用いた放射性物質除去装置及び放射性物質除去方法
JP6064220B2 (ja) 放射性セシウム汚染土壌の除染方法及び放射性セシウムの拡散防止方法
WO2013021473A1 (ja) オゾン分子が高密度に溶存した分子水和オゾン水を用いた放射性物質に汚染された対象物の処理方法及び処理装置
JP6180838B2 (ja) 土壌除染方法及び装置
JP6066160B2 (ja) 放射能汚染物質洗浄剤および放射能汚染物質の洗浄方法
JP2013228324A (ja) 放射性セシウムの除去方法
Minami et al. Radiocesium removal system for environmental water and drainage
JPWO2012165025A1 (ja) 放射性物質により汚染された塵芥、土砂及び土壌の洗浄除染方法
Kim et al. Decontamination of gravels contaminated with uranium
Tejaswini et al. Radionuclides: availability, effect, and removal techniques
JP2013024812A (ja) 放射性セシウム汚染固体の処理方法
Ueda et al. Removal of radioactive Cs using aqueous sodium metasilicate with reduced volumes of waste solution
JP6466766B2 (ja) 除染評価方法
Ueda et al. Remediation technology for cesium using microbubbled water containing sodium silicate
JP2016070781A (ja) 放射能汚染物質洗浄剤およびこれを用いた洗浄方法
JP2015078836A (ja) 放射能除染装置