JP5285171B1 - 放射性廃液の処理方法及び放射性廃液処理装置 - Google Patents

放射性廃液の処理方法及び放射性廃液処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】放射性セシウム及び放射性ストロンチウムのいずれかの破過を精度良く検出できる放射性廃液の処理方法を提供する。
【解決手段】放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを吸着する吸着材である結晶化シリコチタネート(CST)が放射性廃液処理装置9の吸着装置1内の吸着材層1bに充填されている。CSTで放射性セシウム及び放射性ストロンチウムが除去されて吸着装置1から排出された放射性廃液のγ線がγ線検出器3で検出され、その放射性廃液のβ線がβ線検出器4で検出される。信号処理装置17が、γ線検出器3から出力されたγ線検出信号及びβ線検出器4から出力されたβ線検出信号に基づいて、吸着材層1bにおいて放射性セシウム及び放射性ストロンチウムのいずれが破過したかを検出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射性廃液の処理方法及び放射性廃液処理装置に係り、特に、原子力プラントに適用するのに好適な放射性廃液の処理方法及び放射性廃液処理装置に関する。
原子力施設において発生する放射性核種を含む放射性廃液の処理方法の一つに、無機系吸着材及びイオン交換樹脂等により放射性核種を吸着して除去する処理方法がある。
放射性廃液に含まれる放射性核種のうち、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムは、熱源及び放射線源となるため、放射性廃液から分離処理することが望まれる。
放射性廃液に含まれる放射性セシウムと放射性ストロンチウムは化学的性質が異なるため、例えば特開2007−271306号公報に記載されているように、セシウムとストロンチウムを異なる吸着材を用いて分離除去する方法がある。一方、例えばOji et al., WM2012 Conference, Feb.26-Mar.1, 2012, Phoenix, Arizona, USA, 12092 (2012)に提案されている吸着材は、セシウム及びストロンチウムの両者を吸着できる。この吸着材を使用すると、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを合わせて放射性廃液から分離除去することができる。
特開2007−271306号公報
Oji et al., WM2012 Conference, Feb.26-Mar.1, 2012, Phoenix, Arizona, USA, 12092 (2012)
従来例で多く使用されている、セシウム及びストロンチウムそれぞれに対応した吸着材あるいは処理システムを用いて、放射性廃液から放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを別々に分離除去する場合には、各吸着材あるいは処理システムでの放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの除去割合は、それぞれの吸着材あるいは処理システムの入口と出口でそれぞれ放射線を計測し、これらの計測値の差を算出することにより求めることができた。
一方、Oji et al., WM2012 Conference, Feb.26-Mar.1, 2012, Phoenix, Arizona, USA, 12092 (2012)に記載された、セシウム及びストロンチウムの両方を吸着できる吸着材を充填した吸着材層で除去する場合には、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムのそれぞれの除去割合は、前述したように、その吸着材層の入口及び出口のそれぞれで計測したそれぞれの放射線の差を用いて算出する方法では知ることが難しい。すなわち、吸着材層の入口及び出口でそれぞれ計測した放射線の差は、放射性セシウムの減少分と放射性ストロンチウムの減少分の和であり、その差の値から放射性セシウム及び放射性ストロンチウムのそれぞれの内訳を知ることは困難であった。また、ともに熱源となる放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを同時に除去する場合、吸着材層での発熱が課題となる。
本発明の目的は、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムのいずれかの破過を精度良く検出できる放射性廃液の処理方法及び放射性廃液処理装置を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを含む放射性廃液を、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの両者を吸着する吸着材を充填した吸着材層に供給して前記吸着材で放射性セリウム及びストロンチウムを除去し、吸着材層から排出された放射性廃液からのγ線をγ線検出器及びβ線をβ線検出器でそれぞれ検出し、γ線検出器から出力されたγ線検出信号及びβ線検出器から出力されたβ線検出信号を用いて、その吸着材層における放射性セシウム及び放射性ストロンチウムのいずれかの破過を判定することにある。
放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの両者を吸着する吸着材を充填した吸着材層から排出された放射性廃液からのγ線を検出するγ線検出器から出力されたγ線検出信号、及びその放射性廃液からのβ線を検出するβ線検出器から出力されたβ線検出信号を用いて、その吸着材層における放射性セシウム及びストロンチウムのいずれかの破過を判定するので、その吸着材層における放射性セシウム及び放射性ストロンチウムのいずれかの破過を精度良く検出できる。
本発明によれば、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを吸着する吸着材を充填した吸着材層における放射性セシウム及び放射性ストロンチウムのいずれかの破過を精度良く検出できる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の放射性廃液の処理方法に用いられる放射性廃液処理装置の構成図である。 放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの両方を吸着する吸着材を充填した吸着材層内の、放射性核種の分布を示す説明図である。 本発明の他の実施例である実施例2の放射性廃液の処理方法に用いられる放射性廃液処理装置の構成図である。 本発明の他の実施例である実施例3の放射性廃液の処理方法に用いられる放射性廃液処理装置の構成図である。 本発明の他の実施例である実施例4の放射性廃液の処理方法に用いられる放射性廃液処理装置の構成図である。 本発明の他の実施例である実施例5の放射性廃液の処理方法に用いられる放射性廃液処理装置の構成図である。
Oji et al., WM2012 Conference, Feb.26-Mar.1, 2012, Phoenix, Arizona, USA, 12092 (2012)に記載された、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの両者を吸着する粒状の結晶化シリコチタネート(CST)(チタンケイ酸塩化合物)を充填した吸着材層で、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムのそれぞれを吸着して除去するときにおいて、発明者らは、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムのそれぞれについてその吸着材層からが排出される破過について調べた。
放射性セシウム(例えば、Cs−137)及び放射性ストロンチウム(例えば、Sr−90)を含む放射性廃液を、CSTを充填した吸着材層に供給することを想定する。放射性廃液の吸着材層への供給速度は、例えば吸着材層に充填したCSTの体積の10倍の放射性廃液が1時間に吸着材層を通過する速度(吸着材層におけるCSTの体積が1mの場合、放射性廃液の供給速度は10m/時)が選択される。放射性廃液の供給速度は吸着材層の体積の10倍/時より速くても遅くてもよい。しかしながら、その供給速度が速い場合には、Cs−137及びSr−90が吸着材層内のCSTに十分に吸着されなくなる。また、その供給速度が遅い場合には、Cs−137及びSr−90を吸着材層で除去する処理時間が長くなる。このため、放射性廃液の吸着材層への供給速度は,吸着材の性能、及び処理が必要な、Cs−137及びSr−90を含む放射性廃液の量に応じて適切に設定する必要がある。
Cs−137及びSr−90を含む放射性廃液が上記の吸着材層を通過する過程で、Cs−137及びSr−90が、吸着材層内のCSTに吸着され、放射性廃液から除去される。通常、CSTによって吸着されたCs−137及びSr−90の吸着材層内での濃度分布は、図2に示すように、吸着材層の入口側で高く、出口側に向かって低くなる。放射性廃液の吸着材層による処理開始当初(時間=t)では、Cs−137及びSr−90は吸着材層から排出された放射性廃液に含まれていない。吸着材層による放射性廃液の処理時間の経過に伴い(時間=t+a)、吸着材層内でのCs−137及びSr−90のそれぞれの濃度の高い領域は、吸着材層の入口側から出口側に移動する。そして、吸着材層による放射性廃液の処理時間がさらに経過すると(時間=t+b(b>a))、Cs−137及びSr−90が吸着材層から排出された放射性廃液に含まれるようになる。これを破過と呼ぶ。しかしながら、CSTを充填した吸着材層では、Cs−137が破過するまでに要する時間(Cs−137の破過時間)とSr−90が破過するまでに要する時間(Sr−90の破過時間)が異なることが分かった。
CSTを充填した吸着材層では、Sr−90の破過時間がCs−137の破過時間よりも短くなる。放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの両者を吸着する吸着材として粒状のチタン酸塩を用い、粒状のチタン酸塩を充填した吸着材層に、Cs−137及びSr−90を含む放射性廃液を供給した場合には、Sr−90の破過時間がCs−137の破過時間よりも長くなる。また、放射性廃液に含まれるCs−137及びSr−90のそれぞれの濃度が変化した場合、及びCs−137及びSr−90を含む放射性廃液の吸着材層への供給量が変化した場合でも、その吸着材層におけるSr−90の破過時間及びCs−137の破過時間が異なる。
Cs−137及びSr−90のいずれかが吸着材層を破過した場合には、吸着材層を形成する、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの両者を吸着する吸着材、例えば、CSTを交換する必要がある。このためには、放射性セシウム(例えば、Cs−137)または放射性ストロンチウム(例えば、Sr−90)の破過をより精度良く検出しなければならない。
このため、発明者らは、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの両者を吸着する吸着材を充填した吸着材層の出口に、半導体放射線検出器であるβ線検出器及びγ線検出器を配置することを考えた。Cs−137はγ線を放出するため、吸着材層からCs−137が排出される、すなわち、Cs−137が破過すると、Cs−137から放出されるγ線がγ線検出器で検出される。Sr−90はβ線を放出するため、吸着材層からSr−90が排出される、すなわち、Sr−90が破過すると、Sr−90から放出されるβ線がβ線検出器で検出される。
放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの両者を吸着する吸着材を充填した吸着材層の出口にβ線検出器及びγ線検出器を配置することにより、その吸着材の材質が異なっても、また、放射性廃液に含まれるCs−137及びSr−90のそれぞれの濃度、及びその放射性廃液の吸着材層への供給量が、それぞれ変化した場合でも、吸着材層におけるCs−137及びSr−90のそれぞれの破過をより精度良く検出することができる。
以上に述べた発明者らの検討結果を反映した、本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である実施例1の放射性廃液の処理方法を、図1を用いて説明する。さらに、この放射性廃液の処理方法に用いられる放射性廃液処理装置9を、図1を用いて説明する。
放射性廃液処理装置9は、吸着装置1、放射線検出装置2、放射性核種除去装置5、除熱装置16及び信号処理装置17を有する。吸着装置1は、容器1a内に放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの両者を吸着する吸着材(例えば、粒状のCST(チタンケイ酸塩化合物))が充填された吸着材層1bが内部に設置されている。CSTは、Oji et al., WM2012 Conference, Feb.26-Mar.1, 2012, Phoenix, Arizona, USA, 12092 (2012)に記載されているように、樹脂をベースとして担持したカートリッジタイプにして使用してもよい。
除熱装置16が容器1aの外面に設けられる。除熱装置16は、ジャッケット16a、冷却水供給管16b及び冷却水排出管16cを有する。ジャケット16aは容器1aの外面を取り囲んで容器1aの外面に取り付けられ、冷却水供給管16b及び冷却水排出管16cがジャケット16aに接続される。容器1aを取り囲む環状領域が容器1aの外面とジャケット16aの間に形成される。除熱装置として伝熱フィンを用い、複数の伝熱フィンを容器1aの外面に取り付けてもよい。また、除熱装置である冷却管を吸着装置1の容器1a内に設置してもよい。
放射性廃液を供給する廃液供給管10が吸着装置1に接続される。吸着装置1と放射性核種除去装置5は、配管11によって接続されている。放射性核種除去装置5は、放射性廃液に含まれる放射性セシウム及び放射性ストロンチウム以外の放射性核種(例えば、Am,Np等)を除去する装置である。
吸着装置1の出口近くで配管11の側に配置された放射線検出装置2は、半導体放射線検出器であるγ線検出器3及びβ線検出器4を有する。γ線検出器3、β線検出器4及び表示装置6が信号処理装置17に接続される。γ線検出器として、半導体放射線検出器以外にNaI型検出器を用いてもよい。β線検出器として、半導体放射線検出器以外にガイガー・ミュラー型放射線検出器を用いてもよい。また、放射線検出器として、電離箱及び比例計数管を用いることができる。
放射性廃液処理装置9を用いて実施される本実施例の放射性廃液の処理方法を、具体的に説明する。
放射性セシウム(例えば、Cs−137等)、放射性ストロンチウム(例えば、Sr−90等)及び放射性セシウム及び放射性ストロンチウム以外の放射性核種(例えば、Am,Np等)等の放射性核種を含む放射性廃液が、廃液供給管10に設けられたポンプ(図示せず)を駆動することにより、廃液供給管10を通して吸着装置1に供給される。放射性廃液に含まれる放射性セシウム及び放射性ストロンチウムは、吸着装置1内の吸着材層1bに充填されたCSTに吸着されて除去される。
冷却水が、冷却水供給管16bを通してジャッケット16a内の環状領域に供給され、ジャッケット16a内から冷却水排出管16cに排出される。放射性セシウム及び放射性ストロンチウムはそれぞれ発熱性の放射性核種である。CSTで放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを吸着することにより、吸着材層1bの温度が高くなる。本実施例では、吸着材層1b内のCSTに吸着された放射性セシウム及び放射性ストロンチウムのそれぞれで発生する熱量は、ジャッケット16a内に供給される冷却水によって除去される。このため、吸着材層1bの温度上昇が抑制される。冷却水の替りに冷却空気をジャッケット16a内に供給してもよい。
放射性セシウム及び放射性ストロンチウムが除去されて吸着装置1から排出された放射性廃液は、配管11を通して放射性核種除去装置5に供給される。放射性廃液に含まれている、放射性セシウム及び放射性ストロンチウム以外の放射性核種(例えば、Am,Np等)が、放射性核種除去装置5によって除去される。放射性核種が除去された処理水が、配管12に排出され、タンク(図示せず)内に貯蔵される。
γ線検出器3は、吸着装置1から配管11に排出された放射性廃液から放出されるγ線を検出してγ線検出信号を出力する。このγ線検出信号は信号処理装置17に入力される。また、β線検出器4は、吸着装置1から配管11に排出された放射性廃液から放出されるβ線を検出してβ線検出信号を出力する。このβ線検出信号も信号処理装置17に入力される。信号処理装置17は、放射性セシウムから放出されたγ線に基づいたγ線検出信号を入力したときには放射性セシウムが吸着装置1の吸着材層を破過したと判定し、放射性ストロンチウムから放出されたβ線に基づいたβ線検出信号を入力したときには放射性セシウムが吸着装置1の吸着材層を破過したと判定する。
しかしながら、吸着装置1から排出された放射性廃液が放射性セシウム及び放射性ストロンチウム以外の放射性核種((例えば、Am,Np等))を含んでいる場合には、含まれている放射性核種を特定する必要がある。γ線を放出する放射線核種が含まれている場合には、γ線検出信号がγ線検出器3から出力され、また、β線を放出する放射線核種が含まれている場合には、β線検出信号がβ線検出器4から出力される。このため、信号処理装置17は、入力したγ線検出信号及び入力したβ線検出信号のそれぞれのエネルギースペクトルを求める。信号処理装置17は、γ線検出信号に基づいて求めたエネルギースペクトルを用いてγ線を放出する放射線核種ごとの計数率を求め、β線検出信号に基づいて求めたエネルギースペクトルを用いてβ線を放出する放射性核種ごとの計数率を求める。信号処理装置17は、求めた放射性核種ごとの計数率を表示装置6に出力する。表示装置6は、吸着装置1から排出された放射性廃液に含まれている放射性核種ごとに元素記号と計数率を表示する。
具体的には、吸着装置1に供給される放射性廃液の放射性セシウムの同位体(例えば、Cs−133及びCs−137等)の濃度と放射性ストロンチウムの同位体(例えば、Sr−89及びSr−90等)の濃度が例えば等しい場合には、吸着材層1b内のCSTが放射性セシウムの同位体よりも放射性ストロンチウムの同位体を吸着しやすいため、CSTを充填した吸着材層1bにおいては放射性ストロンチウムの同位体が放射性セシウムの同位体よりも早く破過する。このとき、β線検出信号に基づいて求めたエネルギースペクトルを用いて求めた放射性核種に放射性ストロンチウムの同位体が含まれており、信号処理装置17は、放射性ストロンチウムの各同位体のそれぞれの計数率を求める。しかしながら、放射性セシウムの同位体がγ線検出信号に基づいて求めたエネルギースペクトルを用いて求められた放射線核種に含まれていないため、放射性セシウムの各同位体の計数率は信号処理装置17で求められない。
放射性ストロンチウムの同位体の合計の計数率(またはSr−90の計数率)が設定計数率になったとき、信号処理装置17は、放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)が吸着材層1bを破過したと判定する。放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)が吸着材層1bを破過したと判定されたとき、信号処理装置17は、それの破過を示す情報を操作盤(図示せず)に設けられた表示装置6に表示するとともに、警報装置(図示せず)に破過を示す警報信号を出力する。警報信号を入力した警報装置は警報音を発する。
一方、吸着装置1に供給される放射性廃液の放射性セシウムの同位体の濃度が放射性ストロンチウムの同位体の濃度よりも非常に大きい場合には、CSTを充填した吸着材層1bであっても、放射性セシウムの同位体が放射性セシウムの同位体よりも早く破過する可能性がある。放射性セシウムの同位体が放射性セシウムの同位体よりも早く破過した場合には、γ線検出信号に基づいて求めたエネルギースペクトルを用いて求めた放射性核種に放射性セシウムの同位体が含まれており、信号処理装置17は、放射性セシウムの各同位体のそれぞれの計数率を求める。しかしながら、放射性ストロンチウムの同位体がβ線検出信号に基づいて求めたエネルギースペクトルを用いて求められた放射線核種に含まれていないため、放射性ストロンチウムの各同位体の計数率は信号処理装置17で求められない。
放射性セシウムの同位体の合計の計数率(またはCs−137の計数率)が設定計数率になったとき、信号処理装置17は、放射性セシウムの同位体(またはCs−137)が吸着材層1bを破過したと判定する。放射性セシウムの同位体(またはCs−137)が吸着材層1bを破過したと判定されたとき、信号処理装置17は、それの破過を示す情報を表示装置6に表示するとともに、警報音を発生させるために破過を示す警報信号を警報装置に出力する。
信号処理装置17によって求められた放射性ストロンチウムの同位体、例えば、Sr−89及びSr−90等の各計数率(または放射性セシウムの同位体、例えば、Cs−133及びCs−137等の各計数率)が表示装置56に表示される。
放射性セシウムの同位体(またはCs−137)または放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)が吸着材層1bを破過したとき、廃液供給管10に設けられたポンプを停止することにより廃液供給管10による吸着装置1への放射性廃液の供給が停止され、吸着装置1の吸着材層1b内のCSTが新しいCSTと交換される。CSTの交換が完了した後、吸着装置1への放射性廃液の供給が再開される。廃液供給管10に設けられたポンプの駆動及び停止の操作は、オペレータにより、前述の操作盤からの遠隔操作で行われる。
本実施例では、吸着装置1から排出された放射性廃液の放射線をγ線検出器3及びβ線検出器4で検出しているので、吸着装置1に供給される放射性廃液に含まれる放射性セシウム及び放射性ストロンチウムのそれぞれの濃度が変化した場合でも、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを吸着できる吸着材であるCSTを充填した吸着材層1bにおける放射性ストロンチウム及び放射性セシウムのいずれかの破過を精度良く検出することができる。また、信号処理装置17において、エネルギースペクトルを求めているので、吸着材層1bを破過した放射性ストロンチウム(または放射性セシウム)の同位体ごとの計数率を知ることができる。
吸着材層1bに充填する、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの両方を吸着する吸着材として、例えば、チタン酸、チタン酸塩、または合成ゼオライト及び天然ゼオライトなどのゼオライト化合物を用いてもよい。
放射性セシウムの同位体(またはCs−137)または放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)が吸着材層1bを破過した後に吸着装置1内の吸着材であるCSTを新しい吸着材と交換するとき、今まで充填されていたCSTと物質の種類が異なる、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを吸着する吸着材、例えば、チタン酸塩を吸着装置1内の吸着層1bに充填することができる。本実施例では、吸着装置1から排出された放射性廃液の放射線をγ線検出器3及びβ線検出器4で検出しているので、吸着装置1の吸着材層1b内の吸着材を交換する際に、それまで充填されていた吸着材(例えば、CST)と物質の種類が異なる吸着材(例えば、チタン酸塩)を充填し、吸着層1bにおける放射性ストロンチウム及び放射性セシウムの破過時間が変った場合でも、吸着材層1bにおける放射性ストロンチウム及び放射性セシウムのいずれかの破過を精度良く検出することができる。
本実施例は、吸着装置1に除熱装置16を設けているので、吸着材層1bで除去された放射性セシウム及び放射性ストロンチウムから発生する熱を除去することができる。このため、吸着材層1bの温度上昇を抑制することができる。
実施例1の放射性廃液の処理方法は、吸着材層1bにおいて放射性セシウムまたは放射性ストロンチウムが破過した場合には、吸着装置1への放射性廃液の供給を停止して吸着材層1b内の吸着材であるCSTの交換を行っている。このため、放射性廃液の処理に要する時間が長くなる。この点を改良した実施例を、実施例2〜5で説明する。
本発明の他の実施例である実施例2の放射性廃液の処理方法を、図3を用いて説明する。さらに、この放射性廃液の処理方法に用いられる放射性廃液処理装置9Aを、図3を用いて説明する。
放射性廃液処理装置9Aは、放射性廃液処理装置9において吸着装置1及び放射線検出装置2を並列に2系統配置した構成を有する。放射性廃液処理装置9Aの他の構成は放射性廃液処理装置9と同一である。
放射性廃液処理装置9Aは、吸着装置1として吸着装置1A及び1Bを設け、放射線検出装置2として放射線検出装置2A及び2Bを設けている。吸着装置1A及び1Bの構成は、それぞれ、実施例1で用いられる吸着装置1と同じである。廃液供給管10に接続された、弁7Aを有する配管10Aが、吸着装置1Aの入口に接続され、配管11に接続された、弁8Aを有する配管11Aが吸着装置1Aの出口に接続される。半導体放射線検出器であるγ線検出器3A及びβ線検出器4Aを有する放射線検出装置2Aが配管11Aの側に配置される。廃液供給管10に接続された、弁7Bを有する配管10Bが吸着装置1Bの入口に接続され、配管11に接続された、弁8Bを有する配管11Bが吸着装置1Bの出口に接続される。半導体放射線検出器であるγ線検出器3B及びβ線検出器4Bを有する放射線検出装置2Bが配管11Bの側に配置される。除熱装置16Aが吸着装置1Aの容器1aの外面に取り付けられ、除熱装置16Bが吸着装置1Bの容器1aの外面に取り付けられる。除熱装置16A,16Bは、実施例1で用いられる除熱装置16と同じ構成を有する。γ線検出器3A,3B及びβ線検出器4A,4Bがそれぞれ信号処理装置17に接続される。
放射性廃液処理装置9Aを用いて実施される本実施例の放射性廃液の処理方法を、具体的に説明する。実施例1と異なる点を主に説明する。
弁7A,8Aが開いており、弁7B,8Bが閉じている。放射性セシウム(例えば、Cs−137等)、放射性ストロンチウム(例えば、Sr−90等)及び放射性セシウム及び放射性ストロンチウム以外の放射性核種(例えば、Am,Np等)等の放射性核種を含む放射性廃液が、廃液供給管10に設けられたポンプ(図示せず)を駆動することにより、廃液供給管10及び配管10Aを通して吸着装置1Aに供給される。放射性廃液に含まれる放射性セシウム及び放射性ストロンチウムは、吸着装置1A内の吸着材層1bに充填されたCSTに吸着されて除去される。放射性セシウム及び放射性ストロンチウムが除去された放射性廃液が、吸着装置1Aから配管11Aに排出され、配管11を通して放射性核種除去装置5に導かれる。除熱装置16Aのジャッケット16a内に冷却水が供給される。この冷却水が、放射性廃液が供給される吸着装置1Aを冷却し、吸着装置1A内の吸着材層1bの温度上昇が抑制される。
配管11A内を流れる放射性廃液から放出されたγ線がγ線検出器3Aにより検出され、その放射性廃液から放出されたβ線がβ線検出器4Aで検出される。γ線検出器3Aから出力されたγ線検出信号及びβ線検出器4Aから出力されたβ線検出信号を入力した信号処理装置17は、実施例1における信号処理装置17と同様に、放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)または放射性セシウムの同位体(またはCs−137)の計数率が設定計数率になったとき、放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)または放射性セシウムの同位体(またはCs−137)が吸着装置1Aの吸着材層1bを破過したと判定する。
放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)または放射性セシウムの同位体(またはCs−137)が吸着装置1Aの吸着材層1bを破過したと判定されたとき、オペレータが、操作盤(図示せず)に設けられた表示装置6に表示された破過情報を見て操作盤からの遠隔操作で、弁7B,8Bを開いて弁7A,8Aを閉じる。吸着装置1Aへの放射性廃液の供給が停止され、放射性廃液は吸着装置1Bに供給される。放射性廃液に含まれている放射性セシウム及び放射性ストロンチウムは、吸着装置1B内の吸着材層1bのCSTに吸着されて除去される。吸着装置1Bから排出された放射性廃液は、配管11Bに排出され、配管11を通って放射性核種除去装置5に導かれる。除熱装置16Bのジャッケット16a内に冷却水が供給される。この冷却水が、放射性廃液が供給される吸着装置1Bを冷却し、吸着装置1B内の吸着材層1bの温度上昇が抑制される。
γ線検出器3Bが配管11B内を流れる放射性廃液のγ線を検出してγ線検出信号を出力する。β線検出器4Bが配管11B内を流れる放射性廃液のβ線を検出してβ線検出信号を出力する。これらの検出信号を入力した信号処理装置17は、実施例1における信号処理装置17と同様に、放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)または放射性セシウムの同位体(またはCs−137)の計数率が設定計数率になったとき、放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)または放射性セシウムの同位体(またはCs−137)が吸着装置1Bの吸着材層1bを破過したと判定する。吸着材層1bの破過が判定されたとき、作業員が弁7A,8Aを開いて弁7B,8Bを閉じるので、吸着装置1Bへの放射性廃液の供給が停止され、放射性廃液は吸着装置1Aに供給される。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、吸収材層1bにおいて放射性ストロンチウム(または放射性セシウム)の破過が発生したとき、弁7A,8Aと弁7B,8Bの切り替え操作を行うので、放射性廃液が吸着装置1A及び1Bに交互に供給されるので、放射性廃液を吸着装置1A及び1Bにより連続して処理することができる。
本発明の他の実施例である実施例3の放射性廃液の処理方法を、図4を用いて説明する。さらに、この放射性廃液の処理方法に用いられる放射性廃液処理装置9Bを、図4を用いて説明する。
放射性廃液処理装置9Bは、放射性廃液処理装置9にタンク20を追加した構成を有する。放射性廃液処理装置9Bは、タンク20に接続された、弁15Bを有する配管13が配管11に接続される。タンク20に接続された、弁14Bを有する配管14が配管10に接続される。ポンプ19が配管14に設けられる。配管13と配管11の接続点よりも下流で、弁15Aが配管11に設けられる。放射線検出装置2が、その接続点よりも上流で配管11の側に配置される。配管14と配管10の接続点よりも上流で、弁14Aが配管10に設けられる。放射性廃液処理装置9Aの他の構成は放射性廃液処理装置9と同一である。
放射性廃液処理装置9Bを用いて実施される本実施例の放射性廃液の処理方法を、具体的に説明する。実施例1と異なる点を主に説明する。
弁14A,15Aが開いて弁14B,15Bが閉じている。放射性セシウム(例えば、Cs−137等)、放射性ストロンチウム(例えば、Sr−90等)及び放射性セシウム及び放射性ストロンチウム以外の放射性核種(例えば、Am,Np等)等の放射性核種を含む放射性廃液が、廃液供給管10に設けられたポンプ(図示せず)を駆動することにより、廃液供給管10を通して吸着装置1に供給される。吸着装置1内の吸着材層1bに充填されたCSTが放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを吸着する。吸着装置1は除熱装置16によって冷却される。放射性セシウム及び放射性ストロンチウムが除去された放射性廃液が、配管11を通して放射性核種除去装置5に導かれる。
配管11A内を流れる放射性廃液から放出されたγ線が検出されたときにγ線検出器3Aから出力されたγ線検出信号、及びその放射性廃液から放出されたβ線が検出されたときにβ線検出器4Aから出力されたβ線検出信号が、信号処理装置17に入力される。信号処理装置17は、実施例1における信号処理装置17と同様に、放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)または放射性セシウムの同位体(またはCs−137)の計数率が設定計数率になったとき、放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)または放射性セシウムの同位体(またはCs−137)が吸着装置1Aの吸着材層1bを破過したと判定する。
吸着材層1bにおいて放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)または放射性セシウムの同位体(またはCs−137)が破過したとき、オペレータが、操作盤(図示せず)からの遠隔操作で、弁15Bを開いて弁15Aを閉じる。吸着装置1から配管11に排出されて放射性ストロンチウムの同位体または放射性セシウムの同位体が設定計数率を超えている放射性廃液を、配管13を通してタンク20内に導いてタンク20内に一時貯蔵する。その後、オペレータは、操作盤からの遠隔操作により、廃液供給管10に設けられたポンプを停止させ、弁14Aを閉じる。
吸着装置1内への放射性廃液の供給が停止され、吸着材層1b内のCSTが新しいCST(またはCSTと異なる物質である吸着材(例えば、チタン酸))と交換される。吸着材の交換後、オペレータは、操作盤からの遠隔操作により、弁14Bを開いてポンプ19を駆動させる。タンク20内の放射性廃液が吸着装置1内に供給され、この放射性廃液に含まれた放射性セシウム及び放射性ストロンチウムが吸着材層1b内のCSTに吸着される。タンク20内の放射性廃液の水位が、タンク20に設けられた水位計(図示せず)によって計測され、操作盤に設けられた表示装置6に表示される。その水位計で測定されたタンク20の水位が水位下限値まで低下したとき、オペレータは、操作盤からの遠隔操作により、ポンプ19を停止させ、弁14B,15Bを閉じて弁14A,15Aを開き、さらに、廃液供給管10に設けられたポンプを駆動させる。タンク20から吸着装置1への放射性廃液の供給が停止され、廃液供給管10からの放射性廃液が吸着装置1に供給される。再び、吸着装置1による放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの除去が開始される。
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。吸着材層1bにおいて放射性ストロンチウムまたは放射性セシウムが破過したとき、本実施例では、弁15A,15Bの切り替えにより、吸着装置1から排出された、放射性ストロンチウムまたは放射性セシウムを放射性核種除去装置5ではなくタンク20に導くので、放射性ストロンチウムまたは放射性セシウムの放射性核種除去装置5への供給を防止することができる。また、タンク20内に排出した放射性廃液を吸着装置1に供給するので、タンク20に排出した放射性廃液に含まれている放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを吸着装置1で除去することができる。
なお、タンク20内に一時的に貯蔵された放射性廃液の量により、吸着装置1への通水量の増加が許容される場合には、タンク20から配管14を通して吸着装置1への放射性廃液の供給と、廃液供給管10に設けられたポンプの駆動による廃液供給管10を通しての吸着装置1への放射性廃液の供給を、同時に実施してもよい。
本実施例で用いられる放射性廃液処理装置9Bに設けられた配管13、タンク20及び配管14の系統を、実施例2に用いられる放射性廃液処理装置9A、及び後述の実施例4に用いられる放射性廃液処理装置9Cに設けてもよい。この場合には、配管13が配管11A及び11Bとのそれぞれと配管11の各接続点よりも下流で配管11に接続され、配管14が配管10A及び10Bのそれぞれと配管10との各接続点よりも上流で配管10に接続される。
本発明の他の実施例である実施例4の放射性廃液の処理方法を、図5を用いて説明する。さらに、この放射性廃液の処理方法に用いられる放射性廃液処理装置9Cを、図5を用いて説明する。
放射性廃液処理装置9Cは、実施例2で用いられる放射性廃液処理装置9Aに制御装置18を追加した構成を有する。放射性廃液処理装置9Cの他の構成は放射性廃液処理装置9Aの構成と同じである。放射性廃液処理装置9Cを用いて実施される本実施例の放射性廃液の処理方法では、実施例2においてオペレータが遠隔で操作していた弁7A,8A,7B,8Bの開閉操作が、制御装置18により自動で行われる。
本実施例の放射性廃液の処理方法は、弁7A,8A,7B,8Bの開閉の自動制御を除いて、実質的に、実施例2の放射性廃液の処理方法と同じである。このため、制御装置18による弁7A,8A,7B,8Bの自動制御について、主に説明する。
γ線検出器3Aからのγ線検出信号、及びβ線検出器4Aからのβ線検出信号を入力した信号処理装置17が、実施例1における信号処理装置17と同様に、吸着装置1Aの吸着材層1bにおいて放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)または放射性セシウムの同位体(またはCs−137)が破過したと判定したとき、信号処理装置17から制御装置18に破過発生情報が出力される。制御装置18は、その破過発生情報に基づいて、弁7B,8Bを開いて弁7A,8Aを閉じる。吸着装置1Aへの放射性廃液の供給が停止され、放射性廃液は吸着装置1Bに供給される。吸着装置1Bにおいて放射性セシウム及び放射性ストロンチウムが除去される。
γ線検出器3Bからのγ線検出信号、及びβ線検出器4Bからのβ線検出信号を入力した信号処理装置17が、実施例1における信号処理装置17と同様に、吸着装置1Bの吸着材層1bにおいて放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)または放射性セシウムの同位体(またはCs−137)が破過したと判定したとき、信号処理装置17から制御装置18に破過発生情報が出力される。制御装置18は、その破過発生情報に基づいて、弁7A,8Aを開いて弁7B,8Bを閉じる。吸着装置1Bへの放射性廃液の供給が停止され、放射性廃液は吸着装置1Aに供給される。吸着装置1Aにおいて放射性セシウム及び放射性ストロンチウムが除去される。
本実施例は実施例2で生じる各効果を得ることができる。さらに、弁7A,8A,7B,8Bの開閉が制御装置18で制御されるため、オペレータの負担が軽減される。
本発明の他の実施例である実施例5の放射性廃液の処理方法を、図6を用いて説明する。さらに、この放射性廃液の処理方法に用いられる放射性廃液処理装置9Dを、図6を用いて説明する。
放射性廃液処理装置9Dは、実施例3で用いられる放射性廃液処理装置9Bに制御装置18を追加した構成を有する。放射性廃液処理装置9Dの他の構成は放射性廃液処理装置9Bの構成と同じである。放射性廃液処理装置9Dを用いて実施される本実施例の放射性廃液の処理方法では、実施例3においてオペレータが遠隔で操作していた弁14A,14B,15A,15Bの開閉、及びポンプ19の起動停止が、制御装置18により自動で行われる。
本実施例の放射性廃液の処理方法は、弁14A,14B,15A,15Bの開閉及びポンプ19の起動停止の自動制御を除いて、実質的に、実施例3の放射性廃液の処理方法と同じである。このため、制御装置18による弁14A,14B,15A,15Bの開閉及びポンプ19の起動停止の自動制御について、主に説明する。
γ線検出器3Aからのγ線検出信号、及びβ線検出器4Aからのβ線検出信号を入力した信号処理装置17が、実施例1における信号処理装置17と同様に、吸着装置1Aの吸着材層1bにおいて放射性ストロンチウムの同位体(またはSr−90)または放射性セシウムの同位体(またはCs−137)が破過したと判定したとき、信号処理装置17から制御装置18に破過発生情報が出力される。制御装置18は、その破過発生情報に基づいて、弁15Bを開いて弁15Aを閉じる。吸着装置1から放射性核種除去装置5への供給が停止され、その放射性廃液はタンク20に供給されてタンク20内に一時的に貯蔵される。弁15A及び弁15Bが上記のように切り替えられた所定時間が経過した後、制御装置18は、廃液供給管10に設けられたポンプを停止させ、弁14Aを閉じる。
吸着装置1内への放射性廃液の供給が停止され、吸着材層1b内のCSTが新しいCST(またはCSTと異なる物質である吸着材(例えば、チタン酸))と交換された後、オペレータが操作盤から制御装置18に吸着開始指令を入力する。吸着開始指令を入力した制御装置18は、弁14Bを開いてポンプ19を駆動させる。タンク20内の放射性廃液が吸着装置1に供給され、この放射性廃液に含まれた放射性セシウム及び放射性ストロンチウムが吸着材層1b内のCSTに吸着される。タンク20に設けられた水位計で測定されたタンク20内の水位の測定値が制御装置18に入力される。その水位測定値が水位下限値まで低下したとき、制御装置18は、ポンプ19を停止させ、弁14B,15Bを閉じて弁14A,15Aを開き、さらに、廃液供給管10に設けられたポンプを駆動させる。タンク20から吸着装置1への放射性廃液の供給が停止され、廃液供給管10からの放射性廃液が吸着装置1に供給される。再び、吸着装置1による放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの除去が開始される。
本実施例は実施例3で生じる各効果を得ることができる。さらに、弁14A,14B,15A,15Bの開閉及びポンプ19の起動停止が制御装置18で制御されるため、オペレータの負担が軽減される。
1,1A,1B,1C,1D…吸着装置、1b…吸着材層、2,2A,2B…放射線検出装置、3,3A,3B…γ線検出器、4,4A,4B…β線検出器、5…放射性核種除去装置、9,9A,9B,9C,9D…放射性廃液処理装置、16,16A,16B…除熱装置、17…信号処理装置、18…制御装置、20…タンク。

Claims (10)

  1. 放射性セシウム及び放射性ストロンチウムを含む放射性廃液を、放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの両者を吸着する吸着材を充填した吸着材層に供給して前記吸着材で前記放射性セシウム及び前記ストロンチウムを除去し、
    前記吸着材層から排出された前記放射性廃液からのγ線をγ線検出器及びβ線をβ線検出器でそれぞれ検出し、
    前記γ線検出器から出力されたγ線検出信号及び前記β線検出器から出力されたβ線検出信号を用いて、前記吸着材層における前記放射性セシウム及び前記放射性ストロンチウムのいずれかの破過を判定することを特徴とする放射性廃液の処理方法。
  2. 複数の前記吸着材層のうちの一つの前記吸着材層に、前記放射性セシウム及び前記放射性ストロンチウムを含む前記放射性廃液を供給し、前記一つの吸着材層から排出された前記放射性廃液からの前記γ線による前記γ線検出信号、及び前記一つの吸着材層から排出された前記放射性廃液からの前記β線による前記β線検出信号に基づいて、前記一つの吸着材層において前記放射性セシウム及び前記ストロンチウムのいずれかの破過が生じていると判定されたとき、前記一つの吸着材層への前記放射性廃液の供給を停止して複数の前記吸着材層のうちの他の前記吸着材層に前記放射性廃液を供給する請求項1に記載の放射性廃液の処理方法。
  3. 前記前記吸着材層から排出された前記放射性廃液に含まれている、前記放射性セシウム及び前記放射性ストロンチウム以外の放射性核種を除去し、
    前記吸着材層において前記放射性セシウム及び前記放射性ストロンチウムのいずれかが破過していると判定されたとき、前記吸着材層から排出された前記放射性廃液からの前記放射性核種の除去を停止してこの放射性廃液をタンク内に排出する請求項1に記載の放射性廃液の処理方法。
  4. 前記吸着材層において前記放射性セシウム及び前記放射性ストロンチウムのいずれかが破過していると判定されたとき、前記吸着材層内の前記吸着材を交換する請求項1に記載の放射性廃液の処理方法。
  5. 前記吸着材層において前記放射性セシウム及び前記放射性ストロンチウムのいずれかが破過していると判定されたとき、前記吸着材層内の前記吸着材を交換し、前記タンク内の前記放射性廃液を前記吸着材が交換された前記吸着材層に供給する請求項3に記載の放射性廃液の処理方法。
  6. 前記吸着材は、チタンケイ酸塩化合物、チタン酸、チタン酸塩及びゼオライト化合物のうちの少なくとも一種である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の放射性廃液の処理方法。
  7. 前記放射性セシウム及び前記放射性ストロンチウムで発生する熱を除去する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の放射性廃液の処理方法。
  8. 放射性セシウム及び放射性ストロンチウムの両者を吸着する吸着材を充填した吸着材層と、前記吸着材層から排出される放射性廃液からのγ線を検出するγ線検出器と、前記吸着材層から排出される放射性廃液からのβ線を検出するβ線検出器と、前記γ線検出器から出力されるγ線検出信号、及び前記β線検出器から出力されるβ線検出信号に基づいて、前記吸着材層における前記放射性セシウム及び前記放射性ストロンチウムのいずれかの破過を判定する信号処理装置とを備えたことを特徴とする放射性廃液処理装置。
  9. 前記吸着材層で発生する熱を除熱する除熱装置を設けた請求項8に記載の放射性廃液処理装置。
  10. 前記吸着材は、チタンケイ酸塩化合物、チタン酸、チタン酸塩及びゼオライト化合物のうちの少なくとも一種である請求項8または9に記載の放射性廃液処理装置。
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