JP2018004548A - 給水設備 - Google Patents

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Takashi Sakuma
貴志 佐久間
小松 誠
Makoto Komatsu
誠 小松
出水 丈志
Takeshi Izumi
丈志 出水
康友 新井
Yasutomo Arai
康友 新井
一宏 金田
Kazuhiro Kaneda
一宏 金田
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Abstract

【課題】水に含まれる放射性物質が蓄積することによって形成される新たな放射線源が利用者に与える影響を除去または低減できる給水設備を提供する。【解決手段】水供給源に接続され流入弁112によって管路が開閉される導入管110より供給される水を貯留する受水槽120を備え、受水槽内の水を水需要先に水を供給する給水設備において、吸込側が受水槽に接続されたポンプ131と、ポンプの吐出側圧力を測定する圧力センサと、導入管110に設けられる放射性物質吸着部140と、放射性物質吸着部140に起因する給水設備の状態に応じて流入弁112またはポンプ131の少なくともいずれかを制御する制御部40とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、給水設備に関する。
例えば、原子力発電所での事故などによって周辺に放射性セシウムや放射性ストロンチウムのような放射性物質が拡散した場合、水道水からそれらの物質を除去する必要がある。こうした物質の除去に用いられる装置は、例えば従来から用いられてきた浄水器とは異なる構造を有する。そのような装置の例は、例えば特許文献1および特許文献2に記載されている。これらの文献に記載された装置は、例えば従来の浄水器と同様に水道の蛇口近くに配置される。
特開2013−7634号公報 特開2014−21074号公報
しかしながら、上記の特許文献1および特許文献2などに記載されたように、水道水から放射性物質を除去する装置を水道の蛇口近くに配置した場合、除去された放射性物質が生活空間内に蓄積されることになり、これを放射線源とする利用者の被曝が発生する可能性がある。また、水道本管から蛇口に至るまでの間には、供給された水を一時的に貯留する受水槽、および建物内などの配管が存在するが、水道水が放射性物質を除去されない状態で受水槽および配管を通過した場合、受水槽および配管の内部に経年とともに放射性物質が蓄積し、これらを放射線源とする利用者の被曝が発生する可能性がある。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一つは、放射性物質吸着部を含む給水設備において、水に含まれる放射性物質が蓄積することによって形成される新たな放射線源が利用者に与える影響を除去または低減することが可能な、新規かつ改良された給水設備を提供することにある。
本発明のある観点によれば、水供給源に接続され流入弁によって管路が開閉される導入管より供給される水を貯留する受水槽を備え、受水槽内の水を水需要先に供給する給水設備において、吸込側が受水槽に接続されたポンプと、ポンプの吐出側圧力を測定する圧力センサと、導入管に設けられる放射性物質吸着部と、放射性物質吸着部に起因する給水設備の状態に応じて流入弁またはポンプの少なくともいずれかを制御する制御部とを備える給水設備が提供される。
上記のような給水設備では、導入管を流れる水が、受水槽に貯留される前に放射性物質吸着部を通過し、受水槽には既に放射性物質が除去された水が貯留される。従って、受水槽および建物内などの配管における放射性物質の蓄積を抑制することによって、蓄積された放射性物質によって形成される新たな放射線源が利用者に与える影響を除去または低減することができる。このような給水設備において、放射性物質吸着部に起因する給水設備の状態に応じて流入弁またはポンプを制御することによって、安定して給水を継続するとともに、適切な時に給水を制限または停止させることができる。
上記の制御部は、例えば、受水槽の水位が低下した状態である場合には、流入弁を開く
とともに、供給水量が制限されるようにポンプの回転数を制御してもよい。
放射性物質吸着部で圧力損失が生じるために、導入管から供給される水による受水槽内の水位の回復が遅れる可能性がある場合、制御部が流入弁を開くとともにポンプを制御して供給水量を制限することによって、受水槽が渇水状態になるのを防止することができる。
また、上記の制御部は、例えば、放射性物質吸着部が使用不能状態である場合には、流入弁を閉じてもよい。ここで、使用不能状態は、放射性物質吸着部のメンテナンスが実施されている状態を含んでもよい。
例えば、放射性物質吸着部のメンテナンスにあたって受水槽の水を排水する必要がない場合、制御部が流入弁を閉じればメンテナンスが可能になる。この場合、制御部は、ポンプについては運転を継続して、受水槽に水が貯留されている限り給水を継続することができる。
また、上記の制御部は、放射性物質吸着部が使用不能状態である場合には、さらに、水の供給が停止されるようにポンプを制御してもよい。ここで、使用不能状態は、放射性物質吸着部への放射性物質蓄積が所定のレベルに達した状態を含んでもよい。
例えば、放射性物質の蓄積などによって放射性物質吸着部を継続して使用すること自体が適切ではない場合、そのような状態が解消するまで制御部が水の供給を停止させ、放射性物質吸着部にさらに放射性物質が蓄積することなどを防止することができる。
上記の給水設備において、放射性物質吸着部は、受水槽の内部に位置する導入管の出口に設けられてもよい。この場合、放射性物質吸着部は、受水槽に貯留された水に浸漬されないように配置されてもよく、または受水槽に貯留された水に浸漬されるように配置されてもよい。
放射性物質吸着部を受水槽に貯留された水に浸漬されないように配置した場合、放射性物質吸着部のメンテナンスを実施する際に、受水槽に貯留された水を排水する必要がない。それゆえ、メンテナンス中も給水を継続することができる。一方、放射性物質吸着部を受水槽に貯留された水に浸漬されるように配置した場合、水が放射線を遮蔽する効果を利用して、放射性物質吸着部のための放射線遮蔽構造を省略、または簡素化することができうる。
また、放射性物質吸着部は、流入弁よりも上流で導入管に設けられてもよい。
この場合、放射性物質吸着部にかかる圧力が流入弁の開閉に関わらずほぼ一定になるため、放射性物質吸着部の耐久性の観点からは有利でありうる。
また、放射性物質吸着部は、流入弁よりも下流で導入管に設けられてもよい。
この場合、通常の給水の制御に利用される流入弁を閉じることによって、放射性物質吸着部を通過する水流が遮断され、放射性物質吸着部のメンテナンスが可能になる。それゆえ、放射性物質吸着部のメンテナンス用に別途の弁を設ける必要がなくなる。
上記の各構成の給水設備は、放射性物質吸着部よりも上流で導入管に設けられる逆止弁をさらに備えてもよい。
これによって、万が一放射性物質吸着部内に細菌が付着または繁殖したような場合にも、水道本管などの水供給源にその影響が及ぶことを防止できる。
また、上記の各構成の給水設備は、放射性物質吸着部よりも上流で導入管に設けられるストレーナをさらに備えてもよい。
これによって、放射性物質吸着部に到達する前の水から浮遊物を除去し、放射性物質吸着部に含まれるカートリッジまたはフィルタなどの目詰まりを防止することができる。
制御部は、流入弁の開閉状態、受水槽の水位、ポンプの運転状態に関する情報を表示する表示部を含んでもよい。制御部は、流入弁の開閉状態、受水槽の水位、ポンプの運転状態に関する情報を外部表示器に送信する通信部を含んでもよい。通信部は、外部表示器から電波を受信して該電波を電力に変換する制御装置側アンテナ部であってもよい。通信部は、近距離無線通信(NFC)によって外部表示器と通信してもよい。
本発明の第1の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第3の実施形態の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第4の実施形態の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第5の実施形態の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第6の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第7の実施形態の第1の例に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第7の実施形態の第2の例に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第7の実施形態の第1の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第7の実施形態の第2の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第7の実施形態の第3の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第8の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第8の実施形態の第1の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第8の実施形態の第2の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第9の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の第10の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。 本発明の各実施形態における制御部の第1の構成例を示すブロック図である。 本発明の各実施形態における制御部の第2の構成例を示すブロック図である。 図12に示した制御部の変形例を示す図である。 本発明の各実施形態において設置されうるストレーナについて説明するための図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、異なる実施形態の間で同様の構成および機能を有する構成要素については、共通する符号を付することによって重複した説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。図1を参照
すると、給水設備100は、水供給源である水道本管10に接続された導入管110と、導入管110から供給された水を貯留する受水槽120と、受水槽120に貯留された水を水需要先である給水栓20に供給する給水管130とを含む。さらに、給水設備100は、受水槽120の内部で導入管110の出口に接続される放射性物質吸着部140を含む。本実施形態において、放射性物質吸着部140は、受水槽120に貯留される水に浸漬されないように配置される。より具体的には、放射性物質吸着部140は、受水槽120に設けられるオーバーフロー管121の取付位置の上方に配置される。
導入管110には、逆止弁111と、流入弁112とが設けられる。逆止弁111は、ひとたび導入管110に入った水が、水道本管10へと逆流するのを防止する。流入弁112は、制御部40によって制御され、受水槽120内の水量を調整する。より具体的には、流入弁112は、受水槽120内の水位に応じて開閉される。なお、制御部40の具体的な構成例については後述する。
なお、後述するように、給水設備100では放射性物質吸着部140での圧力損失が発生するため、上記のような逆止弁111による逆流の防止は有効である。これによって、万が一、放射性物質吸着部140内に細菌が付着または繁殖したような場合にも、水道本管10にその影響が及ぶことを防止できる。
受水槽120には、オーバーフロー管121と、水位計122とが設けられる。オーバーフロー管121は、本来は流入弁112が開放された状態にて故障した場合に水が受水槽120から溢れることを防止するためのものであるが、上記のように放射性物質吸着部140を水に浸漬されないように配置するためにも利用することができる。なお、例えば流入弁112およびポンプ131の制御によって受水槽120内の水位が減水以上満水以下の状態に確実に制御可能であるような場合には、オーバーフロー管121の有無および位置に関わらず、放射性物質吸着部140を水に浸漬されないように配置することが可能でありうる。水位計122は、例えば複数の電極棒を用いて受水槽120内の水位を検出する。検出された水位は、制御部40による流入弁112およびポンプ131の制御に利用される。一例として、4本の電極棒を用い満水、減水、渇水の水位を検出する方式を示す。給水により受水槽水位が減水以下の水位となると流入弁112を開き、満水以上の水位となった時に流入弁を閉じる。また、空運転にてポンプ131が故障するのを防止するため渇水水位以下では、ポンプを強制的に停止し断水する。なお、水位計122は、図示されているように複数の電極棒を有するものには限られない。例えば、単一の電極棒、または1もしくは複数のフロートスイッチを有する水位計が利用可能である。あるいは、導入管110および給水管130にそれぞれ設けられた流量計の測定値に基づいて受水槽120内の水位が算出可能であるような場合には、水位計122が設けられなくてもよい。
給水管130には、ポンプ131が設けられる。ポンプ131は、モータ132およびインバータ133によって駆動され、給水栓20に給水する。ポンプ131は、流入弁112と同じく制御部40によって制御される。より具体的には、制御部40は、インバータ133を制御し、ポンプ131の回転数を変化させ、吐出圧力一定制御もしくは推定末端圧一定制御を行う。他の実施形態では、インバータ133が設けられず固定速でポンプを回し、減圧弁(不図示)にて吐出圧力一定としたり、制御部40が複数のポンプ131を追加解列させることによって、吐出圧力の調整が実現されてもよい。
なお、給水設備に放射性物質吸着部140が設けられない場合、ポンプ運転中に受水槽120の水位が減水以下となった場合に流入弁112を開いて導入管110から受水槽120に水を供給すれば、低下した受水槽120内の水位を満水まで回復させるのに十分な容量の受水槽120を設置する。しかしながら、給水設備100では、導入管110の出口に接続された放射性物質吸着部140に予期せぬゴミ等が詰まった場合は過大な圧力損
失が生じるために、導入管110から供給される水による受水槽120内の水位の回復が遅れる可能性がある。ポンプ131運転中に減水水位以下となり流入弁112を開き一定時間経過しても水位が回復しない場合には、制御部40は、ポンプ131の回転数を制御して給水栓20に供給される水量を制限し、受水槽120が渇水状態になるのを防止することにより断水を回避できる。
放射性物質吸着部140は、例えば放射性物質吸着カートリッジを含む。放射性物質吸着カートリッジには、ハウジングの内部に、粒状の放射性物質吸着材が充填されて構成されるものとした。なお、ハウジングの内部には、導入管110から供給された水が効率よく放射性物質吸着材を通過するように水の流路が形成されている。こうした粒状の放射性物質吸着材が充填される構成は、体積当たりの吸着材重量を大きくすることができ、大量の水を処理することに適する。ただし、粒状の放射性物質吸着材に代えて、または加えて、放射性物質吸着材を担持した布または活性炭を用いてもよい。この場合には、放射性物質吸着材の反応速度に優れるため、低濃度の放射性物質を除去することに適する。そして、活性炭を用いた場合には、水から放射性物質と同時に有利塩素、黴臭、およびトリハロメタンなども除去することができる。
放射性物質吸着材としては、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、キレート樹脂、キレート繊維、アルギン酸カルシウム、キトサン、酸化鉄、活性炭、銀ゼオライト、リン酸銀、ハイドロタルサイト、ジオポリマー、酸化チタン、シリカゲル、非晶質アルミニウムケイ酸塩、ゼオライト、チタン酸塩、シリコチタネート、酸化マンガン、フェロシアン化物、ヒドロキシアパタイト、水酸化セリウム、および水酸化ジルコニウムのうち少なくとも一種が含まれることが好ましい。
例えば、放射性物質吸着材として、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、ゼオライト、フェロシアン化物、チタン酸塩、非晶質アルミニウムケイ酸塩、シリコチタネート等を用いることにより、放射性セシウムを効果的に吸着することができる。また、例えば、放射性物質吸着材として、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、キレート樹脂、キレート繊維、アルギン酸カルシウム、キトサン、ゼオライト、チタン酸塩、非晶質アルミニウムケイ酸塩、シリコチタネート、ヒドロキシアパタイト、ジオポリマー、等を用いることにより、放射性ストロンチウムを効果的に吸着することができる。さらに、放射性物質吸着材として、酸化鉄、活性炭、銀ゼオライト、リン酸銀、ハイドロタルサイト、酸化チタン、シリカゲル、酸化マンガン、水酸化セリウム、ジオポリマー等を用いることにより、放射性ヨウ素を吸着することができる。
なお、放射性物質吸着材は、1種類の吸着材を用いてもよいし、複数種類の吸着材を用いてもよい。例えば、異なる放射性物質を吸着する吸着材を混合して用いてもよいし、単独の放射性物質を吸着する複数種類の吸着材を混合して用いてもよい。
さらに、例えば、チタン酸塩、非晶質アルミニウムケイ酸塩、シリコチタネート等を用いた場合には、単独の吸着材で放射性セシウムと放射性ストロンチウムを同時に効果的に除去することができる。
セシウム吸着材であるイオン交換樹脂およびゼオライトは、塩分濃度が高い条件において吸着性能が低下することが知られている。同様に、ヨウ素吸着材も、ヨウ素と塩素の化学的性質が類似しているために、塩分濃度が高い条件において吸着性能が低下することが知られている。また、ストロンチウム吸着材の吸着性能も、カルシウムまたはマグネシウムの濃度に影響され、それらの高濃度条件において吸着性能が低下する。
したがって、塩分、カルシウム、またはマグネシウムの濃度が高い汚染水を処理対象と
する場合には、吸着性能の低下が小さい吸着材を用いることが好ましい。こうした吸着材としては、放射性セシウム吸着材として、例えば、フェロシアン化物、およびシリコチタネートが挙げられる。また、放射性ストロンチウム吸着材として、例えば、チタン酸塩、およびシリコチタネートが挙げられる。さらに、放射性ヨウ素吸着材として、例えば、銀ゼオライト、リン酸銀、酸化チタン、酸化マンガン、水酸化セリウムが挙げられる。
放射性物質吸着材のうち、いくつかの吸着材は、一般水処理で除去対象となるPb、Cd、Hg、Zn、Cu、Ni、およびCrなどの重金属を除去できる。また、オキソ酸形態であることが多い、Sb、As、Se、B、P、Si、白金属などを除去できる。
なお、飲料水を供給するような給水設備100では、放射性物質吸着材は、アルミニウムおよびアルミニウム化合物を含まない材料を用いることが好ましい。こうすれば、アルツハイマー症の一因ではないかと疑われているアルミニウムが水に含まれるのを防ぐことができる。
また、放射性物質吸着部140には、吸着された放射性物質が蓄積されるため、蓄積された放射性物質からの放射線を遮蔽する放射線遮蔽構造141が設けられる。放射線遮蔽構造141は、例えば図示された例のように受水槽120内で放射性物質吸着部140を覆ってもよいし、他の例では受水槽120全体を覆ってもよい。
上記のように構成された給水設備100では、導入管110を流れる水が受水槽120に貯留されるまでの間に、水に含まれる放射性物質が放射性物質吸着部140によって吸着される。従って、放射性物質は、給水栓20である水道の蛇口近くのような生活空間内まで到達しない。受水槽は使用環境によっては藻が発生したり、落ち葉やゴミが侵入する虞がある。また、建物の配管内部は経年劣化により錆が発生する。受水槽や建物内の配管は30年〜40年間という長期間使用されることもあり、受水槽内の藻や落ち葉やゴミ、配管内の錆等に微量の放射性物質が蓄積され続けることにより供給水が汚染される恐れがあるが、受水槽120に貯留される水、および給水管130に連通する建物内配管を流れる水も、放射性物質が吸着された後の水であるため、受水槽および建物内配管の内部に放射性物質が蓄積することもない。このようにして、本実施形態では、水道本管10から供給される水道水から放射性物質を除去するにあたり、水道水に含まれる放射性物質が蓄積することによって形成される新たな放射線源が利用者に与える影響を除去または低減することができる。
また、本実施形態では、放射性物質吸着部140が、受水槽120に貯留される水に浸漬されないように配置される。これによって、例えば、放射性物質吸着部140の出口側が大気開放されることになるため、放射性物質吸着部140に水を通過させるにあたり、水道本管10から供給される水の圧力を最大限に利用することができる。また、放射性物質吸着部140の出口が受水槽120に貯留された水から分離されるため、放射性物質吸着部140がメンテナンス、具体的には放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の交換を実施するために使用不能状態である場合も、制御部40が流入弁112を閉じるだけでよく、受水槽120内に貯留された水を排水する必要はない。また、流入弁112が閉じられている間も、受水槽120に貯留された水が残っている限り、ポンプ131を運転して給水を継続することが可能である。
通常、受水槽120は屋外に設置される。そのため、放射性物質吸着部140も屋外に設置することになる。これにより家庭内に設置する場合と比較して、設置スペースに余裕があるため放射性物質吸着部140を大型化できる。放射性物質吸着部140を大型化することにより圧損を低減したり、一度に大水量の水を除染することができるため、給水栓20にて水量が不足することを防ぐ効果がある。また、放射性物質吸着部140の長寿命
化が可能となり交換頻度が軽減する。
本実施例では、一槽式の受水槽にて説明したが、図10に示すような2槽式の受水槽方式でも同じ効果が得られる。その場合は図10にあるように導入管110、放射性物質吸着部140、受水槽120、水位センサ122が2重化される。
また、市水流弁112は制御部40の指令のみにて開閉しているが、水位センサ122の水位にて自動的に開閉してもよく、更には手動にて開閉操作を行えるようにしてもよい。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。図2を参照すると、給水設備200は、導入管110と、受水槽120と、給水管130と、制御部40とを含む。これらの構成要素は、上記の第1の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。さらに、給水設備200は、受水槽120の内部で導入管110の出口に接続される放射性物質吸着部240を含む。第1の実施形態との相違点として、放射性物質吸着部240は、受水槽120に貯留された水に浸漬されるように配置される。それ以外の点について、放射性物質吸着部240の構成は上記の第1の実施形態における放射性物質吸着部140と同様である。
なお、本実施形態において、「放射性物質吸着部240が受水槽120に貯留される水に浸漬されるように配置される」ことは、放射性物質吸着部240が常に水に浸漬されていることを意味しない。例えば、受水槽120自体、または放射性物質吸着部240などのメンテナンスを実施する際には、受水槽120内の水が排出され、放射性物質吸着部240が水に浸漬されていない状態が生じうる。また、水道本管10からの水の供給が停止されたり、流入弁112、ポンプ131、または制御部40などの故障によって受水槽120の水位が正しく調整されなかったりした場合にも、放射性物質吸着部240が水に浸漬されていない状態が生じうる。つまり、本実施形態において、「放射性物質吸着部240が受水槽120に貯留される水に浸漬されるように配置される」ことは、給水設備200が正常に運転されている状態において、放射性物質吸着部240が水に浸漬されていることを意味する。
本実施形態においても、上記の第1の実施形態と同様に、導入管110を流れる水が受水槽120に貯留されるまでの間に、水に含まれる放射性物質が放射性物質吸着部240によって吸着される。従って、実施例1と同様に水道水に含まれる放射性物質が蓄積することによって形成される新たな放射線源が利用者に与える影響を除去または低減することができる。また、本実施形態では、放射性物質吸着部240が、受水槽120に貯留された水に浸漬されるように配置される。放射性物質吸着部240には吸着された放射性物質が蓄積されるが、水が放射線を遮蔽するため、上記の第1の実施形態で放射性物質吸着部140を覆って設けられたような放射線遮蔽構造は省略されるか、より簡素なものでよくなる。
通常、受水槽120は屋外に設置される。そのため、放射性物質吸着部240も屋外に設置することになる。これにより家庭内に設置する場合と比較して、設置スペースに余裕があるため放射性物質吸着部240を大型化できる。放射性物質吸着部240を大型化することにより圧損を低減したり、一度に大水量の水を除染することができるため、給水栓20にて水量が不足することを防ぐ効果がある。また、放射性物質吸着部240の長寿命化が可能となり交換頻度が軽減する。
(第3の実施形態)
図3Aは、本発明の第3の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。図3Aを参照すると、給水設備300aは、導入管310aと、受水槽120と、給水管130と、制御部40と、放射性物質吸着部340とを含む。なお、受水槽120、給水管130、および制御部40の構成は、上記の第1の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。導入管310aは、水供給源である水道本管10に接続され、逆止弁111および流入弁112を有する点では上記の第1の実施形態における導入管110と同様である。ただし、本実施形態では、導入管310aの途中に放射性物質吸着部340が接続される。給水設備300aにおいて、放射性物質吸着部340は、流入弁112よりも下流で導入管310aに接続される。なお、このような配置以外の点について、放射性物質吸着部340の構成は上記の第1の実施形態における放射性物質吸着部140と同様である。
本実施形態においても、上記の第1の実施形態と同様に、導入管310aを流れる水が受水槽120に貯留されるまでの間に、水に含まれる放射性物質が放射性物質吸着部340によって吸着される。従って、実施例1と同様に水道水に含まれる放射性物質が蓄積することによって形成される新たな放射線源が利用者に与える影響を除去または低減することができる。また、本実施形態では、上記の他の実施形態とは異なり、放射性物質吸着部340が導入管310aに設けられる。従って、上記の第1の実施形態と同様に、放射性物質吸着部340の放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の交換のようなメンテナンスを実施する際にも受水槽120に貯留された水を用いて給水を継続することが可能である。さらに、メンテナンスにあたって作業員が受水槽120内に入る必要がないため、メンテナンスの作業をより簡便かつ衛生的に実施することができうる。
通常、受水槽120は屋外に設置される。そのため、放射性物質吸着部340も屋外に設置することになる。これにより家庭内に設置する場合と比較して、設置スペースに余裕があるため放射性物質吸着部340を大型化できる。放射性物質吸着部340を大型化することにより圧損を低減したり、一度に大水量の水を除染することができるため、給水栓20にて水量が不足することを防ぐ効果がある。また、放射性物質吸着部340の長寿命化が可能となり交換頻度が軽減する。
図3Bは、本発明の第3の実施形態の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。図3Bを参照すると、給水設備300bは、導入管310bと、受水槽120と、給水管130と、制御部40と、放射性物質吸着部340とを含む。本変形例は、放射性物質吸着部340が、流入弁112よりも上流で導入管310bに接続される点で、上記の給水設備300aとは異なる。この場合、放射性物質吸着部340にかかる圧力が流入弁112の開閉に関わらずほぼ一定になるため、放射性物質吸着部340の耐久性の観点からは有利である。
また、給水設備300bでは、放射性物質吸着部340よりも上流で、導入管310bにメンテナンス弁311が設けられる。メンテナンス弁311は、例えば放射性物質吸着部340のメンテナンスの際にのみ閉じられる。これによって、放射性物質吸着部340を通過する水流が遮断され、放射性物質吸着部340のメンテナンスが可能になる。なお、上記の通り、給水設備300a、および上記の第1および第2の実施形態では、流入弁112がこのようなメンテナンス弁311と同様に機能しうる。なお、メンテナンス弁311は、逆止弁111よりも上流に設けられてもよい。
(第4の実施形態)
図4Aは、本発明の第4の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。図4Aを参照すると、給水設備400aは、導入管410aと、放射性物質吸着部420と、給水管430aと、制御部40とを含む。導入管410aは、水供給源である水道本管10に
接続される。放射性物質吸着部420は、導入管410aから供給された水に含まれる放射性物質を吸着する。なお、放射性物質吸着部420の構成は、配置を除いて上記の第1の実施形態における放射性物質吸着部140と同様である。給水管430aは、放射性物質吸着部420を通過した水を水需要先である給水栓20に供給するための配管である。図示されているように、給水設備400aは、上記の他の実施形態とは異なり、受水槽が設けられない直結給水方式の給水設備である。
導入管410aには、逆流防止装置411が設けられる。逆流防止装置411は、ひとたび導入管410aに入った水が、水道本管10へと逆流するのを防止する。図示されているように、導入管410aには、さらにメンテナンス弁412が設けられてもよい。メンテナンス弁412は、例えば放射性物質吸着部420のメンテナンスの際にのみ閉じられる。なお、メンテナンス弁412は、逆止弁411よりも上流に設けられてもよい。さらに、導入管410aには、水道本管10の圧力を測定する圧力センサ413が設けられる。
給水管430aには、ポンプ431が設けられる。ポンプ431は、モータ432およびインバータ433によって駆動され、給水栓20に供給される水の圧力を調整する。ポンプ431は、制御部40によって制御される。より具体的には、制御部40は、水道本管10の圧力を示す流入圧力センサ413の測定値から水道本管10の圧力が一定値以上あることを判断し、ポンプ431の下流に設けられた吐出圧力センサ434の測定値に基づいて、インバータ433を制御し、ポンプ431の回転数を変化させて、吐出圧力一定制御もしくは推定末端圧一定制御を行う。他の実施形態では、インバータ433が設けられず、固定速でポンプを回し、減圧弁(不図示)にて吐出圧力一定としたり、制御部40が複数のポンプ432を追加解列させることによって、吐出圧力の調整が実現されてもよい。また、放射性物質吸着部420の二次側且つポンプ432をバイパスするバイパス配管(不図示)を設け、水道本管10の圧が高くポンプ431を運転しなくても給水栓20への水供給が十分に確保できる場合は、ポンプ431を停止したままバイパス給水を行ってもよい。
実施形態では、流入圧力センサ413と吐出圧力センサ434とが設けられているため、流入圧力センサ413と吐出圧力センサ434間の圧損を測定することができる。具体的には、流入圧力センサ413と吐出圧力センサ434間の配管、逆流防止装置411、メンテナンス弁412、放射性物質吸着部420並びにポンプ431における圧力損失である。ここで、放射性物質吸着部420に異物が詰まり圧損が大きくなった場合には、流入圧力センサ413と吐出圧力センサ434の差圧が大きくなる。よって、流入圧力センサ413と吐出圧力センサ434の差圧が閾値を超えた場合には、放射性物質吸着部420の圧損が大きくなったとして、制御部40より警報を出力してもよい。また、制御部40は、流入圧力センサ413と吐出圧力センサ434を表示する機能を有しても良い。なお、制御部40の具体的な構成例については後述する。
なお、ポンプ431の回転数がある一定の周波数時に、流入圧力センサ413と吐出圧力センサ434の差圧を閾値と比較するように閾値を設定してもよい。更には、放射性物質吸着部420のメンテナンス終了直後には、圧損が最少となるため、この時の流入圧力センサ413と吐出圧力センサ434の差圧を基準値として、差圧の上昇値を監視してもよい。
上記のように構成された給水設備400aでは、水道本管10に近い給水系において、水に含まれる放射性物質が放射性物質吸着部420によって吸着される。従って、放射性物質は給水栓20にある水道の蛇口近くのような生活空間内まで到達しない。また、給水管430aに連通する建物内配管を流れる水も、放射性物質が吸着された後の水であるた
め、建物内配管の内部に放射性物質が蓄積することもない。また、直結給水方式が採用されているマンションやビル商業施設などでは、通常ポンプ431はポンプ室や機械室または屋外に設置されるため放射性物質吸着部420も生活空間から離れた場所に設置することとなる。このようにして、本実施形態でも、水道本管10から供給される水道水から放射性物質を除去するにあたり、水道水に含まれる放射性物質が蓄積することによって形成される新たな放射線源となる放射性物質吸着部420が、供給水の利用者に与える影響を除去または低減することができる。
図4Bは、本発明の第4の実施形態の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。図4Bを参照すると、給水設備400bは、導入管410bと、放射性物質吸着部420と、給水管430bとを含む。本変形例は、ポンプ431が、給水管430bではなく導入管410bに設けられる点で、上記の給水設備400aとは異なる。つまり、給水設備400aでは放射性物質吸着部420がポンプ431よりも上流に配置されたが、本変形例に係る給水設備400bでは放射性物質吸着部420がポンプ431よりも下流に配置される。例えば、予期せぬゴミなどで放射性物質吸着部420で大きな圧力損失が生じた場合、給水栓20における水圧を確保するために、放射性物質吸着部420をポンプ431よりも下流に配置することは有益でありうる。また、この場合、ポンプ431に、給水栓20における水圧を調整する機能に加えて、放射性物質吸着部420にかかる圧力を調整する加圧ポンプの機能をもたせてもよい。なお、加圧ポンプについては、後述する第6の実施形態でさらに説明する。
なお、給水設備400bにおける実施形態においても、給水設備400aと同様に、流入圧力センサ413と吐出圧力センサ434の差圧を閾値と比較し、閾値を超えた場合には、放射性物質吸着部420の圧損が大きくなったとして、制御部40より警報を出力してもよい。また、給水設備400aと同様に、制御部40は、流入圧力センサ413と吐出圧力センサ434を表示する機能を有しても良い。なお、制御部40の具体的な構成例については後述する。
(第5の実施形態)
図5は、本発明の第5の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。図5を参照すると、給水設備500は、導入管510と、放射性物質吸着部520と、給水管530と、制御部40とを含む。導入管510は、水供給源である井戸30に接続される。放射性物質吸着部520は、導入管510から供給された水に含まれる放射性物質を吸着する。なお、放射性物質吸着部520の構成は、配置を除いて上記の第1の実施形態における放射性物質吸着部140と同様である。給水管530は、放射性物質吸着部520を通過した水を水需要先である給水栓20に供給する。図示されているように、給水設備500は、上記の他の実施形態とは異なり、水道本管10ではなく井戸30を水供給源とする給水設備である。
導入管510には、ポンプ511が設けられる。ポンプ511は、モータ512およびインバータ513によって駆動され、井戸30から水を汲み上げるとともに、給水管530を経由して給水栓20に供給される水量を調整する。ポンプ511は、制御部40によって制御される。より具体的には、制御部40は、ポンプ511の下流側に設置された圧力センサ534の測定値に基づいてインバータ513を制御し、ポンプ511の回転数を変化させる。他の実施形態では、インバータ513が設けられず、固定速でポンプを回し、減圧弁(不図示)にて吐出圧力一定としたり、制御部40が複数のポンプ511を追加解列させることによって、吐出圧力の調整が実現されてもよい。また、ポンプ511は陸上に設置されているが、水中ポンプとしてもよい。ポンプ511が水中ポンプの場合は井戸30内に設置される。なお、制御部40の具体的な構成例については後述する。
本実施形態では、給水設備500が井戸30を水供給源とするが、このような場合にも上記の他の実施形態と同様に、供給される水に含まれる放射性物質を放射性物質吸着部520によって吸着し、放射性物質が給水栓20の近くまで到達しないようにすることができる。水供給源が井戸30である場合、供給される水は生活用水よりも農業用水、または工業用水であることが多いと考えられるが、そのような場合にも、給水栓20は利用者の作業空間内に位置することになる。それゆえ、上記のような給水設備500の構成によって、井戸水に含まれる放射性物質が蓄積することによって形成される新たな放射線源が利用者に与える影響を除去または低減することは有益でありうる。
(第6の実施形態)
図6は、本発明の第6の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。図6を参照すると、給水設備600は、導入管110と、受水槽120と、給水管130と、放射性物質吸着部140と、制御部40とを含む。これらの構成要素は、上記の第1の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。さらに、給水設備600は、放射性物質吸着部140よりも上流で導入管110に設けられる加圧ポンプ601を含む。図示された例では、導入管110で、流入弁112の下流に加圧ポンプ601が設けられている。他の例では、流入弁112の上流に加圧ポンプ601が設けられてもよい。
加圧ポンプ601は、モータ602およびインバータ603によって駆動され、放射性物質吸着部140にかかる圧力を調整する。加圧ポンプ601は、流入弁112と同じく制御部40によって制御される。より具体的には、制御部40は、放射性物質吸着部140の一次側に設けられた圧力センサ604の測定値に基づいてインバータ603を制御し、加圧ポンプ601の回転数を変化させることにより吐出圧力一定制御もしくは推定末端圧一定制御を行う。他の実施形態では、インバータ603が設けられず、固定速でポンプを回し、減圧弁(不図示)にて吐出圧力一定としたり、制御部40が複数のポンプ432を追加解列させることによって、吐出圧力の調整が実現されてもよい。
なお、流入弁112によって導入管110を経由した水の供給が遮断される場合には、加圧ポンプ601も停止する。より具体的には、制御部40は、実施例1にも記載したように受水槽120の水位122により流入弁112の開閉制御を行う。流入弁112を閉じる制御を実行するときに、加圧ポンプ601を停止させ、流入弁112を開く制御を実行するときに、加圧ポンプ601を運転する制御も実行する。
例えば、加圧ポンプ601は、水道本管10から供給される水の圧力が低く、放射性物質吸着部140で生じる圧力損失のために受水槽120へ供給する水量が少なくなる可能性がある場合に設けられる。この場合、制御部40は、圧力センサ604の測定値によって十分に高い圧力が示されるように、加圧ポンプ601を制御する。この場合において、放射性物質吸着部140を通過した水は受水槽120に貯留されるため、放射性物質吸着部140の許容範囲内である限りにおいて、圧力の変動は許容されうる。従って、もっとも単純な構成として、制御部40がモータ602を制御して単一の加圧ポンプ601を運転/停止させることによって圧力の調整が実現されてもよい。
また、例えば、加圧ポンプ601による圧力の調整は、圧力の変動が放射性物質吸着部140に与えるダメージを軽減するために実施されてもよい。この場合、制御部40は、例えば放射性物質吸着部140にかかる圧力を均一化する、すなわち圧力を所定値に近づけるように、加圧ポンプ601を制御してもよい。より具体的には、制御部40は、圧力センサ604の測定値が所定値に近づくように、加圧ポンプ601の回転数を制御する。この結果、例えば、水道本管10から供給される水の圧力が増大した場合には加圧ポンプ601の回転数は減少する。また、水道本管10から供給される水の圧力が減少した場合
には加圧ポンプ601の回転数は増加する。
上記のような均一化のための制御とともに、またはこれに代えて、制御部40は、放射性物質吸着部140にかかる圧力を平滑化する、すなわち圧力の変化を緩和するように、加圧ポンプ601を制御してもよい。より具体的には、例えば、閉じられていた流入弁112が開かれ、導入管110を経由した水の供給が開始または再開されたときに、制御部40は加圧ポンプ601の回転数を急激にではなく徐々に増加させる。同様に、水道本管10の圧力が急激に変動した場合、制御部40は、その変化に遅延して追従するように、加圧ポンプ601の回転数を制御する。これによって、放射性物質吸着部140にかかる圧力は緩やかに増加または減少することになり、圧力の変動が放射性物質吸着部140に与えるダメージ(例えば、放射性物質吸着材を担持した布が破れる等)が軽減されうる。
本実施形態では、加圧ポンプ601を設けることによって、例えば放射性物質吸着部140にかかる圧力を維持したり、圧力の変動が放射性物質吸着部140に与えるダメージを軽減したりすることができる。例えば、上記の第1〜第5の実施形態のように、水供給源に近い給水系に放射性物質吸着部を設けて放射性物質を吸着する場合、放射性物質吸着部での圧力損失、または放射性物質吸着部にかかる圧力の変動の影響が生じうるが、本実施形態では加圧ポンプ601を設けることによってこれらの影響に対処し、放射性物質吸着部140による安定した放射性物質の除去を実現するとともに、受水槽への安定した給水を実現することができる。
なお、本実施形態に係る給水設備600は、第1の実施形態に係る給水設備100に加圧ポンプ601を設けたものとして説明されたが、加圧ポンプ601の効果は、受水槽が設けられる給水設備の他の構成、例えば第2および第3の実施形態でも同様に得られる。つまり、本実施形態の変形例として、図2に示された給水設備200において、放射性物質吸着部240よりも上流の導入管110に加圧ポンプ601が設けられてもよい。同様に、図3Aに示された給水設備300aにおいて、放射性物質吸着部340よりも上流の導入管310aに加圧ポンプ601が設けられてもよい。また、図3Bに示された給水設備300bにおいて、放射性物質吸着部340よりも上流の導入管310bに加圧ポンプ601が設けられてもよい。図4Aに示された給水設備400aにおいて、放射性物質吸着部420よりも上流の導入管410aに加圧ポンプ601が設けられてもよい。また、第4の実施形態の変形例として図4Bに示された給水設備400bでは、放射性物質吸着部420よりも上流にポンプ431が設けられている。また、第5の実施形態として図5に示された給水設備500では、放射性物質吸着部520よりも上流にポンプ511が設けられている。これらのポンプ431、511に、本実施形態の加圧ポンプ601と同様の機能をもたせることも可能である。
(第7の実施形態)
図7Aは、本発明の第7の実施形態の第1の例に係る給水設備を概略的に示す図である。図7Aを参照すると、給水設備700aは、導入管110と、受水槽120と、給水管130と、放射性物質吸着部140と、制御部40とを含む。これらの構成要素は、上記の第1の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。さらに、給水設備700aは、放射性物質吸着部140に設けられる放射線測定センサ701を含む。本実施形態において、制御部40は、放射線測定センサ701の測定値に基づいて給水設備700aに関する状態を検出する。また、制御部40は検出結果に基づいて、警報や異常を報せるための報知器710を備えてもよい。なお、制御部40の具体的な構成例については後述する。
制御部40による状態の検出と、検出結果に基づく制御の例について、以下で説明する。例えば、制御部40は、放射線測定センサ701の測定線量が閾値を超えた場合に、給
水設備700aに発生した第1の状態を検出する。第1の状態を検出した制御部40は、警報を出力しつつ給水を継続する。更に放射線測定センサ701の測定線量が上昇したら(第2の状態)例えば、流入弁112を閉じて導入管110を経由した水の供給を遮断する。あるいは、制御部40は、ポンプ131を停止させ、給水管130を経由した給水栓20への水の供給を実質的に停止してもよい。
ここで、上記の第1の状態は、例えば、放射性物質吸着部140への放射性物質の蓄積が所定のレベルに到達した状態を含む。放射性物質吸着部140に吸着された放射性物質が蓄積されるにしたがって、放射線測定センサ701の測定線量は上昇する。従って、放射線測定センサ701の測定線量が一定以上となることは、例えば放射性物質吸着部140に蓄積された放射性物質が増加し、放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の交換のようなメンテナンスが必要なレベルに到達したことを示す。このような場合に、さらに導入管110から供給された水を放射性物質吸着部140に通し続けると、更に放射線測定センサ701の測定線量が増加し第2の閾値(第2の閾値≧第1の閾値)を超える(第2の状態)。この第2の状態においては、放射性物質吸着部140にて吸着しきれずに線量の高い水を給水栓20へ給水したり、放射性物質吸着部140のメンテナンスに支障をきたす可能性がある。より具体的には、メンテナンスの作業に放射線防護服を着用したり、交換後の放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の線量が基準値を超えてしまい放射性廃棄物となり廃棄が困難になったり、最悪の場合はメンテナンス作業中に作業員が被爆したりする可能性がある。従って、放射線測定センサ701の測定線量が第2の閾値を超えた場合に制御部40が第2の状態を検出して水の供給を停止させ、放射性物質吸着部140にそれ以上放射性物質が蓄積されないようにすることは有益でありうる。
なお、放射線測定センサの測定線量は一般的にバックグラウンドノイズ等の誤差を含むため、放射線測定センサ701の測定値をそのまま閾値と比較することは必ずしも適切ではない。そこで、例えば、放射線測定センサ701の測定値について、基準となる時(例えば、放射性物質吸着部140の使用開始時、または放射性物質吸着カートリッジもしくは放射性物質吸着材の交換時など)の測定線量を初期の基準値として記録し、この基準値に対する上昇率、または上昇幅を、利用し、第1の状態、第2の状態を検出してもよい。
上記のような給水設備700aでは、放射性物質吸着部140の近傍に放射線測定センサ701を設置し、放射性物質吸着部140の線量を測定する。この測定線量は制御部40にて取得する。
放射線測定センサ701の測定線量が第1の閾値以上(例:放射性物質吸着部140が放射性廃棄物となる線量の30%以上)となったら、制御部40は、放射線量警報を出力し放射性物質吸着部140の交換を促す。このとき、流入弁112の開閉制御並びにポンプ131の制御は、通常時と同様に実施し給水を継続する(第1の状態)。更に放射線測定センサ701の測定線量が上昇し第2の閾値以上(例:放射性物質吸着部140が放射性廃棄物となる線量の50%以上)となったら、制御部40は、放射線量異常を発報する(第2の状態)。この第2の状態のとき、制御部40は、流入弁112を強制的に閉とし、受水槽120、ポンプ131、給水管130の汚染を防ぐとともに報知器710から異常を通知する。流入弁112を強制閉とすると、水道本管10から受水槽120への水の供給が停止される。そのため、流入弁112を強制閉とした時に受水槽120内に貯留されていた水は、給水栓20への給水が可能だが、流入弁112を強制閉のまま、ポンプ131の運転を継続すると受水槽120内の水位が低下し結果として渇水警報にてポンプ131が停止する。
本実施例における上記第1の閾値、第2の閾値の例として、放射性物質吸着部140が放射性廃棄物となる線量を基準としたが、放射性物質吸着部140の吸着可能な最大線量
を基準としてもよいし、また、放射性廃棄物となる線量もしくは吸着可能な最大線量のどちらか低い方を基準として、閾値となる線量を決めてもよい。更には、上述した放射線量による第1の状態ならびに第2の状態の検出に加えて、放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の使用期間を計測し、使用期間がある一定期間を超えたことで第1の状態と第2の状態を検出してもよい。そうすれば、万が一放射線測定センサ701が故障しても、第1の状態と第2の状態を検出することができる。
放射性物質吸着部140の放射線量が非常に高いであろうと推測される第2の状態においては、給水設備700aに近づくと被爆してしまう虞がある。そのため、第2の状態を機側でない遠隔にて認識できるような通知は有効である。よって、報知器710は数メートル離れた場所からでも確認できるような表示灯、ブザー、サイレン等を用いてもよい。更には、給水設備700aから離れた場所にて放射線量の上昇を確認できるように、報知器710を、管理人室や居住室等に設置してもよい。また、報知器710にて上記第1の状態も通知してもよい。
図7Bは、本発明の第7の実施形態の第2の例に係る給水設備を概略的に示す図である。図7Bを参照すると、給水設備700bは、導入管110と、受水槽120と、給水管130と、放射性物質吸着部140と、制御部40とを含む。これらの構成要素は、上記の第1の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。さらに、給水設備700bは、放射性物質吸着部140に設けられる第1の放射線測定センサ701と、給水管130に設けられる第2の放射線測定センサ702とを含む。本実施形態において、制御部40は、第1の放射線測定センサ701および/または第2の放射線測定センサ702の測定値に基づいて給水設備700bに関する状態を検出する。また、図示された例において、制御部40は検出結果に基づいて流入弁112またはポンプ131を制御する。なお、制御部40の具体的な構成例については後述する。
制御部40による状態の検出と、検出結果に基づく制御の例について、以下で説明する。例えば、制御部40は、第1の放射線測定センサ701または第2の放射線測定センサ702のいずれかの測定値が第1の閾値を超えた場合に、給水設備700bに発生した第1の状態を検出する。第1の状態を検出した制御部40は、警報を出力しつつ給水を継続する。更に第1の放射線測定センサ701または/および第2の放射線測定センサ702の測定線量が第2の閾値よりも上昇したら(第2の状態)例えば、流入弁112を閉じて導入管110を経由した水の供給を遮断する。あるいは、制御部40は、ポンプ131を停止させ、給水管130を経由した給水末端20への水の供給を実質的に停止してもよい。
ここで、上記の第1の状態は、例えば、放射性物質吸着部140への放射性物質蓄積が所定のレベルに到達した状態を含む。放射性物質吸着部140に吸着された放射性物質が蓄積されるにしたがって、第1の放射線測定センサ701の測定線量は上昇する。従って、第1の放射線測定センサ701の測定値が第1の閾値を超えることは、例えば放射性物質吸着部140に蓄積された放射性物質が増加し放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の交換のようなメンテナンスが必要なレベルに到達したことを示す。このような場合に、さらに導入管110から供給された水を放射性物質吸着部140に通し続けると、更に放射線測定センサ701の測定線量が増加し第2の閾値(第2の閾値≧第1の閾値)を超える(第2の状態)。この第2の状態においては、放射性物質吸着部140にて吸着しきれずに、線量の高い水を給水栓20へ給水したり、放射性物質吸着部140メンテナンスに支障をきたす可能性がある。より具体的には、メンテナンスの作業に放射線防護服を着用したり、交換後の放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の線量が基準値を超えてしまい放射性廃棄物となり廃棄が困難になったり、最悪の場合はメンテナンス作業中に作業員が被爆したりする可能性がある。従って、第1の放射線測定センサ701の測定値が第2の閾値を超えた場合に制御部40が第2の状態を検出して水の供
給を停止させ、放射性物質吸着部140にそれ以上放射性物質が蓄積されないようにすることは有益でありうる。
また、上記の第1の状態は、例えば、給水末端20に供給される水の放射性物質濃度が上昇している状態を含む。第2の放射線測定センサ702については、放射性物質吸着部140によって正常に放射性物質が吸着されている限りにおいて、測定値は実質的に放射線が検出されないことを示すはずである。しかしながら、例えば放射性物質吸着部140の放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材が破損したために、放射性物質吸着部140による放射性物質の吸着能力が低下した、または喪失された場合、給水管130を通る水の放射線量は上昇する。また、例えば、放射性物質吸着部140は正常に機能していても、水道本管10から供給される水の放射性物質濃度が異常に上昇したために除去しきれなかった場合、同様に給水管130を通る水の放射性物質濃度は上昇する。これらの場合、第2の放射性センサ702の測定線量は上昇するため、これに基づいて制御部40が第2の状態を検出して水の供給を停止させることは有益でありうる。
本実施形態において、制御部40は、上記のように第1の放射線測定センサ701および第2の放射線測定センサ702のそれぞれの測定値についての個別に閾値判定を実施するだけではなく、両方の測定値を組み合わせて用いてもよい。例えば、制御部40は、正常時には実質的に放射線が検出されないことを示す第2の放射線測定センサ702の測定値を、自然放射線などに起因するバックグラウンドノイズを示すものとして扱ってもよい。この場合、制御部40は、例えば第1の放射線測定センサ701の測定線量から第2の放射線測定センサ702の測定線量を差し引いた上で、閾値判定を実施してもよい。
また、使用後の放射性物質吸着部140には少なくともいくらかの放射性物質が蓄積されているため、第1の放射線測定センサ701の測定値は、放射性物質吸着部140の使用開始、または放射性物質吸着カートリッジもしくは放射性物質吸着材の交換の直後を別にすれば、常に第2の放射線測定センサ702の測定値よりも高いはずである。従って、制御部40は、例えば、第2の放射線測定センサ702の測定値が第1の放射線測定センサ701の測定値を超えた場合には、いずれかのセンサに関係する部分に故障が発生した状態を検出してもよい。この場合も、上記のように流入弁112を遮断したり、ポンプ131を停止させたり、後述する変形例のように通知を出力したりすることが考えられる。
なお、放射線測定センサの測定値は一般的に誤差を含むため、第1の放射線測定センサ701および第2の放射線測定センサ702の測定値をそのまま第1または第2の閾値と比較したり、上記のように互いに比較したりすることは必ずしも適切ではない。そこで、例えば、それぞれの放射線測定センサの測定値について、基準となる時(例えば、放射性物質吸着部140の使用開始時、または放射性物質吸着カートリッジもしくは放射性物質吸着材の交換時など)の測定値を初期の基準値として記録し、この基準値に対する上昇率、または上昇幅を利用し、上記第1の状態第2の状態を検出してもよい。
上述した本実施形態の第1の例と同様に、本実施例における上記第1の閾値、第2の閾値としては、放射性物質吸着部140が放射性廃棄物となる線量や放射性物質吸着部140の吸着可能な最大線量を基準としてもよい。また、放射性廃棄物となる線量もしくは吸着可能な最大線量のどちらか低い方を基準として、閾値となる線量を決めてもよい。更には、上述した放射線量による第1の状態ならびに第2の状態の検出に加えて、放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の使用期間を計測し、使用期間がある一定期間を超えたことで第1の状態と第2の状態を検出してもよい。そうすれば、万が一放射線測定センサ701が故障しても、第1の状態と第2の状態を検出することができる。なお、第1の放射線測定センサ701および第2の放射線測定センサ702における各閾値は、個別に設定してもよい。
また、本実施形態において給水栓に給水する水の放射線量は第2の放射性センサ702の測定線量にて計測するため、第2の放射性センサ702の線量が正常ならば給水に差支えない。そのため、第1の放射性センサ701はなくてもよい。その場合、上述した第1の状態と第2の状態は第2の放射性センサ702のみにて検知する。そうすれば、放射線センサをひとつにすることが可能である。
更に実施形態の第1の例および第2の例では、受水槽120に流入する水の放射性物質吸着部140の放射線量の計測を行っているが、図4A,図4B並びに図5にて説明した受水槽がなく供給源にポンプの一次側を直結する給水設備(直結タイプ)においても、放射性物質吸着部420並びに放射性物質吸着部450の線量の計測並びに放射線量警報(第1の状態の検知)、放射線量警報異常(第2の状態の検知)の発報は、本実施例と同様に有効である。ただし、直結タイプにおいて上記放射線量異常を発報(第2の状態を検知)した場合は、即時にポンプの運転を不可としてもよい。
図7Cは、本発明の第7の実施形態の第1の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。図7Cを参照すると、給水設備700cは、導入管110と、受水槽120と、給水管130と、放射性物質吸着部140と、制御部40とを含む。また、給水設備700cは、上記の給水設備700bと同様に、第1の放射線測定センサ701と、第2の放射線測定センサ702とを含む。本変形例に係る給水設備700cは、制御部40が表示部などの出力部(後述)を含む点で、上記の給水設備700bとは異なる。
本変形例において、制御部40の出力部は、検出結果に基づいて給水設備700cの管理者またはオペレータに向けた通知を出力する。より具体的には、例えば、出力部は、第1の放射線測定センサ701もしくは第2の放射線測定センサ702の測定値が第1の閾値を超えたときに第1の状態として、放射性物質吸着部140の放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の交換などのメンテナンスを促す通知を出力してもよい。また、例えば、出力部は、第2の放射線測定センサ702の測定線量が第1の閾値を超えたり、第2の放射線測定センサ702の測定線量が第1の放射線測定センサ701の測定値を超えたりした場合に、これらの放射線測定センサを含む給水設備700cの点検を促す通知を出力してもよい。
なお、本変形例でも、上記の給水設備700bと同様に、制御部40が検出結果に基づいて流入弁112またはポンプ131を制御してもよい。この場合、制御部40による流入弁112またはポンプ131の制御は、上記のような出力部による通知の出力と同時に実施されてもよいし、通知の出力と組み合わせて段階的に実施されてもよい。例えば、制御部40は、第1の放射線測定センサ701または第2の放射線測定センサ702のいずれかの測定線量が第1の閾値を超えた場合に、放射性物質吸着部140に発生した第1の状態を検出する。このとき、出力部は、放射性物質吸着部140のメンテナンス、または給水設備700bの点検を促す通知を出力し、給水を継続してもよい。さらに、制御部40は、第1の放射線測定センサ701または第2の放射線測定センサ702のいずれかの測定値が、第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えた場合に、放射性物質吸着部140に発生したより深刻な第2の状態を検出する。このとき、制御部40は、流入弁112を閉じるか、ポンプ131を停止させるかして、水の供給を遮断または実質的に停止してもよい。
図7Dは、本発明の第7の実施形態の第2の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。図7Dを参照すると、給水設備700dは、導入管110と、受水槽120と、給水管130と、放射性物質吸着部140と、制御部40とを含む。また、給水設備700dは、上記の給水設備700bと同様に、第1の放射線測定センサ701と、第2の放射
線測定センサ702とを含む。本変形例は、制御部40が通信部(後述)を含む点で、上記の給水設備700bとは異なる。通信部は、例えば、インターネットまたは専用回線のようなネットワーク706を介して遠隔監視装置707と通信する。遠隔監視装置707、制御部40の表示操作部は、例えば、視覚的な通知を出力するディスプレイもしくはランプなど、または聴覚的な通知を出力するスピーカ、サイレン、もしくはブザーなどと、それらの制御回路とを含む出力部を有する。あるいは、後述するように、通信部は、NFC(Near Field Communication)などによって外部表示器と通信し、外部表示器が通知を出力してもよい。
放射性物質吸着部140の放射線量が非常に高い第2の状態の場合、給水設備700dに近づくと被爆してしまう。そのため、制御部40に遠隔からでも認識可能なネットワークを介した通知は有効である。また、ポンプ室や屋外に給水設備700dを設置する場合、管理人室や居住室にて放射線量の上昇を確認できるような遠隔監視装置707を設けてもよい。
制御部40は、通信部およびネットワーク706を介して、第1の状態、第2の状態の検出結果を遠隔監視装置707に提供する。遠隔監視装置707は、検出結果に基づいて、給水設備700dから離れている管理者またはオペレータに向けた通知を出力することができる。通知の内容は、例えば上記の給水設備700bにおいて出力部から出力された通知と同じでありうる。つまり、遠隔監視装置707は、制御部40の検出結果に基づいて、放射性物質吸着部140のメンテナンスを促す通知、または給水設備700cの点検を促す通知を出力することができる。また、通信部は、検出結果とともに、またはこれに代えて、第1の放射線測定センサ701または第2の放射線測定センサ702の測定値を示す情報を遠隔監視装置707に送信してもよい。この情報は、例えば、測定値そのものであってもよいし、測定値を利用しやすいように処理した情報であってもよい。このように処理された情報は、第1の放射線測定センサ701の測定値からバックグラウンドノイズを示す値、例えば第2の放射線測定センサ702の測定値を差し引いた値を含んでもよい。ここでも、測定値は、必ずしもそれぞれの放射線測定センサの測定値そのものではなく、上記のように基準値に対する上昇率または上昇幅が測定値として扱われてもよい。
なお、本変形例でも、上記の給水設備700bと同様に、制御部40が検出結果に基づいて流入弁112またはポンプ131を制御してもよい。この場合、制御部40による流入弁112またはポンプ131の制御は、上記のような遠隔監視装置707による通知の出力と同時に実施されてもよいし、通知の出力と組み合わせて段階的に実施されてもよい。また、遠隔監視装置707は、例えばボタン、レバー、キーボード、マウス、またはタッチパネルなどを含む入力部をさらに有し、出力部によって提供された通知、または放射線測定センサの測定値を参照した管理者またはオペレータの操作を受け付けてもよい。この場合、通信部がネットワーク706を介して遠隔監視装置707から送信された操作信号を受信し、制御部40は通信部が受信した操作信号に従って流入弁またはポンプ131を制御してもよい。これによって、例えば、通知を受け取った管理者またはオペレータが遠隔監視装置707に対して与えた操作に基づいて制御部40に流入弁112またはポンプ131を制御させ、一時的に給水を停止することが可能になる。特に放射線量が高い場合、700dに近づいただけでも被爆してしまう可能性が高い。そのため、遠隔監視装置707にて放射線量を監視することは有効である。
また、遠隔監視装置707は、通信部およびネットワーク706を介して、監視する給水設備700dにおける第1の放射線測定センサ701もしくは第2の放射線測定センサ702における測定線量結果を取得し、第1の状態もしくは第2の状態を判断してもよい。そうすることで、遠隔監視装置707にて監視する全ての給水設備700dの第1の閾値並びに第2の閾値を一元的に管理することができる。
図7Eは、本発明の第7の実施形態の第3の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。図7Eを参照すると、給水設備700eは、導入管110と、受水槽120と、給水管130と、放射性物質吸着部140と、制御部40とを含む。また、給水設備700eは、上記の給水設備700bと同様に、第1の放射線測定センサ701と、第2の放射線測定センサ702とを含む。本変形例は、給水設備700eが、さらに第3の放射線測定センサ708を含む点で、上記の給水設備700bとは異なる。給水設備700dにおいて、制御部40は、第1の放射線測定センサ701および第2の放射線測定センサ702の測定値に加えて、第3の放射線測定センサ708の測定値に基づいて、放射性物質吸着部140の状態を検出する。
ここで、第3の放射線測定センサ708は、導入管110、受水槽120、および給水管130を含む給水系の外部の大気中に配置される。それゆえ、制御部40は、第3の放射線測定センサ708の測定値を、自然放射線などに起因するバックグラウンドノイズを示すものとして扱うことができる。なお、上記の給水設備700bでは、正常時には第2の放射線測定センサ702の測定値をバックグラウンドノイズを示すものとして扱ってもよいことを説明した。しかしながら、例えば何らかの異常が発生し、給水管130を流れる水の放射性物質濃度が上昇した場合には、第2の放射線測定センサの測定値も上昇し、もはやバックグラウンドノイズとして扱えなくなる。第3の放射線測定センサ708の測定値は、このような場合にもバックグラウンドノイズを示すものとして扱うことができる。つまり、本変形例では、第3の放射線測定センサ708を設けることによって、バックグラウンドノイズを示すより可用性が高いデータを利用することができる。また、第3の放射線測定センサ708は、上記のようにバックグラウンドノイズを示す測定値を得るために利用されるのに加えて、万が一、給水設備の外部に放射線が漏出した場合の検知機構として利用することもできる。
なお、以上で説明した本実施形態およびその変形例に係る給水設備700b〜700dの構成は、互いに組み合わせ可能である。例えば、既に説明しているように、出力部によって通知が出力される給水設備700c、および遠隔監視装置707によって通知が出力される給水設備700dでも、通知の出力とともに制御部40が制御部40の検出結果に基づいて流入弁112またはポンプ131を制御してもよい。また、給水設備において、出力部と、通信部および遠隔監視装置707とが両方設けられてもよい。この場合、例えば出力部および遠隔監視装置707の両方から通知が出力されてもよい。あるいは、管理者もしくはオペレータの所在、または通知内容の緊急性などに応じて、出力部または遠隔監視装置707のどちらから通知を出力するかが選択されてもよい。また、給水設備700b〜700dの制御部40には700aと同様に、報知器710を備えても良い。さらには、給水設備700b、給水設備700cまたは給水設備700dに第3の放射線測定センサ708が設けられてもよい。
本実施形態では、放射線測定センサ701,702と、制御部40とを設けることによって、給水設備700b〜700dに関する状態、例えば放射性物質吸着部140への放射性物質蓄積が所定のレベルに到達した状態、または給水栓20に供給される水の放射性物質濃度が上昇している状態などを検出することができる。このような状態が検出された場合、制御部40が流入弁112またはポンプ131を制御して、給水を停止させることができる。また、出力部または通信部を介して、検出された状態に関する情報、例えば放射性物質吸着部140のメンテナンス、もしくは給水設備700b〜700の点検を促す通知などを出力させることができる。結果として、本実施形態では、放射性物質の除去に関連して給水設備700b〜700dで発生する可能性がある各種の状態に対して、より早期に対応することが可能になる。
なお、本実施形態に係る給水設備700b〜700dは、第1の実施形態に係る給水設備100に放射線測定センサ701,702および制御部40を設けたものとして説明されたが、これらの構成要素の効果は、受水槽が設けられる給水設備の他の構成、例えば第2および第3の実施形態でも同様に得られる。つまり、本実施形態の変形例として、図2に示された給水設備200において、放射性物質吸着部240および給水管130にそれぞれ放射線測定センサを設け、さらにこれらのセンサの測定値を利用する制御部を設けてもよい。同様に、図3Aおよび図3Bに示された給水設備300a,300bにおいて、放射性物質吸着部340および給水管130にそれぞれ放射線測定センサを設け、さらにこれらのセンサの測定値を利用する制御部を設けてもよい。
さらに、本実施形態の変形例は、受水槽が設けられない直結給水方式の給水設備をも含みうる。つまり、直結給水方式の給水設備に放射性物質吸着部が設けられる場合にも、本実施形態における放射線測定センサ701,702、および制御部40と同様の構成を採用することが可能でありうる。より具体的には、例えば、上記で図4Aおよび図4Bを参照して説明された第4の実施形態に係る給水設備400a,400bにおいて、放射性物質吸着部420および給水管430a,430bにそれぞれ放射線測定センサを設け、さらにこれらのセンサの測定値を利用する制御部を設けてもよい。同様に、上記で図5を参照して説明された第5の実施形態に係る給水設備500において、放射性物質吸着部520および給水管530にそれぞれ放射線測定センサを設け、さらにこれらのセンサの測定値を利用する制御部を設けてもよい。
また、本実施形態の変形例は、上記の第6の実施形態の変形例でもありうる。つまり、上記で本実施形態またはその変形例として説明された給水設備において、放射線測定センサおよび制御部に加えて、第6の実施形態で説明されたような加圧ポンプが設けられてもよい。
(第8の実施形態)
図8Aは、本発明の第8の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。図8Aを参照すると、給水設備800aは、導入管110と、受水槽120と、給水管130と、放射性物質吸着部140と、制御部40とを含む。これらの構成要素は、上記の第1の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。また、給水設備800aは、上記の第7の実施形態と同様の、第1の放射線測定センサ701、および第2の放射線測定センサ702を含む。さらに、給水設備800aは、給水管130から分岐して導入管110に連通するリターン配管801と、給水管130とリターン配管801との間に設けられる切換弁802とを含む。制御部40は、検出結果に基づいて切換弁802を制御する。通常時において、切換弁802は、給水管130の上流側部分と下流側部分とを連通させ、給水管130からリターン配管801への流路を遮断している。
制御部40による状態の検出と制御の例について、以下で説明する。例えば、制御部40は、第2の放射線測定センサ702の測定値が閾値を超えた場合に、給水設備800aに発生した第1の状態を検出する。第1の状態を検出した制御部40は、例えば、流入弁112を閉じて導入管110を経由した水の供給を遮断するとともに、切換弁802を切り換えて、給水管130の上流側部分とリターン配管801とを連通させ、ポンプ131を運転する。これによって、受水槽120内の水が給水管130に設置されたポンプ131で加圧され、リターン配管801を経由して導入管110へと循環し、再び放射性物質吸着部140を通過して受水槽120に戻る循環経路が形成される。
例えば、水道本管10から供給される水の放射性物質濃度が何らかの原因で突発的に上昇した場合、第1の放射線測定センサ701および第2の放射線測定センサ702の測定線量が増加し閾値を超えることがありうる。このような場合、流入弁112を閉じて新た
な水の供給を一時的に遮断するとともに、リターン配管801を経由して水を循環させて繰り返し放射性物質吸着部140を通過させることによって、給水系内の水に含まれる放射性物質を通常と同程度まで除去することができる。
また、例えば、放射性物質吸着部140の破損により放射性物質吸着部140による放射性物質の吸着能力が低下した場合、特に第2の放射線測定センサ702の測定値が閾値を超えることがありうる。このような場合も、放射性物質吸着部140の吸着能力が完全に喪失されているのでなければ、リターン配管801を経由して水を循環させることによって、放射性物質を通常と同程度まで除去することができる。
さらに、第2の放射線測定センサ702の測定値が閾値を下回った場合、制御部40は再び切換弁802を切り換えて、給水管130の上流側部分と下流側部分とを連通させ、給水設備800aによる給水栓20への給水を再開してもよい。流入弁112は、給水の再開時、または再開後に受水槽120内の水位が下がった場合に再び開かれる。第2の放射線測定センサ702の測定線量が再び閾値を超えた場合、制御部40は、流入弁112を閉じるとともに切換弁802を切り換えてリターン配管801を経由する水の循環経路を形成する制御を再実行する。これを繰り返すことによって、例えば水道本管10から供給される水の一時的に上昇した放射線量が元に戻るまで、または放射性物質吸着部140のメンテナンスが実施され放射性物質吸着部140の吸着能力が回復するまで、間欠的にではあるが給水を継続することができる。
なお、上記のように給水系の内部において水を循環させる場合、循環が繰り返されるにしたがって水の温度が上昇する。水の温度が上昇すると、給水設備800aが影響を受け部品の寿命が短くなるだけではなく、給水再開時に給水栓20に供給する水が高温となり、最悪の場合は使用者が火傷を負う虞がある。それゆえ、例えば、リターン配管801を経由する循環経路の任意の位置もしくはポンプ131等の給水管130の循環経路内に温度計(図示せず)を設置し、制御部40が温度計によって測定された温度を監視してもよい。例えば、放射線測定センサの測定値が閾値を下回る前に水の温度が閾値を超えた場合、給水系内の水が想定外の高温になることによる給水設備800aへの影響を避けるために、制御部40がポンプ131を停止させてもよい。あるいは、循環運転を開始してから所定の時間が経過しても第2の放射線測定センサ702の測定値が閾値を下回らない場合、循環運転では放射性物質濃度を十分に下げられないと考えられるため、制御部40がポンプ131を停止させてもよい。また、上記のような給水中止と再開の繰り返しが所定の回数以上繰り返された場合も、放射性物質濃度上昇の根本的な原因が除去されていないと考えられるため、制御部40は、ポンプ131を強制的に停止させる等にて給水栓20に対して断水してもよい。
図8Bは、本発明の第8の実施形態の第1の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。図8Bを参照すると、給水設備800bは、導入管110と、受水槽120と、給水管130と、放射性物質吸着部140と、制御部40とを含む。また、給水設備800bは、上記の給水設備800aと同様に、第1の放射線測定センサ701、第2の放射線測定センサ702、リターン配管801、および切換弁802を含む。本変形例に係る給水設備800bは、リターン配管801に設けられる追加の放射性物質吸着部803を含む点で、上記の給水設備800aとは異なる。追加の放射性物質吸着部803は、例えば、放射性物質吸着部140と同様の構成を有しうるが、以下で説明するように異常時において限定的に使用されるものであるため、例えば耐久性については放射性物質吸着部140ほど高くなくてもよい。
本変形例に係る給水設備800bでも、制御部40による切換弁802の制御は、上記の給水設備800aと同様でありうる。ただし、本変形例では、リターン配管801に放
射性物質吸着部803が設けられているために、リターン配管801を経由する水に含まれる放射性物質が吸着される。従って、例えば、リターン配管801を経由して水を循環させることによって放射性物質を通常と同程度まで除去するためにかかる時間が、給水設備800aに比べて短くなりうる。また、例えば放射性物質吸着部140による放射性物質の吸着能力が喪失されている場合、給水設備800aでは循環運転を実施しても放射性物質を実質的に除去することができない。しかし、給水設備800bでは放射性物質吸着部803が設けられているため、循環運転によって放射性物質を通常と同程度まで除去することができる。
なお、上記のような本実施形態に係る給水設備800aは、第7の実施形態に係る給水設備700bにリターン配管801および切換弁802を設けたものとして説明されたが、変形例の給水設備700c〜700eに同様にリターン配管801および切換弁802が設けられてもよい。また、上記の第7の実施形態と同様に、元になる給水設備の構成は、上記の第1の実施形態に係る給水設備100には限られず、第2、第3および第4の実施形態に係る給水設備200,300,400に、放射線測定センサ、制御部、リターン配管および切換弁が設けられてもよい。
更には、上述した本実施形態の第1の変形例に係る給水設備800bは、第7の実施形態に係る給水設備700bにリターン配管801、切換弁802、および放射性物質吸着部803を設けたものとして説明されたが、変形例の給水設備700c〜700eに同様にリターン配管801、切換弁802、および放射性物質吸着部803が設けられてもよい。また、上記の第7の実施形態と同様に、元になる給水設備の構成は、上記の第1の実施形態に係る給水設備100には限られず、第2、第3および第4の実施形態に係る給水設備200,300,400に、放射線測定センサ、制御部、リターン配管および切換弁が設けられてもよい。
図8Cは、本発明の第8の実施形態の第2の変形例に係る給水設備を概略的に示す図である。図8Cを参照すると、給水設備800cは、導入管510と、放射性物質吸着部520と、給水管530と、制御部40とを含む。また、給水設備800cは、上記の給水設備800aと同様に、第1の放射線測定センサ701および第2の放射線測定センサ702を含む。本変形例に係る給水設備800cは、上記で図5を参照して説明された第5の実施形態に係る給水設備500に放射線測定センサおよび制御部を設けた、上記の第7の実施形態の変形例に似ている。そのような第7の実施形態の変形例との違いとして、本変形例では、リターン配管804および切換弁805が設けられる。リターン配管804は、給水管530から、水供給源である井戸30に連通する。切換弁805は、リターン配管804を給水管530から分岐させる。制御部40は、状態の検出結果に基づいて切換弁805を制御する。切換弁805は、通常時においては給水管530の上流側部分と下流側部分とを連通させ、リターン配管804への流路を遮断している。
例えば、井戸30内の水の放射性物質濃度が何らかの原因で上昇した場合、第1の放射線測定センサ701および第2の放射線測定センサ702の測定値が閾値を超えることがありうる。このような場合、切換弁805を切り換えて給水栓20への水の供給を一時的に中断するとともに、放射性物質吸着部520を一度通過した水を、リターン配管804を経由して井戸30に戻すことによって、井戸30内の水の放射性物質濃度を低下させ、正常値に近づけることができる。
また、例えば、放射性物質吸着部520が破損したりして放射性物質吸着部520による放射性物質の吸着能力が低下した場合、特に第2の放射線測定センサ702の測定値が閾値を超えることがありうる。このような場合も、放射性物質吸着部520の吸着能力が完全に喪失されているのでなければ、リターン配管804を経由して水を循環させること
によって井戸30内の水の放射性物質濃度を低下させることができる。井戸30内の水の放射性物質濃度が十分に低下していれば、放射性物質吸着部520の吸着能力が低下していても、通常と同程度まで放射性物質が除去された水を給水栓20に供給することができる。
なお、本変形例でも、上記の第1の変形例に係る給水設備800bと同様に、リターン配管804に追加の放射性物質吸着部803を設けることができる。追加の放射性物質吸着部803を設けることによって、リターン配管804を経由して水を循環させた場合に、井戸30内の水の放射性物質濃度をより早く低下させることができる。また、放射性物質吸着部520による放射性物質の吸着能力が喪失されている場合、追加の放射性物質吸着部803が設けられる場合に限って、循環運転によって井戸30内の水の放射性物質濃度を低下させることができる。
以上で説明したような第8の実施形態に係る給水設備800a〜800cでは、上記の第7の実施形態に係る給水設備の構成に加えて、リターン配管801,804が設けられる。水供給源が水道本管10である給水設備800a,800bにおいて、リターン配管801は導入管110で流入弁112よりも下流に接続される。また、給水設備800cにおいて、リターン配管804は水供給源である井戸30に接続される。さらに、給水設備800a〜800cでは、リターン配管801,803の入口に切換弁802,805が設けられる。制御部40は、状態の検出結果に基づいて切換弁802,805を制御する。
また、第1の状態を検出するための第2の放射線測定センサ702の線量を用いたが、更に第1の放射線測定センサ701の線量が任意の閾値を超えた場合も第1の状態とし、循環運転を行ってもよい。この場合、第1の放射線測定センサ701は放射性物質吸着部140に蓄積された放射線量を計測し、第2の放射線測定センサ702は給水管130における搬送液中の瞬時の放射線量を計測するため、第1の放射線測定センサ701における上記閾値よりも第2の放射線測定センサ701における上記閾値の方が大きな値としてもよい。更には、各閾値は任意の線量でもよいし、ある一定期間における変化量としてもよい。
上記のような構成によって、本実施形態では、放射性物質吸着部140,520を含む給水系内で水を循環させることによって、水に含まれる放射性物質の除去能力を向上させることができる。従って、例えば、水供給源(水道本管10または井戸30)から供給される水の放射性物質濃度が何らかの原因で上昇したり、放射性物質吸着部140,520の吸着能力が低下したりした場合も、水に含まれる放射性物質を例えば通常と同程度まで除去することができうる。従って、例えば、水供給源から供給される水の放射性物質濃度通常と同程度まで下がるもしくは、放射性物質吸着部140,520の放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材を交換することによって吸着能力が回復されたりするまで、間欠的にではあるが給水を継続することができる。結果として、本実施形態では、放射性物質の除去に関して発生しうる想定外の事態においても、最低限の断水の範囲で給水を継続させることが可能になる。
なお、本実施形態の変形例は、上記の第6の実施形態または第7の実施形態の変形例でもありうる。つまり、上記で本実施形態またはその変形例として説明された給水設備において、放射線測定センサ、制御部、リターン配管および切換弁に加えて、第6の実施形態で説明されたような放射性物質吸着部140へ加圧する加圧ポンプ601が設けられてもよい。あるいは、第7の実施形態の変形例に係る給水設備700aのような出力部、給水設備700dのような通信部、または給水設備700eのような第3の放射線測定センサが設けられてもよい。
(第9の実施形態)
図9は、本発明の第9の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。図9を参照すると、給水設備900は、導入管110と、受水槽120と、給水管130と、放射性物質吸着部140と、制御部40とを含む。これらの構成要素は、上記の第1の実施形態と同様であるため、重複した詳細な説明は省略する。さらに、給水設備900は、ポンプ131の下流側で給水管130に設けられる圧力センサ901制御部40を含む。制御部40は、表示部などの出力部(後述)を含む。また、制御部40は、出力部とともに、またはこれに代えて、出力部から出力される通知と同様の通知を遠隔監視装置または外部表示器などに送信する通信部を含んでもよい。なお、制御部40の具体的な構成例については後述する。
図示された例において、制御部40は、圧力センサ901によって測定された圧力の値を取得し、ポンプ131の回転数を算出する。より具体的には、実施例1にて述べたのと同様に、制御部40は、インバータ133を制御し、ポンプ131の回転数を変化させ、吐出圧力一定制御もしくは推定末端圧一定制御を行う。他の実施形態では、インバータ133が設けられず固定速でポンプを回し、減圧弁(不図示)にて吐出圧力一定としたり、制御部40が複数のポンプ131を追加解列させることによって、吐出圧力の調整が実現されてもよい。そして、制御部40は、算出されたポンプ131の回転数と、測定された圧力とに基づいて、放射性物質吸着部140のメンテナンス時期を判定する。なお、ポンプ131の回転数は、制御部40にて演算した値を用いずに、ポンプ131又はモータ132に回転数センサー(不図示)を設け、実測した値を用いてもよい。
ここで、放射性物質吸着部140のメンテナンスは、例えば、放射性物質吸着部140に含まれる放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の交換を含む。上記で第7の実施形態に関連して既に説明したように、放射性物質吸着部140には吸着された放射性物質が蓄積される。放射性物質吸着部140を、放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材を交換することなく使用し続けると、蓄積された放射性物質からの放射線量が高くなりすぎ、その後の放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の交換の作業に支障をきたす可能性がある。従って、放射性物質吸着部140を適切な時期にてメンテナンスの通知を出力し、放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の交換を促すことは有益である。
原発事故などの突発的な場合を除いた多くの場合において、水道本管10から供給される水において、放射性物質濃度はほぼ一定とみなしうる。従って、例えば放射性物質吸着部140によって吸着され、そこに蓄積されている放射性物質の量は、給水設備900における累積流量から推定可能でありうる。より具体的には、例えば放射性物質の蓄積量は、累積流量の関数とみなされうる。従って、本実施形態では、制御部40が、給水設備の使用量指標として累積流量を利用して、放射性物質吸着部140のメンテナンス時期の判定を実行する。
より具体的には、制御部40は、ポンプ131の回転数と、圧力センサ901によって測定された圧力とに基づいて、放射性物質吸着部140のメンテナンス時期を判定する。この例において、給水設備900の使用量指標を取得する手段は、圧力センサ901を含む。ポンプ131の回転数、および測定された圧力の値から、ポンプ131の揚水流量を算出することができる。給水設備900によって給水される水は、すべてポンプ131によって揚水されるため、算出された揚水流量を積算することによって、給水設備900の累積流量を算出することができる。制御部40は、例えば算出された累積流量を閾値と比較することによって、放射性物質吸着部140のメンテナンス時期が到来したか否かを判定することができる。
なお、給水設備900の累積流量は、必ずしもポンプ131の揚水流量に基づいて算出されなくてもよい。例えば、導入管または給水管に流量計を設け、この流量計によって測定された流量が積算されてもよい。この場合、給水設備900の使用量指標を取得する手段は、流量計を含む。
出力部は、判定結果に基づいて給水設備900の管理者またはオペレータに向けた通知を出力する。さらに、制御部40が、判定結果に基づいて流入弁112またはポンプ131を制御してもよい。例えば、出力部は、制御部40において放射性物質吸着部140のメンテナンス時期が到来したと判定された場合に、メンテナンス時期が到来したことを示す情報、より具体的にはメンテナンスを促す通知を出力する。また、例えば、制御部40は、出力部による通知の出力後も放射性物質吸着部140のメンテナンスが実施されなかった場合に、放射性物質吸着部140へのさらなる放射性物質の蓄積を防止するために、給水栓20への水の供給が停止されるように流入弁112またはポンプ131を制御する。より具体的には、制御部40は、流入弁112を閉じるかポンプ131を停止させるかして、水の供給を停止させる。
上記の例において、制御部40は、算出された累積流量を第1の閾値と比較し、累積流量が第1の閾値を超えた場合に放射性物質吸着部140のメンテナンス時期が到来したと判定する。この時点で、出力部は管理者オペレータに向けた通知を出力する。その後、次に説明するような使用量指標のリセットを経ることなく累積流量が増加して、第1の閾値よりも大きい第2の閾値を超えた場合、またはリセットが発生しないまま所定の時間が経過した場合、制御部40は、メンテナンスが実施されずにいると判定し、水の供給が停止されるように流入弁112またはポンプ131を制御する。
一方、上記の例において、放射性物質吸着部140のメンテナンスが実施された場合、制御部40が保持する累積流量、すなわち給水設備900の使用量指標はリセットされる。リセットは、例えば、制御部40に含まれる、またはこれに接続された、ボタン、レバー、キーボード、マウス、またはタッチパネルなどを含む入力装置を介した管理者またはオペレータの操作入力によって実行されてもよい。あるいは、リセットは、例えば放射性物質吸着部140の放射性物質吸着カートリッジまたは放射性物質吸着材の交換時に作動するように配置されたスイッチまたはセンサ(図示せず)を介して自動的に実行されてもよい。このようなリセットによって、制御部40は、次回の放射性物質吸着部140のメンテナンス時期についても適切に判定することができる。
本実施形態の変形例として、制御部40は、給水設備900の使用量指標として累積運転時間を利用してもよい。供給される水における放射性物質濃度がほぼ一定とみなしうるものであり、さらに給水設備900の運転中の時間あたり流量がほぼ一定とみなしうる場合、放射性物質吸着部140に吸着され、そこに蓄積されている放射性物質の量は、給水設備の累積運転時間から推定可能でありうる。より具体的には、例えば放射性物質の蓄積量は、累積運転時間の関数とみなされうる。従って、本変形例では、制御部40が、給水設備の使用量指標として累積運転時間を利用して、放射性物質吸着部140のメンテナンス時期の判定を実行する。
より具体的には、例えば、制御部40は、ポンプ131が起動されている間、給水設備900の累積運転時間をインクリメントさせる。この例では、制御部40が、給水設備900の運転中に継続的に起動されているとみなされている。また、この例において、給水設備900の使用量指標を取得する手段は、制御部40自身を含む。制御部40は、例えば累積運転時間を閾値と比較することによって、放射性物質吸着部140のメンテナンス時期が到来したか否かを制御部40は、放射性物質吸着部140のメンテナンスが実施さ
れると、保持している累積運転時間をリセットする。なお、判定後の処理は、上記の累積流量を利用する例と同様である。
上記では、給水設備900の運転中の時間あたり流量がほぼ一定とみなしうる場合の例を述べたが、供給される水の放射線量が極微量であり且つ放射性物質吸着部140の吸着能力が非常高く、放射性物質吸着部140のメンテナンス時期までに数年から数十年、数百年と予測される場合は、疑似的にポンプ131の流量を最大流量として、累積運転時間と比較する閾値を決めても良い。また、更には、ある程度の余裕を持った閾値としてもよい。この場合、放射性物質吸着部140のメンテナンス時期が到来する時期が早くなり、より安全に交換できるとともに、閾値に達するまでの間に突発的に供給液の放射線量が上昇した瞬間があっても、メンテナンス時に放射性物質吸着部140は作業に支障をきたさない程度の放射線量となる可能性が高い。
さらなる変形例として、制御部40は、給水設備900の使用量指標として累積運転時間を利用するにあたり、制御部40以外の装置から受信される信号に従って累積運転時間をインクリメントさせてもよい。信号を送信する装置は、制御部40と同様に、給水設備900の運転中には継続的に起動されているとみなしうる装置である。この場合、給水設備900の使用量指標を取得する手段は、信号を送信する装置を含む。
あるいは、制御部40は、給水設備900に含まれる装置への給電が継続されている間、累積運転時間をインクリメントさせてもよい。装置への給電は、例えば電気配線に設けられる検流計を用いて検出することができる。給電が検出される装置は、上記の制御部40と同様に、給水設備900の運転中には継続的に起動されているとみなしうる装置、例えば水位計122などである。ただし、この装置は、制御部40とは異なり、信号を送信する機能を有さなくてもよい。この場合、給水設備900の使用量指標を取得する手段は、検流計を含む。
制御部40は、ポンプ131の累積運転時間の代わりに通電時間を用いてもよい。ポンプ131は制御部40の指令により発停するため、制御部40が通電していない限り給水を行うことは不可能である。制御部40は、自身の電源が投入されている間、常に通電時間をカウントし、定期的に不揮発性メモリ(不図示)に格納する。通電時間が上記閾値以上となった時をメンテンス時期とする。通電時間をポンプ131の累積運転時間の代わりに用いることにより、より安全にメンテナンス作業が可能である。
なお、上記の変形例のように、給水設備900の使用量指標として累積運転時間を利用する場合、累積流量は使用量指標として利用されなくてもよい。この場合、圧力センサ901は設けられないか、使用量指標を取得するためには利用されない。あるいは、給水設備900の使用量指標として、累積流量および累積運転時間の両方が利用されてもよい。この場合、例えばそれぞれの使用量指標について閾値判定を実施し、判定結果の論理積または論理和を用いて放射性物質吸着部140のメンテナンス時期に関する判定が実行されてもよい。
本実施形態では、給水設備900の使用量指標を利用することによって、放射性物質吸着部140のメンテナンス時期に関する判定を適切に実行することができる。給水設備900の使用量指標は、必ずしも放射性物質吸着部140のメンテナンスが必要とされる原因、例えば放射性物質の蓄積量を直接的に示すものではない。しかしながら、上記のように給水設備900の使用量指標からそのような量が推定可能である場合には、例えば放射線測定センサを利用する場合よりも簡便に、放射性物質吸着部140のメンテナンス時期を判定できる可能性がある。
なお、本実施形態に係る給水設備900は、第1の実施形態に係る給水設備100に圧力センサ901および制御部40を設けたものとして説明されたが、これらの構成要素の効果は、受水槽が設けられる給水設備の他の構成、例えば第2および第3の実施形態でも同様に得られる。つまり、本実施形態の変形例として、図2に示された給水設備200において、例えば給水管130に圧力センサを設け、さらに圧力センサの検出結果を利用して判定を実施する制御部を設けてもよい。同様に、例えば図3Aおよび図3Bに示された給水設備300a,300bにおいても、例えば給水管130に圧力センサを設け、さらに圧力センサの検出結果を利用して判定を実施する制御部を設けてもよい。
さらに、本実施形態の変形例は、受水槽が設けられない直結給水方式の給水設備をも含みうる。つまり、直結給水方式の給水設備に放射性物質吸着部が設けられる場合にも、本実施形態における放射線測定センサおよび制御部40と同様の構成を採用することが可能でありうる。より具体的には、例えば、上記で図4Aおよび図4Bを参照して説明された第4の実施形態に係る給水設備400a,400bにおいて、例えば給水管430a,430bに圧力センサを設け、さらに圧力センサの検出結果を利用して判定を実施する制御部を設けてもよい。同様に、上記で図5を参照して説明された第5の実施形態に係る給水設備500において、例えば給水管530に圧力センサを設け、さらに圧力センサの検出結果を利用して判定を実施する制御部を設けてもよい。
また、本実施形態の変形例は、上記の第6の実施形態、第7の実施形態または第8の実施形態の変形例でもありうる。つまり、上記で本実施形態またはその変形例として説明された給水設備において、放射線測定センサおよび制御部に加えて、第6の実施形態で説明されたような加圧ポンプが設けられてもよい。
ここで、本実施形態の変形例として第7の実施形態の変形例を説明する。本実施形態の変形例として、変形例700b〜700eと同様にポンプ131の2次側に第2の放射線測定センサ702を設けてもよい。本実施形態の給水設備900におけるメンテナンス時期の算出は推測値であるため、予期せぬ突発的な線量の急増は推測不可能である。よって、放射線測定センサ702を追加で設けることにより、給水栓20に給水する水の線量の実測値を計測し、線量が上昇した時には給水を停止することができる。ここで、実施例7にて述べた第1の放射線測定センサ701は併用しなくてもよい。第1の放射線測定センサ701を設ける代わりに、本実施形態の給水設備900にて述べたメンテナンス時期の判定を行うことで、コスト的に優位となる。更に、第3の放射線測定センサ708を設けても良い。このように、第7の実施形態で説明した放射線測定センサ701,702、708を組み合わせて設け、検出結果との組み合わせに基づいて給水の制御が行われ、第7の実施形態と同様の通知手段にてメンテナンス時期の通知の出力が実施されてもよい。更には、第8の実施形態で説明されたようなリターン配管801および切換弁802、および/または放射性物質吸着部803を設けられ、状態の検出結果に基づいて循環流路が形成されてもよい。
(第10の実施形態)
図10は、本発明の第10の実施形態に係る給水設備を概略的に示す図である。図10を参照すると、給水設備1000は、水供給源である水道本管10にそれぞれ接続された第1の導入管1110および第2の導入管1210とを含む。また、給水設備1000は、導入管1110から供給された水を貯留する第1の受水槽1120と、第2の導入管1210から供給された水を貯留する第2の受水槽1220とを含む。給水設備1000は、第1の受水槽1120および第2の受水槽1220を互いに連結する連絡管1021を含む。連絡管1021には、仕切弁1022が設けられる。給水設備1000は、第1の受水槽1120または第2の受水槽1220に貯留された水を水需要先である給水栓20に供給する給水管1030を含む。
さらに、給水設備1000は、第1の受水槽1120の内部で導入管1110に接続される第1の放射性物質吸着部1140と、第2の受水槽1220の内部で第2の導入管1210に接続される第2の放射性物質吸着部1240とを含む。本実施形態において、第1および第2の放射性物質吸着部1140,1240は、それぞれ第1および第2の受水槽1120,1220に貯留された水に浸漬されないように配置される。
第1および第2の導入管1110,1210には、それぞれ逆止弁1111,1211と、流入弁1112,1212とが設けられる。逆止弁1111,1211は、導入管1110または第2の導入管1210に入った水が水道本管10へと逆流するのを防止する。流入弁1112,1212は、制御部40によって開閉される。より具体的には、流入弁1112,1212は、それぞれ第1および第2の受水槽1120,1220内の水位に応じて開閉される。本実施形態において、制御部40は、流入弁1112,1212に加えて、仕切弁1022を制御する。なお、制御部40の具体的な構成例については後述する。
第1および第2の受水槽1120,1220には、それぞれ、上記の第1の実施形態における水位計122と同様の水位計1122,1222が設けられる。水位計1122は第1の受水槽1120の水位を、水位計1222は第2の受水槽1220の水位を、それぞれ検出することができる。仕切弁1022が開かれている場合には、第1および第2の受水槽1120,1220が互いに連通するため、水位計1122,1222のいずれかの検出結果が、第1および第2の受水槽1120,1220に共通の水位として扱われてもよい。また、水位計1122,1222によって検出される水位は、後述するように給水管1030に設けられるポンプ131の制御に利用されてもよい。なお、図面が煩雑になるのを避けるため、水位計1122,1222から制御部40への通信経路については図示を省略している。また、第1および第2の受水槽1120,1220には、必要に応じて、第1の実施形態におけるオーバーフロー管121と同様のオーバーフロー管(図示せず)が設けられてもよい。
給水管1030には、ポンプ131が設けられる。ポンプ131は、モータ132およびインバータ133によって駆動され、給水栓20に給水を行う。図示された例では、ポンプ131も、流入弁1112,1212と同じく制御部40によって制御される。制御部40によるポンプ131の制御は、例えば上記の第1の実施形態における制御部40によるポンプ131の制御と同様でありうる。
第1および第2の放射性物質吸着部1140,1240は、上記の第1の実施形態における放射性物質吸着部140と同様に、例えば放射性物質吸着カートリッジを含む。放射性物質吸着カートリッジには、ハウジングの内部に、粒状の放射性物質吸着材が充填されて構成されるものとした。なお、ハウジングの内部には、導入管110,1210から供給された水が効率よく放射性物質吸着材を通過するように水の流路が形成されている。こうした粒状の放射性物質吸着材が充填される構成は、体積当たりの吸着材重量を大きくすることができ、大量の水を処理することに適する。ただし、粒状の放射性物質吸着材に代えて、または加えて、放射性物質吸着材を担持した布または活性炭を用いてもよい。この場合には、放射性物質吸着材の反応速度に優れるため、低濃度の放射性物質を除去することに適する。そして、活性炭を用いた場合には、水から放射性物質と同時に有利塩素、黴臭、およびトリハロメタンなども除去することができる。
放射性物質吸着材としては、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、キレート樹脂、キレート繊維、アルギン酸カルシウム、キトサン、酸化鉄、活性炭、銀ゼオライト、リン酸銀、ハイドロタルサイト、ジオポリマー、酸化チタン、シリカゲル、非晶質アルミニウムケイ
酸塩、ゼオライト、チタン酸塩、シリコチタネート、酸化マンガン、フェロシアン化物、ヒドロキシアパタイト、水酸化セリウム、および水酸化ジルコニウムのうち少なくとも一種が含まれることが好ましい。
例えば、放射性物質吸着材として、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、ゼオライト、フェロシアン化物、チタン酸塩、非晶質アルミニウムケイ酸塩、シリコチタネート等を用いることにより、放射性セシウムを効果的に吸着することができる。また、例えば、放射性物質吸着材として、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、キレート樹脂、キレート繊維、アルギン酸カルシウム、キトサン、ゼオライト、チタン酸塩、非晶質アルミニウムケイ酸塩、シリコチタネート、ヒドロキシアパタイト、ジオポリマー、等を用いることにより、放射性ストロンチウムを効果的に吸着することができる。さらに、放射性物質吸着材として、酸化鉄、活性炭、銀ゼオライト、リン酸銀、ハイドロタルサイト、酸化チタン、シリカゲル、酸化マンガン、水酸化セリウム等を用いることにより、放射性ヨウ素を吸着することができる。
なお、放射性物質吸着材は、1種類の吸着材を用いてもよいし、複数種類の吸着材を用いてもよい。例えば、異なる放射性物質を吸着する吸着材を混合して用いてもよいし、単独の放射性物質を吸着する複数種類の吸着材を混合して用いてもよい。
さらに、例えば、チタン酸塩、非晶質アルミニウムケイ酸塩、シリコチタネート等を用いた場合には、単独の吸着材で放射性セシウムと放射性ストロンチウムを同時に効果的に除去することができる。
セシウム吸着材であるイオン交換樹脂およびゼオライトは、塩分濃度が高い条件において吸着性能が低下することが知られている。同様に、ヨウ素吸着材も、ヨウ素と塩素の化学的性質が類似しているために、塩分濃度が高い条件において吸着性能が低下することが知られている。また、ストロンチウム吸着材の吸着性能も、カルシウムまたはマグネシウムの濃度に影響され、それらの高濃度条件において吸着性能が低下する。
したがって、塩分、カルシウム、またはマグネシウムの濃度が高い汚染水を処理対象とする場合には、吸着性能の低下が小さい吸着材を用いることが好ましい。こうした吸着材としては、放射性セシウム吸着材として、例えば、フェロシアン化物、およびシリコチタネートが挙げられる。また、放射性ストロンチウム吸着材として、例えば、チタン酸塩、およびシリコチタネートが挙げられる。さらに、放射性ヨウ素吸着材として、例えば、銀ゼオライト、リン酸銀、酸化チタン、酸化マンガン、水酸化セリウムが挙げられる。
放射性物質吸着材のうち、いくつかの吸着材は、一般水処理で除去対象となるPb、Cd、Hg、Zn、Cu、Ni、およびCrなどの重金属を除去できる。また、オキソ酸形態であることが多い、Sb、As、Se、B、P、Si、白金属などを除去できる。
なお、飲料水を供給するような給水設備1000では、放射性物質吸着材は、アルミニウムおよびアルミニウム化合物を含まない材料を用いることが好ましい。こうすれば、アルツハイマー症の一因ではないかと疑われているアルミニウムが水に含まれるのを防ぐことができる。
図示された例では、第1および第2の放射性物質吸着部1140,1240が、それぞれ第1および第2の受水槽1120,1220に貯留された水に浸漬されないように配置される。第1および第2の放射性物質吸着部1140,1240には、それぞれ放射線遮蔽構造1141,1241が設けられる。
本実施形態において制御部40によって実行される、流入弁1112,1212および仕切弁1022の制御の例について、以下で説明する。まず、通常の給水時、すなわち第1および第2の受水槽1120,1220および第1および第2の放射性物質吸着部1140,1240がいずれも使用可能状態である場合、制御部40は、仕切弁1022を開く。これによって、第1および第2の受水槽1120,1220が互いに連通され、2つの受水槽を一体的に扱うことができるようになる。そこで、制御部40は、第1の受水槽1120に設けられた水位計1122の検出結果に基づいて流入弁1112制御、並びに渇水状態によるポンプ131運転停止を判断する。あるいは、制御部40は、第2の受水槽1220に設けられた水位計1222の検出結果(第1の受水槽1120に設けられた水位計1122の検出結果と同じになる)に基づいて、第2の導入管1210に設けられた流入弁1212の制御、並びに渇水状態によるポンプ131運転停止を判断してもよい。
ここで、地域によって水道本管10の圧力は差がある。しかしながら、給水設備1000は固定した場所に設置されるため、ある程度一定かもしくは24時間サイクルで定期的に変動するのが一般的である。そのため、流入弁1112、1212の開の期間を計測することによって、第1および第2の放射性物質吸着部1140,1240に流れた水量を推測することが可能である。よって、放射性物質吸着部1140および放射性物質吸着部1240のメンテナンス時期を推定することができる。
また、通常時(第1の受水槽1120と第2の受水槽1220を共用が可能な時)は、仕切弁1022を開としたうえで、制御部40は第1の受水槽の水位計の信号1122を有効とし第1の流入弁1111のみを制御して、供給管1110のみを使用して給水を行う。これは、第1の放射性物質吸着部1140にのみ通水されることとなり、第1の放射性物質吸着部1140のメンテナンス時期と、第2の放射性物質吸着部1240のメンテナンス時期に差がでることを意味する。これにより、第1の放射性物質吸着部1140のメンテナンス中は、第2の放射性物質吸着部1240にて給水を継続することが出来き、給水栓20における断水を回避できる。
第1の放射性物質吸着部1140にて、上記メンテナンスが必要な時期と判断すると、制御部40は、導入管1110に設けられた流入弁1112を閉じ、仕切弁1022を強制的に閉じる。更には、第2の受水槽を選択して第2の導入管1210に設けられた流入弁1212の制御を行いうことにより給水栓20への給水を継続する。これによって、第1の放射性物質吸着部1140を水が通過しなくなり、メンテナンスが可能になるのに加えて、第2の導入管1210、および第2の放射性物質吸着部1240にて、受水槽1220の水位を確保でき、給水栓20への給水が継続される。第2の放射性物質吸着部1240にて、上記メンテナンスが必要な時期と判断された場合も装用に、制御部40は、導入管1210に設けられた流入弁1212を閉じ、仕切弁1022を強制的に閉じ、更には、第1の受水槽にて給水を継続する。
放射線は目に見えないが人体に多大な影響を与えるため、放射性物質吸着部1140、1240のメンテナンスは確実に実施する必要があり、吸着性能が衰える前に放射性物質吸着部1140、1240の使用を中止することは、重要である。また、給水はライフラインであるため、断水は極力避けるべきである。
なお、仕切弁は受水槽1120、1220の清掃時にも使用される。清掃員は給水を継続する方の第1の受水槽1120または第2の受水槽1220どちらか一方を選択してから清掃を行う。よって、制御部40からの開閉制御だけではなく清掃員が手動にて開閉できるしくみとしてもよい。また、制御部40は、受水槽1120、1220の内どちらの受水槽が選択されているかを、清掃員が認識可能な表示部とを備える。
なお、本実施形態に係る給水設備1000は、第1の実施形態に係る給水設備100において、導入管、受水槽、および放射性物質吸着部をそれぞれ二重化したものとして説明されたが、二重化の効果は、受水槽が設けられる給水設備の他の構成、例えば第2および第3の実施形態において本実施形態と同様に受水槽を二重化し、制御した場合にも同様に得られる。つまり、本実施形態の変形例として、第2の実施形態に係る給水設備200において、導入管、受水槽、および放射性物質吸着部がそれぞれ二重化されてもよい。
同様に、図3Aおよび図3Bに示された給水設備300a,300bにおいて、導入管、受水槽、および放射性物質吸着部がそれぞれ二重化されてもよい。この場合、メンテナンス時に受水槽に貯留された水を排水する必要はないが、流入弁は閉じられる。従って、一方の流入弁が閉じられた状態でも他方の流入弁を用いて給水を継続することができる本実施形態の構成は、有利でありうる。
本実施形態の変形例は、上記の第6の実施形態、第7の実施形態、第8の実施形態または第9の実施形態の変形例でもありうる。例えば、上記で本実施形態またはその変形例として説明された給水設備において、第6の実施形態で説明されたような加圧ポンプが設けられてもよい。例えば図10に示された例であれば、第1および第2の放射性物質吸着部1140,1240の上流にそれぞれ加圧ポンプが設けられる。
また、例えば、上記で本実施形態またはその変形例として説明された給水設備において、第7の実施形態で説明されたような放射線測定センサおよび制御部が設けられ、状態の検出結果に基づいて給水の制御または通知の出力が実施されてもよい。例えば図10に示された例であれば、放射線測定センサが、第1および第2の放射性物質吸着部1140,1240と、第3の給水管1030とに設けられる。
また、例えば、上記で本実施形態またはその変形例として説明された給水設備において、第8の実施形態で説明されたようなリターン配管および切換弁が設けられ、状態の検出結果に基づいて循環流路が形成されてもよい。例えば図10に示された例であれば、リターン配管は、第3の給水管1030から、導入管1110および第2の導入管1210に連通する。この場合、リターン配管に分岐部分が生じるため、この分岐部分にも切換弁が設けられ、利用可能な(例えば、メンテナンス中ではない)放射性物質吸着部に通じる給水管の側にリターン配管が連通するように、制御部40がこの切換弁を制御してもよい。
また、例えば、上記で本実施形態またはその変形例として説明された給水設備において、第9の実施形態で説明されたような取得手段および制御部が設けられ、算出結果に基づいて第1および第2の放射性物質吸着部1140,1240のメンテナンス時期に関する判定が実行されてもよい。例えば図10に示された例であれば、第3の給水管1030のポンプ131の下流に圧力センサが設けられ、圧力センサが検出した圧力と制御部40が設定したポンプ131の回転数とに基づいて算出される累積流量に基づいて、第1および第2の放射性物質吸着部1140,1240のメンテナンス時期が判定されてもよい。上記の例のように、同時に使用されるのは第1および第2の放射性物質吸着部1140,1240のうちのいずれかでありうるため、制御部40は、例えば流入弁1112,1212の開閉状態に基づいて、導入管1110および給水管1210のそれぞれについて個別に累積流量を算出してもよい。
(制御部の構成例1)
続いて、図11を参照して、上述した各実施形態における制御部40の第1の構成例である制御部40−1について説明する。
図11に示すように、制御部40−1は、記憶部47と、演算部48と、I/O部50と、設定部46と、表示部49とを備えている。設定部46および表示部49は、給水設備の運転パネル51に備えられている。
設定部46は、外部操作により、給水を行うのに必要な各種設定値を設定するのに使用される。設定部46において設定された各種設定値は、記憶部47に記憶される。一例として、ユーザーは、設定部46を介して、停止圧力、始動圧力、およびその他制御に必要な情報を入力できるようになっている。
表示部49は、ユーザインターフェースとして機能し、記憶部47に格納されている設定値等の各種データや、現在のポンプの運転状況(運転状態)、例えばポンプの運転または停止、運転周波数、電流、吸込側圧力、吐出側圧力、部品の交換の必要性、および受水槽警報等を表示する。
記憶部47としては、RAM、ROM等のメモリが使用される。記憶部47には、各種データ、例えば演算部48における演算結果のデータ(運転時間、積算値等)、圧力値(吸込側圧力、吐出側圧力)、設定部46を通じて入力されたデータ、およびI/O部50を通じて入力される、またはI/O部50を通じて出力されるデータ等が格納される。
I/O部50としては、ポート等が使用される。I/O部50は、圧力センサの出力値等の信号を受け入れて演算部48に送る。また、上記の各実施形態では、モータの回転数を検出する図示しない回転数センサがインバータに備えられている。I/O部50は、インバータを介して回転数センサの検出値(モータの回転数)を受け入れて演算部48に送る。ただし、回転数センサは、インバータに設けられるものに限定されない。また、回転数センサレスにて回転数制御を行うインバータを使用する場合には、回転数センサは存在せず仮想的なものとする。I/O部50は、通信における信号の入出力も行う。
演算部48としては、CPUが使用される。演算部48は、記憶部47に格納されているプログラムおよび各種データ、並びにI/O部50から入力される信号に基づいて、ポンプを運転するための各種データの設定、計時、および演算等を行う。演算部48からの出力は、I/O部50に入力される。
また、I/O部50とインバータは、RS422,232C,485等の通信手段により互いに接続される。I/O部50からインバータへは、各種設定値や周波数指令値、発停信号(運転・停止信号)などの制御信号が送られ、インバータからI/O部50へは、実際の周波数値や電流値等の運転状況(運転状態)が逐次送られる。
なお、I/O部50とインバータとの間で送受信される制御信号としては、アナログ信号および/またはデジタル信号を用いることができる。例えば、回転周波数等にはアナログ信号を用い、運転停止指令等にはデジタル信号を用いることができる。
制御部40−1には、水位計、インバータ、圧力センサが信号線を介して接続されている。
(制御部の構成例2)
続いて、図12を参照して、上述した各実施形態における制御部40の第2の構成例である制御部40−2について説明する。
図12に示す例では、制御部40−1の表示部49に加えて、外部表示器81がさらに設けられている。この外部表示器81は、給水装置の一部として構成されてもよいし、外
部装置として構成されてもよい。外部表示器81は、上述した運転パネル51と同等か、もしくはより詳細な情報を表示したり、複雑な操作を行ったりすることが出来る表示器としてもよい。
また、制御部40−2は、通信部80をさらに備え、有線通信または無線通信によって外部表示器81に接続されている。さらに、制御部40−2では、運転パネル51に、リセットボタン52、および、クリアボタン53が備えられている。クリアボタン53の押下により、表示されている「放射線測定センサの測定値が閾値を超えた」、または「カートリッジのメンテナンスが必要である」等の表示のみが消去される。また、リセットボタン52の押下により、制御部40−2は、例えば電力量の積算値を0にクリアし、カートリッジの交換時期の表示ならびにポンプ停止状態を解除してもよい。給水設備はライフラインなので、放射性物質吸着部が正常に機能してなくても給水を継続したい場合もある。例えば、メンテナンス員が駆けつけるまでの間、ユーザーによるリセットボタン52の押下により、カートリッジの交換がなされていない状況下でも給水を継続できるようにしておく。
外部表示器81として、例えばスマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレットの汎用端末機器、または遠隔監視器などの専用端末機器が採用される。表示部49としては、7セグメントLED及び表示灯などの簡易な表示器を採用することができる。また、外部表示器81として、タッチ入力方式または押圧ボタン方式用いた液晶画面での高機能表示器を採用することができる。この場合、表示部49には簡易な情報を表示でき、外部表示器81には大きな情報量の情報を表示できる。こうした構成により、外部表示器81に、例えば「放射線測定センサの測定値が閾値を超えた」、または「(放射性物質吸着部の)カートリッジのメンテナンスが必要である」等の給水設備の状態を表示することによって、給水設備に不慣れなユーザーでも給水設備の状態を誤解することなく認識することが出来る。また、給水装置は、機械室またはポンプ室などの電気的なノイズの多い環境に設置されることがある。こうした場合に備えて、表示部49として、液晶表示やタッチパネルよりも電気的ノイズに強い7セグメントLEDや表示灯、機械的な押圧ボタンなどにて構成された表示器が使用されてもよい。これにより、外部環境から発生される電気的なノイズによって外部表示器81の液晶表示やタッチパネル操作に異常が発生した場合でも、表示部49により給水装置の運転に必要な最低限度の表示および操作を行うことができる。したがって、給水装置を電気的ノイズの多い環境下にも設置することができる。
さらに、外部表示器81として、スマートフォン、携帯電話、パソコン、又は、タブレットなどの汎用端末機器を採用した場合には、これらの機器に、外部表示器81として作用するための専用のアプリケーションソフトウエアをインストールさせてもよい。この場合には、専用のアプリケーションソフトウエアを複数用意して使い分けることにより、ユーザーのレベル又は目的に沿った表示操作を提供することが可能である。
ここで、制御部40−2に運転パネル51(表示部49)は設けられていなく、代わりに外部表示器(高機能表示器)81のみが設けられてもよい。この場合、上述した運転パネルの機能は外部表示器81にて全て実施可能とする。給水装置には表示器自体を設ける必要がなくなるので、給水装置全体のコストを更に下げることが可能である。また、運転パネル51の設定部46にリセットボタン52及びクリアボタン53が備えられず、代わりに、外部表示器81にリセットボタン(不図示)又はクリアボタン(不図示)が備えられてもよい。外部表示器81上のクリアボタンを押すと、外部表示器81上に表示されている表示が消去される。
また、図12において、通信部80は、公衆回線やネットワーク、専用回線等を介して、保守管理会社または管理人室に設けられた遠隔監視装置(例えば、パソコン、スマート
フォン、又は、専用モニター)と通信してもよい。この場合、例えば給水装置におけるポンプの制御に関する情報等が、通信部80から遠隔監視装置に送信される。遠隔監視装置は、給水装置のポンプ運転情報(給水圧力、ポンプ回転数など)、メンテナンス情報(運転時間、始動回数、消耗部品の使用期間、故障履歴など)、機器情報(製品番号、部品交換履歴、部品リストなど)など、他の情報も表示してもよい。
図13は、図12に示した制御部および外部表示器の変形例を示す図である。図13に示される制御部40−3は、通信部80に代えて、制御部側アンテナ部67を備えている点、および制御部側アンテナ部67に接続された集積回路68を備えている点で、上記制御部40−2と異なっている。集積回路68は、不揮発性値記憶領域、および、揮発性記憶領域を有する記憶部47に電気的に接続されている。なお、図13に示す制御部40−3は表示部49を備えていないが、表示部49を備えてもよい。また、図13に示された外部表示器70は、給水装置の一部として構成されてもよいし、外部装置として構成されてもよい。
外部表示器70は、電波を送受信する表示器側アンテナ部71と、表示部72と、バッテリー73と、データリーダー74と、を備えている。この外部表示器70では、表示器側アンテナ部71で受信したデータがデータリーダー74で読み取られる。そして、データリーダー74で読み取られたデータ(例えば、「吐出側圧力、ポンプの回転数、電力量、電力量の積算値、カートリッジの交換時期であること、さらにはポンプを停止したこと」を示す情報)が表示部72で表示される。バッテリー73は、表示器側アンテナ部71、データリーダー74、および表示部72に電力を供給する。
外部表示器70として、例えばスマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレット等の汎用端末機器を用いてもよく、遠隔監視器などの専用の端末機器を用いてもよい。特に、スマートフォンなどの汎用端末機器を外部表示器として使用すれば、専用の表示器を制作するコストが削減できるので、給水装置のコストを下げることができる。また、複数のユーザーが個々の汎用端末機器に給水装置の状態を表示させることができるので、ユーザーのレベル又は目的に沿った表示操作を提供することが可能である。たとえば、マンションまたはビルの管理人のような給水装置に関する専門知識のないユーザーに対して、ポンプの制御に関する情報などを分かり易く知らせることができる給水装置を安価に提供することができる。
外部表示器70は、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術によって制御部40−3と接続される。より具体的には、外部表示器70を制御部40−3に近づけた状態で、表示器側アンテナ部71が電波を発生すると、その電波を制御部側アンテナ部67が受け取り、制御部側アンテナ部67は電波を電力に変換する。この電力は集積回路68および記憶部47に供給されてこれら集積回路68および記憶部47を駆動する。集積回路68は、記憶部47に記憶されている上記データを読み取り、制御部側アンテナ部67にデータを送る。制御部側アンテナ部67は、データとともに電波を表示器側アンテナ部71に送信する。データリーダー74は、表示器側アンテナ部71が受信したデータを読み取り、そのデータを表示部72に表示させる。
外部表示器70は、表示を消去するためのクリアボタン76と、データをリセットするためのリセットボタン(不図示)を備えていてもよい。ユーザーがクリアボタン76を押すと、表示部72に表示されている情報表示(例えば「吐出側圧力、ポンプの回転数、電力量、電力量の積算値、カートリッジの交換時期であること、さらにはポンプを停止したこと」の表示)が消去される。また、リセットボタンを押すと、リセット信号が制御部40−3に送信され、リセット信号を受信した制御部40−3は、例えば電力量の積算値を0にクリアし、交換時期の表示やポンプ停止を解除する。図示された例におけるクリアボ
タン76は、表示部72の画面上に現れる仮想的なボタンであるが、クリアボタン76は表示部72の外に設けられた機械的なボタンであってもよい。制御部40−3は、クリアボタンを備えていないが、制御部40−3にクリアボタン、リセットボタンを設けてもよい。
なお、表示のクリアおよびデータのリセットの操作は、操作制限を設けてもよい。具体的には、ユーザーが主に使用する外部表示器81にクリアボタン76を設け、メンテナンス員が主に使用する制御部40−3にリセットボタンを設ける。このように制御部40−3にのみリセットボタンを設けることで、外部表示器81を操作するユーザーによるリセットボタンの誤操作を防ぐことができる。パスワード等の複雑な使用制限の解除方法ではなく、外部表示器81を設けることで、ユーザーの誤操作によるリセットを防止することができる。
第2変形例では、制御部40の記憶部47に記憶されているデータ(例えば「吐出側圧力、ポンプの回転数、電力量、電力量の積算値、カートリッジの交換時期であること、さらにはポンプを停止したこと」などを含む表示データ)は、無線通信により制御部40−3から外部表示器70に送られる。給水装置の電源が入っていない場合でも、制御部側アンテナ部67は外部表示器81から発せられる電波から電力を発生し、集積回路68および記憶部47を駆動することができる。したがって、給水装置のメンテンナンス中などにおいて制御部40−3に電力が供給されていないときでも、外部表示器70は、制御部40−3の記憶部47からデータを取得して表示することができる。
NFCは、数cmの近距離にて相互通信する技術である。したがって、外部表示器70に各種情報を表示するときには、ユーザー及びメンテナンス員は、相互通信可能な距離まで外部表示器70を制御部40−3に近づけることになる。このことは、外部表示器70を操作するときは、ユーザーおよびメンテナンス員は給水装置の近くにいることを意味する。このため、例えば、放射性物質吸着部のカートリッジ交換作業中に電力量の積算値をリセットしてしまいポンプが起動してしまう、といった誤操作に起因した給水設備の予期しない動作を防止することに繋がる。また、複数の給水装置が設置された現場では、表示したい給水装置の近距離で相互通信が可能となる為、意図しない別の給水装置の状態を表示してしまうという誤表示を防止することが出来る。
なお、上記の例では、制御部40−3と外部表示器70との無線通信方式の例としてNFCを挙げたが、他にも、Bluetooth(登録商標)およびWi−Fiなど、任意の方式の無線通信を利用可能である。ただし、NFCは、制御部40−3と外部表示器70とを近づけるだけで通信を完了させることができる点で有利である。また、制御部40−3と外部表示器70とが有線通信してもよい。例えば、制御部40−3には、制御部側アンテナ部67の代わりに、例えばUSB(Universal Serial Bus)のような外部接続端子が設けられ、ここに外部表示器70が接続されることによって通信が可能になってもよい。
(その他の構成)
図14は、例えば上記で説明したような本発明の各実施形態において設置されうるストレーナについて説明するための図である。例えば、図示されているように、第1の実施形態において、導入管110では、放射性物質吸着部140の上流にストレーナ1401を設けることができる。ストレーナ1401は、放射性物質吸着部140に到達する前の水から浮遊物を除去し、放射性物質吸着部140に含まれるカードリッジまたはフィルタの目詰まりを防止する。この観点から、ストレーナ1401は、放射性物質吸着部140のカートリッジまたはフィルタよりも目の細かいものであることが望ましい。また、目が細かいことによって放射性物質吸着部140よりも先にストレーナ1401に目詰まりが発
生することが予想されるため、ストレーナ1401は、放射性物質吸着部140とは独立して交換可能であるように導入管110に取り付けられることが望ましい。なお、図では第1の実施形態における放射性物質吸着部140が例示されているが、同様に第2〜第10の実施形態でも、放射性物質吸着部140の上流にストレーナ1401を設けることが可能である。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はかかる例に限定されない。本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10 水道本管
20 給水栓
30 井戸
40 制御部
100,200,300a,300b 給水設備
110,310a,310b 導入管
111 逆止弁
112 流入弁
120 受水槽
122 水位計
130 給水管
131 ポンプ
140,240,340 放射性物質吸着部
400a,400b 給水設備
410a,410b 導入管
411 逆止弁
412 流入弁
420 放射性物質吸着部
430a,430b 給水管
431 ポンプ
500 給水設備
510 導入管
520 放射性物質吸着部
530 給水管
600,700a〜700e,800a〜800c,900,1000 給水設備
601 加圧ポンプ
701,702,708 放射線測定センサ
707 遠隔監視装置
801,804 リターン配管
802,805 切換弁
803 放射性物質吸着部
901 圧力センサ
1021 連絡管
1022 仕切弁
1401 ストレーナ
1110 第一の導入管
1210 第二の導入管
1030 給水管

Claims (17)

  1. 水供給源に接続され流入弁によって管路が開閉される導入管より供給される水を貯留する受水槽を備え、前記受水槽内の水を水需要先に供給する給水設備において、
    吸込側が前記受水槽に接続されたポンプと、
    前記ポンプの吐出側圧力を測定する圧力センサと、
    前記導入管に設けられる放射性物質吸着部と、
    前記放射性物質吸着部に起因する給水設備の状態に応じて前記流入弁または前記ポンプの少なくともいずれかを制御する制御部と
    を備える給水設備。
  2. 前記受水槽の水位が低下した状態である場合に、前記制御部は、前記流入弁を開くとともに、供給水量が制限されるように前記ポンプの回転数を制御する、
    請求項1に記載の給水設備。
  3. 前記放射性物質吸着部が使用不能状態である場合に、前記制御部は、前記流入弁を閉じる、
    請求項1または2に記載の給水設備。
  4. 前記使用不能状態は、前記放射性物質吸着部のメンテナンスが実施されている状態を含む、
    請求項3に記載の給水設備。
  5. 前記放射性物質吸着部が使用不能状態である場合に、前記制御部は、水の供給が停止されるように前記ポンプを制御する、
    請求項3に記載の給水設備。
  6. 前記使用不能状態は、前記放射性物質吸着部への放射性物質蓄積が所定のレベルに達した状態を含む、請求項5に記載の給水設備。
  7. 前記放射性物質吸着部は、前記受水槽の内部に位置する前記導入管の出口に設けられる、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の給水設備。
  8. 前記放射性物質吸着部は、前記受水槽に貯留された水に浸漬されないように配置される、
    請求項7に記載の給水設備。
  9. 前記放射性物質吸着部は、前記受水槽に貯留された水に浸漬されるように配置される、請求項7に記載の給水設備。
  10. 前記放射性物質吸着部は、前記流入弁よりも上流で前記導入管に設けられる、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の給水設備。
  11. 前記放射性物質吸着部は、前記流入弁よりも下流で前記導入管に設けられる、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の給水設備。
  12. 前記放射性物質吸着部よりも上流で前記導入管に設けられる逆止弁をさらに備える、
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の給水設備。
  13. 前記放射性物質吸着部よりも上流で前記導入管に設けられるストレーナをさらに備える、請求項1〜12のいずれか1項に記載の給水設備。
  14. 前記制御部は、前記流入弁の開閉状態、前記受水槽の水位、前記ポンプの運転状態に関する情報を表示する表示部を含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の給水設備。
  15. 前記制御部は、前記流入弁の開閉状態、前記受水槽の水位、前記ポンプの運転状態に関する情報を外部表示器に送信する通信部を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のポンプユニット。
  16. 前記通信部は、前記外部表示器から電波を受信して該電波を電力に変換する制御装置側アンテナ部である、請求項15に記載のポンプユニット。
  17. 前記通信部は、近距離無線通信(NFC)によって前記外部表示器と通信する、請求項16に記載のポンプユニット。
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