JP6466725B2 - ウナギの種の同定補助方法 - Google Patents

ウナギの種の同定補助方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6466725B2
JP6466725B2 JP2015017408A JP2015017408A JP6466725B2 JP 6466725 B2 JP6466725 B2 JP 6466725B2 JP 2015017408 A JP2015017408 A JP 2015017408A JP 2015017408 A JP2015017408 A JP 2015017408A JP 6466725 B2 JP6466725 B2 JP 6466725B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dna
eel
species
concentration
treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015017408A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016140289A (ja
Inventor
幹二 田代
幹二 田代
満 鮫島
満 鮫島
千広 久保
千広 久保
豊 堀内
豊 堀内
Original Assignee
株式会社光コーポレーション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社光コーポレーション filed Critical 株式会社光コーポレーション
Priority to JP2015017408A priority Critical patent/JP6466725B2/ja
Publication of JP2016140289A publication Critical patent/JP2016140289A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6466725B2 publication Critical patent/JP6466725B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は非ジャポニカ種ウナギ混入の検査に利用可能な技術に関する。
ウナギは、ウナギ目ウナギ科Anguillidaeに属する魚類であり、日本人の食文化に欠かせない食品の1つである。そのため、日本に加えて周辺諸国でも養殖されており、我が国では、日本種ウナギのほか、外国種ウナギも流通している。このうち、日本種ウナギ(Anguilla japonica、以下、ジャポニカ種とも称す)は、我が国の消費者の間で最も人気があり、また、2013年にレッドリストにおいて絶滅危惧種に指定されたこともあり、価格も高い。
一方、外国種ウナギ(以下、非ジャポニカ種ウナギとも称す)は日本種ウナギと比較していずれも安価で取引されている。
このような値段の開きを主な原因として、近年、外国産の外国種ウナギを国産の日本種ウナギの集団の中に混入させるとともに、すべて国産日本種ウナギであると偽装表示して販売する例が後を絶たない。
したがって、混入された外国種ウナギの存在を検出するための方法が求められており、これに対し特許出願人は一個体ずつ行っていた種の鑑定を行う必要なく、集団全体に対する処理によって外国種ウナギの混入を検出する方法を提供している(例えば特許文献1)。
特許文献1には、例えばウナギの頭部などの体の一部(肉片)を用いて行われるウナギの種の検査方法が開示されている。当該方法においては、得られたDNAが非ジャポニカ種ウナギに由来する場合に当該非ジャポニカ種ウナギのシトクロムb遺伝子における所定領域にハイブリダイズ可能であるプライマーセットを用い、ウナギの種の検査を行う。
当該方法によれば、ウナギの集団に対する一括的な検査により非ジャポニカ種ウナギの混入の事実の有無や混入したウナギの種の特定を行うことができるので、従来一個体ずつ行っていた種の鑑定と比較して非常に簡便であり、時間、コストを大きく削減することができる。
特開2011−000061号公報
特許文献1に記載の方法によってはウナギの肉片からDNAを得ている。資源のさらなる有効利用の観点などからは、生きている状態のウナギに対しても種の検査を行えることが好ましい。
しかしながら、生きている状態の個体から得られるDNAは特許文献1に記載の方法を実行できるほど常に十分であるとは限らず、例えば粘液などに含まれる細胞からDNAを抽出して特許文献1に記載の方法によって検査を行う場合などは、DNAを得るために必要な粘液の量が非常に多量であり、実現が容易でない。また、生存が保たれる範囲で体の一部を採取して検査に供することも考えられるが、稚魚のシラスウナギなどは非常に小さく、そのような採取を行うこと自体が難しい。
本発明はこのような事情に基づきなされたものであり、生きている状態のウナギに対してもより簡単に種の検査を行うことができる技術を提供することを目的とする。
本発明者はウナギの体表面から採取される粘液など、ウナギの個体から離脱した細胞を含む液体を用いて種の同定を行う方法について鋭意研究を行い、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] ウナギから離脱した細胞を含む液体を濃縮する第1の濃縮処理を行い、
前記第1の濃縮処理により得られた濃縮物に含まれる前記細胞に対しDNA抽出処理を行うことによりDNAを含む抽出物を取得し、
得られたDNAを含む前記抽出物に対しDNA精製処理および第2の濃縮処理を行い、
前記DNA精製処理および前記第2の濃縮処理を行ったDNAを、ウナギのシトクロムb遺伝子における所定領域にハイブリダイズ可能である、配列表の配列番号1に示される塩基配列(ただし、TはUであってもよい)からなるフォワード側プライマーと、配列番号2に示される塩基配列(ただし、TはUであってもよい)からなるリバース側プライマーと、からなるプライマーセットを用いて増幅し、
増幅されたウナギのDNAを調べることにより、ウナギの種を絞り込むことを含む、ウナギの種の同定補助方法。
なお、本明細書において、ウナギから離脱した細胞を含む液体とは、懸濁等している固形分が視認できない状態のもののほか、懸濁等している固形分が視認できる状態のものも含む概念である。
[2] 増幅されたDNAを制限酵素HinfI、NlaIV、およびTfiIのうち少なくともいずれか1つを用いて消化し、
消化により得られる制限断片長の比較に基づいてウナギの種を絞り込む[1]に記載の方法。
[3] 前記細胞を含む液体が、ウナギの粘液、ウナギの飼育に使用された水、またはウナギの糞尿である[1]または[2]に記載の方法。
本発明によれば、生きている状態のウナギに対してもより簡単に種の検査を行うことができる技術を提供することができる。そのため、資源をより有効に利用することができる。
本実施形態の検査方法の処理フローを示す図である。 本実施形態に係るプライマーセットを用いた、アガロースゲル電気泳動の結果を示す図である。 本実施形態に係るプライマーセットを用いた増幅および制限酵素処理による、アガロースゲル電気泳動の結果を示す図である。 本実施形態に係るプライマーセットを用いた増幅および制限酵素処理による、アガロースゲル電気泳動の結果を示す図である。 本実施形態に係るプライマーセットを用いた増幅および制限酵素処理による、アガロースゲル電気泳動の結果を示す図である。 本実施形態に係るプライマーセットによるPCR産物を制限酵素TfiIおよび/またはNlaIVを用いて消化することにより得られる制限断片長を示す表である。 本実施形態に係るプライマーセットによるPCR産物を制限酵素HinfIおよび/またはNlaIVを用いて消化することにより得られる制限断片長を示す表である。 本実施形態に係るプライマーセットによるPCR産物を制限酵素HinfIおよび/またはTfiIを用いて消化することにより得られる制限断片長を示す表である。
以下、図面を用いて本発明の好ましい実施形態について詳しく説明する。
本実施形態のウナギの種の同定補助方法(以下、単に、本実施形態の方法、ともいう)は、図1に示すような処理フローに従って行うことができる。
本実施形態はウナギの種の同定を補助する方法に関し、ウナギから離脱した細胞を含む液体を濃縮する第1の濃縮処理を行い、第1の濃縮処理により得られた濃縮物に含まれる細胞に対しDNA抽出処理を行うことによりDNAを含む抽出物を取得し、得られたDNAを含む抽出物に対し第2の濃縮処理を行い、第2の濃縮処理により濃縮されたDNAを含む抽出物を用いてDNA精製処理を行い、DNA精製処理により精製されたDNAを、ウナギのシトクロムb遺伝子における所定領域にハイブリダイズ可能である、配列表の配列番号1に示される塩基配列(ただし、TはUであってもよい)からなるフォワード側プライマーと、配列番号2に示される塩基配列(ただし、TはUであってもよい)からなるリバース側プライマーと、からなるプライマーセットを用いて増幅し、増幅されたウナギのDNAを調べることにより、細胞が由来するウナギの種を絞り込むことを含む。
以下、本実施形態の方法に関し、詳細に説明する。
まず、ステップS101において、ウナギから離脱した細胞を含む液体を濃縮し、濃縮物を得る(第1の濃縮処理)。ウナギから離脱した細胞を含む液体は特に限定されないが、例えば、ウナギの粘液、ウナギの飼育に使用された水、ウナギの糞尿などを例示することができる。また、当該液体に含まれる細胞は、成鰻、稚魚であるシラスウナギのいずれに由来するものであってもよい。
また、ウナギから離脱した細胞を濃縮する方法も特に限定されず、例えば遠心分離による濃縮や真空濃縮などを挙げることができる。
次に、ステップS102において、第1の濃縮処理により得られた濃縮物に含まれる細胞に対しDNA抽出処理を行うことによりDNAを含む抽出物を取得する。
本実施形態において行うDNA抽出方法についてはとくに限定されず、公知のいずれの方法も用いることができる。
例えば濃縮物を、STE含有バッファー中のProteinase K((E.C. 3.4.21.64))を用いた例えば56℃での消化処理に供する。反応時間は特に限定されないが、例えば2時間以上、好ましくは4時間とすることができる。
また、当該ステップS102の処理とこれに続くステップS103、S104の処理について、第1の濃縮処理により得られた濃縮物を複数に分割し、これらそれぞれについてステップS102、S103、S104の処理を行い、その後精製物を合わせるようにしてもよい。
次に、ステップS103において、得られたDNAを含む抽出物に対し濃縮処理を行う(第2の濃縮処理)。当該第2の濃縮処理における具体的な処理方法についても特に限定されない。例えば限外ろ過などの濃縮処理を行うことができるほか、上述の遠心分離による濃縮や真空濃縮などであってもよい。
このように、本実施形態の方法においては、細胞を含む液体に対する第1の濃縮処理と、細胞から抽出された、DNAを含む抽出物に対する第2の濃縮処理を行う。
粘液等に含まれるDNAは非常に微量であり、増幅が確認できるようなPCR等に供するサンプルを調製するのが容易でなかった(例えば、電気泳動にPCR産物を供しても、微量なためにバンドとして確認ができない)。一方、一定量のDNAを採取するためには、膨大な量の検体サンプルが必要になってしまう。
本実施形態においては粘液等に対する第1の濃縮を行うことでDNA抽出における細胞への処理を効率よく行うことができるため、結果的にDNAの収量が多くなる。
また、当該第一の濃縮処理を実行することにより、より少ない作業量で意図されるDNA濃度を有する、増幅のためのサンプルを得ることが可能となる。
さらに、第二の濃縮処理を実行することにより、得られるDNAの純度をより高めることができる。
なお、他の文献などで使用している分泌物(粘液や糞尿等)は、ウナギ自身のDNAを得てこれを調べることを目的として使用されているわけではなく、皮膚中細菌調査や分泌物組成検査などに使用されるのが主となっている。そのため、分泌物を濃縮して使用するという操作は行われず検査等に用いられている。
次に、第2の濃縮処理により濃縮されたDNAを含む抽出物を用いてDNA精製処理を行う(ステップS104)。精製処理は公知の方法により行うことができ、当業者が適宜選択することができる。例えば、沈殿処理や遠心分離等を挙げることができ、これら処理を複数組み合わせて行うことなどができる。
なお、本実施形態においては第二の濃縮処理を行った後にDNA精製処理を行う態様について説明したが、DNA精製処理を行った後に第二の濃縮処理を行うようにしてもよい。
例えば第1の濃縮処理により得られた濃縮物を複数に分割し、各分割された濃縮物についてDNA抽出処理およびDNA精製処理を実行する。次いで、分割されて精製されたDNAを水に溶解させた後、合わせ、当該合わせたDNAについて限外ろ過チューブ等を用いて第二の濃縮処理を行う。続いて、第二の濃縮処理を行ったDNAの水溶液について、水分量を調節し、ステップS105の増幅処理に供する。また、さらなる他の態様として、第1の濃縮処理により得られた濃縮物を複数に分割し、次いで各分割された濃縮物についてDNA抽出処理、DNA精製処理、および第二の濃縮処理を順に実行した後、DNAを合わせてステップS105の増幅処理に供するようにしてもよい。
次に、ステップS105において、DNA精製処理により精製されたDNAを、ウナギのシトクロムb遺伝子における所定領域にハイブリダイズ可能である、配列表の配列番号1に示される塩基配列からなるフォワード側プライマーと、配列番号2に示される塩基配列からなるリバース側プライマーと、からなるプライマーセットを用いて増幅する。
核酸増幅の方法については、特に限定されず、当業者が任意に選択して用いることができ、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)とすることができる。当該PCRに用いる試薬キット、装置などは特に限定されず、市販のものから当業者が適宜選択して使用でき、また、反応条件についても適宜設定可能である。また、PCRに供する、精製されたDNAを含むサンプルも、PCRの条件等に応じて適宜濃度や純度を設定することができる。当該適宜設定できる濃度や純度の条件を満たすために上述のステップS101〜S104の処理を2回以上行うようにしてもよい。また、複数のサンプル(DNA水溶液)を調製し、それぞれをPCRに供した後、生成物(増幅されたDNA)を混合するようにしてもよい。特に限定されないが、PCRに供するサンプルにおいてDNAの濃度が、1〜100μg/μl程度(純度:1.7〜2.1程度)に調整できる程度のDNA量が得られることが好ましい。
なお、当該プライマーは、公開されているGenBank等のデータベースを用い、ウナギ科に属する種のミトコンドリアDNAのシトクロムb領域について検討を行い、設計された。また、当該プライマーは、常法により合成することが可能である。プライマーを構成する核酸はDNAでもRNAでもよく、従って、塩基配列中のTはUであってもよい。
本実施形態に係るプライマーセットは、以下のような塩基配列を備える。
フォワード側プライマー:ATTTCAGCATGATGAAATTTTGGCTC(Tm 値:68.4℃)
リバース側プライマー:CCTAATAGGTCTTTGTAGGAGAAGTATGGGTGGAATGG (Tm 値:70.4℃)
次に、増幅されたウナギのDNAを調べることにより、ウナギの種について絞り込み(同定または推定される種の数を少なくする)を行う(ステップS106)。絞り込みを行う方法は、増幅される領域の塩基配列が種により異なっているため、例えば増幅領域の全塩基配列を決定することにより、種を同定するなどしてもよい。また、種ごとに塩基が異なる部位を比較することにより種を同定するようにしてもよい。
また、増幅したDNAについて、簡便、迅速に行うことができるPCR−RFLP法を適用し、種を絞り込むようにしてもよい。PCR−RFLP法を適用する場合には、例えば、ステップS105にて増幅したDNAについて制限酵素を用いて消化を行い、該消化産物をゲル電気泳動にかけ、紫外線を照射して、泳動バンド(DNA断片)を検出する。そして、検出された泳動バンドの長さの比較を行うことにより、種を同定または絞り込む。使用する制限酵素については、例えばHinfI、NlaIV、TfiIを用いることができる。上述のプライマーセットにより得られたPCR産物(増幅されたDNA)の、HinfI、NlaIV、TfiIによる切断パターンを図6〜8に示す。
なお、ウナギの種の組み合わせによっては、上記3種の制限酵素のうちいずれか1種または2種の使用によっても、その種を同定等することは可能である。
また、制限酵素HinfI、NlaIV、TfiIを用いた当該PCR−RFLP法によっても完全に同定されない種については、絞り込まれた種の中で、さらなるDNA分析による種の同定、あるいは個体の外観的特徴による種の同定などを行うようにしてもよい。
以上、本発明の1つの実施形態について説明した。本実施形態によれば、生きている状態のウナギに対してもより簡便に種の検査を行うことができる技術を提供することができる。そのため、資源をより有効に利用することができる。
より具体的に説明すると、従来技術において提案されているウナギの種の鑑定方法は、増幅を行うためにウナギの肉片からDNAを抽出しているため、特に生育が中途段階にある個体などにおいては、生きたままで種の同定を試みることが難しかった。また、粘液などからDNAを得ようとしても非常に多くのサンプルが必要となるため、実現性に乏しかった。
一方、本実施形態の方法によれば、離脱した細胞を含む液体(例えば粘液など)を用いて、種にもよるが、完全に種を同定することも可能である。よって、生きたままの状態のウナギを用いてより容易に種の検査を行うことが可能である。
その結果、例えば検査を行った個体について再度養殖池に戻すなどして生育を続けさせることができるため、生育中途段階における種の検査などにおいて本方法を特に有効に利用できる。
以下、実施例により本発明をより詳しく説明する。しかしながら、本実施例は本発明を何ら限定するものではない。
生きている状態のA.japonica,A.bicolorpacificaの成鰻から粘液(それぞれ100ml)を採取した。得られた粘液を1.5ml チューブにそれぞれ移し、高速遠心機(4℃、15,000rpm、5分)で濃縮処理を行った。
濃縮した粘液をそれぞれ10本の1.5ml チューブに同等量分注し、STE バッファー1000μl とプロティナーゼK(20ng/μl)40μl を加え、撹拌・簡易遠心して56℃の恒温槽で4時間反応させた。
反応開始から4時間後、反応液を高速冷却遠心機にて4℃・15,000rpm・5 分間の遠心を行った。上澄み700μl を1.5ml チューブに移し、PCI(フェノール・クロロホルム・イソアミルアルコール)700μl を混合して高速冷却遠心機にて4℃・15,000rpm・5 分間の遠心を行った。上澄み600μl を1.5ml チューブに移し、PCI 600μl を混合して高速冷却遠心機にて4℃・15,000rpm・5 分間遠心を行った。
上澄み500μlをろ過フィルターに移し、液量が1/10 になるまで濃縮した。次に、濃縮液を1 本の1.5ml チューブに移し、フィルターに滅菌水20μl を加えて静置し、フィルターに付着しているDNA を回収した。回収した溶液は濃縮液に追加した。
次にDNA精製処理を行った。
まず、濃縮液に冷凍100%エタノール1000μl と5M NaCl 30μl を混合し−80℃冷凍庫で1 時間インキュベートした。インキュベートさせていた溶液を解凍後に簡易撹拌し、高速冷却遠心にて4℃・15,000rpm・15 分間で遠心後、チューブ内の溶液を廃液した。沈殿物に冷凍70%エタノール500μl を加え、4℃・15,000rpm・10 分間の高速冷却遠心に供した。溶液を廃液し、沈殿物を真空乾燥機にて30 分乾燥させ、滅菌水を50μl 加えて30 分室温で静置した(以下、得られた液をDNA液という)。
なお、PCRによる増幅処理に供する前にナノドロップにて吸光度を測定し、測定した吸光度より、DNA の濃度や純度を算出した。算出された濃度および純度は以下のとおりである。
A.japonica DNA濃度:3.59μg/μl (PCRに使用する5μl中には17.95μg)
A.japonica DNA純度:2.1
A.bicolorpacifica DNA濃度:1.64μg/μl (PCRに使用する5μl中には8.2μg)
A.bicolorpacifica DNA純度:1.7
また、A.japonica,A.bicolorpacificaの上記DNA液を用いて、A.japonica DNA液とA.bicolorpacifica DNA液を50:50(体積比)の割合で混合し、混合DNA液を調製した。
これらDNA液をそれぞれ5μl 使用し、PCR 装置にてDNAを増幅させた。DNA増幅プライマーは、独自に調合し(混合比率プライマー)、37サイクルで増幅を行った。
フォワード側プライマー:ATTTCAGCATGATGAAATTTTGGCTC(Tm 値:68.4℃)
リバース側プライマー:CCTAATAGGTCTTTGTAGGAGAAGTATGGGTGGAATGG(Tm 値:70.4℃)
反応溶液:
10×PCR Buffer 10.0μl
1×dNTP mix 8.0μl
フォワード側プライマー (濃度:5pmol/μl) 4.0μl
フォワード側プライマー (濃度:5pmol/μl) 4.0μl
滅菌水 74.5μl
Taq ポリメラーゼ 0.5μl
DNA 液 5.0μl
計 100.0μl
反応条件:
1)95℃ 8分、
2)94℃ 1分、
3)58℃ 1分、
4)73℃ 1分、
2)〜4)について37サイクル、
反応終了後、4℃で保存
3%アガロースゲルを使用して電気泳動を行い、DNA が増幅されているかを確認した。増幅されている場合、バンドは614bp に出現する(図2)。
次に、前処理(増幅されたDNAの精製処理)を行った後、制限酵素を用いた切断処理に供した。なお、前処理は以下のようにして行った。
まず、PCR 産物を限外ろ過チューブにて、PCR 産物に含まれるプライマー等の濃度が1/1000以上になるまで精製した。次に、PCR 産物全量をフィルターに移し、滅菌水300μl を足して1 分遠心した。フィルターの破れがないかを確認後、溶液量を30〜40μl にした。滅菌水を360μl 足して遠心し、溶液量が30〜40μl になるようにした。もう一度同様の操作を行い、最終溶液量が30〜40μl になるようにした。
制限酵素を用いた処理は、精製物に制限酵素を添加して反応させることによって行った。
具体的には、制限酵素NlaIVについては、精製物に付属のバッファーとともに添加し、37℃に設定した恒温槽で15分反応させた。また、制限酵素TfiIについては、精製物に付属のバッファーとともに添加し、65℃に設定した恒温槽で15分反応させた。また、制限酵素HinfIについては、精製物に付属のバッファーとともに添加し、37℃に設定した恒温槽で1時間反応させた。
反応終了後、3% NuSieve GTG アガロースを使用して電気泳動を行い、酵素消化断片の確認をした。例えば、制限酵素NlaIVを用いた場合を図3に示す。A.japonica は、180bp と434bp にバンドを確認でき、また、A.bicolorpacifica は168bp と180bp, 266bp のバンドを確認することができる。また、同様のバンドは、A.japonicaのDNAとA.bicolorpacificaのDNAを混合して増幅させたサンプルについても確認できた。
図6〜8中に記した他の種についてもA.japonica、A.bicolorpacificaの場合と同様の操作を行った。例示として、A.japonicaの制限酵素TfiI消化物の電気泳動結果を図4に、A.bicolorpacificaおよびA.marmorataの制限酵素NlaIV消化物の電気泳動結果を図5に示す。当該操作の結果、図6〜8に示すような断片パターンが得られた。
一方、同濃度、純度のA.bicolorpacifica のDNA液を、特許文献1のプライマーを用いたPCRに供したが増幅は確認できなかった。

Claims (3)

  1. ウナギから離脱した細胞を含む液体を濃縮する第1の濃縮処理を行い、
    前記第1の濃縮処理により得られた濃縮物に含まれる前記細胞に対しDNA抽出処理を行うことによりDNAを含む抽出物を取得し、
    得られたDNAを含む前記抽出物に対しDNA精製処理および第2の濃縮処理を行い、
    前記DNA精製処理および前記第2の濃縮処理を行ったDNAを、ウナギのシトクロムb遺伝子における所定領域にハイブリダイズ可能である、配列表の配列番号1に示される塩基配列(ただし、TはUであってもよい)からなるフォワード側プライマーと、配列番号2に示される塩基配列(ただし、TはUであってもよい)からなるリバース側プライマーと、からなるプライマーセットを用いて増幅し、
    増幅されたウナギのDNAを調べることにより、ウナギの種を絞り込むことを含む、ウナギの種の同定補助方法。
  2. 増幅されたDNAを制限酵素HinfI、NlaIV、およびTfiIのうち少なくともいずれか1つを用いて消化し、
    消化により得られる制限断片長の比較に基づいてウナギの種を絞り込む請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞を含む液体が、ウナギの粘液、ウナギの飼育に使用された水、またはウナギの糞尿である請求項1または2に記載の方法。

JP2015017408A 2015-01-30 2015-01-30 ウナギの種の同定補助方法 Active JP6466725B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015017408A JP6466725B2 (ja) 2015-01-30 2015-01-30 ウナギの種の同定補助方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015017408A JP6466725B2 (ja) 2015-01-30 2015-01-30 ウナギの種の同定補助方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016140289A JP2016140289A (ja) 2016-08-08
JP6466725B2 true JP6466725B2 (ja) 2019-02-06

Family

ID=56567944

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015017408A Active JP6466725B2 (ja) 2015-01-30 2015-01-30 ウナギの種の同定補助方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6466725B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109996875B (zh) 2016-08-24 2023-11-28 注入技术公司 使用dtbp浓缩微生物或提取核酸的方法
KR102098773B1 (ko) * 2019-04-25 2020-04-08 티엔에스(주) 뱀장어 Anguilla japonica(극동산 뱀장어) 종과 A. bicolor, A. rostrata, A. anguilla, A. marmorata 구별을 위한 프라이머 및 이를 이용한 Real-time PCR 검출 방법
KR102403326B1 (ko) * 2022-03-14 2022-05-31 대한민국 뱀장어 개체식별을 위한 유전자 마커 및 그를 이용한 방법
KR102656519B1 (ko) * 2024-02-07 2024-04-15 국립군산대학교 산학협력단 토종 뱀장어 식별용 lamp 프라이머 세트 및 이를 이용한 토종 뱀장어의 신속, 정확 식별방법

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3950546B2 (ja) * 1998-03-30 2007-08-01 株式会社エスアールエル 核酸試料混合物中の核酸の種類の比率の測定方法
JP4093630B2 (ja) * 1998-03-30 2008-06-04 株式会社エスアールエル ウナギ種鑑定用核酸プライマー及びそれを用いたウナギ種鑑定方法
JP5546165B2 (ja) * 2009-06-18 2014-07-09 株式会社光コーポレーション 非ジャポニカ種ウナギ検出に利用可能なプライマーセット、非ジャポニカ種ウナギ混入の検査方法およびウナギ種同定方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016140289A (ja) 2016-08-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6466725B2 (ja) ウナギの種の同定補助方法
CN106399490B (zh) 检测植原体的lamp引物组及其试剂盒和应用
CN107760802A (zh) 罗湖病毒特异性rt‑pcr检测试剂盒及检测方法
CN114196766B (zh) 用于特异鉴定水稻白叶枯菌Xoo的分子标记、引物对、试剂盒和方法
CN103555847B (zh) 一种罗非鱼亲子鉴定的方法
CN105063229B (zh) 用于检测肉制品中羊源性成分的荧光定量pcr特异性引物、探针及其试剂盒
CN104830984B (zh) 瓜炭疽病菌的荧光pcr检测方法及所用引物和探针
CN110724735B (zh) 一种快速鉴定暗纹东方鲀个体性别的snp位点和引物及其方法
CN112921101A (zh) 一种与绵羊剩余采食量相关的分子标记及其应用
JP5483173B2 (ja) エビ類検出用プライマーセット
CN108754010B (zh) 一种快速检测总rna样本中基因组dna残留的方法
CN110846410A (zh) 运用实时荧光定量pcr检测食品中核桃过敏原的方法
CN107299145B (zh) 用于检测鉴别华支睾吸虫和/或扇棘单睾吸虫的引物组及试剂盒
JP6413122B2 (ja) キノコの同定方法、及び、同定キット
CN107354233B (zh) 鉴定蝇蛹金小蜂蜂卵性别的微卫星引物、应用及鉴定蝇蛹金小蜂蜂卵性别的方法
CN113502334B (zh) 一种快速鉴定日本对虾遗传性别的分子标记c27449及其应用
CN110607398A (zh) 一种荧光可视化快速检测猪流行性腹泻病毒的rt-lamp试剂盒
CN106868198B (zh) 一种同时检测鲇形目鱼类四种致病菌的多重pcr引物组及监测方法
CN106957915B (zh) 苹果树/梨树腐烂病菌的检测用引物、试剂盒及定量检测方法
JP5546165B2 (ja) 非ジャポニカ種ウナギ検出に利用可能なプライマーセット、非ジャポニカ種ウナギ混入の検査方法およびウナギ種同定方法
CN112342317A (zh) Ihhnv病毒lamp-crispr等温检测用的核酸序列组合、试剂盒及检测方法
CN106591464B (zh) 一种检测小新壳梭孢纤维素酶基因表达量的方法
KR20160057021A (ko) 고려인삼과 미국삼 판별용 hrm 프라이머 세트 및 이의 용도
CN116769927B (zh) 一种鉴别长丰鲢的渗入基因、引物、方法及应用
CN114561479B (zh) 一种鉴定罗氏沼虾中铁壳虾个体的引物及其应用

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190110

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6466725

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250