JP6461475B2 - 注型成形用エポキシ樹脂組成物、並びにそれを用いた高電圧機器用モールド製品の製造方法 - Google Patents

注型成形用エポキシ樹脂組成物、並びにそれを用いた高電圧機器用モールド製品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、注型成形用エポキシ樹脂組成物、並びにそれを用いた高電圧機器用モールド製品及びその製造方法に関する。
エポキシ樹脂は、その優れた耐熱性、耐薬品性、絶縁性及び接着性のために、高電圧機器用モールド製品、例えば、モールド変圧器、真空遮断器、絶縁機器の開閉装置、管路気中送電装置、その他の電気機器の絶縁支持又は電気部材間の絶縁スペーサ、ブッシングなどの絶縁部材などの部品に使用されている。しかしながら、近年ニーズの高度化に伴い、より高い機能を有するエポキシ樹脂が求められている。特に、作業効率化の観点から、注型温度域(110〜160℃)での速硬化性が大きな課題となっており、これに対応可能なエポキシ樹脂素材の出現が強く求められている。
以上のような理由から、生産性向上による低コスト化の観点から、注型絶縁樹脂であるエポキシ樹脂の速硬化及び短時間硬化を達成するという課題は極めて重要なことであり、エポキシ樹脂構造を変えずに硬化速度を速める樹脂組成物の検討が進められている。
そこで、反応性の高い硬化剤を含有させる方法として、例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂と、アルカノールアミン化合物と、一分子中にアミノ基を2個以上有するアミン化合物とを含有するエポキシ樹脂組成物が開示され、また、特許文献2には、微粉末状イミダゾール化合物組成物と、エポキシ樹脂とを含有するエポキシ樹脂組成物が開示されている。特許文献1のエポキシ樹脂組成物は、全温度領域で硬化速度が高くなり、低温硬化性も発現することが特徴である。また、特許文献2のエポキシ樹脂組成物は、140℃付近で劇的に硬化速度が速くなり、1分程度で硬化することが特徴である。
特開2007−246601号公報 特開2010−180162号公報
しかしながら、高電圧機器用途では、50℃〜80℃の温度領域で配合や混合を行う必要がある上に、その樹脂組成物を110℃以上(注型温度)に加熱された注型成形用金型に注入するのに数分〜数十分の時間を要する。そのため、特許文献1のエポキシ樹脂組成物では、作業時間の自由度が低く、ポットライフが短いという問題がある。また、特許文献2のエポキシ樹脂組成物では、注入時に硬化することになり、所望の成型物が得られないという問題がある。更に、特許文献2のエポキシ樹脂組成物では、110℃以上で硬化反応が急激に進むため、内部発熱が大きく、成型物にヒケやボイドといった形状異常が発生し易くなるという問題もある。
また、これらの先行技術のように、第一級アミン、第二級アミンあるいはイミダゾール化合物を硬化剤として用いることにより、硬化速度を高めたり、常温硬化性を発現させることは可能である。しかしながら、これらの硬化剤を用いたエポキシ樹脂組成物は、吸湿により電気絶縁性が低下するため、接着剤、土木・建築などの用途には使用できるものの、高電圧機器用の絶縁部材には適さない。高電圧機器用途では、酸無水物系硬化剤が絶縁信頼性の面で優れていると言え、酸無水物系硬化剤を含有するエポキシ樹脂組成物の硬化速度を高めることが必須である。
従って、本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、高電圧機器部品用あるいは構造物用の注型樹脂として長期の実績があるビスフェノール型エポキシ樹脂と、酸無水物系硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物において、注型作業を行うのに必要な長い可使時間(ポットライフ)の確保と成型異常の起因となる内部発熱の抑制とを両立し、さらに注型成形用金型の設定温度である注型温度領域(110℃〜160℃)での硬化速度を選択的に高めることで、注型成形サイクル時間の短縮が可能な注型成形用エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、酸無水物系硬化剤と、無機充填剤と、反応活性開始温度が異なる3種類の硬化促進剤とを含有するエポキシ樹脂組成物が、長い可使時間(ポットライフ)と硬化時の内部発熱の抑制とを両立しながら、注型温度領域(110℃〜160℃)での硬化速度を選択的に高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、酸無水物系硬化剤と、硬化促進剤と、無機充填剤とを混合した注型成形用エポキシ樹脂組成物であって、前記硬化促進剤が、反応活性開始温度が樹脂混合温度以下である硬化促進剤(A)と、反応活性開始温度が注型成形用金型の設定温度に対して±20℃の範囲内である潜在性硬化促進剤(C)と、反応活性開始温度が樹脂混合温度を超え且つ潜在性硬化促進剤(C)の反応活性開始温度より低い温度である潜在性硬化促進剤(B)とからなり、前記無機充填剤の量が樹脂組成物全体に対して40重量%以上85重量%以下であることを特徴とする注型成形用エポキシ樹脂組成物である。
また、本発明は、前記注型成形用エポキシ樹脂組成物を、前記酸無水物系硬化剤、前記硬化促進剤(A)、前記潜在性硬化促進剤(B)及び前記潜在性硬化促進剤(C)からなる混合物と、それ以外の成分からなる混合物とを混合することにより調製し、この注型成形用エポキシ樹脂組成物を1kg/cm以上20kg/cm以下の圧力で金型に注入して成形することを特徴とする高電圧機器用モールド製品の製造方法である。
また、本発明は、上記した製造方法により得られることを特徴とする高電圧機器用モールド製品である。
本発明によれば、長いポットライフと硬化時の内部発熱の抑制とを両立しながら、注型温度領域で速硬化性を有し且つ成形性に優れ、高い電気絶縁性及び高い靭性を有する均質な樹脂成型物を与えることのできる注型成形用エポキシ樹脂組成物を提供することができる。本発明の注型成形用エポキシ樹脂組成物を用いることにより、注型成形サイクル時間を短縮することができるので、モールド製品の生産性を高めることができる。
本発明の実施の形態における硬化促進剤の反応活性開始温度の調査方法を示す図である。 促進剤(1〜3種類)を配合した樹脂組成物を130℃で加熱した時の加熱時間と中心部の樹脂内部温度との関係を示す図である。 促進剤(1〜3種類)を配合した樹脂組成物を130℃で加熱した時の加熱時間と硬化率との関係を示す図である。 促進剤量を調整した樹脂組成物を130℃で加熱した時の加熱時間と硬化率との関係を示す図である。 実施例1〜2及び比較例1〜4で得られたエポキシ樹脂組成物のポットライフを示す図である。 実施例1〜2及び比較例1〜4で得られたエポキシ樹脂組成物の硬化速度を示す図である。 実施例3〜5で得られたエポキシ樹脂組成物の硬化速度を示す図である。
実施の形態1.
本発明の実施の形態にかかる注型成形用エポキシ樹脂組成物は、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、酸無水物系硬化剤と、特定の硬化促進剤と、無機充填剤とを混合したものであり、長い可使時間(ポットライフ)と硬化時の内部発熱の抑制とを両立しながら、注型温度領域(110℃〜160℃)での硬化速度を選択的に高めることで、樹脂組成物の金型への注入→一次硬化→金型から離型の注型成形サイクル時間を短縮することを特徴とする。
本発明の実施の形態に用いられるビスフェノール型エポキシ樹脂としては、公知のものを用いることができる。ビスフェノール型エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノールAD型エポキシ樹脂などが挙げられる。これらのビスフェノール型エポキシ樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。これらの中でも、硬化剤等の他の原料と均一に混合しやすいという理由で、60℃以下で液状であるビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、その中でも特に、100g/eq以上300g/eq以下のエポキシ当量を有するビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。なお、60℃以下で固体状のエポキシ樹脂であっても、60℃以下で液状であるエポキシ樹脂あるいは酸無水物系硬化剤に溶解するものであれば、併用することは可能である。また、本発明の効果を損なわない範囲で、ビスフェノール型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂、例えば、脂環式エポキシ樹脂、ブロム化脂環式エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ブロム化クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネートやヒダントインエポキシのような複素環式エポキシ樹脂などを併用してもよい。
本発明の実施の形態に用いられる酸無水物系硬化剤としては、公知のカルボン酸無水物を用いることができる。酸無水物系硬化剤の具体例としては、例えば、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコール無水トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物などの芳香族カルボン酸無水物、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族カルボン酸の無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、クロレンド酸無水物、ハイミック酸無水物(ナジック酸無水物)、水素化ナジック酸無水物などの脂環式カルボン酸無水物、及びこれらの酸無水物の構造中にアルキル基等の置換基を有する酸無水物などが挙げられる。これらの酸無水物系硬化剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。これらの酸無水物系硬化剤の中でも、エポキシ樹脂等の他の原料と均一に混合しやすいという理由で、60℃以下で液状である酸無水物系硬化剤が好ましい。特に、アルキル基置換体は室温で液状であるものが多く、均一混合の面で有効であり、例えば、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物が好ましい。
酸無水物系硬化剤の配合量は、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ基(ビスフェノール型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を併用する場合、そのエポキシ樹脂のエポキシ基を含む)に対するカルボキシル基の当量比が、通常、0.3以上1.5以下となる量であり、好ましくは、0.5以上1.2以下となる量である。酸無水物系硬化剤の配合量が、エポキシ樹脂のエポキシ基に対するカルボキシル基の当量比が0.3となる量より少ないと、耐熱性が劣る場合があり、一方、1.5となる量より多いと、ポットライフが短くなる場合がある。
本発明の実施の形態に用いられる硬化促進剤としては、反応活性開始温度が所定の条件を満たし、酸無水物系硬化剤の硬化を促進させる作用を有する化合物であれば用いることができる。硬化促進剤の具体例としては、第三級アミン、第三級アミン塩、ホウ酸エステル、ルイス酸、有機金属化合物、有機リン系化合物、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、アミン錯体、イミダゾール系化合物、チタン及びコバルトのような遷移金属を含む化合物などが挙げられる。これらの中から、反応活性開始温度が異なる3種類の硬化促進剤を選定し、エポキシ樹脂組成物に配合する。反応活性開始温度が低いものから順に(A)、(B)及び(C)とした場合、(A)は、原材料を混練する際の樹脂混合温度以下に反応活開始温度を有する硬化促進剤であり、(C)は、硬化温度に相当する注型成形用金型の設定温度に対して±20℃の範囲内に反応活開始温度を有する潜在性硬化促進剤であり、(B)は、反応活開始温度が樹脂混合温度を超え且つ硬化促進剤(C)の反応活性開始温度より低い温度である潜在性硬化促進剤である。これらの硬化促進剤は、互いの反応活性を阻害しないものを選定すればよい。
また、これらの硬化促進剤の配合量は、(A)〜(C)を合計して、ビスフェノール型エポキシ樹脂100重量部(ビスフェノール型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を併用する場合、そのエポキシ樹脂も含む)に対して、好ましくは0.01重量部以上3.0重量部以下であり、更に好ましくは0.02重量部以上2.0重量部以下である。硬化促進剤の配合量が、ビスフェノール型エポキシ樹脂100重量部に対して0.01重量部より少ないと、硬化反応の促進効果が劣る場合があり、一方、3.0重量部より多いと、ポットライフが短くなる場合がある。また、硬化促進性を微調整するために、上記した3種類の硬化促進剤に加えて、他の硬化促進剤を添加してもよい。
また、潜在性硬化促進剤(C)の配合量を潜在性硬化促進剤(B)の配合量より多くすることにより、潜在性硬化促進剤(C)の添加による低温領域での反応速度の上昇やポットライフの低下に対する影響を抑制することができる。
硬化促進剤の反応活性開始温度は、樹脂の粘度の上昇温度や樹脂の発熱温度を調査することで知ることができる。例えば、図1に示すように、エポキシ樹脂及び酸無水物系硬化剤を混合した樹脂混合物と、その樹脂混合物に硬化促進剤を添加した樹脂混合物との粘弾性スペクトル(温度−粘度曲線)における粘度上昇曲線を比較することにより知ることができる。図1から分かるように、硬化促進剤を添加した樹脂混合物では、硬化促進剤を添加しない樹脂混合物より粘度上昇の変曲点が低温側にシフトしており、その変曲点に相当する温度が反応活性開始温度となる。なお、硬化促進剤の反応活性開始温度は、一義的な値を有しているものではなく、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材及び他の添加剤の種類及び配合量により変化するものである。
50℃〜80℃の温度領域で混合された樹脂組成物は、注型温度領域(110℃〜160℃)で予熱された注型成形用金型中に注入されると、金型からの熱を受けて徐々に温度が上昇する。反応活性開始温度が異なる3種の硬化促進剤(A)、潜在性硬化促進剤(B)及び潜在性硬化促進剤(C)が添加されていることにより、温度上昇の過程で(A)、(B)及び(C)の順番で活性化され、触媒作用を発現する。これにより、各々の促進剤由来の反応促進作用が段階的に進行することで、反応速度を高めるのに加えて、急激な樹脂の硬化(重合)反応が抑制でき、硬化時の内部発熱の上昇を抑制できる。加圧ゲル注型による成型では、硬化時の樹脂内部温度が金型設定温度+70℃以下(厚み:100mmの樹脂中で測定)であれば、成型物の形状異常(ヒケ)の発生を防止できる傾向がある。注型時のバラツキを考慮すると、ヒケ防止には、硬化時の樹脂内部温度が金型設定温度+60℃以下にすることがより好ましい。
60℃での可使時間(ポットライフ)が2時間以上となるように、1種類の促進剤のみを配合した樹脂組成物、反応活性開始温度が異なる2種類の促進剤を配合した樹脂組成物あるいは反応活性開始温度が異なる3種類の促進剤を配合した樹脂組成物(本発明)を、60℃で混合した後、φ100mmで高さ200mmの金属容器に入れ、130℃で加熱した時の加熱時間と中心部の樹脂内部温度との関係を図2に示す。低温で反応活性がある硬化促進剤の量を増大したような一般的な速硬化樹脂の場合、短時間で樹脂内部温度が上昇する速硬化特有の傾向が見られるが、樹脂内部温度が230℃まで上昇し、成型物にヒケが発生したり、あるいは、急激な反応による粘度上昇のため、内部や表面にボイドが残存する形状異常が発生する。また、一般的な速硬化樹脂の場合、加熱開始初期から粘度上昇が観察され、可使時間(ポットライフ)が短いことが間接的に分かる。反応活性開始温度が異なる2種類の促進剤を用いた場合、樹脂内部温度の上昇曲線に変曲点が1点存在しており、また、反応活性開始温度が異なる3種類の促進剤を用いた場合(本発明)、樹脂内部温度の上昇曲線に変曲点が2点存在しており、段階的に硬化が促進されていることが分かる。樹脂内部温度の挙動から、硬化速度は、2種類の促進剤を用いた場合でも増大するが、3種類の促進剤を用いた場合に顕著に増大することが分かる。また、3種類の促進剤を配合した樹脂組成物は、樹脂内部温度の最大値は1種類あるいは2種類の促進剤を配合した樹脂組成物と同等であることから、樹脂内部温度の上昇が抑制され、ヒケ防止が可能となる樹脂内部温度(金型設定温度+70℃以下)が確保されていることが分かる。さらに、3種類の促進剤を配合した樹脂組成物は、加熱開始初期の粘度上昇は小さく、可使時間(ポットライフ)が長いことが間接的に分かる。高温の1次硬化温度に設定された金型への樹脂充填が完了するには数分要する。充填中に硬化による粘度上昇が高いと、充填不足や形状異常が発生する。従って、樹脂の硬化速度(=内部発熱の上昇速度)は金型への充填完了までは小さく、完了後に増大するような、硬化遅延性を有する材料設計が必要である。すなわち、3種類の促進剤を配合した樹脂組成物(本発明)は、低温活性の促進剤量を減らすなど、それらの配合量を調整することで、充填中の硬化速度低減を図り、図2のように、一般な速硬化樹脂にはない硬化遅延性を発現させ、成型時に形状異常が起きにくくすることができる。
また、注型成型用エポキシ樹脂組成物の注型成型工程は、(1)注型成形用金型へのエポキシ樹脂組成物の注入、(2)一次硬化、(3)注型成形用金型からの離型、及び(4)二次硬化から構成される。二次硬化は、離型した成型物を一括で加熱オーブンに入れ、一次硬化温度(注型成形用金型の設定温度)と同等以上の温度で加熱処理し、完全に硬化させる。二次硬化条件は、一次硬化温度以上でエポキシ樹脂の熱分解温度以下、すなわち、110〜180℃で、樹脂組成物の硬化が完了するまで加熱する。加熱時間は、硬化が完了する時間であればよいが、5時間〜24時間が好ましく用いられる。(1)〜(3)が注型成形サイクルであり、そのサイクル時間を短縮するには、一次硬化時間を短くすることが効果的である。二次硬化後の成型物のガラス転移点に対する一次硬化後のガラス転移点の比を硬化率(%)[=一次硬化後のガラス転移点/二次硬化後のガラス転移点×100]とすると、注型成形用金型から離型できるのに必要な一次硬化後の硬化率は50%以上、離型作業時の変形を防ぐには好ましくは60%以上が必要となる。
60℃での可使時間(ポットライフ)が2時間以上となるように、1種類の促進剤のみを配合した樹脂組成物、反応活性開始温度が異なる2種類の促進剤を配合した樹脂組成物あるいは反応活性開始温度が異なる3種類の促進剤を配合した樹脂組成物(本発明)を、60℃で混合した後、φ100mmで高さ200mmの金属容器に入れ、130℃で加熱した時の加熱時間と中心部の硬化率との関係を図3に示す。1種類あるいは2種類の促進剤を配合した樹脂組成物では、硬化率の最大値に達するまでの時間に差はあるが、その値には大きな差は見られない。一方、3種類の促進剤を配合した樹脂組成物(本発明)では、硬化率曲線が短時間側で且つ高硬化率側に全体的にシフトしており、単調増加の傾向が維持されている。これは粘度の急激な上昇が抑えられていることを意味し、成型物のボイド不良を防止する効果を有し、且つ長い可使時間(ポットライフ)を確保しながら、硬化時間の短縮と硬化率の上昇とを両立させることができることを示している。
また、図4に示すように、60℃での可使時間(ポットライフ)が2時間以上となるように反応活性開始温度が異なる2種類の促進剤を配合した樹脂組成物と、低温で反応活性がある硬化促進剤の量を増大した樹脂組成物及び高温で反応活性がある硬化促進剤の量を増大した樹脂組成物との対比から分かるように、低温あるいは高温で反応活性がある促進剤量を調整しても硬化率の最大値は高くならない上、加熱時間が短い領域で硬化率が著しく上昇する傾向がある。これは、樹脂粘度の上昇が速いことを意味し、それにより樹脂内部に含まれるボイドが抜け難くなり、成型物の表面や内部にボイドが残存する不良が発生する上、可使時間(ポットライフ)を低下させるため、好ましくない。
以上のように、本発明のように反応活性開始温度が異なる3種類の促進剤を用いることで、長い可使時間(ポットライフ)と硬化時の内部発熱の抑制とを両立しながら、注型温度領域で速硬化性を有し且つ成形性に優れ、高い電気絶縁性及び高い靭性を有する均質な樹脂成型物を与えることができる。
本発明の実施の形態にかかる注型成形用エポキシ樹脂組成物には、樹脂組成物全体に対して40重量%以上85重量%以下の無機充填剤を配合するため、室温では粘度が高く、混合することができない。従って、樹脂組成物の粘度を注型成形用金型に注入可能なレベル、具体的には40000mPa・s以下、特に複雑な構造の注型成形用金型の細部まで樹脂組成物を確実に注入する場合や成型物表面あるいは内部のボイド発生を抑制する場合は、20000mPa・s以下に低下させることが好ましく、その粘度を確保できるように樹脂混合温度を設定する必要がある。設定される樹脂混合温度は、樹脂組成物のポットライフの確保のため、50℃以上80℃以下とすることが好ましい。
硬化促進剤(A)は、上記した樹脂混合温度で活性状態にあるものを選定する必要があるため、その反応活性開始温度が70℃以下の硬化促進剤を選択するのが好ましい。硬化促進剤(A)は、この樹脂混合温度でエポキシ樹脂の重合反応を促進させる作用があるため、混合作業時にエポキシ樹脂の重合反応が進行し、粘度が上昇することになる。混合作業から注型成形用金型への注入作業までは、2時間以上を確保することが好ましい。例えば、樹脂混合温度を60℃とした場合、エポキシ樹脂組成物の可使時間(ポットライフ)は、60℃での混合開始からエポキシ樹脂組成物の粘度が2倍になるまでの時間と定義される。硬化促進剤(A)は樹脂混合時に反応活性であるため、その配合量を増やせば、混合時に粘度上昇が大きくなり、可使時間(ポットライフ)が短くなる。従って、硬化促進剤(A)の配合量は、このポットライフが2時間以上を確保できる範囲内の量とすることが好ましい。硬化促進剤(A)は、低温でエポキシ樹脂の重合反応を進める働きがあるため、エポキシ樹脂組成物を混合時に活性化している。従って、エポキシ樹脂組成物を110℃以上に加熱された注型成形用金型に注入する前に重合は進んでいるため、注入した後に急激な重合反応が起こらないので、発熱量が少なくなり、成型物の異常(ヒケやボイド)の発生を抑制する役割を果たす。
潜在性硬化促進剤(C)は、その反応活性開始温度が注型成形用金型の設定温度(硬化温度に相当する)に対して±20℃の範囲内にある化合物である。この温度範囲は、加熱された注型成形用金型の温度に近い温度であり、注型温度領域でのエポキシ樹脂組成物の硬化速度を選択的に且つ効果的に高める。より選択的に硬化速度を高めるには、反応活性開始温度が注型成形用金型の設定温度に対して±10℃の範囲内にある潜在性硬化促進剤(C)を選定すればよい。また、潜在性硬化促進剤(C)が活性化する前に、硬化促進剤(A)及び潜在性硬化促進剤(B)の活性化によりエポキシ樹脂組成物は既に重合反応がかなり進行している。すなわち、重合に関与する反応基の多くが消費され、硬化率が高くなっている。硬化促進剤(A)及び潜在性硬化促進剤(B)の促進作用による重合反応により、分子鎖が長くなっているため、残存する反応基の電子密度がかなり減少しており、活性度が著しく低下している。潜在性硬化促進剤(C)は、そのような状況で活性になることで、残存する反応基の重合を促進させ、硬化率を短時間で高める効果がある。潜在性硬化促進剤(C)の反応活性開始温度の好適な範囲は、エポキシ樹脂と酸無水物系硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物の一般的な硬化温度である110℃以上160℃以下である。また、潜在性硬化促進剤(B)との機能に明確な差をつけることに加えて、低温領域における反応速度の上昇及びポットライフの低下を起こさせないため、潜在性硬化促進剤(C)と潜在性硬化促進剤(B)との反応活性開始温度差を10℃以上とすることが好ましい。
潜在性硬化促進剤(B)は、その反応活性開始温度が樹脂混合温度を超え且つ潜在性硬化促進剤(C)の反応活性開始温度より低い温度である。硬化温度(注型温度)に加熱された注型成形用金型に、樹脂混合温度に加温されたエポキシ樹脂組成物が注入され、成形される。注型成形用金型の設定温度は、エポキシ樹脂組成物の種類や成型物の肉厚により微調整されるが、エポキシ樹脂と酸無水物系硬化剤とを含有するエポキシ樹脂組成物では、一般的に110℃以上160℃以下の範囲内である。従って、潜在性硬化促進剤(B)の反応活性開始温度の上限及び下限は、樹脂混合温度及び注型成形用金型の設定温度により変化するが、反応活性開始温度の好適な範囲は70℃以上110℃以下である。硬化促進剤(A)は樹脂混合温度で活性であるため、樹脂混合時に硬化反応を促進させているが、潜在性硬化促進剤(B)は、110℃以上に加熱された注型成形用金型にエポキシ樹脂組成物を注入した後の硬化反応を促進させる役割を果たす。潜在性硬化促進剤(B)が反応活性になる時点で、硬化促進剤(A)の反応活性によってエポキシ樹脂組成物は硬化(重合)が既に進行しているため、重合に関与する反応基が減少している。重合により分子量が増大しているため、残存する反応基は電子密度が低下し活性度が低くなっているが、潜在性硬化促進剤(B)が活性化することで、硬化率を高めることができる。硬化促進剤(A)の活性温度と潜在性硬化促進剤(B)の活性温度とが異なるため、重合が段階的に促進さることになり、潜在性硬化促進剤(B)が活性化した際には、急激な重合反応が起こらないため、樹脂内部温度の急激な上昇を抑えながら、硬化率を高めることができる。硬化促進剤(A)との機能に明確な差をつけるため、硬化促進剤(A)と潜在性硬化促進剤(B)との反応活性開始温度差を10℃以上とすることが好ましい。
本発明の実施の形態に用いられる3種類の硬化促進剤、即ち、硬化促進剤(A)、潜在性硬化促進剤(B)及び潜在性硬化促進剤(C)としては、下記に列挙する化合物の中から、反応活性開始温度が所定の条件を満たすものを適宜選定すればよい。
第三級アミンとしては、例えば、ラウリルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)などが挙げられる。
第三級アミン塩としては、例えば、上記した第三級アミンのカルボン酸塩、スルホン酸塩、無機酸塩などが挙げられる。カルボン酸塩としては、オクチル酸塩などの炭素数1〜30(特に、炭素数1〜10)のカルボン酸の塩(特に、脂肪酸の塩)などが挙げられる。スルホン酸塩としては、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩などが挙げられる。第三級アミン塩の代表的な例として、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)の塩(例えば、p−トルエンスルホン酸塩、オクチル酸塩)などが挙げられる。
ホウ酸エステルとしては、例えば、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリプロピル、ホウ酸トリブチル、環状ホウ酸エステル化合物などが挙げられる。
ルイス酸としては、電子対を受容する性質を有する化合物(遷移金属系化合物を含む)であればよいが、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムの他、チタン、亜鉛、スズ、スカンジウム、イッテルビウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、鉄及び銅のいずれかの元素を含む化合物であることが、特性として好ましい。
有機金属化合物としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛、アルミニウムアセチルアセトン錯体などが挙げられる。
有機リン系化合物としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンなどが挙げられる。
第四級アンモニウム塩としては、例えば、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、臭化トリエチルベンジルアンモニウム、ヨウ化トリエチルベンジルアンモニウム、塩化トリエチルフェネチルアンモニウム、臭化トリエチルフェネチルアンモニウム、臭化トリエチルフェネチルアンモニウムなどが挙げられる。
第四級ホスホニウム塩としては、例えば、塩化テトラブチルホスホニウム、ヨウ化テトラブチルホスホニウム、酢酸テトラブチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、ヨウ化テトラフェニルホスホニウム、塩化エチルトリフェニルホスホニウム、臭化エチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化エチルトリフェニルホスホニウム、酢酸エチルトリフェニルホスホニウム、リン酸エチルトリフェニルホスホニウム、塩化プロピルトリフェニルホスホニウム、臭化プロピルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化プロピルトリフェニルホスホニウム、塩化ブチルトリフェニルホスホニウム、臭化ブチルトリフェニルホスホニウム、ヨウ化ブチルトリフェニルホスホニウムなどが挙げられる。
アミン錯体としては、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素及び三臭化ホウ素のようなハロゲン化ホウ素とアミン化合物との錯体であるハロゲン化ホウ素アミン錯体が挙げられる。アミン化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミンなどの脂肪族三級アミン類、N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族三級アミン類、1位がアルキル化された置換あるいは無置換のイミダゾールあるいはピリジンなどの複素環三級アミン類、モノエチルアミン、n−ヘキシルアミンなどの脂肪族一級アミン類、ベンジルアミンなどの芳香環を含む脂肪族一級アミン類、アニリンなどの芳香族一級アミン類、ピペリジンなどの二級アミン類などが挙げられる。ハロゲン化ホウ素アミン錯体の代表的な例としては、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素ジエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素イソプロピルアミン錯体、三フッ化ホウ素クロロフェニルアミン錯体、三フッ化ホウ素−トリアリルアミン錯体、三フッ化ホウ素ベンジルアミン錯体、三フッ化ホウ素アニリン錯体、三塩化ホウ素モノエチルアミン錯体、三塩化ホウ素フェノール錯体、三塩化ホウ素ピペリジン錯体、三塩化ホウ素硫化ジメチル錯体、三塩化ホウ素N,N−ジメチルオクチルアミン錯体、三塩化ホウ素N,N−ジメチルドデシルアミン錯体、三塩化ホウ素N,N−ジエチルジオクチルアミン錯体などが挙げられる。
イミダゾール系化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル,4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールなどが挙げられる。
上記の化合物の中でも、硬化促進剤(A)としては、70℃以下に反応活性開始温度が存在する第三級アミンをより好ましく用いることができる。潜在性硬化促進剤(B)としては、70℃以上110℃以下に反応活性開始温度が存在する第三級アミン塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、イミダゾール系化合物及びハロゲン化ホウ素アミン錯体からなる群から選択されるものをより好ましく用いることができる。また、潜在性硬化促進剤(C)としては、110℃以上160℃以下に反応活性開始温度が存在する第三級アミン塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、イミダゾール系化合物及びハロゲン化ホウ素アミン錯体からなる群から選択されるものをより好ましく用いることができる。
特に、潜在性硬化促進剤(B)及び潜在性硬化促進剤(C)は、種類の異なる群から選択し、温度による反応性に明確な差を出すことで高い硬化促進性を得ることができる。例えば、潜在性硬化促進剤(B)としては、70℃以上110℃以下に反応活性開始温度が存在する第三級アミン塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩及びイミダゾール系化合物を用い、潜在性硬化促進剤(C)としては、110℃以上160℃以下に反応活性開始温度が存在するハロゲン化ホウ素アミン錯体を用いることより好ましい。
本発明の実施の形態に用いられる無機充填剤としては、注型成形用エポキシ樹脂組成物に用いられる公知の材料を用いることができる。無機充填剤の具体例としては、例えば、シリカ(結晶シリカ及び溶融シリカ)、アルミナ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、窒化ケイ素、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ガラス、硫酸バリウム、マグネシア、酸化ベリリウム、雲母、酸化マグネシウムなどが挙げられる。無機充填剤の形状は、好適には破砕状又は球状であるが、略球状、凝集状、鱗片状、繊維状、ミルドファイバー、ウィスカーなどであってもよい。これらの無機充填剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。無機充填剤の中でも、高い電気絶縁性を有するという理由で、シリカ粉末、アルミナ粉末、マグネシア粉末、ガラス短繊維及びガラスビーズを好ましく用いることができる。
無機充填材の配合量は、樹脂組成物全体に対して40重量%以上85重量%以下の範囲で、樹脂組成物のポットライフが2時間以上確保できる樹脂混合温度で均一に混合できる量であればよいが、好ましくは、樹脂組成物全体に対して50重量%以上70重量%以下である。無機充填剤の配合量が40重量%より少ないと、成型物の機械強度が劣り、一方、85重量%より多いと、樹脂成分と均一に混合できなくなり、成型物特性の再現性が得られない。
また、得られる成型物の耐クラック性を向上させたり、耐衝撃性を向上させる目的で、熱可塑性樹脂、ゴム成分、各種オリゴマーなどをエポキシ樹脂組成物に添加してもよい。熱可塑性樹脂の具体例としては、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、MBS樹脂(メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体)、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、アクリル樹脂、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどにより変性することができる。また、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末などをエポキシ樹脂組成物に添加してもよい。
更に、接着性を向上せるための接着性付与剤及びカップリング剤、無機充填剤及び固体粉末のエポキシ樹脂組成物中での沈降を抑制するための沈降防止剤及び分散剤、ボイド発生を防止するための消泡剤、塗料定着剤、酸化防止剤、難燃化剤、着色剤、増粘剤、減粘剤、界面活性剤などをエポキシ樹脂組成物に添加してもよい。
本発明の実施の形態にかかる注型成形用エポキシ樹脂組成物は、温調機能を有する混合装置を用いて製造することができる。強制混合ミキサー、自公転式混合装置、万能混合機などの混合装置を用いると、樹脂成分と無機充填剤とを均一に混合させることができる。樹脂混合温度は、注型成形用エポキシ樹脂組成物の粘度が2倍になるまでの時間である可使時間(ポットライフ)が2時間以上確保できる温度であればよいが、50℃以上80℃以下が好ましい。エポキシ樹脂組成物の粘度は、混合温度で40000mPa・s以下であることが好ましい。エポキシ樹脂組成物の粘度が40000mPa・sより高い場合には、注型成形用金型の細部までエポキシ樹脂組成物が注入されず、所望の成型物が得られないため好ましくない。エポキシ樹脂組成物の粘度は、より低粘度のエポキシ樹脂を配合することによって低下させることが可能である。エポキシ樹脂組成物の適否判断として、特に、60℃での粘度が40000mPa・s以下、特に成型物表面あるいは内部のボイド発生を抑制するには20000mPa・s以下が好ましく、且つその温度でのポットライフが2時間以上であることを目安とするとよい。
混合したエポキシ樹脂組成物は、成型物中にボイドが発生するのを抑制するため、金型に注型する前に、混合温度で真空脱法処理を行うことが好ましい。真空脱法処理後のエポキシ樹脂組成物を、エポキシ樹脂組成物の硬化反応が進行する温度である110℃〜160℃に加熱した注型成形用金型に注入し、加圧ゲル化法又は真空注型法により成形加工を行なう。注型成形用金型の設定温度は、110℃以上160℃以下の範囲内が好ましいが、高温になると、硬化時間は短くなるが、ヒケやボイドなどの形状異常が発生しやすい傾向がある。真空注型法では、高温で真空状態を維持するので、エポキシ樹脂組成物を構成する液状の原材料が揮発する可能性がある。従って、形状異常の抑制や原材料の揮発防止の観点から、注型成形用金型の設定温度は、130℃以上140℃以下がより好ましい。なお、注型成形用金型から離型後の二次硬化は、注型成形用金型の設定温度と同じか又はそれ以上の温度で実施し、成型物の変形や劣化などの悪影響がない温度であればよいが、200℃以下が好ましい。
エポキシ樹脂組成物の硬化速度の変化は、ゲルタイムテスターでゲル化時間を計測することで把握できる。注型成形用金型の設定温度でのゲル化時間と、注型成形用金型の設定温度より10℃低い温度でのゲル化時間との差が5分以上であると、成型物にヒケやボイドといった形状異常が発生し難い。ゲルタイムテスターで測定する際のサンプル量は1gと少ないため、実際の注型成形用金型での注型時に離型可能な硬化時間は、ゲル化時間のおよそ2〜3倍程度の時間を見込む必要がある。また、注型成形サイクル時間を20分以内に短縮するためには、注型成形用金型の設定温度でのゲル化時間は、3分以上10分以下にすることが好ましい。
エポキシ樹脂組成物のポットライフを確保するため、使用前には、酸無水物系硬化剤、硬化促進剤(A)、潜在性硬化促進剤(B)及び潜在性硬化促進剤(C)からなる混合物と、それ以外の成分からなる混合物との2つに分けて保管するとよい。使用時は、これらの混合物を混合装置にて混合して注型成形用エポキシ樹脂組成物を調製し、この注型成形用エポキシ樹脂組成物を1kg/cm以上20kg/cm以下の圧力で、設定温度に予め加熱した注型成形用金型に注入して成形する。成型物へのボイド(気泡)の混入やヒケの発生などの成形異常を防ぐことに加えて、生産効率を高める目的で、注型成形用金型内の樹脂成分が完全にゲル化するまで圧力を加え続けて短時間で固化させる加圧ゲル化法により成形することが好ましい。加圧ゲル化法は、エポキシ樹脂組成物の反応性の制御が可能であり、成形異常の発生を抑制できる。
また、加圧ゲル化法以外の成形法としては、密閉容器内において、エポキシ樹脂組成物を、設定温度に予め加熱した注型成形用金型に減圧状態で注入した後、圧力を加えずに硬化炉で硬化させる真空注型法を採用してもよい。真空注型法でも、成型物へのボイド(気泡)の混入を防ぐことが可能である。本発明の実施の形態にかかる注型成形用エポキシ樹脂組成物の成形法として、真空注型法を採用した場合、加圧ゲル化法ほどの生産性の顕著な向上は見込めないが、従来のエポキシ樹脂組成物を成形する場合と比べれば、硬化速度の上昇による成形時間の短縮効果は得られる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。実施例1〜2及び比較例1〜4は、130℃の注型温度(注型成形用金型の設定温度)での硬化時間を短時間化することを想定して、組成調整した例である。実施例3〜5は、実施例1〜2とは異なるビスフェノール型エポキシ樹脂及び酸無水物系硬化剤を用いて、130℃〜150℃の注型温度での硬化時間を選択的に高めるように組成調整した例である。
〔実施例1〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:190g/eq):100重量部、酸無水物系硬化剤としてのメチルテトラヒドロ無水フタル酸:85.5重量部、無機充填剤としての溶融シリカ:150重量部、硬化促進剤(A)としての2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール(常温で反応活性である):0.2重量部、潜在性硬化促進剤(B)としての1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)のオクチル酸塩(反応活性開始温度が約100℃である):0.3重量部、及び潜在性硬化促進剤(C)としての三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体(反応活性開始温度が約120℃である):0.2重量部を、60℃で15分間混合した後、真空脱泡して注型成形用エポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物の60℃での粘度変化は、図5のようになり、粘度が2倍になるまでの時間(ポットライフ)は4.3時間であった。
また、実施例1のエポキシ樹脂組成物について、成形温度を90〜150℃の温度に設定した際のゲル化時間をゲルタイムテスター(安田精機製作所製No.153)で測定した。測定結果を図6に示す。このゲルタイムテスターは、熱硬化性樹脂組成物のゲル化時間を測定する装置で、熱硬化性樹脂組成物を入れた試験管中で回転するローターが、ゲル化に伴う一定のトルク発生により、磁気カップリング機構を介して脱落するまでの時間を、ゲル化時間として測定するものである。なお、注型成形作業での離型可能な時間は、その温度でのゲル化時間とは一致せず、成型物の肉厚でも異なるが、経験的にゲル化時間の1.5倍〜2.5倍程度長くなる傾向がある。
図6に示されるように、実施例1のエポキシ樹脂組成物についてのゲル化時間の温度変化(ゲル化曲線)は、約120℃以上の温度でゲル化速度が、後述する比較例1〜4のエポキシ樹脂組成物に比べ顕著に上昇しており、潜在性硬化促進剤(C)の反応活性開始温度よりやや高い温度付近に変曲点(約127℃)を有し、注型温度付近(125℃〜150℃)で選択的に反応が速くなっている挙動であった。このゲル化挙動は、比較例のようなゲル化時間が単調減少する挙動とは異なることが分かる。また、注型温度である130℃でのゲル化時間は8分であり、後述する比較例より著しく短い。
実施例1のエポキシ樹脂組成物を用いて注型成形を実施した。即ち、実施例1のエポキシ樹脂組成物を60℃の温度に保持したまま、130℃に加熱した注型成形用金型に5kg/cmの圧力で注入し、加圧ゲル化法により15分間加熱硬化させ、注型成形用金型から離型した後、150℃で16時間の二次硬化を行い、成型物を得た。成型物には、ボイドやヒケなどの形状異常はないことを確認した。このように、実施例1のエポキシ樹脂組成物を使用することで、ポットライフを2時間以上確保しながら、後述する比較例のエポキシ樹脂組成物と比べて、60%前後の1次硬化時間を短縮することが可能であった。
〔実施例2〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:190g/eq):100重量部、酸無水物系硬化剤としてのメチルテトラヒドロ無水フタル酸:85.5重量部、無機充填剤としての溶融シリカ:150重量部、硬化促進剤(A)としての2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール(常温で反応活性である):0.2重量部、潜在性硬化促進剤(B)としての1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール(反応活性開始温度が約100℃である):0.2重量部、及び潜在性硬化促進剤(C)としての三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体(反応活性開始温度が約120℃である):0.4重量部を、60℃で15分間混合した後、真空脱泡して注型成形用エポキシ樹脂組成物を調製した。実施例1との違いは、潜在性硬化促進剤(C)の配合量を潜在性硬化促進剤(B)の配合量より多くしたことである。このエポキシ樹脂組成物の60℃での粘度変化は、図5のようになり、粘度が2倍になるまでの時間(ポットライフ)は4.0時間であった。
実施例2のエポキシ樹脂組成物について、実施例1と同様にしてゲル化時間を測定した。測定結果を図6に示す。図6に示されるように、実施例2のエポキシ樹脂組成物についてのゲル化時間の温度変化は、125℃付近からゲル化速度が急激に上昇しており、その変曲点も130℃(実施例1より3℃高い)に明確に存在する挙動であった。また、注型温度である130℃でのゲル化時間は6分であり、実施例1より2分短くなった。
実施例2のエポキシ樹脂組成物を用いて注型成形を実施した。即ち、実施例2のエポキシ樹脂組成物を60℃の温度に保持したまま、130℃に加熱した注型成形用金型に5kg/cmの圧力で注入し、加圧ゲル化法により12分間加熱硬化させ、注型成形用金型から離型した後、150℃で16時間の二次硬化を行い、成型物を得た。成型物には、ボイドやヒケなどの形状異常はないことを確認した。このことから、潜在性硬化促進剤(B)と潜在性硬化促進剤(C)との配合比を制御することで、ゲルタイム変化の変曲点が制御できること及び反応速度の注型温度領域での選択性を高められることが分かった。
〔比較例1〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:190g/eq):100重量部、酸無水物系硬化剤としてのメチルテトラヒドロ無水フタル酸:85.5重量部、及び無機充填剤としての溶融シリカ:150重量部を、60℃で15分間混合した後、真空脱泡して注型成形用エポキシ樹脂組成物を調製した。実施例1との違いは、硬化促進剤(A)、潜在性硬化促進剤(B)及び潜在性硬化促進剤(C)を添加しなかったことである。このエポキシ樹脂組成物の60℃での粘度変化は、図5のようになり、粘度が2倍になるまでの時間(ポットライフ)は6時間となり、注型作業を行うには十分な時間があった。
比較例1のエポキシ樹脂組成物について、実施例1と同様にしてゲル化時間を測定した。測定結果を図6に示す。図6に示されるように、比較例1のエポキシ樹脂組成物のゲル化曲線は、温度の上昇とともに、単調減少する挙動であった。また、注型温度である130℃でのゲル化時間は35分であった。
比較例1のエポキシ樹脂組成物を用いて注型成形を実施した。即ち、比較例1のエポキシ樹脂組成物を60℃の温度に保持したまま、130℃に加熱した注型成形用金型に5kg/cmの圧力で注入し、加圧ゲル化法により加熱硬化させたところ、離型できる状態まで硬化させるのに80分を要した。離型した後、150℃で16時間の二次硬化を行い、成型物を得た。硬化速度が遅く、硬化時の発熱による温度上昇が比較的少ないため、離型後の成型物には、ボイドやヒケの形状異常は観察されなかった。
〔比較例2〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:190g/eq):100重量部、酸無水物系硬化剤としてのメチルテトラヒドロ無水フタル酸:85.5重量部、無機充填剤としての溶融シリカ:150重量部、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)のオクチル酸塩(反応活性開始温度が約100℃である):0.7重量部を、60℃で15分間混合した後、真空脱泡して注型成形用エポキシ樹脂組成物を調製した。実施例1との違いは、硬化促進剤(A)、潜在性硬化促進剤(B)及び潜在性硬化促進剤(C)の代わりに、潜在性硬化促進剤(B)としての1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)のオクチル酸塩のみを添加したことである。このエポキシ樹脂組成物の60℃での粘度変化は、図5のようになり、粘度が2倍になるまでの時間(ポットライフ)は3.5時間となり、注型作業を行うには十分な時間があった。
比較例2のエポキシ樹脂組成物について、実施例1と同様にしてゲル化時間を測定した。測定結果を図6に示す。図6に示されるように、比較例2のエポキシ樹脂組成物のゲル化曲線は、比較例1と同様に温度とともに単調減少する挙動であり、注型温度領域に実施例のような明確な変曲点は存在せず、注型温度領域の顕著な反応性向上は得られなかった。また、注型温度である130℃でのゲル化時間は22分であった。
比較例2のエポキシ樹脂組成物を用いて注型成形を実施した。即ち、比較例2のエポキシ樹脂組成物60℃の温度に保持したまま、130℃に加熱した注型成形用金型に5kg/cmの圧力で注入し、加圧ゲル化法により加熱硬化させたところ、離型できる状態まで硬化させるのに48分を要した。離型した後、150℃で16時間の二次硬化を行い、成型物を得た。硬化時の発熱による温度上昇が多いため、離型後の成型物には、ヒケの形状異常が観察された。
この比較例のように、硬化促進剤を1種類だけ添加した場合は、反応活性開始温度に達した瞬間に重合反応が一気に進行するため、急激な発熱を引き起こし易く、この発熱により硬化反応が加速され、成型物の形状や肉厚によっては、成型物にヒケやボイドのような形状異常を引き起こす。
一方、実施例のように、低温、中温及び高温と異なる反応活性開始温度を有する硬化促進剤を2時間以上のポットライフが確保できる配合で添加している場合、低温側から硬化促進剤が機能し、樹脂温度が徐々に上昇し、樹脂の重合反応を徐々に進行させるため、硬化時の発熱による温度上昇が抑えられている。
〔比較例3〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:190g/eq):100重量部、酸無水物系硬化剤としてのメチルテトラヒドロ無水フタル酸:85.5重量部、無機充填剤として溶融シリカ:150重量部、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール(常温で反応活性である):0.5重量部、及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)のオクチル酸塩(反応活性開始温度が約100℃である):0.5重量部を、60℃で15分間混合した後、真空脱泡して注型成形用エポキシ樹脂組成物を調製した。実施例1との違いは、硬化促進剤(A)、潜在性硬化促進剤(B)及び潜在性硬化促進剤(C)の代わりに、注型温度領域での反応速度を高めるため、硬化促進剤(A)及び潜在性硬化促進剤(B)のみをポットライフが確保できる範囲内で増量して添加したことである。このエポキシ樹脂組成物の60℃での粘度変化は、図5のようになり、粘度が2倍になるまでの時間(ポットライフ)は2.0時間となり、注型作業を実施可能なレベルであった。
比較例3のエポキシ樹脂組成物について、実施例1と同様にしてゲル化時間を測定した。測定結果を図6に示す。図6に示されるように、比較例3のエポキシ樹脂組成物のゲル化曲線は、温度とともに単調減少する挙動であり、注型温度領域に実施例のような明確な変曲点は存在せず、注型温度領域の顕著な反応性向上は得られなかった。また、注型温度である130℃でのゲル化時間は17分であった。
比較例3のエポキシ樹脂組成物を用いて注型成形を実施した。即ち、比較例3のエポキシ樹脂組成物を60℃の温度に保持したまま、130℃に加熱した注型成形用金型に5kg/cmの圧力で注入し、加圧ゲル化法により加熱硬化させたところ、離型できる状態まで硬化させるのに40分を要した。離型した後、150℃で16時間の二次硬化を行い、成型物を得た。成型物は、硬化促進剤(A)の添加により、硬化発熱温度が抑制されており、離型した成型物には形状異常はなく、良好であった。
この比較例のように、硬化促進剤(A)及び潜在性硬化促進剤(B)の2種類を、60℃で2時間のポットライフを確保できる範囲内で最適化した場合、実施例1のような短時間(15分)での離型を達成することはできない。
〔比較例4〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:190g/eq):100重量部、酸無水物系硬化剤としてのメチルテトラヒドロ無水フタル酸:85.5重量部、無機充填剤としての溶融シリカ:150重量部、2,4,6−トリス(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール(常温で反応活性である):0.2重量部、及び三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体(反応活性開始温度が約120℃である):0.5重量部を、60℃で15分間混合した後、真空脱泡して注型成形用エポキシ樹脂組成物を調製した。実施例1との違いは、硬化促進剤(A)、潜在性硬化促進剤(B)及び潜在性硬化促進剤(C)の代わりに、硬化促進剤(A)及び潜在性硬化促進剤(C)のみを添加したことである。このエポキシ樹脂組成物の60℃での粘度変化は、図5のようになり、粘度が2倍になるまでの時間(ポットライフ)は4.8時間となり、注型作業を行うには十分な時間があった。
比較例4のエポキシ樹脂組成物について、実施例1と同様にしてゲル化時間を測定した。測定結果を図6に示す。図6に示されるように、比較例4のエポキシ樹脂組成物のゲル化曲線は、温度とともに単調減少する挙動であり、注型温度領域に実施例のような明確な変曲点は存在せず、注型温度領域の顕著な反応性向上は得られなかった。注型温度である130℃でのゲル化時間は19分であり、潜在性硬化促進剤(C)を増量したにもかかわらず短くならなかった。
比較例4のエポキシ樹脂組成物を用いて注型成形を実施した。即ち、比較例4のエポキシ樹脂組成物を60℃の温度に保持したまま、130℃に加熱した注型成形用金型に5kg/cmの圧力で注入し、加圧ゲル化法により加熱硬化させたところ、離型できる状態まで硬化させるのに47分を要した。離型した後、150℃で16時間の二次硬化を行い、成型物を得た。成型物は、硬化促進剤(A)の添加により、硬化発熱温度が抑制されており、離型した成型物には形状異常はなく、良好であった。
この比較例のように、硬化促進剤(A)及び潜在性硬化促進剤(C)の2種類を添加した場合、注型成形用金型に注入されたエポキシ樹脂組成物の温度は、除々に上昇するが、潜在性硬化促進剤(C)の反応活性開始温度が高いため、温度上昇時のエポキシ樹脂の重合が遅く、実施例1のような短時間(15分)での離型を達成することはできない。
〔比較例5〕
実施例1のメチルテトラヒドロ無水フタル酸:85.5重量部の代わりに、ポリエチレンポリアミン:20重量部を使用して、60℃で混合したところ、混合途中でゲル化して注型成形用エポキシ樹脂組成物を調製することができなかった。これは、硬化剤として常温硬化性の脂肪族アミンを用いたため、硬化速度は劇的に速くなるが、発熱反応が高く、可使時間が著しく短くなるためである。この比較例のようなエポキシ樹脂組成物は、一定の作業時間が必要な高電圧機器向けの成形用途には適さない。
〔実施例3〕
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:210g/eq):100重量部、酸無水物系硬化剤としての無水メチルナジック酸:80重量部、無機充填剤としての溶融シリカ:130重量部、硬化促進剤(A)としてのN,N−ジメチルシクロヘキシルアミン(常温で反応活性である):0.3重量部、潜在性硬化促進剤(B)としての1−ベンジル−2−メチルイミダゾール(反応活性開始温度が約80℃である):0.2重量部、及び潜在性硬化促進剤(C)としての三フッ化ホウ素ジエチルアミン錯体(反応活性開始温度が約125℃である):0.5重量部を、60℃で15分間混合した後、真空脱泡して注型成形用エポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物の60℃での粘度変化を測定したところ、粘度が2倍になるまでの時間(ポットライフ)は4時間であった。
実施例3のエポキシ樹脂組成物について、実施例1と同様にしてゲル化時間を測定した。測定結果を図7に示す。図7に示されるように、実施例3のエポキシ樹脂組成物についてのゲル化時間の温度変化は、潜在性硬化促進剤(C)の反応活性開始温度付近(130℃)に明確な変曲点を有する挙動となり、注型温度である140℃でのゲル化時間は6分であった。
実施例3のエポキシ樹脂組成物を用いて注型成形を実施した。即ち、実施例3のエポキシ樹脂組成物を60℃の温度に保持したまま、140℃に加熱した注型成形用金型に8kg/cmの圧力で注入し、加圧ゲル化法により10分間加熱硬化させ、注型成形用金型から離型した後、155℃で12時間の二次硬化を行い、成型物を得た。成型物を観察したところ、ボイドやヒケなどの形状異常はないことを確認した。
〔実施例4〕
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量:170g/eq):100重量部、酸無水物系硬化剤としてのメチルテトラヒドロ無水フタル酸:80重量部、無機充填剤としての結晶シリカ:150重量部、硬化促進剤(A)としてのN,N−ジメチルベンジルアミン(常温で反応活性である):0.1重量部、潜在性硬化促進剤(B)としての臭化テトラフェニルホスホニウム(反応活性開始温度が約90℃である):0.2重量部、及び潜在性硬化促進剤(C)としての三塩化ホウ素N,N−ジエチルジオクチルアミン錯体(反応活性開始温度が約125℃である):0.3重量部を、60℃で15分間混合した後、真空脱泡して注型成形用エポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物の60℃での粘度変化を測定したところ、粘度が2倍になるまでの時間(ポットライフ)は5時間であった。
実施例4のエポキシ樹脂組成物について、実施例1と同様にしてゲル化時間を測定した。測定結果を図7に示す。図7に示されるように、実施例4のエポキシ樹脂組成物についてのゲル化時間の温度変化は、潜在性硬化促進剤(C)の反応活性開始温度付近(128℃)に明確な変曲点を有する挙動となり、注型温度である140℃でのゲル化時間は6分であった。
実施例4のエポキシ樹脂組成物を用いて注型成形を実施した。即ち、実施例4のエポキシ樹脂組成物を60℃の温度に保持したまま、140℃に加熱した注型成形用金型に10kg/cmの圧力で注入し、加圧ゲル化法により10分間加熱硬化させ、注型成形用金型から離型した後、145℃で16時間の二次硬化を行い、成型物を得た。成型物を観察したところ、ボイドやヒケなどの形状異常はないことを確認した。
〔実施例5〕
ビスフェノールAD型エポキシ樹脂(エポキシ当量:175g/eq):100重量部、酸無水物系硬化剤としてのトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸:85重量部、無機充填剤としてのアルミナ:300重量部、硬化促進剤(A)としての(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール(常温で反応活性である):0.1重量部、潜在性硬化促進剤(B)としての1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール(反応活性開始温度が約100℃である):0.2重量部、及び潜在性硬化促進剤(C)としての三塩化ホウ素モノエチルアミン錯体(反応活性開始温度が約12℃である):0.3重量部を、60℃で15分間混合した後、真空脱泡して注型成形用エポキシ樹脂組成物を調製した。このエポキシ樹脂組成物の60℃での粘度変化を測定したところ、粘度が2倍になるまでの時間(ポットライフ)は4.5時間であった。
実施例5のエポキシ樹脂組成物について、実施例1と同様にしてゲル化時間を測定した。測定結果を図7に示す。図7に示されるように、実施例5のエポキシ樹脂組成物についてのゲル化時間の温度変化は、潜在性硬化促進剤(C)の反応活性開始温度付近(125℃)に明確な変曲点を有する挙動となり、140℃での注型温度でのゲル化時間は7分であった。
実施例5のエポキシ樹脂組成物を用いて注型成形を実施した。即ち、実施例5のエポキシ樹脂組成物を60℃の温度に保持したまま、140℃に加熱した注型成形用金型に4kg/cmの圧力で注入し、加圧ゲル化法により15分間加熱硬化させ、注型成形用金型から離型した後、150℃で16時間の二次硬化を行い、成型物を得た。成型物には、ボイドやヒケなどの形状異常はないことを確認した。
〔実施例6〕
実施例1のエポキシ樹脂組成物と注型条件で、電極を埋め込んだ絶縁ロッドを成形した。離型後の二次硬化時間は、135℃で16時間とした。この絶縁ロッドを用いて、破壊電界を測定したところ60kV/mmであり、汎用の高電圧機器用注型樹脂と同等以上であることを確認した。また、ヒートサイクル試験(100℃〜−30℃、100サイクル)を行った後、クラック発生もなく、更に、絶縁特性、機械特性、耐熱特性などの成型物特性に全く変化がないことが確認され、長期信頼性の高い注型絶縁物であることが実証された。
〔実施例7〕
実施例5のエポキシ樹脂組成物と注型条件で、絶縁スペーサを成形した。離型後の二次硬化時間は、150℃で20時間とした。この絶縁スペーサを用いて、耐SF分解ガス性の評価を実施した。評価は、放電容器内にSFを封入後、針対平板電極を用いて5時間の連続放電を行い、その後に表面抵抗をJIS K6911に準じて測定した。表面抵抗の低下は殆どなく、耐SF分解ガス性を有することが判った。

Claims (9)

  1. ビスフェノール型エポキシ樹脂と、酸無水物系硬化剤と、硬化促進剤と、無機充填剤とを混合した注型成形用エポキシ樹脂組成物を1kg/cm 以上20kg/cm 以下の圧力で注型成形用金型に注入して成形する高電圧機器用モールド製品の製造方法であって、
    前記注型成形用エポキシ樹脂組成物は、60℃での粘度が40000mPa・s以下であり、
    前記硬化促進剤が、70℃以下の第1反応活性開始温度を有する第三級アミンである硬化促進剤(A)と、前記第1反応活性開始温度よりも高く且つ70℃以上110℃以下の第2反応活性開始温度を有する第三級アミン塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、イミダゾール系化合物及びハロゲン化ホウ素アミン錯体からなる群から選択される潜在性硬化促進剤(B)と、前記第2反応活性開始温度よりも高く且つ110℃以上160℃以下の第3反応活性開始温度を有する第三級アミン塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、イミダゾール系化合物及びハロゲン化ホウ素アミン錯体からなる群から選択される潜在性硬化促進剤(C)との3種から構成され、
    前記硬化促進剤(A)と前記潜在性硬化促進剤(B)との反応活性開始温度差及び前記潜在性硬化促進剤(B)と前記潜在性硬化促進剤(C)との反応活性開始温度差が10℃以上であり、
    前記潜在性硬化促進剤(C)の量が、前記潜在性硬化促進剤(B)の量よりも多く、
    前記無機充填剤の量が樹脂組成物全体に対して40重量%以上85重量%以下であり、
    前記注型成形用エポキシ樹脂組成物の混合温度は、前記第1反応活性開始温度より高く且つ前記第2反応活性開始温度より低い温度であり、
    前記第3反応活性開始温度は、前記注型成形用金型の設定温度に対して±20℃の範囲内であることを特徴とする高電圧機器用モールド製品の製造方法。
  2. 前記硬化促進剤(A)、前記潜在性硬化促進剤(B)及び前記潜在性硬化促進剤(C)の合計量が、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂100重量部に対して0.01重量部以上3.0重量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の高電圧機器用モールド製品の製造方法。
  3. 可使時間を、注型成形用エポキシ樹脂組成物の粘度が60℃の加温下で2倍になるまでの時間と定義した場合、その可使時間が2時間以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高電圧機器用モールド製品の製造方法。
  4. 前記注型成形用エポキシ樹脂組成物を、前記酸無水物系硬化剤、前記硬化促進剤(A)、前記潜在性硬化促進剤(B)及び前記潜在性硬化促進剤(C)からなる混合物と、それ以外の成分からなる混合物とを混合することにより調製し、この注型成形用エポキシ樹脂組成物を1kg/cm以上20kg/cm以下の圧力で前記注型成形用金型に注入して成形することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の高電圧機器用モールド製品の製造方法。
  5. 前記注型成形用金型内の樹脂が完全にゲル化するまで前記圧力を加え続けて固化させることを特徴とする請求項に記載の高電圧機器用モールド製品の製造方法。
  6. ビスフェノール型エポキシ樹脂と、酸無水物系硬化剤と、硬化促進剤と、無機充填剤とを混合した注型成形用エポキシ樹脂組成物であって、
    前記注型成形用エポキシ樹脂組成物は、60℃での粘度が40000mPa・s以下であり、
    前記硬化促進剤が、反応活性開始温度が樹脂混合温度以下であり且つ70℃以下の第1反応活性開始温度を有する第三級アミンである硬化促進剤(A)と、前記第1反応活性開始温度よりも高く且つ70℃以上110℃以下の第2反応活性開始温度を有する第三級アミン塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、イミダゾール系化合物及びハロゲン化ホウ素アミン錯体からなる群から選択される潜在性硬化促進剤(B)と、反応活性開始温度が注型成形用金型の設定温度に対して±20℃の範囲内であり、前記第2反応活性開始温度よりも高く且つ110℃以上160℃以下の第3反応活性開始温度を有する第三級アミン塩、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、イミダゾール系化合物及びハロゲン化ホウ素アミン錯体からなる群から選択される潜在性硬化促進剤(C)との3種から構成され、
    前記硬化促進剤(A)と前記潜在性硬化促進剤(B)との反応活性開始温度差及び前記潜在性硬化促進剤(B)と前記潜在性硬化促進剤(C)との反応活性開始温度差が10℃以上であり、
    前記潜在性硬化促進剤(C)の量が、前記潜在性硬化促進剤(B)の量よりも多く、
    前記無機充填剤の量が樹脂組成物全体に対して40重量%以上85重量%以下であることを特徴とする注型成形用エポキシ樹脂組成物。
  7. 前記硬化促進剤(A)、前記潜在性硬化促進剤(B)及び前記潜在性硬化促進剤(C)の合計量が、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂100重量部に対して0.01重量部以上3.0重量部以下であることを特徴とする請求項に記載の注型成形用エポキシ樹脂組成物。
  8. 前記潜在性硬化促進剤(C)の量が、前記潜在性硬化促進剤(B)の量よりも多いことを特徴とする請求項又はに記載の注型成形用エポキシ樹脂組成物。
  9. 可使時間を、注型成形用エポキシ樹脂組成物の粘度が60℃の加温下で2倍になるまでの時間と定義した場合、その可使時間が2時間以上であることを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の注型成形用エポキシ樹脂組成物。
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