JP6213099B2 - エポキシ樹脂成形材料、モールドコイルの製造方法及びモールドコイル - Google Patents
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[1] (A)エポキシ樹脂、(B)無機充填材及び(C)酸無水物系の硬化剤を含む樹脂組成物を混合及び/又は混練してなり、射出成形によりコイルを封入することによりモールドコイルを得ることができるエポキシ樹脂成形材料であって、下記式(2)で表わされる前記(C)酸無水物系の硬化剤全体の見かけの酸無水物当量Aが230g/eq以上であることを特徴とするエポキシ樹脂成形材料。
A:酸無水物系の硬化剤全体の見かけの酸無水物当量
Aj:酸無水物jの酸無水物当量
WAj:酸無水物jの全酸無水物の重量分率
[2] 前記モールドコイルが最外部にケースを有しない構造であることを特徴とする[1]に記載のエポキシ樹脂成形材料。
[3]下記式(1)で表わされる前記(A)エポキシ樹脂全体の見かけのエポキシ当量Eが230g/eq以上であり、かつ、前記式(2)で表わされる前記(C)酸無水物系の硬化剤全体の見かけの酸無水物当量Aが230g/eq以上であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のエポキシ樹脂成形材料。
E:エポキシ樹脂全体の見かけのエポキシ当量
Ei:エポキシ樹脂iのエポキシ当量
WEi:エポキシ樹脂iの全エポキシ樹脂中の重量分率
[4] DSCにおける発熱量が90J/g以下であることを特徴とする、[1]から[3]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
[5] E型粘度計を用いて、温度60℃、1rpmの条件で測定した際の粘度が1Pa・s以上、100Pa・s以下の範囲内であることを特徴とする[1]から[4]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
[6] 120℃でのゲル化時間が60秒以上、300秒以下の範囲内であることを特
徴とする[1]から[5]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
[7] 150℃でのゲル化時間が15秒以上、100秒以下の範囲内であることを特徴とする[1]から[6]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
[8] 前記(B)無機充填材が、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする[1]から[7]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
[9] 前記(B)無機充填材が、溶融シリカ、及び/又は結晶シリカであることを特徴とする[1]から[8]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
[10] 前記(B)無機充填材の配合量が、前記エポキシ樹脂成形材料全体の35体積%以上、70体積%以下であることを特徴とする[1]から[9]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
[11] 前記(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の液状のエポキシ樹脂に、軟化点60℃以上、120℃以下の固形エポキシ樹脂を溶解させたエポキシ樹脂を含むことを特徴とする[1]から[10]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
[12] 前記(C)酸無水物系の硬化剤が、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする[1]から[11]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
[13] (a)コイルを収納したケースを金型キャビティ内に設置する工程、(b)射出成形機を用いて、[1]から[12]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料を前記ケース内に加圧注入して前記コイルを封入する工程、を有することを特徴とするモールドコイルの製造方法。
[14] (c)コイルを直接金型キャビティ内に設置する工程、(d)射出成形機を用いて、[2]から[12]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料を前記金型キャビティ内に加圧注入して前記コイルを封入する工程、を有することを特徴とする最外部にケースを有しないモールドコイルの製造方法。
[15] (a)磁気コア、一次コイル及び二次コイルを備えたイグニッションコイルを収納したケースを金型キャビティ内に設置する工程、(b)射出成形機を用いて、[1]から[12]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料を前記ケース内に加圧注入して前記イグニッションコイルを封入する工程、を有することを特徴とするモールドコイルの製造方法。
[16] (c)磁気コア、一次コイル及び二次コイルを備えたイグニッションコイルを直接金型キャビティ内に設置する工程、(d)射出成形機を用いて、[1]から[12]のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料を前記金型キャビティ内に加圧注入して前記イグニッションコイルを封入する工程、を有することを特徴とする最外部にケースを有しないモールドコイルの製造方法。
E:エポキシ樹脂全体の見かけのエポキシ当量
Ei:エポキシ樹脂iのエポキシ当量
WEi:エポキシ樹脂iの全エポキシ樹脂中の重量分率
A:酸無水物系の硬化剤全体の見かけの酸無水物当量
Aj:酸無水物jの酸無水物当量
WAj:酸無水物jの全酸無水物の重量分率
これにより、モールドコイルのコイルへの樹脂の含浸性を確保しつつ、発熱による内部部品の変形等を発生させずに、ハイサイクルでの連続成形を可能とするエポキシ樹脂成形材料を得ることができる。また、本発明のモールドコイルの製造方法は、(a)コイルを収納したケースを金型キャビティ内に設置する工程、(b)射出成形機を用いて、上述のエポキシ樹脂成形材料をケース内に加圧注入してコイルを封入する工程、を有することを特徴とする。また、本発明の最外部にケースを有しないモールドコイルの製造方法は、(c)コイルを直接金型キャビティ内に設置する工程、(d)射出成形機を用いて、上述のエポキシ樹脂成形材料を金型キャビティ内に加圧注入してコイルを封入する工程、を有することを特徴とする。これらにより、高い信頼性を有するモールドコイルを低コストで製造することができるモールドコイルの製造方法を得ることができる。さらに、本発明のモールドコイルは、上述の(a)工程及び(b)工程を有する方法により得られることを特徴とする。また、本発明の最外部にケースを有しないモールドコイルは、上述の(c)工程及び(d)工程を有する方法により得られることを特徴とする。これらにより、高い信頼性を有するモールドコイルを得ることができる。以下、本発明を詳細に説明する。
のエポキシ当量Eが260g/eq以上であり、かつ、上記式(2)で表わされる(C)酸無水物系の硬化剤全体の見かけの酸無水物当量Aが260g/eq以上であることが特に好ましい。見かけのエポキシ当量E及び見かけの酸無水物当量Aを共に上記の下限値以上とすることで、材料中の反応基の数をさらに減らすことができるため、反応熱がさらに少なくなり、結果としてボビン等の耐熱性の低い部品の変形をより確実に抑えることができる。また、上記式(1)で表わされる(A)エポキシ樹脂全体の見かけのエポキシ当量Eの上限値、及び上記式(2)で表わされる(C)酸無水物系の硬化剤全体の見かけの酸無水物当量Aの上限値については、特に限定されないが、生産性や特性の観点から、上記式(1)で表わされる(A)エポキシ樹脂全体の見かけのエポキシ当量Eの上限値が1000g/eq以下程度であり、かつ、上記式(2)で表わされる(C)酸無水物系の硬化剤全体の見かけの酸無水物当量Aの上限値が500g/eq以下程度であることが望ましい。
シ樹脂を使用することもできる。液状のエポキシ樹脂に固形のエポキシ樹脂を溶解させたエポキシ樹脂を用いることにより、エポキシ樹脂成形材料の粘度が適正な範囲となることでコイルへの樹脂の含浸性を損なうことなく、エポキシ樹脂全体の見かけのエポキシ当量Eを高めることができる。
削減による低コスト化という観点からは、最外部にケースを有しないモールコイル及びその製造方法がより好ましい。また、射出成形機を用いて本発明のエポキシ樹脂成形材料で成形封止する本発明のモールドコイルの製造方法では、発熱による部品変形等を発生させることなく、金型キャビティの形状及び封入されるコイルの形状などによって変動はあるものの、およそ、60秒〜360秒という短時間の生産サイクルでの連続生産が可能となり、240分〜600分という長時間の生産サイクルでしか生産ができなかった従来の注入封止に対して、大幅な生産性向上が図れることとなる。このように、射出成形機を用いて本発明のエポキシ樹脂成形材料で成形封止する本発明の製造方法によりモールドコイルを製造することで、高い信頼性を有するモールドコイルを低コストで製造することができるものである。
(A)エポキシ樹脂
(1)液状エポキシ樹脂1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ダウケミカル日本社製、DER−331J、エポキシ当量186g/eq)
(2)液状エポキシ樹脂2:液状エポキシ樹脂(ADEKA製、EP−4000、エポキシ当量320g/eq)
(3)固形エポキシ樹脂3:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER1002、エポキシ当量660g/eq、軟化点78℃)
(4)固形エポキシ樹脂4:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱化学社製、jER1007、エポキシ当量2000g/eq、軟化点128℃)
(B)無機充填材
(5)無機充填材1:溶融球状シリカ(電気化学工業社製、FB−950)
(6)無機充填材2:結晶シリカ(福島窯業社製、シリカパウダーM)
(7)無機充填材3:アルミナ(電気化学工業社製、DAM−45)
(C)硬化剤
(8)酸無水物系硬化剤1:メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(日立化成工業社製、HN−5500、酸無水物当量168g/eq)
(9)酸無水物系硬化剤2:アルキル変性テトラヒドロ無水フタル酸(三菱化学社製、YH−306、酸無水物当量234g/eq)
(10)酸無水物系硬化剤3:ドデセニルコハク酸無水物(三洋化成工業製、DSA、酸無水物当量266g/eq)
その他の成分
(11)硬化促進剤1:N、N−ジメチルベンジルアミン(花王社製、カオライザーNO.20)
(12)カップリング剤1:エポキシシランカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)
(13)消泡剤1:シリコーン消泡剤(信越化学工業社製、KS−603)
(14)チキソ付与材1:有機化クレイ(エレメンティス社製、ベントンSD−2)
液状エポキシ樹脂1、2、固形エポキシ樹脂3、4、無機充填材1〜3、酸無水物系硬化剤1〜3、硬化促進剤1、カップリング剤1、消泡剤1、チキソ付与材1を、表1に示す配合割合で、スリーワン モーター(新東科学社製、BL1200Ft)を用いて、室
温(25℃)で10分間均一に混合し、エポキシ樹脂成形材料を得た。
実施例、比較例において作製したエポキシ樹脂成形材料としての粘度、硬化性、発熱量、曲げ弾性率を以下に示す方法で評価した。評価結果を表1に示した。
(粘度)
エポキシ樹脂成形材料の粘度として、E型粘度計(東機産業製)を用い、ロータの型式は3度コーンを用い、粘度測定温度は60℃、コーンの回転数は1rpmとして、測定した。
エポキシ樹脂成形材料の硬化性を示すパラメーターとして、「JIS C 2105 電気絶縁用無溶剤液状レジン試験方法」に記載された「ゲル化時間」に準じて、120℃及び150℃の熱板上でのゲル化時間を測定した。
エポキシ樹脂成形材料の発熱量を示すパラメーターとして、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ製 DSC−6100)を用い、昇温速度を10℃/minで、30℃から250℃まで加熱し、発熱量を測定した。
実施例、比較例において作製したエポキシ樹脂成形材料を用いて、射出成形機を用いて、連続でコイルを封止成形した際の成形性について、以下に示す方法で評価した。評価結果を表1に示した。
コイル(巻線径45μm、巻数4000)を収納したPPS製のケースを射出成形用金型のキャビティ内(40mm×40mm×高さ30mm)に配置し、減圧したPPS製のケース内にエポキシ樹脂成形材料を射出圧力3.5MPaで射出成形した。120℃、6分間硬化させた後、金型から取出した。
(コイルの封止成形2)
コイル(巻線径45μm、巻数4000)を射出成形用金型のキャビティ内(40mm×40mm×高さ30mm)に配置し、減圧した金型キャビティ内にエポキシ樹脂成形材料を射出圧力3.5MPaで射出成形した。120℃、6分間硬化させた後、金型から取出した。
コイルを封止成形した成形品(モールドコイル)の外観、モールドコイルの切断面を目視観察することにより、ボイド発生の有無を評価した。
モールドコイル切断面を目視観察することにより、ボビン変形の有無を評価した。
モールドコイルの切断面を研磨し、コイルの最深部に樹脂が含浸しているかを顕微鏡で観察することで、コイルへの樹脂の含浸性を評価した。
Claims (16)
- (A)エポキシ樹脂、(B)無機充填材及び(C)酸無水物系の硬化剤を含む樹脂組成物を混合及び/又は混練してなり、射出成形によりコイルを封入することによりモールドコイルを得ることができるエポキシ樹脂成形材料であって、
下記式(2)で表わされる前記(C)酸無水物系の硬化剤全体の見かけの酸無水物当量Aが230g/eq以上であることを特徴とするエポキシ樹脂成形材料。
A:酸無水物系の硬化剤全体の見かけの酸無水物当量
Aj:酸無水物jの酸無水物当量
WAj:酸無水物jの全酸無水物の重量分率 - 前記モールドコイルが最外部にケースを有しない構造であることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ樹脂成形材料。
- 下記式(1)で表わされる前記(A)エポキシ樹脂全体の見かけのエポキシ当量Eが230g/eq以上であり、かつ、前記式(2)で表わされる前記(C)酸無水物系の硬化剤全体の見かけの酸無水物当量Aが230g/eq以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂成形材料。
E:エポキシ樹脂全体の見かけのエポキシ当量
Ei:エポキシ樹脂iのエポキシ当量
WEi:エポキシ樹脂iの全エポキシ樹脂中の重量分率 - DSCにおける発熱量が90J/g以下であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
- E型粘度計を用いて、温度60℃、1rpmの条件で測定した際の粘度が1Pa・s以上、100Pa・s以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
- 120℃でのゲル化時間が60秒以上、300秒以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
- 150℃でのゲル化時間が15秒以上、100秒以下の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
- 前記(B)無機充填材が、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タルク及びマイカからなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
- 前記(B)無機充填材が、溶融シリカ、及び/又は結晶シリカであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
- 前記(B)無機充填材の配合量が、前記エポキシ樹脂成形材料全体の35体積%以上、70体積%以下であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
- 前記(A)エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の液状のエポキシ樹脂に、軟化点60℃以上、120℃以下の固形エポキシ樹脂を溶解させたエポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
- 前記(C)酸無水物系の硬化剤が、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料。
- (a)コイルを収納したケースを金型キャビティ内に設置する工程、
(b)射出成形機を用いて、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料を前記ケース内に加圧注入して前記コイルを封入する工程、
を有することを特徴とするモールドコイルの製造方法。 - (c)コイルを直接金型キャビティ内に設置する工程、
(d)射出成形機を用いて、請求項2から請求項12のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料を前記金型キャビティ内に加圧注入して前記コイルを封入する工程、
を有することを特徴とする最外部にケースを有しないモールドコイルの製造方法。 - (a)磁気コア、一次コイル及び二次コイルを備えたイグニッションコイルを収納したケースを金型キャビティ内に設置する工程、
(b)射出成形機を用いて、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料を前記ケース内に加圧注入して前記イグニッションコイルを封入する工程、を有することを特徴とするモールドコイルの製造方法。 - (c)磁気コア、一次コイル及び二次コイルを備えたイグニッションコイルを直接金型キャビティ内に設置する工程、
(d)射出成形機を用いて、請求項2から請求項12のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂成形材料を前記金型キャビティ内に加圧注入して前記イグニッションコイルを封入する工程、
を有することを特徴とする最外部にケースを有しないモールドコイルの製造方法。
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