JP2017193651A - 1液タイプのエポキシ樹脂組成物及びそれを用いた絶縁処理された電気電子部品の製造法 - Google Patents

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【課題】 電気電子部品に用いられる1液タイプのエポキシ樹脂の剥離、クラック、半田爆ぜを解消し、しかも、絶縁性、耐熱性に優れた1液タイプのエポキシ樹脂組成物を提供すると共にこれを用いて絶縁処理された電気電子部品の製造法を提供する。【解決手段】 (A)ビフェニル型多官能エポキシ樹脂、(B)液状エポキシ樹脂、(C)酸無水物、(D)イミダゾール又はその誘導体が、有機基により包接された硬化促進剤、及び(E)球状シリカを含む1液タイプのエポキシ樹脂組成物であって、(A)ビフェニル型多官能エポキシ樹脂の100質量部に対し、(B)液状エポキシ樹脂を6〜13質量部含む1液タイプのエポキシ樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、電気電子部品の絶縁処理に好適な1液タイプのエポキシ樹脂組成物及びこれを用いた電気電子部品の製造法に関する。
従来、エポキシ樹脂組成物は、優れた電気特性、機械特性、耐熱性、耐クラック性及び絶縁性を有するために、電気絶縁用、特に絶縁保護、高電圧特性(耐アーク性、耐トラッキング性)、耐熱性、耐クラック性等の向上を目的として、例えば、酸無水物硬化型エポキシ樹脂や、アミン系硬化型エポキシ樹脂に多量の充填材および難燃剤等を含んだエポキシ樹脂組成物が用いられている。
また、近年電気機器の小型軽量化および搭載される部品が、多種複雑化する傾向にある。特にその要求用途から各種小型化が進んだ電子部品が実装されつつある。これら電子部品の特徴は、細密集積化により実機の小型化を可能とするが、反面、熱衝撃に対し対象物から剥離しやすくなるという課題がある。
また、機器の信頼性向上に伴う部品の熱衝撃性向上の要求に対し、特に高電圧電気機器においては、部品をエポキシ樹脂で接着したり、被覆した場合、従来のエポキシ樹脂組成物では実機使用時に各部材より発生する熱応力の対策が不十分で、部品界面の剥離やそれに伴うクラックなどの問題が発生しており、耐クラック性を有するエポキシ樹脂組成物が要求されるようになってきている。さらに、近年、電子部品を半田実装する際、接合時に「半田爆ぜ」が発生しやすくなってきており、この熱に耐えうる性能が要求され、硬化後のガラス転移点温度の向上が求められるようになってきている。
「半田爆ぜ」は、半田により部品、基板等を相互に電気的に接続する場合、加熱したときに、部品、基板等にしみこんだ水分が蒸発し、その蒸気圧で半田がはじけ飛ぶ現象である。このような爆ぜが発生した場合、はじけ飛んだ半田が、電子部品やその他の実装部品、プリント配線に付着する事態が生じ、ショート不良等が発生してしまうという不具合が生じる。
この課題を解決するために、エポキシ組成物として特許文献1〜5に示す様な、可とう性エポキシを添加する(特許文献1、2)、ゴム成分を添加する(特許文献3、4)、エポキシを変性する(特許文献5)等の手法が提案されているが、ガラス転移点温度の低下に伴う耐熱耐久性の低下や線膨張係数の増加などの課題があり、更にはエポキシ組成物を硬化物にした際、吸水しやすくなり、電子部品を半田接合する際、半田爆ぜが発生する為、適用が難しい状況にある。
特許第2902356号公報 特許第2911157号公報 特開平5−295237号公報 特開平5―339472号公報 特開平5−140270号公報
本発明は、1液タイプのエポキシ樹脂組成物とする事で、剥離、クラック、半田爆ぜのような従来技術の問題を解決し、しかも絶縁性、耐熱性に優れた1液タイプのエポキシ樹脂組成物、及びこのエポキシ樹脂組成物を用いて絶縁処理された電気電子部品の製造法を提供するものである。
本発明は、(A)ビフェニル型多官能エポキシ樹脂、(B)液状エポキシ樹脂、(C)酸無水物、(D)イミダゾール又はその誘導体が、有機基により包接された硬化促進剤、及び(E)球状シリカを含む1液タイプのエポキシ樹脂組成物であって、(A)ビフェニル型多官能エポキシ樹脂の100質量部に対し、(B)液状エポキシ樹脂を6〜13質量部含む1液タイプのエポキシ樹脂組成物に関する。
また、本発明は、(B)成分の液状エポキシ樹脂が、脂環式エポキシ樹脂である上記の1液タイプのエポキシ樹脂組成物に関する。
さらに、本発明は、エポキシ樹脂組成物によって注型されてなる電気電子部品(電気・電子制御装置)であって、前記エポキシ樹脂組成物として上記の1液タイプのエポキシ樹脂組成物を用いたことを特徴とする電気電子部品(電気・電子制御装置)の製造法に関する。
本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物は、低粘度で実装作業性可能であり、硬化させた絶縁物が剥離やクラックを生じることなく、「半田爆ぜ」にも優れ、更に、電気・電子制御装置の材料として有用であり、絶縁性、耐熱性に優れる。この1液タイプのエポキシ樹脂組成物を用いることで前記特性を発揮した電気電子部品を製造することができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物は、耐剥離・耐クラック性で、「半田爆ぜ」を生じることなく、しかも耐熱性や低吸水性を得るために、少なくとも(A)ビフェニル型多官能エポキシ樹脂(以下、場合により「(A)成分」という)、(B)液状エポキシ樹脂(以下、場合により「(B)成分」という)、(C)酸無水物(以下、場合により「(C)成分」という)、(D)イミダゾール又はその誘導体が、有機基により包接された硬化促進剤(以下、場合により「(D)成分」という)、及び(E)球状シリカ(以下、場合により「(E)成分」という)を含有してなり、(A)ビフェニル型多官能エポキシ樹脂の100質量部に対し、(B)液状エポキシ樹脂を6〜13質量部含むことを特徴とする。以下、これらの構成要素について、順に説明する。
<(A)ビフェニル型多官能エポキシ樹脂>
本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物に含まれる(A)成分のビフェニル型多官能エポキシ樹脂としては、1分子中に少なくもと2個以上、好ましくは3個以上のエポキシ基を有する化合物が用いられる。前記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100〜1000g/eqであり、エポキシ当量が100〜500g/eqのものが好ましく、エポキシ当量が150〜350g/eqのものがより好ましい。
ビフェニル型エポキシ樹脂としてはたとえば下記一般式(I)、(II)で示されるエポキシ樹脂等が挙げられる。
Figure 2017193651

(上記一般式(I)中のR〜Rは全てが同一でも異なっていてもよく、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基、及び、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数6〜10のアラルキル基から選ばれ、なかでも水素原子とメチル基が好ましい。nは0〜10の整数を示す。)
ビフェニル型エポキシ樹脂としてはNC−3000、NC−3100(日本化薬株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である
Figure 2017193651

(一般式(II)中、R〜Rは水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜10の一価の炭化水素基及び置換又は非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基から選ばれ、全てが同一でも異なっていてもよい。nは0〜3の整数を示す。)
上記一般式(II)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂としては、たとえば、4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル又は4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと4,4´−ビフェノール又は4,4´−(3,3´,5,5´−テトラメチル)ビフェノールとを反応させて得られるエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも4,4´−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3´,5,5´−テトラメチルビフェニルを主成分とするエポキシ樹脂が好ましい。このような化合物としてはYX−4000、YL6121H(三菱化学株式会社製商品名)等が市販品として入手可能である。
ビフェニル型多官能エポキシ樹脂としては、特に制限はないが、エポキシ樹脂組成物を製造するにあたり120℃以下で液状となるものが好ましい。
<(B)液状エポキシ樹脂>
本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物に用いられる(B)成分の液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有し、室温(25℃)で、液状で流動性を示すエポキシ樹脂(エポキシ化合物)であれば良く、特に限定するものではないが、(B)成分の液状エポキシ樹脂としては、グリシジルエーテル系のエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールAのグリシジルエーテル、ビスフェノールFのグリシジルエーテル、ビスフェノールADのグリシジルエーテル、レゾルシンのグリシジルエーテル、グリセリンのグリシジルエーテル、ポリアルキレンオキサイドのグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAのグリシジルエーテル及びそれらのオリゴマー、さらにフェノールノボラックのグリシジルエーテル等に代表されるような、フェノール類、オルトクレゾール類及び/またはナフトール類等とホルマリン類との縮合体のエポキシ化物、脂肪族や芳香族アルデヒト類あるいはケトン類との縮合体のエポキシ化物、スチルベン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、例えば、アリサイクリックジエポキシアセタール、アリサイクリックジエポキシアジペート、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート等、エポキシ化ポリブタジエン等に代表される鎖状脂肪族エポキシ樹脂等が例示される。また、その他のエポキシ樹脂として、グリシジルエステル系のエポキシ樹脂、例えば、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、例えば、N,N−ジグリシジルアニリン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、複素環式エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、シリコーン変性エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリイミドまたはポリアミド変性エポキシ樹脂等が例示される。これらのエポキシ樹脂は、併用してもよい。
注型材料としたときの剥離、クラックの改善、そして粘度を適正な範囲内にするという観点では、脂環式エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
本発明で用いる(B)成分の液状エポキシ樹脂としては、1分子中に少なくもと2個以上のエポキシ基を有する化合物が用いられ、エポキシ当量が30〜1000g/eqであり、エポキシ当量が50〜500g/eqのものが好ましく、エポキシ当量が100〜300g/eqのものがより好ましい。
また、25℃粘度が1Pa・s以下であるものがより好ましく、前記のように脂環式エポキシ樹脂が好ましい。脂環式エポキシ樹脂として、アデカレジンEP−4085E(エポキシ当量:160g/eq)、EP−4085S(エポキシ当量:145g/eq)、EP−4088E(エポキシ当量:190g/eq)EP−4088S(エポキシ当量:170g/eq)、(以上、株式会社ADEKA製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート及びそのカプロラクトン変性物としては、セロキサイド2021、セロキサイド2021A、セロキサイド2021P(エポキシ当量:130〜145g/eq)、セロキサイド2080、セロキサイド2081(エポキシ当量:180〜220g/eq)、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE−3150(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物)(以上、ダイセル化学工業株式会社製)、サイラキュアUVR−6105、サイラキュアUVR−6107、サイラキュアUVR−6110(以上、ダウ・ケミカル日本株式会社製)、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル) 修飾ε-カプロラクトンとしてエポリードGT−300、エポリードGT−301、エポリードGT−302、エポリードGT−400、エポリード401、エポリード403(以上、ダイセル化学工業株式会社製)、環状脂肪族ジグリジルエ−テルであるZX−1658GS(新日鉄住金化学株式会社製、エポキシ当量:130〜145g/eq)、デナコールEX−252(水添BPA、エポキシ当量:213g/eq)(ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
<(C)酸無水物>
本発明に用いられる(C)成分の酸無水物としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサビドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フクル酸、ドデセニル無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ポリアゼライン酸ポリ無水物が挙げられる。市販品としてはHN−5500(3or4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、日立化成株式会社製)、リカシッドMH−700(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30、新日本理化株式会社製)、B−650(メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、DIC株式会社製)等が挙げられる。これらは併用して用いることができる。
酸無水物の使用量は、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基1当量当たり0.3〜3.0モルとされ、0.5〜2.0モルが好ましく0.8〜1.3モルの範囲がより好ましい。
<(D)イミダゾール又はその誘導体が、有機基により包接された硬化促進剤>
本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物は、球状シリカを混合する際の摩擦、熱に対しても安定性を付与する為、イミダゾール又はその誘導体をブロッキング材での修飾が必須であり、加熱によりブロッキング材が壊れると共に、イミダゾール又はその誘導体が硬化促進剤として作用する。ここでいうイミダゾール又はその誘導体とは、例えば、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾールが挙げられる。また。これらイミダゾール又はその誘導体を包接する有機基としては、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェートや、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート等が挙げられる。イミダゾール又はその誘導体が、有機基により包接された硬化促進剤の市販品としてはTIC−188(2−フェニル−4−メチルイミダゾールと1,1,2,2−テトラフェニルエタンの包接硬化促進剤、日本曹達株式会社製)等が挙げられる。
イミダゾール又はその誘導体が、有機基により包接された硬化促進剤の添加量は、酸無水物100質量部当たり0.01〜5.0質量部が好ましく、0.5〜3.0質量部がより好ましい。イミダゾール又はその誘導体が0.01質量部未満の場合、硬化性が低下する傾向にあり、5質量部を超える場合、充分な保管安定性が得られない。
<(E)球状シリカ>
本発明に用いられる(E)成分の球状シリカとしては、耐クラック性の観点から球状シリカとする。その平均粒径は、ハンドリング性の観点から0.1〜30μmの溶融シリカが望ましい。球状シリカの配合量は、配合する(A)〜(D)成分の総計に対して30〜500質量%であることが好ましく、40〜300質量%であることがより好ましく、50〜200質量%が更に好ましい。平均粒径30μm以下の球状シリカの配合量が30質量%未満であると、硬化物にしたときの線膨張係数に悪影響を及ぼし、500質量%を超えると粘度が上がり、作業性が低下する。球状シリカの市販品としては、S−COX31(株式会社マイクロン製、商品名)、アドマファインSO−25R(球状溶融シリカ、平均粒径0.5μm、株式会社アドマテックス製)、FB−3SDC(球状溶融シリカ、平均粒径3μm、デンカ株式会社製)等が挙げられる。
また、本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物には、必要に応じてシラン系、アルミ系あるいはチタン系等のカップリング剤を添加することができる。エポキシ樹脂組成物にカップリング剤を添加することにより、樹脂成分と被着材である球状シリカ等の充填材や電気電子部品との界面の濡れ性を向上させ、接着性を向上させることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、イミダゾリンシラン、N−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、N−3−(4−(3−アミノプロポキシ)ブトキシ)プロピル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアジンシラン等のアミノシラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、4−グリシジルブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロルシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類等が挙げられる。
また、チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等が挙げられる。
また、アルミネートカップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
また、本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物には、さらに、必要に応じて、赤リン、ヘキサブロモベンゼン、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水和金属、炭酸アンモニウム、トリアジン環含有化合物を等の含窒素系化合物等の難燃剤、ベンガラ、酸化第二鉄、カーボン、チタンホワイト等の着色剤、シリコーン剤等の消泡剤などを配合することができる。
本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物を用いて電気電子部品(電気・電子制御装置)を絶縁処理するには、エポキシ樹脂組成物を好ましくは30〜70℃に予熱し、好ましくは133.3Pa(1Torr)以下の減圧下で脱泡した後、電気・電子制御装置が搭載された実機に注入、若しくはスクリーン印刷し、好ましくは60〜170℃(より好ましくは80〜160℃)で1〜8時間、加熱硬化させればよい。
本発明の電気電子部品の製造法(絶縁処理法)の対象となる電気・電子制御機器としては、例えば、電子部品を実装する前の金属、セラミック等の機材、又は電子部品を実装した後に半田接合を行う電子制御機器等が挙げられる。このような機材、電子制御装置の製造に本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物を用いれば、耐熱性、耐クラック性、及び半田接合時における耐半田爆ぜに優れた電子制御装置の製造が可能となる。また、本発明の1液タイプのエポキシ樹脂組成物は粘度が低く、作業性に優れ、電気・電子制御装置を容易に製造することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって制限されるものではない。
(実施例1〜3及び比較例1〜3)
表1に示した配合組成及び配合量で各成分を配合し、実施例1〜3及び比較例1〜3の1液タイプのエポキシ樹脂組成物を調製した。
なお、表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
(a)ビフェニル型多官能エポキシ樹脂:NC−3000(ビフェニル−フェノール縮合型エポキシ樹脂、商品名、日本化薬株式会社製、エポキシ当量:277g/eq)
(b)ナフタレン型多官能エポキシ樹脂:NC−7000(フェノール骨格とナフトール骨格を有するノボラック型エポキシ樹脂、商品名、日本化薬株式会社製、エポキシ当量:227g/eq)
(c)ジシクロペンタジエン型多官能エポキシ樹脂:XD−1000(商品名、日本化薬株式会社製、エポキシ当量:254g/eq)
(d)ジシクロペンタジエン型液状エポキシ樹脂:EP4088S(商品名、株式会社ADEKA製、エポキシ当量:164g/eq)
(e)3or4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸:HN-5500(商品名、日立化成株式会社製、中和当量:84.0)
(f)有機基包接イミダゾール:TIC−188(商品名、日本曹達株式会社製)
(g)γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン:KBM−403(商品名、信越化学工業株式会社製)
(h)シリコーン消泡剤:KS603(商品名、信越化学工業株式会社製)
(i)球状シリカ:FB−3SDC(商品名、デンカ株式会社製、平均粒径3μm)
(1液タイプのエポキシ樹脂組成物の混合方法)
予め120℃に加温した(a)〜(c)のエポキシ樹脂、及び(d)ジシクロペンタジエン型液状エポキシ樹脂を十分に混合した後、予め80℃に加温した(e)3or4-メチル-ヘキサヒドロ無水フタル酸、(g)3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、及び(h)シリコーン消泡剤を配合して十分に混合して液状化した。その後、(f)有機基包接イミダゾール及び(i)球状シリカを配合して、ヤマト科学株式会社製LAB−STIRRER(LR500B)を使用して500回転/分(rpm)で10分間混合した。
(25℃粘度)
実施例1〜3及び比較例1〜3の、25℃における粘度を、E型粘度計を用いて測定した。その結果を表1に示した。この値が100Pa・s以下であれば印刷塗工時の作業性が良好と言える。
(ガラス転移点温度)
各エポキシ樹脂組成物を離型処理した金属シャーレ(直径60mm、高さ20mm)に注型し、133.3Pa(1Torr)で5分脱泡した。その後、150℃環境下で3時間静置し、硬化物を得た。これを縦3mm、横3mm、高さ3mmの大きさに切断、研磨して試験片とした。この試験片を、熱機械分析装置(株式会社リガク製TMA8310)を用い、30〜200℃の温度範囲でガラス転移点温度を測定、評価した。この値が150℃以上であると、電子部品とした時の耐熱耐久性が優れる。
(耐クラック性)
離型処理した金属シャーレ(直径60mm、高さ20mm)に、C型ワッシャー(直径約23mm)を静置した。各エポキシ樹脂組成物を注型して133.3Pa(1Torr)で5分脱泡した。その後、150℃環境下で3時間静置し、硬化物を得た。得られた硬化物は、金属シャーレから取り出した後、[−40℃、1時間⇔130℃、1時間]の条件で、耐ヒートサイクル性を評価した。100サイクル以上でクラックの発生が無ければ、耐ヒートサイクル性が良好といえる。100サイクルでクラックが発生しないものを「○」、クラックが発生したものを「×」として評価した。
(吸水率の測定)
各エポキシ樹脂組成物を離型処理した金属シャーレ(直径60mm、高さ20mm)に注型し、133.3Pa(1Torr)で5分脱泡した。その後、150℃環境下で3時間静置し、硬化物を得た。得られた硬化物は、金属シャーレから取り出した後、85℃、85%RH環境下で、168h静置した。静置前後の重量比から吸水率を算出した。吸水率が0.5質量%未満であれば、半田接合時における耐半田爆ぜ性が良好といえる。
(耐半田爆ぜ性)
85℃、85%RH、168h後の吸水率を算出した後、予め260℃に加温したシリコーンオイルに5秒間浸漬させる。その際、硬化物から気泡の発生の有無を目視で観察した。気泡発生が無ければ、半田接合時における耐半田爆ぜ性が良好といえる。気泡の発生が認められたものを「×」、気泡の発生が認められないものを「○」として評価し、その結果を表1に示した。
Figure 2017193651
(A)ビフェニル型多官能エポキシ樹脂の100質量部に対し、(B)液状エポキシ樹脂の配合が6〜13質量部を外れる比較例1は、粘度は低いが、ガラス転移温度がやや低く、吸水率が高く耐半田爆ぜ性に劣る。また、(A)ビフェニル型多官能エポキシ樹脂を用いない比較例2、3は、吸水率が高く耐半田爆ぜ性に劣る。
これに対し、(A)から(E)成分を用い。(A)成分100質量部に対する(B)成分の配合が6〜13質量部である実施例1〜3は、ガラス転移温度が高く、耐クラック性に優れ、吸水率が低く耐半田爆ぜ性に優れる。

Claims (3)

  1. (A)ビフェニル型多官能エポキシ樹脂、(B)液状エポキシ樹脂、(C)酸無水物、(D)イミダゾール又はその誘導体が、有機基により包接された硬化促進剤、及び(E)球状シリカを含む1液タイプのエポキシ樹脂組成物であって、(A)ビフェニル型多官能エポキシ樹脂の100質量部に対し、(B)液状エポキシ樹脂を6〜13質量部含む1液タイプのエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記(B)成分の液状エポキシ樹脂が、脂環式エポキシ樹脂である請求項1に記載の1液タイプのエポキシ樹脂組成物。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の1液タイプのエポキシ樹脂組成物を用いて電気電子部品を注型する電気電子部品の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018002943A (ja) * 2016-07-06 2018-01-11 日立化成株式会社 エポキシ樹脂組成物及び電気電子部品の製造法
CN116179131A (zh) * 2023-03-20 2023-05-30 广州聚合新材料科技股份有限公司 一种底部填充胶及其制备方法与应用

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