JP7330404B1 - 熱伝導性樹脂組成物、熱伝導性シートおよびその製造方法、熱伝導性硬化物およびその製造方法、パワーモジュール、ならびに、モータのステータ - Google Patents

熱伝導性樹脂組成物、熱伝導性シートおよびその製造方法、熱伝導性硬化物およびその製造方法、パワーモジュール、ならびに、モータのステータ Download PDF

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Abstract

メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂粒子と、硬化剤と、熱伝導性無機フィラーと、分子量が10000以上のポリマーと、を含む熱伝導性樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂粒子の平均粒径は、前記熱伝導性無機フィラーの平均粒径よりも小さく、前記ポリマーのガラス転移温度は、100℃以下であり、前記エポキシ樹脂粒子、前記硬化剤および前記ポリマーの含有量に対する前記ポリマーの含有率は、10質量%以上40質量%以下である。

Description

本開示は、熱伝導性樹脂組成物、熱伝導性シートおよびその製造方法、熱伝導性硬化物およびその製造方法、パワーモジュール、ならびに、モータのステータに関する。
モータやパワーモジュール等の電気機器においては、小型化や高出力化が進んでおり、用いられる絶縁材料には高い放熱性能が求められている。絶縁材料には、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂に無機フィラーを充填した樹脂複合材料が用いられているが、材料の熱伝導率を向上させるため、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の熱伝導率の高い無機フィラーが広く用いられている。一方、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂は熱伝導率が低く、放熱経路において熱抵抗となるという問題がある。そのため、樹脂中にビフェニル骨格のようなメソゲン骨格等を導入した高熱伝導性樹脂の適用が検討されている。
例えば、ビフェニル骨格を有するビフェニル型エポキシ樹脂硬化物の熱伝導率は、汎用のビスフェノールA型エポキシ樹脂硬化物に比べて、約1.5倍の値を示す。しかし、メソゲン骨格を有する高熱伝導性樹脂は、結晶性が高いために融点が高く(常温固形)、溶剤にも溶け難いため生産性(作業性)に問題がある。特に、硬化前の樹脂複合材料を連続的にシート状に加工する工程で、樹脂複合材料は柔軟性が低いために脆く、樹脂割れや基材からの剥離等が生じる。そのため、高熱伝導性樹脂を樹脂複合材料のマトリクス樹脂として使用する場合には、硬化前のシート状に加工した樹脂複合材料の可とう性の向上や製造プロセスの改善等が望まれている。
例えば、特開2012-67205号公報(特許文献1)では、高熱伝導性樹脂の結晶化を抑制するために、二量体や三量体にオリゴマー化したエポキシ樹脂を混合する手法が開示されている。また、特開2013-6893号公報(特許文献2)では、高熱伝導性粒子、メソゲンを有するエポキシ樹脂モノマーとエポキシ樹脂用硬化剤とを含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物、および、分子量1万以上の高分子量成分を含む高熱伝導樹脂組成物であって、熱硬化性エポキシ樹脂組成物と、高分子量成分とが硬化後に相分離することを特徴とする高熱伝導樹脂組成物が開示されている。
特開2012-67205号公報 特開2013-6893号公報
しかしながら、特許文献1のようにオリゴマー化を実施するには予備反応が必要となり、反応制御も難しいという問題がある。そのため、生産性や可とう性に改善の余地がある。
また、特許文献2では、メソゲンを有するエポキシ樹脂モノマーの粒径が大きい場合、硬化中にエポキシ樹脂と高熱伝導性粒子とが均一に混ざり難くなる。その結果、硬化物中に樹脂だまり部分が形成されると共に、高熱伝導性粒子部分はエポキシ樹脂が不足し、空孔になるという問題がある。そのため、熱伝導性や絶縁性に改善の余地がある。
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、熱伝導性および絶縁性に優れた熱伝導性樹脂組成物および熱伝導性硬化物を提供すること,ならびに、可とう性に優れた熱伝導性シートを提供することを目的とする。
また、熱伝導性に優れたパワーモジュールおよびモータのステータを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱伝導性無機フィラーをメソゲン骨格を有するエポキシ樹脂粒子中に充填した熱硬化性樹脂組成物において、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂粒子の平均粒径を熱伝導性無機フィラーの平均粒径よりも小さくし、これらを結着するための可とう性のポリマーを配合することで、可とう性、熱伝導性および絶縁性に優れた樹脂組成物を得られることを見出した。また、本発明者らは、該樹脂組成物を熱等で硬化すると熱伝導性無機フィラーが均一に分散し、ボイド混入のない、熱伝導性および絶縁性に優れた硬化物が得られることを見出した。
本開示は、以下の熱伝導性樹脂組成物、熱伝導性シート、熱伝導性硬化物、パワーモジュールおよびモータのステータに関する。
メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂粒子と、硬化剤と、熱伝導性無機フィラーと、分子量が10000以上のポリマーと、を含む熱伝導性樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂粒子の平均粒径は、前記熱伝導性無機フィラーの平均粒径よりも小さく、
前記ポリマーのガラス転移温度は、100℃以下であり、
前記エポキシ樹脂粒子、前記硬化剤および前記ポリマーの含有量に対する前記ポリマーの含有率は、10質量%以上40質量%以下である、熱伝導性樹脂組成物。
上記熱伝導性樹脂組成物を含む、熱伝導性シート。
上記熱伝導性シートを硬化させてなり、比重率が95%以上である、熱伝導性硬化物。
一方の放熱部材に搭載された電力半導体素子と、前記電力半導体素子で発生する熱を外部に放熱することのできる他方の放熱部材と、前記電力半導体素子で発生する熱を前記一方の放熱部材から前記他方の放熱部材に伝達することのできる上記熱伝導性硬化物と、を備える、パワーモジュール。
磁性体から形成されたステータコアと、巻線が巻き付けられて形成されたコイルと、上記熱伝導性硬化物と、を備え、
前記熱伝導性硬化物は、前記ステータコアと前記コイルとの間に介在する、モータのステータ。
本開示によれば、熱伝導性および絶縁性に優れた熱伝導性樹脂組成物および熱伝導性硬化物を提供すること,ならびに、可とう性に優れた熱伝導性シートを提供することができる。
また、本開示によれば、熱放散性に優れたパワーモジュールおよびモータのステータを提供することができる。
図1は、実施の形態1における熱伝導性シートの断面模式図である。 図2は、実施の形態4におけるパワーモジュールの断面模式図である。
以下、本開示の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
<熱伝導性樹脂組成物>
本実施の形態の熱伝導性樹脂組成物は、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂粒子と、硬化剤と、熱伝導性無機フィラーと、分子量が10000以上のポリマーと、を含む。エポキシ樹脂粒子の平均粒径は、熱伝導性無機フィラーの平均粒径よりも小さい。ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、100℃以下である。エポキシ樹脂粒子、硬化剤およびポリマーの含有量に対するポリマーの含有率は、10質量%以上40質量%以下である。
(エポキシ樹脂粒子(A))
本実施の形態の熱伝導性樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂粒子(A)は、メソゲン骨格を有し、1分子あたり2個以上のエポキシ基を有する化合物である。ここで、メソゲン骨格とは、液晶性を示す骨格を指し、例えば、安息香酸フェニル、ビフェニル、シアノビフェニル、ターフェニル、シアノターフェニル、フェニルベンゾエート、アゾベンゼン、ジアゾベンゼン、アニリンベンジリデン、アゾメチン、アゾキシベンゼン、スチルベン、フェニルシクロヘキシル、ビフェニルシクロヘキシル、フェノキシフェニル、ベンジリデンアニリン、ベンジルベンゾエート、フェニルピリミジン、フェニルジオキサン、ベンゾイルアニリン、および、これらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、熱伝導性の観点から、安息香酸フェニル、ビフェニル、スチルベン、ジアゾベンゼン、アニリンベンジリデンおよびこれらの誘導体であることが好ましい。メソゲン骨格は、1側鎖内に少なくとも1つあればよく、2つ以上あってもよい。
エポキシ樹脂粒子(A)の平均粒径は、後述する熱伝導性無機フィラー(B)の平均粒径よりも小さい。エポキシ樹脂粒子(A)の平均粒径が熱伝導性無機フィラー(B)の平均粒径よりも大きい場合、熱伝導性樹脂組成物の柔軟性が不十分となるおそれがある。また、エポキシ樹脂粒子(A)の平均粒径が熱伝導性無機フィラー(B)の平均粒径よりも大きい場合、熱伝導性樹脂組成物の硬化中にエポキシ樹脂粒子(A)と熱伝導性無機フィラー(B)とが均一に混合し難くなる。その結果、硬化物中にエポキシ樹脂粒子(A)の樹脂だまり部分が形成されると共に、熱伝導性無機フィラー(B)部分は樹脂不足になり、ボイドが発生し、不均一な硬化物となるため、硬化物の熱伝導性および絶縁性が大きく低下するおそれがある。エポキシ樹脂粒子(A)の平均粒径は、0.1μm以上30μm以下であることが好ましい。また、エポキシ樹脂粒子(A)の平均粒径は、熱伝導性無機フィラー(B)の平均粒径の1/4以下であることがより好ましい。
ここで、本実施の形態の熱伝導性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂粒子(A)および熱伝導性無機フィラー(B)の平均粒径は、レーザ回折・散乱法によって測定された体積基準の粒度分布において、積算値50%での粒径(D50)を意味する。例えば、堀場製作所社製のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置、LA-910が使用されてもよい。
エポキシ樹脂粒子(A)は、ボールミル、ジェットミル、ローラーミル、遊星ミル、ビーズミル、ライカイ機、打錠機等を用いて、乾式・湿式粉砕により予め粉砕したものを用いてもよい。
(硬化剤)
本実施の形態の熱伝導性樹脂組成物は、硬化剤を含む。硬化剤としては、特に制限はないが、例えば、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノール硬化剤、エポキシ樹脂粒子(A)の自己重合反応を促進する触媒(以下、「自己重合反応促進剤」とも称する。)等が挙げられる。これらの中でも、単位質量当たりのメソゲン骨格の割合を増加させる自己重合反応促進剤が好ましい。なお、自己重合反応促進剤は、エポキシ樹脂粒子(A)と他の硬化剤との硬化反応を促進するため、他の硬化剤と併用してもよい。
アミン硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(DICY)、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、ジメチルベンジルアミン、トリエチレンテトラミン、エチレンジアミン、ポリアミドアミン等が挙げられる。これらのアミン硬化剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されない。
酸無水物硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、4-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデセニル無水コハク酸、無水ピロリメット酸等が挙げられる。これらの酸無水物硬化剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されない。
フェノール硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック、o-クレゾールノボラック、p-クレゾールノボラック、t-ブチルフェノールノボラック、ジシクロペンタジエンクレゾール、ポリパラビニルフェノール、ビスフェノールA型ノボラック、キシリレン変性ノボラック、デカリン変性ノボラック、ポリ(ジ-o-ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ-m-ヒドロキシフェニル)メタン、ポリ(ジ-p-ヒドロキシフェニル)メタン、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、ビフェニル型フェノール、メラミン骨格を有するフェノール樹脂、トリアジン骨格を有するフェノール樹脂、アリル基を有するフェノール樹脂等のフェノール樹脂が挙げられる。これらのフェノール硬化剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されない。
自己重合反応促進剤としては、エポキシ樹脂粒子(A)の自己重合反応を促進させる作用を有するものであれば特に制限はなく、例えば、イミダゾール硬化促進剤、アミン硬化促進剤、リン硬化促進剤等が挙げられる。これらの自己重合反応促進剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、耐熱性が高いという観点から、イミダゾール硬化促進剤およびリン硬化促進剤からなる群から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
イミダゾール硬化促進剤としては、例えば、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、1-ビニル-2-メチルイミダゾール、1-プロピル-2-メチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノメチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾールや、マスク化イミダゾール類等が挙げられる。
アミン硬化促進剤としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、テトラメチルブタンジアミン、テトラメチルペンタンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、トリエチレンジアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチルトルイジン、N,N-ジメチルアニシジン、ピリジン、ピコリン、キノリン、N-メチルピペリジン、N,N-ジメチルピペラジン、1,8-ジアザビシクロ-[5,4,0]-7-ウンデセン(DBU)等が挙げられる。
リン硬化促進剤としては、アルキルホスフィン、ジアルキルホスフィン、トリアルキルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の第一、第二、第三オルガノホスフィン化合物、(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,4-(ジフェニルホスフィノ)ブタン等のホスフィノアルカン化合物、トリフェニルジホスフィン等のジホスフィン化合物とトリオルガノボランとの塩、トリフェニルホスフィン-トリフェニルボラン等のトリオルガノホスフィンとトリオルガノボランとの塩、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラオルガノホスホニウム・テトラオルガノボレート、第一、第二、第三ベンジルホスフィン、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(p-メチルフェニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルジホスフィン、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムヒドロキサイド40%水溶液、テトラブチルホスホニウムアセテート40%溶液、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、n-ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリボレート、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボレート、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン、ジフェニルホスフィノスチレン、ジフェニルホスフィノクロライド、トリ-n-オクチルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイド、ジフェニルホスフィニルハイドロキノン等が挙げられる。
アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノール硬化剤等の自己重合反応促進剤以外の硬化剤の含有量は、全エポキシ樹脂粒子(A)中のエポキシ基1当量に対して、硬化剤の官能基が0.3~2.0当量となる量にすればよい。
自己重合反応促進剤の含有量は、エポキシ樹脂粒子(A)100質量部に対して、0.01~10質量部である。
(熱伝導性無機フィラー(B))
本実施の形態の熱伝導性樹脂組成物は、熱伝導性無機フィラー(B)を含む。熱伝導性無機フィラー(B)を含むことにより、熱伝導性および絶縁性に優れた熱伝導性樹脂組成物を得ることができる。
本実施の形態の熱伝導性樹脂組成物に含まれる熱伝導性無機フィラー(B)は、熱伝導性を向上させる観点から、その熱伝導率が5W/(m・K)以上であることが好ましい。熱伝導性無機フィラー(B)の熱伝導率が5W/(m・K)未満の場合、熱伝導性樹脂組成物の放熱性能が不十分となるおそれがある。
このような熱伝導性無機フィラー(B)としては、例えば、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化インジウムすず(ITO)、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の金属酸化物粒子、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物粒子、炭化珪素、黒鉛、ダイヤモンド、非晶カーボン、カーボンブラック、炭素繊維等の炭素化合物粒子、石英、石英ガラス等のシリカ化合物粉類等が挙げられる。これらの中でも、絶縁性の観点から、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、石英、石英ガラス等が好ましい。
熱伝導性無機フィラー(B)の平均粒径は、前述のように、エポキシ樹脂粒子(A)の平均粒径よりも大きい。熱伝導性無機フィラー(B)の平均粒径は、10~80μmであることが好ましく、10~60μmであることがより好ましい。熱伝導性無機フィラー(B)の平均粒径が10μm未満の場合、熱伝導性樹脂組成物中での分散が困難になり、熱伝導性の向上効果が低下するおそれがある。熱伝導性無機フィラー(B)の平均粒径が80μmを超える場合、シート状に成形したときに表面荒れが発生しやすくなり、可とう性が低下するおそれがある。
熱伝導性無機フィラー(B)の含有率は、熱伝導性樹脂組成物全体に対して、20~80体積%であり、30~70体積%であることが好ましい。熱伝導性無機フィラー(B)の含有率が20体積%未満の場合、所望の熱伝導性を有する熱伝導性樹脂組成物が得られないおそれがある。熱伝導性無機フィラー(B)の含有率が80体積%を超える場合、熱伝導性樹脂組成物中での分散が困難になり、作業性や成形性に支障を生じるおそれがある。
本実施の形態の熱伝導性樹脂組成物は、熱伝導性無機フィラー(B)および熱伝導性樹脂組成物の濡れ性の改善、熱伝導性無機フィラー(B)とエポキシ樹脂粒子(A)との界面の補強、熱伝導性無機フィラー(B)の分散性の向上等の観点から、カップリング剤を含んでいてもよい。このようなカップリング剤としては、例えば、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのカップリング剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されない。
カップリング剤の含有量は、使用する熱伝導性無機フィラー(B)やカップリング剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、一般的に、100質量部の熱伝導性無機フィラー(B)に対して、0.01~10質量部である。
(ポリマー(C))
本実施の形態の熱伝導性樹脂組成物は、分子量が10000以上であり、かつ、Tgが100℃以下であるポリマー(C)を含む。このようなポリマー(C)を含むことにより、可とう性に優れた熱伝導性樹脂組成物を得ることができる。
このようなポリマー(C)としては、熱可塑性樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらのポリマー(C)は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されない。これらの中でも、柔軟性や塗工性等の可とう性の観点から、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型骨格、ビスフェノールF型骨格、ビスフェノールA/F型骨格、ビフェニル骨格、可とう性骨格、剛直骨格を有するフェノキシ樹脂等が挙げられる。これらのフェノキシ樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されない。
アクリル樹脂としては、例えば、下記式(1)で表されるモノマーの重合体であってもよい。
CH=C(R)COOR・・・(1)
上記式(1)中、Rは水素原子またはメチル基等を表し、Rは、メチル基、エチル基、グリシジル基またはヒドロキシエチル基等を表す。
また、ポリマー(C)としては、ビニルモノマーから重合された重合体であってもよい。ビニルモノマーから重合された重合体の主鎖を構成するモノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸およびその塩等のスチレン系モノマー、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-tert-ブチル、(メタ)アクリル酸-n-ペンチル、(メタ)アクリル酸-n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸-n-オクチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸-2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジ(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチル、(メタ)アクリル酸2-トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類等が挙げられる。これらのビニルモノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されない。これらのビニルモノマーの中でも、得られる重合体の熱伝導性の観点から、(メタ)アクリル酸系モノマー、芳香族ビニル系モノマーが好ましい。
ポリマー(C)がビニルモノマーから重合された重合体である場合、熱伝導性樹脂組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、例えば、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類等の有機過酸化物、これらの有機過酸化物と、金属塩やアミン類等の還元剤との組合せ、等が挙げられる。これらの重合開始剤の中でも、低い温度でも効率よくラジカルを発生することができるハイドロパーオキサイド類と金属塩との組合せ、ケトンパーオキサイド類と金属塩との組合せが好ましい。ハイドロパーオキサイド類としては、例えば、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。ケトンパーオキサイド類としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等が挙げられる。金属塩としては、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等のコバルト塩、五酸化バナジウム等のバナジウム化合物等が挙げられる。
重合開始剤の含有量は、使用するビニルモノマーおよび重合開始剤の種類にもよるが、ビニルモノマー100質量部に対して、0.01~10質量部であることが好ましい。
ポリマー(C)の分子量は、10000以上である。ポリマー(C)の分子量が10000未満の場合、成膜性に劣ると共に、熱伝導性樹脂組成物のタック性が上昇し、基材から剥がれ難くなるおそれや、シート状にして重ねた際にシート同士が貼りつき剥がれ難くなるおそれがある。ポリマー(C)の分子量は、10000以上であれば特に制限はなく、20000以上であってもよく、30000以上であってもよい。また、ポリマー(C)の分子量は、エポキシ樹脂粒子(A)との相溶性の観点から、例えば、100000以下であってもよい。
なお、本実施の形態において、分子量とは、ポリマー(C)が重合体ではない場合、および、ポリマー(C)の構造式が特定できる場合は、構造式から算出できる分子量を意味し、ポリマー(C)が重合体である場合は、重量平均分子量(Mw)を意味する。
Mwは、分子量既知の標準物質であるポリスチレンを用いて較正されたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される。測定装置として、例えば、GCP装置(東ソー(株)製 HLC-8320GPC)が準備される。試験条件は、以下の通りである。
[試験条件]
カラム :TSKgel SuperHタイプ
カラム温度:40℃
媒体 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :10mL/min
濃度 :0.1mg/mL
注入量 :10μL
ポリマー(C)のTgは、100℃以下である。ポリマー(C)のTgが100℃を超える場合、熱伝導性樹脂組成物に十分な可とう性を付与することができない。ポリマー(C)のTgは、70℃以下であることが好ましい。
Tgは、例えば、次の手順で測定され得る。測定装置として、例えば、示差走査熱量測定(DSC)装置((株)日立ハイテクサイエンス社製 X-DSC7000)が準備される。試験条件は、以下の通りである。
[試験条件]
測定温度:-30~200℃
昇温速度:10℃/min
エポキシ樹脂粒子(A)、硬化剤およびポリマー(C)の含有量に対するポリマー(C)の含有率は、10~40質量%であり、10~30質量%であることが好ましい。ポリマー(C)の含有率が10質量%未満の場合、熱伝導性樹脂組成物への可とう性付与が不十分となる。ポリマー(C)の含有率が40質量%を超える場合、エポキシ樹脂粒子(A)や熱伝導性無機フィラー(B)の作用を妨げるため、熱伝導性が低下する。
<熱伝導性樹脂組成物の製造方法>
本実施の形態の熱伝導性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されることはなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、本実施の形態の熱伝導性樹脂組成物は、以下のようにして製造することができる。
まず、エポキシ樹脂粒子(A)、硬化剤、熱伝導性無機フィラー(B)、ポリマー(C)を混合する。なお、有機溶剤を加えて混合してもよい。次に、この混合物をミキサー、3本ロール、ニーダ、高速攪拌装置等の装置を用いて混練することによって熱伝導性樹脂組成物を得ることができる。なお、熱伝導性樹脂組成物にカップリング剤や重合開始剤を用いる場合、上述の装置にて混練する前に添加すればよい。
有機溶剤としては、特に限定されることはなく、使用するエポキシ樹脂粒子(A)や熱伝導性無機フィラー(B)の種類等に応じて公知のものを適宜選択すればよい。有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2-ジメトキベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、酢酸エチル、tert-ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレンブリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて使用する場合には、その組み合わせは特に限定されない。
なお、混合前に、エポキシ樹脂粒子(A)の原料を粉砕してもよい。これにより、所望の平均粒径を有するエポキシ樹脂粒子(A)を製造することができる。粉砕は、例えば、ボールミル、ジェットミル、ローラーミル、遊星ミル、ビーズミル、ライカイ機、打錠機等を用いた、乾式・湿式粉砕等が挙げられる。また、エポキシ樹脂粒子(A)の原料を、例えば、乳鉢等を用いて粉砕した後、上述の装置等を用いてさらに細かく粉砕してもよい。粉砕の際は、有機溶剤を添加してもよい。
実施の形態2.
<熱伝導性シート>
本実施の形態の熱伝導性シートは、実施の形態1の熱伝導性樹脂組成物を含むものである。例えば、実施の形態1の熱伝導性樹脂組成物をシート化したものであってもよい。また、本実施の形態において、熱伝導性シートは、完全に硬化されていないシート状のものを指す。
図1は、本実施の形態に係る熱伝導性シートを示す断面模式図である。図1において、熱伝導性シート1は、熱伝導性無機フィラー3と、熱伝導性無機フィラー3より平均粒径が小さい、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂粒子2とがランダムに混合されて分散している。これらの熱伝導性無機フィラー3とエポキシ樹脂粒子2とを、分子量が10000以上のポリマー4で繋ぎ合わせている。
<熱伝導性シートの製造方法>
本実施の形態の熱伝導性シートは、実施の形態1に記載の熱伝導性樹脂組成物を基材に塗工して、エポキシ樹脂粒子(A)の融点以下の温度で乾燥させることで製造することができる。
例えば、熱伝導性樹脂組成物を離型処理された基材に塗工する。塗工は、例えば、ドクターブレード、ロールコータ、コンマコータ、ダイコータ等により行えばよい。
基材としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂シートや銅箔等の金属板が挙げられる。
塗布した熱伝導性樹脂組成物の乾燥は、エポキシ樹脂粒子(A)の融点以下の温度で行えばよく、例えば、周囲温度で行えばよい。乾燥温度および時間は、使用するエポキシ樹脂粒子(A)の種類によって適宜設定すればよい。
また、乾燥によって得られた熱伝導性シートを、加圧してもよい。熱伝導性シート中にはボイドが残存している場合があり、これにより熱伝導性や絶縁性が低下する。したがって、加圧により、熱伝導性シート中のボイドの残存を抑制することができると考えられる。
加圧時の圧力、温度、時間等の条件は、使用するエポキシ樹脂粒子(A)および熱伝導性無機フィラー(B)によって適宜設定すればよい。例えば、圧力は0.1~40MPaとしてもよい。圧力が低すぎる場合、ボイドを十分に除去することができないおそれがあり、圧力が高すぎる場合、エポキシ樹脂粒子(A)が流れ出すおそれがある。また、温度は80~250℃、時間は1分~10時間としてもよい。
また、本実施の形態の熱伝導性シートは、以下のように製造してもよい。すなわち、本実施の形態の熱伝導性シートの製造方法は、エポキシ樹脂粒子(A)、硬化剤、熱伝導性無機フィラー(B)、ポリマー(C)および有機溶剤を混合してスラリーを形成する工程(スラリー形成工程)と、スラリーを基材に塗工する工程(塗工工程)と、スラリー中の有機溶剤を加熱乾燥によって除去する工程(加熱乾燥工程)と、を備え、加熱乾燥は、有機溶剤の揮発温度以上エポキシ樹脂粒子(A)の融点以下の温度で実施される。以下、各工程の説明をする。
(スラリー形成工程)
本工程では、例えば、エポキシ樹脂粒子(A)、硬化剤、熱伝導性無機フィラー(B)およびポリマー(C)を有機溶剤を用いて混合し、スラリーを形成する。混合方法は、実施の形態1に記載の通りである。
また、例えば、エポキシ樹脂粒子(A)を有機溶剤に混合して撹拌後、硬化剤、熱伝導性無機フィラー(B)およびポリマー(C)を添加して混合してもよく、エポキシ樹脂粒子(A)および硬化剤を有機溶剤に混合して撹拌後、熱伝導性無機フィラー(B)およびポリマー(C)を添加して混合してもよい。
(塗工工程)
本工程では、スラリーを、例えば、離型処理された基材に塗工する。塗工方法および基材は、上述の通りである。
(加熱乾燥工程)
本工程では、スラリー中の有機溶剤を加熱乾燥によって除去することで、熱伝導性シートを得る。加熱乾燥は、有機溶剤の揮発温度以上エポキシ樹脂粒子(A)の融点以下の温度で実施される。このような温度領域で加熱乾燥を行うことにより、有機溶剤を効率的に除去することができる。
ここで、有機溶剤の揮発温度は、熱重量測定によりスラリーの重量が減少し始める温度とし、エポキシ樹脂粒子(A)の融点は、DSCにより求める温度とする。
本工程における温度および時間は、使用するエポキシ樹脂粒子(A)や有機溶剤の種類によって適宜設定すればよい。
(粉砕工程)
本実施の形態の熱伝導性シートの製造方法は、スラリー形成工程の前に、エポキシ樹脂粒子(A)の原料を粉砕する粉砕工程を備えていてもよい。粉砕方法は、実施の形態1に記載の通りである。
(加圧工程)
本実施の形態の熱伝導性シートの製造方法は、加熱乾燥工程の後に、加圧工程を備えていてもよい。本工程の条件は、上述の通りである。
実施の形態3.
<熱伝導性硬化物>
本実施の形態の熱伝導性硬化物は、実施の形態2の熱伝導性シートを硬化させてなり、比重率が95%以上である。熱伝導性硬化物の比重率が95%未満である場合、絶縁性および熱伝導性が低下するおそれがある。熱伝導性硬化物の比重率は、97%以上であることが好ましい。なお、熱伝導性硬化物は、実施の形態1の熱伝導性樹脂組成物を硬化させてなるものでもよい。
ここで、比重率は、アルキメデス法によって測定した熱伝導性硬化物の比重を、熱伝導性硬化物の理論比重で割り、100倍すること((熱伝導性硬化物の測定比重/熱伝導性硬化物の理論比重)×100)により算出される。具体的には、熱伝導性硬化物の測定比重は、熱伝導性硬化物の一部分を切り取り、電子天秤にて乾燥後質量および水中(純水)質量を測定し、測定時の水温より純水の密度を求めることで算出される。また、熱伝導性硬化物の理論比重は、熱伝導性硬化物を構成する成分が有する密度および配合割合から算出される。
<熱伝導性硬化物の製造方法>
本実施の形態の熱伝導性硬化物は、実施の形態2の熱伝導性シートを、エポキシ樹脂粒子(A)の融点以上の温度に加熱することで得られる。ただし、基材や熱伝導性硬化物の劣化を抑制する観点から、300℃以下で加熱することが好ましい。
また、加熱と同時に加圧処理を行ってもよい。熱伝導性硬化物中にはボイドが残存している可能性があり、これにより熱伝導性や絶縁性が低下する。したがって、加圧処理を行うことで、熱伝導性硬化物中のボイドの残存を抑制することができると考えられる。
加圧処理における圧力、温度、時間等の条件は、使用するエポキシ樹脂粒子(A)および熱伝導性無機フィラー(B)によって適宜設定すればよい。例えば、圧力は0.1~40MPaとしてもよい。圧力が低すぎる場合、ボイドを十分に除去することができないおそれがあり、圧力が高すぎる場合、エポキシ樹脂粒子(A)が流れ出すおそれがある。また、温度は80~300℃、時間は2分~10時間としてもよい。
また、本実施の形態の熱伝導性硬化物は、実施の形態1の熱伝導性樹脂組成物を基材に塗工して、エポキシ樹脂粒子(A)の融点以上の温度に加熱することでも得られる。塗工方法および基材は、実施の形態2に記載の通りである。また、加熱と同時に加圧処理を行ってもよい。加圧処理の条件は、上述の通りである。
実施の形態4.
本実施の形態のパワーモジュールは、一方の放熱部材に搭載された電力半導体素子と、電力半導体素子で発生する熱を外部に放熱することのできる他方の放熱部材と、電力半導体素子で発生する熱を一方の放熱部材から他方の放熱部材に伝達することのできる実施の形態3に記載の熱伝導性硬化物と、を備える。以下、本実施の形態のパワーモジュールについて図2を用いて説明する。
図2は、本実施の形態のパワーモジュールの模式断面図である。図2において、パワーモジュール5は、一方の放熱部材であるリードフレーム7に搭載された電力半導体素子8と、他方の放熱部材であるヒートシンク9と、リードフレーム7とヒートシンク9との間に配置された熱伝導性硬化物6と、を備えている。さらに、電力半導体素子8と制御用半導体素子10との間、および、電力半導体素子8とリードフレーム7との間は、金属線11によってワイヤボンディングされている。また、リードフレーム7の端部以外およびヒートシンク9の外部放熱のための部分以外は、封止樹脂12で封止されている。
パワーモジュール5において、熱伝導性硬化物6以外の部材は、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。このような構成を有するパワーモジュール5は、熱伝導性および絶縁性に優れた熱伝導性硬化物6を備えているので、熱放散性や絶縁性に優れる。
実施の形態5.
本実施の形態に係るモータのステータは、磁性体から形成されたステータコアと、巻線が巻き付けられて形成されたコイルと、実施の形態3に記載の熱伝導性硬化物と、を備える。熱伝導性硬化物は、ステータコアとコイルとの間に介在する。
ステータは、ステータコアに設けたスロットに、絶縁性の熱伝導性硬化物およびコイルを配置した後、加熱処理することによってステータコアおよびコイルの双方に絶縁性の熱伝導性硬化物を融着させることで製造される。
ステータにおいて、熱伝導性硬化物以外の部材は、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。このような構成を有するステータは、熱伝導性および絶縁性に優れた熱伝導性硬化物を備えているので、熱放散性や絶縁性に優れる。
以下、実施例を挙げて本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂粒子として、ビフェニル型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製、YX4000)(融点:105℃)を乳鉢に取り、20分間粉砕した。粉砕したビフェニル型エポキシ樹脂を、有機溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)を添加しながらさらにライカイ機(日陶科学(株)製、ANG-200WD)を用いて3時間粉砕することで、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂粒子を得た。該エポキシ樹脂粒子の平均粒径をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA-910)を用いて測定したところ、10μmであった。また、MEKの熱重量測定による揮発温度は、46℃であった。
該エポキシ樹脂粒子100質量部に、MEK290質量部を加えて攪拌した。この混合物に、熱伝導性無機フィラーとして窒化ホウ素(水島合金鉄(株)製、HP-40MF100)(平均粒径:40μm)321質量部、ポリマーとしてフェノキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製、YX7180B40)(Mw:56000、Tg:15℃)11質量部(樹脂部として)を加えて攪拌した。そして、硬化剤として、イミダゾール硬化促進剤である1-ベンジル-2-メチルイミダゾール(三菱ケミカル(株)製、jERキュア IBMI-12)2質量部を加えて攪拌し、スラリーを得た。
該スラリーを、基剤である厚さ50μmのPET上にドクターブレード法にて塗布した。塗布後、100℃で10分間加熱乾燥することでMEKを除去した。加熱乾燥後、真空ラミネータ装置(名機製作所製、MVLP-500)を用いて、1.0MPa、100℃の条件で2分間加圧処理をし、厚さが200μmの熱伝導性シートを得た。その後、該熱伝導性シートを9.8MPa、180℃の条件で2時間加圧成形することで、熱伝導性硬化物を得た。
<実施例2~3>
MEK、窒化ホウ素およびフェノキシ樹脂の配合量を表1に示す量に変更した点を除いては、実施例1と同じ方法で熱伝導性シートおよび熱伝導性硬化物を得た。
<実施例4>
実施例1と同じビフェニル型エポキシ樹脂をアルミシャーレに取り、120℃に加熱して溶融した。その後、硬化剤として、アミン硬化剤であるジアミノジフェニルメタン(DDM)27質量部を添加して速やかに溶融し、均一に攪拌し、得られた混合物を冷却して固化させた。固化させた混合物は、実施例1と同じ方法で粉砕した。実施例1と同じ方法で平均粒径を測定したところ、10μmであった。
該エポキシ樹脂粒子100質量部に、MEK361質量部を加えて攪拌した。この混合物に、実施例1と同じ窒化ホウ素400質量部、実施例1と同じフェノキシ樹脂14質量部(樹脂部として)を加えて攪拌し、スラリーを得た。その後は、実施例1と同じ方法で熱伝導性シートおよび熱伝導性硬化物を得た。
<実施例5>
ポリマーとしてアクリル樹脂(ナガセケムテックス(株)製、SG-P3)(Mw:85000、Tg:12℃)11質量部(樹脂部として)を用いた点を除いては、実施例1と同じ方法で熱伝導性シートおよび熱伝導性硬化物を得た。
<実施例6>
ポリマーとしてスチレン11質量部および(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル14質量部、重合開始剤としてt-ブチルペルオキシピバレート(日油(株)製、パーブチルPV)0.5質量部を用いた点を除いては、実施例1と同じ方法で熱伝導性シートおよび熱伝導性硬化物を得た。実施例6で用いたポリマーのMwおよびTgを上述の装置を用いて上述の条件で測定したところ、Mwは23000、Tgは42℃であった。
<実施例7>
実施例1で製造した、平均粒径が10μmのビフェニル型エポキシ樹脂を、さらにライカイ機を用いて4時間粉砕した。実施例1と同じ方法で平均粒径を測定したところ、2μmであった。該ビフェニル型エポキシ樹脂を用いた点を除いては、実施例1と同じ方法で熱伝導性シートおよび熱伝導性硬化物を得た。
<実施例8>
実施例1と同じビフェニル型エポキシ樹脂を乳鉢に取り、20分間粉砕した。粉砕したビフェニル型エポキシ樹脂を、MEKを添加しながらさらにライカイ機を用いて2時間粉砕することで、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂粒子を得た。実施例1と同じ方法で平均粒径を測定したところ、25μmであった。該ビフェニル型エポキシ樹脂を用いた点を除いては、実施例1と同じ方法で熱伝導性シートおよび熱伝導性硬化物を得た。
<比較例1>
エポキシ樹脂として、メソゲン骨格を有しない液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製、jER828US)を用いた点、MEKの配合量を表1に示す割合に変更した点を除いては、実施例1と同じ方法で熱伝導性シートおよび熱伝導性硬化物を得た。
<比較例2>
実施例1と同じビフェニル型エポキシ樹脂を乳鉢に取り、10分間粉砕した。粉砕したビフェニル型エポキシ樹脂を、MEKを添加しながらさらにライカイ機を用いて30分間粉砕することで、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂粒子を得た。実施例1と同じ方法で平均粒径を測定したところ、110μmであった。該ビフェニル型エポキシ樹脂を用いた点を除いては、実施例1と同じ方法で熱伝導性シートおよび熱伝導性硬化物を得た。
<比較例3~4>
MEK、窒化ホウ素およびフェノキシ樹脂の配合量を表1に示す量に変更した点を除いては、実施例1と同じ方法で熱伝導性シートおよび熱伝導性硬化物を得た。
<比較例5>
ポリマーとしてフェノキシ樹脂(三菱ケミカル(株)製、YX8100BH30)(Mw:38000、Tg:150℃)11質量部(樹脂部として)を用いた点を除いては、実施例1と同じ方法で熱伝導性シートおよび熱伝導性硬化物を得た。
<評価方法>
評価は下記の方法により行った。熱伝導率、比重率および絶縁破壊電界に関しては、各実施例および各比較例の熱伝導性硬化物から基材を剥がした部分を用いた。
(1)可とう性
実施例1~8および比較例1~5の各熱伝導性シートを、直径100mmの筒に巻き付けて、割れの有無および基材からの剥離の有無を目視で確認した。その結果を表1に示す。割れおよび基材からの剥離のいずれも確認されなかった場合を「A」、割れまたは基材からの剥離のいずれかまたは双方が確認された場合を「B」とした。
(2)熱伝導率
実施例1~8および比較例1~5の各熱伝導性硬化物に関して、厚み方向の熱伝導率を定常法にて測定した。この熱伝導率の結果は、比較例1の熱伝導性硬化物で得られた熱伝導率を基準とし、各実施例または各比較例の熱伝導性硬化物で得られた熱伝導率の相対値([各実施例または各比較例の熱伝導性硬化物の熱伝導率]/[比較例1の熱伝導性硬化物の熱伝導率]の値)として表1に示した。
(3)比重率
実施例1~8および比較例1~5の各熱伝導性硬化物に関して、上述のように、アルキメデス法によって測定した各熱伝導性硬化物の比重を、各熱伝導性硬化物の理論比重で割り、100倍することにより比重率を算出した。その結果を表1に示す。
(4)絶縁破壊電界
実施例1~8および比較例1~5の各熱伝導性硬化物に関して、絶縁破壊電界(BDE)を測定した。具体的には、油中で各熱伝導性硬化物に1kV/秒の一定昇圧にて電圧を印加することにより測定した絶縁破壊電圧(BDV)を、各熱伝導性硬化物の厚みで割ることにより算出した。このBDEの結果は、比較例1の熱伝導性硬化物で得られたBDEを基準とし、各実施例または各比較例の熱伝導性硬化物で得られたBDEの相対値([各実施例または各比較例の熱伝導性硬化物のBDE]/[比較例1の熱伝導性硬化物のBDE]の値)として表1に示した。
Figure 0007330404000001
表1に示されるように、実施例の熱伝導性シートは、可とう性に優れており、実施例の熱伝導性シートを硬化してなる熱伝導性硬化物は、熱伝導率および絶縁性に優れていた。また、熱伝導性硬化物の比重率は98~100%であり、ボイドレスな硬化物が得られた。
一方、比較例1は、メソゲン骨格を有しないエポキシ樹脂を用いているため、メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂粒子を用いた実施例と比較して、熱伝導率に劣っていた。
比較例2は、エポキシ樹脂粒子の平均粒径が熱伝導性無機フィラーの平均粒径よりも大きいため、熱伝導性シートに割れが発生した。また、比重率が86%と大きく低下し、硬化物中にエポキシ樹脂粒子の樹脂だまり部分が形成されると共に、熱伝導性無機フィラー部分は樹脂不足になり、ボイドが発生し、不均一な硬化物となるため、硬化物の熱伝導性および絶縁性が大きく低下した。
比較例3は、ポリマー(C)の含有率が低いため、熱伝導性樹脂組成物への可とう性の付与が不十分となり、熱伝導性シートに割れや基材からの剥離が発生した。そのため、熱伝導率、比重率および絶縁破壊電界を測定することができなかった。
比較例4は、ポリマー(C)の含有率が高いため、熱伝導性樹脂組成物への可とう性の付与は十分であるが、エポキシ樹脂粒子や熱伝導性無機フィラーの作用を妨げるため、熱伝導率が低下した。
比較例5は、ポリマー(C)のTgが100℃を超えているため、熱伝導性シートが硬くなり、基材からの剥離が発生した。そのため、熱伝導率、比重率および絶縁破壊電界を測定することができなかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 熱伝導性シート、2 エポキシ樹脂粒子、3 熱伝導性無機フィラー、4 ポリマー、5 パワーモジュール、6 熱伝導性硬化物、7 リードフレーム、8 電力半導体素子、9 ヒートシンク、10 制御用半導体素子、11 金属線、12 封止樹脂。

Claims (10)

  1. メソゲン骨格を有するエポキシ樹脂粒子と、硬化剤と、熱伝導性無機フィラーと、分子量が10000以上のポリマーと、を含む熱伝導性樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂粒子の平均粒径は、前記熱伝導性無機フィラーの平均粒径の25/40以下であり
    前記ポリマーのガラス転移温度は、100℃以下であり、
    前記エポキシ樹脂粒子、前記硬化剤および前記ポリマーの含有量に対する前記ポリマーの含有率は、10質量%以上40質量%以下である、熱伝導性樹脂組成物。
  2. 前記ポリマーが、フェノキシ樹脂およびアクリレート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  3. 前記ポリマーが、ビニルモノマーの重合体である、請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  4. 前記熱伝導性無機フィラーの平均粒径は、10μm以上80μm以下であり、
    前記熱伝導性無機フィラーの含有率は、20体積%以上80体積%以下である、請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物を含む、熱伝導性シート。
  6. 請求項5に記載の熱伝導性シートの製造方法であって、
    前記エポキシ樹脂粒子、前記硬化剤、前記熱伝導性無機フィラー、前記ポリマーおよび有機溶剤を混合してスラリーを形成する工程と、
    前記スラリーを基材に塗工する工程と、
    前記スラリー中の前記有機溶剤を加熱乾燥によって除去する工程と、を備え、
    前記加熱乾燥は、前記有機溶剤の揮発温度以上前記エポキシ樹脂粒子の融点以下の温度で実施される、熱伝導性シートの製造方法。
  7. 請求項5に記載の熱伝導性シートを硬化させてなり、比重率が95%以上である、熱伝導性硬化物。
  8. 請求項7に記載の熱伝導性硬化物の製造方法であって、
    前記熱伝導性樹脂シートを、前記エポキシ樹脂粒子の融点以上の温度に加熱する工程を備える、熱伝導性硬化物の製造方法。
  9. 一方の放熱部材に搭載された電力半導体素子と、前記電力半導体素子で発生する熱を外部に放熱することのできる他方の放熱部材と、前記電力半導体素子で発生する熱を前記一方の放熱部材から前記他方の放熱部材に伝達することのできる請求項7に記載の熱伝導性硬化物と、を備える、パワーモジュール。
  10. 磁性体から形成されたステータコアと、巻線が巻き付けられて形成されたコイルと、請求項7に記載の熱伝導性硬化物と、を備え、
    前記熱伝導性硬化物は、前記ステータコアと前記コイルとの間に介在する、モータのステータ。
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