JP2014005383A - エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、硬化物の高耐熱性および高耐湿信頼性を両立しつつ、貯蔵安定性と速硬化性を兼ね備えたエポキシ樹脂組成物に関する。
近年、パワーデバイス(電力制御変換用半導体、以下、パワー半導体と呼ぶ)の分野では、パワー半導体材料としてシリコン(Si)の性能が限界にきており、次世代パワー半導体材料として炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)が用いられ始めている(特許文献1参照)。それに伴い、これら次世代パワー半導体封止用樹脂には高耐熱性(200℃以上の高温に長期耐えられる耐熱性)、低膨張性、高熱伝導、高耐湿信頼性などの面で、一層の性能向上が求められている(非特許文献1、2参照)。この要望に対応するために、従来から用いられているエポキシ樹脂組成物においても、エポキシ樹脂や硬化剤など、個別の材料における高性能化が期待されている。
また、エポキシ樹脂組成物の個別の材料における高性能化が期待される一方で、現場での作業効率を高めるために、調製した後に室温での貯蔵安定性に優れ、加熱時に速やかに硬化が進行するエポキシ樹脂組成物の開発も要望されていた(非特許文献3参照)。
このような状況下、エポキシ樹脂硬化促進剤に着目し、特定のリン系硬化促進剤を用いることにより、耐熱性、耐湿信頼性に優れた硬化物が得られると同時に、速硬化性に優れるエポキシ樹脂組成物が報告されている(非特許文献4、5参照)。
しかし、当該エポキシ樹脂組成物は、組成物の室温保管時の安定性(以下、貯蔵安定性と呼ぶ)に関しては不十分であり、また耐熱性においても、樹脂硬化物のガラス転移温度が140℃程度であり、パワー半導体用途には不向きであった。
これらの個々の問題点の解決方法として、貯蔵安定性と速硬化性の両立を目的として、硬化促進剤としてイミダゾール化合物を用いた例(特許文献2、3参照)があるが、これらの場合は、エポキシ樹脂中の加水分解性塩素がイミダゾールにより引き抜かれ、その引き抜かれた塩化物イオンによる半導体回路や金属配線の腐食といった耐湿信頼性の悪化が懸念されている。
で表されるナフタレン型4官能エポキシ樹脂を用いることで、高耐熱性に優れた樹脂硬化物が得られる樹脂組成物が提案されている(非特許文献6参照)。しかしながら、前記エポキシ樹脂を用いた硬化物において、高耐熱性を有しつつ、高耐湿信頼性および、樹脂組成物の貯蔵安定性と速硬化性を兼ね備えたものについては知られていなかった。
で表されるテトラアリールホスホニウムテトラフェニルボレート付加体のうちR1がフェニル基であり、R2が−CH3である化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラキス(4−メチルフェニル)ボレート(TPP−MK)は公知(特許文献4)でありリン系硬化促進剤として積層板用途などに用いられている(特許文献5、6)が、耐熱性および耐湿信頼性の観点から上記式(2)をエポキシ樹脂用硬化促進剤として、パワー半導体用途に用いられている例は、これまでなかった。
「高機能デバイス封止技術と最先端材料」、シーエムシー出版発行、p.101〜113(2009年)
「ネットワークポリマー」、第33巻、第1号、合成樹脂工業協会発行、p.34〜41(2012年)
「先端半導体パッケージ材料技術」、技術情報協会発行、p.38(2010年)
「第61回ネットワークポリマー講演討論会」講演要旨集、合成樹脂工業協会発行、p.143(2010年)
「ネットワークポリマー」、第33巻、第3号、合成樹脂工業協会発行、p.123〜129(2012年)
「エポキシ樹脂技術協会 特別講演 多様な用途に適応する多彩な高機能エポキシ樹脂」講演要旨集(2009年)
本発明は、パワー半導体用途を始めとする多くの用途に好適である、高耐熱性および高耐湿信頼性を両立した硬化物を与え、一方で、作業効率の向上に寄与する貯蔵安定性と速硬化性を兼ね備えたエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
このような状況を鑑み、本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意検討を行った。その結果、下記式(1)で表されるエポキシ樹脂、硬化剤、および下記一般式(2)で表されるリン系硬化促進剤を配合することにより、高耐熱性、高耐湿信頼性に優れた硬化物を得ることができ、かつ樹脂組成物自体は、貯蔵安定性と速硬化性の両立が達成されたものであることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、すなわち以下のとおりである。
〔1〕次の構成要素(A)、(B)、(C)を少なくとも含むエポキシ樹脂組成物。
(A)下記式(1)
で表されるナフタレン型4官能エポキシ樹脂を少なくとも含むエポキシ樹脂
(B)硬化剤
(C)下記一般式(2)
〔式中、R1はアリール基、R2は、−H、−CH3、炭素数2〜16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示す〕
で表されるテトラアリールホスホニウムテトラフェニルボレート付加体を1種類または2種類以上を少なくとも含むリン系硬化促進剤
〔2〕硬化剤が、フェノール樹脂であることを特徴とする〔1〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔3〕さらに、無機充填剤として、溶融シリカ、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムから選択される1種類または2種類以上を含有することを特徴とする〔1〕もしくは〔2〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔4〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物。
〔1〕次の構成要素(A)、(B)、(C)を少なくとも含むエポキシ樹脂組成物。
(A)下記式(1)
(B)硬化剤
(C)下記一般式(2)
で表されるテトラアリールホスホニウムテトラフェニルボレート付加体を1種類または2種類以上を少なくとも含むリン系硬化促進剤
〔2〕硬化剤が、フェノール樹脂であることを特徴とする〔1〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔3〕さらに、無機充填剤として、溶融シリカ、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムから選択される1種類または2種類以上を含有することを特徴とする〔1〕もしくは〔2〕に記載のエポキシ樹脂組成物。
〔4〕〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、高耐熱性と高耐湿信頼性に優れた硬化物を得ることができるため、次世代パワー半導体用途を始めとした多くの用途で使用可能であり、極めて有用である。さらに、樹脂組成物自体も、貯蔵安定性と速硬化性の両立を実現でき、作業利便性が高い。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)リン系硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物、およびその硬化物である。
本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)リン系硬化促進剤を含有するエポキシ樹脂組成物、およびその硬化物である。
本発明においてエポキシ樹脂組成物とは、前記(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)リン系硬化促進剤を均一に混ぜ合わせた混合物を指し、エポキシ樹脂硬化物とは、エポキシ樹脂組成物にある特定の条件下で熱をかけることによってエポキシ樹脂が流動性を失って、硬化した固形物を指す。
<樹脂組成物>
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、 下記式(1)で表されるナフタレン型4官能エポキシ樹脂が好ましい。当該エポキシ樹脂を使用すると高耐熱性の硬化物および速硬化性の組成物が得られるからである。
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂としては、 下記式(1)で表されるナフタレン型4官能エポキシ樹脂が好ましい。当該エポキシ樹脂を使用すると高耐熱性の硬化物および速硬化性の組成物が得られるからである。
更に 、本発明の効果を損なわない範囲で、エポキシ基を2個以上含有する他のエポキシ樹脂、例えば、式(1)で表される特定構造以外のナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂から1種類あるいは2種類以上を混合して使用することもできる。
(B)硬化剤
硬化剤としては、特に限定されず、公知である種々のものを使用することができる。例えば、ジシアンジアミド、ジアミドジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ノボラック型フェノールやクレゾールノボラック型フェノール、アラルキル型フェノール、ビフェニル型フェノール、ジシクロペンタジエン型などの多官能性フェノール樹脂等を挙げることができる。これらの硬化剤は、何種類かを併用することも可能である。耐熱性向上のために、フェノール樹脂を用いることが好ましい。
硬化剤としては、特に限定されず、公知である種々のものを使用することができる。例えば、ジシアンジアミド、ジアミドジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ノボラック型フェノールやクレゾールノボラック型フェノール、アラルキル型フェノール、ビフェニル型フェノール、ジシクロペンタジエン型などの多官能性フェノール樹脂等を挙げることができる。これらの硬化剤は、何種類かを併用することも可能である。耐熱性向上のために、フェノール樹脂を用いることが好ましい。
フェノール樹脂系硬化剤の配合量は、エポキシ樹脂中のエポキシ当量と、フェノール樹脂の水酸基当量との当量比を考慮して決定される。一般的には、エポキシ当量と水酸基当量との当量比が1:0.1〜1.5、より好ましくは1:0.7〜1.2となるように、含有量を決定する。
(C)硬化促進剤
硬化促進剤としては、下記式(2)で示されるテトラアリールホスホニウムにテトラアリールボレートが付加したリン系硬化促進剤が使用できる。
〔式中、R1はアリール基、R2は、−H、−CH3、炭素数2〜16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を示す〕
硬化促進剤としては、下記式(2)で示されるテトラアリールホスホニウムにテトラアリールボレートが付加したリン系硬化促進剤が使用できる。
R1で示されるアリール基としてフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基などが挙げられ、R2で示される炭素数2〜16の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、2−メチル−1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基などが挙げられる。より好適であるのはR1がフェニル基であり、R2が−CH3である、テトラフェニルホスホニウムテトラキス(4−メチルフェニル)ボレート(TPP−MK)である。
エポキシ樹脂組成物の硬化促進剤の配合量は、エポキシ樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部であることが好ましい。かかる含有量が0.5重量部より少ないと、硬化促進効果を十分に発揮することができない場合があり、また、5重量部より多くても、硬化促進性能は向上しないからである。硬化促進効果をより厳密に考慮すれば、かかる含有量を1〜3重量部とすることが、更に好ましい。
本発明の樹脂組成物(A)〜(C)の配合により、高耐熱性と高耐湿信頼性に優れた硬化物を得ることができ、さらに、樹脂組成物自体も、貯蔵安定性と速硬化性の両立を実現できるものである。
(D)無機充填剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には、公知の各種無機充填剤を添加することができる。無機充填剤を添加することで、膨張係数の低減、あるいは熱伝導性向上、機械的強度、チクソ性の向上効果があり、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、またはこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には、公知の各種無機充填剤を添加することができる。無機充填剤を添加することで、膨張係数の低減、あるいは熱伝導性向上、機械的強度、チクソ性の向上効果があり、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、またはこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維等が挙げられる。
さらに、それらは、シランカップリング剤などのカップリング剤で表面処理してもよい。その他、エポキシ樹脂組成物に添加される公知の添加剤が含まれていてよい。添加剤としては、イオントラップ剤、離型剤、カーボンブラックなどの顔料などが挙げられる。
<樹脂組成物の製造方法>
以下、本発明にかかるエポキシ樹脂組成物の製造方法について説明する。
まず、硬化剤と硬化促進剤の混合物を加熱後、冷却し、続いてエポキシ樹脂と混合し、加熱後、冷却する。
以下、本発明にかかるエポキシ樹脂組成物の製造方法について説明する。
まず、硬化剤と硬化促進剤の混合物を加熱後、冷却し、続いてエポキシ樹脂と混合し、加熱後、冷却する。
硬化剤とリン系硬化促進剤の混合物を加熱するのは、硬化剤の粘度を低下させることで混合を容易とし、かかる硬化剤とリン系硬化促進剤が均一となるように撹拌するためである。ここで、加熱温度を好ましくは100℃〜180℃とすれば、容易に混合できる。
エポキシ樹脂と混合する前に、上記混合物を予め冷却するのは、エポキシ当量と水酸基当量との当量比が1:1となるように、上記混合物を正確に計量する必要があるためであり、その際の取り扱いを容易とするためである。
エポキシ樹脂と混合する前に、上記混合物を予め冷却するのは、エポキシ当量と水酸基当量との当量比が1:1となるように、上記混合物を正確に計量する必要があるためであり、その際の取り扱いを容易とするためである。
冷却された硬化剤とリン系硬化促進剤との混合物と、エポキシ樹脂とを混合し、エポキシ樹脂組成物とした後、加熱する。これにより、硬化剤とエポキシ樹脂が、リン系硬化促進剤による作用により、反応硬化する。その後、得られた反応硬化物を冷却することで、エポキシ樹脂硬化物が得られる。
エポキシ樹脂組成物の加熱は、100℃〜250℃条件下にて行うことが好ましい。反応硬化が速やかに進行するからである。また、硬化剤とリン系硬化促進剤との混合や、エポキシ樹脂との混合の際は、均一に攪拌、混合することが容易となるため、真空ニーダーを用いることが好ましい。
なお、これらの硬化剤、リン系硬化促進剤、およびエポキシ樹脂の各成分は、各混合工程において1度に混合してもよく、または複数回に分けて少しずつ混合してもよい。また、上記溶剤や添加剤、無機充填剤等を混合する場合も、同様に、任意の時期に1度または複数回に分けて混合することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。ただし、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
〈実施例1〉
フェノール樹脂系硬化剤(フェノールノボラック型硬化剤)のフェノライトTD−2131(水酸基当量104、軟化点78℃、DIC社製)18.1重量部に、リン系硬化促進剤としてテトラフェニルホスホニウムテトラキス(4−メチルフェニル)ボレート(北興化学工業社製、商品名TPP−MK)(以下、TPP−MKと呼ぶ)0.55重量部を加え、150℃で2分間加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却した。これにナフタレン型4官能エポキシ樹脂のEPICLON HP―4710(エポキシ当量172、軟化点96℃、DIC社製)30.0重量部を加え、130℃で2分間加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却しエポキシ樹脂組成物を得た。ここで、エポキシ当量と水酸基当量の当量比は1.0である。
得られたエポキシ樹脂組成物を、硬化条件150℃で1時間、200℃で2時間、220℃で4時間硬化させることで、エポキシ樹脂硬化物を得た。
フェノール樹脂系硬化剤(フェノールノボラック型硬化剤)のフェノライトTD−2131(水酸基当量104、軟化点78℃、DIC社製)18.1重量部に、リン系硬化促進剤としてテトラフェニルホスホニウムテトラキス(4−メチルフェニル)ボレート(北興化学工業社製、商品名TPP−MK)(以下、TPP−MKと呼ぶ)0.55重量部を加え、150℃で2分間加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却した。これにナフタレン型4官能エポキシ樹脂のEPICLON HP―4710(エポキシ当量172、軟化点96℃、DIC社製)30.0重量部を加え、130℃で2分間加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却しエポキシ樹脂組成物を得た。ここで、エポキシ当量と水酸基当量の当量比は1.0である。
得られたエポキシ樹脂組成物を、硬化条件150℃で1時間、200℃で2時間、220℃で4時間硬化させることで、エポキシ樹脂硬化物を得た。
〈比較例1〉
TPP−MK0.55重量部に代えて、トリ(p−トリル)ホスフィン(北興化学工業社製、商品名TPTP)(以下、TPTPと呼ぶ)0.20重量部とした以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物を得た。
TPP−MK0.55重量部に代えて、トリ(p−トリル)ホスフィン(北興化学工業社製、商品名TPTP)(以下、TPTPと呼ぶ)0.20重量部とした以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物を得た。
〈比較例2〉
TPP−MK0.55重量部に代えて、トリフェニルホスフィン(北興化学工業社製、商品名TPP)(以下、TPPと呼ぶ)0.15重量部とした以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物を得た。
TPP−MK0.55重量部に代えて、トリフェニルホスフィン(北興化学工業社製、商品名TPP)(以下、TPPと呼ぶ)0.15重量部とした以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物を得た。
〈比較例3〉
TPP−MK0.55重量部に代えて、2―エチル−4−メチルイミダゾール(東京化成工業社製、商品名2E4MZ)(以下、2E4MZと呼ぶ)0.09重量部とした以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物を得た。
TPP−MK0.55重量部に代えて、2―エチル−4−メチルイミダゾール(東京化成工業社製、商品名2E4MZ)(以下、2E4MZと呼ぶ)0.09重量部とした以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物を得た。
〈比較例4〉
ビフェニルアラルキル型硬化剤のMEH―7851M(水酸基当量210、軟化点79℃、明和化成社製)21.4重量部に、リン系硬化促進剤としてTPP−MK0.85重量部を加え、150℃で2分間加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却した。これにビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の NC−3000(エポキシ当量275、軟化点57.1℃、日本化薬社製)28.0重量部を加え、130℃で1.5分間加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却しエポキシ樹脂組成物を得た。ここで、エポキシ当量と水酸基当量の当量比は1.0である。
得られたエポキシ樹脂組成物を、硬化条件150℃で2時間、180℃で6時間硬化させることで、エポキシ樹脂硬化物を得た。
ビフェニルアラルキル型硬化剤のMEH―7851M(水酸基当量210、軟化点79℃、明和化成社製)21.4重量部に、リン系硬化促進剤としてTPP−MK0.85重量部を加え、150℃で2分間加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却した。これにビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の NC−3000(エポキシ当量275、軟化点57.1℃、日本化薬社製)28.0重量部を加え、130℃で1.5分間加熱下に攪拌・混合した後、室温まで冷却しエポキシ樹脂組成物を得た。ここで、エポキシ当量と水酸基当量の当量比は1.0である。
得られたエポキシ樹脂組成物を、硬化条件150℃で2時間、180℃で6時間硬化させることで、エポキシ樹脂硬化物を得た。
〈比較例5〉
TPP−MK0.85重量部に代えて、TPTPを0.22重量部とした以外は、比較例4と同様にしてエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物を得た。
TPP−MK0.85重量部に代えて、TPTPを0.22重量部とした以外は、比較例4と同様にしてエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物を得た。
〈比較例6〉
TPP−MK0.85重量部に代えて、TPPを0.20重量部とした以外は、比較例4と同様にしてエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物を得た。
TPP−MK0.85重量部に代えて、TPPを0.20重量部とした以外は、比較例4と同様にしてエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物を得た。
〈比較例7〉
TPP−MK0.85重量部に代えて、2E4MZを0.18重量部とした以外は、比較例4と同様にしてエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物を得た。
TPP−MK0.85重量部に代えて、2E4MZを0.18重量部とした以外は、比較例4と同様にしてエポキシ樹脂組成物およびエポキシ樹脂硬化物を得た。
次に、実施例1および比較例1〜7で得られたエポキシ樹脂組成物および硬化物の物性について以下に示した方法で確認した。
<ゲルタイム測定>
JIS K 6910記載のゲル化時間測定方法に準じ、鋼板温度を175℃として、上記エポキシ樹脂組成物のゲルタイムを測定した。本測定において、ゲル化試験器としては日新科学社製GT−Dを使用した。
JIS K 6910記載のゲル化時間測定方法に準じ、鋼板温度を175℃として、上記エポキシ樹脂組成物のゲルタイムを測定した。本測定において、ゲル化試験器としては日新科学社製GT−Dを使用した。
<熱時硬度測定>
JIS K 7215記載のプラスチックのデュロメーター硬さ試験方法に準じ、上記エポキシ樹脂組成物の熱時硬度を、デュロメーターにより経時測定した。デュロメーターとしては、TECLOCK社製デュロメーターGS−720Gを使用し、エポキシ樹脂組成物を175℃熱板上で測定した。
JIS K 7215記載のプラスチックのデュロメーター硬さ試験方法に準じ、上記エポキシ樹脂組成物の熱時硬度を、デュロメーターにより経時測定した。デュロメーターとしては、TECLOCK社製デュロメーターGS−720Gを使用し、エポキシ樹脂組成物を175℃熱板上で測定した。
<耐熱性試験>
上記エポキシ樹脂硬化物の耐熱性試験を実施した。本試験において、動的粘弾性試験機としてはSIIナノテクノロジー社製DMS6100を使用し、昇温5℃/分、周波数1Hz、曲げモードにて行った。ガラス転移温度は、tanδのピーク温度とした。
上記エポキシ樹脂硬化物の耐熱性試験を実施した。本試験において、動的粘弾性試験機としてはSIIナノテクノロジー社製DMS6100を使用し、昇温5℃/分、周波数1Hz、曲げモードにて行った。ガラス転移温度は、tanδのピーク温度とした。
<耐湿信頼性試験>
上記エポキシ樹脂硬化物の耐湿信頼性試験を実施した。耐湿信頼性試験方法としては、まず、超純水と樹脂硬化物をSUS/PTFE製2重耐圧容器(三愛科学社製HU―100)に入れた後に、小型恒温試験機に入れイオン抽出(120℃ / 100時間)を行い、イオン抽出後、DIONEX社製のイオンクロマトグラフ(DX―320)を用いて抽出されたイオン性不純物量を測定した。抽出塩素イオン量(ppm)は、樹脂硬化物の重量当量として算出した。
上記エポキシ樹脂硬化物の耐湿信頼性試験を実施した。耐湿信頼性試験方法としては、まず、超純水と樹脂硬化物をSUS/PTFE製2重耐圧容器(三愛科学社製HU―100)に入れた後に、小型恒温試験機に入れイオン抽出(120℃ / 100時間)を行い、イオン抽出後、DIONEX社製のイオンクロマトグラフ(DX―320)を用いて抽出されたイオン性不純物量を測定した。抽出塩素イオン量(ppm)は、樹脂硬化物の重量当量として算出した。
各例の配合、および物性試験結果を表1に示す。
実施例1に示すエポキシ樹脂硬化物は、エポキシ樹脂にナフタレン型4官能エポキシ樹脂および硬化促進剤にTPP−MKを使用しているため、ガラス転移温度が高く240℃以上となることから耐熱性に優れ、抽出塩素イオン量が少ないことから耐湿信頼性にも優れるものである。
また、実施例1に示すエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂にナフタレン型4官能エポキシ樹脂、硬化促進剤にTPTP、TPP、2E4MZを使用した比較例1〜3の組成物と同様に熱時硬度の上昇が確認されたことから速硬化性を確保しつつも、比較例1〜3の組成物とは異なり、40℃で保管した場合でもゲルタイムは変化しないことから、貯蔵安定性に優れるものである。即ち、エポキシ樹脂にナフタレン型4官能エポキシ樹脂を使用したとしても、硬化促進剤にTPP−MKを使用しないと貯蔵安定性が劣ることとなる。
一方、比較例4〜7にかかるエポキシ樹脂硬化物は、エポキシ樹脂にナフタレン型4官能エポキシ樹脂を使用していないため、硬化促進剤の種類に関わらず、ガラス転移温度が130〜150℃と低く耐熱性に劣り、熱時硬度も450秒後においても上昇しないため、速硬化性に劣る。
また、比較例3においては、エポキシ樹脂にナフタレン型4官能エポキシ樹脂を使用していても、硬化剤に2E4MZを使用しているため、耐湿信頼性に劣り、パワー半導体用途に使用できず、また貯蔵安定性に劣るため、作業効率の向上に寄与しない。
以上から、実施例にかかるエポキシ樹脂硬化物は、高耐熱性および高耐湿信頼性に優れるため、パワー半導体用途を始めとする多くの用途に好適で、その樹脂組成物自体は、貯蔵安定性と速硬化性の両立が達成されたものであるため、作業利便性が高いことが判る。
Claims (4)
- 硬化剤が、フェノール樹脂である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
- さらに無機充填剤として、溶融シリカ、結晶シリカ、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムから選択される1種類または2種類以上を必須成分として含有することを特徴とする請求項1もしくは2に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を硬化して得られるエポキシ樹脂硬化物。
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JP2012142472A JP2014005383A (ja) | 2012-06-25 | 2012-06-25 | エポキシ樹脂組成物、およびその硬化物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2012
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