JP6459709B2 - 3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸の実用的な製造方法 - Google Patents

3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸の実用的な製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸の実用的な製造方法に関する。
3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸は、医農薬中間体として重要な化合物である。例えば、本化合物から容易に誘導できる3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸アミドが、ホスホジエステラーゼ10阻害剤の中間体として用いられている(特許文献1)。
3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸類の代表的な製造方法としては、フラン骨格を酸化分解する方法がある(非特許文献1)。
本発明の塩素化工程に関連する従来技術としては、4,4,4−トリフルオロ−3−オキソブタン酸エステルから4,4,4−トリフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを製造する方法がある(特許文献2、非特許文献2)。
また、本発明の減炭工程に関連する従来技術としては、4,4,4−トリフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルから3,3,3−トリフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンを製造する方法がある(特許文献2)。
さらに、本発明の加アルカリ分解工程に関連する従来技術としては、3,3,3−トリフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンから3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸を製造する方法がある(特許文献3)。
国際公開2014−078220号公報 特開平9−227440号公報 特開2004−018503号公報
CrystEngComm(英国),2006年,第8巻,p.320−326 Tetrahedron(オランダ),2009年,第65巻,p.7538−7552
非特許文献1に記載の発明は、反応工程数が長く実用的な製造方法には成り得なかった。
本発明の課題は、医農薬中間体として重要な3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸を、工業的にも採用しうる穏和な反応条件で、従来技術と比べて短工程かつ高い生産性で製造することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを塩素ガスと反応させることにより4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルに変換し、次に酸と反応させることにより3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンを得て、最後に塩基性水溶液と反応させることにより3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸が製造できることを新たに見出した。本発明は、スキーム1で示す3工程から成り、第一工程は塩素化工程、第二工程は減炭工程、第三工程は加アルカリ分解工程である。また、本発明の製造方法における有用な中間体として、新規化合物の4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルも新たに見出した。
Figure 0006459709
なお、本発明で採用した各工程において、特許文献2や特許文献3と照らし合わせた場合、化学的にも予想されうる問題があった。
例えば、特許文献2に記載の発明は、塩素化工程において過酷な反応条件が採用されており、副反応としてエステル部位もかなり塩素化されている(下記式を参照)。本発明の原料基質である4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルは、4位に更に水素原子を有しており、カルボニル基のα位プロトンは、ハロゲン化され易い官能基として認識されている。よって、特許文献2の反応条件をそのまま採用しても、本発明の原料基質においては、エステル部位だけでなく4位も塩素化されるものと考えるのが一般的である。また、工業的な実施においては、副反応により塩素ガスの使用量が増加し、コストおよび塩素系廃棄物の観点からも好ましくない。当然、目的物の高純度化に伴う精製操作も煩雑となる。
Figure 0006459709
また、特許文献2は、減炭工程においても過酷な反応条件が採用されており、工業的な実施においては、高温反応に対する材質の制限および大量の廃硫酸処理の問題がある。
非特許文献2に記載の発明は、塩素化剤として比較的高価な塩化スルフリルを大過剰用いており、更に長時間反応させても収率は中程度である。さらに、反応溶媒として特殊引火物のジエチルエーテルを用いている。
特許文献3は、原料基質が3,3,3−トリフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンであり、本発明で対象とする3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンとは構造的特徴が明らかに異なる(下記式を参照)。カルボニル基の両側の置換基を比べると、特許文献3の基質では加アルカリ分解される部位が明確であるのに対して(CF3基<CHCl2基)、本発明で対象とする基質では両方が共に同じジハロゲン化メチル基であり(CHF2基=CHCl2基)、それぞれの部位が加アルカリ分解されるものと予想された。すなわち、3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸と3,3−ジクロロ−2−ヒドロキシプロピオン酸が得られる可能性があり、目的とする所望の位置(官能基)選択性が得られるか否か(ジクロロメチル基が優先的に加アルカリ分解されるか否か)は全く予想できなかった。
Figure 0006459709
本発明者らが採用した条件は、これらの予想に反して高い位置選択性および高い変換率で各反応が進行することがわかった。
本発明の塩素化工程は、水の存在下に塩素(Cl2)と反応させることにより、塩素の利用効率を改善することができる。特に、モノ塩素化を水の非存在下で行い、続いてジ塩素化を水の存在下で行うことにより、塩素の利用効率を更に改善することができる。また、本発明の塩素化工程は、塩素化剤として最も安価な塩素を小過剰用いるだけで良く、更に反応時間が短く収率も高い。さらに、工業的な実施に不向きな反応溶媒を用いる必要がない。
本発明の減炭工程は、酸性水溶液と反応させることにより、緩和な反応条件を採用することができる。特に、反応温度を下げることができ、更に酸の使用量も低減することができる。よって、工業的な実施において、材質の制限や大量の廃酸処理を回避することができる。
本発明の加アルカリ分解工程は、塩基性水溶液と反応させることにより、所望の位置選択性で進行し、目的とする3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸を製造できる。
本発明の原料基質である3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンを選択性良く製造する方法は知られていなかった。
また、4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルは新規化合物であり、3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸の実用的な製造方法における有用な中間体に成り得ることも当然知られていなかった。
本発明の特定された反応条件は、3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸を製造する上で、好ましい態様である。
すなわち、本発明は以下の[発明1]から[発明5]を提供する。
[発明1]
以下の工程を含む、式[4]:
Figure 0006459709
で示される3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸の製造方法。
[第一工程]
一般式[1]:
Figure 0006459709
[式中、Rは炭素数1から6のアルキル基を表す。]
で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを塩素(Cl2)と反応させることにより、一般式[2]:
Figure 0006459709
[式中、Rは炭素数1から6のアルキル基を表す。]
で示される4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを得る工程。
[第二工程]
第一工程で得られた4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを酸と反応させることにより、式[3]:
Figure 0006459709
で示される3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンを得る工程。
[第三工程]
第二工程で得られた3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンを塩基性水溶液と反応させることにより、式[4]で示される3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸を得る工程。
[発明2]
4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを塩素(Cl2)と反応させる(第一工程)際、水の存在下で行うことを特徴とする、発明1に記載の方法。
[発明3]
4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを塩素(Cl2)と反応させる(第一工程)際、一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを水の非存在下に塩素(Cl2)と反応させることにより、一般式[5]:
Figure 0006459709
[式中、Rは炭素数1から6のアルキル基を表す。]
で示される4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルに変換し、続いて水の存在下に塩素(Cl2)と反応させることにより、一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルに変換する工程を含む、発明1に記載の方法。
[発明4]
4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを酸と反応させる(第二工程)際、用いる酸が酸性水溶液である、発明1乃至3の何れかに記載の方法。
[発明5]
一般式[2]:
Figure 0006459709
[式中、Rは炭素数1から6のアルキル基を表す。]
で示される4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステル。
本発明において、新規化合物の4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルから、製造方法自体が知られていなかった3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンが容易に製造できることを明らかにした。さらに、得られた3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンの加アルカリ分解が所望の位置選択性で進行することも明らかにした。これらの知見によって、初めて3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸が短工程で製造できるようになった。
この様に、本発明は、医農薬中間体として重要な3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸を、工業的にも採用しうる穏和な反応条件で、従来技術と比べて短工程かつ高い生産性で製造が可能となった。従来技術の問題点を高度に解決することができ、実用的な製造方法としての本発明の優位性は極めて高い。
本発明の詳細について、塩素化工程、減炭工程および加アルカリ分解工程の順に以下に説明する。
1.第一工程(塩素化工程)
本工程は、一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを塩素と反応させることにより、一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを得る工程である。
一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルのRは、炭素数1から6のアルキル基を表す。該アルキル基は、直鎖もしくは分枝の鎖式または環式(炭素数3以上の場合)である。その中でも炭素数1から4のアルキル基が好ましく、メチル基およびエチル基が特に好ましい。
一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルは、Journal of American Chemical Society(米国),1953年,第75巻,p.3152−3153等を参考にして調製することができる。当然、市販品を利用することもできる。
塩素の使用量は、一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステル1molに対して1.4mol以上を用いれば良く、1.6から5molが好ましく、1.8から3molが特に好ましい。
本工程は、水の存在下に塩素と反応させることにより、該利用効率を改善することができる。特に、モノ塩素化を水の非存在下で行い、続いてジ塩素化を水の存在下で行うことにより、塩素の利用効率を更に改善することができる。
水の使用量は、一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステル1molに対して0.01L(リットル)以上を用いれば良く、0.03から5Lが好ましく、0.05から3Lが特に好ましい。
また、本工程は、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、ジ−tert−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル等のラジカル開始剤もしくは酢酸、塩化水素、硫酸等の酸等の存在下に、または光照射下に反応させることにより、所望の反応を円滑に行うことができる。当然、好適な反応条件を採用することにより、これらの反応条件を必ずしも用いる必要はない。
反応溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオリド、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等のハロゲン系等である。その中でもクロロホルム、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラクロロエタンおよび2,4−ジクロロベンゾトリフルオリドが好ましく、四塩化炭素および2,4−ジクロロベンゾトリフルオリドが特に好ましい。これらの反応溶媒は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。本工程は、反応溶媒を用いずに反応させることもでき、ニートでの反応が好ましい態様と成る場合がある。
反応溶媒の使用量は、一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステル1molに対して0.01L以上を用いれば良く、0.02から7Lが好ましく、0.03から5Lが特に好ましい。
さらに、本工程は、緩和な反応温度を採用することにより、過塩素化物の副生を効果的に抑制することができる。
反応温度は、+70℃以下で行えば良く、+50から−30℃が好ましく、+30から−10℃が特に好ましい。
反応時間は、36時間以内で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすることが好ましい。
後処理は、有機合成における一般的な操作を採用することにより、一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを得ることができる。回収した粗体は、必要に応じて分別蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、高い純度に精製することができる。水の存在下に反応させた場合は、一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルが該水和物として得られることがある(下記参照)。一般式[2a]で示される4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルの水和物(gem−ジオール)は、4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステル(カルボニル化合物)に容易に変換することもできるが、次工程の原料基質として該無水物同様、供することができる。また、次工程の減炭まで反応が進行した、式[3]で示される3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンまたは式[3a]で示される3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンの水和物(gem−ジオール)が得られることもある(下記参照)。よって、一般式[2a]、式[3]または式[3a]で示される生成物が含まれる場合も、本発明の請求項に含まれるものとして扱う。反応終了液に窒素(N2)等を吹き込んで残留する塩素をパージして、次工程の原料基質として供するのが操作的に簡便である。第一工程の塩素化と第二工程の減炭をワンポット反応として行うこともできる。
Figure 0006459709
一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルのRは、一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルのRに由来する。
2.第二工程(減炭工程)
本工程は、塩素化工程で得られた、一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを酸と反応させることにより、式[3]で示される3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンを得る工程である。
酸は、ホウ酸、リン酸、塩化水素、臭化水素、硝酸、硫酸等の無機酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸である。その中でも無機酸が好ましく、塩化水素および硫酸が特に好ましい。
酸の使用量は、一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステル1molに対して0.01mol以上を用いれば良く、0.03から15molが好ましく、0.05から10molが特に好ましい。前工程の生成物に残留する塩化水素は、本工程の酸として利用できる。
本工程は、酸性水溶液と反応させることにより、酸の使用量を低減することができる。
酸性水溶液は、上記の酸と水から調製することができる。前工程の生成物に残留する水は、本工程の水として利用できる。
酸性水溶液の濃度は、0.1%以上を用いれば良く、0.3から90%が好ましく、0.5から80%が特に好ましい。
反応溶媒は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系等である。その中でもアルコール系が好ましく、メタノールおよびエタノールが特に好ましい。これらの反応溶媒は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。本工程は、反応溶媒を用いずに反応させることもでき、ニートでの反応が好ましい態様と成る場合がある。
反応溶媒の使用量は、一般式[2]で示される4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステル1molに対して0.01L以上を用いれば良く、0.02から7Lが好ましく、0.03から5Lが特に好ましい。
さらに、本工程は、酸性水溶液と反応させることにより、反応温度を下げることができる。
反応温度は、150℃以下で行えば良く、135から0℃が好ましく、120から15℃が特に好ましい。
反応時間は、48時間以内で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすることが好ましい。
後処理は、有機合成における一般的な操作を採用することにより、式[3]で示される3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンを得ることができる。回収した粗体は、必要に応じて分別蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、高い純度に精製することができる。水の存在下に反応させた場合は、式[3]で示される3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンが該水和物として得られることがある(式[3a])。当然、式[3a]で示される3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンの水和物(gem−ジオール)は、脱水反応や蒸留により3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(カルボニル化合物)として容易に得ることもできるが、次工程の原料基質として該無水物同等、供することができる。よって、式[3a]で示される水和体が含まれる場合も、本発明の請求項に含まれるものとして扱う。反応溶媒を用いずに反応させた場合は、反応終了液から直接、蒸留回収する操作が簡便である。
3.第三工程(加アルカリ分解)
本工程は、減炭工程で得られた、式[3]で示される3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンを塩基性水溶液と反応させることにより、式[4]で示される3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸を製造する工程である。
塩基性水溶液は、塩基と水から調製することができる。前工程の生成物に残留する水は、本工程の水として利用できる。
塩基は、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等である。その中でも炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが好ましく、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムが特に好ましい。これらの塩基は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。
塩基の使用量は、式[3]で示される3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン1molに対して1.4mol以上を用いれば良く、1.6から20molが好ましく、1.8から10molが特に好ましい。
塩基性水溶液の濃度は、0.3%以上を用いれば良く、0.5から90%が好ましく、0.7から80%が特に好ましい。
本工程は、反応をpHが9以上で行えば良く、10から14が好ましく、11から14が特に好ましい。よって、pHをモニターしながら、好適な範囲に調整して反応を行うのが良い。
反応溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール等のアルコール系等である。その中でもメタノール、エタノール、n−プロパノールおよびn−ブタノールが好ましく、メタノールおよびエタノールが特に好ましい。これらの反応溶媒は、単独でまたは組み合わせて用いることができる。本工程は、反応溶媒を用いずに反応させることもでき、ニートでの反応が好ましい態様と成る場合がある。
反応溶媒の使用量は、式[3]で示される3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン1molに対して0.01L以上を用いれば良く、0.02から7Lが好ましく、0.03から5Lが特に好ましい。
反応温度は、+100℃以下で行えば良く、+75から−30℃が好ましく、+50から−15℃が特に好ましい。
反応時間は、36時間以内で行えば良く、原料基質および反応条件により異なるため、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、核磁気共鳴等の分析手段により反応の進行状況を追跡し、原料基質の減少が殆ど認められなくなった時点を終点とすることが好ましい。
後処理は、有機合成における一般的な操作を採用することにより、式[4]で示される3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸を得ることができる。反応終了液には該アルカリ金属塩として存在するため、塩酸、硫酸等の無機酸で中和し、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系またはテトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル系の溶媒等で抽出して減圧濃縮することにより、目的物を得ることができる。回収した粗体は、必要に応じて分別蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等により、高い純度に精製することができる。
式[4]で示される3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸は、特許文献1で開示されている3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸アミドに容易に変換することができる。
[実施例]
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチルの塩素化(反応溶媒としてクロロホルム使用)]
4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチル5.0g(30mmol、1.0eq)とクロロホルム21mL(0.70mL/mmol)の混合溶液に、内温を0から5℃に制御しながら塩素(Cl2)4.8g(68mmol、2.3eq)を2時間かけて吹き込んだ。引き続いて反応終了液に窒素(N2)を吹き込んで残留する塩素をパージし、19F−NMR分析を行った。変換率は96%であり、4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)と4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)のモル比は65:35であった。塩素の利用効率は57%であった。
[4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチルの塩素化(ニート−1)]
4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチル50g(0.30mol、1.0eq)に、内温を0から5℃に制御しながら塩素(Cl2)43g(0.61mol、2.0eq)を2時間かけて吹き込んだ。引き続いて反応終了液に窒素(N2)を吹き込んで残留する塩素をパージし、19F−NMR分析を行った。変換率は97%であり、4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)と4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)のモル比は94:6であった。塩素の利用効率は51%であった。
[4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチルの塩素化(ニート−2)]
4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチル50g(0.30mol、1.0eq)に、内温を0から5℃に制御しながら塩素(Cl2)170g(2.4mol、8.0eq)を3時間30分かけて吹き込んだ。引き続いて反応終了液に窒素(N2)を吹き込んで残留する塩素をパージし、19F−NMR分析を行った。変換率は99%であり、4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)と4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)のモル比は96:4であった。塩素の利用効率は13%であった。
大過剰の塩素を用いたにも拘らず、過塩素化物の副生は観測されなかった。
[4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチルの塩素化(ニート−3、水の存在下に反応)]
4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチル150g(0.90mol、1.0eq)と水0.15L(0.17L/mol)の混合溶液に、内温を0から5℃に制御しながら塩素(Cl2)130g(1.8mol、2.0eq)を8時間30分かけて吹き込んだ。引き続いて反応終了液に窒素(N2)を吹き込んで残留する塩素をパージし、19F−NMR分析を行った。変換率は87%であり、4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)と4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)のモル比は28:72であった。塩素の利用効率は75%であった。
[3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸の製造(ニート−4、モノ塩素化は水の非存在下→ジ塩素化は水の存在下、通し実験)]
4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチル0.50kg(3.0mol、1.0eq)に、内温を0から5℃に制御しながら塩素(Cl2)0.22kg(3.1mol、1.0eq)を3時間かけて吹き込んだ。引き続いて反応混合物に窒素(N2)を吹き込んで残留する塩素をパージし、19F−NMR分析を行った。変換率は93%であり、4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)と4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)のモル比は92:8であった。塩素の利用効率は98%であった。
反応混合物に、水1.2L(0.40L/mol)を加えて、内温を0から5℃に制御しながら塩素(Cl2)0.22kg(3.1mol、1.0eq)を3時間かけて吹き込んだ。引き続いて反応終了液に窒素(N2)を吹き込んで残留する塩素をパージし、19F−NMR分析を行った。変換率は100%であり、4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)と4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)のモル比は0:100であり、塩素の利用効率は97%であった。
次に、室温で終夜保存した後、再度19F−NMR分析を行った。その結果、3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(gem−ジオール)の生成を確認し、
4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)と3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(gem−ジオール)とのモル比が90:10であった。
なお、好適な反応条件では、過塩素化物の副生は観測されなかった。
塩素化工程で得られた反応終了液全量2.0kg(3.0molとする)に、硫酸1.6kg(16mol、5.3eq)を加えて100℃で15時間攪拌した。反応終了液の単蒸留(61℃/9.0kPa)により、3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(gem−ジオール)の水溶液0.82kgを得た。該水溶液を19F−NMRで定量(内部標準法)したところ、3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(gem−ジオール)が0.52kg(2.9mol)含まれていた。2工程のトータル定量収率は97%であった。
減炭工程で得られた留出水溶液全量0.82kg(2.9mol、1.0eq)に、内温を0から5℃に制御しながら35%水酸化ナトリウム水溶液1.3kg(11mol、3.8eq)を加えて同温度で5時間撹拌した(pHは11から14)。反応終了液に、内温を25℃以下に制御しながら35%塩酸を加えてpHを1から2に調整し、テトラヒドロフランで抽出した。回収有機層を減圧濃縮して真空乾燥することにより、3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸0.30kg(2.4mol)を得た。本工程の収率は83%であり、3工程のトータル収率は80%であった。
本発明の塩素化工程は、緩和な反応温度を採用することにより、過塩素化物の副生を効果的に抑制することができる(実施例3と5を参照)。また、水の存在下に塩素と反応させることにより、該利用効率を改善することができる(表1を参照、実施例4を参照)。特に、モノ塩素化を水の非存在下で行い、続いてジ塩素化を水の存在下で行うことにより、塩素の利用効率を更に改善することができる(実施例5を参照、実施例2と比較)。因みに、有機合成における一般的な塩素化で採用されているハロゲン系の反応溶媒を用いても、塩素ガスの利用効率を大きく改善することはできない(実施例1を参照)。
Figure 0006459709
[4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)から同(カルボニル化合物)への変換]
実施例5を4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチル170g(1.0mol)スケールで同様に追試した。4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)が含まれる塩素化工程の反応終了液をジエチルエーテルで抽出し、回収有機層を減圧濃縮して分別蒸留(92℃/3.6kPa)することにより、4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)を200g(0.85mol)得た。塩素化工程の収率は85%であった。
[4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)から3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(カルボニル化合物)への変換]
実施例6で得られた4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)40g(0.17mol、1.0eq)に、硫酸34g(0.35mol、2.1eq)を加えて150℃で2時間攪拌した。攪拌中に発生したガスを冷却下に液化回収することにより、3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(カルボニル化合物)を17g(0.10mol)得た。本工程の収率は59%であった。
[3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(gem−ジオール)から同(カルボニル化合物)への変換]
130℃に加熱した濃硫酸40g(410mmol、4.9eq)に、3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(gem−ジオール)15g(83mmol、1.0eq)をゆっくり滴下しながら1時間攪拌した。攪拌中に発生したガスを冷却下に液化回収することにより、3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(カルボニル化合物)を7.5g(46mmol)得た。本工程の収率は55%であった。
実施例7で得られた3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(カルボニル化合物)20mg(0.12mmol、1.0eq)とメタノール0.50mL(4.2mL/mmol)の混合溶液に、内温を0から5℃に制御しながら9.1%水酸化ナトリウム水溶液550mg(1.3mmol、11eq)を加えて同温度で4時間15分攪拌した(pHは13)。反応終了液に、内温を25℃以下に制御しながら3N塩酸を加えてpHを1から2に調整し、酢酸エチルで抽出した。回収有機層を減圧濃縮して真空乾燥することにより、3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸15mg(0.12mmol)を得た。本工程の収率は定量的であった。
[4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)の減炭(緩和な反応条件−1)]
実施例5を4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチル0.96kg(5.8mol)スケールで同様に追試した。4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)が1.5kg(5.8mol)含まれる塩素化工程の反応終了液3.7kg(水2.2kg含有、1.0eq)に、95%硫酸58g(0.56mol、0.097eq)を加えて98℃で18時間攪拌した。反応終了液を19F−NMRで定量(内部標準法)したところ、3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(gem−ジオール)が0.92kg(5.1mol)含まれていた。本工程の定量収率は88%であった。
[4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)の減炭(緩和な反応条件−2)]
実施例10と同様に、4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)が15g(58mmol)含まれる塩素化工程の反応終了液37g(水22g含有、1.0eq)に、硫酸0.60g(6.1mmol、0.11eq)を加えて68℃で20時間攪拌した。反応終了液を19F−NMRで定量(内部標準法)したところ、3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(gem−ジオール)が5.2g(29mmol)含まれていた。本工程の定量収率は50%であった。
[4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)の減炭(緩和な反応条件−3)]
実施例10と同様に、4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)が15g(58mmol)含まれる塩素化工程の反応終了液37g(水22g含有、1.0eq)を67℃で20時間攪拌した。反応終了液を19F−NMRで定量(内部標準法)したところ、3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(gem−ジオール)が5.8g(32mmol)含まれていた。本工程の定量収率は55%であった。
前工程の生成物に残留する塩化水素だけでも、本工程は進行した。
[参考例1]
[3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸アミドへの変換(3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸メチルを経由)]
3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸330g(2.6mol、1.0eq)とメタノール84g(2.6mol、1.0eq)の混合溶液に、オルトギ酸トリメチル280g(2.6mol、1.0eq)と硫酸27g(0.28mol、0.11eq)を加えて還流下で17時間撹拌した。反応終了液の単蒸留(〜50℃/0.1kPa)により、3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸メチル330g(2.4mol)を得た。本変換の収率は92%であった。
得られた3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸メチル0.78g(5.6mmol、1.0eq)とメタノール30mL(5.4mL/mmol)の混合溶液に、内温を0から5℃に制御しながらアンモニアガス(NH3)3.6g(210mmol、38eq)を吹き込んで50℃で3時間撹拌した。反応終了液を19F−NMRで定量(内部標準法)したところ、3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸アミドが550mg(4.4mmol)含まれていた。本変換の定量収率は79%であった。
実施例と参考例の生成物の1H−NMRと19F−NMRを以下に示す。
・4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)/1H−NMR(基準物質;テトラメチルシラン,溶媒;重クロロホルム),δ ppm;1.30(t,3H),4.31(q,2H),5.22(s,1H),6.12(t,1H).19F−NMR(基準物質;ヘキサフルオロベンゼン,溶媒;重クロロホルム),δ ppm;35.25(d,2F).
・4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)/19F−NMR(基準物質;ヘキサフルオロベンゼン,溶媒;重クロロホルム),δ ppm;26.42(dd,1F),29.80(dd,1F).
・4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(カルボニル化合物)/1H−NMR(基準物質;テトラメチルシラン,溶媒;重クロロホルム),δ ppm;1.28(t,3H),4.34(q,2H),6.26(t,1H).19F−NMR(基準物質;ヘキサフルオロベンゼン,溶媒;重クロロホルム),δ ppm;37.54(d,2F).
・4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エチル(gem−ジオール)/19F−NMR(基準物質;ヘキサフルオロベンゼン,溶媒;重水),δ ppm;32.27(d,2F).
・3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(カルボニル化合物)/1H−NMR(基準物質;テトラメチルシラン,溶媒;重クロロホルム),δ ppm;6.31(t,1H),6.34(s,1H).19F−NMR(基準物質;ヘキサフルオロベンゼン,溶媒;重クロロホルム),δ ppm;34.91(d,2F).
・3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノン(gem−ジオール)/1H−NMR(基準物質;テトラメチルシラン,溶媒;重アセトン),δ ppm;6.02(s,1H),6.08(t,1H),gem−ジオールの2つのプロトンは帰属できず.19F−NMR(基準物質;ヘキサフルオロベンゼン,溶媒;重アセトン),δ ppm;28.25(d,2F).
・3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸/1H−NMR(基準物質;テトラメチルシラン,溶媒;重ジメチルスルホキシド),δ ppm;4.32(m,1H),6.14(m,1H),ヒドロキシル基とカルボキシル基のプロトンは帰属できず.19F−NMR(基準物質;ヘキサフルオロベンゼン,溶媒;重ジメチルスルホキシド),δ ppm;31.90(m,1F),35.29(m,1F).
・3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸メチル/1H−NMR(基準物質;テトラメチルシラン,溶媒;重クロロホルム),δ ppm;3.58(s,1H),3.88(s,3H),4.43(m,1H),5.98(m,1H).19F−NMR(基準物質;ヘキサフルオロベンゼン,溶媒;重クロロホルム),δ ppm;31.36(m,1F),32.88(m,1F).
・3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸アミド/19F−NMR(基準物質;ヘキサフルオロベンゼン,溶媒;重メタノール),δ ppm;30.59(m,1F),34.37(m,1F).
本発明で対象とする3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸は、医農薬中間体として利用できる。

Claims (5)

  1. 以下の工程を含む、式[4]:
    Figure 0006459709

    で示される3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸の製造方法。
    [第一工程]
    一般式[1]:
    Figure 0006459709

    [式中、Rは炭素数1から6のアルキル基を表す。]
    で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを、水の非存在下に塩素(Cl )と反応させることにより、一般式[5]:
    Figure 0006459709

    [式中、Rは炭素数1から6のアルキル基を表す。]
    で示される4,4−ジフルオロ−2−クロロ−3−オキソブタン酸エステルに変換し、続いて水の存在下に塩素(Cl)と反応させることにより、一般式[2]:
    Figure 0006459709

    [式中、Rは炭素数1から6のアルキル基を表す。]
    で示される4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを得る工程。
    [第二工程]
    第一工程で得られた4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを酸と反応させることにより、式[3]:
    Figure 0006459709

    で示される3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンを得る工程。
    [第三工程]
    第二工程で得られた3,3−ジフルオロ−1,1−ジクロロ−2−プロパノンを塩基性水溶液と反応させることにより、式[4]で示される3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシプロピオン酸を得る工程。
  2. 一般式[1]で示される4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エステルを、水の非存在下に塩素(Cl )と反応させる(第一工程)際、反応温度が+50から−30℃である、請求項1に記載の方法。
  3. 4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを酸と反応させる(第二工程)際、用いる酸が酸性水溶液である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 酸性水溶液の濃度が0.3から90%である、請求項3に記載の方法。
  5. 第一工程で得られた4,4−ジフルオロ−2,2−ジクロロ−3−オキソブタン酸エステルを酸と反応させる(第二工程)際、反応温度が135から0℃である、請求項1乃至4の何れかに記載の方法。
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